JP2024024595A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ECRプラズマ技術の有用性を高める。【解決手段】成膜装置1では、円筒ターゲット装着部27に装着された円筒ターゲットTAにイオン(ECRプラズマを構成するイオン)を衝突させることにより飛び出した第1ターゲット粒子を堆積させるとともに、円盤ターゲット装着部31に装着された円盤ターゲットTA2にイオン(ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを構成するイオン)を衝突させることにより飛び出した第2ターゲット粒子を基板SUBの表面に堆積させる。【選択図】図5

Description

本発明は、成膜装置および成膜技術に関し、例えば、プラズマを利用して基板に膜を形成する技術に適用して有効な技術に関する。
特開2005-281726号公報(特許文献1)および特許第7018702号公報(特許文献2)には、試料基板上に、蒸着法またはスパッタリング法に代表される物理的気相成長法による成膜と、電子サイクロトロン共鳴を利用したプラズマ照射とを同時に実施する成膜装置に関する技術が記載されている。
特開2005-281726号公報 特許第7018702号公報
電子サイクロトロン共鳴現象(Electron Cyclotron Resonance:ECR)で発生させたECRプラズマを利用して、ECRプラズマの周囲に配置した円筒ターゲットにECRプラズマに含まれるイオンを衝突させることにより、円筒ターゲットから飛び出したターゲット粒子を基板上に付着させて膜を形成するECRスパッタリング技術がある。
このECRスパッタリング技術では、低エネルギー、かつ、高密度のイオン照射のもとで膜を形成することが可能であることから、基板上に高品質な膜を形成することができるメリットがある。一方、ECRスパッタリング技術では、一般的なマグネトロンスパッタリング技術などに比べて、基板に飛来するターゲット粒子の密度が低い結果、基板上に形成される膜の成膜速度が遅いというデメリットがある。
この点に関し、ECRスパッタリング技術のデメリットを克服するための工夫を施してECRスパッタリング技術の有用性を高めるアプローチが考えられる。ただし、ECRスパッタリング技術の有用性を高めるアプローチとしては、これだけでなく、ECRスパッタリング技術に存在するデメリットをメリットに替える工夫を施すことも考えられる。
そこで、本発明者は、ECRスパッタリング技術に存在するデメリットをメリットに替えるための工夫を施すアプローチを採用している。そして、このアプローチを採用する場合において、ECRスパッタリング技術の有用性を高めるための工夫が望まれている。
例えば、パワー半導体の分野や半導体レーザの分野では、化合物半導体材料を使用した半導体素子の開発が進められている。具体的な化合物半導体材料として、窒化ガリウム(GaN)がある。窒化ガリウムは、シリコンと比較してバンドギャップが大きいことから、シリコンよりも絶縁破壊電界強度が大きいという性質を有する。また、窒化物半導体材料は、バンドギャップが大きいことに起因して、電子が伝導帯から価電子帯に遷移した際、紫外領域に含まれる波長を有する光を射出する性質を有している。
したがって、例えば、パワー半導体の分野に着目すると、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワートランジスタを窒化ガリウムから構成することが検討されている。なぜなら、窒化ガリウムを使用したパワートランジスタでは、シリコンよりもバンドギャップが大きいことに起因して、シリコンを使用したパワートランジスタと同じ耐圧を非常に薄い耐圧層で実現することができるからである。つまり、耐圧層の厚さを薄くすることができるということは、オン抵抗を低減できることを意味するため、窒化ガリウムを使用したパワートランジスタでは、互いにトレードオフの関係にある耐圧の向上とオン抵抗の低減とを両立できる点で優れている。
また、例えば、半導体レーザの分野に着目すると、紫外領域に含まれる波長を有する半導体レーザをAlGaNから構成することにより実現することも行われている。
ここで、窒化ガリウムを使用した半導体素子を実現するにあたっては、窒化ガリウムを母材とするn型半導体材料、p型半導体材料およびAlGaNなどが使用される。
具体的には、窒化ガリウムにn型不純物(ドナー)であるシリコンを添加したn型半導体材料、窒化ガリウムにp型不純物(アクセプタ)であるマグネシウムを添加したp型半導体材料および窒化ガリウムにアルミニウムを添加したAlGaNなどが使用される。
ここでは、具体的に半導体材料として窒化ガリウム(化合物半導体材料)を例に挙げて説明したが、これに限定されることなく幅広い半導体材料を使用するパワートランジスタや半導体レーザなどに代表される半導体素子において、半導体素子の性能を確保するためには、導電型不純物の組成比を高精度に制御した半導体膜を使用する必要がある。
この点に関し、ECRスパッタリグ技術を使用することにより、組成比を高精度に制御した半導体膜の成膜技術を実現することができれば、ECRスパッタリング技術の有用性を高めることができる。このことから、例えば、組成比を高精度に制御した半導体膜の成膜技術を実現する点に着目して、ECRスパッタリング技術の有用性を高めるための工夫が望まれている。
一実施の形態における成膜装置は、ECRプラズマを発生させる第1プラズマ発生部と、第1プラズマ発生部で発生させたECRプラズマを構成するイオンを衝突させる円筒ターゲットを装着可能な円筒ターゲット装着部と、を備える。そして、成膜装置は、ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを発生させる第2プラズマ発生部と、第2プラズマ発生部で発生させたプラズマを構成するイオンを衝突させる円盤ターゲットを装着可能な円盤ターゲット装着部と、を備える。さらに、成膜装置は、円筒ターゲット装着部に装着された円筒ターゲットにイオンを衝突させることにより飛び出した第1ターゲット粒子を堆積させるとともに、円盤ターゲット装着部に装着された円盤ターゲットにイオンを衝突させることにより飛び出した第2ターゲット粒子を堆積させる基板を配置可能な試料台を備える。
一実施の形態における成膜方法は、円筒ターゲットを円筒ターゲット装着部に装着する工程と、円盤ターゲットを円盤ターゲット装着部に装着する工程と、ECRプラズマを発生させる工程と、ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを発生させる工程と、を備える。さらに、成膜方法は、円筒ターゲット装着部に装着された円筒ターゲットに、ECRプラズマを構成する第1イオンを衝突させることにより飛び出した第1ターゲット粒子を基板に堆積させるとともに、円盤ターゲット装着部に装着された円盤ターゲットに、プラズマを構成する第2イオンを衝突させることにより飛び出した第2ターゲット粒子を基板に堆積させることにより、基板に第1ターゲット粒子および第2ターゲット粒子を成分とする膜を成膜する工程を備える。
一実施の形態によれば、ECRプラズマ技術の有用性を高めることができる。
成膜装置で使用される円筒ターゲットの外観構成を示す模式図である。 円盤ターゲットを使用する場合、基板にダメージを与えやすくなることを模式的に説明する図である。 円筒ターゲットを使用する場合、基板に与えるダメージを低減できることを説明する図である。 円筒ターゲットと円盤ターゲットのそれぞれを使用する場合のメリットとデメリットを示す表である。 具現化態様における成膜装置の模式的な構成を示す図である。 第1動作の流れを説明するフローチャートである。 第2動作の流れを説明するフローチャートである。 膜を成膜した基板において、SIMS分析を行った箇所を示す図である。 基板上に形成されたアモルファスシリコン膜の厚さと基板位置との関係を示すグラフである。 シリコン濃度と深さと関係を示すグラフである。 マグネシウム濃度と深さと関係を示すグラフである。 アルミニウム濃度と深さと関係を示すグラフである。
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
<円筒ターゲットのメリット>
