JP2024032505A - 包装用不織布及びその製造方法、ならびに包装材 - Google Patents

包装用不織布及びその製造方法、ならびに包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】包装材としての取り扱い性及びヒートシール性が良好であり、好ましくは衝撃保護性及び傷付き防止性も良好である包装用不織布及びその製造方法、並びに包装材を提供する。【解決手段】第1繊維層と、第2繊維層とを含み、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している積層不織布であって、前記第1繊維層は接着性繊維としてポリL-乳酸を第1成分とし、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを第2成分とし、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維を含み、前記第2繊維層は非接着性繊維を含み、前記第1繊維層は前記接着性繊維により繊維同士を接着し、第1繊維層と第2繊維層の繊維同士を交絡一体化することにより、所定のヒートシール剥離強力を満たす包装用不織布を得る。【選択図】図1

Description

本開示は、包装用不織布及びその製造方法、ならびに包装材に関する。
従来、電子機器、精密機器、ガラス製品、陶器類、金属製品等の強硬な物品、あるいは食品、生活資材、衛生資材、医療資材等の柔軟な物品を梱包する場合、外部からの衝撃等により物品が破損しないように包装材が用いられる。このような包装材としては、一般に、クラフト紙、エアクッション、発泡シート、新聞紙、不織布等が用いられている。
例えば、特許文献1では、レーヨン及びポリエチレンテレフタレートから得られる不織布からなり、坪量、引張強度(縦、横)、伸び率(縦、横)を規定した包装材を提案している。
特許文献2では、セルロース系繊維と生分解性脂肪族ポリエステル繊維との混合繊維からなる混綿ウェッブを熱接着した生分解性袋を提案している。
特開2017-193366号公報 特開平9-142485号公報
包装材には、物品への外部衝撃からの保護性、物品への傷付き防止性、物品の包装しやすさ等の取り扱い性、袋状に加工して仕様する場合はヒートシール性、等が求められる。
本開示は、包装材としての取り扱い性及びヒートシール性が良好であり、好ましくは衝撃保護性及び傷付き防止性も良好である包装用不織布及びその製造方法、並びに包装材を提供する。
本開示は、
第1繊維層と、第2繊維層とを含み、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している積層不織布であって、
前記第1繊維層は、第1繊維層の総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
前記第2繊維層は、第2繊維層の総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含み、
前記第1繊維層においては、前記接着性繊維により繊維同士が接着しており、
前記第1繊維層と前記第2繊維層とは繊維同士の交絡により一体化しており、
下記(1)及び(2)の条件で測定されるヒートシール剥離強力が、少なくとも一つの範囲を満たす、包装用不織布を提供する。
(1)ヒートシール温度130℃、圧力0.1MPa、ヒートシール時間0.2秒で測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
(2)ヒートシール温度がグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの融点~融点+3℃の範囲、圧力0.1~0.2MPaの範囲、ヒートシール時間0.2~0.4秒の範囲のいずれかで測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
また本開示は、
第1繊維層と、第2繊維層とを含む積層不織布であり、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している包装用不織布の製造方法であって、
前記第1繊維層を構成する第1繊維ウェブの総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
第1繊維ウェブを作製する工程、
前記第2繊維層を構成する第2繊維ウェブの総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含む第2繊維ウェブを作製する工程、
前記接着工程の後に前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを積層して積層繊維ウェブを得る積層工程、
前記積層繊維ウェブの前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブの繊維同士を交絡させて一体化する交絡工程、及び
下記(1)または(2)の方法による接着工程、
(1)前記交絡工程の後に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
(2)前記積層工程の前に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
を含む、包装用不織布の製造方法を開示する。
本開示に係る包装用不織布は、接着性繊維を主として含み、接着性繊維が光学純度95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であるので、非接着性繊維との接着性が良好であり、特に、包装材としての融点近傍の低温あるいは短時間でのヒートシール性が高く、適度な強伸度を有し、取り扱い性が良好である。
本開示に係る包装用不織布の製造方法によれば、物品に対する包装時や取り扱い性及び袋状に加工するときのヒートシール性が良好である積層不織布を得ることができる。
本発明の実施例2で作製した不織布の第1表面を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2で作製した不織布の第2表面を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2で作製した不織布における各繊維層の界面近傍の不織布断面を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例12で作製した不織布の第1表面を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例12で作製した不織布の第2表面を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例12で作製した不織布における各繊維層の界面近傍の不織布断面を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の用いる接着性繊維1の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線である。 本発明の用いる接着性繊維1の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線のうち、1回目の昇温過程のDSC曲線の部分図である。 示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、1回目の昇温過程における第1成分のピーク高さ/半値幅比を算出する方法の模式的説明図である。
(本実施形態に至った経緯)
特許文献1では、包装時や包装後に破れにくく、柔軟性・クッション性に優れた包みやすい包装材を実現するために、レーヨン及びポリエチレンテレフタレートから得られる不織布からなる包装材であって、引張強度及び伸び率を所定の範囲内に調整した包装材が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の不織布は、包装材として袋状に加工する際にはなお改善の余地を有していた。
また、特許文献2では、実用的な耐水性を持ちながら微生物により速やかに分解され、かつ薄くても実用的な強度と加工性を備えた袋を実現するために、セルロース系繊維と生分解性脂肪族ポリエステル繊維との混合繊維からなる混綿ウェッブを熱接着した生分解性袋が提案されている。しかしながら、特許文献2に記載の不織布は、生分解性脂肪族ポリエステル繊維の融点が高く、包装材としてのヒートシール性及び取り扱い性という点でなお改善の余地を有していた。
本発明者らが検討を重ねた結果、特許文献1及び特許文献2のように各々の特性を有する繊維を混合しただけでは、物品を包装する際の取り扱い性及び袋状にするときのヒートシール性が高い包装用不織布を得ることができないことがわかった。さらには、物品への外部衝撃からの保護性及び物品への傷付き防止性が高いとは言えないことがわかった。
本発明者らは、これらの問題に鑑み、物品を包装する際の取り扱い性及び袋状にするときのヒートシール性が高い包装用不織布を得るためには、非接着性繊維との接着性の高い繊維(異種素材接着性繊維)を含有する必要があること、不織布の繊維構成及び構造を有する必要があり、接着性繊維の接着性と非接着性繊維の交絡性を積層構造で複合化することが有効であることがわかった。また、その構造は、不織布の緩衝性と表面の柔軟性が良好にすることにも寄与し、物品への外部衝撃からの保護性及び物品への傷付き防止性が高くし得ることがわかった。
積層構造の不織布において、接着性繊維を主体に含む繊維層と、非接着性繊維を主体する繊維層が交絡により一体化され、接着性繊維として光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維を用いることにより、取り扱い性及びヒートシール性を満たす包装用不織布が得られる。この不織布は、緩衝性と表面柔軟性を両立している。
以下、本実施形態の不織布を説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の不織布は、
第1繊維層と、第2繊維層とを含み、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している積層不織布であって、
前記第1繊維層は、第1繊維層の総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
前記第2繊維層は、第2繊維層の総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含み、
前記第1繊維層においては、前記接着性繊維により繊維同士が接着しており、
前記第1繊維層と前記第2繊維層とは繊維同士の交絡により一体化しており、
下記(1)及び(2)の条件で測定されるヒートシール剥離強力が、少なくとも一つの範囲を満たす包装用不織布である。
(1)ヒートシール温度130℃、圧力0.1MPa、ヒートシール時間0.2秒で測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
(2)ヒートシール温度がグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの融点~融点+3℃の範囲、圧力0.1~0.2MPaの範囲、ヒートシール時間0.2~0.4秒の範囲のいずれかで測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
以下においては、本実施形態の不織布を構成する繊維について説明する。
(接着性繊維)
「接着性繊維」とは、接着処理(例えば、熱接着処理、電子線照射、および超音波溶着(超音波ウェルダー)等)により接着性を示し、繊維同士を接着させて、接着箇所を形成することができる繊維をいい、本開示が目的とする不織布を得られる限り、特に制限されない。
前記接着性繊維としては、ポリL-乳酸を含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを含む第2成分とを含む複合繊維(以下、「PLA系複合繊維」ともいう)である。特には、ポリL-乳酸を含む第1成分と、ポリブチレンサクシネート及び/又はブチレンサクシネートを含む共重合体を含む第2成分とを含む複合繊維(以下、「PLA/PBS複合繊維」ともいう)がより好ましい。前記PLA系複合繊維によれば、接着性繊維同士及び非接着性繊維との接着性(異種素材との接着性)が高く、熱加工して得られた不織布は、剛軟度が高く、ヒートシール強度も高い傾向にある。前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化温度が78℃以上であり、かつ、2回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が73.5mJ/mg以下を満たすようにし、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの融解や固化の状態を上記範囲内にコントロールすることで、不織布に熱加工時やヒートシール加工時の加工性も向上し、剛軟度が高く、ヒートシール強度が大きい不織布が得られる。
具体的には、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量当たりの結晶化温度が78.0℃以上であると、溶融紡糸の際に、溶融押出後の樹脂の固化温度が高いため冷却が早く、高速での引き取りが可能であるため、繊維の細繊度化が可能となる。また、不織布への加工時に繊維表面に存在するグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルが溶融された後やヒートシール加工後の冷却においても、固化する温度が高いことから、高速での生産、ヒートシールの短時間化に適していることや、ポリL-乳酸に与える熱量が少なくなり、嵩高性が得られやすい。
