JP2024021944A - 自覚式検眼装置および自覚式検眼プログラム - Google Patents

自覚式検眼装置および自覚式検眼プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 被検眼の加入度検査を精度よく実行できる自覚式検眼装置および自覚式検眼プログラムを提供する。【解決手段】 被検眼の眼屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置であって、被検眼の眼前に配置され、視標光束の光学特性を変化させる矯正手段と、被検眼に対する少なくとも円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得する取得手段と、矯正手段を制御する制御手段と、を備え、矯正手段は、第1円柱レンズと第2円柱レンズとを含むストークスレンズを有し、制御手段は、被検眼の加入度検査において、第1円柱レンズと第2円柱レンズとの合成軸角度を円柱矯正量と乱視軸矯正量とに基づく所定の軸角度に変更し、合成軸角度は、被検眼を円柱矯正量および乱視軸矯正量にて矯正するために光学部材およびクロスシリンダレンズを配置することを想定した際に生じる乱視軸矯正量のずれ量を考慮した軸角度である。【選択図】 図1

Description

本開示は、被検眼の眼屈折力を自覚的に測定する自覚式検眼装置および自覚式検眼プログラムに関する。
被検者の眼前に光学部材を配置し、被検眼に光学部材を通した検査視標を呈示することによって、被検眼の眼屈折力等を測定する自覚式検眼装置が知られている。特許文献1では、光学部材として焦点距離の絶対値が等しく符号が異なる2枚の円柱レンズを用いて、視標光束の円柱屈折力および乱視軸角度を変更することによって、被検眼を矯正する円柱矯正量と乱視軸矯正量を変化させている。
特開2004-329450号公報
被検眼の自覚式測定では、被検眼の所定の検査距離での矯正量に対して加入度を付加する加入度検査が行われることがある。しかし、上記の2枚の円柱レンズを合成する場合、被検眼の球面矯正量にずれが発生し、正確な加入度を求められない可能性が考えられた。
本開示は、上記従来技術に鑑み、被検眼の加入度検査を精度よく実行することができる自覚式検眼装置および自覚式検眼プログラムを提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本開示は以下の構成を備えることを特徴とする。
(1) 本開示の第1態様に係る自覚式検眼装置は、被検眼の眼屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置であって、前記被検眼の眼前に配置され、視標呈示手段から出射した前記視標光束の光学特性を変化させる矯正手段と、前記被検眼に対する少なくとも円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得する取得手段と、前記矯正手段を制御する制御手段と、を備え、前記矯正手段は、前記眼前にて独立に回転可能な第1円柱レンズと第2円柱レンズとを含むストークスレンズを有し、前記制御手段は、前記被検眼の所定の検査距離での矯正量に対する加入度を測定する加入度検査において、前記ストークスレンズを制御し、前記第1円柱レンズと前記第2円柱レンズとの合成軸角度を、前記円柱矯正量と前記乱視軸矯正量とに基づく所定の軸角度に変更し、前記合成軸角度は、前記被検眼を前記円柱矯正量および前記乱視軸矯正量にて矯正するために、光学部材およびクロスシリンダレンズを配置することを想定した際に生じる前記乱視軸矯正量のずれ量を考慮した軸角度であることを特徴とする。
(2) 本開示の第2態様に係る自覚式検眼プログラムは、被検眼の眼前に配置され、視標呈示手段から出射した視標光束の光学特性を変化させる矯正手段であって、前記眼前にて独立に回転可能な第1円柱レンズと第2円柱レンズとを含むストークスレンズを有する矯正手段を備え、前記被検眼の眼屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置にて用いる自覚式検眼プログラムであって、前記自覚式検眼装置のプロセッサに実行されることで、前記被検眼の少なくとも円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得する取得ステップと、前記矯正手段を制御する制御ステップと、を前記自覚式検眼装置に実行させ、前記制御ステップは、前記被検眼の所定の検査距離での矯正量に対する加入度を測定する加入度検査において、前記ストークスレンズを制御し、前記第1円柱レンズと前記第2円柱レンズとの合成軸角度を、前記円柱矯正量と前記乱視軸矯正量とに基づく所定の軸角度に変更し、前記合成軸角度は、前記被検眼を前記円柱矯正量および前記乱視軸矯正量にて矯正するために、光学部材およびクロスシリンダレンズを配置することを想定した際に生じる前記乱視軸矯正量のずれ量を考慮した軸角度であることを特徴とする。
自覚式検眼装置の外観図である。 投光光学系の概略図である。 眼屈折力測定ユニットの概略図である。 レンズユニットの概略図である 従来のレンズユニットの概略図である。 円柱レンズディスクが有する円柱レンズと、クロスシリンダレンズと、の合成屈折力の変化を示す図である。 自覚式検眼装置の制御系の概略図である。 円柱レンズディスクが有する円柱レンズと、クロスシリンダレンズと、の合成屈折力の変化を示す図である。
<概要>
本開示の実施形態に係る自覚式検眼装置の概要について説明する。本実施形態では、自覚式検眼装置の左右方向をX方向、上下方向をY方向、前後方向(作動距離方向)をZ方向とする。符号に付されるL及びRは、それぞれ左眼用及び右眼用を示すものとする。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
本実施形態の自覚式検眼装置(例えば、自覚式検眼装置100)は、被検眼の眼屈折力を自覚的に測定するための装置である。例えば、被検眼の眼屈折力として、球面眼屈折力、円柱眼屈折力、乱視軸角度、等の少なくともいずれかを測定してもよい。もちろん、自覚式検眼装置は、眼屈折力に加えて、両眼視機能(例えば、プリズム量、立体視機能、等の少なくともいずれか)、コントラスト感度、等を測定してもよい。
なお、本実施形態の自覚式検眼装置としては、後述の視標呈示手段および矯正手段を備える構成を例に挙げるが、これに限定されない。自覚式検眼装置は、少なくとも矯正手段を備える構成であってもよい。例えば、矯正手段のみを有してもよいし、視標呈示手段と矯正手段をシステムとして有してもよい。
本実施形態の自覚式検眼装置は、視標呈示手段を備えてもよい。視標呈示手段は、被検眼に向けて視標光束を出射する。
例えば、視標呈示手段は、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ31)であってもよい。また、例えば、視標呈示手段は、光源およびDMD(Digital Micromirror Device)であってもよい。また、例えば、視標呈示手段は、光源および視標板であってもよい。
例えば、視標呈示手段からの視標光束は、被検眼に向けて直接的に導光されてもよい。また、例えば、視標呈示手段からの視標光束は、被検眼に向けて投光光学系(例えば、投光光学系30)を介して導光されてもよい。例えば、投光光学系は、視標呈示手段から出射された視標光束を経由させるための光学部材を、少なくとも1つ有してもよい。一例として、レンズ、ミラー、等の少なくともいずれかを有してもよい。
本実施形態の自覚式検眼装置は、矯正手段を備えてもよい。矯正手段は、被検眼の眼前に配置され、視標呈示手段から出射された視標光束の光学特性を変化させる。
矯正手段は、視標光束における球面屈折力、円柱屈折力、及び乱視軸角度、等の少なくともいずれかの光学特性を変化させることができる構成であればよい。一例として、矯正手段は、被検眼の眼前に検査窓(例えば、検査窓43)を介して光学部材(例えば、光学素子51)を切り換え配置する、眼屈折力測定ユニット(例えば、眼屈折力測定ユニット40)であってもよい。例えば、光学部材は、球面レンズ、円柱レンズ、可変焦点レンズ、クロスシリンダレンズ、ロータリプリズム、波面変調素子、等の少なくともいずれかであってもよい。もちろん、光学部材は、これらとは異なってもよい。また、例えば、眼屈折力測定ユニットは、複数の光学部材が同一円周上に配置されたレンズディスク(例えば、レンズディスク50)を有してもよい。なお、この場合、レンズディスクを制御するための駆動手段(例えば、駆動部52、駆動部53、等)を制御することによって、視標光束の光学特性が変化される。
<視標光束の球面屈折力の変更>
本実施形態において、矯正手段は、焦点距離が可変の可変光学部材を用いて、視標光束の球面屈折力を変更するための第1矯正手段と、光学部材を切り換えて配置し、視標光束の球面屈折力を変更するための第2矯正手段と、を有してもよい。
第1矯正手段は、視標光束の光路中に可変焦点部材が配置された状態において、可変焦点部材の焦点距離を変化させることで、視標光束の球面屈折力を変化させる構成である。例えば、第1矯正手段は、被検眼の眼前に、可変焦点部材を切り換えて配置してもよい。一例として、この場合には、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクに可変焦点部材が設けられてもよい。また、例えば、第1矯正手段は、被検眼の眼前に、可変焦点部材を固定配置してもよい。一例として、この場合には、眼屈折力測定ユニットの検査窓に可変焦点部材が常に配置されてもよい。例えば、可変焦点部材は、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、可変焦点部材は、可変焦点レンズであってもよい。可変焦点レンズとしては、液体レンズ、液晶レンズ、アルバレッツレンズ、等の少なくともいずれかを用いることができる。
第1矯正手段は、可変焦点部材を用いて、視標光束の球面屈折力を第1屈折力の範囲にて変化させることが可能であってもよい。すなわち、可変焦点部材を用いて、視標光束の球面屈折力を連続的に変化させることが可能であってもよい。
