JP2024021827A - ボールねじの有効径測定方法及び該方法を用いるねじ研削装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特開2021-117061号公報記載のシステムの出力に絶対値との関係を得ることで、ボールねじの有効径を所望の寸法に補正加工し易くする。【解決手段】加工対象であるボールねじ軸に加工されたねじ溝の有効径を測定するボールねじの有効径測定システムにおいて、前記ボールねじ軸の外径を測定・評価する第1の工程と、前記ねじ溝の有効径に相当する部分を測定・評価する第2の工程とを有し、前記第1の工程と第2の工程に分けてボールねじの長手方向の対応する位置についての外径と有効径相当の評価の差を算出することでボールねじの有効径の評価を行うボールねじの有効径測定システムを有し、この有効径測定システムの評価を用いて補正加工を実行するねじ研削装置におけるボールねじの有効径測定方法において、有効径の参照となるゲージもしくはワークを測る機能を搭載して有効径の目標寸法からの偏差を参照との比較から評価し、更に有効径の長手方向の分布の評価において周期分析を用いる。【選択図】 図10

Description

本発明は、ボールねじを構成するねじ軸の有効径を測定する方法及び該方法を用いるねじ研削装置に関し、特に、ねじ研削装置を用いてボールねじ軸を生産する現場においてボールねじ軸の有効径を加工中に自動的に測定・評価して補正加工する方法及び該方法を用いるねじ研削装置に関する。
ボールねじは、産業機械やロボットなどに用いられる機械要素であり、外周面にねじ溝を有するねじ軸と、内周面にねじ溝を有するナットと、ねじ軸のねじ溝とナットのねじ溝とからなる転動路に収容された多数のボール(通常は鋼球)とを備え、高い動力伝達効率と位置精度とをもって回転運動の直線運動への変換(あるいは、直線運動の回転運動への変換)を行う。即ち、ボールねじは、外周面に所定のリードで螺旋状のボール転動溝が形成されたねじ軸と、内周面にねじ軸側のボール転動溝と対向する螺旋状のボール転動溝を有し、ボールを介してねじ軸に螺合するナット部材とから構成されており、ねじ軸の回転に応じてナット部材がねじ軸の軸方向へ移動するように構成されている。かかるボールねじは、例えば、工作機械の送りテーブル等をサブマイクロメートル単位で移動させるために用いられるが、その送り精度を確保するために、ボールねじ軸の有効径を測定する必要があり、このための測定方法として、従来、タッチプローブをボールねじ溝に接触させて有効径を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来、ボールねじの有効径測定システムとして、典型的には、ボールねじの有効径のワーク長手方向の変化を評価するシステムが種々提案されており、この手法は、直径測定の方法分類上は半径法と呼ばれる形態をとっている。短尺の測定対象の場合には有効な手法であるが、長尺の対象を特に加工機上で測定しようとする場合、マイクロメートルオーダでの評価に、対象の曲がりを無視できないという問題があり、装置の構成方向によっては重力による変形も無視できない。また、測定システムを加工機と一体とする場合には測定対象であるワークの振れを抑えるため振れ止めと呼ばれるものでワークを押さえつけるが、これによりワークを回転させたときの押さえた位置での振れは押さえ込まれるが、曲がりと言う観点では増えてしまうという難点がある。
そこで、本発明者は、溝を除いた外周を測定・評価する工程と溝底を測定・評価する工程を分けてボールねじの長手方向の対応する位置についての外周と溝底相当の評価の差を算出することで有効径の評価を行うことにより、曲がりや振れ止めによる影響等を受けることなく、ボールねじの有効径を正確に測定すること技術を開発・特許出願し、公開されている(特許文献2参照)。
実開平2-135804号公報 特開2021-117061号公報
上述した特許文献2記載の技術により有効径のボールねじの長手方向の分布の評価を用いれば、補正加工を行うことで数マイクロメートルオーダで所望の有効径分布を持つボールねじに加工することも可能である。その補正加工を行う場合、補正をする場合には目標の仕上げ径になる前の加工状態で特許文献2に示した評価システムを用いて有効径の長手方向の分布を得る。これを後述する図5に示す。しかしながら、特許文献2に示した評価システムの出力では、分布は分かるが、後述する図6の例に示すように、寸法の絶対値は分からない。
