JP2024014486A - 染毛料組成物の梱包方法及び変質防止方法並びに染毛用品 - Google Patents

染毛料組成物の梱包方法及び変質防止方法並びに染毛用品 Download PDF

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朋也 園田
Tomoya Sonoda
紗也 水野
Saya MIZUNO
香里 守口
Kaori Moriguchi
潤 松林
Jun Matsubayashi
郷 安藤
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Abstract

【課題】2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体を染料として含有する染毛料組成物の変質を抑制する変質抑制方法、染毛料組成物の梱包方法、及び、染毛用品を提供する。【解決手段】特定の粘度特性を有するように、式(1)で表される化合物を含む染毛料組成物を調整する工程と、染毛料組成物を金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器に収容する工程と、を備えることを特徴とする、染毛料組成物の梱包方法である。TIFF2024014486000019.tif42153〔式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。〕【選択図】図2

Description

本発明は、染毛料組成物の梱包方法及び変質防止方法並びに染毛用品に関する。更に詳しくは、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体を用いた染毛料組成物の梱包方法及び変質防止方法並びに染毛用品に関する。
従来、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体の一種である2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノールを染毛に利用できることが知られている(特許文献1)。
特開2014-234381号公報
染毛料などを利用する半永久染毛は染毛剤などを利用する永久染毛に比べて手軽に染毛を行うことができることから、近年、市場ニーズが急速に伸びている。この半永久染毛は直接染料を利用する染毛方法であり、その直接染料として、上述の通り2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノールが知られている。そして、特許文献1に記載の通り、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノールの染色性能はpH依存が強いという課題があることが知られている。
一方で、上記特許文献1には、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノールの変質については記載及び示唆がない。しかしながら、実際、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体を染料として用い、染毛料組成物を調製すると、何らかの理由により変質を生じ得ることが分かってきた。具体的には、空気との接触が染料の安定性に影響することが分かってきた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体を染料として含有する染毛料組成物の変質を防止する変質防止方法、染毛料組成物の梱包方法、及び、染毛用品を提供することを目的とする。
即ち、本発明には以下が含まれる。
[1]下記一般式(1)で表される化合物を含む染毛料組成物の梱包方法であって、
下記(2)に示す粘度特性を有するように前記染毛料組成物を調整する調整工程と、
前記粘度特性を有する前記染毛料組成物を下記(3)に示す容器に収容する収容工程と、を備えることを特徴とする染毛料組成物の梱包方法。
Figure 2024014486000002
〔式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。〕
(2):B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性
(3):金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器
[2]前記染毛料組成物が、前記化合物を除く直接染料を更に含む上記[1]に記載の梱包方法。
[3]前記染毛料組成物が、液媒、油性成分及び界面活性剤を含み、
前記液媒として、水及び多価アルコールのうちの少なくとも前記水を含み、
前記油性成分として、非液状油性成分及び液状油性成分のうちの少なくとも前記非液状油性成分を含み、
前記非液状油性成分として、高級アルコールを含む上記[1]又は[2]に記載の梱包方法。
[4]前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記高級アルコールの含有割合をW質量%とし、前記界面活性剤の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/W≦7である上記[3]に記載の梱包方法。
[5]前記染毛料組成物が、多価アルコールを含み、
前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記多価アルコールの含有割合をW質量%とし、前記化合物を含む染料成分の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/Wである上記[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の梱包方法。
[6]前記直接染料が、HC赤13、HC黄4、HC青16、塩基性橙31及び塩基性青75からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[2]に記載の梱包方法。
[7]上記[3]乃至[5]のうちのいずれかに記載の梱包方法において、前記染毛料組成物が前記化合物を除く直接染料を更に含み、且つ、前記直接染料が、HC赤13、HC黄4、HC青16、塩基性橙31及び塩基性青75からなる群から選ばれる少なくとも1種である梱包方法。
[8]下記一般式(1)で表される化合物を含む染毛料組成物の変質防止方法であって、
下記(2)に示す粘度特性を有するように前記染毛料組成物を調整する調整工程と、
前記粘度特性を有する前記染毛料組成物を下記(3)に示す容器に収容する収容工程と、を備えることを特徴とする染毛料組成物の変質防止方法。
Figure 2024014486000003
〔式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。〕
(2):B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性
(3):金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器
[9]前記染毛料組成物が、前記化合物を除く直接染料を更に含む上記[8]に記載の変質防止方法。
[10]前記染毛料組成物が、液媒、油性成分及び界面活性剤を含み、
前記液媒として、水及び多価アルコールのうちの少なくとも前記水を含み、
前記油性成分として、非液状油性成分及び液状油性成分のうちの少なくとも前記非液状油性成分を含み、
前記非液状油性成分として、高級アルコールを含む上記[8]又は[9]に記載の変質防止方法。
[11]前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記高級アルコールの含有割合をW質量%とし、前記界面活性剤の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/W≦7である上記[10]に記載の変質防止方法。
[12]前記染毛料組成物が、多価アルコールを含み、
前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記多価アルコールの含有割合をW質量%とし、前記化合物を含む染料成分の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/Wである上記[8]乃至[11]のうちのいずれかに記載の変質防止方法。
[13]前記直接染料が、HC赤13、HC黄4、HC青16、塩基性橙31及び塩基性青75からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[9]に記載の変質防止方法。
[14]上記[10]乃至[12]のうちのいずれかに記載の変質防止方法において、前記染毛料組成物が前記化合物を除く直接染料を更に含み、且つ、前記直接染料が、HC赤13、HC黄4、HC青16、塩基性橙31及び塩基性青75からなる群から選ばれる少なくとも1種である変質防止方法。
[15]下記一般式(1)で表される化合物を含み、且つ、下記(2)に示す粘度特性を有する染毛料組成物と、
下記(3)に示す容器と、を備え、
前記染毛料組成物が、前記容器に収容されてなることを特徴とする染毛用品。
Figure 2024014486000004
〔式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。〕
(2):B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性
(3):金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器
[16]前記染毛料組成物が、前記化合物を除く直接染料を更に含む上記[15]に記載の染毛用品。
[17]前記染毛料組成物が、液媒、油性成分及び界面活性剤を含み、
前記液媒として、水及び多価アルコールのうちの少なくとも前記水を含み、
前記油性成分として、非液状油性成分及び液状油性成分のうちの少なくとも前記非液状油性成分を含み、
前記非液状油性成分として、高級アルコールを含む上記[15]又は[16]に記載の染毛用品。
[18]前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記高級アルコールの含有割合をW質量%とし、前記界面活性剤の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/W≦7である上記[17]に記載の染毛用品。
[19]前記染毛料組成物が、多価アルコールを含み、
前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記多価アルコールの含有割合をW質量%とし、前記化合物を含む染料成分の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/Wである上記[15]乃至[18]のうちのいずれかに記載の染毛用品。
[20]前記直接染料が、HC赤13、HC黄4、HC青16、塩基性橙31及び塩基性青75からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[16]に記載の染毛用品。
[21]上記[17]乃至[19]のうちのいずれかに記載の染毛用品において、前記染毛料組成物が前記化合物を除く直接染料を更に含み、且つ、前記直接染料が、HC赤13、HC黄4、HC青16、塩基性橙31及び塩基性青75からなる群から選ばれる少なくとも1種である染毛用品。
本発明の染毛料組成物の梱包方法によれば、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体の変質を防止することができる。
本発明の染毛料組成物の変質防止方法によれば、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体の変質を防止することができる。
本発明の染毛用品によれば、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体の変質を防止することができる。
容器の一例を示す半断面図である。 容器の他例を示す半断面図である。 図2に示す容器におけるノズル部を拡大して示す断面図である。 図2に示す容器におけるノズル部を覆う蓋体の一例を示す半断面図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
尚、別途に明記しない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味し、X及びYが数値の場合は「X~Y」の表記は「X以上且つY以下」を意味する。
また、一部の化合物の名称に関して、日本化粧品工業連合会成分表示名称リストに準じた名称、又は、INCI(INCI:International Nomenclature of Cosmetic Ingredient:化粧品原料国際命名法)に準じた名称を用いる。
更に、一部の化合物の名称に関して、ポリオキシアルキレン鎖について、ポリオキシエチレン鎖を「POE」、ポリオキシプロピレン鎖を「POP」と略記する場合がある。また、これらの略記に続くカッコ内の数字は、各々付加モル数を表す。更に、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を表す。
[1]染毛料組成物の梱包方法
本発明の染毛料組成物の梱包方法は、下記調整工程と下記収容工程とを備えることを特徴とする。
上記「調整工程」は、B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性を有するように、一般式(1)で表される化合物(以下、単に「化合物(1)」ともいう)を染料成分として含んだ染毛料組成物を調整する工程である。
上記「染毛料組成物」は、化合物(1)を含んだ染毛力を有する組成物である。
上記「化合物(1)」は、一般式(1)で表される2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体であり、染料成分である。式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。
Figure 2024014486000005
即ち、化合物(1)は、式(1)におけるRがアミノ基である2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール(下記式(2)で表される、以下、単に「化合物(2)ともいう」)、及び、式(1)におけるRがエチルアミノ基である2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール(下記式(3)で表される、以下、単に「化合物(3)ともいう」)のうちの少なくとも一方の化合物である。
