JP2024013611A - 電磁波遮蔽材料、被覆材又は外装材及び電気・電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波シールド材としての使用時(特に曲げ時)のクラック等を良好に抑制可能な電磁波遮蔽材料を提供する。【解決手段】少なくとも1層の非磁性導電金属層と、少なくとも1層の強磁性層とが積層された積層体を有する電磁波遮蔽材料であって、積層体の少なくとも一方の最外層が、非磁性導電金属層であり、最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置する。【選択図】なし

Description

本発明は、電磁波遮蔽材料、被覆材又は外装材及び電気・電子機器に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車といった二次電池を搭載した環境配慮型自動車では、搭載した二次電池から発生する直流電流を、インバータを介して交流電流に変換した後、必要な電力を交流モータに供給し、駆動力を得る方式を採用するものが多く、インバータのスイッチング動作などに起因して電磁波が発生する。
また、自動車に限らず、通信機器、ディスプレイ及び医療機器を含め多くの電気・電子機器から電磁波が放射される。電磁波は精密機器の誤作動を引き起こす可能性があり、更には、人体に対する影響も懸念される。
典型的に高周波領域(1MHz以上)では、銅等の導電層が、電磁波に対して良好なシールド特性を示すことが知られている。しかしながら、低周波領域(1MHz未満)では、銅等の導電層のみだと電磁波に対するシールド特性が低いので、透磁率に優れた磁性層と導電層とを交互に積層されてなる電磁波遮蔽材料が電磁波に対して良好なシールド特性を示すことが知られている。
例えば、特許文献1には、下記技術が提案されている。
「1MHz以下のノイズを抑制するために用いられるノイズ抑制シートであって、磁性層(A1)および磁性層(An)を有するn層の磁性層と、少なくとも(n-1)層の導電層を有するノイズ抑制層を備え、前記磁性層と前記導電層は交互に積層されてなり、
前記各磁性層はいずれも、下記式(1)で表されるXiが1以上であり、
前記各磁性層のXiの合計は、4以上15以下であって、
前記各導電層はいずれも、KEC法による磁界シールド性測定において、0.2~1MHzのシールド性を線形近似した際に得られる比例定数が4以上であることを特徴とするノイズ抑制シート。
i=√μ´i×√ti・・・式(1)
なお、nは2以上の整数であり、iは1以上n以下の整数であり、
μ´iは磁性層(Ai)の1MHzでの比透磁率、tiは磁性層(Ai)の膜厚[mm]、
である。」
特開2021-028940号公報
ところで、電磁波遮蔽材料は、筐体や電子部品等に貼って使用されることがある。その使用時、筐体や部品の形状次第で電磁波遮蔽材料が曲げられるので、180°近くの曲げや複数回の曲げ等の屈曲特性に優れた電磁波遮蔽材料が要求されることがある。
電磁波遮蔽材料の磁性層に一般に用いられる比透磁率の高い材料は脆性であることが多々あり、かかる磁性層は、当該電磁波遮蔽材料を曲げた際、その厚さ方向全体にクラック等が発生することがある。また、曲げにより、他の層と接合されていた層が浮いたりすることがある。このような現象は、ノイズの周波数帯の電磁波遮蔽効果が低下する要因となり得る。なお、特許文献1では、上記屈曲特性に着目していない。
そこで、本発明の一実施形態において、電磁波シールド材としての使用時(特に曲げ時)のクラック等を良好に抑制可能な電磁波遮蔽材料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討したところ、強磁性層と非磁性導電金属層とが積層された積層体の少なくとも一方の最外層が、非磁性導電金属層であり、最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、該最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置することが有効であることを見出し、以下によって例示される発明を創作した。
[1]
少なくとも1層の非磁性導電金属層と、少なくとも1層の強磁性層とが積層された積層体を有する電磁波遮蔽材料であって、
前記積層体の少なくとも一方の最外層が、非磁性導電金属層であり、
前記最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、該最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置する、電磁波遮蔽材料。
[2]
前記積層体のもう一方の最外層が、強磁性層である、[1]に記載の電磁波遮蔽材料。
[3]
各非磁性導電金属層のヤング率が、各強磁性層のヤング率より高く、
各非磁性導電金属層の厚みが、各強磁性層の厚みより小さい、[1]又は[2]に記載の電磁波遮蔽材料。
[4]
前記非磁性導電金属層が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の電磁波遮蔽材料。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の電磁波遮蔽材料を備えた電気・電子機器用の被覆材又は外装材。
[6]
[5]に記載の被覆材又は外装材を備えた電気・電子機器。
