JP2024020713A - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】融着帯における混合層厚の増加を抑制して、炉内通気性を高める。【解決手段】コークス層と鉱石層とを交互に形成して銑鉄を製造する高炉の操業方法において、高炉無次元半径で、0.1以上0.3以下の範囲に含まれる炉径位置を境界として、前記境界よりも炉中心側を炉中心部、前記境界よりも炉壁側を非炉中心部と定義するとともに、前記非炉中心部のコークス層を上層及び下層に分けて、それぞれをコークス上層及びコークス下層と定義したとき、前記コークス上層の動水半径が、前記コークス下層の動水半径及び前記炉中心部におけるコークス層の動水半径よりも、小さくなるように、コークスを装入することを特徴とする高炉の操業方法。【選択図】図4

Description

本発明は、コークス層と鉱石層とを交互に形成する高炉の操業方法に関するものである。
高炉には、炉頂部から鉄含有原料としての鉱石原料(焼結鉱、ペレット、塊鉱石など)と、還元材および燃料としてのコークスとが交互に装入される。また、高炉の炉下部には羽口が形成されており、この羽口から熱風が送風されるとともに、微粉炭等の補助燃料が吹き込まれる。
炉頂部から交互に装入される鉱石原料およびコークス(以下、総称して「装入物」ともいう)は、それぞれ鉱石層およびコークス層を形成する。装入物は、高炉内における荷下がりにしたがって、徐々に炉下部に向かって降下しながら、炉下部から上昇するガスにより加熱され、昇温される。
高炉内で加熱、還元されながら降下する鉱石原料は、炉下部に到達すると軟化、融着を開始し、鉱石融着層を形成した後、最終的に炉床に滴下する。鉱石融着層では、鉱石原料間の空隙が減少し、ガスの通気性が悪化する。このため、ガスは、鉱石融着層間のコークス層を通過し、炉頂に向かって上昇する。従って、融着帯の形状が高炉の通気性に与える影響は極めて大きい。
高炉では、一般的に、鉱石が軟化融着を開始する前の領域を塊状帯、鉱石融着層が存在する領域(鉱石融着層間のコークス層を含む)を融着帯、鉱石が滴下を開始した後の領域を滴下帯と定義される。
高炉操業において装入物の円滑な荷下がりを実現するためには、炉内の通気性を確保することが重要であり、装入物の粒径や装入物充填層の空隙率が、炉内通気性に大きな影響を与えることが知られている。また、粒径が大きくなるほど通気性が向上し、粒度分布がシャープなコークスほど空隙率が高くなることが知られている。このため、炉内通気性を確保する手段としては、装入物の下限粒度を上げることが望ましいが、焼結工程への返鉱や小中塊コークス量の増加により、歩留まりが低下する。その結果、焼結炉やコークス炉の生産性が悪化し製造コストが上昇するとともに、プロセス間のマテリアルバランスが崩れることとなる。このため、現状以上に装入物の下限粒度を上げることは困難である。
そこで、鉱石原料やコークスの粒度分布を維持しながら、鉱石層及びコークス層の通気性を改善する方法として、粒度別装入が提案された。
特許文献1には、鉱石原料のおよびコークスのいずれか一方もしくは双方の装入物を粒度別に2以上の部分に分割した後、同種装入物の分割部分については下層より上層に向かって粒度が低下する順序で、かつこれらの層はいずれも炉中心部から炉壁面まで達する層となるように装入することを特徴とする高炉操業方法が記載されている。この高炉の操業方法によれば、各分割部分の粒度分布がシャープになり、空隙率が上昇するため、通気性を改善することができる。
前述のとおり、高炉には鉱石原料とコークスが交互に装入されるが、鉱石層とコークス層の境界には鉱石とコークスが共存する混合層が形成される。代表的な鉱石原料である焼結鉱の平均粒径はコークス平均粒径に比べ1/2~1/3程度であるため、混合層の粒度分布は広くなり、空隙率は低下する。したがって、通気性の観点から、混合層の形成は望ましくない。この鉱石層及びコークス層の境界に形成される混合層の形成要因として、以下の(1)~(3)が考えられる。
