JP2024012239A - インジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インジェクタへの通電終了時に圧力制御室を確実に閉鎖し、内燃機関の燃費の悪化を防ぐ。【解決手段】インジェクタは、通電時にアーマチュアを引き付ける電磁石と、アーマチュアを電磁石から遠ざかる方向へ押圧するバルブスプリングと、燃料噴射孔を閉鎖する方向へノズルニードルを押圧する圧力制御室を有するバルブボディと、バルブスプリングの押圧力により圧力制御室を閉塞可能なバルブボール67と、アーマチュアとバルブボール67との間に配置されるボールホルダ68と、を備え、ボールホルダ68は、電磁石への通電時に圧力制御室から流出する燃料の流れにより、ボールホルダ68をボールホルダ68の中心軸Z周りに回転させるための回転力発生部90を備える。【選択図】図5
Description
本発明は、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射するインジェクタに関する。
従来、内燃機関の燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタを備えた、直噴式の内燃機関が公知である。特に、直噴式の内燃機関がディーゼルエンジンである場合、蓄圧式燃料噴射制御装置が広く用いられている。
蓄圧式燃料噴射制御装置は、燃料タンク内の燃料を高圧ポンプへ供給する低圧ポンプと、低圧ポンプから供給された燃料をコモンレールへ圧送する高圧ポンプと、高圧ポンプから圧送された高圧燃料を蓄積するコモンレールと、コモンレールから供給される高圧燃料を内燃機関の燃焼室へ噴射するインジェクタと、各種センサの出力を受信し、蓄圧式燃料噴射制御装置を制御する制御装置と、を備える。
蓄圧式燃料噴射制御装置に用いられるインジェクタは、燃料を噴射する燃料噴射孔を備えたノズルと、燃料噴射孔を開閉するためのノズルニードルと、ノズルニードルを燃料噴射孔の閉鎖方向へ押圧する背圧を制御する圧力制御室と、圧力制御室内の燃料の流出を制御する背圧制御部と、を備える。背圧制御部は、圧力制御室に備えられた開閉用オリフィスを閉鎖することにより、ノズルニードルをノズルのシート面に着座させて燃料噴射孔を閉じる。一方、背圧制御部は、開閉用オリフィスを開くことで圧力制御室内の燃料の一部をリークさせることにより、ノズルニードルをノズルのシート面から離座させて、燃料噴射孔から燃料を噴射させる。(特許文献1参照)
インジェクタの背圧制御部は、アーマチュアを往復動させる電磁アクチュエータと、電磁アクチュエータの電磁石への通電停止時に、圧力制御室の開閉用オリフィスを閉鎖するバルブボールと、アーマチュアとバルブボールとの間に配置され、バルブボールを保持するボールホルダと、を備える。
電磁石への通電停止時、バルブボールは、アーマチュア及びボールホルダを介して受ける、アーマチュアを開閉用オリフィス側へ付勢するバルブスプリングの付勢力により、開閉用オリフィスを閉鎖する。一方、電磁石への通電がなされると、アーマチュアが開閉用オリフィスとは反対側へ引付けられるため、バルブボール及びボールホルダは、圧力制御室内の燃料圧力により上昇し、開閉用オリフィスが開かれる。
開閉用オリフィスの開弁時、バルブボール及びボールホルダが、開閉用オリフィスから流出する燃料の流れの影響により、インジェクタの軸方向視において、径方向に若干変位することがある。この場合であっても、バルブボールが着座するシート面が、開閉用オリフィス側からアーマチュア側へ向かうにつれて内径が拡大する様に形成されているため、バルブボールがシート面に着座する際に、バルブボールがシート面を移動することが可能であり、バルブボール及びボールホルダはシート面の径方向中心部へ戻る。
しかしながら、例えばアーマチュアとボールホルダとが当接している部分に、燃料中に含まれる微粒子、いわゆるパーティクルが挟み込まれた場合等、アーマチュアとボールホルダとの間の摩擦力が通常よりも大きくなった場合、電磁石への通電停止後、バルブボールがシート面の径方向中心部に着座しない恐れがある。この現象について、以下に詳述する。
