JP2024020001A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐ハイドロプレーニング性を向上できる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】空気入りタイヤTは、トレッド面10に設けられ、タイヤ周方向と交差する方向に延びる横溝12と、横溝12の溝壁12wに形成された突起20と、を備える。突起20は、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜した方向に延び、且つ、横溝12の溝壁12wからの突出高さを横溝12の溝底12bに向かって漸増させており、横溝12の延在方向に沿って突起20が複数形成されている。【選択図】図3
Description
本開示は、トレッド面に横溝が設けられた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのトレッド面には、タイヤ周方向と交差する方向に延びた横溝が設けられている。濡れた路面の走行時には、トレッド面と路面との間の水が横溝を通じてタイヤ軸方向外側に排出される。ハイドロプレーニング現象の発生を防止するには、このタイヤ軸方向外側への排水効率を高めることが重要である。ハイドロプレーニング現象とは、濡れた路面を高速で走行した際に、トレッド面と路面との間に形成された水膜上をタイヤが滑るような状態となり、ハンドルやブレーキが一時的に制御できなくなる現象である。
特許文献1には、ブロック剛性と排水性能とを両立させることを目的として、タイヤ幅方向に延びる副溝に区分される両側のブロック壁面に、その副溝の溝幅中心を通る面に関して面対称に、上面に曲面を有するバー状または点状の突起を設けた空気入りタイヤが記載されている。しかし、タイヤ軸方向外側への排水効率を高めて耐ハイドロプレーニング性を向上するための技術について、その解決手段を示唆するものではない。
本開示は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐ハイドロプレーニング性を向上できる空気入りタイヤを提供することにある。
本開示の空気入りタイヤは、トレッド面に設けられ、タイヤ周方向と交差する方向に延びる横溝と、前記横溝の溝壁に形成された突起と、を備え、前記突起は、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜した方向に延び、且つ、前記横溝の溝壁からの突出高さを前記横溝の溝底に向かって漸増させており、前記横溝の延在方向に沿って前記突起が複数形成されている。
本開示の空気入りタイヤの実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤTは、一対のビード部1と、一対のビード部1の各々からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール2と、一対のサイドウォール2の各々のタイヤ径方向外側端に連なるトレッド3とを備える。タイヤTは、更に、一対のビード部1の間に設けられたカーカス4と、そのカーカス4のタイヤ径方向外側に積層されたベルト5と、タイヤ内面に配設されたインナーライナー6とを備える。
ここで、タイヤ径方向は、タイヤTの直径に沿った方向であり、図1の上下方向に相当する。図1において上側がタイヤ径方向内側となり、下側がタイヤ径方向外側となる。タイヤ軸方向は、タイヤTの回転軸と平行な方向であり、図1の左右方向に相当する。タイヤ赤道面TCに近付く側がタイヤ軸方向内側となり、タイヤ赤道面TCから離れる側がタイヤ軸方向外側となる。タイヤ赤道面TCは、タイヤTのタイヤ軸方向中央に位置し、タイヤ回転軸に直交する仮想面である。タイヤ周方向は、タイヤTの回転軸周りの方向である。
ビード部1には、環状のビードコア1aが埋設されている。ビードコア1aは、鋼線などの収束体をゴムで被覆して形成されている。ビードコア1aのタイヤ径方向外側には、ビードフィラー1bが配置されている。ビードフィラー1bは、ビードコア1aからタイヤ径方向外側に延びた断面三角形状のゴムにより形成されている。ビードコア1a及びビードフィラー1bのタイヤ軸方向外側には、ビード部1の外表面を形成するリムストリップゴム7が設けられている。
カーカス4は、一対のビード部1の間に跨ってトロイド状に延在している。カーカス4は、ビードコア1a及びビードフィラー1bを挟み込むようにしてタイヤ軸方向の内側から外側に巻き上げられている。カーカス4は、カーカスコードをゴム被覆して形成されたカーカスプライにより形成されている。カーカスコードは、タイヤ周方向に対して交差する方向(例えば、タイヤ周方向に対して75~90度の角度となる方向)に引き揃えられている。カーカス4のタイヤ軸方向外側には、サイドウォール2の外表面を形成するサイドウォールゴム8が設けられている。