本発明は、以上のような事情から為されたものであり、その目的は、特開2021-117061号公報記載のシステムの出力に絶対値との関係を得ることで、ボールねじの有効径を所望の寸法に補正加工し易くできる技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ゲージを測定して比較によりシステムの出力に絶対値との関係を得ることを見出した。このために、機内の研削対象のワークと同軸上に比較基準を設けることで、特開2021-117061号公報記載のシステムの出力に絶対値との関係を得ることができ、ボールねじの有効径を所望の寸法に補正加工し易くすることが可能となる
即ち、本発明の第1の様相に係るボールねじの有効径測定方法は、有効径の長手方向の分布の評価・補正の装置を備えた特開2021-117061に示した加工装置で、有効径の参照となるゲージもしくはワークを測る機能を搭載して有効径の目標寸法からの偏差を参照との比較から評価し、更に有効径の長手方向の分布の評価において周期分析を用いることを特徴とする。
また、本発明の第2の様相に係るねじ研削装置は、有効径の長手方向の分布の評価・補正の装置を備えた特開2021-117061に示した加工装置で、有効径の参照となるゲージもしくはワークを測る機能を搭載して有効径の目標寸法からの偏差を参照との比較から評価できるようにする機能を備え、更に有効径の長手方向の分布の評価において周期分析を用いることを特徴とする。
本発明によれば、特開2021-117061号公報記載のシステムの出力に絶対値との関係を得ることで、ボールねじの有効径を所望の寸法に補正加工し易くできる技術を提供可能である。
本発明の第1の実施形態に係るねじ研削装置の基本構成を示す図であり、(A)は、その平面図、(B)は、その側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るねじ研削装置を、プロービング装置とその旋回機構を中心に示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るボールねじの有効径測定方法を説明するための第1の図(補正をしない場合)であり、粗加工と精加工等の複数の段階に分けて加工を行う場合の操作フローを示す。 本発明の第2の実施形態に係るボールねじの有効径測定方法を説明するための第2の図であり、図3における削り工程の詳細を示す。 特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法を説明するための第1の図であり、(A)は、溝底部の径変動、即ち、ボールねじの溝底を測定した場合の測定値の変動、(B)は、外周部の径変動、即ち、ボールねじの外周を測定した場合の測定値の変動、をそれぞれ示す。(C)は、本図を含む本願での座標系を説明する図である。 特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法を説明するための第2の図であり、その測定方法における評価の実施例を示す図であり、(A)は、溝底での測定だけで径変動を評価しようとした場合、(B)は、外周での測定だけで径変動を評価しようとした場合、(C)は、溝底での変動評価と外周での変動評価の差、をそれぞれ示す。なお、(A)および(B)の平均値はそれぞれ0になるように調整している。 本発明の第2の実施形態の変形例に係るボールねじの有効径の測定方法を説明するための第3の図であり、スタイラスの先端球がボールねじとして使用する際の球とサイズが違う場合にも、ねじ溝の断面形状が設計通りであると仮定のもとで、球と断面の接触のシミュレーションを行い有効径を算定する。 本発明の第2の実施形態の変形例に係るボールねじの有効径の測定方法を説明するための第4の図であり、スタイラスの先端球のサイズとボールねじとして使用する際の球のサイズ如何により、溝底径を測定する場合と、有効径に相当する部分の径を測定する場合とを説明する図である。 特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法を用いて有効径の軸方向の分布が得られた場合に、自動運転の最後に補正加工する場合(専ら有効径の軸方向の分布のみを留意する方法)の操作フローを示す。 本発明の第2の実施形態に係るボールねじの有効径測定方法を説明するための第5の図であり、自動運転の最後に補正加工する場合の操作フローを示す。
