JP2024031798A - 柿果実の軟化抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】柿果実の軟化抑制方法及び軟化抑制剤の提供。【解決手段】柿果実にクエン酸又はその塩を接触させる工程を含む、柿果実の軟化抑制方法。【選択図】なし

Description

本発明は、柿果実の軟化抑制方法及び軟化抑制剤に関する。
柿は、カキノキ科(Ebenaceae)カキ属(Diospyros)の果樹で、日本各地で栽培されている。近年、販路開拓として、安価で大量輸送可能な海上輸送による柿果実の海外輸出が模索されている。
柿果実は、収穫後、早期に軟化する。早期軟化の一因として、果実へた部から生成するエチレンによる細胞壁修飾酵素の活性化が明らかにされている(非特許文献1)。収穫後の軟化抑制技術として、鮮度保持フィルムや低透湿ダンボールによる乾燥防止がある。また、エチレン阻害剤である1-メチルシクロプロペン(1-MCP)処理により、鮮度保持、軟化抑制効果が得られることが知られている。
青果物の品質保持には低温管理が最も効果的な方法であり、現今では低温流通技術システム(コールドチェーン)が発達し、海外への長期かつ長距離輸送もコールドチェーンによる輸送が行われている。しかし、長期低温貯蔵中及び低温貯蔵後の低温障害による軟化発生が問題とされる。低温障害は、生体膜脂肪酸の相転移に伴う膜構造の変化、透過性の増大、膜酵素の変化、呼吸代謝の異常、低温ストレスによって発生した活性酸素種による生体膜や酵素タンパク質の異常等により発生すると云われ、低温障害による果実の軟化は、常温軟化とは異なるメカニズムの発生機構が存在する。例えば、前記1-MCP処理は、低温障害を軽減するものの、果実軟化発生は十分に抑えられないことが報告されている。
一方で、柿果実に対して、1-MCP処理とシュウ酸処理を組み合わせて行うと、低温貯蔵後の果実硬度の低下を遅らせることが報告されている(非特許文献2)。
しかしながら、シュウ酸は、我が国において食品添加物として用いられているが、毒性が強いため食品に残存することは許されない化合物であり、前記非特許文献2における軟化抑制技術をそのまま適用することは難しい。
Bull. Natl. Inst. Fruit Tree Sci. 2007, 6, 11-22 Postharvest Biology and Technology, 2018, 137, 134
本発明は、柿果実の軟化抑制方法及び軟化抑制剤を提供することに関する。
本発明者は、柿果実の低温障害による軟化抑制技術について種々検討したところ、柿果実に対してクエン酸を接触させる処理を行うと、低温保存後の軟化を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~2)に係るものである。
1)柿果実にクエン酸又はその塩を接触させる工程を含む、柿果実の軟化抑制方法。
2)クエン酸又はその塩を有効成分とする柿果実の軟化抑制剤。
本発明によれば、低温保存後の柿果実の軟化を抑制することができる。これにより、長期・長距離輸送後も柿果実の品質を保持することができる。
本発明の柿果実の軟化抑制方法は、柿果実にクエン酸又はその塩を接触させる工程を含む。
本発明において柿(柿の木、Diospyros kaki Thunb.)は、カキノキ科(Ebenaceae)カキ属(Diospyros)の果樹である。柿の品種には、平核無、刀根早生、中谷早生、太天、甲州百目、蜂屋、富士、愛宕、大和等の渋柿;西村早生、筆等の不完全甘柿;次郎、富有、太秋、早秋等の甘柿がある。本発明においてはいずれの品種も用いることができるが、刀根早生、平核無を用いるのが好ましい。
柿果実は、収穫後、収穫果実の熟期抑制の観点から、1-メチルシクロプロペン(1-MCP)処理を行ったものを用いることが好ましい。1-MCP処理は、例えば、密閉条件下、最大濃度1ppmの1-MCPに12~24時間柿果実を暴露させればよい。なお、1-MCP処理は、市販製品のスマートフレッシュくん蒸剤(アグロフレッシュ・ジャパン合同会社より入手可)を用いて実施するのが一般的である。
また、柿が渋柿の場合は、脱渋処理を行ってもよい。脱渋処理としては、炭酸脱渋処理、アルコール脱渋処理等の公知の方法が挙げられる。1-MCP処理と脱渋処理を同時に行ってもよい。
クエン酸の塩としては、例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。クエン酸又はその塩は溶媒和物(例えば、水和物等)であっても無溶媒和物であってもよく、いずれも包含される。本発明において、好ましくはクエン酸又はそのナトリウム塩である。
柿果実とクエン酸又はその塩との接触は、柿果実にクエン酸を供給できればその手段は問わず、例えば、クエン酸又はその塩の水溶液に柿果実を浸漬する、柿果実にクエン酸又はその塩の水溶液を噴霧する、ハケなどを使用して柿果実にクエン酸又はその塩の水溶液を塗布する等が挙げられる。当該接触は、常圧下、減圧下、加圧下のいずれでもよいが、操作性の観点から、好ましくは常圧下である。