(1)コークス層上に鉱石原料を装入する際、鉱石原料落下流の運動エネルギーに起因し、コークス層が崩れて混合層が形成される。
(2)高炉のシャフト部においては、装入物の荷下がりに伴い炉断面積が増加するため、鉱石原料とコークスの粒径差に起因し、特に細粒の鉱石原料がコークス層に侵入して混合層厚が増加する。
(3)融着帯においては鉱石原料が軟化溶融するため、堆積した装入物による荷重が印加されることによって、溶融した鉱石原料がコークス層に侵入して、混合層厚が増加する。
特許文献1に記載の装入方法によれば、鉱石層、コークス層それぞれの空隙率が上昇して通気性が改善するだけでなく、鉱石層とコークス層の境界付近の粒径差が小さくなるため、上記(2)の粒径差に起因する混合層の形成を抑制することが期待できる。
一方、高炉内の融着帯領域において、鉱石原料は軟化融着層を形成するため通気性が非常に悪く、鉱石融着層間のコークス層にガスが偏流する。このとき、上記(3)のとおり、溶融した鉱石原料がコークス層に侵入して、ガスの流路となるコークス層中の空隙が閉塞されるため、通気性はさらに悪化する。
特開昭55-110708号公報
上述した通り、高炉の安定操業のためには、融着帯の通気性を確保することが必要不可欠であるが、特許文献1に記載の装入方法では、鉱石原料のみを対象に粒度別装入を実施した場合等において、溶融鉱石由来の混合層の形成(つまり、上記(3)のケース)を十分に抑制することができない。
本発明は、コークス層の動水半径に着目し、非炉中心部上層に配分されるコークス層の動水半径を比較的小さくした状態で、高炉を操業することを目的とする。非炉中心部上層に配分されるコークス層の動水半径を小さくすることによって、融着帯において、溶融鉱石がコークス層に侵入しにくくなるため、コークス層と鉱石溶融層との間に形成される混合層の厚みが増大することを抑制することができる。
一方、ガス流れを十分に確保する必要のある炉中心部は、非炉中心部と比較して鉱石の装入量が一般的に少ないため、混合層厚の増加による通気性悪化という課題はなく、むしろコークス層の動水半径を増加させて、通気性を向上させることが望まれる。
すなわち、本発明に係る高炉の操業方法は、一つの観点として、(1)コークス層と鉱石層とを交互に形成して銑鉄を製造する高炉の操業方法において、高炉無次元半径で、0.1以上0.3以下の範囲に含まれる炉径位置を境界として、前記境界よりも炉中心側を炉中心部、前記境界よりも炉壁側を非炉中心部と定義するとともに、前記非炉中心部のコークス層を上層及び下層に分けて、それぞれをコークス上層及びコークス下層と定義したとき、前記コークス上層の動水半径が、前記コークス下層の動水半径及び前記炉中心部におけるコークス層の動水半径よりも、小さくなるように、コークスを装入することを特徴とする。
ただし、前記の動水半径は以下の式(A)により定義される。
Figure 2024020713000002
ただし、R: 動水半径[mm]、ε:コークス層の空隙率(-)、de,c: コークスの粒径[mm]である。
(2)前記コークス上層の厚みは、高炉で使用されるコークスの平均粒径の2倍以下であることを特徴とする上記(1)に記載の高炉の操業方法。
(3)前記コークス上層の動水半径は、前記コークス下層の動水半径の80%以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の高炉の操業方法。
(4)前記コークス上層に配分されるコークスの粒径は、前記コークス下層に配分されるコークスの粒径及び前記炉中心部におけるコークス層に配分されるコークスの粒径よりも小さいことを特徴とする上記(1)乃至(3)のうちいずれか一つに記載の高炉の操業方法。
