JP2024016616A - 検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電位を供給するための回路を簡単にし、分解能の向上を図る。【解決手段】検出器20は、第1電極21と、第1電極21との間に荷電粒子の流路25を形成する第2電極22と、荷電粒子を捕集する第3電極26と、第2電極22に接続され、第2電極22よりもシート抵抗が高い第4電極28と、を備え、第4電極28は、第3方向についての一方の端部が第1電位Vcmaxとされ、第3方向についての他方の端部が第1電位Vcmaxよりも低い第2電位Vcminとされ、第2電極22に含まれる第5電極22Aは、第4電極28のうち、他方の端部よりも一方の端部に近い位置に接続され、第2電極22に含まれる第6電極22Bは、第4電極28のうち、第5電極22Aの接続位置よりも他方の端部に近い位置に接続され、第3電極26に含まれる第7電極26Aは、第5電極22Aと第1方向に沿って並んで配され、第3電極26に含まれる第8電極26Bは、第6電極22Bと第1方向に沿って並んで配される。【選択図】図5
Description
本明細書が開示する技術は、検出器に関する。
従来、イオン移動度によりイオンを分離検出する検出器の一例として下記特許文献1,2に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の検出器は、サンプル入口及び出口の間において基板間で流路を画定する、間隔を空けた1対の基板と、前記流路内に配置され、各電極が各基板にそれぞれ結合された間隔を空けた1対のフィルタ電極を有するイオン・フィルタと、前記イオン・フィルタ電極の両端にバイアス電圧及び非対称の周期的電圧を印加して、前記フィルタを通過するイオン流路を制御する電子コントローラと、を備える。
特許文献2に記載の検出器は、一対の平板電極の少なくとも一つは、第一の導電性を有する第一電極部と、第二の導電性を有する第二電極部と、第一電極部と第二電極部とに挟まれて設置される前記第一の導電性及び前記第二の導電性より小さい第三の導電性を有する第三電極部と、を含み、第一電極部と第二電極部と第三電極部は、流路と垂直になるように並べて設置され、電圧制御部は、第一電極部と第二電極部に各々異なる直流電圧を印加する。
上記した特許文献1に記載の検出器では、一対のフィルタ電極が5つずつに分割されており、各電極対に異なる補償バイアス電圧を印加し、かつ各電極対を異なる電圧範囲に渡って掃引することにより、異なるイオン種類を同時に検出している。しかし、各電極対に異なる補償バイアス電圧を印加するための回路が複雑になる、等の問題が生じる。
上記した特許文献2に記載の検出器では、導電性が低い部分である第三電極部に印加された補正電圧が、流路と垂直になる方向の位置に応じて連続的に変化する。従って、検出電極により測定されて得られるデータには、連続的に変化する補正電圧が反映されることになる。このため、測定結果であるデータの分解能を高めるのが困難になる、という問題があった。
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電位を供給するための回路を簡単にし、分解能の向上を図ることを目的とする。
(1)本明細書に記載の技術に関わる検出器は、第1電極と、前記第1電極と間隔を空けて対向し、前記第1電極との間に検出対象物である荷電粒子の流路を形成する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に対して前記流路の下流側に配され、前記荷電粒子を捕集する第3電極と、前記第2電極に接続され、前記第2電極よりもシート抵抗が高い第4電極と、を備え、前記第4電極は、前記流路にて前記荷電粒子が流れる方向である第1方向と交差し、前記第1電極から前記第2電極へ向かう方向である第2方向と直交する第3方向に沿って延在し、前記第4電極のうち、前記第3方向についての一方の端部が第1電位とされ、前記第3方向についての他方の端部が前記第1電位よりも低い第2電位とされており、前記第2電極は、前記第3方向に間隔を空けて並ぶ第5電極及び第6電極を含み、前記第5電極は、前記第4電極のうち、前記他方の端部よりも前記一方の端部に近い位置に接続され、前記第6電極は、前記第4電極のうち、前記第5電極の接続位置よりも前記他方の端部に近い位置に接続され、前記第3電極は、前記第3方向に間隔を空けて並ぶ第7電極及び第8電極を含み、前記第7電極は、前記第5電極と前記第1方向に沿って並んで配され、前記第8電極は、前記第6電極と前記第1方向に沿って並んで配される。
(2)また、上記検出器は、上記(1)に加え、前記第4電極は、前記第5電極及び前記第6電極に対して前記第1電極側とは反対側に重なってもよい。
(3)また、上記検出器は、上記(2)に加え、前記第4電極は、前記第1方向に沿って延在し、前記第5電極及び前記第6電極の全長に至るよう設けられ、前記第5電極及び前記第6電極のうち、前記第4電極側を向いた面に対して前記第1方向について全長にわたって接してもよい。
(4)また、上記検出器は、上記(3)に加え、前記第4電極は、前記第5電極及び前記第6電極のうち、前記第4電極側を向いた面の全域にわたって接してもよい。
(5)また、上記検出器は、上記(2)に加え、前記第4電極と前記第5電極及び前記第6電極との間に挟まれる絶縁膜を備え、前記絶縁膜には、前記第5電極の一部と重なる位置に配される第1開口と、前記第6電極の一部と重なる位置に配される第2開口と、が設けられてもよい。
(6)また、上記検出器は、上記(5)に加え、前記第4電極は、前記第1方向に沿って延在し、前記第5電極及び前記第6電極の全長に至るよう設けられ、前記絶縁膜には、前記第1開口及び前記第2開口が、前記第1方向に沿って延在し、前記第5電極及び前記第6電極の全長に至るよう設けられてもよい。
(7)また、上記検出器は、上記(1)から上記(6)のいずれかに加え、前記第5電極及び前記第7電極は、前記第3方向についての寸法が同じとされるとともに前記第3方向について同心に配され、前記第6電極及び前記第8電極は、前記第3方向についての寸法が同じとされるとともに前記第3方向について同心に配されてもよい。
本明細書に記載の技術によれば、電位を供給するための回路を簡単にし、分解能の向上を図ることができる。
<実施形態1>
実施形態1を図1から図10Bによって説明する。本実施形態では、電界非対称イオン移動度分析法システム(FAIMS:field asymmetric ion mobility spectrometry)を用いた移動度分析装置1(以下、単に「分析装置」という。)を示す。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。
実施形態1を図1から図10Bによって説明する。本実施形態では、電界非対称イオン移動度分析法システム(FAIMS:field asymmetric ion mobility spectrometry)を用いた移動度分析装置1(以下、単に「分析装置」という。)を示す。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。
分析装置1は、図1に示すように、イオン化源10と、検出セル(検出器)20と、ポンプ30(送気装置の一例)と、制御部40と、を含む(図2を参照)。以下、各要素について説明する。
イオン化源10は、分析対象の化合物(試料)の原子及び分子をイオン化する装置である。化合物がイオン化源10によってイオン化されると、検出セル20において検出可能な荷電粒子(試料イオン)となる。この荷電粒子が、検出器50の検出対象物である。イオン化源10のイオン化手法は特に制限されず、従来の各種のイオン化源を用いることができる。具体的には、イオン化手法としては、例えば、電子衝撃(Electron Impact:EI)法、化学イオン化法、ガス放電法、光イオン化法、脱着イオン化法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、熱イオン化法、及び周囲イオン化法等や、これらを組み合わせた方法などであってよく、検出したい成分をイオン化できるイオン化源を適宜選択するとよい。本例では、具体的には図示しないが、イオン化源10として針電極を備えており、この針電極によって大気圧下でコロナ放電を発生させることにより反応イオンを生じさせ、試料原子や試料分子と反応させることで、間接的に荷電粒子を発生させるようにしている。荷電粒子は、分析対象のイオンに限定されず、反応物イオン、イオンクラスタ等であってもよい。
イオン化源10としては、上記の針電極の他、ニッケル同位体(63Ni)やアメリシウム同位体(241Am)等を含む放射性イオン源を備え、放射性イオン源から発生される試料をイオン化するイオン化ユニットや、紫外線パルスレーザ発振器を備え、紫外線パルスレーザ光を照射して試料を直接的にアブレーションしてイオン化するイオン化ユニット等であってもよい。イオン化源10によって生成された荷電粒子は、大気、キャリアガス等の雰囲気ガス(中性のバッファガス)が、後述するポンプ30によって送気されることで発生する気流に乗って、検出セル20に向けて送られる。
ポンプ30は、荷電粒子を含む雰囲気ガスを、検出セル20内を流れ方向に沿って移動させるための要素である。本実施形態のポンプ30は、流れ方向について検出セル20の下流側に設置されている。ポンプ30としては、イオン化源10によって生成された荷電粒子を、後述する検出セル20に所定の速度で送ることができる各種の送気装置を用いることができる。ポンプ30の送気機構は特に制限されず、ダイアフラム式、回転翼式、ピストン式、ロータリーベーン式、その他の送気装置等であってよい。検出セル20の大きさ等にもよるが、ポンプ30として、一例では、最大吐出圧力が約0.03MPa以下程度、送気量約1L/min以下程度のマイクロブロアを用いることができる。例えば、圧電セラミックスによる高周波振動(例えば超音波振動)によってダイアフラムを変動させるようにしたマイクロブロアによると、脈動を抑制して送気できる点において、本実施形態で用いるポンプ30として好ましい。
