JP2024018002A - 運転管理支援装置及び運転管理支援方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラントの運転員による意思決定の迅速化及び精度向上を支援する。【解決手段】運転管理支援装置100は、プラント210の運転に関する所定の制御について、プラント210の実績を示す計測データを入力して、1以上の制御値予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御値を算出する制御値予測モデル計算部150と、制御値予測モデルごとの予測制御値を入力して、結果予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御結果を算出する結果予測モデル計算部160と、制御値予測モデルごとの予測制御結果と予め定められたプラント210の制御目標値とを比較して、各予測制御結果を算出した制御値予測モデルの精度を評価することにより、プラント210に適用して好適な制御値予測モデルを判断する精度評価処理部170と、予測制御値及び評価の結果を少なくとも含む処理結果情報を出力する出力処理部(表示処理部180)と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、運転管理支援装置及び運転管理支援方法に関し、上下水プラント、化学プラント、電力プラント、またはゴミ処理場等の運転管理システムを支援する運転管理支援装置及び運転管理支援方法に適用して好適なものである。
上下水プラントでは、人口減少に伴う需要の減少、施設の老朽化、及び人材不足などの課題に対応するために、施設の統廃合や再配置が進められている。特に水道分野では、2018年に改正された水道法において、水道事業者の努力義務として、長期的な観点から水道施設の計画的な更新が記述されており、施設の統廃合や再配置の重要性が明確化されている。
現状、上下水プラントもしくは化学、電力プラントなどのプラント管理業務は、運転員の目視と経験を頼りにして管理している場面があり、プラントが24時間連続操業しているなかで、運転員を常時滞在させることにより対応していることが多い。しかし、将来人材不足が発生したときの解決策を今から考える必要がある。人員配置を効率化するために施設の統廃合や再配置を進めると、統合拠点から集中監視する体制となる。今後、統合拠点からの集中監視体制に切り替える事業体は増加していくと予想されるが、人員再配置の結果、運転員一人当たりの業務量の増加、及び経験の少ない施設の管理による判断力の低下などが懸念される。また、熟練の運転員が減少するため、経験の少ない運転員へのノウハウ及び技術の継承がさらに困難になることも懸念される。
上記のような状況への対応として、人員の再配置後も施設の維持管理業務を継続するために、運転員の五感または経験をIoT(Internet of Things)及びAI(Artificial Intelligence)技術で代替するソリューションが近年提供されている。また、ディープラーニングなどの機械学習技術を用いて、異常検知、制御値及び結果の予測等を行うシステムも提供されている。
例えば特許文献1には、より精度の高い予測モデルをより効率的に生成することを目的とした予測システムとして、「制御対象を制御するための制御演算を実行する制御演算部と、制御演算部が参照可能な状態値のうち1または複数の状態値を予測モデルに入力することで予測値を算出する予測部と、予測モデルを予め生成する予測モデル生成部とを含む。予測モデル生成部は、予測対象の時系列データと、対応する1または複数の状態値の時系列データとを含む第1の学習用データセットに基づいて第1の予測モデルを生成する手段と、1または複数の状態値の実績値が予め定められた条件を満たすと、当該1または複数の状態値の実績値を第1の学習用データセットに追加して生成される第2の学習用データセットに基づいて第2の予測モデルを生成する手段と、第1の予測モデルの性能と第2の予測モデルの性能とを提示する手段とを含む、予測システム」が記載されている。
特開2022-28338号公報
上述した特許文献1のように、従来、プラント運転に関わる制御値の予測に機械学習を用いるシステムが提案されている。しかし、機械学習は学習に使用したデータの範囲内で精度の高い制御値予測モデルを作成できる反面、学習に使用したデータの範囲を逸脱する場合、すなわちこれまでに実績のない条件になった場合に、正確な制御値を予測できない可能性があった。また、制御値予測モデルの内容がブラックボックスであるため、説明性に課題があった。さらに、プラントごとに仕様がそれぞれ異なることから、プラントの知見などが活用(横展開)され難いという課題もあった。
例えば特許文献1では、第1の制御の結果を予測するモデルと、計測データが過去の実績から外れたことを検知する外れ値検知モデルとを具備し、計測データが過去の実績から外れたことを外れ値検知モデルが検知した場合に、新しい第2の結果予測モデルを作成し、第1及び第2の結果予測モデルの性能を提示する。このとき、結果予測モデルに必要な計測データを入力したうえで、制御値をパラメータとして入力し、最適な結果を出力するときの制御値を算出し、運転員に提示する処理を追加する必要があるが、結果予測モデルの内容がブラックボックスであることから、説明性に課題が残っていた。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、プラントの運転員による意思決定の迅速化及び精度向上を支援することが可能な運転管理支援装置及び運転管理支援方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、プラントの運転に関する所定の制御について、前記プラントの実績を示す計測データを入力として前記制御における制御値の予測値である予測制御値を算出する1以上の制御値予測モデルと、前記予測制御値を入力として前記制御の制御結果の予測値である予測制御結果を算出する結果予測モデルと、前記計測データを入力して、1以上の前記制御値予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御値を算出する制御値予測モデル計算部と、前記制御値予測モデル計算部によって算出された制御値予測モデルごとの予測制御値を入力して、前記結果予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御結果を算出する結果予測モデル計算部と、前記結果予測モデル計算部によって算出された制御値予測モデルごとの予測制御結果と予め定められた前記プラントの制御目標値とを比較して、それぞれの予測制御結果を算出した制御値予測モデルの精度を評価することにより、前記プラントに適用して好適な制御値予測モデルを判断する精度評価処理部と、前記制御値予測モデル計算部によって算出された予測制御値、及び前記精度評価処理部による評価の結果を少なくとも含む処理結果情報を出力する出力処理部と、を備えることを特徴とする運転管理支援装置が提供される。
また、かかる課題を解決するため本発明においては、プラントの運転に関する所定の制御に対する運転員の意思決定を支援する運転管理支援装置による運転管理支援方法であって、前記運転管理支援装置は、前記プラントの実績を示す計測データを入力として前記制御における制御値の予測値である予測制御値を算出する1以上の制御値予測モデルと、前記予測制御値を入力として前記制御の制御結果の予測値である予測制御結果を算出する結果予測モデルと、を有し、前記運転管理支援装置が、前記計測データを入力して、1以上の前記制御値予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御値を算出する制御値予測モデル計算ステップと、前記運転管理支援装置が、前記制御値予測モデル計算ステップで算出された制御値予測モデルごとの予測制御値を入力して、前記結果予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御結果を算出する結果予測モデル計算ステップと、前記運転管理支援装置が、前記結果予測モデル計算ステップで算出された制御値予測モデルごとの予測制御結果と予め定められた前記プラントの制御目標値とを比較して、それぞれの予測制御結果を算出した制御値予測モデルの精度を評価することにより、前記プラントに適用して好適な制御値予測モデルを判断する精度評価ステップと、前記運転管理支援装置が、前記制御値予測モデル計算ステップで算出された予測制御値、及び前記精度評価ステップによる評価の結果を少なくとも含む処理結果情報を出力する出力ステップと、を備えることを特徴とする運転管理支援方法が提供される。