(5)前記非炉中心部に装入されるコークスを、予め粒度別に2分割しておき、粗粒コークスを炉内に装入した後、細粒コークスを炉内に装入することにより、前記非炉中心部におけるコークス層を形成し、前記細粒コークスよりも粒径が大きいコークスを炉内に装入することにより、前記炉中心部におけるコークス層を形成することを特徴とする上記(4)に記載の高炉の操業方法。
(6)前記コークス上層は、前記コークス下層及び前記炉中心部におけるコークス層に対して、空隙率が小さいことを特徴とする上記(1)に記載の高炉の操業方法。
(7)前記コークス上層には、貯骸コークスが充填され、前記コークス下層及び前記炉中心部におけるコークス層には、自製コークスが充填される、ことを特徴とする上記(6)に記載の高炉の操業方法。
(8)本発明に係る高炉の操業方法は、別の観点として、コークス層と鉱石層とを交互に形成して銑鉄を製造する高炉の操業方法において、高炉無次元半径で、0.1以上0.3以下の範囲に含まれる炉径位置を境界として、前記境界よりも炉中心側を炉中心部、前記境界よりも炉壁側を非炉中心部と定義するとともに、非炉中心部のコークス層を上層及び下層に分けて、それぞれをコークス上層及びコークス下層と定義したとき、前記コークス上層の動水半径は、前記コークス下層の動水半径及び前記炉中心部におけるコークス層の動水半径よりも、小さいことを特徴とする高炉の操業方法。
ただし、前記の動水半径は以下の式(A)により定義される。
Figure 2024020713000003
ただし、R: 動水半径[mm]、ε:コークス層の空隙率(-)、de,c: コークスの粒径[mm]である。
本発明の高炉の操業方法によれば、融着帯における混合層厚の増加が抑制されるとともに、炉中心部の通気性が確保されるため、高炉全体の炉内通気性を高めることができる。
混合層の形成メカニズムを説明するための説明図である。 界面粒径比と混合層の層厚の関係を示す関係図である。 動水半径の概念を説明するための説明図である。 コークス層の動水半径と混合層厚の関係を示す関係図である。 コークスの見かけの粒径及び空隙率と、動水半径との関係を示している。 実施例及び比較例における混合層及び有効コークス層厚の関係を示している。 実施例及び比較例におけるガス流量と圧力損失との関係図である。
まず、本発明の理解のため、融着帯における混合層の形成メカニズムについて、図1を参照しながら、詳細に説明する。図1は、混合層の形成メカニズムを説明するための説明図である。
同図を参照して、高炉には鉱石層Oとコークス層Cとが交互に積層され、融着帯Pには、鉱石が軟化溶融した通気抵抗の大きい鉱石融着層OFと、コークス由来の比較的通気抵抗が小さいコークススリットとが交互に形成されている。同図における矢印は、ガスが流れる方向を示している。羽口11から吹き込まれた還元ガスは、融着帯Pにおけるコークススリットを通過して、炉頂部に流れる。なお、炉底部には、溶銑HM及びスラグSLが溜まる。
融着帯Pにおける混合層は、鉱石融着層OFにおける溶融鉱石が、高炉の装入物から荷重を受けて、コークス層Cに侵入することによって形成される。上述の通り、混合層は、粒径差が大きい鉱石及びコークスから形成されており、粒度分布がブロードであるため、空隙率が低く、通気性を阻害する。そのため、高炉の通気性を確保するためには、混合層が増厚しにくい層構造を指向する必要がある。
本発明者等は、非炉中心部のコークス層Cにおける上層(以下、非炉中心部コークス層上層ともいう)の動水半径を小さくすることにより、溶融鉱石のコークス層Cに対する侵入が効果的に抑制されることを、以下の実験により明らかにした。ここで、炉中心部と非炉中心部の境界を境界Rと定義したとき、境界Rは、高炉無次元半径で、0.2である。ただし、境界Rは0.1以上0.3以下の範囲に含まれていればよく、0.2に限るものではない。すなわち、境界R以下の炉径領域を炉中心部と定義し、境界R超の炉径領域を非炉中心部と定義する。
(荷重軟化試験)