検出セル20は、イオン化源10で生成された荷電粒子を、移動度の差に基づいて分離(フィルタリング)して所定の移動度の荷電粒子ごと検出する要素である。検出セル20は、第1電極21、第2電極22、第1基板23(支持体の一例)、第2基板24(支持体の一例)、検出電極26、及び偏向電極27を含む。検出セル20のこれらの各要素は、チャンバ内に配置されていてもよい。
第1電極21及び第2電極22は、互いに対向して配置されることで、平行平板型の一対のフィルタ電極を構成する。第1電極21及び第2電極22は、対向する主面同士が平行をなしている。第1電極21と第2電極22との間には、所定の間隔が空けられている。そして、第1電極21と第2電極22との間には、荷電粒子の流路25が形成されている。以下では、流路25において荷電粒子が流れる方向を「第1方向」とする。第1方向は、荷電粒子の流れ方向であるとも言える。第1方向は、各図面のX軸方向と一致している。流路25は、イオン分離空間(ドラフト空間)を含む。本例の第1電極21及び第2電極22はそれぞれ、後述する第1基板23及び第2基板24の対向面上に備えられている。また、以下では、第1電極21から第2電極22へ向かう方向を「第2方向」とする。第2方向は、第1電極21及び第2電極22における対向面(主面)の法線方向である。第2方向は、各図面のZ軸方向と一致している。また、以下では、第1方向と直交(交差)し、第2方向と直交する方向を「第3方向」とする。第3方向は、各図面のY軸方向と一致している。
第1電極21及び第2電極22の形状や大きさ等は、特に制限されない。本例の第1電極21及び第2電極22はそれぞれ、X軸方向(第1方向)にやや長尺の矩形状をなしている。第1電極21及び第2電極22のX軸方向に沿う寸法は、これに限定されるものではないが、例えば、0.1cm以上(例えば、1cm以上)程度であり、50cm以下(例えば、10cm以下)程度とすることができる。第1電極21及び第2電極22の厚みは、特に制限されず、例えば、それぞれ独立して、50nm以上1μm以下程度の範囲で適宜設定することができる。第1電極21及び第2電極22の厚みは、典型的には600nm以下、例えば400nm以下であり、また、典型的には100nm以上、例えば200nm以上とすることができる。第2電極22の詳しい構成については、後に改めて説明する。
第1電極21と第2電極22との間の距離(フィルタギャップ)は、厳密には制限されない。フィルタギャップは、狭くすることでイオン分離空間に形成する電界の強度(後述する分散電圧に相当)を効果的に高めることができるために好ましい。しかし、フィルタギャップは、狭すぎると第1電極21と第2電極22との間で放電やエアフローの乱流が生じやすくなるという背反がある。したがって、フィルタギャップは、例えば50μm以上程度であって、例えば1mm以下程度とするとよい。
第1電極21及び第2電極22を構成する材料は、特に制限されない。第1電極21及び第2電極22を構成する材料は、両電極21,22間に後述する電界を発生させることができる各種の導電性材料であればよく、金属材料、無機導電性材料、及び有機導電性材料のいずれであってもよい。検出対象である試料及びそのイオンが金属腐食性を示すことが考えられる場合は、第1電極21及び第2電極22の表面を構成する導電性材料として、無機導電性材料及び有機導電性材料のいずれかを採用するとよい。第1電極21及び第2電極22を構成する金属材料としては特に制限はなく、例えばArFエキシマレーザを用いたリソグラフィ技術によって第1電極21及び第2電極22を作製する場合、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、Cr(クロム)、モリブデン(Mo)、Ta(タンタル)、及びタングステン(W)等の高導電性金属の中から選択されるいずれか1種類の金属やその金属の合金、いずれか2種以上を含む合金等によって構成するとよい。これらの金属材料は、例えば上層側から順に、W/Ta,Ti/Al,Ti/Al/Ti,またはCu/Ti等の積層構造として、下地(典型的には、第1基板23や第2基板24)に対する密着性等の物性を高めるようにしてもよい。無機導電性材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium-Zinc-Oxide)、IGZO(Indium-Gallium-Zinc-Oxide)、ZnO等が挙げられる。有機導電性材料としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン類等が挙げられる。第1電極21及び第2電極22は、金属材料、無機導電性材料、及び有機導電性材料のいずれか2種以上を積層して構成してもよい。
第1基板23は、第1電極21等を支持する要素である。本実施形態では、第1基板23は、第1電極21と偏向電極27とをX軸方向に離間した位置に備える。第2基板24は、第2電極22等を支持する要素である。本実施形態では、第2基板24は、第2電極22と検出電極26とをX軸方向に離間した位置に備える。第1基板23と第2基板24とは、これらの電極21,22,26,27が備えられた主面(支持面の一例)が互いに対向するように配置される。第1基板23及び第2基板24は、互いに長尺の矩形をなす平板状である。流路25におけるポンプ30の送気方向(荷電粒子の移動方向)は、第1基板23及び第2基板24の長手方向(X軸方向)と一致しており、その上流側に第1電極21及び第2電極22が配され、下流側に、検出電極26及び偏向電極27が配されている。なお、第1基板23及び第2基板24の具体的な形状は、第1電極21と第2電極22、検出電極26と偏向電極27を、所定のギャップで平行に支持することができるものであれば特に制限されない。例えば、第1基板23と第2基板24とは、一体となって筒状(角筒状、円筒状等)であってもよい。
本実施形態の第1基板23及び第2基板24は、電気絶縁性を有する各種の絶縁性材料によって構成することができる。絶縁性材料としては、室温(例えば25℃)における体積抵抗率が107Ωcm以上(例えば、1010Ωcm以上、1012Ωcm以上、さらには1015Ωcm以上)の材料が挙げられ、例えば、上記体積抵抗率を有する有機材料または無機材料等であってよい。これに限定されるものではないが、本実施形態においては、上記電極をリソグラフィ技術によって好適に形成できるとの観点から、第1基板23及び第2基板24として、平板状のガラス基板を用いている。第1基板23及び第2基板24の厚みに制限はないが、例えば、0.1mm~1mm程度(一例として、0.5mm、0.7mm等)とすることが例示される。
検出電極26は、検出セル20に導入された荷電粒子が接触することでその電荷を受け取る要素である。検出電極26は、第1電極21及び第2電極22に対して流路25の下流側に並んで配される第3電極である。検出電極26は、荷電粒子を受ける捕集面を有している。また、検出電極26は、制御部40と接続されている。このような構成によって、検出電極26は、捕集面において受け取った荷電粒子の量を制御部40にて把握することができるようになっている。検出電極26の詳しい構成については、後に改めて説明する。
偏向電極27は、検出セル20に導入された荷電粒子を検出電極26に捕集させるように、荷電粒子を検出電極26に向けて偏向させるための要素である。偏向電極27は、第1電極21及び第2電極22に対して流路25の下流側に並んで配される電極である。偏向電極27は、検出電極26に対向するように配置される。偏向電極27は、後述する第2電位調整部42に接続されている。偏向電極27は、第2電位調整部42によって電圧が印加されることによって、検出電極26と偏向電極27との間に荷電粒子を検出電極26に偏向させる電界を形成することが可能とされる。検出電極26と偏向電極27との間は、イオン分離空間を通過した荷電粒子を検出するための検出空間である。
検出電極26及び偏向電極27の形状は、特に制限されない。検出電極26及び偏向電極27の厚みは、それぞれ、例えば1μm以下程度であってよく、典型的には600nm以下、例えば500nm以下、400nm以下、200nm以下などであってよい。また、検出電極26及び偏向電極27の厚みは、それぞれ独立して、10nm以上程度であってよく、典型的には50nm以上、例えば100nm以上であってよい。検出電極26及び偏向電極27を構成する材料及びその構造については、上記の第1電極21及び第2電極22と同様であってよい。
制御部40は、分析装置1の駆動を制御する要素である。本実施形態の制御部40は、図2に示すように、検出セル20と接続されている。より具体的には、制御部40は、第1電極21、第2電極22、検出電極26、及び偏向電極27と接続されており、これらの動作を制御することができるように構成されている。また、本実施形態の制御部40は、付加的に、イオン化源10、ポンプ30に接続されるとともに、分析装置1に電力を供給するための外部電源と接続できるようになっている。
制御部40は、各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、各種の情報を記憶する記憶部Mと、計時機能を有するタイマT等と、を有するマイクロコンピュータによって構成されている。これに限定されるものではないが、ROMには、例えば、後述する第1電位調整部41、第2電位調整部42及び第3電位調整部43のそれぞれについて電圧を印加するために用いられるコンピュータプログラム、データベース、データテーブルや、検出された荷電粒子の量に基づく各種解析処理を行うためのコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納されていてもよい。また記憶部Mには、例えば、分析対象のID情報、検出された荷電粒子の量に関する情報、各種解析処理に用いられる情報、解析結果等に関する情報等を格納することができる。
制御部40は、第1電位調整部41と、第2電位調整部42と、第3電位調整部43と、計測部44と、イオン化源制御部45と、流量調整部46と、を備える。これらの各部は独立して、ハードウェアによって構成されていてもよいし、CPUがプログラムを実行することにより機能的に実現されていてもよい。