本発明によれば、プラントの運転員による意思決定の迅速化及び精度向上を支援することができる。
本発明の第1の実施形態に係る運転管理支援装置100の構成例を示すブロック図である。 制御値予測モデル学習処理の処理手順例を示すフローチャートである。 制御値予測モデル精度評価処理の処理手順例を示すフローチャートである。 結果予測モデル精度評価処理の処理手順例を示すフローチャートである。 処理結果画面190の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る運転管理支援装置300の構成例を示すブロック図である。 実績計測データのグループ分類の一例を示す図である。 グループ別制御予測モデル選択処理の処理手順例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述する。
なお、以下の記載及び図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本発明が実施形態に制限されることは無く、本発明の思想に合致するあらゆる応用例が本発明の技術的範囲に含まれる。本発明は、当業者であれば本発明の範囲内で様々な追加や変更等を行うことができる。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は複数でも単数でも構わない。
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、少なくとも1以上のプロセッサ(例えばCPU)によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)及び/又はインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノード、ストレージシステム、ストレージ装置、サーバ、管理計算機、クライアント、又は、ホストであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体(例えばプロセッサ)は、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路を含んでもよい。例えば、プログラムを実行して行う処理の主体は、暗号化及び復号化、又は圧縮及び伸張を実行するハードウェア回路を含んでもよい。プロセッサは、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部として動作する。プロセッサを含む装置及びシステムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な非一時的な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサ(例えばCPU)と非一時的な記憶資源とを含み、記憶資源はさらに配布プログラムと配布対象であるプログラムとを記憶してよい。そして、プログラム配布サーバのプロセッサが配布プログラムを実行することで、プログラム配布サーバのプロセッサは配布対象のプログラムを他の計算機に配布してよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
(1)第1の実施形態
(1-1)運転管理支援装置100の構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係る運転管理支援装置100の構成例を示すブロック図である。図1に示す運転管理支援装置100は、プラント210の運転管理を支援する装置であって、実績DB110、制御値予測モデル学習部120、結果予測モデル学習部130、制御値予測モデル選択部140、制御値予測モデル計算部150、結果予測モデル計算部160、精度評価処理部170、及び表示処理部180を備える。また、表示装置220は、運転員(ユーザ)が視認可能な表示想定であって、例えば運転管理支援装置100に接続されたディスプレイ等である。
実績DB110は、制御値予測モデル及び結果予測モデルの学習に用いる実績計測データを格納する。実績計測データは、センサなどから得られた過去の計測データである。制御値予測モデル学習部120は、実績DB110に格納されている実績計測データを用いて1または複数の制御値予測モデルを学習する機能を有する。制御値予測モデルは、運転員(より好適には熟練した運転員)の知見が反映された説明性のあるモデルである。結果予測モデル学習部130は、実績DB110に格納されている実績計測データを用いて結果予測モデルを学習する機能を有する。制御値予測モデル選択部140は、制御値予測モデル学習部120による制御値予測モデルの学習の結果に基づいて、予測制御値の精度の高いモデル(例えば、最も精度が高いモデル)を選択する機能を有する。制御値予測モデル計算部150は、制御値予測モデル学習部120が学習した1または複数の制御値予測モデルに計測データを入力し、それぞれの予測制御値を算出する機能を有する。結果予測モデル計算部160は、制御値予測モデル計算部150によって算出された1または複数の予測制御値を、結果予測モデル学習部130が学習した結果予測モデルに入力し、予測制御結果を算出する機能を有する。精度評価処理部170は、結果予測モデル計算部160によって算出された1または複数の予測制御結果とプラント210で計測された制御結果の計測値とに基づいて、制御値予測モデルの精度を評価する機能を有する。表示処理部180は、制御値予測モデル選択部140によって選択された制御値予測モデルの情報、制御値予測モデル計算部150によって算出された予測制御値、及び、精度評価処理部170による精度評価等を示す処理結果画面を表示装置220に表示する機能を有する。なお、表示処理部180は、処理結果情報を出力する出力処理部の一例であり、出力処理部の出力形態は表示に限定されず、データ出力や印刷等であってもよい。
上記した運転管理支援装置100の各構成については、後述する(1-3)以降で詳しく説明する。
運転管理支援装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置、及びネットワークインタフェースを有するコンピュータである。本コンピュータにおいて、実績DB110は例えば補助記憶装置で実現され、制御値予測モデル学習部120、結果予測モデル学習部130、制御値予測モデル選択部140、制御値予測モデル計算部150、結果予測モデル計算部160、精度評価処理部170、及び表示処理部180の各機能を実現するソフトウェア(プログラム)はメモリまたは補助記憶装置に格納される。また、図1において、運転管理支援装置100とプラント210及び表示装置220との間の通信手段は特に限定されない。具体的には例えば、無線LAN(Local Area Network)または有線LANであり、その他の通信手段であってもよい。
(1-2)プラント210
以下では、運転管理支援装置100が支援可能な対象のプラント210として、浄水場を一例にとって説明する。但し、運転管理支援装置100はその他のプラントにも適用可能である。
浄水場は、河川水、ダム水、及び地下水を浄水処理し、処理水を工場や一般家庭などへ送水する施設であって、複数の施設から構成される。複数の施設は、具体的には例えば、着水井、急速混和池、フロック形成池、沈殿池、ろ過池、消毒池、及び配水池などであり、これらの各施設で処理が行われることにより、被処理水から濁りが除去され、殺菌される。