まず、本発明の第1の実施形態に係るねじ研削装置について説明する。図1は、本実施形態に係るねじ研削装置の基本構成を示す図であり、(A)は、その平面図、(B)は、その側面図である。本実施形態のねじ研削装置(ねじ研削盤)100は、図1(A)(B)に示すように、コラム102上に、砥石台200と、この砥石台200に保持された砥石回転装置(モータ)202と、砥石回転モータ202の回転軸に取り付けられた砥石204を備えている。砥石台200は、X直動装置206と、X直動案内208を有しており、砥石台200は、X直動装置206及びX直動案内208により図示X方向に移動することにより、ワーク台210上に載置されたワーク212を、回転する砥石204によりX方向に切り込む。また、本実施形態に係る研削装置100は、ワーク台210を有し、このワーク台210は、Z直動装置214及びZ直動案内216により図示Z方向に移動することでワーク212を研削するようになっている。尚、本実施形態に係る研削装置100は、A軸旋回装置218と、C軸(ワーク)回転装置220と、テールストック(ワーク支持装置)222を有している。
尚、本実施形態のねじ研削装置100では、図2に示すように、砥石回転装置202の筐体後部に回動可能なへ字状部材であるプロービング装置旋回機構804を介して取り付けられたプロービング装置800を有し、このプロービング装置800は、接触子であるスタイラス802を備えている。また、本実施形態のねじ研削装置100では、そのプロービング装置旋回機構804が回動することでプロービング装置800が旋回して後退した状態となるので、砥石204によるワーク212の研削を行うことが可能である。一方、そのプロービング装置旋回機構804が反対方向に回動することでプロービング装置800が反対方向に旋回してセットされ、機上測定を行うために、上記プロービング装置800のスタイラス802(後述する図8も参照)がワーク212に接触した状態とすることも可能である。
以上の構成を有する本実施形態のねじ研削装置100では、図1(B)に示すように、A軸旋回装置218がA軸廻り旋回させることで、研削対象(ワーク)212の軸と砥石204の回転軸のねじれ角を調整することができる(これをA軸と称する)。また、上記の砥石軸はA軸0度指令の時に研削対象(ワーク)212の長手方向の軸の方向と平行になるように配置されている。また、本実施形態に係る研削装置100は、C軸(ワーク)回転装置220により研削対象(ワーク)212を長手方向の軸周りに旋回させることができる(これをC軸と称する)。本実施形態に係る研削装置100は、Z直動装置214及びZ直動案内216により研削対象(ワーク)212を長手方向の軸方向に直線移動させることができる(これをZ軸と称する)。砥石回転装置(モータ)202により砥石軸を介して砥石204を回転できるように構成されており、また、研削対象(ワーク)212の長手方向の軸方向に対して直角な方向に平行移動させることができる(これをX軸と称する)。尚、A軸による旋回中心ができるだけ(0.1 mmオーダの正確さで)砥石軸の回転中心と砥石軸の軸方向に垂直な方向から見たときの両側の線の中心もしくは厚みの中央を通るように構成されている。尚、ここでは、専ら説明用にX軸にもZ軸にも垂直な方向をY方向と称する。
本実施形態に係るボールねじの有効径測定方法では、基本的には補正をしないねじ研削を行う。即ち、この通常の削りでは、後述する図4に示す削りに相当する工程を複数組み合わせる。つまり制御装置に設定を読み込んで削りを何度も行う。粗加工と精加工等、複数の段階に分ける場合も考えられる。図3は、本発明の第2の実施形態に係るボールねじの有効径測定方法を説明するための第1の図であり、粗加工と精加工の段階に分
けて行う通常の削りの場合の操作フローを示す。即ち、粗加工S300Bと精加工S300Cの段階に分けて行う場合の操作フローでは、開始され(S306)ると、粗加工のフローS300Bでは、削り(S307)、 削り(S308)、・・・ 削り(S309)の工程が実行される。続いて、精加工のフローS300Cでは、削り(S310)、 削り(S311)、・・・ 削り(S312)の工程が実行される。これにより、ワークの削りが進み、終了する(S313)。そして、これらの各削り工程は、図3の左側に示すように、各削りのフローS300Aでは、削りが開始され(S301)、切込設定が読み込まれる(S302)。これにより、切込設定に従い砥石が前進し(S303)、ワークが送られる(S304)ことでワークの削りが進み、終了する(S305)。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るボールねじの有効径測定方法を説明するための第2の図であり、上述した図3に示した各削りのフローについて更に説明するための図である。