Figure 2024014486000006
Figure 2024014486000007
染毛料組成物に含まれる化合物(1)の含有量は限定されないが、染毛料組成物全体を100質量%とした場合に、化合物(1)の割合は、0.001質量%以上であることが好ましい。化合物(1)が0.001質量%以上含まれる染毛料組成物であれば、優れた染毛力を発揮させることができるからである。化合物(1)の含有量は多い程、上記の差異が明確となる傾向にあるという観点から、化合物(1)は0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが更に好ましく、0.05質量%以上であることが特に好ましい。
一方、化合物(1)の割合は、5質量%以下であることが好ましい。通常、染毛料として化合物(1)を5質量%以上含有する必要は生じ難く、また、5質量%以下にすることで溶解性を向上させることができるからである。化合物(1)の溶解性が向上されることで染毛料組成物の安定性が向上され、化合物(1)の変質抑制に対しても寄与される。このような観点からは、化合物(1)の割合は、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.001~5質量%とすることができ、0.005~3質量%とすることができ、0.01~1質量%とすることができ、0.05~0.5質量%とすることができる。
化合物(1)を含んだ染毛料組成物、概して空気接触により変質を生じる傾向がある。具体的には、染毛力の低下として顕在化する傾向がある。その機序としては、例えば、(A)空気接触によって化合物(1)が酸化されること、(B)染毛料組成物内で共存された他成分が空気接触によって変質して化合物(1)へ作用すること、(C)空気接触によって染毛料組成物のpHが変化すること、などが考えられる。上述の変質は、いずれか1種のみの機序によって生じている可能性もあるし、また、2種以上の機序が複合的に生じている可能性もある。
上記調整工程では、上述した通り、染毛料組成物が所定の粘度特性を有するように調整する。即ち、この粘度特性は、B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000となる粘度特性である。
即ち、粘度計を用いて所定の剪断力を60秒間付加し続けた時の粘度Vが3,000≦V(mPa・s)≦80,000の範囲に収まるものであると共に、剪断力を加え始めた初期(5秒後)の粘度Vと比較して大幅に変化しない(粘度増大する場合は10倍以下、粘度低下する場合は1/2以内)という特性を有する。
上記のような粘度特性を有するように調整した染毛料組成物は、吐出可能な容器に収容した場合に、小さい力で吐出させることができる一方、吐出後の戻りが少ない染毛料組成物とすることができる。このため、容器から染毛料組成物を吐出した後に、染毛料組成物で容器の吐出口を塞ぐことができる。即ち、吐出口から染毛料組成物を分取した際に、吐出口の内側に染毛料組成物が残存され、残存された染毛料組成物で吐出口を塞ぐことができる。このため、吐出口の表面に露出された染毛料組成物は、空気接触されるものの、容器内部の染毛料組成物の空気接触は防止でき、染毛料組成物の変質を防ぐことができる。
尚、本発明において、変質防止は、変質の完全な防止及び不完全な防止を含む。不完全な防止は、変質の抑制、変質の低減を含む意味である。即ち、本発明の構成を備える態様と、備えない態様と、を同条件で比較した場合に、本発明の構成を備える態様では、変質の度合いを小さくすることができる。
上記粘度特性に関して、粘度Vは、3,000~80,000mPa・sである。この範囲では、0.1≦V/V≦2の特性との両立により、染毛料組成物の変質を効果的に防止できる。粘度Vが3,000mPa・s以上であると特に包材から染毛料組成物を吐出する際に、復元力の強い包材に対しても雰囲気中の空気の吸引に対して抵抗性を持つことができる。粘度Vは5,000mPa・s以上であることが好ましく、10,000mPa・s以上であることがより好ましく、15,000mPa・s以上であることが更に好ましい。一方、粘度Vは、が80,000mPa・s以下であると、より小さい力で吐出が可能になり、吐出性を高めることができる。粘度Vは、65,000mPa・s以下であることが好ましく、50,000mPa・s以下であることがより好ましく、35,000mPa・s以下であることが更に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、5,000~65,000mPa・sとすることができ、10,000~50,000mPa・sとすることができ、15,000~35,000mPa・sとすることができる。
また、上記粘度特性に関して、粘度Vと粘度Vとの比(V/V)は、0.1~2である。この範囲では、3,000≦V(mPa・s)≦80,000の特性との両立により、染毛料組成物の変質を効果的に防止できる。V/Vは、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。一方、V/Vは、2.0以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.3以下であることが更に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.1~2.0とすることができ、0.5~1.6とすることができ、0.8~1.3とすることができる。
具体的には、染毛料組成物の剤型(25℃における剤型)は限定されないが、例えば、クリーム状、乳化物状(乳液状)、分散液状、ペースト状、泡状(フォーム状)、液体状、水溶液状、ゲル状、固体状等とすることができる。上述の粘度特性をより充足しやすいという観点からは、クリーム状、ペースト状、ゲル状、乳化物状の剤型が好ましい。
また、その用途も限定されず、洗浄剤やヘアケア剤、一時着色料、整髪料等とすることができ、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、カラークリーム、カラースプレー、ヘアマスカラ、カラーワックス、前処理剤、後処理剤等とすることができるが、特にカラートリートメント、カラーコンディショナー、カラーリンス、カラーシャンプー等とすることが好ましく、これらのなかでも、染毛作用に加えてヘアコンディショニング効果を併せ持つカラートリートメント、カラーコンディショナー、カラーリンス等としての利用が特に好適である。
尚、この染毛料組成物は、1剤式として用いてもよく、2剤以上に分割した多剤式として用いてもよく、多剤式の場合は、使用前に混合して用いてもよく、順次個別に使用してもよいが、本発明の梱包方法では、1剤式であることが好ましい。
染毛料組成物の調整は、化合物(1)が染料成分として含有されるとともに、染毛料組成物として必要な組成と、上述の必要な粘度特性とが実現されるように調整されればよく、具体的な方法等は限定されない。即ち、例えば、染毛料組成物として必要な複数の成分を、その種類と配合量とを適宜選択して混合することにより、必要な組成及び粘度特性を実質的に同時に調整することができる。また、予め染毛料組成物として必要な組成を有するものの、必要な粘度特性を有さない前駆組成物を用意したうえで、前駆組成物に対して粘度特性を調整できる成分を配合して、必要な粘度特性を得ることができる。また、当然ながら、これら以外の手順により得ることもできる。
即ち、上述の粘度特性は、具体的にどのようにして実現してもよいが、本発明の梱包方法で用いる染毛料組成物は、染料成分の他、例えば、液媒、油性成分、水溶性高分子、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、安定剤、ポリペプチド類、アミノ酸類、植物エキス等のうちの少なくとも1種の配合成分を含むことができる。従って、これらの配合成分の種類の選択や配合量等によって、前述した粘度特性を実現できる。
上記のなかでも、染毛料組成物の粘度調整には、液媒、油性成分、界面活性剤及び水溶性高分子の利用がより好ましく、なかでも、液媒、油性成分及び界面活性剤の配合が好ましい。このうち、液媒は、水及び多価アルコールのうちの少なくとも水を含むことが好ましく、油性成分は、非液状油性成分及び液状油性成分のうちの少なくとも非液状油性成分を配合し、この非液状油性成分として、高級アルコールを配合することが好ましい。
尚、各成分については、後述する。
上記「収容工程」は、上記粘度特性を有するように調整された染毛料組成物を、金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器に収容する工程である。
上記「容器」は、染毛料組成物を収容するための容器である。この容器は、金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器であれば、どのような形状・形態を有してもよい。例えば、チューブタイプの容器等が挙げられる。
また、多層構造は、少なくとも金属層と樹脂層とを有すればよく、これらの層のみから構成されてもよいし、これら以外の層を備えてもよい。金属層は、1層のみを有してもよいし、2層以上を有してもよい。同様に、樹脂層は、1層のみを有してもよいし、2層以上を有してもよい。多層構造が備える層数は限定されないが、例えば、2~20層とすることができ、2~15層が好ましく、2~10層がより好ましい。
尚、各層の厚さは限定されないが、例えば、各層の厚さは、1~500μmとすることができ、更には10~300μmとすることができる。また、各層の厚さは、同じであってもよいし、異なってもよい。また、外壁の総厚も限定されないが、例えば、100~10000μmとすることができ、更には200~700μmとすることができる。
金属層は、容器に対して遮光性や強度を付与すると共に、容器を変形しやすくすることができる。特に容器の復元力がより小さくなるよう抑制し、場合によっては塑性変形性を付与することができる。容器の復元力が小さく抑えられている場合、容器の外壁を指等の使用者の手で押圧して、当該外壁を変形させた場合に、元の形状へ戻ろうとする作用をより小さく抑えることができる。即ち、容器が元の形に戻るまでの時間を長く確保することができるようになるため、容器内に外気が吸引されることを抑制できる。また、使用者が容器に蓋をするまでの間に、内容物と空気とが接触しないように維持することができ、容器内に残存されている染毛料組成物が空気と接触することを抑制することができる。
金属層を構成する金属種は限定されないが、例えば、アルミニウム、錫、亜鉛、鉛、銅、鉄、ステンレス等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、染毛料組成物に対する耐腐食性、軽量性等の観点からアルミニウムが好ましい。
樹脂層は、容器に対して耐食性を付与することができる。上述の通り、容器は金属層を有するが、この金属層が染毛料組成物と直接に接触することを防止するという観点から、金属層よりも容器の内側に配置された樹脂層(以下、単に「内側樹脂層」ともいう)を備えることが好ましい。
また、樹脂層は、容器に対して装飾性を付与することができる。上述の通り、容器は金属層を有するが、金属層に対して装飾を施すことはより難しい傾向にあるため、金属層よりも容器の外側に配置された樹脂層(以下、単に「外側樹脂層」ともいう)を備えることが好ましい。また、外側樹脂層は、使用者の手に付着した染毛料組成物が、金属層に接触することを防止する保護層としての機能を有することができる。
更に、樹脂層を備えることにより、容器の繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができる。即ち、本発明で用いる組成物は、染毛料組成物であり、この染毛料組成物は、繰り返し利用される組成物とすることができる。染毛料組成物を繰り返し利用する場合、容器から使用時にそのつど吐出するため、容器も繰り返し、押圧や屈曲されることとなる。このため、実質的に金属層のみから構成される容器(特にチューブタイプの容器)では、繰り返し使用により容器が割け、染毛料組成物が露出してしまう可能性がある。染毛料組成物が、周囲に付着すると付着箇所を染色する可能性があり、容器は繰り返しの利用に耐え得る耐久性を有することが好ましい。即ち、染毛料組成物の吐出後に、容器が元の形状へ戻らない、もしくは急激に戻るのを抑え、容器内に外気が吸引されることを抑制する性質を有しながらも、繰り返し屈曲に対する耐久性も有することが好ましい。このような性質は、前述の通り、樹脂層を備えることにより実現できる。即ち、上述した通り、金属層の存在により、容器内への外気の吸引を抑制し、樹脂層の存在により、容器の繰り返し利用に耐えうる耐久性を発揮する。より具体的には、樹脂層(外側)-金属層-樹脂層(内側)の3層構造を有することが好ましい。各樹脂層や金属層は1層のみからなってもよいし、2層以上から構成されてもよいが、樹脂層の合計層厚をD(μm)とし、金属層の合計層厚をD(μm)とした場合に、例えば、0.1≦D/D≦50とすることができ、1≦D/D≦30が好ましく、3≦D/D≦20がより好ましい。
