以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明したコンポーネント(構成要素)と同じ機能を有するコンポーネントについては、以降の各実施形態では同じ符号を付し、その説明を繰り返さないことがある。簡潔化のため、公知の技術事項についても説明を適宜省略する。
本明細書において述べる各コンポーネント、各材料、および各数値は、特に矛盾のない限り、いずれも単なる一例である。それゆえ、例えば、特に矛盾のない限り、各コンポーネントの位置関係および接続関係は、各図の例に限定されない。本願における各図面に記載した構成の形状および寸法(長さ、幅、高さ等)は、実際の形状および寸法が必ずしも反映されたものではなく、図面の明瞭化および簡略化のために適宜変更されている。
〔実施形態1〕
<開閉器1Aの概要と回路構成>
本開示の実施形態1に係る開閉器1Aは、単相3線式の線路に設けられる開閉器である。開閉器1Aは、開閉器1Aに接続される1次側の線路と、開閉器1Aに接続される2次側の線路との間の接続の状態を、開路(遮断、OFF)と閉路(接続、ON)との間で切り替えることができる。
本開示の実施形態1について、図面を参照しつつ以下に説明する。図1は、実施形態1に係る開閉器1Aの外観を示す斜視図である。図1に示されるように、開閉器1Aは、全体として略直方体状の外観を呈している。開閉器1Aの筐体は主に、インサートケース2、カバーケース5、および図1には不図示の後述の底板6で構成されている。
一般に開閉器は、底面が分電盤等の壁面に接するようにして、固定されて用いられる。本明細書では、開閉器1Aの底面に垂直な方向を高さ方向と称する。また高さ方向について、開閉器1Aの底面に近い側を「下側」あるいは「低い」、底面から遠い側を「上側」あるいは「高い」と表現する。
カバーケース5は、開閉器1Aの上側を覆うように構成されている。また、本明細書では、高さ方向に垂直で、かつ開閉器1Aの長手方向に垂直な方向を幅方向と称する。幅方向に直交する開閉器1Aの筐体の側面は、左側面と右側面である。図1の斜視図には、開閉器1Aの筐体の左側面が現れている。
図2は開閉器1Aの回路構成の概要を示す図である。図2に示されるように、開閉器1Aは、第1の1次側端子台11、第2の1次側端子台12、2次側端子台21、および3つのラッチングリレー30U、30O、30Wを備えている。また開閉器1Aは、制御部40、1次側電圧モニタ51、2次側電圧モニタ52、通信部60、および報知部70を備えている。3つのラッチングリレー30U、30O、30Wは開閉器1Aの筐体内部に収容されている。また、制御部40、1次側電圧モニタ51、2次側電圧モニタ52、通信部60、および、報知部70の各部も開閉器1Aの筐体内部に収容されている。
なお、制御部40および各種電圧モニタは開閉器1Aの筐体内部に収容するほか、筐体外部に配置してもよい。例えば、制御部40を開閉器1Aの筐体に外付けするとともに、制御部40と3つのラッチングリレー30U、30O、30Wおよび各種電圧モニタ等とを電気的に接続してもよい。あるいは、制御部40および各種電圧モニタを開閉器1Aの筐体に外付けするとともに、制御部40および各種電圧モニタと3つのラッチングリレー30U、30O、30Wとを電気的に接続してもよい。
第1の1次側端子台11と第2の1次側端子台12とは、それぞれが1次側の線路を開閉器1Aに接続させるための端子台である。2次側端子台21は、2次側の線路を開閉器1Aに接続させるための端子台である。つまり、開閉器1Aは、単相3線式の線路を1組として、2組の1次側の線路を接続するための2つの1次側端子台と、1組の2次側の線路を接続するための1つの2次側端子台を備えている。
第1の1次側端子台11、第2の1次側端子台12、および2次側端子台21のそれぞれが、単相3線式の線路を構成する各極(各相)、すなわちU極、O極(中性極)、W極に接続するための3つの端子を有している。第1の1次側端子台11は、U極の端子11Uと、O極の端子11Oと、W極の端子11Wとを有している。第2の1次側端子台12は、U極の端子12Uと、O極の端子12Oと、W極の端子12Wとを有している。2次側端子台21は、U極の端子21Uと、O極の端子21Oと、W極の端子21Wとを有している。
開閉器1Aの内部において、端子11Uと端子12U、端子11Oと端子12O、および、端子11Wと端子12Wは、それぞれが電気的に接続されている。つまり開閉器1A内において、第1の1次側端子台11と第2の1次側端子台12との間で、各極の端子がそれぞれ電気的に接続されている。
開閉器1A内において、端子11Uと端子21Uとが、ラッチングリレー30Uを介して接続されている。ラッチングリレー30Uは、開閉器1AにおいてU極の開閉を行うリレーである。開閉器1A内において、端子11Oと端子21Oとが、ラッチングリレー30Oを介して接続されている。ラッチングリレー30Oは、開閉器1AにおいてO極の開閉を行うリレーである。また、開閉器1A内において、端子11Wと端子21Wとが、ラッチングリレー30Wを介して接続されている。ラッチングリレー30Wは、開閉器1AにおいてW極の開閉を行うリレーである。
つまりラッチングリレー30U、30O、30Wは、1次側端子台(第1の1次側端子台11および第2の1次側端子台12)と2次側端子台21との間に設けられ、線路を構成する3極それぞれの開閉の状態を独立または連動して切り替え得る。つまり、制御部40は、ラッチングリレー30U、30O、30Wのうち、任意のラッチングリレーのみに切り替えをさせることができ、また、任意の複数のラッチングリレーについて連動して切り替えをさせることもできる。
ここで3極それぞれにおいて、開閉の状態は、開路(遮断、OFF)と閉路(接続、ON)との間で切り替えられる。このように、開閉器1Aは単相3線式の線路の各極に対応した3つのラッチングリレーを備えているため、線路を1次側と2次側とで完全に切り離すことができる。ラッチングリレーの詳細については後述する。
1次側電圧モニタ51は、1次側端子台(第1の1次側端子台11および第2の1次側端子台12)の各極間の電圧をモニタする。ここで少なくとも、1次側電圧モニタ51はU極-O極間の電圧と、W極-O極間の電圧とを監視する機能を有している。1次側電圧モニタ51は更にU極-W極間の電圧を監視する機能を有していてもよい。また、1次側電圧モニタ51は少なくとも、それぞれの極間に所定の電圧が供給されているか否かを監視する機能を有している。1次側電圧モニタ51は、線路に印加される電圧を監視する電圧モニタの一例である。
