JP2024017518A - 測定装置、受光器、及び投光器 - Google Patents
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Abstract
【課題】適用先のシステムが要求する仕様に柔軟に対応することが可能な測定装置を提供する。【解決手段】測定装置は、投光器と、投光器が測定対象に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器と、を備え、受光器は、受光部と、透過型の回折格子と、を含み、回折格子が、第1の視野範囲からの第1の反射光が第1の次数の回折光として受光部に入射し、第1の視野範囲に並ぶ別の第2の視野範囲からの第2の反射光が第2の次数の回折光として受光部に入射するように配置されている。【選択図】図3
Description
本発明は、測定装置、受光器、及び投光器に関し、とくに測定装置の視野範囲を拡張する技術に関する。
AD(Autonomous Driving:自動運転)やADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)の進展に伴い、車両の走行時における周囲環境の把握や自己位置推定に用いる測定装置の一つとして、LiDAR(Light Detection and Ranging)の開発/研究が進められている。LiDARは、測定対象にレーザ光を投光(照射)する投光器と、レーザ光が測定対象に反射して戻ってくる反射光を受光する受光器とを備え、投光器がレーザ光を出射したタイミングと受光器が反射光を受光したタイミングとの差に基づき測定対象までの距離を測定することにより測定対象に関する情報を提供する。
特許文献1には、車両への実装を目的として構成されたLiDARシステムについて記載されている。LiDARシステムは、複数の光学ビームを生成する、複数の光エミッタ(VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)デバイス等)を含む。LiDARシステムは、第1のレンズにより、複数の光学ビームをビームウェストを有する収束された光学ビームに収束させ、第2のレンズにより、収束された光学ビームを標的範囲に投影する。
LiDARの種別の一つとして、投光器が視野範囲にレーザ光を拡散照射する方式を採用するフラッシュLiDAR(Flash LiDAR)がある。フラッシュLiDARは、モータやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)のような機械的な構成を含まないため、車載目的で利用される場合など、耐久性が要求される分野におけるLiDARの有力候補として注目されている。
フラッシュLiDARの受光器や投光器の視野範囲(FOV(Field Of View):視野角、ビームプロファイル、配光サイズ)は、受光部や発光部のサイズ(面積)と光学系(受光光学系、投光光学系)の焦点距離とによって決まる。このため、フラッシュLiDARを車両用の測距センサ等の個々のシステムに適用する際は、視野範囲が適用先のシステムが要求する仕様を満たすように構成する必要がある。
車載時などにおけるLiDARの視野範囲を拡張する方法として、例えば、複数のLiDARを並設することが考えられる。しかしその場合、部品点数やコストの増大が課題となる。また、例えば、特定の視野範囲(投光範囲、視野範囲)の測定精度を高めたい(運転時の走行方向の遠方視認性を高めたい等)といったニーズにも柔軟に対応する必要がある。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、適用先のシステムが要求する仕様に柔軟に対応することが可能な測定装置、投光器、及び受光器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の一つは、測定装置であって、投光器と、前記投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器と、を備え、前記受光器は、受光部と、透過型の回折格子と、を含み、前記回折格子が、第1の視野範囲からの第1の反射光が第1の次数の回折光として前記受光部に入射し、前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲からの第2の反射光が第2の次数の回折光として前記受光部に入射するように配置されている。
また、本発明の他の一つは、測定装置であって、投光器と、前記投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器と、を備え、前記投光器は、発光部と、透過型の回折格子と、を含み、前記回折格子が、前記発光部からの光が当該回折格子を透過することにより生じる第1の次数の回折光を第1の視野範囲に向けて出射し、前記光が当該回折格子を透過することにより生じる第2の次数の回折光を前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲に向けて出射するように配置されている。
