JP2024013436A - 燃料電池用膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極触媒層の機械特性が高く、電極反応で生成した水の除去を阻害せずに低加湿条件下での保水性が改善され、低加湿条件下でも高い発電性能を示す膜電極接合体を提供する。【解決手段】燃料電池用膜電極接合体11は、高分子電解質膜1と、高分子電解質膜の両面に配置された一対の電極触媒層2,3と、を備え、一対の電極触媒層2,3のうち少なくとも一方の電極触媒層は、電極触媒層に流入するガスの流れ方向の入口側に配置された第一の電極触媒部2a,3aと、流れ方向の出口側に配置された第二の電極触媒部2b,3bとを有し、第一の電極触媒部2a,3aは、触媒担持粒子と、イオノマーと、ポリベンゾイミダゾールを主成分として形成された被覆層を有するカーボン繊維と、を含み、第二の電極触媒部2b,3bは、触媒担持粒子と、イオノマーと、カーボン繊維と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて、触媒を含む電極で水の電気分解の逆反応を起こさせ、熱と同時に電気を生み出す発電システムである。
この発電システムは、従来の発電方式と比較して高効率で低環境負荷、低騒音などの特徴を有し、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。燃料電池は、燃料電池に用いるイオン伝導体の種類によってタイプがいくつかあり、プロトン伝導性高分子膜を用いた燃料電池は、固体高分子形燃料電池と呼ばれる。
燃料電池のなかでも固体高分子形燃料電池は、室温付近で使用可能なことから、車載用電源や家庭据置用電源などへの使用が有望視されており、近年、様々な研究開発が行われている。固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面に一対の電極触媒層を配置させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAと称すことがある)を、一対のセパレータで挟持した電池である。
一方のセパレータには、電極の一方に水素を含有する燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されており、他方のセパレータには、電極の他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成されている。
ここで、燃料ガスが供給される上述した一方の電極を燃料極、酸化剤ガスが供給される上述した他方の電極を空気極とする。これらの電極は、イオノマー、白金系の貴金属などの触媒を担持したカーボン粒子(触媒担持粒子)を有する電極触媒層、及びガス通気性と電子伝導性とを兼ね備えたガス拡散層を備えている。これらの電極を構成するガス拡散層は、セパレータと対向するように、すなわち電極触媒層とセパレータとの間に配置される。
電極触媒層中の細孔は、セパレータ板からガス拡散層を通じた先に位置し、複数の物質を輸送する通路の役割を果たす。燃料極は、酸化還元の反応場である三相界面に燃料ガスを円滑に供給するだけでなく、生成したプロトンを高分子電解質膜内で円滑に伝導させるための水を供給する機能を果たす。空気極は、酸化剤ガスの供給と共に、電極反応で生成した水を円滑に除去する機能を果たす。
これまで、電極触媒層に多くの細孔を形成させると機械特性が低下してクラックが発生し、発電性能に影響を及ぼすという課題があった。このため、炭素ウィスカーや、親水化処理された繊維状物質を電極触媒層に添加することで、機械特性を改善する構成が検討されてきた(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
しかしながら、前記従来の構成では、炭素ウィスカーや親水化処理された繊維状物質がイオノマーとの接合が困難であるため、電極触媒層の機械特性が十分に改善できないおそれがあった。
固体高分子形燃料電池では、燃料極及び空気極における物質輸送の妨げにより発電反応が停止する、いわゆる「フラッディング」と呼ばれる現象を防止する。このため、これまで排水性を高める構成が検討されてきた(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5及び特許文献6を参照)。
また、固体高分子形燃料電池の実用化に向けての課題は、出力密度や耐久性の向上などが挙げられるが、最大の課題は低コスト化(コスト削減)である。
この低コスト化の手段の一つに、加湿器の削減が挙げられる。膜電極接合体の中心に位置する高分子電解質膜には、パーフルオロスルホン酸膜や炭化水素系膜が広く用いられている。そして、優れたプロトン伝導性を得るためには飽和水蒸気圧雰囲気に近い水分管理が必要とされており、現在、加湿器によって外部から水分供給を行っている。