第1電位調整部41は、少なくとも第1電極21と第2電極22との間に分散電圧DVを印加するとともに、この分散電圧DVを制御する要素である。第1電極21と第2電極22との間に分散電圧DVが印加されると、第1電極21と第2電極22との間に電界が形成される。本実施形態において、第1電位調整部41は、第1電極21に接続され、第1電極21に対して分散電圧DVを印加するようになっている。従って、第1電極21は、分散電極であると言える。分散電圧DVは、正と負の両方の極性を示す双極性パルス電圧である。正と負の両方の極性における電位は、典型的には、非対称に切り替えられる。電圧波形は、高電界を形成する高電圧レベルVHである期間THと、低電界を形成する低電圧レベルVLである期間TLと、を交互に含む非対称パルス波形となっている。この電圧波形において、電圧の時間平均はゼロとなるように設定されている。ここで、イオンの移動度は、低電界中では電界強度によらず一定であるが、高電界中では電界強度に依存してその値が変化する。そこで第1電位調整部41は、典型的にはパルス電圧発生装置等の可変電圧発生器に接続されており、例えば、矩形波状の分散電圧を印加できるようになっている。ただし、分散電圧の波形はこれに限定されず、正弦波や、矩形波と複合派の中間形状等であってよい。
第1電極21と第2電極22との間のイオン分離空間には、後述する流量調整部46によるポンプ30の駆動によって、試料イオンを含むキャリアガス(典型的には中性)の流れが一定の流速で形成されている。ここで、第1電位調整部41によって高電圧レベルVHの電圧が印加されることで、イオン分離空間に高電界が形成される。また、第1電位調整部41によって低電圧レベルVLの電圧が印加されることで、イオン分離空間に低電界が形成される。高電界と低電界とでは、極性が異なっている。このような非対称な電界が交互に発生する環境に試料イオンが送られると、試料イオンは、第1電極21及び第2電極22に交互に引き寄せられながらジグザグに進行する。このとき、第1電極21または第2電極22に大きく偏向された試料イオンは、第1電極21または第2電極22に衝突し、第1電極21と第2電極22との間を通過できない。第1電極21と第2電極22との間でバランスした試料イオンのみが、第1電極21と第2電極22との間を通過して、下流側の検出電極26に送られる。
第2電位調整部42は、第1電極21と第2電極22との間に補償電圧CVを印加するとともに、この補償電圧CVを制御する要素である。本実施形態において、第2電位調整部42は、第2電極22に接続され、第2電極22に対して補償電圧CVを印加するようになっている。従って、第2電極22は、補償電極であると言える。上記のとおり、試料イオンは、第1電極21と第2電極22との間に形成されたドリフト電界の中でバランスしたもののみが、第1電極21と第2電極22との間を通過する。第1電位調整部41により第1電極21に分散電圧DVを印加し、第2電位調整部42により第2電極22に補償電圧CVを印加することで、第1電極21と第2電極22との間を通過するイオン種を変化させることができる。補償電圧CVは、直流電圧である。また補償電圧CVは、例えば、所定の分散電圧DVごとに、一定の変化率及び周期TCVで大きさを変化させる(換言すれば、周期TCVで下限電圧VCVLから上限電圧VCVHの間を変化させる)。これにより、移動度の異なるイオン種を順に検出空間に送ることができる。
第3電位調整部43は、検出電極26と偏向電極27との間に所定の電位差を付与する要素である。これにより、イオン分離空間を通過して検出空間に侵入した試料イオンを、検出電極26に向けて偏向させることができる。本実施形態において、第3電位調整部43は、偏向電極27に接続され、偏向電極27に対して電位を付与するようになっている。第2電位調整部42は、検出セル20に導入された試料イオンがプラスイオンであれば、検出電極26に対して偏向電極27が高電位となるように、検出セル20に導入された試料イオンがマイナスイオンであれば、検出電極26に対して偏向電極27が低電位となるように、偏向電極27の電位を調整する。
計測部44は、検出電極26に到達した荷電粒子の数を検出する要素である。計測部44は、検出電極26に接続されており、検出電極26に到達した荷電粒子の量に基づく電流値を、トランスインピーダンス回路により電圧値に変換してイオン量を取得する。計測部44は、荷電粒子の数量を計測するだけでなく、例えば第1電位調整部41と協働して、荷電粒子を定性及び定量することができるように構成されていてもよい。計測部44によって計測された荷電粒子の数量等に関する情報は、例えば、記憶部Mに記憶される。
イオン化源制御部45は、イオン化源10に接続されており、イオン化源10の動作を制御できるように構成されている。イオン化源制御部45は、例えば、イオン化源10において針電極に印加する電圧の極性をプラスとマイナスとで切り替えることで、発生させる荷電粒子の極性を、プラスイオンとマイナスイオンとに切り替えることができるようになっている。これに限定されるものではないが、イオン化源制御部45が、マイナスの荷電粒子を発生させたときは、第1電位調整部41、第2電位調整部42及び第3電位調整部43は、マイナスの荷電粒子が流路25を通過できるように、第1電極21及び偏向電極27に印加する電圧をそれぞれ調整する。また、イオン化源制御部45が、プラスの荷電粒子を発生させたときは、第1電位調整部41、第2電位調整部42及び第3電位調整部43は、プラスの荷電粒子が流路25を通過できるように、第1電極21及び偏向電極27に印加する電圧をそれぞれ調整する。
流量調整部46は、ポンプ30に接続されており、ポンプ30の動作を制御できるように構成されている。流量調整部46は、例えば、ポンプ30の駆動と停止のタイミングや、ポンプ30に備えられたファンの回転速度を制御することで、検出セル20内の気体の流速等を調整できるようになっている。
第1電位調整部41により第1電極21に印加される分散電圧DVと、第2電位調整部42により第2電極22に印加される補償電圧CVと、検出電極26からの電気信号と、の関係から、図3に示すようなFAIMSスペクトルを得ることができる。図3は、分析条件(補償電圧DV及び分散電圧CV)と、その分析条件によって検出される試料イオン量(イオン電流)と、の関係を例示したマップグラフである。図3における縦軸が分散電圧DV(単位は「V」)であり、横軸が補償電圧CV(単位は「V」)である。図3のグラフにおいては、検出された試料イオンの量が多い分析条件ほど、当該分析条件が濃い色で示されるようになっている。図3に示すようなFAIMSスペクトルを得るには、例えば分散電圧DVを最小値に設定し、補償電圧CVを下限電圧VCVLから上限電圧VCVHに至るまで変化させるスキャンを行う。それから分散電圧DVを最小値よりも大きい値に変更し、再び補償電圧CVのスキャンを行う。この補償電圧CVのスキャンを、分散電圧DVが最大値になるまで繰り返し行えばよい。
次に、検出セル20の詳しい構成について図4から図7を参照して説明する。検出セル20を構成する第1基板23は、図4に示すように、平面に視て横長の方形状をなしている。第1基板23には、第1電極21と、複数の偏向電極27と、が設けられている。第1電極21は、平面に視てやや縦長の方形状をなしており、第1基板23のうちのX軸方向についての一端側(上流側)に偏在している。第1電極21は、X軸方向についての寸法が例えば15mm程度とされ、Y軸方向についての寸法が例えば18mm程度とされる。偏向電極27は、第1基板23のうちのX軸方向についての他端側(下流側)に偏在している。偏向電極27は、平面に視て横長の方形状をなしており、Y軸方向に間隔を空けて複数が並んで配されている。具体的には、偏向電極27の並び数は、例えば5とされる。偏向電極27には、図4の上から順に、第1偏向電極27A、第2偏向電極27B、第3偏向電極27C、第4偏向電極27D及び第5偏向電極27Eが含まれる。なお、以下では複数の偏向電極27を区別する場合には、名称をそれぞれ「第1偏向電極~第5偏向電極」として符号に添え字A~Eを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。複数の偏向電極27におけるY軸方向についての配列間隔は、ほぼ一定とされる。偏向電極27の幅寸法(Y軸方向についての寸法)は、隣り合う偏向電極27の間の間隔よりも大きい。第1電極21のY軸方向についての寸法は、全ての偏向電極27における幅寸法の和と、全ての隣り合う偏向電極27の間の間隔の和と、を足し合わせた値とされる。つまり、第1電極21は、Y軸方向に沿って全ての偏向電極27を横切る範囲に形成されている。
検出セル20を構成する第2基板24には、図5に示すように、平面に視て横長の方形状をなしている。第2基板24には、第2電極22と、複数の検出電極26と、に加えて、給電電極(第4電極)28が設けられている。給電電極28は、第2電位調整部42及び第2電極22に接続されており、第2電位調整部42から供給される電位を第2電極22に供給することができる。第2電極22及び給電電極28は、第2基板24のうちのX軸方向についての一端側(上流側)に偏在している。先に第2電極22に関して詳しく説明する。
第2電極22は、平面に視て横長の方形状をなしており、Y軸方向(第3方向)に間隔を空けて複数が並んで配されている。具体的には、第2電極22の並び数は、例えば5とされる。第2電極22には、図5の上から順に、第1フィルタ電極(第5電極)22A、第2フィルタ電極(第6電極)22B、第3フィルタ電極22C、第4フィルタ電極22D及び第5フィルタ電極22Eが含まれる。なお、以下では複数の第2電極22を区別する場合には、名称をそれぞれ「第1フィルタ電極~第5フィルタ電極」として符号に添え字A~Eを付し、区別せずに総称する場合には、名称を「第2電極」とし、符号に添え字を付さないものとする。複数の第2電極22におけるY軸方向についての配列間隔は、ほぼ一定とされる。複数の第2電極22におけるY軸方向についての配列間隔は、複数の偏向電極27におけるY軸方向についての配列間隔とほぼ同じとされる。具体的には、隣り合う第2電極22の間の間隔は、例えば10μm~1.5mmの範囲とされる。本実施形態では、隣り合う第2電極22の間の間隔は、例えば1.5mm程度とされる。第2電極22の幅寸法(Y軸方向についての寸法)は、隣り合う第2電極22の間の間隔よりも大きい。具体的には、第2電極22の幅寸法は、例えば1mm以上とされることで、試料イオンをフィルタリングする機能を十分に発揮することができる。本実施形態では、第2電極22の幅寸法は、例えば2.4mm程度とされる。第2電極22の幅寸法は、偏向電極27の幅寸法とほぼ同じとされる。
