JP2024014082A - 障害物マップ作成方法、プログラム、及び障害物マップ作成装置 - Google Patents

障害物マップ作成方法、プログラム、及び障害物マップ作成装置 Download PDF

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発之 川西
Hotsuyuki Kawanishi
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佳祐 米陀
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Abstract

【課題】障害物マップへの移動物体の影響を低減できる障害物マップ作成方法などを提供する。【解決手段】障害物マップ作成方法は、移動体(車両V10)が走行している道路における障害物の位置情報を含む障害物マップを作成する方法であって、道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報であって、障害物マップを作成するための高さ情報を取得する取得ステップと、高さ情報のうち、路面に配置される移動体以外の移動物体に係る水平方向位置と高さとの関係を示す移動物体情報を棄却する棄却ステップとを含む。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月20日に、公益社団法人自動車技術会2022年春季大会ホームページ(https://www.jsae.or.jp/2022haru/)にてサマライズドペーパーが掲載 令和4年5月20日に、公益社団法人自動車技術会2022年春季大会学術講演会聴講者ログインページのウェブサイト(https://gakkai-web.net/p/jsae/reg/mod2.php)にて講演予稿集が掲載 令和4年5月25日に、公益社団法人自動車技術会2022年春季大会学術講演会にて講演発表、ならびに、公益社団法人自動車技術会2022年春季大会学術講演会聴講者ログインページのウェブサイト(https://gakkai-web.net/p/jsae/reg/mod2.php)にて講演発表が配信
本発明は、障害物マップ作成方法、プログラム、及び障害物マップ作成装置に関する。
現在、自動車などの移動体の自動運転に関する研究が活発に進められている(特許文献1など参照)。自動運転を実現するために必要な要素技術の一つに、歩行者、他の自動車などの移動物体、交通信号機、障害物などの自車周辺の環境を認識する周辺環境認識がある。一般的に、周辺環境認識には、3次元点群データを取得するLiDAR(Light Detection and Ranging)、自車から対象物体までの距離及び方向を取得するミリ波レーダ、対象物体の形状情報及び色情報を取得するカメラなどが用いられる。
特許第6831880号公報
自動車の走行環境において、路面は常に平坦とは限らない。路面には、地形、道路の経年劣化、道路構造などに起因する凹凸、移動物体からの落下物などの障害物が存在し得る。自動運転自動車の安全かつ快適な走行を実現するためには、このような障害物をリアルタイムに認識して、障害物の位置情報を含む障害物マップを作成し、減速、停止、又は走行経路の修正などの制御を適切に行う必要がある。
このような障害物マップを作成するために、LiDARなどを用いた周辺環境認識を採用し得る。しかしながら、このような従来の周辺環境認識によっては、他の自動車などの移動物体と、路面の凹凸などとの区別ができない。このため、自動運転を実現するために必要となる正確な障害物マップを作成できない。
そこで、本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、障害物マップへの移動物体の影響を低減できる障害物マップ作成方法などを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る障害物マップ作成方法は、移動体が走行している道路における障害物の位置情報を含む障害物マップを作成する障害物マップ作成方法であって、前記道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報であって、前記障害物マップを作成するための高さ情報を取得する取得ステップと、前記高さ情報のうち、前記路面に配置される前記移動体以外の移動物体に係る水平方向位置と高さとの関係を示す移動物体情報を棄却する棄却ステップとを含む。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るプログラムは、上記障害物マップ作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る障害物マップ作成装置は、移動体が走行している道路における障害物の位置情報を含む障害物マップを作成する障害物マップ作成装置であって、前記道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報であって、前記障害物マップを作成するための高さ情報を取得する取得部と、前記高さ情報のうち、前記路面に配置される前記移動体以外の移動物体に係る水平方向位置と高さとの関係を示す移動物体情報を棄却する棄却部とを備える。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は非一時的なコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明の障害物マップ作成方法などによれば、障害物マップへの移動物体の影響を低減できる。
実施の形態に係る障害物マップ作成装置の構成の一例を示すブロック図 実施の形態に係る1次微分フィルタの作用の概要を示す模式図 実施の形態に係る勾配値δと、リスク値Rとの関係の一例を示すグラフ 実施の形態に係るDEMの座標系を示す図 実施の形態に係るマップにおける車両と注目セルとの位置関係を示す図 実施の形態に係る車両の右側の側面から見た場合の車両V10の姿勢と、道路の路面の傾斜とを示す模式図 実施の形態に係る障害物マップ作成方法の流れを示すフローチャート 実施の形態に係る平滑化方法の流れを示すフローチャート 実験において車両を走行させた道路及び障害物を示す写真 道路に設けられている縁石の形状を示す写真 道路に設けられているスピードバンプの形状を示す写真 実施の形態に係る障害物マップ作成装置の取得部による縁石の検出高さ、及び、縁石の領域におけるリスク値と、車両から縁石までの距離との関係を示すグラフ 実施の形態に係る障害物マップ作成装置の取得部によるスピードバンプの検出高さ、及び、スピードバンプの領域におけるリスク値と、車両からスピードバンプまでの距離との関係を示すグラフ 比較例の障害物マップ作成装置によって作成されたリスク値の分布を示すマップ 実施の形態に係る障害物マップ作成装置によって作成されたリスク値の分布を示すマップ 実施の形態及び従来技術に係る各障害物マップ作成装置から縁石までの距離と、障害物マップにおける縁石を含む領域の縁石占有率との関係を示すグラフ
