JP2024014181A - ポリゴンミラー、光偏光器、光走査装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より安定した姿勢で台座に取り付けることができるポリゴンミラーを提供することを目的とする。【解決手段】台座に配置される樹脂体のポリゴンミラーであって、前記ポリゴンミラーは、前記台座に面する面に、前記台座と当接する複数の突起部を有し、前記複数の突起部の算術平均粗さが100nm未満であることを特徴とするポリゴンミラー。【選択図】図3
Description
本発明は、ポリゴンミラー、光偏光器、光走査装置および画像形成装置に関する。
レーザプリンタ等の画像形成装置に用いられる光走査装置は、画像信号に応じて光源から出射するレーザ光を光変調し、光変調されたレーザ光を、回転するポリゴンミラーを有する光偏向器で偏向走査する。光偏向器で走査されたレーザ光は、fθレンズなどの走査レンズによって、像担持体の一例である感光ドラム上に結像される。これにより、感光ドラムの表面には、静電潜像が形成される。
この種の装置に用いられるポリゴンミラーは金属製が主流であるが、コストを低減できることや形状に自由度が持たせられることから、射出成形による樹脂製のポリゴンミラーも存在する。
たとえば特許文献1では、樹脂製のポリゴンミラーの底面に、台座に設置するための当接部としての座面を設けた構成が開示されている。また、特許文献1には、ポリゴンミラーを成形する際に、座面にウェルドラインが発生しないような構成とすることで、精度良く安定して台座に取り付けることができることが記載されている。
本発明は、特許文献1に記載のポリゴンミラーを更に発展させ、より安定した姿勢で台座に取り付けることができるポリゴンミラーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の手段は、台座に配置される樹脂体のポリゴンミラーであって、前記ポリゴンミラーは、前記台座に面する面に、前記台座と当接する複数の突起部を有し、前記複数の突起部の算術平均粗さが100nm未満であることを特徴とする。
上記課題を解決するための第2の手段は、金型で樹脂材料を成形することによって、台座に配置されるポリゴンミラーを製造する方法であって、前記金型の面に、フライカット加工によって前記ポリゴンミラーの前記台座に当接する突起部に対応する複数の凹部を形成し、前記複数の凹部の表面の算術平均粗さは、100nm未満であることを特徴とする。
本発明によれば、ポリゴンミラーを安定して台座に取り付けることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、以下に説明する形態は、発明の1つの実施形態であって、これに限定されるものではない。そして、共通する構成を複数の図面を相互に参照して説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。同じ名称で別々の事項については、それぞれ、第一の事項、第二の事項というように、「第〇」を付けて区別することができる。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置100を示す断面模式図である。画像形成装置100は、電子写真式である。図1の画像形成装置100は、プリンタであるが、これに限定するものではなく、複写機、ファクシミリ、複合機等であってもよい。
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置100を示す断面模式図である。画像形成装置100は、電子写真式である。図1の画像形成装置100は、プリンタであるが、これに限定するものではなく、複写機、ファクシミリ、複合機等であってもよい。
画像形成装置100は、記録材であるシートPに画像を形成する画像形成部110を備える。画像形成部110は、光走査装置101、プロセスカートリッジ102、転写部の一例である転写ローラ107、及び定着器108を有する。プロセスカートリッジ102は、像担持体の一例である感光ドラム103、帯電部111、及び現像部112を有する。
光走査装置101は、画像情報に基づいて変調されたレーザ光Lを出射し、このレーザ光Lで感光ドラム103の表面を走査する。これにより、感光ドラム103上に潜像が形成され、この潜像が現像部112において現像剤としてのトナーによりトナー像として顕像化される。
一方、シート積載板104上に積載されたシートPは、給送ローラ105によって1枚ずつ分離されながら給送され、搬送ローラ106によって感光ドラム103と転写ローラ107とのニップ部に搬送される。ニップ部に搬送されたシートP上には、感光ドラム103上に形成されたトナー像が転写ローラ107によって転写される。