バルブボールがシート面から離座する際には、アーマチュアがシート面から離れる方向に移動しつつ、バルブボール及びボールホルダは圧力制御室から流出する燃料の圧力を受ける。一方、バルブボールがシート面に着座する際には、アーマチュアがシート面に近づく方向に移動しつつ、バルブボール及びボールホルダが圧力制御室から流出する燃料の圧力を受ける。よって、バルブボールが着座する時の方が、離座する時よりも、アーマチュアとボールホルダとの当接面における押圧力が大きい。よって、バルブボールが着座する時の方が、離座する時よりも、アーマチュアとボールホルダとの間の摩擦力が大きい。
そして、上述したパーティクルの影響等により、アーマチュアとボールホルダとの間の摩擦力がさらに大きくなった場合、バルブボールがシート面から離座する際には、バルブボールとボールホルダが径方向に変位する一方、バルブボールがシート面に着座する際には、ボールホルダのアーマチュアに対する径方向への変位が妨げられ、あるいは変位が不十分となり、バルブボールがシート面の径方向中心部へ完全に戻ることができない状況が生じる恐れがある。
開閉用オリフィスの閉弁時に、バルブボールがシート面の径方向中心部に着座することができない場合、電磁石への通電がなされていないにも関わらず、燃料が圧力制御室からシート部の上部へ漏れ出す。すると、燃料の圧力を維持するため、高圧ポンプの吐出量が増大することとなり、内燃機関の燃費に悪影響を与える。
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、開閉用オリフィスの閉弁時に、バルブボールが確実にシート部の径方向中心部へ着座するインジェクタを得ることを目的とする。
本発明によれば、通電時にアーマチュアを引き付ける電磁石と、前記アーマチュアを前記電磁石から遠ざかる方向へ押圧するバルブスプリングと、燃料噴射孔を閉鎖する方向へノズルニードルを押圧する圧力制御室を有するバルブボディと、前記バルブスプリングの押圧力により前記圧力制御室を閉塞可能なバルブボールと、前記アーマチュアと前記バルブボールとの間に配置されるボールホルダと、を備えたインジェクタであって、前記ボールホルダは、前記電磁石への通電時に前記圧力制御室から流出する燃料の流れにより、前記ボールホルダを前記ボールホルダの中心軸周りに回転させるための回転力発生部を備える、インジェクタが提供される。
本発明のインジェクタによれば、蓄圧式燃料噴射制御装置を搭載した内燃機関の燃費の悪化を防ぐことができる。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。尚、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。また、それぞれの図中、同じ符号が付されているものは同一の要素を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図において、詳細部分の図示が適宜簡略化または省略されている。また、重複する説明については、適宜簡略化または省略されている。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態に係る燃料噴射制御装置の全体構成を示している。本実施形態に係る燃料噴射制御装置は、蓄圧式燃料噴射制御装置1である。蓄圧式燃料噴射制御装置1は、車両に搭載された図示されない内燃機関の気筒内に燃料を噴射するための装置であって、燃料タンク2と、低圧ポンプ11と、燃料フィルタ12と、高圧ポンプ3と、流量制御弁19と、コモンレール5と、圧力制御弁13と、インジェクタ7と、電子制御ユニット9(ECU)等を主たる要素として備えている。
本発明の第1の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態に係る燃料噴射制御装置の全体構成を示している。本実施形態に係る燃料噴射制御装置は、蓄圧式燃料噴射制御装置1である。蓄圧式燃料噴射制御装置1は、車両に搭載された図示されない内燃機関の気筒内に燃料を噴射するための装置であって、燃料タンク2と、低圧ポンプ11と、燃料フィルタ12と、高圧ポンプ3と、流量制御弁19と、コモンレール5と、圧力制御弁13と、インジェクタ7と、電子制御ユニット9(ECU)等を主たる要素として備えている。
低圧ポンプ11と高圧ポンプ3とは低圧燃料通路21で接続され、高圧ポンプ3とコモンレール5、及びコモンレール5とインジェクタ7はそれぞれ高圧燃料通路23、25で接続されている。また、高圧ポンプ3、コモンレール5、インジェクタ7には、インジェクタ7から噴射されない余剰燃料を燃料タンク2に戻すためのリターン通路27、28、29がそれぞれ接続されている。