具体的には、着水井では、濁りを除去するプロセスとして凝集沈殿処理が行われる。一般的な浄水場における凝集沈殿処理では、施設に流入してきた被処理水に例えばポリ塩化アルミニウムや硫酸バンドなどの凝集剤と呼ばれる薬剤を注入する。薬剤を注入する目的の一つは、水中で懸濁している不溶解性物質(以下、濁質と称する)を除去することである。濁質は水中でマイナスに荷電しているが、薬剤を添加することで電気的中和が可能となる。また、薬剤を注入する別の目的は、薬剤同士の架橋作用により、中和した濁質同士が衝突したとき、凝集しやすくすることである。
次に、急速混和池では被処理水に薬剤が注入され、急速撹拌により濁質同士を衝突させることで凝集核を形成する。次に、フロック形成池ではフロックを破壊しない強度で緩速撹拌することで、フロックを成長させる。そして沈殿池では、成長したフロックを沈澱及び除去する。
フロックの凝集メカニズムの因子としていくつか例を挙げる。薬剤の注入量が増加すると架橋作用が強くなるため、フロックの成長が早くなり、凝集状態は良好(処理水濁度の低下)となる。ただし、薬剤の注入量が過剰になると濁質がプラスに荷電してしまい、凝集状態は不良(処理水濁度の増加)になる可能性がある。水中の濁りの量(被処理水濁度)は増加するほど、濁質(あるいは凝集核、フロック)の衝突頻度を増やすことができるため、フロックの成長が早くなる。以上のようにフロックの成長は、薬剤の注入量などのプラントの操作条件と水質条件とにより影響を受ける。
なお、フロックの凝集メカニズムはすべての浄水場で共通であるが、施設構成や規模は浄水場ごとに異なる。例えば、沈殿池などの容量や傾斜版の有無などの違いがある。処理水量と沈殿池の容量に応じて、沈殿池内の被処理水の滞留時間が決まるが、滞留時間が長いほど小さいフロックも沈殿しやすく、フロックは被処理水から除去される。また、傾斜板がある場合は、処理水量及び沈殿池の容量が同じであっても、傾斜板がない場合よりも多くのフロックが被処理水から除去される。
また、急速混和池では撹拌装置などを用いて凝集剤が混和されるが、急速混和池の形状などに応じて混和の均一性が変化し、その後のフロックの成長具合に影響する。また、被処理水の取水元が異なるため、水質も浄水場ごとに異なる。
以上のことから、浄水場を対象のプラント210とするとき、薬剤の注入量(制御値)や処理水の濁度(制御結果)の予測モデルは、浄水場(プラント210)ごとに最適な式の形や係数が存在する。また、1つの浄水場であっても、水需要の変化や施設の老朽化などの長期的な変化、もしくは浄水場内の施設の工事などの短期的な変化によっては、使用している予測モデルが最適であるとは限らない。ここで運転員に熟練者がいれば、浄水場内の状況の変化に対して、これまでの知見で対応することができるが、経験の少ない運転員が施設(プラント210)を管理する場合は、適切な対応が困難となる。したがって、1つの予測モデルだけでは、プラント210の維持管理業務に対応できないケースが想定される。
以下では、本実施形態に係る運転管理支援装置100の各構成について詳しく説明する。
(1-3)実績DB110
実績DB110は、制御値予測モデルや結果予測モデルの学習に用いる実績計測データを格納する。実績計測データは、具体的には、プラント210に設置された水処理に係わる水質項目(水質、水量、または操作量の少なくとも何れかを含む)を計測する不図示のセンサ群及び機器の操作パラメータ等である。浄水場のプラント210に設置されるセンサとしては、水の濁りを計測する濁度計、水温を計測する水温計、pHを計測するpH計、アルカリ度を計測するアルカリ度計、及び、水中の有機物を計測するTOC計や紫外線吸光度計などがある。また、水質ではないが処理量を計測する水量計なども上記センサに該当する。本実施形態において水質項目を計測する手段には、少なくとも濁度計(被処理水、処理水用)が含まれ、その他に、水処理に影響する水質項目を計測できるセンサを備えてもよく、さらには、上記したセンサ以外でも、凝集、沈殿処理に関わるセンサなら特に限定されることはない。なお、実績計測データは、時系列情報として実績DB110に格納される。
(1-4)制御値予測モデル学習部120
制御値予測モデル学習部120は、実績DB110に格納されている実績計測データを用いて、1または複数の制御値予測モデルを学習する「制御値予測モデル学習処理」を実行する。
本実施形態に係る運転管理支援装置100で必要な制御値予測モデルの数は、最小では浄水場の稼働当初から与えられる1つである。その場合、与えられたモデルが適切なモデルではなくなったときに、他のモデルが追加される。
制御値予測モデルは、運転員の知見を反映した経験式、統計的モデル、または物理モデル等であって、運転員が内容を認識できる(説明性を有する)モデルであればどのようなモデルでもよい。
例えば、一般的な浄水場で使用される制御値予測モデルとして、以下の式1に示す制御値予測モデルM1が挙げられる。
Figure 2024018002000002
ここで、m1、m2、及びm3は係数であり、CR1は式1から得られた処理水量あたりの凝集剤の注入量を示す凝集剤注入率であり、Tu0は被処理水の濁度である。
式1では、被処理水濁度Tu0が増加するほど、凝集剤注入率CR1が増えるが、係数m2は0~1の値をとるため線形にはならない。なぜなら、上述したように被処理水濁度が増加するほど濁質(あるいは凝集核、フロック)の衝突頻度が増え、凝集剤の架橋効果が小さくてもフロックが成長するためである。
また例えば、被処理水濁度以外の水温やアルカリ度などの水質を考慮した制御値予測モデルとして、以下の式2に示す制御値予測モデルM2が挙げられる。
Figure 2024018002000003
ここで、n1、n2、n3、及びn4は係数であり、ALは被処理水のアルカリ度であり、CR2は式2から得られた処理水量あたりの凝集剤の注入量を示す凝集剤注入率であり、Tは水温である。
式1で説明したのと同様に、式2において被処理水濁度Tu0は凝集剤注入率CR2と正の相関を有する。一方、水温Tやアルカリ度ALは凝集剤注入率CR2と負の相関を有する。なぜなら、水温は、凝集剤がアルカリ分と反応してプラスの電荷を帯びた水酸化アルミニウムに変化する反応速度に影響しており、水温が低下すると凝集作用に負の影響を与えるためである。また、アルカリ度も、不足もしくは過剰になると、凝集作用に負の影響を与える。最低限確保すべきアルカリ度(10mg-CaCO3/L)が確保されている場合、アルカリ度の過剰による負の相関がみられると考える。なお、本説明では考慮していないが、pHも凝集作用に影響を与えることが知られている。凝集剤にはpHの有効範囲が存在し、例えば、凝集剤の一例である硫酸バンドの場合、pHの有効範囲は5.8~7.8である。pHが有効範囲から外れた場合は、凝集作用に負の影響を与える。
以下では好適な実施例として、2つの制御値予測モデル(例えば式1のM1及び式2のM2)が存在する場合を例に説明を行う。制御値予測モデルの式の形状は、説明性を有し、かつ凝集剤注入率を予測可能な式であれば、上記の式1,式2に限定されるものではない。また、3つ以上の制御値予測モデルが存在する場合にも、運転管理支援装置100は適用可能である。
(1-4-1)制御値予測モデル学習処理
図2は、制御値予測モデル学習処理の処理手順例を示すフローチャートである。制御値予測モデル学習処理は、制御値予測モデル学習部120によって実行される。
図2によればまず、制御値予測モデル学習部120は、不図示の記録媒体に格納されている制御値予測モデルを1つ呼び出す(ステップS101)。
次に、制御値予測モデル学習部120は、ステップS101で呼び出した制御値予測モデルで使用する実績計測データを実績DB110から取得する(ステップS102)。具体的には例えば、ステップS101で式1の制御値予測モデルM1が呼び出された場合は、被処理水濁度Tu0及び凝集剤注入率CR1が実績計測データとして取得され、ステップS101で式2の制御値予測モデルM2が呼び出された場合は、被処理水濁度Tu0、被処理水のアルカリ度AL、水温T、及び凝集剤注入率CR2が実績計測データとして取得される。ステップS102で取得するデータの期間は、特に限定されず、例えば実績DB110に格納されている全ての期間としてもよいし、予め設定した所定期間としてもよい。