未定着のトナー像が転写されたシートPは、さらに下流側の定着器108に搬送される。定着器108は、内部に加熱体を有し、シートPを加熱及び加圧することにより、トナー像を画像としてシートPに定着させる。その後、シートPは、排出ローラ109によって機外に排出される。
図2(a)は、第1実施形態に係る光走査装置101を模式的に示す斜視図である。光走査装置101は、筺体203と、筺体203に収容された、光源201、シリンドリカルレンズ202、光学絞り204、光偏向器の一例であるスキャナモータ1及びfθレンズ205、とを有する。スキャナモータ1はポリゴンミラー3及び駆動源たるモータを有し、モータでポリゴンミラー3を回転させる。光源201から出射したレーザ光Lは、シリンドリカルレンズ202によって一方向が集光され、光学絞り204を通過してポリゴンミラー3の反射面に潜像を形成する。
反射面で反射されたレーザ光Lは、ポリゴンミラーの回転に伴って偏向され、fθレンズ205を通過後、図1の感光ドラム103上を走査することによって静電潜像を形成する。
なお、筺体203の開口部は、樹脂や金属製の光学蓋(不図示)によって閉塞される。
図2(b)は、第1実施形態に係るスキャナモータ1の断面図である。図2(b)には、回転中心を含む面で切断したスキャナモータ1の切断面を模式的に図示している。スキャナモータ1は、板金で構成された基板4、基板4に固定された軸受スリーブ5、ロータマグネット6を有するロータ7、及び軸受スリーブ5に回転可能に支持され、ロータ7と一体の回転軸8を備える。また、スキャナモータ1は、ロータ7と一体の台座2、基板4に固定されたステータコイル9、台座2を介して回転軸8に固定されたポリゴンミラー3、及びポリゴンミラー3を適度な力でモータ台座2に押し付けて、台座の空回りを防止するバネ39を備える。ロータマグネット6およびステータコイル9で、ポリゴンミラー3を回転駆動する駆動源の一例であるモータが構成されている。ポリゴンミラー3は、回転することにより、図2(a)に示すレーザ光Lを偏向するものである。ポリゴンミラー3は、樹脂で形成された基体である樹脂体30と、樹脂体30の各側面に形成された反射膜31とを有する。
次に図3を用いて、スキャナモータ1のポリゴンミラー3について説明する。図3(a)および図3(b)は、本実施形態に係る樹脂体30で構成されるポリゴンミラー3の斜視図である。図3(a)は、ポリゴンミラー3における樹脂体30の上面斜視図、図3(b)は、ポリゴンミラー3における樹脂体30の下面斜視図である。ここで、ポリゴンミラー3が上方に来るようにスキャナモータ1の回転軸8を鉛直方向に配置したときの、上側の面を上面、台座2に面する面を下面としている。
樹脂体30は、角柱状、本実施形態では四角柱状の樹脂体である。樹脂体30の樹脂材料には、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂の中でも、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネート、あるいは、アクリルを用いるのが好ましい。
樹脂体30は、第1面である天面(上面)301と、第1面に対向する第2面である底面(下面)302とを有している。また、第1面および第2面と交差する内側面330と、内側面330とは反対側において第1面及び第2面と交差する、複数、本実施形態では4つの外側面351、352、353、354と、を有する。天面301の2つの対角線L11、L12の交線と、底面302の2つの対角線L21、L22の交線とを通過する仮想線C0を含む位置に貫通孔16が形成されている。内側面330は、貫通孔16を囲むように形成されている。すなわち仮想線C0は、樹脂体30の回転中心線であり、貫通孔16の中心軸である。貫通孔16には、図2(b)に示す回転軸8が挿入される。
図4(a)は、本実施形態に係る樹脂体30の断面図である。図4(a)は、図3(a)のV-V線における樹脂体30の断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す樹脂体30の要部の拡大図である。
天面301と外側面351~354との第1交線310と、底面302と外側面351~354との第2交線320とを、それぞれ高さの基準とする。底面302には、天面301とは反対側に、第2交線320から突出する、複数、本実施形態では4つの突起部361、362、363、364を有する。突起部361~364は、仮想線C0から等距離かつ等位相、また4つの外側面351~354と同位相の位置に配置されている。ポリゴンミラー3のうち、突起部361~364のみが、台座2に当接する。突起部361~364の数は3つ以上であり、外側面の数の約数であることが好ましい。
