JP2024016032A - 組み換え単純ヘルペスウイルス2(hsv-2)ワクチンベクターを使用する免疫の受動伝達 - Google Patents

組み換え単純ヘルペスウイルス2(hsv-2)ワクチンベクターを使用する免疫の受動伝達 Download PDF

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Abstract

【課題】HSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答を誘導する方法を提供する。【解決手段】第一の対象においてHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答を誘導する方法であって、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2で免疫化した妊婦からの産物の一定量を第一の対象に受動伝達させることを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、ここで、該産物はそれにより誘導された抗体を含み、第一の対象におけるHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答の誘導に有効であり、ここで、該第一の対象は胎児または新生児である、方法とする。【選択図】図2-2

Description

関連出願の相互参照
本PCT国際出願は、2019年1月3日出願の米国出願番号16/238,933に基づく優先権を主張しており、同出願は、2018年6月1日出願の米国出願番号15/995,471の一部継続出願であり、後者は、2016年2月4日出願の米国特許出願番号15/015,322であって、2018年6月19日登録の米国特許9,999,665の継続出願であり、同出願は、2015年3月2日出願のPCT国際出願PCT/US2015/018272の一部継続出願であり、後者は、2014年3月3日出願の米国仮出願番号61/946,965および2014年11月17日出願の米国仮出願番号62/080,663に基づく利益を主張しており、これらすべての出願の内容を、引用により本明細書に包含させる。
政府支援の記載
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)により認定された認可番号AI061679、AI51519、AI097548、AI026170およびAI065309に基づく政府支援を受けてなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
発明の背景
本明細書をとおして、種々の刊行物が、角括弧内の番号によるものを含めて引用されている。これらの文献の完全な引用は、本明細書の最後にまとめられている。これら刊行物ならびにここに引用する全ての特許、特許出願公報および書籍の開示は、本発明が関与する技術をより完全に記載するために、全体として引用により本明細書に包含させる。
単純ヘルペスウイルス1型および2型(HSV-1およびHSV-2)は世界的に重要な健康問題であり続けており、世界中の発展途上国および貧困地域に偏って影響しており、HIV伝搬に拍車を掛けている。HSV-1、HSV-2またはHIVに対する有効なワクチンが現在ないため、これら感染症に対するワクチンは喫緊に必要とされている。HSV-1は感染性失明の主原因であり、一方HSV-2は世界的に性器潰瘍の主原因であるが、先進国では現在HSV-1が生殖器疾患と関連してより広く同定されている。性器ヘルペスは、罹患者が非難され、心理的に影響を受けることがある、再発性の、生涯続く疾患である。HSV-2での感染は、HIVの罹患および伝搬の可能性を顕著に増大させ、一方いずれかの血清型の垂直感染は、しばしば乳幼児の重篤な罹病または死亡を招く。ウイルス糖タンパク質D単独または糖タンパク質B(gDおよびgB)と組み合わせたサブユニット製剤に基づくHSV-2ワクチンの最近の臨床治験は、全身性中和抗体の誘導にも関わらず、失敗した。驚くべきことに、HSV-2 gDサブユニット(gD-2)ワクチンは、HSV-1に対する部分的保護を提供したが、HSV-2に対して保護しなかった。数種の弱毒化ウイルスが前臨床で評価されているが、今日までの臨床試験は治療適用(再発頻度低減)に限定されており、有効性も示されていない。故に、新規ワクチン戦略を立て、評価しなければならない。
本発明は、新規かつ改善されたHSV-1およびHSV-2ワクチンに対するこの必要性に対処する。
発明の概要
第一の対象においてHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答を誘導する方法であって、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2で免疫化した妊婦からの産物の一定量を第一の対象に受動伝達させることを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、ここで、該産物はそれにより誘導された抗体を含み、第一の対象におけるHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答の誘導に有効であり、ここで、該第一の対象は胎児または新生児である、方法が提供される。
新生児における周産期HSV-1および/またはHSV-2感染を阻止する方法であって、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の一定量を該新生児になる胎児を妊娠している女性に投与することを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、新生児における周産期HSV-1および/またはHSV-2感染の阻止に有効である、方法が提供される。
母体から新生児へのHSV-1および/またはHSV-2ウイルス伝播を阻止する方法であって、母体にゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の一定量を投与することを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、母体から新生児へのHSV-1および/またはHSV-2ウイルス伝播の阻止に有効である、方法が提供される。
そのゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子(Us6)の欠失を有する単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)が提供される。
そのゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子(Us6)の欠失を有する単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。
ここに記載する組み換えHSV-2ゲノムまたはここに記載する組み換えHSV-1遺伝子を含む単離細胞が提供され、ここで、該細胞はヒトには存在しない。
ここに記載する組み換えHSV-2ウイルスまたはここに記載するビリオンを含むワクチン組成物もまた提供される。
ここに記載する組み換えHSV-2ウイルスまたはここに記載するビリオンを含む組成物もまた提供され、ここで、該ウイルスまたはビリオンのゲノムは少なくとも第二遺伝子の欠失を含み、ここで、該第二遺伝子はHSV-2ウイルス複製または病原性に必要である。
医薬組成物はここに記載する組み換えHSV-2ウイルスまたはここに記載するビリオンおよび薬学的に許容される担体を含む。
対象における免疫応答を誘導する方法であって、対象における免疫応答の誘導に有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象におけるHSV-1、HSV-2もしくはHSV-1とHSV-2の同時感染を処置するまたは対象におけるHSV-1、HSV-2もしくは同時感染が原因の疾患を処置する方法であって、対象におけるHSV-1、HSV-2もしくは同時感染の処置またはHSV-1、HSV-2もしくは同時感染が原因の疾患の処置に有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象にHSV-1、HSV-2または同時感染に対するワクチン接種をする方法であって、対象にHSV-1、HSV-2または同時感染に対するワクチン接種をするのに有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象をHSV-1、HSV-2または同時感染に対して免疫化する方法であって、対象をHSV-1、HSV-2または同時感染に対して免疫化するのに有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
ワクチン、組成物および医薬組成物ならびにその使用法の実施態様において、組み換えHSV-2の量は、記載する目的の達成に有効である組み換えHSV-2のpfuの量である。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、脂質二重層にHSV-1またはHSV-2糖タンパク質Dを含む組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)のビリオンを産生する方法であって、HSV-1またはHSV-2糖タンパク質Dをコードする異種核酸を含む細胞を、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)に、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)の複製を可能とする条件下で感染させ、該細胞により産生されたHSV-2ビリオンを回収することを含む、方法もまた提供される。
HSV-2糖タンパク質Dをコードする配列を含まない以外、野生型HSV-2のゲノムと同じ配列を有する組み換え核酸もまた提供される。
対象におけるHSV-1、HSV-2または同時感染の処置または予防のための、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。
対象におけるHSV-1、HSV-2または同時感染の処置または予防のための、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)が提供される。

ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。
ここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンを含む単離細胞もまた提供され、ここで、該細胞はヒトには存在しない。
ワクチン組成物はここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンを含む。
ここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンを含む組成物もまた提供され、ここで、該ウイルスまたはビリオンのゲノムは少なくとも第二遺伝子の欠失を含み、ここで、該第二遺伝子はHSV-2ウイルス複製に必要である。
ここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供される。
対象における免疫応答を誘導する方法であって、対象における免疫応答の誘導に有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象におけるHSV-2感染を処置するまたは対象におけるHSV-2感染が原因の疾患を処置する方法であって、対象におけるHSV-2感染の処置または対象におけるHSV-2感染が原因の疾患の処置に有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象にHSV-2感染に対するワクチン接種をする方法であって、対象にHSV-2感染に対するワクチン接種をするのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象をHSV-2感染に対して免疫化する方法であって、対象をHSV-2感染に対して免疫化するのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、脂質二重層にHSV-1糖タンパク質Dを含む組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)のビリオンを産生する方法であって、HSV-1糖タンパク質Dをコードする異種核酸を含む細胞を、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)に、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)の複製を可能とする条件下で感染させ、該細胞により産生された脂質二重層のHSV-1糖タンパク質Dを含む組み換えHSV-2ビリオンを回収することを含む、方法もまた提供される。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、脂質二重層に非HSV-2表面糖タンパク質を含む組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)のビリオンを産生する方法であって、非HSV-2表面糖タンパク質をコードする異種核酸を含む細胞を、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)に、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)の複製を可能とする条件下で感染させ、該細胞により産生された脂質二重層に非HSV-2表面糖タンパク質を含む組み換えHSV-2ビリオンを回収することを含む、方法もまた提供される。
HSV-2糖タンパク質Dをコードする配列を含まない以外、HSV-2のゲノムと同じ配列を有する組み換え核酸もまた提供される。
対象におけるHSV-2感染の処置または予防のための、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。
対象におけるHSV-1感染の処置または予防のための、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。
対象におけるHSV-2感染の処置または予防のための、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。
対象におけるHSV-1感染もしくはHSV-1とHSV-2の同時感染を処置するまたは対象におけるHSV-2感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染が原因の疾患を処置する方法であって、対象におけるHSV-2感染の処置または対象におけるHSV-2感染が原因の疾患の処置または対象におけるHSV-1とHSV-2の同時感染の処置またはHSV-1とHSV-2の同時感染が原因の疾患の処置に有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象にHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対するワクチン接種をする方法であって、対象にHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対するワクチン接種をするのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象をHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対して免疫化する方法であって、対象をHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対して免疫化するのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、さらに病原体の異種性抗原を含む、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。
対象における抗原性標的に対する抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)を誘導する方法であって、対象における抗原性標的に対する抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)を誘導するのに有効な量で、対象にゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、さらに脂質二重層に異種性抗原を含む、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)を投与することを含む、方法もまた提供される。
