JP2024030655A - リンパ球性下垂体前葉炎及び副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査のための試薬及び検査方法 - Google Patents

リンパ球性下垂体前葉炎及び副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査のための試薬及び検査方法 Download PDF

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敦詞 鈴木
治樹 藤沢
尚子 岩田
崇 渡辺
弘三 貝淵
朋生 西岡
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Abstract

【課題】リンパ球性下垂体前葉炎及び副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査のための試薬及び検査方法等に関する。【解決手段】本開示は、抗GATA2抗体と免疫学的に結合するペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、抗GATA2抗体を検出するための試薬を提供する。【選択図】なし

Description

本明細書は、リンパ球性下垂体前葉炎及び副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査のための試薬及び検査方法等に関する。
病因が明らかでない下垂体機能障害の一つに自己免疫性視床下部下垂体炎があり、その代表的疾患としてリンパ球性下垂体炎がある。リンパ球性下垂体炎は、その病変部位によって、リンパ球性下垂体前葉炎(lymphocytic adenohypophysitics、LAH)、リンパ球性漏斗下垂体後葉炎(lymphocytic infundibulo-neurohypophysitics、LINH)及びリンパ球性汎下垂体炎(lymphocytic panhypophysitis、LPH)がある。
LAHは、下垂体前葉に炎症病変が限局し、副腎皮質刺激ホルモン(adrenocortictropic hormone、ACTH)などの下垂体前葉ホルモンの分泌が低下又は喪失する疾患である。LINHは、漏斗部および後葉に炎症が限局し、中枢性尿崩症を呈する疾患である。さらに、LPHは、下垂体全体に炎症をきたし、LAHとLINHの両者の臨床的特徴を呈する疾患である。
LAHなどのリンパ球性下垂体炎は、臨床症状が下垂体腫瘍ほか、全身性疾患による下垂体病変と類似しているという特徴がある。そこで、リンパ球性下垂体炎の確定診断には、MRI画像の取得、下垂体組織の生検、さらには、ステロイドを投与した上での経過観察などが行われている。
リンパ球性下垂体炎のうち、LINHについては、特定の自己抗体が疾患のマーカーとなることを本発明者らが既に報告している(特許文献1)。また、LAHの類縁疾患である副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)単独欠損症(isolated ACTH deficiency、IAD)を判別するマーカーを既に報告している(特許文献2)。
特許第5924502号公報 特開2016-206072号公報
しかしながら、こうしたマーカー、すなわち、自己抗体を検出するのにあたって、これまで、自己抗体と結合する抗原であるタンパク質自体を検出用試薬として用いていた。タンパク質自体を試薬として取り扱うため、製造コスト等が課題となっていた。
本明細書は、リンパ球性下垂体前葉炎(LAH)及びその類縁疾患である副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症(IAD)のより低侵襲的かつ実用的な検査に貢献できる技術を提供する。
本発明者らは、LAH罹患ヒト個体からの試料につき、プロテオミクス解析を行った結果、600個を超えるタンパク質を同定するとともに、50個の自己抗原となるタンパク質候補を同定した。さらに、IAD罹患ヒト個体についても同様の解析を行って131個の自己抗原となるタンパク質候補を同定した。本発明者らは、これらのタンパク質候補につき、詳細な解析を行ったところ、IAD罹患可能性に関連付けられるマーカーとなる自己抗体を同定することができた。さらに、当該自己抗体のエピトープを同定することができた。本明細書は、かかる知見に基づき以下の手段を提供する。
[1]抗GATA2抗体と免疫学的に結合するペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、抗GATA2抗体を検出するための試薬。