突起部361~364を仮想線C0に対し等距離かつ等位相の位置に配置することで、ポリゴンミラー3の形状対称性を満たす位置で、ポリゴンミラー3と台座2を当接することができる。これにより、温度変化や回転駆動に伴うポリゴンミラー3の歪みが、仮想線C0に対し対称的に発生するようにし、スキャナモータ1の光学特性が悪化するのを防いでいる。更に4つの外側面351~354と同位相とすることで、温度変化や回転駆動に伴うポリゴンミラー3に歪みが、外側面351~354に対し均等に発生するようにし、スキャナモータ1の光学特性が悪化するのを防いでいる。
また図4(b)に示すように突起部361は、台座2と当接する第1突起面3611と、第1突起面3611および底面302と交わる第2突起面3612と、を有する。本実施形態において、第1突起面3611は円形の平面であり、底面302に対し平行である。また第1突起面3611は鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑らかな面であり20nm未満の面であればより好ましい。第2突起面3612は、底面302と第1突起面3611をつなぐトーラス面である。この第2突起面3612の算術平均粗さは、100nm未満であることが好ましい。第2突起面3612は、台座2と当接する面ではないため、その算術平均粗さを、第1突起面3611の算術平均粗さよりも粗くしても良い。第2突起面3612をトーラス面としている理由は、後述する。一方底面302は、算術平均粗さ100nm以上の機械加工面である。ここでは突起部361についてのみ説明したが、突起部362~364においても、同様の構成であることが好ましい。また実施形態の説明の中で、突起部361のみを説明している場合は、突起部361のみならず、突起部361~364はすべて同じ構成であることが好ましい。
台座2と当接する第1突起面3611を鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑面とすることで、第1突起面3611の凹凸を小さくすることができるため、台座2に当接した際のポリゴンミラー3の姿勢が安定する。具体的には、スキャナモータ1の回転軸に対する、ポリゴンミラー3を構成する樹脂体30の仮想線C0の倒れを低減することができる。すなわちスキャナモータ1の回転軸に対する、外側面351~354の傾斜バラツキを低減できるので、良好な光学特性をもつスキャナモータ1を提供することができる。
先に説明した樹脂体30の第1交線310及び第2交線320に対応する各辺の長さL1は、10mm以上30mm以下であるのが好ましい。例えば各辺の長さ14.1mm、外接円の直径にしてφ20mmとすることが好ましい。また、樹脂体30の厚みZは、0.5mm以上10mm以下であるのが好ましく、例えば2mmとすることが好ましい。
また、天面301には、後述する樹脂の注入口である4つのゲート571~574(図5参照)に対応するゲート痕171~174がある。ゲート痕171~174のそれぞれと貫通孔16との距離は同一である。各側面351~354と各ゲート痕171~174との相対位置は一致している。各側面351~354と各ゲート痕171~174とは、仮想線C0に対して回転対称である。
本実施形態において、突起部361の第1突起面3611の径D1はφ0.5mm以上2mm以下であり、第2交線320からの突出量H1は0.01mm以上0.1mm以下であることが好ましい。第2突起面3612は、大半径R0.5mm、小半径R1mmのトーラス面であり、第1突起面3611と滑らかに接続している。また突起部361~364は仮想線C0から2mm以上6mm以下の距離に、それぞれ仮想線C0に対し90゜の位相で配置されているが、内側面330から外側面までの中点より内側面330側に設けられていることが好ましい。
一方、台座2は、図2(b)に示すように仮想線C0を中心とした円環形状の凸部を有する。円環形状の凸部は半径2mm以上6mm以下、円環の厚みは0.25mm以上0.75mm以下である。ポリゴンミラー3の突起部361~364は、台座2の凸部に当接し固定される。たとえば凸部の半径4mmの円周長約25.1mmに対し、凸部と突起部361~364が当接する、円弧長の合計は約4mmであり、凸部の円周長に対する、凸部と突起部361~364が当接する総円弧長の割合は、16%となる。割合が大きくなりすぎると、凸部と突起部361~364が当接する真の接触点が、4つの外側面351~354に対し位相がずれやすくなり、対称性が低下する。その結果、温度変化や回転駆動に伴うポリゴンミラー3の歪みが、外側面351~354に対し非対称に発生するようなるため、スキャナモータ1の光学特性が低下する。凸部の円周長に対する、凸部と突起部361~364が当接する総円弧長の割合は、25%以下であることが望ましい。
