JP2024014463A - マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】細かい粒子の補足が可能でありながら、マスク着用時の、マスク内の暑苦しい感覚やムレ及び毛羽立ちを持続的に抑制できるマスクの提供。【解決手段】縦方向及び横方向を有する複数のシート体が重ね合わされた積層体からなるマスク本体部と、このマスク本体部の左右両側に設けられた耳に係止するための耳掛け部と、を備えるマスクであって、前記積層体における最内層のシート体に、経糸の通し本数が2本/筬目以上である布帛を用いたことを特徴とするマスク。【選択図】図1

Description

本発明は、マスクに関する。
マスクは、咳やくしゃみの飛沫の飛散を防ぐために使用される、又は、ほこりや花粉、飛沫等の粒子が体内に侵入することを防ぐ衛生用品である。
近年では、複数のフィルタの層を積層することによってより細かい粒子の捕捉が可能になってきている。しかしながら、複数のフィルタを積層すること等により生じる、マスク内の暑苦しい感覚やムレの対策が十分であるとは言えない。
そこで、このような問題の解決策として、マスク本体部の顔面に対向する内側織布として接触冷感素材からなる織布を用いたマスクが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1のマスクでは、マスクの着用時に接触冷感素材からなる織布が肌に当たることで、ひんやりとした接触冷感を与えることができ、マスクを着用した際に感じる自身の体の熱や呼気による暑苦しい感覚を低減している。
実用新案登録第3228789号公報
しかしながら、マスクの積層構造における内側層に接触冷感素材からなる織布を用いるのみでは、マスク着用時に冷感を長時間保持することができず、複数の積層されたフィルタにより生じる暑苦しい感覚やムレを十分に防ぐことができない、といった問題点があった。加えて、布帛等の織布を内側層に用いた場合、毛羽立ちが生じ易いため、長時間の着用に不向きなのが実情であった。
本発明は、斯かる従来の問題と実情に鑑みてなされたもので、細かい粒子の補足が可能でありながら、マスク着用時の、マスク内の暑苦しい感覚やムレ及び毛羽立ちを持続的に抑制できるマスクを提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、マスク本体部の積層構造における最内層のシート体に、経糸の筬目あたりの通し本数が2本以上である布帛を用いることで、極めて良い結果が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔10〕に係るものである。
〔1〕縦方向及び横方向を有する複数のシート体が重ね合わされた積層体からなるマスク本体部と、このマスク本体部の左右両側に設けられた耳に係止するための耳掛け部と、を備えるマスクであって、
前記積層体における最内層のシート体に、経糸の通し本数が2本/筬目以上である布帛を用いたことを特徴とするマスク。
〔2〕前記布帛が、経糸及び緯糸の打ち込み本数がそれぞれ50本/インチ以下である布帛であることを特徴とする〔1〕に記載のマスク。
〔3〕前記布帛の曲げ剛性が0.005gf・cm/cm以上であることを特徴とする〔1〕に記載のマスク。
〔4〕前記布帛の曲げヒステリシスが0.03gf・cm/cm以下であることを特徴とする〔1〕に記載のマスク。
〔5〕前記布帛のMIUが0.24以上であることを特徴とする〔1〕に記載のマスク。
〔6〕前記積層体が、捕集効率値が95%以上、かつ、目付が25g/m以下の不織布を含む中間層のシート体を有することを特徴とする〔1〕に記載のマスク。
〔7〕前記不織布がメルトブロー不織布であることを特徴とする〔6〕に記載のマスク。
〔8〕前記中間層のシート体の通気抵抗値が35Pa以下であることを特徴とする〔6〕に記載のマスク。
〔9〕前記マスクがプリーツ加工型マスクであることを特徴とする〔1〕ないし〔8〕のいずれかに記載のマスク。
〔10〕縦方向及び横方向を有する複数のシート体が重ね合わされた積層体からなるマスク本体部と、このマスク本体部の左右両側に設けられた耳に係止するための耳掛け部と、を備えるマスクであって、
前記積層体における最内層のシート体に布帛を用い、前記布帛の経糸の最大径が緯糸の最大径を1とした場合に2以上であることを特徴とするマスク。
本発明のマスクは、マスク本体部の積層構造における最内層のシート体に経糸の筬目あたりの通し本数が2本以上である布帛を用いることで、細かい粒子の補足が可能でありながら、マスク着用時の、マスク内の暑苦しい感覚やムレ及び毛羽立ちを持続的に抑制することができる。これらにより、長時間に亘って、良好な装着感が得られる。