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、適用先のシステムが要求する仕様に柔軟に対応することが可能な測定装置、投光器、及び受光器を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、以下の説明において、同一の又は類似する構成に同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。また、以下の説明において、同種の構成を区別する必要がある場合、構成を総称する符号の後に識別子(アルファベット等)を付すことがある。
図1に、本発明の一実施形態として示す測定装置100の概略的な構成(ブロック図)を示している。測定装置100は、投光光(照射光、光ビーム(レーザ光))を測定対象に投光(照射)する投光器と、投光光が測定対象に反射して戻ってくる反射光(戻り光)を受光する受光器とを備え、フラッシュLiDAR(Flash Light Detection and Ranging)として機能する。測定装置100は、投光器が投光光を出射したタイミングと受光器が反射光を受光したタイミングとの差(レーザ光の飛行時間。以下、「TOF」(Time Of Flight)と称する。)を測定して測定対象に関する情報を取得する。
測定装置100は、例えば、AD(Autonomous Driving:自動運転システム)やADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)が実装される車両に搭載される。測定装置100は、例えば、車両の走行中における、人、他の車両、物体の検出を補助するとともに、車両の運転者や車両の周囲に存在する者の安全確保、車両の運転中に周囲に存在する物体に与える損傷を低減するために有用な各種の情報を他の装置やユーザに提供する。
同図に示すように、例示する測定装置100は、発光部11、投光制御装置112、電流源113、投光光学系14、受光光学系15、受光部16、TOF測定装置117、演算装置150、及び通信I/F160(I/F:Interface)を含む。このうち、発光部11、投光制御装置112、電流源113、及び投光光学系14は投光器を構成し、受光光学系15及び受光部16は受光器を構成する。
投光器を構成する発光部11は、一つ以上の発光素子、もしくは一つ以上の発光素子アレイ(例えば、発光素子が線状(一次元的)や面状(二次元的)に配置されたもの)を用いて構成される。発光素子は、例えば、レーザダイオード、面発光タイプのレーザ発光素子(例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)。以下、「面発光素子」と称する。))、複数の面発光素子が一次元的又は二次元的に基板(半導体基板、セラミック基板等)に配置された面発光素子アレイ(例えば、VCSELアレイ)等である。
投光制御装置112は、発光部11を構成する発光素子の駆動電流を供給する電流源113の制御信号を生成して電流源113に入力することにより、電流源113から発光素子に供給される電流(駆動電流)を制御する。投光制御装置112は、発光素子が発光したタイミング(投光光が発光素子から出射したタイミング。以下、「投光タイミング」と称する。)を示す信号をTOF測定装置117に入力する。投光制御装置112は、例えば、発光素子の夫々に流す電流のオンオフを周期的に繰り返す制御を行うことにより、発光素子を周期的に繰り返し発光させる。
電流源113は、投光制御装置112から入力される制御信号に応じた電流を発光素子に供給する。電流源113は、例えば、発光素子の夫々に流す電流をオンオフするための周期的な方形波の電流を発光素子に供給する。
投光光学系14は、例えば、発光部11から出射する投光光に光学的な作用(屈折、散乱、回折等)を与えることにより投光光の配光を調節する。投光光学系14は、例えば、コリメートレンズ等の各種レンズ、反射鏡(ミラー)等の光学部品を用いて構成される。
受光光学系15は、投光器により投光した光が測定対象50等で反射して戻ってくる反射光(戻り光)を受光部16に集光する。受光光学系15は、例えば、集光レンズ等の各種レンズ、波長フィルタ等の各種フィルタ、反射鏡(ミラー)等の光学部品を用いて構成される。
受光部16は、一つ以上の受光素子、もしくは一つ以上の受光素子アレイ(例えば、受光素子が線状(一次元的)や面状(二次元的)に配置されたもの)により構成される。上記の受光素子は、例えば、フォトダイオード、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)、バランス型光検出器等である。受光部16は、受光光学系15から入射する反射光を光電変換することにより、反射光の強度に応じた電流(以下、「受光電流」と称する。)を生成する。受光部16は、受光部16を構成する個々の受光素子が反射光を受光したタイミング(以下、「受光タイミング」と称する。)を示す信号や、個々の受光素子が生成した受光電流をTOF測定装置117に入力する。
TOF測定装置117は、投光制御装置112から入力される投光タイミングを示す信号と受光部16から入力される受光タイミングを示す信号とに基づきTOFを求める。TOF測定装置117は、例えば、TDC(Time to Digital Converter)回路を搭載した時間測定IC(集積回路:Integrated Circuit)を用いて構成される。TOF測定装置117は、求めたTOFと受光部16から入力された受光電流を、演算装置150に入力する。