2次側電圧モニタ52は、2次側端子台21の各極間の電圧をモニタする。ここで少なくとも、2次側電圧モニタ52はU極-O極間の電圧と、W極-O極間の電圧とを監視する機能を有している。2次側電圧モニタ52は更にU極-W極間の電圧を監視する機能を有していてもよい。また、2次側電圧モニタ52は少なくとも、それぞれの極間に所定の電圧が供給されているか否かを監視する機能を有している。2次側電圧モニタ52は、線路に印加される電圧を監視する電圧モニタの一例である。
通信部60は、外部の機器との間で通信を行う機能ブロックである。通信部60は、通信ケーブルを接続するための通信コネクタ61を有していてもよい。通信コネクタ61は、例えばLAN(Local Area Network)コネクタであってよい。報知部70は、情報の報知を行う機能ブロックである。報知部70は発光色および点灯の状態で開閉器1Aの状態を報知し得るランプ71を有していてもよい。また報知部70は、異常発生時等に聴覚を通じた報知を行うためのブザー等を有していてもよい。
制御部40は、ラッチングリレー30U、30O、30Wのそれぞれを制御するほか、1次側電圧モニタ51、2次側電圧モニタ52、通信部60、報知部70と適宜情報の授受を行い、これらの各部を制御する機能ブロックである。制御部40は、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含んで構成されていてもよい。制御部40は開閉器1Aの筐体(インサートケース2、カバーケース5、および底板6)内部に配置されるほか、筐体外に配置されてもよい。
図2の回路図には表されないが、開閉器1Aの各部が動作を行うための電力が、1次側の線路または2次側の線路の少なくとも一方の側から開閉器1Aの各部に適宜供給されるように開閉器1Aは構成される。また、外部からの電力の供給が行われなくなった期間において開閉器1Aの各部が動作を継続するためのバックアップ用の電源を開閉器1Aが備えていてもよい。
<ラッチングリレー>
開閉器1Aのラッチングリレー30U、30O、30Wに適用され得る電子部品としてのラッチングリレーの構成について説明する。電子部品としてのラッチングリレーは直方体形状の外観を備え、その底面および上面は長方形である。ラッチングリレーの底面および上面の長方形の短辺は、直方体の他の辺よりも短い。つまり、ラッチングリレーは、ラッチングリレーの幅方向が他の方向よりも狭い直方体状の外観を呈する。
ラッチングリレーは、底面に接続端子を有している。また、ラッチングリレーは、内部に接点を駆動するための電磁コイルを有している。電磁コイルは軸方向に長い構造体であるため、電磁コイルの軸方向がラッチングリレーの狭い方向である幅方向に直交するようにして、ラッチングリレーの内部において電磁コイルが配置されている。
製品により異なるが、例えば、軸方向がラッチングリレーの底面に垂直になるように電磁コイルが配置されることがある。あるいは、軸方向がラッチングリレーの幅方向に直交しつつラッチングリレーの底面に対して斜めであるように電磁コイルが配置されることがある。あるいは、軸方向がラッチングリレーの幅方向に直交しつつラッチングリレーの底面に対して平行であるように電磁コイルが配置されることがある。
開閉器1Aにおいては、制御部40に制御されて、ラッチングリレー30U、30O、30Wそれぞれの開閉が実行される。すなわち、制御部40は、各電磁コイルの駆動を行う駆動回路を有している。開閉器1Aに適用されるラッチングリレーは、ラッチングリレー内部の電磁コイルにパルス電流を通電することにより、閉路から開路に移行する開路動作、および、開路から閉路に移行する閉路動作を実行するリレーである。
開路動作を実行するためのパルス電流と、閉路動作を実行するためのパルス電流とで極性(正負)が異なり、これらのパルス電流(セット信号、リセット信号)を受け入れる共通の端子を有する形式のラッチングリレーが、開閉器1Aに適用されてもよい。開路動作を実行するためのパルス電流を受け入れる端子と、閉路動作を実行するためのパルス電流を受け入れる端子と(セットポート、リセットポート)を独立して有する形式のラッチングリレーが、開閉器1Aに適用されてもよい。
ラッチングリレー30U、30O、30Wのそれぞれは、開路または閉路の状態を保持するために電磁コイルに常時通電する必要は無い。そのため電磁コイルによる発熱がないことからラッチングリレー30U、30O、30Wの3つのリレーが開閉器1Aの内部に収容されてもよい。
<開閉器1Aの筐体構造>
更に、図3~5をも参照しつつ、開閉器1Aの構造について説明する。図3は、開閉器1Aの平面図である。図3は上述の定義による上側から開閉器1Aを見た(以下、「平面視」と記載)図に相当し、開閉器1Aの底面は表されていない。
図4は、図3の平面図においてA-Aとして示される位置での、左側面方向から見た切断部端面図である。図5は、図3の平面図においてB-Bとして示される位置での、左側面方向から見た切断部端面図である。図4および図5は切断部端面図であるため、切断部よりも奥の構造は表示されていない。
開閉器1Aは、長手方向の一方の端部に、それぞれが1次側の線路を接続させるための2つの1次側端子台を備えている。第1の1次側端子台11は、平面視(図3の平面図)における開閉器1Aの長方形状の外辺のうちの短辺である第1短辺に接する。第2の1次側端子台12は、当該端部において、第1の1次側端子台11よりも内側に配置されている。開閉器1Aは、長手方向のもう一方の端部に、2次側の線路を接続させるための2次側端子台21を備えている。2次側端子台21は、平面視(図3の平面図)における開閉器1Aの長方形状の外辺のうちの第1短辺とは異なる短辺である第2短辺に接する。
開閉器1Aの筐体の主要部分は、インサートケース2により構成される。インサートケース2は、開閉器1Aの長手方向の両端において、第1の1次側端子台11、第2の1次側端子台12および2次側端子台21を構成している。また、図1に示されるように、筐体の左側面の下側の約半分はインサートケース2で構成される。同様に、筐体の右側面の下側の約半分もインサートケース2で構成される。
図3に示されるように、インサートケース2には、分電盤等の壁面に開閉器1Aをネジ止め固定するために用いる貫通穴9が適宜設けられている。貫通穴9はインサートケース2を高さ方向に貫通する穴である。図3に例示されるように、貫通穴は開閉器1Aの互いに対向する一対の隅部、例えば、後述する第1の1次側端子台11の壁114と、後述する2次側端子台21の壁211とに設けられてもよい。
筐体の左側面および右側面の上側の約半分と、筐体の上面とが、カバーケース5により構成される。インサートケース2において、第2の1次側端子台12を構成する部分と、2次側端子台21を構成する部分の間は空洞となっている。カバーケース5および底板6がインサートケース2に装着された状態で、当該空洞が開閉器1Aの筐体の内部空間を構成する。