本発明の一実施形態によれば、電磁波シールド材としての使用時(特に曲げ時)のクラック等を良好に抑制できる。
図1(A)、(B)は、積層体における曲げ中立軸の位置を説明するための概略図であり、図1(C)は、積層体を曲げた際に働く引張応力、圧縮応力の方向を示す概略図である。 図2(A)~(D)は、はぜ折り試験を説明するための概略図である。 実施例1及び比較例1、4で得られた電磁波遮蔽材料の各層の想定曲げ歪を示すグラフである。
以下、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
なお、本明細書において、「曲げ中立面」は、電磁波遮蔽材料に曲げモーメントが生じたとき、圧縮応力と引張応力とがいずれも生じていない面を意味し、「曲げ中立軸」は、電磁波遮蔽材料の任意の横断面と曲げ中立面との交線を意味する。
[電磁波遮蔽材料]
本発明に係る電磁波遮蔽材料の一実施形態では、少なくとも1層の強磁性層と少なくとも1層の非磁性導電金属層とが積層された積層体を有する。そして、積層体の少なくとも一方の最外層が、非磁性導電金属層であり、その最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、該最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置する。
なお、本発明においては、各非磁性導電金属層の厚み及び各強磁性層の厚みのばらつきが実質的にないこと(ばらつきの許容範囲±2.5%以内)である材料を使用すればよく、例えば、各層の形状としては、シート及び箔等が挙げられる。
電磁波遮蔽材料は、先述したように曲げて使用されることがある。この曲げにより、曲げ中立面から曲げ内側は曲げ変形前の長さよりも短くなることで圧縮応力が作用し、曲げ中立面から曲げ外側は曲げ変形前の長さよりも長くなることで引張応力が作用しうる。特に、比較的小さい曲率半径で電磁波遮蔽材料が曲げられた場合、曲げ外側となる層が引張応力によりクラックが生じやすい。そのような破断は、先述したように遮蔽効果の低下の原因となる。
そこで、一実施形態では、電磁波遮蔽材料の積層体の各層のヤング率及び厚みを適宜制御することにより、比較的小さい曲率半径での曲げたときの曲げ中立軸が、該最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置することで、曲げ(例えば、筐体や電子部品等に貼って使用した時の曲げ)によるクラックの発生を抑制することを可能にした。
次に、曲げ中立軸の位置について、図1(A)、(B)及び(C)を参照して説明する。例えば、積層体の厚み方向への外力Fにより曲げが作用した場合には、曲げモーメントMが発生し、曲げ中立面Nから曲げ内側の部位には圧縮応力(-σ)が、曲げ中立面Nから曲げ外側の部位には引張応力(+σ)が作用する。図1(C)に示す通り、ここでの引張応力は曲げ中立面Nから曲げ外側の部位においてその部位の側面側に引っ張る方向(引張方向)に働く応力であり、圧縮応力は曲げ中立面Nから曲げ内側の部位において当該引張応力の引っ張る方向と反対方向(圧縮方向)に働く応力である。このことから、各層のヤング率と各層の厚みと、曲げ変形前のある面の長さL0と曲げ変形前後のある面の長さ変位量ΔLとから、応力0(ゼロ)である曲げ中立面の位置を下記数I~Vに基づき算出する。この下記数Iに示す曲げ変形前のある面の長さL0と曲げ変形前後のある面の長さ変位量ΔLとの比「ΔL/L0」が曲げ後の積層体内のある面における歪量となる。曲げ中立軸は引張応力も圧縮応力も作用しないので、曲げ変形前後において曲げ中立軸の長さは変わらない。つまり、曲げ中立軸の長さと積層体内のある面の長さとの差分と、曲げ中立軸の長さとの比を考えれば歪量が算出できる。また、下記数IIに示す通り、微小面積dAに働く応力の合算は、引張応力と圧縮応力の和になるので0(ゼロ)となり、これはi層積層した場合も同様である(数III参照)。また、フックの法則「σ=Eε」より応力σは、ヤング率Eと歪量εの積で表すことができるので、これと数Iより、数IIIは数IVに変形できる。そして、曲げ中立軸の位置を求めるために、数IVを数Vに変形する。そして、数Vに各パラメータに相当する数値を代入することで、曲げ中立面の位置を求めることができる。その結果、得られた「y0」の値が、曲げ中立軸の位置を示すものとなる。
一実施形態では、曲げ時のクラックを抑制するため、積層体のもう一方の最外層が強磁性層であることが好ましい。また、シールド特性の観点から、少なくとも2層の非磁性導電金属層を介して強磁性層が積層されていてもよい。また、非磁性導電金属層の少なくとも一方の表面に、銅を含む合金の処理膜を更に有してもよく、非磁性導電金属層の表面のいずれにも、上記処理膜を更に有してもよい。このとき、処理膜は、強磁性層内の電磁波吸収・減衰を効率よく起こす観点から、強磁性層と非磁性導電金属層とを介して配置されているのが好ましい。当該処理膜は、例えば、非磁性導電金属層に隣接する強磁性層の非磁性導電金属層側の表面に形成されている。また、シールド特性の観点から、当該電磁波遮蔽材料の少なくとも一方の最外膜(最上膜及び/又は最下膜)が、非磁性導電金属層に形成された処理膜であることが好ましい。
<強磁性層>
強磁性層は、電磁波吸収特性を有し、1MHzの周波数における比透磁率が概ね10~50000である。強磁性層は、比透磁率が高い磁性金属材料を含んでおり、例えば該磁性金属材料と樹脂とを混合分散させて一体成型させた複合シート、金属箔、及び金属箔の少なくとも一方の表面に樹脂シートをラミネートさせつつ高い比透磁率を有する積層体等が挙げられ、非磁性導電金属層との接合性や曲げなどの加工を行った際の材料への歪を低減させる観点から複合シートが好ましい。
