JP2024027015A - キラル糖分子のキラル認識方法および複合体 - Google Patents

キラル糖分子のキラル認識方法および複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度なキラル認識方法および高感度なキラル認識が可能な複合体を提供すること。【解決手段】キラル糖分子のキラル認識方法が提供される。当該認識方法は、キラル糖分子の異性体に対し異性体間で異なる応答性を示す複合体をキラル糖分子を含む水溶液に加えることと、上記異性体に対する複合体の応答による蛍光の強度に基づいてキラル糖分子の異性体を認識することとを含む。上記複合体は、八員環型シクロデキストリンと、該八員環型シクロデキストリンに包括されているボロン酸型プローブとを含む。また、上記ボロン酸型プローブが(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸および(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸からなる群より選択される1つである複合体が提供される。【選択図】 図5

Description

本発明は、キラル糖分子のキラル認識方法および複合体に関する。
多くの有機化合物は互いに対となる鏡像異性体(エナンチオマー)を持つ、即ちキラルである。異性体間でほとんどの性質が完全に一致するため、識別や分離が困難である。識別や分離を行うには、例えば、特殊な高速液体クロマトグラフ(HPLC;High-Performance Liquid Chromatograph)やガスクロマトグラフ(GC;Gas-Chromatograph)などの大型装置が必要になる。一方で、鏡像異性体間で、生理活性が大きく異なる。
キラル化合物の具体例として、グルコースが挙げられる。グルコースには、下記右手型鏡像異性体(D体)及び左手型鏡像異性体(L体)、即ちD-グルコース及びL-グルコースが在る。D-グルコース(別名:デキストロース;ブドウ糖)は、L-グルコースよりも天然に多く存在する。
他の例として、1950年代後半に起きたサリドマイド薬害事件の原因物質であるサリドマイドが挙げられる。サリドマイド薬害は、妊娠中の女性が使用した場合に四肢奇形を持つ新生児が世界中で報告されたことで知られている。後に判明したことであるが、サリドマイドの左手型の鏡像異性体(L体、S体)にのみ催奇形性が有り、右手型鏡像異性体(D体、R体)それ自体は奇形を生じさせない。
鏡像異性体の識別は、製薬・生物学など多分野からの関心度が非常に高い。分子認識の分野はこれまでに大きな発展を遂げてきた。しかし、分子のキラリティーを識別するキラル認識は未だに困難である。例えば、糖類と反応するボロン酸をベースとした、ボロン酸型D-グルコース化学センサーが数多く報告されている。その一方で、鏡像異性体であるD-グルコースとL-グルコースを識別する、つまり、D-グルコースのキラル認識が可能な化学センサーは、未だに報告例が少ない。
ボロン酸基は、糖類と水溶液中で下記反応式に示すとおり反応する。具体的には下記式にて、ボロン酸基(-B(OH))を含む化合物と糖化合物(HL)との反応を示す。
ボロン酸は、糖分子が有する水酸基の一部と結合し得る。糖分子におけるボロン酸との反応部位の具体例として、D-フルクトースの反応部位を示す。
ボロン酸部位を2つもつジボロン酸化合物は、グルコースと選択的に反応する。ジボロン酸化合物の一例を示す。また、D-グルコースの反応部位を示す。
キラル識別能の発現のためには、プローブ構造自体がキラリティーを有する必要が有る。また、検知を容易にするために発色団をプローブに含ませることが望ましい。従って、不斉炭素原子や疎水性発色団を適切に導入する必要が有る。そのため、キラル識別能を有する化学センサーの合成の難度は、非常に高い。また、そのような化学センサーは一般的に水溶性が低く、有機溶媒を多量に含む溶媒中でしか使用ができない。例えば、非特許文献3(T. D. James et al, Nature. 1995, 374, 345.)に記載されている下記化合物(R体のみ掲載)は水溶性が低く、メタノール/水の比率が1/3となるようメタノールを加えた水溶液(pH7.77)であれば溶解する。
特開平8-245643号公報 特開2021-31570号公報
T. Hashimoto et al., Front. Chem. Sci. Eng., 2020, 14, 53. X. Sun and T. D. James, Chem. Rev., 2015, 8001. T. D. James et al, Nature. 1995, 374, 345. T. Hashimoto et al., Chem. Lett. 2014, 43, 228-230
本発明は、高感度なキラル糖分子のキラル認識方法および高感度なキラル糖分子のキラル認識が可能な複合体を提供することを目的とする。
実施形態によれば、キラル糖分子のキラル認識方法が提供される。当該認識方法は、キラル糖分子の異性体に対し異性体間で異なる応答性を示す複合体をキラル糖分子を含む水溶液に加えることと、上記異性体に対する複合体の応答による蛍光の強度に基づいてキラル糖分子の異性体を認識することとを含む。上記複合体は、八員環型シクロデキストリンと、該八員環型シクロデキストリンに包括されているボロン酸型プローブとを含む。
