JP2024020726A - 走査アンテナ及び走査アンテナの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性が高い走査アンテナを提供する。【解決手段】基材と、基材上に設けられる接着層と、接着層上に設けられる無機酸化物配線と、接着層上に設けられ少なくとも一部が無機酸化物配線上に重なり無機酸化物配線と接続される金属配線と、を有する、走査アンテナ。【選択図】図2
Description
本発明は、走査アンテナ及び走査アンテナの製造方法に関する。
ビームの放射方向を変える機能を有するアンテナ(走査アンテナ)として、アンテナ単位を備えるフェイズドアレイアンテナが知られている。フェイズドアレイアンテナには、位相器(フェイズシフター)が必要である。フェイズドアレイアンテナを低コストで製造可能とするために、液晶を用いた位相器が実用化されつつある。
特許文献1には、低抵抗の金属製の電極(配線)及び高抵抗の無機酸化物製の電極(配線)を備える走査アンテナが記載されている。また、特許文献2には、基材に対し金属箔を、接着剤を介して貼り付けた後に、金属箔をエッチングすることによって浮きや剥離を抑制した金属製の配線を形成する技術が開示されている。
上記先行技術を踏まえ、本発明者らは、図4に示すように、基材110に接着層120を介して貼り付けられる厚膜かつ低抵抗の金属配線130と、金属配線130の上側からスパッタリングなどで形成された薄膜かつ高抵抗の無機酸化物配線140を有する走査アンテナの開発を進めてきた。
走査アンテナに用いられる、高抵抗の無機酸化物配線は、材料である無機酸化物自体が脆弱であり曲げ耐性が小さく、また、高抵抗化のため薄い膜厚で形成されため、厚膜の金属配線と比較して断線し易い。また、金属配線及び無機酸化物配線の両方と接着される接着層の線膨張係数と、無機酸化物配線の線膨張係数との差分が大きい場合、走査アンテナの製造時に発生する熱により、接着層及び無機酸化物配線それぞれの熱膨張量及び熱収縮量が異なる。したがって、無機酸化物配線のうち、金属配線及び接着層の両方と接触する部分にかかる負荷が大きくなり易く、係る部分において断線が発生する虞があった。そのため、走査アンテナの動作が不安定になる虞があった。
本発明は、上記事情に鑑みて、信頼性が高い走査アンテナを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様の走査アンテナは、基材と、前記基材上に設けられる接着層と、前記接着層上に設けられる無機酸化物配線と、前記接着層上に設けられ少なくとも一部が前記無機酸化物配線上に重なり前記無機酸化物配線と接続される金属配線と、を有する。
本発明の第二の態様の走査アンテナの製造方法は、基材上に接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層上に無機酸化物配線を形成する無機酸化物配線形成工程と、少なくとも一部が前記無機酸化物配線上に重なるように前記接着層上に金属配線を形成する金属配線形成工程と、を有する。
本発明によれば、信頼性が高い走査アンテナを提供できる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の走査アンテナについて説明する。
図1は、本実施形態の走査アンテナ1の一部を示す平面図である。図2は、本実施形態の走査アンテナ1の断面図である。
図1は、本実施形態の走査アンテナ1の一部を示す平面図である。図2は、本実施形態の走査アンテナ1の断面図である。
なお、図1、および図2で示す走査アンテナ1は、あくまで全体構造の一部のみを示すものである。走査アンテナ1は、全体として図1に示す素子を複数配置したアレイ構造を構成する。
<走査アンテナ>
走査アンテナ1は、基材10と、基材10上に設けられた接着層20と、接着層20上に設けられる無機酸化物配線40と、接着層20上に設けられ少なくとも一部が無機酸化物配線40上に重なる金属配線30と、を備える。金属配線30は、無機酸化物配線40と接続される。
走査アンテナ1は、基材10と、基材10上に設けられた接着層20と、接着層20上に設けられる無機酸化物配線40と、接着層20上に設けられ少なくとも一部が無機酸化物配線40上に重なる金属配線30と、を備える。金属配線30は、無機酸化物配線40と接続される。
なお、本明細書では、基材10に対し接着層20が積層される方向を上側として走査アンテナ1の各部及び製造方法の説明を行う。しかしながら、本明細書中の走査アンテナ1の姿勢はあくまで一例であり、走査アンテナ1の使用時の姿勢及び製造時の姿勢は、本明細書で示す姿勢に限定されない。