なお、比透磁率の測定方法については公知の方法を採用すればよく、一例としてはB-Hカーブトレーサーを用いた透磁率測定方法(参考 JIS C2560-2:2006)が挙げられる。
強磁性層が複合シートまたは金属箔と樹脂シートとの積層体の場合、樹脂としては天然樹脂及び合成樹脂が挙げられ、加工性の観点から合成樹脂が好ましい。これらの材料には炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維などの繊維強化材を混入させることも可能である。
合成樹脂としては、入手のしやすさや加工性の観点から、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)及びPBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、PI(ポリイミド)、LCP(液晶ポリマー)、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、ポリ塩化ビニル、PC(ポリカーボネート)、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム等が挙げられ、これらの中でも加工性、コストの理由によりPET、PEN、ポリアミド、PIが好ましい。合成樹脂はウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系などのエラストマーとすることもできる。更には、合成樹脂自体が接着剤の役割を担ってもよく、この場合は非磁性導電金属層が接着剤を介して積層された構造となる。接着剤としては特に制限はないが、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン樹脂系、酢酸ビニル系、スチレンブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、フェノール樹脂系、シアノアクリレート系などが挙げられ、製造しやすさとコストの理由により、ウレタン系、ポリエステル系、酢酸ビニル系が好ましい。
複合シートはフィルム状や繊維状の形態で積層することができる。また、非磁性導電金属層の表面又は処理膜に未硬化の磁性金属材料と樹脂との混合組成物を塗布後に硬化させることで複合シートを形成してもよいが、非磁性導電金属層の表面又は処理膜に貼付可能な複合シートとするのが製造しやすさの理由により好ましい。例えば、PETフィルムを好適に用いることができる。当該PETフィルムとして2軸延伸フィルムを用いることにより、電磁波遮蔽材料の強度を高めることができる。
なお、複合シートの、樹脂と磁性金属材料との質量比が、例えば70:30~1:99である。
強磁性層が金属箔である場合、当該強磁性層は、ニッケル、鉄、パーマロイ(Ni-Fe合金)及びセンダスト(Fe-Si-Al合金)から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。これらの材料は、比較的高い比透磁率を有するので、ノイズに含まれる磁束成分を集めて空間磁界を低減することが可能である。
また、一実施形態において、曲げ時に発生するクラック等を抑制する観点から、強磁性層のヤング率は、例えば0.2~10GPaである。かかる数値範囲にすることで、所定の曲げ時における曲げ中立軸を最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置することを可能にする。
上記ヤング率は、下限側として例えば0.2GPa以上であり、また例えば0.25GPa以上であり、また例えば0.3GPa以上である。一方、上記ヤング率は、上限側として例えば10GPa以下であり、また例えば4GPa以下である。
なお、強磁性層のヤング率の測定方法の一例としては、静的測定法等が挙げられ、本明細書の実施例に記載の測定方法を採用可能である。
また、一実施形態において、曲げ時に発生するクラック等を抑制する観点から、強磁性層の厚みは、一層当たり例えば5~200μmである。かかる数値範囲にすることで、所定の曲げ時における曲げ中立軸を最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置することを可能にする。
上記一層当たりの厚みは、下限側として例えば5μm以上であり、また例えば20μm以上である。一方、上記一層当たりの厚みは、上限側として例えば200μm以下であり、また例えば100μm以下である。
なお、強磁性層の厚みの測定方法の一例として、JIS K6250:2019準拠し定圧厚さ測定機(PG-20J、テクロック製)を用いて測定することができる。
一実施形態において、強磁性層を複数層形成する場合、すべての強磁性層が同一の材料で構成されてもよいし、層毎に異なる材料を使用してもよい。また、すべての強磁性層が同一の厚みでもよいし、層毎に厚みが異なってもよい。
したがって、本発明の一実施形態に係る電磁波遮蔽材料において、強磁性層の合計厚みは、例えば5~300μmである。
上記合計厚みは、下限側として例えば5μm以上であり、また例えば15μm以上である。一方、上記一層当たりの厚みは、上限側として例えば300μm以下であり、また例えば200μm以下である。