カバーケース5は、当該空洞の上面側の開口を塞ぐ部材でもある。底板6は、当該空洞の底面側の開口を塞ぐ部材でもある。なお、開閉器1Aの筐体の底面において、インサートケース2の開口を塞ぐ底板6に替えて、カバーフィルムを用い、カバーフィルムで底面側の開口を塞ぐようにしてもよい。
<端子台の構成の詳細>
第1の1次側端子台11は、第1短辺に沿って、筐体の左側面側から、U極の端子11U、O極の端子11O、W極の端子11Wをこの順に有している。端子間の不用意な電気的接触を防止するため、端子11Uと端子11Oとの間には壁112が設けられ、端子11Oと端子11Wとの間には壁113が設けられている。また、端子11Uよりも筐体の左側面側には壁111が、端子11Wよりも筐体の右側面側には壁114が設けられている。
壁111、壁112、壁113、および壁114は、インサートケース2の一部であって、インサートケース2と一体として形成されている。壁111、壁112、壁113、壁114はそれぞれ、第1の1次側端子台11の各端子への不用意な接触による短絡等の事故の発生を防ぐ役割も果たす。
第2の1次側端子台12は、平面視において第1の1次側端子台11よりも内側に位置し、筐体の左側面側から、U極の端子12U、O極の端子12O、W極の端子12Wをこの順に有している。端子間の不用意な電気的接触を防止するため、端子12Uと端子12Oとの間には壁122が設けられ、端子12Oと端子12Wとの間には壁123が設けられている。また、端子12Uよりも筐体の左側面側には壁121が、端子12Wよりも筐体の右側面側には壁124が設けられている。
壁121、壁122、壁123、および壁124は、インサートケース2の一部であって、インサートケース2と一体として形成されている。壁121、壁122、壁123、壁124はそれぞれ、第2の1次側端子台12の各端子への不用意な接触による短絡等の事故の発生を防ぐ役割も果たす。
高さ方向において、第1の1次側端子台11の各端子(端子11U、端子11O、端子11W)は、第2の1次側端子台12の各端子(端子12U、端子12O、端子12W)よりも低い位置(底面に近い位置)に配置されている。更には、第1の1次側端子台11のそれぞれの壁(壁111、壁112、壁113、壁114)の最も高い位置は、第2の1次側端子台12の各端子よりも低い位置となるようにされている。このように、第1の1次側端子台11の各端子と第2の1次側端子台12の各端子とが、高さ方向に離間して配置されていることによって、混触が防止されるように構成されている。
2次側端子台21は、第2短辺に沿って筐体の左側面側から、U極の端子21U、O極の端子21O、W極の端子21Wをこの順に有している。端子間の不用意な電気的接触を防止するため、端子21Uと端子21Oとの間には壁212が設けられ、端子21Oと端子21Wとの間には壁213が設けられている。また、端子21Uの筐体の左側面側には壁211が、端子21Wの筐体の右側面側には壁214が設けられている。壁211、壁212、壁213、壁214はそれぞれ、2次側端子台21の各端子への不用意な接触による短絡等の事故の発生を防ぐ役割も果たす。
<開閉器1Aの筐体内部の構造>
次に、インサートケース2、カバーケース5、および、底板6により規定された内部空間、すなわち、筐体内部に収容される各構成要素のうち、主要な構成要素について説明する。
開閉器1Aの筐体内部には、底板6に沿って、つまり筐体の底面に沿って、第1回路基板3が配置されている。また開閉器1Aの筐体内部には、カバーケース5の主面に沿って、つまり筐体の上面に沿って、第2回路基板4が配置されている。制御部40、報知部70、および通信部60は、第2回路基板4に設けられている。1次側電圧モニタ51、および2次側電圧モニタ52は、第1回路基板3に設けられている。
報知部70のランプ71は第2回路基板4の上側の面に配置されている。図3に示されるように、カバーケース5がインサートケース2に装着されている状態において、カバーケース5に開けられたのぞき穴を通じて、外部から第2回路基板4上の報知部70のランプ71が視認できるように構成されている。
図5に示されるように、通信部60の通信コネクタ61は、第2回路基板4の下側の面上において、第2回路基板4の端部付近に配置されている。こうして、カバーケース5に開けられた開口を通じて、通信コネクタ61には、通信用ケーブルのコネクタを脱着できるように構成されている。また図5に示されるように、第1回路基板3と第2回路基板4との間が、単数または複数のハーネス8で、適宜配線されていてもよい。
第1回路基板3は、3つのラッチングリレー30U、30O、30Wを保持する。第1回路基板3への各ラッチングリレー30U、30O、30Wの固定は、例えば半田付けによって行われる。また、ラッチングリレー30U、30O、30Wそれぞれの底面に設けられているラッチングリレーの接続端子が、第1回路基板3に半田付けされることによって、各ラッチングリレーへの配線の接続が行われる。平面視における3つのラッチングリレー30U、30O、30Wの位置が、図3に点線で示されている。
平面視において、開閉器1Aの左側面側から、ラッチングリレー30U、ラッチングリレー30O、ラッチングリレー30Wがこの順に並ぶように配置されている。また、各ラッチングリレーの底面の長方形の長辺側が、それぞれ平行に隣り合って並ぶように、3つのラッチングリレー30U、30O、30Wは第1回路基板3上に配置される。
すなわち、3つのラッチングリレー30U、30O、30Wが、それぞれの幅方向に並ぶように配置される。図4には、ラッチングリレー30Wの電磁コイル31の配置が点線で示されている。図4では、ラッチングリレーの電磁コイル31の軸方向が、特にラッチングリレーの底面に直交する場合の例が示されている。
このように開閉器1Aの筐体の内部において、各ラッチングリレーの電磁コイル31が並列に並ぶようにして、3つのラッチングリレー30U、30O、30Wが同じ向きで配置される。つまり、各ラッチングリレーの狭い方向である幅方向に3つのラッチングリレー30U、30O、30Wが向きを揃えて並べて配置されることとなる。
図4および図5の切断部端面図に示されているように、第1の1次側端子台11の各端子、第2の1次側端子台12の各端子、および2次側端子台21の各端子には、接続部材が各端子から第1回路基板3に向けて延伸するように接続されている。こうして、これらの各端子は、第1回路基板3に設けられる配線に電気的に接続される。第1の1次側端子台11の各端子、第2の1次側端子台12の各端子、および2次側端子台21の各端子は、それぞれが接続部材と共に、銅あるいはアルミニウムのような抵抗率の低い金属材によって一体として形成されていてよい。