本実施形態のポリゴンミラー3を構成する樹脂体30は、金型で樹脂材料を成形することによって製造される。以下に、樹脂体30を製造するのに用いる金型について説明する。図5は、本実施形態に係る金型140の断面模式図である。図5には、型締めした状態の金型140を図示している。金型140は、樹脂体30を形成するためのキャビティ50を有する。金型140を型締めした状態で、キャビティ50が画成される。
図6(a)および図6(b)は、本実施形態に係る金型におけるキャビティ50の斜視図である。図6(a)は、キャビティ50の上面斜視図、図6(b)は、キャビティ50の下面斜視図である。
キャビティ50は、角柱状、本実施形態では四角柱状の空間である。金型140は、樹脂体30の天面301を転写する天面形成面501と、樹脂体30の底面302を転写する底面形成面502とを有する。また、金型140は、樹脂体30の複数の外側面351~354を転写する、複数、本実施形態では4つの側面形成面551、552、553、554を有する。これら複数の面501,502および551~554でキャビティ50が画成される。
図5に示すように、金型140は、ランナストリッパプレート141と、固定側型板142と、可動側型板143とを有する。ランナストリッパプレート141と固定側型板142とでランナ580が画成される。
固定側型板142は、上記した天面形成面501と、図6(a)に示すキャビティ50に溶融樹脂を注入するための複数のゲート571、572、573、574と、金型穴1421と、アンギュラピン1422とを含む。金型穴1421は、図3に示す貫通孔16と同軸に設けられている。つまり、金型穴1421の中心線が仮想線C0である。本実施形態におけるゲートの数は、側面形成面551~554と同数の4つであるのが好ましい。これにより、後述する射出工程において、樹脂体30の圧力分布の対称性が高くなり、光の反射面となる外側面351~354の形状精度が高まる。
また、ゲート571~574と側面形成面551~554とは、金型穴1421の中心軸線である仮想線C0まわりの位相が一致しているのが好ましい。これにより、射出工程において、樹脂体30の圧力分布の対称性が更に高くなり、光の反射面となる外側面351~354の形状精度が更に向上する。また、ゲート571~574間に発生するウェルドを、図2(a)においてレーザ光Lが有効走査範囲外にあるときに、光源からの光が照射される外側面351~354の端部に誘導することができる。
図5に示す可動側型板143は、可動側コア1431と、スライドコア144と、エジェクタプレート145とを有する。可動側コア1431は、底面形成面502と、貫通孔形成面1432と、突起部形成面561、562、563、564の一部とを含む。スライドコア144は、側面形成面551~554を含み、可動側型板143の開閉移動に伴って、アンギュラピン1422に案内されて仮想線C0と直交する方向にスライドする。
エジェクタプレート145は、側面形成面551~554と同数の4本のエジェクタピンを有していることが好ましい。これにより、金型140から樹脂体30を離型させる工程において、図示しないエジェクタピンを突出させた際に、力を樹脂体30に均等に伝えることができ、離型に伴う樹脂体30の変形を抑えることができる。
天面形成面501は、四角形であるので、図6(a)に示すように、2つの対角線L51、L52がある。同様に、底面形成面502は、四角形であるので、図6(b)に示すように、2つの対角線L61,L62がある。
キャビティ50の底面形成面502には、底面形成面502に対して陥没した、突起部形成面561~564が配置される。突起部形成面561~564はそれぞれ、樹脂体30の突起部361~364に対応する凹部であり、突起部を形成するため、突起部の形状を反転させた形状を有する。つまり、突起部形成面561~564を構成する凹部はそれぞれ、底面形成面502とトーラス面を介して接続する平面を有する形状を備えている。突起部形成面561~564は、可動コア1431によって形成される。可動コア1431のほかに突起部361~364を形成するための突起部形成駒を設けても良い。