低圧ポンプ11は、燃料タンク2内の燃料を吸い上げて圧送し、低圧燃料通路21を介して高圧ポンプ3に燃料を供給する。この低圧ポンプ11は燃料タンク2内に備えられたインタンク式の電動ポンプであって、バッテリから供給される電流によって作動する。ただし、低圧ポンプ11は、燃料タンク2の外部に設けられるものであってもよく、また、高圧ポンプ3と一体に設けられるものであってもよい。
高圧ポンプ3には、低圧燃料の入り口部分と連通し、高圧ポンプ3の吐出量を調節するための流量制御弁19が備えられている。流量制御弁19には、例えば供給電流値によって燃料の通路を開閉するための弁部材のストローク量が可変とされ、燃料通過路の面積が調節可能な電磁比例式の制御弁が用いられる。
高圧ポンプ3は、低圧ポンプ11によって、流量制御弁19を介して導入される燃料を加圧し、高圧燃料通路23を介してコモンレール5に圧送する。
コモンレール5は、高圧ポンプ3によって加圧された高圧状態の燃料を蓄積し、高圧燃料通路25を介して接続された各インジェクタ7に燃料を供給する。このコモンレール5には、レール圧センサ15、及び圧力制御弁13が取り付けられている。
レール圧センサ15は、コモンレール5内の燃料の圧力(以下、レール圧とも称する)を検出する。レール圧センサ15のセンサ信号は電子制御ユニット9へ送られる。
圧力制御弁13は、コモンレール5から燃料タンク2へと戻す高圧の燃料の流量を調節することにより、レール圧を調節するために用いられる。圧力制御弁13には、例えば供給電流値によって燃料の通路を開閉するための弁部材のストローク量が可変とされ、燃料通過路の面積が調節可能な電磁比例式の制御弁が用いられる。また、圧力制御弁13の代わりに、所定の圧力に達すると開弁する、機械式の安全弁を用いてもよい。
電子制御ユニット9は、公知の構成のマイクロコンピュータを中心に、RAMやROM等の記憶素子を有し、インジェクタ7を駆動するための駆動回路や、流量制御弁19や圧力制御弁13への通電を行うための通電回路を備える。また、電子制御ユニット9には、レール圧センサ15の検出信号が入力される他、内燃機関の回転数やアクセル開度、燃料温度などの各種の検出信号が、内燃機関の動作制御や燃料噴射制御に供するために入力されるようになっている。
本実施形態に係るインジェクタ7の構造について、図2から図4を参照しつつ説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るインジェクタ7の断面図である。図3は、図2にAで示される部分の拡大図である。図4は、図3にBで示される部分の拡大図である。
図2に示される様に、インジェクタ7は、インジェクタボディ41と、背圧制御部70と、バルブピストン63と、ノズル43と、ノズルスプリング79と、インレットコネクタ45と、を備える。尚、本明細書おけるインジェクタ7の説明に際しては、特に断りがない限り、ノズル43側を下側とし、その反対側、すなわち、背圧制御部70側を上側とする。
インジェクタボディ41には、上下方向に貫通する段付きの貫通孔41aが形成されている。貫通孔41aの中心軸はインジェクタボディ41の中心軸、すなわち、インジェクタ7の中心軸に一致する。貫通孔41aには、バルブピストン63が上下方向に移動自在に収容されている。また、貫通孔41aには、後述のホルダ50、ガイド部材71、バルブボディ49が収容されている。
また、インジェクタボディ41には、第1燃料通路31が形成されている。第1燃料通路31の一端は、インレットコネクタ45を介してコモンレール5に接続されている。一方、第1燃料通路31の他端は、ノズル43に接続されている。尚、インレットコネクタ45は、内部に燃料フィルタ46を備える。
ノズル43は、ノズルボディ44と、ノズルニードル61と、ノズルナット42とを備える。ノズルボディ44には、上端から下方へ凹む孔32が形成されている。孔32には、ノズルニードル61が上下方向に摺動自在に収容されている。ノズルニードル61の上端部は、バルブピストン63の下端部に当接している。また、インジェクタボディ41内の下部には、ノズルニードル61を下方へ押圧するノズルスプリング79を収容するノズルスプリング室41bが形成されている。ノズルスプリング室41bは、貫通孔41aの一部をなす。