樹脂層を構成する樹脂種は限定されず、例えば、ポリオレフィン、オレフィンとその他のモノマーとの共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ABS、熱可塑性エラストマー等を用いることができる。このうち、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(PE、LDPE、LLDPE等)、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体等)、オレフィンとその他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。このうち、オレフィンとその他のモノマーとの共重合体を構成するオレフィンとしては、α-オレフィンが好ましく、通常、炭素数2~5のα-オレフィンである。一方、その他のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、共重合性酸無水物等が挙げられる。より具体的には、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル・無水マレイン酸共重合体(ET)等が挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。ポリアミドとしては、ナイロン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、容器の復元力を抑制しつつ、繰り返し屈曲に対する耐久性は向上させるという観点から、JIS K7171に準拠する曲げ強さが120MPa以下(通常、10MPa以上)の樹脂であることが好ましく、90MPa以下の樹脂であることがより好ましく、70MPa以下の樹脂であることが更に好ましい。曲げ強さの観点からは、上述のなかでも、ポリオレフィンが好ましく、なかでもポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。また、オレフィンとその他のモノマーとの共重合体が好ましく、なかでも、EAA、EMA、EEAが好ましい。これらポリエチレン、ポリプロピレン、EAA、EMA及びEEAは、いずれも、上記曲げ強さが10~70MPaである。また、この曲げ強さは、JIS K7139に準拠する短冊試験片を用いて、JIS K7171(2016)に準拠して、万能試験機により、速度2mm/分の条件で測定した場合の値とする。更に、上述の曲げ強さが所定範囲の樹脂からなる層が占める樹脂層内の割合は限定されないが、例えば、曲げ強さ120MPa以下の樹脂からなる層が占める層厚割合は、樹脂層全体の50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。一方で、JIS K7171に準拠する曲げ強さ120MPa超の樹脂からなる層が占める層厚割合は、樹脂層全体の30%未満であることが好ましく、20%未満であることがより好ましく、10%未満であることが更に好ましい。尚、上記樹脂層全体とは、容器の外壁を構成する樹脂層の総厚を意味する。例えば、外側樹脂層-金属層-内側樹脂層の3層構造の外壁である場合、外側樹脂層と内側樹脂層との合計厚さを意味する。また、外側樹脂層-金属層の2層構造の外壁である場合、外側樹脂層の厚さを意味する。
容器として、上述したチューブタイプのものとしては、図1に示す容器1a及び図2に示す容器1bなどが例示される。
容器1a(図1参照、ノズルを備えない容器)は、染毛料組成物を内容物として収容する本体部2と、当該内容物を吐出するための吐出部3aとを備える。
また、吐出部3aの外周には、蓋体(図示せず)を固定するための蓋体固定部5を備えることができる。蓋体固定部5はどのように蓋体と係合させてもよいが、例えば、螺子構造を利用できる。具体的には、蓋体固定部5を凸螺子形状に賦形する一方、蓋体の対応部位に螺合溝として凹螺子形状を設けることにより互いに螺合させることができる。
また、容器1a(図1参照)とは異なり、ノズルを備えた容器1b(図1~4参照)を用いることができる。容器1bは、染毛料組成物を内容物として収容する本体部2と、当該内容物を吐出するための吐出部3bとを備える。この吐出部3bは、その先端側にノズル部4を備える。ノズル部4は、例えば、先窄まり形状にすることができ、粘稠な液状物を吐出し易くすることができ、適切な量を分取しやすくすることができる。例えば、当該ノズル部4は、そのまま毛髪へ接触させて、染毛を行いたい箇所において適量を吐出させることができる。即ち、リタッチ用途などにおいて利用し易い形態といえる。
ノズル部4の具体的形状は限定されないが、例えば、図3に示すノズル長L(吐出部3bの先端側の先窄まり開始位置からノズル部4の先端までの長さ)は、1.0~50mmとすることができ、染毛料組成物の変質を防止するという観点からは、5.0~40mmが好ましく、10~30mmがより好ましい。また、図3に示す開口径D(ノズル部4の先端の開口直径)は、0.5~20mmとすることができ、染毛料組成物の変質を防止するという観点からは、1~10mmが好ましく、2~6mmがより好ましい。
また、前述した容器1aと同様に、容器1bにおいても、吐出部3bの外周には、蓋体6を固定するための蓋体固定部5を備えることができる。蓋体固定部5はどのように蓋体6と係合させてもよいが、例えば、螺子構造を利用できる。具体的には、蓋体固定部5を凸螺子形状に賦形する一方、蓋体6の対応部位に螺合溝7として凹螺子形状を設けることにより互いに螺合させることができる。
尚、図1及び図2に示す容器1(容器1a及び1b)において、多層構造の外壁は、本体部2のみが備え、吐出部3(吐出部3a及び3b)は多層構造とされていなくてもよいし、吐出部3まで多層構造とされていてもよい。
また、染毛料組成物を容器に収容する方法はどのような方法でもよく限定されず、公知の方法を利用することができる。
[2]染毛料組成物の変質防止方法
本発明の染毛料組成物の変質防止方法は、下記調整工程と下記収容工程とを備えることを特徴とする。
上記「調整工程」は、B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性を有するように、化合物(1)を含んだ染毛料組成物を調整する工程である。この工程における詳細については、前述の[1]において説明した梱包方法における調整工程における説明をそのまま適用できる。また、化合物(1)以外の染毛料組成物を構成する各成分については、後述する。
上記のような粘度特性を有するように調整した染毛料組成物は、吐出可能な容器に収容した場合に、小さい力で吐出させることができる一方、吐出後の戻りが少ない染毛料組成物とすることができる。このため、容器から染毛料組成物を吐出した後に、染毛料組成物で容器の吐出口を塞ぐことができる。即ち、吐出口から染毛料組成物を分取した際に、吐出口の内側に染毛料組成物が残存され、残存された染毛料組成物で吐出口を塞ぐことができる。このため、吐出口の表面に露出された染毛料組成物は、空気接触されるものの、容器内部の染毛料組成物の空気接触は防止でき、染毛料組成物の変質を防ぐことができる。
また、上記「収容工程」は、上記粘度特性を有するように調整された染毛料組成物を、金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器に収容する工程である。この工程における詳細については、前述の[1]において説明した梱包方法における収容工程における説明をそのまま適用できる。
また、前述の[1]において説明した通り、金属層は、容器に対して遮光性や強度を付与すると共に、容器を変形しやすくすることができる。特に容器の復元力がより小さくなるよう抑制し、場合によっては塑性変形性を付与することができる。容器の復元力が小さく抑えられている場合、容器の外壁を指等の使用者の手で押圧して、当該外壁を変形させた場合に、元の形状へ戻ろうとする作用をより小さく抑えることができる。即ち、容器が元の形に戻るまでの時間を長く確保することができるようになるため、容器内に外気が吸引されることを抑制できる。また、使用者が容器に蓋をするまでの間に、内容物と空気とが接触しないように維持することができ、容器内に残存されている染毛料組成物が空気と接触することを抑制することができる。
[3]染毛用品
本発明の染毛用品は、染毛料組成物と容器とを備え、染毛料組成物が容器に収容されてなることを特徴とする。
上記「染毛料組成物」は、化合物(1)を含み、且つ、B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性を有する染毛料組成物である。
この染毛料組成物については、前述の[1]において説明した梱包方法における染毛料組成物の説明、及び、後述する染毛料組成物に含有される得る各種成分に関する説明をそのまま適用できる。また、化合物(1)以外の染毛料組成物を構成する各成分については、後述する。
上記のような粘度特性を有する染毛料組成物は、吐出可能な容器に収容した場合に、小さい力で吐出させることができる一方、吐出後の戻りが少ない染毛料組成物とすることができる。このため、容器から染毛料組成物を吐出した後に、染毛料組成物で容器の吐出口を塞ぐことができる。即ち、吐出口から染毛料組成物を分取した際に、吐出口の内側に染毛料組成物が残存され、残存された染毛料組成物で吐出口を塞ぐことができる。このため、吐出口の表面に露出された染毛料組成物は、空気接触されるものの、容器内部の染毛料組成物の空気接触は防止でき、染毛料組成物の変質を防ぐことができる。
上記「容器」は、金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器である。この容器については、前述の[1]において説明した梱包方法における容器の説明をそのまま適用できる。
また、前述の[1]において説明した通り、金属層は、容器に対して遮光性や強度を付与すると共に、容器を変形しやすくすることができる。特に容器の復元力がより小さくなるよう抑制し、場合によっては塑性変形性を付与することができる。容器の復元力が小さく抑えられている場合、容器の外壁を指等の使用者の手で押圧して、当該外壁を変形させた場合に、元の形状へ戻ろうとする作用をより小さく抑えることができる。即ち、容器が元の形に戻るまでの時間を長く確保することができるようになるため、容器内に外気が吸引されることを抑制できる。また、使用者が容器に蓋をするまでの間に、内容物と空気とが接触しないように維持することができ、容器内に残存されている染毛料組成物が空気と接触することを抑制することができる。
[4]染毛料組成物
前述の[1]~[3]に示した染毛料組成物の更なる詳細に関して、以下に詳述する。
前述の通り、化合物(1)を含む染料成分の他、例えば、液媒、油性成分、水溶性高分子、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、安定剤、ポリペプチド類、アミノ酸類、植物エキス等のうちの少なくとも1種の配合成分を含むことができる。
液媒は、染毛料組成物に含まれる各成分の可溶化に寄与する成分である。液媒としては、水、アルコール類等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。優れた溶解性を発揮できるという観点から水及び/又はアルコール類の利用が好ましい。更には、水とアルコール類との併用がより好ましい。
アルコール類としては、1価アルコール(1価の脂肪族アルコール、1価の芳香族アルコール等)、多価アルコール、及び、エーテルアルコール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
1価アルコールのうち1価の脂肪族アルコールは、炭素数5以下であることが好ましく、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、1価アルコールのうち1価の芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルプロパノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、フェニルグリコール、α-メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、p-アニシルアルコール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、1価のアルコールであり、且つ、エーテル結合を有するエーテルアルコールとしては、ヒドロキシ基とエーテル結合とを合計で3つ以上有するエーテルアルコールが好ましく、具体的には、エトキシジグリコール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、メトキシジグリコール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
上述のなかでも、1価アルコールとしては、ベンジルアルコールや、エーテルアルコールが好ましい。このうち、エーテルアルコールとしては、ヒドロキシ基とエーテル結合とを合計で3つ以上有するエーテルアルコールが好ましい。即ち、エトキシジグリコール、メトキシジグリコールが挙げられる。これらのなかでも、1価のアルコールとしては、ベンジルアルコール及び/又はエトキシジグリコールが好ましい。
多価アルコールの価数は限定されず、6価以上であってもよいが、染料成分に対する溶解性又は分散性を向上させるという観点からは、2~5価が好ましい。また、多価アルコールの炭素数は限定されず、炭化水素基である場合は、炭素数6以上であってもよいが、染料成分に対する溶解性又は分散性を向上させるという観点からは、炭素数2~5が好ましい。具体的には、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール等のアルカンジオール;オキシジエタノール、オキシジプロパノール等のオキシジアルカノール;エチレングリコール等のエタンジオール;プロパン-1,2-ジオール、トリメチレングリコール等のプロパンジオール;1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等のブタンジオール;イソペンチルジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール等のペンタンジオール;グリセリン、ブタントリオール(1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール等)、ペンタントリオール(1,2,3-ペンタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール等)などのアルカントリオール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、多価アルコールであり、且つ、エーテル結合を有するエーテルアルコールとしては、ポリアルキレングリコールが挙げられる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコールが挙げられる。ポリエチレングリコールの平均分子量は限定されないが、通常、100~5000であり、100~1000が好ましく、100~800がより好ましい。
これらのなかでも、染料成分に対する溶解性又は分散性を向上させるという観点、及び、前述した粘度特性を得るという観点から、多価アルコールが好ましく、なかでも、グリセリン、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、ポリエチレングリコールが好ましく、更には、グリセリン、ポリエチレングリコールがより好ましく、グリセリンが最も好ましい。
これらの利用により、染料成分の析出を抑制しつつ(とりわけ、2-クロロ-4-ニトロフェノール誘導体の溶解性を向上させる作用に優れる)、前述した粘度特性を得ることができる。一方、これらの利用は、染毛料組成物における、染毛力を向上させる効果、褪色を抑制する効果、染毛料組成物の滑らかさ(剤の滑らかさ)を向上させる効果、染毛料組成物の毛髪への塗布のしやすさを向上させる効果(換言すると、塗布性を向上させる効果)、長期保存時の染料成分の析出を抑制する効果、染毛料組成物を構成する成分の均一性を向上させる効果(換言すると、染色後の色の均一性(均染性)を向上させる効果)等の染毛特性においても好ましい効果を併せて得ることができる。