第2矯正手段は、視標光束の光路中に配置する光学部材を切り換えることで、視標光束の球面屈折力を変化させる構成である。例えば、第2矯正手段は、被検眼の眼前に、光学部材を切り換えて配置してもよい。一例として、この場合には、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクに光学部材が設けられてもよい。例えば、第2光学素子は、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、光学部材は、球面レンズであってもよい。なお、第2矯正手段の光学部材として可変焦点部材を用いる場合は、可変焦点部材の焦点距離を固定の距離とすればよい。
第1矯正手段が視標光束の球面屈折力を変更することが可能なステップは、第2矯正手段が視標光束の球面屈折力を変更することが可能なステップよりも、小さく構成されてもよい。例えば、第1矯正手段において、視標光束の球面屈折力を0.25D以下の単位で変更させ、第2矯正手段において、視標光束の球面屈折力を0.25Dよりも大きな単位で変更させてもよい。もちろん、球面屈折力のステップの値は一例であり、異なっていてもよい。これにより、第1矯正手段を用いて、視標光束の球面屈折力を第1屈折力の範囲で連続的に変化させることができる。また、第1矯正手段と第2矯正手段を組み合わせて用いて、視標光束の球面屈折力を第1屈折力よりも広い合成球面屈折力の範囲に拡大することが可能となり、視標光束の球面屈折力を合成屈折力の範囲で連続的に変化させることができる。
本実施形態の自覚式検眼装置は、判定手段(例えば、制御部70)を備えてもよい。判定手段は、視標光束の球面屈折力が変更された変更球面屈折力に基づいて、被検眼の眼前に第2矯正手段が有する光学部材を配置するか否かを判定する。言い換えると、視標光束の球面屈折力を変更させることによって変化させることが可能な、被検眼を矯正するための球面矯正量に基づいて、被検眼の眼前に第2矯正手段が有する光学部材を配置するか否かを判定する。例えば、判定手段は、視標光束の変更球面屈折力が、予め設定した所定の閾値を超えるか否かに基づいて、光学部材を配置するか否かを判定してもよい。例えば、所定の閾値は、固定の値であってもよいし、検者が任意の値を設定することができてもよい。これにより、第1矯正手段の可変焦点部材と、第2矯正手段の光学部材と、を必要に応じて適切に組み合わせることができる。
判定手段は、視標光束の変更球面屈折力と、第1矯正手段における第1屈折力の範囲と、に基づいて、被検眼の眼前に第2矯正手段が有する光学部材を配置するか否かを判定してもよい。この場合、視標光束の変更球面屈折力の閾値が、第1矯正手段の第1屈折力の範囲に基づいて、設定されてもよい。例えば、所定の閾値は、第1矯正手段の第1屈折力における最大値から最小値までの範囲であってもよい。また、例えば、所定の閾値は、第1矯正手段の第1屈折力における最大値の周辺の値から最小値の周辺の値までの範囲であってもよい。一例として、第1屈折力の最大値より1ステップ小さな値から最小値より1ステップ大きな値までの範囲であってもよい。これにより、被検眼の球面矯正量が高度数であるとき等、第1矯正手段を用いた視標光束の球面屈折力の調整のみでは対応できない場合が容易に把握され、第1矯正手段の可変焦点部材と、第2矯正手段の光学部材と、を適切に組み合わせることができる。
本実施形態の自覚式検眼装置は、制御手段(例えば、制御部70)を備えてもよい。制御手段は、矯正手段を制御する。例えば、制御手段は、第1矯正手段と第2矯正手段とを制御し、視標光束の球面屈折力の変更を実行する。例えば、視標光束の球面屈折力を変更することによって、被検眼を矯正するための球面矯正量が変更される。これによって、視標光束の球面屈折力がシームレスに(継ぎ目がなく)変化するので、視標光束の球面屈折力が、第1変更球面屈折力から、第1変更球面屈折力とは異なる第2変更球面屈折力へと切り換わる(言い換えると、被検眼の球面矯正量が第1球面矯正量から第2球面矯正量へと切り換わる)ことによる違和感が軽減され、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
制御手段は、第1矯正手段の可変焦点部材を視標光束の光路中に配置して、可変焦点部材の焦点距離を変化させることによって、視標光束の球面屈折力を変更し、被検眼の球面矯正量を変更してもよい。例えば、制御手段は、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクを回転させて、検査窓(すなわち、視標光束の光路中)にレンズディスク上の可変焦点部材を配置させてもよい。また、例えば、制御手段は、眼屈折力測定ユニットの検査窓において、可変焦点部材の焦点距離を変化させてもよい。
制御手段は、第2矯正手段の所定の光学部材を視標光束の光路中に配置することによって、視標光束の球面屈折力を変更し、被検眼の球面矯正量を変更してもよい。例えば、制御手段は、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクを回転させて、検査窓(すなわち、視標光束の光路中)にレンズディスク上の光学部材を配置させてもよい。
例えば、第1矯正手段の可変焦点部材によって視標光束の球面屈折力を変更する場合は、第1矯正手段の可変焦点部材を視標光束の光路中に配置させるとともに、第2矯正手段の光学部材を視標光束の光路中から外した状態において、可変焦点部材を所定の焦点距離に変化させてもよい。また、例えば、第2矯正手段の光学部材によって視標光束の球面屈折力を変更する場合は、第1矯正手段の可変焦点部材を視標光束の光路中から外し、第2矯正手段の光学部材を視標光束の光路中に配置させた状態としてもよい。あるいは、第1矯正手段の可変焦点部材と第2矯正手段の光学部材をいずれも視標光束の光路中に配置させた状態において、可変焦点部材を0Dとなる焦点距離に変化させてもよい。
もちろん、例えば、第1矯正手段の可変焦点部材と、第2矯正手段の光学部材と、の組み合わせによって視標光束の球面屈折力を変更する場合は、可変焦点部材と光学部材をいずれも視標光束の光路中に配置させた状態において、可変焦点部材を所定の焦点距離に変化させてもよい。なお、可変焦点部材と光学部材とを組み合わせることで、視標光束の球面屈折力を大きく変化させることが可能となる。従って、被検眼の球面矯正量が大きい場合であっても、被検眼の眼屈折力を精度よく測定できる。
制御手段は、視標光束の球面屈折力が変更された変更球面屈折力に基づいて、少なくとも第2矯正手段の光学部材を配置してもよい。すなわち、制御手段は、視標光束の変更球面屈折力に基づいて、第2矯正手段の光学部材のみを配置してもよいし、第1矯正手段の可変焦点部材を調整するとともに第2矯正手段の光学部材を配置してもよい。
例えば、制御手段は、視標光束の変更球面屈折力が、第1矯正手段における第1屈折力の範囲を超える場合に、少なくとも第2矯正手段を制御して、光学部材を切り換えて配置してもよい。言い換えると、視標光束の変更球面屈折力が、第1矯正手段の第1屈折力の最大値を超える場合と、第1屈折力の最小値を超える場合と、の少なくともいずれかの場合において、少なくとも光学部材を配置してもよい。また、例えば、制御手段は、視標光束の変更球面屈折力が、第1矯正手段における球面屈折力の第1屈折力の範囲内であって、第1屈折力の最大値の周辺の値を超える場合と、第1屈折力の最小値の周辺の値を超える場合と、の少なくともいずれかの場合において、少なくとも光学部材を配置してもよい。
制御手段は、視標光束の変更球面屈折力と、第1矯正手段の第1屈折力と、を対応付けたテーブルまたは演算式を利用して、第1矯正手段の可変焦点部材を調整してもよい。また、制御手段は、視標光束の変更球面屈折力と、第2矯正手段の第2屈折力と、を対応付けたテーブルまたは演算式を利用して、第2矯正手段の光学部材を配置するか否かを設定してもよい。もちろん、制御手段は、視標光束の変更球面屈折力と、第1矯正手段の第1屈折力と、第2矯正手段の第2屈折力と、を対応付けたテーブルまたは演算式を利用して、第1矯正手段の可変焦点部材の調整と、第2矯正手段の光学部材を配置するか否かの設定と、を実行してもよい。例えば、このようなテーブルは、予め実験やシミュレーションにて求められ、記憶手段に記憶されていてもよい。
制御手段は、前述した判定手段の判定結果に基づいて、少なくとも第2矯正手段を制御し、光学部材を切り換えて配置してもよい。例えば、制御手段は、視標光束の球面屈折力の変更量が所定の閾値を超えないとの判定結果を得た場合は、第1矯正手段を制御し、可変焦点部材を用いて、所定の球面屈折力を発生させてもよい。また、例えば、制御手段は、視標光束の球面屈折力の変更量が所定の閾値を超えるとの判定結果を得た場合は、少なくとも第2矯正手段を制御し、少なくとも光学部材を用いて、所定の球面屈折力を発生させてもよい。なお、視標光束の球面屈折力の変更量に応じて、第1矯正手段と第2矯正手段をいずれも制御し、可変焦点部材および光学部材を用いて所定の球面屈折力を発生させてもよい。これによって、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
制御手段は、視標光束の変更球面屈折力を、第1変更球面屈折力から、第1変更球面屈折力とは異なる第2変更球面屈折力に調整する場合、第1変更球面屈折力と第2変更球面屈折力との変化量に応じて、第1矯正手段のみを制御し、可変焦点部材の焦点距離を変更してもよい。例えば、視標光束の球面屈折力を変更する前の第1変更球面屈折力と、変更した後の第2変更球面屈折力と、の変化量が所定の閾値以下の場合には、第1矯正手段のみを制御してもよい。また、例えば、第1変更球面屈折力と第2変更球面屈折力との変化量が所定の閾値を超える場合には、第1矯正手段と第2矯正手段、または、第2矯正手段のみを制御してもよい。例えば、所定の閾値は、固定の値であってもよいし、検者が任意の値を設定することができてもよい。これにより、被検眼の矯正に必要な球面矯正度数を容易に調整し、被検眼の眼屈折力をスムーズに測定することができる。