本発明の実施の形態に係るマスクの外側(顔面に触れる面とは反対側)の正面説明図である。 本発明の実施の形態に係るマスク本体部(図1のA-A線端面)の積層構造を示す模式図(拡大断面図)である。 最内層のシート体の布帛の模式図である。
以下本発明の実施の形態を図1ないし図3を用いて説明する。
マスクには、種々のタイプがある。例えば、横方向の折り目から形成される襞(プリーツ)を複数備える「プリーツ加工型」、又は、プリーツを有さず顔の凹凸に沿った形状の「立体型」等が知られる。
本発明マスクの実施の形態を示す図1において、10はマスクで、着用者の顔面の一部(例えば、口や鼻孔の周辺)を覆うためのマスク本体部11と、当該マスク本体部11の左右両側に取り付けられた、細紐製の耳掛け部12によって構成されている。
マスク10は「プリーツ加工型」で、マスク本体部11は、複数(図1では4本)の横方向の折り目14から形成されるプリーツ15を有している。当該プリーツ15は、着用時に展開するとマスク10の外側に向かって膨らむ立体形状となるように構成されている。このように、マスク本体部11がプリーツ加工されることで、着用者の口元がマスク本体部11の内側面と物理的に接触することが少なくなるので、着用時の呼吸や会話の妨げになり難くなる。
マスク本体部11は、縦方向及び横方向を有する複数のシート体が重ね合わされた多層の積層体からなるが、細菌、ウイルス飛沫、花粉等の異物の除去、プリーツの立体形状の保持及び耐久性の観点から、2~7層の多層構造であることが好ましく、3~6層の多層構造であることがより好ましく、4~5層の多層構造であることがさらに好ましい。
この実施の形態において、マスク本体部11は、図2に示すように、マスクの内側(顔面に触れる側)から外側(顔面に触れる側とは反対側)に向かって、最内層のシート体18、第1中間層のシート体19、第2中間層のシート体20及び最外層のシート体21の順で、シート体が4層積層された構成を有する。
なお、本発明において、少なくとも最外層のシート体及び最内層のシート体で挟まれた層を中間層のシート体とする。
最内層のシート体18は、第1中間層のシート体19、第2中間層のシート体20及び最外層のシート体21よりも上下方向に長尺に形成され、最内層のシート体18の上部及び下部が最外層のシート体21の外側面側に折りたたまれている。
最外層のシート体を、第1中間層のシート体、第2中間層のシート体及び最内層のシート体より長尺に形成し、最外層のシート体の上部及び下部を最内層のシート体の内側面側に折りたたむこともできるが、この場合、折りたたんだ最外層のシート体の上下端部がマスク着用時に使用者の肌にあたり、使用感が低下してしまう。そのため、マスク着用時の肌あたりの観点から、最内層のシート体の上部及び下部が最外層のシート体の外側面側に折りたたまれている方が好ましい。
マスク本体部11の層構造を構成する材料としては、一般にマスクの材料として周知の材料を用いることができる。具体的には、ポリエステル(PET)系繊維、ポリプロピレン(PP)系繊維、ポリエチレン(PE)系繊維、レーヨン系線維、ナイロン系線維、アセテート系線維、羊毛系線維、コットン系線維、ウレタン系線維、アクリル系線維、ポリ乳酸系繊維等が挙げられる。加工性及び形状保持性の観点から、特に、PET系繊維やPP系繊維、PE系繊維、コットン繊維等からなる不織布及び布帛を使用することが好ましい。
最内層のシート体18には、布帛31が用いられている。布帛31は、図3に示すように、格子状に織り込まれた構成糸32により構成されている。構成糸32は、複数の経糸33と、経糸33と互いに交差する複数の緯糸34とを有し、それらにより織目を構成している。経糸33は筬目あたりの通し本数が2本、緯糸34は筬目あたりの通し本数が1本である。
このように、経糸33の筬目あたりの通し本数を2本以上とすることで、マスク着用時の、マスク内の暑苦しい感覚やムレ及び毛羽立ちが長時間抑制される。
経糸33の筬目あたりの通し本数は、毛羽立ちを生じにくくする観点から、2本以上が好ましく、2~3本がより好ましい。
布帛31の原料は特に限定されないが、加工性及び肌あたりの観点から、コットン系繊維もしくはナイロン系繊維からなる布帛が好ましく、コットン系繊維からなる布帛がより好ましい。
布帛31の経糸33の打ち込み本数は、20~60本/インチが好ましく、25~50本/インチがより好ましく、30~40本/インチがさらに好ましい。また、布帛31の緯糸34の打ち込み本数は、20~70本/インチが好ましく、30~60本/インチがより好ましく、40~50本/インチがさらに好ましい。経糸33を20本/インチ以上又は緯糸34を20本/インチ以上とすることで、布帛の形状保持性を向上させることができる。一方で、経糸33を60本/インチ以下又は緯糸34を70本/インチ以下とすることで、布帛の通気度及び肌あたりを向上させることができる。