ベルト5は、互いに積層された複数のベルトプライ5a,5bにより形成されている。ベルトプライ5a,5bは、それぞれ、タイヤ周方向に対して傾斜する方向に引き揃えられたベルトコードをゴム被覆して形成されている。ベルトプライ5a,5bは、それらの間でベルトコードが互いに逆向きに交差するように積層されている。ベルト5のタイヤ径方向外側には、トレッド3の外表面を形成するトレッドゴム9が設けられている。路面との接触面となるトレッド面10は、トレッドゴム9のタイヤ径方向外側面により形成されている。
トレッド面10には、タイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝11が設けられている。トレッド3は、複数の主溝11によって複数の陸部13に区分されている。本実施形態では、四本の主溝11によって五つの陸部13が区分されている。複数の主溝11のうちタイヤ軸方向最外側に位置する一対の主溝11をショルダー主溝11sと呼び、一対のショルダー主溝11sのタイヤ軸方向外側に設けられた陸部13をショルダー陸部13sと呼び、一対のショルダー主溝11sのタイヤ軸方向内側に設けられた陸部13をセンター陸部13cと呼ぶ。
図1には示していないが、トレッド面10には、タイヤ周方向と交差する方向に延びる横溝12が設けられている(図2,3参照)。横溝12は、タイヤ周方向に間隔を設けて複数配置されている。陸部13は、横溝12で区分されたブロックを配列してなるブロック列でもよく、タイヤ周方向に連続して延びるリブでもよい。このような主溝11や横溝12がトレッド面10に設けられることにより、種々のトレッドパターンが形成されている。
図2は、横溝12の溝幅中心を通る仮想面12vに直交する平面で切断した横溝12の断面図である。横溝12は、横溝12のタイヤ径方向内側端となる溝底12bと、その溝底12bとトレッド面10とを結ぶ一対の溝壁12wとを有する。図3は、仮想面12vに沿った陸部13(ショルダー陸部13s)の断面図であり、正面から見た溝壁12wを示している。横溝12は、図3では図示しない主溝11(ショルダー主溝11s)に連通していることが好ましいが、連通していなくてもよい。
図2及び3に示すように、横溝12の溝壁12wには突起20が形成されている。突起20は、溝壁12wから突出して形成されている。尚、図2に示す突起20は、そのタイヤ径方向における全体が示されるよう、断面視ではなく側面視で描かれている。突起20は、タイヤ径方向内側(即ち、図3の上側)に向かってタイヤ軸方向外側(即ち、図3の左側)に傾斜した方向に延び、且つ、横溝12の溝壁12wからの突出高さを横溝12の溝底12bに向かって漸増させている。また、突起20は、横溝12の延在方向に沿って複数形成されている。
突起20の突出高さが溝底12bに向かって漸増しているため、トレッド面10に近い側では突起20の突出高さが比較的小さい。それ故、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。また、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜した方向に突起20が延びているので、横溝12内の水流に方向性を与えて、横溝12に入り込んだ水をタイヤ軸方向外側に(厳密には、図3の左斜め上に向けて)送り出すことができる。しかも、溝底12bに近い側では突起20の突出高さが比較的大きいため、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。
このように、本実施形態のタイヤTによれば、濡れた路面の走行時において、トレッド面10と路面との間の水を横溝12に入り込ませ、その水をタイヤ軸方向外側に送り出すことができる。また、横溝12に水が円滑に入り込んでも、それが路面の方へ戻ってしまうと、トレッド面10と路面との間で水膜の形成が促され、耐ハイドロプレーニング性が悪化する恐れがあるのに対し、このタイヤTによれば、上述のように横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。その結果、タイヤ軸方向外側への排水効率を高めて、耐ハイドロプレーニング性を向上できる。
図4は、突起20の三面図である。中央線CLは、突起20の長さ方向における両端の中央同士を結ぶ仮想直線である。中央線CLは、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する方向に延びている(図3参照)。(a)は、中央線CLに沿って見た突起20の投影である。(b)は、中央線CLと直交する方向に沿って見た突起20の投影である。(c)は、横溝12の溝幅方向に沿って正面から見た突起20を示す。突起20は、正面から見て、その長さが幅よりも大きい。突起20は、タイヤ径方向外側の先端部T1からタイヤ径方向内側の先端部T2に向かって突出高さを漸増させている。
角度θ1(図3参照)は、突起20の中央線CLがトレッド面10の法線方向となす鋭角側の角度である。横溝12内の水流に方向性を与えて、横溝12に入り込んだ水をタイヤ軸方向外側に送り出す効果を適切に発揮させる観点から、角度θ1は20度以上であることが好ましく、30度以上であることがより好ましい。角度θ1が過度に大きくなると、横溝12の延在方向に沿って並んでいる突起20の間隔が小さくなり、水の通路が狭くなる傾向にある。よって、濡れた路面を走行したときに横溝12に水を円滑に入り込ませる観点から、角度θ1は45度以下であることが好ましい。