演算装置150は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等)を用いて構成される。演算装置150は、TOF測定装置117から入力される受光電流やTOFに基づき、測定対象50の検出や測距等の各種測定に用いる情報を生成する。上記情報は、例えば、時間相関単一光子計数法(Time Correlated Single Photon Counting)で用いるヒストグラム(histogram)、測定対象50の各点(ポイント)までの距離、ポイントクラウド(点群情報:point cloud)等である。また、演算装置150は、投光制御装置112や受光部16を制御する。演算装置150は、例えば、投光制御装置112や受光部16を制御することにより、ヒストグラムの生成にかかる処理が高速化もしくは最適化されるように、前述した投光タイミングや受光タイミングを制御する。演算装置150によって生成された情報は、通信I/F160を介して当該情報を利用する装置(以下、「各種利用装置40」と称する。)に提供(送信)される。
各種利用装置40は、例えば、ポイントクラウドによる環境地図の作成、スキャンマッチングアルゴリズム(NDT(Normal Distributions Transform)、ICP(Iterative Closest Point)等)を用いた自己位置推定(SLAM(Simultaneous Localization and Mapping))等を行う。
図2Aは、受光部16及び受光光学系15と視野範囲51との関係を説明する模式図である。視野範囲51は、受光部16の受光領域のサイズ(形状、大きさ、受光面積)と、受光光学系15の焦点距離とによって決まる。
図2Bは、発光部11及び投光光学系14と視野範囲51との関係を説明する模式図である。視野範囲51は、発光部11の発光領域のサイズ(形状、大きさ、受光面積)と、投光光学系14の焦点距離とによって決まる。
このように、視野範囲51のサイズは、受光部16のサイズや発光部11のサイズによって制約される。そのため、受光部16や発光部11としてとして、例えば、既製品を利用した場合における視野範囲は、必ずしも測定装置100が適用されるシステムの目的や用途に一致しない。また、測定装置100の目的や用途によっては、特定の視野範囲の測定精度を他の視野範囲よりも高めたい(例えば、フラッシュLiDARをADやADASに適用した場合に対向車線の遠方等の特定の視野範囲における測定精度を高めたい場合等)といったニーズがあり、こうしたニーズに柔軟に対応する必要がある。
そこで、本実施形態の測定装置100では、受光器の受光光学系15、もしくは投光器の投光光学系14の要素として、回折格子(回折光学素子)を用いることにより、上記の課題やニーズへの対応を図っている。以下、そのための具体的な構成について説明する。
<受光光学系に回折格子を用いる場合>
図3は、受光器の受光光学系15に回折格子(回折光学素子)を用いた場合における、受光器と、受光器の視野範囲51(同図において+xの方向に並ぶ、第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)との関係を説明する図である。尚、同図では、受光器の要素(受光光学系15、受光部16)については、これらを受光部16の光軸に垂直な方向から眺めた図(+y側から眺めた図)として描いており、また、視野範囲51については、上記光軸の方向から眺めた図(-z側から眺めた図)として描いている。同図に示す矢線は、各視野範囲から受光器に入射する、投光器が各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)に向けて投光することにより生じる反射光を表す。同図では、受光器のサイズを誇張して描いている。
図3は、受光器の受光光学系15に回折格子(回折光学素子)を用いた場合における、受光器と、受光器の視野範囲51(同図において+xの方向に並ぶ、第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)との関係を説明する図である。尚、同図では、受光器の要素(受光光学系15、受光部16)については、これらを受光部16の光軸に垂直な方向から眺めた図(+y側から眺めた図)として描いており、また、視野範囲51については、上記光軸の方向から眺めた図(-z側から眺めた図)として描いている。同図に示す矢線は、各視野範囲から受光器に入射する、投光器が各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)に向けて投光することにより生じる反射光を表す。同図では、受光器のサイズを誇張して描いている。
同図に示すように、受光光学系15は、表面に波長オーダの微小な凹凸が周期的に形成された回折格子151と、他の光学系152(各種レンズ、各種フィルタ等)とを含む。本実施形態では、回折格子151は透過型位相格子であるものとする。