次に、制御値予測モデル学習部120は、ステップS102で取得した実績計測データを用いて、ステップS101で呼び出した制御値予測モデルを学習し、係数を取得する(ステップS103)。制御値予測モデルの学習の仕方は、制御値予測モデルによって異なり、予め設定される。
例えば、式1に示した制御値予測モデルM1の場合、係数m3は、維持管理を行う浄水場で被処理水濁度が低濁度であるときの凝集剤注入率の値(浄水場における凝集剤注入率の下限値)であり、予め不図示の記録媒体に格納した設定値が取得される。そして式1は、以下の式3に変形することができる。
Figure 2024018002000004
制御値予測モデル学習部120は、式3においてLog(Tu0)とLog(CR1-m3)を線形回帰することで、傾きm2と切片Log(m1)を算出することができる。
また例えば、式2に示した制御値予測モデルM2の場合、目的変数を凝集剤注入率CR2、説明変数を被処理水濁度Tu0、被処理水のアルカリ度AL、及び水温Tとして、重回帰することで、各説明変数の傾きn1,n2,n3と切片n4とを算出することができる。
なお、制御値予測モデル学習部120は、上述した線形回帰または重回帰において、実績計測データをそのまま用いるのではなく、各説明変数の最大値及び最小値を用いて正規化した値を用いるようにしてもよく、これらの前処理の方法は特に限定されない。また、正規化や標準化を行う場合には、プラント210の計測データ(現時刻の情報)を入力してそれぞれの予測制御値を算出するときも、同様の前処理を行う必要がある。
次に、制御値予測モデル学習部120は、ステップS103の学習で算出された係数を不図示の記録媒体に格納する(ステップS104)。
そして、制御値予測モデル学習部120は、未学習の制御値予測モデルの有無を判定する(ステップS105)。未学習の制御値予測モデルがある場合(ステップS105のYES)、制御値予測モデル学習部120は、当該制御値予測モデルについてステップS101~S104の処理を繰り返す。全ての制御値予測モデルが学習済みとなった場合は(ステップS105のNO)、制御値予測モデル学習部120は、制御値予測モデル学習処理を終了する。
(1-5)結果予測モデル学習部130
結果予測モデル学習部130は、実績DB110に格納されている実績計測データを用いて結果予測モデルを学習する。本実施形態において、結果予測モデルは、運転員の知見は反映されないが、実績範囲内で制御結果を高精度で予測できる機械学習(人工ニューラルネットワークまたはクラスタリング等)を用いて作成するものとしている。但し、制御結果を高精度で予測できるのであれば、結果予測モデルは、機械学習以外の手法である統計的モデルまたは物理モデル等としてもよい。以下では、一例として、人工ニューラルネットワークで結果予測モデルを学習する場合を説明する。
人工ニューラルネットワークは、「入力を線形変換する処理単位」がネットワーク上に結合した数理モデルであり、結果予測モデル学習部130は、実績計測データに基づいて処理水濁度の回帰予測を行う。このとき、入力される実績計測データは、目的変数を処理水濁度としたときに当該処理水濁度と関連する説明変数であり、具体的には、被処理水濁度、被処理水のアルカリ度、pH、水温、及び凝集剤注入率などである。なお、説明変数は処理水濁度を予測できればよく、上記例に限定されるものではない。
一般的には、人工ニューラルネットワークは、説明変数をネットワークに送る入力層、入力層から説明変数を受け取って計算を実行する中間層、及び、計算結果をネットワークから出力する出力層からなる。中間層が3層以上ある人工ニューラルネットワークがディープラーニングであり、中間層はすべての説明変数を使用して計算する全結合層と過学習を防止するために全結合層と次の層の接続に一部をランダムに切断するドロップアウト層からなる。
本実施形態では、結果予測モデル学習部130は、まず実績計測データを用いて人工ニューラルネットワークの最後の全結合層から処理水濁度の推論値を出力する。次に、結果予測モデル学習部130は、推論値と正解データ(処理水濁度の実績計測データ)の誤差により、最後の全結合層から最初の全結合層まで順に結合重みの係数を更新する(誤差逆伝搬)。そして結果予測モデル学習部130は、再び処理水濁度の推論値を出力し、誤差が十分に小さくなるまで繰り返すことで結果予測モデルを学習する。
(1-6)制御値予測モデル選択部140
制御値予測モデル選択部140は、制御値予測モデル学習部120による1以上(本例では2つ)の制御値予測モデルの学習の結果から、予測制御値の精度が高い制御値予測モデルを選択する。制御値予測モデル選択部140は、選択した制御値予測モデルを、プラント210の運転において所定の制御の制御値(具体的には例えば、凝集剤注入ポンプの運転の制御値)を予測するために用いる制御値予測モデルとして適用させてもよい。
ここで、予測制御値の精度とは、学習済みの制御値予測モデルに再度説明変数を入力することで出力される予測制御値と、凝集剤注入率の実績計測データとの平均絶対誤差(МAE:Mean Absolute Error)である。ここで利用される凝集剤注入率の実績計測データには、モデル学習以降の実績計測データが含まれることが好ましい。このモデル学習以降の実績計測データが実績DB110に蓄積されている場合は、平均絶対誤差の算出時に、追加の実績計測データを実績DB110から取得すればよく、実績DB110に蓄積されていない場合は、平均絶対誤差の算出時に、プラント210から取得すればよい。
制御値予測モデル選択部140は、上述した制御値予測モデルM1,M2からそれぞれ算出される平均絶対誤差を比較し、平均絶対誤差が小さい制御値予測モデルを予測制御値の精度が高い制御値予測モデルとして選択する。平均絶対誤差(MAE)は、例えば以下の式4で計算される。
Figure 2024018002000005
ここで、Nは学習に用いたデータ数であり、PCRは制御値予測モデルより算出された凝集剤注入率の予測制御値である。平均絶対誤差の算出は、式4に限定されるものではなく、他にも例えば、学習に用いた実績計測データの凝集剤注入率の最大値及び最小値を用いて正規化した値を用いるようにしてもよい。また、精度の指標には、平均絶対誤差率(MAER:Mean Absolute Error Rate)等を用いてもよく、予測制御値の精度の指標となるものであれば特に限定されない。以下では、制御値予測モデル選択部140が「予測制御値の精度が高い制御値予測モデル」として制御値予測モデルM2を選択したとして、説明を続ける。
(1-7)制御値予測モデル計算部150
制御値予測モデル計算部150は、制御値予測モデル学習部120が学習した1または複数の制御値予測モデル(本例では制御値予測モデルM1,M2)に、プラント210の計測データ(現時刻の情報)を入力し、それぞれの予測制御値を算出する。
さらに、制御値予測モデル計算部150は、制御値予測モデル選択部140によって精度の高い制御値予測モデルとして選択された制御値予測モデル(本例では制御値予測モデルM2)から算出した予測制御値を、プラント210の監視制御システムに送信する。そしてプラント210の監視制御システムは、受信した予測制御値を用いて、プラント210の凝集剤注入ポンプの運転を制御する。なお、プラント210の監視制御システムは、受信した予測制御値をそのまま運用するのではなく、運転員による確認を経てから運用するようにしてもよい。
(1-8)結果予測モデル計算部160
結果予測モデル計算部160は、制御値予測モデル計算部150によって算出された予測制御値(本例では2つの凝集剤注入率CR1,CR2の予測制御値)と、被処理水濁度、被処理水のアルカリ度、pH、及び水温などの説明変数を、結果予測モデル学習部130が学習した結果予測モデルに入力し、それぞれの処理水濁度の予測制御結果を算出する。
(1-9)精度評価処理部170
精度評価処理部170は、結果予測モデル計算部160によって算出された予測制御結果(本例では2つの処理水濁度の予測制御値)と、プラント210で計測された処理水濁度の制御目標値とに基づいて、制御値予測モデルの現時刻の精度を評価する「制御値予測モデル精度評価処理」を実行する。なお、ここでいう精度とは、処理水濁度の予測制御結果と制御目標値との絶対誤差あるいは絶対誤差率等であり、制御目標値はプラント210(浄水場)ごとに予め設定され、不図示の記録媒体に格納されているとする。