図4の切断部端面図では、第2の1次側端子台12の端子12Wが接続部材12Weを通じて、また2次側端子台21の端子21Wが接続部材21Weを通じて、それぞれ第1回路基板3に設けられる配線に電気的に接続されている様子が表されている。図5の切断部端面図では、第1の1次側端子台の端子11Uが接続部材11Ueを通じて、第1回路基板3に設けられる配線に電気的に接続されている様子が表されている。
3つのラッチングリレー30U、30O、30Wは、開閉器1Aの底面付近に配置された第1回路基板3に固定されて、開閉器1Aに対して上述のように配置されているので、開閉器1Aは、3つものラッチングリレーを筐体内部に収容できる。また、リレーと各端子台の各端子との接続を、例えば従来技術のようにバー状の金属部材によって直接行う場合には、開閉器の組み立てが複雑となり、また、開閉器が3つのラッチングリレーを備える場合に開閉器をコンパクトに構成することが困難である。
しかし、実施形態1の開閉器1Aにおいては、第1の1次側端子台11の各端子、第2の1次側端子台12の各端子、および2次側端子台21の各端子からラッチングリレー30U、30O、30Wへの電気的接続が第1回路基板3を通じて行われている。そのため、3つのラッチングリレーを備える開閉器をコンパクトに構成することができ、更には図2の回路構成に示される各部をも筐体に一体に収容した開閉器1Aを実現することができる。
また、開閉器1Aの幅方向における、3つのラッチングリレー30U、30O、30Wが対応する各極の並び順は、第1の1次側端子台11、第2の1次側端子台12、および2次側端子台21における各端子の各極の並び順と一致している。そのため図2の回路図に示されている各端子台の各端子と各極のラッチングリレーとの接続が容易に実現されるようになる。
更に開閉器1Aは、第1の1次側端子台11を通じて流れる電流を検出するための電流検出器を内部に備えていてもよい。開閉器1Aは第2の1次側端子台12を通じて流れる電流を検出するための電流検出器を内部に備えていてもよい。あるいは、開閉器1Aは2次側端子台21を通じて流れる電流を検出するための電流検出器を内部に備えていてもよい。このような電流検出器には、各接続部材に装着されるCT(Current Transformer:電流変成器)が適宜に適用されてもよい。
<開閉器1Aの適用例>
図6は、実施形態1に係る開閉器1Aが適用される場面の一例を示す図である。本例は、太陽光パネル201と、蓄電装置105とを備えた、住宅等における電力系統に開閉器1Aが適用された例である。
開閉器1Aは、上記住宅等に設置された分電盤15Aに配設されている。分電盤15Aには、主幹ブレーカである漏電ブレーカ151、複数の分岐ブレーカ152、漏電ブレーカ151と分岐ブレーカ152を接続するバスバー153が配設されている。本例においては更に、蓄電装置105用の漏電ブレーカ154も分電盤15Aの盤面上に配設され、バスバー153に接続されている。分電盤15Aにおいて、開閉器1Aの2次側端子台21に接続された2次側の線路21Lが、主幹ブレーカである漏電ブレーカ151に接続される。
商用系統101から、スマートメータ102、ブレーカ103を介して、分電盤15Aに配設された開閉器1Aへと電力が供給される。スマートメータ102がブレーカの機能を備える場合には、別体としてのブレーカ103は無くてもよい。分電盤15Aの第1の1次側端子台11に、このような商用系統101からの1次側の線路11Lが接続される。
太陽光パネル201から、太陽光パネル201の動作を制御するPCS202(Power conditioning Subsystem:パワーコンディショニングサブシステム)と漏電ブレーカ203を介して分電盤15Aに配設された開閉器1Aに電力が供給される。分電盤15Aに配設された開閉器1Aの第2の1次側端子台12に、このような太陽光パネル201からの1次側の線路12Lが接続される。
蓄電装置105は、太陽光パネル201が発電した余剰の電力を蓄電し、必要に応じて放電する装置である。蓄電装置105はまた、例えば停電に備えるために、商用系統101から受電した電力を蓄電することも可能である。蓄電装置105はこのような充放電の制御を行うために、1次側の線路11Lに設けられた電流検出器104、および、1次側の線路12Lに設けられた電流検出器204から信号を受信する。このような電流検出器104、または電流検出器204には、例えばCTが用いられる。
なお、開閉器1Aが1次側の線路11Lを流れる電流、すなわち、第1の1次側端子台11を通じて流れる電流を検出するための電流検出器を内蔵している場合には、蓄電装置105は、開閉器1Aからその電流についての情報を取得するようにしてもよい。開閉器1Aが1次側の線路12Lを流れる電流、すなわち、第2の1次側端子台12を通じて流れる電流を検出するための電流検出器を内蔵している場合には、蓄電装置105は、開閉器1Aからその電流についての情報を取得するようにしてもよい。あるいは、蓄電装置105が、1次側の線路12Lを流れる電流の大きさの情報を、PCS202から取得するように構成されていてもよい。
開閉器1Aの制御部40は、1次側電圧モニタ51または2次側電圧モニタ52によって、1次側の線路からの電力供給の状態を検出することができる。制御部40は、1次側の線路11L、12Lまたは2次側の線路21Lに電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知することによって、1次側からの電力供給が行われなくなった、すなわち停電になったことを検出する。
すると制御部40は、ラッチングリレー30U、30O、30Wを制御して、1次側の線路と、開閉器1Aに接続される2次側の線路との間の接続の状態を、接続状態(閉路状態)から遮断状態(開路状態)に切り替えることができる。このとき制御部40は、ラッチングリレー30U、30O、30Wの全てに対して、閉路から開路に移行する開路動作を指示する。
その結果、開閉器1Aによって、分電盤15A以降の宅内系統を、商用系統101から完全に切り離すことができる。この場合に蓄電装置105が適宜放電動作を実行することによって、宅内系統の自立運転が可能になる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラ整備」等の達成にも貢献するものである。
しかも、コンパクトに構成された開閉器1A自体が1次側電圧モニタ51または2次側電圧モニタ52を備えることによって停電検出機能を有しているから、分電盤15Aに開閉器1Aを配設することによって、宅内系統の自立運転が実現できる。よって、宅内系統の自立運転を実現するために、分電盤15Aとは別途の分電盤を宅内に設置する必要が無い。