液媒としてアルコール類を配合する場合、染毛料組成物に配合するアルコール類の量は限定されないが、例えば、染毛料組成物全体を100質量%とした場合に、25質量%以下とすることができるが、前述の粘度特性を実現しつつ、容器からの良好な吐出性を得るという観点からは、20質量%以下とすることが好ましく、更に15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。一方、この量は、0.01質量%以上とすることができるが、前述の粘度特性を実現しつつ、染料成分に対する良好な溶解性を得るという観点からは、1質量%以上とすることが好ましく、更に2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が特に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.01~25質量%とすることができ、1~20質量%とすることができ、2~15質量%とすることができ、3~10質量%とすることができる。
また、液媒として水を配合する場合、染毛料組成物に含まれる水の量は限定されないが、例えば、染毛料組成物全体を100質量%とした場合に、40質量%以上とすることができるが、前述の粘度特性を実現しつつ、染料成分に対する良好な溶解性を得るという観点からは、55質量%以上とすることが好ましく、更に70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。一方、この量は、99質量%以下とすることができ、前述の粘度特性を実現するという観点からは、96質量%以下とすることが好ましく、92質量%以下とすることがより好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、40~99質量%とすることができ、55~96質量%とすることができ、70~92質量%とすることができ、80~92質量%とすることができる。
液媒としてアルコール類を配合する場合、アルコール類の配合量は限定されないが、前述の粘度特性を実現しつつ、染料成分に対する良好な溶解性、分散性(染毛料組成物における、優れた染毛力と褪色抑制との両立に寄与される)を得るという観点からは、染毛料組成物全体100質量%に対するアルコール類の配合割合をW質量%とし、染料成分の配合割合をW質量%とした場合に、比W/Wは、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.5以上であることが更に好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。一方、この比W/Wは、前述の粘度特性を実現するという観点からは、7以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、25以下であることが特に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.1~25とすることができ、0.5~15とすることができ、1.5~10とすることができ、2.5~7とすることができる。更に、この範囲は、アルコール類のなかでも多価アルコールによって達成されるものであることがとりわけ好ましい。
油性成分としては、高級アルコール、炭化水素、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン、フッ素油、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。油性成分は、例えば、毛髪にうるおい感を付与する目的で配合されるが、その種類の選択や配合量等によって前述した粘度特性の調整に寄与させることができる。
この油性成分は、非液状油性成分と液状油性成分とに分類される。非液状油性成分は、温度25℃において固形の油性成分であり、液状油性成分は、温度25℃において液状の油性成分である。尚、例えば、性状判定温度において、自重による流動性を有するものは液状油性成分であり、自重によって流動されないものは非液状油性成分であるものとする。従って、例えば、ペースト状であり収容器を傾けた場合に流動が認められる油性成分は、液状油性成分性である。一方、半固形状であり表面にベタツキを有するものの、収容器を傾けても流動が認められない油性成分は、非液状油性成分性である。
高級アルコールは、炭素数が6以上の炭素鎖を持つアルコールを利用できる。例えば、炭素数8以上40以下の高級アルコールが含まれる。また、その骨格は、飽和でもよく不飽和でもよく、直鎖でもよく分岐鎖でもよい。具体的には、セテアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール、フィトステロール、コレステロールなどが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの高級アルコールは、非液状油性成分と、液状油性成分と、が包含される。
炭化水素としては、流動パラフィン(ミネラルオイル)、流動イソパラフィン、パラフィン(パラフィンワックス)、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、合成スクワラン、スクアレン、スクアラン(水添スクアレン)、ポリブテン、ポリエチレン(ポリエチレンワックス)、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、オゾケライト、セレシン、リモネン、テレビン油などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの炭化水素には、非液状油性成分と、液状油性成分と、が包含される。
油脂としては、植物性油(植物性油脂)、動物性油(動物性油脂)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち植物性油としては、マカデミア種子油、メドウフォーム油、ホホバ種子油、コメ胚芽油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ブドウ種子油、アーモンド油、杏仁油、桃仁油、パーシック油、シア脂、ローズヒップ油、ツバキ油、茶実油、サザンカ油、アルガニアスピノサ核油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、月見草油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、パーム油等が挙げられる。また、動物性油としては、牛脂、ラード、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。これらの油脂には、非液状油性成分と、液状油性成分と、が包含される。
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのロウ類は、通常、非液状油性成分である。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの高級脂肪酸は、通常、非液状油性成分である。
エステル類としては、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、12-ステアロイルステアリン酸イソステアリル、12-ステアロイルステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(テトラオクタン酸ペンタエリスリチル)、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸プロピレングリコール-3ベンジルエーテルモノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸ポリグリセリル、リシノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、C10~C30脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル(ジペンタエリトリット脂肪酸エステル)、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのエステル類には、非液状油性成分と、液状油性成分と、が包含される。
シリコーンとしては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650~10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)等のアミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらのシリコーンには、非液状油性成分と、液状油性成分と、が包含される。
上述のなかでも、高級アルコール、炭化水素、油脂、シリコーン等を好適に用いることができる。更に、油性成分として、非液状油性成分を配合することが好ましく、非液状油性成分であるロウ類、高級脂肪酸、高級アルコールを配合することが好ましく、非液状油性成分である高級アルコールが特に好ましい。具体的には、非液状油性成分であるロウ類としては、ミツロウ、ラノリンが好ましい。非液状油性成分である高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましい。非液状油性成分である高級アルコールとしては、セタノール、ステアリルアルコールを好適に用いることができる。一方、液状油性成分である炭化水素としては、流動パラフィンを好適に用いることができる。また、液状油性成分である油脂としては、植物性油を好適に用いることができる。また、液状油性成分であるシリコーンとしてはジメチコンを好適に用いることができる。
油性成分を配合する場合、その配合量は限定されないが、前述の粘度特性を実現しつつ、毛髪に対する良好なうるおい感を与えるという観点からは、染毛料組成物全体100質量%に対して、油性成分は0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、2質量%以上が更に好ましい。一方、通常、30質量%以下であり、前述の粘度特性を実現しやすいという観点、更には、染毛料組成物が付着した手であっても容器を扱いやすくすることができるという観点からは、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.1~30質量%とすることができ、0.5~20質量%とすることができ、1~15質量%とすることができ、2~10質量%とすることができる。これらの好ましい範囲では、前述の粘度特性を実現しつつ、油性成分の配合に伴う効果を得ることができる。
また、油性成分であって、非液状油性成分である高級アルコールを配合する場合、その配合量は限定されないが、前述の粘度特性を実現しつつ、毛髪に対する良好なうるおい感を与えるという観点からは、染毛料組成物全体100質量%に対して、非液状油性成分である高級アルコールは0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、2質量%以上が更に好ましい。一方、通常、30質量%以下であり、前述の粘度特性を実現しやすいという観点、更には、染毛料組成物が付着した手であっても容器を扱いやすくすることができるという観点からは、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.1~30質量%とすることができ、0.5~20質量%とすることができ、1~15質量%とすることができ、2~10質量%とすることができる。
水溶性高分子としては、水溶性の天然高分子、水溶性の半合成高分子、水溶性の合成高分子、水溶性の無機物系高分子等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。水溶性高分子は、特に前述の粘度特性を実現するうえで有益に配合することができる。
天然の水溶性高分子としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
半合成の水溶性高分子としては、セルロース系水溶性高分子、カチオン化グアーガム、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、セルロース系水溶性高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
合成の水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体(カルボマー)、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール等が挙げられる。その他、イタコン酸とPOEアルキルエーテルとの半エステル、メタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上述のなかでも、水溶性高分子として、半合成の水溶性高分子及び合成の水溶性高分子を好適に用いることができ、なかでも、半合成の水溶性高分子を好適に用いることができる。更に、半合成の水溶性高分子としては、セルロース系水溶性高分子を好適に用いることができる。セルロース系水溶性高分子の利用により、前述の粘度特性を実現しつつ、毛髪への塗布のしやすさを向上させる効果(換言すると、塗布性を向上させる効果)、染毛料組成物の均一性を向上させる効果(換言すると、染色後の色の均一性(均染性)を向上させる効果)、を得ることができる。また、これらの作用を、塗布する毛髪の水分量に関わらず得ることができ、特にドライ毛(湿らせていない毛髪等)への塗布性及び均一性を向上させる効果を得ることができる。また、このセルロース系水溶性高分子のなかでも、特にヒドロキシエチルセルロースを好適に用いることができる。
水溶性高分子を配合する場合、その配合量は限定されないが、前述の粘度特性を実現しつつ、上述した水溶性高分子の配合に伴う効果を得るという観点からは、染毛料組成物全体100質量%に対して、水溶性高分子は0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。一方、通常、5質量%以下であり、前述の粘度特性を実現しやすいという観点、更には、染毛料組成物が付着した手であっても容器を扱いやすくすることができるという観点からは、3質量%以下が好ましく、1.2質量%以下がより好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.01~5質量%とすることができ、0.05~3質量%とすることができ、0.1~1.2質量%とすることができる。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。界面活性剤は、例えば、染料成分や油性成分等を本染毛料組成物内に安定して含有させるため等の目的で配合することができる。