図1。HSV-2 ΔgDは不稔感染を開始する:HSV-2 ΔgD-/+のみトランスでgDを提供する細胞(例えばVD60[40, 41])での複製に成功したが、US6をコードしないVero細胞(ATCC CCL-81、ミドリザル腎臓)またはCaSki(ATCC CRL-1550、ホモ・サピエンス、子宮頸)などの細胞で複製しなかった。非補完HSV-2 ΔgD(Vero細胞から得たΔgD-/-)は、US6をコードしないVeroおよびCaSkiなどの細胞に感染できなかった。
図2A-C。A. HSV-2 ΔgD-/+ウイルスを最大10プラーク形成単位(pfu)接種された重症複合免疫不全(SCID)マウスは、高用量腟内または皮下接種後疾患の徴候を示さない。対照的に、1,000倍低いウイルス用量(10pfu)で野生型ウイルスを接種したSCIDマウスは、疾患に屈する。生存曲線をAに示し、紅斑、浮腫または性器潰瘍の証拠としての上皮スコア(0~5スケール)をBに示し、神経感染の証拠としての神経スコア(0~5スケール)をCに示す。 同上。
図3A-C。HSV-2 ΔgD-/+ウイルスでの免疫化は、抗HSV-2抗体を誘導する。sc.-sc.免疫化は全身および粘膜(膣洗浄液)両者で、顕著なレベルの抗HSV-2抗体を誘導するが、HSV-2 ΔgD-/+でのsc.-i.vag.免疫化は低レベルの全身抗HSV-2抗体を誘導し、膣洗浄液における抗体レベルは増加しない。血清における抗HSV-2抗体レベルをAに示し、膣洗浄液における抗HSV-2抗体レベルをBに示す。ΔgD-/+で免疫化したマウスは、病原性HSV-2への曝露後、血清で中和抗HSV-2抗体を示す。ΔgD-/+免疫化により誘導された抗体の中和能をCに示す。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001)。
図4A-C。A:Tg T細胞を伝達され、次いでHSV-2 ΔgD-/+またはVD60ライセート(対照)で初回刺激およびブーストしたC57Bl/6マウスの脾臓におけるCD8 gBT-I T細胞数。B:ワクチン接種したまたは対照マウスの脾臓におけるgBT-I記憶T細胞のパーセンテージ。C:ブースト14日後、脾臓細胞を単離し、インビトロでgB498-505ペプチドで再刺激し、6時間後細胞内サイトカイン染色およびフローサイトメトリーによりサイトカイン産生について分析した。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001)。
図5A-F。:HSV-2 ΔgD-/+(10pfu/マウス)での免疫化は、マウスを致死的HSV-2曝露から保護する。マウスに皮下で初回刺激し、3週間離してsc.またはi.vag.いずれかでブーストし、次いでブースト3週間後、腟内へのLD90の病原性野生型HSV-2(4674)に曝露した。対照(VD60細胞ライセートで免疫化)マウスは、有意な体重減少(5A)および死亡(5B)により顕在化されるとおり、疾患に屈したが、ΔgD-/+免疫化マウスにより示される病態は有意に少なかった。さらに、致死的曝露後、ΔgD-/+免疫化マウスで示される上皮疾患(C)および神経病理(D)は少なかった。さらに、ΔgD-/+ワクチン接種マウスで示される、致死量の病原性HSV-2で腟内曝露後の膣洗浄液(E)、膣組織および後根神経節(DRG)(F)におけるウイルス負荷は、対照としてのVD60細胞ライセート免疫化マウスと比較して有意に少なかった。ΔgD-/+免疫化マウスの4日目膣洗浄液または5日目膣組織およびDRGから感染性ウイルスは回収されなかった。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001)。
図6A-C。HSV-2 ΔgD-/+で免疫化したマウスは、病原性HSV-2の曝露後、膣洗浄液に分泌される炎症性サイトカインが少ない。HSV-2 ΔgD-/+で免疫化したマウスは、VD60ライセートで免疫化し、病原性HSV-2に曝露したマウスより、膣洗浄液におけるTNF-α、IL-6およびIL-1βが少ない。炎症性サイトカイン発現の差異は、曝露後種々の時点で観察される。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001)。
図7A-D。HSV-2 ΔgD-/+での免疫化は、感染部位および関連LNにT細胞を動員する。ΔgD-/+でsc.-sc.免疫化したマウスで示される、病原性HSV-2の曝露後の仙骨リンパ節(LN)における活性化抗HSV-2 gBT-I CD8(A)およびCD4 T細胞(B)のパーセンテージは増加した。LNを摘出し、UV不活性化ΔgD-/-と6時間インキュベートし、次いでフローサイトメトリー分析用抗体で染色した。ΔgD-/+でsc.-i.vag.で免疫化したマウスで示される、病原性HSV-2の曝露後の膣における抗HSV-2 gBT-I CD8(C)およびCD4 T細胞(D)の数は増加した。膣組織を処理してT細胞を抽出し、フローサイトメトリー分析用抗体で染色した。(CountBrightTM、Life Technologies)で細胞カウントを行った。(p<0.05;**p<0.01)。
図8A-8C。HSV-2 ΔgD-2は、5×10PFUの低ワクチン用量で、腟内または皮膚曝露後疾患に対する完全保護を提供する。C57BL/6マウスを、5×10PFU、5×10PFU、5×10PFUのHSV-2 ΔgD-2またはVD60ライセート(対照)で皮下(sc)で初回刺激し、次いで21日後ブーストした。続いて、マウスをブースト21日後、(A)腟内または(B)皮膚乱刺によりLD90のHSV-2(4674)に曝露し、生存(n=5マウス/群)および疾患スコア(C)について追跡した。初回刺激前(PreBleed)、初回刺激7日後およびブースト7日後、血清をHSV-2抗体についてELISA(線は平均を表す)で評価した。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、二元配置ANOVAによるΔgD-2ワクチン接種群対対照ワクチン接種群。生存曲線についてカプラン・マイヤー分析を使用した。
図9A-9D。HSV-2 ΔgD-2をワクチン接種されたマウスは、HSV-1およびHSV-2の臨床単離株に対して保護される。C57BL/6(n=7マウス/群)またはBalb/C(n=5マウス/群)マウスをΔgD-2またはVD60細胞ライセート(対照)で免疫化し、続いてLD90用量の最病原性単離株に曝露し、皮膚病変(9A;C57BL/6マウスからの代表的画像)、生存(9B;C57BL/6マウスおよび9C;Balb/C)について毎日モニターした。さらにC57BL/6マウスを、LD90用量の10倍および100倍(10×および100×)のSD90およびLD90の10×のBx1.1に曝露し、生存をモニターした(9D)。HSV-2 ΔgD-2ワクチン接種群対対照ワクチン接種群の生存をカプラン・マイヤー分析で比較した、***p<0.001。
図10A-10D。臨床単離株曝露後、HSV-2 ΔgD-2免疫化マウスでウイルスは迅速に排除され、潜伏ウイルスは検出されない。マウスをΔgD-2またはVD60細胞ライセート(対照)で免疫化し、続いて皮膚乱刺によりLD90の1×または10×のHSV-1(Bx1.1)またはLD90の1×、10×または100×のHSV-2(SD90)(n=5マウス/群)に曝露した。皮膚生検サンプルを暴露後2日目および5日目に得て、Vero細胞でのプラークアッセイによりウイルス負荷をアッセイした(10A)(n=3サンプル/群、線は平均を表す)。それぞれプラークアッセイ(10B)およびqRT-PCR(10C)による、ΔgD-2ワクチン接種(曝露14日後)または対照ワクチン接種(屠殺時)マウスから得たDRG組織における複製または潜伏HSVの存在(n=5マウス/群)。Vero細胞と、LD90のHSV-2 SD90に曝露されたΔgD-2および対照免疫化マウスから単離したDRGを共培養することにより潜伏感染をさらに曝露5日後評価した(10D)。パネルBおよびCのデータは箱ひげ図として示し、黒丸は外れ値を示す。HSV-2 ΔgD-2ワクチン接種群および対照ワクチン接種群を、スチューデントt検定により比較した;p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。
図11A-11D。HSV-2 IgG2特異的抗体は、ウイルス曝露後HSV-2 ΔgD-2ワクチン接種マウスの皮膚に迅速に動員される。(11A)マウスをΔgD-2またはVD60細胞ライセート(対照)で免疫化し、続いて皮膚上のHSV-1(Bx1.1)およびHSV-2(SD90)臨床単離株に曝露した。皮膚生検サンプルをブースト21日後および曝露2日後に得て、抗原として、HSV-2(左)またはHSV-1(右)感染細胞ライセートを使用するELISAにより、ホモジネート(1:10希釈)中の抗HSV抗体の存在を評価した(n=3マウス/群、線は平均を表す)。皮膚におけるHSV特異的抗体をさらに定量するために、皮膚ホモジネートのプールを連続希釈し、HSV-2 ELISAでアッセイした(プールあたり6マウスであり、結果はデュプリケートで得た平均±SDである)(11B)。曝露2日後皮膚ホモジネートプールにおける抗HSV-2 IgGサブアイソタイプの比率を、サブアイソタイプ特異的二次抗体を使用して決定した(11C)。ブースト7日後HSV-2 ΔgD-2または対照ワクチン接種マウスからの血清の抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性(左パネル)を、THP-1単球性細胞株およびHSV-2ウイルス細胞溶解物(v)または細胞溶解物(c)で被覆したビーズを使用して定量した。IFN-γレベル(右パネル)を、THP-1およびAb/ビーズインキュベーション8時間後の上清で使用した(11D)。%ADCPを、10を除した陽性細胞のMFIを乗じたビーズが陽性の細胞のパーセントとして計算する(左パネル)。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001、HSV-2 ΔgD-2ワクチン接種群対対照ワクチン接種群、スチューデントt検定)
図12A-12H。HSV-2 ΔgD-2ワクチン接種マウスにおいて、適応免疫および自然免疫細胞は、感染した皮膚に曝露5日後までに動員される。ΔgD-2またはVD60ライセート(対照)で免疫化し、次いでLD90のSD90またはBx1.1に暴露したマウスまたは非ワクチン接種模擬感染対照からの皮膚切片を、CD3(T細胞)(12A)、B220(B細胞)(12B)またはIba1(汎マクロファージ)(12C)について染色した;HSV-1(Bx1.1)またはHSV-2(SD90)に曝露後の代表的免疫組織化学画像が示される。CD3(12D)、B220(12E)およびIba1(12F)細胞のパーセンテージを、マウスあたり3つの無作為視野(5マウス/群)の計数により数え上げた。皮膚切片を免疫蛍光によりCD4(12G)およびCD8(12H)についても染色し、陽性細胞パーセンテージを定量した。各記号は、個々のマウスの2視野の平均であり、線は平均を表す;点線は非ワクチン接種、模擬感染マウスからのカウントを表す(1匹のマウスにつき3視野平均)(p<0.05、スチューデントt検定によるΔgD-2ワクチン接種群対対照ワクチン接種群)。
図13。ΔgD-2ワクチン接種マウスではなく、対照が、皮膚生検サンプルにおいて永続性好中球浸潤を有する。非免疫化模擬感染マウスまたはHSV-2 ΔgD-2もしくはVD60ライセート(対照)で免疫化し、HSV-1(Bx1.1)ウイルスに感染させたマウスの皮膚切片を曝露5日後採取し、Ly6G(赤色)を使用して、好中球を染色した。核はDAPIで青色に染色される。
図14A-14F。ΔgD-2で免疫化したマウスの皮膚における炎症性サイトカインおよびケモカインは、曝露5日後まで対照免疫化マウスと比較して減少している。曝露2日または5日後(または非免疫化、非感染対照)、ΔgD-2またはVD60ライセート(対照)で免疫化したマウスからの皮膚生検サンプルを均質化し、TNF(14A)、IL-1β(14B)、IL-6(14C)、CXCL9(14D)、CXCL10(IP-10)(14E)およびIL-33(14F)について評価した(n=6動物/群、線は平均を表し、点線は非免疫化、模擬感染動物からのカウントを表す)。(p<0.05;**p<0.01;***p<0.001、HSV-2 ΔgD-2ワクチン接種群対対照ワクチン接種群スチューデントt検定。
図15A-15C。ΔgD-2での母体免疫化は、新生仔を保護する;年齢依存的応答。グラフは、日数に対する生存パーセントを示す。HSV-1およびHSV-2に対する有意な保護がΔgD-2ワクチン接種した母体から生まれた7日(15A)および14日(15B)齢仔で観察されたが、生後1日に仔が曝露されたとき、保護は減少した(15C)。
図16A-16D。保護は、HSV特異的FcγRIV活性化抗体の伝達と相関する。ΔgD-2またはVD60(対照)ワクチン接種した母体から生まれた7日齢仔を10pfuのHSV-1またはHSV-2に鼻腔内暴露し、血清を、仔から屠殺時または曝露14日後採取し、次のとおり評価した。16A:1:1000希釈でELISAにより定量したHSV-1(黒色記号)またはHSV-2(白色記号)特異的IgG;16B:IgGサブタイプのHSV-1特異的またはHSV-2特異的抗体は、ΔgD-2がIgG1およびIgG2両者を誘導し、IgG2がわずかに優勢であることを示す;16C:中和抗体力価は、ΔgD-2免疫血清(1:5希釈)による補体依存性中和がわずかであるかまたはないことを示す;および16D:FcγRIV活性化抗体力価。
図17。ΔgD-2母体ワクチン接種は、潜伏部位である三叉神経節で検出されるHSVウイルスDNA量を減少させる。ワクチン接種した母親から生まれた新生仔マウスでは、三叉神経節(鼻腔内感染したときの潜伏部位である)におけるHSVのlogコピー数が、qPCRに基づいて減少している。
図18A-18D。ΔgD-2母体ワクチン接種は、重要な臓器(肺、肝臓、脳、腎臓)への伝播を減少させる。
図19A-19B。経胎盤および母乳獲得Abは、マウスモデルで最適保護を提供する。ΔgD-2またはVD60(対照)免疫化母体から生まれた仔を出生時入れ替え、逆の母体により授乳させ、次いで生後7日または14日にHSV-1(19A)またはHSV-2(19B)に曝露した。ΔgD-2ワクチン接種母親から生まれた仔は、その母体により授乳されたならば有意に保護されるが、VD60免疫化母親により授乳されたならば、保護を失った。逆に、VD60免疫化母親から生まれた仔も、ΔgD-2ワクチン接種母体により授乳されたならば、7日または14日目のウイルス曝露から有意に保護された。
図20。経胎盤および母乳獲得Abによる潜伏感染に対する最適保護。
図21A-21B。保護は、曝露時の新生仔の血清に存在するAbレベルと相関する。
図22A-22D。致死未満量のHSVに感染したマウスからの回復期免疫血清は、その後のウイルス曝露から仔を保護できない。
発明の詳細な記載
第一の対象においてHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答を誘導する方法であって、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2で免疫化した妊婦からの産物の一定量を第一の対象に受動伝達させることを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、ここで、該産物はそれにより誘導された抗体を含み、第一の対象におけるHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答の誘導に有効であり、ここで、該第一の対象は胎児または新生児である、方法が提供される。
ある実施態様において、産物は該妊婦の血清を含む。
ある実施態様において、産物は該妊婦の母乳を含む。
ある実施態様において、第一の対象は胎児である。
ある実施態様において、第一の対象は新生児である。
ある実施態様において、第一の対象は第二の対象から生まれる。
ある実施態様において、妊婦は該胎児を妊娠している。
ある実施態様において、第一の対象および妊婦はヒトである。
ある実施態様において、産物は、妊婦を欠失を有するHSV-2で免疫化することにより誘導した抗体を含む。ある実施態様において、産物は、FcγRIV活性化抗体を含む。ある実施態様において、産物は、IgG1およびIgG2抗体を含む。ある実施態様において、産物は、抗HSV-1 IgGまたは抗HSV-2 IgGを含む。
ある実施態様において、方法は、該第一の対象におけるHSV-2に対する免疫応答を誘導する。
ある実施態様において、方法は、該第一の対象におけるHSV-1に対する免疫応答を誘導する。
ある実施態様において、産物は、免疫アジュバントをさらに含む。
ある実施態様において、産物は、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2をさらに含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dが表現型的に補完されている。
