JP2024018964A - 処理液、被対象物の処理方法、及び、半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

処理液、被対象物の処理方法、及び、半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、化学機械研磨処理が施された被対象物に適用した際に、残渣除去性に優れ、且つ、上記金属の腐食抑制性能にも優れる処理液、上記処理液を用いた被対象物の処理方法、及び、半導体デバイスの製造方法の提供。【解決手段】 化学機械研磨処理が施された被対象物に用いられる処理液であって、重量平均分子量が10万以下のアニオン性ポリマーと、合計炭素数が5以上の第4級アンモニウム塩と、を含み、アニオン性ポリマーの含有量に対する、第4級アンモニウム塩の含有量の質量比が、2.5~500である、処理液。【選択図】なし

Description

本発明は、処理液、被対象物の処理方法、及び、半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体素子は、基板上に配線材料となる金属膜、エッチング停止層、及び、層間絶縁層を有する積層体上に、レジスト膜を形成し、フォトリソグラフィー工程を実施することにより製造される。上記フォトリソグラフィー工程において、金属及び/又は有機物を溶解する処理液を用いてエッチング又は基板表面の異物を除去する方法が広く知られている。
また、半導体素子の製造において、金属配線膜、バリアメタル、及び、絶縁膜等を有する半導体基板表面を、研磨微粒子(例えば、シリカ及びアルミナ等)を含む研磨スラリーを用いて平坦化する化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことがある。
CMP処理では、CMP処理で使用する研磨微粒子、研磨された配線金属膜及び/又はバリアメタル等に由来する金属成分が、研磨後の半導体基板表面に残存しやすい。このため、CMP処理後、処理液を用いてこれらの残渣物を除去する工程が一般的に実施される。
洗浄工程で用いられる処理液としては、例えば、特許文献1には、「ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の重量平均分子量が1,000~100,000である水溶性ポリマー(a)及び下記式(1)で表される化合物(b)が配合されてなることを特徴とする半導体部品洗浄用組成物。
NROH (1)
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)」が開示されている。
特開2006-041494号公報
本発明者らが特許文献1に記載の半導体部品洗浄用組成物を、銅(Cu)及びコバルト(Co)からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、化学機械研磨処理が施された被対象物に適用した際に、残渣除去性、及び、上記金属の腐食抑制性能のいずれについても更なる改善の余地があることを見出した。
残渣除去性は、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む被対象物に対して、研磨液を用いてCMP処理を施し、更に処理液を接触させた際に、CMP処理に用いられる研磨液及び被対象物(例えば、半導体基板上の絶縁膜)由来の有機残渣物等の欠陥が被対象物上に残る程度を示す性能である。欠陥が少ないことを、残渣除去性に優れるという。
本発明は、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、化学機械研磨処理が施された被対象物に適用した際に、残渣除去性に優れ、且つ、上記金属の腐食抑制性能にも優れる処理液を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記処理液を用いた被対象物の処理方法、及び、半導体デバイスの製造方法を提供することも課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、以下の構成により上記課題が解決されることを見出した。
〔1〕 化学機械研磨処理が施された被対象物に用いられる処理液であって、
重量平均分子量が10万以下のアニオン性ポリマーと、
合計炭素数が5以上の第4級アンモニウム塩と、を含み、
上記アニオン性ポリマーの含有量に対する、上記第4級アンモニウム塩の含有量の質量比が、2.5~500である、処理液。
〔2〕 上記アニオン性ポリマーが、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する、〔1〕に記載の処理液。
〔3〕 上記アニオン性ポリマーが、ポリアクリル酸である、〔1〕又は〔2〕に記載の処理液。
〔4〕 第1級アミン、第2級アミン、及び、第3級アミンからなる群から選択される少なくとも1つのアミン化合物を含む、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔5〕 上記アミン化合物の含有量に対する、上記第4級アンモニウム塩の含有量の質量比が、0.1~500である、〔4〕に記載の処理液。
〔6〕 上記アニオン性ポリマーの含有量に対する、上記アミン化合物の含有量の質量比が、0.01~100である、〔4〕又は〔5〕に記載の処理液。
〔7〕 上記アニオン性ポリマーの含有量に対する、上記第4級アンモニウム塩、及び、上記アミン化合物の合計含有量の質量比が、2.5~500である、〔4〕~〔6〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔8〕 有機酸を更に含む、〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔9〕 界面活性剤、及び、防食剤の少なくとも一方を更に含む、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔10〕 pHが9.0~14.0である、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔11〕 電気伝導度が、1~10000mS/cmである、〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔12〕 実質的に不溶性粒子を含まない、〔1〕~〔11〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔13〕 実質的に酸化剤を含まない、〔1〕~〔12〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔14〕 上記被対象物が、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む、〔1〕~〔13〕のいずれか1つに記載の処理液。
〔15〕 化学機械研磨処理が施された被対象物と、〔1〕~〔14〕のいずれか1つに記載の処理液とを接触させる工程を含む、被対象物の処理方法。
〔16〕 〔15〕に記載の被対象物の処理方法を有する、半導体デバイスの製造方法。
本発明によれば、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、化学機械研磨処理が施された被対象物に適用した際に、残渣除去性に優れ、且つ、上記金属の腐食抑制性能にも優れる処理液を提供できる。
また、本発明によれば、上記処理液を用いた被対象物の処理方法、及び、半導体デバイスの製造方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
以下、本明細書における各記載の意味を表す。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、ある成分が2種以上存在する場合、その成分の「含有量」は、それら2種以上の成分の合計含有量を意味する。
本明細書において、「処理液中の溶媒を除いた成分の合計質量」とは、水及び有機溶媒等の溶媒以外の処理液に含まれる全ての成分の含有量の合計を意味する。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基及び連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
本明細書に記載の化合物において、特段の断りがない限り、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)、光学異性体及び同位体が含まれていてもよい。また、異性体及び同位体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
本明細書において、表記される2価の基(例えば、-COO-)の結合方向は、特段の断りがない限り、制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、上記化合物は「X-O-CO-Z」であってもよく、「X-CO-O-Z」であってもよい。
本明細書において、「psi」とは、pound-force per square inch;重量ポンド毎平方インチを意味し、1psi=6894.76Paを意味する。
本明細書において、「ppm」とは「parts-per-million(10-6)」を意味し、「ppb」とは「parts-per-billion(10-9)」を意味する。
本明細書において、1Å(オングストローム)は0.1nmに相当する。
本明細書において、使用したポリマーが市販品であり、そのポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び多分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)に関してカタログ値(メーカー公称値)がある場合には、カタログ値を採用する。
例えば、後述する実施例で使用される「スルホン酸系共重合体:東亞合成(株)製、アロンA-12SL(Mw=10,000)」は、東亞合成(株)の商品であり、カタログ値である重量平均分子量10,000をこのポリマーの重量平均分子量として用いる。
また、使用したポリマーが合成品である、又は、カタログ値が無いなど重量平均分子量が不明な場合には、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び多分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(島津製作所製Prominence UFLC)によるGPC測定(溶離液:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):50μL、カラム:東ソー社製TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書において、特に断らない限り、分子量分布を有する化合物の分子量は、重量平均分子量である。
[処理液]
本発明の処理液(以下、「本処理液」ともいう。)は、化学機械研磨処理が施された被対象物に用いられる処理液であって、重量平均分子量が10万以下のアニオン性ポリマーと、合計炭素数が5以上の第4級アンモニウム塩(以下、「特定アンモニウム塩」ともいう。)と、を含み、上記アニオン性ポリマーの含有量に対する、上記特定アンモニウム塩の含有量の質量比が、2.5~500である。
本発明の処理液が上記構成をとることで、本発明の課題を解決できる機序は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下の通り推察している。
上記アニオン性ポリマーは、化学機械研磨処理後の被対象物上に存在する欠陥の除去に有効であり、アニオン性ポリマーの重量平均分子量が10万以下の範囲にあることで、より高い除去性能を得ることができ、また、特定アンモニウム塩についても、欠陥の除去性に優れる化合物である。
上記の特許文献1に記載の半導体部品洗浄用組成物を用いた場合では、アニオン性ポリマーの含有量に対する特定アンモニウム塩の含有量が少ないため、残渣除去性とCu及びCo等の腐食抑制性能との両立が必ずしも容易ではなかった。
一方、本発明においては、アニオン性ポリマーの含有量に対する、特定アンモニウム塩の含有量が上記範囲にあることで、残渣除去性とCu及びCo等の腐食抑制性能との両立が達成できたものと考えられる。
以下、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含み、化学機械研磨処理が施された被対象物に用いる処理液として用いた際に、残渣除去性により優れること、及び、上記金属の腐食抑制性能により優れること、の少なくとも1つ以上の効果が得られることを、本発明の効果がより優れるともいう。
以下、本処理液に含まれる各成分について詳述する。
〔アニオン性ポリマー〕
本処理液は、重量平均分子量が10万以下のアニオン性ポリマーを含む。
上記アニオン性ポリマーとは、カルボキシ基等の、水に溶解した際にアニオン性を示す官能基(以下、「アニオン性官能基」ともいう。)を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位A」ともいう。)を含むポリマーである。
上記アニオン性ポリマーの重量平均分子量は、10万以下であり、本発明の効果がより優れる点で、80,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、20,000が更に好ましく、10,000以下が特に好ましい。
アニオン性ポリマーの重量平均分子量の下限は、特に制限されないが、500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上が更に好ましく、4000以上が特に好ましく、5000以上が最も好ましい。