図3及び4(c)に示すように、正面から見た突起20の幅は横溝12の溝底12bに向かって漸増している。突起20の幅は、中央線CLと直交する方向に沿って測定される。かかる構成によれば、トレッド面10に近い側では突起20の幅が比較的小さいため、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。しかも、溝底12bに近い側では突起20の幅が比較的大きいため、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。したがって、耐ハイドロプレーニング性をより効果的に向上できる。
本実施形態では、正面から見た突起20の形状がトレッド面10に向かって先細りになっている。突起20の先端部T1は先鋭に形成されている。先端部T1の幅は、例えば0.3mm以下である。これにより、トレッド面10に近い側で突起20の幅が十分に小さくなるため、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。また、横溝12に水を円滑に入り込ませる観点から、図2及び4(b)のような側面から見て、先端部T1と溝壁12wとの間に段差が形成されていないことが好ましい。即ち、先端部T1における溝壁12wからの突出高さは実質的にゼロであることが好ましい。
本実施形態では、突起20の先端部T1がトレッド面10に到達しており、トレッド面10から先端部T1までの距離D1がゼロである。但し、これに限られるものではなく、距離D1は、例えば0~2.0mmに設定されていてもよい。寧ろ、横溝12への水の入り込みやすさを高める観点では、後述する図6及び7の例のようにトレッド面10から先端部T1が離れていることが好ましい。かかる場合には、トレッド面10から先端部T1が離れている状態が摩耗の初期段階で保持されるよう、タイヤ新品時における距離D1が0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。
図3及び4(c)のように、本実施形態では、正面から見た突起20のタイヤ径方向内側の先端部T2が丸みを帯びた形状をしている。より具体的に、先端部T2は、正面から見て、タイヤ径方向内側に(厳密には、図3の左斜め上に)向けて凸となる半円形状に形成されている。このように突起20の先端部T2が丸みを帯びていることにより、先端部T2が角張っている場合と比べて、横溝12に入り込んだ水を溝底12bに送り込む際の抵抗を小さくできるため、横溝12内の水をなるべく路面に戻さないようにするうえで都合がよい。
突起20の最大突出高さHm(図2参照)は、横溝12の溝幅の半分を下回る大きさに設定されている。突起20の突出高さが過度に大きいと、加硫成形時に金型から突起20が抜け出る際の抵抗が大きくなったり、突起20を形成するためのゴムが不足したりする恐れがあるため、最大突出高さHmは1.0mm以下であることが好ましい。一方で、上述した突起20による改善効果を高める観点から、最大突出高さHmは0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。
突起20は、先端部T1から溝底12bに向かって突出高さを漸増させつつ、先端部T2では溝底12bに向かって突出高さを漸減させている。角度θ2は、その漸減部分の斜面が溝幅方向となす鋭角側の角度である。横溝12の撓み変形時の歪みを分散させるうえで、この斜面は湾曲面(例えば、曲率半径Raが0.3~0.6mm)を介していることが好ましい。角度θ2は0度でも構わないが、横溝12の撓み変形時の歪みを分散させるうえで、0度を超えることが好ましく、30度以上がより好ましい。また、横溝12内の水をなるべく路面に戻さないようにする観点から、角度θ2は60度以下が好ましい。
横溝12の撓み変形時の歪みを分散できるよう、溝底12bと溝壁12wとの接続箇所には溝底湾曲面(例えば、曲率半径Rbが1.0mm)が設定されている。この溝底湾曲面を相応の大きさで形成する観点から、溝底12bから突起20の最大突出位置までの距離D2は2.0mm以上であることが好ましい。また、横溝12の撓み変形時の歪みを分散させるうえで、突起20が湾曲面(例えば、曲率半径Rcが0.3~0.6mm)を介して溝壁12wと接続されていることが好ましい。本実施形態では、その湾曲面が平面を介して溝底湾曲面と連なっているが、双方を滑らかに直結しても構わない。
図3のように、突起20は、横溝12の延在方向に間隔を設けて配置されている。突起20間の水の通路が狭くなり過ぎないようにして、横溝12に水を円滑に入り込ませる観点から、先端部T1を基準とした突起20の間隔Pは4.0mm以上であることが好ましい。また、横溝12内の水をなるべく路面に戻さないようにする観点から、間隔Pは8.0mm以下であることが好ましく、6.0mm以下であることがより好ましい。本実施形態では、隣り合う突起20が、トレッド面10の法線方向において互いに重なる位置関係にあるが、後述する図6の例のように、これに限られるものではない。