クエン酸又はその塩の水溶液の濃度は、効果発現必要量と処理の操作性の観点から、好ましくは0.1~59w/v%、より好ましくは、0.5~5w/v%、さらに好ましくは1.5~5w/v%である。
クエン酸又はその塩の水溶液の使用量は、柿果実に対して、好ましくは1~20倍量(質量基準、以下同じ)、さらに好ましくは、2~5倍量である。なお、例えばクエン酸又はその塩の水溶液に柿果実を浸漬する場合には、一度浸漬に使用した水溶液を、連続的に次の柿果実などに再利用することもできる。
柿果実とクエン酸又はその塩とを接触させる際の温度は、効果発現と処理の操作性の観点から、好ましくは5~70℃、さらに好ましくは、10~50℃、最も好ましくは、20~50℃である。
柿果実とクエン酸又はその塩との接触時間は、効果発現と処理の操作性の観点から、好ましくは5~120分、さらに好ましくは、5~60分、最も好ましくは、15~45分である。
本工程においては、更に、柿果実にキトサン及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を接触させる工程を含むことが好ましい。柿果実に対し、クエン酸に加えてキトサン及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を接触させることにより一層低温保存後の軟化を抑制することができる。
柿果実に、クエン酸又はその塩、キトサン、界面活性剤を接触させる順序は特に限定されず、任意の順序で接触させることができる。効率性の観点から、クエン酸又はその塩と、キトサン及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種とを予め混合した後、これを柿果実に接触させることが好ましい。
なお、斯かる態様の発明において、接触方法、温度、時間等は上記したのと同様である。
キトサン(β-1,4-poly-D-glucosamine)は、キチン(β-1,4-poly-N-acetyl-D-glucosamine)の脱アセチル化物であり、例えば、キチンを高温でアルカリ処理することにより製造することができる。キトサンは、更に酸や酵素で加水分解した低分子キトサン、キトサンオリゴ糖等であってもよい。キトサンの由来は、特に限定されず、動物(エビ、カニ、昆虫等)由来のもの、植物由来のもの等いずれも用いることができる。
キトサンの脱アセチル化度は、好ましくは80mоl%以上である。なお、キトサンの脱アセチル化度は、コロイド滴定法により測定することができる。
柿果実との接触に用いられるキトサンの水溶液の濃度は、好ましくは0.1~10w/v%、さらに好ましくは、0.5~2w/v%である。
また、キトサンの水溶液の使用量は、柿果実に対して、好ましくは1~20倍量、さらに好ましくは、2~5倍量である。
界面活性剤は、イオン性界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、バイオサーファクタント等が挙げられる。界面活性剤は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
界面活性剤は、食品への利用性の観点から、アニオン界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アニオン界面活性剤は、親水性部位として負電荷の親水基を有する。このような親水基としては、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、エトキシ硫酸エステル塩、エトキシ酢酸エステル塩、リン酸エステル塩等が挙げられる。
具体的には、脂肪酸塩(オレイン酸カリウム石けん、ヒマシ油カリウム石けん等)、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルアルキルタウリン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は電荷のない親水基を有する。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン鎖を有するもの;ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ブチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤のHLBは、好ましくは1~17、さらに好ましくは、4~14である。ここで、HLB(親水性-親油性のバランス、Hydrophile―lipophile balance)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものである。HLBは、グリフィン(Griffin)の式により求められる。