他の実施形態によれば、八員環型シクロデキストリンと、該八員環型シクロデキストリンに包括されたボロン酸型プローブと、を含む複合体が提供される。ボロン酸型プローブは、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸および(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸からなる群より選択される1つである。
上記キラル認識方法によれば、高い感度でキラル糖分子のキラル認識をすることができる。また、上記複合体を用いることで、高感度なキラル糖分子のキラル認識が可能になる。
複合体の一例を表す概念図。 複合体の他の例を表す概念図。 複合体のさらに他の例を表す概念図。 実施例1に係る複合体を用いた系における蛍光スペクトルを表すグラフ。 実施例1に係る複合体を用いた系におけるグルコース濃度に対する波長494nmの蛍光強度をプロットしたグラフ。 実施例2に係る複合体を用いた系におけるグルコース濃度に対する波長500nmの蛍光強度をプロットしたグラフ。 実施例3に係る複合体を用いた系におけるグルコース濃度に対する波長496nmの蛍光強度をプロットしたグラフ。 実施例1に係る複合体を用いた系におけるグルコースの異性体の混合比の検量線の一例を表すグラフ。 実施例2に係る複合体を用いた系におけるグルコースの異性体の混合比の検量線の一例を表すグラフ。
既報のキラル認識能を持つジボロン酸型化学センサーの多くは、構造内に疎水性の発色団を導入する必要が有るため水溶性が低い。また、既報のアプローチでは、構造内にキラリティー・2つのボロン酸部位・発色団を適切な位置に導入する必要が有り、化学センサーの合成の難度が非常に高い。上述した非特許文献3(T. D. James et al, Nature. 1995, 374, 345.)の化合物は、そのような化学センサーの典型例である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
本発明の実施形態に係るキラル認識方法では、八員環型シクロデキストリンと、それに包括されたボロン酸型プローブと、を含む複合体を用いる。詳細は後述するが、八員環型シクロデキストリンに包括されるボロン酸型プローブには、例えば、ボロン酸型ピレンプローブ及びボロン酸型アントラセンプローブが含まれる。シクロデキストリンに内包された二分子のボロン酸型プローブが糖分子を認識し、分子振動が抑制されることで二量体蛍光を示す。認識された糖分子のキラリティーに応じて、二量体蛍光の強度が異なる。本発明者等は、キラルな空孔を持つシクロデキストリンに、単純な構造の蛍光性ボロン酸型プローブが包接された超分子複合体を用いることで、水中でのキラル糖分子のキラル認識が可能になることを明らかにした。
シクロデキストリンは、外側が親水性、内側が疎水性の環状化合物である。親水性外周と疎水性内孔との両方を有するため、シクロデキストリンは疎水性化合物を内包し、水に可溶化することができる。また、内孔がキラルであるため、内包するボロン酸型プローブに容易にキラリティーを付与することができる。
シクロデキストリン類には、下記式で表す構造で表される化合物が含まれる。
式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、置換基で置換されていても良いヒドロキシ基、又は置換基でモノ置換又はジ置換されていても良いアミノ基を示し、nは6~9の整数を示す。
上記シクロデキストリン類の式にて、R、R及びRにおけるヒドロキシ基及びアミノ基の置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C6-10アリール基、C7-15アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C2-6アルケニル-カルボニル基、C6-10アリール-カルボニル基、C7-15アラルキル-カルボニル基、C1-6アルキル-オキシ-カルボニル基、C2-6アルケニル-オキシ-カルボニル基、C6-10アリール-オキシ-カルボニル基、C7-15アラルキル-オキシ-カルボニル基等が挙げられる。
「C1-6アルキル(基)」とは、炭素原子数1~6の直鎖、分枝鎖又は環状の1価の飽和炭化水素基をいう。「C1-6アルキル(基)」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。「C1-6アルキル(基)」は、さらにハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよい。
「C2-6アルケニル(基)」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭素原子数2~6の直鎖、分枝鎖又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基をいう。「C2-6アルケニル(基)」としては、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-シクロヘキセニル等が挙げられる。「C2-6アルケニル(基)」は、さらにハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよい。