検出電極26は、第2基板24のうちのX軸方向についての他端側(下流側)に偏在している。検出電極26は、平面に視て横長の方形状をなしており、Y軸方向に間隔を空けて複数が並んで配されている。具体的には、検出電極26の並び数は、例えば5とされる。検出電極26には、図5の上から順に、第1検出電極(第7電極)26A、第2検出電極(第8電極)26B、第3検出電極26C、第4検出電極26D及び第5検出電極26Eが含まれる。なお、以下では複数の検出電極26を区別する場合には、名称をそれぞれ「第1検出電極~第5検出電極」として符号に添え字A~Eを付し、区別せずに総称する場合には、符号に添え字を付さないものとする。
複数の検出電極26におけるY軸方向についての配列間隔は、図5及び図6に示すように、ほぼ一定とされる。複数の検出電極26におけるY軸方向についての配列間隔は、複数の第2電極22におけるY軸方向についての配列間隔や複数の偏向電極27におけるY軸方向についての配列間隔とほぼ同じとされる。隣り合う検出電極26の間の間隔は、隣り合う第2電極22の間の間隔や隣り合う偏向電極27の間の間隔とほぼ同じとされる。検出電極26の幅寸法(Y軸方向についての寸法)は、隣り合う検出電極26の間の間隔よりも大きい。検出電極26の幅寸法は、第2電極22の幅寸法や偏向電極27の幅寸法とほぼ同じとされる。検出電極26は、第2電極22や偏向電極27とY軸方向について同心に配される。第1検出電極26Aは、第1フィルタ電極22Aに対してX軸方向に沿って下流側に直線的に並び、第1偏向電極27Aと対向する。第2検出電極26Bは、第2フィルタ電極22Bに対してX軸方向に沿って下流側に直線的に並び、第2偏向電極27Bと対向する。第3検出電極26Cは、第3フィルタ電極22Cに対してX軸方向に沿って下流側に直線的に並び、第3偏向電極27Cと対向する。第4検出電極26Dは、第4フィルタ電極22Dに対してX軸方向に沿って下流側に直線的に並び、第4偏向電極27Dと対向する。第5検出電極26Eは、第5フィルタ電極22Eに対してX軸方向に沿って下流側に直線的に並び、第5偏向電極27Eと対向する。
給電電極28は、図5に示すように、平面に視てやや縦長の方形状をなしており、第2基板24のうちのX軸方向についての一端側(上流側)に偏在している。給電電極28は、X軸方向(第1方向)に沿って延在するとともに、Y軸方向(第3方向)に沿って延在する。給電電極28は、X軸方向及びY軸方向についての各寸法が、第1電極21とほぼ同じとされる。具体的には、給電電極28は、X軸方向についての寸法が例えば15mm程度とされ、Y軸方向についての寸法が例えば18mm程度とされる。
給電電極28は、図1及び図7に示すように、第1電極21とほぼ全域同士が平面に視て重なるよう配されている。つまり、給電電極28及び第1電極21は、同心となるよう平面配置されている。給電電極28は、第2電極22に対してZ軸方向について第1電極21側とは反対側(第2基板24側)に重ねられている。給電電極28は、X軸方向についての寸法が、第2電極22とほぼ同じとされる。給電電極28は、第2電極22のうちの給電電極28側を向いた面に対してX軸方向について全長にわたって接する。給電電極28のY軸方向についての寸法は、第2電極22の個々の幅寸法よりも大きい。詳しくは、給電電極28のY軸方向についての寸法は、給電電極28のY軸方向についての寸法は、全ての第2電極22における幅寸法の和と、全ての隣り合う第2電極22の間の間隔の和と、を足し合わせた値とされる。つまり、給電電極28は、Y軸方向に沿って全ての第2電極22を横切る範囲に形成されている。給電電極28は、全ての第2電極22に対して重なり、各第2電極22のうちの給電電極28側を向いた面の全域にわたって接する。
給電電極28には、第2電極22と重畳していて第2電極22に直接接する部分と、第2電極22とは非重畳とされてY軸方向に隣り合う第2電極22の間に位置する部分と、が含まれる。以下では、給電電極28のうち、第1フィルタ電極22Aと重畳する部分を第1重畳部28Aとし、第2フィルタ電極22Bと重畳する部分を第2重畳部28Bとし、第3フィルタ電極22Cと重畳する部分を第3重畳部28Cとし、第4フィルタ電極22Dと重畳する部分を第4重畳部28Dとし、第5フィルタ電極22Eと重畳する部分を第5重畳部28Eとする。また、給電電極28のうち、Y軸方向について第1フィルタ電極22Aと第2フィルタ電極22Bとの間に位置する部分を第1非重畳部(第1電極間部)28Fとし、Y軸方向について第2フィルタ電極22Bと第3フィルタ電極22Cとの間に位置する部分を第2非重畳部(第2電極間部)28Gとし、Y軸方向について第3フィルタ電極22Cと第4フィルタ電極22Dとの間に位置する部分を第3非重畳部(第3電極間部)28Hとし、Y軸方向について第4フィルタ電極22Dと第5フィルタ電極22Eとの間に位置する部分を第4非重畳部(第4電極間部)28Iとする。
給電電極28は、第2電極22よりもシート抵抗が高い導電膜、いわば高抵抗膜(第1導電膜)からなる。具体的には、給電電極28は、シート抵抗が、例えば40Ω/□~100kΩ/□の範囲とされる。給電電極28は、例えば、酸化金属薄膜(ITO、IZO等)または窒化金属薄膜(CrN、TaN等)からなる。給電電極28を構成する高抵抗膜の膜厚は、例えば50nm~300nmの範囲とされる。これに対し、第2電極22は、給電電極28よりもシート抵抗が低い導電膜、いわば低抵抗膜(第2導電膜)からなる。具体的には、第2電極22は、シート抵抗が、例えば40Ω/□以下とされる。第2電極22は、例えば、金属薄膜(上層側から順に積層されるW/TaN、Ti/Al/Ti、MoW等の積層薄膜等)や酸化金属薄膜(熱処理したITO等)からなる。第2電極22を構成する低抵抗膜の膜厚は、例えば50nm~300nmの範囲とされる。製造に際しては、第2基板24には、先に高抵抗膜を成膜し、高抵抗膜をパターニングすることで給電電極28を形成した後で、低抵抗膜を成膜し、低抵抗膜をパターニングして第2電極22を形成する等すればよい。
上記のような構成の給電電極28のうち、Y軸方向についての一方の端部28α及び他方の端部には、それぞれ異なる電位が第2電位調整部42によって供給されている。具体的には、給電電極28のうち、Y軸方向についての一方(図5に示す上側、図7に示す左側)の端部28αには、第1電位Vcmaxが供給される。給電電極28のうち、Y軸方向についての他方(図5に示す下側、図7に示す右側)の端部28βには、第1電位Vcmaxよりも低い第2電位Vcminが供給される。このような給電電極28に対し、複数の第2電極22は、Y軸方向について異なる位置に接続されている。詳しくは、第1フィルタ電極22Aは、給電電極28のうち、Y軸方向についての一方の端部28αに最も近い位置に接続されている。より詳しくは、第1フィルタ電極22Aは、少なくとも給電電極28におけるY軸方向についての一方の端部28αと重畳して配されている。従って、第1重畳部28Aは、給電電極28におけるY軸方向についての一方の端部28αを含む。第2フィルタ電極22Bは、給電電極28のうち、Y軸方向についての一方の端部28αに二番目に近い位置に接続されている。従って、第1フィルタ電極22Aは、第2フィルタ電極22Bの接続位置に比べると、給電電極28のうち、Y軸方向についての一方の端部28αに相対的に近い位置に接続されている。第2フィルタ電極22Bは、第1フィルタ電極22Aの接続位置に比べると、給電電極28のうち、Y軸方向についての他方の端部28βに相対的に近い位置に接続されている。第3フィルタ電極22Cは、給電電極28のうち、Y軸方向についての一方の端部28αに三番目に近い位置に接続されている。第4フィルタ電極22Dは、給電電極28のうち、Y軸方向についての一方の端部28αに四番目に近い位置に接続されている。第5フィルタ電極22Eは、給電電極28のうち、Y軸方向についての他方の端部28βに最も近い位置に接続されている。より詳しくは、第5フィルタ電極22Eは、少なくとも給電電極28におけるY軸方向についての他方の端部28βと重畳して配されている。従って、第5重畳部28Eは、給電電極28におけるY軸方向についての他方の端部28βを含む。
既述した通り、給電電極28のシート抵抗は、第2電極22のシート抵抗よりも高い。従って、各フィルタ電極22A~22Eに供給される電位には、給電電極28に対する各フィルタ電極22A~22EのY軸方向についての接続位置と、給電電極28のうちの第1電位Vcmaxとされる一方の端部28αと、の間の距離に応じた電圧降下が生じる。つまり、上記した距離が大きくなるほど、生じる電圧降下も大きくなる傾向にある。具体的には、各フィルタ電極22A~22Eの接続位置が、給電電極28の一方の端部28α(第1重畳部28A)に近くなるほど各フィルタ電極22A~22Eに供給される電位が高くなり、逆に給電電極28の他方の端部28β(第5重畳部28E)に近くなるほど、各フィルタ電極22A~22Eに供給される電位が低くなる。Y軸方向に隣り合う第2電極22の間に生じる電位差は、Y軸方向に隣り合う第2電極22の間の間隔、つまり各非重畳部28F~28Iの幅寸法に応じて変動する。Y軸方向に隣り合う第2電極22の間の間隔は、例えば10μm~1.5mmの範囲とされ、本実施形態では例えば1.5mmとされる。Y軸方向に隣り合う第2電極22の間の間隔が上記した数値範囲とされることで、Y軸方向に隣り合う第2電極22の間に生じる電位差を、十分な大きさとすることができる。