ECRスパッタリング技術を具現化する成膜装置では、円筒ターゲットが使用される。一方、RFスパッタリング技術やマグネトロンスパッタリング技術に代表される一般的なスパッタリング技術を具現化する成膜装置では、円盤ターゲットが使用される。
図1は、成膜装置で使用される円筒ターゲットTAの外観構成を示す模式図である。
図1に示すように、円筒ターゲットTAは、円筒形状をしている。具体的に、円筒ターゲットTAは、例えば、銅材からなる円筒形状のバッキングチューブ(支持部材)100を有し、このバッキングチューブ100の内壁に、図示しないボンディング材(接着材)によって、円筒形状のターゲット部材110が接着されている。
このように構成されている円筒ターゲットTAによれば、一般的に使用されている円盤ターゲットを使用する場合に比べて、基板SUBに与えるダメージを低減することができる。以下に、この利点について説明する。
図2は、円盤ターゲットを使用する場合、基板SUBにダメージを与えやすくなることを模式的に説明する図である。図2において、基板SUBと対向するように、円盤ターゲットTA2が配置されている。この円盤ターゲットTA2は、支持部材120と、支持部材120上に配置されたターゲット部材130とを有している。ターゲット部材130は、正イオンを衝突させる部材であり、例えば、正イオンとしては、アルゴンイオン、窒素イオン、クリプトンイオンあるいはキセノンイオンなどを挙げることができる。
ここで、例えば、図2に示すように、運動エネルギーを有する正イオン140がターゲット部材130に衝突することにより、ターゲット部材130からターゲット粒子150が飛び出して、基板SUBの表面に付着する。これにより、基板SUBの表面にターゲット粒子150から構成される膜が形成されることになる。
ただし、このとき、ターゲット部材130に衝突した高いエネルギーを有する正イオン140も反跳されるが、図2に示すように、円盤ターゲットTA2を使用する場合、円盤ターゲットTA2と対向する位置に基板SUBが配置されている。したがって、図2に示すように、反跳した高いエネルギーを有する正イオン140も基板SUBに衝突しやすくなる。つまり、円盤ターゲットTA2を使用して、円盤ターゲットTA2と対向配置された基板SUBの表面上に膜を形成する場合、基板SUBの表面には、膜の構成要素となるターゲット粒子150だけでなく、反跳した高いエネルギーを有する正イオン140も衝突しやすくなるのである。
このことから、円盤ターゲットTA2を使用して、円盤ターゲットTA2と対向配置された基板SUBの表面上に膜を形成する構成の成膜装置では、高いエネルギーを有する反跳した正イオン140が基板SUBに衝突する確率が高くなる結果、高いエネルギーを有する反跳した正イオン140に起因して、基板SUBにダメージを与えやすくなる。
これに対し、図3は、円筒ターゲットTAを使用する場合、基板SUBに与えるダメージを低減できることを説明する図である。図3において、基板SUBと対向する位置に、円筒ターゲットTAが配置されている。そして、円筒ターゲットTAでは、円筒形状のバッキングチューブ100の内壁に、円筒形状のターゲット部材110が配置されている。したがって、図3に示す円筒ターゲットTAにおいては、基板SUBに対して、ターゲット部材110は、対向配置されていないことになる。
このとき、図3に示すように、円筒ターゲットTAにおいても、運動エネルギーを有する正イオン140が、ターゲット部材110に衝突することにより、ターゲット部材110からターゲット粒子150が飛び出して、基板SUBの表面にターゲット粒子150が付着する。この結果、円筒ターゲットTAを使用する場合にも、基板SUBの表面上に、ターゲット粒子150からなる膜を形成することができる。
一方、図3に示す円筒ターゲットTAでは、図2に示す円盤ターゲットTA2とは異なり、ターゲット部材110自体が、基板SUBと対向配置されていない。
このことから、図3に示すように、円筒ターゲットTAでは、ターゲット部材110に衝突した後に、高いエネルギーを有する反跳した正イオン140が基板SUBに衝突する確率が小さくなる。
したがって、円筒ターゲットTAを使用して基板SUBの表面上に膜を形成する構成の成膜装置では、反跳した正イオン140が基板SUBに衝突する確率が小さくなる結果、高いエネルギーを有する反跳した正イオン140が基板SUBに衝突することで基板SUBにダメージを与えることを低減することができる。
以上のことから、図3に示す円筒ターゲットTAによれば、一般的に使用されている円盤ターゲットTA2(図2参照)を使用する場合に比べて、基板SUBに与えるダメージを低減することができるというメリットが得られる。ただし、本発明者が検討したところ、円筒ターゲットTAを使用する成膜装置では、以下に示すデメリットがある。
<円筒ターゲットのデメリット>
図4は、円筒ターゲットと円盤ターゲットのそれぞれを使用する場合のメリットとデメリットとを示す表である。図4に示すように、円筒ターゲットを使用する場合は、円盤ターゲットを使用する場合に比べて、基板へのダメージを低減することができる。すなわち、円筒ターゲットを使用するメリットは、基板へのダメージを低減できる点である。
一方、図4に示すように、ターゲット価格、作製の容易性および成膜速度に関しては、円筒ターゲットよりも円盤ターゲットの方が優れている。言い換えれば、円筒ターゲットは、(1)円盤ターゲットよりも作製が困難である点、(2)円盤ターゲットを使用する場合よりも成膜速度が遅い点というデメリットが存在する。この点に関し、本発明者は、ECRスパッタリング技術に存在するデメリットをメリットに替えるための工夫を施すアプローチを採用することを前提として、このアプローチを採用する場合において、ECRスパッタリング技術の有用性を高めるための工夫を施している。以下では、この工夫を施した技術的思想を説明する。
<実施の形態における基本思想(上位概念)>
本実施の形態における基本思想は、基板に第1ターゲット粒子と第2ターゲット粒子とを堆積させることを前提として、第1ターゲット粒子の堆積に円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用する一方、第2ターゲット粒子の堆積に円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術を採用する思想である。
すなわち、基本思想は、ECRプラズマおよび円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術と、ECRプラズマとは密度の異なるプラズマおよび円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術とを組み合わせる思想である。
特に、成膜速度に着目すると、この基本思想は、基板に堆積させる膜を第1ターゲット粒子と第2ターゲット粒子の組み合わせから構成し、第1ターゲットとして成膜速度が要求されない材料を採用する一方、第2ターゲットとして成膜速度が要求される材料を採用する場合に有効である。なぜなら、この場合、第1ターゲット粒子として成膜速度が要求されない材料を採用することによって、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術のデメリットの1つである成膜速度が遅いことがデメリットではなくなるからである。つまり、成膜速度が要求される材料については、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を使用するのではなく、円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術を採用することにより成膜速度を確保できる。このことから、基本思想によれば、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術のデメリットの1つである成膜速度が遅いという点を顕在化させなくすることができる。そして、第1ターゲット粒子を基板に堆積する技術として、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用するメリットが存在すれば、ECRスパッタリング技術に存在するデメリットをメリットに替えるアプローチが実現されて、ECRスパッタリング技術の有用性を高めることができる。