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
(実施の形態)
実施の形態に係る障害物マップ作成装置、及び障害物マップ作成方法について説明する。
[1.障害物マップ作成装置の構成]
まず、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置の構成について図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100は、車両V10などの移動体に搭載され、移動体が走行している道路における障害物の位置情報を含む障害物マップを作成する装置である。なお、本明細書では、障害物には、道路などの路面に配置された物だけでなく、路面そのものの凹凸、縁石なども含まれる。つまり、障害物とは、走行の障害となり得る、路面上に配置された物、又は、路面の形状を意味する。
図1に示されるように、障害物マップ作成装置100は、取得部10と、棄却部20とを備える。本実施の形態では、障害物マップ作成装置100は、蓄積部30と、勾配算出部40と、リスク算出部50と、検出部60と、記憶部70とをさらに備える。
取得部10は、道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報であって、障害物マップを作成するための高さ情報を取得する。つまり、取得部10は、移動体が走行する道路の路面の位置の3次元情報を取得する。ここで、路面の高さには、路面そのものの高さだけでなく、路面に配置された障害物などの表面の高さも含まれる。取得部10として、例えば、LiDAR、ステレオカメラなどの3次元情報取得装置を用いることができる。また、取得部10として、単眼カメラとAIと組み合わせたシステムを用いることができる。このようなシステムでは、単眼カメラで撮影した画像からAIを用いて3次元情報を抽出することができる。本実施の形態では、取得部10として、LiDARを用いる。
LiDARは、対象物体に対してレーザ光を照射し、対象物体から反射したレーザ光を取得することで、対象物体とLiDARを搭載した観測体との距離を計測する。取得部10は、計測された距離、LiDARの位置、及びレーザ光の照射向きから、道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報として、3次元点群データを取得する。
本実施の形態では、高さが低い障害物、路面の凹凸などを総合的に検出するために、LiDARによって取得された3次元点群データに基づくDEM(Digital Elevation Map)を用いる。DEMは、マトリクス状に区画された平面上の各位置における高さ情報を記録することで、車両V10の周辺の地形を表現するマップであり、障害物マップの一例である。本実施の形態では、所定のマップ範囲を設定し、マップ範囲に対応する平面を等間隔なグリッドで分割することで、グリッドで区画された複数のセルを設定する。複数のセルは、マトリクス状に配置される。本実施の形態では、マップ範囲、及び、各セルの寸法を、それぞれ、128m四方、及び、0.25m四方に設定する。なお、DEMの作成方法については後述する。
LiDARは、例えば、128本のレーザ光を垂直方向(つまり、鉛直方向)に互いに異なる照射角度で照射する。LiDARの垂直方向視野角は、水平方向(つまり、鉛直方向に対して垂直な方向)を0degとして、例えば、-25deg以上、15deg以下である。LiDARは、これらのレーザ光の照射方向を水平方向に360deg回転させることで全方位の3次元点群データを取得できる。レーザ光によるスキャンレートは、例えば、5Hz以上、20Hz以下である。本実施の形態では、スキャンレートは、10Hzに設定される。
棄却部20は、高さ情報のうち、路面に配置される車両V10以外の移動物体に係る水平方向位置と高さとの関係を示す移動物体情報を棄却する。ここで移動物体とは、車両V10以外の移動物体を意味する。移動物体には、例えば、自動車、歩行者など、道路の路面を移動する任意の物体が含まれる。本実施の形態では、棄却部20は、蓄積された複数の高さ情報から算出される高さの分散値を用いて移動物体情報を棄却する。なお、棄却部20は、他の方法を用いて、移動物体情報を棄却してもよい。例えば、棄却部20は、車両の追跡情報などの高さ情報以外の情報に基づいて、移動物体情報を棄却してもよい。また、棄却部20は、過去に作成したDEMに基づく各セルの高さ情報と、リアルタイムで作成したDEMに基づく各セルの高さ情報とを比較することで、これらの高さ情報の差が、ある閾値を超えるセルの高さ情報を移動物体情報と判定して、棄却してもよい。
蓄積部30は、取得部10において、互いに異なるタイミングで取得された複数の高さ情報を蓄積する。蓄積部30は、複数の高さ情報を、そのまま蓄積してもよいし、複数の高さ情報に基づいて算出された情報を蓄積してもよい。本実施の形態では、蓄積部30は、複数の高さ情報に対して加重平均を用いて算出された平均値と、複数の高さ情報の分散値とを蓄積する。蓄積部30によって、複数の高さ情報を蓄積することで、水平方向の各位置(つまり、DEMの各セル)における高さ情報の量を増大できる。したがって、水平方向位置のうち、特に、計測データが不足しがちな、車両V10から遠い位置、及び、車両V10付近の位置における高さ情報を蓄積することで、各セルにおける高さ情報の精度を高めることができる。また、互いに異なるタイミングで取得された高さ情報を蓄積することで、車両V10以外の移動物体に係る高さ情報を特定することができる。
蓄積部30は、蓄積されている高さ情報に、新たに取得部10で取得された高さ情報を付加する。本実施の形態では、蓄積部30は、蓄積されたDEM(以下、蓄積DEMとも称する)を、取得部10で新たに取得された高さ情報に基づいて生成されたDEM(以下、新DEMとも称する)に基づいて更新する。ここで、新DEMからは、移動物体に対応するセルの情報が棄却部20によって棄却されている。また、蓄積DEMは、障害物マップの一例である。