給電電極28及び各フィルタ電極22A~22Eのそれぞれの電位に関して図8及び図9を用いて説明する。図8は、給電電極28及び各フィルタ電極22A~22Eに係る回路図である。給電電極28のうち、Y軸方向に隣り合う第2電極22の間に存在する各非重畳部28F~28Iは、それぞれ実質的に抵抗器として機能する。従って、図8に示される回路図には、各非重畳部28F~28Iを抵抗器として図示している。本実施形態では、全ての非重畳部28F~28Iの幅寸法がほぼ等しいことから、抵抗器である非重畳部28F~28Iの抵抗値もほぼ等しい。非重畳部28F~28Iの抵抗値は、例えば16kΩ程度とされる。また、給電電極28に含まれる各重畳部28A~28Eは、重畳する各フィルタ電極22A~22Eと同電位である。図8には、給電電極28におけるY軸方向についての一方の端部28αの第1電位が「Vcmax」と記され、他方の端部28βの第2電位が「Vcmin」と記されている。図8には、第1フィルタ電極22Aの電位が「Vc1」と記され、第2フィルタ電極22Bの電位が「Vc2」と記され、第3フィルタ電極22Cの電位が「Vc3」と記され、第4フィルタ電極22Dの電位が「Vc4」と記され、第5フィルタ電極22Eの電位が「Vc5」と記されている。第1フィルタ電極22Aは、給電電極28におけるY軸方向についての一方の端部28α(第1重畳部28A)と重畳する配置であるから、第1フィルタ電極22Aの電位Vc1は、第1電位Vcmaxと等しい。第5フィルタ電極22Eは、給電電極28におけるY軸方向についての他方の端部28β(第5重畳部28E)と重畳する配置であるから、第5フィルタ電極22Eの電位Vc5は、第2電位Vcminと等しい。
図9は、各フィルタ電極22A~22EのY軸方向についての位置と、各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5と、の関係を概念的に表すグラフである。図9における縦軸が各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5であり、横軸が各フィルタ電極22A~22EのY軸方向についての位置である。図9の横軸には、各フィルタ電極22A~22EのY軸方向についての範囲と、給電電極28に含まれる各非重畳部28F~28IのY軸方向についての範囲と、が示されている。図9によれば、第1フィルタ電極22Aの電位Vc1が最大値であり、第2フィルタ電極22Bの電位Vc2、第3フィルタ電極22Cの電位Vc3、第4フィルタ電極22Dの電位Vc4の順で低下し、第5フィルタ電極22Eの電位Vc5が最小値である。各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5は、各フィルタ電極22A~22EのY軸方向についての範囲において一定とされる。その理由は、主には各フィルタ電極22A~22Eが給電電極28よりもシート抵抗が低い低抵抗膜により構成されているからである。また、各フィルタ電極22A~22Eが、X軸方向及びY軸方向について全域にわたって給電電極28に対して接していることも、各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5が一定であることに寄与している。図9によれば、各非重畳部28F~28Iにおいて電圧降下が生じていることが分かる。
各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5は、次の一般式に基づいて算出することが可能である。電位Vc1~Vc5を算出するための一般式は、「n/m(Vcmax-Vcmin)+Vcmin」である。この一般式に含まれる「m」は、算出対象となる電位Vc1~Vc5のフィルタ電極22A~22Eと、給電電極28におけるY軸方向についての他方の端部28βと、の間に存在する抵抗器に係る抵抗値の和である。一般式に含まれる「n」は、給電電極28におけるY軸方向についての一方の端部28αと他方の端部28βとの間に存在する抵抗器に係る抵抗値の和である。本実施形態では、全ての抵抗器の抵抗値が等しいことから、上記した「抵抗値の和」は、「抵抗器の数」と一致する。詳しくは、第1フィルタ電極22Aの電位Vc1は、数式1「4/4(Vcmax-Vcmin)+Vcmin」により算出される。第2フィルタ電極22Bの電位Vc2は、数式2「3/4(Vcmax-Vcmin)+Vcmin」により算出される。第3フィルタ電極22Cの電位Vc3は、数式3「2/4(Vcmax-Vcmin)+Vcmin」により算出される。第4フィルタ電極22Dの電位Vc4は、数式4「1/4(Vcmax-Vcmin)+Vcmin」により算出される。第5フィルタ電極22Eの電位Vc5は、数式5「0/4(Vcmax-Vcmin)+Vcmin」により算出される。具体例を挙げると、例えば第1電位Vcmaxが「20V」とされ、第2電位Vcminが「19.6V」とされる場合、上記した数式1~数式5に基づいて各電位Vc1~Vc5を算出すると、電位Vc1が「20V」となり、電位Vc2が「19.9V」となり、電位Vc3が「19.8V」となり、電位Vc4が「19.7V」となり、電位Vc5が「19.6V」となる。なお、第1電位Vcmax及び第2電位Vcminの具体的な数値は、上記以外にも適宜に変更可能である。
以上のような構成の分析装置1を用いて測定を行い、図3に示すようなマップグラフを得るには、分散電圧DVを最小値から最大値に至るまで設定しつつ、補償電圧CVを下限電圧VCVLから上限電圧VCVHに至るまで変化させるスキャンを行う。このスキャンを行う回数、つまり測定回数について、図10A及び図10Bを参照しつつ説明する。
図10A及び図10Bは、いずれも図3に示すようなマップグラフの一部を拡大した図である。図10Aは、第2電極を単一構造とした比較例に係るマップグラフである。比較例は、第2電極が第1電極と同じ大きさの単一の電極とされ、検出電極及び偏向電極もそれぞれ単一の電極とされる点で、次述する実施例とは異なる。図10Bは、第2電極22を5つとした実施例に係るマップグラフである。実施例は、本段落以前に説明した検出セル20と同一である。図10A及び図10Bにおける縦軸が分散電圧DV1~DV5であり、横軸が補償電圧CV1~CV10である。図10A及び図10Bでは、分散電圧DV1~DV5を5段階とし、補償電圧CV1~CV10を10段階とした場合を例示している。また、図10A及び図10Bに示されるマップグラフには、測定回数の数値が記されている。図10Aに示される比較例では、第2電極を単一構造としており、1回の測定で補償電圧CV1~CV10のうちのいずれか1通りしか印加できない。このため、比較例では、図10Aのマップグラフを満たすのに要する測定回数は、50回となる。これに対し、図10Bに示される実施例では、第2電極22を5つとし、1回の測定で補償電圧CV1~CV10のうちの5通り(例えば補償電圧CV1~CV5または補償電圧CV6~CV10)を印加することができる。従って、実施例では、図10Bのマップグラフを満たすのに要する測定回数は、10回となる。つまり、実施例は、比較例に比べると、測定回数が1/5で済む。
具体的な測定に際しては、給電電極28のうちのY軸方向についての一方の端部28αに第1電位Vcmaxが供給されるとともに、Y軸方向についての他方の端部28βに第2電位Vcminが供給されると、各フィルタ電極22A~22Eには、給電電極28に対するY軸方向についての接続位置に応じて電位Vc1~Vc5がそれぞれ供給される。各検出電極26A~26Eは、各フィルタ電極22A~22EとX軸方向に沿って並んで配されているので、上記した電位Vc1~Vc5の各フィルタ電極22A~22Eによってフィルタリングされた荷電粒子をそれぞれ捕集することができる。個別に説明すると、第1検出電極26Aは、X軸方向に沿って並ぶ第1フィルタ電極22Aによってフィルタリングされた荷電粒子を捕集し、第2検出電極26Bは、X軸方向に沿って並ぶ第2フィルタ電極22Bによってフィルタリングされた荷電粒子を捕集し、第3検出電極26Cは、X軸方向に沿って並ぶ第3フィルタ電極22Cによってフィルタリングされた荷電粒子を捕集し、第4検出電極26Dは、X軸方向に沿って並ぶ第4フィルタ電極22Dによってフィルタリングされた荷電粒子を捕集し、第5検出電極26Eは、X軸方向に沿って並ぶ第5フィルタ電極22Eによってフィルタリングされた荷電粒子を捕集する。
ここで、第2電極22は、給電電極28よりもシート抵抗が低い。従って、各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5は、図9に示すように、各フィルタ電極22A~22Eの範囲内においてはそれぞれ一定の電位となる。つまり、各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5は、従来のようにY軸方向についての位置に応じて変化することがない。個別に説明すると、第1フィルタ電極22AにおいてY軸方向について全域にわたって電位Vc1がほぼ一定とされ、第2フィルタ電極22BにおいてY軸方向について全域にわたって電位Vc2がほぼ一定とされ、第3フィルタ電極22CにおいてY軸方向について全域にわたって電位Vc3がほぼ一定とされ、第4フィルタ電極22DにおいてY軸方向について全域にわたって電位Vc4がほぼ一定とされ、第5フィルタ電極22EにおいてY軸方向について全域にわたって電位Vc5がほぼ一定とされる。従って、各フィルタ電極22A~22Eの電位Vc1~Vc5によって捕集された荷電粒子に基づく検出結果の分解能を従来よりも高くすることができる。また、給電電極28のうち、Y軸方向についての一方の端部28αに第1電位Vcmaxを、他方の端部28βに第2電位Vcminを、それぞれ供給すればよいから、従来よりも第2電極22に電位を供給するための回路を簡単にすることができる。なお、図10Bのマップグラフを満たす場合を例示すると、10段階の補償電圧CV1~CV10を各フィルタ電極22A~22Eに印加するには、第1の測定(例えば補償電圧CV1~CV5を印加する測定)と第2の測定(例えば補償電圧CV6~CV10を印加する測定)とで第1電位Vcmax及び第2電位Vcminを異ならせればよい。