基材10は絶縁性の材料から成る。基材10の典型的な材質はガラスであるが、各種のプラスチックフィルムを使用することにより、基材10に可撓性を付与することもできる。本実施形態において、基材10の材質はガラスである。
接着層20は、基材10上に設けられる。接着層20は、公知の接着剤で形成された層である。接着層20を構成する接着剤としては、例えば、ポリウレタン系接着剤又はエポキシ系接着剤を例示できる。
無機酸化物配線40は、接着層20上に設けられる。無機酸化物配線40は、所定のパターン形状に形成されている。走査アンテナ1において、無機酸化物配線40は、高抵抗配線の役割を担う。
無機酸化物配線40は、無機酸化物製である。本実施形態において、無機酸化物配線40は、酸化インジウムスズ(ITO)製である。このため、本実施形態の無機酸化物配線40の線膨張係数は、7.2×10-6/Kである。無機酸化物配線40は、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの比抵抗が大きい無機酸化物によって構成されても良い。
高抵抗化の観点から、無機酸化物配線40は、薄膜、かつ細幅であることが望ましい。無機酸化物配線40の厚さは、例えば10nm以上100nm以下である。無機酸化物配線40の線幅は、5μm以上15μm以下とされる。本実施形態において、無機酸化物配線40の厚さは60nmであり、線幅は10μmである。
金属配線30は、接着層20上の一部に設けられる。金属配線30は所定のパターン形状に形成されている。金属配線30は、接着層20を介して基材10に貼り合わされている。走査アンテナ1において、金属配線30は、低抵抗配線の役割を担う。
金属配線30は、金属製である。本実施形態において、金属配線30は、銅製である。このため、本実施形態の金属配線30の線膨張係数は、16.8×10-6/Kである。金属配線30は、銀、アルミニウム等の比抵抗が小さい金属によって構成されても良い。低抵抗化の観点から、金属配線30は、厚膜であることが望ましい。金属配線30の厚さは、例えば1μm(1000nm)以上30μm以下である。本実施形態において、金属配線30の厚さは、2000nmである。
<走査アンテナの製造方法>
図3は、本実施形態の走査アンテナ1の製造方法の各工程を示す模式図である。
上述の構成を有する本実施形態の走査アンテナ1の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の走査アンテナ1の製造方法は、接着層形成工程と、無機酸化物配線形成工程と、金属配線形成工程と、を有する。
図3は、本実施形態の走査アンテナ1の製造方法の各工程を示す模式図である。
上述の構成を有する本実施形態の走査アンテナ1の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の走査アンテナ1の製造方法は、接着層形成工程と、無機酸化物配線形成工程と、金属配線形成工程と、を有する。
図3(a)に示す接着層形成工程は、基材10上に接着層20を形成する工程である。本実施形態の接着層形成工程では、基材10の表面全体に、液状の接着剤を塗布して接着層20を形成する。接着層20は、基材10上にロールコート法を用いて形成される。液状の接着剤を塗布する方法は、ダイコート法及びスリット&スピンコート法等の塗布方法であってもよい。
図3(b)、(c)に示す無機酸化物配線形成工程は、接着層20上に無機酸化物配線40を形成する工程である。本実施形態の無機酸化物配線形成工程は、無機酸化物層40Aを形成する第1手順と、無機酸化物層40Aにパターンニングを行い無機酸化物配線40を形成する第2手順と、を有する。
図3(b)に示す無機酸化物配線形成工程の第1手順では、スパッタリングによって、接着層20上に酸化インジウムスズ(ITO)を積層させて、無機酸化物層40Aを形成する。本実施形態の第1手順におけるスパッタリングの電力値は、5.6kWとした。また、本実施形態の第1手順における基材10の搬送速度は、495nm/秒とした。本実施形態の無機酸化物配線形成工程の第1手順では、厚さ60nmの無機酸化物層40Aが形成される。
図3(c)に示す無機酸化物配線形成工程の第2手順では、フォトリソグラフィによって無機酸化物層40Aのパターンニングが行われる。第2手順では、まず、無機酸化物層40A上にフォトレジスト層を形成する。本実施形態では、フォトレジストとしてポジ型フォトレジストであるノボラック樹脂を用いた。フォトレジストは、一般的なスピンコーターによって無機酸化物層40A上に塗布され、フォトレジスト層が形成される。