突起部形成面561の平面は鏡面加工され、算術平均粗さ100nm未満の滑面とされている。そのため、図4(b)に示す突起部361の第1突起面3611を、鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑面にすることができる。また、突起部形成面562~564の平面も、突起部形成面561と同様に鏡面加工されている。そのため、突起部362~364のそれぞれの第1突起面も、鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑面となる。これにより、複数の突起部361~364の第1突起面の凹凸を小さくすることができるので、台座2に当接した際のポリゴンミラー3の姿勢が安定する。具体的には、スキャナモータ1の回転軸に対する、ポリゴンミラー3を構成する樹脂体30の仮想線C0の倒れを低減することができる。すなわちスキャナモータ1の回転軸に対する、外側面351~354の傾斜バラツキを低減できるので、良好な光学特性をもつスキャナモータ1を提供することができる。
本実施形態において、突起部形成面561~564はフライカット加工によって形成されることが好ましい。フライカット加工とは、被加工物に回転する刃物を当てて削るフライス加工の一種である。フライカット加工は、図11に示すように、回転軸60に対して切れ刃61を1つだけ設けた工具62を用いる。そして、回転軸60を被加工物63の面63Aに対して、垂直方向から傾けて加工を行う。
フライカット加工は一般的に、エンドミル等の工具を用いた加工に比べて精密な加工が可能であることが知られている。そのため、フライカット加工を用いることによって、金型140の突起部形成面561~564を、鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑面に加工することができる。
一方でフライカット加工は、回転軸60を被加工物63の面63Aに対して垂直方向から傾けて加工を行うため、面63Aに垂直な面を加工することが難しい。そのため、本実施形態においては、突起部形成面561~564を、金型140の底面形成面502に平行な平面と、この平面と底面形成面502とを接続するトーラス面とから構成している。突起部形成面561~564をこのような形状とすることによって、フライカット加工を用いることが出来るため、樹脂体30の突起部361~364の少なくとも平面を、鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑面とすることが容易に実現できる。
また、突起部361~364を上記の通りの形状とすることによって、これらの突起部の変形による影響を低減することができる。例えば、突起部を円柱形状に形成した場合、ポリゴンミラー3を回転させた際に、横からの力によって変形して、ポリゴンミラー3を台座上に安定に保持することが難しくなる虞がある。本実施形態では、突起部361~364をそれぞれ、樹脂体30の底面302と平行な平面と、この平面と底面とを接続するトーラス面とを有する形状にすることによって、突起部に横からの力が加わったときに、突起部の変形を抑制することができる。
たとえば突起部361の第2突起面3612は、可動側コア1431の突起部形成面561~564をフライカットで加工する際、工具旋回によってできる面であり、トーラス面の小半径は、フライカット工具の旋回半径Rと同じ、もしくは旋回半径Rよりも大きい。
次に、ポリゴンミラー3の製造方法について説明する。図7(a)~図7(c)および図8(a)~図8(c)は、本実施形態に係るポリゴンミラー3における、樹脂体30の製造方法の各工程を示す説明図である。
図7(a)に示す金型140を型開きした状態から成形を開始する。次に、図7(b)に示す型締め工程において、金型140を型締めする。このとき、可動側型板143の貫通孔形成駒1432が固定側型板142の金型穴1421に嵌合することで、固定側型板142と可動側型板143との位置が合わせられ、金型140内にキャビティ50が画成される。
次に、図7(c)に示す射出工程において、不図示の射出成形機の射出ユニットにより、ランナ580および図6(a)のゲート571~574を通じてキャビティ50に溶融樹脂M1を射出する。
次に、図8(a)の冷却工程において、金型140の温度を、溶融樹脂M1の溶融温度よりも低い所定温度に設定することで、溶融樹脂M1を冷却固化させ、樹脂体30を形成する。金型140は、例えば水冷式であり、水により所定温度に冷却される。
樹脂体30を十分に冷却した後、図8(b)に示す型開き工程において、金型140を開く。このとき、樹脂体30の天面301から固定側型板142の天面形成面501が離隔する。また、樹脂体30の図3(a)および図3(b)に示す外側面351~354からスライドコア144の図6(a)および図6(b)に示す側面形成面551~554が離間する。また、樹脂体30に接続されたランナ32が、ランナストリッパプレート141によって樹脂体30から分離される。