カチオン性界面活性剤としては、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩等のアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩等の環式4級アンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでは、アルキル4級アンモニウム塩類が好ましく、更には、モノアルキル型4級アンモニウム塩、及び/又は、ジアルキル型4級アンモニウム塩が好ましく、更には、モノアルキル型4級アンモニウム塩が好ましい。
モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化ジPOE(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジPOEステアリルメチルアンモニウム、塩化POE(1)POP(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化POPメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。このうち、アミノ酸型両性界面活性剤としては、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ベタイン型両性界面活性剤としては、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、エーテル型ノニオン性界面活性剤、エステル型ノニオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エーテル型ノニオン性界面活性剤としては、例えば、POE(5.5)セチルエーテル、POE(6)セチルエーテル、POE(6)セチルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(23)セチルエーテル、POE(25)セチルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル、POE(2)セチルエーテル、POE(4)セチルエーテル、POE(5)セチルエーテル等のPOEセチルエーテル(セテス);POE(20)ステアリルエーテル、POE(150)ステアリルエーテル、POE(4)ステアリルエーテル、POE(5)ステアリルエーテル、POE(2)ステアリルエーテル等のPOEステアリルエーテル(ステアレス);POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル、POE(150)ベヘニルエーテル、POE(2)ベヘニルエーテル、POE(3)ベヘニルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル、POE(6)ベヘニルエーテル等のPOEベヘニルエーテル(ベヘネス);POE(7)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(15)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(2)オレイルエーテル、POE(3)オレイルエーテル等のPOEオレイルエーテル(オレス);POE(4.2)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(10)ラウリルエーテル、POE(21)ラウリルエーテル、POE(25)ラウリルエーテル、POE(2)ラウリルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル等のPOEラウリルエーテル(ラウレス);POE(2)ミリスチルエーテル、POE(3)ミリスチルエーテル等のPOEミリスチルエーテル;POE(2)オクチルドデシルエーテル、POE(5)オクチルドデシルエーテル等のPOEオクチルドデシルエーテル;POE(2)ヘキシルデシルエーテル、POE(4)ヘキシルデシルエーテル等のPOEヘキシルデシルエーテル;POE(5)イソステアリルエーテル等のPOEイソステアリルエーテル;POEノニルフェニルエーテル;POEオクチルフェニルエーテル;POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(1)POP(4)セチルエーテル等のPOEリオキシプロピレンセチルエーテル:POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル等のPOEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エステル型非イオン性界面活性剤としては、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル;モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン等のグリセリルモノ脂肪酸エステル;テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット等のPOEソルビトール脂肪酸エステルが挙げられる。POEソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリルモノ脂肪酸エステルのPOEの付加モル数は、例えば5以上である。POEソルビトール脂肪酸エステルのPOEの付加モル数は、例えば6以上である。また、これら以外のエステル型非イオン性界面活性剤としては、POE(6)POEソルビットミツロウ等のソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、POE還元ラノリン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上述のなかでも、界面活性剤として、カチオン性界面活性剤を好適に用いることができる。この場合、染毛料組成物を、染毛作用に加えてコンディショニング作用を有する染毛料組成物とすることができ、コンディショニング作用の観点からはカチオン性界面活性剤の利用が好ましい。一方で、アルキルアミン、脂肪酸アミドアミン、エステル含有3級アミン及びこれらの塩を用いると、染毛力が向上するが、感触性能はモノアルキル型4級アンモニウム塩等と比較して劣る。
また、カチオン性界面活性剤のなかでも、モノアルキル型4級アンモニウム塩を好適に用いることができ、更には、モノアルキル型4級アンモニウム塩を好適に用いることができ、更には、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(ラウリルトリモニウムクロリド)、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)等を好適に用いることができる。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は限定されないが、前述の粘度特性を実現しつつ、上述した界面活性剤の配合に伴う効果を得るという観点、更には、染毛料組成物が付着した手であっても容器を扱いやすくすることができるという観点からは、染毛料組成物全体100質量%に対して、界面活性剤は0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。一方、通常、20質量%以下であり、前述の粘度特性を実現しやすいという観点からは、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.01~20質量%とすることができ、0.1~15質量%とすることができ、0.5~10質量%とすることができる。
また、前述した油性成分であり非液状油性成分である高級アルコールを用い、且つ、界面活性剤を用いる場合において、染毛料組成物全体100質量%に対する高級アルコールの含有割合をW質量%とし、界面活性剤の含有割合をW質量%とした場合、これらの比W/Wは限定されないが、塗布性、容器付着時の滑りにくさの観点からは、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.5以上であることが更に好ましく、1以上であることが特に好ましい。一方、比W/Wは、低温保存後の析出抑制、エアバックのしにくさ、塗布性の観点からは、7以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2.5以下が特に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.1~7質量%とすることができ、0.2~5質量%とすることができ、0.5~3質量%とすることができ、1~2.5質量%とすることができる。
pH調整剤としては、酸及び/又は塩基を利用できる。
酸としては、有機酸、無機酸及びこれらの塩が挙げられる。
このうち、有機酸としては、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、アミノ酸、有機スルホン酸等が挙げられる。更に、アミノ酸としては、グルタミン酸、アルギニン等が挙げられる。また、有機スルホン酸としては、タウリン等が挙げられる。
一方、無機酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。
更に、塩としては、前述した有機酸の塩、無機酸の塩が挙げられる。より具体的には、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。このうち、アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属種としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
これらの各種酸は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
塩基としては、有機塩基、無機塩基及びこれらの塩が挙げられる。
このうち、有機塩基としては、有機アミン、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びそれらの塩等)、グアニジン及びその塩(炭酸グアニジン等)等が挙げられる。具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等)、アミノメチルプロパンジオール(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等)などのアルカノールアミン、イソプロピルアミン等のアルキルアミン等が挙げられる。これらの有機塩基は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
一方、無機塩基としては、水酸化物、塩化物、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、アンモニア等が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等が挙げられる。これらの無機塩基は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
pH調整剤を配合する場合、目的のpHに調整することや、目的のpH範囲となるように緩衝作用を付与できればよく、その配合量等は限定されない。また、染毛料組成物のpHも限定されないが、例えば、4.5以上とすることができる。このpHは、更に5.0以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、6.0以上が更に好ましく、6.5以上が特に好ましい。一方、本染毛料組成物のpHは、10.0以下とすることができ、9.0以下が好ましく、8.7以下がより好ましく、8.5以下が更に好ましく、8.2以下が特に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、染毛料組成物のpHは、4.5~10.0とすることができ、5.0~9.0であることが好ましく、5.5~8.7であることがより好ましく、6.0~8.5であることが更に好ましく、6.5~8.2であることが更に好ましい。pHは特に中性付近~アルカリ性領域(pHが5.5以上、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上)である場合は、化合物(1)の溶解性と保存安定性を高めることができ、pHが中性付近~酸性領域(pHが9.0以下、好ましくは8.5以下、より好ましくは8以下)である場合は、化合物(1)の染毛力を高めることができる。
尚、染毛料組成物のpHは、25℃におけるpHである。また、このpHは、通常、原液を10質量%に希釈した希釈液にて測定されるものであるが、別途、特定の使用状況が存在する場合、当該使用状況におけるpHとする。例えば、所定量の水で希釈して使用するものである場合には、当該所定量の水で希釈した希釈状態におけるpHを意味する。また、第1液と第2液とを混合することにより染毛料組成物となるものである場合には、当該混合後の混合状態におけるpHを意味する。
防腐剤としては、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。本染毛料組成物では、これらのなかでも、フェノキシエタノールを好適に用いることができる。
防腐剤を配合する場合、その配合量は限定されないが、染毛料組成物全体100質量%に対して、0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上とすることができる。また、通常、3質量%以下である。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸)、無水亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
安定剤としては、フェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリペプチド類としては、動物性蛋白質、植物性蛋白質、これらの加水分解物(加水分解蛋白)、カチオン化加水分解蛋白等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、動物性蛋白質としては、ケラチン、コラーゲン、シルク、コンキオリン、エラスチン、フィブロイン、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、植物性蛋白質としては、大豆、コムギ、オオムギ、カラスムギ、アーモンド等の植物から得られる植物性蛋白質(大豆蛋白、コムギ蛋白、オオムギ蛋白、カラスムギ蛋白、アーモンド蛋白)が挙げられる。