融着帯における混合層厚の支配因子を特定するために、荷重軟化試験を複数回実施した。上層が層高40[mm]のコークス層、中層が層高120[mm]の鉱石層、下層が層高80[mm]のコークス層からなる試料を黒煙坩堝に充填し、所定の加熱条件でヒーターにより加熱した。ヒーターの昇温速度は、25[℃]以上500[℃]以下の温度領域において5[℃/min]、500[℃]超800[℃]以下の温度領域において6[℃/min]、800[℃]以上1500[℃]以下の温度領域において7[℃/min]とした。ヒーター温度が1500[℃]に到達した時点で試験を終了した。雰囲気ガスは、750[℃]までの温度域においてNガス(N:100質量%)、750[℃]以上1500[℃]以下の温度域においてN及びCOの混合ガス(N:CO=75質量%:25質量%)とし、試験終了時点で再びNガス(N:100質量%)に切り替えた。600[℃]以上1500[℃]以下の温度領域において、98[kPa]の荷重を印加した。なお、いずれの条件もCR(コークス比)=301[kg/t]、PCR(微粉炭比)=190[kg/t]を前提とし、最終スラグ塩基度が実機相当の1.26となるようにするとともに、水準8および9では石灰石により塩基度を調整した。
表1にそれぞれの水準で使用した試料の種類と粒径を示す。
Figure 2024020713000004
(X線CT画像による充填構造解析)
次に試験後の試料充填層を対象にX線CT画像を撮像し、画像解析によって各水準の混合層の層厚を評価した。画素サイズは0.4[mm]×0.4[mm]、スライスピッチは1.0[mm]とした。CT画像に対して画像処理を行い、鉱石比、空隙率、および見かけの粒径を算出した。
具体的にはまず、CT画像を輝度値に基づき3値化し、鉱石原料、コークス、および空隙の3領域に分類した。
次に、各水平断面画像について、鉱石原料の画素数(Io)、コークスの画素数(Ic)、空隙の画素数(Iv)、および空隙と固体(鉱石原料およびコークス)が隣接する境界の固体側の画素数(Is-v)をカウントし、以下の式(1)~(3)により鉱石比OR[%]、空隙率ε[-]および見かけの粒径de[mm]を算出した。
なお、水平断面画像より求められる粒径は、粒子が球形であると仮定すると実際のπ/4倍となることから、これを補正した。
Figure 2024020713000005
ただし、SP: 1画素あたりの面積[mm]、LP: 1画素における1辺の長さ[mm]である。今回の試験で取得したCT画像におけるSPおよびLPはそれぞれ、0.16[mm]及び0.40[mm]であった。
鉱石比OR<10%の領域をコークス層、10%<鉱石比OR<90%の領域を混合層、鉱石比OR>90%の領域を鉱石層と定義し、各水平断面のCT画像解析により各層厚を評価するとともに、混合層厚の支配因子を検討した。
(融着帯における混合層形成の支配因子)
いずれの水準においても、試験終了時の試料温度は1440[℃]程度であり、これは融着帯の下端(滴下直前)に相当する温度域である。コークス/鉱石原料の粒径比(界面粒径比)及び混合層厚の数値を上述の表1に示すとともに、これらの関係を整理して、図2に示した。界面粒径比及び混合層厚は、軟化融着前の充填層のCT画像を解析することにより求めた。
前述のとおり、塊状帯(シャフト部)においては装入物の荷下がりに伴い炉断面積が増加するため、鉱石原料とコークスの粒径差に起因して混合層厚は増加するが、融着帯では明らかな相関は認められなかった。具体的には、相関係数は、0.289程度であった。
このことから、鉱石の液相率が高くなりコークス層Cへの融液侵入が生じる融着帯Pでは、生成する液相の物性とコークス層Cの通液性が混合層の厚みに影響を与える支配因子になると推察できる。