<開閉器1Aの動作例:停電時>
以下では開閉器1Aの動作の一例として、図6に示されるように分電盤15Aに配設された開閉器1Aが、自立運転等のために、宅内系統を商用系統101から切り離すときの動作について図7を参照しつつ説明する。
図7は、制御部40による、U極のラッチングリレー30U、O極のラッチングリレー30O、W極のラッチングリレー30Wの制御状態を模式的に表した図である。ここで、制御状態とは、各ラッチングリレーが所要の開路状態または閉路状態になるように、制御部40が各ラッチングリレーに指示を行ったことを表している。
つまり、全てのラッチングリレーが制御部40の指示に従って動作している場合には、図7に示される各極についての指示の状況と、実際の各ラッチングリレーの開閉状況とは一致する。しかし、リレー接点の溶着等の異常発生により、ラッチングリレーが制御部40の指示に従って動作し得ない状況が発生した場合には、図7に示される各極についての指示の状況と、実際の各ラッチングリレーの開閉状況とは必ずしも一致しない。
図7に示される制御状態Sa1は、商用系統101からの電力供給を宅内系統に行うため、開閉器1Aに1次側と2次側とを閉路させる制御を制御部40が行った状態に相当する。制御状態Sa4は、商用系統101から宅内系統を切り離すため、開閉器1Aに1次側と2次側とを開路させる制御を制御部40が行った状態に相当する。
続いて、動作の詳細について更に詳細に説明する。商用系統101から分電盤15Aに電力が供給されている通常状態において、図7に示される制御状態Sa1であり、ラッチングリレー30U、ラッチングリレー30O、ラッチングリレー30Wの全てが閉路状態であるとする。すなわち、1次側の線路11L、12Lと2次側の線路21Lとが接続されている状態である接続状態であるとする。
制御状態Sa1において、制御部40は報知部70を制御して、商用系統101から通常の電力供給が行われていることを示す、ランプ71による報知を実行してもよい。このような報知は、ランプ71の特定の点灯状態や特定の発光色によって、例示として緑色の連続点灯にすることによって、行われてもよい。また、制御部40は、制御状態Sa1において、1次側電圧モニタ51および2次側電圧モニタの少なくともいずれかを用いて、線路(1次側の線路11L等)に電圧が供給されているか否かを監視している。
その結果、制御状態Sa1の定常時において、制御部40は、線路(1次側の線路11L等)に電圧が供給されていることを検知することになる。この場合に制御部40は、通信部60を通じて、外部機器である蓄電装置105に、線路に電圧が供給されている状態であることを示す信号を継続して送信する。
このような信号は、開閉器1Aが起動していない状態において、外部機器である蓄電装置105に対して通信コネクタ61において表される、いわゆる無信号とは異なる状態の信号として表される。開閉器1Aが起動していない状態とは、開閉器1Aが動作を行うための電力が開閉器1Aの各部に供給されていない状態でもある。外部機器である蓄電装置105に伝達される信号の具体例として、無信号の状態は無電圧(電圧0V)であって、線路(1次側の線路11L等)に電圧が供給されていることを示す信号は、0V以外の所定の電圧とすることができる。
ここで、商用系統101において停電が発生したとする。PCS202は停電を検知して、太陽光パネル201による発電を停止するように構成されているものとする。すると、制御部40は、1次側電圧モニタ51および2次側電圧モニタ52の少なくともいずれかを用いた監視によって、線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知する。
制御部40は、通信部60を通じて、外部機器(外部の機器)である蓄電装置105に、線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化した旨、すなわち、停電が発生した旨の情報を伝達する通知を行う。このような通知の具体例として、外部機器である蓄電装置105に、0V以外の所定の電圧であることによって表される、線路に電圧が供給されている状態であることを示す信号が伝達されていた状態から、そのような信号が電圧0Vすなわち無信号に変化することによって実行されることが挙げられる。
商用系統101において停電が発生すると、開閉器1Aが自らの動作のために消費する電力が供給されなくなり、制御部40の動作は、その後停止してしまう。しかし、このように、信号が無信号であることによって、外部機器である蓄電装置105には、線路に電圧が供給されない状態であることが伝達されている。
よって、停電によって制御部40が動作を停止しても、外部機器である蓄電装置105には、開閉器1Aから、線路に電圧が供給されない状態であることが伝達され続けることとなる。更に、各極のリレーがラッチングリレーであるため、停電により開閉器1Aが動作するための電力の供給が停止したとしても、各極の開閉の状態は変化せず維持され、停電による予期せぬ開閉動作がされることは無い。
制御部40は、線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知すると、上記通知を行った後、以下に説明するラッチングリレーの溶着診断を実行する。その後、制御部40は、状態を、1次側の線路11L、12Lと2次側の線路21Lとが遮断されている状態である遮断状態に遷移させる。
開閉器1Aから、停電が発生した旨の情報の通知をされた蓄電装置105は、放電を開始し、宅内系統に対して電力を供給する。すなわち、分電盤15Aに対して、漏電ブレーカ154を介して電力を供給する。すると、2次側の線路21L側から開閉器1Aに対して電力が供給されるようになる。開閉器1Aに対する電力の供給が再開されて、開閉器1Aの動作が停止していたとしても、制御部40を含む開閉器1Aの各部が再度動作することが可能となる。
蓄電装置105は、停電が発生した旨の情報の通知の受信に加えて、分電盤15Aを通じて商用系統101から電力の供給が行われているか否かを自ら検知したうえで、停電が実際に発生しているかを判断し、電力の供給を行うようにしてもよい。誤信号による不適切な動作の実行を防止するためである。また、この場合に、蓄電装置105は停電が実際に発生していると判断したことを、開閉器1Aに伝達し、その後に開閉器1Aはラッチングリレーの溶着診断を開始するようにしてもよい。
なお、開閉器1Aは、蓄電装置105からの停電が発生した旨の情報の通知の受信をトリガーとして、ラッチングリレーの溶着診断あるいは遮断状態への遷移を実行するものであってもよい。この場合、必ずしも開閉器1Aが線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを判断する必要は無い。