さらに、2回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が73.5mJ/mg以下であると、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルが適度な結晶性を有するので、不織布への加工時にグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルが溶融しやすく、接着強度も有しており、第1成分に過度に熱を与えないので、良好な風合い(嵩高性と接着性)を有する不織布が得られ、ヒートシール加工においても強固かつ短時間でシーリングすることができる。
また、前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化温度が78℃以上であり、かつ、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が73.5mJ/mg以下を満たすようにすることで、紡糸及び/又は延伸時に密着(膠着)が発生しにくく、糸切れが発生しにくく、生産性の高い繊維が得られやすくなる。該繊維に捲縮を付与した場合も、捲縮の形状を維持しやすく、捲縮発現性も良好になりやすい。さらに、最大延伸倍率(Vmax)に近い倍率で延伸することが可能であり、より繊度の細い複合繊維を得ることができる。このようにして得られた複合繊維は、不織布への加工時に、繊維ウェブの形成性に優れ、均一な不織布を得ることができる。
本発明において、示差走査熱量測定(DSC)は、JIS K 7121:1987に基づいて、以下の条件で行う。
試料となる繊維のサンプル量を3.0mgとし、秤量した後、試料ホルダーに充填する。次に、試料ホルダーに充填した繊維を、常温(23±2℃)から250℃まで、5℃/分の速度で昇温し(1回目の昇温過程)、1度目の融解時のDSC測定を行う。250℃に到達した後、10分間保持し、250℃から40℃まで、1℃/分の速度で降温し(降温過程)、溶融した試料を凝固させる。このとき、降温時のDSCを測定する。1回目の昇温工程及び降温工程が終わった後、試料をDSC測定機器から取り出さず、40℃で10分間保持した後、40℃から250℃まで、5℃/分の速度で再度昇温し(2回目の昇温過程)、2度目の融解時のDSC測定を行う。
本発明の複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、繊維同士の融着を防止する観点から、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化温度が78.0℃以上115.0℃以下であることが好ましく、79.0℃以上105.0℃以下であることがより好ましく、80.0℃以上100.0℃以下であることがさらに好ましく、81.0℃以上95.0℃以下であることがさらにより好ましく、82.0℃以上93.0℃以下であることが特に好ましい。本発明において、DSC曲線の降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化温度は、降温過程で得られたDSC曲線において、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの発熱ピーク時の温度を指す。
前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、不織布の嵩高性及び接着性を向上する観点から、2回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量は、25.0mJ/mg以上73.5mJ/mg以下であることが好ましく、27.0mJ/mg以上72.5mJ/mg以下であることがより好ましく、28.5mJ/mg以上71.5mJ/mg以下であることがさらに好ましく、30.0mJ/mg以上70.5mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、32.0mJ/mg以上69.5mJ/mg以下であることが特に好ましい。本発明において、DSC曲線の2回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量は、2回目の昇温過程で得られたDSC曲線において、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの吸熱ピークから融解熱量を求め、求めた融解熱量をグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル1mgあたりの融解熱量に換算することで算出する。
前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、不織布の柔軟性、嵩高性、及び風合い、並びにヒートシール加工の低温化及び短時間化をより向上する観点から、1回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量は68.0mJ/mg以下であることが好ましく、25.0mJ/mg以上68.0mJ/mg以下であることがより好ましく、27.0mJ/mg以上67.0mJ/mg以下であることがさらに好ましく、30.0mJ/mg以上66.0mJ/mg以下であることが特に好ましく、32.0mJ/mg以上64.0mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、35.0mJ/mg以上62.0mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、37.0mJ/mg以上59.0mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、40.0mJ/mg以上55.0mJ/mg以下であることが特に好ましい。1回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が68.0mJ/mg以下であると、不織布への加工時に繊維表面に存在するグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルが早く溶融し、短時間で繊維が接着されるため、高速での生産及び高速でのヒートシールが可能であり、また、第一成分への熱的な影響を最小限に抑えることができるため、カードウェブの嵩高性を維持し、最終的に嵩高な不織布が得られる。本発明において、DSC曲線の1回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量は、1回目の昇温過程で得られたDSC曲線において、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの吸熱ピークから融解熱量を求め、求めた融解熱量をグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル1mgあたりの融解熱量に換算することで算出する。
前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、繊維同士の融着をより効果的に防止し、不織布の柔軟性及び嵩高性をより向上する観点から、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの結晶化熱量が59.5mJ/mg以下であることが好ましく、15.0mJ/mg以上59.5mJ/mg以下であることがより好ましく、20.0mJ/mg以上56.0mJ/mg以下であることがさらに好ましく、25.0mJ/mg以上53.0mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、30.0mJ/mg以上50.0mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、35.0mJ/mg以上48.5mJ/mg以下であることが特に好ましい。降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの結晶化熱量が59.5mJ/mg以下であると、不織布への加工時に繊維表面に存在するグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルが溶融された後の冷却時に早く固化されるため、不織布がへたらない、あるいはヒートシール加工後も取り扱いしやすい。本発明において、DSC曲線の降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの結晶化熱量は、降温過程で得られたDSC曲線において、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの発熱ピークから結晶化熱量を求め、求めた結晶化熱量をグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル1mgあたりの結晶化熱量に換算することで算出する。
前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、不織布の柔軟性及び嵩高性をより向上する観点から、1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸のピーク(吸熱ピーク)高さと半値幅の比が11.0以下であることが好ましく、10.5以下であることがより好ましく、10.0以下であることがさらに好ましく、9.5以下であることがさらにより好ましく、9.0以下であることがさらにより好ましく、8.5以下であることが特に好ましい。また、1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸のピーク(吸熱ピーク)高さと半値幅の比が2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましく、3.5以上であることがさらにより好ましく、4.0以上であることがさらにより好ましく、4.5以上であることが特に好ましい。1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸のピーク高さと半値幅の比が上述した範囲であると、複合繊維の芯成分を構成する第1成分(ポリ乳酸)の吸熱ピーク(融解ピーク)が比較的にブロードな形状を有することになり、一般に硬くて脆いと言われるポリ乳酸の欠点が解消され、柔軟性及び嵩高性を良い不織布が得られやすくなる。本発明において、DSC曲線において、ピーク半値幅は、日本薬局方の半値幅法に基づいて測定する。
前記PLA系複合繊維におけるDSC曲線において、1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸のピーク(吸熱ピーク)高さと半値幅の比は、下記のように算出することができる。図3は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸のピーク高さ/半値幅比を算出する方法の模式的説明図である。
(1)吸熱ピークのピークトップStからベースラインLbに対して垂線L1を引き、垂線の長さをピーク高さ(h)とする。なお、ダブルピークの場合は、最も高いピークを採用する。
(2)垂線L1のピーク高さの半分(h/2)となる位置Shから垂線L1に直交するように引いた線と吸熱ピーク曲線が交わる点S1と点S2の距離を半値幅(Wh)とする。
(3)下記数式1でピーク比を算出する。
[数式1]
ピーク比=h/Wh
前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、不織布の柔軟性及び嵩高性をより向上する観点から、1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸の単位質量あたりの融解熱量が30.0mJ/mg以上であることが好ましく、30.0mJ/mg以上100.0mJ/mg以下であることがより好ましく、35.0mJ/mg以上90.0mJ/mg以下であることがさらに好ましく、40.0mJ/mg以上80.0mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、42.0mJ/mg以上75.0mJ/mg以下であることがさらにより好ましく、45.0mJ/mg以上70.0mJ/mg以下であることが特に好ましい。本発明において、DSC曲線の1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸の単位質量あたりの融解熱量は、1回目の昇温過程で得られたDSC曲線において、ポリL-乳酸の吸熱ピークから融解熱量を求め、求めた融解熱量をポリL-乳酸1mgあたりの融解熱量に換算することで算出する。
前記PLA系複合繊維の示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、繊維同士の融着を防止し、不織布の加工性及びヒートシール加工性を向上する観点から、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化時間が208分以上228分以下であることが好ましく、210分以上227分以下であることがより好ましく、212分以上226分以下であることがさらに好ましく、214分以上225分以下であることがさらにより好ましく、216分以上224分以下であることが特に好ましい。本発明において、DSC曲線の降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化時間は、降温過程で得られたDSC曲線において、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの発熱ピーク時の時間を指す。
前記第1成分は、ポリL-乳酸を含む。前記ポリL-乳酸は、融点が160℃以上であることが好ましく、165℃以上であることがより好ましく、さらに好ましくは168℃以上であり、特に好ましくは173℃以上である。ポリL-乳酸の融点が160℃以上であると、鞘成分との融点差が小さくならず、不織布等の繊維構造物に熱加工する際の加工温度との差が大きく、熱加工の際にへたらない。ポリL-乳酸の融点の上限は230℃以下であることが好ましい。