アニオン界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のうち、効果発現の観点から、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びヒマシ油カリウム石鹸から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、ソルビタン脂肪酸エステルを含有することがより好ましい。界面活性剤中のソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、効果発現の観点から、好ましくは20~100質量%、さらに好ましくは50~90質量%である。
界面活性剤は、予め、溶解又は分散用の溶剤と混合して使用してもよい。当該溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤(エタノール、1-ブタノール、イソブタノール等)、炭化水素系溶剤(軽質流動イソパラフィン等)等が挙げられる。
界面活性剤を溶剤に溶解又は分散させた場合の混合液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは1~90w/w%、さらに好ましくは、4~71w/w%である。
柿果実との接触に用いられる界面活性剤溶液の濃度は、好ましくは0.001~1w/v%、さらに好ましくは、0.01~0.1w/v%である。
また、界面活性剤溶液の使用量は、柿果実に対して、好ましくは1~20倍量、さらに好ましくは、2~5倍量である。
接触工程後は、必要に応じて拭き取り、水洗、脱水、乾燥等を行い、低温保存する。なお、クエン酸は安全性が高いため、必ずしも洗浄する必要はない。
柿果実の低温保存時の温度は、好ましくは0~10℃、最も好ましくは、0℃である。
柿果実の低温保存時の湿度は、好ましくは70~99%である。
保存期間は、特に限定されないが、好ましくは10~45日、さらに好ましくは、14~30日である。
本発明において、柿果実の低温保存は、乾燥防止の観点から、鮮度保持フィルムや低透湿ダンボール内にて行うことが好ましい。
本発明の接触工程を経た柿果実は、後記実施例に示すとおり、低温保存中に軟化発生は見られず、また、低温保存後、室温下に保持しても軟化が抑制される。従って、クエン酸又はその塩、更にクエン酸又はその塩と、キトサン及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種との組み合わせは、柿果実の低温障害による軟化を抑制するための軟化抑制剤として有用である。
実施例1~3及び比較例1
園芸学研究 20(4):455-461.2021に記載の方法を参考に以下の試験を行った。
(1)柿果実
柿果実は、露地栽培の和歌山県産刀根早生(2021年10月4日に収穫)の果実を収穫後7日目に入手した。柿果実は、収穫後、当日に炭酸脱渋処理[CO2濃度95%以上、25℃、16時間]及び1-メチルシクロプロペン処理[濃度1ppm、製品名:スマートフレッシュくん蒸剤、アグロフレッシュ・ジャパン合同会社より入手]を同時実施し、その後通常段ボールに箱詰めした。これを収穫後7日目の入手日まで常温で保管した。
入手日に後述する硬度計にて硬度測定した結果、2.4~3.2kg(kg/cm2)であった。これを、各処理群4-7個に分け、下記に示すそれぞれの剤処理を行った。
(2)柿果実の剤処理
比較例1
入手した柿果実をそのまま保存した。
実施例1
処理液としてクエン酸60gを溶解した2w/v%クエン酸水溶液3Lを用意し、これに入手した柿果実4-7個を全体が浸かるように、室温下30分間浸漬した。その後、クエン酸水溶液より取り出し、キムワイプで水分をふき取った。
実施例2
処理液としてクエン酸30g及びキトサン(製品名:キトサン10、富士フィルム和光純薬より入手)30gを溶解したクエン酸1w/v%+キトサン水溶液3Lを用意した他は、実施例1と同様の処理を行った。
実施例3
処理液としてクエン酸30g及びソルビタン脂肪酸エステル含有組成物(製品名:スカッシュ、丸和バイオケミカルより入手)3mLを溶解したクエン酸1w/v%+スカッシュ水溶液3Lを用意した他は、実施例1と同様の処理を行った。
(3)梱包・保存
梱包用防湿段ボール(レンゴー社製)に、処理した柿果実をヘタが下向きになるように1段積みで入れた。これを冷蔵庫内に段ボール2列4段積みで入れたタイミングを保存0日とし、保存30日まで冷蔵保存した。保存期間中の段ボール内の温湿度データは超小型温湿度ロガー(ハイグロクロン、KNラボラトリーズ)を用いて取得した。これによると保存時の温度は2-3℃、湿度は82-85%であった。
その後、室温下で段ボールを開封し半日放置した後、再び段ボールを密封して3℃で5日間保存(保存30‐34日)した。最後に、段ボールを開封して室温下で1週間保存(保存35‐42日)した。
(4)保存後の品質評価
4-1)硬度測定1(触感調査)
触感調査による硬度測定は、保存30、35、36、37、38、39、42日の計7回行った。
触感調査による軟化の判定は以下の通りとした。
[触感調査]
I:十分に硬い。
II:全体にかなり軟らかくなるがしっかりしている。
III:指で押すと崩壊しそうになる、または果肉の一部が水浸状になる。
IV:非常に軟弱となる、または果皮の一部が破裂している。
このうちIII、IVに至った果実を軟化と判定し、軟化率(軟化した果実数/全体の果実数×100)(%)を算出した。