孔32の下端部は、ノズルニードル61のシート部であるノズルシート部44cとなっている。ノズルシート部44cには、孔32とノズルボディ44の外部とを連通する、燃料噴射孔44bが形成されている。また、孔32の一部には、ノズルニードル61の受圧部62と対向する位置に、燃料溜まり室33が形成されている。燃料溜まり室33には、ノズルボディ44内に形成された、第2燃料通路39の一端が連通している。第2燃料通路39の他端は、インジェクタボディ41に形成された第1燃料通路31の他端と連通している。また、ノズルボディ44及びノズルニードル61は、ノズルナット42により、インジェクタボディ41に固定されている。
背圧制御部70は、バルブボディ49と、バルブナット40と、バルブボール67と、ボールホルダ68と、電磁アクチュエータ55と、を備える。
バルブボディ49は、インジェクタボディ41内の上部に取り付けられている。バルブボディ49には、下端から上方へ凹む孔49bが形成されている。当該孔49bには、バルブピストン63の上部が上下方向に摺動自在に挿入される。これにより、バルブピストン63の頂部63aよりも上方となる孔49b部分が、圧力制御室66となる。尚、バルブボディ49の中心軸の位置は、インジェクタボディ41に形成された貫通孔41aの内周面によって定まる。
バルブボディ49には、開閉用オリフィス37、圧力導入室35及び導入側オリフィス36が形成されている。開閉用オリフィス37は、圧力制御室66とバルブボディ49の上側に位置する低圧室38とを連通する通路である。開閉用オリフィス37の中心軸は、バルブボディ49の中心軸に一致する。圧力導入室35は、バルブボディ49の側面部に形成されている。導入側オリフィス36は、圧力制御室66と圧力導入室35とを連通する通路である。
インジェクタボディ41には、第3燃料通路34が形成されている。第3燃料通路34の一端は、インレットコネクタ45を介してコモンレール5に接続されている。一方、第3燃料通路34の他端は、バルブボディ49の圧力導入室35に連通している。
開閉用オリフィス37は、後述する電磁アクチュエータ55によって上下動(往復動)するバルブボール67により開閉される。開閉用オリフィス37が開かれた際、第3燃料通路34、圧力導入室35及び導入側オリフィス36を介して圧力制御室66に供給された燃料は、開閉用オリフィス37から流出する。開閉用オリフィス37から流出した燃料は、バルブボディ49の上方に形成された低圧室38に流れ込む。ここで、開閉用オリフィス37の流路断面積は、導入側オリフィス36の流路断面積よりも大きくなっている。このため、開閉用オリフィス37が開かれた際、圧力制御室66の圧力は、第3燃料通路34及び圧力導入室35の燃料圧力よりも低くなる。
開閉用オリフィス37が閉鎖される際には、バルブボール67が、バルブボディ49の上部に形成されたシート面49aに着座する。シート面49aは、開閉用オリフィス37側から上方へ向かうにつれて内径が拡大する様に形成されている。シート面49aの中心軸は、開閉用オリフィス37の中心軸、すなわち、バルブボディ49の中心軸に一致する。上述の様に、バルブボディ49の中心軸は、インジェクタボディ41に形成された貫通孔41aの内周面によって定まることから、シート面49aの中心軸は、インジェクタ7(インジェクタボディ41)の長手方向軸に一致する。尚、バルブボール67は、後述するボールホルダ68に保持される。
インジェクタボディ41の上端部には、筒状のホルダ50の下端部が挿入されている。すなわち、ホルダ50の中心軸の位置は、インジェクタボディ41に形成された貫通孔41aの内周面によって定まることとなる。このホルダ50は、ナット51を介して、インジェクタボディ41に固定されている。そして、インジェクタボディ41内におけるバルブボディ49よりも上方の空間、及びホルダ50内の空間には、バルブボール67を上下動させる電磁アクチュエータ55が収容されている。
電磁アクチュエータ55は、ガイド部材71と、アーマチュア75と、電磁石80と、バルブスプリング86と、アーマチュアスプリング88と、を備える。ガイド部材71は、アーマチュア75を上下方向に摺動自在に支持するものである。このガイド部材71は、例えば筒状のガイド部72と、ガイド部72の外周側に設けられた鍔部73と、を備える。ガイド部72には、上下方向に貫通する貫通孔72aが形成されている。この貫通孔72aにアーマチュア75が挿入されることにより、アーマチュア75は、ガイド部72に摺動自在に支持される。鍔部73には、低圧室38内の燃料が通過する燃料通路73aが形成されている。低圧室38から燃料通路73aに流れ込んだ燃料は、図示せぬ流路を通って、後述の燃料排出用接続口52に流出することとなる。なお、燃料排出用接続口52は、燃料タンク2に接続されている。このため、燃料排出用接続口52に流出した燃料は、燃料タンク2に戻される。