前記第1成分は、核剤を含んでもよい。核剤としては、公知の何れでも構わないが、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミニウム化合物等の無機フィラー、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、リン酸エステル金属塩、アミド系化合物、マイカやウラストナイト等の鉱物、硫酸バリウム等が挙げられる。核剤をポリL-乳酸100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下添加してもよく、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下添加してよい。
ポリL-乳酸の光学純度は、95%以上であり、好ましくは98.0%以上であり、より好ましくは98.5%以上であり、さらに好ましくは99.0%以上であり、特に好ましくは99.5%以上である。光学純度が95%以上であると、熱加工の際にへたらず、嵩回復性が向上する。
本発明に用いられるポリL-乳酸は、耐熱性が大きく、曲げ弾性も大きくなる傾向があるため、熱収縮が小さく、嵩が大きく、嵩回復性も優れる不織布が得やすくなる。
前記第1成分には、前記ポリL-乳酸以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の樹脂を混合してもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられる。第1成分に占めるポリL-乳酸の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが最も好ましい。
前記グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルは、ポリアルキレンジカルボキシレートであることが好ましく、具体的にはポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート、及びこれらの共重合体等が挙げられる。中でも、コハク酸と1,4-ブタンジオールの縮合体であるポリブチレンサクシネート、及び/又はその共重合体は、融点が110℃程度と比較的高く、繊維生産性、不織布加工性、不織布物性に優れ、また、バイオマス原料化可能であることから、好ましい。
前記脂肪族ポリエステルの融点は、100℃以上130℃以下であることが好ましく、110℃以上125℃以下であることがより好ましい。融点が100℃以上であると、溶融紡糸の際にノズルより吐出した溶融樹脂の固化が早く、融着糸の発生が抑制される。また、融点が130℃以下であると、第1成分との融点差が大きく、熱加工の際にへたらない。
前記グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルは、紡糸性を向上する観点から、核剤を含むことが好ましい。核剤としては、例えば、無機系核剤や有機系核剤が挙げられる。無機系核剤としては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミニウム化合物等の無機フィラー、マイカやウラストナイト等の鉱物、硫酸バリウム等が挙げられる。有機系核剤としては、脂肪酸金属塩、リン酸エステル金属塩、アミド系化合物等が挙げられる。前記核剤としては、有機系核剤が好ましく、特に脂肪酸金属塩が好ましい。脂肪酸金属塩はさらに、均一で微細な結晶が得られるため、繊維形成後の耐熱性を向上する効果を有する。脂肪酸金属塩としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀、ミリスチン酸アルミニウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、モンタン酸亜鉛、モルタン酸カルシウム、モルタン酸マグネシウム、12-ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、12-ヒドロキシステアリン酸リチウム、12-ヒドロキシステアリン酸鉛、12-ヒドロキシステアリン酸ニッケル、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12-ヒドロキシステアリン酸バリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル、ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル,オクチル酸ナトリウム、オクチル酸リチウム、オクチル酸マグネシウム、オクチル酸カルシウム、オクチル酸バリウム、オクチル酸アルミニウム、オクチル酸ニッケル、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸リチウム、セバシン酸マグネシウム、セバシン酸カルシウム、セバシン酸バリウム、セバシン酸アルミニウム、セバシン酸タリウム、セバシン酸鉛、セバシン酸ニッケル、ウンデシレン酸ナトリウム、ウンデシレン酸リチウム、ウンデシレン酸マグネシウム、ウンデシレン酸カルシウム、ウンデシレン酸バリウム、ウンデシレン酸アルミニウム、ウンデシレン酸鉛、ウンデシレン酸ニッケル、ウンデシレン酸ベベリウム、リシノール酸ナトリウム、リシノール酸リチウム、リシノール酸マグネシウム、リシノール酸カルシウム、リシノール酸バリウム、リシノール酸アルミニウム、リシノール酸タリウム、リシノール酸鉛、リシノール酸ニッケル、リシノール酸ベベリウム等が挙げられる。上記の中でも、2価以上の金属塩を用いることが好ましい。2価以上の金属塩を用いると、物理架橋構造ができ易くなり、高分子鎖のセグメントの運動性が制限されることで、結晶の核となって早く結晶化させることが可能である。さらに、紡糸性の観点から、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの樹脂融点より高い融点を示す脂肪酸金属塩が好ましく、脂肪酸との結合力が高い金属塩が好ましい。例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛が挙げられるが、特にカルシウムが好ましい。また、脂肪酸としては、融点の高い飽和脂肪酸であることが好ましい。脂肪酸の炭素数は、12以上28以下であることが好ましく、14以上20以下であることがより好ましい。この範囲内であると、分子鎖が長すぎず、また融点がグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの紡糸温度よりも低くなるため、樹脂内で核剤が均一に分散する。特に好ましくは、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸亜鉛からなる群から選ばれる一つ以上である。
前記グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルは、結晶性を高め、かつ紡糸性を向上させる観点から、前記脂肪族ポリエステル100質量部に対して核剤を0.01質量部以上20質量部以下含むことが好ましく、より好ましくは0.03質量部以上10質量部以下含み、さらに好ましくは0.06質量部以上5質量部以下含む。核剤が無機系核剤であれば、樹脂の結晶化を促進する観点から、前記脂肪族ポリエステル100質量部に対して無機系核剤を0.1質量部以上20質量部以下含むことが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下含むことがより好ましく、1.0質量部以上5.0質量部以下含むことがさらに好ましい。核剤が有機系核剤であれば、樹脂の結晶化を促進する観点から、前記脂肪族ポリエステル100質量部に対して有機系核剤を0.01質量部以上5.0質量部以下含むことが好ましく、0.03質量部以上4.0質量部以下含むことがより好ましく、0.06質量部以上3.0質量部以下含むことがさらに好ましい。
前記第2成分には、前記脂肪族ポリエステル以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の樹脂を混合してもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリカプロラクトン、及び芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等が挙げられる。第2成分に占める前記脂肪族ポリエステルの割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが最も好ましい。
前記PLA系複合繊維は、前記第1成分を前記第2成分より低い温度で溶融紡糸し、所定の条件で延伸することで作製することができる。
まず、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分を準備する。第1成分は、前記ポリL-乳酸を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましく、95質量%以上含むことが特に好ましい。第2成分は、前記脂肪族ポリエステルを80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましく、95質量%以上含むことが特に好ましい。ポリL-乳酸及び脂肪族ポリエステルは、上述したものを用いることができる。
次に、前記第1成分及び前記第2成分を溶融紡糸して、前記第2成分が繊維表面の50%以上を占める紡糸フィラメントを製造する(以下において、「紡糸工程」とも記す)。
具体的には、溶融紡糸機に所定の繊維断面が得られる複合ノズルを装着し、前記第2成分が繊維表面の50%以上を占めるように、前記第1成分及び前記第2成分を押出して溶融紡糸して、紡糸フィラメント(すなわち、未延伸フィラメント)を得る。紡糸工程において、前記第1成分を前記第2成分より低い温度で溶融紡糸する。これにより、前記ポリL-乳酸の冷却が進みやすくなり、早く結晶化できるため、前記ポリL-乳酸の結晶化がコントロールしやすくなる。そのため、結晶配向が少なく、繊度の細い紡糸フィラメントを得ることができる。前記紡糸フィラメントは、延伸性がよく、延伸時に結晶性と配向性が整った状態の繊維となるだけでなく、延伸後により細繊度することが可能である。また、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶性が高い複合繊維を得ることができる。前記第1成分を前記第2成分より1℃以上30℃以下低い温度で溶融紡糸することが好ましく、3℃以上20℃以下低い温度で溶融紡糸することがより好ましく、5℃以上18℃以下低い温度で溶融紡糸することがさらに好ましく、7℃以上16℃以下低い温度で溶融紡糸することが特に好ましい。具体的には、前記第1成分を200℃以上240℃以下の温度で溶融紡糸し、前記第2成分を220℃以上250℃以下の温度で溶融紡糸してもよく、前記第1成分を205℃以上235℃以下の温度で溶融紡糸し、前記第2成分を225℃以上245℃以下の温度で溶融紡糸してもよく、前記第1成分を210℃以上230℃以下の温度で溶融紡糸し、前記第2成分を225℃以上240℃以下の温度で溶融紡糸してもよく、前記第1成分を215℃以上225℃以下の温度で溶融紡糸し、前記第2成分を225℃以上235℃以下の温度で溶融紡糸してもよい。
次に、前記紡糸フィラメントを延伸して、延伸フィラメント(複合繊維)を得る。
延伸処理は、延伸工程が一段階のみの、いわゆる1段延伸でも良いし、延伸工程が2段以上ある多段延伸であってもよい。1段延伸、もしくは多段延伸の1段目において、延伸温度を55℃以上90℃以下に設定して実施する。延伸温度が90℃以下であると、延伸処理中に融着が発生することがない。延伸温度が55℃以上であると、高度に延伸することができる。延伸温度は60℃以上85℃以下であることが好ましく、70℃以上80℃以下であることがより好ましい。多段延伸の2段目以降においては、延伸温度は60℃以上100℃以下であることが好ましく、70℃以上95℃以下であることがより好ましく、75℃以上90℃以下であることが特に好ましい。多段延伸の場合、2段目以降の延伸温度は、1段目と同じ、もしくは1段目より高い温度で実施することが好ましい。1段目と2段目以降の温度差は、0℃以上30℃以下が好ましく、0℃以上25℃以下がより好ましく、1℃以上20℃以下がさらに好ましく、2℃以上17℃以下が特に好ましい。
延伸倍率は、1.4倍以上である。これにより、ポリL-乳酸及びグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶性を高めることができ、ひいては、不織布の柔軟性及び嵩高性を向上させることができる。延伸倍率は、1.4倍以上3.8倍以下であることが好ましく、1.5倍以上3.5倍以下であることがより好ましく、1.6倍以上3.2倍以下であることがさらに好ましく、1.7倍以上2.9倍以下であることがさらにより好ましく、1.8倍以上2.6倍以下であることが特に好ましい。延伸倍率が1.4倍以上であると、延伸工程で糸切れが発生することなく、紡糸フィラメントを均一に引き延ばすことができる。延伸処理は、1段延伸であってもよく、2段以上の多段延伸であってもよい。また、多段延伸の2段目以降は、緊張状態で熱処理する緊張熱セット、もしくは弛緩状態で熱処理する弛緩熱セットであってもよい。緊張熱セットの場合は1.0倍以上1.2倍以下であってよく、1.0倍以上1.1倍以下であってよい。弛緩熱セットの場合は0.9倍以上1.0倍未満であってよく、0.95倍以上1.0倍未満であってよい。多段延伸の2段目以降は、緊張熱セットであることが好ましい。緊張熱セットを行うと、ポリL-乳酸及びグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶性を整えて安定させることができるため、その後の二次成形時(例えば、不織の成形)の加工性が向上する。また、結晶性が整うことで、不織布の風合いが良くなり、嵩高性も向上する。多段延伸の場合は、延伸倍率は、各段階の延伸倍率を乗じたものとなる。
延伸工程において、延伸倍率は、最大延伸倍率(Vmax)の60%以上99%以下であることが好ましく、より好ましくは65%以上99%以下、さらに好ましくは70%以上99%以下である。延伸倍率が最大延伸倍率の60%以上99%以下であると、延伸工程における糸切れを抑制しつつ、高度に延伸することができる。
