JP2024030330A - 水中測位システム及び水中測位方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を精度よく測定することができる水中測位システムを提供する。【解決手段】音波を水中に発する送波器3と、音波を受波して第1の受信信号に変換する受波器Aと、受波器Aから間隔をあけて設けられ、音波を受波して第2の受信信号に変換する受波器Bと、第1及び第2の受信信号の各々と、音波と同一の波形を有する参照信号との相互相関関数をそれぞれ算出し、相互相関関数に基づいて送波器から受波器A及び受波器Bまでの音波の伝搬時間をそれぞれ求める相関計算部41と、伝搬時間に基づいて送波器と受波器A及び受波器Bとの距離をそれぞれ求めて送波器の位置を算出する位置計算部42と、を具備する。相関計算部は、相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、該時間位置に基づいて伝搬時間を算定する。【選択図】図1

Description

本発明は、水中測位システム及び水中測位方法に関する。
従来の水中測位システムは、音源(送波器)と測位装置に設けられた受波器との間の距離を音波の伝搬時間により測定し、複数箇所で測定した距離から音源の2次元又は3次元位置を特定するようになっている(例えば、非特許文献1、特許文献1、特許文献2参照)。
非特許文献1には、超音波を発する送波器を備えた測位対象物と受波器との距離を、音波の伝搬時間に基づいて測定して、得られた距離と測位対象物の3次元座標とを含む連立方程式の解を求めることにより、測位対象物の位置を測定する方法が開示されている。音波の伝搬時間の測定では、受波器の受信信号と送波器の送信信号のレプリカである参照信号との相互相関関数を計算し、相互相関関数の波形において振幅が最大値となる位置から音波の伝搬時間を求めている。
特許文献1には、水中の測位対象物から発せられた音響信号を複数の受波器で受信し、音響信号毎に相関関数演算を行い、この演算結果に基づいて異なる2個の受波器で受波した音響信号の到達時間差を求める方法が開示されている。特許文献1では、基本波とノイズの強度関係が逆転しているときに到達時間差に比較的大きな誤差が含まれる課題に対して、一対の受信信号に対するインパルス応答を取得し、一般化相互相関関数(GCC-PHAT:Generalized Cross-Correlation Phase Transform)による時間差検出処理を行うことでノイズ抑圧信号を生成する方法が用いられている。
特許文献2には、複数の水中測位装置により得られた測位結果のばらつきに応じて、中央値や搬送波対雑音電力比(C/N)などに基づき測位データを抽出する範囲を決定し、決定した範囲内から抽出した測位データのみを用いることで測位精度を向上させる方法が開示されている。
特開2020-176902号公報 特開2019-219274号公報
独立行政法人港湾空港技術研究所資料,No.1059,「超音波を利用した水中座標計測技術の開発」,2003年9月
しかしながら、従来の水中測位システムでは、音波反射が強い環境下で相互相関関数の波形上に直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが現れ、直接波と反射波のピークでの振幅の大小関係が逆転する場合がある。相互相関関数の波形において振幅が最大となる位置で到達時間を検出する従来の方法では、直接波の伝搬時間を検出すべきところを誤って反射波の伝搬時間を検出してしまい、伝搬時間から算出する距離の測定に大きな誤差が発生する可能性がある。
例えば、非特許文献1に開示された方法は、水中に存在する測位対象物からの音響信号を受信し、受信信号と参照信号の相互相関関数から最大振幅位置を検出して伝搬時間を測定し、伝搬時間から距離に換算し、測位対象物の位置を求める方法である。しかし、水域によっては音響信号が水面や水底で反射して伝搬する反射波となり、受波器では本来の直接波に加えて反射波が受信される。反射波は音波の伝搬時間を求める上で外乱として作用し、伝搬時間の測定精度を低下させる。
特許文献1は、一対の受信信号の到達時間差を測定する際に反射波の影響を抑えるために、インパルス応答取得処理による解決方法を提示している。しかしながら、特許文献1では、到達時間差から到来角を求めるとき、到来角の分解能が受波器間隔に依存するという制約がある。受波器間隔を狭くすると到来角の分解能が低下し、間隔を広くすると分解能は向上するが、一対の受波器に到達する受信波を並行波と見なせなくなるため、測位対象と受波器の距離が近いときに到来角の推定誤差が大きくなるという課題がある。
特許文献2は、複数の測位結果のうち測位結果のばらつきに応じた範囲から測位結果を抽出して位置を推定するものであり、単一の測位装置又は1個の測位結果のデータに対する測位信頼性の評価を行うものではない。つまり、特許文献2では、測位結果データから測位信頼性を判断するためには、複数の測位装置を必要とするか、あるいは複数の測位結果データを取得しなければならないという課題がある。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる水中測位システム及び水中測位方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の測位装置や複数の測位結果データを必要とすることなく、単独で測位信頼性の指標を提示することができる水中測位システム及び水中測位方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る水中測位システムは、水中に存在する測位対象物に設けられ、音響波を水中に発する送波器と、前記音響波を受波して電気信号である第1の受信信号に変換する第1の受波器と、前記第1の受波器から間隔をあけて設けられ、前記音響波を受波して電気信号である第2の受信信号に変換する第2の受波器と、前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号の各々と、前記音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号との相互相関関数をそれぞれ算出し、前記相互相関関数に基づいて前記送波器から前記第1の受波器及び前記第2の受波器までの前記音響波の伝搬時間をそれぞれ求める相関計算部と、前記伝搬時間に基づいて前記送波器と前記第1の受波器及び前記第2の受波器との距離をそれぞれ求めて前記送波器の位置を算出する位置計算部と、を具備し、前記相関計算部は、前記相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、前記時間位置に基づいて前記伝搬時間を算定することを特徴とする。