ガイド部材71は、インジェクタボディ41内に収容されている。そして、鍔部73がバルブボディ49とバルブナット40に挟み込まれる様に配置される。すなわち、ガイド部材71とバルブボディ49とが、バルブナット40によりインジェクタボディ41に固定されている。鍔部73の外周面は貫通孔41aの内周面にガイドされており、ガイド部材71の貫通孔72aの中心軸の位置は、インジェクタボディ41に形成された貫通孔41aの内周面によって定まることとなる。
アーマチュア75は、アーマチュアボルト78及びアーマチュアプレート76を備える。アーマチュアボルト78は、ガイド部材71の貫通孔72aに挿入され、ガイド部材71に摺動自在に支持されている。すなわち、アーマチュア75の中心軸の位置は、より詳しくはアーマチュアボルト78の中心軸の位置は、ガイド部材71の貫通孔72aによって定まることとなる。
アーマチュアボルト78の下側には、開閉用オリフィス37を開閉するバルブボール67、及びバルブボール67の上側でバルブボール67を保持するボールホルダ68が設けられている。すなわち、ボールホルダ68は、アーマチュアボルト78とバルブボール67との間に配置されている。ボールホルダ68は、略円柱形状をなし、アーマチュアボルト78の長手方向軸、すなわち、インジェクタ7の長手方向軸と同じ方向の中心軸を持つ。ボールホルダ68のバルブボール67側端面68c(下側端面)には、バルブボール67を保持するためのバルブボール保持用凹部68kが形成されている。また、ボールホルダ68は、後述する回転力発生部90を備える。尚、開閉用オリフィス37がバルブボール67により閉鎖される時、バルブボール67は、シート面49aの径方向中心部に着座するため、この時、ボールホルダ68の中心軸Zは、アーマチュアボルト78の中心軸に一致する。
アーマチュアボルト78には、ガイド部材71の上面からガイド部材71の外部へ突出した箇所に、アーマチュアプレート76が取り付けられている。詳しくは、アーマチュアプレート76には、上下方向に貫通する貫通孔76aが形成されている。この貫通孔76aに、アーマチュアボルト78が摺動自在に挿入されている。ここで、アーマチュアボルト78は、アーマチュアプレート76と共に移動(上下動)するものである。このため、アーマチュアプレート76は、アーマチュアボルト78に取り付けられたCリング89と、アーマチュアプレート76をCリング89へ押しつけるアーマチュアスプリング88とで、挟み込まれている。これにより、アーマチュアボルト78は、アーマチュアプレート76と共に移動(上下動)することができる。
電磁石80は、磁極81にソレノイドコイル82が設けられた構成となっている。この電磁石80は、アーマチュアプレート76を基準として、ガイド部材71とは反対側に設けられている。すなわち、電磁石80は、アーマチュアプレート76の上方に設けられている。このため、電磁石80は、電磁石80のソレノイドコイル82に通電されると、磁力によってアーマチュア75を引き付ける。すなわち、アーマチュア75を上方へ移動させる。
アーマチュアボルト78は、鍔部77を有し、該鍔部77はガイド部72の下側に位置する。ソレノイドコイル82に通電されない状態において、鍔部77とガイド部72との間に所定の間隙が形成される様、各部の寸法が設定されている。そして、ソレノイドコイル82に通電された時、鍔部77がガイド部72の下側端面に当接することにより、アーマチュア75の上昇が終了する。尚、ソレノイドコイル82に供給される電力は、通電用接続口53に接続された図示せぬ電力供給源から供給される。
電磁石80は、ホルダ50内に収容される。また、ホルダ50内には、電磁石80の上方に、固定部材85も収容される。そして、ホルダ50の上端部をかしめることにより、ホルダ50の内周面に形成された段部と固定部材85とによって電磁石80が挟持され、電磁石80がホルダ50に固定される。また、固定部材85には、上述の燃料排出用接続口52も形成されている。