本実施の形態では、蓄積部30は、新たに取得された高さ情報に基づいて生成されたDEMから、3σ法を用いて外れ値を棄却する。つまり、蓄積部30は、新DEMの各セルに含まれる高さ情報が示す高さと、当該セルに対応する蓄積DEMのセルの高さの平均値との差が、蓄積DEMのセルの高さの標準偏差の3倍より大きい場合に、新DEMの当該セルに含まれる高さ情報を棄却する。ここで、蓄積されたDEMの各セルの高さの平均値は、複数の高さ情報に対して、単純平均を用いて算出された平均値であってもよいし、加重平均を用いて算出された平均値であってもよい。
蓄積部30は、移動物体情報及び外れ値が棄却された新DEMに基づいて、最小分散推定を用いて、蓄積DEMを更新する。最小分散推定では、第1の計測値(又は推定値)z及びその分散値Pと、第2の計測値z及びその分散値Pとが得られた場合に、第1の計測値zと、第2の計測値zとの線形結合を行うことで、推定値zを求める。ここで、線形結合後の分散値Pが最小となるように線形結合を行う。最小分散推定を用いることで、平均値からのずれが大きい計測値、つまり、信頼度が低いと推定される計測値による影響を抑制できる。これにより、推定値zの信頼度を高めることができる。
蓄積部30は、蓄積DEMを記憶してもよいし、蓄積DEMを記憶部70に記憶させてもよい。
勾配算出部40は、高さ情報に基づいて路面の勾配値を算出する。勾配算出部40は、例えば、1次微分フィルタを用いて勾配値を算出する。具体的には、勾配算出部40は、蓄積DEMに対して1次微分フィルタを適用することで各水平方向位置(つまり各セル)における勾配値を算出する。ここで、1次微分フィルタの作用について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る1次微分フィルタの作用の概要を示す模式図である。図2のグラフ(a)には、路面の段差周辺における高さの変化を示す模式的なグラフである。図2のグラフ(b)は、段差に対応する領域に対して1次微分フィルタを適用することで得られる勾配値の変化を示すグラフである。
図2のグラフ(a)に示されるように、例えば、路面に段差がある場合、蓄積DEMのうち、段差に対応する領域に対して1次微分フィルタを適用すると、図2のグラフ(b)に示されるように、段差の勾配値が求められる。1次微分フィルタの構成は、特に限定されない。本実施の形態では、計算の簡略化のため、以下のように1次微分を求める。勾配算出部40は、蓄積DEMにおける、1次微分を求める対象のセルである注目セルの高さztgtと、注目セルに隣接する8個の参照セルの高さzrefの各々との差分のうち、最大値を注目セルと参照セルとの間の距離rで割った値を勾配値と定める。つまり、注目セルと参照セルとの間の距離rを用いると、注目セルの1次微分の最大値δtgtは、以下の式(1)で表される。
Figure 2024014082000002
ここで、関数max(A)は、Aの最大値を求める関数である。本実施の形態では、関数maxによって、注目セルの高さztgtと、注目セルに隣接する8個の参照セルの高さzrefの各々との差のうち、最大値を求める。これにより、簡易的に注目セルの勾配の最大値を求めることができる。
本実施の形態では、以上のような方法で1次微分を求めたが、他の方法を用いてもよい。例えば、1次微分フィルタとして、Prewittフィルタ、Sobelフィルタなどの公知の任意のフィルタを用いてもよい。
また、本実施の形態では、勾配算出部40は、勾配値として、移動体(車両V10)が位置する道路の路面の勾配に対する相対的勾配値を算出する。言い換えると、車両V10の姿勢を基準として、座標系を水平化する。これにより、傾斜が大きく、かつ、一様である路面を、路面の凹凸などの障害物と誤認することを抑制できる。なお、車両V10が位置する道路の路面の勾配は、蓄積DEMに基づいて算出されてもよいし、車両V10の姿勢に基づいて検知されてもよい。車両のV10の姿勢は、例えば、後述する検出部60によって検出されてもよい。水平化の詳細については、後述する。
本実施の形態では、勾配算出部40は、勾配値の算出に先立って、水平方向位置に対する高さ情報の変化の一部を平滑化する。つまり、勾配算出部40は、蓄積DEMの一部の平滑化を行う。具体的には、蓄積DEMにおける、移動体の走行に影響を及ぼさない程度の微細な凹凸及びノイズを除去する。これにより、移動体の走行に影響を及ぼさない程度の微細な凹凸などのリスクを過大評価することを抑制できる。なお、平滑化の手法は、特に限定されない。本実施の形態では、勾配算出部40は、ガウシアンフィルタを用いて、蓄積DEMの平滑化を行う。ガウシアンフィルタの詳細については後述する。
リスク算出部50は、勾配算出部40によって算出された勾配値に基づいて、水平方向位置における移動体の減速又は停止の必要性を示すリスク値を算出する。これにより作成される水平方向位置とリスク値との関係を示すマップは、障害物マップの一例である。リスク値は、0以上1以下の数値であり、水平方向位置における移動体の減速又は停止の必要性が高いほど大きい値に設定される。本実施の形態では、ある水平方向位置におけるリスク値が0.2未満であれば、移動体は減速(及び停止)不要であることを意味し、リスク値が0.2以上0.8未満であれば、移動体は減速が必要であることを意味し、リスク値が0.8以上であれば、移動体は停止が必要であることを意味する。
また、リスク算出部50は、勾配値の閾値に基づいてリスク値を算出する。以下、本実施の形態に係るリスク値の算出方法例について、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る勾配値δと、リスク値Rとの関係の一例を示すグラフである。基準とする勾配値の閾値の一例として勾配閾値δthreを定めると、リスク値Rは、例えば、以下の式で定められる。
Figure 2024014082000003
式(2)において、関数min(A,B)は、A又はBのうち、最小値を求める関数である。上記式(2)によれば、勾配値δが勾配閾値δthre以下である場合には、リスク値Rは、勾配値δの勾配閾値δthreに対する比となり、図3に示されるように、リスク値Rは、勾配値δに応じて線形に変化する。勾配値δが勾配閾値δthreを超える場合には、図3に示されるようにリスク値Rは1である。
式(2)によってリスク値Rを算出できるが、実際には、車両V10の揺れなどに起因して、LiDARによって得られる3次元点群データに誤差が含まれる可能性がある。また、車両V10からの距離が大きくなるにしたがって、このような誤差は大きくなる。さらに、車両V10からの距離が大きくなるにしたがって、LiDARから照射されるレーザ光の単位面積当たりの本数が小さくなるため、単位面積あたりのデータ数が少なくなる。このため、車両V10からの距離が大きくなるにしたがって、DEMの各セルの高さの分散が大きくなる傾向、つまり、高さ情報の信頼性が低くなる傾向がある。