上記のように、本発明に係る水中測位システムは、相関計算部が、相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、該時間位置に基づいて音響波の伝搬時間を算定するようになっている。反射波が存在する場合、直接波の伝搬経路は、反射波の伝搬経路よりも短いので、直接波が反射波よりも早く受波器に到達する。よって、相互相関関数の時間波形において反射波の伝搬時間を示すピークが直接波の伝搬時間を示すピークより高くても、最短の時間位置にあるピークを検出することにより、直接波を検出することができる。このように、直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが存在する場合でも直接波のピーク位置を見つけることができるので、送波器と受波器の距離の測定精度が上がり、よって測位精度が向上する。したがって、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
また、本発明の水中測位システムにおいて、前記位置計算部により算出された前記送波器の測位位置の妥当性を判定する判定部と、前記判定部により測位位置の妥当性がないと判定されたとき前記可変閾値を変更する可変閾値設定部と、をさらに備える構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る水中測位システムは、相互相関関数の波形に適用する閾値を変更する構成としたことにより、直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが存在する場合でも、閾値を変更することによって直接波のピーク位置をより高い確率で見つけることができる。これにより、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
また、本発明の水中測位システムにおいて、前記判定部は、前記伝搬時間の差Δtが、cΔt/d<1なる条件を満たすとき、前記位置の妥当性があると判定し、前記条件を満たさないとき、前記位置の妥当性がないと判定する構成であってもよい。ここでcは水中での音響波の速度であり、dは前記第1の受波器と前記第2の受波器の距離である。
この構成により、本発明に係る水中測位システムは、測位位置の妥当性をより正確に判定することができるので、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
また、本発明の水中測位システムにおいて、前記可変閾値設定部は、前記判定部により測位位置の妥当性がないと判定されたとき、前記相互相関関数のノイズレベルより高い初期値から開始して前記可変閾値が漸増するように前記可変閾値を変更し、前記相関計算部は、前記可変閾値が変更されるごとに前記伝搬時間を求めるとともに、前記位置計算部は、前記送波器の位置を算出する構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る水中測位システムは、相互相関関数のノイズレベル(背景ノイズ)より高い初期値から開始して可変閾値を漸増させることにより、相互相関関数の波形における伝搬時間測定において、直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが存在した場合でも直接波のピーク位置を見つけることができる。具体的には、相互相関関数の背景ノイズより高い初期値から開始することにより、背景ノイズを誤検出し難くなっている。また、可変閾値を漸増させることにより、直接波より遅れて到達する反射波を誤検出し難く、常に直接波のピーク位置を検出できることで正確な距離を測定できる割合が上昇し、測位精度が向上する。したがって、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
また、本発明の水中測位システムにおいて、前記相関計算部は、前記相互相関関数からピーク電力対平均電力比(PAPR)を計算し、PAPR値に応じて割り当てられた測位のエラーレベルを、測位の信頼度情報として出力する信頼度情報出力部を備える構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る水中測位システムは、例えば測位位置データを統計処理する際にエラーレベルに応じてデータの抽出を行うことで、より測位精度を高めることができる。したがって、複数の測位装置や複数の測位結果データを必要とすることなく、単独で測位信頼性の指標を提示することができる。
また、本発明に係る水中測位システムは、水中に存在する測位対象物に設けられ、音響波を水中に発する送波器と、前記音響波を受波して電気信号である第1の受信信号に変換する第1の受波器と、前記第1の受波器から間隔をあけて設けられ、前記音響波を受波して電気信号である第2の受信信号に変換する第2の受波器と、前記第1の受波器及び前記第2の受波器から間隔をあけて設けられ、前記音響波を受波して電気信号である第3の受信信号に変換する第3の受波器と、前記第1の受信信号、前記第2の受信信号及び前記第3の受信信号の各々と、前記音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号との相互相関関数をそれぞれ算出し、前記相互相関関数に基づいて前記送波器から前記第1の受波器、前記第2の受波器及び前記第3の受波器までの前記音響波の伝搬時間をそれぞれ求める相関計算部と、前記伝搬時間に基づいて前記送波器と前記第1の受波器、前記第2の受波器及び前記第3の受波器との距離をそれぞれ求めて前記送波器の3次元位置を算出する位置計算部と、を具備し、前記相関計算部は、前記相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、前記時間位置に基づいて前記伝搬時間を算定することを特徴とする。