また、今回の試験、あるいは実際の高炉操業ではスラグの最終塩基度は一定であることから生成する液相の物性に大きな変化はなく、コークス層Cの通液性が支配因子になると考えられる。そこで、本発明者等は、コークス層Cの動水半径に着目した。図3は、動水半径の概念を説明するための説明図であり、融着帯Pにおけるコークス層C及び鉱石層Oの界面周辺を模式的に示している。コークス層Cを構成するコークス粒子を符号C、鉱石層Oを構成する鉱石粒子を符号Oで示している。同図を参照して、隣接するコークス粒子Cの間には、種々のサイズの空隙Gが形成されている。ここで、流体(気体や液体)は粒子間の空隙Gで形成されるパイプを流れると考えたとき、各パイプの半径の平均値に対応する概念が、動水半径に相当する。換言すると、動水半径は、コークス層Cにおける気体や液体の流路幅に相当するものであり、数式で定義すると、以下の式(4)の通りある。
Figure 2024020713000006
ただし、R: 動水半径[mm]、ε:空隙率(-)、de,c: コークスの見かけの粒径[mm]である。
コークスの見かけの粒径及び空隙率を低下させることにより、動水半径を小さくすることができる。同図では、溶融鉱石侵入深さHを点線で示しており、動水半径を小さくすると溶融鉱石侵入深さHは浅くなり(混合層は薄くなり)、動水半径を大きくすると溶融鉱石侵入深さHは深くなる(混合層は厚くなる)。
算出した各水準の動水半径を上述の表1に示すとともに、動水半径と混合層厚の関係を図4に示した。融着帯Pの下端に相当する高温領域において、コークス層Cの動水半径及び溶融鉱石侵入量との間に相関が認められ(相関係数:0.763)、コークス層Cの動水半径の増加に伴い、溶融鉱石侵入量が増加することがわかった。
以上の試験結果より、コークス層上層の動水半径が小さくなるようにコークスを装入することにより、混合層の形成が抑制され、融着帯Pの通気性が改善できることがわかった。
(コークスの装入)
以上の知見から、高炉の通気性を高めるためには、非炉中心部コークス層上層の動水半径が、小さくなるように、コークスを装入すればよいといえる。
具体的には、非炉中心コークス層上層の動水半径が、非炉中心部のコークス層の下層(以下、「非炉中心コークス層下層」ともいう)よりも小さくなるように、コークスを装入するとよい。好ましくは、非炉中心コークス層上層の動水半径が、非炉中心コークス層下層の動水半径の80%以下となるように、コークスを装入することが望ましい。下限については、特に限定しないが、非炉中心コークス層上層の動水半径が、非炉中心コークス層下層の動水半径の10%以上となるように、コークスを装入することが望ましい。これは、後述するコークスの粒度分布(10mm以上100mm以下)の上限粒径(100mm)と下限粒径(10mm)との比を考慮したものである。
非炉中心コークス層下層とは、非炉中心コークス層のうち非炉中心コークス層上層を除いた部分のことである。なお、非炉中心コークス層下層は、その層内における動水半径が略一定であってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、炉中心部のコークス層については、非炉中心部コークス層上層よりも動水半径を大きくする必要がある。ガス流れを十分に確保する必要のある炉中心部は、非炉中心部と比較して鉱石の装入量が一般的に少ないため、溶融鉱石の侵入による混合層の増厚という課題よりも、コークス層の動水半径を増加させて、通気性を向上させることが望まれるからである。
ここで、本実施形態の高炉の操業方法で用いられるコークスは、通常の高炉で使用される篩上コークスであり、背景技術で説明したような細粒側のコークスを予め取り除いたコークスではない。