バルブスプリング86は、アーマチュア75をバルブボディ49の開閉用オリフィス37側へ押圧するものである。バルブスプリング86は、電磁石80を上下に貫通する貫通孔83内に配置されている。また、バルブスプリング86の上端部近傍は、固定部材85の下面部中央に形成されるバルブスプリング用凹部85aに収容されている。そして、バルブスプリング86の上端は、バルブスプリング用凹部85aの底部に当接している。また、バルブスプリング86の下端は、アーマチュアボルト78の上端部に当接している。これにより、自然長から圧縮された長さに応じた力で、バルブスプリング86は、アーマチュア75を電磁石80から遠ざかる方向へ押す。すなわち、バルブスプリング86の中心軸の位置は、固定部材85のバルブスプリング用凹部85aで定まる。また、固定部材85は上述のようにホルダ50内に収容されているので、固定部材85のバルブスプリング用凹部85aの中心軸の位置は、ホルダ50で定まることとなる。
このように構成されたインジェクタ7では、コモンレール5からの高圧燃料は、インレットコネクタ45から第1燃料通路31及び第2燃料通路39を介して、燃料溜まり室33内のノズルニードル61の受圧部62に作用する。また、インレットコネクタ45からの高圧燃料は、第3燃料通路34及び圧力導入室35を介して、圧力制御室66内のバルブピストン63の頂部63aにも作用するようになっている。
電磁石80のソレノイドコイル82に通電されていない状態においては、アーマチュア75及び該アーマチュア75の下端部に設けられたバルブボール67及びボールホルダ68は、バルブスプリング86によって押し下げられる。これにより、バルブボール67が、バルブボディ49に形成されたシート面49aに着座し、開閉用オリフィス37を閉塞する。また、電磁石80のソレノイドコイル82に通電されている状態においては、アーマチュア75が上方に引付けられる。この時、アーマチュア75の下端部に設けられたバルブボール67が圧力制御室66から受ける燃料の圧力によって、シート面49aから離座し、バルブボール67及びボールホルダ68は、アーマチュア75と共に上方へ移動する。これにより、開閉用オリフィス37が開かれる。
したがって、電磁石80のソレノイドコイル82に通電されていない状態では、バルブボール67によって圧力制御室66が低圧室38側と遮断されている。このため、ノズルニードル61は、バルブピストン63を介して受ける圧力制御室66の背圧と、ノズルスプリング79の押圧力とにより、ノズルボディ44のノズルシート部44cに押しつけられる。これにより、燃料噴射孔44bは閉鎖される。
一方、電磁石80のソレノイドコイル82に通電されている状態では、圧力制御室66内の燃料圧力が開閉用オリフィス37を介して低圧室38へ開放される。すなわち、圧力制御室66におけるバルブピストン63の頂部63aに作用していた高圧が開放される。そして、ノズルニードル61の受圧部62に作用している燃料圧力が、圧力制御室66内の燃料圧力とノズルスプリング79の押圧力との合力を上回ることにより、ノズルニードル61が上昇する。これにより、燃料噴射孔44bが開放されて、該燃料噴射孔44bから燃料噴射が行われる。
本実施の形態に係るインジェクタ7に備えられるボールホルダ68について、図5を参照しつつ説明する。図5は、本実施の形態に係るボールホルダ68を示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は図5(a)のボールホルダ68を下側から見た底面図である。
本実施の形態に係るボールホルダ68は、電磁石80に通電がなされることにより、バルブボール67がシート面49aから離座した際に、ボールホルダ68を、ボールホルダ68の中心軸Zを中心として回転させるための回転力発生部90を備える。ここで、ボールホルダ68が回転する際の中心軸Zの方向は、インジェクタ7の長手方向である。
本実施の形態における回転力発生部90は、複数形成され、ボールホルダ68のバルブボール67側端面68c(下側端面)から見て、中心軸Zに対し、所定の位相角毎に同一の形状となる様形成される。図5においては、回転力発生部90は、90度おきに4個形成されているが、回転力発生部90の数は4個とは限らない。例えば、回転力発生部90は、120度おきに3個、あるいは72度おきに5個等でも構わない。