<非磁性導電金属層>
非磁性導電金属層は、反磁性体又は常磁性体を示す導電性金属材料からなる。一実施形態において、使用する非磁性導電金属層の材料としては特に制限はないが、交流磁界や交流電界に対するシールド特性を高める観点からは、導電性に優れた金属材料とすることが好ましい。具体的には、導電率が1.0×106S/m(20℃の値。以下同じ。)以上の金属によって形成することが好ましく、金属の導電率が10.0×106S/m以上であるとより好ましく、30.0×106S/m以上であると更により好ましく、50.0×106S/m以上であると最も好ましい。このような金属としては、導電率が約39.6×106S/mのアルミニウム、導電率が約58.0×106S/mの銅が挙げられる。すなわち、非磁性導電金属層は、導電率とコストの双方を考慮すると、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選択される少なくとも1種を含んでいることが好適である。これらは、実用性上好ましい。
また、一実施形態において、曲げ時に発生するクラック等を抑制する観点から、各非磁性導電金属層のヤング率は、各強磁性層のヤング率より高ければよく、例えば40~250GPaである。
上記ヤング率は、下限側として例えば40GPa以上であり、また例えば60GPa以上であり、また例えば70GPa以上であり、また例えば80GPa以上である。一方、上記ヤング率は、上限側として例えば250GPa以下であり、また例えば200GPa以下である。
なお、非磁性導電金属層のヤング率の測定方法の一例としては、共振法及び静的測定法等が挙げられ、本明細書の実施例に記載の測定方法を採用可能である。
また、一実施形態において、曲げ時に発生するクラック等を抑制する観点から、各非磁性導電金属層の厚みは、各強磁性層の厚みより小さい方が好ましく、一層当たり例えば6~150μmである。かかる数値範囲にすることで、所定の曲げ時における曲げ中立軸を最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置することを可能にする。また、非磁性導電金属層が適切な延性を有し、良好な成形加工性を有する。
上記一層当たりの厚みは、下限側として例えば6μm以上であり、また例えば12μm以上である。一方、上記一層当たりの厚みは、上限側として例えば150μm以下であり、また例えば105μm以下である。
なお、非磁性導電金属層の厚みの測定方法については、サンプル長さを150mm、幅を12.7mmとなるようにプレシジョンカッターで打ち抜き、打ち抜いた試験片5本まとめて重量を測定した結果から厚みに換算する。例えば、圧延銅箔および電解銅箔については上記により試験片を準備しそれらの重量を測定し、銅の比重に基づき、厚みに換算する。なお、アルミニウム箔等についてはJIS K6250:2019に準拠し定圧厚さ測定機(PG-20J、テクロック製)を用いて測定する。
一実施形態において、非磁性導電金属層を複数層形成する場合、すべての非磁性導電金属層が同一の材料で構成されてもよいし、層毎に異なる材料を使用してもよい。また、すべての非磁性導電金属層が同一の厚みでもよいし、層毎に厚みが異なってもよい。
一実施形態においては、非磁性導電金属層の合計厚みは例えば6~450μmである。
上記合計厚みは、下限側として例えば6μm以上であり、また例えば18μm以上である。一方、上記一層当たりの厚みは、上限側として例えば450μm以下であり、また例えば315μm以下である。
非磁性導電金属層は特に形状が限定されるものではないが、例えば金属箔が挙げられる。金属箔として銅箔を使用する場合、シールド特性が向上することから、純度が高いものが好ましく、純度は好ましくは99.5質量%以上、より好ましくは99.8質量%以上である。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔、メタライズによる銅箔等を用いることができるが、屈曲特性及び成形加工性に優れた圧延銅箔が好ましい。銅箔中に合金元素を添加して銅合金箔とする場合、これらの元素と不可避的不純物との合計含有量が0.5質量%未満であればよい。特に、銅箔中に、錫、マンガン、クロム、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウム、ニッケル、ケイ素、及び銀から選ばれる少なくとも1種以上を合計で50~2000質量ppm、及び/又はリンを10~50質量ppm含有すると、同じ厚みの純銅箔より伸びが向上するので好ましい。
<処理膜>
処理膜は、シールド特性を高める観点からは、非磁性導電金属層の少なくとも一方の表面に形成され、一例として、銅を含む合金の電磁波吸収補助膜、耐熱膜、防錆膜及び耐候性膜から選択される1種以上を更に含んでも良い。耐熱処理された耐熱膜としてはコバルトやニッケルを含むめっき膜、蒸着膜等が挙げられ、防錆処理された防錆膜としては亜鉛やクロムといった無機系めっき膜、蒸着膜、ベンゾトリアゾールなどの有機系膜や、シランカップリング処理された耐候性膜としてはシランカップリング剤を含む有機系塗工膜が挙げられる。すなわち、処理膜中には銅、コバルト及びニッケル以外に亜鉛、モリブデン、錫、リン、タングステン、クロム及びケイ素から選択される金属を1種以上更に含んでもよい。
なお、強磁性層が樹脂を含む複合シートである場合、強磁性層と非磁性導電金属層との間に介在する処理膜は、強磁性層と非磁性導電金属層との密着性を高めることも可能である。