そして図8(c)に示す離型工程において、エジェクタプレート145を可動側コア1431に向けて前進させて、図示しないエジェクタピンを可動側コア1431から突出させる。そして、このエジェクトピンによって、可動側コア1431の底面形成面502から樹脂体30の底面302を離間させる。これにより、樹脂体30を金型140から離型させる。
その後、蒸着工程において、樹脂体30の外側面351~354にアルミニウム等の金属を蒸着することで、外側面351~354に、光の反射面となる図2(b)に示す反射膜31を形成する。これにより、ポリゴンミラー3が製造される。
<第2実施形態>
次に第2実施形態に係るポリゴンミラー3について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
次に第2実施形態に係るポリゴンミラー3について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図9(a)および図9(b)は、本実施形態に係る樹脂体30Aの斜視図である。図9(a)は、本実施形態に係る樹脂体30Aの上面斜視図、図9(b)は、本実施形態に係る樹脂体30Aの下面斜視図である。図10(a)は、図9(a)のVI-VI線における樹脂体30Aの断面図である。図10(b)は、図10(a)に示す樹脂体30Aの要部の拡大図である。
本実施形態は、樹脂体30Aにおける突起部361A~364Aが球冠状の面を有する点で、第1実施形態と異なる。そのため、突起部361A~364A以外の部材に関しては、第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
突起部361A~364Aの構成について、図10(b)を用い、突起部361Aを例として説明する。本実施形態の突起部361Aは、台座2と当接する第1突起面3611Aのみからなる点で第1実施形態と異なる。第1突起面3611Aは球冠状の面である。第1突起面3611Aは鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑面であることが好ましく、20nm未満の面であればより好ましい。
台座2と当接する第1突起面3611Aを鏡面性のある算術平均粗さ100nm未満の滑面とすることで、第1突起面3611Aの凹凸を小さくすることができるので、台座2に当接した際の樹脂体30Aの姿勢が安定する。具体的には、スキャナモータ1の回転軸に対する、樹脂体30Aの仮想線C0の倒れを低減することができる。すなわちスキャナモータ1の回転軸に対する、外側面351~354の傾斜バラツキを低減できるので、良好な光学特性をもつスキャナモータ1を提供することができる。
本実施形態において、突起部361Aの第1突起面3611Aの球冠の底直径D2はφ0.5mm以上2mm以下であり、第2交線320からの突出量H2は0.01mm以上0.1mm以下である。
本実施形態の樹脂体30Aも、第1実施形態と同様に、金型で樹脂材料を成形することによって製造される。また、樹脂体30Aの底面302を形成するための金型の面には、突起部361A~364Aに対応する複数の凹部を有する。但し、これら複数の凹部が球冠を反転した形状の曲面を有する点で第1実施形態と相違する。それぞれの凹部の曲面は、鏡面性のある算術平均粗さが100nm未満の滑面に形成される。
本実施形態において、上述の複数の凹部は、金型の底面形成面をフライカット加工によって加工することによって形成されることが好ましい。本実施形態でも、凹部が球冠を反転した形状とされているため、問題なくフライカット加工を適用することができる。
以上説明した実施形態においては、台座に当接する平面または球冠状の面の算術平均粗さを100nm未満としたが、この条件を満足しない場合に関して説明する。ここで仮に、突起部の台座に当接する面が鏡面でない、すなわちこの面の算術平均粗さが100nm以上であるとする。具体的には、樹脂体を成形する金型の表面を、フライカット加工法ではなく、エンドミルによる底面加工や放電加工により加工した場合に、このような表面粗さとなる。
例えばエンドミルで、図6(b)の突起部形成面561~564を加工すると、カッターマークなどで表面の凹凸が、本実施形態に対して増大する。そのため、この金型140で樹脂体30を製造すると、突起部361の第1突起面3611の凹凸が、本実施形態に対して増大し、台座2に取り付けたポリゴンミラー3の姿勢が不安定になる。具体的には、スキャナモータ1の回転軸に対する、樹脂体30の仮想線C0の倒れが増大する。すなわちスキャナモータ1の回転軸に対する、外側面351~354の傾斜バラツキが増大するので、スキャナモータ1の光学特性が低下する。