この構成により、本発明に係る水中測位システムは、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の3次元位置を高い精度で測定することができる。
また、本発明の水中測位方法は、水中に存在する測位対象物に設けられた送波器から、音響波を水中に発する送波ステップと、第1の受波器により前記音響波を受波して電気信号である第1の受信信号に変換する第1の受波ステップと、前記第1の受波器から間隔をあけて設けられた第2の受波器により、前記音響波を受波して電気信号である第2の受信信号に変換する第2の受波ステップと、前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号の各々と、前記音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号との相互相関関数をそれぞれ算出し、前記相互相関関数に基づいて前記送波器から前記第1の受波器及び前記第2の受波器までの前記音響波の伝搬時間をそれぞれ求める相関計算ステップと、前記伝搬時間に基づいて前記送波器と前記第1の受波器及び前記第2の受波器との距離をそれぞれ求めて前記送波器の位置を算出する位置計算ステップと、を含み、相関計算ステップは、前記相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、前記時間位置に基づいて前記伝搬時間を算定することを特徴とする。
上記のように、本発明に係る水中測位方法は、相関計算ステップにて、相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、該時間位置に基づいて音響波の伝搬時間を算定するようになっている。反射波が存在する場合、直接波の伝搬経路は、反射波の伝搬経路よりも短いので、直接波が反射波よりも早く受波器に到達する。よって、相互相関関数の時間波形において反射波の伝搬時間を示すピークが直接波の伝搬時間を示すピークより高くても、最短の時間位置にあるピークを検出することにより、直接波を検出することができる。このように、直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが存在する場合でも直接波のピーク位置を見つけることができるので、送波器と受波器の距離の測定精度が上がり、よって測位精度が向上する。したがって、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
本発明によれば、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる水中測位システム及び水中測位方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る水中測位システムの構成を示すブロック図である。 図1の測位計算処理部の構成例を示す図である。 (a)は音波反射が無い場合の相互相関関数の波形例を示し、(b)は音波反射が存在する場合の相互相関関数の波形例を示す図である。 水面と水底で音波反射があるときの送波器から受波器までの音波伝搬経路を示す図(左図)と、その場合の相互相関関数を示す図(右図)である。 閾値により相互相関関数の波形から伝搬時間を検出する方法を説明する図である。 可変閾値検出法のフローチャートである。 送波器が発した音波が並行波となり、受波器A及び受波器Bに到来したときの位置関係を示す図である。 (a)は音波反射なしで周囲騒音が小さい条件での相互相関関数の波形とPAPR値の例であり、(b)は音波反射ありで周囲騒音が小さい条件での相互相関関数の波形とPAPR値の例であり、(c)は音波反射ありで周囲騒音が大きい条件での相互相関関数の波形とPAPR値の例を示す図である。 2つの従来技術と本発明に対して測位評価を行った結果を示す。 本発明の別の実施形態に係る水中測位システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態に係る水中測位システム及び水中測位方法について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水中測位システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、水中測位システム1は、水中測位装置10と、測位対象物2に取り付けられた送波器3とを備え、水中に存在する測位対象物2の位置、具体的には送波器3の位置を測定するようになっている。
送波器3は、水中に存在する測位対象物2に設けられ、音響波を水中に発するようになっている。音響波は、以下で単に音波ともいい、好ましくは超音波である。
水中測位装置10は、受波器11(以下、受波器Aともいう)、増幅・AD変換器12、受波器21(以下、受波器Bともいう)、増幅・AD変換器22、及び測位計算処理部40を備えている。
受波器Aは、例えばハイドロフォンであり、音響波を受波して電気信号である第1の受信信号sに変換するようになっている。なお、受波器Aが、本発明の第1の受波器に対応する。
受波器Bは、例えばハイドロフォンであり、受波器Aから間隔をあけて設けられ、音響波を受波して電気信号である第2の受信信号sに変換するようになっている。なお、受波器Bが、本発明の第2の受波器に対応する。