<視標光束の円柱屈折力と乱視軸角度の変更>
本実施形態において、矯正手段は、被検眼の眼前にて独立に回転可能な第1円柱レンズと第2円柱レンズを含むストークスレンズを有してもよい。例えば、矯正手段は、第1円柱レンズと第2円柱レンズをそれぞれに回転させて、各円柱レンズの乱視軸の相対角度を変化させることで、視標光束の円柱屈折力を連続的に変化させることが可能であってもよい。また、例えば、矯正手段は、第1円柱レンズと第2円柱レンズとを一体的に回転させて、各円柱レンズの合成軸角度を変化させることで、視標光束の乱視軸角度を連続的に変化させることが可能であってもよい。例えば、第1円柱レンズと第2円柱レンズは、焦点距離が等しい2枚の正の円柱レンズで構成されてもよいし、焦点距離が等しい正と負の円柱レンズで構成されてもよい。
矯正手段は、被検眼の球面矯正量のずれ量であって、第1円柱レンズと第2円柱レンズとを合成軸角度に合わせることで生じる球面矯正量のずれ量を補正するための補正光学部材を有してもよい。例えば、補正光学部材は、視標光束の球面屈折力を変化させることが可能な部材であってもよい。一例として、焦点距離が可変の可変焦点部材、焦点距離が一定の光学部材、等の少なくともいずれかを利用してもよい。また、例えば、補正光学部材は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
例えば、矯正手段は、被検眼の眼前に、補正光学部材を切り換えて配置してもよい。一例として、この場合には、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクに補正光学部材が設けられてもよい。このような補正光学部材は、可変焦点部材(例えば、可変焦点レンズ)、光学部材(例えば、球面レンズ)、等の少なくともいずれかであってもよい。また、例えば、矯正手段は、被検眼の眼前に、補正光学部材を固定配置してもよい。一例として、この場合には、眼屈折力測定ユニットの検査窓に補正光学部材が常に配置されてもよい。このような補正光学部材は、可変焦点部材(例えば、可変焦点レンズ)であってもよい。
矯正手段は、被検眼の球面矯正量を矯正するための矯正光学部材を有してもよい。例えば、矯正光学部材は、視標光束の球面屈折力を変化させることが可能な部材であってもよい。一例として、焦点距離が可変の可変焦点部材、焦点距離が一定の光学部材、等の少なくともいずれかを利用してもよい。また、例えば、矯正光学部材は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
例えば、矯正手段は、被検眼の眼前に、矯正光学部材を切り換えて配置してもよい。一例として、この場合には、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクに矯正光学部材が設けられてもよい。このような矯正光学部材は、可変焦点部材(例えば、可変焦点レンズ)、光学部材(例えば、球面レンズ)、等の少なくともいずれかであってもよい。また、例えば、矯正手段は、被検眼の眼前に、矯正光学部材を固定配置してもよい。一例として、この場合には、眼屈折力測定ユニットの検査窓に矯正光学部材が常に配置されてもよい。このような矯正光学部材は、可変焦点部材(例えば、可変焦点レンズ)であってもよい。
なお、本実施形態においては、ストークスレンズが有する第1円柱レンズと第2円柱レンズとを合成軸角度に合わせることで生じる球面矯正量のずれ量を補正するための補正光学部材と、被検眼を矯正するための球面矯正量を調整するための矯正光学部材と、が兼用されてもよい。
また、本実施例においては、被検眼の球面矯正量のずれ量を補正するための補正光学部材と、第1矯正手段が有する焦点距離が可変の可変焦点部材と、が兼用されてもよいし、被検眼の球面矯正量のずれ量を補正するための補正光学部材と、第2矯正手段が有する光学部材と、が兼用されてもよい。同様に、本実施例においては、被検眼の球面矯正量を調整するための矯正光学部材と、第1矯正手段が有する焦点距離が可変の可変焦点部材と、が兼用されてもよいし、被検眼の球面矯正量を調整するための矯正光学部材と、第2矯正手段が有する光学部材と、が兼用されてもよい。これによって、被検眼の球面矯正量を容易に調整することができる。
本実施形態の自覚式検眼装置は、取得手段(例えば、制御部70)を備えてもよい。取得手段は、被検眼に対する少なくとも円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得する。例えば、取得手段は、被検眼を他覚的に測定した屈折力(他覚値)に基づく円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得してもよい。また、例えば、取得手段は、被検眼を自覚的に測定した屈折力(自覚値)に基づく円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得してもよい。一例として、被検眼の自覚値は、被検眼の最高視力が得られるもっともプラス寄りの矯正屈折力(完全矯正値)、被検眼の所定の視力が得られる矯正屈折力(処方値)、等であってもよい。もちろん、取得手段は、被検眼の円柱眼屈折力および乱視軸角度とともに、被検眼の球面矯正量を取得してもよい。
例えば、取得手段は、検者による操作手段(例えば、検者用コントローラ10)の操作によって入力された円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得してもよい。また、例えば、取得手段は、被検者毎の識別子を読み取り、識別子に格納された円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得してもよい。一例として、識別子には、ID、文字列、1次元コード、2次元コード、カラーコード、等を利用してもよい。また、例えば、取得手段は、本実施形態の自覚式検眼装置とは異なる装置を用いて測定したデータを受信することで、円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得してもよい。
本実施形態の自覚式検眼装置は、加入度取得手段(例えば、制御部70)を備えてもよい。加入度取得手段は、被検眼の所定の検査距離での矯正量に対する加入度を取得する。例えば、加入度は、被検眼の屈折力、調節力、年齢、等の少なくともいずれかに基づく度数であってもよい。
例えば、加入度取得手段は、検者による操作手段の操作によって入力された加入度を取得してもよい。また、例えば、加入度取得手段は、被検者毎の識別子を読み取り、識別子に格納された加入度を取得してもよい。また、例えば、加入度取得手段は、本実施形態の自覚式検眼装置とは異なる装置を用いて測定したデータを受信することで、加入度を取得してもよい。
本実施形態の自覚式検眼装置は、制御手段を備えてもよい。なお、制御手段は、上記の<視標光束の球面屈折力の変更>にて説明したものと同一の制御手段を用いることが可能である。もちろん、別途、異なる制御手段を設けることも可能である。
制御手段は、被検眼の所定の検査距離での矯正量に対する加入度を測定する加入度検査において、矯正手段を制御してもよい。つまり、制御手段は、加入度検査において、ストークスレンズを制御してもよい。例えば、制御手段は、第1円柱レンズと第2円柱レンズとの合成軸角度を、前述の取得手段が取得した円柱矯正量と乱視軸矯正量とに基づく所定の軸角度に変更してもよい。例えば、このような合成軸角度は、被検眼を円柱矯正量および乱視軸矯正量にて矯正するために、光学部材およびクロスシリンダレンズを配置することを想定した際に生じる乱視軸角度のずれ量を考慮した軸角度であってもよい。なお、ここでの光学部材とは、視標光束の円柱屈折力と乱視軸角度の少なくともいずれかを変化させることによって、被検眼の円柱矯正量および乱視軸矯正量の少なくともいずれかを調整することが可能な光学部材(一例として、円柱レンズ)であってもよい。これによって、視標光束の円柱屈折力と乱視軸角度がシームレスに(継ぎ目がなく)変化するので、視標光束の円柱屈折力が、第1変更円柱屈折力から、第1変更円柱屈折力とは異なる第2変更円柱屈折力へと切り換わる(言い換えると、被検眼の円柱矯正量が第1円柱矯正量から第2円柱矯正量へと切り換わる)ことによる違和感が軽減され、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。同様に、視標光束の乱視軸角度が、第1変更乱視軸角度から、第1変更乱視軸角度とは異なる第2変更乱視軸角度へと切り換わる(言い換えると、被検眼の乱視軸矯正量が第1乱視軸矯正量から第2乱視軸矯正量へと切り換わる)ことによる違和感が軽減され、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
制御手段は、被検眼の眼前に補正光学部材を配置することによって、被検眼の球面矯正量のずれ量を補正してもよい。言い換えると、視標光束の光路中に補正光学部材を配置し、視標光束の球面屈折力を変化させることによって、被検眼の球面矯正量のずれ量を補正してもよい。例えば、制御手段は、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクを回転させて、検査窓にレンズディスク上の可変焦点部材を補正光学部材として配置させるとともに、可変焦点部材の焦点距離を変化させてもよい。また、例えば、制御手段は、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクを回転させて、検査窓にレンズディスク上の光学部材を補正光学部材として配置させてもよい。これによって、被検眼の球面矯正量が補正光学部材によって適切に補正される。
制御手段は、焦点距離が可変の可変焦点部材を補正光学部材として、可変焦点部材における球面屈折力を変化させることによって、被検眼の球面矯正量のずれ量を補正してもよい。例えば、ストークスレンズの調整に起因する球面矯正量のずれ量はわずかであるため、可変焦点部材を用いてこれを細かく調整することによって、より補正の精度を向上させる。