このような信頼性の低い高さ情報に基づいて、リスク値を過剰に高く算出することを抑制するために、本実施の形態では、統計的検定の一種である確率的障害物検定を採用する。以下、本実施の形態で採用する確率的障害物検定の手法について説明する。
蓄積DEMにおける一つのセルにおける高さの確率変数Zが、平均μ、標準偏差σのガウス分布N(μ,σ)に従うと仮定すると、リスク値を算出する対象のセルである注目セルの高さの確率変数Ztgt、及び、注目セルに隣接する参照セルの高さの確率変数Zrefについて、注目セルの高さ(つまり、高さの平均値)ztgt、参照セルの高さ(つまり、高さの平均値)zref、注目セルの高さの分散値Ptgt、及び、参照セルの高さの分散値Prefを用いると、以下の式(3)が成り立つ。
Figure 2024014082000004
ここで、95%の信頼度で統計的検定を行うとき、勾配閾値δthreの補正量は、勾配値のガウス分布における95パーセンタイル値(95th percentile)であり、高さの標準偏差σを用いて、1.645σで表される。
したがって、勾配閾値δthreを、確率的障害物検定を用いて補正した勾配閾値δthre は、隣り合うセル間の距離(つまり、注目セルと参照セルとの間の距離)rを用いて以下の式(4)で表される。
Figure 2024014082000005
式(4)は、高さの標準偏差σが大きくなるにしたがって、勾配閾値δthre が大きくなるということを示している。このような補正された勾配閾値δthre を用いてリスク値を算出するこということ(つまり、式(2)において、勾配閾値δthreに代えて、補正された勾配閾値δthre を用いて、リスク値を算出するということ)は、高さ情報の誤差が大きく、信頼度が95%に満たないセルについては、リスク値Rを低減することを意味する。つまり、リスク算出部50は、高さ情報の分散値が大きくなるにしたがってリスク値を低減する。これにより、障害物の誤認識を低減できる。
検出部60は、移動体(車両V10)の状態を検出する。検出部60は、例えば、車両V10の位置、姿勢、速度、加速度などを検出する。検出部60は、これらの情報を検出するために、例えば、GNSS/INS(Global Navigation Satellite System/Inertial Navigation System)を用いる。本実施の形態では、GNSS/INSにより、人工衛星を観測することによって得られる位置情報と、IMU(Inertial Measurement Unit)の計測情報とを統合することで、車両V10の位置、姿勢、速度、加速度などの情報を100Hzの周期で検出する。なお、IMUは、ジャイロセンサ、加速度センサなどの複合システムである。検出部60において、人工衛星から得られる位置情報を利用する場合には、トンネル内、高層ビル付近などを走行する際に、位置精度が低下し得る。また、位置情報のうち、特に、車両V10の高さ情報は、DEMの作成に顕著な影響を及ぼすため、事前に取得した路面の白線パターンなどを記録した反射率地図と、DEMとを用いて、車両V10の高さ情報を含めた3次元自己位置推定を行ってもよい。
記憶部70は、障害物マップ作成のための情報を記憶する。記憶部70は、例えば、蓄積DEMを記憶してもよいし、事前に取得した路面の白線パターンなどを記録した反射率マップなどの他のマップ情報などを記憶してもよい。
[2.DEMの作成方法]
本実施の形態に係るDEMの作成方法について説明する。
[2-1.単一フレームDEMの作成方法]
単一フレームDEMの作成方法について説明する。単一フレームDEMとは、上述したマップ範囲の高さ情報を含む新DEMに相当する。
単一フレームの作成において、まず、座標系を定める。DEMの座標系について、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係るDEMの座標系を示す図である。図4に示されるように、地球上の固定点を原点とする絶対直交座標系をxabs-yabsと設定し、車両V10の位置に応じて原点が移動するマップの直交座標系(以下、マップ座標系とも称する)をxmap-ymapと設定する。また、x方向(xabs方向、及びxmap方向)の負から正に向かう向きを東向きに設定し、y方向(yabs方向、及びymap方向)の負から正に向かう向きを北向きに設定し、z方向の負から正に向かう向きを鉛直上向きに設定する。以下では、マップ座標(xmap,ymap)に対応するセルを、
Figure 2024014082000006
と表す。
車両V10を基準とした直交座標系(以下、車両座標系とも称する)をxvcl-yvclと設定し、車両V10の後輪軸の中央を原点に設定し、xvcl方向の負から正に向かう向きを、車両V10の前向きに設定し、yvcl方向の負から正に向かう向きを、車両V10の左向きに設定する。z方向の負から正に向かう向きを鉛直方向上向きに設定する。本実施の形態では、想定される障害物の寸法、検出目標距離、及びメモリ使用量を総合的に勘案して、各セルの寸法を0.25m四方(つまり、グリッドサイズΔgを0.25m)とし、マップ範囲を128m四方(つまり、マップの一辺の長さMを128m)と設定する。この場合、図4に示されるように、マップの一辺の長さMは、グリッドサイズΔgの512倍である。
車両座標系での座標が、絶対座標系の座標Pabs=[xabs,yabsで表される場合、マップ範囲の中心であるマップ中心Cmは、常にグリッドの格子点上に設定され、その絶対座標は、以下の式(6)で算出される。
Figure 2024014082000007
ここで、式(6)において、車両V10のYaw角が、
Figure 2024014082000008
で表されており、車両V10の速度がVで表されている。また、round(A)は、数値Aを四捨五入する関数であり、tpreは、マップにおける車両V10の座標を速度に応じて調整するパラメータである。本実施の形態では、経験的にtpre=3.0[sec]と設定している。このように、マップ中心Cmを車両V10の前方に設定し、車両V10からマップ中心Cmまでの距離を速度Vに比例して大きくすることで、高速走行時には、前方のより遠くまでマップ範囲として観測することが可能となる。このように定められたマップ中心Cmを中心として、マップ範囲が設定される。
取得部10で取得した3次元点群データの絶対座標は、以下の式(8)で表される。
Figure 2024014082000009
この座標に対応するセルのマップ座標は、以下の式(9)で表される。
Figure 2024014082000010