つまり、本実施形態の高炉の操業方法では、背景技術で説明したように、細粒コークスを予め除いた粒度分布がシャープなコークス(例えば、粒径が30mm未満のコークスを予め取り除いた30mm以上75mm以下の粒度分布を有するコークス)を所望の位置に配分するのではなく、通常の高炉で使用される粒度分布がブロードなコークスを適切な位置に配分することを技術的思想の前提とする。ブロードなコークスの粒度分布とは、好ましくは10mm以上100mm以下であり、より好ましくは25mm以上75mm以下である。これにより、焼結工程への返鉱や小中塊コークス量の増加により、歩留まりが低下するなどの問題を無くすことができる。
動水半径は、上述の式(4)から明らかなように、コークスの見かけの粒径(de,c)とコークス層の空隙率(以下、充填空隙率ともいう)によって調整することができる。
式(4)において、コークスの見かけの粒径(de,c)に代えて、コークスの算術平均径、コークスの調和平均径、コークスの算術平均径又はコークスの調和平均径に形状係数を乗じた補正後の平均粒径、を用いることができる。
充填空隙率は、コークスの粒度分布、粒子形状、粉率等に左右され、充填空隙率の小さいコークスを装入することにより、動水半径を小さくすることができる。
図5に、コークスの見かけの粒径及び空隙率と、動水半径との関係を示す。同図から明らかなように、空隙率が低く、かつ、見かけの粒径が小さくなるほど動水半径が小さくなることがわかる。
ここで、表1を参照して、コークス粒径と混合層厚を比較すると、各水準の混合層の厚みは、各水準のコークス粒径の中央値の2倍以下程度である。本試験ではコークス粒径を5mmの範囲で整粒しており、粒径の中央値は平均粒径と大差ない。したがって、非炉中心コークス層上層の厚みは、装入されるコークスの平均粒径の2倍程度を上限とすることが望ましい。非炉中心コークス層上層の厚みがコークスの平均粒径の2倍を超えると、溶融鉱石が侵入する以上に動水半径の小さいコークス層の厚みが増厚されてしまい、通気性の阻害効果が逆に大きくなるからである。
すなわち、非炉中心コークス層上層を、非炉中心コークス層の上面から所定深さまでの領域に含まれるコークス層と定義したとき、所定深さは、コークス粒径の下限以上、装入されるコークスの平均粒径の2倍以下の範囲に含まれる。したがって、コークス粒径の下限を所定深さとしてもよいし、コークスの平均粒径の2倍を所定深さとしてもよいし、これらの間のいずれかの値を所定深さとしてもよい。そして、非炉中心コークス層のうち、非炉中心コークス層上層よりも下方に位置する残りのコークス層を、非炉中心コークス層下層と定義することができる。
動水半径が小さいコークス層は、溶融鉱石の侵入を阻害する効果がある反面、通気性を阻害する因子にもなり得るため、溶融鉱石の侵入が起こり得る厚み範囲に限定して、配設することが望ましい。
例えば、コークスの平均粒径が50[mm]である場合、非炉中心コークス層上層は、コークス層上面から100[mm]程度を上限とすることが望ましい。
非炉中心コークス層上層の動水半径を小さくする方法を、以下に例示する。
(1)細粒コークスと、粗粒コークスを別々のホッパーに分けておき、粗粒コークスを装入して非炉中心コークス層下層を形成した後、細粒コークスを装入して非炉中心コークス層上層を形成する方法。
ただし、かかる装入順序となるように、一つのホッパー内におけるコークスの配置を設定する方法であってもよい(いわゆる、排出時系列を制御する方法)。
細粒コークス及び粗粒コークスは、高炉で使用されるコークスを予め篩い分けすることによって、得ることができる。
なお、炉中心コークス層に配分されるコークスの粒径は、非炉中心コークス層上層に配分される細粒コークスよりも大きければよく、非炉中心コークス層下層に配分される粗粒コークスとの大小関係については問わない。ただし、炉中心部の通気性を高める観点から、炉中心コークス層に配分されるコークスの粒径は、非炉中心コークス層下層に配分されるコークスの粒径以上とすることが望ましい。
(2)充填特性の異なるコークスを別々のホッパーに分けておき、充填空隙率の大きいコークスを装入して非炉中心コークス層下層を形成した後、充填空隙率の小さいコークスを装入して非炉中心コークス層上層を形成する方法。