増幅・AD変換器12は、受波器Aから出力された受信信号sを増幅し、アナログ・デジタル変換し、デジタルの受信信号uを出力するようになっている。同様に、増幅・AD変換器22は、受波器Bから出力された受信信号sを増幅し、アナログ・デジタル変換し、デジタルの受信信号uを出力するようになっている。なお、増幅・AD変換器12、22は、増幅器とAD変換器を個別に有する構成としてもよい。
(測位計算処理部)
測位計算処理部40は、受信信号u,uを基に測位対象物2(具体的には送波器3)の位置及び必要に応じて測位のエラーレベルξを算出するようになっており、相関計算部41と2次元位置計算部42とを備えている。なお、2次元位置計算部42が、本発明の位置計算部に対応する。
(相関計算部)
相関計算部41は、受信信号u及び受信信号uの各々と、音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号s′との相互相関関数r,rをそれぞれ算出し、相互相関関数r,rの時間波形に対し可変閾値γ,γを用いて送波器3から受波器A及び受波器Bまでの音響波の伝搬時間τ,τをそれぞれ求めるようになっている。
図2は、測位計算処理部40における相関計算部41の構成例を示す図である。図2に示すように、相関計算部41は、参照信号記憶部411、相互相関関数算出部412、伝搬時間検出部413、可変閾値設定部414、及び測位信頼度算出部415を備えている。
参照信号記憶部411は、音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号s′のデータを格納するようになっている。
相互相関関数算出部412は、受信信号uと、音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号s′との相互相関関数rを算出するとともに、受信信号uと参照信号s′との相互相関関数rを算出するようになっている。
伝搬時間検出部413は、相互相関関数rの時間波形に対し可変閾値γを用いて送波器3から受波器Aまでの音響波の伝搬時間τを求めるとともに、相互相関関数rの時間波形に対し可変閾値γを用いて送波器3から受波器Bまでの音響波の伝搬時間τを求めるようになっている。
可変閾値設定部414は、判定部422により測位位置の妥当性がないと判定されたとき可変閾値γ,γを変更するようになっている。具体的には、判定部422により測位位置の妥当性がないと判定されたとき、相互相関関数r,rのノイズレベルより高い初期値から開始して可変閾値γ,γが漸増するように可変閾値γ,γを変更するようになっている。可変閾値γ,γが変更されるごとに、相関計算部41は、再度、伝搬時間を求め、2次元位置計算部42は、送波器3の位置を算出する。
測位信頼度算出部415は、相互相関関数r,rからピーク電力対平均電力比(PAPR)ρをそれぞれ計算し、PAPR値ρに応じて割り当てられた測位のエラーレベルξを、測位の信頼度情報として出力するようになっている。
(2次元位置計算部)
2次元位置計算部42は、音波の伝搬時間τ,τに基づいて送波器3と受波器A及び受波器Bとの距離をそれぞれ求め、送波器3の2次元位置を算出するようになっている。
具体的には、図2に示すように、2次元位置計算部42は、位置算出部421と判定部422とを備えている。
位置算出部421は、伝搬時間τ,τに基づいて送波器3の2次元位置[x′,y′]を算出するようになっている。
判定部422は、測位位置の妥当性を判定するようになっている。測位位置の妥当性は、様々な観点から判定することができる。例えば、測位位置が想定されている水中の範囲から逸脱している場合、測位位置が水面より上になった場合、測位位置が水底より下になった場合、測位位置が算出不可の場合などに、妥当性を欠くと判定してもよい。
本実施形態では、判定部422は、伝搬時間τ,τの差Δtが、cΔt/d<1なる条件を満たすとき、測位位置の妥当性があると判定し、条件を満たさないとき、測位位置の妥当性がないと判定するようになっている。ここでcは水中での音響波の速度であり、dは受波器Aと受波器Bの距離である。この構成により、測位位置の妥当性をより正確に判定することができるので、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物2の位置を高い精度で測定することができる。
(ハードウェア構成)
水中測位装置10の測位計算処理部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、補助記憶装置、通信インタフェース等を有するコンピュータ装置によって構成される。
水中測位装置10を構成するコンピュータ装置のROM及び補助記憶装置には、コンピュータ装置を水中測位装置10として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROM等に格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータ装置が水中測位装置10として機能する。
水中測位装置10の一部又は全部は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現されてもよい。水中測位装置10の一部又は全部は、ソフトウェアと、ハードウェア回路との組み合わせで実現されてもよい。
(測位方法)
次に、測位方法について説明する。
図1に示すように、2次元座標系における送波器3の位置を[x,y]とし、受波器Aと受波器Bの位置をそれぞれ、[x,y]、[x,y]とする。送波器3で発せられた音波は、所定の伝搬経路を介して、受波器Aと受波器Bに到達する。受波器A、Bで受信した音波信号は、電気信号である受信信号s,sにそれぞれ変換される。受信信号s,sは、それぞれ増幅・AD変換器12、22で信号増幅されて、アナログ・デジタル変換され、デジタルの受信信号u,uが得られ、相関計算部41に入力される。
増幅・AD変換器12、22でのアナログ・デジタル変換後の受信信号をu(t),u(t)(tはサンプリング間隔Tで標本化された離散時間)で表すと、相関計算部41は、受信信号と参照信号の相互相関関数r(τ),r(τ)を、次式により算出する。