延伸方法は、湿式延伸法及び乾式延伸法のいずれであってもよい。熱媒としては、空気、蒸気、水、グリセリン等の油類等を適宜用いることができる。湿式延伸法の場合、液体中で加熱しながら延伸を行うことができ、例えば、熱水又は温水中で延伸を行ってもよい。乾式延伸法の場合、高温の気体中又は高温の金属ロール等で加熱しながら延伸を行うことができる。延伸は温水中で実施することが好ましい。複合繊維が芯鞘型複合繊維の場合、温水で実施した方が芯成分と鞘成分のひずみが生じやすく、捲縮の山を湾曲させ易いためである。
本発明において、「最大延伸倍率(Vmax)」は、下記のように測定したものをいう。芯鞘型複合ノズルを用いて溶融紡糸を行い、得られた紡糸フィラメント(未延伸繊維束)を、所定の温度の温水中で湿式延伸を行う。この際、上記未延伸繊維束を送り出すロールの送り出し速度(V1)を10m/分とし、巻き取る側の金属ロールの巻き取り速度(V2)を10m/分より徐々に増加させる。そして、未延伸繊維束が破断したときの巻き取る側の金属ロールの巻き取り速度を最大延伸速度とし、上記最大延伸速度と未延伸繊維束を送り出すロールの送り出し速度との比(V2/V1)を求め、得られた速度比を最大延伸倍率(Vmax)とする。
延伸処理を1回行う、いわゆる1段延伸の場合、及び同じ延伸方法で、同じ延伸温度の延伸処理を複数回に分けて行う場合、最大延伸倍率は当該延伸処理と同じ方法、同じ温度にて測定することができる。延伸処理を複数回行う、いわゆる多段延伸にて紡糸フィラメントを延伸する場合であって、延伸処理によって延伸温度が異なる場合は、より高温の延伸温度で処理を行う延伸処理と同一の延伸方法、延伸温度にて最大延伸倍率を測定する。
延伸処理を複数回行う、いわゆる多段延伸にて紡糸フィラメントを延伸する場合であって、どの延伸処理も延伸温度が同じであるが、延伸方法が異なる場合は、両方の方法で最大延伸倍率を測定し、大きい方の最大延伸倍率を、その製造条件における最大延伸倍率とする。
得られた延伸フィラメントには、必要に応じて所定量の繊維処理剤が付着させられ、さらに必要に応じてクリンパー(捲縮付与装置)で機械捲縮が与えられる。繊維処理剤は、不織布を湿式抄紙法で製造する場合には、繊維を水等に容易に分散させることができる。また、繊維処理剤が付着した繊維に、繊維表面から外力を加えて(外力は、例えば、クリンパーによる捲縮付与の際に加わる力である)、繊維処理剤を繊維に染み込ませると、さらに水等への分散性が向上する。
繊維処理剤付与後の(又は繊維処理剤が付与されていないがウェットな状態にある)延伸フィラメントを、80℃以上110℃以下の範囲内の温度で、数秒~約30分間、乾燥処理することで、繊維を乾燥させる。乾燥処理は場合により省略してもよい。その後、延伸フィラメントは、好ましくは、繊維長が1mm以上100mm以下、より好ましくは2mm以上70mm以下となるように切断される。
接着性繊維として、前記PLA系複合繊維に加えて、他の繊維が含まれてよい。その場合、これらの繊維の接着成分の融点は相互に異なってよい。例えば、二種類の接着性繊維を含む場合、これらの繊維の接着成分の融点の差は10℃以上40℃以下であってよく、特に15℃以上30℃以下であってよい。
接着性繊維には、他の繊維として、例えば、熱可塑性樹脂からなる合成繊維が含まれる。
熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、融点または非晶性樹脂の場合は融解する温度が非接着性繊維よりも低く、非接着性繊維が溶融しない温度を満たす繊維を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン-1、プロピレンを主たる成分とするプロピレン共重合体(プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1-エチレン共重合体を含む)、エチレン-アクリル酸共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66等のポリアミド系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等のエンジニアリングプラスチック、並びにそれらのエラストマー等を例示できる。合成繊維は、これらから任意に選択した一種または二種以上の熱可塑性樹脂を用いて製造してよい。
合成繊維は、上記から選択される一または複数の熱可塑性樹脂から成る単一繊維であってよく、あるいは二以上の成分(「セクション」ともいえる)からなる複合繊維であってよい。複合繊維において、各成分は、一つの熱可塑性樹脂からなっていてよく、あるいは二以上の熱可塑性樹脂が混合されたものであってよい。複合繊維は、例えば、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、またはサイドバイサイド型複合繊維であってよい。芯鞘型複合繊維は、繊維断面において芯成分の中心と鞘成分の中心が一致しない偏心芯鞘型複合繊維であってよく、繊維断面において芯成分の中心と鞘成分の中心が一致する同心芯鞘型複合繊維であってよい。本実施形態では、不織布の触感をよりなめらかとするために、同心芯鞘型複合繊維を用いてよい。同心芯鞘型複合繊維によれば、不織布をより緻密なものとし得る。複合繊維はまた、分割型複合繊維であってよい。
単一繊維であるか複合繊維であるかにかかわらず、合成繊維は円形の断面を有してよく、あるいは異型断面(非円形の断面)を有していてよい。芯鞘型複合繊維および海島型複合繊維の場合、その繊維断面において、芯成分および/または島成分は異型断面を有していてよい。
合成繊維が異型断面を有する場合、その断面は、楕円形、多角形、星形、または複数の凸部が基部で接合した形状(例えば、クローバー形状)であってよい。
本実施形態においては、合成繊維として、二以上の合成繊維を組み合わせて用いてもよい。
接着性繊維の繊度は、特に限定されないが、本実施形態においては、接着性繊維を含む第1繊維層がより滑らかな触感を与えるよう、比較的小さな繊度の接着性繊維(但し、極細繊維を発生させないもの)が好ましく用いられる。接着性繊維の繊度は、具体的には、0.3dtex~3.5dtexであってよく、特に0.5dtex~3.4dtex、より特には0.6dtex~3.3dtexであってよい。接着性繊維の繊度が上述の範囲内にあると、得られる不織布において、触感が滑らかになる、あるいはヒートシール剥離強力が高くなる傾向にある。
接着性繊維の繊維長は、例えば、25mm~100mmであってよく、特に28mm~70mmであってよく、より特には30mm~60mmであってよい。
接着性繊維の繊維長が上述の範囲内にある場合、繊維の交絡性が好適となりやすい。特に、後述する方法で不織布を製造する場合には、繊維長が上述の範囲内にあることで、第1繊維層および第2繊維層における繊維同士の交絡の度合いの制御がより容易となる。
接着性繊維が、複合繊維である場合、融点のより低い熱可塑性樹脂が繊維表面の一部を構成するように、二以上の成分を配置してよい。低融点の熱可塑性樹脂(低融点成分)は不織布を生産する工程で熱が加わったときに溶融または軟化して、接着成分となる。低融点成分は、繊維同士の接着または他の部材への接着に寄与し、接着箇所を形成し得る。
接着性繊維が、複合繊維である場合、低融点成分が、繊維断面において、繊維の周面の長さに対して、例えば40%以上の長さで露出していてよく、特に50%以上の長さで露出していてよく、より特には60%以上の長さで露出していてよく、さらにより特には80%以上の長さで露出していてよい。あるいは、低融点成分は、繊維の周面全体にわたって露出していてよい。
接着性成繊維が芯鞘型複合繊維である場合、芯と鞘の複合比(体積比、芯/鞘)は、例えば80/20~20/80であってよく、特に60/40~40/60であってよい。芯/鞘の複合比がこの範囲内にあると、繊維同士の接着が適度なものとなる。また、芯/鞘の複合比がこの範囲内にあると、接着工程の後に交絡工程を実施して不織布を製造するときに、交絡工程における接着箇所の剥離が過度に生じないので、所定の表面交絡度あるいは所定の不織布構造を得ることができる。また、芯/鞘の複合比がこの範囲内にあると、芯成分によって繊維形状が維持されやすく、不織布の強力あるいはヒートシール剥離強力を好適なものとし得る。
接着性繊維に用いられる他の繊維の接着成分(複合繊維の場合は低融点成分)は、オレフィンと、不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体であってよい。そのような共重合体は親水性繊維の一例であるセルロース系繊維に対して良好な接着性を示す。不飽和カルボン酸として、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、その誘導体として、不飽和カルボン酸の無水物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、または同様なアクリル酸エステル等、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブテンカルボン酸エステル類、アリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシブテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等が挙げられる。特に、オレフィンがエチレンであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体がアクリル酸又はその誘導体であるエチレン-アクリル酸共重合体であることが好ましい。
前記他の繊維が複合繊維場合、構成する熱可塑性樹脂の組み合わせは、例えば、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、およびプロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレート等のポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂との組み合わせ(ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂)、ならびにポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレン共重合体/ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸共重合体/ポリプロピレン等の二種類のポリオレフィン系樹脂の組み合わせ、および融点の異なる二種類のポリエステル系樹脂の組み合わせを含む。
前記他の繊維が、融点のより低い熱可塑性樹脂が鞘部を構成する芯鞘型複合繊維である場合、芯/鞘の組み合わせは、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/プロピレン共重合体、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステル(例えば、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレート)、ポリプロピレン/エチレン-アクリル酸共重合体、ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネートを含む。これらの組み合わせは、芯鞘型複合繊維以外の複合繊維にも適用されえる。鞘がポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、もしくは直鎖状低密度ポリエチレン)または共重合ポリエステルである芯鞘型複合繊維は、前記鞘を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱処理することで鞘が溶融又は軟化して、繊維同士を接着して、接着箇所を形成する性質を有する。
前記接着性繊維として、バイオマス(植物由来)素材あるいは生分解性素材を求められる場合は、バイオマス原料を用いて製造される上記に挙げた合成樹脂、生分解性の合成樹脂を用いてよい。生分解性合成樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)等を用いてよい。特に、PLA系複合繊維以外の脂肪族ポリエステルを含む芯鞘型複合繊維(以下、「脂肪族ポリエステル系複合繊維」ともいう)がよい。
(非接着性繊維)
本実施形態の不織布は、第2繊維層に非接着性繊維を含む。本実施形態における非接着性繊維は、接着性繊維が接着性を示す条件下では接着性を示さないものをいう。非接着性繊維としては、例えば、セルロース系繊維、タンパク質系繊維、合成繊維が含まれる。本実施形態においては、後述する水流交絡性を考慮すると、親水性繊維を維持しやすいという観点からセルロース系繊維、タンパク質系繊維、親水性を有する合成繊維が親水性繊維として好ましく用いられる。本実施形態の不織布に用いるPLA系複合繊維は、上述した非接着性繊維との接着性が高い。
「セルロース系繊維」とは、繊維素繊維とも呼ばれ、一般的に、セルロースを原料とする繊維をいう。
セルロース系繊維には、例えば、
(1)綿(コットン)、麻、亜麻(リネン)、ラミー、ジュート、バナナ、竹、ケナフ、月桃、ヘンプ及びカポック等の植物に由来する天然繊維;
(2)ビスコース法で得られるレーヨン及びポリノジック、銅アンモニア法で得られるキュプラ、及び溶剤紡糸法で得られるテンセル(登録商標)及びリヨセル(登録商標)等の溶剤紡糸セルロース繊維、ならびに他の再生繊維;
(3)溶融紡糸法で得られるセルロース繊維;及び
(4)アセテート繊維等の半合成繊維
が含まれる。セルロース系繊維の種類は特に限定されない。
タンパク質系繊維には、例えば、シルク、ウールなどの天然繊維が含まれる。
親水性を有する合成繊維には、例えば、親水性を有する熱可塑性樹脂から構成される合成繊維、疎水性を有する熱可塑性樹脂に親水化剤を練り込んだ合成繊維、疎水性を有する合成繊維に親水性繊維処理剤を塗布した合成繊維、疎水性を有する合成繊維に親水化加工(コロナ放電処理、スルホン化処理、グラフト重合処理など)を施した合成繊維、などが挙げられる。合成繊維を構成する熱可塑性樹脂の例は先に接着性繊維に関連して説明したとおりである。先に例示した熱可塑性樹脂の多くは疎水性であるため、これらを用いる際には、親水化剤の練りこみや、親水性繊維処理剤の塗布等によって、親水化する必要がある。