また、ターゲットの作製容易性に着目すると、この基本思想は、基板に堆積させる膜を第1ターゲット粒子と第2ターゲット粒子の組み合わせから構成し、第1ターゲットとして円筒ターゲットを作製することが容易な材料を採用する一方、第2ターゲットとして円筒ターゲットを作製することが困難な材料を採用する場合にも有効である。なぜなら、第2ターゲットとして円筒ターゲットを作製することが困難な材料を採用する場合、第2ターゲットを円筒ターゲットから構成するのではなく、ターゲットの作製容易性に優れた円盤ターゲットを採用することによって、ターゲットの作製容易性を確保することができるからである。すなわち、第2ターゲットして円筒ターゲットを採用するのではなく、円盤ターゲットを採用することによって、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術のデメリットであるターゲットの作製困難性という点がデメリットではなくなるからである。つまり、円筒ターゲットを作製することが困難な材料については、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用するのではなく、円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術を採用することにより、ターゲットの作製困難性を回避できる。
このことから、基本思想によれば、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術のデメリットであるターゲットの作製困難性という点を顕在化させなくすることができる。そして、第1ターゲットについては、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用するメリットが存在すれば、ECRスパッタリング技術に存在するデメリットをメリットに替えるアプローチが実現されて、ECRスパッタリング技術の有用性を高めることができる。
<実施の形態における基本思想(中間概念)>
上述したように、成膜速度に着目すると、この基本思想は、基板に堆積させる膜を第1ターゲット粒子と第2ターゲット粒子の組み合わせから構成し、第1ターゲットとして成膜速度が要求されない材料を採用する一方、第2ターゲットとして成膜速度が要求される材料を採用する場合に有効である。
具体的には、例えば、基板に堆積する膜として、母材にドーピング材を添加した膜を対象とすることが考えられる。そして、この場合、基本思想は、ドーピング材の堆積に円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用する一方、母材の堆積に円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術を採用する思想ということができる。
ここで、ドーピング材は、基板に堆積する膜の主成分ではなく、添加成分である。このため、ドーピング材には、それほど成膜速度は要求されない。すなわち、ドーピング材は、成膜速度が要求されない材料ということができる。
これに対し、母材は、基板に堆積する膜の主成分であるため、母材の堆積には、成膜速度が速いことが要求される。つまり、母材は、成膜速度が要求される材料ということができる。したがって、母材にドーピング材を添加した膜を基板に堆積するために基本思想を適用すると、ドーピング材の堆積に円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用する一方、母材の堆積に円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術を採用することになる。これにより、第1ターゲット粒子として成膜速度が要求されないドーピング材を採用することによって、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術のデメリットの1つである成膜速度が遅いことがデメリットではなくなる。
言い換えれば、成膜速度が要求される母材については、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を使用するのではなく、円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術を採用することにより成膜速度を確保できる。
このことから、母材にドーピング材を添加した膜の堆積に基本思想を適用することによって、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術のデメリットの1つである成膜速度が遅いということは問題点とならない。そして、ドーピング材を基板に堆積する技術として、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用するメリットが存在すれば、ECRスパッタリング技術に存在するデメリットをメリットに替えるアプローチが実現されて、ECRスパッタリング技術の有用性を高めることができる。
具体的に、ドーピング材を基板に堆積する技術として、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用するメリットが存在する。以下に、この点について説明する。
例えば、母材基板に堆積する技術では、円盤ターゲットを使用したスパッタリング技術が採用される。具体的には、ECRプラズマとは密度が異なるプラズマを使用するスパッタリング技術であり、一例として、マグネトロンスパッタリング技術やRFスパッタリング技術(以下では、一般的なスパッタリング技術と呼ぶことがある)を挙げることができる。この一般的なスパッタリング技術では、スパッタリング電源からターゲットに大きな電力が供給される。なぜなら、一般的なスパッタリング技術では、スパッタリング電源からターゲットに供給される大きな電力を利用してプラズマを生成するからである。このことから、例えば、一般的なスパッタリング技術を使用して、ドーピング材を基板に堆積する場合、円盤ターゲットに大きな電力が印加されることに起因して、ドーピング材の添加濃度を小さく制御することが難しい。すなわち、ドーピング材の添加量は微量であることから、一般的なスパッタリング技術では、ドーピング材の添加量(微量)をスパッタリング電源から供給される大きな電力で精度良く制御することは困難である。
これに対し、ドーピング材を基板に堆積する技術として、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用する場合、ECRスパッタリング技術では、電子サイクロトロン共鳴現象を利用して、ECRプラズマを生成する。このため、スパッタリング電源から円筒ターゲットに供給される電力は、一般的なスパッタリング技術でスパッタリング電源から円盤ターゲットに供給される電力に比べて小さくすることが可能である。なぜなら、ECRスパッタリング技術では、スパッタリング電源から円筒ターゲットに供給される電力でECRプラズマを生成するわけではないからである。
したがって、ECRスパッタリング技術では、スパッタリング電源から円筒ターゲットに供給される電力が小さくすることが可能なため、円筒ターゲットから飛び出すターゲット粒子(ドーピング材を構成する粒子)を少なくすることができる。このことは、スパッタリング電源から円筒ターゲットに供給される小さな電力によって、ドーピング材の添加濃度を小さく精度良く制御することが容易になることを意味する。すなわち、ECRスパッタリング技術では、スパッタリング電源から円筒ターゲットに供給される小さな電力を制御することによって、ドーピング材の添加量(微量)を精度良く制御することができるメリットがある。このように、基本思想によれば、成膜速度が遅いというECRスパッタリング技術に存在するデメリットは、ドーピング材を基板に堆積する技術として円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用することによって、ドーピング材の添加量(微量)を精度良く制御することができるメリットに変換される。この結果、基本思想によれば、ECRスパッタリング技術の有用性を高めることができる。