制御手段は、被検眼の円柱矯正量および乱視軸矯正量と、第1円柱レンズと第2円柱レンズとの合成軸角度と、を対応付けたテーブルまたは演算式を利用して、合成軸角度を設定してもよい。また、制御手段は、被検眼の円柱矯正量および乱視矯正量と、第1円柱レンズと第2円柱レンズとの合成軸角度の設定にともなう乱視軸角矯正量のずれ量と、を対応付けたテーブルまたは演算式を利用して、補正光学部材を配置してもよい。もちろん、制御手段は、被検眼の円柱矯正量および乱視軸矯正量と、第1円柱レンズと第2円柱レンズとの合成軸角度と、合成軸角度の設定にともなう乱視軸矯正量のずれ量と、を対応付けたテーブルまたは演算式を利用して、合成軸角度の設定と、補正光学部材の配置と、を実行してもよい。例えば、このようなテーブルは、予め実験やシミュレーションにて求められ、記憶手段に記憶されていてもよい。
制御手段は、第1円柱レンズと第2円柱レンズとを合成軸角度に合わせた第1状態と、第1状態においてさらに加入度に基づく矯正光学部材を配置した第2状態と、を切り換えてもよい。例えば、制御手段は、視標光束の光路中に矯正光学部材を切り換えて配置し、視標光束の球面屈折力を変化させることによって、第1状態から第2状態に切り換えてもよい。例えば、制御手段は、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクを回転させて、検査窓にレンズディスク上の可変焦点部材を矯正光学部材として配置させるとともに、可変焦点部材の焦点距離を変化させてもよい。また、例えば、制御手段は、眼屈折力測定ユニットのレンズディスクを回転させて、検査窓にレンズディスク上の光学部材を矯正光学部材として配置させてもよい。これによって、被検眼の球面矯正量が矯正光学部材によって適切に矯正される。被検眼の球面矯正量のずれ量が補正された状態で、被検眼に加入度を付与しない状態と付与する状態が切り換えられるため、被検眼にとっての最適な加入度数を精度よく測定できる。
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介して装置あるいはシステムに供給し、装置あるいはシステムの制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
<実施例>
本実施形態における自覚式検眼装置の一実施例について説明する。図1は、自覚式検眼装置100の外観図である。図1(a)は、眼屈折力測定ユニット40が待機位置に支持された状態である。図1(b)は、眼屈折力測定ユニット40が測定位置に支持された状態である。例えば、自覚式検眼装置100は、筐体1、呈示窓2、保持ユニット4、検者用コントローラ10、眼屈折力測定ユニット40、等を備える。
筐体1は、投光光学系30を内部に有する。呈示窓2は、投光光学系30による視標光束を透過させる。被検眼Eには、呈示窓2を介して視標光束が投影される。なお、被検眼Eと呈示窓2の間に眼屈折力測定ユニット40が配置された場合(図1(b)参照)、被検眼Eには、呈示窓2および後述の検査窓43を介して視標光束が投影される。これによって、被検眼Eに検査視標が呈示される。
保持ユニット4は、眼屈折力測定ユニット40を保持する。例えば、保持ユニット4は、図示なき駆動部(モータ等)の駆動によりアームを移動させることで、アームに連結された眼屈折力測定ユニット40を移動させる。これによって、眼屈折力測定ユニット40の待機位置と測定位置が切り換えられる。
検者用コントローラ10は、検者が自覚式検眼装置100を操作するために用いる。検者用コントローラ10は、スイッチ部11、モニタ12、等を備える。スイッチ部11は、各種の設定(例えば、被検者に呈示する視標の選択、等)を行うための信号を入力する。モニタ12は、各種の情報(例えば、被検眼Eの測定結果、等)を表示する。なお、モニタ12は、スイッチ部11を兼ねたタッチパネルとして機能してもよい。検者用コントローラ10からの信号は、有線通信あるいは無線通信により、制御部60へ出力される。
<投光光学系>
図2は、投光光学系30の概略図である。図2(a)は、遠用検査時の光学配置を示す。図2(b)は、近用検査時の光学配置を示す。投光光学系30は、被検眼Eに向けて視標光束を投光する。例えば、投光光学系30は、ディスプレイ31、平面ミラー32、凹面ミラー33、遠近切換部34、等を備える。
ディスプレイ31は、視標(例えば、固視標、検査視標、等)を表示する。被検眼Eの眼底にディスプレイ31から出射した視標光束が結像することで、被検眼Eに視標が呈示される。例えば、ディスプレイ31は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)、プラズマディスプレイ、等でもよい。
平面ミラー32は、ディスプレイ31からの視標光束を反射し、凹面ミラー33へ導光する。また、平面ミラー32は、ディスプレイ31からの視標光束を反射し、被検眼Eへ導光する。例えば、平面ミラー32は、被検眼Eの近用検査時に、被検眼Eからディスプレイ31までの距離(呈示距離)が、光学的に40cmとなるように配置される。なお、平面ミラー32に代えて、プリズム、ビームスプリッタ、ハーフミラー、等の反射部材を用いることも可能である。
凹面ミラー33は、ディスプレイ31からの視標光束を反射させ、平面ミラー32へ導光する。例えば、凹面ミラー33は、被検眼Eの遠用検査時に、被検眼Eからディスプレイ31までの距離(呈示距離)が、光学的に5mとなるように配置される。なお、凹面ミラー33に代えて、非球面ミラー、自由曲面ミラー、等の反射部材を用いることも可能である。また、凹面ミラー33に代えて、レンズ等を用いることも可能である。
遠近切換部34は、被検眼Eの遠用検査時と近用検査時において、ディスプレイ31の配置を切り換える。例えば、遠近切換部34は、図示なき駆動部(モータ等)の駆動により保持部を移動させることで、保持部に保持されたディスプレイ31を移動させる。これによって、ディスプレイ31の遠用配置と近用配置が切り換えられる。
例えば、被検眼Eの遠用検査時は、ディスプレイ31の表示画面が筐体1の背面に向けられる(図2(a)参照)。ディスプレイ31からの視標光束は、平面ミラー32に光軸L1を通過して入射し、平面ミラー32によって光軸L2方向へ反射される。また、凹面ミラー33に光軸L2を通過して入射し、凹面ミラー33によって光軸L3方向へ反射される。また、平面ミラー32に光軸L3を通過して入射し、平面ミラー32によって光軸L4方向へ反射される。これによって、被検眼Eには、筐体1の内部にて各々の光学部材を経由し、筐体1の外部に出射された視標光束が投影される。
例えば、被検眼Eの近用検査時は、ディスプレイ31の表示画面が筐体1の上面に向けられる(図2(b)参照)。ディスプレイ31からの視標光束は、平面ミラー32に光軸L3を通過して入射し、平面ミラー32によって光軸L4方向へ反射される。これによって、被検眼Eには、筐体1の内部にて各々の光学部材を経由し、筐体1の外部に出射された視標光束が投影される。
<眼屈折力測定ユニット(矯正光学系)>
図3は、眼屈折力測定ユニット40の概略図である。眼屈折力測定ユニット40は、被検眼Eの屈折力を自覚的に測定する。また、眼屈折力測定ユニット40は、矯正光学系として用いられる。矯正光学系は、投光光学系30の光路中に配置され、視標光束の光学特性を変化させる。例えば、眼屈折力測定ユニット40は、額当て41、レンズユニット42、検査窓43、移動ユニット44、等を備える。
額当て41は、被検者の額を当接させることで、被検眼Eを所定の検査位置に固定し、被検眼Eから検査窓43までの距離を一定に保つ。レンズユニット42は、左右一対の左レンズユニット42Lと右レンズユニット42Rを有する。レンズユニット42は、検査窓43(左検査窓43Lおよび右検査窓43R)を有する。
移動ユニット44は、左レンズユニット42Lと右レンズユニット42Rの間隔、およびび、左レンズユニット42Lと右レンズユニット42Rの輻輳角(内寄せ角)、を調整する。例えば、移動ユニット44は、駆動部45(左駆動部45Lおよび右駆動部45R)の駆動により、左レンズユニット42Lと右レンズユニット42Rの間隔を調整する。また、例えば、移動ユニット44は、駆動部46の駆動により、左レンズユニット42Lと右レンズユニット42Rの輻輳角を調整する。なお、移動ユニット44の詳細な構成は、例えば、特開2004-329345号公報を参考されたい。
図4は、レンズユニット42の概略図である。図4(a)は、レンズユニット42の内部の構成図である。図4(b)は、レンズユニット42における水平方向の断面図である。なお、図4(a)および図4(b)は、左レンズユニット42Lのみを図示し、右レンズユニット42Rの図示を省略している。例えば、レンズユニット42は、可変焦点レンズ61、ストークスレンズ62、およびレンズディスク50を備える。
可変焦点レンズ61は、レンズユニット42内にて固定配置される。可変焦点レンズ61は、球面屈折力を印加電圧の大きさに応じて調整し、焦点位置を変更することによって、所定の範囲内を連続的に変化する球面屈折力を発生させることができる。例えば、本実施例では、-5.00D~+5.00Dの球面屈折力を発生させることができる。
ストークスレンズ62は、レンズユニット42内にて回転可能に配置される。ストークスレンズ62は、2枚の円柱レンズ62aと62bで構成される。例えば、円柱レンズ62aと62bは、焦点距離の等しい、正の円柱レンズと負の円柱レンズである。なお、円柱レンズ62aと62bは、焦点距離の等しい、2枚の正の円柱レンズとすることも可能である。
円柱レンズ62aと円柱レンズ62bは、それぞれ、回転機構63aと63bの駆動によって、光軸L4を中心として各々が独立に回転される。円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの少なくとも一方の回転角度を変更し、各円柱レンズの軸角度に差を設けることによって、所定の範囲内を連続的に変化する円柱屈折力を発生させることができる。例えば、本実施例では、-10.00D~+10.00Dの円柱屈折力を発生させることができる。また、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの軸角度の差を維持した状態で双方の回転角度を一体的に変更することによって(すなわち、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの合成軸角度を変更することによって)、所定の範囲内を連続的に変化する乱視軸角度を調整することができる。例えば、本実施例では、1度~180度の乱視軸角度を調整することができる。