電磁波吸収補助膜は、公知の方法で作製可能であるが、例えばめっき処理、金属蒸着処理及びスパッタリング処理等の方法で作製可能である。その中でも、非磁性導電金属層の表面にめっき処理を施すことにより、銅、コバルト及びニッケルからなる電磁波吸収補助膜を形成する方法を一例として以下説明する。
電磁波吸収補助膜を形成するめっき処理においては、非磁性導電金属層の少なくとも一方の表面に、銅、コバルト及びニッケルからなる粒子膜を形成するものである。
(めっき処理条件(粗化めっき処理):銅、コバルト及びニッケル合金めっき)
銅、コバルト及びニッケルのめっき処理条件の一例を挙げると、下記の通りである。
液組成 :銅10~20g/L、コバルト5~15g/L、ニッケル5~15g/L
pH :2~3
液温 :30~50℃
電流密度 :10~60A/dm2
クーロン量:10~48As/dm2
このとき、上記めっき処理条件の下、粗化めっき処理を多段階で実施することもできる。
(質量比率、付着量)
各処理膜におけるニッケルの質量比率を1としたときに、各処理膜におけるコバルトの質量比率が、1.50~4.50であることが好ましい。上記コバルトの質量比率が、下限側として、例えば1.50以上、また例えば1.80以上、また例えば1.90以上である。また、上記コバルトの質量比率が、上限側として、例えば4.50以下、また例えば4.20以下である。
前述した処理膜における質量比率については、下記式(1)に基づき求めることが可能である。
各処理膜におけるニッケルの質量比率を1としたときの、各処理膜におけるコバルトの質量比率=[処理膜のCo付着量(μg/dm2)/処理膜のNi付着量(μg/dm2)]・・・(1)
耐熱処理においては、先述した電磁波吸収補助膜の上に、さらに次の耐熱膜1~8の少なくとも1つの膜を形成することができる。各めっき条件及び蒸着条件を下記に示す。
(耐熱膜1のめっき条件)(Co-Niめっき:コバルトニッケル合金めっき)
液組成 :ニッケル5~20g/L、コバルト1~8g/L
pH :2~3
液温 :40~60℃
電流密度 :10~30A/dm2
クーロン量:2~20As/dm2
(耐熱膜2のめっき条件)(Ni-Znめっき:ニッケル亜鉛合金めっき)
液組成 :ニッケル2~30g/L、亜鉛2~30g/L
pH :3~4
液温 :30~50℃
電流密度 :1~10A/dm2
クーロン量:0.5~2As/dm2
(耐熱膜3のめっき条件)(Ni-Cuめっき:ニッケル銅合金めっき)
液組成 :ニッケル2~30g/L、銅2~30g/L
pH :3~4
液温 :30~50℃
電流密度 :1~2A/dm2
クーロン量:1~2As/dm2
(耐熱膜4のめっき条件)(Ni-Moめっき:ニッケルモリブデン合金めっき)
液組成 :硫酸Ni六水和物:45~55g/dm3、モリブデン酸ナトリウム二水和物:50~70g/dm3、クエン酸ナトリウム:80~100g/dm3
液温 :20~40℃
電流密度 :1~4A/dm2
クーロン量:1~2As/dm2
(耐熱膜5のめっき条件)(Ni-Snめっき:ニッケル錫合金めっき)
液組成 :ニッケル2~30g/L、錫2~30g/L
pH :1.5~4.5
液温 :30~50℃
電流密度 :1~2A/dm2
クーロン量:1~2As/dm2
(耐熱膜6のめっき条件)(Ni-Pめっき:ニッケルリン合金めっき)
液組成 :ニッケル30~70g/L、リン0.2~1.2g/L
pH :1.5~2.5
液温 :30~40℃
電流密度 :1~2A/dm2
クーロン量:1~2As/dm2
(耐熱膜7のめっき条件)(Ni-Wめっき:ニッケルタングステン合金めっき)
液組成 :ニッケル2~30g/L、タングステン0.01~5g/L
pH :3~4
液温 :30~50℃
電流密度 :1~2A/dm2
クーロン量:1~2As/dm2
(耐熱膜8の蒸着条件)(Ni-Cr蒸着:ニッケルクロム合金蒸着)
ニッケル65~85mass%、クロム15~35mass%の組成のスパッタリングターゲットを用いてニッケルクロム合金蒸着膜を形成する。
ターゲット:ニッケル65~85mass%、クロム15~35mass%
装置:株式会社アルバック製のスパッタ装置
出力:DC50W
アルゴン圧力:0.2Pa
防錆処理においては、先述した電磁波吸収補助膜又は耐熱膜の上に、さらに次の防錆膜及び/又は耐候性膜を形成することができる。各条件を下記に示す。
(防錆膜のめっき条件)
液組成 :重クロム酸カリウム1~10g/L、亜鉛0.2~0.5g/L
pH :3~4
液温 :50~70℃
電流密度 :0~2A/dm2(0A/dm2は浸漬クロメート処理の場合である。)
クーロン量:0~2As/dm2(0As/dm2は浸漬クロメート処理の場合である。)
(耐候性膜(シランカップリング膜)の種類)
一例として、ジアミノシラン水溶液やエポキシシラン水溶液の塗布を挙げることができる。
なお、耐熱膜等の金属膜、めっき膜がスパッタリング等の蒸着(乾式めっき)により設けられている場合、および、耐熱膜等の金属膜、めっき膜がめっき(湿式めっき)により設けられている場合であって、耐熱膜等の金属膜、めっき膜が正常めっき(平滑めっき、すなわち、限界電流密度未満の電流密度で行うめっき)で有る場合、当該金属膜、めっき膜は銅箔の表面の形状に影響を及ぼさない。