本実施形態では、一対の溝壁12wの両方に突起20が形成されている例を示すが、片方のみに形成されていてもよい。即ち、突起20は、一対の溝壁12wのうち少なくとも片方に形成されていればよい。
図3に示した溝壁12wには、六つの突起20からなる突起群が形成されている。この溝壁12wと対向する溝壁12wにも、同様の突起群が形成されている。突起群を構成する突起20の個数は、特に限られるものではないが、好ましくは三つ以上であり、より好ましくは四つ以上であり、更に好ましくは五つ以上である。本実施形態では、トレッド面10からの距離D1及び溝壁12bからの距離D2(図2参照)が略一定となっており、横溝12の溝深さが相対的に小さい部分では突起20の長さを相対的に小さくしている。
タイヤ軸方向外側への排水効率を高めて耐ハイドロプレーニング性を向上する観点から、複数(本実施形態では六つ)の突起20からなる突起群は、図3のようにショルダー陸部13sに設けられた横溝12の溝壁12wに形成されていることが好ましい。その場合、横溝12が接地端TEを横断しているとともに、突起群が接地端TEを跨いだ範囲に形成されていることが好ましく、それによりトレッド3のタイヤ軸方向外側に効率良く排水できる。これに加えて又は代えて、センター陸部13cに設けられた横溝の溝壁に突起群を形成することも可能である。
接地端TEは、接地面におけるタイヤ軸方向の最外位置である。接地面は、正規リムに装着したタイヤTを、正規内圧を充填した状態で平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときの路面に接地するトレッド3の表面である。正規リムとは、JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、又はETRTO規格における「Measuring Rim」である。正規内圧とは、JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の「最大値」、又はETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」である。正規荷重とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば"LOAD CAPACITY"であるが、タイヤが乗用車用である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
図3のように、本実施形態では、正面から見た突起20が水滴形状に形成されている。これにより、トレッド面10に近い側における突起20の幅が比較的小さくなるので、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。また、溝底12bに近い側では突起20の幅が比較的大きくなるので、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。水滴形状の一例として、図5のような流線形状を突起20に適用することも可能である。図5の例では、突起20の先端部T2が半楕円形状に形成されている。
本実施形態において、突起20は、中央線CLに関して線対称となる水滴形状を有しているが、これに限られず、例えば図6及び7のような水滴形状でもよい。図6の例では、トレッド面10に近い方の突起20の側面がタイヤ径方向内側に向けて凸となる向きに湾曲している。かかる構成によれば、突起20間の水の通路が拡がるため、濡れた路面を走行したときに横溝12に水が円滑に入り込みやすい。この突起20は、正面から見て、タイヤ径方向内側に向けて凸となる向きに湾曲した水滴形状をしている。正面から見た突起の形状は水滴形状に限られず、例えば卵形状や三角形状、台形状などでもよい。
本実施形態の空気入りタイヤTは、上記の如き突起を横溝の溝壁に形成すること以外は、通常の空気入りタイヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造などが何れも採用できる。
[1]
上記の通り、本実施形態の空気入りタイヤTは、トレッド面10に設けられ、タイヤ周方向と交差する方向に延びる横溝12と、横溝12の溝壁12wに形成された突起20と、を備える。突起20は、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜した方向に延び、且つ、横溝12の溝壁12wからの突出高さを横溝12の溝底12bに向かって漸増させており、横溝12の延在方向に沿って突起20が複数形成されている。
上記の通り、本実施形態の空気入りタイヤTは、トレッド面10に設けられ、タイヤ周方向と交差する方向に延びる横溝12と、横溝12の溝壁12wに形成された突起20と、を備える。突起20は、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜した方向に延び、且つ、横溝12の溝壁12wからの突出高さを横溝12の溝底12bに向かって漸増させており、横溝12の延在方向に沿って突起20が複数形成されている。