制御部40は、U極のラッチングリレー30Uと、W極のラッチングリレー30Wに対して、開路動作を実行するように指示する。その結果、U極のラッチングリレー30Uが開路、O極のラッチングリレー30Oが閉路、W極のラッチングリレーが開路を指示されている図7に示される制御状態Sa2となる。開閉器1Aから、停電が発生した旨の情報の通知をされた蓄電装置105は、放電を開始し、宅内系統に対して電力を供給する。すなわち、分電盤15Aに対して、漏電ブレーカ154を介して電力を供給する。すると、2次側の線路21Lに電圧が供給されるようになる。
制御部40は、1次側電圧モニタ51を用いて、1次側のU極-O極間に電圧が印加されているか否かを検出する。制御部40は、U極-O極間に電圧が印加されていなければ、U極のラッチングリレー30Uの開路動作が正常に実行されたと判断する。制御部40は、U極-O極間に電圧が印加されていれば、U極のラッチングリレー30Uにおいて、接点の溶着の異常が発生していると判断する。
また、制御部40は、1次側電圧モニタ51を用いて、1次側のW極-O極間に電圧が印加されているか否かを検出する。制御部40は、W極-O極間に電圧が印加されていなければ、W極のラッチングリレー30Wの開路動作が正常に実行されたと判断する。制御部40は、W極-O極間に電圧が印加されていれば、W極のラッチングリレー30Wにおいて、接点の溶着の異常が発生していると判断する。
制御部40は、U極のラッチングリレー30Uの回路動作およびW極のラッチングリレー30Wの回路動作のいずれもが正常であると判断した場合、O極のラッチングリレー30Oに対して開路動作を実行するように指示する。また制御部40は、U極のラッチングリレー30Uに対して閉路動作を実行するように指示する。その結果、U極のラッチングリレー30Uが閉路、O極のラッチングリレー30Oが開路、W極のラッチングリレーが開路を指示されている図7に示される制御状態Sa3となる。
制御部40は、1次側電圧モニタ51を用いて、U極-O極間に電圧が印加されているか否かを判定する。制御部40は、U極-O極間に電圧が印加されていなければ、O極のラッチングリレー30Uの開路動作が正常に実行されたと判断する。制御部40は、U極-O極間に電圧が印加されていれば、O極のラッチングリレー30Uにおいて、接点の溶着の異常が発生していると判断する。
ラッチングリレーの溶着診断の実行中、制御部40は報知部70を制御して、その旨を示すランプ71による報知を実行してもよい。このような報知は、ランプ71の特定の点灯状態や特定の発光色によって、例示として、赤色発光のゆっくりとした点滅動作によって、行われてもよい。
制御部40は、以上のラッチングリレーの溶着診断の結果、いずれのラッチングリレー30U、30O、30Wにも異常が検出されなかった場合、U極のラッチングリレー30Uに対して開路動作を実行するように指示する。その結果、U極のラッチングリレー30Uが開路、O極のラッチングリレー30Oが開路、W極のラッチングリレーが開路を指示されている図7に示される制御状態Sa4となる。
1次側の線路11L、12Lと2次側の線路21Lとが遮断されている状態である遮断状態となり、宅内系統が商用系統101から切り離された自立運転が行われることとなる。制御状態Sa4において、制御部40は報知部70を制御して、蓄電装置105からの電力供給による自立運転が行われていることを示すランプ71による報知を実行してもよい。このような報知は、ランプ71の特定の点灯状態や特定の発光色によって、例示として赤色発光の連続点灯によって、行われてもよい。
制御部40は、以上のラッチングリレーの溶着診断の結果、いずれかのラッチングリレーが異常であると判断した場合、以下の異常時処理を実行する。制御部40は、開路動作の実行を指示しているラッチングリレーに対して、閉路動作を実行するように指示する。つまり、U極のラッチングリレー30Uが閉路、O極のラッチングリレー30Oが閉路、W極のラッチングリレーが閉路を指示されている制御状態となる。
更に、制御部40は、通信部60を通じて蓄電装置105に、開閉器1Aに異常が発生した旨の情報を伝達する。開閉器1Aから、開閉器1Aに異常が発生した旨の情報を伝達された蓄電装置105は、放電を停止して、宅内系統への電力の供給を停止する。また、制御部40は、報知部70を制御して、開閉器1Aのラッチングリレーに異常が発生している旨の異常報知を行うようにしてもよい。このような報知は、ランプ71の特定の点灯状態や特定の発光色によって、例示として赤色発光の短周期の点滅動作によって、行われてもよい。
このように、実施形態1に係る開閉器1Aは、接続状態から遮断状態に遷移する場合に、ラッチングリレーの溶着診断を実行することができる。よって、開閉器1Aが備えるラッチングリレーに溶着が発生した場合に、異常の報知および外部機器へのその旨の情報の伝達を行うことができ、開閉器1Aを適用した電力システムを安全に運用できるようになる。
<開閉器1Aの動作例:停電復帰時>
以下では開閉器1Aの動作の一例として、蓄電装置105からの電力供給による上述の自立運転が行われているときに、商用系統101からの電力供給が再開した場合の、復帰時の動作について図8を参照しつつ説明する。
図8に示される制御状態Sa4は、上述の蓄電装置105からの電力供給による自立運転が行われているときの、図7に示された制御状態Sa4である。開閉器1Aは、1次側の線路11L、12Lと2次側の線路21Lとを遮断している状態である遮断状態にある。制御部40は、制御状態Sa4において、1次側電圧モニタ51を用いて、線路(1次側の線路11L等)に電圧が供給されているか否かを監視している。
ここで、商用系統101において停電が解消したとする。すると、制御部40は、1次側電圧モニタ51を用いた監視によって、1次側の線路11Lに電圧が供給されていない状態から、電圧が供給されている状態に変化したことを検知する。制御部40は、通信部60を通じて、外部機器である蓄電装置105に、1次側の線路11Lに電圧が供給されていない状態から、電圧が供給されている状態に変化した旨、すなわち、復電した旨の情報を伝達する。すると、蓄電装置105は、宅内系統に対する電力供給を停止する。
更に、制御部40は報知部70を制御して、ラッチングリレーの異常診断の実行中であることを示すランプ71による報知を実行してもよい。このような報知は、ランプ71の特定の点灯状態や特定の発光色によって行われてもよく、例示として赤色発光のゆっくりとした点滅動作によって、行われてもよい。