そして、3次元点群データから当該セルの高さが得られる。ここで、当該セルにすでに得られた値が存在する場合には、上述した最小分散推定を用いて、高さの推定値を求め、当該推定値を、当該セルの高さとする。また、セルには、高さ以外にも、高さの分散値及びレーザ光照射回数の値を保持する。これらの一連の処理を、1フレーム分の3次元点群に対して行うことで、単一フレームのDEMを作成する。
[2-2.DEMの蓄積方法]
DEMの蓄積方法について説明する。1フレームのマップ(以下、現フレームのマップとも称する)を作成した際に、前フレームのマップが存在し、かつ、現フレームのマップ範囲と、前フレームのマップ範囲とに重複部分(つまり、重複セル)がある場合、当該部分において、前フレームのマップの情報を引き継ぎ、引き継いだマップの部分に対して更新処理を行う。
現フレームのマップ範囲について、上述したように1フレーム分のDEMを作成する。これにより、前フレームまでのマップと、現フレームのマップとが得られる。これらのマップを合成することで、現フレームを含むマップを作成する。つまり、前フレームまでのDEMが蓄積された蓄積DEMを、現フレームに対応する新DEMに基づいて更新する。このような処理を繰り返すことで、複数のDEMを順次蓄積する。
上述したように、本実施の形態では、最小分散推定を用いて、複数のDEMを合成することで、複数のDEMを蓄積する。以下、最小分散推定について具体的に説明する。あるセルにおいて、誤差Δzt-1を含んだ高さzt-1=z+Δzt-1と、分散値Pt-1とが、すでに蓄積されており、当該セルに、新たな誤差Δznewを含む高さznew=z+Δznewと分散値Pnewとが得られたと仮定する。ただし、zは、当該セルの真の路面高さである。このとき、高さの推定値z及び結合との分散値Pは、それぞれ、以下の式(10)及び式(11)で求められる。
Figure 2024014082000011
Figure 2024014082000012
本実施の形態では、式(10)に示されるように、高さの推定値zは、複数の高さ情報に対して加重平均を用いて求められる平均値である。
これらの一連の処理を繰り返すことで、3次元点群データを蓄積したマップ(蓄積DEM)を得られる。ただし、上述したとおり、このような蓄積を行う前に、移動物体情報を除去することでDEMの精度を高める。
[3.勾配算出方法]
勾配算出部40による勾配算出方法について説明する。
[3-1.水平化方法]
勾配算出部40は、上述したとおり、勾配値として、車両V10が位置する道路の路面の勾配に対する相対的勾配値を算出することで、車両V10が位置する路面の勾配を水平化する。以下、本実施の形態に係る水平化方法について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係るマップにおける車両V10と注目セルCtとの位置関係を示す図である。図5には、車両V10のPitch角、及びYaw角と、マップ座標との関係が示されている。図6は、本実施の形態に係る車両V10の右側の側面から見た場合の車両V10の姿勢と、道路の路面の傾斜とを示す模式図である。
本実施の形態では、車両V10のPitch角、及びYaw角を基準に水平化を行う。なお、車両V10のRoll角は、無視できる程度に十分小さいと仮定する。以下では、車両V10のPitch角、及びYaw角を、それぞれ
Figure 2024014082000013
と表す。
図5に示されるマップ座標系における注目セルCtの車両V10に対するオフセットは、以下のように表される。
Figure 2024014082000014
このオフセットを用いると、図5において車両座標系における注目セルCtのYaw角は、以下の式(14)で表すことができる。
Figure 2024014082000015
また、車両座標系における注目セルCtのベクトルを、
Figure 2024014082000016
と表すと、このベクトルのx成分は、以下の式(16)で求められる。
Figure 2024014082000017
したがって、車両V10の右側から見た図6にいて、車両V10に対する注目セルCtの高さは、以下の式(17)で求められる。
Figure 2024014082000018
このように、マップ上の全セルの高さを計算し、元の高さ(DEMにおける高さ)から減算することで、車両V10の高さを基準として、車両V10が位置する道路の路面の傾斜が水平化されたマップが得られる。
[3-2.平滑化方法]
勾配算出部40は、上述したとおり、勾配値の算出に先立って水平方向位置に対する高さ情報の変化の一部を平滑化する。上述したリスク算出方法によれば、実際に危険な路面の凹凸だけでなく、実際には危険でない微小な路面の凹凸に対しても、高いリスク値が算出され得る。勾配算出部40は、蓄積DEMにおけるこのような微小な凹凸を平滑化することで、移動体の走行に影響を及ぼさない程度の微細な凹凸などのリスクを過大評価することを抑制する。
本実施の形態では、勾配算出部40は、ガウシアンフィルタを用いて平滑化を行う。ガウシアンフィルタのパラメータとして、畳み込むガウス関数の標準偏差σがある。この標準偏差σは、平滑化の度合いに対応する。つまり、標準偏差σが大きくなるにしたがって、大きな凹凸が平滑化される。したがって、標準偏差σを適切に設定することで、所望のスケールの凹凸を平滑化できる。以下、平滑化における具体的な演算方法について説明する。
DEMがx-y座標上の関数z=f(x,y)で表されると仮定する。また、ガウス関数G(x,y)は、以下の式(18)で表される。
Figure 2024014082000019
関数f(x,y)にガウシアンフィルタを適用した平滑化マップF(x,y)は、式(18)で表されるガウス関数を畳み込むことで、以下の式(19)で求められる。
Figure 2024014082000020
上記各関数は、いずれも連続的な関数であるが、デジタル画像処理において、グリッドサイズΔgで離散化される。さらに、上記各関数の変数の範囲は、無限遠まで存在するが、注目セルからの平面距離r=(x+y1/2が十分大きければ、ガウス関数G(x,y)の値は、0に収束するため、ガウス関数G(x,y)において、-3σ以上+3σ以下の範囲においてのみ計算を行う。
[4.障害物マップ作成方法]
障害物マップ作成装置100による障害物マップ作成方法の流れを、図7及び図8を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る障害物マップ作成方法の流れを示すフローチャートである。図8は、本実施の形態に係る平滑化方法の流れを示すフローチャートである。