新生児における周産期HSV-1および/またはHSV-2感染を阻止する方法であって、該新生児になる胎児を妊娠している女性にゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の一定量を投与することを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、新生児における周産期HSV-1および/またはHSV-2感染の阻止に有効である、方法が提供される。
母体から新生児へのHSV-1および/またはHSV-2ウイルス伝播を阻止する方法であって、母体にゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の一定量を投与することを含み、ここで、該HSV-2は単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dで表現型的に補完されており、母体から新生児へのHSV-1および/またはHSV-2ウイルス伝播の阻止に有効である、方法が提供される。
ある実施態様において、母親は、該新生児になる胎児を妊娠している。
ある実施態様において、HSV-1感染および/またはHSV-1ウイルス伝播が阻止される。
ある実施態様において、HSV-2感染および/またはHSV-2ウイルス伝播が阻止される。
ある実施態様において、免疫応答がHSV-1に対して誘導される。
ある実施態様において、免疫応答がHSV-2に対して誘導される。
ある実施態様において、補完的細胞はVD60細胞である。
ある実施態様において、妊婦、母親または第二の対象はHSV-1について血清陰性、HSV-2について血清陰性またはHSV-1およびHSV-2両者について血清陰性である。
ある実施態様において、妊婦または母親は、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2を皮下投与される。
ある実施態様において、妊婦または母親は、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の初期皮下投与後、皮下ブースト用量のゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2を投与される。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)が提供される。
ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dは配列番号1に示すアミノ酸配列を含む。
MGRLTSGVGTAALLVVAVGLRVVCAKYALADPSLKMADPNRFRGKNLPVLDQLTDPPGVKRVYHIQPSLEDPFQPPSIPITVYYAVLERACRSVLLHAPSEAPQIVRGASDEARKHTYNLTIAWYRMGDNCAIPITVMEYTECPYNKSLGVCPIRTQPRWSYYDSFSAVSEDNLGFLMHAPAFETAGTYLRLVKINDWTEITQFILEHRARASCKYALPLRIPPAACLTSKAYQQGVTVDSIGMLPRFIPENQRTVALYSLKIAGWHGPKPPYTSTLLPPELSDTTNATQPELVPEDPEDSALLEDPAGTVSSQIPPNWHIPSIQDVAPHHAPAAPSNPGLIIGALAGSTLAVLVIGGIAFWVRRRAQMAPKRLRLPHIRDDDAPPSHQPLFY(HSV-2対照株HG52)
ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2は、脂質二重層に単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dをさらに含む。
ある実施態様において、HSV-1糖タンパク質Dは配列番号2に示すアミノ酸配列を含む。
MGGAAARLGAVILFVVIVGLHGVRGKYALADASLKMADPNRFRGKDLPVLDQLTDPPGVRRVYHIQAGLPDPFQPPSLPITVYYAVLERACRSVLLNAPSEAPQIVRGASEDVRKQPYNLTIAWFRMGGNCAIPITVMEYTECSYNKSLGACPIRTQPRWNYYDSFSAVSEDNLGFLMHAPAFETAGTYLRLVKINDWTEITQFILEHRAKGSCKYALPLRIPPSACLSPQAYQQGVTVDSIGMLPRFIPENQRTVAVYSLKIAGWHGPKAPYTSTLLPPELSETPNATQPELAPEDPEDSALLEDPVGTVAPQIPPNWHIPSIQDAATPYHPPATPNNMGLIAGAVGGSLLAALVICGIVYWMRRRTQKAPKRIRLPHIREDDQPSSHQPLFY(HSV-1対照株F)
ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。(例えば、HSV-2ゲノムおよびUS6遺伝子について、全体として引用により本明細書に包含させる、Dolan et al. J Virol. 1998 March; 72(3): 2010-2021. (PMCID: PMC109494) 「The Genome Sequence of Herpes Simplex Virus Type 2」参照)。
ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子が欠失しているHSV-2は、次のGenbank表示の配列の一つのゲノムを有する(欠失前)HSV-2である:HSV-2(G)(KU310668)、HSV-2(4674)(KU310667)、Bx1.1(KU310657)、Bx1.2(KU310658)、Bx1.3(KU310659)、Bx1.4(KU310660)、Bx1.5(KU310661)、Bx2.1(KU310662)、Bx2.2(KU310663)、Bx2.3(KU310664)、Bx2.4(KU310665)、Bx2.5(KU310666)。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。
ある実施態様において、ビリオンは脂質二重層にHSV-1糖タンパク質Dをさらに含む。ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。
ある実施態様において、ウイルスは脂質二重層にHSV-1糖タンパク質Dをさらに含む。ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。
HSV-2 US6遺伝子を含まない組み換えHSV-2ゲノムを含む、単離細胞が提供される。
ある実施態様において、組み換えHSV-2ゲノムは、欠失されたHSV-2糖タンパク質D遺伝子を有していたことにより、組み換えである。
ある実施態様において、細胞は、組み換えHSV-2ゲノムによりコードされないHSV1または2糖タンパク質の発現物を提供する、補完的細胞である。ある実施態様において、補完的細胞は、HSV-1糖タンパク質Dをコードする異種核酸を含む。ある実施態様において、細胞は、その膜上にHSV-1糖タンパク質Dを発現する。細胞のある実施態様において、HSV-1糖タンパク質Dは異種核酸によりコードされ、その異種核酸はHSV-1糖タンパク質D遺伝子またはHSV-1糖タンパク質D遺伝子と同一の配列を有する核酸である。
ここに記載する組み換えHSV-2ウイルスまたはここに記載するビリオンを含むワクチン組成物もまた提供される。ある実施態様において、ワクチンは免疫アジュバントを含む。ある実施態様において、ワクチンは免疫アジュバントを含まない。組み換えHSV-2を含むここに記載するワクチン、組成物または医薬組成物の実施態様において、HSV-2は生存している。
ここに記載する組み換えHSV-2ウイルスまたはここに記載するビリオンを含む組成物であって、ここで、該ウイルスまたはビリオンのゲノムは少なくとも第二遺伝子の欠失を含み、ここで、該第二遺伝子はHSV-2ウイルス複製または病原性に必要である、組成物も提供される。
医薬組成物はここに記載する組み換えHSV-2ウイルスまたはここに記載するビリオンおよび薬学的に許容される担体を含む。
ある実施態様において、組成物または医薬組成物またはワクチンは、ヒト対象への皮下投与に適するように製剤化される。ある実施態様において、組成物または医薬組成物またはワクチンは、ヒト対象への腟内投与に適するように製剤化される。ある実施態様において、組成物または医薬組成物またはワクチンは、ヒト対象への筋肉内、鼻腔内または粘膜投与に適するように製剤化される。
対象における免疫応答を誘導する方法であって、対象における免疫応答の誘導に有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法も提供される。
対象におけるHSV-2感染を処置するまたは対象におけるHSV-1、HSV-2または同時感染が原因の疾患を処置する方法であって、対象におけるHSV-1、HSV-2もしくは同時感染の処置またはHSV-1、HSV-2もしくは同時感染が原因の疾患の処置に有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法も提供される。ある実施態様において、方法は、HSV-1、HSV-2または同時感染が原因のHSV-1またはHSV-2病態の処置を含む。方法の実施態様において、HSV-1、HSV-2または同時感染が原因の疾患は性器潰瘍である。方法の実施態様において、HSV-1、HSV-2または同時感染が原因の疾患は、ヘルペス、口腔ヘルペス、ヘルペス性ひょう疽、性器ヘルペス、ヘルペス性湿疹、闘技ヘルペス、HSV角膜炎、HSV網膜炎、HSV脳炎またはHSV髄膜炎である。
ここでのHSV-1、HSV-2または同時感染(すなわちHSV-1およびHSV-2両者の感染)の処置ワクチン接種に関する方法の実施態様において、HSV-1感染の処置、HSV-2感染の処置、同時感染の処置、HSV-1感染に対するワクチン接種、HSV-2感染に対するワクチン接種および同時感染に対するワクチン接種の別々の、個々の実施態様が、各々提供される。
対象にHSV-1、HSV-2または同時感染に対するワクチン接種をする方法であって、対象にHSV-1、HSV-2または同時感染に対するワクチン接種をするのに有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象をHSV-1、HSV-2または同時感染に対して免疫化する方法であって、対象をHSV-1、HSV-2または同時感染に対して免疫化するのに有効な量で、対象に(i)ここに記載する組み換えHSV-2ウイルス;(ii)ここに記載するそのビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
方法の実施態様において、対象は皮下または腟内初回抗原刺激量を投与され、第二用量を皮下または腟内投与される。方法の実施態様において、対象は、抗HSV抗体およびT細胞を誘導するために多くの皮下または腟内プライミング刺激量を多数回投与される
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、脂質二重層にHSV-1またはHSV-2糖タンパク質Dを含む組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)のビリオンを産生する方法であって、HSV-1またはHSV-2糖タンパク質Dをコードする異種核酸を含む細胞を、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)に、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)の複製を可能とする条件下で感染させ、該細胞により産生されたHSV-2ビリオンを回収することを含む、方法もまた提供される。
ある実施態様において、細胞はその膜上にHSV-1またはHSV-2糖タンパク質Dを発現する。
HSV-2糖タンパク質Dをコードする配列を含まない以外、野生型HSV-2のゲノムと同じ配列を有する組み換え核酸もまた提供される。ある実施態様において、組み換え核酸はDNAである。ある実施態様において、組み換え核酸はRNAである。
対象におけるHSV-1、HSV-2または同時感染の処置または予防のためのゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2は、その脂質二重層に単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)または単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)糖タンパク質Dをさらに含む。単離された、組み換えHSV-2の実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。
対象におけるHSV-1、HSV-2または同時感染の処置または予防のためのゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。ある実施態様において、ビリオンは、その脂質二重層にHSV-1またはHSV-2糖タンパク質Dをさらに含む。ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。
記載するウイルスまたはビリオンのある実施態様において、HSV-1、HSV-2または同時感染は性器潰瘍を引き起こす。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)が提供される。
ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dである表面糖タンパク質をその脂質二重層にさらに含む。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2は、その脂質二重層に非HSV-2ウイルス表面糖タンパク質をさらに含む。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2は、その脂質二重層に細菌表面糖タンパク質をさらに含む。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2は、その脂質二重層に寄生虫表面糖タンパク質をさらに含み、ここで、該寄生虫は、哺乳動物の寄生虫である。
ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。ある実施態様において、表面糖タンパク質は、組み換えHSV-2のゲノムに挿入されている導入遺伝子によりコードされる。ある実施態様において、表面糖タンパク質は、その脂質二重層に細胞をHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換えHSV-2で感染させることにより存在し、ここで、該細胞は、その細胞膜上に該表面糖タンパク質を発現するようにトランスフェクトされるかまたはされており、ここで、脂質二重層に存在する該表面糖タンパク質を含む該組み換えHSV-2は、該細胞から産生される。ある実施態様において、ウイルス糖タンパク質は、HIV、エンテロウイルス、RSV、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、豚コロナ呼吸器ウイルス、狂犬病ウイルス、ラッサウイルス、ブニヤウイルス、CMVまたはフィロウイルスからである。ある実施態様において、糖タンパク質はHIV gp120である。ある実施態様において、フィロウイルスはエボラウイルスである。ある実施態様において、ウイルスは、HIV、結核菌(M. tuberculosis)、クラミジア、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・マリヌム(M. marinum)、ライ菌(M. leprae)、マイコバクテリウム・アブセサス(M. absenscens)、淋菌(Neisseria gonnorhea)またはトレポネーマである。ある実施態様において、トレポネーマは、梅毒トレポネーマ(Treponeme palidum)である。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。
ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2のビリオンは、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dである表面糖タンパク質をその脂質二重層にさらに含む。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2のビリオンは、その脂質二重層に非HSV-2ウイルス表面糖タンパク質をさらに含む。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2のビリオンは、その脂質二重層に細菌表面糖タンパク質をさらに含む。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2のビリオンは、その脂質二重層に寄生虫表面糖タンパク質をさらに含み、ここで、該寄生虫は、哺乳動物の寄生虫である。ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。ある実施態様において、表面糖タンパク質は、ビリオンの組み換えHSV-2のゲノムに挿入されている導入遺伝子によりコードされる。ある実施態様において、表面糖タンパク質は、その脂質二重層に細胞をHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換えHSV-2で感染させることにより形成され、ここで、該細胞は、その細胞膜上に該表面糖タンパク質を発現するようにトランスフェクトされるかまたはされており、ここで、脂質二重層に存在する該表面糖タンパク質を含む該組み換えHSV-2は、該細胞から産生される。ある実施態様において、ビリオンは、そのようなものから回収されている。ある実施態様において、ウイルス糖タンパク質は、HIV、エンテロウイルス、RSV、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、豚コロナ呼吸器ウイルス、狂犬病ウイルス、ラッサウイルス、ブニヤウイルス、CMVまたはフィロウイルスからである。ある実施態様において、糖タンパク質はHIV gp120である。ある実施態様において、フィロウイルスはエボラウイルスである。ある実施態様において、ウイルスは、HIV、結核菌、クラミジア、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコバクテリウム・マリヌム、ライ菌、マイコバクテリウム・アブセサス、淋菌またはトレポネーマである。ある実施態様において、トレポネーマは梅毒トレポネーマである。
ここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンを含む単離細胞もまた提供され、ここで、該細胞はヒトには存在しない。細胞のある実施態様において、細胞は、HSV-1糖タンパク質Dをコードする異種核酸を含む。細胞のある実施態様において、細胞は、その膜上にHSV-1糖タンパク質Dを発現する。
細胞のある実施態様において、HSV-1糖タンパク質Dは異種核酸によりコードされ、その異種核酸はHSV-1糖タンパク質D遺伝子またはHSV-1糖タンパク質D遺伝子と同一の配列を有する核酸である。
ワクチン組成物はここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンを含む。ワクチンの実施態様において組成物、ワクチン組成物は免疫アジュバントを含む。
ここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンを含む組成物もまた提供され、ここで、該ウイルスまたはビリオンのゲノムは少なくとも第二遺伝子の欠失を含み、ここで、該第二遺伝子はHSV-2ウイルス複製に必要である。ある実施態様において、組成物は、免疫応答が誘導されるように、該ウイルスまたはビリオンが先に導入されている哺乳動物からの血清を含むかまたは当該血清由来である。
ここに記載するウイルスまたはここに記載するビリオンおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物もまた提供される。
対象における免疫応答を誘導する方法であって、対象における免疫応答を誘導するのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象におけるHSV-2感染を処置するまたは対象におけるHSV-2感染が原因の疾患を処置する方法であって、対象におけるHSV-2感染の処置または対象におけるHSV-2感染が原因の疾患の処置に有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む方法もまた提供される。
対象にHSV-2感染に対するワクチン接種をする方法であって、対象にHSV-2感染に対するワクチン接種をするのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む方法もまた提供される。
対象をHSV-2感染に対して免疫化する方法であって、対象をHSV-2感染に対して免疫化するのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む方法もまた提供される。
HSV-2およびHSV-1疾患は当分野で知られ、ここにも記載される。HSV-2およびHSV-1疾患の処置および予防の両者が各々別々に包含される。また、HSV-2とHSV-1の同時感染の処置または予防が包含される。予防は、未処置対象と比較して、ここに記載するウイルス、ビリオン、ワクチンまたは組成物で処置された対象における関連する疾患または感染の発症の程度の改善を意味すると理解される。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、脂質二重層にHSV-1糖タンパク質Dを含む組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)のビリオンを産生する方法であって、HSV-1糖タンパク質Dをコードする異種核酸を含む細胞を、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)に、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)の複製を可能とする条件下で感染させ、該細胞により産生された脂質二重層のHSV-1糖タンパク質Dを含む組み換えHSV-2ビリオンを回収することを含む、方法もまた提供される。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、脂質二重層に非HSV-2表面糖タンパク質を含む組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)のビリオンを産生する方法であって、非HSV-2表面糖タンパク質をコードする異種核酸を含む細胞を、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)に、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)の複製を可能とする条件下で感染させ、該細胞により産生された脂質二重層に非HSV-2表面糖タンパク質を含む組み換えHSV-2ビリオンを回収することを含む、方法もまた提供される。
HSV-2糖タンパク質Dをコードする配列を含まない以外、HSV-2のゲノムと同じ配列を有する組み換え核酸もまた提供される。
対象におけるHSV-2感染の処置または予防のためのゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。
対象におけるHSV-1感染の処置または予防のための、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。
対象におけるHSV-2感染の処置または予防のための、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有する、単離された、組み換えHSV-2のビリオンもまた提供される。
対象におけるHSV-1感染もしくはHSV-1とHSV-2の同時感染を処置するまたは対象におけるHSV-2感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染が原因の疾患を処置する方法であって、対象におけるHSV-2感染の処置または対象におけるHSV-2感染が原因の疾患の処置または対象におけるHSV-1とHSV-2の同時感染の処置またはHSV-1とHSV-2の同時感染が原因の疾患の処置に有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象にHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対するワクチン接種をする方法であって、対象にHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対するワクチン接種をするのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
対象をHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対して免疫化する方法であって、対象をHSV-1感染またはHSV-1とHSV-2の同時感染に対して免疫化するのに有効な量で、対象に(i)ここに記載するウイルス;(ii)ここに記載するビリオン;(iii)ここに記載するワクチン;(iv)ここに記載する組成物;または(v)ここに記載する医薬組成物を投与することを含む、方法もまた提供される。
免疫化、ワクチン接種または免疫応答誘導のためのここでの方法の実施態様において、ビリオンもしくはウイルスまたはそれにより誘導された抗体もしくは免疫因子の受動伝達は、ある対象から他の対象に影響を与え得る。関連産物を、ある対象から得た後、第二の対象への投与前に処理し得る。ここに記載する本発明の好ましい実施態様において、対象は哺乳動物対象である。ある実施態様において、哺乳動物対象はヒト対象である。
第一の対象においてHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2で免疫化した第二の対象からの産物の一定量を受動伝達することを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、ここで、該産物は、HSV-2またはそれにより誘導された抗体もしくは免疫因子を含み、HSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答の誘導に有効である、方法が提供される。
ある実施態様において、産物は、第二の対象の血清を含む。
ある実施態様において、第二の対象は妊婦である。
ある実施態様において、第一の対象は、胎児または新生児である。ある実施態様において、第二の対象は、第一の対象を妊娠している。
ある実施態様において、産物は、第二の対象のHSV-2での免疫化により誘導された抗体を含む。
ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、さらに病原体の異種性抗原を含む、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)もまた提供される。ある実施態様において、異種性抗原は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは糖タンパク質である。ある実施態様において、異種性抗原は、HSV-2に対して異種性抗原であるが、関連する「病原体」上または内に見られる抗原である。病原体、ウイルスおよび細菌は、ここに記載される。ある実施態様において、病原体は、哺乳動物の細菌病原体または哺乳動物のウイルス病原体である。ある実施態様において、抗原または病原体をコードする導入遺伝子は、病原体から実際に採取するかまたは物理的に取りだされないが、それにも関わらず、病原体抗原またはコード化核酸配列と同じ配列を有する。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2は、その脂質二重層に病原体の異種性抗原を含む。単離された、組み換えHSV-2の実施態様において、病原体は、細菌またはウイルスである。ある実施態様において、病原体は、哺乳動物の寄生虫である。ある実施態様において、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子はHSV-2 US6遺伝子である。ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2、異種性抗原は、組み換えHSV-2のゲノムに挿入されている導入遺伝子によりコードされる。
対象における抗原性標的に対する抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)を誘導する方法であって、対象における抗原性標的に対する抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)を誘導するのに有効な量で、対象にゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子の欠失を有し、さらに脂質二重層に異種性抗原を含む、単離された、組み換え単純ヘルペスウイルス-2(HSV-2)を投与することを含む、方法もまた提供される。
適切な導入遺伝子を発現する組み換えHSV-2 ΔgD-/+ gD-/+は、病原体による皮膚または粘膜感染に対して保護する、抗体および細胞性免疫応答を選択的に誘導する。
ある実施態様において、異種性抗原は表面抗原である。
ある実施態様において、導入遺伝子は、HIV、結核菌、クラミジア、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコバクテリウム・マリヌム、ライ菌、マイコバクテリウム・アブセサス、淋菌またはトレポネーマからの抗原をコードする。ある実施態様において、トレポネーマは梅毒トレポネーマである。ある実施態様において、導入遺伝子は、結核菌バイオフィルムコード遺伝子である。ある実施態様において、導入遺伝子は、HIV gp120コード遺伝子である。
ある実施態様において、異種性抗原は、抗原性標的の表面抗原である。ある実施態様において、異種性抗原は、寄生虫抗原である。ある実施態様において、異種性抗原は、細菌抗原またはウイルス抗原である。
ある実施態様において、抗原性標的はウイルスであり、ラッサウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、RSV、エンテロウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、豚コロナ呼吸器ウイルス、ラッサウイルス、ブニヤウイルスまたはフィロウイルスである。
ある実施態様において、抗原性標的は細菌であり、結核菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコバクテリウム・マリヌム、ライ菌、マイコバクテリウム・アブセサス、クラミジア・トラコマチス、淋菌または梅毒トレポネーマである。
ある実施態様において、単離された、組み換えHSV-2導入遺伝子は結核菌バイオフィルムコード遺伝子であるか、または、該導入遺伝子はHIV gp120コード遺伝子である。
ここに記載する方法の好ましい実施態様において、対象はヒトである。ここに記載する方法の実施態様において、対象は、HSV-1、HSV-2または同時感染にまだ感染していない。ここに記載する方法の実施態様において、対象は、HSV-1、HSV-2または同時感染に感染している。
ここに記載する同時感染は、HSV-1とHSV-2の同時感染を意味する。
ここに記載する種々の要素の組み合わせは、ここで特に断らない限りまたは文脈に明らかに反しない限り、本発明の範囲内である。
本発明は、下記実験の詳細からより良く理解される。しかしながら、当業者は、記載される具体的方法および結果が、その後の特許請求の範囲により十分に記載される本発明の単なる実例であることを容易に認識する。
実験の詳細
実施例1
ここで、HSV-2のgD(US6)遺伝子の遺伝子操作した欠失変異体およびマウス感染モデルにおける腟内HSV-2曝露に対して評価したその安全性、免疫原性およびワクチン有効性を開示する。gD遺伝子を緑色蛍光タンパク質(gfp)をコードするDNAフラグメントで置き換え、HSV-1 gDを発現するVero細胞(VD60細胞)をこの構築物でトランスフェクトし、緑色プラークを形成する相同組み換えウイルスについてスクリーニングした。分子分析は、補完的VD60細胞において高力価まで複製するが、非補完的細胞で増殖させたとき、非感染性である、正確な組み換え体が構築されていることを確認した。野生型またはSCIDマウスの補完gD-ヌルウイルス(遺伝子型でgD欠失しているが、VD60細胞での増殖により表現型的に補完されているウイルスについて、ここで、HSV-2 ΔgD-/+と命名する)への10pfu/マウスでの腟内曝露により病原性がないことが確認され、一方、親野生型ウイルスは、10pfu/マウスの低用量でも100%致死性であった。さらにHSV-2 ΔgD-/+でのマウスの免疫化は、HSV-2の臨床単離株への腟内曝露に対する完全保護をもたらした。HSV-2 ΔgD-/+により誘導されたロバストな液性および細胞性免疫が測定され、gDがインビボでの増殖性感染に必要であり、この必須糖タンパク質を欠く弱毒化株は、HSV-2に対する保護免疫を誘導すると結論付けられる。故に、HSV-2 ΔgD-/+は、性器ヘルペスの予防または処置のための有望なワクチンである。
HSV-2 ΔgD-/+により誘導される保護の機構および相関:gD-2ヌルウイルスを産生し、免疫応答性および免疫不全の両マウスで高度に弱毒化され、ワクチン候補として試験したとき、HSV-2の腟内曝露に対する保護免疫応答を誘導することが示された。HSV-2 ΔgD-/+での皮下免疫化は、両血清型のHSV(HSV-2およびHSV-1)での腟内曝露に対する保護に必要な、液性および細胞性免疫応答を誘導する。