[2]前記アミノ酸配列は、QNRPLIKである、[1]に記載の試薬。
[3]前記アミノ酸配列は、QNRPLIKPKである、[1]に記載の試薬。
[4]前記ペプチドは標識を備える、[1]~[3]のいずれかに記載の試薬。
[5]ELISA用である、[1]~[4]のいずれかに記載の試薬。
[6]リンパ球性下垂体前葉炎又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症を検査するための試薬である、[1]~[5]のいずれかに記載の試薬。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の試薬を含む、抗GATA2抗体の検出キット。
[8]リンパ球性下垂体前葉炎又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査用である、[7]記載のキット。
[9][1]~[6]のいずれかに記載の試薬が固定化された固相担体を備える、抗GATA2抗体の検出キット。
[10]リンパ球性下垂体前葉炎又は下副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査用である、[9]記載の検出キット。
[11]抗GATA2抗体を含む可能性のある被験試料と、[1]~[6]のいずれかに記載の試薬と、を接触させて、抗原抗体反応を生じさせることと、
前記抗原抗体反応による複合体を検出することと、
を含む、リンパ球性下垂体前葉炎又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症を検査するための方法。
[12]抗GATA2抗体と免疫学的に結合するペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、抗GATA2抗体の回収剤。
GATA2の全長タンパク質の15AAオーバーラップペプチドのアレイとLAH患者、IAD患者及び健常者の各血清と応答性を対比する図である。
本明細書の開示は、抗GATA2抗体と免疫学的に結合するペプチドを含む、抗GATA2抗体を検出するための試薬とその利用に関する。抗GATA2抗体は、LAH及びIADのマーカーとなる自己抗体である。
本明細書に開示の一実施形態である試薬は、抗GATA2抗体の存在を指標として、LAHの罹患可能性又はIADの罹患可能性の有無について評価する試薬である。この試薬により、抗GATA2抗体の存在又は抗GATA2抗体が所定量以上であることが肯定できるとき、被験試料が由来する患者について、少なくともこれらのいずれかの疾患の罹患可能性を肯定することができる。この試薬により、抗GATA2抗体の存在又は抗GATA2抗体が所定量以上であることが否定できるとき、被験試料が由来する患者について、これらのいずれの疾患の罹患可能性を否定することができる。
本明細書に開示される試薬は、特定のエピトープ配列と抗GATA2抗体との抗原抗体反応によって生じる免疫学的な結合に基づいている。このため、抗GATA2抗体や、抗GATA2抗体の検出に関連付けられるLAH又はIADを従来に比して容易にかつ確実に診断する診断に貢献できる。
なお、本明細書に開示される技術は、単独で、LAH又はIADを診断するものではなく、診断のために有用な情報を提供するものである。本明細書に開示される技術が、LAH及びIADの診断に関する医学上の知見に基づく観察や検査に組み合わされることにより、これらの疾患について診断がなされるというものである。
また、本明細書において、LAHの罹患可能性とは、個体からの試料採取時点におけるLAHに罹患している可能性を意味しており、将来的にLAHに罹患する可能性や罹患の予兆を意味するものではない。IAD罹患可能性についても同様である。
また、本明細書に開示される技術は、典型的にはヒトを対象としている。また、被験試料としては、ヒトから採取される試料であって、抗GATA2抗体の存否等を検出することができるものであればよい。被験試料の採取にあたっての侵襲性は特に限定するものではないが、非侵襲的又は低侵襲的に採取される試料であることが好ましい。被験試料は、典型的には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、尿、涙液、唾液等が挙げられる。被験試料は、また、ヒトなどから採取される細胞、組織等が挙げられる。こうした細胞又は組織は、例えば、個体の視床下部、下垂体全体、又はその一部であって、例えば、下垂体前葉、下垂体後葉及び視床下部漏斗部などが挙げられる。
以下、本明細書に開示される種々の実施形態について説明する。
<抗GATA2抗体を検出するための試薬>