次に、フォトレジスト層の乾燥を行う。本実施形態では、チャンバー内において減圧下でベークを行うことで乾燥させる。チャンバー内の気圧は、130Paとした。ベーク温度は、120℃とした。ベーク時間は、2分とした。
次に、無機酸化物配線40に対応したパターン形状が描画されたフォトマスクを介して、フォトレジスト層に紫外光を照射して、フォトレジスト層を露光する。本実施形態において、露光量は、70mJとした。
次に、露光後のフォトレジスト層の現像を行い、不要なレジストを除去する。現像液は、ポジ現像液を用いた。現像方法としては、スプレー現像法を用いた。現像液圧は、0.15MPaとした。現像液の温度は、25℃とした。現像時間は、100秒とした。
次に、無機酸化物層40Aのエッチングを行い、無機酸化物層40Aのうちフォトレジスト層が除去された部分を除去し、無機酸化物配線40に対応したパターン形状にパターンニングする。エッチング液は、シュウ酸水溶液とした。エッチング液の液温は、40℃とした。エッチング時間は、60秒とした。
次に、無機酸化物配線40上に残存するフォトレジスト層の剥膜を行う。剥膜液は、ケイ酸塩水溶液を用いた。剥膜液の温度は、40℃とした。剥膜時間は、180秒とした。フォトレジスト層の剥膜が終了すると、図3(c)に示すように、所定のパターン形状の無機酸化物配線40が形成される。
次に、フォトレジスト層の乾燥を行う。本実施形態では、チャンバー内において減圧下でベークを行うことで乾燥させる。チャンバー内の気圧は、130Paとした。ベーク温度は、120℃とした。ベーク時間は、2分とした。
次に、無機酸化物配線40に対応したパターン形状が描画されたフォトマスクを介して、フォトレジスト層に紫外光を照射して、フォトレジスト層を露光する。本実施形態において、露光量は、70mJとした。
次に、露光後のフォトレジスト層の現像を行い、不要なレジストを除去する。現像液は、ポジ現像液を用いた。現像方法としては、スプレー現像法を用いた。現像液圧は、0.15MPaとした。現像液の温度は、25℃とした。現像時間は、100秒とした。
次に、無機酸化物層40Aのエッチングを行い、無機酸化物層40Aのうちフォトレジスト層が除去された部分を除去し、無機酸化物配線40に対応したパターン形状にパターンニングする。エッチング液は、シュウ酸水溶液とした。エッチング液の液温は、40℃とした。エッチング時間は、60秒とした。
次に、無機酸化物配線40上に残存するフォトレジスト層の剥膜を行う。剥膜液は、ケイ酸塩水溶液を用いた。剥膜液の温度は、40℃とした。剥膜時間は、180秒とした。フォトレジスト層の剥膜が終了すると、図3(c)に示すように、所定のパターン形状の無機酸化物配線40が形成される。
図3(d)に示す金属配線形成工程は、少なくとも一部が無機酸化物配線40上に重なるように接着層20上に金属配線30を形成する工程である。本実施形態の金属配線形成工程は、金属箔(金属層)30Aを形成する第1手順と、金属箔30Aにパターニングを行い金属配線30を形成する第2手順と、を有する。
図3(d)に示す金属配線形成工程の第1手順では、まず金属箔30Aが形成される。金属箔30Aはシート状に形成された厚さ2000nmの銅箔である。本実施形態の第1手順では、厚さ2000nmの金属箔30Aが形成される。本実施形態の金属箔30Aは電解鍍金法によって形成されるが、スパッタリング法で形成されていてもよい。なお、金属箔30Aの形成時には、製膜の土台となるベース部材(図示略)を使用してもよい。この場合、金属箔30Aは、例えば、後段の基材10に貼り付ける工程の後にベース部材から取り外される。
第1手順では、次に金属箔30Aの下側を向く接着面30cを接着層20に重ね合わせて金属箔30Aと基材10とを所定の圧力で圧着させつつ、接着層20を乾燥させる。これにより、接着層20を介して、金属箔30Aと基材10とを貼り合わせることができる。第1手順を経ることで、金属箔30Aと基材10との間には、無機酸化物配線40が挟み込まれる。
第1手順では、次に金属箔30Aの下側を向く接着面30cを接着層20に重ね合わせて金属箔30Aと基材10とを所定の圧力で圧着させつつ、接着層20を乾燥させる。これにより、接着層20を介して、金属箔30Aと基材10とを貼り合わせることができる。第1手順を経ることで、金属箔30Aと基材10との間には、無機酸化物配線40が挟み込まれる。
なお、金属配線形成工程の第1手順は、接着層20上にスパッタリングなどの薄膜堆積法、又は電解鍍金法などの手段によって金属層を直接的に形成する工程であってもよい。