布帛31の経糸33及び緯糸34の太さは、形状保持性、肌あたり等の観点から、10~80番手が好ましく、20~60番手がより好ましく、30~50番手がさらに好ましい。
図3において、d1及びd1’は筬目あたりの通し糸の最大径であり、d2は筬目あたりの通し糸の最小径である。
布帛31の経糸33の最大径d1は、緯糸34の最大径d1’を1とした場合に、形状保持性の向上及び毛羽立ちの抑制の観点から、2以上であることが好ましく、2~4であることがより好ましく、2~3であることがさらに好ましい。
布帛31の曲げ剛性の下限値は、0.005gf・cm/cm以上が好ましく、0.01gf・cm/cm以上がより好ましく、0.015gf・cm/cm以上がさらに好ましい。曲げ剛性を0.005gf・cm/cm以上にすることで、マスク製造時のプリーツの成形性を向上させることができる、曲げ剛性の上限値としては、マスクとしての機能を損なわない範囲において特に制限されないが、肌あたりを向上させる観点から、0.1gf・cm/cm以下が好ましく、0.07gf・cm/cm以下がより好ましく、0.05gf・cm/cm以下がさらに好ましい。
布帛31の曲げヒステリシスは、0.01~0.03gf・cm/cmが好ましく、0.015~0.025gf・cm/cmがより好ましく、0.018~0.02gf・cm/cmがさらに好ましい。曲げヒステリシスを0.03gf・cm/cm以下とすることで、マスク製造時のプリーツの成形性を向上させることができる。
布帛31の平均摩擦係数(MIU)は、0.24~0.5が好ましく、0.25~0.4がより好ましく、0.26~0.3がさらに好ましい。MIUが0.24以上であると、布帛のやわらかさを向上させることができる。
第1中間層のシート体19は、不織布を用いることができる。不織布は、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、湿式不織布等の不織布を用いることができる。例えば、マスク本体部のやわらかさ、衛生面等の観点から、抗菌剤を施したエアスルー不織布が好ましい。
第2中間層のシート体20は、不織布を用いることができる。不織布は、第1中間層のシート体の不織布と同様のスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、湿式不織布等の不織布を用いることができるが、細菌、ウイルス飛沫、花粉等の捕集性の観点から、メルトブロー不織布が好ましい。
メルトブロー不織布は、細菌、ウイルス飛沫、花粉等を捕集する機能を向上させるために、エレクトレット化処理したものを用いることが好ましい。中間層のシート体にエレクトレット化処理された不織布を用いることにより、微細な花粉や粉塵を効率良く捕集することができる。
第2中間層のシート体20の不織布の厚みは、0.08~0.30mmが好ましく、0.1~0.25mmがより好ましく、0.13~0.20mmがさらに好ましい。0.30mm以下とすることで、通気性を向上させることができる。一方、0.08mm以上とすることで、形状保持性を向上させることができる。
第2中間層のシート体20の不織布の目付は、形状保持性等の観点から、10~25g/mが好ましく、15~23g/mがより好ましく、17~19g/mがさらに好ましい。
第2中間層のシート体20の捕集効率は、90~100%が好ましく、95~99%がより好ましい。
第2中間層のシート体20の不織布の通気抵抗値は、5~35Paが好ましく、8~27Paがより好ましく、10~20Paがさらに好ましい。5Pa以上とすることで、不織布の形状保持性を向上させることができる。一方、35Pa以下とすることで、着用時の呼吸のしやすさを向上させることができる。
必要に応じて、上記第1中間層のシート体及び第2中間層のシート体に加え、第3中間層のシート体を構成する場合は、例えば、細菌、ウイルス飛沫、花粉等を捕集する機能を向上させるためにメルトブロー不織布を追加したり、香料、消臭、抗菌、抗ウイルス、保湿、保温等の適宜所望の処理を施したスパンボンド不織布等を追加したりすることができる。香料としてはアロマ系等が好ましい。
最外層のシート体21は、不織布を用いることができる。不織布は、第1中間層のシート体の不織布と同様のスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、湿式不織布等の不織布を用いることができるが、加工性及び形状保持性の観点から、スパンボンド不織布が好ましい。
また、好みに応じて最外層のシート体21に着色剤や柄模様を付与することができる。例えば、着色剤としてはピンク系、オレンジ系、イエロー系、パープル系等の色を、柄模様としてはハート柄、チェック柄、花柄、レース柄等の模様を付与することができる。
マスク本体部11は、特に限定されず、例えば、縫製、超音波溶着、熱融着等により適宜形成することができる。