即ち、通常の各削り(補正をしない場合)では、図4に示すように、事前準備のフローS200Aでは、準備が開始され(S201)、研削条件を入力する(S202)ことで、準備が終了する(S203)。入力された研削条件に従って切込設定がなされる(S204)、加工進捗に応じた砥石座標が設定される(S205)。この後、削りのフローS200Bでは、削りが開始され(S206)、切込設定が読み込まれる(S207)。これにより、切込設定に従い砥石が前進し(S208)、ワークが送られる(S209)ことでワークの削りが進み、終了する(S210)。このように、本実施形態に係るボールねじの有効径測定方法では、事前に設定した研削条件と各段階における切込設定に基づいてワークの加工を完了させる。
図5は、特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法を説明するための第1の図であり、(A)は、溝底部の径変動、即ち、ボールねじの溝底を測定した場合の測定値の変動、(B)は、外周部の径変動、即ち、ボールねじの外周を測定した場合の測定値の変動、をそれぞれ示す。(C)は、本図を含む本願での座標系を説明する図である。図6は、特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法を説明するための第2の図であり、その測定方法における評価の実施例を示す図であり、(A)は、溝底での測定だけで径変動を評価しようとした場合、(B)は、外周での測定だけで径変動を評価しようとした場合、(C)は、溝底での変動評価と外周での変動評価の差、をそれぞれ示す。なお、(A)および(B)の平均値はそれぞれ0になるように調整している。このように、(A)溝底部の径変動に対して(B)外周部の径変動の評価分を補正し(減じ)て、(C)を得て、これを有効径の長手方向の変動評価とすることで、半径法による問題点を解消し、比較的長尺のボールねじの有効径を測定する場合でも、ボールねじの曲がりや振れ止めによる影響等を受けることなく、正確に測定することが可能になる。尚、ボールねじの外周の径の長手方向の分布評価(外周部の円筒度の評価)は別システムで行っていても良い。また、ボールねじではなく、ナットの場合には、外径は内径に置き換わることは言うまでもない。
図7は、本発明の第2の実施形態の変形例に係るボールねじの有効径の測定方法を説明するための第3の図であり、螺旋測定の場合の走査方向を矢印で示している。図7に示すように、スタイラス802の先端球803が破線で示すボールねじとして使用する際の球806とサイズが違う場合にも、測定対象のねじ(ワーク)212のねじ溝の断面形状が設計通りであるとの仮定のもとで、先端球803と断面の接触のシミュレーションを行い有効径を算定する。
また、図8は、本発明の第2の実施形態の変形例に係るボールねじの有効径の測定方法を説明するための第4の図であり、スタイラスの先端球のサイズとボールねじとして使用する際の球のサイズ如何により、溝底径を測定する場合と、有効径に相当する部分の径を測定する場合とを説明する図である。即ち、仮に、使用時のボール(球)806のサイズ(破線で示す)に比べて、図示はしないがスタイラスの先端球のサイズが極めて小さく、溝底104にフィットして測定可能であれば問題は少ない。しかしながら、使用時のボール(球)806のサイズ(破線で示す)に比べて、プロービング装置スタイラスチップの例が、図8に実線で示すような大きさの場合、溝底104との間に隙間を生じ溝底104にフィットさせて測定することができないという問題が生じる。そこで、本発明の第2の実施形態の変形例では、このような場合には、溝底径ではなく、有効径に相当する部分として、溝の内周面に接触している、例えば、106部分等の直径を測定するようにしている。この場合には、接触ボールは使用予定のボール径に近いボールを使用して、ボールと溝を2点で接触するようにし、プロービング装置は径方向にのみ感度を有する、もしくは出力の径方向成分に分解できる、ように構成させることが好適である。