Figure 2024030330000002
ここで、s′(t)は参照信号であり、送波器3から出力する送信信号の波形データをあらかじめ記録しておいたものである。〈 〉は畳み込み演算である。
相関計算部41は、送波器3から受波器A及び受波器Bまでの音波の伝搬時間τ,τを、相互相関関数r,rの波形から検出し、2次元位置計算部42が次式によりそれぞれ距離R,R[m]に換算する。
Figure 2024030330000003
ここで、c[m/s]は水中での音速を示す。
2次元位置計算部42は、距離R,Rと受波器A、受波器Bの位置座標[x,y],[x,y]から、以下の連立方程式の解を求めることにより、送波器3の2次元平面上の位置[x,y]を取得し出力する。
Figure 2024030330000004
図1及び図2では、上記連立方程式から算出した位置を、送波器3の真の位置[x,y]と区別するために、[x′,y′]と表記している。
<音波反射が存在する場合の課題>
図3は、受波器Aが受信した受信信号から算出された相互相関関数r(τ)の波形例を示す。具体的には、図3(a)は、音波反射が無い条件での相互相関関数r(τ)の波形例であり、図3(b)は水面や水底、周囲壁からの音波反射が存在する場合の相互相関関数r(τ)の波形例である。
図3(a)では、相互相関関数r(τ)の波形において振幅最大となる点を三角マークで示している。非特許文献1に示す従来技術では、振幅最大となる点から音波の伝搬時間τを検出している。
図3(b)においても、相互相関関数r(τ)の波形において振幅最大となる点を三角マークで示している。図3(b)では、振幅最大となる点よりも先行した位置に円マークで示した、相互相関関数r(τ)の別のピークが観測される。円マークで示した点は本来の伝搬時間を示す位置であり、音波反射がある条件では相関関数の波形上に多くの疑似ピークが発生し、振幅最大となる点と本来の伝搬時間を示す点の時間位置が一致していない。
次に、音波反射ありの条件で振幅最大となる点と本来の伝搬時間を示す点の時間位置が一致しない理由を、図4を参照して説明する。
図4は、水面と水底で音波反射があるときの送波器から受波器までの音波伝搬経路を示す図(左図)と、その場合の相互相関関数を示す図(右図)である。送波器3から受波器Aを一直線で結んだ経路で伝搬する音波を直接波と呼び、直接波は最初に受波器Aで観測される。音波が水面や水底で反射してから伝搬する波を反射波と呼び、経路が長い分だけ直接波より遅れて観測される。水面で反射した経路で伝搬する反射波aと水底で反射した経路で伝搬する反射波bが同じ経路長を有するとき、受信側で反射波aと反射波bが合成され、その合成した反射波は直接波よりも振幅が大きくなる場合がある。その振幅の大小関係が相互相関関数波形の振幅として表れるため、従来技術では直接波ではなく反射波に対する伝搬時間を検出してしまい、測位誤差が大きくなる。
<可変閾値検出法>
本実施形態では、相互相関関数r(τ)の波形から伝搬時間を検出するために、可変閾値により直接波の伝搬時間を検出する可変閾値検出法を用いている。具体的には、伝搬時間を検出するための閾値γを設定し、r(τ)>γ(τ>0)の条件を満たす最短の時間位置を検出する。図5は、閾値を0.015に設定した例であり、図3(b)において最大振幅点を伝搬時間位置として検出する従来の方法と比べて、音波反射がある場合でも本来の伝搬時間位置を検出することができる。
しかしながら、閾値による検出は、閾値の設定方法に課題がある。例えば図5において閾値を0.025に設定した場合は反射波の伝搬時間を検出し、閾値を0.005未満に設定した場合は背景雑音に妨害されて音波の伝搬時間とは全く無関係な時間位置を検出してしまう。
そこで、本実施形態では、図1の相関計算部41において閾値を可変とした伝搬時間の検出を行う。閾値の設定範囲を定めるため、上記式(1)、(2)により与えられる相互相関関数r(τ),r(τ)に対して、次式による正規化を行う。正規化処理により振幅最大値は1となり、閾値の可変範囲は0~1(0以上1以下)となる。
Figure 2024030330000005
そして、閾値γ,γを次式により設定する。ここで、qは繰り返し伝搬時間検出を行うときの繰り返し番号(q=1,2,...)であり、Nは伝搬時間検出を行う範囲を示す信号点数である。
Figure 2024030330000006
すなわち、閾値γ,γは、繰り返し番号qに応じて変化させるとともに背景雑音の振幅平均の値を加えた値となっている。具体的には、閾値γ,γは、繰り返し番号qに応じて所定ステップ幅(例えば0.3)ずつ漸増させるとともに背景雑音の振幅平均の値を加えた値となっている。ステップ幅は、0.3に限定されるものではなく、0.1や0.2や0.4などでもよく、0より大きく1より小さい任意の値に設定してもよい。
図6は、本実施形態において用いている可変閾値検出法のフローチャートを示す。可変閾値検出法では、まず、相関計算部41において、繰り返し番号qに1を設定し、(7)~(10)式より閾値γ,γを計算する(ステップS1)。次いで、閾値γ,γを基に、送波器3から受波器A、受波器Bまでの音波の伝搬時間τ,τを検出する(ステップS2)。具体的には、相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、その時間位置に基づいて伝搬時間を算定する
次いで、2次元位置計算部42において、伝搬時間τ,τに基づいて、送波器3から受波器A、受波器Bまでの距離R,Rを計算する(ステップS3)。次いで、距離R,R及び受波器A、受波器Bの位置[x,y],[x,y]に基づいて、送波器3の位置[x,y]を計算する(ステップS4)。
次いで、測位位置が所定の条件を満たすか、あるいは閾値γ,γが設定範囲を超えたか否かを判定する(ステップS5)。判定結果が肯定(YES)のときは、繰り返し処理を終了する。判定結果が否定(NO)のときは、繰り返し番号qの値を1増やして、閾値γ,γを再計算し(ステップS6)、ステップS2に戻る。