そこで、低消費電力やシステムの簡略化のために、加湿器を必要としないような、低加湿条件下であっても、十分なプロトン伝導性を示す高分子電解質膜の開発が進められている。
しかしながら、排水性を高めた電極触媒層では、低加湿条件下において高分子電解質がドライアップするため、電極触媒層構造の最適化を行い、保水性を向上させる必要がある。これまで、低加湿条件下における燃料電池の保水性を向上させるため、例えば、電極触媒層とガス拡散層の間に、湿度調整フィルムを挟み込む方法が考案されている。
例えば、特許文献7には、導電性炭素質粉末とポリテトラフルオロエチレンから構成された湿度調整フィルムが、湿度調節機能を示してドライアップを防止する方法が記載されている。
特許文献8には、高分子電解質膜と接する触媒電極層の表面に溝を設ける方法が記載されている。特許文献6に記載の方法では、触媒電極層の表面に0.1~0.3mmの幅を有する溝を形成することで、低加湿条件下における発電性能の低下を抑制している。
特許第3571680号公報 特許第4065862号公報 特開2006-120506号公報 特開2006-332041号公報 特開2007-87651号公報 特開2007-80726号公報 特開2006-252948号公報 特開2007-141588号公報
本発明の課題は、電極触媒層の機械特性が高く、電極反応で生成した水の除去を阻害せずに低加湿条件下での保水性が改善され、低加湿条件下でも高い発電性能を示す膜電極接合体を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様の燃料電池用膜電極接合体は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の電極触媒層と、を備え、前記一対の電極触媒層のうち少なくとも一方の電極触媒層は、前記電極触媒層に流入するガスの流れ方向の入口側に配置された第一の電極触媒部と、前記流れ方向の出口側に配置された第二の電極触媒部とを有し、前記第一の電極触媒部は、触媒担持粒子と、イオノマーと、ポリベンゾイミダゾールを主成分として形成された被覆層を有するカーボン繊維と、を含み、前記第二の電極触媒部は、触媒担持粒子と、イオノマーと、カーボン繊維と、を含む。
本発明によれば、固体高分子形燃料電池に用いられた場合に、電極反応で生成した水の除去を阻害せずに、低加湿条件下での保水性が改善され、低加湿条件下でも高い発電性能を示す燃料電池用膜電極接合体を提供可能となる。その結果、上記効果を備えた燃料電池用膜電極接合体を低コストで製造できるようになる。
一実施形態の燃料電池用膜電極接合体の構造を模式的に示す分解斜視図である。 図1の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池の構造を模式的に示す分解斜視図である。
<実施形態>
以下に、本開示の実施形態について添付図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
〔膜電極接合体〕
まず、本実施形態に係る膜電極接合体11について説明する。
図1に示すように、膜電極接合体11は、高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1を高分子電解質膜1の上下各面から狭持する電極触媒層2(図1中、上側に示す)及び電極触媒層3(図1中、下側に示す)とを備える。なお、図1における矢印は電極触媒層2、3に流入するガスの流れ方向を示す。
一対の電極触媒層2,3は、平面視において(高分子電解質膜1と平行な面内で)、電極触媒層に流入するガスの入口側に位置する第一の電極触媒部2a,3aと、ガスの出口側に位置する第二の電極触媒部2b,3bとに分けられている。第一の電極触媒部2a,3aは、触媒担持粒子と、イオノマーと、ポリベンゾイミダゾールを主成分として形成された被覆層を有するカーボン繊維と、を含む。ポリベンゾイミダゾールは、イオノマーとカーボンとの両者に親和性を有する重合体である。第二の電極触媒部2b,3bは、触媒担持粒子と、イオノマーと、カーボン繊維と、を含む。
上記構成の第一の電極触媒部および第二の電極触媒部を含む電極触媒層を、以下においては「改良電極触媒層」とも記載する。一対の電極触媒層2、3のいずれか一方が改良電極触媒層であればよいが、この実施形態の膜電極接合体11のように、一対の電極触媒層2、3の両方が改良電極触媒層であることが好ましい。
改良電極触媒層が含有するカーボン繊維は、気相成長炭素繊維(VGCF)であることが好ましい。
改良電極触媒層が含有するカーボン繊維の直径は、10nm以上1μm以下であることが好ましい。
本願発明者は、上記構成の改良電極触媒層が高い機械特性を有し、また、高い発電性能を示すことを確認した。なお、詳細なメカニズムは、以下のように推測されるが、本発明は下記メカニズムに何ら拘束されるものではない。