<実施の形態における基本思想(下位概念)>
上述したように、基本思想を適用するにあたっては、例えば、基板に堆積する膜として、母材にドーピング材を添加した膜が考えられる。さらに具体的には、母材として窒化ガリウム(GaN)を適用し、ドーピング材としてシリコン(Si)、マグネシウム(Mg)あるいはアルミニウム(Al)を適用することが考えられる。
ここで、窒化ガリウムは、半導体材料である。そして、窒化ガリウムにシリコンを添加すると、n型半導体材料を得ることができる一方、窒化ガリウムにマグネシウムを添加すると、p型半導体材料を得ることができる。また、窒化ガリウムにアルミニウムを添加すると、AlGaNを得ることができる。
このように、母材として窒化ガリウムを適用し、ドーピング材としてシリコン、マグネシウムあるいはアルミニウムを適用する場合、基本思想によれば、成膜速度が遅いというECRスパッタリング技術に存在するデメリットは、ドーピング材(シリコン、マグネシウム、アルミニウム)を基板に堆積する技術として円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用することによって、ドーピング材の添加量(微量)を精度良く制御することができるメリットに変換される。この結果、基本思想によれば、ECRスパッタリング技術の有用性を高めることができる。
さらに、ターゲットの作製容易性に着目すると、窒化ガリウムは、円筒ターゲットを作製することが困難な材料である。このため、基本思想を適用して、窒化ガリウムからなるターゲットを円筒ターゲットから構成するのではなく、ターゲットの作製容易性に優れた円盤ターゲットを採用することによって、ターゲットの作製容易性を確保することができる。すなわち、窒化ガリウムからなるターゲットして円筒ターゲットを採用するのではなく、円盤ターゲットを採用することによって、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術のデメリットであるターゲットの作製困難性という点がデメリットではなくなる。つまり、円筒ターゲットを作製することが困難な窒化ガリウムについては、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用するのではなく、円盤ターゲットを使用した一般的なスパッタリング技術を採用することにより、ターゲットの作製困難性を回避することができる。
一方、ドーピング材としてのシリコン、マグネシウムあるいはアルミニウムについては、円筒ターゲットを作製するコストが低いとともに作製が容易な材料である。このことから、ドーピング材としてのシリコン、マグネシウムあるいはアルミニウムを基板に堆積する技術については、円筒ターゲットを使用したECRスパッタリング技術を採用する。これにより、基本思想によれば、ドーピング材の添加量を精度良く制御することができる結果、ECRスパッタリング技術の有用性を高めることができる。
<具現化態様>
以下では、上述した基本思想を具現化した具現化態様について説明する。
<<成膜装置の構成>>
図5は、具現化態様における成膜装置1の模式的な構成を示す図である。
図5において、成膜装置1は、成膜室10を有している。成膜室10には、成膜対象物である基板SUBを配置するための試料台11が設けられている。試料台11は、試料台11を上下方向に移動させるための上下移動機構12と、試料台11に配置された基板SUBを回転させるための回転機構13とを備えている。また、試料台11は、基板SUBを加熱するための加熱機構を備えている。そして、成膜室10には、プロセスガスを導入するための供給口14aが設けられているとともに、成膜室10の圧力を真空状態に近づけるための真空排気機構14bが設けられている。
次に、成膜装置1は、成膜室10と接続されたECRスパッタリング部2を有している。このECRスパッタリング部2は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器20と、マイクロ波発振器20で発生したマイクロ波の伝搬経路となるマイクロ波導波管21と、マイクロ波をECRプラズマチャンバ25に導入するためのマイクロ波導入窓22を有している。そして、ECRスパッタリング部2は、マイクロ波導入窓22と接続されたECRプラズマチャンバ25を有しており、マイクロ波導入窓22から射出されたマイクロ波がECRプラズマチャンバ25の内部に導入されるようになっている。
ここで、具現化態様では、図5に示すように、マイクロ波が、ECRプラズマチャンバ25の側面から導入されるようになっている。すなわち、成膜装置1では、マイクロ波発振器20から分岐した一対のマイクロ波導波管21が設けられており、一対のマイクロ波導波管21のそれぞれにマイクロ波導入窓22が設けられている。
そして、マイクロ波導入窓22は、ECRプラズマチャンバ25の互いに対向する側面のそれぞれに設けられており、具現化態様における成膜装置1では、いわゆる「分岐結合型プラズマ源」が採用されている。
ECRプラズマチャンバ25の内部には、防着筒26が設けられている一方、ECRプラズマチャンバ25の周囲には、磁場を発生させるためのコイル23およびコイル24が配置されている。
ECRプラズマチャンバ25の内部には、例えば、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが導入されており、コイル24によって発生する磁場と、マイクロ波導入窓22から導入されたマイクロ波によって、混合ガスからECRプラズマが生成される。つまり、具現化態様では、マイクロ波発振器20、マイクロ波導波管21、マイクロ波導入窓22、コイル23、コイル24およびECRプラズマチャンバ25によって、ECRプラズマを生成するプラズマ発生部(第1プラズマ発生部)が構成されている。
このように、プラズマ発生部は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器20と、マイクロ波発振器20で発生させたマイクロ波を伝搬させるマイクロ波導波路であって、マイクロ波発振器20から分岐するように設けられた一対のマイクロ波導波管21と、一対のマイクロ波導波管21のそれぞれに設けられたマイクロ波導入窓22と、マイクロ波導入窓22からマイクロ波が導入されるECRプラズマチャンバ25と、を有し、マイクロ波導入窓22は、ECRプラズマチャンバ25の側面に設けられている。
続いて、ECRプラズマチャンバ25と接するように円筒ターゲットTAが配置されており、この円筒ターゲットTAは、円筒ターゲット装着部27に装着されている。ここで、円筒ターゲットTAは、ECRプラズマチャンバ25で発生させたECRプラズマを構成する正イオン(窒素イオンやアルゴンイオン)を衝突させる部品であり、円筒ターゲット装着部27に固定されている。そして、円筒ターゲット装着部27は、スパッタリング電源28と電気的に接続されており、スパッタリング電源28から電力が供給される。この結果、円筒ターゲット装着部27に固定されている円筒ターゲットTAに電力が供給される。したがって、スパッタリング電源28は、円筒ターゲットTAに電力を供給可能な電力供給部(第1電力供給部)として機能する。このスパッタリング電源28は、例えば、高周波電源、直流電源(DC電源)あるいは直流パルス電源から構成される。
次に、成膜装置1は、成膜室10と接続されたマグネトロンスパッタリング部3を有している。このマグネトロンスパッタリング部3は、円盤ターゲットTA2を装着可能な円盤ターゲット装着部31を有し、円盤ターゲット装着部31には、磁場発生部として機能する磁場生成用マグネット32が設けられている。
そして、円盤ターゲット装着部31は、スパッタリング電源33と電気的に接続されており、スパッタリング電源33から電力が供給される。この結果、円盤ターゲット装着部31に装着されている円盤ターゲットTA2に電力が供給される。したがって、スパッタリング電源33は、円盤ターゲットTA2に電力を供給可能な電力供給部(第2電力供給部)として機能する。このスパッタリング電源33は、例えば、高周波電源、直流電源(DC電源)あるいは直流パルス電源から構成される。