限界電流密度は、金属濃度、pH、給液速度、極間距離、めっき液温度によって変るが、本発明では正常めっき(めっきされた金属が膜状に析出している状態)と粗化めっき(焼けめっき、めっきされた金属が結晶状(球状や針状や樹氷状等)に析出している状態、凹凸がある。)との境界の電流密度を限界電流密度と定義し、ハルセル試験にて正常めっきとなる限界(焼けめっきとなる直前)の電流密度(目視判断)を限界電流密度とする。
具体的には、金属濃度、pH、めっき液温度をめっきの製造条件に設定し、ハルセル試験を行う。そして、当該めっき液組成、めっき液温度における金属層形成状態(めっきされた金属が層状に析出しているか結晶状に形成しているか)を調査する。そして、株式会社山本鍍金試験器製の電流密度早見表に基づいて、テストピースの正常めっきと粗化めっきの境界が存在する箇所のテストピースの位置から、当該境界の位置における電流密度を求める。そして、当該境界の位置における電流密度を限界電流密度と規定する。これにより、当該めっき液組成、めっき液温度での限界電流密度が分かる。一般的には極間距離が短いと、限界電流密度が高くなる傾向にある。
ハルセル試験の方法は例えば「めっき実務読本」 丸山 清 著 日刊工業新聞社 1983年6月30日の157ページから160ページに記載されている。
なお、限界電流密度未満でめっき処理を行うために、めっき処理の際の電流密度を20A/dm2以下とすることが好ましく、10A/dm2以下とすることがより好ましく、8A/dm2以下とすることが更に好ましい。
また、防錆膜及び耐候性膜は、その厚みが極端に薄いため、銅箔の表面の形状に影響を及ぼさない。
強磁性層と非磁性導電金属層との積層数は多い方がシールド特性は向上する一方で、曲げ中立軸が、曲げ外側の非磁性導電金属層に含まれなくなることがあり、積層工程が増えるので製造コストの増大を招き、また、シールド向上効果も飽和する傾向にある。そのため、電磁波遮蔽材料中の非磁性導電金属層は3層以下であればよく、強磁性層は3層以下であればよい。
なお、シールド特性の観点から、強磁性層と非磁性導電金属層とは交互に積層されていればよい。
強磁性層と非磁性導電金属層の積層方法としては、強磁性層と非磁性導電金属層の間に接着剤を用いてもよく、接着剤を用いずに強磁性層を非磁性導電金属層に熱圧着してもよい。接着剤を用いずに単に重ねる方法でもよいが、電磁波遮蔽材料の一体性を考慮すれば、少なくとも端部(例えば遮蔽材料が四角形の場合は各辺)はテープや接着剤により又は熱圧着により接合することが好ましい。但し、強磁性層に余分な熱を加えないという点からは、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては先述したものと同様であり、特に制限はないが、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン樹脂系、酢酸ビニル系、スチレンブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、フェノール樹脂系、シアノアクリレート系などが挙げられ、製造しやすさとコストの理由により、ウレタン系、ポリエステル系、酢酸ビニル系が好ましい。
接着剤層の厚みは100μm以下であることが好ましい。接着剤層の厚みが100μmを超えると、屈曲した際に曲げ中立軸が接着剤層や強磁性層の厚み内の位置となりやすくなるとともに、被接着剤層である非磁性導電金属層や強磁性層への応力が大きくなり、破断しやすくなる。ただし、先述したような接着剤層が強磁性層の役割を兼ねる場合は、この限りではなく、強磁性層の説明で述べた厚みとすることができる。
なお、接着剤層のヤング率は、例えば50~10000MPaである。ヤング率の測定方法の一例としては、静的測定法及び共振法等が挙げられる。
一実施形態によれば、100kHzにおいて15dB以上の磁界シールド特性(受信側でどれだけ信号が減衰したか)をもつことができ、好ましくは18dB以上の磁界シールド特性をもつことができ、より好ましくは20dB以上の磁界シールド特性をもつことができ、更により好ましくは24dB以上の磁界シールド特性をもつことができ、更により好ましくは30dB以上の磁界シールド特性をもつことができる。本発明においては、磁界シールド特性はKEC法によって測定することとする。KEC法とは、関西電子工業振興センターにおける「電磁波シールド特性測定法」を指す。
(用途)
一実施形態においては、特に電気・電子機器用(例えば、インバータ、通信機、共振器、電子管・放電ランプ、電気加熱機器、電動機、発電機、電子部品、印刷回路、医療機器等)の被覆材又は外装材、電気・電子機器に接続されたハーネスや通信ケーブルの被覆材、電磁波シールドシート、電磁波シールドパネル、電磁波シールド袋、電磁波シールド箱、電磁波シールド室など各種の電磁波シールド用途に利用することが可能である。
本発明を実施例、比較例及び参考例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例、比較例及び参考例の記載は、あくまで本発明の技術的内容の理解を容易とするための具体例であり、本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものではない。
なお、下記表1及び図3において、「磁性層」とは強磁性層を意味し、「金属層」とは非磁性導電金属層を意味する。
[電磁波遮蔽材料の作製]