<繰り返し単位A>
上記繰り返し単位Aが有するアニオン性官能基は特に制限されないが、例えば、酸基又はその塩が挙げられる。
上記酸基としては、具体的には、カルボキシ基、ホスホン酸基、スルホン酸基、及び、フェノール性水酸基が挙げられる。
塩を形成する際の対カチオンとしては、例えば、アンモニウムイオンが挙げられる。
繰り返し単位Aが有する酸基又はその塩の個数は、特に制限されないが、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1又は2が更に好ましい。
繰り返し単位Aとしては、例えば、下記式(a)で表される繰り返し単位が挙げられる。
式(a)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は、酸基若しくはその塩を表す。
は、単結合又は(k+1)価の連結基を表す。
Aは、酸基又はその塩を表す。
kは、1~4の整数を表す。
式(a)において酸基又はその塩が複数存在する場合、複数の酸基又はその塩は、同一であっても異なっていてもよい。
a1、Ra2及びRa3としては、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子)、メチル基、エチル基、又は、カルボキシ基若しくはその塩が好ましく、水素原子、メチル基、又は、カルボキシ基若しくはその塩がより好ましい。
なかでも、Ra1、Ra2及びRa3のうち1つが水素原子、メチル基又はカルボキシ基若しくはその塩を表し、残り2つがいずれも水素原子を表すことが好ましい。
で表される(k+1)価の連結基としては、Aの数に応じた価数を有する基であれば特に制限されないが、例えば、置換基を有していてもよい2~5価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2~5価の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい2~5価の芳香族複素環基、-O-、-CO-、-SO-、-NR-、-N<、及び、これらを組み合わせてなる基が挙げられる。Rは、水素原子又は1価の脂肪族炭化水素基を表す。
kとしては1が好ましく、その場合、Lで表される2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは、炭素数1~3のアルキレン基)、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基、-O-、-CO-、-SO-、-NR-、及び、これらを組み合わせてなる基が挙げられ、なかでも、単結合、メチレン基、又は、フェニレン基が好ましい。
Aで表される酸基又はその塩としては、カルボキシ基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、及び、これらの塩が挙げられ、カルボキシ基若しくはその塩又はスルホン酸基若しくはその塩が好ましく、カルボキシ基又はその塩がより好ましい。
繰り返し単位Aとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、フマル酸、及び、スチレンスルホン酸からなる群から選択される化合物由来の繰り返し単位が挙げられる。
アニオン性ポリマー中における繰り返し単位Aの含有量は特に制限されないが、アニオン性ポリマーの全繰り返し単位に対して、50モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましい。上記含有量の上限は、100モル%以下が挙げられる。
<繰り返し単位B>
上記アニオン性ポリマーは、繰り返し単位Aとは異なる、繰り返し単位Bを含んでいてもよい。
繰り返し単位Bは特に制限されないが、例えば、不飽和アルコール化合物、芳香族ビニル化合物、水酸基を有していてもよい(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、脂肪族共役ジエン化合物、ビニルシアン化合物、及び、重合性二重結合を有するアミド化合物からなる群から選択される化合物由来の繰り返し単位が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、及び、p-メチルスチレンが挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、アニオン性ポリマーは、アニオン性官能基がカルボキシ基又はその塩である繰り返し単位A、又は、アニオン性官能基がスルホン酸基又はその塩である繰り返し単位Aを含むことが好ましく、アニオン性官能基がカルボキシ基である繰り返し単位A、又は、アニオン性官能基がスルホン酸基である繰り返し単位Aを含むことがより好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、アニオン性ポリマーは、アニオン性官能基がカルボキシ基である繰り返し単位Aからなるホモポリマー、又は、アニオン性官能基がスルホン酸基である繰り返し単位Aからなるホモポリマーであることが更に好ましく、アニオン性官能基がカルボキシ基である繰り返し単位Aからなるホモポリマーであることが特に好ましく、アクリル酸、及び、マレイン酸の少なくとも一方の化合物由来の繰り返し単位からなるホモポリマー(ポリアクリル酸又はポリマレイン酸)であることが最も好ましい。
アニオン性ポリマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン性ポリマーの含有量は、処理液の全質量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。上記含有量の上限は、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.01質量%以下が特に好ましい。
また、アニオン性ポリマーの含有量は、処理液中の溶媒を除いた成分の合計質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。上記含有量の上限は、30.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下が更に好ましく、5.0質量%以下が特に好ましい。
〔特定アンモニウム塩〕
本処理液は、合計炭素数が5以上の第4級アンモニウム塩(特定アンモニウム塩)を含む。特定アンモニウム塩は、残渣除去性を向上する機能を有していれば特に制限されないが、後述する界面活性剤とは異なる化合物を指す。なお、上記合計炭素数とは、特定アンモニウム塩中、第4級アンモニウムカチオン中(窒素原子と結合する基中)の合計炭素数を指し、塩を形成するアニオン中の炭素原子は含まない。
特定アンモニウム塩は、窒素原子が4つの炭化水素基(好ましくはアルキル基)と結合してなる、第4級アンモニウムカチオンを有する化合物が好ましい。
また、特定アンモニウム塩は、アルキルピリジニウムのように、ピリジン環における窒素原子が置換基(アルキル基又はアリール基のような炭化水素基等)と結合した第4級アンモニウムカチオンを有する化合物であってもよい。
特定アンモニウム塩としては、例えば、第4級アンモニウム水酸化物、第4級アンモニウムフッ化物、第4級アンモニウム臭化物、第4級アンモニウムヨウ化物、第4級アンモニウムの酢酸塩、及び、第4級アンモニウムの炭酸塩が挙げられる。
特定アンモニウム塩の合計炭素数は、5以上であれば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、6以上が好ましく、8以上がより好ましい。上記合計炭素数の上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。
特定アンモニウム塩としては、式(C)で表される化合物が好ましい。
式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。但し、Rc1~Rc4で表される炭化水素基の合計炭素数は5以上である。Xは、アニオンを表す。
c1~Rc4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記炭化水素基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましく、1~3が特に好ましい。
また、Rc1~Rc4で表される炭化水素基の合計炭素数は、5以上であれば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、6以上が好ましく、8以上がより好ましい。上記合計炭素数の上限は、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。
なお、Rc1~Rc4で表される炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基の炭素数も合計炭素数に含める。つまり、例えば、Rc1~Rc4で表される基が置換基を有する炭化水素基である場合、置換基の炭素数と、炭化水素基の炭素数の合計炭素数が、上記範囲であることを意味する。Rc1~Rc4で表される基が置換基を有さない炭化水素基である場合、炭化水素基の炭素数が、上記範囲であることを意味する。
上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び、これらを組み合わせた基が挙げられ、置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
上記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;アルコキシ基;水酸基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基及びベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基が挙げられ、水酸基が好ましい。
上記炭化水素基が有する置換基の数は、1~3が好ましく、1がより好ましい。
上記アルキル基、上記アルケニル基及び上記アルキニル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。
上記アルキル基、上記アルケニル基及び上記アルキニル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましく、1~3が特に好ましい。
上記アルキル基、上記アルケニル基及び上記アルキニルが有する置換基としては、上記炭化水素基が有する置換基が挙げられる。
上記アルキル基としては、無置換のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましく、末端が水酸基で置換されていてもよい直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又は2-ヒドロキシエチル基が更に好ましく、メチル基、エチル基又は2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。
上記アリール基は、単環及び多環のいずれであってもよい。
上記アリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~10がより好ましく、6~8が更に好ましい。
c1~Rc4のうち、少なくとも2つが同一の基を表すことが好ましく、Rc1~Rc4のうち少なくとも3つが同一の基を表すことがより好ましい。例えば、Rc1~Rc3が2-ヒドロキシエチル基を表し、Rc4がメチル基を表すことが好ましい。
は、アニオンを表す。
アニオンとしては、例えば、カルボン酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、ホスホン酸イオン及び硝酸イオン等の酸アニオン、水酸化物イオン、並びに、塩化物イオン、フッ化物イオン及び臭化物イオン等のハロゲン化物イオンが挙げられ、水酸化物イオンが好ましい。
特定アンモニウム塩としては、例えば、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド(Tris)、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(ETMAH)、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド(TMEAH)、ジメチルジエチルアンモニウムヒドロキシド(DMDEAH)、メチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド(MTEAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド(BHEDMA)、トリ(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)及びセチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられ、Tris、コリン又はETMAHが好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、特定アンモニウム塩は非対称構造を有することも好ましい。特定アンモニウム塩が「非対称構造を有する」とは、窒素原子に結合する基の少なくとも1つが、窒素原子に結合するその他の基と異なる構造であることを意味する。
非対称構造を有する第4級アンモニウム化合物としては、例えば、TMEAH、DEDMAH、TEMAH、コリン及びBHEDMAが挙げられる。