本明細書に開示される抗GATA2抗体を検出するための試薬(以下、単に、試薬ともいう。)は、GATA2抗体と結合するペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含むペプチドを備えている。以下の説明においては、抗GATA2抗体の存在に関連付けられるLAH及びIADを検査するための試薬を例示して説明する。
<リンパ球性下垂体前葉炎(LAH)又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症(IAD)を検査するための試薬>
GATA2(Endothelial transcription factor GATA-2)タンパク質は、ジンクフィンガー転写因子のGATAファミリーのメンバーであり、このタンパク質は、造血および内分泌細胞系統の発達と増殖に関与する遺伝子の転写を調節する上で重要な役割を果たしているとされている。このタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1で表され、アミノ酸480個(480AA)からなる。
なお、配列番号1で表されるアミノ酸配列は、以下のとおりである。
配列番号1:MEVAPEQPRWMAHPAVLNAQHPDSHHPGLAHNYMEPAQLLPPDEVDVFFNHLDSQGNPYYANPAHARARVSYSPAHARLTGGQMCRPHLLHSPGLPWLDGGKAALSAAAAHHHNPWTVSPFSKTPLHPSAAGGPGGPLSVYPGAGGGSGGGSGSSVASLTPTAAHSGSHLFGFPPTPPKEVSPDPSTTGAASPASSSAGGSAARGEDKDGVKYQVSLTESMKMESGSPLRPGLATMGTQPATHHPIPTYPSYVPAAAHDYSSGLFHPGGFLGGPASSFTPKQRSKARSCSEGRECVNCGATATPLWRRDGTGHYLCNACGLYHKMNGQNRPLIKPKRRLSAARRAGTCCANCQTTTTTLWRRNANGDPVCNACGLYYKLHNVNRPLTMKKEGIQTRNRKMSNKSKKSKKGAECFEELSKCMQEKSSPFSAAALAGHMAPVGHLPPFSHSGHILPTPTPIHPSSSLSFGHPHPSSMVTAMG
エピトープ配列は、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目(QNRPLIKPK)のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなる。エピトープ配列は、また例えば、少なくとも連続する7アミノ酸残基からなり、また例えば、少なくとも連続する8アミノ酸残基からなり、また例えば、少なくとも連続する8アミノ酸残基からなり、また例えば、連続する9アミノ酸残基からなる。エピトープ配列は、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第328番目~第333番目のアミノ酸(6AA)に相当するQNRPLIであり、同第329番目~第334番目のアミノ酸(6AA)に相当するNRPLIKであり、同第328番目~第334番目のアミノ酸(7AA)に相当するQNRPLIKであり、同330番目~335番目のアミノ酸に相当するRPLIKPKであり、同第328番目~第335番目のアミノ酸残基(8AA)に相当するQNRPLIKP(8AA)であり、同第328番目~第336番目のアミノ酸(9AA)に相当するQNRPLIKPK(9AA)である。
エピトープ配列は、後述する実施例に開示するように、GATA2タンパク質のN末端から順に全長GATA2について、15AAのペプチドに変換し、このペプチドを固相担体に固定化したペプチドマイクロアレイを用いて、LAH2症例、IAD1症例、および健常者2例の血清との抗原抗体反応による解析によって取得した。
ペプチドが有するエピトープ配列は、抗GATA2抗体によって特異的に認識され、抗原抗体反応により複合体を形成する。ペプチド-抗GATA2複合体を検出することにより、抗GATA2抗体の存在を検出することができる。抗GATA2抗体の存在は、LAH罹患可能性及びIAD罹患可能性を肯定する指標となる。このため、ペプチドを検出剤(プローブ)として用いることで、LAH罹患可能性を肯定し、同時にIAD罹患可能性を肯定することができる。IADはLAHの類縁疾患であり、このエピトープ配列を有するペプチドを用いることにより、LAH又はIADの罹患可能性を肯定又は否定することができるようになる。また、この結果、リンパ球性下垂体炎に包含される他の疾患であるLINHやLPHの罹患可能性を把握することができる。