HSV-2 ΔgD-/+は不稔感染を開始させる:US6を欠失するHSV-2株を構築して、細胞感染中に生じる早期シグナル伝達事象への寄与を評価した[41]。このウイルスは、その制内因性プロモーター(例えば、ある実施態様において、gD-1プロモーター)の制御下にUS6をコードするgD-補完的細胞株(例えばGD-1をコードするVD60細胞[40, 41])上で増殖されない限り、宿主細胞に感染できない。実際、非補完的細胞から単離されたHSV-2 ΔgD粒子は、上皮細胞(図1)または神経細胞(SK-N-SH、示していない)に感染しない。しかしながら、VD60細胞に伝達されたら、表現型的に補完されたウイルス(ΔgD-/+)が得られ、これは、野生型HSV-2の一般的標的である細胞に十分感染できる。しかしながら、ΔgD-/+で感染後、感染性粒子またはウイルスプラーク(pfu)はこれら細胞から産生されず、ウイルスは非感染細胞に感染を広げることができず、これらの過程におけるgDの必要性が反映される;故に、それは不稔感染である。
HSV-2 ΔgD-/+はマウス感染モデルで安全である:ΔgD-/+を、インビボで、野生型および重症複合免疫不全(SCID)マウスにおいて、高用量の皮下または腟内接種により安全性について評価した。腟内に10pfuのΔgD-/+(補完的細胞上の力価)を接種されたマウスは、実験の間中ウイルス誘導病態の徴候を何ら示さず、一方、1,000倍少ない野生型ウイルス(10pfu)を接種された動物はHSV-2疾患に屈し、接種後8日目に死亡し始めた(図2A)。10pfuのΔgD-/+を腟内接種されたマウスは、実験の間中、ウイルス誘導上皮疾患または神経疾患の徴候を何ら示さなかった(図2Bおよび2C)。プラークアッセイまたはDRGとVero細胞の共培養で決定して、生殖器組織またはDRGから、感染性ウイルスは回収されなかった(示していない)。
HSV-2 ΔgD-/+は、HSV-2に対する全身性および粘膜抗体を誘導する:ΔgD-/+を皮下に接種およびブーストされた(sc.-sc.)またはこの候補ワクチン株(10pfu/マウス)を皮下接種され、腟内ブーストされた(sc.-i.vag.)マウスは、血清および膣洗浄液抗HSV-2抗体の増加により証明されるとおり、HSV-2に対する液性免疫応答を誘導した(図3Aおよび3B)。対照動物を非感染VD60細胞ライセート(対照と称する)で免疫化した。抗体を、抗原として感染細胞ライセートを使用するELISAにより測定した(非感染細胞ライセートに対する応答を背景として減じた)。顕著なことに、抗体応答の強度は免疫化の経路により異なった。実際、s.c.-s.c.免疫化は、s.c.-i.vag.免疫化より有意に多いHSV-2に対する血清および膣洗浄液抗体を誘導した。この発見は、膣洗浄液抗体が血液からのIgGの漏出を表す可能性があることを示唆し、sc.-sc.がHSV-2に対する高レベルの全身性および局所性IgG抗体の誘導により適切な経路であることを示唆する。さらに、ΔgD-/+(10pfu/マウス)で皮下接種およびブーストされた(sc.-sc.)マウスは、これらマウスからのウイルスおよび血清でのVero細胞単層のインビトロ中和により証明されるとおり、中和抗体HSV-2を誘導した(図3C)。
HSV-2 ΔgD-/+はHSV-2特異的T細胞活性化を誘導する:gB498-505特異的トランスジェニックCD8 T細胞(gBT-I)を、C57BL/6マウスに導入し、その後ワクチン接種した。ワクチン接種マウスに、10pfu ΔgD-/+またはVD60細胞ライセート(対照)を接種した。脾臓をブースト14日目に摘出し、カウント用ビーズ(CountBrightTM、Lifetechnologies)を使用するフローサイトメトリーにより定量した(図4A)。同じ日、脾臓を記憶表面マーカーで染色し、フローサイトメトリーにより分析した(図4B)。最後に、同じ日に採取した脾臓細胞を、インビトロで6時間アゴニストgB498-505-ペプチドで再刺激し、細胞内サイトカイン染色を実施して、これらの細胞によるIFN-γ産生を測定した。ΔgD-/+での免疫化は、対照マウスと比較して、ワクチン接種におけるIFN-γ産生を増加させた(図4C)。対照マウスにおける応答は、導入後のナイーブマウスにおけるgBT-I T細胞の持続を反映すると推定される。類似の結果が、インビトロでgB498-505-ペプチドで再刺激した脾臓細胞の上清で、マルチプレックスサイトカイン分析を使用して得られた(示していない)。これらの発見は、ワクチンがT細胞応答を誘導することを示す。
HSV-2 ΔgD-/+で免疫化したマウスは、腟内HSV-2致死的曝露に対して保護される:sc.-sc.またはsc.-i.vag.でHSV-2 ΔgD-/+をワクチン接種された動物は、LD90(5×10pfu/マウス)に等価の腟内致死量曝露後、体重への影響が少なく、曝露で生存し、一方VD60対照ライセートで免疫化したマウスは、10日目までに疾患に屈した(図5Aおよび5B)。ワクチンはまたLD90の10倍に対して完全保護も提供した(5×10pfu/マウス、データは示していない)。この保護は、上皮疾患スコアの有意な減少(図5C)および神経症状の完全な喪失(図5D)をもたらした。スコア付けは、先に記載されたとおり実施した[44]。さらに、膣曝露2日後、対照マウスと比較してΔgD-/+免疫化マウスにおける膣洗浄液から回収されるウイルスは有意に少なく、迅速なクリアランスが示唆された(図5E)。さらに、4日目膣洗浄液(図5E)または曝露後5日目に単離された膣組織またはDRG(図5F)で、感染性ウイルスは回収されなかった。後者は、ワクチンがウイルスのDRGへの到達および/またはDRGで複製することを阻止することを示唆する。
HSV-2 ΔgD-/+での免疫化は、病原性HSV-2の曝露後感染部位での炎症を予防する:HSV-2 ΔgD-/+をワクチン接種し、病原性HSV-2を腟内曝露されたマウスは、VD60ライセート(対照)を接種された動物と比較して、感染部位の炎症性サイトカインが有意に少ない。実際、ワクチン接種マウスは、対照マウスとの比較において、感染2日後および7日後の膣洗浄液に分泌されたTNF-α(図6A)、IL-6(図6B)およびIL-1β(図6C)が有意に少ない。顕著なことに、炎症性サイトカインレベルの増加はHSV-2およびHIV共感染における性器でのHIV複製および排出と関連する[45, 46]。類似の現象がインビトロでも観察される[47]。
HSV-2 ΔgD-/+での免疫化は、感染部位および関連LNにT細胞を動員する。ΔgD-/+でsc.-sc.免疫化したマウスは、病原性HSV-2の曝露後、仙骨リンパ節(LN)における活性化抗HSV-2 gBT-I CD8(図7A)およびCD4 T細胞(図7B)のパーセンテージが増加した。ΔgD-/+でsc.-i.vag.で免疫化したマウスは、病原性HSV-2の曝露後、膣における抗HSV-2 gBT-I CD8(図7C)およびCD4 T細胞(図7D)の数が増加し、ΔgD-/+のワクチン接種が抗HSV-2 CD8 T細胞および活性化CD4 T細胞(おそらく抗HSV-2)を感染部位および関連リンパ節に動員することが示唆される。
さらなる実験において、HSV-2-ΔgD-/+gD-1での免疫化は、病原性HSV-2の膣曝露に対するC57BL/6およびBalb/Cの保護に寄与することが判明した。さらに、腟内HSV-2曝露されたΔgD-/+gD-1免疫化マウスでは、曝露5日後、膣または神経組織に検出可能なHSV-2はなかった。HSV-2 ΔgD-/+gD-1 sc.sc.抗体は、HSV-2疾患罹患マウスと異なり、多数のHSV-2タンパク質(gDおよびgB両者)を認識することが判明した。ワクチン接種動物からの血清抗体は、インビトロでHSV-1およびHSV-2の中和を示した。さらに、ΔgD-/+gD-1ワクチン接種マウスからの血清は、インビトロでHSV-2感染細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導した。
まとめると、HSV-2 ΔgD-/+gD-1は弱毒化され、wtおよびSCIDマウスで完全に安全である。組み換えHSV-2 ΔgD-/+gD-1は、致死的HSV-2腟内およびHSV-2/HSV-1皮膚感染に対して保護した。保護は、2種の異なるマウス系統で観察された。検出可能な感染および殺菌免疫はなかった。HSV-2特異的CD8 T細胞および全身性および粘膜HSVAbの誘導もまた観察された。IgG2aおよびIgG2bは、優勢な抗HSVアイソタイプであった。FcyRIII/II依存性ADCCも観察された。驚くべきことに、免疫血清の受動伝達はナイーブマウスを保護し、FcRnおよびFcyRノックアウトマウスは、免疫血清で保護された。
考察
世界保健機関は、世界で5億を超える人々が単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)に感染し、年間約2000万の新規症例があると推定した[1]。感染リスクは年齢と共に増加し、ウイルスが頻繁な無症候性または臨床的再活性化を伴う潜伏感染を確立するため、感染の影響は一生である。注意が必要なことには、HSV-2はHIVを獲得および伝播するリスクを有意に増加させる[2-4]。HSV-2の有病率は世界の地域間で変わり、日本の8.4%から、HIV有病率が卓越しているサブサハラアフリカで70%まで変わる[5, 6]。米国で、HSV-2の有病率は約16%であり、HSV-1は約54%に減少している。米国(および他の欧州各国)におけるHSV-1の有病率の減少は、性器ヘルペス疾患の大部分の症例がHSV-1が原因であったとの糖タンパク質D(gD)サブユニットワクチン治験の最近の残念な結果により証明されるとおり、性器HSV-1の増加と関連する[7-9]。HSV-1は、HSV-2と比較して再発が少なく、生殖器ウイルス排出が少ないが、両血清型は周産期に伝達され、新生児疾患を引き起こす;新生児疾患は、アシクロビル処置をしても、高い罹病率および死亡率と関連する[10-12]。性器ヘルペスに関連する罹病率、HIV流行との相乗性および米国単独で5億ドルを超える直接医療費は、安全かつ有効なワクチンの開発が急務であることを強調する[13]。
アジュバントと組み合わせたウイルスエンベロープ糖タンパク質からなるサブユニット製剤が、約20年間HSV-2ワクチン分野で主流であり、臨床治験の大部分はこの戦略に焦点を当てている[8, 14-19]。サブユニット製剤は安全であり、中和抗体を誘導するが、これらの製剤の臨床治験におけるHSV-2感染または疾患に対する有効性はわずかである[8, 14]。驚くべきことに、HSV-2 gDサブユニットワクチンは、性器HSV-1に対する保護を提供したが、HSV-2にはしていない[8, 20]。その後の試験により、血清HSV-2 gD抗体レベルがHSV-1に対する保護と相関していることが判明し、HSV-2保護に必要な抗体力価がHSV-1に対する保護に必要であるより高い可能性が示唆された[21]。対照的に、細胞介在免疫(重複gDペプチドに対する細胞内サイトカイン応答)は、いずれの血清型に対する保護とも相関しなかった[21]。ワクチンは、CD8 T細胞応答ではなく、CD4 T細胞応答を誘導するが、ワクチン接種感染女性と非感染女性の間のCD4 T細胞応答に差はなかった[21]。生殖器または他の粘膜抗体応答は測定しなかった。ゲノムからgH欠失させたHSV-2ワクチン候補は、血清陽性対象で実施した臨床治験におけるウイルス再発頻度を減少できなかったが、該ワクチンは一次感染に対する有効性について評価されていなかった[29]。
HIV感染患者のHSV-2再活性化率増加ことを示す臨床試験と、gDサブユニットワクチンが中和血清抗体の誘導にも関わらず何らCD8 T細胞応答を誘導できなかったことを組み合わせて、有効なワクチンは保護T細胞応答も誘導しなければならないことが示唆される[28, 30-32]。T細胞の重要性は、ヒト三叉神経節におけるHSV-1反応性T細胞の選択的保持を示す試験によってさらに強調される。CD4およびCD8 T細胞は周辺神経細胞を特定し、標的とされるウイルスタンパク質に異種性があるものの、多様なHLA-Aおよび-Bアレルの状況下で外被タンパク質、ビリオンタンパク質16(VP16)が複数三叉神経節T細胞により認識された;これらの発見は、外被タンパク質が重要な免疫原である可能性を示唆する[33]。同様に、外被タンパク質に向けた細胞毒性T細胞が、HSV-2に潜伏感染したヒトの試験でも同定された[34]。CD8 T細胞(CD8αα T細胞を含む)は、HSV再活性化後、真皮・上皮接合部で性器の皮膚および粘膜に持続し、免疫制御においてCD8 T細胞が役割を有することが示唆される[35]。
天然HSV-2 gDが遺伝的に欠失した遺伝子改変HSV-2ウイルスもここに開示される。HSV-2 gD遺伝子は、ウイルス侵入および細胞間伝播に必須のエンベロープ糖タンパク質をコードする。糖タンパク質Dは、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)としても知られる免疫制御スイッチである腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14(TNFRSF14)にも結合する。HVEMが1を超えるリガンドに対するドッキング部位を担持し、シグナル伝達がこれらの分子がHVEMにシスまたはヘテロで結合するかにより異なるため、gDは、免疫細胞に調節性作用を有し得る[36, 37]。実際、最近の試験により、gDはこの受容体の天然リガンドと競合し、ウイルスに対するサイトカイン応答を調節することが示唆される[38, 39]。gD遺伝子を緑色蛍光タンパク質(gfp)をコードするDNAフラグメントで置き換え、この構築物で形質転換した補完的HSV-1 gDを発現するVero細胞(VD60細胞[40])(例えばgD-1プロモーター下のgD-1)を、緑色プラークを形成する相同組み換えウイルスについてスクリーニングした。変異体ウイルスは、補完的Vero細胞株(補完的細胞で継代したとき、HSV-2 ΔgD-/+と命名)で高力価まで複製するが、非補完的細胞(非補完的細胞から単離されたとき、HSV-2 ΔgD-/-と命名)では非感染性である。このウイルスを精製し、インビトロで特徴づけした[41]。免疫応答性または免疫不全(SCID)マウスの腟内または皮下接種は、親野生型ウイルスにより引き起こされる致死的感染に比して、病原性がないことを確認した。免疫化(皮下初回刺激、続いて皮下または腟内いずれかの単回ブースト投与)は、腟内病原性HSV-2の曝露に対して100%保護的であった。ロバストな液性および細胞性免疫がHSV-2 ΔgD-/+により誘導され、US6(gD-2)がインビボ増殖性感染に必要であると結論付けられた。この生存弱毒化ウイルス株は、HSVに対する殺菌免疫を提供する。また受動的血清または血清産物導入も用いられ得る。
実施例2
ワクチンが臨床的HSV-1およびHSV-2単離株に対して保護する能力を、感染部位の局所免疫応答としてさらに確認した。古典的に、HSVは、ヒトにおける皮膚または皮膚粘膜層の裂け目のため、主として性器または口腔有核上皮細胞に感染するとされている(75)。ヒトHSV感染をより密接にモデル化するために、ヒトに類似するウイルス動態および病理組織を模倣する皮膚乱刺モデルを、これら試験に使用した(76)。
結果
低用量のΔgD-2での免疫化は、致死的腟内および皮膚曝露に対して保護的である。先の試験は、ワクチン接種材料として、5×10PFU(補完的VD60細胞で決定された力価)のΔgD-2を用いて実施された。用量漸減試験を実施して、低用量のワクチン接種での保護を検討した。C57BL/6マウス(5マウス/群)に、5×10PFU、5×10PFUまたは5×10PFUのΔgD-2を皮下(sc)初回刺激し、21日後ブーストした。3週間後、マウスを、先に記載された臨床単離株のHSV-2(4674)のLD90(5×10PFU)に、腟内または皮膚乱刺により曝露させた(77)。全HSV-2 ΔgD-2免疫化マウスは生存し(5/5/群)、一方対照ワクチン接種マウス(VD60細胞ライセートで免疫化)は全て疾患に屈した(図8A、8B)。最低用量(5×10)をワクチン接種したマウスは軽度上皮疾患を示したが、神経疾患の徴候は観察されず、膣および皮膚曝露モデル両者で、全ての動物は14日目までに完全に回復した。HSV抗体(ELISAにより測定)は、ブースト1週間後、全ワクチン接種マウスの血清で検出されたが、初回刺激後はされず、抗体力価は、投与するワクチン用量が高いほど、増加した(図8C)。
ΔgD-2で免疫化したマウスは、病原性HSV-1およびHSV-2臨床単離株の高ウイルス曝露から保護される。ΔgD-2ワクチンが多様なHSV-1およびHSV-2株に対して保護的であるかを評価するために、ニューヨーク州、ブロンクス区にあるClinical Virology Lab at Montefioreから5種のHSV-1臨床単離株(Bx1.1~Bx1.5と命名)および5種のHSV-2臨床単離株(Bx2.1~Bx2.5と命名)ならびに南アフリカHSV-2臨床単離株(SD90)を得た。単離株をVero細胞で増殖させ、シークエンシングおよびフェノタイピング前に3回を超えない継代をした。Illuminaシークエンシングは、これら株が相当な遺伝的多様性を示し、ペアワイズ距離はBx1.5と他のBx1単離株で6.3%およびBx2.2と他のBx2単離株で5.0%ほど高いことを示した。各臨床株のインビボ病原性を、皮膚乱刺モデルを使用し、Balb/Cマウスを1×10PFUのHSV-1株または5×10PFUのHSV-2株で攻撃することにより、実験室株と比較した。臨床単離株は、Bx1.1、Bx1.3、Bx2.3およびSD90で一定範囲の病原性を示し、ナイーブマウスで最高罹病率でより迅速な疾患を誘導した。類似の結果が、最も病原性の疾患を示す同じ4単離株を用いる膣曝露モデルで観察された(示していない)。興味深いことに、Vero細胞のインビトロ一段階および多段階増殖曲線で、単離株間の差異は観察されなかった。