ここで、ECRスパッタリング部2でのECRプラズマの発生メカニズムと、マグネトロンスパッタリング部3でのプラズマ(ECRプラズマとは密度の異なるプラズマ)の発生メカニズムが相違することに起因して、スパッタリング電源28から円筒ターゲットTAに供給される第1電力値は、スパッタリング電源33から円盤ターゲットTA2に供給される第2電力値よりも小さい。すなわち、ECRプラズマは、スパッタリング電源28から円筒ターゲットTAに供給される電力ではなく、電子サイクロトロン共鳴現象を利用して発生するのに対し、マグネトロンスパッタリング部3でのプラズマは、スパッタリング電源33から円盤ターゲットTA2に供給される電力に基づいて発生する。このことから、スパッタリング電源28から円筒ターゲットTAに供給される第1電力値は、スパッタリング電源33から円盤ターゲットTA2に供給される第2電力値よりも小さくなる。
このように、マグネトロンスパッタリング部3では、スパッタリング電源33から円盤ターゲットTA2に供給される電力によって、ECRプラズマとは密度の異なるプラズマが発生する。すなわち、マグネトロンスパッタリング部3は、ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを発生させるプラズマ生成部(第2プラズマ生成部)として機能する。
円盤ターゲットTA2は、プラズマ発生部(第2プラズマ生成部)で発生させたプラズマを構成する正イオン(窒素イオンやアルゴンイオン)を衝突させる部品であり、磁場生成用マグネット32を介して、円盤ターゲット装着部31に固定されている。
なお、マグネトロンスパッタリング部3は、一般的なスパッタリング技術を実現するユニットの一例であり、例えば、マグネトロンスパッタリング部3に替えて、一般的なスパッタリング技術を実現するユニットをRFスパッタリング部、DCスパッタリング部、DCパルススパッタリング部などから構成することもできる。
このように構成されている成膜装置1では、円筒ターゲット装着部27に装着された円筒ターゲットTAにイオン(ECRプラズマを構成するイオン)を衝突させることにより飛び出したターゲット粒子(第1ターゲット粒子)を堆積させるとともに、円盤ターゲット装着部31に装着された円盤ターゲットTA2にイオン(ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを構成するイオン)を衝突させることにより飛び出したターゲット粒子(第2ターゲット粒子)を基板SUBの表面に堆積させる。
このとき、成膜装置1において、第1ターゲット粒子を基板SUBに堆積させる第1動作と、第2ターゲット粒子を基板SUBに堆積させる第2動作とが同時に行われるが、第1ターゲット粒子を基板SUBに堆積させる第1堆積速度は、第2ターゲット粒子を基板SUBに堆積させる第2堆積速度よりも遅い。
基板SUBに堆積する膜は、例えば、母材にドーピング材が添加された膜である。このとき、円筒ターゲットTAを構成する第1ターゲット粒子は、ドーピング材であり、円盤ターゲットTA2を構成する第2ターゲット粒子は、母材である。具体的な一例を示すと、母材は、窒化ガリウムである一方、ドーピング材は、シリコン、マグネシウムまたはアルミニウムのいずれかである。
なお、円筒ターゲット装着部27は、断面視において、試料台11の表面の法線軸VL1と円筒ターゲット装着部27の中心軸VL2とのなす第1角度θ1が有限値となるように傾斜配置されている。また、円盤ターゲット装着部31は、断面視において、法線軸VL1に対して、円筒ターゲット装着部27とは反対側に配置されているとともに、法線軸VL1と円盤ターゲット装着部31の中心軸VL3とのなす第2角度θ2が有限値となるように傾斜配置されている。このとき、例えば、第1角度θ1と第2角度θ2とが等しくなるように、円筒ターゲット装着部27と円盤ターゲット装着部31のそれぞれが、試料台11の法線軸VL1に対して傾斜配置されている。
以上のようにして、具現化態様における成膜装置1が構成されている。
<<成膜装置の動作>>
続いて、成膜装置1における成膜動作について説明する。
成膜装置1においては、ECRスパッタリング部2に基づく第1動作と、マグネトロンスパッタリング部3に基づく第2動作とが同時に行われる。これにより、例えば、n型窒化ガリウム膜、p型窒化ガリウム膜あるいはAlGaN膜を基板SUBに堆積できる。
以下では、始めに、ECRスパッタリング部2に基づく第1動作を説明する。
図6は、第1動作の流れを説明するフローチャートである。
まず、図5において、ECRプラズマチャンバ25(第1プラズマ生成部)には、例えば、窒素ガスとアルゴンガスの混合ガスが導入されている。そして、ECRプラズマチャンバ25の周囲に配置されているコイル24(磁場発生部)から磁場を発生させると、ECRプラズマチャンバ25に導入されている混合ガスに含まれる電子がローレンツ力を受けることにより、円運動する。このとき、電子の円運動の周期(あるいは周波数)と同じ周期(あるいは周波数)を有するマイクロ波(電磁波)がマイクロ波発振器20で発生しており、このマイクロ波がマイクロ波導波管21を介してマイクロ波導入窓22からECRプラズマチャンバ25に導入される。すると、円運動する電子とマイクロ波とが共鳴して、マイクロ波のエネルギーが円運動する電子に効率良く供給される(電子サイクロトロン共鳴現象)(図6のS101)。この結果、混合ガスに含まれる電子の運動エネルギーが大きくなって、混合ガスが、正イオンと電子とに分離する。これにより、正イオンと電子とからなるECRプラズマが生成される(図6のS102)。
次に、図5において、スパッタリング電源28から円筒ターゲットTAに対して、例えば、高周波電圧(高周波電力)を供給する。この場合、高周波電圧が供給された円筒ターゲットTAには、正電位と負電位とが交互に印加されることになる。ここで、ECRプラズマを構成する正イオンと電子のうち、円筒ターゲットTAに印加される高周波電圧に追従することができるのは、質量の軽い電子である一方、質量の重い正イオンは、高周波電圧に追従することができない。この結果、追従する電子を引き付ける正電位が電子の有する負電荷によって相殺される一方、負電位が残存するため、高周波電力の平均値は、0Vから負電位にシフトする。このことは、円筒ターゲットTAに対して高周波電圧が印加されているにも関わらず、あたかも、円筒ターゲットTAに負電位が印加されているとみなすことができることを意味している。これにより、正イオンは、平均的に負電位が印加されているとみなされる円筒ターゲットTAに引き付けられて、円筒ターゲットTAに衝突する(図6のS103)。
続いて、正イオンが円筒ターゲットTAに衝突すると、円筒ターゲットTAを構成する第1ターゲット粒子が正イオンの運動エネルギーの一部を受けとって、円筒ターゲットTAから成膜室10の内部空間に飛び出す(図6のS104)。
その後、成膜室10の内部空間に飛び出した第1ターゲット粒子の一部は、試料台11に配置されている基板SUBの表面に付着する(図6のS105)。そして、このような現象が繰り返されることによって、基板SUBの表面に多数の第1ターゲット粒子が付着する結果、基板SUBの表面上に第1ターゲット粒子が堆積する(図6のS106)。
以上のようにして、成膜装置1における第1動作が実現される。
次に、マグネトロンスパッタリング部3に基づく第2動作を説明する。
図7は、第2動作の流れを説明するフローチャートである。
まず、図5において、スパッタリング電源33から円盤ターゲット装着部31に電圧を印加する。これにより、円盤ターゲット装着部31に装着されている円盤ターゲットTA2に電圧が印加される(図7のS201)。一方、成膜室10の試料台11に配置されている基板SUBは、所定の電位(例えば、フローティング電位)に設定されている。したがって、円盤ターゲットTA2と基板SUBとの間には、電位差が生じる。この結果、円盤ターゲットTA2と基板SUBの間において、成膜室10に供給されている窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスがプラズマ化されてプラズマが生成される(図7のS202)。
ここで、図5に示すように、円盤ターゲット装着部31には、磁場生成用マグネット32が設けられており、この磁場生成用マグネット32によって、円盤ターゲットTA2の表面に磁場が発生する。そして、この磁場によって、プラズマは、円盤ターゲットTA2の表面近傍に集中する。これにより、プラズマを構成するイオンは、効率的に円盤ターゲットTA2に衝突する(図7のS203)。