特定アンモニウム塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
特定アンモニウム塩の含有量は、処理液の全質量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.05質量%以上が特に好ましい。上記含有量の上限は、10.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
また、特定アンモニウム塩の含有量は、処理液中の溶媒を除いた成分の合計質量に対して、1.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、50.0質量%以上が更に好ましい。上記含有量の上限は、99.9質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、70.0質量%以下が更に好ましい。
上記アニオン性ポリマーの含有量に対する、特定アンモニウム塩の含有量の質量比は、2.5~500である。なかでも、上記質量比は、4.0以上が好ましく、5.0以上がより好ましく、10.0以上が更に好ましく、50.0以上が特に好ましい。上記質量比の上限は、250以下が好ましく、150以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、75以下が特に好ましい。
〔アミン化合物〕
本処理液は、第1級アミン、第2級アミン、及び、第3級アミンからなる群から選択される少なくとも1つのアミン化合物を含んでいてもよい。但し、アミノ酸(分子内にアミノ基及びカルボキシ基を有する化合物)は、本明細書において後述する「アミノ酸系有機酸」として取り扱うものとし、アミン化合物には含めないものとする。
上記アミン化合物は、水溶性アミンであることが好ましい。ここで、水溶性アミンとは、分子内にアミノ基を有する化合物であって、1Lの水中に50g以上溶解し得る化合物を意図する。
水溶性アミンは、低分子化合物であることが好ましい。本明細書において、「低分子化合物」とは、実質的に分子量分布を有さない化合物を意味する。低分子化合物の分子量は、1000以下が好ましい。下記の水溶性アミンの具体例はいずれも、分子量が1000以下の低分子化合物である。
アミン化合物は、1つの窒素原子のみを含んでいてもよいし、複数の窒素原子を含んでいてもよい。
アミン化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1つの水酸基を有するアミノアルコール、及び、分子内に環構造を有する脂環式アミン化合物が挙げられる。
<アミノアルコール>
アミノアルコールは、第1級アミンのうち、分子内に少なくとも1つの水酸基(好ましくはヒドロキシルアルキル基)を更に有する化合物である。
アミノアルコールが有する水酸基の数は、1~5が好ましい。
アミノアルコールは、分子内に少なくとも1つ(例えば1~5つ)の第1級アミノ基を有するアミノアルコール(1級アミノアルコール)であれば、第2級及び/又は第3級アミノ基を有していてもよい。アミノアルコールが有する第1級~第3級アミノ基の合計の数は、1~5が好ましい。
なかでも、アミノアルコールは、アミノ基として1級アミノ基のみを有するアミノアルコールであることがより好ましい。
アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(AAE)、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン及び2-(アミノエトキシ)エタノール(AEE)が挙げられる。
<脂環式アミン化合物>
脂環式アミン化合物は、環を構成する原子の少なくとも1つが窒素原子である非芳香性のヘテロ環を有する化合物であれば、特に制限されず、例えば、ピペラジン化合物及び環状アミジン化合物が挙げられる。
ピペラジン化合物は、シクロヘキサン環の対向する-CH-基が窒素原子に置き換わったヘテロ6員環(ピペラジン環)を有する化合物である。
ピペラジン化合物は、ピペラジン環上に置換基を有していてもよい。
上記置換基としては、例えば、水酸基、水酸基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、及び、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。上記置換基同士が互いに結合していてもよい。
ピペラジン化合物としては、例えば、ピペラジン、1-メチルピペラジン、1-エチルピペラジン、1-プロピルピペラジン、1-ブチルピペラジン、2-メチルピペラジン、1,4-ジメチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、1-フェニルピペラジン、2-ヒドロキシピペラジン、2-ヒドロキシメチルピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン(HEP)、N-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEP)、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン(BHEP)、1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン(BAEP)、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン(BAPP)、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’,N’’-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)-ヘキサヒドロ-s-トリアジン及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)が挙げられる。
環状アミジン化合物は、環内にアミジン構造(>N-C=N-)を含むヘテロ環を有する化合物である。
環状アミジン化合物が有する上記のヘテロ環の環員数は、5又は6が好ましく、6がより好ましい。
環状アミジン化合物としては、例えば、ジアザビシクロウンデセン(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン:DBU)、ジアザビシクロノネン(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン:DBN)、3,4,6,7,8,9,10,11-オクタヒドロ-2H-ピリミド[1.2-a]アゾシン、3,4,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[1.2-a]ピリミジン、2,5,6,7-テトラヒドロ-3H-ピロロ[1.2-a]イミダゾール、3-エチル-2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1.2-a]アゼピン及びクレアチニンが挙げられる。
脂環式アミン化合物としては、上記以外に、例えば、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン及びイミダゾリジンチオン等の芳香族性を有さないヘテロ5員環を有する化合物、モルホリン(例えば、N-(2-ヒドロキシエチルモルホリン及び4-(2-シアノエチル)モルホリン等)等の酸素原子を含む6員環を有する化合物、並びに、窒素原子を含む7員環を有する化合物が挙げられる。
また、上記のほか好ましいアミン化合物としては、第2級アミン化合物として、2-(N-メチル)アミノ-2-メチル-1-プロパノール、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、及び、N,N’-ジメチルエチレンジアミンが挙げられ、第3級アミン化合物として、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、テトラメチル-1,3-ジアミノブタン、テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、N,N-ジイソプロピルエチレンジアミン(DIPEN)、N,N-ジメチルエチレンジアミン(DMEN)、N,N-ジエチルエチレンジアミン、テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン、及び、ペンタメチルジプロピレントリアミンが挙げられる。
アミン化合物のpKaは、4.0以上が好ましい。
上記pKaは、7.0以上が好ましく、9.0以上がより好ましく、11以上が更に好ましい。上記pKaの上限は、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。
上記pKaは、中和滴定、吸光光度法及びキャピラリー電気泳動等の公知の方法を用いて測定できる。
その他アミン化合物としては、例えば、特開2014-037585号公報の段落[0019]~[0027]に記載の有機アミン化合物であって上記成分とは異なる化合物も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
アミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
アミン化合物の含有量は、処理液の全質量に対して、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.01~1質量%が更に好ましい。
アミン化合物の含有量は、処理液中の溶媒を除いた成分の合計質量に対して、0.1~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、1~25質量%が更に好ましい。
アミン化合物の含有量に対する、上記特定アンモニウム塩の含有量の質量比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.1~500が好ましい。なかでも、上記質量比は、0.5以上がより好ましく、1以上が更に好ましい。上記質量比の上限は、100以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。
上記アニオン性ポリマーの含有量に対する、アミン化合物の含有量の質量比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.01~100が好ましい。なかでも、上記質量比は、0.1以上がより好ましく、1以上が更に好ましい。上記質量比の上限は、50以下がより好ましく、30以下が更に好ましく、10以下が特に好ましい。
また、上記アニオン性ポリマーの含有量に対する、上記特定アンモニウム塩、及び、アミン化合物の合計含有量の質量比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、2.5~500が好ましい。なかでも、上記質量比は、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。上記質量比の上限は、100以下がより好ましく、80以下が更に好ましく、60以下が特に好ましい。
〔有機酸〕
本処理液は、有機酸を含んでいてもよい。
有機酸とは、上記アニオン性ポリマー、及び、界面活性剤とは異なる化合物である。
有機酸としては、例えば、カルボン酸系有機酸及びホスホン酸系有機酸が挙げられ、カルボン酸系有機酸が好ましい。
有機酸が有する酸基としては、例えば、カルボキシ基、ホスホン酸基、スルホン酸基及びフェノール性水酸基が挙げられる。
有機酸が有する酸基の数としては、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。
有機酸は、カルボキシ基及びホスホン酸基からなる群から選択される少なくとも1つを有することが好ましく、カルボキシ基を有することがより好ましい。
有機酸は、繰り返し単位を有さないことが好ましい。
また、有機酸は、低分子量であることが好ましい。
具体的には、有機酸の分子量は、600以下が好ましく、450以下がより好ましく、300以下が更に好ましい。上記分子量の下限は、50以上が好ましく、100以上がより好ましい。
有機酸の炭素数は、1~15が好ましく、2~15がより好ましい。
<カルボン酸系有機酸>
カルボン酸系有機酸とは、分子内に少なくとも1つのカルボキシ基を有する有機酸を意味する。
カルボン酸系有機酸としては、式(D)で表される化合物が好ましく、式(D1)で表される化合物がより好ましい。
式(D)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
上記2価の連結基としては、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、チオエーテル基、-SO-、-NT-、2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基)及びこれらを組み合わせた基が挙げられる。Tは、水素原子又は置換基を表す。上記2価の連結基は、更に置換基を有していてもよい。
上記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基及びハロゲン原子が挙げられ、水酸基又はカルボキシ基が好ましい。
なかでも、Lとしては、単結合又は2価の炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよいアルキレン基がより好ましい。
上記2価の連結基が有する置換基の数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