ΔgD-2が異なる単離株に対して保護的であるかを評価するために、C57BL/6またはBalb/Cマウスを、5×10PFU/マウスのΔgD-2(または対照免疫原としてVD60ライセート)で初回刺激およびブーストし、次いでLD90用量の4種のより病原性の臨床単離株(表1)に、皮膚乱刺モデルを使用して曝露した。全ΔgD-2ワクチン接種マウスは、曝露から生存した(n=7 C57BL/6マウス/群;図3Aおよびn=5 Balb/Cマウス/群、図9B)。一部マウスが、4日目がピークである軽度上皮疾患を示したが、大部分の動物は曝露後8日までに完全に回復した。如何なる時点でも、マウスの何れにも神経疾患の徴候は検出されなかった。



注:Balb/Cマウス皮膚曝露モデルで90%罹病率を引き起こすプラーク形成単位
免疫応答のロバスト性をさらに評価するために、C57BL/6マウスにおける曝露用量を、SD90でLD90用量の10倍および100倍ならびにBx1.1でLD90の10倍に増加させた。ΔgD-2ワクチン接種マウス全てが、神経疾患の徴候なく、生存した(図9D)。ΔgD-2ワクチン接種マウスは、曝露5日後までに皮膚生検サンプルで検出されるウイルスが有意に減少し、大部分はウイルスプラークが検出されなかった(図10A、n=3マウス/群)。ウイルスの迅速なクリアランスに一致し、皮膚生検サンプルの病理組織学は、対照ワクチン接種マウスおける潰瘍形成および壊死が上皮の75~95%を占め、比較して、ΔgD-2ワクチン接種マウスおよび模擬(非ワクチン接種、非感染)処置マウスの両者で上皮性壊死および潰瘍形成は<10%であることを確認した。さらに、ΔgD-2ワクチン接種マウス(各暴露量および株あたりn=5マウス)から曝露14日後単離されたDRGにおいて、プラークアッセイ(図10B)またはqPCR(図10C)で複製または潜伏ウイルスは検出されなかった。同様に、ΔgD-2ワクチン接種マウスからのDRG(LD90のSD90の曝露5日後単離)と、Vero細胞と3週間共培養したとき、再活性化ウイルスは検出されなかった。対照的に、ウイルスDNAおよび再活性化可能ウイルスは全ての対照(VD60細胞ライセート)ワクチン接種マウス(DRGは屠殺時単離)から回収された(図10D、n=5マウス/群)。
HSV-2 ΔgD-2は、曝露後HSV-2特異的IgG2抗体および免疫細胞を皮膚に動員する:皮膚におけるワクチンおよびウイルス曝露への免疫応答を特徴づけするために、生検サンプルをブースト21日後および曝露2日または5日後得て、組織試験のための処理および/または均質化し、次いで抗原としてHSV-2(4674)またはHSV-1(17)感染細胞ライセートを使用するELISAにより、HSV特異的Abの存在を評価した。ΔgD-2免疫化マウスは、ブースト後皮膚で検出されるHSV特異的Abは低レベルであり、これは、早ければ曝露2日後のように迅速に増加した(図11A)。Bx1.1は、SD90と比較して高い力価のAb応答を誘導した。期待通り、HSV特異的Abは、曝露2日または5日後の対照ワクチン接種マウスの皮膚で検出されなかった(図11Aおよび11B)。皮膚から回収したAbは、主にIgG[1:24,000力価、(図11B)]であり、検出可能な抗HSVIgAまたはIgMはなく(データは示していない)、IgG2(IgG2aおよびIgG2bの誘導に等しい)HSV特異的抗体(全HSVIgGの約80%)に富んだ(図11C)。
マウスIgG2抗体はFcγRに結合する(78)。ΔgD-2ワクチンにより誘導されたAbはADCCに介在し、HSV被覆ビーズに対する抗体依存性細胞貪食(ADCP)の測定により、試験を広げた。ブースト1週間後得たΔgD-2ワクチン接種マウスからの血清は、対照免疫化マウスからの血清または細胞ライセートで被覆したビーズと比較して、高いHSV特異的食作用を誘導し、多くのIFN-γ分泌を誘導した(図11D)。
曝露5日後に得たΔgD-2免疫化および対照ワクチン接種マウスまたは非免疫化、非感染マウス(模擬)からの皮膚生検サンプルも、免疫細胞応答について免疫組織化学および/または免疫蛍光により評価した。ΔgD-2免疫化マウスは、対照免疫化マウスと比較して、CD3+ T細胞(平均±SD 8.0%±2.1対2.5%±0.7、p<0.001;図12A、12D)およびB220 B細胞(3.8%±1.1対;2.4%±1.1、p=0.09;図12B、12E)の顕著な増加があった。T細胞を、CD4またはCD8に対する染色によりさらに特徴づけした;対照免疫化マウスと比較して、ΔgD-2においてCD4集団の有意な増加があったが、CD8集団はなかった(p<0.05)(図12Fおよび12G)。逆に、対照免疫化マウスと比較して、ΔgD-2において、Iba1+単球/マクロファージ細胞(図12Cおよび12H)およびLy6G+好中球(図13)の減少があった。
炎症細胞の減少およびウイルスの迅速なクリアランスに一致して、曝露5日後、対照免疫化マウスと比較して、ΔgD-2の皮膚ホモジネートで検出される炎症性サイトカイン/ケモカインは減少した(図14)。HSV-1およびHSV-2感染マウスは、免疫化と無関係に、2日目に、模擬感染マウスと比較して、TNFα(図14A)、IL-1β(図14B)およびIL-6(図14C)レベルが高かった。しかしながら、該レベルはΔgD-2において5日目までに減少したが、対照免疫化マウスではしなかった。類似の結果がケモカインCXCL9(図14D)およびCXCL10(図14E)についても得られた。興味深いことに、IL-33レベルは両時点で対照免疫化マウスと比較してΔgD-2免疫化で一貫して高かった(図14F)。
考察
この試験は、HSV-2 ΔgD-2でのワクチン接種が一団の遺伝的に多様なHSV-1およびHSV-2臨床単離株に対する完全保護を提供し、潜伏感染の確立を防止することをさらに確認する。ワクチン有効性は、ヒト一次疾患を反映する最適化皮膚モデルで確認された。ΔgD-2は高力価抗体を誘導し、これは迅速に皮膚に動員され、最も病原性の株であるSD90のLD90の100倍暴露後でさえ、5日目までのウイルスのクリアランスをもたらした。広範囲のHSV-1およびHSV-2臨床単離株に対するΔgD-2の保護効果により、臨床単離株D90に対する十分な保護に失敗したHSV-2 ΔUL5/ΔUL29などの他の候補ワクチンまたはgDサブユニットワクチンおよび1種または2種の実験室ウイルス株に対してしか試験されていないその他のものと区別される。
ΔgD-2により提供される広範な保護は、誘導される免疫応答の独特の性質を反映する可能性がある。誘導されるAbはIgG2サブタイプ(全HSV特異的IgGの約80%)に富み、中和活性が低レベルであり(示していない)、曝露2日後までに皮膚生検サンプルで1:24,000に達する力価で皮膚に迅速に動因され、ADCP(ここに示す)およびADCCを含むFcエフェクター機能(78)に介在した。ΔgD-2に対する抗体応答は用量依存的であり、疾患スコアにより証明されるとおり、ウイルスクリアランスの迅速性と相関し、潜伏感染の確立を完全に防止するワクチンの能力に寄与した可能性があった。免疫化に用いるΔgD-2の用量が低いほど、血清におけるHSV特異的抗体の力価は低かったが、マウス全てが致死的曝露から保護された。これらの発見は、低レベルの抗体が、FcγRエフェクター機能に十分であり得ることを示す。gDのネクチン-1結合ドメインが改変されている(gD27)別のHSV-2ウイルス株も、組み換えアジュバント添加gDと比較して、低力価の血清中和Abを誘導したが、逆に、マウスにおける膣曝露に対して、組み換えgDタンパク質よりも保護的であった(59)。ADCCまたはADCPなどの他の抗体機能は評価しなかった。しかしながら、これらの発見は、中和Ab力価がマウス、コットンラット(80)またはヒトにおける保護の予測相関ではないとの考えをさらに支持する。
サイトカインおよびケモカインの増加により特徴づけられる迅速な炎症性応答が曝露2日後対照ワクチン接種およびΔgD-2ワクチン接種マウス両者で観察されたが、炎症性応答はワクチン接種マウスで5日目までに解消し、これはウイルスの迅速なクリアランスに一致する。対照的に、対照ワクチン接種マウスにおいて炎症は持続し、進行性疾患に一致する。後者は、サイトカイン/ケモカイン(IL-1β、IL6、CXCL9およびCXCL10)の持続的上昇ならびに対照ワクチン接種マウスにおける上皮をとおしておよび皮層内で観察された単球/マクロファージおよび好中球の持続により特徴づけられた。対照的に、高いパーセンテージのCD4 T細胞およびB220 B細胞がΔgD-2ワクチン接種マウスの皮膚で、細胞記憶応答を反映すると推定される5日目に観察される。
興味深いことに、IL-33が、対照と比較してΔgD-2免疫化マウスからの皮膚で高傾向のある唯一のサイトカインであった。IL-33の厳密な役割は未知である。先の試験で、rIL-33投与がマウスにおける皮膚創傷治癒を増強し、自然リンパ系細胞の活性化および単球の2型マクロファージへの分化と関連することが示されている(81, 82)。マウスへのIL-33の全身性投与は、炎症の低減につながるFcgR2bの増加と関連した(88)。おそらく、ΔgD-2ワクチン接種マウスの皮膚で観察されたIL-33増加は、創傷治癒および炎症の解消を促進した。
臨床単離株は、類似のインビトロ増殖動態にも関わらず、マウス皮膚(および膣)モデルで異なる病原性を示した(76, 84)。興味深いことに、いずれにしても、先の試験で記載したのに類似するレベルの遺伝的多様性がHSV-1単離株でみられたが、先の報告に記載したのよりはるかに大きい遺伝的多様性が、ブロンクス区で採取したHSV-2単離株でみられた。ここで観察された大きな差異は、ブロンクス区地域の多様な地理的起源を反映し得る。この不均一性にも関わらず、試験した単離株全てがΔgD-2ワクチンにより完全に保護され、おそらく多抗原性応答が反映される。さらに、HSV-1およびHSV-2両者で完全保護が観察され、これは、HSV-1が先進国世界における性器疾患のより一般的原因として出現しているため、臨床的に意義がある。ここで観察される普遍的保護は、潜伏ウイルスの非存在により証明される「殺菌免疫」と組み合わさって、このΔgD-2ワクチンの有効性を支持する。
材料および方法
細胞およびウイルス:Vero(アフリカミドリザル腎臓細胞株;CCL-81;American Type Culture Collection (ATCC), Manassas, VA, USA)細胞、VD60細胞[内因性プロモーター下にgD-1をコードするVero細胞(85)]およびCaSki(ヒト子宮頸部上皮性細胞株;CRL-1550;ATCC)を、10%ウシ胎児血清(FBS、Gemini Bio-Products, West Sacramento, CA)添加DMEMで継代させた。THP-1(ヒト単球細胞株;TIB-202;ATCC)細胞を、10%FBS添加RPMI-1640(Life Technologies)で継代し、ATCCガイドラインに従い継代培養した。HSV-2(G)ΔgD-2の構築およびVD60細胞でのその増殖は、先に記載されている(95, 94)。5種の異なるウイルス調製物を比較して、ワクチン有効性の変動は観察されていない。HSV-2(4674)(86)をCaSki細胞で増殖させた。実験室株HSV-2(G)(87)、HSV-2(333-ZAG)(86)、HSV-1(17)(89)およびHSV-1(F)(87)をVero細胞で増殖させた。南アフリカ単離株HSV-2(SD90)(97)は、David Knipeにより恵与され、Vero細胞で増殖させた。非特定化した5種のHSV-1(Bx1.1~Bx1.5)および5種のHSV-2(Bx2.1~Bx2.5)臨床単離株はClinical Virology Lab at Montefioreにより提供され、低継代作業ストックのためにVero細胞で3回継代した。
インビトロ増殖曲線:一段階および多段階増殖曲線の作成を、先行文献記載に従って実施した(86)。各ウイルスの一段階増殖のために、Vero細胞を、5PFU/細胞の感染効率(moi)でウイルスに感染させ、上清および細胞を感染後(pi)4時間、8時間、16時間および24時間毎に集め、-80℃で保存した。各ウイルスの多段階増殖のために、Vero細胞を0.01PFU/細胞のmoiで感染させ、上清および細胞を72時間まで感染後12時間毎に採取した。感染性ウイルスを、上清および溶解細胞でのプラークアッセイ実施により測定した。
臨床単離株のウイルスDNA単離およびシークエンシング:HSVDNAを、T150フラスコ中のコンフルエントVero細胞を、10のMOIでBx臨床単離株の各々に感染させることにより調製した。細胞を感染後16時間に採取し、PBSで2回洗浄した。DNAを、製造業者の推奨に従い、DNeasy(登録商標) Blood and Tissue(Qiagen)を使用して抽出した。DNAをQubit dsDNAアッセイ(Life Technologies)により定量した。製造業者の指示に従うNextera XT DNAライブラリー製造キット(Illumina)により、ペアエンドライブラリーを調製した。ライブラリーをIllumina MiSeq Desktopシークエンサーで配列決定した。ウイルスゲノム配列をVirAmpパイプライン(89)で集め、続いて不完全ミドリザル(Vero細胞の供給源)ゲノムの代用として、アカゲザルゲノムとアラインメントして、宿主配列を除去した。HSV-1およびHSV-2ゲノムを、HSV-1(96)(GenBank accession no. JN555585.1)およびHSV-2(HG52)(JN561323)との比較により、Genome Annotation Transfer Utility on ViPRでアノテートし、その後GenBankに提供した。先に配列決定されたHSV-2(SD90e)(KF781518)、HSV-2(333)(KP192856)、ChHV 105640(NC_023677.1)およびHSV-1(F)(GU734771.1)を含む全ゲノムアライメントを、ClustalW(90)を使用して実施し、MEGA6における1000ブートストラップ反復のUPGMA法を使用して、系統樹を構築した(91)。ギャップまたは欠測データを含む全位置を除いた。ゲノム配列のGenBank番号は次のとおりである。HSV-2(G)(KU310668)、HSV-2(4674)(KU310667)、Bx1.1(KU310657)、Bx1.2(KU310658)、Bx1.3(KU310659)、Bx1.4(KU310660)、Bx1.5(KU310661)、Bx2.1(KU310662)、Bx2.2(KU310663)、Bx2.3(KU310664)、Bx2.4(KU310665)、Bx2.5(KU310666)。
マウス免疫化およびウイルス曝露試験:実験を、Albert Einstein College of Medicine Institutional Animal Care and Use Committee、プロトコール番号20130913および番号20150805の承認を受けて実施した。雌性C57BL/6およびBALB/cマウスをJackson Laboratory(JAX, Bar Harbor, ME)から、4~6週齢で購入した。マウスを、100μl/マウスで、5×10~5×10PFUのΔgD-2または等量のVD60細胞ライセート(対照)皮下(sc、後肢内側および骨盤)で初回刺激および3週間後ブーストした。力価を、補完的細胞(VD60)でのプラークアッセイにより測定した。
腟内HSV感染症に対して、マウスを、曝露5日前2.5mgのメドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA; Sicor Pharmaceuticals, Irvine, CA)のscで処置した。次いで、マウスにLD90(5×10pfu/マウス)のHSV-2(4674)を30μl/マウスで接種腟内し、先に記載のとおり14日間疾患を採点し、生存をモニターした(21)。HSV皮膚感染症について、マウスの右側腹部をNairで脱毛し、24時間休ませた。脱毛したマウスをイソフルラン(Isothesia, Henry-Schein)で麻酔し、次いで、露出した皮膚を、使い捨て爪やすりで20~25回擦り剥き、続いてインビボ病原性試験のために1×10PFU HSV-1または5×10PFU HSV-2株に暴露させ、ワクチン有効性試験のために、選択HSV株のLD90、10×LD90または100×LD90に暴露させた(表1参照)。マウスを14日間モニターし、次のとおり採点した。1:一次損傷または紅斑、2:遠位部位帯状疱疹様損傷、軽度浮腫/紅斑、3:重度潰瘍形成および浮腫、上皮伝播増加、4:後肢不全麻痺/完全麻痺および5:死亡。4のスコアで屠殺したマウスを、統計分析のためにその後の全ての日で5の値に割り当てた。