一方、補正をする場合には、目標の仕上げ径になる前の加工状態で特開2021-117061号に示した評価システムを用いて有効径の長手方向の分布を得る。この補正をする場合を図9に示す。図9は、特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法を用いて有効径の軸方向の分布が得られた場合に、自動運転の最後に補正加工する場合(専ら有効径の軸方向の分布のみを留意する方法)の操作フローを示す。前述したように、特開2021-117061号に示したシステムの出力では、有効径の長手方向の分布は分かるが、前述した図6の例に示すように、寸法の絶対値は分からない。そこで、ゲージを測定して比較によりシステムの出力に絶対値との関係を得る。このために、機内の研削対象のワークと同軸上に比較基準を設ける。比較用のゲージはワークとともに回転する構造が好適であるが、必ずしも必須ではない。またねじ溝を有することが好適である。それもできない、つまり特別なゲージを用意することが困難な場合には、ワークの円筒部分の一部もしくは全体の平均を事前にマイクロメータなどの外径評価手法で得てワーク自体をゲージの代用とすることも可能である。溝部分の測定結果の長手方向の平均に対してゲージとの比較を行う。即ち、特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法では、ボールねじの有効径の評価システムにおいて、長手方向の有効径変動が図6(A)(B)のように評価される場合、上(A)の評価に対して下(B)の評価分を補正し(減じ)て、有効径の長手方向の変動評価とする。ここで図6(A)(B)の中にZと記載しているが、(C)のように座標系を定義する。即ちワーク212の長手方向にZ軸をとり、それと垂直にX軸をとる。そしてZ軸周りに回転C軸をとる。また、外周部とはワーク212の溝のない部分であり、外周部分で評価される直径を外径と呼ぶ。以降はこの座標の定義を使用する。
上述したように、ねじ溝を有することが好適であり、溝部分の測定結果の長手方向の平均に対してゲージとの比較を行うが、これは、必ずしも必須ではない。この場合には、図6のBとの比較を得てさらに、BとAの関係を幾何学的に算出し代用する。つまり、前述した図7のようにスタイラス802の先端球803がボールねじとして使用する際の球806とサイズが違う場合にも、ねじ溝の断面形状が設計通りであると仮定のもとで、先端球803と断面の接触のシミュレーションを行い有効径を算定する。
さらに、切込を一定にして研削対象にらせん状に溝を削る1方向の移動操作を1パスと表現する。補正用の評価サイクルは最終パスの1パス前に行うのではなく、目標寸法の数パス前に行う。その評価をもとに切込量を長手方向に補正(加減)しその平均も切込量の平均として記録しておく。補正したパスを1パスもしくは数パス実施したのち再度評価サイクルを実施する。そこで切込量の平均と寸法の変化の係数1を求める。さらに、有効径を仕上げの最終パスの前までに測定し、目標径の時点で補正加工が完了するように切込・補正量を調整する。補正が目標径に仕上げるための切込を超えないように監視する。
補正の長手方向の分布(切込量の平均を除いた分)と評価結果の径の長手方向の分布の差から、径補正の長手方向の分布Bの係数2を局所的に求める。係数2は一つの数値ではなく長手方向に分布を持つ数列もしくは数式とする。これらを用いて次の補正を計算する。つまり、係数1からあと 何パス実行すれば目標の寸法公差に入るかを計算し、仕上げ手前でもう一度評価サイクルを入れるように自動設定する。有効径の長手方向の分布については、分布Bを減少させるように特開2021-117061号に示したシステムと同様に長手方向に切込分布を与える(補正)を行う。補正加工と評価サイクルを繰り返す。有効径の長手方向の分布が先に0に収束するように調整する。
上述した図9は、特開2021-117061に示したボールねじの有効径の測定方法を用いて有効径の軸方向の分布が得られた場合に、自動運転の最後に補正加工する場合(専ら有効径の軸方向の分布のみを留意する方法)の操作フローを示している。この削りのフローでは、図9に示すように、削りが開始され(S601)、粗加工が実行される(S602)。これに続く精加工の操作フローS600Aでは、削り(S603)、 削り(S604)、・・・ 削り(S605)の工程が実行される。この後、ボールねじの径測定・評価がなされ(S606)、ボールねじの径が公差内に収まるか否かを判定する(S607)、S607で公差内であれば(S607でYes)、精加工が終了する(S608)。S607で公差内でなければ(S607でNo)、補正が作成され(S609)、切込設定が更新され(S610)、加工進捗に応じた砥石座標が設定される(S611)。そして、この補正に沿った削り(S612)が実行される。この削りの後、S606に戻り、ボールねじの径測定・評価がなされ(S606)、ボールねじの径が公差内に収まるまで同様の工程が繰り返される。