レンズディスク50は、開口(または、0Dのレンズ)と複数の光学素子51を同一円周上に有する。レンズディスク50は、駆動部52の駆動によって、ディスク中心を基準に回転される。また、各光学素子51は、駆動部53の駆動によって、光軸L4を中心として回転される。これによって、所望の光学素子51が、所望の角度で、検査窓43に切り換え配置される。
レンズディスク50は、1枚のレンズディスク、または、複数枚のレンズディスクからなる。例えば、本実施例では、第1補助レンズディスク50aと、第2補助レンズディスク50bと、が設けられる。第1補助レンズディスク50aには、光学素子51として、偏光フィルタ、赤フィルタ/緑フィルタ、分散プリズム、マドックスレンズ、等が設けられる。第2補助レンズディスク50bには、光学素子51として、素通しレンズ、ロータリプリズム、オートクロスシリンダレンズ、第1球面レンズ51a、第2球面レンズ51b、等が設けられる。例えば、素通しレンズには、被検眼Eの瞳孔間距離を位置合わせするためのマークが付されている。例えば、第1球面レンズ51aは、眼鏡装用位置の換算で-10.00Dとなる球面度数を有したレンズである。例えば、第2球面レンズ51bは、眼鏡装用位置の換算で+10.00Dとなる球面度数を有したレンズである。例えば、第1球面レンズ51aと第2球面レンズ51bの球面屈折力は、可変焦点レンズ61の球面屈折力の所定の範囲よりも大きい屈折力である。
なお、本実施例における眼鏡装用位置とは、被検者が眼鏡を装用した際に、被検眼Eの前に眼鏡レンズが配置されることを想定した位置であり、被検眼Eにもっとも近接する光学素子(すなわち、可変焦点レンズ61)の位置である。より詳細には、可変焦点レンズ61の後面の位置Gである。また、被検眼Eの角膜頂点位置から可変焦点レンズ61の位置(可変焦点レンズ61の後面の位置G)までの距離を、角膜頂点間距離VDとして考えることができる。
<球面屈折力の調整範囲>
本実施例においては、可変焦点レンズ61と、第1球面レンズ51aまたは第2球面レンズ51bのいずれかと、を組み合わせた場合には、可変焦点レンズ61のみで調整可能な球面屈折力の範囲を拡大することができる。例えば、可変焦点レンズ61を0D~-5.00Dのいずれかに設定し、第1球面レンズ51a(-10.00D)を組み合わせることによって、-10.00D~-15.00Dの球面屈折力を発生させることができる。例えば、可変焦点レンズ61を0D~+5.00Dのいずれかに設定し、第2球面レンズ51b(+10.00D)を組み合わせることによって、+10.00D~+15.00Dの球面屈折力を発生させることができる。
つまり、本実施例では、可変焦点レンズのみを用いて、-5.00D~+5.00Dの球面屈折力をシームレスに発生させることができる。また、可変焦点レンズ61に加えて、第1球面レンズ51aまたは第2球面レンズ51bを検査窓43に配置することによって、-10.00D~-15.00Dの球面屈折力、および、+10.00D~+15.00Dの球面屈折力を、シームレスに発生させることができる。従って、全体としては、-15.00D~+15.00Dの球面屈折力をシームレスに発生させることができる。
例えば、被検眼Eの球面矯正量と、可変焦点レンズ61の球面屈折力と、第1球面レンズ51aおよび第2球面レンズ51bの球面屈折力と、は予め対応付けられていてもよい。例えば、被検眼Eの球面矯正量が、可変焦点レンズ61にて調整可能な球面屈折力を超える場合に、第1球面レンズ51aおよび第2球面レンズ51bで球面屈折力を発生させる(言い換えると、第1球面レンズ51aまたは第2球面レンズ51bを配置する)ように、予め対応付けられていてもよい。一例としては、被検眼Eの球面矯正量に基づいて、可変焦点レンズ61の球面屈折力の値と、第1球面レンズ51aおよび第2球面レンズ51bの球面屈折力の値と、を参照するための参照テーブル等が予め準備され、メモリ75に記憶されていてもよい。
<クロスシリンダレンズの配置の再現>
ここで、従来の眼屈折力測定ユニットが備えるレンズユニットを簡単に説明する。図5は、従来のレンズユニット200の概略図である。図5(a)は、従来のレンズユニット200の内部の構成図である。図5(b)は、従来のレンズユニット200における水平方向の断面図である。なお、図5(a)および図5(b)は、左レンズユニットのみを図示し、右レンズユニットの図示を省略している。
レンズユニット200は、複数枚のレンズディスク210を備える。例えば、被検眼Eから離れる方向に、強球面レンズディスク210a、弱球面レンズディスク210b、強円柱レンズディスク210c、弱円柱レンズディスク210d、第1補助レンズディスク210e、第2補助レンズディスク210f、が設けられる。強球面レンズディスク210aには、-18.00D~+15.00Dの球面レンズが3.00D間隔で設けられる。弱球面レンズディスク210bには、-1.00D~+1.75Dの球面レンズが0.25D間隔で設けられる。強円柱レンズディスク210cには、眼鏡装用位置の換算で、-1.50D~-7.50Dの円柱レンズが1.50D間隔で設けられる。弱円柱レンズディスク210dには、眼鏡装用位置の換算で、-0.25D~-1.25Dの円柱レンズが0.25D間隔で設けられる。第1補助レンズディスク210eには、偏光フィルタ、赤フィルタ/緑フィルタ、分散プリズム、マドックスレンズ、等が設けられる。第2補助レンズディスク210fには、素通しレンズ、ロータリプリズム、オートクロスシリンダレンズ、クロスシリンダレンズ、等が設けられる。なお、レンズユニット200の詳細は、例えば、特開2007-125125号公報を参照されたい。
従来のレンズユニット200には、強円柱レンズディスク210c、弱円柱レンズディスク210d、およびクロスシリンダレンズが設けられている。例えば、クロスシリンダレンズは、円柱屈折力が異符号かつ等しい円柱レンズを、その乱視軸角度が直交するように組み合わせたレンズである。一例としては、-0.25Dと+0.25Dの円柱レンズを、その乱視軸角度が直交するよう組み合わせたレンズである。一方で、本実施例のレンズユニット42は、ストークスレンズ62(円柱レンズ62aと円柱レンズ62b)を強円柱レンズディスク210cと弱円柱レンズディスク210dに代えて有し、クロスシリンダレンズを有さない。
図6は、従来のレンズユニット200における、円柱レンズディスクが有する円柱レンズと、クロスシリンダレンズと、の合成屈折力の変化を示す図である。例えば、被検眼Eの眼前には、弱円柱レンズディスク210dの円柱レンズ250が切り換え配置される。一例として、円柱レンズ250は円柱屈折力が-1.00Dのレンズであり、その乱視軸角度が135度となるように回転される。このとき、円柱レンズ250の屈折力は、0度、90度、180度では-0.50D、45度では-1.00D、135度では0.00Dを通過する正弦曲線αで変化する。
また、例えば、被検眼Eの眼前には、第1補助レンズディスク210eのクロスシリンダレンズ260が切り換え配置される。一例として、クロスシリンダレンズ260は、+0.25Dが90度となるように回転される。このとき、クロスシリンダレンズ260の屈折力は、0度と180度では-0.25D、45度と135度では0.00D、90度では+0.25Dを通過する正弦曲線βで変化する。
例えば、被検眼Eの眼前に円柱レンズ250とクロスシリンダレンズ260をともに切り換えて配置した場合、それぞれの屈折力を合成した合成屈折力が発生する。このとき、合成屈折力は、0度、45度、90度、135度、180度の順に、-0.75D、-1.00D、-0.25D、0.00D、-0.75Dを通過する正弦曲線γで変化する。なお、例えば、円柱レンズ250における屈折力の正弦曲線αは、頂点が135度に位置するのに対し、円柱レンズ250とクロスシリンダレンズ260における合成屈折力の正弦曲線γは、頂点がシフトして122度の位置となる。
本実施例では、円柱レンズ250とクロスシリンダレンズ260との配置を想定した際に生じる乱視軸角度のずれ量を考慮して、ストークスレンズ62における円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの合成軸角度を設定することによって、円柱レンズ250とクロスシリンダレンズ260を配置した状態を、ストークスレンズ62のみで作り出すことができる。例えば、前述の円柱レンズ250とクロスシリンダレンズ260の配置は、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの軸角度の差を、-1.00Dの円柱屈折力が発生する差に調整するとともに、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの合成軸角度を、135度ではなく122度の位置に合わせて配置することで、再現できる。
例えば、被検眼Eの円柱矯正量および乱視軸角度と、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの合成軸角度と、は予め対応付けられていてもよい。一例としては、被検眼Eの円柱矯正量と乱視軸矯正量に基づいて、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの乱視軸角度の値を参照するための参照テーブルが予め準備され、メモリ75に記憶されていてもよい。