以上説明したように本実施形態の検出セル(検出器)20は、第1電極21と、第1電極21と間隔を空けて対向し、第1電極21との間に検出対象物である荷電粒子の流路25を形成する第2電極22と、第1電極21及び第2電極22に対して流路25の下流側に配され、荷電粒子を捕集する検出電極(第3電極)26と、第2電極22に接続され、第2電極22よりもシート抵抗が高い給電電極(第4電極)28と、を備え、給電電極28は、流路25にて荷電粒子が流れる方向である第1方向と交差し、第1電極21から第2電極22へ向かう方向である第2方向と直交する第3方向に沿って延在し、給電電極28のうち、第3方向についての一方の端部28αが第1電位Vcmaxとされ、第3方向についての他方の端部28βが第1電位Vcmaxよりも低い第2電位Vcminとされており、第2電極22は、第3方向に間隔を空けて並ぶ第1フィルタ電極(第5電極)22A及び第2フィルタ電極(第6電極)22Bを含み、第1フィルタ電極22Aは、給電電極28のうち、他方の端部28βよりも一方の端部28αに近い位置に接続され、第2フィルタ電極22Bは、給電電極28のうち、第1フィルタ電極22Aの接続位置よりも他方の端部28βに近い位置に接続され、検出電極26は、第3方向に間隔を空けて並ぶ第1検出電極(第7電極)26A及び第2検出電極(第8電極)26Bを含み、第1検出電極26Aは、第1フィルタ電極22Aと第1方向に沿って並んで配され、第2検出電極26Bは、第2フィルタ電極22Bと第1方向に沿って並んで配される。
第1電極21と第2電極22との間に生じる電界によって第1電極21と第2電極22との間に形成される流路25における荷電粒子の通過の可否が制御される。流路25を通過した荷電粒子は、第1電極21及び第2電極22に対して流路25の下流側に配される検出電極26により捕集され、検出される。第2電極22には、接続された給電電極28によって電位が供給される。給電電極28は、第2電極22よりもシート抵抗が高いので、第2電極22に含まれる第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bの接続位置が第3方向について異なることで、第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bに供給される電位が異なる。具体的には、第1フィルタ電極22Aは、給電電極28のうち、第3方向について他方の端部28βよりも一方の端部28αに近い位置に接続されるので、第2電位Vcminよりも第1電位Vcmaxに近い電位または第1電位Vcmaxと同じ電位とされる。第2フィルタ電極22Bは、給電電極28のうち、第3方向について第1フィルタ電極22Aの接続位置よりも他方の端部28βに近い位置に接続されるので、第1フィルタ電極22Aの電位よりも低い電位とされる。検出電極26に含まれる第1検出電極26Aは、第1フィルタ電極22Aと第1方向に沿って並んで配されているので、上記した電位の第1フィルタ電極22Aによってフィルタリングされた荷電粒子を捕集することができる。検出電極26に含まれる第2検出電極26Bは、第2フィルタ電極22Bと第1方向に沿って並んで配されているので、上記した電位の第2フィルタ電極22Bによってフィルタリングされた荷電粒子を捕集することができる。
ここで、第2電極22は、給電電極28よりもシート抵抗が低い。従って、第1フィルタ電極22Aの電位は、第1フィルタ電極22Aの範囲内においては一定の電位となり、第2フィルタ電極22Bの電位は、第2フィルタ電極22Bの範囲内においては一定の電位となる。つまり、第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bの各電位は、従来のように第3方向の位置に応じて変化することがないから、第1検出電極26A及び第2検出電極26Bによって捕集された荷電粒子に基づく検出結果の分解能を従来よりも高くすることができる。また、給電電極28のうち、第3方向についての一方の端部28αに第1電位Vcmaxを、他方の端部28βに第2電位Vcminを、それぞれ供給すればよいから、従来よりも第2電極22に電位を供給するための回路を簡単にすることができる。
また、給電電極28は、第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bに対して第1電極21側とは反対側に重なる。仮に給電電極28が第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bとは重ならない配置とされる場合に比べると、当該検出セル20のスペース効率が向上し、当該検出セル20を小型化する上で好適となる。
また、給電電極28は、第1方向に沿って延在し、第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bの全長に至るよう設けられ、第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bのうち、給電電極28側を向いた面に対して第1方向について全長にわたって接する。第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bにおいて、第1方向についての電位分布がそれぞれ均一化される。これにより、荷電粒子の捕捉率が向上する。また、給電電極28と第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bとが直接接するので、給電電極28と第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bとを接続するための配線等が不要となる。
また、給電電極28は、第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bのうち、給電電極28側を向いた面の全域にわたって接する。仮に第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bの対向面の一部が給電電極28に接する場合に比べると、給電電極28と第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bとの接続信頼性が高くなり、また、第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bの表面に段差が生じ難くなる。仮に給電電極28と第1フィルタ電極22A及び第2フィルタ電極22Bとの間に絶縁膜を介在させた場合に比べると、製造プロセスが簡略化される。
また、第1フィルタ電極22A及び第1検出電極26Aは、第3方向についての寸法が同じとされるとともに第3方向について同心に配され、第2フィルタ電極22B及び第2検出電極26Bは、第3方向についての寸法が同じとされるとともに第3方向について同心に配される。第1フィルタ電極22Aによりフィルタリングされた荷電粒子を、第1検出電極26Aにより効率的に捕捉することができる。第2フィルタ電極22Bによりフィルタリングされた荷電粒子を、第2検出電極26Bにより効率的に捕捉することができる。これにより、荷電粒子の捕捉率が向上する。
<実施形態2>
実施形態2を図11から図14によって説明する。この実施形態2では、第2電極122と給電電極128との間に絶縁膜29を設けた場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
実施形態2を図11から図14によって説明する。この実施形態2では、第2電極122と給電電極128との間に絶縁膜29を設けた場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係る検出セル120に備わる第2基板124には、図11及び図12に示すように、絶縁膜29が設けられている。絶縁膜29は、第2電極122と給電電極128との間にZ軸方向について挟まれるよう配されている。詳しくは、絶縁膜29は、給電電極128に対してZ軸方向について第1電極121側(第2基板124側とは反対側)に重ねられ、第2電極122に対してZ軸方向について第1電極121側とは反対側(第2基板124側)に重ねられている。絶縁膜29は、給電電極128をX軸方向及びY軸方向について概ね全域にわたって覆うよう配されている。絶縁膜29は、例えばSiN、SiO2、SiON等の無機材料からなり、単層膜であっても積層膜であってもよい。絶縁膜29の膜厚は、例えば100nm~900nmの範囲とされる。絶縁膜29の絶縁性能を十分に担保するには、絶縁膜29の膜厚を500nm以上とするのが好ましい。
絶縁膜29には、給電電極128と各フィルタ電極122A~122Eとを個別に接続するための開口29A~29Eが設けられている。詳しくは、絶縁膜29には、第1フィルタ電極122Aの一部と重なる位置に配される第1開口29Aと、第2フィルタ電極122Bの一部と重なる位置に配される第2開口29Bと、第3フィルタ電極122Cの一部と重なる位置に配される第3開口29Cと、第4フィルタ電極122Dの一部と重なる位置に配される第4開口29Dと、第5フィルタ電極122Eの一部と重なる位置に配される第5開口29Eと、が設けられる。第1フィルタ電極122Aは、その一部が第1開口29Aを通して給電電極128に接続される。第2フィルタ電極122Bは、その一部が第2開口29Bを通して給電電極128に接続される。第3フィルタ電極122Cは、その一部が第3開口29Cを通して給電電極128に接続される。第4フィルタ電極122Dは、その一部が第4開口29Dを通して給電電極128に接続される。第5フィルタ電極122Eは、その一部が第5開口29Eを通して給電電極128に接続される。このように、本実施形態に係る複数の第2電極122は、給電電極128に対して複数の開口29A~29Eを通してY軸方向について異なる位置に接続されている。