また、加水分解蛋白には、上述の各種蛋白質を、酸、アルカリ、酵素等により加水分解した成分が含まれる。また、カチオン化加水分解蛋白には、加水分解蛋白を変性剤によりカチオン化させた成分や、予め変性されたカチオン化蛋白を加水分解した成分等が含まれる。更に、加水分解蛋白としては、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解コンキオリン、加水分解大豆蛋白等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アミノ酸類としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、テアニン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン等のアミノ酸及びこれらの塩;タウリン等のアミノ酸類似化合物:などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
植物エキスとしては、アボカドエキス、アマチャエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オトギリソウエキス、オレンジエキス、カイソウエキス、カミツレエキス、カモミールエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、グレープフルーツエキス、クワエキス、コケモモエキス、ゴボウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、ゼニアオイエキス、ジオウエキス、シソエキス、シナノキエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、セイヨウサンザシエキス、タイムエキス、チャエキス、チョウジエキス、ドクダミエキス、ハイビスカスエキス、ハマメリスエキス、パセリエキス、ビワエキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ライチエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記以外にも、更に、香料、糖類(マルトース、グリコシルトレハロース、N-アセチルグルコサミンなど)、無機塩(塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、緩衝剤(リン酸ナトリウムなど)、キレート化剤(エデト酸及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩など)、ビタミン類、香料、着色剤及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種等の成分を含有できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
染料成分は、染毛に寄与する成分であり、染毛料組成物に含まれる成分のうち、化合物(1)が相当する。その他、化合物(1)を除く他の直接染料も染料成分に含まれる。他の直接染料としては、HC染料、塩基性染料、更には、その他の染料が挙げられる。
上記のうち、HC染料は、染料成分自体が色を有し、酸化重合等の化学反応を伴うことなく、毛髪を直接的に染色できる直接染料である。
尚、本明細書では「HC」と「色名」と「番号」とをこの順に組み合わせた染料名を有するものをHC染料という。即ち、例えば、2,2’-[(4-アミノ-3-ニトロフェニル)イミノ]ビスエタノール塩酸塩(CAS RN:94158-13-1)は、HC赤13(HCレッド13、HC Red 13)という「HC」と「色名(この場合は赤)」と「番号(この場合は13)」とを組み合わせた染料名を有することから、本明細書におけるHC染料に含まれる。
HC染料としては、例えば、HC赤染料(HC Red)、HC橙染料(HC Orange)、HC黄染料(HC Yellow)、HC青染料(HC Blue)、HC紫染料(HC Violet)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
HC赤染料としては、HC赤1、HC赤3、HC赤7、HC赤10、HC赤11、HC赤13、HC赤14、HC赤17、HC赤18、HC赤19、HC赤20、HC赤21等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、HC赤13、HC赤3が好ましく、更には、HC赤13が好ましい。
HC橙染料としては、HC橙1、HC橙2、HC橙3、HC橙6、HC橙7等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
HC黄染料としては、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄7、HC黄9、HC黄11、HC黄13、HC黄16、HC黄18、HC黄6、HC黄10、HC黄12、HC黄14、HC黄15、HC黄19等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、HC黄4、HC黄2が好ましく、更には、HC黄4が好ましい。
HC青染料としては、HC青2、HC青5、HC青6、HC青8、HC青9、HC青10、HC青11、HC青12、HC青13、HC青14、HC青15、HC青16、HC青18、HC青19、HC青20等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、HC青2、HC青16、HC青12、HC青15が好ましく、更には、HC青2及び/又はHC青16が好ましく、HC青16がとりわけ好ましい。
HC紫染料としては、HC紫1、HC紫2、HC紫3、HC紫4等が挙げられる。
HC染料は、1種のみを含んでもよいが、2種以上含んでもよい。2種以上のHC染料を併用する場合は、同じ色系統のHC染料を併用(2種以上のHC赤染料を併用等)してもよいし、異なる色系統のHC染料を併用(HC赤染料とHC青染料との併用等)してもよい。これらのなかでは、色系統の異同に関わらず、2種以上のHC染料を含むことが好ましく、3種以上のHC染料を含むことがより好ましい。更に、色系統が異なる2種以上のHC染料を含むことが特に好ましく、色系統が異なる3種以上のHC染料を含むことがとりわけ好ましい。
色系統が異なる複数のHC染料を含む場合、HC赤染料、HC橙染料、HC黄染料、HC青染料及びHC紫染料からなる群から選択される2種以上のHC染料とすることができるが、HC赤染料、HC黄染料及びHC青染料の3種のHC染料からなる群から選択される2種以上のHC染料を含むことが好ましい。例えば、HC赤染料としてHC赤13を選択し、HC黄染料としてHC黄4を選択し、HC青染料としてHC青16を選択した場合、B成分は、HC赤13、HC黄4、HC青16からなる群から選ばれる少なくとも1種とすることができる。
また、上述の通り、HC赤染料、HC黄染料及びHC青染料の3種のHC染料からなる群から選択される少なくとも1種を含む場合として、HC赤染料とHC黄染料との2種の併用、HC黄染料とHC青染料との2種の併用、HC赤染料とHC青染料との2種の併用、HC赤染料とHC黄染料とHC青染料との3種の併用等が例示される。
上述のなかでも、HC赤染料とHC黄染料とHC青染料との3種の併用をより好ましい態様として選択できる。この場合、HC赤染料としてHC赤13、HC黄染料としてHC黄4、HC青染料としてはHC青16、の併用がより好ましい。このようにHC赤13、HC黄4及びHC青16を併用することで、化合物(1)のpH依存性による不都合を補うことができ、相乗的に優れた染毛力を得ることができる。
塩基性染料は、水溶により陽イオンとなるカチオン性の染料成分である。
尚、本明細書では「塩基性」と「色名」と「番号」とをこの順に組み合わせた染料名を有するものを塩基性染料という。即ち、例えば、2-[(4-アミノフェニル)アゾ]-1,3-ジメチル-1H-イミダゾール塩化物(CAS RN:97404-02-9)は、塩基性橙31(Basic Orange 31)という「塩基性」と「色名(この場合は橙)」と「番号(この場合は31)」とを組み合わせた染料名を有することから、本明細書における塩基性染料に含まれる。
塩基性染料としては、塩基性赤染料(Basic Red)、塩基性橙染料(Basic Orange)、塩基性黄染料(Basic Yellow)、塩基性緑染料(Basic Green)、塩基性青染料(Basic Blue)、塩基性紫染料(Basic Violet)、塩基性茶染料(Basic Brown)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
塩基性赤染料としては、塩基性赤1、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤46、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性赤118等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、塩基性赤51が好ましい。
塩基性橙染料としては、塩基性橙1、塩基性橙2、塩基性橙31等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、塩基性橙31が好ましい。
塩基性黄染料としては、塩基性黄11、塩基性黄28、塩基性黄40、塩基性黄57、塩基性黄87等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、塩基性黄87が好ましい。
塩基性緑染料としては、塩基性緑1、塩基性緑4等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
塩基性青染料としては、塩基性青3、塩基性青6、塩基性青7、塩基性青9、塩基性青26、塩基性青41、塩基性青47、塩基性青75、塩基性青77、塩基性青99、塩基性青124等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、塩基性青75、塩基性青99、塩基性青124が好ましく、更には、塩基性青75が好ましい。
塩基性紫染料としては、塩基性紫1、塩基性紫2、塩基性紫3、塩基性紫4、塩基性紫14、塩基性紫16等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、塩基性紫2が好ましい。
塩基性茶染料としては、塩基性茶4、塩基性茶16、塩基性茶17等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、塩基性茶16、塩基性茶17が好ましい。
塩基性染料は、何種を含んでもよい。2種以上の塩基性染料を併用する場合は、同じ色系統の塩基性染料を併用(2種以上の塩基性赤染料を併用等)してもよいし、異なる色系統の塩基性染料を併用(塩基性赤染料と塩基性青染料との併用等)してもよい。これらのなかでは、色系統の異同に関わらず、3種以下の塩基性染料を含むことが好ましく、2種以下の塩基性染料を含むことがより好ましく、1種のみの塩基性染料を含むことが更に好ましい。
複数種の塩基性染料を含む場合、上述の通り、同じ色系統の塩基性染料として含んでもよいが、色系統が異なる2種以上の塩基性染料として含むことが好ましい。色系統が異なる複数の塩基性染料を含む場合、塩基性赤染料、塩基性橙染料、塩基性黄染料、塩基性緑染料、塩基性青染料、塩基性紫染料及び塩基性茶染料からなる群から選択される2種以上の塩基性染料とすることができる。
上述のなかでも、塩基性橙染料、塩基性青染料及び塩基性茶染料の3種の塩基性染料からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。この場合、例えば、塩基性橙染料として塩基性橙31を選択し、塩基性青染料として塩基性青75を選択し、塩基性茶染料として塩基性茶16及び塩基性茶17を選択した場合には、塩基性橙31、塩基性青75、塩基性茶16、塩基性茶17からなる群から選ばれる少なくとも1種とすることができる。更に、塩基性橙染料及び塩基性青染料の2種の塩基性染料からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。この場合、例えば、塩基性橙染料として塩基性橙31を選択し、塩基性青染料として塩基性青75を選択することができる。
尚、染毛料組成物の付着による意図しない皮膚染色を抑制するという観点からは、塩基性染料は配合の量が少ないことが好ましい。この場合、塩基性染料としては、塩基性赤51、塩基性橙31、塩基性黄87、塩基性青75、塩基性青99、塩基性青124、塩基性紫2、塩基性茶16、塩基性茶17からなる群から選ばれるいずれか1種とすることができる。これらのなかでも、塩基性橙31及び塩基性青75のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、更には、塩基性染料として塩基性橙31のみを含む、又は、塩基性染料として塩基性青75のみを含むことがより好ましく、とりわけ、塩基性染料として塩基性橙31のみを含有することが好ましい。塩基性橙31又は塩基性青75の利用は、他の塩基性染料の利用と比較して、染毛力をより向上させることができる。そして、染毛料組成物の付着による意図しない皮膚染色を抑制するという観点からは、塩基性青75よりも、塩基性橙31の利用が好ましい。
尚、上述のうち、塩基性橙31と他の塩基性染料とを併用する場合、塩基性橙31とその他の塩基性染料の比は1:0.1~10とすることが好ましい。また、上述のうち、塩基性青75と他の塩基性染料とを併用する場合、塩基性青75とその他の塩基性染料の比は1:0.1~10とすることが好ましい。
更に、染料成分として化合物(1)、HC染料及び塩基性染料以外の他の染料成分としては、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、4-アミノ-3-ニトロフェノール、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジン、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノ-ル、1-アミノ-4-メチルアントラキノン、1,4-ジアミノアントラキノン、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン、ピクラミン酸、ピクリン酸、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。その他、公知の各種酸性染料、各種分散染料等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