親水性繊維処理剤として、例えば、界面活性剤を含む繊維処理剤が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性イオン性及びノニオン性の界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤の例は、接着性繊維に関連して説明したとおりである。親水性繊維処理剤の含有量は、繊維質量(繊維処理剤を除く繊維の質量)を100質量%としたときに、0.1質量%以上2.0質量%以下であってよい。親水性繊維処理剤の含有量は、特に0.15質量%以上1.0質量%以下であってよく、より特には0.2質量%以上0.6質量%以下であってよい。
非接着性繊維の繊度は特に限定されないが、本実施形態においては、比較的小さな繊度の非接着性繊維が好ましく用いられる。具体的には、0.3dtex~3.5dtexであってよく、さらに0.5dtex~3.0dtex、特に0.6dtex~2.7dtex、より特には0.7dtex~2.5dtexであってよい。繊度の小さい親水性繊維は、後述する方法で交絡させるときに、より強固に交絡するため、表面交絡度を調整しやすい。
非接着性繊維の繊維長は、例えば、25~100mmであってよく、特に28~70mmであってよく、より特には30~60mmであってよい。
非接着性繊維の繊維長が上述の範囲内にある場合、後述する方法(特に交絡処理が水流交絡処理を含む方法)で不織布を製造する場合に、繊維の交絡性が好適となりやすい。
非接着性繊維の断面(横断面、又は繊維の長さ方向と垂直方向の断面)は、円形であっても非円形であってもよい。非円形の形状として、例えば、楕円形、Y形、X形、井形、多葉形、多角形、星形、菊花形等が挙げられる。繊維の断面が円形である場合、接着性繊維との接着面積が比較的小さくなるので、非円形の形状のものを用いる場合よりも不織布の風合いをより柔らかくすることができる。繊維の断面が非円形である場合、接着性繊維との接着面積が比較的大きくなるので、不織布の強力をより高くし得る。
非接着性繊維の一例であるセルロース系繊維として、再生繊維または半合成繊維などの化学繊維を用いてよい。化学繊維の繊度及び/又は繊維径、ならびに繊維長のばらつきは、天然繊維のそれらよりも小さいので、不織布の交絡度合いをより調整しやすい。また、レーヨン及び溶剤紡糸セルロース繊維等の再生繊維は、繊維自体が有する湿潤時の柔らかさと強力のバランスが良好であり、不織布として好適な風合いの柔らかさ及び強力を得ることがより容易であり好ましい。また溶剤紡糸セルロース繊維は単繊維強力が比較的高いため、不織布の強力がより良好になる点で好ましい。レーヨンは、溶剤紡糸セルロース繊維と比較して単繊維強力は低いが、それゆえに不織布が柔らかくなり、また、交絡性が高い点で好ましい。
前記非接着性繊維としてセルロース系繊維を用いる場合、前記PLA系複合繊維も生分解性を有するので、環境配慮の観点で好ましい。前記積層不織布としたとき、構成する繊維の50質量%以上が生分解性を有する繊維であることが好ましい。特には70質量%以上の生分解性を有する繊維であることが好ましく、より特には90質量%以上の生分解性を有する繊維であることが好ましく、全ての構成繊維が生分解性を有する繊維であってよい。
非接着性繊維は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
(他の繊維)
本実施形態の不織布には、非接着性繊維および接着性繊維以外の繊維(以下、「他の繊維」)が含まれていてよい。第1繊維層に含まれる他の繊維は、例えば、接着性繊維以外の親水性繊維、合成繊維(例えば、接着性繊維の接着成分を溶融させるときに溶融または軟化せず、接着性を示さない合成繊維等)であり、特に限定されない。第2繊維層に含まれる他の繊維としては、接着性繊維が挙げられる。
他の繊維は、各繊維層を構成する繊維全体を100質量%としたときに、20質量%以下の割合で含まれてよく、さらに10質量%以下、特には5質量%以下、より特には他の繊維を含まず、第1繊維層は接着性繊維100質量%、第2繊維層は非接着性繊維100質量%で構成させるのがよい。
(不織布の構成)
本実施形態の不織布は、第1繊維層と第2繊維層を含み、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成する。第1繊維層と第2繊維層は接して配置してもよいし、層間に他の繊維層やシートが配置されてもよいが、第1繊維層と第2繊維層が接して配置されてなるとよい。また、第1繊維層は、第1繊維層の総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上100質量%以下であり、好ましくは85質量%以上100質量%以下、より好ましくは90質量%以上100質量%以下、より特には100質量%であってよい。あるいは、第1繊維層は接着性繊維のみで構成されていてよい。
第1繊維層が形成する不織布の第1表面は、包装用不織布として用いる際には、包装する物品に対しての接触面であっても、非接触面であってもどちらでもよいが、ヒートシーラーを用いて袋状にする場合は、接触面にするのがよい。本実施形態では、第1繊維層には接着性繊維が含まれるが、滑らかな触感が付与されるようにしている。接着性繊維は上記のとおり合成繊維であるため、後述する方法で繊維同士を高圧流体(特に高圧水流)の作用により交絡一体化させる場合でも、前もって接着処理されているので、高圧流体の噴射痕に起因する凹凸を小さくし、不織布の第1表面をより平滑なものとし得る。したがって、第1繊維層が形成する不織布の表面は、隆起した部分や陥没した部分を有さない平らな表面であることが好ましい。
第2繊維層に含まれる非接着性繊維の割合は、80質量%以上100質量%以下であり、特に85質量%以上100質量%以下、より特には90質量%以上100質量%以下であってよい。より特には100質量%であってよい。あるいは、第2繊維層は第2の親水性繊維のみで構成されていてよい。
本実施形態の不織布においては、主として2つの方法を用いることできる。
(1)第1繊維ウェブと第2繊維ウェブを積層して交絡処理を施したあと、接着処理を行う方法
(2)第1繊維ウェブの接着性繊維により接着させたウェブ(不織布)にしたあと、交絡処理を行う方法。
いずれの方法も第1繊維層に含まれる接着性繊維により繊維同士が接着され、かつ第1繊維層と第2繊維層を構成する繊維同士が交絡することによって、繊維同士が一体化されている点では同じであるが、前記(1)の方法で不織布を製造する場合は、第1繊維層を構成する繊維と、第2繊維層を構成する繊維が交絡しやすくなり、不織布の強伸度などが強固になり得る。
前記(2)の方法で不織布を製造する場合、第1繊維層に含まれる繊維のみが接着性繊維により接着されていてよく、その場合、第2繊維層において繊維同士は接着していない。かかる構成によれば、接着点が第1繊維層にのみ存在することとなり、不織布全体の触感を柔軟なものとし得ること、及び緩衝性が向上し得ることが挙げられる。また、前記(2)の方法で不織布を製造する場合に、接着点が第1繊維層にのみ存在した状態で、第1繊維層と第2繊維層を構成する繊維同士を交絡させることにより、層間での繊維同士の交絡性がより良好となり得る。
繊維同士が接着している箇所では、接着性繊維の接着成分が溶融または軟化した後、再度固化することにより形成された接着部が形成されている。また、繊維同士の交絡は、後述するとおり、例えば水流交絡処理によるものであってよい。
本実施形態の不織布は、下記(1)及び(2)の条件で測定されるヒートシール剥離強力が、少なくとも一つの範囲を満たす包装用不織布である。
(1)ヒートシール温度130℃、圧力0.1MPa、ヒートシール時間0.2秒で測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上である。
(2)ヒートシール温度がグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの融点~融点+3℃の範囲、圧力0.1~0.2MPaの範囲、ヒートシール時間0.2~0.4秒の範囲のいずれかで測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上である。
上記範囲を満たすことにより、包装材としての融点近傍の低温及び/または短時間でのヒートシール性が高く、適度な強伸度を有し、取り扱い性が良好である。
前記(1)におけるヒートシール剥離強力は、8.0N以上であることが好ましい。
前記(2)におけるヒートシール剥離強力は、8.0N以上であることが好ましい。
本実施形態の不織布は、下記方法に従って測定される不織布の第1表面における表面交絡度が、3.0mg未満であることが好ましい。
(表面交絡度)
a)ウレタンフォーム((株)イノアックコーポレーション製、商品名モルトフィルターMF-30、エステル系ポリウレタン、セル数30、平均セル径410μm、平均摩擦係数(MIU)0.69、平均摩擦係数の変動(MMD)0.043、厚さ5mm)で表面を覆った円盤(直径70mm、350g)を、回転軸が円盤中心から20mmずれた位置となるように回転軸に取り付ける。
b)上記と同じウレタンフォームを敷き、その上に不織布の第1表面または第2表面が露出面となるように、不織布を台上に固定する。
c)不織布の上に前記円盤を載せる。このとき、不織布に加わる荷重は円盤の自重のみとする。
d)回転軸を回転させて、円盤を不織布上で周動させる。周動は時計周りに2回転、反時計周りに2回転を1セットとして、7セット行う。このときの周動速度は1周動あたり約3秒である。
e)7セットの周動後、不織布から抜け落ちて、円盤を覆っているウレタンフォームの表面に付着した繊維を集める。
f)前記a)~e)の操作をn=3枚の不織布について行う。3枚の不織布それぞれについて、抜け落ちた繊維の質量を測定し、その平均値を表面交絡度(mg)とする。
なお、上記ウレタンフォームに代えて、上記のセル数、平均セル径、MIU、MMD、および厚みがそれぞれ±25%の範囲で異なる限りにおいて、別のウレタンフォームを用いて表面交絡度を測定してよい。そのような別のウレタンフォームを用いて測定した表面交絡度が上記範囲内にあれば、測定した表面交絡度は上記特定のウレタンフォームを用いて測定したものとみなす。本実施形態では、交絡の度合いを表す指標として用いる。繊維交絡後の各繊維層には、当該繊維層以外の繊維層に含まれる繊維が交絡の結果として進入するが、各繊維層の表面には実質的に現れることがない。ここでいう「実質的に」とは、不織布表面を電子顕微鏡(SEM)で300倍に拡大したときに表面に存在していると視認される繊維のうち繊維2本以下のことをいう。
本実施形態の不織布は、第1繊維層における第1表面の表面交絡度が3.0mg未満であり、特に2.0mg以下、より特には1.0mg以下であるものとして提供され得る。表面交絡度が3.0mgを超えると、所定の緩衝性が得られず、包装材としたときの衝撃保護性および傷付き防止性が低下する傾向にある。表面交絡度が少ないほど、第1繊維層において接着性繊維による繊維同士の接着がより強固になるので、ヒートシール性も高く、緩衝性が高い傾向にある。
本実施形態の不織布は、第2繊維層における第2表面の表面交絡度について、前記(1)の方法で製造される場合、10.0mg未満であり、特に9.5mg以下、より特に9.0mg以下であることが好ましい。
前記(2)の方法で製造される場合、表面交絡度が3.0mg以上であり、特に3.2mg以上、より特には3.5mg以上であるものとして提供され得る。上限は、30mg以下であることが好ましく、特に28mg以下、より特には26mg以下であるとよい。表面交絡度が小さいと、緩衝性は低下する傾向にあるが、取り扱い性が向上する。表面交絡度が大きいほど、第2繊維層において非接着性繊維による繊維同士の交絡が緩やかとなるので、繊維の自由度が大きく緩衝性が高く、包装材としたときの衝撃保護性および傷付き防止性が良好となる。
本実施形態の不織布によれば、第1繊維層で形成される第1表面は表面交絡度が小さい、すなわち繊維の自由度が小さい傾向にあるが、接着性繊維による繊維同士の接着点が形成されているので、緩衝性は大きい。一方、第2繊維層で形成される第2表面は表面交絡度が大きい、すなわち繊維の自由度が大きい傾向にあり、繊維同士の交絡による行楽天を形成しているので、緩衝性は大きい。よって、緩衝性の大きい積層不織布となり、衝撃保護性および傷付き防止性が高い傾向にある。
本実施形態において、第1繊維層の目付は、例えば10g/m以上40g/m以下であってよく、特に12g/m以上35g/m以下、より特には15g/m以上30g/m以下であってよい。第1繊維層の目付は、上記範囲内にあると、接着性繊維を所定量含むので、十分な緩衝性が得られる。
第2繊維層の目付は、例えば10g/m以上40g/m以下であってよく、特に15g/m以上37g/m以下、より特には20g/m以上35g/m以下であってよい。第2繊維層の目付は、上記範囲内にあると、非接着性繊維を所定量含み繊維同士が交絡されるので、十分な緩衝性が得られる。
第1繊維層の目付と第2繊維層の目付との割合は、例えば、2:8(第1:第2)~8:2であってよく、特に3:7~7:3、より特には4:6~6:4であってよい。
不織布全体の目付は、吸収性物品の種類および吸収性物品内で配置される場所等に応じて適宜選択される。不織布全体の目付は、例えば特に20g/m以上80g/m以下、特に30g/m以上70g/m以下、より特には40g/m以上60g/m以下であってよい。
本実施形態の不織布は、294Paの荷重を加えて測定される厚さが0.20mm以上2.00mm以下を有してよく、特に0.30mm以上1.85mm以下の厚さを有してよく、より特には0.40mm以上1.65mm以下の厚さを有することが更により好ましい。不織布が上述の範囲の厚さを有する場合、不織布は、より滑らかな触感を与える傾向にある。
また、1.96kPaの荷重を加えて測定される厚さが0.45mm以上1.10mm以下を有してよく、特に0.50mm以上1.05mm以下を有してよく、より特には0.55mm以上1.00mm以下を有してよい。