なお、鍍金法によって金属箔を基材上に設ける場合は、鍍金槽内への基材の浸漬時や基材の搬送時に、基材の割れ及び欠けが発生する虞がある。しかしながら、本実施形態では、金属配線形成工程の第1手順において、接着層20を介して金属箔30Aを基材10上に貼り合わせるため、基材10の割れ及び欠けが発生することを抑制できる。したがって、走査アンテナ1の製造工数及び製造コストが増大することを抑制できる。また、走査アンテナ1の信頼性を高めることができる。
図3(d)に示す仕掛品に対し、金属配線形成工程の第2手順を行うことで、図2に示す走査アンテナ1を形成することができる。図2に示すように、金属配線形成工程は、金属箔30Aをパターニングして金属配線を形成する工程である。金属箔30Aのパターンニングは、フォトリソグラフィによって行われる。
金属配線形成工程の第2手順では、まず、金属箔30A上にフォトレジスト層を形成する。本実施形態では、フォトレジストとしてポジ型フォトレジストであるノボラック樹脂を用いた。フォトレジストは、一般的なスピンコーターによって金属箔30A上に塗布され、フォトレジスト層が形成される。
次に、フォトレジスト層の乾燥を行う。本実施形態では、チャンバー内において減圧下でベークを行うことで乾燥させる。これにより、フォトレジスト層の乾燥時間を短縮できる。チャンバー内の気圧は、130Paとした。ベーク温度は、120℃とした。ベーク時間は、2分とした。
次に、金属配線30に対応したパターン形状が描画されたフォトマスクを介して、フォトレジスト層に紫外光を照射して、フォトレジスト層を露光する。本実施形態において、露光量は、35mJとした。
次に、露光後のフォトレジスト層の現像を行い、不要なレジストを除去する。現像液は、ポジ現像液を用いた。現像方法としては、スプレー現像法を用いた。現像液圧は、0.1MPaとした。現像液の温度は、25℃とした。現像時間は、25秒とした。
次に、金属箔30Aのエッチングを行い、金属箔30Aのうちフォトレジスト層が除去された部分を除去し、金属箔30Aを、金属配線30に対応したパターン形状にパターンニングする。エッチング液は、過酸化水素水、硫酸及び水を混合した混合水溶液とした。過酸化水素水の濃度は、2%~20%程度とした。硫酸の濃度は、2%~20%程度とした。エッチング液の液温は、40℃とした。エッチング時間は、60秒~300秒程度とした。
次に、金属配線30上に残存するフォトレジスト層の剥膜を行う。剥膜液は、ケイ酸塩水溶液を用いた。剥膜液の温度は、40℃とした。剥膜時間は、180秒とした。
最後に、窒素雰囲気化においてベーク温度250℃、ベーク時間90分のポストベークを行う。
次に、フォトレジスト層の乾燥を行う。本実施形態では、チャンバー内において減圧下でベークを行うことで乾燥させる。これにより、フォトレジスト層の乾燥時間を短縮できる。チャンバー内の気圧は、130Paとした。ベーク温度は、120℃とした。ベーク時間は、2分とした。
次に、金属配線30に対応したパターン形状が描画されたフォトマスクを介して、フォトレジスト層に紫外光を照射して、フォトレジスト層を露光する。本実施形態において、露光量は、35mJとした。
次に、露光後のフォトレジスト層の現像を行い、不要なレジストを除去する。現像液は、ポジ現像液を用いた。現像方法としては、スプレー現像法を用いた。現像液圧は、0.1MPaとした。現像液の温度は、25℃とした。現像時間は、25秒とした。
次に、金属箔30Aのエッチングを行い、金属箔30Aのうちフォトレジスト層が除去された部分を除去し、金属箔30Aを、金属配線30に対応したパターン形状にパターンニングする。エッチング液は、過酸化水素水、硫酸及び水を混合した混合水溶液とした。過酸化水素水の濃度は、2%~20%程度とした。硫酸の濃度は、2%~20%程度とした。エッチング液の液温は、40℃とした。エッチング時間は、60秒~300秒程度とした。
次に、金属配線30上に残存するフォトレジスト層の剥膜を行う。剥膜液は、ケイ酸塩水溶液を用いた。剥膜液の温度は、40℃とした。剥膜時間は、180秒とした。
最後に、窒素雰囲気化においてベーク温度250℃、ベーク時間90分のポストベークを行う。
なお、無機酸化物配線40の形成後に熱処理によって無機酸化物を結晶化させることで、無機酸化物配線40が金属配線30を形成するエッチング工程の影響を受けること(具体的にはエッチングされてしまうこと)を抑制できる。
<まとめ>