HC染料を配合する場合、その配合量は限定されないが、本染毛料組成物全体を100質量%とした場合に、0.01質量%以上であることが好ましい。0.01質量%以上とすることで、HC染料の含有に伴う効果をより確実に得ることができる。この配合量は、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。一方、この配合量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.01~20質量%とすることができ、0.05~15質量%とすることができ、0.1~10質量%とすることができ、0.5~5質量%とすることができる。
塩基性染料を配合する場合、その配合量は限定されないが、染毛料組成物全体を100質量%とした場合に、0.001質量%以上であることが好ましい。0.001質量%以上とすることで、塩基性染料の含有に伴う効果をより確実に得ることができる。この配合量は、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。一方、この配合量は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、0.001~5質量%とすることができ、0.005~4質量%とすることができ、0.01~3質量%とすることができ、0.01~2質量%とすることができる。
染料成分として化合物(1)に加えてHC染料を配合する場合、化合物(1)とHC染料との量的相関は限定されないが、染毛料組成物全体を100質量%とした場合の、化合物(1)の割合をWとし、HC染料の割合をWとした場合に、W<Wを満たすことが好ましい。即ち、化合物(1)よりもHC染料を多く用いることが好ましい。W<Wを満たすことにより、優れた染毛性を得ることができる。
更に、染料成分としてHC染料を配合する場合、化合物(1)、HC染料、塩基性染料の量的相関は限定されないが、染毛料組成物全体を100質量%とした場合の、化合物(1)の割合をWとし、HC染料の割合をWとし、塩基性染料の割合をWとした場合に、W<W<Wを満たすことが好ましい。即ち、化合物(1)、HC染料及び塩基性染料のなかで、塩基性染料の割合が最も小さく、次いで、化合物(1)の割合が小さく、HC染料の割合が最も大きいことが好ましい。W<W<Wを満たすことにより、優れた染毛性を得ることができるとともに、染毛料組成物の付着による意図しない皮膚染色を抑制できる。
尚、上述した染毛料組成物の梱包方法、染毛料組成物の変質防止方法、及び、染毛用品において利用される染毛料組成物の用途等については、染毛用途であること以外において特に限定されるものではないが、例えば、この染毛料組成物は、水や温湯で濡れた状態の毛髪に適用されてもよいし、乾いた毛髪に適用されてもよい。また、適用後は、洗い流してもよいし、洗い流さなくてもよいが、洗い流す方が好ましい。また、染毛料組成物を毛髪へ塗布する場合の塗布方法は限定されず、手櫛による塗布、スプレー(噴霧)による塗布、コーム又は刷毛を用いた塗布等を利用できる。
これらのなかでも、染毛料組成物は、塗布し易さ(伸びの良さなど)の観点からは、染毛料組成物の濡れた状態の毛髪に適用することが好ましいものの、高い染毛力を得るという観点から、乾いた毛髪に適用することがより好ましい。その際、塗布は、通常のトリートメント又はリンスの施術方法に従い塗布することができる。染毛料組成物が毛髪に塗布された後、所定時間は静置することができる。その後、常法に従い毛髪に塗布した組成物を湯水で濯ぐことができる。更に、常法に従い毛髪を乾燥することができる。
また、染毛料組成物は、どのような毛髪に対して適用してもよい。即ち、黒毛髪、白毛髪、ブリーチ毛髪(黒毛髪をブリーチ処理したもの)、毛髪の既染部、毛髪の新生部等に対して適用できるが、白髪及び/又はブリーチ毛髪、毛髪の新生部への適用が染毛効果の観点から適する。
染毛後の毛髪は既染部と言い、新たに生えてきた部分は毛髪の新生部と言う。例えば、白毛髪を黒色や茶色に染めた場合、新生部と既染部の色は白色と黒色もしくは茶色となり、新生部と既染部で色なじみが良くない。そのため、新生部に対して染毛することで、新生部と既染部の色なじみを改善することができる。既染部だけを見ても光や熱、シャンプー等の処理により、退色が発生する場合は、白毛髪と黒毛髪が混合状態で局在している消費者にとっては黒毛髪と白毛髪の既染部の間で色なじみの悪化が起きるため、染め直すことで、色なじみを改善することができる。このような使用態様は、例えば、リタッチ等と称される。即ち、本願における染毛料組成物は、染毛力及び褪色抑制に優れると共に、とりわけ、色なじみ及び色調変化抑制効果において優れることから、上記のような使用態様で好適に使用でき、リタッチ用途に適した性質を有している。
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
[1]染毛料組成物の調製
下記に示す成分を、表1乃至表4に示す質量割合(質量%)で混合することにより、実施例1乃至21及び比較例1の染毛料組成物を調製した。調製方法は以下の通りである。同様に下記に示す成分を、表5乃至表8に示す質量割合(質量%)で混合することにより、実施例22乃至43の染毛料組成物を調製した。調製方法は以下の通りである。
(1-1)調製方法
実施例1乃至21の染毛料組成物は、いずれも全成分を一括した1剤式の染毛料組成物であり、10質量%水希釈液のpHが7となるように調整した染毛料組成物を、以下の手順により得た。即ち、ジメチコン以外の各成分を容器に投入し、80℃で乳化して乳化物を得た。その後、得られた乳化物に、ジメチコンを添加し、合計100%となるように精製水を加えて混合してクリーム状の乳化物である実施例1乃至21の染毛料組成物を得た。尚、混合には、混合機「乳化試験器ET-3A型」(日光ケミカルズ社製)を用いた。
また、比較例1の染毛料組成物は、いずれも全成分を一括した1剤式の染毛料組成物であり、10質量%水希釈液のpHが7となるように調整した染毛料組成物を、以下の手順により得た。即ち、各成分を容器に投入し、80℃に加温して混合し、組成物を得た。その後、得られた組成物に合計100%となるように精製水を加えて混合して比較例1の染毛料組成物を得た。
更に、実施例22乃至43の染毛料組成物は、いずれも全成分を一括した1剤式の染毛料組成物であり、10質量%水希釈液のpHが5~9(表5乃至表7参照)となるように調整した以外は、実施例1乃至21の染毛料組成物と同様にして実施例22乃至43の染毛料組成物を得た。
(1-2)成分の詳細
表1乃至表8に示す各成分は、以下の通りである。
化合物(1):2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール
HC染料:HC赤13
HC染料:HC黄4
HC染料:HC青16
HC染料:HC青2
塩基性染料:塩基性橙31
塩基性染料:塩基性青75
塩基性染料:塩基性茶16
塩基性染料:塩基性茶17
液媒:グリセリン(多価アルコール)
液媒:1,3-ブタンジオール(多価アルコール)
液媒:1,2-プロパンジオール(多価アルコール)
液媒:PEG400(ポリエチレングリコール、多価アルコール)
液媒:エトキシジグリコール(1価アルコール)
液媒:ベンジルアルコール(1価アルコール)
油性成分:セタノール(非液状油性成分、高級アルコール)
油性成分:ステアリルアルコール(非液状油性成分、高級アルコール)
油性成分:ミネラルオイル(液状油性成分)
油性成分:ジメチコン(液状油性成分)
界面活性剤:ベヘントリモニウムクロリド
界面活性剤:セトリモニウムクロリド
水溶性高分子:HEC(ヒドロキシエチルセルロース)
香料
フェノキシエタノール(防腐剤)
水酸化ナトリウム(pH調整剤)
[2]変質の確認
4号規格瓶に、調製直後の実施例8と同じ染毛料組成物10g充填した後、蓋をした状態で5℃の恒温槽で1ヶ月間保持した。この保存期間を経過した時点で、4号規格瓶の底部から1gの染毛料組成物をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いてサンプル内に含まれる化合物(1)を定量した。その結果、調製時に配合した化合物(1)の配合量100質量%に対して43質量%に相当する化合物(1)が検出された。
一方、下記に示す容器Aに、調製直後の実施例8と同じ染毛料組成物を収容して染毛用品を得た。容器Aは、図2乃至4に示す特徴を有するチューブタイプの容器(ノズル長L20.0mm×開口径D4.0mm)であり、その外壁は、外側樹脂層(260μm)-アルミニウム層(40μm)-内側樹脂層(170μm)の順に3層構造となっており、更に、外側樹脂層は、外表面側から、ポリエチレン(PE、240μm)及びエチレン・アクリル酸共重合体(EA、20μm)の積層構造を有する。また、内側樹脂層は、外表面側から、ポリエチレン(PE、150μm)及びエチレン・アクリル酸共重合体(EA、20μm)の積層構造を有する。樹脂層を構成する樹脂は、いずれも、JIS K7171に準拠する曲げ強さが70MPa以下の樹脂である。また、樹脂層の合計層厚Dは470μmであり、金属層の合計層厚Dは40μmであることから、D/Dは10.75である。
実施例8と同じ染毛料組成物を容器Aに収容した染毛用品を同様に、蓋をした状態で5℃の恒温槽で1ヶ月間保持した。この保存期間を経過した時点で、開封し、ノズル先端部から最初に吐出される1gをサンプルとして採取し、同様にHPLCを用いてサンプル内に含まれる化合物(1)を定量した。その結果、74質量%に相当する化合物(1)が検出された。
[3]染毛料組成物の評価(容器収容前の評価)
容器へ収容する以前に、染毛料組成物の以下の特性を評価した。
(3-1)粘度特性の評価
実施例1乃至43及び比較例1の染毛料組成物の各々に関して、4号ロータを装着したB型粘度計(東機産業社製TV-10型)を用い、25℃において、ロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度Vと、測定開始60秒後の粘度Vとを測定した。そして、粘度比V/Vを算出し、粘度Vの値、粘度V/Vの値を、各々表1乃至3、表5乃至7に示した。
(3-2)ウェット時の染毛力低下抑制
長さ10cmの評価用の白毛の毛束サンプル(ビューラックス社製)(以下、単にドライ毛束という)に、実施例1乃至21の各染毛料組成物を、ドライ毛束1gに対して染毛料組成物1gとなるように刷毛塗りし、毛束に塗布してから5分後に、毛束に付着した組成物を水で洗い流した。続いて、毛束を温風で乾燥させた。この操作を3回繰返し行い各例のドライ時の染毛処理毛束を得た。
同様にして、同じ評価用の白毛のドライ毛束を水に浸したうえで余剰水分を切ったウェット毛束を用意した。このウェット毛束に、実施例1乃至21の各染毛料組成物を、ウェット毛束に対して水に浸す前のドライ毛束1gに対して染毛料組成物1gとなるように刷毛塗りし、毛束に塗布してから5分後に、毛束に付着した組成物を水で洗い流した。続いて、毛束を温風で乾燥させた。この操作を3回繰返し行い各例のウェット時の染毛処理毛束を得た。
得られたドライ時の染毛処理毛束と、ウェット時の染毛処理毛束とを、標準光源下で染毛評価の専門パネリストが目視にて観察し、各例の染毛料組成物による染色強度の相違を評価した。
評価に際しては、評価前に、パネリスト全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある評価を行った。評価は下記1乃至4に示す4段階の基準と対応する評点に従った。また、評価は評点の中から、各パネリストが自らの評価と最も近い値を1つ選択することにより行った。
4:染色強度の相違は全く認められない
3:染色強度の相違はほぼ認められない
2:染色強度の相違が認められる
1:染色強度の大きな相違が認められる
その後、パネリスト全員の評点の平均値を算出し、平均値が3.5点以上を「優れる:5」、3点以上3.5点未満を「良好:4」、2.5点以上3点未満を「可:3」、2点以上2.5点未満を「やや不良:2」、及び2点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
(3-3)染料溶解性
実施例1乃至21の染毛料組成物の各々に関して、目視及び顕微鏡を通して染毛料組成物を観察し、染料の溶解性を評価した。評価は下記1乃至4に示す4段階の基準に従った。
4:顕微鏡でも目視でも染料析出は認められない
3:顕微鏡により染料析出を僅かに認めるが目視では認められない
2:顕微鏡により染料析出を多く認め、目視では僅かに認める
1:目視により染料析出を多く認める
(3-4)低温保存後の析出抑制
実施例1乃至21の染毛料組成物の各々に関して、-10℃(即ち、染料析出が常温よりも生じ易い環境)で2週間保存した後、目視及び顕微鏡を通して染毛料組成物を観察し、染料の溶解性を評価した。評価は下記1乃至4に示す4段階の基準に従った。
4:顕微鏡でも目視でも染料析出は認められない
3:顕微鏡により染料析出を僅かに認めるが目視では認められない
2:顕微鏡により染料析出を多く認め、目視では僅かに認める
1:目視により染料析出を多く認める
(3-5)感触
上記(3-2)「ウェット時の染毛力低下抑制」の評価で用いたドライ時の染毛処理毛束と、未処理毛(染毛処理前のドライ毛)と、の各々手触りを比較し、柔らかさがより大きいことを「良い」と判定し、指通りがよりスムーズであることを「良い」と判定し、これらの感触を総合して、未処理毛と比較した場合のドライ時の染毛処理毛束の感触の良否を以下の基準に当てはめて評価した。
評価に際しては、評価前に、パネリスト全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名の専門のパネリストによって客観性のある評価を行った。評価は下記1乃至4に示す4段階の基準と対応する評点に従った。また、評価は評点の中から、各パネリストが自らの評価と最も近い値を1つ選択することにより行った。
4:未処理毛と比較して感触が非常に良好
3:未処理毛と比較して感触が良好
2:未処理毛と比較して感触が同等程度
1:未処理毛と比較して感触が悪い
その後、パネリスト全員の評点の平均値を算出し、平均値が3.5点以上を「優れる:5」、3点以上3.5点未満を「良好:4」、2.5点以上3点未満を「可:3」、2点以上2.5点未満を「やや不良:2」、及び2点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