本実施形態の不織布のMD方向(縦方向もしくは機械方向)の引張強さは、例えば20.0N/5cm以上150.0N/5cm以下であってよく、特に24.0N/5cm以上140.0N/5cm以下、より特には26.0N/5cm以上130.0N/5cm以下であってよい。また、本実施形態の不織布は、CD方向(横方向)の引張強さが例えば2.5N/5cm以上50.0N/5cm以下であってよく、特に3.0N/5cm以上40.0N/5cm未満、より特には3.5N/5cm以上35.0N/5cm以下であってよい。不織布の引張強さが上述の範囲内である場合、不織布の形状安定性がより向上する傾向にある。
本実施形態の不織布のMD方向の伸び率は、例えば10%以上100%以下であってよく、特に20%以上60%以下であってよく、また、CD方向の伸び率は、例えば30%以上200%以下であってよく、特に35%以上120%以下であってよい。不織布の伸び率が上述の範囲内である場合、不織布の柔軟性がより向上する傾向にある。
本実施形態の不織布のMD方向の10%伸長時応力は、例えば5.0N/5cm以上35.0N/5cm以下であってよく、特に5.5N/5cm以上33.0N/5cm以下、より特には6.0N/5cm以上32.0N/5cm以下であってよい。また、本実施形態の不織布は、CD方向の10%伸長時応力が例えば0.7N/5cm以上8.0N/5cm以下であってよく、特に0.8N/5cm以上7.5N/5cm以下、より特には0.9N/5cm以上7.0N/5cm以下であってよい。本実施形態の不織布は、第1繊維層と第2繊維層との間の界面近傍において繊維同士が比較的強固に交絡させるので、特に、MD方向の10%伸長時応力が高くなりやすい。MD方向およびCD方向の10%伸長時応力が上記範囲内にあると、不織布の取り扱い性が向上する。
本実施形態の不織布は、
第1繊維層と、第2繊維層とを含み、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している積層不織布であって、
前記第1繊維層は、第1繊維層の総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
前記第2繊維層は、第2繊維層の総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含み、
前記第1繊維層においては、前記接着性繊維により繊維同士が接着しており、
前記第1繊維層と前記第2繊維層とは繊維同士の交絡により一体化しており、
前記第1表面においては、第2繊維層を構成する繊維は露出しておらず、
前記第2表面においては、第1繊維層を構成する繊維は露出しておらず、
第1繊維層と第2繊維層の界面近傍においては、各繊維層を構成する繊維が交絡している、包装用不織布であることが好ましい。
上記構成は、図1~図3で示すとおりであり、前記(2)の方法により得ることができる。所定の構造を有することにより、不織布の緩衝性が高くなり、物品に対する衝撃保護性および傷付き防止性が高い。
(第2の実施形態)
続いて、上記第1の実施形態及び第2の実施形態の不織布を製造する方法を、第3の実施形態として説明する。
本実施形態の製造方法は、
第1繊維層と、第2繊維層とを含む積層不織布であり、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している包装用不織布の製造方法であって、
前記第1繊維層を構成する第1繊維ウェブの総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
第1繊維ウェブを作製する工程、
前記第2繊維層を構成する第2繊維ウェブの総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含む第2繊維ウェブを作製する工程、
前記接着工程の後に前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを積層して積層繊維ウェブを得る積層工程、
前記積層繊維ウェブの前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブの繊維同士を交絡させて一体化する交絡工程、及び
下記(1)または(2)の方法による接着工程、
(1)前記交絡工程の後に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
(2)前記積層工程の前に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
を含む、包装用不織布の製造方法である。
第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブはいずれも、公知の方法で製造してよい。第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブの形態は、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブのようないずれの形態であってもよい。第1繊維ウェブがパラレルウェブである場合、不織布の表面がより滑らかとなる傾向にある。第2繊維ウェブがパラレルウェブである場合、繊維が一方向に配向しているため、第1繊維層の構成繊維と交絡しやすい。したがって、第2繊維ウェブの目付が小さい場合には、第2繊維ウェブをパラレルウェブとすることで、第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとの一体化が促進されやすい。第2繊維ウェブの形態は、第1繊維ウェブの形態と同じであっても異なってもよく、同じである場合には、各ウェブの繊維配向が同様であるため、各層間が交絡しやすい。
本実施形態の製造方法においては、以下の2つの方法を取り得る。
(1)前記交絡工程の後に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる工程
(2)前記積層工程の前に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる工程
前記(1)の接着工程においては、積層繊維ウェブに所定の交絡処理を施したあと、接着工程に付して、接着性繊維により第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる。
前記(2)の接着工程においては、第1繊維ウェブを接着工程に付し、接着性繊維により第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる。
接着処理は、例えば熱処理(熱接着処理)であってよい。熱処理によれば、接着性繊維を構成する樹脂成分のうち最も融点の低い成分(熱接着成分)が熱処理の際、加熱によって溶融または軟化し、繊維ウェブを構成する繊維同士を接着させることができる。熱処理は、例えば、熱風を吹き付ける熱風加工処理、熱ロール加工(例えば、熱エンボスロール加工)、または赤外線を使用した熱処理であってよい。熱風加工処理は、不織布の風合いを良好としやすいため、好ましい。熱風加工処理は、所定の温度の熱風を繊維ウェブに吹き付ける装置、例えば、熱風貫通式熱処理機、および熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施してよい。
接着処理が熱風加工処理である場合、熱風を複数回吹き付けてもよい。また熱風を複数回吹き付ける場合、最初の熱風の温度よりも2回目の熱風の温度が高いことが好ましい。
接着処理が熱風加工処理である場合、熱風の風速は、例えば、0.1m/min以上3.0m/min以下であってよく、特に0.2m/min以上2.5m/min以下、より特には0.3m/min以上2.0m/min以下であってよい。熱風の風速が小さすぎると、繊維ウェブ全体で繊維同士を良好に接着できないことがあり、大きすぎると、未接着の繊維が熱風により飛ばされ、均一な地合いを得ることが難しくなり、不織布の滑らかさが低下することがある。
熱処理の温度は、接着性繊維を構成する樹脂成分のうち最も融点の低い成分(熱接着成分)が軟化または溶融する温度としてよく、例えば、当該成分の融点以上の温度としてよい。例えば、接着性繊維を構成する樹脂成分のうち最も融点の低い成分が高密度ポリエチレンである場合に、熱風加工を実施するときには、130℃以上150℃以下の温度の熱風を吹き付けてよい。例えば、接着性繊維を構成する樹脂成分のうち最も融点の低い成分がエチレン-アクリル酸共重合体である場合、熱風加工を実施するときに、90℃以上140℃以下の温度の熱風を吹き付けてよく、特には95℃以上130℃以下の温度の熱風を吹き付けてよく、より特には100℃以上120℃以下の熱風を吹き付けてよい。また、熱処理の温度は、得られる不織布の風合いを考慮して、熱接着成分の融点または軟化点よりも0℃以上5℃以下高い温度とすることが好ましく、1℃以上4℃以下高い温度とすることがより好ましく、2℃以上3℃以下高い温度とすることがさらに好ましい。
接着処理は、電子線等の照射、または超音波溶着によるものであってよい。これらの接着処理によっても、接着性繊維を構成する樹脂成分で繊維同士を接着させ得る。
本実施形態の製造方法においては、接着工程における前記(2)の接着処理が終了した第1繊維ウェブと、別に作製した第2繊維ウェブとを積層して積層繊維ウェブを得る積層工程を実施する。接着処理が終了した第1繊維ウェブは、繊維同士が接着してある程度の一体性を有することから、熱接着不織布ともいえる。
本発明の実施形態の製造方法は、前記(2)の接着工程の後、交絡工程を実施するまでの間に冷却工程を含んでよい。すなわち、接着工程の後で、かつ、積層工程が実施される前までに、及び/または、第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとが積層された後で、かつ、交絡工程を実施する前までに、第1繊維ウェブ及び/または積層繊維ウェブを冷却処理する冷却工程を実施してよい。冷却処理の方法としては、空冷または水冷等が挙げられる。接着処理後の第1繊維ウェブが、十分に冷却されていない場合、接着性繊維の接着成分が軟化した状態であり得る。その状態で積層繊維ウェブが交絡処理に付されると、接着箇所が剥離しやすくなることがあり、不織布の毛羽立ちが生じやすくなることがある。
本実施形態においては、前記(2)の接着工程の後、第1繊維ウェブをロールに巻き取ることなく、第1繊維ウェブを第2繊維ウェブとともに交絡工程に付する。これにより、繊維同士の交絡が進行しやすくなる。これは、接着工程後の第1繊維ウェブが一度ロールに巻き取られると、その嵩が減少する傾向にあるところ、第1繊維ウェブの嵩が大きいほど、第2繊維ウェブとの交絡のための繊維間空隙が生じやすく、より交絡が進みやすいことによる。
交絡工程は、例えば、ニードルパンチ処理、または高圧流体流(特に水流)交絡処理である。高圧流体流処理において、高圧流体は、例えば、圧縮空気等の高圧気体、および高圧水等の高圧液体である。不織布の製造においては、高圧流体として高圧水を用いた水流交絡処理を用いることが多く、本実施形態においても、実施の容易性および親水性繊維の交絡のしやすさ等の点から、水流交絡処理が好ましく用いられる。以下においては、高圧流体として高圧水(以下においては、単に「水流」とも呼ぶ)を用いた場合の交絡工程を説明する。
水流交絡処理は、例えば、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上、1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上15MPa以下の水流を噴射することにより実施する。水圧は、好ましくは、1MPa以上10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上7MPa以下であり、特に好ましくは、1MPa以上6MPa以下である。
本実施形態では、積層繊維ウェブの第2繊維ウェブおよび第1繊維ウェブの表面(すなわち、積層繊維ウェブの両面)に水流を噴射する方法で、水流交絡処理を実施してよい。この際、第2繊維ウェブの表面に噴射する水流の水圧よりも、第1繊維ウェブの表面に噴射する水流の水圧を高くしてよい。さらに、第1繊維ウェブへの水流噴射回数が第2繊維ウェブへの水流噴射回数よりも多くなるようにすることが好ましい。
本実施形態では、第2繊維ウェブに噴射する水流の水圧は、例えば1MPa以上10MPa以下であってよく、特に1MPa以上8MPa以下であってよい。また、第2繊維ウェブへの水流の噴射回数は、例えば、1回以上3回以下であってよい。第1繊維ウェブに噴射する水流の水圧は、例えば1MPa以上15MPa以下であってよく、特に1MPa以上10MPa以下であってよい。また、第1繊維ウェブへの水流の噴射回数は、例えば、2回以上4回以下であってよい。
第2繊維ウェブおよび第1繊維ウェブそれぞれに噴射する水流の水圧の差は、例えば、1MPa以上10MPa以下であってよく、特に1MPa以上8MPa以下であってよい。また、第1繊維ウェブへの水流の噴射回数は、第2繊維ウェブへのそれよりも、例えば1回以上4回以下多くてよく、特に1回以上3回以下多くてよい。
水流交絡処理は、まず第2繊維ウェブの側に水流を所定回数噴射し、それから第1繊維ウェブの側に水流を所定回数噴射する方法で実施してよい。この順序によれば、第2繊維ウェブ中の第2の親水性繊維により交絡の基礎が作られ、第1繊維ウェブ側からより高い水圧の水流が噴射された場合でも、当該水流による繊維の飛散等がより少なくなり、不織布に粗密が生じることが抑制される。さらに、第1繊維ウェブは接着性繊維により接着処理が施されているので、第1繊維ウェブを構成する繊維の交絡処理による移動がほとんどなく、一旦、第2繊維層から水流交絡により移動した第2繊維層を構成する繊維も、第1繊維層側から水流交絡処理すると第1表面付近の第2繊維層を構成する繊維が再移動するので、実質的に第1表面には第2繊維層を構成する繊維が存在しないこととなり得る。一方、第1繊維層と第2繊維層の界面近傍においては、第2繊維層から移動した繊維が第1繊維層と強固に交絡するので、緩衝性の高い積層不織布が得られる。