「C6-10アリール(基)」とは、炭素原子数6~10の1価の芳香族炭化水素基をいう。「C6-10アリール(基)」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル等が挙げられる。「C6-10アリール(基)」は、さらにハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよい。
「C7-15アラルキル(基)」とは、1又は2個以上のC6-10アリール基で置換されたC1-6アルキル基であって炭素原子数7~15のものをいう。「C7-15アラルキル(基)」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、2-ナフチルメチル等が挙げられる。「C7-15アラルキル(基)」は、さらにハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよい。
「ハロゲン原子」としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
「C2-6アルキレン基」とは、炭素原子数2~6の直鎖、分枝鎖又は環状の2価の脂肪族飽和炭化水素基をいう。「C2-6アルキレン基」としては、例えば、-CH-CH-、-CH(CH)-、-CH-CH-CH-、-CH-CH(CH)-、-CH(CH)-CH-、-C(CH)-、-CH-CH-CH-CH-、-CH-CH-CH(CH)-、-CH-CH(CH)-CH-、-CH(CH)-CH-CH-、-CH-C(CH)-、-C(CH)-CH-等が挙げられる。「C2-6アルキレン基」は、炭素原子数2又は3であるC2-3アルキレン基であることが好ましい。
代表的なシクロデキストリン類としては、具体的に、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン等の未変性(上述した式にてR、R及びRが何れもヒドロキシ基)のシクロデキストリン;3-アミノ-3-デオキシ-α-シクロデキストリン、3-アミノ-3-デオキシ-β-シクロデキストリン、3-アミノ-3-デオキシ-γ-シクロデキストリン、2-アミノ-2-デオキシ-α-シクロデキストリン、2-アミノ-2-デオキシ-β-シクロデキストリン、2-アミノ-2-デオキシ-γ-シクロデキストリン等のアミノ化シクロデキストリン等が挙げられる。
実施形態に係る複合体には、上述したシクロデキストリン類のうち、γ-シクロデキストリンのような八員環型シクロデキストリンを含むことが望ましい。グルコースユニットを8つ含む(上述した式にてn=8である)八員環型シクロデキストリンは、疎水性の内孔にボロン酸型プローブを2分子包括することができる。また、八員環型シクロデキストリンに包括された2つのボロン酸型プローブ分子は、二量体を形成できる。ここでいう八員環型シクロデキストリンは、未変性(R、R及びRが何れもヒドロキシ基)のγ-シクロデキストリンに限られない。即ち、上述したとおり、R、R及びRは、それぞれ独立して、置換基で置換されていても良い。以降、複合体を説明するうえで複合体が含む八員環型シクロデキストリンを代表してγ-シクロデキストリンを具体例として挙げるが、以下の詳細はγ-シクロデキストリン以外の八員環型シクロデキストリンについても適用することができる。
ボロン酸型プローブの具体例としては、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(3-フルオロ-4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(3-フルオロ-4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸、及び(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸を挙げることができる。
(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸および(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸の構造は、下記のとおりである。
(3-フルオロ-4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸および(3-フルオロ-4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸の構造は、下記のとおりである。
(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸および(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸の構造は、下記のとおりである。
上記ボロン酸型プローブの中でも、(3-フルオロ-4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(3-フルオロ-4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸、及び(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸からなる群より選択される1つを包括した複合体では、水を90%以上含んだ水溶媒を含み、且つ、pH6以上の水溶液においてグルコースに対する蛍光認識を発揮できる。即ち、例えば、水含有量98%でpH7.4の水溶液等、生体内と近しい環境にて蛍光認識が可能である。