実施例1~9、比較例1~4においては、表1に示すように、材料A~Hを用い、強磁性層として材料A~B、非磁性導電金属層として材料C~Hをそれぞれ準備した。次に、材料C~Hをそれぞれ材料温度200℃、加熱保持時間0.5時間の条件でアニール処理を施した。
なお、表1の材料A~Hは、以下の通りである。なお、材料A及びBの複合シートの一方の表面には、接着剤層が形成されていた。なお、材料A及び材料Bの比透磁率の値はカタログ掲載のグラフを参照して記載した。
材料A:複合シート(P100NH、竹内工業製、1MHzの周波数における比透磁率約130)
材料B:複合シート(GM010S、竹内工業製、1MHzの周波数における比透磁率約24)
材料C:圧延銅箔(HA、JX金属製)
材料D:圧延銅箔(TPC(JIS H3100 C1100に規格されているタフピッチ銅、JX金属製))
材料E:電解銅箔(JXEFL-V2、JX金属製)
材料F:電解銅箔(市販品)
材料G:アルミニウム箔(JIS A8021規格、市販品)
材料H:電解銅箔(JX-UT、JX金属製)
材料A~Bについては、静的測定法を用いてヤング率を測定した。まず、材料A~Bを、プレシジョンカッターを用いて長さ160mm、幅12.7mmとなるようにプレシジョンカッターで打ち抜き、打ち抜いた試験片5本の引張試験を行った。最大及び最小のヤング率を示した試験片を除き、残った試験片3本におけるヤング率の平均値を材料のヤング率とした。なお、引張試験の条件として、試験片を、卓上形精密万能試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所製)の試験用治具につかみ長さ30mm、チャック間距離を100mmとなるように固定した後、50mm/minのスピードで長さ方向(長手方向)に引っ張り、ヤング率を算出した(JIS K7127:1999規格)。
また、上記アニール処理後の材料C~Gについては、共振法を用いてヤング率を測定した。共振法としては、日本テクノプラス社製の室温用ヤング率測定装置(TE-RT)を用いた。材料C~Gを幅10mm、長さ130mmの短冊状に切断して得られた試験片を用いて測定した。
また、上記アニール処理後の材料Hについては、静的測定法を用いてヤング率を測定した。まず、材料Hを、プレシジョンカッターを用いて長さ150mm、幅12.7mmとなるようにプレシジョンカッターで打ち抜き、打ち抜いた試験片5本の引張試験を行った。最大及び最小のヤング率を示した試験片を除き、残った試験片3本におけるヤング率の平均値を材料のヤング率とした。なお、引張試験の条件として、先述の材料A~Bにおける引張試験の条件と同様である。
これらの結果を表1に示す。
次に、実施例1~4、7~9においては、アニール処理後の材料C~E、G、Hの表面に、処理膜として、下記(A)電磁波吸収補助膜、(B)耐熱膜、(C)防錆膜、(E)耐候性膜の順にそれぞれ形成した。また、実施例5においては、アニール処理後の材料Fの表面に、処理膜として下記(A)電磁波吸収補助膜、(B)耐熱膜、(C)防錆膜の順に形成した。実施例6においては、アニール処理後の材料Gの表面に、処理膜として下記(A)電磁波吸収補助膜を形成した。また、比較例1、3~4においては、アニール処理後の材料Hの表面に、下記(A)電磁波吸収補助膜、(B)耐熱膜、(D)防錆膜をそれぞれ形成した。また、比較例2においては、アニール処理後の材料Hの表面に、(A)電磁波吸収補助膜、(B)耐熱膜、(C)防錆膜、(D)防錆膜をそれぞれ形成した。なお、処理膜の厚みは、サブミクロン(10-1μm)程度となるように形成時間を適宜調整した。
(A)電磁波吸収補助膜(Cu-Co-Ni合金めっき処理(粗化めっき処理))
液組成 :銅15.5g/L、コバルト7.0g/L、ニッケル9.3g/L
pH :2.3
液温 :36.0℃
電流密度 :
(上面)1回目:21.3A/dm2、2回目:29.9A/dm2、3回目:56.8A/dm2
(下面)1回目:14.9A/dm2、2回目:26.1A/dm2、3回目:56.8dm2
クーロン量:
(上面)1回目:15.3As/dm2、2回目:21.5As/dm2、3回目:20.5As/dm2
(下面)1回目:10.7As/dm2、2回目:18.8As/dm2、3回目:27.4As/dm2
(B)耐熱膜(Co-Ni合金めっき処理)
液組成 :ニッケル12.5g/L、コバルト3.1g/L
pH :2.0
液温 :50℃
電流密度 :(上面)17.5A/dm2、(下面)19.3A/dm2
クーロン量:(上面)6.3As/dm2、(下面)6.9A/dm2
(C)防錆膜(電解クロメート処理)
液組成:重クロム酸カリウム3.0g/L、亜鉛0.33g/L
液温:55℃
pH:3.65
電流密度:
(上面)1回目:1.0A/dm2、2回目:1.0A/dm2
(下面)1.1A/dm2
クーロン量:
(上面)1回目:0.7As/dm2、2回目:0.7As/dm2
(下面)0.8As/dm2
(D)防錆膜(ベンゾトリアゾール処理)
液組成 :40mg/L
液温 :20℃ (室温)
pH :2.0
電流密度 :0A/dm2(シャワー噴霧処理)
処理時間 :5秒
(E)耐候性膜(シランカップリング処理)
シランカップリング剤:グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
シランカップリング剤濃度:0.1vol%
処理温度:20℃(室温)
次に、実施例1~9及び比較例1~4においては、表1に示す構成に従って、材料A~Bに形成された接着剤層の外表面に、上記表面処理された材料C~Hをそれぞれ貼付した。これにより、材料A~Bと、上記表面処理された材料C~Hとが積層された電磁波遮蔽材料を得た。