4-2)硬度測定2(硬度計による硬度測定)
硬度計での硬度測定は、保存39日のタイミングで実施した。果実硬度計(MK型、藤原製作所)を用い、各処理群から軟化の程度が平均的な柿の果実1つにつき、赤道面3か所の測定を行い、平均値をもって測定値とした。
結果を表1に示す。
Figure 2024031798000001
表1に示すとおり、保存35日迄の低温保存中はいずれの例でも軟化果実の発生は見られなかったが、比較例1では低温から室温に戻した保存36日から果実が軟化し、保存37日には軟化率は100%に達した。これに対して、実施例1では、保存37日に軟化果実の発生が見られたが、保存39日目でも軟化率33%にとどまった。特に、実施例2及び3では、保存39日迄軟化果実の発生は見られず、比較例1と比べて、室温下で5日以上軟化を抑制することが確認された。保存39日の柿果実の硬度についても、実施例1では比較例1と同等の硬度であったが、実施例2及び3では比較例1と比べて高かった。
実施例4~5及び比較例2
(1)柿果実
柿は、露地栽培の和歌山県産刀根早生(2022年9月30日に収穫後、10月1日より炭酸脱渋処理[CO2濃度95%以上、25℃、16時間]及び1-メチルシクロプロペン処理[濃度1ppm、製品名:スマートフレッシュくん蒸剤、アグロフレッシュ・ジャパン合同会社より入手]を同時実施した果実(平均約180g))を収穫後5日目に入手した。
入手日に1個選択し、前述した硬度計にて硬度測定した結果、2.82kg(kg/cm2)であった。硬度測定した個体は除き、これ以外の個体を、各処理群5個ずつに分け、下記に示すそれぞれの剤処理を行った。
(2)柿果実の剤処理
比較例2
入手した柿果実をそのまま保存した。
実施例4
処理液としてクエン酸30gを溶解した1w/v%クエン酸水溶液3Lを用意し、これに入手した柿5個を全体が浸かるように、室温下30分間浸漬した。その後、クエン酸水溶液より取り出し、キムワイプで水分をふき取った。
実施例5
処理液としてクエン酸三ナトリウム二水和物30gを溶解した1w/v%クエン酸三ナトリウム水溶液3Lを用意した他は、実施例4と同様の処理を行った。
(3)梱包・保存
梱包用防湿段ボール(レンゴー社製)に、処理した柿果実をヘタが下向きになるように2段積みで入れた。これを冷蔵庫内に入れたタイミングを保存0日とし、保存29日まで冷蔵保存した。保存期間中の段ボール内の温湿度データは超小型温湿度ロガー(ハイグロクロン、KNラボラトリーズ)を用いて取得した。これによると保存時の温度は-1-3℃、湿度は70-90%であった。
その後、室温下で段ボールを開封し6時間放置した後、再び段ボールを密封して3℃で5日間保存(保存29‐33日)した。最後に、段ボールを開封して室温下で1週間保存(保存34‐41日)した。
(4)保存後の品質評価
4-1)硬度測定1(触感調査)
触感調査による硬度測定は、保存29、34、35、36、37、38、41日の計7回行った。
触感調査による軟化の判定は実施例1と同様に行なった。
なお、軟化率は、29、34、35、36、37日目は、N=5の結果、硬度測定2の後の38、41日目は、N=4の結果となっている。
4-2)硬度測定2(硬度計による硬度測定)
硬度計での硬度測定は、保存37日のタイミングで実施した。硬度測定は実施例1と同様に行なった。
結果を表2に示す。
Figure 2024031798000002
表2に示すとおり、保存29日迄の低温保存中はいずれの例でも軟化果実の発生は見られなかったが、比較例2では低温から室温に戻した後の保存36日には軟化率は80%に達した。これに対して、実施例4及び5では、保存36日の軟化率は40%にとどまった。また、保存37日の柿果実の硬度についても、実施例4及び5では比較例2と比べて高かった。

Claims (7)

  1. 柿果実にクエン酸又はその塩を接触させる工程を含む、柿果実の軟化抑制方法。
  2. 0.1~59w/v%のクエン酸又はその塩の水溶液を、柿果実に対して質量基準で1~20倍量接触させる請求項1記載の柿果実の軟化抑制方法。
  3. 更に、柿果実にキトサン及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を接触させる工程を含む、請求項1又は2記載の柿果実の軟化抑制方法。
  4. 0.1~10w/v%のキトサンの水溶液を、柿果実に対して質量基準で1~20倍量接触させるか、及び/又は、0.001~1w/v%の界面活性剤溶液を、柿果実に対して質量基準で1~20倍量接触させる請求項3記載の柿果実の軟化抑制方法。
  5. 界面活性剤がアニオン界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である請求項3又は4記載の柿果実の軟化抑制方法。
  6. 界面活性剤がソルビタン脂肪酸エステルを含有する請求項3又は4記載の柿果実の軟化抑制方法。
  7. クエン酸又はその塩を有効成分とする柿果実の軟化抑制剤。
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