上記構成の改良電極触媒層は、カーボン繊維の絡み合いによってクラックの発生を抑制するなど、高い機械特性で耐久性の改善が得られる。ガスの入口側に位置する第一の電極触媒部2a(又は3a)のカーボン繊維の表面にイオノマーとカーボンとの両者に親和性を有する重合体のポリベンゾイミダゾールを主成分として形成した被覆層を有することで、親水性の向上により低加湿条件下での保水性が改善され、低加湿条件下でも高い発電性能を示すと推定される。
また、ガスの出口側に位置する第一の電極触媒部2b(又は3b)のカーボン繊維の表面は上記被覆層を有さず疎水性の炭素面を有することで、発電により湿度が高まったガスの出口側の排水性が改善され、「フラッディング」と呼ばれる現象を防止すると推定される。
カーボン繊維が気相成長炭素繊維(VGCF)でない場合は、炭素面が同心円筒状に積層した年輪構造を取りにくく、ガスの入口側に位置する第一の電極触媒部2a(又は3a)では被覆層との親和性が十分ではない場合があると推定される。また、ガスの出口側に位置する第一の電極触媒部2b(又は3b)では疎水性が十分ではない場合があると推定される。
カーボン繊維の直径が10nmに満たない場合は、機械特性が改善されにくい場合があると推定される。また、カーボン繊維の直径が1μmを超える場合は、インクとして分散できない場合があると推定される。
改良電極触媒層である電極触媒層2,3の第一の電極触媒部2a,3aは、カーボン繊維の絡み合いと、イオノマーとカーボンとの両者に親和性を有する被覆層の存在によって、耐久性低下の起因となる電極触媒層のクラック発生を抑制するなど、高い機械特性と耐久性の改善が得られる。
〔固体高分子形燃料電池〕
次に、図2を用いて、実施形態の膜電極接合体11を備えた固体高分子形燃料電池について説明する。なお、図2における矢印はガスの流れ方向を示す。
図2に示す固体高分子形燃料電池12は、一対のガス拡散層4、5を備える。ガス拡散層4は、膜電極接合体11の電極触媒層2と対向するように配置される。ガス拡散層5は、電極触媒層3と対向するように配置される。電極触媒層2とガス拡散層4とによって、空気極(カソード、正極)6が形成される。電極触媒層3とガス拡散層5とによって、燃料極(アノード、負極)7が形成される。
また、一組のセパレータ10a、10bが、ガス拡散層4及び5の外側にそれぞれ配置される。すなわち、膜電極接合体11は、膜電極接合体11の厚さ方向において、一対のセパレータ10a、10bに挟まれている。セパレータ10a、10bは、ガス流通用のガス流路8a、8bと、冷却水流通用の冷却水流路9a、9bとを備えている。セパレータ10a、10bは、導電性及び不透過性を有する材料によって形成される。
燃料極7と向かい合うセパレータ10bのガス流路8bには、燃料ガスとして例えば水素ガスが供給される。一方、空気極6と向かい合うセパレータ10aのガス流路8aには、酸化剤ガスとして例えば酸素ガスが供給される。燃料ガスの水素と、酸化剤ガスの酸素とをそれぞれ触媒の存在下において電極反応させることにより、燃料極7と空気極6との間に起電力を生じさせることができる。
固体高分子形燃料電池12において、一対のセパレータ10a、10bが、高分子電解質膜1、一対の電極触媒層2、3、および、一対のガス拡散層4、5を挟持する。図2に示す固体高分子形燃料電池12は、単セル構造を有した燃料電池の一例であるが、固体高分子形燃料電池は、セパレータ10a又はセパレータ10bを介して複数のセルが積層された構造を有してもよい。
〔膜電極接合体の製造方法〕
次に、上記構成の膜電極接合体の製造方法の一例を説明する。
この例の方法は、下記の第一工程から第四工程を含む方法であり、先ず、第一工程から第三工程を含む方法で改良電極触媒層を製造する。
第一工程は、ポリベンゾイミダゾールを主成分とした被覆層をカーボン繊維に形成する工程である。
第二工程は、触媒担持粒子、イオノマー、第一工程で得られたカーボン繊維、及び溶媒を含む触媒インクである第一の触媒インクと、触媒担持粒子、イオノマー、ポリベンゾイミダゾールを主成分とした被覆層を有さないカーボン繊維、及び溶媒を含む触媒インクである第二の触媒インクを製造する工程である。
第三工程は、第二工程で得られた第一の触媒インクを基材の第一の領域に塗布して乾燥させることにより第一の電極触媒部2a(又は3a)を形成する工程及び、第二の触媒インクを基材の第二の領域(第一の領域の隣)に塗布して乾燥させることにより第二の電極触媒部2b(又は3b)を形成する工程である。基材に対する第一の触媒インクの塗布領域と第二の触媒インクの塗布領域とが重ならいように塗布を行う。なお、第三工程は、第一の触媒インクおよび第二のインクを各領域に塗布した後に、両塗膜の溶媒を乾燥させることで行ってもよい。
なお、電極触媒層2、3の両方が上述の方法で製造された改良電極触媒層であってもよいし、一方のみが上述の方法で製造された改良電極触媒層であってもよい。