図7に示されるように、まず、障害物マップ作成装置100の取得部10は、道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報であって、障害物マップを作成するための高さ情報を取得する(取得ステップS10)。本実施の形態では、取得部10は、LiDARを用いて取得した3次元点群データに基づき新DEMを作成する。
続いて、棄却部20は、取得ステップS10において取得した高さ情報のうち、路面に配置される車両V10以外の移動物体に係る水平方向位置と高さとの関係を示す移動物体情報を棄却する(棄却ステップS20)。本実施の形態では、棄却部20は、蓄積された複数の高さ情報から算出される高さの分散値を用いて移動物体情報を棄却する。これにより、本実施の形態に係る障害物マップ作成方法によって作成された障害物マップへの移動物体の影響を低減できる。
続いて、蓄積部30は、取得ステップS10において、互いに異なるタイミングで取得された複数の高さ情報を蓄積する(蓄積ステップS30)。本実施の形態では、取得部10によって取得された高さ情報に基づいて新DEMを作成し、蓄積部30は、新DEMに基づいて、蓄積DEMを更新することで、高さ情報を蓄積する。このように、取得ステップS10において取得された高さ情報を蓄積することで、水平方向の各位置(つまり、DEMの各セル)における高さ情報の量を増大できる。したがって、水平方向位置のうち、特に、計測データが不足しがちな、車両V10から遠い位置、及び、車両V10付近の位置における高さ情報を蓄積することで、各セルにおける高さ情報の精度を高めることができる。
続いて、勾配算出部40は、高さ情報に基づいて路面の勾配値を算出する(勾配算出ステップS40)。このように勾配値を算出することで、路面における障害物などの位置を検出できる。
勾配算出部40は、勾配算出ステップS40において、図8に示されるように、まず、勾配値として、車両V10が位置する道路の路面の勾配に対する相対的勾配値を算出することで水平化を行う(水平化ステップS42)。これにより、傾斜が大きく、かつ、一様である路面を、路面の凹凸などの障害物と誤認することを抑制できる。
続いて、勾配算出部40は、勾配算出ステップにおいて、水平方向位置に対する高さ情報の変化の一部を平滑化する(平滑化ステップS44)。これにより、移動体の走行に影響を及ぼさない程度の微細な凹凸などのリスクを過大評価することを抑制できる。本実施の形態では、ガウシアンフィルタを用いて平滑化を行う。これにより、ガウシアンフィルタにおいて使用するガウス分布の標準偏差を適切に設定することで、所望のスケールの凹凸を平滑化できる。
続いて、勾配算出部40は、勾配算出ステップにおいて、1次微分フィルタを用いて勾配値を算出する(1次微分ステップS46)。これにより、容易に勾配値を算出できる。
続いて、図7に示されるように、リスク算出部50は、勾配算出ステップS40によって算出された勾配値に基づいて、水平方向位置における車両V10の減速又は停止の必要性を示すリスク値を算出する(リスク算出ステップS50)。これにより、障害物の有無だけでなく、その障害物による車両V10の減速又は停止の必要性も検知できるため、車両V10の障害物に対する適切な制御が可能となる。本実施の形態では、上述したように、リスク算出部50は、リスク算出ステップS50において、勾配値の閾値である勾配閾値に基づいてリスク値を算出する。これにより、水平方向位置とリスク値との関係を示す障害物マップを作成できる。また、リスク算出部50は、勾配閾値δthreを、確率的障害物検定を用いて補正した勾配閾値δthre を用いてリスク値を算出する。これにより、リスク算出部50は、リスク算出ステップS50において、高さ情報の分散値が大きくなるにしたがってリスク値を低減する。これにより、障害物の誤認識を低減できる。
続いて、取得ステップS10に戻り、同様の処理が繰り返される。
本実施の形態に係る障害物マップ作成方法では、以上のような流れで各処理を繰り返し行うことで、車両V10以外の移動物体などの影響が低減された適切な障害物マップを作成できる。
[5.実験結果]
本実施の形態に係る障害物マップ作成装置、及び障害物マップ作成方法を用いて障害物マップを作成した実験結果について説明する。
まず、実験を行った道路について、図9~図11を用いて説明する。図9は、実験において車両V10を走行させた道路及び障害物を示す写真である。図9には、道路をその上方から撮影した写真が示されている。図10、及び図11は、それぞれ道路に設けられている縁石Cb、及びスピードバンプSbの形状を示す写真である。
図9には、車両V10が走行する位置及び向きが矢印で示されている。図9に示されるように、車両V10が走行する道路の横方向の端に、図10に示されるような高さ20cmの縁石Cbが設けられている。縁石Cbは、道路における車道と歩道とを分離する段差であり、移動体が容易に乗り越えられない高さを有する。また、図9に示されるように、車両V10が走行する道路を横切るように、図11に示されるような高さ4cmのスピードバンプSbが設けられている。スピードバンプSbは、道路を走行する移動体の速度を低減させるための障害物であり、移動体が低速で乗り越えることが可能な程度の高さを有する板状部材である。
本実験では、図9に示されるような縁石Cb及びスピードバンプSbを含む障害物に車両V10を直進で接近させて、各障害物の高さの検出値、及び算出されたリスク値と、車両V10の各障害物までの距離との評価を行った。縁石Cbは、車両V10にとって停止が必要な障害物であるため、そのリスク値は、0.8以上1.0以下と想定される。スピードバンプSbは、車両V10にとって減速が必要な障害物であるため、そのリスク値は、0.2以上0.8以下と想定される。なお、本実験においては、縁石Cb及びスピードバンプSbの検出高さは、それぞれ、図9に示される縁石Cb及びスピードバンプとそれらの近傍とを含む領域における路面の高さの最高値と、最低値との差で定義される。
本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100の取得部10による縁石Cbの検出高さと、車両V10から縁石Cbまでの距離との関係について、図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100の取得部10による縁石Cbの検出高さ、及び、縁石Cbの領域におけるリスク値と、車両V10から縁石Cbまでの距離との関係を示すグラフである。図12において、実線が縁石Cbの高さを示し、破線がリスク値を示す。
図12に示されるように、本実験では、車両V10から縁石Cbまでの距離が44.0m以下の場合に、リスク値の計算を行うために十分な3次元点群データを取得できた。また、車両V10から縁石Cbまでの距離が28.1m以下の場合に、リスク値が0.8を超過した。車両V10が縁石Cbに近づく間、縁石Cbの検出高さは、20cm前後で推移しており、妥当な高さが検出されているといえる。