続いて、イオンが円盤ターゲットTA2に衝突すると、円盤ターゲットTA2を構成する第2ターゲット粒子がイオンの運動エネルギーの一部を受けとって、円盤ターゲットTA2から成膜室10の内部空間に飛び出す(図7のS204)。
その後、成膜室10の内部空間に飛び出した第2ターゲット粒子の一部は、試料台11に配置されている基板SUBの表面に付着する(図7のS205)。そして、このような現象が繰り返されることによって、基板SUBの表面に多数の第2ターゲット粒子が付着する結果、基板SUBの表面上に第2ターゲット粒子が堆積する(図7のS206)。
以上のようにして、成膜装置1における第2動作が実現される。
成膜装置1においては、上述した第1動作と第2動作が同時に行われる。この結果、基板SUBの表面には、第1ターゲット粒子と第2ターゲット粒子の両方が堆積する。
例えば、第1ターゲット粒子がドーピング材であり、第2ターゲット粒子が母材である場合、基板SUBには、ドーピング材が添加された母材からなる膜が成膜される。
さらに、具体例を示すと、第1ターゲット粒子がシリコンであり、第2ターゲット粒子が窒化ガリウムである場合、基板SUBの表面には、n型窒化ガリウム膜が成膜される。一方、第1ターゲット粒子がマグネシウムであり、第2ターゲット粒子が窒化ガリウムである場合、基板SUBの表面には、p型窒化ガリウム膜が成膜される。また、第1ターゲット粒子がアルミニウムであり、第2ターゲット粒子が窒化ガリウムである場合、基板SUBの表面には、AlGaN膜が成膜される。
以上のようにして、成膜装置1を動作させることにより、例えば、以下の工程を有する成膜方法が実現される。すなわち、この成膜方法は、円筒ターゲットTAを円筒ターゲット装着部27に装着する工程と、円盤ターゲットTA2を円盤ターゲット装着部31に装着する工程と、ECRプラズマを発生させる工程と、ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを発生させる工程と、円筒ターゲット装着部27に装着された円筒ターゲットTAに、ECRプラズマを構成するイオンを衝突させることにより飛び出した第1ターゲット粒子を基板SUBに堆積させるとともに、円盤ターゲット装着部31に装着された円盤ターゲットTA2に、プラズマを構成するイオンを衝突させることにより飛び出した第2ターゲット粒子を基板SUBに堆積させることにより、基板SUBに第1ターゲット粒子および第2ターゲット粒子を成分とする膜を成膜する工程と、を備える。
<具現化態様における特徴>
次に、具体的態様における特徴点について説明する。
具体的態様における第1特徴点は、成膜装置1がECRスパッタリング部2とマグネトロンスパッタリング部3を備える点にある。すなわち、第1特徴点は、円筒ターゲットTAを使用したECRスパッタリング技術と、円盤ターゲットTA2を使用したマグネトロンスパッタリング技術とを組み合わせて、基板SUB上に膜を成膜する点にある。
この第1特徴点は、ドーピング材を添加した母材からなる膜を基板SUBに成膜する際に有効である。具体的に、ドーピング材を添加した母材からなる膜を基板SUBに成膜する際、円筒ターゲットTAをドーピング材から構成してドーピング材の堆積にECRスパッタリング技術を使用する一方、円盤ターゲットTA2を母材から構成して母材の堆積にマグネトロンスパッタリング技術を使用することによって第1特徴点を適用する。
これにより、ECRスパッタリング技術によれば、マグネトロンスパッタリング技術に比べて、ターゲットに印加する電圧を小さくすることが可能になることから、例えば、円筒ターゲットTAから飛び出す第1ターゲット粒子の量を少なくなるように制御することが容易となる。このことは、円筒ターゲットTAをドーピング材から構成する場合、ドーピング材の添加量を制御しやすくなることを意味する(第1メリット)。
一方、マグネトロンスパッタリング技術によれば、ECRスパッタリング技術よりも成膜速度が速い。このため、円盤ターゲットTA2を母材から構成して母材の堆積にマグネトロンスパッタリング技術を使用することにより、母材の成膜速度を確保できる(第2メリット)。ここで、ドーピング材は、母材に添加する物質であり、母材に比べて堆積量は少ないことから、成膜速度は要求されない。したがって、成膜速度が要求される物質は母材であり、第1特徴点によれば、母材の成膜速度を向上できる点で有用である。
以上のことから、第1特徴点によれば、上述した第1メリットと第2メリットの両方を得ることができるため、第1特徴点は、ドーピング材を添加した母材からなる膜を基板SUBに成膜する際に適用して特に有効な技術的思想である。
例えば、第1特徴点を使用することにより、n型窒化ガリウム膜(ドーピング材:シリコン、母材:窒化ガリウム)、p型窒化ガリウム膜(ドーピング材:マグネシウム、母材:窒化ガリウム)あるいはAlGaN膜(ドーピング材:アルミニウム、母材:窒化ガリウム)を基板SUBに成膜することができる。
このとき、第1特徴点によれば、窒化ガリウムのターゲットとして、円筒ターゲットTAではなく、円盤ターゲットTA2を使用することができる。この点に関し、窒化ガリウムの円筒ターゲットTAを作製することは困難である。このことから、窒化ガリウムのターゲットとして、円筒ターゲットTAではなく、円盤ターゲットTA2を使用する第1特徴点によれば、窒化ガリウムのターゲットを容易に作製できるメリットが得られる。
このように、第1特徴点によれば、ドーピング材を添加した窒化ガリウム膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法ではなく、スパッタリング技術を使用して形成できる技術的思想を提供している点で大きな技術的意義を有している。
続いて、具現化態様における第2特徴点は、例えば、図5に示すように、円筒ターゲット装着部27が、試料台11の表面の法線軸VL1と円筒ターゲット装着部27の中心軸VL2とのなす第1角度θ1が有限値となるように傾斜配置されている点にある。
これにより、第2特徴点によれば、円筒ターゲット装着部27と試料台11とを対向配置(θ1=0)とする場合に比べて、試料台11に配置される基板SUBに堆積する第1ターゲット粒子(ドーピング材)の均一堆積性を高めることができる。つまり、本発明者は、鋭意検討の結果、円筒ターゲット装着部27を試料台11に対して傾斜配置することにより、基板SUBに堆積する第1ターゲット粒子の均一堆積性を向上できることを新規な知見として獲得しており、この知見に基づいて、第2特徴点が採用されている。
同様に、第2特徴点は、例えば、図5に示すように、円盤ターゲット装着部31が、法線軸VL1に対して、円筒ターゲット装着部27とは反対側に配置されているとともに、法線軸VL1と円盤ターゲット装着部31の中心軸VL3とのなす第2角度θ2が有限値となるように傾斜配置されている点にある。
これにより、第2特徴点によれば、円盤ターゲット装着部31と試料台11とを対向配置(θ2=0)とする場合に比べて、試料台11に配置される基板SUBに堆積する第2ターゲット粒子(母材)の均一堆積性を高めることができる。つまり、本発明者は、鋭意検討の結果、円盤ターゲット装着部31を試料台11に対して傾斜配置することにより、基板SUBに堆積する第2ターゲット粒子の均一堆積性を向上できることを新規な知見として獲得しており、この知見に基づいて、第2特徴点が採用されている。
ここで、円盤ターゲットTA2を使用するマグネトロンスパッタリング部3による成膜工程では、円筒ターゲットTAを使用するECRスパッタリング部2による成膜工程よりも、基板SUBに与えるダメージが大きくなる。なぜなら、「<円筒ターゲットのメリット>」の欄で説明したように、円筒ターゲットTAを使用する場合、円盤ターゲットTA2を使用する場合に比べて、高エネルギーな反跳した正イオンが基板SUBに衝突する確率を低減できるからである。言い換えれば、円盤ターゲットTA2を使用する場合、円筒ターゲットTAを使用する場合に比べて、高エネルギーな反跳した正イオンが基板SUBに衝突する確率が高くなるため、高エネルギーな反跳した正イオンの衝突に起因する基板SUBへのダメージが大きくなる。