なお、従来のレンズユニット200において、被検眼Eの眼前に球面レンズ、円柱レンズ250、およびクロスシリンダレンズ260を配置した状態では、被検眼Eの等価球面値が考慮される。例えば、円柱レンズ250を切り換えて円柱屈折力を0.25D(1ステップ)変化させると、球面屈折力が0.125D発生する。例えば、球面レンズが0.25D間隔で設けられている場合、円柱屈折力を0.50D(2ステップ)変化させた際に、球面レンズを切り換えて球面屈折力を0.25D変化させることができ、等価球面値を考慮した補正が行われる。本実施例では、可変焦点レンズ61を用いることによって、円柱屈折力の変化にともなう球面屈折力の変化を考慮した補正を容易に行うことができる。また、ストークスレンズ62によって円柱屈折力を細かく変化させると球面屈折力が様々に変化するが、このような場合においても補正を容易に行うことができる。
<制御部>
図7は自覚式検眼装置100の制御系の概略図である。例えば、制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。CPUは、自覚式検眼装置100における各部の駆動を制御する。RAMには、各種の情報が一時的に記憶される。ROMには、CPUが実行する各種のプログラム等が記憶される。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
制御部70には、ディスプレイ31、検者用コントローラ10、不揮発性メモリ75(以下、メモリ75)、等が接続されている。また、制御部70には、保持ユニット4の駆動部、遠近切換部34の駆動部、眼屈折力測定ユニット40の駆動部(駆動部45、46、52、53)、等が接続されている。
メモリ75は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる、非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ75は、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等であってもよい。
<制御動作>
自覚式検眼装置100の制御動作を説明する。
検者は、被検眼Eの角膜頂点間距離VDが所定の距離(例えば、12mm)となるように、図示なき額当て調整ノブを操作して、額当て170の位置を調整する。また、検者は、検者用コントローラ10を操作して、被検眼の瞳孔間距離を入力する。制御部70は、レンズユニット42の間隔を調整し、検査窓43を瞳孔間距離に合わせる。
<初期矯正量の設定>
検者は、検者用コントローラ10を操作して、被検眼Eの他覚式測定で予め取得した他覚眼屈折力(他覚値)を、被検眼Eの初期矯正量として入力する。すなわち、初期の球面矯正量、初期の円柱矯正量、および初期の乱視軸矯正量を入力する。制御部70は、前述の参照テーブルに基づいて、可変焦点レンズ61に印加電圧を与えるとともに、ストークスレンズ62とレンズディスク50を回転させる。なお、可変焦点レンズ61、ストークスレンズ62、およびレンズディスク50の制御は、順に行われてもよいし、略同時に行われてもよい。
本実施例では、被検眼Eの他覚眼屈折力(他覚値)が、球面眼屈折力-6.50D、円柱眼屈折力-1.00D、乱視軸角度135度、である場合を例に挙げる。このとき、被検眼Eの初期矯正量としては、球面矯正量-6.50D、円柱矯正量-1.00D、乱視軸矯正量135度、が入力されてもよい。例えば、制御部70は、可変焦点レンズ61の球面屈折力を+3.50Dに調整する。また、例えば、制御部70は、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの軸角度の差を変更して、円柱屈折力を-1.00Dに調整する。また、例えば、制御部70は、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの合成軸角度を135度に調整する。また、例えば、制御部70は、第1補助レンズディスク50aの開口と、第2補助レンズディスク50bの第1球面レンズ51a(球面屈折力-10.00D)と、を検査窓43に配置する。
これによって、被検眼Eの網膜上にディスプレイ31からの視標光束が集光するように矯正される。つまり、被検眼Eは、可変焦点レンズ61と第1球面レンズ51aが合成された球面矯正量-6.50で矯正される。また、被検眼Eは、ストークスレンズ62により、円柱矯正量-1.0D、乱視軸矯正量135度、で矯正される。
<遠用視力検査>
検者は、被検眼Eを初期矯正量で矯正すると、検者用コントローラ10を操作して、被検眼Eの所定の距離(ここでは、遠用検査距離)における遠用視力検査を開始する。制御部70は、ディスプレイ31を遠用配置に切り換えて配置する。また、制御部70は、所定の視力値をもつランドルト環視標を、初期視標としてディスプレイ31に表示させる。一例として、0.8の視力値をもつランドルト環視標を、初期視標として表示させる。
検者は、検者用コントローラ10を操作して、ランドルト環視標を切り換えながら、被検者にランドルト環視標の輪の切れ目の方向を問う。例えば、被検者の回答が正答であれば、ランドルト環視標の視力値を1段階高い視力値に切り換える。つまり、ランドルト環視標の視力値の刻みを1つ増やし、現在の値よりも大きな値に切り換える。一例として、ランドルト環視標の視力値を0.8から0.9に切り換える。例えば、被検者の回答が誤答であれば、ランドルト環視標の視力値を1段階低い視力値に切り換える。つまり、ランドルト環視標の視力値の刻みを1つ減らし、現在の値よりも小さな値に切り換える。一例として、ランドルト環視標の視力値を0.8から0.7に切り換える。検者は、これらの手順を繰り返し、被検眼Eが判読することが可能なランドルト環視標の最高視力値を求める。
続いて、検者は、検者用コントローラ10を操作して、被検眼Eの矯正量を切り換えながら、被検者にランドルト環視標の輪の切れ目の方向を問う。例えば、被検者の回答が正答であれば、球面矯正量を1段階弱い矯正量に切り換える。つまり、球面矯正量を1ステップ減らし、現在の値よりも小さな値に切り換える。一例としては、可変焦点レンズ61の球面屈折力を+3.50Dから+3.25Dに変化させることで、被検眼Eを矯正する球面矯正量を-6.50Dから-6.25Dに切り換える。例えば、被検者の回答が誤答であれば、球面矯正量を1段階強い矯正量に切り換える。つまり、球面矯正量を1ステップ増やし、現在の値よりも大きな値に切り換える。一例としては、可変焦点レンズ61の球面屈折力を+3.50Dから+3.75Dに変化させることで、球面矯正量を-6.50Dから-6.75Dに切り換える。
制御部70は、被検眼Eに付加する球面矯正量に合わせ、第1球面レンズ51aまたは第2球面レンズ51bを必要に応じて配置させる。もちろん、被検者の回答に応じて、球面矯正量とともに、円柱矯正量と乱視軸矯正量が切り換えられてもよい。なお、本実施例では、可変焦点レンズ61により、球面矯正量の1ステップを-0.25Dよりも細かく変更することが可能である。同様に、ストークスレンズ62の円柱レンズ62aと円柱レンズ62bにより、円柱矯正量の1ステップを-0.25Dよりも細かく変更することが可能である。検者は、これらの手順を繰り返し、被検眼Eの最高視力が得られるもっともプラス寄りの矯正屈折力の値(すなわち、完全矯正値)を求める。
<加入度検査>
検者は、被検眼Eの遠用視力検査を終えると、検者用コントローラ10を操作して、被検眼Eを所定の距離(遠用検査距離)において完全矯正値で矯正した状態で、加入度検査を開始する。例えば、検者は、被検者の年齢、被検眼Eの調節力、被検眼Eの屈折力、等の少なくともいずれかに基づいて、加入の必要性を判断し、初期加入度数を設定する。もちろん、制御部70によって、加入の必要性と初期加入度が自動的に判定および設定されてもよい。
本実施例では、被検眼Eの完全矯正値(自覚値)が、球面矯正量-6.00D、円柱矯正量-1.25D、乱視軸矯正量135度、と求められ、初期加入度数を+1.00Dに設定する場合を例に挙げる。なお、従来のレンズユニット200を用いた加入度検査では、被検眼Eを完全矯正値で矯正し、-0.50Dが0度、+0.50Dが90度となるようにクロスシリンダレンズを配置して、初期加入度数を増減させる。本実施例では、被検眼Eを完全矯正値で矯正し、クロスシリンダレンズを配置した状態を、ストークスレンズ62を用いて再現し、その後に初期加入度数を増減させる。
まず、制御部70は、被検眼Eを完全矯正値で矯正し、クロスシリンダレンズを配置したことを想定した第1状態をつくる。制御部70は、従来のレンズユニット200の円柱レンズ250として、円柱屈折力が-1.25Dのレンズを135度に配置するとともに、クロスシリンダレンズ270を+0.50Dが90度となるように配置することを想定して、ストークスレンズ62の円柱レンズ62aと円柱レンズ62bを回転させ、被検眼Eの円柱矯正量を-1.25D、乱視軸角度を135度に矯正する。
図8は、円柱レンズ250とクロスシリンダレンズ270の合成屈折力の変化を示す図である。円柱レンズ250の屈折力は-1.25Dを45度にて通過する正弦曲線αで変化し、クロスシリンダレンズ270の屈折力は+0.50Dを90度にて通過する正弦曲線βで変化する。円柱レンズ250とクロスシリンダレンズ270における合成屈折力の正弦曲線γは、その頂点が116度の位置となる。このため、制御部70は、ストークスレンズ62の円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの軸角度の差を、-1.25Dの円柱屈折力が発生する差に調整するとともに、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの合成軸角度を、135度ではなく116度の位置に合わせて配置する。これによって、被検眼Eは、円柱矯正量(CYL)-1.25D、乱視軸矯正量(AXIS)135度、およびクロスシリンダレンズ270(90度の方向に+0.50D)が合成された状態を再現して矯正される。