試薬が備えるペプチドは、かかるエピトープ配列を有していればよく、その長さ及び他のペプチド又はタンパク質、さらには、各種標識などと複合化されていてもよい。
ペプチドは、線状ペプチドであっても、環状ペプチドであってもよいが、好ましくは、線状ペプチドである。また、ペプチドは、エピトープ配列のみから構成されていてよいが、また、エピトープ配列のN末端及び/又はC末端に追加のアミノ酸又はペプチドを備えていてもよい。かかるアミノ酸又はペプチドとしては、例えば、N末端側に付加されるアミノ酸又はペプチドとしては、配列番号1で表されるアミノ酸配列においてエピトープ配列のN末端側に存在する1~20個であってもよい。また、配列番号1で表されるアミノ酸配列においてエピトープ配列のC末端側に相当するの1~20個であってもよい。こうしたペプチドのアミノ酸残基数は、例えば7A以上50AA以下であり、また例えば、9AA以上40AA以下であり、また例えば、10AA以上30AA以下であり、また例えば、10AA以上20AA以下である。
ペプチドは、また、GATA2タンパク質以外の他のペプチドまた例えばタンパク質を備えていてもよい。他のペプチド又はタンパク質は、例えば、GFPやRFPなどの蛍光標識、のほか、他の標識された抗体によって識別される別の公知のタグ、ペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素標識、放射線標識等が挙げられる。
このようなペプチド及び標識されたペプチドは、従来公知の化学的又は遺伝子工学的手法により得ることができる。エピトープ配列が取得されたことにより、短鎖ペプチドによって試薬を構成できるため、無細胞タンパク質合成系などを用いて迅速かつ容易に試薬を取得することができるようになる。
エピトープ配列を有するペプチドを用いることで、エピトープ配列と免疫学的に特異的に結合する自己抗体である抗GATA2抗体との間で、抗原抗体反応によりペプチド-抗GATA2抗体複合体を形成することができる。この複合体を、ペプチドに複合化した標識や抗GATA2抗体に対する標識された抗ヒト抗体の当該標識などを用いた免疫学的手法により、抗GATA2抗体を検出することができる。
免疫学的手法としては、特に限定するものではないが、ラテックス凝集法、蛍光免疫測定法(FIA法)、酵素免疫測定法(EIA法)、放射免疫測定法(RIA法)、ウェスタンブロット法及び免疫沈降法(IP)を例示することができる。好ましい測定法としては、FIA法及びEIA法(ELISA法を含む)を挙げることができる。また、細胞や組織を試料とする場合には、免疫細胞化学的方法、免疫組織化学的方法、フローサイトメトリーなどを採用することができる。
例えば、ELIA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)法を用いる場合、ペプチドをマイクロプレートなどの固相に固定した固相体を準備する。この固相体に対して、例えば、患者から採取した血清の希釈液を供給して、抗原抗体反応により、抗原-抗体複合体を生成させる。予め自己抗体に結合する、例えば、抗ヒトIgG抗体にホースラディッシュペルオキシダーゼ(Horseradish Peroxidase;HRP)などの標識要素を備える二次抗体を供給し、自己抗体-二次抗体複合体を形成させる。その後、標識要素であるHRPの所定の基質を供給して、HRPによる酵素反応により生成する反応物の特定吸収波長を観察することにより、自己抗体を検出ないし定量をすることができる。
<リンパ球性下垂体前葉炎(LAH)を検査するためデバイス>
試薬は、また、固相担体に固定化されていてもよい。本明細書によれば、以上説明した試薬が固定化された固相担体を備える、リンパ球性下垂体前葉炎を検査するためデバイスも提供される。固相担体は特に限定されないで、公知の樹脂材料やガラス質材料などの各種材料で構成された任意の形態のものを適宜用いることができる。典型的には、チップ又はアレイなどの平板状体、多数個のウェルをマイクロプレートなどのウェルプレート状体、ビーズなどの球状体、又はファイバーないしフィルター状体又はストリップ状体などとすることができる。これらによれば、試薬を固定化した固相担体表面において抗原抗体反応により、抗GATA2抗体とペプチドとの複合体を形成可能である。キャピラリー現象により液体が移動可能なファイバー、フィルター又はストリップにおいては、イムノクロマトグラフィーが可能である。また、ペプチドを固定化したビーズ等が充填したカラムによっても、イムノクロマトグラフィーが可能である。
このようなマイクロプレート、アレイ、ストリップ、カラム、ビーズ等は、当業者であれば、周知の技術を用いて適宜作製することができる。ペプチドの固相担体への固定化についても疎水性相互作用又は共有結合などの公知の方法を適宜採用することができる。