<評価方法>
(はぜ折り試験)
実施例1~9及び比較例1~4で得られた電磁波遮蔽材料を、以下の順に従って、はぜ折り試験を実施した。その結果を表1に示す。
(1)電磁波遮蔽材料を幅30mm、長さ50mmのサイズとなるようにカッターで切断し、試験片を準備した。
(2)材料C~Hが外側となるように長さ方向1/2の位置で軽く曲げ(図2(A)参照)、卓上形精密万能試験機(オートグラフAGS-X、島津製作所製)を用いて500N、1秒間、試験片を折り曲げた(図2(B)参照)。
(3)試験片の曲げを戻した(図2(C)参照)。曲げを戻した状態で再度、卓上形精密万能試験機を用いて500N、1秒間サンプルを圧下した(図2(D)参照)。
(4)上記(3)の終了後の測定用サンプルの外観を目視で確認した。折り曲げ部の半分以上にわたってクラックや材料A、Bと材料C~Hとの間の剥離がないことを確認した場合、上記(2)及び(3)を繰り返すことで曲げ回数を確認した。
なお、折り曲げ後、材料A、Bと材料C~Hとの間に剥がれや、折り曲げ部の半分以上にわたってクラックが生じていた場合、それ以降の折り曲げを中止した。表中のはぜ折り回数は、中止となった時の折り曲げ回数に1を差し引いた回数とした。はぜ折り回数が3回以上であれば折り曲げ性良好と判断できる。
(曲げ中立軸が存在する位置の推定)
実施例1~9及び比較例1~4で得られた電磁波遮蔽材料の一方の最外層である非磁性導電金属層であるC~Hを外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの、各層の厚み内における曲げ中立軸の存在位置を上記数I~Vに基づき、算出した。その結果を表1に示す。
なお、処理膜の厚みがサブミクロン(10-1μm)程度であるので、処理膜の厚みを曲げ中立軸の存在位置の算出に用いなかった。
(想定曲げ歪)
実施例1及び比較例1、4で得られた電磁波遮蔽材料を、強磁性層である材料Aの表層部での想定曲げ歪と、非磁性導電金属層である材料C、Hの表層部での想定曲げ歪とを曲げ中立軸からの位置関係に基づき算出した(数VI)。その結果を、図3に示す。図3によれば、実施例1、比較例1及び比較例4における曲げ中立軸が、それぞれ金属層(非磁性導電金属層)、磁性層(強磁性層)、界面に位置することがわかる。曲げ中立軸が強磁性層内に位置するとき引張応力が強磁性層に働くため、一般な金属材料と比較して引張応力に弱い強磁性層は破断しやすい。また、曲げ中立軸が非磁性導電金属層と強磁性層との界面に位置する場合は、非磁性導電金属層と強磁性層との2つの材料間でせん断的に応力が働くため剥離しやすくなる。したがって、積層体における曲げ中立軸の位置を予測することによって曲げた際の応力の分布と破断しやすさを予測することができる。
(実施例の考察)
実施例1~9では、はぜ折り回数が3回以上であった。これにより、実施例1~9では、最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、該最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置したことで、電磁波シールド材としての使用時(特に曲げ時)のクラック等を良好に抑制できると推察される。
一方、比較例1~3では、はぜ折り回数が3回未満であった。これは、最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、強磁性層の厚み内に位置したことで、引張応力に弱い強磁性層内に引張応力が働いたことで破断につながったと推察される。
また、比較例4では、はぜ折り回数が3回未満であった。これは、最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、非磁性導電金属層と強磁性層との界面に位置したことで、曲げ応力は0(ゼロ)となったが、せん断応力が最大となったため、界面における材料間が剥離し破断につながったと推察される。

Claims (6)

  1. 少なくとも1層の非磁性導電金属層と、少なくとも1層の強磁性層とが積層された積層体を有する電磁波遮蔽材料であって、
    前記積層体の少なくとも一方の最外層が、非磁性導電金属層であり、
    前記最外層の非磁性導電金属層を外側にして曲率半径0.1mmで曲げたときの曲げ中立軸が、該最外層の非磁性導電金属層の厚み内に位置する、電磁波遮蔽材料。
  2. 前記積層体のもう一方の最外層が、強磁性層である、請求項1に記載の電磁波遮蔽材料。
  3. 各非磁性導電金属層のヤング率が、各強磁性層のヤング率より高く、
    各非磁性導電金属層の厚みが、各強磁性層の厚みより小さい、請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽材料。
  4. 前記非磁性導電金属層が、銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽材料。
  5. 請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽材料を備えた電気・電子機器用の被覆材又は外装材。
  6. 請求項5に記載の被覆材又は外装材を備えた電気・電子機器。
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