第四工程は、電極触媒層2、3の基材側を高分子電解質膜1の上下各面に貼り付けることで、膜電極接合体11を得る工程であるが、この貼付けは、第一の電極触媒部が電極触媒層に流入するガスの流れ方向の入口側に、第二の電極触媒部が出口側になるように行う。なお、高分子電解質膜1を基材とする場合には、高分子電解質膜1に対して直接、第三工程を、第一の電極触媒部が電極触媒層に流入するガスの流れ方向の入口側に、第二の電極触媒部が出口側になるように行うことで膜電極接合体11を得る。
〔詳細説明〕
以下、膜電極接合体11及び固体高分子形燃料電池12について更に詳細に説明する。
高分子電解質膜1としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、例えば、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を用いることができる。フッ素系高分子電解質膜として、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)等を用いることができる。
また、炭化水素系高分子電解質膜としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。特に、高分子電解質膜1として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を用いることが好適である。
電極触媒層2、3は、触媒インクを用いて高分子電解質膜1の両面に形成される。電極触媒層2、3用の触媒インクは、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子、イオノマー、カーボン繊維、及び溶媒を含む。
触媒インクに含まれるイオノマーは、プロトン伝導性を有するものであれば良い。イオノマーには、高分子電解質膜1と同様の材料を用いることができる。
イオノマーには、例えば、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質として、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質を用いることができる。特に、フッ素系高分子電解質として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を用いることが好適である。
本実施形態で用いる触媒(以下、触媒粒子あるいは触媒と称すことがある)としては、白金族元素、金属、その金属の合金や酸化物、複酸化物等を用いることができる。白金族元素としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムがあり、金属としては、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウムもしくはアルミニウム等が例示できる。なお、ここでいう複酸化物とは2種類の金属からなる酸化物のことをいう。
触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた1種又は2種以上の金属である場合、電極反応性に優れ、電極反応を効率良く安定して行うことができる。触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた1種又は2種以上の金属である場合、電極触媒層2、3を備えた固体高分子形燃料電池12が高い発電特性を示すので好ましい。
上述の触媒を担持する電子伝導性の粉末、すなわち担体としては、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであれば限定されるものではない。カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラックやグラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンを用いることができる。
カーボン粒子の平均粒子径は、10nm以上1000nm以下の範囲内に含まれることが好ましく、10nm以上100nm以下の範囲内に含まれることがより好ましい。ここで、平均粒子径とは、SEM像から求めた平均粒子径である。カーボン粒子の平均粒子径が10nm以上1000nm以下の範囲内に含まれる場合、触媒の活性及び安定性が向上するため好ましい。また、カーボン粒子の平均粒子径が10nm以上1000nm以下の範囲に含まれる場合には、電子伝導パスが形成されやすくなり、また、2つの電極触媒層2、3のガス拡散性および触媒の利用率が向上するため好ましい。
上述の触媒担持粒子は、疎水性被膜を備えたものでも良い。言い換えれば、触媒を担持した粒子は、疎水性被膜によって覆われてもよい。この場合、疎水性被膜は、十分に反応ガスを透過する膜厚を有することが好ましい。疎水性被膜の膜厚は、具体的には40nm以下であることが好ましい。これよりも厚くなると活性点への反応ガスの供給が阻害される場合がある。一方、疎水性被膜が40nm以下であれば十分に反応ガスが疎水性被膜を透過するため、触媒担持粒子に疎水性を付与することができる。