本実施形態の走査アンテナ1は、基材10と、基材10上に設けられる接着層20と、接着層20上に設けられる無機酸化物配線40と、接着層20上に設けられ少なくとも一部が無機酸化物配線40上に重なり無機酸化物配線40と接続される金属配線30と、を有する。
本実施形態の走査アンテナ1は、基材10と、基材10上に設けられる接着層20と、接着層20上に設けられる無機酸化物配線40と、接着層20上に設けられ少なくとも一部が無機酸化物配線40上に重なり無機酸化物配線40と接続される金属配線30と、を有する。
本実施形態によれば、無機酸化物配線40は、金属配線30と接着層20との間に配置される。このため、無機酸化物配線40は、厚膜の金属配線30上に乗り上げるような段差形状(図4参照)を有することがなく、全長に亘って略均一な形状に形成できる。すなわち、本実施形態の無機酸化物配線40には、応力が集中し易い部分が形成され難く、無機酸化物配線40に断線が生じることを抑制できる。したがって、走査アンテナ1の信頼性を高めることができる。
本実施形態によれば、無機酸化物配線40は、金属配線30と接着層20との間に配置される。このため、無機酸化物配線40が接着層20に接着固定され、接着層20によって保護されて損傷が生じ難くなる。加えて、無機酸化物配線40の周囲において、金属配線30と接着層20とが強固に接着固定されるため、無機酸化物配線40と金属配線30との間に十分な圧力が付与され、無機酸化物配線40と金属配線30との接続が安定する。加えて無機酸化物配線40と金属配線30との界面は、親和性が高く密着しやすいため、無機酸化物配線40と金属配線30との電気的な接続を安定させやすい。
本実施形態の無機酸化物配線40の線幅は、高抵抗化の観点から5μm以上15μm以下とされる。このため、金属配線30と接着層20との界面における無機酸化物配線40の占有率を十分に小さくすることができ、無機酸化物配線40が金属配線30と接着層20との接着を阻害し難い。
本実施形態によれば無機酸化物配線40が、接着層20に接触するため、無機酸化物配線40の歪を接着層20によって吸収させることができる。これにより、無機酸化物配線40の断線を抑制でき、走査アンテナ1の信頼性を高めることができる。
本実施形態によれば、金属配線30は、接着層20を介して基材10に貼り合わされる。厚膜に形成される金属配線30の内部応力は大きく、また、金属製である金属配線30と基材10との密着力は小さい。そのため、金属配線30を基材10上に直接設ける場合では、基材10からの金属配線30の浮き及び剥がれが発生し易い。本実施形態では、金属配線30及び基材10の両方と密着性が高い接着剤から成る接着層20を介して、金属配線30が基材10に貼り合わされるため、基材10からの金属配線30の浮き及び剥がれが発生することを抑制できる。したがって、走査アンテナ1の信頼性を高めることができる。
本実施形態において、接着層20の線膨張係数は、金属配線30の線膨張係数、及び無機酸化物配線40の線膨張係数と十分に近い値であることが好ましい。本実施形態では、無機酸化物配線40は、酸化インジウムスズ(線膨張係数7.2×10-6/K)からなり、金属配線30は、銅(線膨張係数16.8×10-6/K)からなる。このため、接着層20の線膨張係数が、20×10-6/K以下であることが好ましい。この場合に、金属配線30、無機酸化物配線40、接着層20それぞれの熱膨張量及び熱収縮量の差分を小さくできるため、無機酸化物配線40に加わる負荷を低減でき、無機酸化物配線40が断線することを抑制できる。なお、ここで、「金属配線が銅からなる」とは、金属配線30が純銅である場合のみならず、銅を主成分とする銅合金である場合も含む。
さらに、熱膨張量及び熱収縮量の差分を小さくするという観点から、接着層20の線膨張係数は、金属配線30の線膨張係数と無機酸化物配線40の線膨張係数との間の値であることがより好ましい。すなわち、本実施形態において、接着層20の線膨張係数は、7.2×10-6/K以上16.8×10-6/K以下であることがより好ましい。
本実施形態の走査アンテナ1の製造方法は、基材10上に接着層20を形成する接着層形成工程と、接着層20上に無機酸化物配線を形成する無機酸化物配線形成工程と、少なくとも一部が無機酸化物配線40上に重なるように接着層20上に金属配線30を形成する金属配線形成工程と、を有する。