一方、繰り返しの過程の前または途中で有効径の分布が大きすぎて目標を満たさない公算が強い場合に作業者に報告するようにしても良い。上記の場合に分布のばらつきと寸法の目標のどちらを優先するかを作業者が係数を与えて次の加工を進行できるようにする。その際 係数1×作業者の寸法優先係数:係数2×作業者の有効径ばらつきの優先係数から優先の割合を計算する。以下に数式を用いて詳細に説明する。まず、指令した切込量と実際の切込量(その回の直径の評価とその1回前の直径の評価との差)に差がある場合には、その比例係数を得る必要があるが、その比例係数[係数1]Wiは以下の数式(1)により求めることができる。
Figure 2024021827000002
このように、切込の指令と実際に削った後の有効径の差(実際の切込量)に比例の関係があるという前提であれば、切込指令に以上の数式(1)で求めた比例係数[係数1]Wiを乗じた切込値に補正して次の削りを行うことで、目標とする有効径に達する(目標とする有効径を得ることができる。但し、残りの削り代が大きい場合は、図3のフローチャートを用いて説明したように、複数回の削りを行うので、上記数式(1)で求めた比例係数[係数1]Wiを用いて、残りの削りを以下の数式(2)のように調整することが必要且つ可能である。
Figure 2024021827000003
ここで、nは切込回数(自然数)であり、上述した複数回の削りの回数に相当する。このように、本発明の第2の実施形態に係るボールねじの有効径の測定方法を用いて有効径を機上測定により求めることで、残りの削りを上記数式(2)で調整することができるので、高精度の補正加工が可能になる。以上の数式(1)及び(2)では、ワークの長手方向全体の平均的な有効径の変化(絶対値の変化)に着目した補正となる。一方、ワークの長手方向における局所
的な有効径分布の補正に着目すると、ワークの長手方向をzとすると、局所影響係数[係数2] wi(zj)は、上記数式(1)と同様の考え方により、以下の数式(3)により求めることができる。
Figure 2024021827000004
上記数式(3)で求めた局所影響係数[係数2] wi(zj)を用いて、有効径分布の補正の更新式(前までの補正に加算することを意味する)を以下の数式(4)により求めることが可能である。
Figure 2024021827000005
上記数式(4)に示すように、ワークの長手方向における局所的な有効径分布の補正に着目して補正を更新することができる。但し、多くの場合(概ね|max(wi(zj))|≦1となるので)以下の数式(5)で代用可能である。この場合、多少、収束性能の劣化が見込まれるが、繰り返せば分布低減の目標を達することが可能である。
Figure 2024021827000006
一方、ワークの長手方向をZとし、Z=zjの位置だけに着目した時の、正味の切込の直径値への換算は、以下の数式(6)により求めることができる。
Figure 2024021827000007
但し、上記数式(2)で求めた残りの削り代よりも次の正味の切込量の方が大きくなる場合(以下の数式(7)のような大小関係が得られる場合)が局所的にも発生した場合には、上述したように、分布のばらつきと寸法の目標のどちらを優先するかを作業者が係数を与えて次の加工を進行できるようにする。その際 係数1×作業者の寸法優先係数:係数2×作業者の有効径ばらつきの優先係数から優先の割合を計算する。即ち、以下の数式(7)のような大小関係が得られる場合には、有効径の分布か有効径の絶対値(寸法の目標値)のどちらかが犠牲になる。そこで、上述したように、分布のばらつきと寸法の目標値のどちらを優先するかを作業者が係数を与えて次の加工を進行できるようにする。
Figure 2024021827000008
このように、上記数式(7)のような大小関係が得られる場合には、上述したように、分布のばらつきと寸法の目標値のどちらを優先するかを作業者が係数を与えて次の加工を進行できるようにするのが好適である。 ここで、本実施形態の変形例について述べる。本変形例では、局所的な有効径分布の補正を周期成分に分解する。このための方式としては、離散フーリエ変換等が代表的である。即ち、以下の数式(8)が成り立つ。
Figure 2024021827000009
以下の数式(9)が得られる。
Figure 2024021827000010
ここで、real()は、実部だけにするという意味である。kは一般的な使用の慣習と異なるが、虚数単位である。周期成分の補正に対して着目すると、以下の数式(10)が成り立つ。
Figure 2024021827000011
このように、本変形例では、組み立てることが異なる方式である。i-1回目の次であるi回目に与える補正は、以下の数式(11)により得られる。
Figure 2024021827000012