上記2価の連結基の炭素数は、1~15が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましい。
式(D1)中、Rd1及びRd2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又はカルボキシ基を表す。nは1~5の整数を表す。
式(D1)で表される化合物が有する水酸基の合計数は、0~4が好ましく、0~2がより好ましい。
式(D1)で表される化合物が有するカルボキシ基の合計数は、0~4が好ましく、0~2がより好ましく、1が更に好ましい。
式(D1)で表される化合物が有する水酸基及びカルボキシ基の合計数は、0~8が好ましく、0~4がより好ましく、0~2が更に好ましい。
複数存在するRd1同士及びRd2同士は、同一及び不同のいずれであってもよい。
nは1~5の整数を表す。
nとしては、1~4が好ましく、1~3がより好ましい。
カルボン酸系有機酸としては、例えば、アミノポリカルボン酸系有機酸、アミノ酸系有機酸及び脂肪族カルボン酸系有機酸が挙げられ、脂肪族カルボン酸系有機酸が好ましい。
アミノポリカルボン酸系有機酸としては、例えば、1,4-ブタンジアミン四酢酸(BDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸、1,3-プロパンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミンジプロピオン酸、1,6-ヘキサメチレン-ジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-四酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸及びイミノジ酢酸(IDA)が挙げられる。
アミノ酸系有機酸としては、例えば、グリシン、セリン、α-アラニン(2-アミノプロピオン酸)、β-アラニン(3-アミノプロピオン酸)、リジン、ロイシン、イソロイシン、シスチン、システイン、エチオニン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ヒスチジン、ヒスチジン誘導体、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、特開2016-086094号公報の段落[0021]~[0023]に記載の化合物及びこれらの塩が挙げられる。
ヒスチジン誘導体としては、例えば、特開2015-165561号公報及び特開2015-165562号公報に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、塩としては、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、炭酸塩、並びに、酢酸塩が挙げられる。
脂肪族カルボン酸系有機酸は、カルボン酸基と脂肪族基と以外に、水酸基を有していてもよい。
脂肪族カルボン酸系有機酸としては、例えば、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、マレイン酸、リンゴ酸及びクエン酸が挙げられる。
<ホスホン酸系有機酸>
ホスホン酸系有機酸は、分子内に少なくとも1つのホスホン酸基を有する有機酸である。
なお、有機酸が、ホスホン酸基とカルボキシ基とを有する場合、カルボン酸系有機酸に分類する。
ホスホン酸系有機酸としては、例えば、脂肪族ホスホン酸系有機酸及びアミノホスホン酸系有機酸が挙げられる。
脂肪族ホスホン酸系有機酸は、ホスホン酸基と脂肪族基と以外に、水酸基を更に有していてもよい。
ホスホン酸系有機酸としては、例えば、エチリデンジホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1’-ジホスホン酸(HEDPO)、1-ヒドロキシプロピリデン-1,1’-ジホスホン酸、1-ヒドロキシブチリデン-1,1’-ジホスホン酸、エチルアミノビス(メチレンホスホン酸)、ドデシルアミノビス(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTPO)、エチレンジアミンビス(メチレンホスホン酸)(EDDPO)、1,3-プロピレンジアミンビス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、エチレンジアミンテトラ(エチレンホスホン酸)、1,3-プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(PDTMP)、1,2-ジアミノプロパンテトラ(メチレンホスホン酸)、1,6-ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DEPPO)、ジエチレントリアミンペンタ(エチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)及びトリエチレンテトラミンヘキサ(エチレンホスホン酸)が挙げられ、HEDPO又はEDTPOが好ましい。
ホスホン酸系有機酸が有するホスホン酸基の数は、2~5が好ましく、2~4がより好ましく、2~3が更に好ましい。
ホスホン酸系有機酸の炭素数は、1~12が好ましく、1~10がより好ましく、1~8が更に好ましい。
ホスホン酸系有機酸としては、例えば、国際公開第2018/020878号の段落[0026]~[0036]に記載の化合物、国際公開第2018/030006号の段落[0031]~[0046]に記載の化合物((共)重合体)が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
市販のホスホン酸系有機酸には、ホスホン酸系有機酸以外に、蒸留水、脱イオン水及び超純水等の水を含むものもあるが、このような水を含んでいるホスホン酸系有機酸を用いてもよい。
処理液がホスホン酸系有機酸を含む場合、更に他の酸(好ましくは上記カルボン酸系有機酸)を含むことも好ましい。この場合、ホスホン酸系有機酸の含有量に対するカルボン酸系有機酸の含有量の質量比(カルボン酸系有機酸の含有量/ホスホン酸系有機酸の含有量)は、0.1~10が好ましく、0.2~5がより好ましく、0.6~1.3が更に好ましい。
有機酸は、脂肪族カルボン酸及び脂肪族ホスホン酸からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
有機酸は、DTPA、EDTA、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、IDA、アルギニン、グリシン、β-アラニン、脂肪族カルボン酸系有機酸、HEDPO、NTPO、EDTPO、DEPPO及びグルコン酸からなる群から選択される1種以上が好ましく、酒石酸、クエン酸、マロン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、酒石酸を含むことがより好ましい。
有機酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
有機酸の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、処理液の全質量に対して、0.00001~10質量%が好ましく、0.0003~1質量%がより好ましく、0.0005~0.1質量%が更に好ましい。
有機酸の含有量は、処理液中の溶媒を除いた成分の合計質量に対して、0.01~90.0質量%が好ましく、0.1~55.0質量%がより好ましく、1.0~20.0質量%が更に好ましい。
〔水〕
処理液は、溶媒として水を含んでいてもよい。
処理液に使用される水の種類は、半導体基板に悪影響を及ぼさないものであればよく、蒸留水、脱イオン水(DI:De Ionize)水及び純水(超純水)が使用できる。不純物をほとんど含まず、半導体基板の製造工程における半導体基板への影響がより少ない点から、純水(超純水)が好ましい。
水の含有量は、処理液の全質量に対して、1.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましく、60.0質量%以上が更に好ましく、80.0質量%以上が特に好ましい。上記含有量の上限は、処理液の全質量に対して、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましく、99.0質量%以下が更に好ましく、97.0質量%以下が特に好ましい。
〔その他の成分〕
処理液は、上記化合物以外に、界面活性剤、pH調整剤、有機溶媒、重合体、及び、分子量500以上のポリヒドロキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含んでいてもよい。
以下、その他の成分について説明する。
〔界面活性剤〕
処理液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、処理液に含まれ得る上述した化合物とは異なる化合物である。
界面活性剤としては、1分子中に親水基と疎水基(親油基)とを有する化合物であり、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられ、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの組み合わせた基からなる群から選択される少なくとも1つの疎水基を有する場合が多い。
疎水基が芳香族炭化水素基を含む場合、界面活性剤が有する疎水基の炭素数は、6以上が好ましく、10以上がより好ましい。疎水基が芳香族炭化水素基を含まず、脂肪族炭化水素基のみからなる場合、界面活性剤が有する疎水基の炭素数は、9以上が好ましく、13以上がより好ましく、16以上が更に好ましい。
界面活性剤が有する疎水基炭素数の上限は、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。
界面活性剤全体の炭素数は、16~100が好ましい。
<ノニオン性界面活性剤>
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、エステル型ノニオン性界面活性剤、エーテル型ノニオン性界面活性剤、エステルエーテル型ノニオン性界面活性剤及びアルカノールアミン型ノニオン性界面活性剤が挙げられ、エーテル型ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、国際公開第2022/044893号の段落[0126]に例示される化合物も援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<アニオン性界面活性剤>
アニオン性界面活性剤としては、例えば、親水基(酸基)として、リン酸エステル基を有するリン酸エステル系界面活性剤、ホスホン酸基を有するホスホン酸系界面活性剤、スルホン酸基を有するスルホン酸系界面活性剤、カルボキシ基を有するカルボン酸系界面活性剤及び硫酸エステル基を有する硫酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
(リン酸エステル系界面活性剤)
リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、並びに、これらの塩が挙げられる。
リン酸エステル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルは、通常モノエステル及びジエステルの両者を含むが、モノエステル又はジエステルを単独で使用できる。
リン酸エステル系界面活性剤の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩が挙げられる。
リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、特開2011-040502号公報の段落[0012]~[0019]に記載の化合物も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
(ホスホン酸系界面活性剤)
ホスホン酸系界面活性剤としては、例えば、アルキルホスホン酸、ポリビニルホスホン酸及び特開2012-057108号公報に記載のアミノメチルホスホン酸が挙げられる。
(スルホン酸系界面活性剤)
スルホン酸系界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルメチルタウリン、スルホコハク酸ジエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸及びこれらの塩が挙げられる。
(カルボン酸系界面活性剤)
カルボン酸系界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸、アルケニルカルボン酸、アルキルベンゼンカルボン酸及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸、これらの無水物、並びに、これらの塩が挙げられる。
カルボン酸系界面活性剤としては、例えば、ドデセニルコハク酸無水物、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸及びポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸が挙げられる。
(硫酸エステル系界面活性剤)
硫酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、並びに、これらの塩が挙げられる。