また、触媒担持粒子を覆う疎水性被膜の膜厚は、十分に生成水を撥水する膜厚であることが好ましい。疎水性被膜の膜厚は、具体的には2nm以上であることが好ましい。疎水性被膜がこれよりも薄くなると生成水が滞留し、活性点への反応ガスの供給が阻害される場合がある。すなわち、疎水性被膜が2nm以上の厚さを有することによって、生成水の滞留を抑え、これによって、活性点に対する反応ガスの供給が阻害されることが抑えられる。
触媒担持粒子を覆う疎水性被膜は、例えば、少なくとも一つの極性基を有するフッ素系化合物から形成される。極性基には、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、カーボネート基、アミド基などが挙げられる。極性基の存在により、電極触媒層の最表面にフッ素系化合物を固定化することができる。フッ素系化合物における極性基以外の部分は、疎水性及び化学的安定性の高さからフッ素及びカーボンからなる構造であることが好ましい。しかし、疎水性被膜が十分な疎水性及び化学的安定性を有するならばこのような構造に限られるものではない。
改良電極触媒層を構成する第一の電極触媒部用の触媒インクに含まれるカーボン繊維は、ポリベンゾイミダゾール(以下、PBIと言うこともある)を主成分として形成された被覆層を有する。ポリベンゾイミダゾールは、窒素原子を含有する高分子である。窒素原子を含有する高分子において、窒素原子は、非共有電子対を有するルイス塩基性基を構成しており、アゾール構造を有する。アゾール構造とは、窒素を1つ以上含む複素5員環構造のことであり、例えば、イミダゾール構造、オキサゾール構造である。ポリベンゾイミダゾール以外にもポリベンゾオキサゾールなど、窒素原子を含む高分子であっても良い。窒素原子を含有すると、窒素原子の非共有電子対と高分子電解質のプロトンとの相互作用を生じさせることができる。これにより、膜電極接合体中のプロトン伝導性が向上し、出力特性を向上させることができる。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子、イオノマー、ポリベンゾイミダゾールを主成分として形成した被覆層を有するカーボン繊維を浸食することがなく、イオノマーを流動性の高い状態で溶解又は微細ゲルとして分散できるものあれば特に限定されるものではない。しかしながら、溶媒には、揮発性の有機溶媒が少なくとも含まれていることが望ましい。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、アルコール類、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、極性溶剤等であってよい。アルコール類は、例えば、メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、イソブチルアルコール、tert‐ブチルアルコール、ペンタノール等であってよい。ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトン等であってよい。エーテル系溶剤は、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等であってよい。極性溶剤は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1‐メトキシ‐2‐プロパノール等であってよい。また、溶媒は、上述の材料のうち2種以上を混合させた混合溶媒であってもよい。
また、低級アルコールを用いた分散媒は発火の危険性が高いため、低級アルコールを分散媒として用いる場合は、低級アルコールと水との混合溶媒を用いることが好ましい。更に、分散媒には、イオノマーとなじみが良い水、すなわちイオノマーに対する親和性が高い水が含まれていても良い。分散媒における水の添加量は、イオノマーが分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限されるものではない。
触媒が担持されたカーボン粒子を触媒インクにおいて分散させるために、触媒インクに分散剤が含まれていても良い。
また、触媒インクには、必要に応じて分散処理が行われてもよい。触媒インクの粘度と、触媒インクに含まれる粒子のサイズとを、触媒インクの分散処理の条件によって制御することができる。分散処理は、様々な装置を採用して行うことができる。特に、分散処理の方法は限定されるものではない。例えば、分散処理としては、ボールミルおよびロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理等が挙げられる。また、分散処理には、遠心力によって攪拌を行うホモジナイザー等を採用しても良い。触媒インクに分散処理を行う分散時間が長くなることに伴い、触媒担持粒子の凝集体が破壊されるから、触媒インクを用いて形成された電極触媒層において、細孔容積は小さくなる。