(1-9-1)制御値予測モデル精度評価処理
図3は、制御値予測モデル精度評価処理の処理手順例を示すフローチャートである。制御値予測モデル精度評価処理は、精度評価処理部170によって実行される。
図3によればまず、精度評価処理部170は、不図示の記録媒体に格納されている結果予測モデルを呼び出す(ステップS201)。
次に、精度評価処理部170は、プラント210で計測された、結果予測モデルで使用する計測データを取得する(ステップS202)。取得する計測データは、具体的には例えば、被処理水濁度、被処理水のアルカリ度、pH、及び水温である。
次に、精度評価処理部170は、制御値予測モデル計算部150から予測制御値を取得する(ステップS203)。ステップS203において精度評価処理部170は、制御値予測モデル(M1,M2)ごとに予測制御値を取得する。本例では、まず、制御値予測モデルM1の予測制御値(第1の予測制御値)を取得したとする。
次に、精度評価処理部170は、ステップS202で取得した計測データとステップS203で取得した予測制御値(第1の予測制御値)とを、ステップS201で呼び出した結果予測モデルに入力し、予測制御結果(第1の予測制御結果)を算出する(ステップS204)。
次に、精度評価処理部170は、記録媒体に格納されている制御目標値と、ステップS204で算出した予測制御結果(第1の予測制御結果)との絶対誤差(第1の絶対誤差)を算出する(ステップS205)。
次に、精度評価処理部170は、ステップS205で算出した絶対誤差(第1の絶対誤差)と予め設定された閾値(第1の閾値)とを比較し、絶対誤差が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS206)。
ステップS206において絶対誤差が閾値よりも大きい場合(ステップS206のYES)、予測制御結果が制御目標値から乖離していることから、この予測制御結果の算出において入力された予測制御値を算出した制御値予測モデル(すなわち、評価中の制御値予測モデルM1)の学習が不十分であることが考えられる。この場合、精度評価処理部170は、評価中の制御値予測モデル(制御値予測モデルM1)の再学習の推奨を表示装置220において提示するよう、表示処理部180に指示する(ステップS207)。ステップS207の処理後はステップS208に進む。
一方、ステップS206において絶対誤差が閾値以下である場合には(ステップS206のNO)、予測制御結果が制御目標値に十分近いことから、この予測制御結果の算出において入力された予測制御値を算出した制御値予測モデルの学習は十分であると考えられる。この場合、評価中の制御値予測モデル(制御値予測モデルM1)の再学習は必要ないので、精度評価処理部170は、ステップS207をスキップしてステップS208に進む。
ステップS208では、精度評価処理部170は、ステップS203において予測制御値を取得していない制御値予測モデルが存在するか否かを判定する。本例では、制御予測モデルM1の予測制御値(第1の予測制御値)は取得済みであるが、制御予測モデルM2の予測制御値(第2の予測制御値)は未取得である。この場合、精度評価処理部170は、未取得の制御値予測モデルが存在すると判定し(ステップS208のYES)、ステップS201に戻って処理を繰り返し、繰り返し後のステップS203において、第2の予測制御値を取得する。そして、すべての制御予測モデルの予測制御値が取得された場合は、未取得の制御値予測モデルが存在しないと判定し(ステップS208のNO)、ステップS209に進む。
ステップS209では、精度評価処理部170は、現在選択している制御値予測モデル(制御値予測モデル選択部140によって選択された精度の高い制御値予測モデル)についてステップS205で算出した予測制御値と制御目標値との絶対誤差を、他の制御値予測モデルについてステップS205で算出した予測制御値と制御目標値との絶対誤差と比較する。本例の場合、「現在選択している制御値予測モデル」は制御値予測モデルM2であり、「他の制御値予測モデル」は制御値予測モデルM1である。
したがって、ステップS209において精度評価処理部170は、制御値予測モデルM2における予測制御値(第2の予測制御値)と制御目標値との絶対誤差(第2の絶対誤差)を、制御値予測モデルM1における第1の絶対誤差と比較する。
そしてステップS209の比較の結果、他の制御値予測モデルにおける絶対誤差(第1の絶対誤差)が現在選択している制御値予測モデルにおける絶対誤差(第2の絶対誤差)よりも小さい場合(ステップS209のYES)、精度評価処理部170は、他の制御値予測モデル(制御値予測モデルM1)の方が現在選択している制御値予測モデル(制御値予測モデルM2)よりも精度が高いと判断する。したがってこの場合、精度評価処理部170は、現在選択している制御値予測モデルから上記他の制御値予測モデルへの変更の推奨を表示装置220において提示するよう、表示処理部180に指示する(ステップS210)。ステップS210の処理後は制御値予測モデル精度評価処理を終了する。
一方、ステップS209の比較の結果、他の制御値予測モデルにおける絶対誤差(第1の絶対誤差)が現在選択している制御値予測モデルにおける絶対誤差(第2の絶対誤差)よりも小さくない場合、言い換えれば、現在選択している制御値予測モデルにおける絶対誤差(第2の絶対誤差)が他の制御値予測モデルにおける絶対誤差(第1の絶対誤差)以下である場合(ステップS209のNO)、精度評価処理部170は、現在選択している制御値予測モデル(制御値予測モデルM2)よりも他の制御値予測モデル(制御値予測モデルM1)の精度のほうが高いことはないと判断する。したがってこの場合、精度評価処理部170は、現在選択している制御値予測モデルの現状維持を表示装置220において提示するよう、表示処理部180に指示する(ステップS211)。ステップS211の処理後は制御値予測モデル精度評価処理を終了する。
以上のようにして、精度評価処理部170は、制御値予測モデルの現時刻の精度を評価することができる。なお、図3の処理手順例では、ステップS205で算出する絶対誤差を、評価の指標としたが、本実施形態における評価の指標はこれに限定されるものではない。例えば、図2のように現時刻の1点だけを考慮するのでなく、ある一定期間の範囲で、処理水濁度の予測制御結果と制御目標値との平均絶対誤差または平均絶対誤差率を算出し、これを指標として比較評価するようにしてもよい。
(1-9-2)結果予測モデル精度評価処理
精度評価処理部170は、図3を参照して説明した制御値予測モデル精度評価処理に加えて、結果予測モデルの精度を評価する「結果予測モデル精度評価処理」も実行する。精度評価処理部170は、図3に示した制御値予測モデル精度評価処理のステップS204において予測制御結果を算出した後に、結果予測モデル精度評価処理を実行する。制御値予測モデル精度評価処理と結果予測モデル精度評価処理は、別々に実行されてもよい。
図4は、結果予測モデル精度評価処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図4によればまず、精度評価処理部170は、図3のステップS204で算出した予測制御結果が、現在プラント210に使用している制御値予測モデル(現在選択している制御値予測モデル)の予測制御結果であるか否かを判定する(ステップS301)。本例では、精度評価処理部170は図3のステップS204において、プラント210の計測データと制御値予測モデルM2の予測制御値(第2の予測制御値)とを結果予測モデルに入力して、制御値予測モデルM2の予測制御結果(第2の予測制御結果)を算出したとする。この場合、第2の予測制御結果の算出に用いられた制御値予測モデルM2は、現在プラント210に使用している制御値予測モデルであり(ステップS301のYES)、ステップS302に進んで結果予測モデルの精度評価を開始する。一方、図3のステップS204で算出した予測制御結果が、現在プラント210に使用している制御値予測モデルの予測制御結果ではない場合(ステップS301のNO)、図13のステップS201に戻り、他の予測制御結果が算出された場合に再びステップS301の処理を行う。