同図に示すように、第1の視野範囲51aから回折格子151に入射する反射光(以下、「第1の反射光」と称する。)は、+1次の回折光(第1の次数の回折光)として他の光学系152に入射する。また、第1の視野範囲51aに隣接する第2の視野範囲51bから回折格子151に入射する反射光(以下、「第2の反射光」と称する。)は、0次の回折光(第2の次数の回折光)として他の光学系152に入射する。また、第2の視野範囲51bに隣接する第3の視野範囲51cから回折格子151に入射する反射光(以下、「第3の反射光」と称する。)は、-1次の回折光(第3の次数の回折光)として他の光学系152に入射する。そして、他の光学系152に入射した各反射光(第1の反射光、第2の反射光、第3の反射光)は、いずれも受光部16に集光される。
このように、受光光学系15の要素として回折格子151を用いることで、各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)からの反射光をいずれも受光部16に集光することができる。このため、受光部16の受光面積を拡大することなく(受光素子の数を増やすことなく)、受光器の視野範囲(FOV)を拡張することができる。
尚、同図に示すように、この構成では、各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)からの反射光(回折光)がいずれも受光部16の同じ受光素子に入射してしまう。このため、測定装置100への実装に際しては、いずれの視野範囲51からの反射光を受光したのかを区別するための何らかの仕組みが必要になる。
上記の仕組みは、例えば、投光器から各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)への投光を、視野範囲51ごとに異なるタイミングで行うようにすることで実現できる。この場合、例えば、演算装置150が、投光器からの投光が視野範囲51ごとに異なるタイミングで行われるように投光制御装置112を制御するとともに、受光部16の受光素子が反射光を受光したタイミングに基づき、いずれの視野範囲51からの反射光であるかを区別するようにする(以下、「第1の方法」と称する。)。
また、例えば、第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、及び第3の視野範囲51cの夫々からの反射光(+1次の回折光、0次の回折光、-1次の回折光)が受光部16の同じ受光素子に入射しないように、投光器が各視野範囲51の一部(同じ受光素子に入射しない関係となるような、第1の視野範囲51aの一部の領域、第2の視野範囲51bの一部の領域、及び第3の視野範囲51cの一部の領域)を選択し、選択した各領域について同時に投光するようにしてもよい(以下、「第2の方法」と称する。)。第2の方法によれば、上記の各視野範囲51の各領域について同時に受光することができるため、全ての視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)の投光に要する時間(スキャンスピード)を短縮することができる。
また、例えば、図4Aに示すように、投光器が、第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、及び第3の視野範囲51cに亘る帯状の領域55について同時に投光するようにし、一方、図4Bに示すように、回折格子151を、そのスリット1511(凸部と凹部とからなる格子の一単位)の並び方向が、上記の帯状の領域55の延伸方向に対して回折格子151の光軸(図4BではZ軸)周りに所定角度αだけ回転させた位置関係になるように配置するようにしてもよい(以下、「第3の方法」と称する。)。
この場合、上記の帯状の領域55の太さ(同図ではy方向の距離(幅))は、異なる視野範囲51からの反射光が同時に受光部16に入射しないよう、隣接する視野範囲51とのずれ幅(同図の例では隣接する視野範囲51のy方向のずれ量(段差))よりも短くなるように設定する。
図5Aは、第3の方法を採用した場合における、視野範囲51並びに受光部16に集光される反射光の像(受光像)の例である。同図に示すように、各視野範囲51からの反射光(+1次の回折光、0次の回折光、-1次の回折光)は、受光部16の異なる受光素子に集光される。
尚、ちなみに帯状の領域55の延伸方向に対して、例えば、回折格子151の光軸を一致させた場合には、図5Bに示すように、受光部16の同じ受光素子に各視野範囲51からの反射光(各視野範囲51の帯状の領域55からの反射光)が同時に重なって集光されてしまう。
以上の第3の方法によれば、第1の視野範囲51aから第3の視野範囲51cに亘る帯状の領域55について同時に投光及び受光することができ、視野範囲51の全体の投光に要する時間(スキャンスピード)の短縮を図ることができる。
以上のように、受光光学系15の要素として回折格子151を用いることで、受光部16の受光面積を拡大することなく(受光素子の数を増やすことなく)、受光器の視野範囲(FOV)を、第1の視野範囲51aから第3の視野範囲51cに亘る範囲に容易に拡張することができる。
ところで、回折格子151に入射する入射光と回折光との間の角度θ、格子ピッチd(格子間隔)、入射光の波長λ、及び回折次数Mの間には、次式の関係がある。
[数1]
M×λ=d×sinθ ・・・式1