絶縁膜29には、各開口29A~29Eが、各フィルタ電極122A~122EとY軸方向について同心となる位置(Y軸方向についての中央位置)に設けられる。従って、各フィルタ電極122A~122Eは、Y軸方向についての中央部分が各開口29A~29Eを通して選択的に給電電極128に接続される。絶縁膜29には、各開口29A~29Eが、X軸方向に沿って延在し、各フィルタ電極122A~122E(絶縁膜29)の全長に至るよう設けられる。従って、各フィルタ電極122A~122Eは、給電電極128に対して各開口29A~29Eを通してX軸方向について全長にわたって接する。絶縁膜29は、各開口29A~29Eの幅寸法(Y軸方向についての寸法)がほぼ一定で、各フィルタ電極122A~122Eの幅寸法よりも十分に小さい値とされる。具体的には、各開口29A~29Eの幅寸法は、例えば1μm~500μmの範囲とされる。絶縁膜29は、各開口29A~29EがY軸方向についてほぼ等間隔に並んで配されている。Y軸方向に隣り合う各開口29A~29Eの間の間隔は、例えば10μm~1.5mmの範囲とされる。つまり、Y軸方向に隣り合う各開口29A~29Eの間の間隔は、実施形態1と同等でもよい。
給電電極128には、各開口29A~29Eと重畳していて第2電極122に直接接する部分と、各開口29A~29Eとは非重畳とされて第2電極122とは直接接しない部分と、が含まれる。以下では、給電電極128のうち、第1開口29Aと重畳する部分を第6重畳部128Jとし、第2開口29Bと重畳する部分を第7重畳部128Kとし、第3開口29Cと重畳する部分を第8重畳部128Lとし、第4開口29Dと重畳する部分を第9重畳部128Mとし、第5開口29Eと重畳する部分を第10重畳部128Nとする。また、給電電極128のうち、Y軸方向について第1開口29Aに対して第2開口29B側とは反対側(図11の上側、図12の左側)に位置していて一方の端部128αを含む部分を第5非重畳部128Oとする。給電電極128のうち、Y軸方向について第1開口29Aと第2開口29Bとの間に位置する部分を第6非重畳部128Pとし、Y軸方向について第2開口29Bと第3開口29Cとの間に位置する部分を第7非重畳部128Qとし、Y軸方向について第3開口29Cと第4開口29Dとの間に位置する部分を第8非重畳部128Rとし、Y軸方向について第4開口29Dと第5開口29Eとの間に位置する部分を第9非重畳部128Sとする。給電電極128のうち、Y軸方向について第5開口29Eに対して第4開口29D側とは反対側(図11の下側、図12の右側)に位置していて他方の端部128βを含む部分を第10非重畳部128Tとする。第5非重畳部128O~第10非重畳部128Tのうち、第6非重畳部128P~第9非重畳部128Sは、各フィルタ電極122A~122Eとは非重畳となる部分(Y軸方向に隣り合うフィルタ電極122A~122Eの間に位置する部分)を含む。
給電電極128及び各フィルタ電極122A~122Eのそれぞれの電位に関して図13を用いて説明する。図13は、給電電極128及び各フィルタ電極122A~122Eに係る回路図である。第2電極122よりもシート抵抗が高い給電電極128のうち、各開口29A~29Eとは非重畳とされる各非重畳部128O~128Tは、それぞれ実質的に抵抗器として機能する。図13に示される回路図には、各非重畳部128O~128Tを抵抗器として図示している。各フィルタ電極122A~122Eに供給される電位には、図13に示すように、給電電極128に対する各フィルタ電極122A~122EのY軸方向についての接続位置である各開口29A~29Eと、給電電極128のうちの第1電位Vcmaxとされる一方の端部128αと、の間の距離に応じた電圧降下が生じる。具体的には、第1フィルタ電極122Aの電位Vc6は、第1電位Vcmaxよりも低い。第1フィルタ電極122Aの電位Vc6と第1電位Vcmaxとの間には、一方の端部128αと第1開口29Aとの間の距離(第5非重畳部128Oの幅寸法)に応じた電位差が生じている。第1フィルタ電極122Aの電位Vc6と第2フィルタ電極122Bの電位Vc7との間には、第1開口29Aと第2開口29Bとの間の距離(第6非重畳部128PのY軸方向についての寸法)に応じた電位差が生じている。第2フィルタ電極122Bの電位Vc7と第3フィルタ電極122Cの電位Vc8との間には、第2開口29Bと第3開口29Cとの間の距離(第7非重畳部128QのY軸方向についての寸法)に応じた電位差が生じている。第3フィルタ電極122Cの電位Vc8と第4フィルタ電極122Dの電位Vc9との間には、第3開口29Cと第4開口29Dとの間の距離(第8非重畳部128RのY軸方向についての寸法)に応じた電位差が生じている。第4フィルタ電極122Dの電位Vc9と第5フィルタ電極122Eの電位Vc10との間には、第4開口29Dと第5開口29Eとの間の距離(第9非重畳部128SのY軸方向についての寸法)に応じた電位差が生じている。第5フィルタ電極122Eの電位Vc10は、第2電位Vcminよりも高い。第5フィルタ電極122Eの電位Vc10と第2電位Vcminとの間には、他方の端部128βと第5開口29Eとの間の距離(第10非重畳部128Tの幅寸法)に応じた電位差が生じている。本実施形態では、Y軸方向に隣り合う開口29A~29Eの間の距離が全て等しいことから、Y軸方向に隣り合うフィルタ電極122A~122Eの間に生じる電位差も等しい。
以上のように、各フィルタ電極122A~122Eの電位Vc6~Vc10は、絶縁膜29における各開口29A~29EのY軸方向についての位置に依存しており、各フィルタ電極122A~122EのY軸方向についての位置や幅寸法とは無関係である。従って、各フィルタ電極122A~122EのY軸方向についての位置や幅寸法に係る設計自由度が高くなっている。このことを利用し、本実施形態では、各フィルタ電極122A~122Eの幅寸法が、実施形態1に記載した各フィルタ電極22A~22Eの幅寸法よりも大きい。これに伴い、Y軸方向に隣り合う各フィルタ電極122A~122Eの間の間隔は、実施形態1に記載したY軸方向に隣り合う各フィルタ電極22A~22Eの間の間隔(図5)よりも小さく、各開口29A~29Eの幅寸法よりも小さい。このようにY軸方向に隣り合う各フィルタ電極122A~122Eの間の間隔を極力狭く設定すれば、各フィルタ電極122A~122Eに捕捉されない荷電粒子の量を減らすことができるので、結果として各フィルタ電極122A~122Eによる荷電粒子の捕捉率を向上させることができる。また、給電電極128は、各フィルタ電極122A~122Eのうちの給電電極128側を向いた面に対して各開口29A~29Eと重畳する各重畳部128J~128NがX軸方向について全長にわたって接している。このようにすれば、各フィルタ電極122A~122Eにおいて、X軸方向についての電位分布がそれぞれ均一化される。これにより、各フィルタ電極122A~122Eによる荷電粒子の捕捉率をより向上させることができる。なお、各検出電極126A~126Eの幅寸法は、X軸方向に沿って並ぶ各フィルタ電極122A~122Eの幅寸法と同じとされる。また、各偏向電極27A~27Eの幅寸法は、対向する各検出電極126A~126Eの幅寸法と同じとされる。
図14は、各フィルタ電極122A~122EのY軸方向についての位置と、各フィルタ電極122A~122Eの電位Vc6~Vc10と、の関係を概念的に表すグラフである。図14における縦軸が各フィルタ電極122A~122Eの電位Vc6~Vc10であり、横軸が各フィルタ電極122A~122EのY軸方向についての位置である。図14の横軸には、各フィルタ電極122A~122EのY軸方向についての範囲が示されている。なお、図14の横軸においてY軸方向に隣り合うフィルタ電極122A~122Eの間には、第6非重畳部128P~第9非重畳部128Sの一部(各フィルタ電極122A~122Eとは非重畳となる部分)が存在している。図14によれば、第1フィルタ電極122Aの電位Vc6、第2フィルタ電極122Bの電位Vc7、第3フィルタ電極122Cの電位Vc8、第4フィルタ電極122Dの電位Vc9、第5フィルタ電極122Eの電位Vc10の順で低下する。第1フィルタ電極122Aの電位Vc6は、第1電位Vcmaxよりも低い。第5フィルタ電極122Eの電位Vc10は、第2電位Vcminよりも高い。各フィルタ電極122A~122Eの電位Vc6~Vc10は、各フィルタ電極122A~122EのY軸方向についての範囲において一定とされる。各フィルタ電極122A~122Eは、実施形態1に比べると、幅広であることから、各電位Vc6~Vc10が一定となるY軸方向についての範囲も広くなっている。各フィルタ電極122A~122Eの電位Vc6~Vc10が一定であることには、各フィルタ電極122A~122Eと給電電極128との接点である各開口29A~29EがX軸方向に沿って延在して給電電極128の全長にわたって形成されていることも寄与している。
以上説明したように本実施形態によれば、給電電極128と第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bとの間に挟まれる絶縁膜29を備え、絶縁膜29には、第1フィルタ電極122Aの一部と重なる位置に配される第1開口29Aと、第2フィルタ電極122Bの一部と重なる位置に配される第2開口29Bと、が設けられる。第1開口29Aを通して第1フィルタ電極122Aの一部が給電電極128に接続され、第2開口29Bを通して第2フィルタ電極122Bの一部が給電電極128に接続される。第1開口29Aと第2開口29Bとの間の距離に応じて第1フィルタ電極122Aと第2フィルタ電極122Bとの間に電位差が生じる。仮に、給電電極128が第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bの対向面の全域にわたって直接接する構成であると、第1フィルタ電極122Aと第2フィルタ電極122Bとの間に生じさせる電位差に応じて第1フィルタ電極122Aと第2フィルタ電極122Bとの間に空ける間隔が定まることになる。その点、第1フィルタ電極122Aと第2フィルタ電極122Bとの間に生じさせる電位差に応じて第1開口29Aと第2開口29Bとの間の距離を設定すれば、第1フィルタ電極122Aと第2フィルタ電極122Bとの間の間隔について自由に設定することができる。これにより、第1フィルタ電極122Aと第2フィルタ電極122Bとの間の間隔を極力狭くすることが可能となるので、荷電粒子の捕捉率を向上させる上で好適となる。また、給電電極128と第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bとが直接接するので、給電電極128と第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bとを接続するための配線等が不要となる。