HSVRT-qPCR:DNAを、重量測定した組織サンプルから、製造業者の推奨に従い、DNeasy(登録商標)Blood and Tissue(Qiagen)を使用して抽出した。次いで、抽出DNAを反応あたり10ngのDNAに正規化し、ABsolute qPCR ROX Mix(Thermo Scientific)を使用する、リアルタイム定量的PCR(RT-qPCR、qPCR)を使用して、ウイルスDNAを定量した。HSVポリメラーゼ(UL30)のプライマーをIntegrated DNA Technologies(Cat#: 1179200494)から購入し、ウイルスゲノムDNAの検出に使用した。単離HSV-2ウイルスDNAを、QuantStudio(登録商標) 3D Digital PCR(dPCR, ThermoFisher Scientific)を使用して絶対コピー量についてキャリブレーションし、続いてHSVウイルスゲノムコピーを決定するための標準曲線として使用した。4以下のコピー数が読まれたサンプルを陰性と判断した。データを、DRG(後根神経節)組織1グラムあたりlog10 HSVゲノムとしてあらわす。
皮膚生検サンプルにおける抗体およびサイトカインの検出:皮膚生検サンプルを、ブースト21日後またはウイルス皮膚曝露2日および5日後、HSV-2 ΔgD-2またはVD60ライセート(対照)免疫化マウス(機械的切除により直径約5~10mm)から得た。組織を重量測定し、RNase/DNaseフリーLysing Matrix Aチューブ(MP Biomedicals, Santa Ana, CA)中、無血清DMEMで、FastPrep-24TM 5G(MP Biomedicals)における3回30秒サイクルで6.0m/秒で均質化した。サンプルを5000rpmで10分間、4℃で回転させ、得られた上清を抗HSV抗体、サイトカインおよびケモカインについて評価した。抗HSV抗体を、コーティング抗原として非感染、HSV-1(96)またはHSV-2(4674)感染Vero細胞ライセートを使用して先に記載されたとおり、ELISAにより検出した(94)。1μg/ml(Becton Dickenson, San Diego)のビオチン抗マウスIgκまたはビオチン抗マウスIgA、IgM、IgG1、IgG2a、IgG2bまたはIgG3を二次検出抗体として使用した。ウェルをSpectraMax(M5 series)ELISAプレートリーダーで、450nmの吸光度で読んだ。得られた吸光度を、感染細胞ライセートで得られた値から非感染細胞ライセートで得られた値を減ずることにより決定した。総抗HSVIgは、1:1000希釈の組織ホモジネートで関連組織重量について正規化した450nmでの光学密度(OD)として報告する。抗HSVIgG、IgA、IgMまたはIgG1-3は、1:100希釈の皮膚ホモジネートのみ報告するIgG1-3以外、全希釈で450nmでの光学密度(OD)として報告する。
皮膚ホモジネート上清を、Milliplexマウスサイトカイン/ケモカインイムノアッセイ(Millipore, Danvers, MA)およびLuminex Magpix systemを使用してインターロイキン-6(IL-6)、IL-1ベータ(IL-1β)、IL-33、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターフェロン-ガンマにより誘導されたモノカイン(MIG、CXCL9)、インターフェロン誘導性サイトカイン(IP-10、CXCL10)についてアッセイし、Milliplex Analyst(Version 3.5.5.0; VigeneTech Inc.)で分析した。
皮膚組織の病理組織学、免疫組織化学および免疫蛍光:マウスを曝露5日後屠殺し、ウイルス(または模擬)感染部位の皮膚を切除し、RTで48時間ホルマリン固定した。サンプルをパラフィン包埋であるように規定どおり処理し、薄片にした。病理組織用のスライドをヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で染色した。サンプルは、サンプルの出所を知らせていない委員会認定の獣医病理担当者により組織学的に評価された。免疫組織試験(IHC)のために、サンプルを5μmに薄片にし、キシレン、続いて段階的アルコールで脱パラフィン処理した。pH6.0の10mMクエン酸ナトリウム緩衝液中で96℃で30分間加熱して、抗原修復を実施した。内因性ペルオキシダーゼ活性を、3%過酸化水素水溶液を使用して遮断した。切片を日常的IHC法により、抗CD3(すぐに使用できる形態、ThermoFisher Scientific, Cat: RM-9107-R7)、抗B220(BD Biosciences Cat: 550286)または抗Iba1(1:3000希釈、Wako Pure Chemical Industries, Richmond, VA)へのウサギ一次抗体に対するSuperPicTureTM(ThermoFisher Scientific, Cat:87-9673)を使用して染色し、次いで最終色原体としてジアミノベンジジンで染色した。全ての免疫染色した切片をヘマトキシリンで軽く対比染色した。染色断面を、Zeiss Axio Observer倒立光学顕微鏡で、20倍倍率で、上部層(上皮)から基底層(横紋筋)方向で、サンプルあたり3つの異なる位置を撮像した。染色陽性細胞を、Bologna-Molina et al., 2011 (92)に記載のとおり数え上げた。データを、サンプルあたり3撮像切片の%陽性細胞=(陽性有核細胞/総有核細胞)の平均として表す。
免疫蛍光試験のために、皮膚組織をHSVまたは模擬皮膚曝露5日後切除し、次いでOCT媒体に凍結した。サンプルを5μm切片に切断し、-80℃で保存した。次いで、凍結スライドを-20℃でアセトン中、15分間固定し、洗浄緩衝液(WB、0.05%Tween 20のPBS溶液)で洗浄し、次いでRTで2時間、遮断緩衝液(2%BSA、5%熱不活性化ヤギ血清のPBS溶液)で遮断した。スライドを2回洗浄し、抗CD4(GK1.5、1:200)、抗CD8(YTS169.4、1:250)、抗Ly6G(1A8、1:500)と、遮断緩衝液中、1時間、RTでインキュベートした。スライドを徹底的に洗浄し、Alexa flour 555またはAlexa flour 488(それぞれ1:500または1:200)とコンジュゲートしたヤギ抗ラット二次抗体と、30分間、RTでインキュベートした。スライドを洗浄し、DAPI(ProLong(登録商標) Diamond Antifade Mountant with DAPI, ThermoFisher Scientific)含有媒体でマウントした。スライドを、Nikon Eclipse Ti-U倒立光学顕微鏡で、20倍倍率で、上部層(上皮)から基底層(横紋筋)方向に、サンプルあたり2つの別の位置で撮像した。%CD4および%CD8定量のために、総有核細胞を、Velocity(version 6.3, Perkin Elmer)からのソフトウェアアルゴリズムにより、≧5μmのDAPI陽性物体により計算した。CD4またはCD8陽性細胞を蛍光およびDAPI+核の取り込みについて手動で計数し、皮膚切片における毛包および細胞破壊片の非特異的染色を除外した。データをサンプルあたり2画像の%陽性細胞=(陽性細胞/総DAPI細胞)の平均としてあらわす。
抗体依存性細胞貪食(ADCP)アッセイ。HSV特異的ADCPを測定するために、Ackerman et al., 2011(93)から改変したプロトコールを使用した。2×108 1μm ニュートラアビジン・レッド蛍光ビーズ(Invitrogen, F-8775)を、0.3mgのビオチニル化HSV-2感染または非感染(対照)Vero細胞で、一夜、4℃で、500μlのBlockAidTM(ThermoFisher Scientific, B-10710)中、被覆した。ビーズを1%BSAのPBS溶液で2回洗浄し、次いで1×10ビーズ/ウェルを96丸底プレートに加えた。ブースト1週間後の免疫化マウスからの血清を、56℃で30分間熱不活性化し、無血清RPMIで1:5希釈した。50μlの希釈血清を、HSVライセートまたは対照細胞ライセート被覆ビーズを含むウェルに加え、2時間、37℃でインキュベートした。2×10細胞/ウェルTHP-1細胞を、200μl/ウェルの最終体積でそれぞれに加え、8時間、37℃で5%COでインキュベートした。その後、100μlの上清を除去し、-20℃で保存し、100μl 4%パラホルムアルデヒドで再懸濁した。次いで、サンプルをEinstein Flow Cytometry Core Facilityで5レーザーLSRIIフローサイトメーター(Becton Dickenson, San Diego)で読んだ。食作用スコアを、THP-1細胞を表す事象をゲーティングし、続いて、FlowJoソフトウェア(version 10, Tree Star Inc.)を使用して、次の式:[(ビーズ陽性細胞%×ビーズ陽性細胞MFI)/10]を適用することにより報告する。抗体食作用を介する活性化THP-1細胞からのIFN-γ分泌は、先に記載のとおり、Milliplex human custom immunoassay(Millipore, Danvers, MA)およびLuminex Magpix systemを使用する、保存培養上清の分析により測定した。
組織におけるウイルス検出。皮膚および後根神経節(DRG)を、上記のとおり重量測定し、均質化した。次いで、均質化組織の上清をコンフルエントVero細胞単層(48ウェルプレートで2×10細胞/ウェル)に1時間重層した。ウェルをPBSで洗浄し、次いで1%熱不活性化FBS含有199培地(Gibco(登録商標))で洗浄し、0.5%メチルセルロースで重層し、37℃で48時間インキュベートした。細胞を2%パラホルムアルデヒドで固定し、クリスタルバイオレット溶液で染色し、PFU数を定量した。神経エキソビボ共培養アッセイを、先に記載のとおり実施した(94)。
統計分析。結果を、GraphPad Prism version 6(San Diego, CA)を使用する複数比較の二元配置分散分析(二元配置ANOVA)または対応のないスチューデントのt検定で比較した。マンテル・コックス生存曲線をログ・ランク検定により比較した。P値<0.05()、<0.01(**)、<0.001(***)を有意とした。
実施例3
新生児HSV感染は、世界中で、約14,000症例/年である。一次母体性器HSVが新生児症例の50~80%を占める。周産期伝播は、有効な治療があっても、深刻な死亡および罹病をもたらす。再発性母体HSV疾患では周産期HSV伝播のリスクが1~3%減少するため、母体に既に存在する抗体がある程度の保護を提供できることは明らかである。しかしながら、HSV1/2両者に血清陰性である妊婦が増えている。
マウスおよび倫理規則:マウス試験は、Institutional Animal Care and Use Committee at Albert Einstein College of Medicine、プロトコール#2016-1205により承認された。C57BL/6マウスはJackson Laboratory(JAX, Bar Harbor, ME)から購入した。
細胞およびウイルス:Vero(アフリカミドリザル腎臓細胞株;CCL-82; ATCC)、HaCAT(ヒトケラチン生成細胞、ATTC CLS 300493)およびVD60細胞(内因性プロモーター下gD-1をコードするVero細胞)を、10%ウシ胎児血清(FBS、Gemini Bio-Products, West Sacramento, CA)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Invitrogen)添加DMEMで継代させた。臨床単離株、HSV-2(4674)およびHSV-1(Bx1.1)およびウイルス内の遺伝子間部位に挿入されたCMVプロモーターの制御下緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する実験室株、HSV-2(333)ZAGを、Vero細胞で増殖させた。HSV-2(G) ΔgD-2を、補完的gD-1発現VD60細胞で増殖させ、ウイルス力価を並行してVD60およびVero細胞のプラークアッセイで測定した;非補完的Vero対照細胞でプラークは検出されなかった。
免疫化およびウイルス曝露試験:雌性マウスに、150μgのアルミニウム(Alum)(Imject Alum; Pierce Biotechnology, Rockland, IL)および12.5μgのノホスホリルリピドA(MPL)(Invivogen, San Diego, CA)(rgD-2/Alum-MPL)と組み合わせた5×10pfuのΔgD-2(VD60細胞で増殖)、非感染対照VD60細胞ライセートまたは5μgの組み換えgD-2タンパク質をワクチン接種した。ワクチンを、100μl/マウスの最終体積で4週齢(初回刺激)および7週間(ブースト)に皮下投与した。ブースト1週間後、免疫化雌を雄(2:1)と飼育し、膣栓についてモニターした。続いて雄性マウスを取り出し、妊娠雌を出産まで連日モニターした。仔に非ワクチン接種7日齢新生児マウス(LD90)(一般に約10pfu/マウスのHSV-1(Bx1.1)または10~10pfu/マウスHSV-2(4674))で90%致死(LD90)をもたらす用量である5μlのウイルスを、両外鼻孔に、マイクロピペットにより、生後1日、7日または14日目に鼻腔内接種した。仔を、疾患の徴候について連日モニターし、脳炎の徴候(例えば完全麻痺、振戦、歩行不安定性、猫背の姿勢)が発生したら、すぐに屠殺した。
定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によるHSVDNAの検出:屠殺時(マウスが疾患に屈したがまたは曝露14日後)、三叉神経節を摘出し、DNAをDNeasy Blood and Tissue(Qiagen)を使用して抽出し、サンプルあたり10ng DNAを、HSVポリメラーゼ(UL30)を標的とするプライマー(フォワードプライマー配列、5’-GGCCAGGCGCTTGTTGGTGTA-3’(配列番号3);リバースプライマー配列、5’-ATCACCGACCCGGAGAGGGA-3’(配列番号4);プローブ配列、5’-CCGCCGAACTGAGCAGACACCCGC-3’(配列番号5))(Integrated DNA Technologies)を使用するリアルタイムqPCR(Absolute qPCR ROX Mix(Thermo Scientific)により、HSVの存在についてアッセイした。マウスβ-アクチン(Applied Biosystems, Foster City, CA)をローディング・コントロールとして使用し、qPCRをApplied Biosystems QuantStudio 7 Flexで行った。4コピー未満のサンプルを陰性とした。
抗体応答、中和力価およびFcγR活性化の定量:HSV特異的総またはアイソタイプ特異的IgGを、先に記載された酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により、血清または母乳で測定した。母乳を、分娩8~12日後の妊娠雌性マウスから、出生仔から少なくとも2時間離し、搾乳5分前の2IU/kgのオキシトシンの腹腔内単回注射による投与により集めた。母乳滴を手動で出させ、次いで無菌エッペンドルフ管にピペットで集め、使用するまで-20℃で凍結させた。簡潔には、ELISAプレートを、0.1pfu/細胞の感染効率(MOI)でのHSV-1(Bx1.1)またはHSV-2(4674)で感染後24時間に集めたVero細胞ライセートまたは非感染対照ライセートで被覆した。血清の連続希釈物を、被覆プレートで一夜、4℃でインキュベートし、結合したIgG、IgG1、IgG2またはIgG3を特異的ビオチン標識二次Abs(BD Biosciences, San Jose, CA)を使用して定量した。抗HSVIgGレベルを、非感染細胞ライセートで得た光学デンシトメトリー(OD)値を減算後、決定した。中和力価は、免疫血清非存在下で形成されたプラーク(約100プラーク/ウェル)に関連するプラーク数の50%減少をもたらす最高熱不活性化血清希釈として定義した。FcγRIV活性化を、mFcγIV ADCC Reporter Bioassay(Promega, Madison, WI)と、標的としてのHSV-2(4674)またはHSV-1(Bx1.1)感染Vero細胞を使用して決定した。