マスク本体部11の寸法は、顔のサイズを考慮して適宜決定すればよい。例えば、縦方向の長さとしては、50~140mmであることが好ましく、60~120mmであることがより好ましく、70~100mmであることがさらに好ましい。
横方向の長さとしては100~210mmであることが好ましく、130~200mmであることがより好ましく、145~180mmであることがさらに好ましい。
プリーツ加工が施されたマスク等の立体型マスクの場合、縦方向の長さとしては、70~200mmであることが好ましく、90~190mmであることがより好ましく、120~180mmであることがさらに好ましい。
耳掛け部12を構成する材料としては、ウレタン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等からなる織布、不織布、組紐、織紐、または、編紐が挙げられる。
本発明のマスク10には、目的に応じてノーズフィッター13を設けることができる。ノーズフィッター13は、マスク10を着用者の鼻に密接させるためにマスク本体部11の上辺部分に設けられる。また、マウスバーを設けてもよい。マウスバーは、マスク10の立体形状を維持するためにマスク本体部11の中央部に設けられる。
ノーズフィッターやマウスバーとしては、金属製、ポリエチレン製、又は、ポリプロピレン製等から形成されるテープを使用することができる。
マスク10において、ノーズフィッター13は、最内層のシート体18と最外層のシート体21の間に設けられている。
本発明のマスク10には、目的に応じてサイドカバーSを設けることができる。サイドカバーSは、マスク左右端部の肌あたりを向上させるために設けられる。
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
本明細書における各測定項目の測定方法は下記のとおりである。
(1)厚み 尾崎製作所製厚み測定器(ダイヤルシックネスゲージ ITG)を用いて測定した。
(2)目付(g/m
JIS P 8124(紙及び板紙-坪量の測定方法)に基づいて測定した。
(3)捕集効率(%)及び(4)通気抵抗値(Pa)
柴田科学社製捕集効率測定装置(AP-632F)及びNaCl粒子発生装置(AP-9000G)を用いて測定した。設定流量は30L/min、ろ過面積は78.5cmにて測定した。
(5)曲げヒステリシス(2HB)(gf・cm/cm)及び(6)曲げ剛性(B)(gf・cm/cm)
20℃、65%RHの環境下で、自動化純曲げ試験機KESFB-2AUTO-A(カトーテック株式会社製)で2.5cm-1の曲率を与えながら、縦方向1cm幅あたりの曲げモーメントMを計測した。
次に、曲率Kが2.5cm-1での曲げモーメントMの平均傾斜(dM/dK)を算出することで、曲げヒステリシス値及び曲げ剛性値を得た。
(7)平均摩擦係数(MIU)及び(8)その変動(MMD)
KESカトーテック製摩擦感テスターKES-SEを用いて測定した。平均摩擦係数(MIU)は値が小さいほど摩擦抵抗が少ないことを示し、平均摩擦係数の平均偏差(MMD)は値が小さいほどなめらかであることを示す。
(9)摩耗試験
JIS L 1096(織物及び編物の生地試験方法)E法に準じて測定した。人工皮革(サプラーレ)を取り付けた摩擦台に、着用者の顔に触れる面が上になるように布帛を載せ、無荷重状態で、10回転摩擦後の布帛の毛羽立ちにくさを目視評価した。
[実施例1]
40番手のコットン系繊維を用い、打ち込み本数が経糸33本/インチ×緯糸42本/インチの布帛を作製した。経糸は筬目あたり2本の糸を通した。緯糸は筬目あたり1本の糸を通した。
[比較例1]
40番手のコットン繊維を用い、打ち込み本数が経糸61本/インチ×緯糸46本/インチの布帛を作製した。経糸は筬目あたり1本の糸を通した。緯糸は筬目あたり1本の糸を通した。
[布帛の評価1]
実施例1及び比較例1について、曲げ剛性及び曲げヒステリシスを測定した。
測定結果を表1に示す。
[布帛の評価2]
実施例1及び比較例1について、摩耗試験を実施した。
測定結果を表1に示す。
[マスクAの作製]
下記の最内層のシート体、第1中間層のシート体、第2中間層のシート体及び最外層のシート体の4層に積層したシート体を用いて、プリーツ型のマスクA(プリーツ展開前の大きさは、縦巾90mm×横巾175mm)を作製した。
最内層のシート体は、実施例1の布帛を用いた。
第1中間層のシート体は、PP及びPE繊維を用い、エアスルー法にて作製した目付が22g/m、厚み0.8mmの不織布を用いた。
第2中間層のシート体は、PP繊維を用い、メルトブロー法にて作製した目付が18g/m、厚み0.15mm、捕集効率98.3%、通気抵抗値14Paの不織布を用いた。