硫酸エステル系界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸エステル、ミリスチル硫酸エステル及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、特開2015-158662号公報の段落[0092]~[0096]、特開2012-151273号公報の段落[0045]~[0046]及び特開2009-147389号公報の段落[0014]~[0020]に記載の化合物も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
界面活性剤の含有量は、処理液の性能がバランスよく優れる点から、処理液の全質量に対して、0.001~8.0質量%が好ましく、0.005~5.0質量%がより好ましく、0.01~3.0質量%が更に好ましい。
界面活性剤の含有量は、処理液中の溶媒を除いた成分の合計質量に対して、0.01~90.0質量%が好ましく、0.1~55.0質量%がより好ましく、1.0~20.0質量%が更に好ましい。
〔防食剤〕
処理液は、防食剤を含んでいてもよい。
防食剤は、被対象物に含まれる金属成分(例えば、Cu又はCoを含む金属層)の表面に配位して膜を形成することにより、金属成分の腐食を防止する機能を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、アゾール化合物、及び、還元性硫黄化合物が挙げられる。
<アゾール化合物>
アゾール化合物は、処理液に含まれ得る特定アンモニウム塩及びアミン化合物とは異なる化合物である。
アゾール化合物は、窒素原子を少なくとも1つ含み、芳香族性を有するヘテロ5員環を有する化合物である。
アゾール化合物が有するヘテロ5員環に含まれる窒素原子の個数は、1~4が好ましく、1~3がより好ましい。
アゾール化合物は、ヘテロ5員環上に置換基を有してもよい。
上記置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミノ基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基及び2-イミダゾリル基が挙げられる。
アゾール化合物としては、例えば、アゾール環を構成する原子のうち1つが窒素原子であるイミダゾール化合物、アゾール環を構成する原子のうち2つが窒素原子であるピラゾール化合物、アゾール環を構成する原子のうち1つが窒素原子であり、他の1つが硫黄原子であるチアゾール化合物、アゾール環を構成する原子のうち3つが窒素原子であるトリアゾール化合物及びアゾール環を構成する原子のうち4つが窒素原子であるテトラゾール化合物が挙げられる。
アゾール化合物としては、なかでも、アデニン又はアデニン誘導体が好ましい。アデニン誘導体とは、アデニンの一部が他の原子及び置換基によって置換された化合物である。アデニン及びアデニン誘導体としては、式(C2)で表される化合物が挙げられる。
式(C2)中、RC4及びRC5は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、チオール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい糖基、又は、置換基を有していてもよいポリオキシアルキレン基含有基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれであってもよい。
上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。
上記糖基としては、例えば、単糖類、二糖類、及び、多糖類からなる群から選択される糖類からヒドロキシ基を1つ除いた基が挙げられ、単糖類からヒドロキシ基を1つ除いた基が好ましい。
単糖類としては、例えば、リボース、デオキシリボース、アラビノース、及び、キシロース等のペントース、トリオース、テトロース、ヘキソース、並びに、ヘプトースが挙げられ、ペントースが好ましく、リボース、デオキシリボース、アラビノース、又は、キシロースがより好ましく、リボース又はデオキシリボースが更に好ましい。
二糖類としては、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、及び、セロビオースが挙げられる。
多糖類としては、例えば、グリコーゲン、デンプン、及び、セルロースが挙げられる。
上記糖類は、鎖状及び環状のいずれであってもよく、環状が好ましい。
上記環状の糖類としては、例えば、フラノース環及びピラノース環が挙げられる。
置換基を有していてもよいポリオキシアルキレン基含有基は、基の一部に、置換基を有していてもよいポリオキシアルキレン基を含む基を意味する。
上記ポリオキシアルキレン基含有基を構成するポリオキシアルキレン基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、及び、ポリオキシブチレン基が挙げられ、ポリオキシエチレン基が好ましい。
上記アルキル基、上記アミノ基、上記糖基、及び、上記ポリオキシアルキレン基含有基が有する置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、及び、ベンジル基等の炭化水素基;フッ素原子、塩素原子、及び、臭素原子等のハロゲン原子;アルコキシ基;ヒドロキシ基;メトキシカルボニル基、及び、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、及び、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基が挙げられる。
なお、上記置換基を有していてもよいアルキル基が有していてもよい置換基としては、上記置換基として例示した基が挙げられ、より具体的には、アリール基、及び、ヘテロアリール基が挙げられる。
C4としては、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
C5としては、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよい糖基が好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい糖基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
アゾール化合物としては、国際公開第2021/166571号の段落[0046]~[0050]に記載の化合物も使用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<還元性硫黄化合物>
還元性硫黄化合物は、還元性を有し、硫黄原子を含む化合物である。
還元性硫黄化合物としては、例えば、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、メルカプトコハク酸、ジチオジグリセロール、ビス(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)エチレン、3-(2,3-ジヒドロキシプロピルチオ)-2-メチル-プロピルスルホン酸ナトリウム、1-チオグリセロール、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸及び3-メルカプト-1-プロパノールが挙げられる。
なかでも、SH基を有する化合物(メルカプト化合物)が好ましく、1-チオグリセロール、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1-プロパノール又はチオグリコール酸がより好ましい。
上記防食剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上で用いてもよい。
防食剤の含有量は、処理液の全質量に対して、0.0001~10質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.05~5質量%が更に好ましく、0.1~3質量%が特に好ましい。
防食剤の含有量は、処理液中の溶媒を除いた成分の合計質量に対して、0.01~30.0質量%が好ましく、0.05~25.0質量%がより好ましく、0.5~20.0質量%が更に好ましく、0.5~2.0質量%が特に好ましい。
〔pH調整剤〕
処理液は、処理液のpHを調整及び維持するためにpH調整剤を含んでいてもよい。
pH調整剤は、処理液に含まれ得る上記化合物とは異なる、塩基性化合物及び酸性化合物である。ただし、上記各成分の添加量を調整することで、処理液のpHを調整させることは許容される。
塩基性化合物とは、水溶液中でアルカリ性(pHが7.0超)を示す化合物である。
塩基性化合物としては、塩基性無機化合物が挙げられ、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、並びに、アルカリ土類金属水酸化物が挙げられる。
酸性化合物とは、水溶液中で酸性(pHが7.0未満)を示す化合物である。
酸性化合物としては、無機酸が挙げられ、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、及び、ホウ酸が挙げられる。
酸性化合物としては、水溶液中で酸又は酸イオン(アニオン)となるものであれば、酸性化合物の塩を用いてもよい。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤の含有量は、その他成分の種類及び量、並びに、目的とする処理液のpHに応じて選択できる。例えば、pH調整剤の含有量は、処理液の全質量に対して、0.01~10質量%が好ましく、0.1~8質量%がより好ましい。
〔有機溶媒〕
処理液は、有機溶媒を含んでいてもよい。
有機溶媒としては、公知の有機溶媒が挙げられ、例えば、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、及び、ケトン系溶媒が挙げられる。
有機溶媒は、水と任意の比率で混和することが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、国際公開第2022/044893号の段落[0135]~[140]に例示される化合物が援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
〔重合体〕
重合体としては、例えば、特開2016-171294号公報の段落[0043]~[0047]に記載の水溶性重合体が援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
〔分子量500以上のポリヒドロキシ化合物〕
分子量500以上のポリヒドロキシ化合物は、処理液に含まれ得る上記化合物とは異なる化合物である。
上記ポリヒドロキシ化合物は、1分子中に2個以上(例えば2~200個)のアルコール性ヒドロキシ基を有する有機化合物である。
上記ポリヒドロキシ化合物の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、500以上であり、500~100000が好ましく、500~3000がより好ましい。
上記ポリヒドロキシ化合物としては、国際公開第2022/014287号の段落[0101]及び[0102]に例示される化合物も援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
処理液は、上記化合物以外に、フッ素化合物、及び、酸化剤を含んでいてもよい。
フッ素化合物としては、例えば、特開2005-150236号公報の段落[0013]~[0015]に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
有機溶媒としては、公知の有機溶媒をいずれも使用でき、アルコール及びケトン等の親水性有機溶媒が好ましい。有機溶媒は、単独でも2種類以上組み合わせて用いてもよい。
フッ素化合物の使用量は本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定すればよいが、処理液は実質的に酸化剤を含まないことが好ましい。
酸化剤を実質的に含まないとは、処理液中における酸化剤の含有量が処理液全質量に対して、0.1質量%以下であることを意味する。
なお、上記の各成分の処理液における含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS:Gas Chromatography-Mass Spectrometry)法、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS:Liquid Chromatography-Mass Spectrometry)法及びイオン交換クロマトグラフィー(IC:Ion-exchange Chromatography)法等の公知の方法によって測定できる。
〔処理液の物性〕
<pH>
処理液は、アルカリ性及び酸性のいずれであってもよい。
処理液の性能がバランスよく優れる点から、処理液のpHは、8.0~14.0が好ましく、9.0~14.0がより好ましく、10.0~13.5が更に好ましく、11.0~13.5が特に好ましい。上記処理液のpHは、希釈されてない処理液のpHを意味する。
なお、処理液のpHは、公知のpHメーターを用いて、JIS Z8802-1984に準拠した方法により測定できる。pHの測定温度は25℃とする。
<電気伝導度>
処理液の電気伝導度は特に制限されないが、1~10000mS/cmが好ましく、1~1000mS/cmがより好ましく、2~1000mS/cmが更に好ましく、2~300mS/cmが特に好ましく、3~100mS/cmが最も好ましい。