この点に関し、第2特徴点では、法線軸VL1と円盤ターゲット装着部31の中心軸VL3とのなす第2角度θ2が有限値となるように傾斜配置されている。つまり、第2特徴点により、円盤ターゲット装着部31と試料台11とが対向配置されていない。ここで、第2特徴点による傾斜配置にすると、対向配置よりも高エネルギーな反跳した正イオンが基板SUBに衝突する確率を低くすることができる。このことから、第2特徴点によれば、円盤ターゲットTA2を使用するマグネトロンスパッタリング部3による成膜工程においても、基板SUBへのダメージを小さくできるという効果も得られる。
次に、具体的態様における第3特徴点は、例えば、図5に示すように、ECRプラズマチャンバ25の側面にマイクロ波導入窓22が設けられている点にある。言い換えれば、第3特徴点は、ECRプラズマチャンバ25の側面からECRプラズマチャンバ25の内部にマイクロ波を導入する構成を採用している点にある。
これにより、第3特徴点によれば、成膜装置1の長期運用が可能となる利点が得られる。例えば、ECRプラズマチャンバ25の下部(底部)にマイクロ波導入窓を設ける構成が考えられる。この構成では、ECRプラズマチャンバ25の下部から、ECRプラズマチャンバ25の内部にマイクロ波が導入されることになる。
ここで、ECRプラズマチャンバ25の内部に発生したECRプラズマを構成する正イオンがECRプラズマチャンバ25の上部(出口)に設けられた円筒ターゲットTAに衝突することにより、円筒ターゲットTAからは第1ターゲット粒子が飛び出す。このとき、円筒ターゲットTAから飛び出した第1ターゲット粒子は、基板SUBだけでなく、ECRプラズマチャンバ25の内部やマイクロ波導入窓22にも付着する。
この点に関し、ECRプラズマチャンバ25の下部にマイクロ波導入窓を設ける構成では、円筒ターゲットTAから飛び出した第1ターゲット粒子がマイクロ波導入窓に付着しやすい。そして、マイクロ波導入窓に付着する第1ターゲット粒子が多くなると、マイクロ波導入窓からECRプラズマチャンバ25の内部にマイクロ波を導入することが困難となる。この結果、ECRプラズマチャンバ25の下部にマイクロ波導入窓を設ける構成では、成膜装置1の長期運用が困難となる。
これに対し、図5に示すように、ECRプラズマチャンバ25の側面にマイクロ波導入窓22を設ける構成では、ECRプラズマチャンバ25の下部にマイクロ波導入窓を設ける構成よりも、マイクロ波導入窓22に付着する第1ターゲット粒子の量が少なくなる。なぜなら、マイクロ波導入窓22の配置位置がECRプラズマチャンバ25の下部よりも側面にある方が第1ターゲット粒子の付着量が少なくなると考えられるからである。また、図5に示すように、ECRプラズマチャンバ25の側面には、防着筒26が設けられている結果、この防着筒26が、ECRプラズマチャンバ25の側面に設けられたマイクロ波導入窓22への第1ターゲット粒子の付着の抑制に寄与すると考えられるからである。
このようにして、具現化態様における第3特徴点によれば、マイクロ波導入窓22に付着する第1ターゲット粒子の量を低減できることから、マイクロ波導入窓22からのマイクロ波の射出が阻害されにくくなる。このことから、第3特徴点によれば、成膜装置1の長期運用が可能となる利点が得られる。
<効果の検証>
以下では、具現化態様によれば、ドーピング材を添加した母材からなる膜を成膜する際、ターゲットに印加する電力(電圧)を変化させることにより、ドーピング材の添加量を制御できることの検証結果について説明する。
図8は、膜を成膜した基板SUBにおいて、SIMS分析を行った箇所を示す図である。基板SUBは、例えば、8インチのウェハから構成されており、図8には、中心位置(0mm)、中心から20mmの位置、中心から40mmの位置、中心から60mmの位置および中心から80mmの位置が示されている。例えば、図5に示す成膜装置1において、シリコンからなる円筒ターゲットTAを使用する一方、円盤ターゲットTA2は使用せずに、基板SUB上にアモルファスシリコン膜を形成する。
図9は、基板SUB上に形成されたアモルファスシリコン膜の厚さと基板位置との関係を示すグラフである。図9に示すように、基板のいずれの位置においても、アモルファスシリコン膜の厚さが150.0nm程度であり、具現化態様によれば、均一にアモルファスシリコン膜が成膜されていることがわかる。特に、図9に基づくと、厚さ均一性は、±1.7%程度である。このように具現化態様における成膜装置1によれば、n型窒化ガリウム膜のドーピング材であるシリコンについて、基板SUB上に均一性の高い膜として形成できることが裏付けられている。
そこで、次に、図5に示す成膜装置1において、シリコンからなる円筒ターゲットTAを使用するとともに、窒化ガリウムからなる円盤ターゲットTA2を使用して、基板SUB上にシリコンを添加した窒化ガリウム膜(n型窒化ガリウム膜)を成膜する。
ここで、成膜装置1の動作中において(成膜中において)、円筒ターゲットTAに供給する電力を3段階で変化させている(パワーP1>パワーP2>パワーP3)。そして、中心位置(0mm)、中心から20mmの位置、中心から40mmの位置、中心から60mmの位置および中心から80mmの位置において、SIMS法を使用することにより、膜の深さ方向のシリコン濃度分布を測定している。
図10は、シリコン濃度と深さと関係を示すグラフである。
図10において、シリコンからなる円筒ターゲットTAに供給するパワー(電力)に応じて、膜におけるシリコン濃度が制御可能であることがわかる。例えば、パワーが大きいほど、膜中におけるシリコン濃度を高濃度とすることができることがわかる。また、図9に示すように、具現化態様における成膜装置1によれば、面内均一性の高いアモルファスシリコン膜が形成されることを反映して、図10においても、窒化ガリウム膜中のシリコン濃度分布も均一である。
以上のことから、具現化態様によれば、基板SUBのいずれの位置においても均一な膜厚のn型窒化ガリウム膜を成膜することができることが裏付けられている。また、具現化態様によれば、円筒ターゲットTAに供給するパワーを変化させることにより、n型窒化ガリウム膜中のシリコン濃度を制御できることも裏付けられている。したがって、成膜装置1は、任意のシリコン濃度を有するn型窒化ガリウム膜を高い面内均一性で基板SUB上に形成できる点で優れているということができる。
続いて、図5に示す成膜装置1において、マグネシウムからなる円筒ターゲットTAを使用するとともに、窒化ガリウムからなる円盤ターゲットTA2を使用して、基板SUB上にマグネシウムを添加した窒化ガリウム膜(p型窒化ガリウム膜)を成膜する例を説明する。
ここで、成膜装置1の動作中において(成膜中において)、円筒ターゲットTAに供給する電力を4段階で変化させている(パワーP1>パワーP2>パワーP3>パワーP4)。そして、中心位置(0mm)、中心から20mmの位置、中心から40mmの位置、中心から60mmの位置および中心から80mmの位置において、SIMS法を使用することにより、膜の深さ方向のマグネシウム濃度分布を測定している。
図11は、マグネシウム濃度と深さと関係を示すグラフである。
図11において、マグネシウムからなる円筒ターゲットTAに供給するパワー(電力)に応じて、膜におけるマグネシウム濃度が制御可能であることがわかる。例えば、パワーが大きいほど、膜中におけるマグネシウム濃度を高濃度とすることができることがわかる。また、窒化ガリウム膜中のマグネシウム濃度分布も均一である。
以上のことから、具現化態様によれば、基板SUBのいずれの位置においても均一な膜厚のp型窒化ガリウム膜を成膜することができることが裏付けられている。また、具現化態様によれば、円筒ターゲットTAに供給するパワーを変化させることにより、p型窒化ガリウム膜中のマグネシウム濃度を制御できることも裏付けられている。したがって、成膜装置1は、任意のマグネシウム濃度を有するp型窒化ガリウム膜を高い面内均一性で基板SUB上に形成できる点で優れているということができる。
次に、図5に示す成膜装置1において、アルミニウムからなる円筒ターゲットTAを使用するとともに、窒化ガリウムからなる円盤ターゲットTA2を使用して、基板SUB上にアルミニウムを添加した窒化ガリウム膜(AlGaN)を成膜する例を説明する。