このため、格子ピッチdと入射光の波長λを選択することで、受光器の視野範囲(FOV)を調節することができる。例えば、入射する反射光の波長λが905nmである場合、回折格子151の回折角θを40゜(第1の視野範囲51aの視野角を+20゜~+60゜、第2の視野範囲51bの視野角を±20゜、第3の視野範囲51cの視野角を-20゜~-60゜)とするには、格子ピッチdを1.4μmとすればよい。
[数1]
M×λ=d×sinθ ・・・式1
このため、格子ピッチdと入射光の波長λを選択することで、受光器の視野範囲(FOV)を調節することができる。例えば、入射する反射光の波長λが905nmである場合、回折格子151の回折角θを40゜(第1の視野範囲51aの視野角を+20゜~+60゜、第2の視野範囲51bの視野角を±20゜、第3の視野範囲51cの視野角を-20゜~-60゜)とするには、格子ピッチdを1.4μmとすればよい。
図6は、回折格子151の特性を決めるパラメータを説明する図である。回折格子151の回折効率(透過率)は、同図に示す格子密度(スリット1511のうち凸部1511aが占める割合)と、上記の凸部1511aの高さとによって決まる。そのため、これらの値を調節することで、各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)からの各反射光(+1次の回折光、0次の回折光、-1次の回折光)の回折効率(受光部16に入射する反射光の光量)を調節することができる。
例えば、屈折率が1.5の素材(合成石英、アクリル等)を用いて回折角が40゜となるように構成した回折格子151において、凸部1511aの高さを0.724μm、格子密度を0.2とした場合の回折光の光量は、入射光を光量を100%とすると、+1次回折光の光量は21.8%、0次の回折光の光量は50%、-1次回折光の光量は21.7%となる。また、同様の素材及び回折角の回折格子151において、凸部1511aの高さを0.905μm、格子密度を0.65とした場合の回折光の光量は、入射光の光量を100%とすると、+1次回折光の光量は31.1%、0次の回折光の光量は33.1%、-1次回折光の光量は31.3%となる。
このように、回折格子151の格子ピッチdや入射光の波長λを選択することで、受光器の視野範囲51(受光範囲)を、適用先のシステムが要求する視野範囲に調節することができる。また、回折格子151の屈折率や格子密度、凸部1511aの高さ等のパラメータの値を調節することで、回折格子151から出射する各回折光(+1次の回折光、0次の回折光、-1次の回折光)の回折効率(光量)を調節することができる。このため、例えば、運転時の走行方向の遠方視認性を高めたい等、特定の視野範囲の測定精度を高めたいといったニーズに対応することができる。このように、本実施形態の測定装置100によれば、適用先のシステムが要求する仕様に柔軟に対応することができる。
<投光光学系に回折格子を用いる場合>
図7は、測定装置100の投光器の投光光学系14に、前述の受光光学系15に用いた回折格子151と同様の構成の回折格子141を用いた場合における、投光器と、投光器の視野範囲51(投光範囲)(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)との関係を説明する図である。尚、同図では、投光器の要素(投光光学系14、及び発光部11)についてはこれらを発光部11の光軸に垂直な方向から眺めた図(+y側から眺めた図)として描いており、また、各視野範囲51については、上記光軸の方向から眺めた図(-z側から眺めた図)として描いている。同図に示す矢線は、投光器から出射した各回折光と各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)との対応を表している。尚、同図では、投光器のサイズを誇張して描いている。
図7は、測定装置100の投光器の投光光学系14に、前述の受光光学系15に用いた回折格子151と同様の構成の回折格子141を用いた場合における、投光器と、投光器の視野範囲51(投光範囲)(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)との関係を説明する図である。尚、同図では、投光器の要素(投光光学系14、及び発光部11)についてはこれらを発光部11の光軸に垂直な方向から眺めた図(+y側から眺めた図)として描いており、また、各視野範囲51については、上記光軸の方向から眺めた図(-z側から眺めた図)として描いている。同図に示す矢線は、投光器から出射した各回折光と各視野範囲51(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)との対応を表している。尚、同図では、投光器のサイズを誇張して描いている。
投光光学系14は、回折格子141と、他の光学系142(各種レンズ、各種フィルタ等)とを含む。同図に示すように、発光部11から出射した光は、他の光学系142を通過して回折格子141に入射し、それにより回折格子141から、第1の視野範囲51aに向かう+1次の回折光、第2の視野範囲51bに向かう0次の回折光、及び、第3の視野範囲51cに向かう-1次の回折光が出射する。