γ-シクロデキストリンの疎水性内孔へのボロン酸型プローブ分子の包接は容易に行うことができる。加熱が不要なだけでなく、カラム精製など多くの時間やコストを要する手法を用いなくとも精製することができる。
ボロン酸型プローブ分子と、ボロン酸型プローブ分子に対し500分子等量のγ-シクロデキストリンとを、水溶媒中に溶解させる。γ-シクロデキストリンとボロン酸型プローブとを含んだ溶液を、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)/水(体積比2/98)混合溶媒中で室温で撹拌することでボロン酸型プローブ/γ-シクロデキストリン複合体(プローブ/γ-CyD)の溶液が得られる。
各種測定結果より見積もられた複合体の化学構造の一部を例示する。
図1に、γ-シクロデキストリン(以降、γ-CyD)に(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸(以降、プローブ1)を包括した複合体(以降、1/γ-CyD)を表す概念図を示す。図中、γ-CyDを中空の円錐台で表し、この円錐台を部分的に透過してγ-CyDの空孔内にプローブ1のうち少なくともピレン基の部分が内包されていることを図示している。2分子のプローブ1のそれぞれのピレン基がγ-CyDの空孔内で重なり、二量体を形成した状態になっている。γ-CyDを表す円錐台の底面側から各プローブ1が空孔外へ部分的に突出している。突出している部分の末端に、ボロン酸基が位置する。なお、円錐台形状の底面側に、γ-CyDを構成する各グルコースユニットのうち上記式で示したR及びRが位置する。また、円錐台形状の上面側(円錐を切断して円錐台としたと仮定した場合の切断面)にRが位置する。
図2及び図3に、γ-CyDに(3-フルオロ-4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸(以降、プローブ2)を包括した複合体(以降、2/γ-CyD)及びγ-CyDに(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸(以降、プローブ3)を包括した複合体(以降、3/γ-CyD)をそれぞれ表す概念図を示す。1/γ-CyDと同様に、2/γ-CyD及び3/γ-CyDにおいて、プローブ2及びプローブ3がそれぞれ、γ-CyDの空孔内に少なくともピレン基の部分が内包され、他の一部が空孔外へ突出する状態になっている。例を図示しないが、ピレン基の代わりにアントラセン基を有する各プローブを包括する複合体では、2つのプローブの各々のうちアントラセン基の部分がγ-CyDの空孔内に内包され、残部が空孔外へ突出する状態になる。なお、ボロン酸基は、酸性側の環境下では上記プローブ構造にて示した三配位ボロン酸基の構造を取り、塩基性側の環境下では図1から図3に示した構造の四配位ボロン酸イオン基に構造変化する。
係る複合体の、D-グルコースに対する蛍光応答のスキームを示す。下記スキームでは、具体例として塩基性条件下の1/γ-CyDの蛍光応答を表す。
係る複合体が認識するグルコース等の糖が系内に含まれていない状態においても、1/γ-CyDの空孔内で2つのプローブ1のピレン基同士が二量体化した状態にある。しかし、プローブ1はγ-CyDに強く結合しているわけではないため、プローブ1の分子振動の影響でピレン二量体より発せられる蛍光は弱い。D-グルコースの存在下では、γ-CyDに内包された二分子のプローブ1のうちγ-CyDの空孔外に突出した部分の末端に在る四配位ボロン酸イオン基がグルコースと結合する。分子振動が抑制されることで、複合体は強いピレン二量体蛍光を示す。
各プローブ末端の四配位ボロン酸イオン基はL-グルコースにも結合するものの、L-グルコースと結合した際の1/γ-CyDからの蛍光強度は、D-グルコースと結合した場合の蛍光強度と比較して大幅に少ない。γ-CyDの空孔のキラリティーに起因して、2つのプローブ1がL-グルコースと結合している場合のピレン基の重なり方は、D-グルコースと結合している場合のピレン基の重なり方と異なる。そのため、ピレン二量体蛍光の強度に差が生じる。
このとおり、係る複合体のグルコースに対する蛍光応答には、鏡像異性体間の選択性がある。異性体間の蛍光応答の差が大きく、D-グルコースの目視による検出が可能である。
上記スキームでは、複合体により認識するキラル糖分子としてグルコースを例示したが、キラル認識の対象のキラル糖分子はグルコースに限られない。対象のキラル糖分子は、例えば、グルコース、グルコース部位を持つ糖類、及びグルコース部位を持つ蛋白質から成る群より選択される1以上を含む。これらキラル糖分子のD-異性体およびL-異性体の間で、複合体は異なる応答性を示す。
また、両異性体が共存している系においては、各異性体の混合割合に応じて複合体からの蛍光強度が異なる。そのため、複合体を用いて異性体の混合比を次のとおり判定することができる。糖分子の一方の異性体と他方の異性体との混合比の検量線を準備する。検量線を用いて蛍光の強度から糖分子における異性体の混合比を判定する。
以上説明したキラル認識方法、並びに当該方法に用いる各種複合体には、例えば、次のような用途に適用可能である。当然ながら、係る認識方法および複合体の用途は下記のものに限られない。