触媒インク中の固形分含有量が多すぎる場合、触媒インクの粘度が高くなるため、電極触媒層2、3の表面にクラックが入りやすくなる。一方、触媒インク中の固形分含有量が少なすぎる場合、成膜レートが非常に遅く、生産性が低下してしまう。したがって、触媒インク中の固形分含有量は、1質量%(wt%)以上50質量%以下であることが好ましい。すなわち、触媒インク中の固形分含有量が1質量%以上であることによって、成膜レートが過剰に遅くなることを抑え、これによって、生産性の低下を抑えることが可能である。触媒インク中の固形分含有量が50質量%以下であることによって、触媒インクの粘度が過剰に高くなることを抑え、これによって、電極触媒層2、3の表面にクラックが生じることが抑えられる。
触媒インクを基材上に塗布する塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法等を採用することができる。
電極触媒層2、3の製造に用いる基材としては、転写シートを用いることができる。
基材として用いられる転写シートとしては、転写性が良い材質であれば良く、例えば、フッ素系樹脂を用いることができる。フッ素系樹脂としては、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げることができる。
また、転写シートとして、高分子シート、高分子フィルムを用いることもできる。高分子シート、高分子フィルムの材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等を用いることができる。
また、基材として転写シートを用いた場合には、高分子電解質膜1に溶媒除去後の塗膜である電極膜を接合した後に転写シートを剥離し、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2、3を備える膜電極接合体11とすることができる。
ガス拡散層4、5としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質を用いることができる。例えば、ガス拡散層4、5として、カーボンクロス、カーボンペーパー、不織布等のポーラスカーボン材を用いることができる。
セパレータ10(10a、10b)としては、カーボンタイプあるいは金属タイプのもの等を用いることができる。なお、ガス拡散層4、5とセパレータ10(10a、10b)はそれぞれ一体構造となっていても良い。また、セパレータ10(10a、10b)もしくは電極触媒層2、3が、ガス拡散層4、5の機能を果たす場合は、ガス拡散層4、5は省略しても良い。
固体高分子形燃料電池12は、ガス供給装置、冷却装置等、その他付随する装置を組み立てることにより製造することができる。
以下に、本実施形態における固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法について具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態は下記の実施例及び比較例によって制限されるものではない。
<効果その他>
本実施形態によれば、複雑な工程を用いることなく、電極触媒層の機械特性が高く、電極反応で生成した水の除去を阻害せずに低加湿条件下での保水性が改善され、低加湿条件下でも高い発電性能を示す膜電極接合体を製造することが可能である。
本実施形態に係る膜電極接合体11の電極触媒層2、3において、ガスの入口側に設ける第一の電極触媒部2a(又は3a)におけるカーボン繊維に、ポリベンゾイミダゾールを主成分として形成した被覆層を有することで保水性を高め、ガスの出口側に設ける第一の電極触媒部2b(又は3b)におけるカーボン繊維の疎水性により水の除去を促進することができる。
この構成によれば、ガスの入口側に設ける第一の電極触媒部2a(又は3a)で保水性を高め、ガスの出口側に設ける第二の電極触媒部2b(又は3b)で水の除去を促進することができる。
そのため、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高めると共に、低加湿条件下でも高い発電特性を得ることができる。
また、本実施形態の膜電極接合体11は、従来品のように高分子電解質膜の両面に一様な電極触媒層を形成するのではなく、少なくとも一方の電極触媒層の形成工程において、第一の電極触媒部2a(又は3a)ではポリベンゾイミダゾールを主成分とした被覆層を有するカーボン繊維を使用し、第二の電極触媒部2b(又は3b)では上記被覆層のないカーボン繊維を使用することで製造できる。
このため、製造工程の大幅な変更等を伴うことなく、またコストの大幅な増加を伴うことなく、高い発電特性を得ることができる。