電気伝導度は、電気伝導率計(導電率計(電気伝導率計):ポータブル型D-70/ES-70シリーズ、堀場製作所社製)を用い、処理液を25℃にて測定した電気伝導度(mS/cm)である。
上記電気伝導度を調整する方法としては、例えば、処理液に含まれ得る上記化合物の種類及び含有量を調整する方法が挙げられる。
<不純物量>
処理液は、不純物として、金属、又は、処理液の各成分に由来する成分(例えば、上記アニオン性ポリマーを合成する際の溶剤及びモノマー等)を含む場合がある。
具体的には、金属としては、Fe、Co、Na、K、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Zn、Sn及びAgの金属元素が挙げられ、上記各成分に由来する成分としては、イソプロパノールが挙げられる。
処理液に金属が含まれる場合、上記金属の含有量(イオン濃度として測定される)がいずれも5質量ppm以下であることが好ましく、1質量ppm以下であることがより好ましい。最先端の半導体素子の製造においては、更に高純度の処理液が求められることが想定されることから、上記金属の含有量が1質量ppmよりも低い値、つまり、質量ppbオーダー以下であることが更に好ましく、100質量ppb以下であることが特に好ましく、10質量ppb未満であることが最も好ましい。下限は0が好ましい。
金属含有量の低減方法としては、例えば、処理液を製造する際に使用する原材料の段階又は処理液の製造後の段階において、蒸留及びイオン交換樹脂又はフィルタを用いたろ過等の精製処理を行うことが挙げられる。
他の金属含有量の低減方法としては、原材料又は製造された処理液を収容する容器として、後述する不純物の溶出が少ない容器を用いることが挙げられる。また、処理液の製造時に配管等から金属成分が溶出しないように、配管内壁にフッ素樹脂のライニングを施すことも挙げられる。
処理液中に、不純物として含まれ得る、上記イソプロパノールの処理液の全質量に対する含有量は、100質量ppm以下が好ましく、10質量ppmがより好ましい。下限は0質量ppm以上が好ましい。
<不溶性粒子>
本発明の処理液は、不溶性粒子を実質的に含まないことが好ましい。
上記「不溶性粒子」とは、無機固形物及び有機固形物等の粒子であって、処理液中で溶解せずに粒子として存在するものが該当する。
上記「不溶性粒子を実質的に含まない」とは、処理液が含む溶媒で処理液を10000倍に希釈して測定用組成物とし、測定用組成物の1mL中に含まれる粒径40nm以上の粒子の個数が、40000個以下であることを意味する。なお、測定用組成物に含まれる粒子の個数は、市販のパーティクルカウンターを利用して液相で測定できる。
市販のパーティクルカウンター装置としてはリオン社製、PMS社製の装置が使用できる。前者の代表装置としてはKS-19F、後者の代表装置としてはUltraChem 40が挙げられる。より大きな粒子を測定するためには、KS-42シリーズ、LiQuilaz II Sシリーズ、等の装置が使用できる。
不溶性粒子としては、例えば、シリカ(コロイダルシリカ及びヒュームドシリカを含む)、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、ゲルマニア、酸化マンガン、及び、炭化珪素等の無機固形物;ポリスチレン、ポリアクリル樹脂、及び、ポリ塩化ビニル等の有機固形物等の粒子が挙げられる。
処理液から不溶性粒子を除去する方法としては、例えば、フィルタリング等の精製処理が挙げられる。
<粗大粒子>
本発明の処理液は、粗大粒子を含んでいてもよいが、その含有量が低いことが好ましい。
粗大粒子とは、粒子の形状を球体とみなした場合における直径(粒径)が1μm以上である粒子を意味する。なお、上記不溶性粒子のうち1μm以上の粒子は、粗大粒子に含まれ得る。
処理液における粗大粒子の含有量は、処理液1mLあたり100個以下が好ましく、50個以下がより好ましい。上記含有量の下限は、処理液1mLあたり0個以上が好ましく、0.01個以上がより好ましい。
処理液に含まれる粗大粒子は、原料に不純物として含まれる塵、埃、有機固形物及び無機固形物等の粒子、ならびに、処理液の調製中に汚染物として持ち込まれる塵、埃、有機固形物及び無機固形物等の粒子であって、最終的に処理液中で溶解せずに粒子として存在するものが該当する。
処理液中に存在する粗大粒子の個数は、市販のパーティクルカウンターを利用して液相で測定できる。
粗大粒子の除去方法としては、例えば、フィルタリング等の精製処理が挙げられる。
〔処理液の製造〕
処理液は、公知の方法により製造できる。以下、処理液の製造方法について詳述する。
<調液工程>
処理液は、例えば、上記各成分を混合することにより製造できる。
処理液の調液方法としては、例えば、精製した純水を入れた容器に、処理液中の各成分を順次添加した後、撹拌して混合するとともに、必要に応じてpH調整剤を添加して混合液のpHを調整することにより、処理液を調液する方法が挙げられる。また、各成分を容器に添加する場合、一括して添加してもよいし、複数回にわたって分割して添加してもよい。
処理液の調液に使用する撹拌装置及び撹拌方法は、撹拌機又は分散機として公知の装置を使用すればよい。撹拌機としては、例えば、工業用ミキサー、可搬型撹拌器、メカニカルスターラー及びマグネチックスターラーが挙げられる。分散機としては、例えば、工業用分散器、ホモジナイザー、超音波分散器及びビーズミルが挙げられる。
処理液の調液工程における各成分の混合及び後述する精製処理、並びに、製造された処理液の保管は、40℃以下で行うことが好ましく、30℃以下で行うことがより好ましい。また、上記保管時の温度の下限は、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。上記の温度範囲で処理液の調液、処理及び/又は保管を行うことにより、長期間安定に性能を維持できる。
(精製処理)
処理液を調製するための原料のいずれか1種以上に対して、事前に精製処理を行うことが好ましい。精製処理としては、例えば、蒸留、イオン交換及びろ過(フィルタリング)等の公知の方法が挙げられる。
精製の程度は、原料の純度が99質量%以上となるまで精製することが好ましく、原液の純度が99.9質量%以上となるまで精製することがより好ましい。
精製処理の方法としては、例えば、原料をイオン交換樹脂又はRO膜(Reverse Osmosis Membrane)等に通液する方法、原料の蒸留及び後述するフィルタリングが挙げられる。
精製処理として、上記精製方法を複数組み合わせて実施してもよい。例えば、原料に対して、RO膜に通液する1次精製を行った後、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂又は 混床型イオン交換樹脂からなる精製装置に通液する2次精製を実施してもよい。
また、精製処理は、複数回実施してもよい。
(フィルタリング)
フィルタリングに用いるフィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に制限されない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、並びに、ポリエチレン及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度又は超高分子量を含む)からなるフィルタが挙げられる。これらの材料のなかでもポリエチレン、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)、フッ素樹脂(PTFE及びPFAを含む)及びポリアミド系樹脂(ナイロンを含む)からなる群から選択される材料が好ましく、フッ素樹脂のフィルタがより好ましい。これらの材料により形成されたフィルタを用いて原料のろ過を行うことで、欠陥の原因となり易い極性の高い異物を効果的に除去できる。
(容器)
処理液(後述する希釈処理液の態様を含む)は、腐食性等が問題とならない限り、任意の容器に充填して保管、運搬及び使用できる。
容器としては、半導体用途向けに、容器内のクリーン度が高く、容器の収容部の内壁から各液への不純物の溶出が抑制された容器が好ましい。そのような容器としては、半導体処理液用容器として市販されている各種容器が挙げられ、例えば、アイセロ化学社製の「クリーンボトル」シリーズ及びコダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられ、これらに制限されない。
また、容器としては、国際公開第2022/004217号の段落[0121]~[0124]に例示される容器も援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
これらの容器は、処理液を充填する前にその内部が洗浄されることが好ましい。洗浄に使用される液体は、その液中における金属不純物量が低減されていることが好ましい。処理液は、製造後にガロン瓶又はコート瓶等の容器にボトリングし、輸送、保管されてもよい。
保管における処理液中の成分の変化を防ぐ目的で、容器内を純度99.99995体積%以上の不活性ガス(窒素又はアルゴン等)で置換しておいてもよい。特に含水率が少ないガスが好ましい。また、輸送及び保管に際しては、常温であってもよく、変質を防ぐため、-20℃から20℃の範囲に温度制御してもよい。
(クリーンルーム)
処理液の製造、容器の開封及び洗浄、処理液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、並びに、測定は、全てクリーンルームで行うことが好ましい。クリーンルームは、14644-1クリーンルーム基準を満たすことが好ましい。ISO(国際標準化機構)クラス1、ISOクラス2、ISOクラス3及びISOクラス4のいずれかを満たすことが好ましく、ISOクラス1又はISOクラス2を満たすことがより好ましく、ISOクラス1を満たすことが更に好ましい。
<希釈工程>
上記処理液は、水等の希釈剤を用いて希釈する希釈工程を経た後、希釈された処理液(希釈処理液)として被対象物の処理に供されてもよい。
なお、希釈処理液も、本発明の要件を満たす限り、本発明の処理液の一形態である。
希釈工程における処理液の希釈率は、各成分の種類及び含有量、並びに、被対象物である半導体基板等に応じて適宜調整すればよいが、希釈前の処理液に対する希釈処理液の比率(希釈倍率)は、質量比又は体積比(23℃における体積比)で10~10000倍が好ましく、20~3000倍がより好ましく、50~1000倍が更に好ましい。
また、欠陥抑制性能により優れる点で、処理液は水で希釈されることが好ましい。
希釈前後におけるpHの変化(希釈前の処理液のpHと希釈処理液のpHとの差分)は、2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。
希釈前の処理液のpH及び希釈処理液のpHは、それぞれ、上記好適態様であることが好ましい。
処理液を希釈する希釈工程の具体的方法は、上記の処理液の調液工程に準じて行えばよい。希釈工程で使用する撹拌装置及び撹拌方法もまた、上記の処理液の調液工程において挙げた公知の撹拌装置を用いて行えばよい。
〔処理液の用途〕
処理液は、化学機械研磨(CMP)処理が施された被対象物に対して用いられることが好ましい。
より具体的には、処理液は、化学機械研磨(CMP)処理が施された被対象物を洗浄する洗浄工程に使用されることが好ましい。
上述した通り、処理液を用いる際には、処理液を希釈して得られる希釈処理液を用いてもよい。
<被対象物>
処理液の被対象物としては、例えば、金属を有する被対象物が挙げられ、金属を有する半導体基板が挙げられる。
なお、半導体基板が金属を有する場合、例えば、半導体基板の表裏、側面、及び、溝内等のいずれに金属を有していてもよい。また、半導体基板が金属を有する場合、半導体基板の表面上に直接金属がある場合のみならず、半導体基板上に他の層を介して金属がある場合も含む。
金属としては、例えば、銅(Cu)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、オスミウム(Os)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、ランタン(La)、及び、イリジウム(Ir)からなる群から選択される少なくとも1種の金属Mが挙げられ、Cu、Co、又は、Ruが好ましく、Cu又はCoがより好ましい。つまり、被対象物としては、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む被対象物が好ましい。
金属は、金属(金属原子)を含む物質であればよく、例えば、金属Mの単体、及び、金属Mを含む合金が挙げられる。
処理液の被対象物は、例えば、半導体基板、金属配線膜、バリアメタル、及び、絶縁膜を有していてもよい。
半導体基板を構成するウエハとしては、例えば、シリコン(Si)ウエハ、シリコンカーバイド(SiC)ウエハ、シリコンを含む樹脂系ウエハ(ガラスエポキシウエハ)等のシリコン系材料からなるウエハ、ガリウムリン(GaP)ウエハ、ガリウムヒ素(GaAs)ウエハ及びインジウムリン(InP)ウエハが挙げられる。
シリコンウエハとしては、例えば、シリコンウエハに5価の原子(例えば、リン(P)、ヒ素(As)及びアンチモン(Sb)等)をドープしたn型シリコンウエハ、並びに、シリコンウエハに3価の原子(例えば、ホウ素(B)及びガリウム(Ga)等)をドープしたp型シリコンウエハが挙げられる。シリコンウエハのシリコンとしては、例えば、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン及びポリシリコンが挙げられる。
なかでも、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ及びシリコンを含む樹脂系ウエハ(ガラスエポキシウエハ)等のシリコン系材料からなるウエハが好ましい。