図6は、図1の2次元位置を特定する場合に対応するが、後で説明する図10の3次元位置を特定する場合も同様である。
測位位置の所定条件として、受波器Aと受波器Bに到達する音波を並行波とみなしたときの到来角θを計算し、測位位置の検証に用いる方法が挙げられる。図7は、送波器3が発した音波が並行波となり、受波器A及び受波器Bに到来したときの位置関係を示している。並行波が受波器Aと受波器Bに到達する時間差Δtに対して並行波の到来角θは次式で表される。
Figure 2024030330000007
時間差Δtは受波器Aと受波器Bへの音波の伝搬時間の差から求められる。時間差Δtと受波器間隔dは次式で与えられる。
Figure 2024030330000008
(11)式により計算される到来角θは、送波器3から受波器Aや受波器Bまでの距離に比べて受波器間隔dが極めて短い場合を前提としているので、送波器3と受波器Aの位置から計算できる実際の方位角とは一致しない。ただし、(11)式のθの値が実数となるか否かを調べることで測位位置の妥当性を判断することができる。つまり、cΔt/dの絶対値が1より小さい(θが実数となる)ならば相互相関関数r,rから検出した伝搬時間τ、τは妥当であると判定し、上記の所定の条件を満たすものとする。なお、cΔt/dの絶対値が1を超える(θが複素数となる)場合、現実的な角度を求めることができないので、伝搬時間τ,τの一方もしくは両方に誤りがあることが推測される。
特許文献1は、一対の受信信号に対する到達時間差Δtを直接測定し、式(11)から到来角を求める方法を開示している。到達時間差の測定はアナログ・デジタル変換後の信号に対して行われるので、到達時間差Δtの分解能(識別できる最小時間)はサンプリング間隔T[s]となる。このため、式(11)で求める到来角には、時間差測定の分解能に応じた制約がある。
具体的には、例えば、サンプリング周波数200kHz,受波器間隔0.3m,水中音速1500m/sとすると、到来角の分解能はΔθ=1.43[deg]となる。到来角の分解能を上げる(識別できる最小角度を小さくする)には受波器間隔dを拡げると良いが、受波器間隔dを拡げると受波器に到達する音波が並行波と見なせないため、求めた到来角と実際の方位角の差が大きくなる。一方、本実施形態の測位計算では、式(11)を用いずに式(3)、(4)、(5)、(6)から測位位置を求めるので、受波器間隔を拡げる分だけ測位精度が向上する。
<測位信頼性>
つぎに、測位信頼性に関して説明する。
相関計算部41の測位信頼度算出部415は、測位の信頼度を表すピーク電力対平均電力比(PAPR:Peak-to-Average Power Ratio)ρを計算して出力する。ピーク電力対平均電力比ρは、正規化処理後の相互相関関数r′(τ)に対して、次式により計算する。
Figure 2024030330000009
図8は、正規化処理後の相互相関関数r′(τ)の波形とPAPR値ρの例である。図8(a)や図8(b)から音波の伝搬時間を測定することは可能である。図8(c)に示す例では、送波器3から発した音波よりも周囲騒音のレベルがはるかに大きく(SN比-10dB)、可変閾値検出法でも音波の正確な伝搬時間を測定することは難しい(不正確な結果しか得られない)。
2次元位置計算部42(又は後で説明する3次元位置計算部42A)が測位位置を出力するとき、相関計算部41が、PAPR値ρに応じて次式で示すエラーレベルξを出力する。
Figure 2024030330000010
エラーレベルξ=0は良好に測位できる場合、エラーレベルξ=1は測位可能であるが誤差が大きくなる可能性がある場合、エラーレベルξ=2は測位不可、又は測位誤差が大きい場合を示す。
このように、求めた測位位置に対してエラーレベルξを付与することで、測位データの可視化や統計処理を効率的あるいは効果的に便利に行うことができる。例えば、測位対象物2が移動している場合は、エラーレベルξが0と1の測位座標点をグラフ上でプロットし、測位対象物2への追従を優先する。測位対象物2が静止しているときは、エラーレベルξが0の測位データのみを抽出して正確な測位位置を求めるようにしてもよい。
(測位実験)
次に、測位実験について説明する。
測位対象物として梯子に送波器を取り付けて、2次元位置を特定する測位実験を北海道北見市民温水プールで実施した。プールの大きさは幅25m、奥行15m、水深1.35mである。送波器から出力する送信信号の周波数帯域は12kHz~32kHz、受信信号をアナログ・デジタル変換するときのサンプリング周波数は200kHz、送波器3から出力する送信信号の継続長を82msとした。送波器と受波器A、Bの高さ位置は、水底から0.8mで同じ位置で既知とした。測位評価結果を図9に示す。2つの従来技術と本発明に対して下記の条件で測位評価を行った。
従来技術1:
送波器から発せられた音波を受波器A、受波器Bで受波したときの受信信号に対して、非特許文献1の方法(相互相関関数の波形から振幅最大となるポイントを検出)に基づいて音波の伝搬時間を測定し、送波器の2次元位置を求めた。受波器Aと受波器Bのxy座標はそれぞれ[12.5,0.6],[11.1,0.6]とし、受波器間隔を1.4mとした。図9(a)に測位実験の結果を示す。
従来技術2:
送波器から発せられた音波を受波器A、受波器Bで受波したときの受信信号に対して特許文献1の方法(一対の受信信号からインパルス応答取得とGCC-PHATによる時間差測定)による到来角の算出を行った。特許文献1の方法は距離測位の方法は示されていないので送波器と受波器A間の距離は既知とし、距離と到来角から送波器の2次元位置を求めた。受波器Aと受波器Bのxy座標はそれぞれ[12.5,0.6],[12.2,0.6]とし、受波器間隔を0.3mとした。図9(b)に測位実験の結果を示す。
本発明:
送波器から発せられた音波を受波器A、受波器Bで受波したときの受信信号に対して可変閾値検出法に基づいて音波の伝搬時間を測定し、送波器の2次元位置を求めた。受波器Aと受波器Bのxy座標はそれぞれ[12.5,0.6],[11.1,0.6]とし、受波器間隔を1.4mとした。図9(c)に測位実験の結果を示す。