なお、上記実施形態においては、電極触媒層2,3のそれぞれに第一の電極触媒部と第二の電極触媒部とを設ける場合について説明したが、これに限るものではなく、電極触媒層2,3のそれぞれに、三つ以上の電極触媒部を設けてもよい。電極触媒層2,3のそれぞれに三つ以上の電極触媒部を設ける場合には、ガスの上流側に近い電極触媒部ほど、ポリベンゾイミダゾールを主成分とした被覆層を形成したカーボン繊維の割合が多いものとするか、ポリベンゾイミダゾールを主成分とした被覆層を形成していないカーボン繊維の割合が少ないものとすることが好ましい。
例えば、第一の電極触媒部と第二の電極触媒部との間に配置する第三の電極触媒部は、上述の第一の電極触媒部2a、3a用の触媒インクと第二の電極触媒部2b、3b用の触媒インクとを混合したものを使用して形成する。或いは、第三の電極触媒部用の触媒インクとして、ポリベンゾイミダゾールを主成分とした被覆層を有するカーボン繊維の含有率が、第一の電極触媒部2a、3a用の触媒インクと第二の電極触媒部2b、3b用の触媒インクとの間の値である触媒インクを用意して、第三の電極触媒部を形成しても良い。ただし、第三の電極触媒部は、電極触媒層全体の面積の20%以下とすることが好ましい。また、各電極触媒部間の境界線は、平面視で直線状でなくても良い。境界線は蛇行状などの形状であっても良い。
また、膜電極接合体11において、高分子電解質膜1の両面に形成される電極触媒層2,3の一方のみに、第一の電極触媒部と第二の電極触媒部とが設けられていてもよい。
一方の電極触媒層2,3のみに第一の電極触媒部及び第二の電極触媒部を設けた場合、二つの電極触媒部を有する電極触媒層は、電極反応により水が発生する空気極(カソード)側に配置することが好ましい。ただし、低加湿条件下における高分子電解質の水分保持の点から、二つの電極触媒部を有する電極触媒層は高分子電解質膜1の両面に形成されることが、より好ましい。
また、図1では電極触媒層2,3の第一の電極触媒部と第二の電極触媒部が同等の面積で二分割されている(電極触媒層2に対する第一の電極触媒部の面積率が50%)の例を示しているが、これに限定されない。
電極触媒層2,3に対する第一の電極触媒部の面積率は15%以上60%以下であることがガスの反応性の面から好ましい。電極触媒層2,3に対する第一の電極触媒部の面積率が15%に満たない場合は、低加湿条件下における保水効果が弱く、高い発電特性が得られない。また、電極触媒層2,3に対する第一の電極触媒部の面積率が60%を超える場合は、燃料極及び空気極における物質輸送の妨げにより発電反応が停止するフラッディング現象が生じるため、高い発電特性が得られない。
次に、本実施形態に関する発明の実施例及び比較例について説明する。
(実施例)
ポリベンゾイミダゾールを、ジメチルアセトアミドに溶解させ、PBI分散液を調製した。次に、このPBI分散液に平均繊維径150nmのカーボン繊維(昭和電工社製「VGCF(登録商標)-H」)を加え、超音波分散処理を行った。その後、ろ過と乾燥を行うことで、PBIを被覆したカーボン繊維を得た。
白金担持カーボン粒子(田中貴金属工業社製「TEC10E50E」)と、水と、1-プロパノールとイオノマー(和光純薬工業社製「ナフィオン(登録商標)分散液」)と、PBIを被覆したカーボン繊維とを混合し、ビーズミル分散機を使用して、第一の触媒インクを調製した。
また、白金担持カーボン粒子(田中貴金属工業社製「TEC10E50E」)と、水と、1-プロパノールとイオノマー(和光純薬工業社製「ナフィオン(登録商標)分散液」)と、カーボン繊維(昭和電工社製「VGCF(登録商標)-H」)とを混合し、ビーズミル分散機を使用して、第二の触媒インクを調製した。
次に、ダイコーターを用いて、高分子電解質膜(Dupont社製「ナフィオン(登録商標)211」)1の一面における中央部分(縦50mm×横50mm)の半分(縦50mm×横25mm)に第一の触媒インクを塗布することにより、縦50mm×横25mmの第一の電極触媒部の塗膜を形成した。次に、上記中央部分の残りの半分に第二の触媒インクを塗布することにより、第一の電極触媒部の塗膜の隣に、縦50mm×横25mmの第二の電極触媒部の塗膜を形成した。
第一の触媒インクおよび第二の触媒インクの塗布量は、それぞれ白金担持量が0.3mg/cm2となる量とした。次に、80℃のオーブンを用いた乾燥処理を実施し、塗膜に含まれる分散媒を揮発させることで、合わせて縦50mm×横50mmのカソード側電極触媒層を形成した。このカソード側電極触媒層は、図1に示す第一の電極触媒層2であって、第一の電極触媒部2aと第二の電極触媒部2bからなる。
次に、高分子電解質膜1の他面(カソード側電極触媒層が形成された面の反対の面)における中央部分(縦50mm×横50mm)に、図1に示す配置で、第一の電極触媒部3aと第二の電極触媒部3bからなる第二の電極触媒層(アノード側電極触媒層)3を形成した。