ステップS302では、精度評価処理部170は、プラント210の処理水濁度の計測データと、図3のステップS204で算出した予測制御結果(本例では第2の予測制御結果)との絶対誤差(本例の場合、第3の絶対誤差と称する)を算出する。
次に、精度評価処理部170は、ステップS302で算出した絶対誤差(第3の絶対誤差)と予め設定された閾値(第2の閾値)とを比較し、絶対誤差が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS303)。
ステップS303において絶対誤差が閾値よりも大きい場合(ステップS303のYES)、現在選択している制御値予測モデルM2の予測制御値を用いて結果予測モデルが算出した予測制御結果が実際の計測データから乖離していることから、この予測制御結果を算出した結果予測モデル(すなわち、図3のステップS201で呼び出した結果予測モデル)の学習が不十分であることが考えられる。この場合、精度評価処理部170は、結果予測モデルの再学習の推奨を表示装置220において提示するよう、表示処理部180に指示する(ステップS304)。表示装置220に結果予測モデルの再学習推奨が表示装置220に提示されると、運転員が所定の操作を行って、結果予測モデル学習部130に結果予測モデルの再学習を実行させる。なお、運転管理支援装置100がプログラム処理によって自動で、結果予測モデルの再学習を指示してもよい。ステップS304の処理後、精度評価処理部170は、結果予測モデル精度評価処理を終了する。
一方、ステップS303において絶対誤差が閾値以下である場合には(ステップS303のNO)、現在選択している制御値予測モデルM2の予測制御値を用いて結果予測モデルが算出した予測制御結果が実際の計測データに十分近いことから、この予測制御結果を算出した結果予測モデルの学習は十分であると考えられる。この場合、精度評価処理部170は、結果予測モデルの現状維持を表示装置220において提示するよう、表示処理部180に指示し(ステップS305)、結果予測モデル精度評価処理を終了する。
(1-10)表示処理部180
表示処理部180は、運転管理支援装置100の各処理部による処理結果(例えば、算出された予測制御値や精度評価など)を示す処理結果画面190を生成し、これを表示装置220に表示出力する。
図5は、処理結果画面190の一例を示す図である。
図5に示した処理結果画面190において、領域191では、精度評価処理部170で判定された運転員への提示内容が、最新の時刻から順に表示される。例えば図5の領域191には、図3のステップS210の処理に対応して、制御値予測モデルM2から制御値予測モデルM1への変更を推奨する旨の提示がなされている。
領域192では、凝集剤注入率の予測制御値のトレンドグラフと、処理水濁度の予測制御結果のトレンドグラフとが表示される。領域192には、使用しているすべての制御値予測モデルのデータを表示してもよいし、任意の制御値予測モデルを選択し(ユーザ選択でもよいし、自動選択でもよい)表示してもよい。但し、少なくとも、プラント210から取得した計測データと現在選択されているメインの制御値予測モデル(例えば制御値予測モデルM2)は、表示することが好ましい。また、トレンドの時間幅は任意に選択または設定可能とする。
領域193では、領域192においてトレンドを表示している項目が、一覧で表示される。例えば図5の領域193によれば、計測データ、制御値予測モデルM1、及び制御値予測モデルM2が、領域192にトレンドグラフで表示されていることが分かる。
領域194では、精度評価処理部170による精度評価で用いられた、予め設定された設定値(例えば、制御目標値、第1の閾値、及び第2の閾値)が表示される。なお、処理結果画面190は、運転員が領域194を操作することにより、上記設定値を別の値に変更できるように構成されてもよい。
また、領域194では、制御値予測モデル及び結果予測モデルの状態も表示される。具体値を用いて説明すると、図5の場合、領域192のトレンドグラフを参照すると、現時刻(領域191によれば「00:55」)において、制御値予測モデルM1による予測制御結果(第1の予測制御結果)が「1.18度」、制御値予測モデルM2による予測制御結果(第2の予測制御結果)が「1.29度」、計測データが「1.22度」である。そして領域194に示したように制御目標値が「1.0度」に設定されていることから、第1の絶対誤差は「0.18度」、第2の絶対誤差は「0.29度」となる。すなわち、制御値予測モデルM1の方が、現在選択されているメインの制御値予測モデルM2よりも絶対誤差が小さくなるため、領域191に「制御値予測モデルM2から制御値予測モデルM1への変更推奨」が提示される。なお、それぞれの絶対誤差は第1の閾値の「0.3度」以内であるから、制御値予測モデルの再学習推奨の対象にはならない。また、プラント210に使用している制御値予測モデルM2の予測制御結果(第2の予測制御結果)と計測データとの絶対誤差(第3の絶対誤差)は「0.07度」であり、第2の閾値の「0.2度」以内であるから、結果予測モデルの再学習推奨の対象にもならない。以上を踏まえて、領域194には、制御値予測モデルは「変更」が推奨される状態であり、結果予測モデルは「現状維持」でよい状態であることが表示される。なお、領域194における制御値予測モデル及び結果予測モデルの状態表示の方法は、運転員にそれぞれの状態を通知し得る形態であればよく、図5のように「変更」や「現状維持」といった表示に限定されるものではない。例えば、上記具体例を用いた説明で算出した絶対誤差または誤差などを表示するようにしてもよい。
以上に説明したように、第1の実施形態に係る運転管理支援装置100によれば、施設(プラント210)を運転するために必要な所定の制御について、運転員の知見が反映された説明性のある制御値予測モデルを使用して、制御値予測モデル計算部150が予測制御値を算出し、機械学習によって実績範囲内では高精度な制御結果を予測可能な結果予測モデルに上記予測制御値を入力して、結果予測モデル計算部160が予測制御結果を算出し、上記予測制御値と制御目標値との差分に基づいて、精度評価処理部170が制御値予測モデルを評価することにより、信頼度の高い予測制御値を算出可能な精度の高い制御値予測モデルを運転員が容易に選択できるよう支援することができる。この結果、経験の少ない施設の管理における運転員の意思決定に対して、運転員が熟練者でなくても、意思決定の迅速化及び精度向上を支援することができる。
より具体的には、上記制御値がプラント210に注入する薬品の使用量(例えば凝集剤注入率)であるとすれば、運転管理支援装置100が適切な凝集剤注入率の予測制御値を高精度で算出可能な制御値予測モデルを運転員に提示できることにより、薬品の使用量が不足または過剰となることを早期に判断して防止し、薬品の使用量の最適化を支援することができる。さらに、薬品の使用量が最適化できれば、薬品の補充及び運案の頻度が下がるため、薬品の製造時及び運搬時に排出される二酸化炭素ガスの排出量を低減する効果にも期待できる。
また、第1の実施形態に係る運転管理支援装置100によれば、結果予測モデル計算部160算出した予測制御結果と施設における実際の計測データとの差分に基づいて、精度評価処理部170が結果予測モデルを評価することにより、現在選択されている結果予測モデルの精度が十分であるかを判定し、精度が不足している場合には結果予測モデル学習部130による結果予測モデルの再学習を促すことができるため、予測制御結果を算出する結果予測モデルの精度を高く維持することができる。
かくして、本実施形態に係る運転管理支援装置100によれば、実績範囲内では高精度の結果を予測可能なデジタルツインを構築し、制御値の予測に運転員の知見が反映されて説明性があるモデル使用することで、少人数の運転員でも複数のプラントを効率的に維持管理することを支援できる。
(2)第2の実施形態