絶縁膜としては、例えば、シリコン酸化膜(例えば、二酸化ケイ素(SiO)膜及びオルトケイ酸テトラエチル(Si(OC)膜(TEOS膜)等)、シリコン窒化膜(例えば、窒化シリコン(Si)及び窒化炭化シリコン(SiNC)等)、並びに、低誘電率(Low-k)膜(例えば、炭素ドープ酸化ケイ素(SiOC)膜及びシリコンカーバイド(SiC)膜等)が挙げられ、低誘電率(Low-k)膜が好ましい。
金属配線膜としては、銅含有膜、コバルト含有膜、及び、ルテニウム含有膜が好ましい。
銅含有膜としては、例えば、金属銅のみからなる配線膜(銅配線膜)及び金属銅と他の金属とからなる合金製の配線膜(銅合金配線膜)が挙げられる。
銅合金配線膜としては、Al、Ti、Cr、Mn、Ta、及び、Wから選ばれる1種以上の金属と銅とからなる合金製の配線膜が挙げられる。より具体的には、銅-アルミニウム合金配線膜(CuAl合金配線膜)、銅-チタン合金配線膜(CuTi合金配線膜)、銅-クロム合金配線膜(CuCr合金配線膜)、銅-マンガン合金配線膜(CuMn合金配線膜)、銅-タンタル合金配線膜(CuTa合金配線膜)、及び、銅-タングステン合金配線膜(CuW合金配線膜)が挙げられる。
コバルト含有膜としては、例えば、金属コバルトのみからなる金属膜(コバルト金属膜)、及び、金属コバルトと他の金属とからなる合金製の金属膜(コバルト合金金属膜)が挙げられる。
コバルト合金金属膜としては、Ti、Cr、Fe、Ni、Mo、Pd、Ta、及び、Wから選ばれる1種以上の金属とコバルトとからなる合金製の金属膜が挙げられる。より具体的には、コバルト-チタン合金金属膜(CoTi合金金属膜)、コバルト-クロム合金金属膜(CoCr合金金属膜)、コバルト-鉄合金金属膜(CoFe合金金属膜)、コバルト-ニッケル合金金属膜(CoNi合金金属膜)、コバルト-モリブデン合金金属膜(CoMo合金金属膜)、コバルト-パラジウム合金金属膜(CoPd合金金属膜)、コバルト-タンタル合金金属膜(CoTa合金金属膜)、及び、コバルト-タングステン合金金属膜(CoW合金金属膜)が挙げられる。
ルテニウム含有膜としては、例えば、金属ルテニウムのみからなる金属膜(ルテニウム金属膜)、及び、金属ルテニウムと他の金属とからなる合金製の金属膜(ルテニウム合金金属膜)が挙げられる。
半導体基板を構成するウエハ上に、上記の絶縁膜、銅含有膜、コバルト含有膜、及び、ルテニウム含有膜を形成する方法としては、通常この分野で行われる方法であれば特に制限はない。
絶縁膜の形成方法としては、例えば、半導体基板を構成するウエハに対して、酸素ガス存在下で熱処理を行うことによりシリコン酸化膜を形成し、次いで、シラン及びアンモニアのガスを流入して、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン窒化膜を形成する方法が挙げられる。
銅含有膜、コバルト含有膜、及び、ルテニウム含有膜を形成する方法としては、例えば、上記の絶縁膜を有するウエハ上に、レジスト等の公知の方法で回路を形成し、次いで、鍍金及びCVD法等の方法により、銅含有膜、コバルト含有膜、及び、ルテニウム含有膜を形成する方法が挙げられる。
上記被対象物は、CMP処理が施された被対象物(好ましくは、CMP処理が施された、金属を有する被対象物)である。
CMP処理は、例えば、金属配線膜、バリアメタル、及び、絶縁膜を有する半導体基板の表面を、研磨微粒子(砥粒)を含む研磨スラリーを用いて、化学的作用と機械的研磨の複合作用で平坦化する処理である。
被対象物の表面は、CMP処理が施された後、バフ研磨処理が施されていてもよい。
バフ研磨処理は、研磨パッドを用いて被対象物の表面における残渣を低減する処理である。具体的には、CMP処理が施された被対象物の表面と研磨パッドとを接触させて、その接触部分にバフ研磨用組成物を供給しながら被対象物と研磨パッドとを相対摺動させる。その結果、被対象物の表面の残渣が、研磨パッドによる摩擦力及びバフ研磨用組成物による化学的作用によって除去される。
バフ研磨用組成物としては、被対象物の種類、並びに、除去対象とする残渣の種類及び量に応じて、公知のバフ研磨用組成物を適宜使用できる。バフ研磨用組成物に含まれる成分としては、特に制限されないが、例えば、フッ化アンモニウム(NHF)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1’-ジホスホン酸(HEDPO)、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー、分散媒としての水、及び、硝酸等の酸が挙げられる。
バフ研磨処理において使用する研磨装置及び研磨条件等については、被対象物の種類及び残渣の種類等に応じて、公知の装置及び条件から適宜選択できる。バフ研磨処理としては、例えば、国際公開第2017/169539号の段落[0085]~[0088]に記載の処理が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、バフ研磨処理の一実施形態としては、バフ研磨用組成物として、上記の処理液を用いて被対象物にバフ研磨処理を施すことも好ましい。すなわち、CMP処理後の残渣を有する被対象物に対して、処理液をバフ研磨に使用することも好ましい。
[CMP処理が施された被対象物の処理方法]
本発明の、CMP処理が施された被対象物の処理方法は、上記被対象物と本発明の処理液とを接触させる工程(接触工程)を含む処理方法であれば、特に制限されない。
上記処理方法により、例えば、CMP処理が施された半導体基板を洗浄することができる。上記半導体基板の洗浄方法は、上記の希釈工程で得られる希釈処理液をCMP処理が施された半導体基板に適用して洗浄する工程を含むことが好ましい。
被対象物と処理液とを接触させる方法としては、特に制限されず、例えば、タンクに入れた処理液中に被対象物を浸漬する方法、被対象物上に処理液を噴霧する方法、被対象物上に処理液を流す方法、及び、これらの組み合わせが挙げられる。上記方法は、目的に応じて適宜選択すればよい。
また、上記方法は、通常この分野で行われる様式を適宜採用してもよい。例えば、処理液を供給しながらブラシ等の洗浄部材を被対象物の表面に物理的に接触させて残渣等を除去するスクラブ洗浄、及び、被対象物を回転させながら処理液を滴下するスピン(滴下)式等であってもよい。浸漬式では、被対象物の表面に残存する不純物をより低減できる点で、処理液に浸漬された被対象物に対して超音波処理を施すことが好ましい。
接触工程における被対象物と処理液との接触は、1回のみ実施してもよく、2回以上実施してもよい。2回以上接触させる場合は、同じ方法を繰り返してもよいし、異なる方法を組み合わせてもよい。
接触工程の方法としては、枚葉方式及びバッチ方式のいずれであってもよい。
枚葉方式とは、一般的に被対象物を1枚ずつ処理する方式であり、バッチ方式とは、一般的に複数枚の被対象物を同時に処理する方式である。
処理液の温度は、通常この分野で行われる温度であれば特に制限はない。一般的には室温(約25℃)が行われるが、残渣除去性の向上及び部材への対ダメージ性を抑えるために、温度は任意に選択できる。例えば、処理液の温度としては、10~60℃が好ましく、15~50℃がより好ましい。
被対象物と処理液との接触時間は、処理液に含まれる成分の種類及び含有量等に応じて適宜変更できる。実用的には、10秒間~2分間が好ましく、20秒間~1分30秒間がより好ましく、30秒間~1分間が更に好ましい。
接触工程における処理液の供給量(供給速度)は50~5000mL/分が好ましく、500~2000mL/分がより好ましい。
接触工程において、処理液の残渣除去性をより増進するために、機械的撹拌方法を用いてもよい。
機械的撹拌方法としては、例えば、半導体基板上で処理液を循環させる方法、半導体基板上で処理液を流過又は噴霧させる方法及び超音波又はメガソニックにて処理液を撹拌する方法が挙げられる。
また、接触工程の後に、被対象物とリンス液とを接触させる工程(以下、「リンス工程」ともいう。)を行ってもよい。リンス工程を実施することにより、接触工程で得られた被対象物をリンス液で洗浄し、残渣を効率的に除去できる。
リンス工程は、被対象物の洗浄工程の後に連続して行われ、リンス液を用いて被対象物をすすぐ工程であることが好ましい。リンス工程は、上記機械的撹拌方法を用いて行ってもよい。
リンス溶媒としては、例えば、水(好ましくは脱イオン(DI:De Ionize)水)、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリジノン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。また、pHが8.0超である水性リンス液(希釈した水性の水酸化アンモニウム等)を利用してもよい。
リンス液を被対象物に接触させる方法としては、上記処理液を被対象物に接触させる方法を同様に適用できる。
被対象物とリンス液との接触時間は、処理液に含まれる各成分の種類及び含有量、並びに、処理液の使用対象及び目的に応じて適宜変更できる。実用的には、10~120秒が好ましく、20~90秒がより好ましく、30~60秒が更に好ましい。
また、上記リンス工程の後に、被対象物を乾燥させる乾燥工程を行ってもよい。
乾燥方法としては、例えば、スピン乾燥法、半導体基板上に乾性ガスを流過させる方法、ホットプレート及び赤外線ランプ等の加熱手段によって基板を加熱する方法、マランゴニ乾燥法、ロタゴニ乾燥法、IPA(イソプロピルアルコール)乾燥法、並びに、これらの任意の組み合わせた方法が挙げられる。
[半導体デバイスの製造方法]
上記被対象物の処理方法は、半導体デバイスの製造方法に好適に適用できる。
上記処理方法は、基板について行われるその他の工程の前又は後に組み合わせて実施してもよい。上記処理方法を実施する中にその他の工程に組み込んでもよいし、その他の工程の中に上記処理方法を組み込んで実施してもよい。
その他の工程としては、例えば、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁膜、強磁性層、及び、非磁性層等の構造の形成工程(例えば、層形成、エッチング、化学機械研磨、及び、変成等)、レジストの形成工程、露光工程及び除去工程、熱処理工程、洗浄工程、並びに、検査工程が挙げられる。
上記処理方法は、バックエンドプロセス(BEOL:Back end of the line)、ミドルプロセス(MOL:Middle of the line)、及び、フロントエンドプロセス(FEOL:Front end of the line)中のいずれの段階で行ってもよく、フロントエンドプロセス又はミドルプロセス中で行うことが好ましい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
以下の実施例において、処理液のpHは、pHメーター(堀場製作所社製、型式「F-74」)を用いて、JIS Z8802-1984に準拠して25℃において測定した。
また、実施例及び比較例の処理液の製造にあたって、容器の取り扱い、処理液の調液、充填、保管及び分析測定は、全てISOクラス2以下を満たすレベルのクリーンルームで行った。
[処理液の原料]
処理液を製造するために、以下の化合物を使用した。なお、実施例で使用した各成分はいずれも、半導体グレードに分類されるもの又はそれに準ずる高純度グレードに分類されるものを使用した。
〔アニオン性ポリマー〕
・ポリアクリル酸1:富士フイルム和光純薬(株)製、ポリアクリル酸 1,000,000(Mw=1,000,000)
・ポリアクリル酸2:富士フイルム和光純薬(株)製、ポリアクリル酸 250,000(Mw=250,000)
・ポリアクリル酸3:東亞合成(株)製、ジュリマーAC-10L(Mw=50,000)
・ポリアクリル酸4:富士フイルム和光純薬(株)製、ポリアクリル酸 25,000(Mw=25,000)
・ポリアクリル酸5:日本触媒(株)製、アクアリックHL-415(Mw=10,000)
・ポリアクリル酸6:東亞合成(株)製、アロンA-10SL(Mw(実測値)=6,000)
・ポリアクリル酸7:富士フイルム和光純薬(株)製、ポリアクリル酸 5,000(Mw=5,000)
・ポリアクリル酸8:東亞合成(株)製、ジュリマーAC-10SL(Mw=3,000)
・ポリマレイン酸:日油(株)製、ノンポールPWA-50W(Mw(実測値)=2,000)
・アクリル酸-マレイン酸共重合体:日本触媒(株)製、アクアリックTL-37(Mw=5,000)
・スチレン-マレイン酸共重合体:第一工業製薬(株)製、DKSディスコートN-10(Mw(実測値)=3,200)
・スチレン-マレイン酸ハーフエステル共重合体:荒川化学工業(株)製、アラスター703S(Mw(実測値)=3,600)
・ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩):竹本油脂(株)製、タケサーフA-45-K(Mw(実測値)=2,700)
・アクリル酸-スルホン酸系モノマー共重合体:日本触媒(株)製、アクアリックGL-366(Mw=6,000)
・ポリスチレンスルホン酸:Sigma-Aldrich製、ポリ(4-スチレンスルホン酸)溶液(Mw=75,000以下)
・スルホン酸系共重合体:東亞合成(株)製、アロンA-12SL(Mw=10,000)
・ポリアクリル酸アンモニウム:東亞合成(株)製、アロンA-30SL(Mw=6,000)
・カルボン酸系共重合体(アンモニウム塩):東亞合成(株)製、アロンA-6114(Mw=8,000)
・ポリカルボン酸 ポリアルキレングリコール グラフト体:日本触媒(株)製、アクアリックPM-303B(Mw=3,000)