最外層のシート体は、PET繊維を用い、スパンボンド法にて作製した目付が20g/m、厚み0.12mmの不織布を用いた。
また、マスク本体部の上縁部にはノーズフィッターを設けた。
[マスクBの作製]
最内層のシート体に、比較例1の布帛を用いた以外は、マスクAと同様にしてマスクを作製した。
[マスクの使用感評価]
実施例1の布帛を用いたマスクA及び比較例1の布帛を用いたマスクBについて、使用感評価を実施した。被験者の数は、各例において、成人男性2名、女性2名とした。着用時間は5時間とした。ムレ、着用直後の冷感及び持続的な冷感について、3段階評価を行った。3段階評価の項目は、ムレについては、〇を「ほとんどムレない」、△を「ムレる」、×を「非常にムレる」とした。着用直後の冷感及び持続的な冷感については、〇を「冷感がある」、△を「冷感がややある」、×を「冷感がほとんどない」とした。
評価結果を表1に示す。
布帛の評価1の結果、実施例1は比較例1と比べ、曲げ剛性が大きいことが確認された。また、実施例1は比較例1と比べ、曲げヒステリシスが小さいことが確認された。これは、実施例1において、比較例1より経糸及び緯糸の打ち込み本数が少ない、また、経糸の筬目あたりの通し本数が多いためと考えられる。すなわち、実施例1の布帛を用いることで、形状保持性が高いマスクを作製することができる。
布帛の評価2の結果、実施例1は比較例1と比べ、摩耗後において、毛羽立ちが生じにくいことが確認された。これは、実施例1において、比較例1より経糸及び緯糸の打ち込み本数が少ない、また、経糸の筬目あたりの通し本数が多いためと考えられる。すなわち、実施例1の布帛を用いることで、長時間着用しても毛羽立ちが生じにくいマスクを作製することができる。
なお、実施例1の布帛のMIUは0.261、MMDは0.038であった。
マスク使用感評価の結果、実施例1の布帛を用いて作製したマスクAは、マスクBと比較して、ムレが生じにくいことが確認された。さらに、冷感が、着用直後だけでなく長時間保持されることが確認された。
以上より、実施例1の布帛を用いて、細かい粒子の補足が可能であり、かつ、布帛及び不織布が積層されているにも関わらず、長時間着用しても暑苦しい感覚やムレ及び毛羽立ちが生じにくいマスクが得られた。
10 マスク
11 マスク本体
12 耳掛け部
13 ノーズフィッター
14 折り目
15 プリーツ
18 最内層のシート体
19 第1中間層のシート体
20 第2中間層のシート体
21 最外層のシート体
31 布帛
32 構成糸
33 経糸
34 緯糸
S サイドカバー
d1、d1’ 最大径
d2 最小径

Claims (10)

  1. 縦方向及び横方向を有する複数のシート体が重ね合わされた積層体からなるマスク本体部と、このマスク本体部の左右両側に設けられた耳に係止するための耳掛け部と、を備えるマスクであって、
    前記積層体における最内層のシート体に、経糸の通し本数が2本/筬目以上である布帛を用いたことを特徴とするマスク。
  2. 前記布帛が、経糸及び緯糸の打ち込み本数がそれぞれ50本/インチ以下である布帛であることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
  3. 前記布帛の曲げ剛性が0.005gf・cm/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
  4. 前記布帛の曲げヒステリシスが0.03gf・cm/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
  5. 前記布帛のMIUが0.24以上であることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
  6. 前記積層体が、捕集効率値が95%以上、かつ、目付が25g/m以下の不織布を含む中間層のシート体を有することを特徴とする請求項1に記載のマスク。
  7. 前記不織布がメルトブロー不織布であることを特徴とする請求項6に記載のマスク。
  8. 前記中間層のシート体の通気抵抗値が35Pa以下であることを特徴とする請求項6に記載のマスク。
  9. 前記マスクがプリーツ加工型マスクであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のマスク。
  10. 縦方向及び横方向を有する複数のシート体が重ね合わされた積層体からなるマスク本体部と、このマスク本体部の左右両側に設けられた耳に係止するための耳掛け部と、を備えるマスクであって、
    前記積層体における最内層のシート体に布帛を用い、前記布帛の経糸の最大径が緯糸の最大径を1とした場合に2以上であることを特徴とするマスク。
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