尚、実物の測定により有効径の長手方向の分布の評価を行う場合には、ワークや測定機類の汚れ、局所的な傷等が雑音として入ることがある。これら、周期が短い成分を抑制するため、実装上の工夫としてある周期以下または以上または特定の周期の成分を無視する、あるいは係数を調整することが可能である。
図10は、本発明の第2の実施形態に係るボールねじの有効径測定方法を説明するための図であり、自動運転の最後に補正加工する場合の操作フローを示す。この操作フローでは、図10に示すように、削りが開始され(S701)、粗加工が実行される(S702)。これに続く精加工の操作フローS700Aでは、削り(S703)、 削り(S704)、・・・ 削り(S705)の工程が実行される。この後、ボールねじの径測定・評価がなされ(S706)、ボールねじの径が公差内に収まるか否かを判定する(S707)、S707で公差内であれば(S707でYes)、精加工が終了する(S708)。S707で公差内でなければ(S707でNo)、取代不足か否かを判定する(S709)。S709で取代不足でなければ(S709でNo)、補正が作成され(S710)、切込設定が更新され(S711)、加工進捗に応じた砥石座標が設定される(S712)。そして、この補正に沿った削り(S713)が実行される。この削りの後、S706に戻り、ボールねじの径測定・評価がなされ(S706)、ボールねじの径が公差内に収まるまで同様の工程が繰り返される。しかしながら、この図10に示す例では、S709で取代不足であると判定されれば(S709でYes)、システムとして、作業者に警告の表示を行う(S714)。これにより作業者は、取代不足を解消する等の対処が可能になる。尚、代替例(変形例)として、OPTIONALの処理(S700B)を設けても良い。この場合には、S709で取代不足であると判定されても(S709でYes)、作業者が続行を指示すれば(S715)、システムとして続行するか否かを判定し(S716)、続行しない場合(S716でNo)、精加工を中止して終了する(S708)。S716で続行する場合には(S716でYes)、補正が作成され(S710)、以降の処理を実行する。
100 ねじ研削装置(ねじ研削盤)、 102 コラム、 104 溝底、 106 直径測定部分、 200 砥石台、202 砥石回転装置(モータ)、 204 砥石、 206 X直動装置、 208 X直動案内、 210 ワーク台、 212 ワーク、214 Z直動装置、 216 Z直動案内、 218 A軸旋回装置、 220 C軸(ワーク)回転装置、222 テールストック(ワーク支持装置)、 800 プロービング装置、 802 スタイラス、 803 先端球、804 プロービング装置旋回機構、 806 ボールねじとして使用する際の球(使用時のボール球)

Claims (2)

  1. 加工対象であるボールねじ軸に加工されたねじ溝の有効径を測定するボールねじの有効径測定システムにおいて、前記ボールねじ軸の外径を測定・評価する第1の工程と、前記ねじ溝の有効径に相当する部分を測定・評価する第2の工程とを有し、前記第1の工程と第2の工程に分けてボールねじの長手方向の対応する位置についての外径と有効径相当の評価の差を算出することでボールねじの有効径の評価を行うボールねじの有効径測定システムを有し、この有効径測定システムの評価を用いて補正加工を実行するねじ研削装置において、有効径の参照となるゲージもしくはワークを測る機能を搭載して有効径の目標寸法からの偏差を参照との比較から評価できるようにする機能を備え、更に有効径の長手方向の分布の評価において周期分析を用いることを特徴とするねじ研削装置。
  2. 加工対象であるボールねじ軸に加工されたねじ溝の有効径を測定するボールねじの有効径測定システムにおいて、前記ボールねじ軸の外径を測定・評価する第1の工程と、前記ねじ溝の有効径に相当する部分を測定・評価する第2の工程とを有し、前記第1の工程と第2の工程に分けてボールねじの長手方向の対応する位置についての外径と有効径相当の評価の差を算出することでボールねじの有効径の評価を行うボールねじの有効径測定システムを有し、この有効径測定システムの評価を用いて補正加工を実行するねじ研削装置におけるボールねじの有効径測定方法において、有効径の参照となるゲージもしくはワークを測る機能を搭載して有効径の目標寸法からの偏差を参照との比較から評価し、更に有効径の長手方向の分布の評価において周期分析を用いることを特徴とするボールねじの有効径測定方法。
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