水流交絡処理は、支持体に繊維ウェブを載せて、水流を噴射することにより実施してよい。支持体は、不織布表面が平坦で、かつ凹凸を有しないものとするならば、1つあたりの開孔面積が0.2mmを超える開孔を有さず、また、突起またはパターンが形成されていない支持体を用いるとよい。例えば、支持体として、80メッシュ以上、100メッシュ以下の平織の支持体を用いるとよい。
交絡工程において水流交絡処理を行う場合、交絡工程の後に乾燥工程を実施してよい。乾燥処理は、例えば熱風を吹き付ける熱風加工処理等により行うことができる。乾燥処理の温度は、第1繊維ウェブに含まれる接着性繊維の接着成分(熱接着成分)の軟化または溶融する温度よりも低い温度としてよい。乾燥処理の温度は、熱接着成分の融点または軟化点よりも例えば10℃以上低い温度としてよく、特に15℃以上低い温度としてよく、より特には20℃以下低い温度としてよい。交絡工程後、接着性繊維を軟化または溶融させないことで、第2繊維層において繊維同士が接着していない不織布が得られる。かかる構成の不織布を得るためには、乾燥工程に限らず、交絡工程の後で行われる積層繊維ウェブないしは不織布の加工工程(例えば、染色加工等)を、第1繊維ウェブに含まれる接着性繊維の接着成分が軟化または溶融する温度よりも低い温度で行うことが好ましい。
第2繊維ウェブが接着性繊維を含む場合、交絡工程の後で第2繊維ウェブの接着性繊維(以下、第1繊維ウェブに含まれる接着性繊維と区別するために「第2接着性繊維」と呼ぶ)により繊維同士を接着させてよい(交絡後接着工程)。特に、第2接着性繊維の融点を第1繊維ウェブに含まれる接着性繊維(第2接着性繊維と区別するために「第1接着性繊維」)の接着成分の融点よりも低いものとし、第1接着性繊維の接着成分が溶融する温度よりも低い温度で第2接着性繊維の接着成分を溶融させて繊維同士を接着させることが好ましい。これにより、第1接着性繊維の再度の溶融または軟化、および固化が抑制され、不織布が硬くなることを防止できる。
前記接着工程を前記(1)の方法で行う場合、前記交絡工程の後に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる。接着処理条件は前述したとおりである。
以下、本開示に係る不織布およびその製造方法を、実施例により説明する。
実施例及び比較例の不織布を製造するために使用した繊維を以下に示す。
<接着性繊維1><接着性繊維4>
(1)樹脂
(i)ポリL-乳酸(以下、PLAとも記す)
A:L-130、光学純度99%以上、融点175℃、Total-Corbion社製
B:Ingeo3251D、光学純度98.5%、融点155~170℃、Nature Works社製
(ii)脂肪族ポリエステル
C:ポリブチレンサクシネート(以下、PBSとも記す)、FZ71 PM、融点115℃、PTT MCC Biochem社製
(iii)核剤(鞘成分に添加、表において、核剤の配合量は鞘成分中の配合量である)
D:タルク(日本タルク社製、商品名「ミクロエースP-S」)
E:ステアリン酸カルシウム(日油社製、商品名「カルシウムステアレートS」)
(2)芯成分、鞘成分の樹脂
芯成分、核剤:表1
鞘成分:C
(3)引取速度:926m/分
(4)断面:同心円
(5)延伸方法:湿式(温水)、二段延伸
(6)油剤濃度:5質量%%
(7)乾燥温度:85℃
(8)カット長:51mm
Figure 2024032505000002
<接着性繊維2>
ポリプロピレン(融点:約160℃)が芯であり、高密度ポリエチレン(融点:約133℃)が鞘であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が65/35であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された、繊度1.6dtex、繊維長38mmである同心芯鞘型複合繊維(大和紡績(株)製のNBF(H)(商品名))
<接着性繊維3>
ポリエチレンテレフタレート(融点:約255℃)が芯であり、低融点ポリエチレンテレフタレート(融点:約110℃)が鞘であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が50/50であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された、繊度2.2dtex、繊維長51mmである同心芯鞘型複合繊維(東レ(株)製のサフメットT9611(商品名))
<非接着性繊維A>
繊度1.7dtex、繊維長40mmの繊維断面が菊花型であるビスコースレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製のCD(商品名))
<非接着性繊維B>
平均繊度2.5dtex(平均繊維径13.0m)、平均繊維長30mmであるコットン(丸三産業(株)製、MSD(商品名))
<非接着性繊維C>
繊度1.7dtex、繊維長38mmの繊維断面が円型である溶剤紡糸セルロース繊維(レンツィング社製、リヨセル(商品名))
<非接着性繊維D>
繊度1.45dtex、繊維長51mmの繊維断面が円型であるポリエチレンテレフタレート繊維(東レ(株)製、T403D(商品名))
<非接着性繊維E>
繊度1.0dtex、繊維長38mmの繊維断面が円型であるポリプロピレン繊維(大和紡績(株)製、PN(商品名))
<実施例1の不織布の製造>
(1)第1繊維層の作製
接着性繊維1を100質量%として、パラレルカード機を用いて、狙い目付約20g/mで第1繊維ウェブを作製した。
この第1繊維ウェブを、熱風貫通式熱処理機を用いて128℃(融点よりも13℃高い温度)で約5秒間加熱し、接着性繊維の鞘成分により繊維同士を熱接着(接着処理)した、第1繊維層となる熱接着不織布を得た。
(2)第2繊維層の作製
非接着性繊維Aを100質量%として、パラレルカード機を使用して、狙い目付約30g/mで第2繊維ウェブを作製した。
(3)積層不織布の作製
得られた第2繊維ウェブを第1繊維層の熱風を当てた表面側(エアー面側)の上に積層して積層繊維ウェブを得た。
経糸の線径が0.132mm、緯糸の線径が0.132mm、メッシュ数が90メッシュの平織りネット上に、上述の積層繊維ウェブを載置した。積層繊維ウェブを速度4m/minで進行させながら、積層繊維ウェブの第2繊維ウェブ側の表面に、水供給器を用いて、水圧3MPaの水流を1回噴射した。水供給器のノズルとして、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているものを用いた。積層繊維ウェブの表面とオリフィスとの距離は15mmであった。その後、積層繊維ウェブの第1繊維層側の表面に、同じ水供給器を用いて、水圧3MPaの水流を1回噴射した。
水流交絡処理後の積層繊維ウェブに、熱風貫通式熱処理機を用いて80℃で乾燥処理を施し、第1繊維層が第1表面を形成し、第2繊維層が第2表面を形成した実施例1の2層積層構造の不織布を得た。
<実施例2~6の不織布の製造>
第1繊維層に使用する接着性繊維の種類、熱風貫通式熱処理機の加工温度、第2繊維層に使用する非接着性繊維の種類を表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例2~6の不織布を得た。
Figure 2024032505000003
<実施例7~10の不織布の製造>
第1繊維層に使用する接着性繊維の種類、熱風貫通式熱処理機の加工温度、第2繊維層に使用する非接着性繊維の種類を表3に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例7~10の不織布を得た。
Figure 2024032505000004
<比較例1の不織布の製造>
(1)第1繊維層の作製
接着性繊維2を100質量%として、パラレルカード機を用いて、狙い目付約20g/mで第1繊維ウェブを作製した。
(2)第2繊維層の作製
非接着性繊維Aを100質量%として、パラレルカード機を使用して、狙い目付約30g/mで第2繊維ウェブを作製した。
(3)積層不織布の作製
得られた第2繊維ウェブを第1繊維ウェブの上に積層して積層繊維ウェブを得た。
経糸の線径が0.132mm、緯糸の線径が0.132mm、メッシュ数が90メッシュの平織りネット上に、上述の積層繊維ウェブを載置した。積層繊維ウェブを速度4m/minで進行させながら、積層繊維ウェブの第2繊維ウェブ側の表面に、水供給器を用いて、水圧3MPaの水流を1回噴射した。水供給器のノズルとして、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているものを用いた。積層繊維ウェブの表面とオリフィスとの距離は15mmであった。その後、積層繊維ウェブの第1繊維層側の表面に、同じ水供給器を用いて、水圧3MPaの水流を1回噴射した。
水流交絡処理後の積層繊維ウェブに、熱風貫通式熱処理機を用いて135℃で熱接着処理を施し、第1繊維層が第1表面を形成し、第2繊維層が第2表面を形成した比較例1の2層積層構造の不織布を得た。
<実施例11~13、比較例2の不織布の製造>
第1繊維層に使用する接着性繊維の種類、熱風貫通式熱処理機の加工温度、第2繊維層に使用する非接着性繊維の種類を表4に示すとおりとした以外は、比較例1と同様にして実施例11~13、比較例2の不織布を得た。
Figure 2024032505000005
<実施例14~16、比較例3~5の不織布の製造>
第1繊維層に使用する接着性繊維の種類、熱風貫通式熱処理機の加工温度、第2繊維層に使用する非接着性繊維の種類を表5に示すとおりとした以外は、比較例1と同様にして実施例14~16、比較例3~5の不織布を得た。
Figure 2024032505000006
得られた各実施例および各比較例の不織布について以下の評価を実施した。評価結果を表2~5に示す。また、評価方法は、以下に示す。
[評価方法]
(1)示差走査熱量測定(DSC)
JIS K 7121:1987に基づいて、示差走査熱量計((株)日立ハイテクサイエンス製)を使用し、以下の条件で行った。
試料となる繊維のサンプル量を3.0mgとし、秤量した後、試料ホルダーに充填した。次に、試料ホルダーに充填した繊維を、常温(23±2℃)から250℃まで、5℃/分の速度で昇温し(1回目の昇温過程)、1度目の融解時のDSC測定を行った。250℃に到達した後、10分間保持し、250℃から40℃まで、1℃/分の速度で降温し(降温過程)、溶融した試料を凝固させた。このとき、降温時のDSCを測定した。1回目の昇温工程及び降温工程が終わった後、試料をDSC測定機器から取り出さず、40℃で10分間保持した後、40℃から250℃まで、5℃/分の速度で再度昇温し(2回目の昇温過程)、2度目の融解時のDSC測定を行った。
(2)繊維物性
JIS L 1015:2021に準じ、単繊維繊度、単繊維強度、伸度及びヤング率を測定した。
(3)捲縮率
JIS L 1015:2021に準じて測定した。
(4)目付
不織布の目付を、JIS L 1913:2010 6.2に基づいて測定した。
(5)厚さ、厚さ変化率
厚さ測定機((株)大栄科学精器製作所製のTHICKNESS GAUGE モデル CR-60A(商品名))を用い、不織布に0.3kPa又は1.96kPaの荷重を加えた状態で、不織布の厚さ(0.3kPa荷重時厚さT0.3、1.96kPa荷重時厚さT1.96)を測定した。
厚さ変化率は、下記式で算出した。
厚さ変化率(%)=(T0.3-T1.96)×100/T1.96
(6)強伸度
強伸度は、JIS L 1913:2010 6.3に準じて測定した。定速緊張形引張試験機を用いて、試料片(不織布)の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で、引張試験を行った。切断時の荷重値(引張強さ)、伸び率、10%伸長時応力を測定した。引張試験は、不織布の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)を引張方向として実施した。評価結果は、いずれも3点の試料について測定した値の平均で示した。
(7)ヒートシール剥離強力
不織布をたて方向に長さ10cm、幅2.5cmにカットして試料を作製した。試料2枚をヒートシール層(第1繊維層)同士が向き合うように重ね合わせて、長さ方向の端から1.5cm付近の位置で、ヒートシール幅が0.5cmのヒートシール機(テスター産業株式会社製、TP-701-B ヒートシールテスター)を用いて接着して測定サンプルを作製した。
ヒートシール部分を上下方向に180°剥離するように定長引張試験機(株式会社テイ・エス エンジニアリング製、Auto COM/AC-100)に取り付け、つかみ間隔100mm、引張速度(ヘッドスピード)100mm/minで、ヒートシール部分を剥離したときの強度をN=5で測定した平均値を、ヒートシール剥離強力とした。
(8)剛軟度
JIS L 1913:2010の41.5°カンチレバー法に準じて測定した。
試料は、不織布と、ヒートシール後不織布として、上記(7)で作製したヒートシールサンプルの長さ方向の中央にヒートシールで接着して測定用ヒートシールサンプルを作製した。ヒートシール条件は、温度145℃、圧力0.2MPa、時間0.2秒で行った。
実施例1~16は、いずれもヒートシール剥離強力の数値範囲を満たしていた。また、強伸度(10%伸長時応力)においても高い値を示していた。その結果、物品を包装するときの取り扱い性が良好であり、袋状にするときの保形性、破れにくさも備えていた。さらに、実施例1~10は、第1繊維層と第2繊維層を積層する前に、第1繊維層を構成する第1繊維ウェブを接着させ、そのあと、交絡工程に付するので、いずれも表面交絡度の数値範囲を満たしていた。その結果、物品を包装したときも緩衝性が高く、軽い衝撃を与えても十分に保護されており、物品に傷が付くこともなかった。
一方、比較例1~5は、いずれも表面交絡度が数値範囲を外れていた。その結果、嵩も低く緩衝性が低いものであった。
また、実施例1~16は、第1表面においては、第2繊維層を構成する繊維は露出しておらず、第2表面においては、第1繊維層を構成する繊維は露出しておらず、第1繊維層と第2繊維層の界面近傍においては、各繊維層を構成する繊維が交絡していることが確認できた。