抗体依存性細胞介在殺作用(ADCK)アッセイ:、5~10匹のナイーブ新生仔または3~5匹のナイーブ成熟マウスから、エフェクター免疫細胞を、脾臓および肝臓から単離し、プールした。赤血球をアンモニウム-クロライド-カリウム(ACK)溶解緩衝液(Gibco, Grand Island, NY)での溶解により除去した。プールした細胞を計数し、完全RPMI培地に再懸濁した。標的細胞は、1pfu/細胞のMOIのHSV-2(333)ZAGで4時間、37℃で感染させたHaCaT細胞または対照として、非感染HaCaT細胞であった。標的をCellStripper(Corning)で解離させ、10細胞/mlでDMEMに再懸濁し、2×10細胞(100μl中)を、96ウェルU底プレートの各ウェルに加えた。標的を、ΔgD-2またはVD60対照ワクチン接種成熟マウスから単離したプールした熱不活性化血清(DMEMで1:5希釈)と、15分間、室温でインキュベートした。次いで、プールしたエフェクター細胞を、エフェクター対標的細胞比10:1で1時間加えた。培養物を、Live/Dead Red fixable dye(Invitrogen)で30分間染色し、リン酸緩衝化食塩水(PBS)中5%パラホルムアルデヒドで固定し、FACs緩衝液(PBS中2%熱不活性化FBS)で再懸濁した。細胞を、LSRII(Becton Dickinson)でフローサイトメトリーにより分析し、GFP陽性(HSV-2感染)死亡細胞のパーセンテージを、FlowJo分析ソフトウェアを使用して、決定した。
FcγR発現:成熟または新生仔マウスの脾臓および肝臓から、ADCKアッセイの通りに単離した免疫細胞を、FACS緩衝液中で1×10細胞/mLに調節し、100μlの細胞懸濁液を、96ウェル丸底マイクロタイタープレートに加えた。細胞を、30分間、4℃で、暗所で、CD11b-APC-Cy7、Ly6G-AlexaFluor700、Ly6C-PE、F4/80-APC、CD3-PE-Cy7、Live/dead Red fixable dye(BD Biosciences, Invitrogen)および適切な抗mFcγ-FITC(I、II、III、IV; BioLegend)で染色し、次いでPBS中4%パラホルムアルデヒドで15分間固定した。分析について、前方および側方光散乱面積(FSC-A、SSC-A)対幅(FSC-W、SSC-W)に基づき、ダブレットを除外した。細胞集団を次のとおり定義した:マクロファージ、CD11bintF4/80hi;好中球、CD11bhiF4/80loLy6GhiLy6Cint;単球、CD11bhiF4/80loLy6GintLy6Chi。サンプルを、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)で読み、データをFlowJo分析ソフトウェアを使用して分析した。FcγR陽性細胞パーセントを、%FMO FITC陽性-%FITC陽性に基づき計算した。
統計分析:統計分析を、GraphPad Prism version 7.0ソフトウェア(GraphPad Software Inc., San Diego, CA)。0.05以下のp値を統計的有意とした。生存曲線を、マンテル・コックス検定を使用して比較した;他の結果を、記載する複数検定を用いる分散分析を使用して比較した。
結果
ΔgD-2をワクチン接種した母体は、HSV-1またはHSV-2曝露から7~14日齢仔を保護する:母体ワクチン接種が出生後仔をHSVから保護できるかを決定するために、成熟雌性マウスに、2用量のΔgD-2、rgD-2/Alum-MPLまたは対照として、非感染VD60細胞ライセートを、交尾前にワクチン接種し、仔を、ほぼLD90用量で、HSV-1またはHSV-2の臨床単離株に鼻腔内曝露させた。仔は、正期産ヒト乳児と免疫学的に対応する、生後7日目に最初に曝露された。致死的HSV-1およびHSV-2疾患に対する有意な保護が、対照ワクチン接種した母体から生まれた仔と比較して、ΔgD-2免疫化母体から生まれた仔で観察された(p<0.001)(図15A)。対照的に、母体rgD-2/Alum-MPLは、7日齢仔において、HSV-1(1/5(20%)生存)またはHSV-2(3/18(16.7%生存)に対してほとんど保護を提供しなかった。仔が、生後14日目に曝露されたとき保護は持続したが(図15B、p<0.001)、仔が生後1日目に曝露されたとき、減少した(HSV-1でHSV-2よりも減少)(図15C)。
7日または14日齢仔で観察された致死的疾患に対する保護が、潜伏感染の場(latent reservoir)の確立に対する保護と関連するかを決定するために、三叉神経節を、死亡時、または、生存マウスで、ウイルス曝露14日後qPCRによりHSVDNAについてアッセイした。rgD2-Alum/MPLまたはVD60対照ライセートをワクチン接種されたマウスと比較して、ΔgD-2をワクチン接種された母体から生まれた仔で、ウイルスDNAの有意な減少が観察され、母性由来Abによる迅速なウイルスクリアランスが示唆された(図17参照)。
FcγRIV活性化抗体と相関する保護:HSV結合(ELISA)、中和およびFcγRIV活性化Abレベルを、生後7日目にHSV-1またはHSV-2を感染させた仔から、疾患のための屠殺時(平均曝露後6日)または曝露で生存した仔は実験終了時(曝露14日後)に得た血液で定量した。gD-2/Alum-MPLおよびΔgD-2のワクチン接種は、類似の力価のHSV-1またはHSV-2結合IgG Abを誘導し、一方、期待通り、VD60免疫化マウスから生まれたHSV感染仔でHSV特異的IgGはほとんどまたは全く検出されなかった(図16A、16B)。しかしながら、Abの機能性は異なった。gD-2/Alum-MPLで免疫化した母体から生まれた仔の血清におけるAbは主に中和(平均NT 1:25)(図16C)であったが、マウスFcγRIVを活性化させなかった(図16D)。逆に、ΔgD-2免疫化母体から生まれたマウスの血清Abは、ADCC活性の指標である顕著なFcγRIV活性化を示したが、中和活性はほとんどまたは全くなかった。
最適保護は、母乳から獲得した抗体を必要とする:生後1日で曝露した仔の、7日または14日と比較して観察される保護の差は、経胎盤より獲得された抗体単独では不十分であるおよび/またはFcγRエフェクター細胞機能に年齢依存的差異があることを示唆する。これらの可能性を探索するために、ΔgD-2免疫化母親から生まれた仔を出生時入れ替え、VD60細胞ライセートで免疫化された母親に授乳させ(経胎盤により獲得されたAbのみ)、逆に、VD60対照免疫化母親から生まれたマウスを、ΔgD-2免疫化母親に授乳させた(母乳獲得Abのみ)。陽性対照は、ΔgD-2免疫化母親から生まれ、かつ授乳されたマウスであり、陰性対照は、VD60対照ライセート免疫化母親から生まれ、かつ授乳されたマウスであった。その後、仔を生後7日または14日目に鼻腔内曝露し、2週間モニターした。対照(VD60免疫化母体から生まれ、かつ授乳された仔)と比較して、ΔgD-2免疫化母体から生まれた仔は、ΔgD-2免疫化母体により授乳もされたならば、7日または14日目に曝露されたとき、LD90のHSV-1から有意に保護されるが、仔を出生時入れ替え、対照免疫化母体により授乳されたとき、保護されなかった(p<0.001、複数比較について補正したカプラン・マイヤー)。逆に、VD60免疫化母体から生まれたが、ΔgD-2免疫化マウスにより授乳された仔は、14日目に曝露されたとき有意に保護されたが、7日目はされなかった(p<0.001)。仔をHSV-2に曝露したとき、類似の結果が得られた(図19A~C)。潜伏に対する保護も、経胎盤および母乳Ab両者を受けた新生仔で最適であった(図20)。
結果を、曝露時の仔の血清に存在した新生仔Abレベルの量で補正した(図21A~21B)。これらの試験について、血液を、ウイルスに曝露されていない「入れ替えた」マウスから、3日、7日または14日目に得た(1日目の採血は実行不可能であった)。HSV-2特異的IgGの新生仔レベルは、マウスがΔgD-2免疫化母親から生まれたが、授乳されなければ急速に減少し、これは、マウスIgGの短半減期に一致する。逆に、HSV特異的IgGは、ΔgD-2免疫化母親から授乳のみされたマウスで急速に増加した。母乳におけるHSV特異的抗体の存在は、8~12日に集めたサンプルで確認した。
1日目に曝露されたマウスにおける保護の減少は、抗体依存性殺細胞活性と結びつく:生後1日目にHSV特異的Abが十分なレベル存在するにも関わらず(ΔgD-2免疫化母親から生まれたがが、授乳されていない仔の3日目に測定されたレベルに基づく)、保護は統計的に有意ではなく、FcγRIV発現および/または抗体依存性殺細胞(ADCK)の欠損が示唆される。成熟マウスと比較して、1~3日齢の肝臓および脾臓から単離した免疫細胞サブ集団において、FcγRの何れの発現も有意な差は観察されなかった。しかしながら、1~3日齢仔から単離した免疫細胞のADCKエフェクター機能は、7日目または成熟細胞と比較して、有意に減少した。これらの試験について、種々の齢のマウスから単離した免疫細胞のプールした単細胞懸濁液(エフェクター細胞)を、HSV-2(ZAG)(GFPを発現)感染HaCAT標的細胞と、ΔgD-2またはVD60免疫化成熟マウスから採取した血清の存在下でインキュベートし、エフェクター細胞が標的細胞を殺す能力を定量した(データは示していない)。
致死未満量のHSV-2を感染させたマウスからの回復期血清は、仔をその後のウイルス曝露から保護できない。成熟雌性マウス(C567BL/6)を、10pfu用量のHSV-2(4674)またはPBS(対照)で鼻腔内感染させた。感染2週間後、血清をマウスから集め、HSV-2特異的抗体について試験した。致死未満量の感染はIgG応答(図22A、ELISA力価)を誘導し、これは、主に中和であり(図22B)、ΔgD-2ワクチン接種マウスと比較してFcγRIV活性化が少なかった(図22C)。血清陽性または対照マウスを続いて交尾させ、得られた仔を、7日目にHSV-2で鼻腔内曝露させた。有意な保護は観察されなかった(図22D)。
考察
世界的に、HSVは、100,000名の新生児あたり10名に感染すると推定され、大部分の症例は、母体HSV-2の高発生率を暗影するアフリカで生じる。しかしながら、全体的有病率が最高であるのは、生殖可能年齢に達するHSV-1およびHSV-2血清陰性、故に、いずれかの血清型での一次性器感染を獲得するリスクがより大きい、女性の数が増えているアメリカであり得る。頻繁な再発の病歴のある女性の抑制的アシクロビル処置および/または出産時に活動性損傷が検出されるときの帝王切開は、HSVのリスクを減少し得るが、大部分の周産期伝播は、一次母体HSVの状況でかつ臨床的病変非存在下で生じる。故に、最適予防には、HSV-1およびHSV-2両者の臨床単離株に対し有効であり、胎盤を効率的に通過するIgG応答を産生するワクチンが必要とされる。
現在のマウス試験の結果は、ΔgD-2での雌性成熟マウス(受胎前)の免疫化が、HSV-1またはHSV-2の臨床単離株での鼻腔内ウイルス曝露から新生仔マウス(生後7~14日)を保護するAb応答を誘導することを示す。保護は、AbがADCKを誘導するためにマウスFcγRIVを活性化する能力と相関する。新生仔マウスの血清で類似レベルの総HSV特異的Abが産生されるにも関わらず、アジュバント組み換えgD-2タンパク質で免疫化した母体は、7日目に限定的保護しか提供しないが、母乳から獲得されたHSV特異的抗体の増加と平行して、14日目に有意な保護が得られた。これらの発見は、自然感染で優勢な応答である中和Abが、新生仔の疾患に対して部分的保護を提供するとの臨床的観察により支持される。
ある程度の保護(統計的に有意ではない)が、新生仔の誕生当日に見られた(図15C参照)。しかしながら、新生仔マウスが、ΔgD-2免疫化母体をから生まれ、出生時入れ替え、対照ワクチン接種マウスに授乳させた仔で保護が喪失することにより示されるとおり、経胎盤および母乳獲得Ab両者を受けたとき、保護が最適であった。これは、IgG1、IgG2a/cおよびIgG3について約6~8日およびIgG2bについて4~6日であるマウスIgGの比較的短い半減期ならびにマウスにおける近位小腸の刷子縁での高レベルのFc新生仔受容体発現を反映する。対照的に、ヒトIgGの半減期は遥かに長く、乳児は、合胞体栄養芽細胞における新生仔FcRの比較的高レベルの発現により、胎児として、母体IgGの大部分を経胎盤により受ける。従って、マウスにおける胎児保護(経胎盤)は、ヒト胎児および新生児において本技術で得られ得る保護を過小評価する。
周産期感染症の予防が、母体免疫化戦略を介して提供でき、抗体の受動伝達がナイーブ動物を保護することは明らかである。
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Claims (25)

  1. 第一の対象においてHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答を誘導する方法であって、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2で免疫化した妊婦からの産物の一定量を第一の対象に受動伝達させることを含み、ここで、該HSV-2は、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、ここで、該産物はそれにより誘導された抗体を含み、第一の対象におけるHSV-2および/またはHSV-1感染に対する免疫応答の誘導に有効であり、ここで、該第一の対象は胎児または新生児である、方法。
  2. 該産物が該妊婦の血清を含む、請求項1の方法。
  3. 該産物が該妊婦の母乳を含む、請求項1または請求項2の方法。
  4. 該第一の対象が胎児である、請求項1~3の何れかの方法。
  5. 該第一の対象が新生児である、請求項1~4の何れかの方法。
  6. (原文に記載なし)
  7. 該第一の対象が第二の対象から生まれる、請求項5の方法。
  8. 該妊婦が該胎児を妊娠している、請求項4の方法。
  9. 該第一の対象および妊婦がヒトである、請求項1~8の何れかの方法。
  10. 該産物が、妊婦を欠失を有するHSV-2で免疫化することにより誘導した抗体を含む、請求項1~9の何れかの方法。
  11. 該方法が、第一の対象におけるHSV-2に対する免疫応答を誘導する、請求項1~10の何れかの方法。
  12. 該方法が、第一の対象におけるHSV-1に対する免疫応答を誘導する、請求項1~11の何れかの方法。
  13. 該産物が、免疫アジュバントをさらに含む、請求項1~12の何れかの方法。
  14. 該産物が、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2をさらに含み、ここで、該HSV-2が、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dが表現型的に補完されている、請求項13の方法。
  15. 新生児における周産期HSV-1および/またはHSV-2感染を阻止する方法であって、該新生児になる胎児を妊娠している女性にゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の一定量を投与することを含み、ここで、該HSV-2が、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、新生児における周産期HSV-1および/またはHSV-2感染の阻止に有効である、方法。
  16. 母体から新生児へのHSV-1および/またはHSV-2ウイルス伝播を阻止する方法であって、母体にゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の一定量を投与することを含み、ここで、該HSV-2が、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)糖タンパク質Dを発現する補完的細胞における該HSV-2の増殖により該HSV-1糖タンパク質Dで表現型的に補完され、母体から新生児へのHSV-1および/またはHSV-2ウイルス伝播の阻止に有効である、方法。
  17. 該母親が、該新生児になる胎児を妊娠している、請求項16の方法。
  18. 該HSV-1感染またはHSV-1ウイルス伝播が阻止される、請求項15または請求項16の方法。
  19. 該HSV-2感染またはHSV-2ウイルス伝播が阻止される、請求項15または請求項16の方法。
  20. 免疫応答がHSV-1に対して誘導される、請求項1の方法。
  21. 免疫応答がHSV-2に対して誘導される、請求項1の方法。
  22. 該補完的細胞がVD60細胞である、請求項1、請求項15または請求項16の方法。
  23. 該妊婦、母親または第二の対象がHSV-1について血清陰性、HSV-2について血清陰性またはHSV-1およびHSV-2両者について血清陰性である、請求項1~22の何れかの方法。
  24. 該妊婦または母親が、ゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2を皮下投与される、請求項1~23の何れかの方法。
  25. 該妊婦または母親が、HSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2の初期皮下投与後、皮下ブースト用量のゲノムにHSV-2糖タンパク質Dコード遺伝子全体の欠失を有するHSV-2を投与される、請求項24の方法。
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