かかる構成によれば、トレッド面10に近い側では突起20の突出高さが比較的小さいため、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。また、突起20の傾斜により横溝12内の水流に方向性を与えて、横溝12に入り込んだ水をタイヤ軸方向外側に送り出すことができる。しかも、溝底12bに近い側では突起20の突出高さが比較的大きいため、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。その結果、タイヤ軸方向外側への排水効率を高めて、耐ハイドロプレーニング性を向上することができる。
[2]
上記[1]の空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20の幅が横溝12の溝底12bに向かって漸増していることが好ましい。かかる構成によれば、トレッド面10に近い側では突起20の幅が比較的小さいため、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。しかも、溝底12bに近い側では突起20の幅が比較的大きいため、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。これによって、耐ハイドロプレーニング性をより効果的に向上できる。
上記[1]の空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20の幅が横溝12の溝底12bに向かって漸増していることが好ましい。かかる構成によれば、トレッド面10に近い側では突起20の幅が比較的小さいため、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。しかも、溝底12bに近い側では突起20の幅が比較的大きいため、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。これによって、耐ハイドロプレーニング性をより効果的に向上できる。
[3]
上記[1]または[2]の空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20のタイヤ径方向外側の先端部T1が先鋭に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、トレッド面10に近い側における突起20の幅が十分に小さくなるため、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。
上記[1]または[2]の空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20のタイヤ径方向外側の先端部T1が先鋭に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、トレッド面10に近い側における突起20の幅が十分に小さくなるため、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。
[4]
上記[1]~[3]いずれか1つの空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20のタイヤ径方向内側の先端部T2が丸みを帯びた形状をしていることが好ましい。かかる構成によれば、先端部T2が角張っている場合と比べて、横溝12に入り込んだ水を溝底12bに送り込む際の抵抗を小さくできるので、横溝12内の水をなるべく路面に戻さないようにするうえで都合がよい。
上記[1]~[3]いずれか1つの空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20のタイヤ径方向内側の先端部T2が丸みを帯びた形状をしていることが好ましい。かかる構成によれば、先端部T2が角張っている場合と比べて、横溝12に入り込んだ水を溝底12bに送り込む際の抵抗を小さくできるので、横溝12内の水をなるべく路面に戻さないようにするうえで都合がよい。
[5]
上記[1]~[4]いずれか1つの空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20が水滴形状に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、トレッド面10に近い側における突起20の幅が比較的小さくなるので、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。また、溝底12bに近い側では突起20の幅が比較的大きくなるので、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。しかも、突起20のタイヤ径方向内側が丸みを帯びた形状となり、溝底12bに水を送り込む際の抵抗を小さくできるので、横溝12内の水をなるべく路面に戻さないようにするうえで都合がよい。