上記キラル認識方法に用いることのできる複合体の適用例として、D-グルコースのキラル純度の簡単な判定のための分析試薬を挙げることができる。有機化合物の各鏡像異性体は、それぞれ大きく異なる生理活性を有することが多い。即ち、創薬や生理学の現場において、グルコースを原料や中間体とした薬剤・イメージングバイオマーカーを開発する際、グルコースの光学純度に注意することは重要である。係るキラル認識方法では上述したようにD-グルコースとL-グルコースとの混合比の定量的な判定も可能であるため、好適に利用できる。
また、上述した複合体のキラル認識能を利用して、L-グルコースの精製システムの基盤となり得る高分子材料を構成できる。例えば、γ-CyDをモノマーとして重合化することでゲルを得ることができ、各種プローブを包括した状態でもγ-CyDの重合化が可能である。そのため、上述した複合体を含んだゲルを構成することができる。複合体を用いて得られたゲルは、D-グルコースに対する選択的な吸着能を有する。
L-グルコースはD-グルコースと同程度の甘味を持つ一方で、体内で代謝されない。そのため、L-グルコースは低カロリーの甘味材料として注目されている。しかし天然に豊富に存在するD-グルコースと比較して、L-グルコースははるかに高価である。例えば、L-グルコースの価格は、D-グルコースの価格の500倍近くにもなる場合がある。捕集システムの開発により、L-グルコースの低価格化が期待できる。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。また、以下に説明する操作は、何れも常温常圧(約25℃、1気圧)の環境で行った。
(実施例1)
下記スキームに示すとおり、プローブ3((4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸)を二段階反応により合成した。具体的には、5-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピコリン酸と1-アミノピレンとトリエチルアミン(TEA)とを物質量比1:1:2でエタノールに溶解させた。1時間攪拌後、得られた溶液に4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチル モルフォリニウムクロリド(DMT-MM)を物質量比で約2等量加え、常温にて4日間撹拌した。その後、得られた懸濁液をろ紙を通してろ過し、固体状のろ物を回収した。酸性条件のアセトニトリル/水混合溶液に回収した固体を分散し、1日間撹拌した。その後、得られた懸濁液をろ紙を通してろ過し、水、アセトニトリルでろ物を洗浄し、真空下で乾燥させることで、プローブ3を得た。
以上のとおり、加熱・カラム精製が不要である簡単な操作で、プローブ合成を達成した。
上記のとおり合成したプローブ3とγ-CyDとを物質量比1:500で水に透過し、溶液を得た。溶液を、5分間撹拌した後、得られた複合体3/γ-CyDを含んだ溶液を用いて、グルコース(D-グルコース及びL-グルコース)の蛍光認識を評価した。
実施例1で合成した3/γ-CyDは、水を98体積%及びジメチルスルホキシド(DMSO)を2体積%含むpH 7.4の溶媒中でD-グルコースを認識して蛍光強度の増大を示した。蛍光スペクトルを図4に示す。
また、水を98%含むpH 7.4の溶媒中でD-グルコースの高いキラル識別能が確認された。図5にグルコース濃度に対する波長494nmの蛍光強度をプロットしたグラフを示す。グラフに示すとおりD/L-グルコース間で顕著な応答性の違いが見られた。
(実施例2)
下記スキームに示すとおり、プローブ2((3-フルオロ-4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸)を一段階反応により合成した。具体的には、3-フルオロ-4-カルボキシフェニルボロン酸と1-アミノピレンとを物質量比1:1でメタノールに溶解させた。得られた溶液にDMT-MMを物質量比で約2等量加え、常温にて3日間撹拌した。その後、得られた懸濁液をろ紙を通してろ過し、水、メタノールでろ物を洗浄し、真空下で乾燥させることで、プローブ2を得た。
上記のとおり合成したプローブ2をプローブ3の代わりに用いた以外は、実施例1と同じ手順を行うことで、複合体2/γ-CyDの溶液を得た。
実施例2で合成した2/γ-CyDも、水を98体積%及びDMSOを2体積%含むpH 7.4の溶媒中でD-グルコースの高いキラル識別能を示した。図6にグルコース濃度に対する波長500nmの蛍光強度をプロットしたグラフを示す。グラフに示すとおり、2/γ-CyDでもD/L-グルコース間で応答性の違いが見られた。
(実施例3)
下記スキームに示すとおり、プローブ3((4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸)を一段階反応により合成した。具体的には、4-カルボキシフェニルボロン酸と1-アミノピレンとを物質量比1:1でメタノールに溶解させた。得られた溶液にDMT-MMを物質量比で3等量加え、常温にて2.5時間撹拌した。その後、得られた懸濁液をメンブレンフィルタを通してろ過し、メタノールでろ物を洗浄し、真空下で乾燥させることで、プローブ1を得た。
上記のとおり合成したプローブ1をプローブ3の代わりに用いた以外は、実施例1と同じ手順を行うことで、複合体1/γ-CyDの溶液を得た。
実施例3で合成した1/γ-CyDは、水を98体積%及びDMSOを2体積%含むpH11.3の溶媒中でD-グルコースの高いキラル識別能を示した。図8にグルコース濃度に対する波長496nmの蛍光強度をプロットしたグラフを示す。グラフに示すとおり、1/γ-CyDでもD/L-グルコース間で応答性の違いが見られた。