次に、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100の取得部10によるスピードバンプSbの検出高さと、車両V10からスピードバンプSbまでの距離との関係について、図13を用いて説明する。図13は、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100の取得部10によるスピードバンプSbの検出高さ、及び、スピードバンプSbの領域におけるリスク値と、車両V10からスピードバンプSbまでの距離との関係を示すグラフである。図13において、実線がスピードバンプSbの高さを示し、破線が、リスク値を示す。
図13に示されるように、本実験では、車両V10からスピードバンプSbまでの距離が38.1m以下の場合に、リスク値の計算を行うために十分な3次元点群データを取得できた。また、車両V10からスピードバンプSbまでの距離が26.2m以下の場合にリスク値が0.2を超過した。車両V10がスピードバンプSbに近づく間、スピードバンプSbの検出高さは、3cm以上6cm以下で推移しており、妥当な高さが検出されているといえる。
以上のように、縁石Cb及びスピードバンプSbともに検出高さに-1cm以上、+7cm以下の誤差がある。この誤差は、車両V10の姿勢角の変動に起因して、障害物マップの水平化が、縁石Cbなどが配置される平面に対して、一時的に適正に行われていないことが原因と考えられる。この程度の誤差は、リスク値の算出に大きく影響しない。
次に、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100によって作成されたリスク値の分布について、図14及び図15を用いて比較例と比較しながら説明する。図14及び図15は、それぞれ、比較例の障害物マップ作成装置、及び、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100によって作成された、リスク値の分布を示すマップである。図14及び図15には、路面の各位置におけるリスク値がグレースケールで示されている。なお、図14及び図15において、黒で示される位置は、リスク値を算出するために十分な3次元点群データが得られていない位置を表す。
比較例の障害物マップ作成装置は、リスク算出方法において、勾配閾値を確率的障害物検定を用いて補正していない点において、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100と相違し、その他の点において一致する。
図14に示されるように、比較例の障害物マップ作成装置によって作成されたリスク値マップにおいては、全体的にリスク値が高く算出されており、縁石Cbなどの障害物が存在する領域だけでなく、障害物が存在しない平坦な路面においてもリスク値が0.2以上と算出される領域が存在する。
一方、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100によれば、勾配閾値を確率的障害物検定を用いて補正することで、図15に示されるように、縁石Cb及びスピードバンプSbなどの障害物が存在する領域におけるリスク値を0.2以上と算出でき、かつ、障害物が存在しない平坦な路面におけるリスク値を0.2未満と算出できる。したがって、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100によって作成されたリスク値マップを用いることで、障害物の誤検出を低減できるため、車両V10の減速又は停止の要否を容易かつ適切に判定できる。
次に、縁石Cbの検出を例として、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100と、従来技術の障害物マップ作成装置とを比較した結果について図16を用いて説明する。図16は、本実施の形態及び従来技術に係る各障害物マップ作成装置から縁石Cbまでの距離と、障害物マップにおける縁石Cbを含む領域の縁石占有率との関係を示すグラフである。図16において、実線及び破線が、それぞれ、本実施の形態、及び従来技術の各障害物マップ作成装置によって検出された関係を示す。なお、図16に示される縁石占有率は、縁石Cbを含む長さ約8m、幅約0.5mの領域における検出された縁石Cbの占有率で定義される。
従来技術の障害物マップ作成装置として、1フレームの3次元点群データのみを用い、障害物マップ作成装置近傍の3次元点群データをクラスタリングすることで、障害物マップを作成する装置を用いる。このような従来技術の障害物マップ作成装置によれば、3次元点群データを蓄積しないため、障害物マップ作成装置からの距離が遠い位置における3次元点群データが少ない。したがって、障害物マップ作成装置からの距離が遠い位置においては、障害物を正確に検出できない。
一方、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100では、3次元点群データを蓄積することで、障害物マップ作成装置100からの距離が遠い位置においても、障害物を正確に検出できる。このため、図16に示されるように、従来技術の障害物マップ作成装置では、障害物マップ作成装置から縁石Cbまでの距離が16.7mである場合に、縁石占有率が最大値0.54となったのに対して、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100では、障害物マップ作成装置100から縁石Cbまでの距離が25.4mである場合に、縁石占有率が0.54を超えている。
また、各障害物マップ作成装置から縁石Cbまでの距離毎のリスク値のマップを確認した結果、長さ8mの縁石Cbを、幅2mの車両が通過できない程度の障害物であると検出することができる最長距離は、従来技術の障害物マップ作成装置では、20.6mであったのに対して、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100では、35.2mであった。このように、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100では、従来技術の障害物マップ作成装置より遠い位置において、縁石Cbを正確に検出することができる。