制御部40は、O極のラッチングリレー30Uに対して、閉路動作を実行するように指示する。その結果、U極のラッチングリレー30Uが開路、O極のラッチングリレー30Oが閉路、W極のラッチングリレーが開路を指示されている図8に示される制御状態Sa5となる。
続いて、制御部40は、U極のラッチングリレー30Uに対して、閉路動作を実行するように指示する。その結果、U極のラッチングリレー30Uが閉路、O極のラッチングリレー30Oが閉路、W極のラッチングリレーが開路を指示されている図8に示される制御状態Sa6となる。制御部40は、2次側電圧モニタ52を用いて、2次側のU極-O極間に電圧が印加されているか否かを判定する。
更に、制御部40は、W極のラッチングリレー30Wに対して、閉路動作を実行するように指示する。その結果、U極のラッチングリレー30Uが閉路、O極のラッチングリレー30Oが閉路、W極のラッチングリレーが閉路を指示されている図8に示される制御状態Sa7となる。制御部40は、2次側電圧モニタ52を用いて、2次側のW極-O極間に電圧が印加されているか否かを判定する。
制御部40は、上記2つの判定の結果、U極-O極間に電圧が印加されており、かつ、W極-O極間に電圧が印加されている場合には、いずれのラッチングリレー30U、30O、30Wも正常に動作していると判断する。制御部40は報知部70を制御して、商用系統101から通常の電力供給が行われていることを示すランプ71による報知を実行してもよい。このような報知は、ランプ71の特定の点灯状態や特定の発光色によって、例示として緑色の連続点灯にすることによって、行われてもよい。
制御部40は、上記2つの判定の結果、U極-O極間、または、W極-O極間の少なくともいずれかに電圧が印加されていない場合には、少なくともいずれかのラッチングリレーにおいて閉路に出来ない異常が発生していると判断する。この場合、制御部40は、報知部70を制御して、開閉器1Aのラッチングリレーに異常が発生している旨の異常報知を行うようにしてもよい。このような報知は、ランプ71の特定の点灯状態や特定の発光色によって行われてもよく、例示として赤色発光の短周期の点滅動作によって、行われてもよい。
このように、実施形態1に係る開閉器1Aは、遮断状態から接続状態に遷移する場合に、ラッチングリレーの異常診断を実行することができる。よって、開閉器1Aが備えるラッチングリレーに動作の異常が発生した場合に、異常の報知および外部機器へのその旨の情報の伝達を行うことができ、開閉器1Aを適用した電力システムを安全に運用できるようになる。
〔実施形態2〕
実施形態2では、分電盤の機能拡張方法について説明する。図9は、住宅用の分電盤15を示す模式図である。分電盤15には、主幹ブレーカとしての漏電ブレーカ151、主幹ブレーカよりも負荷側に接続される、複数の分岐ブレーカ152が配設されている。
契約する電力会社によっては、分電盤15内にリミッター(サービスブレーカ)が設置されるため、図9に示されるように住宅用の分電盤15には、リミッターを設置するためのリミッタースペースLSが確保されている。しかし、分電盤15内にリミッターを設置しない電力会社もある。
また、近年、電力量計がスマートメータに換装される傾向にあり、その場合に分電盤15内に設置されていたリミッターが撤去されることもある。このように、分電盤15内のリミッタースペースLSが空きスペースとなっている機会が増えている。図9には、リミッタースペースLSが空きスペースとなっている分電盤15が示されている。
実施形態2に係る分電盤の機能拡張方法は、実施形態1に係る開閉器1Aを、分電盤15に配設する工事を行うことを特徴とする。実施形態2では、図9に示される分電盤15の、空きスペースとなっているリミッタースペースLSに対して、実施形態1に係る開閉器1Aが配設される。開閉器1Aは一体としてコンパクトに構成されているから、このように分電盤15のリミッタースペースLSに配設することが可能である。
図10には、実施形態2に係る分電盤の機能拡張方法を実施した後の、分電盤15Aが示されている。開閉器1Aが分電盤15AのリミッタースペースLSに固定され、開閉器1Aの2次側端子台21に接続される開閉器1Aの2次側の線路21Lを介して、開閉器1Aが漏電ブレーカ151に接続されている。
開閉器1Aの第1の1次側端子台11には、例えば、図6に示されたように、商用系統101からの1次側の線路11Lが接続されている。また、開閉器1Aの第2の1次側端子台21には、例えば、図6に示されたように、太陽光パネル201からの1次側の線路12Lが接続されている。
このように、分電盤15Aにおいては、2組の1次側端子台21、22を備えた開閉器1Aが設置されたことによって、2組の1次側の線路11L、12Lをそれぞれ別々に接続できる端子台が確保されることになる。よって分電盤15Aでは、開閉器1Aが設置されていることによって、端子台において、2組の1次側の線路11L、12Lの各導線が共締めされることが回避され、各導線が確実に締結され、安全性が確保される。
また、分電盤15Aにおいては、各極の開閉を行う3つのラッチングリレーを備えた開閉器1Aが設置されたことによって、商用系統101を確実に宅内系統から切り離すことが可能になる。またそのため、蓄電装置105等を運用した宅内系統の自立運転を行うことが可能になる。
更に、開閉器1A自体がこれらの機能を備えており、また、開閉器1Aが既存の分電盤15内に設置できるほどコンパクトである。よって、分電盤15に対して開閉器1Aを配設することで、他の機能モジュールを分電盤15に設置する工事を必要とせず、分電盤15Aにおいてこれらの機能拡張が可能となる。また、開閉器1Aと他の機能モジュールとの間の複雑な配線を行う必要も無い。そのため開閉器1Aを適用することで、分電盤15に対するこれらの機能拡張の工事を容易に施工することができる。
また、機能拡張のために既設の分電盤15とは、別途の分電盤を住宅内に設置する必要もないため、その点においても工事が大がかりとならず容易であり、住宅内において、新たな分電盤を設置するためのスペースの確保の必要もない。更に、開閉器1Aは2つの1次側端子台を備えているから、分電盤15に対して開閉器1Aを配設することで、太陽光パネル201からの1次側の線路12Lの接続箇所も分電盤に確保されることとなる。
〔変形例〕
図11は実施形態1に係る開閉器1Aの変形例を示す回路図である。本変形例の開閉器1Aは、実施形態1の場合とは異なり、1次側の線路を開閉器1Aに接続させるための端子台が、1つしか設けられていない。すなわち本変形例では、実施形態1における開閉器1Aから、第2の1次側端子台12が省かれる。それに伴い、第2の1次側端子台12の端子12U、12O、12Wそれぞれに接続される各接続部材も省かれる。