このとき、被検眼Eの乱視軸矯正量と、円柱レンズ62aと円柱レンズ62bの合成軸角度と、のずれ量に起因して、球面屈折力ΔSが発生する。球面屈折力ΔSは、円柱レンズ250の屈折力と、円柱レンズ250およびクロスシリンダレンズ260の合成屈折力と、における屈折力の差(図8では、正弦曲線αと正弦曲線γの頂点における縦軸の差)として現れる量である。なお、球面屈折力ΔSは、前述の乱視軸矯正量と合成軸角度とのずれ量に応じて変化するが、1ステップ(0.25D)よりも小さく、わずかな量である。例えば、本実施例では、球面屈折力ΔSが-0.15Dとなる。
制御部70は、可変焦点レンズ61の球面屈折力を+4.00Dに変化させ、第1球面レンズ51a(-10.00D)を切り換えて配置することで、被検眼Eを球面矯正量-6.00Dで矯正する。しかし、ストークスレンズ62による球面屈折力ΔSが発生しているため、実際には、可変焦点レンズ61の球面屈折力を+3.85Dとし、被検眼Eを球面矯正量-6.15Dで矯正する。例えば、このように可変焦点レンズ61を用いることで、球面屈折力ΔSを考慮して細かく数値を調整することができる。
検者は、検者用コントローラ10を操作して、クロスグリッド視標をディスプレイ31に表示させる。また、検者は、検者用コントローラ10を操作して、図示なきスイッチを押し、被検眼Eを完全矯正値で矯正してクロスシリンダレンズを配置したことを想定した第1状態と、第1状態においてさらに初期加入度数+1.00Dを付加した第2状態と、を切り換える。制御部70は、図示なきスイッチからの操作信号に応じて、可変焦点レンズ61の球面屈折力を変化させる。ここでは、可変焦点レンズ61の球面屈折力を、+3.85Dまたは+4.85Dに変化させる。これによって、被検眼Eの球面矯正量は、初期加入度数を付加していない-6.00D(実際には、-6.15D)と、初期加入度数を付加した-5.00D(実際には、-5.15D)と、で切り換えられる。
検者は、被検者にクロスグリッド視標の見え方を問い、被検者の回答に応じて、加入度数を変更する。制御部70は、被検眼Eに付加する球面屈折力に合わせて、可変焦点レンズ61の球面屈折力を変化させ、第1球面レンズ51aまたは第2球面レンズ51bを必要に応じて配置させる。検者は、これらの手順を繰り返し、クロスグリッド視標の縦線と横線が均等に見えるようになった段階を、被検眼Eにとっての適正な加入度数として決定する。
<近用視力検査>
検者は、被検眼Eの加入度検査を終えると、検者用コントローラ10を操作して、被検眼Eの所定の距離(ここでは、近用検査距離)における近用視力検査を開始する。制御部70は、ディスプレイ31を近用配置に切り換えて配置する。なお、従来のレンズユニット200では、加入度検査から近用視力検査へ移行する際にクロスシリンダレンズ270が外されるため、本実施例においても、可変焦点レンズ61とストークスレンズ62(円柱レンズ62aと円柱レンズ62b)を調整して、クロスシリンダレンズ270を外した状態が再現される。近用視力検査においても最高視力値が求められるが、この手順は遠用視力検査と基本的に同様であるため省略する。
以上説明したように、例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、焦点距離が可変の可変焦点部材(ここでは、可変焦点レンズ61)を用いて、視標光束の球面屈折力を変更するための第1矯正手段と、光学部材(ここでは、第1球面レンズ51aと第2球面レンズ51b)を切り換えて配置し、視標光束の球面屈折力を変更するための第2矯正手段と、を制御し、視標光束の球面屈折力の変更を実行する。例えば、可変焦点部材は球面屈折力を連続的に変化させることが可能であり、このために、被検眼の球面矯正量を細かく調整して、被検眼を適切に矯正することができる。しかし、一方で、可変焦点部材は高度数の球面屈折力を発生させることが技術的に困難であり、可変焦点部材による球面屈折力の変化のみでは、被検眼の球面矯正量が大きい場合等に対応できない可能性がある。本実施例では、可変焦点レンズと、第1球面レンズまたは第2球面レンズと、を必要に応じて組み合わせることで、高度数の球面屈折力を発生させることが可能となる。従って、被検眼の球面矯正量が大きい場合等であっても、被検眼を適切に矯正し、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
なお、例えば、従来は被検眼の眼前で球面レンズが切り換えられると、ある球面屈折力から別の球面屈折力へと急に変化する(言い換えると、球面屈折力に継ぎ目ができる)ことで違和感をもったり、球面レンズの切り換え音が発生することで煩わしさを感じたりすることがあった。本実施例では、可変焦点部材を用いて所望の球面屈折力を調整することで、球面屈折力がシームレスに(継ぎ目がなく)変化するので、違和感なく測定を進めることができる。また、球面レンズの切り換え音が発生しないため、煩わしさを軽減させることができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置において、第1矯正手段は、視標光束の球面屈折力を第1屈折力の範囲にて変化させることが可能であり、視標光束の球面屈折力が変更された変更球面屈折力が、第1矯正手段における球面屈折力の第1屈折力の範囲を超える場合に、少なくとも光学部材を切り換えて配置する。例えば、被検眼の眼前に可変焦点部材を配置した状態では、球面屈折力を第1屈折力の範囲において連続的に変化させることができ、被検眼の自覚式検査をスムーズに進めることができる。また、例えば、被検眼の眼前に可変焦点部材と光学部材を配置した状態では、球面屈折力(合成球面屈折力)を光学部材によって拡大するとともに、合成球面屈折力を可変焦点部材によって連続的に変化させることができ、被検眼の自覚式検査をスムーズに進めることができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置において、第1矯正手段が視標光束の球面屈折力を変更することが可能なステップは、第2矯正手段が視標光束の球面屈折力を変更することが可能なステップよりも小さい。これにより、可変焦点部材を用いて視標光束の球面屈折力をより細かく変化させることができる。また、可変焦点部材と光学部材を組み合わせた場合であっても、これらの合成球面屈折力の範囲内で、視標光束の球面屈折力をより細かく変化させることができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼の所定の検査距離での矯正量に対する加入度を測定する加入度検査において、被検眼の眼前にて独立に回転可能なストークスレンズを制御し、第1円柱レンズと第2円柱レンズとの合成軸角度を、被検眼の円柱矯正量と乱視軸矯正量とに基づく所定の軸角度に変更し、ここで、合成軸角度は、被検眼を円柱矯正量および乱視軸矯正量で矯正するために、光学部材およびクロスシリンダレンズを配置することを想定した際に生じる乱視軸矯正量のずれ量を考慮した軸角度である。例えば、被検眼の眼前にストークスレンズを配置した状態では、2枚の円柱レンズをそれぞれに回転させて軸角度の差を調整することによって、円柱屈折力を連続的に変化させることが可能であり、2枚の円柱レンズを一体的に回転させて合成軸角度を調整することによって、乱視軸角度を連続的に変化させることが可能である。このとき、本実施例では、ストークスレンズによって発生する乱視軸矯正量のずれ量が考慮されるため、被検眼の円柱矯正量および乱視軸矯正量を適切に矯正し、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
なお、例えば、従来は被検眼の眼前で円柱レンズが切り換えられると、前述した球面レンズを切り換えた際と同様に、円柱屈折力に継ぎ目ができた状態で変化することによる違和感や円柱レンズの切り換え音による煩わしさがあった。しかし、本実施例ではストークスレンズを用いて所望の円柱屈折力を調整することで、円柱屈折力がシームレスに(継ぎ目がなく)変化し、さらに切り換え音も発生しないため、違和感や煩わしさを軽減させることができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼の球面矯正量のずれ量であって、第1円柱レンズと第2円柱レンズとを合成軸角度に合わせることで生じる球面矯正量のずれ量を、被検眼の眼前に補正光学部材を配置することによって補正する。これによって、視標光束の円柱屈折力と乱視軸角度をストークスレンズにて変化させ、被検眼の円柱矯正量および乱視軸矯正量を調整する場合であっても、被検眼の球面矯正量のずれ量が補正光学部材によって適切に矯正されるため、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置において、被検眼の球面矯正量のずれ量を補正するための補正光学部材は、焦点距離が可変の可変焦点部材(ここでは、可変焦点レンズ61)であり、被検眼の球面矯正量のずれ量を、可変焦点部材の球面屈折力を変化させることによって補正する。例えば、第1円柱レンズと第2円柱レンズによって発生する球面矯正量のずれ量は、従来のレンズユニットにて構成される複数の球面レンズの間隔(0.25D)よりも小さな値で変化し得る。このため、補正光学部材として焦点距離が一定の球面光学部材を用いる場合は、球面矯正量のずれ量に対応しきれない可能性があるが、焦点距離が可変の可変焦点部材を用いることで、球面矯正量のずれ量に細かく対応できるようになる。この結果として、被検眼を所望の球面矯正量にて適切に矯正することができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼の加入度を取得し、第1円柱レンズと第2円柱レンズとを合成軸角度に合わせた第1状態と、第1状態において加入度に基づく矯正光学部材を配置した第2状態と、を切り換える。すなわち、被検眼を所定の球面矯正量、円柱矯正量、および乱視軸矯正量で矯正し、さらに球面矯正量のずれ量を補正した状態で、加入度を加えていない第1状態と加入度を加えた第2状態とを切り換える。これによって、被検眼にとっての最適な加入度を精度よく測定することができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼の球面矯正量のずれ量を補正するための補正光学部材と、被検眼を球面矯正量にて矯正するための矯正光学部材と、が兼用される。これによって、被検眼の球面矯正量のずれ量を考慮して、被検眼を矯正するための球面矯正量を容易に調整することができる。