なお、樹脂体30の外側面351~354と台座2に接する底面302の形状精度を高めるためには、金型を図5に示す構成とすると良い。つまり、樹脂体30の外側面351~354および底面302をそれぞれ形成する、側面形成面551~554および底面形成面502は、同じ可動側型板143に設けることが望ましい。
また、突起部361~364のほかにも、ポリゴンミラー3には台座2に接しない放熱用の突起部や陥没部等が形成されていてもよい。
以下に本発明の構成を示す。
(構成1)台座に配置される樹脂体のポリゴンミラーであって、前記ポリゴンミラーは、前記台座に面する面に、前記台座と当接する複数の突起部を有し、前記複数の突起部の算術平均粗さが100nm未満であることを特徴とするポリゴンミラー。
(構成2)前記複数の突起部は、前記台座に面する面とトーラス面を介して接続する平面、または球冠状の面を有し、前記平面または球冠状の面の算術平均粗さが、100nm未満であることを特徴とする構成1に記載のポリゴンミラー。
(構成3)前記複数の突起部は、前記台座に面する面とトーラス面を介して接続する平面を有し、前記トーラス面の算術平均粗さは、前記平面の算術平均粗さよりも粗いことを特徴とする構成1または2に記載のポリゴンミラー。
(構成4)前記平面の算術平均粗さは20nm未満であり、前記トーラス面の算術平均粗さは100nm未満であることを特徴とする構成2または3に記載のポリゴンミラー。
(構成5)前記台座に面する面のうち、前記複数の突起部以外の面の算術平均粗さは、100nm以上であることを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載のポリゴンミラー。
(構成6)更に、前記台座に面する面と交差し、反射面に対応する複数の側面を有し、前記複数の突起部の数は3以上で、且つ前記側面の数の約数であることを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載のポリゴンミラー。
(装置1)構成1乃至6のいずれか1項に記載のポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーが配置される台座と、前記台座を介して前記ポリゴンミラーを回転駆動する駆動源を備えることを特徴とする光偏向器。
(装置2)前記台座は、前記ポリゴンミラーが配置される側に凸部を有し、前記ポリゴンミラーの突起部が前記凸部と当接することを特徴とする装置1に記載の光偏向器。
(装置3)光源と、前記光源から出射された光を偏向する装置1または2に記載の光偏向器と、を備えることを特徴とする光走査装置。
(装置4)シートに画像を形成する画像形成部を備え、前記画像形成部が、像担持体と、前記像担持体の表面を光で走査する装置1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置とを有することを特徴とする画像形成装置。
(製造方法1)金型で樹脂材料を成形することによって、台座に配置されるポリゴンミラーを製造する方法であって、前記金型の面に、フライカット加工によって前記ポリゴンミラーの前記台座に当接する突起部に対応する複数の凹部を形成し、前記複数の凹部は、前記金型の面とトーラス面を介して接続する平面、または球冠を反転した形状の曲面を有し、前記平面または曲面の算術平均粗さが100nm未満であることを特徴とするポリゴンミラーの製造方法。
(製造方法2)前記複数の凹部は、前記金型の面とトーラス面を介して接続する平面、または球冠を反転した形状の曲面を有し、前記平面または曲面の算術平均粗さは、100nm未満であることを特徴とする製造方法1に記載のポリゴンミラーの製造方法。
(製造方法3)前記複数の凹部は、前記金型の面とトーラス面を介して接続する平面を有し、前記トーラス面の算術平均粗さは、前記平面の算術平均粗さよりも粗いことを特徴とする製造方法2に記載のポリゴンミラーの製造方法。
(製造方法4)前記平面の算術平均粗さは20nm未満であり、前記トーラス面の算術平均粗さは100nm未満であることを特徴とする製造方法2または3に記載の製造方法。
(製造方法5)前記金型の面のうち、前記複数の凹部以外の面の算術平均粗さは、100nm以上であることを特徴とする製造方法1乃至4のいずれか1項に記載のポリゴンミラーの製造方法。
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。たとえば複数の実施形態を組み合わせることができる。また、少なくとも1つの実施形態の一部の事項の削除あるいは置換を行うことができる。