このように、投光光学系14の要素として回折格子141を用いることで、発光部11の発光面積を拡大することなく(発光素子の数を増やすことなく)、投光器の視野範囲(FOV)を、第1の視野範囲51aから第3の視野範囲51cに亘る範囲に容易に拡張することができる。
尚、受光器に回折格子151を用いた場合と同様に、回折格子141の格子ピッチdや入射光の波長λを選択することで投光器の視野範囲51を調節することができる。また、回折格子141の屈折率や格子密度、凸部の高さ等のパラメータの値を調節することで、各回折光(+1次の回折光、0次の回折光、-1次の回折光)の回折効率(光量)を調節することができる。このため、測定装置100の適用先のシステムが要求する仕様に柔軟に対応することができる。
以上、本発明の実施形態につき詳述したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
例えば、以上では、視野範囲(投光範囲、受光範囲)が3つ(第1の視野範囲51a、第2の視野範囲51b、第3の視野範囲51c)の場合を例として説明したが、本発明は、視野範囲を2つとした場合や、4つ以上とした場合にも適用することができる。
また、例えば、以上に説明した投光器及び受光器の構成(回折格子151を受光光学系15の要素として用いる構成、回折格子141を投光光学系14の要素として用いる構成)は、これらの双方を測定装置100に適用するようにしてもよいし、いずれか一方のみを適用するようにしてもよい。
また、例えば、以上では、回折格子の異なる3つの次数の回折光(+1次、0次、―1次)を利用して視野範囲を拡張したが、これら以外の次数の回折光を利用して視野範囲を拡張してもよい。
50 測定対象、51a 第1の視野範囲、51b 第2の視野範囲、51c 第3の視野範囲51、100 測定装置、11 発光部、112 投光制御装置、113 電流源、14 投光光学系、141 回折格子、142 他の光学系、15 受光光学系、151 回折格子、1511a 凸部、1511b 凹部、152 他の光学系、16 受光部、117 TOF測定装置、150 演算装置
Claims (14)
- 投光器と、前記投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器と、を備え、
前記受光器は、受光部と、透過型の回折格子と、を含み、
前記回折格子が、第1の視野範囲からの第1の反射光が第1の次数の回折光として前記受光部に入射し、前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲からの第2の反射光が第2の次数の回折光として前記受光部に入射するように配置されている、
測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置であって、
前記投光器は、前記第1の視野範囲と前記第2の視野範囲を、夫々異なるタイミングで投光する、
測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置であって、
前記受光部は、複数の受光素子を含み、
前記回折格子は、そのスリットの並び方向が、前記第1の視野範囲と前記第2の視野範囲の並び方向に一致するように配置され、
前記投光器は、前記第1の反射光と前記第2の反射光が同じ前記受光素子に入射しない関係となる、前記第1の視野範囲の一部と前記第2の視野範囲の一部を同時に投光する、
測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置であって、
前記受光部は、面状に配列された複数の受光素子を含み、
前記投光器は、前記第1の視野範囲から前記第2の視野範囲に亘る帯状の領域を同時に投光し、
前記回折格子は、その回折格子のスリットの並び方向を、前記第1の反射光と前記第2の反射光が夫々異なる前記受光素子に入射するように、前記帯状の領域の延伸方向に対して当該回折格子の光軸周りに所定角度回転させた位置関係で配置されている、
測定装置。 - 投光器と、前記投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器と、を備え、
前記受光器は、受光部と、透過型の回折格子と、を含み、
第1の視野範囲からの第1の反射光が+1次の回折光として前記受光部に入射し、
前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲からの第2の反射光が0次の回折光として前記受光部に入射し、
前記第1の視野範囲から前記第2の視野範囲の方向に並ぶ第3の視野範囲からの第3の反射光が-1次の回折光として前記受光部に入射する
ように配置されている、
測定装置。 - 請求項5に記載の測定装置であって、
前記投光器は、前記第1の視野範囲、前記第2の視野範囲、及び前記第3の視野範囲を、夫々異なるタイミングで投光する、
測定装置。 - 請求項5に記載の測定装置であって、
前記受光部は、面状に配列された複数の受光素子を含み、
前記回折格子は、そのスリットの並び方向が、前記第1の視野範囲から前記第3の視野範囲の並び方向に一致するように配置され、
前記投光器は、前記第1の反射光、前記第2の反射光、及び前記第3の反射光が、いずれも前記受光素子に入射しない関係となる、前記第1の視野範囲の一部、前記第2の視野範囲の一部、及び前記第3の視野範囲の一部を同時に投光する、