[4]染毛料組成物の評価(容器収容後の評価)
下記に示す容器Aに、上記[1]で得られた実施例1乃至21の各染毛料組成物を収容して、実施例1乃至21の染毛用品を得た。
容器としては、図2乃至4に示す特徴を有するチューブタイプの容器(ノズル長L20.0mm×開口径D4.0mm)を利用した。また、容器Aと容器Bとは外壁が相違する。容器Aは、上記「[2]変質の確認」で用いた容器Aと同様である。一方、容器Bの外壁は、外側樹脂層(260μm)-アルミニウム層(40μm)-内側樹脂層(170μm)の順に3層構造となっており、更に、内側樹脂層は、容器Aと同じであるが、外側樹脂層は、外表面側から、ポリアミド(PA6、240μm)及びエチレン・アクリル酸共重合体(EAA、20μm)の積層構造を有する。樹脂層を構成する樹脂のうちは、PA6は、JIS K7171に準拠する曲げ強さが100MPaを超える樹脂である。また、樹脂層の合計層厚Dは470μmであり、金属層の合計層厚Dは40μmであることから、D/Dは10.75である。
(4-1)吐出性
10名の専門のパネリストが、実施例1乃至21及び比較例1の染毛用品から、染毛料組成物を7g吐出する操作を行った。この際の吐出性(具体的には、所望の量を意図して吐出することができるか、その際の自在性、その際の容易性)について評価を行った。
評価に際しては、評価前に、パネリスト全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある評価を行った。評価は下記1乃至4に示す4段階の基準と対応する評点に従った。また、評価は評点の中から、各パネリストが自らの評価と最も近い値を1つ選択することにより行った。
4:非常に吐出しやすい
3:吐出しやすい
2:吐出しにくい
1:非常に吐出しにくい
その後、パネリスト全員の評点の平均値を算出し、平均値が3.5点以上を「優れる:5」、3点以上3.5点未満を「良好:4」、2.5点以上3点未満を「可:3」、2点以上2.5点未満を「やや不良:2」、及び2点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
(4-2)塗布性
上記(4-1)で吐出した染毛料組成物のうち実施例1乃至21の染毛料組成物を、10名の専門のパネリストが、各自で自身の頭髪(外部から水分を供給していないドライ毛)に対して塗布操作を行い、その際の塗布性(具体的には、伸びの良さ、塗りムラの少なさ)について評価を行った。
評価に際しては、評価前に、パネリスト全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある評価を行った。評価は下記1乃至4に示す4段階の基準と対応する評点に従った。また、評価は評点の中から、各パネリストが自らの評価と最も近い値を1つ選択することにより行った。
4:非常に塗布しやすい
3:塗布しやすい
2:塗布しにくい
1:非常に塗布しにくい
その後、パネリスト全員の評点の平均値を算出し、平均値が3.5点以上を「優れる:5」、3点以上3.5点未満を「良好:4」、2.5点以上3点未満を「可:3」、2点以上2.5点未満を「やや不良:2」、及び2点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
(4-3)容器付着時の滑りにくさ
上記(4-2)の塗布操作を行った手で、更に、実施例1乃至21の染毛用品から、染毛料組成物を7g吐出する操作を行った。この際の滑りにくさについて評価を行った。
評価に際しては、評価前に、パネリスト全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある評価を行った。評価は下記1乃至4に示す4段階の基準と対応する評点に従った。また、評価は評点の中から、各パネリストが自らの評価と最も近い値を1つ選択することにより行った。
4:全く滑ることなく容易に吐出することができた
3:ほぼ滑ることなく容易に吐出することができた
2:僅かに滑るが吐出を行うことができた
1:滑りやすく容易に吐出することはできなかった
その後、パネリスト全員の評点の平均値を算出し、平均値が3.5点以上を「優れる:5」、3点以上3.5点未満を「良好:4」、2.5点以上3点未満を「可:3」、2点以上2.5点未満を「やや不良:2」、及び2点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
(4-4)エアバックのしにくさ
実施例1乃至43及び比較例1の染毛用品から、まず収容された染毛料組成物全体の20質量%(140g収容品で28g)を吐出して収容された染毛料組成物を減らした。そのうえで、当該状態を染毛用品の計測開始形状とし、この計測開始形状から7gの染毛料組成物を吐出し、吐出後の染毛用品をすぐに水平面に静置して、容器が計測開始形状へ戻るのに要する時間を計測した。この操作を各染毛用品ごとに3回ずつ行い、下記1乃至4に示す4段階の基準に当てはめたうえで、評点の3回計測分の平均値を算出し、その平均値が3.5点以上を「優れる:5」、3点以上3.5点未満を「良好:4」、2.5点以上3点未満を「可:3」、2点以上2.5点未満を「やや不良:2」、及び2点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
4:30秒以上経過しても計測開始形状に至らなかった
3:15秒以上30秒未満で計測開始形状に至った
2:10秒以上15秒未満で計測開始形状に至った
1:10秒未満で計測開始形状に至った
Figure 2024014486000008
Figure 2024014486000009
Figure 2024014486000010
Figure 2024014486000011
Figure 2024014486000012
Figure 2024014486000013
Figure 2024014486000014
Figure 2024014486000015
[5]実施例の効果
上記[2]変質の確認から、4号規格瓶に収容した場合には、当初配合量の43質量%まで化合物(1)の量が低下していることが分かる。一方、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性に調整した染毛料組成物(実施例8)を、金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器(容器A)に収容した染毛用品では、化合物(1)量の低下は当初配合量の74質量%に抑制されていることが分かる。即ち、本梱包方法、及び、本変質防止方法によって、化合物(1)の変質が抑制されていることが分かる。これらのことから、化合物(1)は、変質することが分かる。また、5℃という低温での保存であっても、4号規格瓶では、変質量が多いものの、所定の粘度調整を行ったうえで、所定の容器へ収容することにより顕著に変質量を抑制できることが分かる。尚、4号規格瓶においては、底部であっても化合物(1)の変質が進行しているのは、4号規格瓶の内容積が小さく、開口から底部までの距離が近いこと、開口が大きく内容物の空気接触面積が大きいこと、規格瓶の密閉性が高くないことが影響していると考えられる。
表1乃至表3、表5乃至7の結果から、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性に調整した染毛料組成物(実施例1~21)を、金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器(容器A)に収容した染毛用品(実施例1~43)では、エアバックのしにくさの評価を3以上に維持できることが分かる。即ち、染毛用品の利用者は、容器Aの復元スピードが緩慢であるために、容器Aの復元前に再度の吐出を行ったり、容器Aの蓋を締めることができ、結果として、容器A内に空気を吸入する可能性を顕著に低減できることが分かる。従って、上記[2]の結果を参照すれば、吐出操作の繰り返しによっても、その度に容器A内に空気を吸入してしまうことを防止して、化合物(1)の変質を抑制できることが分かる。
これに対して、比較例1のように、Vが3,000mPa・s未満であり、更に、金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有するものの、樹脂層がJIS K7171に準拠する曲げ強さにおいて100MPa超の樹脂(PA6)からなる層を含んだ容器(容器B)へ梱包した場合は、容器の復元力が高くなる一方で、染毛料組成物は、吐出後の吐出口を閉塞するのに十分な粘度特性を発揮できないため、容器Bは早期に計測開始形状へ復元してしまうことが分かる。即ち、染毛用品の利用者は、容器Bが速く復元してしまうため、再度の吐出前に容器B内に空気を吸入してしまったり、容器Bの蓋を締める前に空気を吸入してしまったりする可能性がより大きくなっているといえる。従って、上記[2]の結果を参照すれば、吐出操作の繰り返しによってその度に容器B内に空気を吸入してしまい、化合物(1)の変質を十分に抑制できないことが危惧される。
上述の通り、空気との接触を抑制することを目的とした粘度特性を得るという観点以外に、表1乃至3に示す通り、染毛料組成物に本来的に必要な各種性質を併せて充足しておく必要があり、染毛料組成物を構成する各種原料成分の選択は完全には自由でなくなるが、実施例1乃至21の組成物では、これらのバランスを維持することができる。とりわけ、実施例1、3、5、7~9、13~14、18~20では、すべての項目の評価を4以上に維持することができる。
尚、染料成分は実施例1乃至21と同じであるが、グリセリンを7質量%、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘントリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、HEC、ミネラルオイル、ジメチコン及びカルボキシメチルセルロースを含まず、エタノールを20質量%、カルボキシビニルポリマーを2質量%、フェノキシエタノール0.5質量%、香料を0.2質量%、水酸化ナトリウム(pH調整)を適量、水を残部として調製したジェルベースの染毛料組成物を容器Aに梱包した染毛用品を得た。この染毛用品に関して、エアバックのしにくさを同様に評価した結果、エアバックしにくいことが分かった。
1;容器、1a;ノズルを有さない容器、1b;ノズルを有する容器、
2;本体部、
3;吐出部、3a;ノズルを有する吐出部、3b;ノズルを有さない吐出部、
4;ノズル部、
5;蓋体固定部、
6:蓋体、
7;螺合溝。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含む染毛料組成物の梱包方法であって、
    下記(2)に示す粘度特性を有するように前記染毛料組成物を調整する調整工程と、
    前記粘度特性を有する前記染毛料組成物を下記(3)に示す容器に収容する収容工程と、を備えることを特徴とする染毛料組成物の梱包方法。
    Figure 2024014486000016
    〔式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。〕
    (2):B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性
    (3):金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器
  2. 前記染毛料組成物が、前記化合物を除く直接染料を更に含む請求項1に記載の梱包方法。
  3. 前記染毛料組成物が、液媒、油性成分及び界面活性剤を含み、
    前記液媒として、水及び多価アルコールのうちの少なくとも前記水を含み、
    前記油性成分として、非液状油性成分及び液状油性成分のうちの少なくとも前記非液状油性成分を含み、
    前記非液状油性成分として、高級アルコールを含む請求項1又は2に記載の梱包方法。
  4. 前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記高級アルコールの含有割合をW質量%とし、前記界面活性剤の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/W≦7である請求項3に記載の梱包方法。
  5. 前記染毛料組成物が、多価アルコールを含み、
    前記染毛料組成物全体100質量%に対する前記多価アルコールの含有割合をW質量%とし、前記化合物を含む染料成分の含有割合をW質量%とした場合に、0.1≦W/Wである請求項1又は2に記載の梱包方法。
  6. 前記直接染料が、HC赤13、HC黄4、HC青16、塩基性橙31及び塩基性青75からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の梱包方法。
  7. 下記一般式(1)で表される化合物を染料成分として含む染毛料組成物の変質防止方法であって、
    下記(2)に示す粘度特性を有するように前記染毛料組成物を調整する調整工程と、
    前記粘度特性を有する前記染毛料組成物を下記(3)に示す容器に収容する収容工程と、を備えることを特徴とする染毛料組成物の変質防止方法。
    Figure 2024014486000017
    〔式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。〕
    (2):B型粘度計を用いて25℃且つロータ
    回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性
    (3):金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器
  8. 下記一般式(1)で表される化合物を染料成分として含み、且つ、下記(2)に示す粘度特性を有する染毛料組成物と、
    下記(3)に示す容器と、を備え、
    前記染毛料組成物が、前記容器に収容されてなることを特徴とする染毛用品。
    Figure 2024014486000018
    〔式(1)中、Rは、アミノ基、又は、エチルアミノ基である。〕
    (2):B型粘度計を用いて25℃且つロータ回転速度12rpmで測定される測定開始5秒後の粘度をVとし、測定開始60秒後の粘度をVとした場合に、0.1≦V/V≦2、且つ、3,000≦V(mPa・s)≦80,000である粘度特性
    (3):金属層と樹脂層とを含む多層構造の外壁を有する容器
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