図9において、真値は、送波器の実際の位置を示し、具体的にはプール内で梯子を移動させたときの送波器の位置を巻尺とロープで測定した。測位点は、音波から送波器の位置を測定して得られた測位位置を示す。従来技術1、従来技術2、及び本発明の測位誤差平均はそれぞれ1.62m、0.80m、0.29mであり、本発明は従来技術よりも測位精度が高いという結果が得られた。
(作用効果)
上記説明したように、本実施形態に係る水中測位システム1は、相関計算部41が、相互相関関数の時間波形において可変閾値γ,γを超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、該時間位置に基づいて音波の伝搬時間τ,τを算定するようになっている。反射波が存在する場合、直接波の伝搬経路は、反射波の伝搬経路よりも短いので、直接波が反射波よりも早く受波器に到達する。よって、相互相関関数r,rの時間波形において反射波の伝搬時間を示すピークが直接波の伝搬時間を示すピークより高くても、最短の時間位置にあるピークを検出することにより、直接波を検出することができる。このように、直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが存在する場合でも直接波のピーク位置を見つけることができるので、送波器3と受波器A、Bの距離の測定精度が上がり、よって測位精度が向上する。したがって、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
また、本実施形態に係る水中測位システム1において、可変閾値設定部414は、判定部422により測位位置の妥当性がないと判定されたとき、相互相関関数r,rのノイズレベルより高い初期値から開始して可変閾値γ,γが漸増するように可変閾値γ,γを変更し、相関計算部41は、可変閾値γ,γが変更されるごとに伝搬時間τ,τを求めるとともに、位置計算部42は、送波器3の位置[x,y]を算出する構成となっている。このように、相互相関関数r,rのノイズレベル(背景ノイズ)より高い初期値から開始して可変閾値γ,γを漸増させることにより、相互相関関数r,rの波形に対する伝搬時間測定において、直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが存在した場合でも直接波のピーク位置を見つけることができる。具体的には、相互相関関数r,rの背景ノイズより高い初期値から開始することにより、背景ノイズを誤検出し難くなっている。また、可変閾値γ,γを漸増させることにより、直接波より遅れて到達する反射波を誤検出し難く、常に直接波のピーク位置を検出できることで正確な距離を検出できる割合が上昇し、測位精度が向上する。したがって、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
また、本実施形態の水中測位システム1において、相関計算部41は、相互相関関数r,rからピーク電力対平均電力比(PAPR)ρを計算し、PAPR値ρに応じて割り当てられた測位のエラーレベルξを、測位の信頼度情報として出力する信頼度情報出力部415を備えている。この構成により、例えば測位位置データを統計処理する際にエラーレベルξに応じてデータの抽出を行うことで、より測位精度を高めることができる。したがって、複数の測位装置や複数の測位結果データを必要とすることなく、単独で測位信頼性の指標を提示することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る水中測位システム1Aについて、図面を参照して説明する。
第2の実施形態に係る水中測位システム1Aは、例えばハイドロフォンである受波器31(以下、受波器Cともいう)及び増幅・AD変換器32をさらに備えて送波器3の3次元位置を計算している点で、2次元位置を計算している第1の実施形態とは異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図10は、第2の実施形態に係る水中測位システム1Aの構成を示すブロック図である。本実施形態の水中測位システム1Aは、受波器A、受波器Bに加えて、受波器C及び増幅・AD変換器32を備えている。受波器Cにより得られる受信信号sが増幅・AD変換器32に送られ、増幅及びAD変換されてデジタルの受信信号uが得られる。測位計算処理部40Aの相関計算部41Aは、受信信号u,u,uを基に、送波器3から受波器A,B,Cまでの音波の伝搬時間τ,τ,τをそれぞれ求め、3次元位置計算部42Aに送るようになっている。
3次元位置計算部42Aは、相関計算部41Aにより得られた伝搬時間τ,τ,τに基づいて、送波器3と受波器A,B,Cとの距離R,R,Rをそれぞれ求める。そして、3次元位置計算部42Aは、距離R,R,Rと受波器A,B,Cの位置座標[x,y],[x,y],[x,y]から、以下の連立方程式の解を求めることにより、送波器3の3次元空間内の位置[x,y,z]を取得し出力する。
Figure 2024030330000011
なお、4個以上の受波器を用いて送波器からのそれぞれ距離を測定し、最小二乗法により3次元位置の近似解を求める方法がGPS測位原理として広く知られており、本発明においても同様に適用することができる。
本実施形態に係る水中測位システム1Aにおいても、第1の実施形態と同様に、測位位置の妥当性を判定し、判定結果に応じて相互相関関数r,r,rの波形に適用する閾値γ,γ,γを変更する構成は同じである。この構成により、直接波と反射波の伝搬時間を示す複数のピークが存在する場合でも直接波のピーク位置を見つけることができるので、送波器と受波器の距離の測定精度が上がり、よって測位精度が向上する。したがって、音波反射の強い環境であっても、水中の測位対象物の位置を高い精度で測定することができる。