また、少なくとも1つの実施形態に新たな事項の追加を行うことができる。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に明示的に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。
また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した個別の概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBよりも大きい」旨の記載があれば、たとえ「AはBよりも大きくない」旨の記載を省略していたとしても、本明細書は「AはBよりも大きくない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBよりも大きい」旨を記載している場合には、「AはBよりも大きくない」場合を考慮していることが前提だからである。
3 ポリゴンミラー
30 樹脂体
361、362、363、364 突起部
30 樹脂体
361、362、363、364 突起部
Claims (15)
- 台座に配置される樹脂体のポリゴンミラーであって、
前記ポリゴンミラーは、前記台座に面する面に、前記台座と当接する複数の突起部を有し、
前記複数の突起部の算術平均粗さが100nm未満であることを特徴とするポリゴンミラー。 - 前記複数の突起部は、前記台座に面する面とトーラス面を介して接続する平面、または球冠状の面を有し、前記平面または球冠状の面の算術平均粗さが、100nm未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリゴンミラー。
- 前記複数の突起部は、前記台座に面する面とトーラス面を介して接続する平面を有し、前記トーラス面の算術平均粗さは、前記平面の算術平均粗さよりも粗いことを特徴とする請求項1に記載のポリゴンミラー。
- 前記平面の算術平均粗さは20nm未満であり、前記トーラス面の算術平均粗さは100nm未満であることを特徴とする請求項2に記載のポリゴンミラー。
- 前記台座に面する面のうち、前記複数の突起部以外の面の算術平均粗さは、100nm以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリゴンミラー。
- 更に、前記台座に面する面と交差し、反射面に対応する複数の側面を有し、前記複数の突起部の数は3以上で、且つ前記側面の数の約数であることを特徴とする請求項1に記載のポリゴンミラー。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーが配置される台座と、前記台座を介して前記ポリゴンミラーを回転駆動する駆動源を備えることを特徴とする光偏向器。
- 前記台座は、前記ポリゴンミラーが配置される側に凸部を有し、前記ポリゴンミラーの突起部が前記凸部と当接することを特徴とする請求項7に記載の光偏向器。
- 光源と、前記光源から出射された光を偏向する請求項7に記載の光偏向器と、を備えることを特徴とする光走査装置。
- シートに画像を形成する画像形成部を備え、
前記画像形成部が、
像担持体と、
前記像担持体の表面を光で走査する請求項9に記載の光走査装置とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 金型で樹脂材料を成形することによって、台座に配置されるポリゴンミラーを製造する方法であって、
前記金型の面に、フライカット加工によって前記ポリゴンミラーの前記台座に当接する突起部に対応する複数の凹部を形成し、
前記複数の凹部の表面の算術平均粗さは、100nm未満であることを特徴とするポリゴンミラーの製造方法。 - 前記複数の凹部は、前記金型の面とトーラス面を介して接続する平面、または球冠を反転した形状の曲面を有し、前記平面または曲面の算術平均粗さは、100nm未満であることを特徴とする請求項11に記載のポリゴンミラーの製造方法。
- 前記複数の凹部は、前記金型の面とトーラス面を介して接続する平面を有し、前記トーラス面の算術平均粗さは、前記平面の算術平均粗さよりも粗いことを特徴とする請求項11に記載のポリゴンミラーの製造方法。
- 前記平面の算術平均粗さは20nm未満であり、前記トーラス面の算術平均粗さは100nm未満であることを特徴とする請求項12または13に記載の製造方法。
- 前記金型の面のうち、前記複数の凹部以外の面の算術平均粗さは、100nm以上であることを特徴とする請求項11または12に記載のポリゴンミラーの製造方法。
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