ただし、かかる装入順序となるように、一つのホッパー内におけるコークスの配置を設定する方法であってもよい(いわゆる、排出時系列を制御する方法)。
充填空隙率が小さいコークスには、例えば、貯骸コークスを、充填空隙率が大きいコークスには、例えば、自製コークスを用いることができる。貯骸コークスにはWetコークス、購入コークスが含まれ、一般的に自製コークスと比較して、粒径が小さく、球形度が高く粉率が高いため、充填空隙率が小さい。図5に図示するように、粒径が小さく、空隙率が低い充填特性を有するコークスは、動水半径が小さいため、貯骸コークスを用いることにより、非炉中心コークス層上層の動水半径を小さくすることができる。自製コークスは、例えば、特開2021-167447号公報に記載されている。貯骸コークスは、例えば、特開2018-172734号公報に記載されている。
(実施例)
本発明について、実施例を示しながら、詳細に説明する。表2に示す粒度分布を有するコークスを用いて、コークスの層構造が圧力損失(通気性)に及ぼす影響を理論的計算手法に基づき評価した。なお、表2の[%]は質量%である。
Figure 2024020713000007
実施例では、コークスを細粒(25mm以上50mm以下)と粗粒(50mm超75mm以下)とに分け、細粒を上層、粗粒を下層に配分する装入方法とした。
比較例1では、粗粒と細粒を混合した混合コークスを装入する方法(つまり、通常の高炉操業と同様の装入方法)とした。
比較例2では、細粒を下層、粗粒を上層に配分する装入方法(つまり、実施例と逆の層構造)とした。
細粒、粗粒、混合コークスの充填特性を表3に示した。
Figure 2024020713000008
形状係数および空隙率は、非特許文献1(一田ら、鉄と鋼、Vol.77(1991)、p1561-)の方法に基づき仮定した。細粒及び粗粒の動水半径については、式(4)に、中間粒径、形状係数及び空隙率を代入することにより算出した。すなわち、式(4)のde,cとして、中間粒径×形状係数を代入するとともに、式(4)のεとして、空隙率を代入することにより、それぞれの動水半径を求めた。なお、細粒及び粗粒それぞれの粒度分布は、歪度=0と仮定し(つまり、中間粒径=平均粒径)、中間粒径×形状係数を式(4)に代入した。
混合コークスの動水半径については、式(4)に、調和平均径、形状係数、空隙率を代入することにより算出した。
混合層の厚みは、図4に示す動水半径と混合層の層厚との関係を直線近似して、推定した。
比較例1において、炉腹でのコークス層厚が200[mm]となる装入条件を基準として、コークスの装入量が一定となるよう各ケースの層厚を求めた。溶融鉱石が侵入した混合層には、ほとんどガスが流通できないと考えられることから、コークス層厚と混合層の層厚との差を有効コークス層厚と定義した。比較結果のグラフを図6に示した。
実施例においては、動水半径が小さい細粒部をコークス層上層に配置することによって混合層の層厚を低位に抑えることができ、有効コークス層厚が増加することが確認できた。
続いて、実施例および比較例の圧力損失(通気性)を比較した。
混合層にはガスが全く流通しないと仮定し、高さが有効コークス層厚、奥行き1[m]のコークス層に対して、水平方向に流量0.56[m/s]以上1.68[m/s]以下の還元ガスを流通させた場合の圧力損失を評価した。圧力損失は一般的な充填層の圧力損失推定方法であるErgun式を適用して計算した。
細粒部と粗粒部に分割して装入したケースについては、粗粒部と細粒部の圧力損失が等しくなるように還元ガスが分配されるとして、圧力損失を求めた。圧力損失の比較を図7に示す。
ガス流量に依らず、実施例の圧力損失が最も低くなることがわかる。また、コークス層に流通するガス流量が増加するほど比較例との圧力損失の差が大きくなることから、低コークス比操業や高出銑比操業において、本発明の効果がより顕著となることが推測できる。