<リンパ球性下垂体前葉炎を検査するためのキット>
本明細書によれば、以上説明した試薬を備える、LAHを検査するためのキットが提供される。このキットにおいて、試薬は、上記した各種の態様を採ることができる。試薬は、試薬自体のほか、固相担体に固定化したデバイスの態様を採ることができる。また、キットには、その他、抗原抗体反応及び複合体の検出に必要な公知の要素を適宜備えることができる。
例えば、キットには、試薬と抗GATA2抗体とが結合した複合体の抗GATA2抗体に結合する抗ヒト抗体(標識されていてもよい)などの二次抗体や、当該二次抗体を固定化したストリップなどの固相担体などが含まれていてもよい。
<リンパ球性下垂体前葉炎(LAH)又は副腎皮質刺激ホルモン欠損症(IAD)を検査するための方法>
本明細書に開示されるLAHを検査するための方法は、抗GATA2抗体を含む可能性のある被験試料と、試薬と、を接触させて、抗原抗体反応を生じさせることと、及び抗原抗体反応による複合体を検出することと、を含むことができる。
LAH検査方法において、試料中の自己抗体を指標として、LAH罹患可能性を評価する態様は特に限定するものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、抗GATA2抗体の存否を指標とすることができる。すなわち、試料中の抗GATA2抗体の存否を定性的に検出してもよい。抗GATA2抗体の存在を定性的に検出するとは、採用した自己抗体の検出方法において検出限界以上の濃度(含有量)であることを検出することを意味するが、検出限界は、一般的な自己抗体の存否の基準値や検査方法の目的や自己抗体の種類等によって適宜設定される。また、抗GATA2抗体の不存在を検出するとは、採用した自己抗体の検出方法において、既述の検出限界未満の濃度(含有量)であることを意味する。
また例えば、抗GATA2抗体の濃度を指標としてもよい。この場合、抗GATA2抗体の濃度に基づくシグナルの強度から半定量的に又は定量的に抗GATA2抗体濃度を検出してもよい。なお、適宜、濃度指標や標準曲線を準備する。
また例えば、自己抗体の濃度と予め定めた基準値との対比を指標としてもよい。この場合、自己抗体予め定めた基準値以上(超)であるか未満(以下)であるかなどを検出してもよい。なお、基準値は、LAH患者群など疾患の確定診断がついている患者群と健常者群とについての血中自己抗体濃度の測定値に基づいて適宜設定することができる。
この検査方法においては、既に説明した種々の態様の試薬を、抗原抗体反応に基づく種々の手法で用いて、抗GATA2抗体を検出し、ひいては、LAH又はAIDの罹患可能性について検査することができる。
本明細書によれば、抗GATA2抗体と免疫学的に結合するペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、抗GATA2抗体の回収剤が提供される。この回収剤によれば、抗GATA2抗体が含まれる可能性のある試料中の抗GATA2抗体を捕捉し、分離し、回収することができる。回収剤は、既述の試薬について各種態様で使用することができる。
以下、本明細書の開示をより具体的に説明するために具体例としての実施例を記載する。以下の実施例は、本明細書の開示を説明するためのものであって、その範囲を限定するものではない。
まず、GATA2の組換え完全長ヒトタンパク質を合成し、完全長ヒトタンパク質を7.5~10.00%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動し、PVDF膜に移し、それを各血清試料(1:50希釈)を用いた免疫ブロット法に供した。患者(LAH患者及びIAD患者それぞれ3名)及び健常者(2名)の血清を一次抗体、HRP標識された抗ヒトIgG抗体を二次抗体として、ウェスタンブロット法で抗原抗体反応を解析した。その結果、LAH及びIADの罹患可能性に関連付けられる自己抗体として、抗GATA2抗体が見出された。
(全長GATA2タンパク質の15AAペプチドアレイの作製)
GATA2遺伝子のアミノ酸配列(配列番号1)アミノ酸配列のN末端及びC末端に対してGSGSGSGリンカーをそれぞれ付与した配列のN末端から15AAづつ、14AAのAAが重複するオーバーラップペプチドをそれぞれ作製した。これらの合計480個のペプチドを、各2つ反復して、計960個のスポットからなるアレイを作製した。さらに、これらのペプチドアレイの周囲に、コントロールペプチドとしてのHAタグ(YPYDVPDYAG)を42スポット及びポリオタグ(KEVPALTAVETGAT)の42個のスポットを追加した。
<被験試料>