測定装置。 - 請求項5に記載の測定装置であって、
前記受光部は、面状に配列された複数の受光素子を含み、
前記投光器は、前記第1の視野範囲から前記第3の視野範囲に亘る帯状の領域を同時に投光し、
前記回折格子は、そのスリットの並び方向を、前記第1の反射光、前記第2の反射光、及び前記第3の反射光が、夫々異なる前記受光素子に入射するように、前記帯状の領域の延伸方向に対して当該回折格子の光軸周りに所定角度回転させた位置関係で配置されている、
測定装置。 - 投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する投光器が測定対象に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器であって、
受光部と、透過型の回折格子と、を含み、
前記回折格子が、第1の視野範囲からの第1の反射光が第1の次数の回折光として前記受光部に入射し、前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲からの第2の反射光が第2の次数の回折光として前記受光部に入射するように配置されている、
受光器。 - 投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する投光器が測定対象に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器であって、
前記受光器は、受光部と、透過型の回折格子と、を含み、
前記回折格子は、
第1の視野範囲からの第1の反射光が+1次の回折光として前記受光部に入射し、
前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲からの第2の反射光が0次の回折光として前記受光部に入射し、
前記第1の視野範囲から前記第2の視野範囲の方向に並ぶ第3の視野範囲からの第3の反射光が-1次の回折光として前記受光部に入射する
ように配置されている、
受光器。 - 投光器と、前記投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器と、を備え、
前記投光器は、発光部と、透過型の回折格子と、を含み、
前記回折格子が、前記発光部からの光が当該回折格子を透過することにより生じる第1の次数の回折光を第1の視野範囲に向けて出射し、前記光が当該回折格子を透過することにより生じる第2の次数の回折光を前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲に向けて出射するように配置されている、
測定装置。 - 投光器と、前記投光器が視野範囲に向けて投光することにより生じる反射光を受光する受光器と、を備え、
前記投光器は、発光部と、透過型の回折格子と、を含み、
前記回折格子が、
前記発光部からの光が当該回折格子を透過することにより生じる+1次の回折光を、第1の視野範囲に向けて出射し、
前記光が当該回折格子を透過することにより生じる0次の回折光を、前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲に向けて出射し、
前記光が当該回折格子を透過することにより生じる-1次の回折光を、前記第1の視野範囲から前記第2の視野範囲の方向に並ぶ第3の視野範囲に向けて出射する
ように配置されている、
測定装置。 - 視野範囲に向けて投光する投光器であって、
発光部と、透過型の回折格子と、を含み、
前記回折格子が、
前記発光部からの光が当該回折格子を透過することにより生じる第1の次数の回折光を第1の視野範囲に向けて出射し、
前記光が当該回折格子を透過することにより生じる第2の次数の回折光を前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲に向けて出射する
ように配置されている、
投光器。 - 視野範囲に向けて投光する投光器であって、
発光部と、透過型の回折格子と、を含み、
前記回折格子が、
前記発光部からの光が当該回折格子を透過することにより生じる+1次の回折光を、第1の視野範囲に向けて出射し、
前記光が当該回折格子を透過することにより生じる0次の回折光を、前記第1の視野範囲に並ぶ第2の視野範囲に向けて出射し、
前記光が当該回折格子を透過することにより生じる-1次の回折光を、前記第1の視野範囲から前記第2の視野範囲の方向に並ぶ第3の視野範囲に向けて出射する
ように配置されている、
投光器。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022120204A JP2024017518A (ja) | 2022-07-28 | 2022-07-28 | 測定装置、受光器、及び投光器 |
PCT/JP2023/027061 WO2024024745A1 (ja) | 2022-07-28 | 2023-07-24 | 測定装置、受光器、及び投光器 |
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Family Applications (1)
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