以上述べたように、本発明は、音波反射の強い環境であっても、水中の測定対象物の位置を高い精度で測定することができるという効果を有し、例えば水中音響機器、水中ロボット、水中工作機器などの水中の測位対象物に適用可能な水中測位システム及び水中測位方法の全般に有用である。
1、1A 水中測位システム
2 測位対象物
3 送波器
10、10A 水中測位装置
11 受波器A(第1の受波器)
21 受波器B(第2の受波器)
31 受波器C(第3の受波器)
12、22、32 増幅・AD変換器
40、40A 測位計算処理部
41、41A 相関計算部
411 参照信号記憶部
412 相互相関関数算出部
413 伝搬時間検出部
414 可変閾値設定部
415 測位信頼度算出部
42 2次元位置計算部(位置計算部)
42A 3次元位置計算部
421 位置算出部
422 判定部

Claims (7)

  1. 水中に存在する測位対象物に設けられ、音響波を水中に発する送波器と、
    前記音響波を受波して電気信号である第1の受信信号に変換する第1の受波器と、
    前記第1の受波器から間隔をあけて設けられ、前記音響波を受波して電気信号である第2の受信信号に変換する第2の受波器と、
    前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号の各々と、前記音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号との相互相関関数をそれぞれ算出し、前記相互相関関数に基づいて前記送波器から前記第1の受波器及び前記第2の受波器までの前記音響波の伝搬時間をそれぞれ求める相関計算部と、
    前記伝搬時間に基づいて前記送波器と前記第1の受波器及び前記第2の受波器との距離をそれぞれ求めて前記送波器の位置を算出する位置計算部と、
    を具備し、
    前記相関計算部は、前記相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、前記時間位置に基づいて前記伝搬時間を算定することを特徴とする水中測位システム。
  2. 前記位置計算部により算出された前記送波器の測位位置の妥当性を判定する判定部と、前記判定部により測位位置の妥当性がないと判定されたとき前記可変閾値を変更する可変閾値設定部と、をさらに備える請求項1に記載の水中測位システム。
  3. 前記判定部は、前記伝搬時間の差Δtが、cΔt/d<1なる条件を満たすとき、前記位置の妥当性があると判定し、前記条件を満たさないとき、前記位置の妥当性がないと判定し、ここでcは水中での音響波の速度であり、dは前記第1の受波器と前記第2の受波器の距離である、請求項2に記載の水中測位システム。
  4. 前記可変閾値設定部は、前記判定部により測位位置の妥当性がないと判定されたとき、前記相互相関関数のノイズレベルより高い初期値から開始して前記可変閾値が漸増するように前記可変閾値を変更し、前記相関計算部は、前記可変閾値が変更されるごとに前記伝搬時間を求めるとともに、前記位置計算部は、前記送波器の位置を算出する、請求項2又は3に記載の水中測位システム。
  5. 前記相関計算部は、前記相互相関関数からピーク電力対平均電力比(PAPR)を計算し、PAPR値に応じて割り当てられた測位のエラーレベルを、測位の信頼度情報として出力する信頼度情報出力部を備える、請求項1に記載の水中測位システム。
  6. 水中に存在する測位対象物に設けられ、音響波を水中に発する送波器と、
    前記音響波を受波して電気信号である第1の受信信号に変換する第1の受波器と、
    前記第1の受波器から間隔をあけて設けられ、前記音響波を受波して電気信号である第2の受信信号に変換する第2の受波器と、
    前記第1の受波器及び前記第2の受波器から間隔をあけて設けられ、前記音響波を受波して電気信号である第3の受信信号に変換する第3の受波器と、
    前記第1の受信信号、前記第2の受信信号及び前記第3の受信信号の各々と、前記音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号との相互相関関数をそれぞれ算出し、前記相互相関関数に基づいて前記送波器から前記第1の受波器、前記第2の受波器及び前記第3の受波器までの前記音響波の伝搬時間をそれぞれ求める相関計算部と、
    前記伝搬時間に基づいて前記送波器と前記第1の受波器、前記第2の受波器及び前記第3の受波器との距離をそれぞれ求めて前記送波器の3次元位置を算出する位置計算部と、
    を具備し、
    前記相関計算部は、前記相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、前記時間位置に基づいて前記伝搬時間を算定することを特徴とする水中測位システム。
  7. 水中に存在する測位対象物に設けられた送波器から、音響波を水中に発する送波ステップと、
    第1の受波器により前記音響波を受波して電気信号である第1の受信信号に変換する第1の受波ステップと、
    前記第1の受波器から間隔をあけて設けられた第2の受波器により、前記音響波を受波して電気信号である第2の受信信号に変換する第2の受波ステップと、
    前記第1の受信信号及び前記第2の受信信号の各々と、前記音響波の時間波形と同一の波形を有する参照信号との相互相関関数をそれぞれ算出し、前記相互相関関数に基づいて前記送波器から前記第1の受波器及び前記第2の受波器までの前記音響波の伝搬時間をそれぞれ求める相関計算ステップと、
    前記伝搬時間に基づいて前記送波器と前記第1の受波器及び前記第2の受波器との距離をそれぞれ求めて前記送波器の位置を算出する位置計算ステップと、
    を含み、
    相関計算ステップは、前記相互相関関数の時間波形において可変閾値を超えるピークのうち最短の時間位置にあるピークを検出し、前記時間位置に基づいて前記伝搬時間を算定することを特徴とする水中測位方法。
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