被験試料は、ヒト血清サンプル(患者No.1633、1038,1610及び健常人No.1193、1289)とした。患者No.1633、1038及び1610のうち、No. 1633及び1038が、LAHであり、No.1610がIADであると確定診断されている。
(使用バッファ>
洗浄バッファ:PBS(pH7.4)、0.05% Tween 20 を含む
(洗浄バッファによる洗浄は、各インキュベーション後に、10秒間の洗浄を3回行った)
ブロッキングバッファ:ロックランドブロッキングバッファMB-070
インキュベーションバッファ:10% ブロッキングバッファを含む洗浄バッファ
<アッセイ>
アレイをブロッキングバッファで30分間インキュベーション後、ブロッキングバッファを除去し洗浄バッファで洗浄した。ブロッキング処理後のアレイに対して、インキュベーションバッファで500倍に希釈した被験試料(血清)を供給して、4℃で16時間インキュベーションしつつ、140rpmで水平回転で振とうした。
インキュベーション後のアレイを、洗浄バッファで洗浄後、インキュベーションバッファ中でアレイに、二次抗体としてヤギ抗ヒト抗体であるIgG(Fc)抗体DyLight680(0.1μg/ml)を用いて室温で45分間染色した。同時に、コントロールとして、マウスモノクローナル抗体である抗-HA(12CA5)Dylight800(0.2μg/ml)を用いて室温で45分間染色した。
<検出>
患者由来の血清で処理したアレイ及び健常者由来の血清で処理したアレイのそれぞれにつきInnopsys InnoScan 710-IR マイクロアレイ スキャナーを用い、スキャン解像度は20μmとし、低レーザー出力(680nm、赤)時はゲイン50、高レーザー出力(800nm、緑)時はゲイン10でスキャンした。
GATA2全長についてのオーバーラップペプチドに対する5名の血清の蛍光強度を対比した結果を図1に示す。
図1に示すように、患者3名と健常者2名の応答性との対比から、患者3名においては、共通して、配列番号1で表されるアミノ酸配列の第328番目~第336番目のアミノ酸残基(9AA)に相当するQNRPLIKPKのうち、少なくとも連続する6AAがエピトープ配列として認定できることがわかった。例えば、詳細には、QNRPLI、QNRPLIK、RPLIKPK、NRPLIKPK、QNRPLIKPK等がエピトープ配列となりうることがわかった。

Claims (12)

  1. 抗GATA2抗体と免疫学的に結合するペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、抗GATA2抗体を検出するための試薬。
  2. 前記アミノ酸配列は、QNRPLIKである、請求項1に記載の試薬。
  3. 前記アミノ酸配列は、QNRPLIKPKである、請求項1に記載の試薬。
  4. 前記ペプチドは標識を備える、請求項1に記載の試薬。
  5. ELISA用である、請求項1~4のいずれかに記載の試薬。
  6. リンパ球性下垂体前葉炎又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症を検査するための試薬である、請求項1~4のいずれかに記載の試薬。
  7. 請求項1に記載の試薬を含む、抗GATA2抗体の検出キット。
  8. リンパ球性下垂体前葉炎又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査用である、請求項7に記載のキット。
  9. 請求項1~4のいずれかに記載の試薬が固定化された固相担体を備える、抗GATA2抗体の検出キット
  10. リンパ球性下垂体前葉炎又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症の検査用である、請求項9記載の検出キット。
  11. 抗GATA2抗体を含む可能性のある被験試料と、請求項1~4のいずれかに記載の試薬と、を接触させて、抗原抗体反応を生じさせることと、
    前記抗原抗体反応による複合体を検出することと、
    を含む、リンパ球性下垂体前葉炎又は副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症を検査するための方法。
  12. 抗GATA2抗体と免疫学的に結合するペプチドであって、配列番号1で表されるアミノ酸配列の328番目から336番目のうち少なくとも連続する6アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、抗GATA2抗体の回収剤。
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