上記の各種アニオン性ポリマーのMwについては、「Mw(実測値)」の記載があるものは、上述の測定条件によりGPC測定して得たポリスチレン換算値である。上記記載がないものは、カタログ等に記載のメーカー公称値である。
〔特定アンモニウム塩(合計炭素数が5以上の第4級アンモニウム塩)〕
・TEAH:テトラエチルアンモニウムヒドロキシド
・コリン:2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
・ETMAH:エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
・TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
・Tris:トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド
・BHEDMA:ビス(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド
〔アミン化合物〕
・モノエタノールアミン
・1-アミノ-2-プロパノール
・N-エチルエチレンジアミン
・PMDETA:N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン
・ピペラジン
〔その他添加剤〕
・クエン酸
・マロン酸
・マレイン酸
・ドデセニルコハク酸無水物
・コハク酸
・ヒスチジン
・シュウ酸
・リンゴ酸
・酒石酸
・イソプロパノール(IPA)
・アデニン
〔pH調整剤、超純水〕
pH調整剤として、必要に応じて、水酸化カリウム(KOH)及び硫酸(HSO)のいずれか一方を用いた。
なお、水酸化カリウム又は硫酸の含有量は、各処理液の全質量に対して2質量%以下であった。
また、処理液の調製の際に、超純水(富士フイルム和光純薬社製)を用いた。
超純水の含有量は、表1~3に明示した各処理液中の成分、及び、pH調整剤以外の各処理液の残部である。
[処理液の製造]
次に、実施例及び比較例の各処理液の製造方法について、実施例1を例に説明する。
超純水に、ポリアクリル酸3、及び、TEAHを最終的に得られる処理液が下記表に記載の配合となる量でそれぞれ添加した後、調製される処理液のpHが11.6となるようにpH調整剤を添加した。得られた混合液を十分に撹拌することにより、実施例1の処理液を得た。
実施例1の製造方法に準じ、下記表1~3に示す組成を有する実施例及び比較例の各処理液を、それぞれ製造した。
実施例の各処理液は、実質的に不溶性粒子を含まなかった。また、実施例の各処理液は、実質的に酸化剤を含まなかった。
[処理液の評価1:CMP処理後の半導体基板]
続いて、上記の方法で製造した実施例又は比較例の各処理液を用いて、以下の試験を行った。
〔残渣除去性(欠陥数)の評価〕
化学機械研磨を施した半導体基板を洗浄した際の残渣除去性(欠陥数)を評価した。
FREX300S-II(研磨装置、荏原製作所社製)を用いて、研磨液として研磨液1を使用し、研磨圧力の面内平均値が105hPa、研磨液供給速度が200mL/min、研磨時間が30秒間となる条件で、表面にCu膜又はCo膜を有するウエハ(直径12インチ)を研磨した。次に、研磨液として研磨液2を使用し、研磨圧力の面内平均値が70hPa、研磨液供給速度が200mL/min、研磨時間が60秒間となる条件で、上記の研磨処理が施されたウエハを更に研磨した。
得られたCMP処理が施されたウエハを、室温(23℃)に調整した処理液のサンプルを用いて1分間スクラブ洗浄し、乾燥処理した。
なお、上記研磨液1及び研磨液2の組成は下記の通りである。
研磨液1(pH7.0)
・コロイダルシリカ(PL3、扶桑化学工業社製) 0.1質量%
・グリシン 1.0質量%
・3-アミノ-1,2,4-トリアゾール 0.2質量%
・ベンゾトリアゾール(BTA) 30質量ppm
・過酸化水素 1.0質量%
・pH調整剤(アンモニア及び硝酸)
・水 残部
研磨液2(pH10.5)
・コロイダルシリカ(PL3、扶桑化学工業社製) 6.0質量%
・クエン酸 1.0質量%
・アルキルアルコキシレート界面活性剤 100質量ppm
・BTA 0.2質量%
・過酸化水素 1.0質量%
・pH調整剤(水酸化カリウム及び硝酸)
・水 残部
次に、欠陥検出装置(KLA社製 Surfscan SP5)を用いて、得られたウエハの研磨面において、長さが0.036μm以上である欠陥に対応する信号強度の検出数を計測し、下記評価基準に基づいて評価した。
ウエハの研磨面において検出された欠陥数が少ないほど、残渣除去性に優れると評価できる。
A:ウエハ当たりの欠陥数が300個未満
B:ウエハあたりの欠陥数が300個以上、600個未満
C:ウエハあたりの欠陥数が600個以上、1000個未満
D:ウエハあたりの欠陥数が1000個以上
〔腐食抑制性能の評価〕
2×2cmの銅のクーポンウエハ、及び、コバルトのクーポンウエハを準備し、これらを用いて、Cu又はCoに対する処理液の腐食抑制性能を評価した。
上記ウエハを、各処理液に室温(25℃)で30分間浸漬した。
その後、得られたウエハの膜厚を測定し、上記浸漬処理前後の膜厚差からエッチングレート(Å/min)を求め、下記評価基準に基づいて評価した。エッチングレートが低いほど腐食抑制性能に優れると評価できる。
A:0.4Å/min未満
B:0.4Å/min以上0.6Å/min未満
C:0.6Å/min以上0.8Å/min未満
D:0.8Å/min以上
[結果]
表1~3に、実施例及び比較例にて使用した各処理液の組成、並びに、各処理液の評価結果を示す。
表1~3中、「Mw」欄は、処理液中のアニオン性ポリマーの重量平均分子量を表す。なお、表中に記載のMwの数値は、上述の測定条件によりGPC測定して得たポリスチレン換算値又はカタログ等に記載のメーカー公称値である。
「含有量(質量%)」欄は、処理液の全質量に対する各成分の含有量(質量%)を示す。
「(B)/(A)」欄は、アニオン性ポリマーの含有量に対する、特定アンモニウム塩の含有量の質量比を示す。
「(B)/(C)」欄は、アミン化合物の含有量に対する、特定アンモニウム塩の含有量の質量比を示す。
「(C)/(A)」欄は、アニオン性ポリマーの含有量に対する、アミン化合物の含有量の質量比を示す。
「((B)+(C))/(A)」欄は、アニオン性ポリマーの含有量に対する、特定アンモニウム塩、及び、アミン化合物の合計含有量の質量比を示す。
「pH」欄の数値は、上記のpHメーターにより測定した処理液の25℃におけるpHを示す。
「電気伝導度(mS/cm)」欄の数値は、電気伝導率計(導電率計(電気伝導率計):ポータブル型D-70/ES-70シリーズ、堀場製作所社製)を用いて測定した処理液の25℃における電気伝導度を示す。
Figure 2024018964000006
Figure 2024018964000007
Figure 2024018964000008
表1~3の結果から、本発明の実施例の処理液は、残渣除去性及び腐食抑制性能がいずれも優れることが確認された。
一方、比較例1~6の処理液は、残渣除去性及び腐食抑制性能の両立は困難であった。
アニオン性ポリマーが、ポリアクリル酸である場合、残渣除去性がより優れることが確認された(実施例2~6と、実施例8~12との対比等)。
処理液について、アニオン性ポリマーの含有量に対する、第4級アンモニウム塩の含有量の質量比が、5~150である場合(好ましくは、10~75である場合)、発明の効果がより優れることが確認された(実施例23~30の対比等)。
処理液において、第4級アンモニウム塩の含有量が、処理液の全質量に対して、0.005質量%以上である場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例23~25の対比等)。
処理液のpHが11.0~13.5である場合、発明の効果がより優れることが確認された(実施例23~25の対比等)。
[処理液の評価2:バフ研磨処理後の半導体基板]
続いて、上記の方法で製造した実施例又は比較例の各処理液を用いて、化学機械研磨を施した後にバフ研磨処理を更に施した半導体基板を洗浄した際の残渣除去性(欠陥数)を評価した。
〔残渣除去性(欠陥数)の評価〕
FREX300S-II(研磨装置、荏原製作所社製)を用いて、研磨液として上記評価で用いた研磨液1を使用し、研磨圧力の面内平均値が105hPa、研磨液供給速度が200mL/min、研磨時間が30秒間となる条件で、表面にCu膜又はCo膜を有するウエハ(直径12インチ)を研磨した。次に、研磨液として上記評価で用いた研磨液2を使用し、研磨圧力の面内平均値が70hPa、研磨液供給速度が200mL/min、研磨時間が60秒間となる条件で、上記の研磨処理が施されたウエハを更に研磨した。
また、研磨液として研磨液3を使用し、研磨圧力の面内平均値が105hPa、研磨液供給速度が200mL/min、研磨時間が60秒間となる条件で、表面にW膜を有するウエハ(直径12インチ)を研磨した。
上記研磨処理後のCu膜付きウエハ、Co膜付きウエハ、及びW膜付きウエハについて、同研磨パッド上をコンディショニングした後に、水、又は、表4に記載がある場合、フッ化アンモニウム(NHF)水溶液、又は1-ヒドロキシエチリデン-1,1’-ジホスホン酸(HEDPO)水溶液を室温(23℃)に調整して使用し、研磨圧力の面内平均値が70hPa、研磨液供給速度が200mL/min、研磨時間が30秒間となる条件で、各ウエハ(直径12インチ)をバフ研磨処理した。
得られた各ウエハを、室温(23℃)に調整した表4で示す各処理液を用いて1分間スクラブ洗浄し、乾燥処理した。
なお、上記研磨液3の組成は下記の通りである。
研磨液3(pH2.5)
・コロイダルシリカ(PL5D、扶桑化学工業社製) 6.0質量%
・HEDPO 1.0質量%
・クエン酸 0.2質量%
・BTA 0.1質量%
・L-アルギニン 0.1質量%
・硝酸鉄 200質量ppm
・過酸化水素 2.0質量%
・pH調整剤(アンモニア及び硝酸)
・水 残部
次に、欠陥検出装置(KLA社製 Surfscan SP5)を用いて、得られたウエハの研磨面において、長さが0.036μm以上である欠陥に対応する信号強度の検出数を計測し、下記評価基準に基づいて評価した。
ウエハの研磨面において検出された欠陥数が少ないほど、残渣除去性に優れると評価できる。
A:ウエハ当たりの欠陥数が300個未満
B:ウエハあたりの欠陥数が300個以上、600個未満
C:ウエハあたりの欠陥数が600個以上、1000個未満
D:ウエハあたりの欠陥数が1000個以上
[結果]
表4に、実施例及び比較例にて使用した各処理液の組成、並びに、各処理液の評価結果を示す。
表4中、「半導体基板用処理液_バフ研磨処理」欄の、「含有量(質量%)」欄の数値は、NHF水溶液、又はHEDPO水溶液の全質量に対する成分(NHF又はHEDPO)の含有量(質量%)を示す。
その他の表4中の各記載は、表1~3に記載の各記載と同義である。
Figure 2024018964000009
表4の結果から、本発明の実施例の処理液は、バフ研磨処理後の被対象物(半導体基板)に適用した際にも残渣除去性が優れることが確認された。
また、本発明の実施例の処理液は、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む被対象物(半導体基板)のみならず、Wを含む被対象物に適用した際にも残渣除去性が優れることが確認された。

Claims (16)

  1. 化学機械研磨処理が施された被対象物に用いられる処理液であって、
    重量平均分子量が10万以下のアニオン性ポリマーと、
    合計炭素数が5以上の第4級アンモニウム塩と、を含み、
    前記アニオン性ポリマーの含有量に対する、前記第4級アンモニウム塩の含有量の質量比が、2.5~500である、処理液。
  2. 前記アニオン性ポリマーが、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する、請求項1に記載の処理液。
  3. 前記アニオン性ポリマーが、ポリアクリル酸である、請求項1に記載の処理液。
  4. 第1級アミン、第2級アミン、及び、第3級アミンからなる群から選択される少なくとも1つのアミン化合物を含む、請求項1に記載の処理液。
  5. 前記アミン化合物の含有量に対する、前記第4級アンモニウム塩の含有量の質量比が、0.1~500である、請求項4に記載の処理液。
  6. 前記アニオン性ポリマーの含有量に対する、前記アミン化合物の含有量の質量比が、0.01~100である、請求項4に記載の処理液。
  7. 前記アニオン性ポリマーの含有量に対する、前記第4級アンモニウム塩、及び、前記アミン化合物の合計含有量の質量比が、2.5~500である、請求項4に記載の処理液。
  8. 有機酸を更に含む、請求項1に記載の処理液。
  9. 界面活性剤、及び、防食剤の少なくとも一方を更に含む、請求項1に記載の処理液。
  10. pHが9.0~14.0である、請求項1に記載の処理液。
  11. 電気伝導度が、1~10000mS/cmである、請求項1に記載の処理液。
  12. 実質的に不溶性粒子を含まない、請求項1に記載の処理液。
  13. 実質的に酸化剤を含まない、請求項1に記載の処理液。
  14. 前記被対象物が、Cu及びCoからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む、請求項1に記載の処理液。
  15. 化学機械研磨処理が施された被対象物と、請求項1~14のいずれか1項に記載の処理液とを接触させる工程を含む、被対象物の処理方法。
  16. 請求項15に記載の被対象物の処理方法を有する、半導体デバイスの製造方法。
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