一方、比較例1~5は、第1表面および第2表面ともに、相対する繊維層を構成する繊維が存在していることが確認できた。
(態様1)
第1繊維層と、第2繊維層とを含み、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している積層不織布であって、
前記第1繊維層は、第1繊維層の総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
前記第2繊維層は、第2繊維層の総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含み、
前記第1繊維層においては、前記接着性繊維により繊維同士が接着しており、
前記第1繊維層と前記第2繊維層とは繊維同士の交絡により一体化しており、
下記(1)及び(2)の条件で測定されるヒートシール剥離強力が、少なくとも一つの範囲を満たす包装用不織布。
(1)ヒートシール温度130℃、圧力0.1MPa、ヒートシール時間0.2秒で測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
(2)ヒートシール温度がグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの融点~融点+3℃の範囲、圧力0.1~0.2MPaの範囲、ヒートシール時間0.2~0.4秒の範囲のいずれかで測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
(態様2)
前記積層不織布において、MD方向の10%伸長時応力が5.0N/5cm以上35.0N/5cm以下であり、CD方向の10%伸長時応力が0.7N/5cm以上8.0N/5cm以下である、態様1に記載の包装用不織布。
(態様3)
前記脂肪族ポリエステルは、ポリブチレンサクシネート及び/又はブチレンサクシネートの共重合体を含む、態様1に記載の包装用不織布。
(態様4)
前記非接着性繊維は、非熱可塑性繊維および前記接着性繊維を構成する成分のうち最も融点の低い樹脂よりも50℃以上高い融点を有する熱可塑性繊維から選ばれる少なくとも一つである、態様1に記載の包装用不織布。

(態様5)
前記非接着性繊維は、セルロース系繊維である、態様1に記載の包装用不織布。
(態様6)
前記積層不織布は、構成する繊維の50質量%以上が生分解性を有する繊維である、態様1に記載の包装用不織布。
(態様7)
前記複合繊維は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化温度が78℃以上であり、かつ、2回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が73.5mJ/mg以下である、態様1に記載の包装用不織布。
(態様8)
前記複合繊維は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、下記の少なくとも1つを満たす、態様1に記載の包装用不織布。
(1)1回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が68.0mJ/mg以下である。
(2)降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの結晶化熱量が59.5mJ/mg以下である。
(3)1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸のピーク高さと半値幅の比が11.0以下である。
(4)1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸の単位質量あたりの融解熱量が30.0mJ/mg以上である。
(態様9)
前記第2繊維層において、繊維同士が接着していない、態様1に記載の包装用不織布。
(態様10)
前記第1繊維層の目付が10g/m以上40g/m以下であり、前記第2繊維層の目付が10g/m以上40g/m以下である、態様1に記載の包装用不織布。
(態様11)
第1繊維層と、第2繊維層とを含む積層不織布であり、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している包装用不織布の製造方法であって、
前記第1繊維層を構成する第1繊維ウェブの総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
第1繊維ウェブを作製する工程、
前記第2繊維層を構成する第2繊維ウェブの総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含む第2繊維ウェブを作製する工程、
前記接着工程の後に前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを積層して積層繊維ウェブを得る積層工程、
前記積層繊維ウェブの前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブの繊維同士を交絡させて一体化する交絡工程、及び
下記(1)または(2)の方法による接着工程、
(1)前記交絡工程の後に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
(2)前記積層工程の前に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
を含む、包装用不織布の製造方法。
(態様12)
前記接着工程において、前記接着性繊維のグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルが溶融する温度以上、溶融する温度よりも15℃高い温度以下で熱処理される、態様11に記載の包装用不織布の製造方法。
(態様13)
前記接着工程が前記積層工程の前に行われ、前記交絡工程のあと、前記接着性繊維が溶融しない温度で乾燥処理を行う乾燥工程を含む、態様11に記載の包装用不織布の製造方法。
(態様14)
前記接着性繊維が、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分を準備する工程と、
前記第1成分及び前記第2成分を溶融紡糸して紡糸フィラメントを製造する工程と、
前記紡糸フィラメントを延伸して、前記第2成分が繊維表面の50%以上を占める複合繊維を得る工程を含み、
前記紡糸フィラメントを製造する工程において、前記第1成分を前記第2成分より低い温度で溶融紡糸し、
前記延伸工程において、延伸温度は55℃以上90℃以下であり、延伸倍率は1.4倍以上で製造される、態様11に記載の包装用不織布の製造方法。
(態様15)
態様1に記載の積層不織布を含む、包装材。
本実施形態の包装用不織布は、物品に対する衝撃保護性及び傷付き防止性が良好なので、電子機器、精密機器、ガラス製品、陶器類、金属製品等の強硬な物品、あるいは食品、生活資材、衛生資材、医療資材等の柔軟な物品等の包装材(緩衝材)に好適である。


Claims (15)

  1. 第1繊維層と、第2繊維層とを含み、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している積層不織布であって、
    前記第1繊維層は、第1繊維層の総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
    前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
    前記第2繊維層は、第2繊維層の総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含み、
    前記第1繊維層においては、前記接着性繊維により繊維同士が接着しており、
    前記第1繊維層と前記第2繊維層とは繊維同士の交絡により一体化しており、
    下記(1)及び(2)の条件で測定されるヒートシール剥離強力が、少なくとも一つの範囲を満たす、包装用不織布。
    (1)ヒートシール温度130℃、圧力0.1MPa、ヒートシール時間0.2秒で測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
    (2)ヒートシール温度がグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの融点~融点+3℃の範囲、圧力0.1~0.2MPaの範囲、ヒートシール時間0.2~0.4秒の範囲のいずれかで測定されるヒートシール剥離強力が7.0N以上
  2. 前記積層不織布において、MD方向の10%伸長時応力が5.0N/5cm以上35.0N/5cm以下であり、CD方向の10%伸長時応力が0.7N/5cm以上8.0N/5cm以下である、請求項1に記載の包装用不織布。
  3. 前記脂肪族ポリエステルは、ポリブチレンサクシネート及び/又はブチレンサクシネートの共重合体を含む、請求項1に記載の包装用不織布。
  4. 前記非接着性繊維は、非熱可塑性繊維および前記接着性繊維を構成する成分のうち最も融点の低い樹脂よりも30℃以上高い融点を有する熱可塑性繊維から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の包装用不織布。
  5. 前記非接着性繊維は、セルロース系繊維である、請求項1に記載の包装用不織布。
  6. 前記積層不織布は、構成する繊維の50質量%以上が生分解性を有する繊維である、請求項1に記載の包装用不織布。
  7. 前記複合繊維は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの結晶化温度が78℃以上であり、かつ、2回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が73.5mJ/mg以下である、請求項1に記載の包装用不織布。
  8. 前記複合繊維は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線において、下記の少なくとも1つを満たす、請求項7に記載の包装用不織布。
    (1)1回目の昇温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの融解熱量が68.0mJ/mg以下である。
    (2)降温過程におけるグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルの単位質量あたりの結晶化熱量が59.5mJ/mg以下である。
    (3)1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸のピーク高さと半値幅の比が11.0以下である。
    (4)1回目の昇温過程におけるポリL-乳酸の単位質量あたりの融解熱量が30.0mJ/mg以上である。
  9. 前記第2繊維層において、繊維同士が接着していない、請求項1に記載の包装用不織布
  10. 前記第1繊維層の目付が10g/m以上40g/m以下であり、前記第2繊維層の目付が10g/m以上40g/m以下である、請求項1に記載の包装用不織布。
  11. 第1繊維層と、第2繊維層とを含む積層不織布であり、第1繊維層が不織布の第1表面を形成し、第2繊維層が不織布の第2表面を形成している包装用不織布の製造方法であって、
    前記第1繊維層を構成する第1繊維ウェブの総質量を基準として接着性繊維を80質量%以上含み、
    前記接着性繊維は、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分であり、前記第2成分は繊維表面の50%以上を占めている複合繊維であり、
    第1繊維ウェブを作製する工程、
    前記第2繊維層を構成する第2繊維ウェブの総質量を基準として非接着性繊維を80質量%以上含む第2繊維ウェブを作製する工程、
    前記接着工程の後に前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを積層して積層繊維ウェブを得る積層工程、
    前記積層繊維ウェブの前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブの繊維同士を交絡させて一体化する交絡工程、及び
    下記(1)または(2)の方法による接着工程、
    (1)前記交絡工程の後に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
    (2)前記積層工程の前に、前記接着性繊維により前記第1繊維ウェブの繊維同士を接着させる
    を含む、包装用不織布の製造方法。
  12. 前記接着工程において、前記接着性繊維のグリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルが溶融する温度以上、溶融する温度よりも15℃高い温度以下で熱処理される、請求項11に記載の包装用不織布の製造方法。
  13. 前記接着工程が前記積層工程の前に行われ、前記交絡工程のあと、前記接着性繊維が溶融しない温度で乾燥処理を行う乾燥工程を含む、請求項11に記載の包装用不織布の製造方法。
  14. 前記接着性繊維が、光学純度が95%以上のポリL-乳酸を70質量%以上含む第1成分と、グリコールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステルを70質量%以上含む第2成分を準備する工程と、
    前記第1成分及び前記第2成分を溶融紡糸して紡糸フィラメントを製造する工程と、
    前記紡糸フィラメントを延伸して、前記第2成分が繊維表面の50%以上を占める複合繊維を得る工程を含み、
    前記紡糸フィラメントを製造する工程において、前記第1成分を前記第2成分より低い温度で溶融紡糸し、
    前記延伸工程において、延伸温度は55℃以上90℃以下であり、延伸倍率は1.4倍以上で製造される、請求項11に記載の包装用不織布の製造方法。
  15. 請求項1に記載の積層不織布を含む、包装材。
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