一方、比較例2においては、粒度別装入により細粒部や粗粒部の粒度分布はシャープになっているにも関わらず、融液侵入層厚の増加に起因し通常の操業よりも圧力損失は増加してしまうことがわかる。
11 羽口
O 鉱石層
C コークス層
P 融着帯
SL スラグ
HM 溶銑
コークス粒子
鉱石粒子
H 溶融鉱石侵入深さ

Claims (8)

  1. コークス層と鉱石層とを交互に形成して銑鉄を製造する高炉の操業方法において、
    高炉無次元半径で、0.1以上0.3以下の範囲に含まれる炉径位置を境界として、前記境界よりも炉中心側を炉中心部、前記境界よりも炉壁側を非炉中心部と定義するとともに、前記非炉中心部のコークス層を上層及び下層に分けて、それぞれをコークス上層及びコークス下層と定義したとき、
    前記コークス上層の動水半径が、前記コークス下層の動水半径及び前記炉中心部におけるコークス層の動水半径よりも、小さくなるように、コークスを装入することを特徴とする高炉の操業方法。
    ただし、前記の動水半径は以下の式(A)により定義される。
    Figure 2024020713000009
    ただし、R: 動水半径[mm]、ε:コークス層の空隙率(-)、de,c: コークスの粒径[mm]である。
  2. 前記コークス上層の厚みは、装入するコークス全体の平均粒径の2倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記コークス上層の動水半径は、前記コークス下層の動水半径の80%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記コークス上層に配分されるコークスの粒径は、前記コークス下層に配分されるコークスの粒径及び前記炉中心部におけるコークス層に配分されるコークスの粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の高炉の操業方法。
  5. 前記非炉中心部に装入されるコークスを、予め粒度別に2分割しておき、粗粒コークスを炉内に装入した後、細粒コークスを炉内に装入することにより、前記非炉中心部におけるコークス層を形成し、
    前記細粒コークスよりも粒径が大きいコークスを炉内に装入することにより、前記炉中心部におけるコークス層を形成することを特徴とする請求項4に記載の高炉の操業方法。
  6. 前記コークス上層は、前記コークス下層及び前記炉中心部におけるコークス層に対して、空隙率が小さいことを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
  7. 前記コークス上層には、貯骸コークスが充填され、
    前記コークス下層及び前記炉中心部におけるコークス層には、自製コークスが充填される、
    ことを特徴とする請求項6に記載の高炉の操業方法。
  8. コークス層と鉱石層とを交互に形成して銑鉄を製造する高炉の操業方法において、
    高炉無次元半径で、0.1以上0.3以下の範囲に含まれる炉径位置を境界として、前記境界よりも炉中心側を炉中心部、前記境界よりも炉壁側を非炉中心部と定義するとともに、非炉中心部のコークス層を上層及び下層に分けて、それぞれをコークス上層及びコークス下層と定義したとき、
    前記コークス上層の動水半径は、前記コークス下層の動水半径及び前記炉中心部におけるコークス層の動水半径よりも、小さいことを特徴とする高炉の操業方法。
    ただし、前記の動水半径は以下の式(A)により定義される。
    Figure 2024020713000010
    ただし、R: 動水半径[mm]、ε:コークス層の空隙率(-)、de,c: コークスの粒径[mm]である。



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