上記実施形態1においては、1次側に2つの端子台(第1の1次側端子台11、第2の1次側端子台12)が設けられていたが、太陽光パネル201(およびPCS202)を開閉器1Aに接続しない場合には、本変形例のように開閉器が構成されてもよい。
〔まとめ〕
本開示の態様1は、単相3線式の開閉器であって、筐体と、前記筐体に収容され、それぞれ極の開閉を行う複数のラッチングリレーと、前記複数のラッチングリレーの動作を制御する制御部と、前記開閉器に接続される線路に印加される電圧を監視する電圧モニタと、を備え、前記制御部は、前記電圧モニタによって、前記線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知すると、それぞれの前記ラッチングリレーを制御して、1次側の前記線路と2次側の前記線路とが接続されている状態から、遮断されている状態である遮断状態に遷移させる開閉器である。
本開示の態様2に係る開閉器は、上記態様1において、外部の機器と通信するための通信部を更に備え、前記制御部は、前記電圧モニタによって、前記線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知すると、前記通信部を通じて、外部の機器に対してその旨を伝達する通知を行うことを特徴とする。
本開示の態様3に係る開閉器は、上記態様2において、前記制御部は、前記電圧モニタによって、前記線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知すると、前記通知の後に、前記ラッチングリレーの溶着診断を実行してから、状態を前記遮断状態に遷移させることを特徴とする。
本開示の態様4に係る開閉器は、上記態様3において、前記制御部は、前記外部の機器から、前記線路に電圧が供給されていない状態である旨の情報を受信してから、前記ラッチングリレーの溶着診断を実行することを特徴とする。
本開示の態様5に係る開閉器は、上記態様3または4において、前記電圧モニタは、1次側の前記線路の電圧を監視する電圧モニタであり、前記ラッチングリレーの溶着診断は、前記制御部が、前記電圧モニタを用い、前記通知による前記外部の機器の動作に従って2次側の前記線路に印加された電圧が、所要の極の前記ラッチングリレーへの開路指示によって1次側の当該所要の極に印加されなくなるか否かを検出することに基づいて実行することを特徴とする。
本開示の態様6は、単相3線式の開閉器であって、筐体と、それぞれ極の開閉を行う複数のラッチングリレーと、前記複数のラッチングリレーの動作を制御する制御部と、前記開閉器に接続される線路に印加される電圧を監視する電圧モニタと、外部の機器と通信するための通信部と、を備え、前記電圧モニタは、1次側の前記線路の電圧を監視する電圧モニタであり、前記制御部は、前記外部の機器から、前記線路に電圧が供給されていない状態である旨の情報を受信すると、それぞれの前記ラッチングリレーを制御して、前記電圧モニタを用いた前記ラッチングリレーの溶着診断を実行してから、1次側の前記線路と2次側の前記線路とが接続されている状態から、遮断されている状態に遷移させる開閉器である。
本開示の態様7に係る開閉器は、上記態様1から6のいずれかにおいて、単相3線式の線路を1組として、2組の1次側の前記線路にそれぞれ接続するための2つの1次側端子台を更に備え、前記1次側端子台の各極の端子が、2つの前記1次側端子台間でそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
本開示の態様8に係る開閉器は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記複数のラッチングリレーを保持する回路基板を更に備え、前記ラッチングリレーは、接点を駆動するための電磁コイルを内部に有するリレーであり、前記電磁コイルが並列に並ぶように、前記複数のラッチングリレーが同じ向きで前記筐体の内部に配置されていることを特徴とする。
本開示の態様9に係る開閉器は、上記態様1から8のいずれかにおいて、前記電圧モニタは、1次側の前記線路の電圧を監視する電圧モニタであり、前記制御部は、前記電圧モニタによって、前記1次側の線路に電圧が供給されていない状態から、電圧が供給されている状態に変化したことを検知すると、それぞれの前記ラッチングリレーを制御して、1次側の前記線路と2次側の前記線路とが遮断されている状態から、接続されている状態に遷移させることを特徴とする。
本開示の態様10に係る開閉器は、上記態様5から8のいずれかにおいて、前記制御部は、前記電圧モニタによって、1次側の前記線路に電圧が供給されていない状態から、電圧が供給されている状態に変化したことを検知すると、それぞれの前記ラッチングリレーを制御して、1次側の前記線路と2次側の前記線路とが遮断されている状態から、接続されている状態に遷移させることを特徴とする。
本開示の態様11に係る分電盤は、単相3線式の開閉器であって、筐体と、前記筐体に収容され、それぞれ極の開閉を行う複数のラッチングリレーと、前記複数のラッチングリレーの動作を制御する制御部と、前記開閉器に接続される線路に印加される電圧を監視する電圧モニタと、を備え、前記制御部は、前記電圧モニタによって、前記線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知すると、それぞれの前記ラッチングリレーを制御して、1次側の前記線路と2次側の前記線路とが接続されている状態から、遮断されている状態に遷移させる開閉器を、リミッタースペースに取り付けた分電盤である。
本開示の態様12は、リミッターを設置し得るリミッタースペースと、主幹ブレーカと、分岐ブレーカとを備えた分電盤に、モジュールを新たに付加する、分電盤の機能拡張方法であって、単相3線式の開閉器であって、筐体と、前記筐体に収容され、それぞれ極の開閉を行う複数のラッチングリレーと、前記複数のラッチングリレーの動作を制御する制御部と、前記開閉器に接続される線路に印加される電圧を監視する電圧モニタと、を備え、前記制御部は、前記電圧モニタによって、前記線路に電圧が供給されている状態から、電圧が供給されていない状態に変化したことを検知すると、それぞれの前記ラッチングリレーを制御して、1次側の前記線路と2次側の前記線路とが接続されている状態から、遮断されている状態に遷移させる開閉器を、前記モジュールとして、前記リミッタースペースに取り付ける、分電盤の機能拡張方法である。
本発明は上述した各実施形態、変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態、変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。