ここで、成膜装置1の動作中において(成膜中において)、円筒ターゲットTAに供給する電力を4段階で変化させている(パワーP1>パワーP2>パワーP3>パワーP4)。そして、中心位置(0mm)、中心から20mmの位置、中心から40mmの位置、中心から60mmの位置および中心から80mmの位置において、SIMS法を使用することにより、膜の深さ方向のアルミニウム濃度分布を測定している。
図12は、アルミニウム濃度と深さと関係を示すグラフである。
図12において、アルミニウムからなる円筒ターゲットTAに供給するパワー(電力)に応じて、膜におけるアルミニウム濃度が制御可能であることがわかる。例えば、パワーが大きいほど、膜中におけるアルミニウム濃度を高濃度とすることができることがわかる。また、窒化ガリウム膜中のアルミニウム濃度分布も均一である。
以上のことから、具現化態様によれば、基板SUBのいずれの位置においても均一な膜厚のAlGaN膜を成膜することができることが裏付けられている。また、具現化態様によれば、円筒ターゲットTAに供給するパワーを変化させることにより、AlGaN膜中のアルミニウム濃度を制御できることも裏付けられている。したがって、成膜装置1は、任意のアルミニウム濃度を有するAlGaN膜を高い面内均一性で基板SUB上に形成できる点で優れているということができる。
以上のように、具現化態様によれば、ドーピング分布をパワーで制御可能である点と、ドーピング分布が良好である点とがSIMS分析で確認されている。特に、具現化態様における傾斜回転型の成膜装置は、高い均一性の膜厚分布が得られることに特徴があり、この特徴は、図10から図12に示すSIMS分析の結果で裏付けられている。
一般的なスパッタリング装置では、ターゲットに印加する電力を低下させると、安定的なプラズマを維持することが困難である。これに対し、具現化態様における成膜装置1では、ターゲットでのプラズマ生成ではなく、ECRプラズマ源でのプラズマ生成を行っている。このため、具現化態様における成膜装置1は、ターゲットに印加される電力が小さい条件であっても、安定的に膜へのドーピングが可能となる点で優れている。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
1 成膜装置
2 ECRスパッタリング部
3 マグネトロンスパッタリング部
10 成膜室
11 試料台
12 上下移動機構
13 回転機構
14a 供給口
14b 真空排気機構
20 マイクロ波発振器
21 マイクロ波導波管
22 マイクロ波導入窓
23 コイル
24 コイル
25 ECRプラズマチャンバ
26 防着筒
27 円筒ターゲット装着部
28 スパッタリング電源
31 円盤ターゲット装着部
32 磁場生成用マグネット
33 スパッタリング電源
100 バッキングチューブ
110 ターゲット部材
120 支持部材
130 ターゲット部材
140 正イオン
150 ターゲット粒子
SUB 基板
TA 円筒ターゲット
TA2 円盤ターゲット
VL1 法線軸
VL2 中心軸
VL3 中心軸
θ1 第1角度
θ2 第2角度

Claims (10)

  1. ECRプラズマを発生させる第1プラズマ発生部と、
    前記第1プラズマ発生部で発生させた前記ECRプラズマを構成する第1イオンを衝突させる円筒ターゲットを装着可能な円筒ターゲット装着部と、
    前記ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを発生させる第2プラズマ発生部と、
    前記第2プラズマ発生部で発生させた前記プラズマを構成する第2イオンを衝突させる円盤ターゲットを装着可能な円盤ターゲット装着部と、
    前記円筒ターゲット装着部に装着された前記円筒ターゲットに前記第1イオンを衝突させることにより飛び出した第1ターゲット粒子を堆積させるとともに、前記円盤ターゲット装着部に装着された前記円盤ターゲットに前記第2イオンを衝突させることにより飛び出した第2ターゲット粒子を堆積させる基板を配置可能な試料台と、
    を備える、成膜装置。
  2. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記円筒ターゲット装着部は、断面視において、前記試料台の表面の法線軸と前記円筒ターゲット装着部の中心軸とのなす第1角度が有限値となるように傾斜配置され、
    前記円盤ターゲット装着部は、断面視において、前記法線軸に対して、前記円筒ターゲット装着部とは反対側に配置されているとともに、前記法線軸と前記円盤ターゲット装着部の中心軸とのなす第2角度が有限値となるように傾斜配置されている、成膜装置。
  3. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記成膜装置は、
    前記円筒ターゲットに電力を供給可能な第1電力供給部と、
    前記円盤ターゲットに電力を供給可能な第2電力供給部と、
    を有し、
    前記第1電力供給部から供給される第1電力値は、前記第2電力供給部から供給される第2電力値よりも小さい、成膜装置。
  4. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記円盤ターゲット装着部は、磁場発生部を有する、成膜装置。
  5. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記基板に堆積する膜は、母材にドーピング材が添加された膜であり、
    前記円筒ターゲットを構成する前記第1ターゲット粒子は、前記ドーピング材であり、
    前記円盤ターゲットを構成する前記第2ターゲット粒子は、前記母材である、成膜装置。
  6. 請求項5に記載の成膜装置において、
    前記母材は、窒化ガリウムであり、
    前記ドーピング材は、シリコン、マグネシウムまたはアルミニウムのいずれかである、成膜装置。
  7. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記第1ターゲット粒子を前記基板に堆積させる第1堆積速度は、前記第2ターゲット粒子を前記基板に堆積させる第2堆積速度よりも遅い、成膜装置。
  8. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記成膜装置では、前記第1ターゲット粒子を前記基板に堆積させる第1動作と、前記第2ターゲット粒子を前記基板に堆積させる第2動作とが同時に行われる、成膜装置。
  9. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記第1プラズマ発生部は、
    マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器と、
    前記マイクロ波発振器で発生させた前記マイクロ波を伝搬させるマイクロ波導波路であって、前記マイクロ波発振器から分岐するように設けられた一対のマイクロ波導波管と、
    前記一対のマイクロ波導波管のそれぞれに設けられたマイクロ波導入窓と、
    前記マイクロ波導入窓から前記マイクロ波が導入されるプラズマチャンバと、
    を有し、
    前記マイクロ波導入窓は、前記プラズマチャンバの側面に設けられている、成膜装置。
  10. 円筒ターゲットを円筒ターゲット装着部に装着する工程と、
    円盤ターゲットを円盤ターゲット装着部に装着する工程と、
    ECRプラズマを発生させる工程と、
    前記ECRプラズマとは密度の異なるプラズマを発生させる工程と、
    前記円筒ターゲット装着部に装着された前記円筒ターゲットに、前記ECRプラズマを構成する第1イオンを衝突させることにより飛び出した第1ターゲット粒子を基板に堆積させるとともに、前記円盤ターゲット装着部に装着された前記円盤ターゲットに、前記プラズマを構成する第2イオンを衝突させることにより飛び出した第2ターゲット粒子を前記基板に堆積させることにより、前記基板に前記第1ターゲット粒子および前記第2ターゲット粒子を成分とする膜を成膜する工程と、
    を備える、成膜方法。
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