また、給電電極128は、第1方向に沿って延在し、第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bの全長に至るよう設けられ、絶縁膜29には、第1開口29A及び第2開口29Bが、第1方向に沿って延在し、第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bの全長に至るよう設けられる。このようにすれば、給電電極128は、第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bのうち、給電電極128側を向いた面に対して第1方向について全長にわたって接する。従って、第1フィルタ電極122A及び第2フィルタ電極122Bにおいて、第1方向についての電位分布がそれぞれ均一化される。これにより、荷電粒子の捕捉率がより向上する。
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)給電電極28,128は、X軸方向についての寸法が、第2電極22,122(各フィルタ電極22A~22E,122A~122E)におけるX軸方向についての寸法よりも小さくてもよい。例えば、給電電極28,128は、Y軸方向に沿って延在する細長い帯状をなしていて、第2電極22,122(各フィルタ電極22A~22E,122A~122E)に対してX軸方向について部分的に重畳するよう配されていてもよい。
(2)給電電極28,128は、第2電極22,122(各フィルタ電極22A~22E,122A~122E)とは非重畳となる位置に配されていてもよい。その場合、給電電極28,128と第2電極22,122(各フィルタ電極22A~22E,122A~122E)とを接続する配線等を設けることが可能である。
(3)上記した(1)または(2)において、給電電極28,128は、X軸方向に対して直交せずに交差する方向(Y軸方向に対する斜め方向)に沿って延在してもよい。
(4)実施形態1に記載の構成において、第1重畳部28Aが給電電極28におけるY軸方向についての一方の端部28αを含まなくてもよい。同様に、第5重畳部28Eが給電電極28におけるY軸方向についての他方の端部28βを含まなくてもよい。
(5)実施形態2に記載の構成において、絶縁膜29におけるY軸方向についての各開口29A~29Eの具体的な配置は、適宜に変更可能である。例えば各開口29A~29Eが、重畳する各フィルタ電極122A~122EにおけるY軸方向についての中央位置から偏在していてもよい。このとき、第1開口29Aを、給電電極128におけるY軸方向についての一方の端部128αと重畳する配置とすることが可能であり、その場合は第1フィルタ電極122Aの電位Vc6が第1電位と等しくなる。同様に、第5開口29Eを、給電電極128におけるY軸方向についての他方の端部128βと重畳する配置とすることが可能であり、その場合は第5フィルタ電極122Eの電位Vc10が第2電位と等しくなる。また、各開口29A~29EがY軸方向について非等間隔に配列されてもよい。
(6)実施形態2に記載の構成において、絶縁膜29における各開口29A~29EのX軸方向についての寸法が各フィルタ電極122A~122EのX軸方向についての寸法よりも小さくてもよい。その場合、例えば1つのフィルタ電極122A~122Eに対して複数の開口29A~29Eを重畳配置し、複数の開口29A~29EをX軸方向に沿って並べて配置することが可能である。
(7)実施形態2に記載の構成において、1つのフィルタ電極122A~122Eに対して複数の開口29A~29Eを重畳配置し、複数の開口29A~29EをY軸方向に沿って並べて配置することも可能である。この構成を上記した(6)と組み合わせることも可能である。
(8)実施形態2に記載の構成において、Y軸方向に隣り合う各フィルタ電極122A~122Eの間の間隔は、各開口29A~29Eの幅寸法と同じでもよく、またそれよりも大きくてもよい。また、Y軸方向に隣り合う各フィルタ電極122A~122Eの間の間隔は、実施形態1に記載したY軸方向に隣り合う各フィルタ電極22A~22Eの間の間隔と同等でもよい。
(9)実施形態2に記載の構成において、絶縁膜29の材料が、有機材料等であってもよい。
(10)実施形態2に記載の構成において、絶縁膜29の膜厚に係る数値範囲は、適宜に変更可能である。
(11)第2電極22,122(フィルタ電極22A~22E,122A~122E)の設置数は、2以上であれば5以外に適宜に変更可能である。同様に、検出電極26及び偏向電極27の設置数は、2つずつ以上であれば5つずつ以外にも適宜に変更可能である。
(12)各フィルタ電極22A~22E,122A~122EがY軸方向について非等間隔に配列されていてもよい。
(13)各フィルタ電極22A~22E,122A~122Eの幅寸法が一定でなくてもよい。
(14)各フィルタ電極22A~22E,122A~122Eと、各フィルタ電極22A~22E,122A~122Eに対してX軸方向に沿って並ぶ各検出電極26A~26E,126A~126Eと、でY軸方向についての寸法が異なっていてもよい。各検出電極26A~26E,126A~126Eが各フィルタ電極22A~22E,122A~122Eよりも幅広であってもよいが、逆に幅狭であってもよい。
(15)Y軸方向に隣り合うフィルタ電極22A~22E,122A~122Eの間の間隔に係る数値範囲は、適宜に変更可能である。特に、実施形態1に記載の構成においては、上記数値範囲は、第2電極22及び給電電極28の各シート抵抗の値に応じて適宜に調整することができる。
(16)第1電極21及び第2電極22,122の膜厚に係る数値範囲は、適宜に変更可能である。
(17)第1基板23に第2電極22,122、給電電極28,128及び偏向電極27等が設けられ、第2基板24に第1電極21及び検出電極26等が設けられてもよい。
(18)第2電極22,122に分散電圧DV及び補償電圧CVを共に印加してもよい。その場合、第2電極22,122を構成する各フィルタ電極22A~22E,122A~122Eに対して分散電圧DVを供給するための電極や配線を給電電極28,128とは別途に設けることができる。なお、第1電極21は、接地等すればよい。
(19)第1電極21に補償電圧CVを印加し、第2電極22,122に分散電圧DVを印加することも可能である。
(20)検出器は、検出セル20,120に加えて制御部40の一部または全てを含んでもよい。
20,120…検出セル(検出器)、21…第1電極、22,122…第2電極、22A,122A…第1フィルタ電極(第5電極)、22B,122B…第2フィルタ電極(第6電極)、25…流路、26…検出電極(第3電極)、26A,126A…第1検出電極(第7電極)、26B,126B…第2検出電極(第8電極)、28,128…給電電極(第4電極)、28α,128α…一方の端部、28β,128β…他方の端部、29…絶縁膜、29A…第1開口、29B…第2開口、Vcmax…第1電位、Vcmin…第2電位
Claims (7)
- 第1電極と、
前記第1電極と間隔を空けて対向し、前記第1電極との間に検出対象物である荷電粒子の流路を形成する第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極に対して前記流路の下流側に配され、前記荷電粒子を捕集する第3電極と、
前記第2電極に接続され、前記第2電極よりもシート抵抗が高い第4電極と、を備え、
前記第4電極は、前記流路にて前記荷電粒子が流れる方向である第1方向と交差し、前記第1電極から前記第2電極へ向かう方向である第2方向と直交する第3方向に沿って延在し、
前記第4電極のうち、前記第3方向についての一方の端部が第1電位とされ、前記第3方向についての他方の端部が前記第1電位よりも低い第2電位とされており、
前記第2電極は、前記第3方向に間隔を空けて並ぶ第5電極及び第6電極を含み、
前記第5電極は、前記第4電極のうち、前記他方の端部よりも前記一方の端部に近い位置に接続され、
前記第6電極は、前記第4電極のうち、前記第5電極の接続位置よりも前記他方の端部に近い位置に接続され、
前記第3電極は、前記第3方向に間隔を空けて並ぶ第7電極及び第8電極を含み、
前記第7電極は、前記第5電極と前記第1方向に沿って並んで配され、
前記第8電極は、前記第6電極と前記第1方向に沿って並んで配される検出器。 - 前記第4電極は、前記第5電極及び前記第6電極に対して前記第1電極側とは反対側に重なる請求項1記載の検出器。
- 前記第4電極は、前記第1方向に沿って延在し、前記第5電極及び前記第6電極の全長に至るよう設けられ、前記第5電極及び前記第6電極のうち、前記第4電極側を向いた面に対して前記第1方向について全長にわたって接する請求項2記載の検出器。
- 前記第4電極は、前記第5電極及び前記第6電極のうち、前記第4電極側を向いた面の全域にわたって接する請求項3記載の検出器。
- 前記第4電極と前記第5電極及び前記第6電極との間に挟まれる絶縁膜を備え、
前記絶縁膜には、前記第5電極の一部と重なる位置に配される第1開口と、前記第6電極の一部と重なる位置に配される第2開口と、が設けられる請求項2記載の検出器。 - 前記第4電極は、前記第1方向に沿って延在し、前記第5電極及び前記第6電極の全長に至るよう設けられ、
前記絶縁膜には、前記第1開口及び前記第2開口が、前記第1方向に沿って延在し、前記第5電極及び前記第6電極の全長に至るよう設けられる請求項5記載の検出器。 - 前記第5電極及び前記第7電極は、前記第3方向についての寸法が同じとされるとともに前記第3方向について同心に配され、
前記第6電極及び前記第8電極は、前記第3方向についての寸法が同じとされるとともに前記第3方向について同心に配される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の検出器。
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