上記[1]~[4]いずれか1つの空気入りタイヤTにおいて、正面から見た突起20が水滴形状に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、トレッド面10に近い側における突起20の幅が比較的小さくなるので、濡れた路面を走行したときに、横溝12に水が入り込むことを大きく阻害しない。また、溝底12bに近い側では突起20の幅が比較的大きくなるので、横溝12に入り込んだ水が路面の方へ戻ることを抑制できる。しかも、突起20のタイヤ径方向内側が丸みを帯びた形状となり、溝底12bに水を送り込む際の抵抗を小さくできるので、横溝12内の水をなるべく路面に戻さないようにするうえで都合がよい。
[6]
上記[5]の空気入りタイヤTにおいて、トレッド面10に近い方の突起20の側面がタイヤ径方向内側に向けて凸となる向きに湾曲しているものでもよい。かかる構成によれば、濡れた路面を走行したときに横溝12に水がより円滑に入り込みやすい。
上記[5]の空気入りタイヤTにおいて、トレッド面10に近い方の突起20の側面がタイヤ径方向内側に向けて凸となる向きに湾曲しているものでもよい。かかる構成によれば、濡れた路面を走行したときに横溝12に水がより円滑に入り込みやすい。
以上、本開示の実施形態について説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく、特許請求の範囲によって示され、更には特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
本開示に係る空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラックやバス、ライトトラック(例えば、SUV車やピックアップトラック)などの重荷重用タイヤなど、各種車両用のタイヤに適用可能である。また、サマータイヤ(夏用タイヤ)、ウインタータイヤ(冬用タイヤ)、オールシーズンタイヤなどの用途も特に限定されない。但し、本開示の空気入りタイヤによればハイドロプレーニング現象の発生を抑制できることから、サマータイヤに用いることが好適である。
本開示の空気入りタイヤは、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。また、上述した実施形態で採用されている各構成については、任意に組み合わせて採用することが可能である。
1 ビード部
2 サイドウォール
3 トレッド
10 トレッド面
12 横溝
12b 溝底
12w 溝壁
20 突起
T1 突起のタイヤ径方向外側の先端部
T2 突起のタイヤ径方向内側の先端部
2 サイドウォール
3 トレッド
10 トレッド面
12 横溝
12b 溝底
12w 溝壁
20 突起
T1 突起のタイヤ径方向外側の先端部
T2 突起のタイヤ径方向内側の先端部
Claims (6)
- トレッド面に設けられ、タイヤ周方向と交差する方向に延びる横溝と、
前記横溝の溝壁に形成された突起と、を備え、
前記突起は、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜した方向に延び、且つ、前記横溝の溝壁からの突出高さを前記横溝の溝底に向かって漸増させており、
前記横溝の延在方向に沿って前記突起が複数形成されている、空気入りタイヤ。 - 正面から見た前記突起の幅が前記横溝の溝底に向かって漸増している、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 正面から見た前記突起のタイヤ径方向外側の先端部が先鋭に形成されている、請求項2記載の空気入りタイヤ。
- 正面から見た前記突起のタイヤ径方向内側の先端部が丸みを帯びた形状をしている、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 正面から見た前記突起が水滴形状に形成されている、請求項2~4いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド面に近い方の前記突起の側面がタイヤ径方向内側に向けて凸となる向きに湾曲している、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
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JP2022122843A JP2024020001A (ja) | 2022-08-01 | 2022-08-01 | 空気入りタイヤ |
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2022
- 2022-08-01 JP JP2022122843A patent/JP2024020001A/ja active Pending
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