また、従来技術の障害物マップ作成装置では、縁石Cbに近づき過ぎると、縁石Cbが、LiDARの死角に入るため、縁石Cbを検出できなくなる。このため、障害物マップ作成装置から縁石Cbまでの距離が16.7m未満である場合に、縁石占有率が低下している。これに対して、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100によれば、3次元点群データを蓄積いるため、縁石Cbに近づくにしたがって縁石占有率が上昇する。
以上のように、本実施の形態に係る障害物マップ作成装置100によれば、3次元点群データを蓄積することで、障害物の遠方から近傍に至るまで、広い範囲において、障害物を正確に検出できる。
(変形例など)
以上、本発明の一態様に係る障害物マップ作成方法などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態では、検出部60は、GNSS/INSを用いたが、他のシステムを用いてもよい。例えば、IMUのみを用いて車両V10の位置を検出してもよいし、カメラによって撮影した画像などに基づいて車両V10の位置を検出してもよい。
また、上記実施の形態では、リスク値の算出において用いる勾配閾値を、確率的障害物検定を用いて補正したが、勾配閾値を補正しなくてもよい。
また、上記実施の形態では、移動体の一例として車両V10を用いる例を示したが、移動体は、車両V10に限定されない。道路上を移動し得る物体であればよい。
また、以下に示す形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
(1)上記の障害物マップ作成装置100に含まれる構成要素の一部は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(2)上記の障害物マップ作成装置100に含まれる構成要素の一部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の障害物マップ作成装置100に含まれる構成要素の一部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)また、上記の障害物マップ作成装置100に含まれる構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
また、上記の障害物マップ作成装置100に含まれる構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
(5)本開示は、上記に示す障害物マップ作成方法であるとしてもよい。また、上記の障害物マップ作成方法をコンピュータにより実現させるためのコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。さらに、本開示は、そのコンピュータプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現してもよい。
(6)また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
(7)また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(8)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
本発明の一態様に係る障害物マップ作成方法及び障害物マップ作成装置100は、例えば、自動運転のために車両などに適用することができる。
10 取得部
20 棄却部
30 蓄積部
40 勾配算出部
50 リスク算出部
60 検出部
70 記憶部
100 障害物マップ作成装置
Cb 縁石
Cm マップ中心
Ct 注目セル
Sb スピードバンプ
V10 車両

Claims (12)

  1. 移動体が走行している道路における障害物の位置情報を含む障害物マップを作成する障害物マップ作成方法であって、
    前記道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報であって、前記障害物マップを作成するための高さ情報を取得する取得ステップと、
    前記高さ情報のうち、前記路面に配置される前記移動体以外の移動物体に係る水平方向位置と高さとの関係を示す移動物体情報を棄却する棄却ステップとを含む
    障害物マップ作成方法。
  2. 前記取得ステップにおいて、互いに異なるタイミングで取得された複数の前記高さ情報を蓄積する蓄積ステップをさらに含む
    請求項1に記載の障害物マップ作成方法。
  3. 前記棄却ステップにおいて、蓄積された複数の前記高さ情報から算出される高さの分散値を用いて前記移動物体情報を棄却する
    請求項2に記載の障害物マップ作成方法。
  4. 前記高さ情報に基づいて前記路面の勾配値を算出する勾配算出ステップをさらに含む
    請求項1~3のいずれか1項に記載の障害物マップ作成方法。
  5. 前記勾配算出ステップにおいて、1次微分フィルタを用いる
    請求項4に記載の障害物マップ作成方法。
  6. 前記勾配値に基づいて、水平方向位置における前記移動体の減速又は停止の必要性を示すリスク値を算出するリスク算出ステップをさらに含む
    請求項4に記載の障害物マップ作成方法。
  7. 前記リスク算出ステップにおいて、前記勾配値の閾値に基づいて前記リスク値を算出する
    請求項6に記載の障害物マップ作成方法。
  8. 前記リスク算出ステップにおいて、前記高さ情報の分散値が大きくなるにしたがって前記リスク値を低減する
    請求項6に記載の障害物マップ作成方法。
  9. 前記勾配算出ステップにおいて、前記勾配値として、前記移動体が位置する前記道路の路面の勾配に対する相対的勾配値を算出する
    請求項4に記載の障害物マップ作成方法。
  10. 前記勾配算出ステップにおいて、水平方向位置に対する前記高さ情報の変化の一部を平滑化する
    請求項4に記載の障害物マップ作成方法。
  11. 請求項1に記載の障害物マップ作成方法をコンピュータに実行させるための
    プログラム。
  12. 移動体が走行している道路における障害物の位置情報を含む障害物マップを作成する障害物マップ作成装置であって、
    前記道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報であって、前記障害物マップを作成するための高さ情報を取得する取得部と、
    前記高さ情報のうち、前記路面に配置される前記移動体以外の移動物体に係る水平方向位置と高さとの関係を示す移動物体情報を棄却する棄却部とを備える
    障害物マップ作成装置。
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