具体的には、先ず、図1の配置で縦50mm×横25mmの部分に第一の触媒インクを塗布して第一の電極触媒部の塗膜を形成した後、その隣(残りの縦50mm×横25mmの部分)に第二の触媒インクを塗布して第二の電極触媒部の塗膜を形成した。第一の触媒インクおよび第二の触媒インクの塗布量は、それぞれ白金担持量が0.1mg/cm2となる量とした。次に、80℃のオーブンを用いた乾燥処理を実施し、塗膜に含まれる分散媒を揮発させることで、合わせて縦50mm×横50mmのアノード側電極触媒層を形成した。
このようにして、実施例の膜電極接合体として、図1に示す構成の膜電極接合体11を得た。
(比較例1)
触媒インクとして、実施例の第一の触媒インクのみを使用して、一様のカソード側電極触媒層およびアノード側電極触媒層を高分子電解質膜の中央部分(縦50mm×横50mm)の両面に形成した点以外は、実施例と同様の手順で比較例1の膜電極接合体を得た。
(比較例2)
触媒インクとして、実施例の第二の触媒インクのみを使用して、一様のカソード側電極触媒層およびアノード側電極触媒層を高分子電解質膜の中央部分(縦50mm×横50mm)の両面に形成した点以外は、実施例と同様の手順で比較例2の膜電極接合体を得た。
[初期発電性能の評価]
実施例及び比較例1、比較例2で得られた膜電極接合体の各々について、膜電極接合体を挟持するように、ガス拡散層であるカーボンペーパーを貼りあわせた後、ガス流路を備えたセパレータで挟持して、固体高分子形燃料電池のサンプルを作製した。実施例の膜電極接合体をセパレータで挟持する際には、図1および図2に矢印で示すガスの流れ方向を合わせた。
各サンプルを、発電評価セル内に設置し、燃料電池測定装置を用いて電流電圧測定を行った。測定時のセル温度は、80℃に設定した。加湿条件は、アノード側相対湿度を90%RH、カソード側相対湿度を30%RHとした。また、燃料ガスとして水素を用い、酸化剤ガスとして空気を用いた。この際に、水素を水素利用率が80%となる流量で流すとともに、空気を酸素利用率が40%となる流量で流した。なお、背圧は50kPaとした。
測定された各膜電極接合体の発電性能について、低電流密度での発電性能の指標として、電流密度が0.2A/cm2の時の電圧が0.85V以上である場合を「S」とし、同電圧が0.8V以上0.85V未満である場合を「A」とし、同電圧が0.8V未満である場合を「B」とする。同様に高電流密度での発電性能の指標として、電流密度が1.5A/cm2の時の電圧が0.75V以上である場合を「S」とし、同電圧が0.65V以上0.75V未満である場合を「A」とし、同電圧が0.65V未満である場合を「B」とする。
その結果、実施例では低電流密度と高電流密度における指標が共に「S」であったが、比較例1では低電流密度と高電流密度における指標が共に「A」であり、比較例2では低電流密度と高電流密度における指標が共に「B」であった。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
1…高分子電解質膜
2…電極触媒層
2a…第一の電極触媒部
2b…第二の電極触媒部
3…電極触媒層
3a…第一の電極触媒部
3b…第二の電極触媒部
4…ガス拡散層
5…ガス拡散層
6…空気極(カソード)
7…燃料極(アノード)
8、8a、8b…ガス流路
9、9a、9b…冷却水流路
10、10a、10b…セパレータ
11…膜電極接合体
12…固体高分子形燃料電池

Claims (4)

  1. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の電極触媒層と、を備え、
    前記一対の電極触媒層のうち少なくとも一方の電極触媒層は、前記電極触媒層に流入するガスの流れ方向の入口側に配置された第一の電極触媒部と、前記流れ方向の出口側に配置された第二の電極触媒部とを有し、
    前記第一の電極触媒部は、触媒担持粒子と、イオノマーと、ポリベンゾイミダゾールを主成分として形成された被覆層を有するカーボン繊維と、を含み、
    前記第二の電極触媒部は、触媒担持粒子と、イオノマーと、カーボン繊維と、を含む燃料電池用膜電極接合体。
  2. 前記カーボン繊維は、気相成長炭素繊維(VGCF)である請求項1に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  3. 前記カーボン繊維の直径は、10nm以上1μm以下の範囲内である請求項1又は請求項2に記載の燃料電池用膜電極接合体。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体を挟持する一対のガス拡散層と、
    前記膜電極接合体及び前記一対のガス拡散層を挟んで対向する一対のセパレータと、
    を備える固体高分子形燃料電池。
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