<変容例>
本実施例の自覚式検眼装置は、球面屈折力を1ステップにつき0.25Dで調整する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、可変焦点レンズ61の球面屈折力を連続的に変化させることが可能である。このため、球面屈折力の1ステップを0.25Dよりも小さな値(例えば、0.10D、0.05D、等)で調整する構成としてもよい。同様に、本実施例の自覚式検眼装置は、円柱屈折力を1ステップにつき0.25Dで調整する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、ストークスレンズ62の円柱屈折力を連続的に変化させることが可能である。このため、円柱屈折力の1ステップを0.25Dよりも小さな値(例えば、0.10D、0.05D、等)で調整する構成としてもよい。
本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼Eの球面矯正量と、可変焦点レンズ61の球面屈折力と、第1球面レンズ51aおよび第2球面レンズ51bの配置と、が予め対応付けられている構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼Eの球面矯正量に基づいて、第1球面レンズ51aおよび第2球面レンズ51bを配置するか否かを判定する構成であってもよい。この場合、制御部70は、被検眼Eの球面矯正量が、所定の閾値を超えるか否かに基づいて、第1球面レンズ51aおよび第2球面レンズ51bを配置するか否かを判定してもよい。例えば、所定の閾値とは、可変焦点レンズ61で調整可能な球面屈折力の範囲に基づく最大値または最小値であってもよい。
このように、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼の球面矯正量(すなわち、視標光束の球面屈折力が変更された変更球面屈折力)に基づいて、被検眼Eの眼前に光学部材(ここでは、第1球面レンズ51aと第2球面レンズ51b)を配置するか否かを判定し、判定結果に基づいて、少なくとも光学部材を切り換えて配置する。これによって、例えば、被検眼の球面矯正量が大きく、可変焦点部材(ここでは、可変焦点レンズ61)の球面屈折力を調整するのみでは対応できない場合を容易に把握して、可変焦点部材と光学部材を組み合わせ、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
また、例えば、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼の球面矯正量(視標光束の変更球面屈折力)と、矯正手段における屈折力の範囲と、に基づいて、被検眼の眼前に光学部材を配置するか否かを判定する。これによって、可変光学部材のみでは対応できない場合に、光学部材を適切に配置して、被検眼の眼屈折力を精度よく測定することができる。
本実施例の自覚式検眼装置では、前述の遠用視力検査および近用視力検査等において、被検眼Eの初期矯正量、あるいは、初期矯正量の後に切り換えた矯正量から、さらに異なる矯正量へと変更される場合がある。このとき、制御部70は、2つの矯正量の変化量に応じて、可変焦点部材61のみを制御するか、可変焦点部材61と第1球面レンズ51a(もしくは、第2球面レンズ51b)をともに制御するか、を変更してもよい。例えば、制御部70は、2つの矯正量の変化量が所定の変化量を超えない場合は、可変焦点部材61のみを制御してもよい。また、例えば、制御部70は、2つの矯正量の変化量が所定の変化量を超える場合は、可変焦点部材61と第1球面レンズ51a(第2球面レンズ51b)をともに制御してもよい。例えば、2つの矯正量の変化量は、予め設定されていてもよく、一例としては、±3.00D等であってもよい。
このように、本実施例の自覚式検眼装置は、被検眼の球面矯正量(視標光束の球面屈折力が変更された変更球面屈折力)を、第1変更球面屈折力から、第1変更球面屈折力とは異なる第2変更球面屈折力に調整する場合、第1変更球面屈折力と第2変更球面屈折力との変化量に応じて、第1矯正手段のみを制御し、可変焦点部材の焦点距離を変更する。これによって、例えば、被検眼の矯正に必要な球面矯正量を容易に調整し、被検眼の眼屈折力をスムーズに測定することができる。
本実施例の自覚式検眼装置では、被検眼Eに対して初期矯正量から異なる矯正量に切り換えた以降は、可変焦点部材61のみの制御で自覚値(例えば、完全矯正値)を求めるように構成されてもよい。この場合、被検眼Eの初期矯正量に応じて、第1球面レンズ51aまたは第2球面レンズ51bを予め検査窓43に配置するか否かが設定されてもよい。例えば、被検眼Eの初期矯正量が球面矯正量-1.00Dである場合は、可変焦点部材61(球面屈折力-5.00D~+5.00D)のみを用いて-1.00Dが生成されてもよい。また、例えば、被検眼Eの初期矯正量が球面矯正量-4.50Dである場合、可変焦点部材61と第1球面レンズ51a(球面屈折力-10.00D)とを組み合わせて-4.5Dが生成されてもよい。例えば、被検眼Eの初期矯正量が最終的な矯正量へと調整されるまでの変化量(つまり、初期矯正量と最終的な矯正量との差分)は、実験やシミュレーション等からおおよそ把握することができる。このため、被検眼Eの初期矯正量に応じて第1球面レンズ51aを予め配置しておくことで、被検眼Eの測定中に第2補助レンズディスク50bを回転させる必要がなく、よりシームレスな対応が可能になる。なお、このような構成とする際には、複数の球面レンズを設け、その球面屈折力を所定のステップ(一例として、3.00D単位、等)で変更できるようにしてもよい。
1 筐体
2 呈示窓
10 検者用コントローラ
30 投光光学系
40 眼屈折力測定ユニット
43 検査窓
60 制御部
100 自覚式検眼装置



Claims (6)

  1. 被検眼の眼屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置であって、
    前記被検眼の眼前に配置され、視標呈示手段から出射した前記視標光束の光学特性を変化させる矯正手段と、
    前記被検眼に対する少なくとも円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得する取得手段と、
    前記矯正手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記矯正手段は、前記眼前にて独立に回転可能な第1円柱レンズと第2円柱レンズとを含むストークスレンズを有し、
    前記制御手段は、前記被検眼の所定の検査距離での矯正量に対する加入度を測定する加入度検査において、前記ストークスレンズを制御し、前記第1円柱レンズと前記第2円柱レンズとの合成軸角度を、前記円柱矯正量と前記乱視軸矯正量とに基づく所定の軸角度に変更し、
    前記合成軸角度は、前記被検眼を前記円柱矯正量および前記乱視軸矯正量にて矯正するために、光学部材およびクロスシリンダレンズを配置することを想定した際に生じる前記乱視軸矯正量のずれ量を考慮した軸角度であることを特徴とする自覚式検眼装置。
  2. 請求項1の自覚式検眼装置において、
    前記取得手段は、前記被検眼の球面矯正量を取得し、
    前記矯正手段は、前記被検眼の前記球面矯正量のずれ量であって、前記第1円柱レンズと前記第2円柱レンズとを前記合成軸角度に合わせることで生じる前記球面矯正量のずれ量を補正するための補正光学部材を有し、
    前記制御手段は、前記眼前に前記補正光学部材を配置することによって、前記球面矯正量のずれ量を補正することを特徴とする自覚式検眼装置。
  3. 請求項2の自覚式検眼装置において、
    前記補正光学部材は、焦点距離が可変の可変焦点部材であり、
    前記制御手段は、前記可変焦点部材における球面屈折力を変化させることによって、前記被検眼の前記球面矯正量のずれ量を補正することを特徴とする自覚式検眼装置。
  4. 請求項1~3のいずれかの自覚式検眼装置において、
    前記被検眼の前記加入度を取得する加入度取得手段を備え、
    前記矯正手段は、前記被検眼の前記球面矯正量を矯正するための矯正光学部材を有し、
    前記制御手段は、前記第1円柱レンズと前記第2円柱レンズとを前記合成軸角度に合わせた第1状態と、前記第1状態において前記加入度に基づく前記矯正光学部材を配置した第2状態と、を切り換えることを特徴とする自覚式検眼装置。
  5. 請求項4の自覚式検眼装置において、
    前記補正光学部材と前記矯正光学部材とが兼用されることを特徴とする自覚式検眼装置。
  6. 被検眼の眼前に配置され、視標呈示手段から出射した視標光束の光学特性を変化させる矯正手段であって、前記眼前にて独立に回転可能な第1円柱レンズと第2円柱レンズとを含むストークスレンズを有する矯正手段を備え、
    前記被検眼の眼屈折力を自覚的に測定するための自覚式検眼装置にて用いる自覚式検眼プログラムであって、
    前記自覚式検眼装置のプロセッサに実行されることで、
    前記被検眼の少なくとも円柱矯正量と乱視軸矯正量を取得する取得ステップと、
    前記矯正手段を制御する制御ステップと、
    を前記自覚式検眼装置に実行させ、
    前記制御ステップは、前記被検眼の所定の検査距離での矯正量に対する加入度を測定する加入度検査において、前記ストークスレンズを制御し、前記第1円柱レンズと前記第2円柱レンズとの合成軸角度を、前記円柱矯正量と前記乱視軸矯正量とに基づく所定の軸角度に変更し、
    前記合成軸角度は、前記被検眼を前記円柱矯正量および前記乱視軸矯正量にて矯正するために、光学部材およびクロスシリンダレンズを配置することを想定した際に生じる前記乱視軸矯正量のずれ量を考慮した軸角度であることを特徴とする自覚式検眼プログラム。
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