図6は、本発明の第2の実施形態に係る運転管理支援装置300の構成例を示すブロック図である。図6に示す運転管理支援装置300は、図1に示した第1の実施形態に係る運転管理支援装置100に実績データ分類部310が追加された構成を備え、運転管理支援装置100と共通する構成及びその処理については、説明を省略する。
実績データ分類部310は、実績DB110に格納されている実績計測データ(被処理水濁度、被処理水のアルカリ度、水温、及びpHなど)間の類似度に基づいて、所定のデータをグループに分類する。グループ分けの手法は、例えばk-means法を用いた機械学習であるが、その他の機械学習や統計的処理等でもよく、特に限定されない。
図7は、実績計測データのグループ分類の一例を示す図である。図7の分類グラフ320には、実績DB110に格納された複数の実績計測データが被処理水濁度及び水温に基づいてグループに分類された結果の一例がグラフ表示されている。分類グラフ320において、横軸は被処理水濁度であり、縦軸は水温である。
図7の分類グラフ320の場合は、被処理水濁度及び水温がどちらも低いグループ1、被処理水濁度が高く水温が低いグループ2、被処理水濁度が低く水温が高いグループ3、被処理水濁度及び水温がどちらも高いグループ4の4つのグループに実績計測データが分類されている。
また、実績データ分類部310は、上記と同様のグループ分類によって、制御値予測モデルから算出された予測制御値もグループに分類することができる。そして第2の実施形態では、実績データ分類部310によって分類されるグループごとに、制御値予測モデル選択部140が予測制御値の精度が高い制御値予測モデルを選択するグループ別制御予測モデル選択処理を実行する。
図8は、グループ別制御予測モデル選択処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図8によればまず、制御値予測モデル選択部140は、不図示の記録媒体に格納されている制御値予測モデルを1つ呼び出す(ステップS401)。本例では、2つの制御値予測モデルM1,M2が格納されており、最初に制御値予測モデルM1を呼び出すとして以下の説明を行うが、記録媒体に格納されている制御値予測モデルの数は3以上であってもよいし、呼び出す制御値予測モデルの順番は任意であってよい。
次に、制御値予測モデル選択部140は、ステップS401で呼び出した制御値予測モデルで使用する実績計測データを実績DB110から取得する(ステップS402)。ステップS402の処理は、図2のステップS102で説明した制御値予測モデル学習部120の処理と同様である。
次に、制御値予測モデル選択部140は、ステップS401で呼び出した制御値予測モデル(制御値予測モデルM1)について、不図示の記録媒体に格納されている当該制御値予測モデルの係数を取得する(ステップS403)。ステップS403で取得される係数は、図2のステップS104で不図示の記録媒体に格納された係数である。
次に、制御値予測モデル選択部140は、ステップS401で呼び出した制御値予測モデル(制御値予測モデルM1)に、ステップS402で取得した実績計測データ及びステップS403で取得した係数を入力して、予測制御値(第1の予測制御値)を算出する(ステップS404)。第1の実施形態と同様に、プラント210が浄水場であるとした場合、ステップS404で算出される予測制御値は、例えば凝集剤注入率の予測制御値である。
次に、制御値予測モデル選択部140は、実績データ分類部310によるグループ分類に従って、ステップS404で算出した予測制御値(第1の予測制御値)を分類する(ステップS405)。
次に、制御値予測モデル選択部140は、実績データ分類部310によるグループごとに、ステップS404で算出した予測制御値とステップS402で取得した実績計測データとの平均絶対誤差(MAE)を算出する(ステップS406)。ここで、平均絶対誤差の算出式は、例えば上述した式4を用いればよいが、第1の実施形態における説明と同様に、学習に用いた実績計測データの凝集剤注入率の最大値及び最小値を用いて正規化した値を用いる等としてもよい。また、予測制御値の精度の指標となるものであれば、平均絶対誤差ではなく平均絶対誤差率(MAER)等を用いてもよい。
次に、制御値予測モデル選択部140は、上記ステップS401~S406の処理を未処理の制御値予測モデルが残っているか否かを判定する(ステップS407)。未処理の制御値予測モデルが有る場合は(ステップS407のYES)、ステップS401に戻り、未処理の制御値予測モデル(例えば、制御値予測モデルM2)に対してステップS401~S406の処理を実行する。未処理の制御値予測モデルがない場合は(ステップS407のNO)、ステップS408に進む。
ステップS408では、制御値予測モデル選択部140は、グループごとに(例えば、図7のようなグループ分類が行われる場合、グループ1~4のそれぞれで)、各制御値予測モデル(制御値予測モデルM1,M2)から算出した平均絶対誤差を比較する。
そして、制御値予測モデル選択部140は、グループごとに、ステップS408の比較において平均絶対誤差が最も小さい制御値予測モデルを、予測制御値の精度が高い制御値モデルとして選択し(ステップS409)、グループ別制御予測モデル選択処理を終了する。本例では、ステップS409において、グループ1,3では制御値予測モデルM2を選択し、グループ2,4では制御値予測モデルM1を選択したものとする。
第2の実施形態において制御値予測モデル計算部150は、第1の実施形態と同様に、制御値予測モデル学習部120が学習した複数の制御値予測モデル(例えば制御値予測モデルM1,M2)に、プラント210の計測データ(現時刻の情報)を入力し、それぞれの予測制御値を算出する。
さらに、第2の実施形態に固有の処理として、制御値予測モデル計算部150は、上記の計測データから、現在の計測データが所属するグループを特定する。現合の計測データのグループ特定は、実績データ分類部310が実行してもよい。
そして、制御値予測モデル計算部150は、特定した現在のグループに応じて、図8のステップS409でグループごとに選択された制御値モデルの予測制御値を、プラント210の監視制御システムに送信する。前述した具体例を適用すると、特定した現在のグループが1,3の場合は制御値予測モデルM2の予測制御値を送信し、特定した現在のグループが2,4の場合は制御値予測モデルM1の予測制御値を送信する。そしてプラント210の監視制御システムは、受信した予測制御値を用いて、プラント210の凝集剤注入ポンプの運転を制御する。なお、プラント210の監視制御システムは、受信した予測制御値をそのまま運用するのではなく、運転員による確認を経てから運用するようにしてもよい。
以上に説明したように、第2の実施形態に係る運転管理支援装置300によれば、実績計測データを複数のグループに分類し、現在の実績計測データがどのグループに所属するかに応じて、選択する予測制御モデル及びプラント210で適用する予測制御値を決定することができる。具体的には例えば、グループ2もしくは4を降雨時のグループとし、グループ1を冬期用のグループとし、グループ3を夏期用のグループ等とすることにより、年間の水質変動に応じて適切な制御値予測モデルを選択することが可能となる。この結果、第1の実施形態よりもさらに、薬品の使用量の最適化に期待することができる。また、第2の実施形態に係る運転管理支援装置300は、第1の実施形態に係る運転管理支援装置100の構成も備えていることから、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するためのものであり、必ずしもすべての構成を備えるものに限定されない。また、各構成が有する機能は任意の組み合わせで一体化されてもよく、例えば制御値予測モデル学習部120及び制御値予測モデル選択部140をまとめてもよい。さらに、運転管理支援装置100,300は、図示しないプロセッサ(CPU)とメモリ及びHDDなどの記憶手段と、ネットワークインタフェースを有するコンピュータにソフトウェアとして格納されるが、これらは必ずしもプラント210内に設置されている必要はなく、プラント210から離れた場所に設置されていてもよい。