本実施形態によれば、無機酸化物配線40を形成した接着層20の表面に金属配線30を形成する。このため、図4の従来技術のように金属配線30上に無機酸化物配線40を形成する場合と比較して、無機酸化物配線40に段差部分が形成されることを抑制できる。これにより、無機酸化物配線40には、応力が集中し易い部分が形成され難く、無機酸化物配線40に断線が生じることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、接着層20上に無機酸化物配線40を形成した後に、無機酸化物配線40上に重なるように接着層20上に金属配線30を形成する。このため、本実施形態の無機酸化物配線40は、接着層20の上面の上側に位置し、金属配線30に対して埋め込まれるように配置される。すなわち、本実施形態の無機酸化物配線40は、金属配線30に埋設されており金属配線30との接触面積が大きく確保されている。これにより、金属配線30と無機酸化物配線40との接触面積を大きく確保し易く金属配線30と無機酸化物配線40の電気的な接続を安定させることができる。
一般的に、鍍金加工によって、金属配線30を形成する場合は、金属配線30が複雑な形状であると、電流密度に偏りが生じやすいため、金属配線30の膜厚のムラが大きくなり易く、走査アンテナ1の動作が不安定になる虞がある。本実施形態では、上述のように、金属箔30Aの形状が簡易な形状であるシート状であるため、鍍金加工によって形成される金属箔30Aの膜厚ムラを低減できる。また、本実施形態では、金属配線形成工程の第1手順において、金属箔30Aを基材10上に貼り合わせた後に、金属配線形成工程の第2手順において、金属箔30Aをパターンニングして金属配線30を形成する。したがって、金属配線30の膜厚のムラを低減でき、走査アンテナ1の信頼性を高めることができる。
一般的に、鍍金加工によって、厚膜の配線パターンを形成する場合、基材と配線パターンとの接着性を充分に得られない。基材と厚膜の配線パターンとの接着性を高める方法として、導電性ペーストによって厚膜の配線パターンを形成する方法があるが、この方法では、不活性ガス雰囲気下で導電性ペーストを焼成する必要が有るため、製造コストが増大してしまう。本実施形態では、金属配線形成工程の第1手順において、金属箔30Aを基材10上に貼り合わせた後に、金属配線形成工程の第2手順において、金属箔30Aをパターンニングして金属配線30を形成する。したがって、厚膜の金属配線30の製造コストが増大することを抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。以下にいくつか変更を例示するが、これらは全てではなく、これら以外の変更も可能である。これらの変更は自由に組み合わせることができる。
1…走査アンテナ
10…基材
20…接着層
30…金属配線
30c…接着面
30A…金属箔(金属層)
40…無機酸化物配線
10…基材
20…接着層
30…金属配線
30c…接着面
30A…金属箔(金属層)
40…無機酸化物配線
Claims (5)
- 基材と、
前記基材上に設けられる接着層と、
前記接着層上に設けられる無機酸化物配線と、
前記接着層上に設けられ少なくとも一部が前記無機酸化物配線上に重なり前記無機酸化物配線と接続される金属配線と、を有する、
走査アンテナ。 - 前記無機酸化物配線は、酸化インジウムスズからなり、
前記金属配線は、銅からなり、
前記接着層の線膨張係数が、20×10-6/K以下である、
請求項1に記載の走査アンテナ。 - 前記無機酸化物配線の線幅は、5μm以上15μm以下である、
請求項1に記載の走査アンテナ。 - 基材上に接着層を形成する接着層形成工程と、
前記接着層上に無機酸化物配線を形成する無機酸化物配線形成工程と、
少なくとも一部が前記無機酸化物配線上に重なるように前記接着層上に金属配線を形成する金属配線形成工程と、を有する、
走査アンテナの製造方法。 - 前記金属配線形成工程は、
前記接着上に金属層を形成する第1手順と、
前記金属層をパターニングする第2手順と、を含む、
請求項4に記載の走査アンテナの製造方法。
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JP2022123123A JP2024020726A (ja) | 2022-08-02 | 2022-08-02 | 走査アンテナ及び走査アンテナの製造方法 |
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2022
- 2022-08-02 JP JP2022123123A patent/JP2024020726A/ja active Pending
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