実施例1-3で合成した何れの複合体についても、D/L-グルコース混合物の共存下において、D-グルコースの割合が増加するに従い、超分子複合体の蛍光強度が増大した。図8及び図9に、実施例1で合成した3/γ-CyD及び実施例2で合成した2/γ-CyDのそれぞれについて測定したD-グルコースの混合割合に対する波長494nmの蛍光強度をプロットしたグラフを示す。図8及び図9の各グラフにおいて、D-グルコースとL-グルコースの総濃度(CDglu + CLglu)はそれぞれ0.1 mMと0.5 mMである。これらの結果から、係る複合体を用いれば検量線からD/L-グルコースの混合比を判定できることがわかる。
以上のとおり、単純な構造のボロン酸型プローブとシクロデキストリンが形成するキラルな超分子複合体によって、水中でのD-グルコースの高感度なキラル蛍光認識を可能にした。係る複合体は、多量の水(98%)を含む溶媒中でD-グルコースを特異的にキラル認識して蛍光強度の増大を示すことを明らかにした。特に(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸または(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸を含んだ複合体では、D/L-グルコースそれぞれの共存時の蛍光強度を比較したとき、約5~6倍の強度の差が生み出されるという大きな蛍光応答の違いを示した。
係るキラル認識方法は、キラルな空孔を持つシクロデキストリンと単純な構造のボロン酸型プローブの超分子複合体によって、水中でのD-グルコースのキラル認識を可能にする方法である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。

Claims (7)

  1. キラル糖分子のキラル認識方法であって、
    前記キラル糖分子の異性体に対し前記異性体間で異なる応答性を示す複合体を前記キラル糖分子を含む水溶液に加えることと、
    前記異性体に対する前記複合体の応答による蛍光に基づいて前記キラル糖分子の前記異性体を認識することとを含み、
    前記複合体は八員環型シクロデキストリンと前記八員環型シクロデキストリンに包括されているボロン酸型プローブとを含む、キラル認識方法。
  2. 前記ボロン酸型プローブは、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(3-フルオロ-4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(3-フルオロ-4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸、及び(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸からなる群より選択される1つである、請求項1に記載のキラル認識方法。
  3. 前記ボロン酸型プローブは、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸、および(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸からなる群より選択される1つである、請求項1に記載のキラル認識方法。
  4. 前記ボロン酸型プローブは、(3-フルオロ-4-(ピレン-1-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(3-フルオロ-4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル)フェニル)ボロン酸、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸、及び(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸からなる群より選択される1つであり、
    前記水溶液は水を90%以上含んだ水溶媒を含み、前記水溶液のpHは6以上である、請求項1に記載のキラル認識方法。
  5. 前記キラル糖分子はグルコース、グルコース部位を持つ糖類、及びグルコース部位を持つ蛋白質から成る群より選択される1以上を含み、前記キラル糖分子の前記異性体はD-異性体およびL-異性体を含む、請求項1-4の何れか1項に記載のキラル認識方法。
  6. 前記キラル糖分子の前記異性体の一方と他方との混合比の検量線を準備することと、
    前記検量線を用いて前記蛍光の強度から前記キラル糖分子における前記異性体の混合比を判定することとをさらに含む、請求項1-4の何れか1項に記載のキラル認識方法。
  7. 八員環型シクロデキストリンと、
    前記八員環型シクロデキストリンに包括されており、(4-(ピレン-1-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸および(4-(アントラセン-2-イル-カルバモイル))-3-ピリジルボロン酸からなる群より選択される1つのボロン酸型プローブと、
    を含む複合体。
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