また、第1及び第2の実施形態では、浄水場の薬品の注入制御に本発明を適用した例を示したが、本発明は下水処理場のブロワ制御、電力プラントやごみ処理場の温度制御など、説明性を必要とする施設において所定種別の制御値を使用する維持管理業務に広く適用可能であり、適用先は特に限定されない。
100,300 運転管理支援装置
110 実績DB
120 制御値予測モデル学習部
130 結果予測モデル学習部
140 制御値予測モデル選択部
150 制御値予測モデル計算部
160 結果予測モデル計算部
170 精度評価処理部
180 表示処理部
190 処理結果画面
210 プラント
220 表示装置
310 実績データ分類部
320 分類グラフ

Claims (12)

  1. プラントの運転に関する所定の制御について、前記プラントの実績を示す計測データを入力として前記制御における制御値の予測値である予測制御値を算出する1以上の制御値予測モデルと、
    前記予測制御値を入力として前記制御の制御結果の予測値である予測制御結果を算出する結果予測モデルと、
    前記計測データを入力して、1以上の前記制御値予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御値を算出する制御値予測モデル計算部と、
    前記制御値予測モデル計算部によって算出された制御値予測モデルごとの予測制御値を入力して、前記結果予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御結果を算出する結果予測モデル計算部と、
    前記結果予測モデル計算部によって算出された制御値予測モデルごとの予測制御結果と予め定められた前記プラントの制御目標値とを比較して、それぞれの予測制御結果を算出した制御値予測モデルの精度を評価することにより、前記プラントに適用して好適な制御値予測モデルを判断する精度評価処理部と、
    前記制御値予測モデル計算部によって算出された予測制御値、及び前記精度評価処理部による評価の結果を少なくとも含む処理結果情報を出力する出力処理部と、
    を備えることを特徴とする運転管理支援装置。
  2. 前記制御値予測モデルは、運転員の知見が反映された、経験式、統計的モデル、または物理モデルの少なくとも何れかである
    ことを特徴とする請求項1に記載の運転管理支援装置。
  3. 前記計測データを用いて前記制御値予測モデルを学習する制御値予測モデル学習部と、
    前記制御値予測モデル学習部による学習の結果に基づいて、2以上の前記制御値予測モデルのうちから、算出する予測制御値の精度が高い第1の制御値予測モデルを選択する制御値予測モデル選択部と、をさらに備え、
    前記制御値予測モデル選択部は、前記選択した第1の制御値予測モデルを前記プラントの運転に適用する
    ことを特徴とする請求項1に記載の運転管理支援装置。
  4. 前記精度評価処理部は、前記第1の制御値予測モデルの予測制御値を用いて前記結果予測モデルから算出された予測制御結果と前記プラントの制御目標値との差分よりも、前記第1の制御値予測モデル以外の第2の制御値予測モデルの予測制御値を用いて前記結果予測モデルから算出された予測制御結果と前記プラントの制御目標値との差分のほうが小さい場合に、前記第1の制御値予測モデルよりも前記第2の制御値予測モデルを前記プラントに適用して好適な制御値予測モデルと判断し、当該判断の結果の出力を前記出力処理部に指示する
    ことを特徴とする請求項3に記載の運転管理支援装置。
  5. 前記精度評価処理部は、前記制御値予測モデル計算部によって算出された制御値予測モデルごとの予測制御結果と前記プラントの制御目標値との差分が、所定の第1の閾値よりも大きい場合は、当該予測制御結果の算出に用いられた制御予測値を算出した制御値予測モデルの再学習を推奨する旨の出力を前記出力処理部に指示する
    ことを特徴とする請求項3に記載の運転管理支援装置。
  6. 前記精度評価処理部は、前記第1の制御値予測モデルの予測制御値を用いて前記結果予測モデルから算出された予測制御結果と前記プラントの計測データとに基づいて、当該結果予測モデルの精度を評価する
    ことを特徴とする請求項3に記載の運転管理支援装置。
  7. 前記計測データを用いて前記結果予測モデルを学習する結果予測モデル学習部をさらに備え、
    前記精度評価処理部は、前記第1の制御値予測モデルの予測制御値を用いて前記結果予測モデルから算出された予測制御結果と前記プラントの計測データとの差分が、所定の第2の閾値よりも大きい場合は、当該結果予測モデルの再学習を推奨する旨の出力を前記出力処理部に指示する
    ことを特徴とする請求項6に記載の運転管理支援装置。
  8. 前記出力処理部が出力する前記処理結果情報には、前記計測データと、前記第1の制御値予測モデルの予測制御値及び前記結果予測モデルの予測制御結果とのトレンドグラフが含まれる
    ことを特徴とする請求項3に記載の運転管理支援装置。
  9. 前記計測データ間の類似度に基づいてデータをグループに分類する実績データ分類部をさらに備え、
    実績データ分類部は、前記制御値予測モデル計算部が2以上の前記制御値予測モデルから算出した制御値予測モデルごとの予測制御値を前記グループに分類し、
    前記制御値予測モデル選択部は、前記グループごとに、前記実績データ分類部によって当該グループに分類された予測制御値のうちで最も精度が高い予測制御値を算出した制御値予測モデルを、当該グループにおける前記第1の制御値予測モデルとして選択し、
    前記制御値予測モデル計算部は、前記プラントの現在の計測データが所属する前記グループを特定し、特定したグループに対応する前記第1の制御値予測モデルを、前記プラントの運転に適用する
    ことを特徴とする請求項3に記載の運転管理支援装置。
  10. 前記結果予測モデル学習部は、前記計測データを用いた機械学習によって前記結果予測モデルを学習する
    ことを特徴とする請求項7に記載の運転管理支援装置。
  11. 前記プラントは浄水場であり、
    前記制御値予測モデルは、前記浄水場への所定の薬剤の注入に関する予測モデルであり、
    前記結果予測モデルは、前記浄水場の処理水の水質に関する予測モデルであり、
    前記計測データには、前記浄水場における水質、水量、操作量の少なくとも何れかのデータが含まれる
    ことを特徴とする請求項1に記載の運転管理支援装置。
  12. プラントの運転に関する所定の制御に対する運転員の意思決定を支援する運転管理支援装置による運転管理支援方法であって、
    前記運転管理支援装置は、
    前記プラントの実績を示す計測データを入力として前記制御における制御値の予測値である予測制御値を算出する1以上の制御値予測モデルと、
    前記予測制御値を入力として前記制御の制御結果の予測値である予測制御結果を算出する結果予測モデルと、
    を有し、
    前記運転管理支援装置が、前記計測データを入力して、1以上の前記制御値予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御値を算出する制御値予測モデル計算ステップと、
    前記運転管理支援装置が、前記制御値予測モデル計算ステップで算出された制御値予測モデルごとの予測制御値を入力して、前記結果予測モデルから制御値予測モデルごとの予測制御結果を算出する結果予測モデル計算ステップと、
    前記運転管理支援装置が、前記結果予測モデル計算ステップで算出された制御値予測モデルごとの予測制御結果と予め定められた前記プラントの制御目標値とを比較して、それぞれの予測制御結果を算出した制御値予測モデルの精度を評価することにより、前記プラントに適用して好適な制御値予測モデルを判断する精度評価ステップと、
    前記運転管理支援装置が、前記制御値予測モデル計算ステップで算出された予測制御値、及び前記精度評価ステップによる評価の結果を少なくとも含む処理結果情報を出力する出力ステップと、
    を備えることを特徴とする運転管理支援方法。
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