回転力発生部90は、ボールホルダ68の外周面68dに凹部として形成される。具体的には、回転力発生部90は、ボールホルダ68のバルブボール67側端面68cにおいて、ボールホルダ68の外周をなす外周円68eと、外周円68eから内側へ所定の長さにわたり伸びる第1線分90aと、第1線分90aと所定の角度をなし、第1線分90aの外周円68e側とは反対側の端点と外周円68eとを結ぶ第2線分90bと、に囲まれた領域を第1領域90cと定義したとき(図5(b)参照)、第1領域90cからアーマチュア75側へ所定長さにわたり形成される凹部領域である(図5(a)参照)。
当該凹部領域における、ボールホルダ68のバルブボール67側端面68cからアーマチュア75側への所定長さは以下となる。第1領域90cの第1線分90aにおけるアーマチュア75側への凹部領域長さをS(図5(a)参照)とすると、ボールホルダ68のバルブボール67側端面68cにおいて、第1線分90aから離れるにつれ、換言すれば、第2線分90bと外周円68eとの交点側へ向かうにつれ、アーマチュア75側への凹部領域長さはSよりも徐々に長くなる。尚、上記凹部領域長さは、特に限定されるものではないが、図5(a)に示される様に、凹部領域の上端部90eは、ボールホルダ68の上側端面68aよりも下側に位置する。
回転力発生部90は、ボールホルダ68がバルブボール67を保持するバルブボール保持用凹部68kに対し、間隔を保つ様形成される。換言すれば、ボールホルダ68において、回転力発生部90はバルブボール保持用凹部68kと干渉することがない様形成される。
本実施の形態においては、電磁石80に通電がなされ、バルブボール67がシート面49aから離座した際に、圧力制御室66から流出した燃料が、回転力発生部90の上端部90eに衝突する。回転力発生部90の上端部90eは、図5(a)に示される様、紙面左側へ向かうにつれ、アーマチュアボルト78側へ近づく様形成されている。よって、圧力制御室66から流出した燃料は、回転力発生部90の上端部90eに沿って紙面左上に向かって流れる。(図5(a)符号91参照)その結果、ボールホルダ68は図5(a)において右側への、換言すれば、図5(b)において時計回りの回転力を得る。
よって、電磁石80に通電がなされ、バルブボール67がシート面49aから離座した際、ボールホルダ68がボールホルダ68の中心軸Zを中心として回転する。このため、電磁石80への通電が終了した後、ボールホルダ68がアーマチュアボルト78に対し運動している状態で、バルブボール67がシート面49aに着座する。すなわち、バルブボール67がシート面49aに着座する際、アーマチュアボルト78とボールホルダ68との当接面における摩擦力が、従来よりも小さくなる。
そのため、バルブボール67がシート面49aから離座する際に、バルブボール67とボールホルダ68とが径方向に変位したとしても、バルブボール67がシート面49aに着座する際に、バルブボール67は容易にシート面49aの径方向中心へ戻ることが可能となる。
また、回転力発生部90は、中心軸Z方向視で、中心軸Zに対し所定の位相角毎に同一の形状となる様複数形成されているため、ボールホルダ68は、中心軸Zに対して偏りのない、安定した回転力を得る。
尚、図5(b)においては、第2線分90bと外周円68eとの交点は、第1線分90aに対し反時計回りの方向に位置しているが、第2線分90bと外周円68eとの交点が、第1線分90aに対し時計回りの方向に位置する様に回転力発生部90が形成されていても構わない。この場合、電磁石80に通電がなされ、バルブボール67がシート面49aから離座した際、ボールホルダ68は、図5(b)において反時計回りの回転力を得る。
また、上述した第1領域90cを形成する第1線分90aは、ボールホルダ68のバルブボール67側端面68cにおける、ボールホルダ68の外周をなす外周円68eから、ボールホルダ68の中心軸(Z)へ向かう線上に定義されてもよい。
また、上述した第1領域90cを形成する第2線分90bは、第1線分90aと直交するものとして、定義されてもよい。
また、回転力発生部90の形状は、上述した形状に限らず、バルブボール67がシート面49aから離座した際、圧力制御室66から流出する燃料により、ボールホルダ68がボールホルダ68の中心軸Zを中心として回転する様に形成されていればよい。すなわち、ボールホルダ68が、外周面68dあるいはバルブボール67側端面68cにおいて、図5に示す回転力発生部90の上端部90eの様に、中心軸Z方向に対し斜め下方を向く面を複数有し、該複数の面が、中心軸Z方向視で、中心軸Zに対し所定の位相角毎に同一の形状となる様形成されていれば、本発明を実施可能である。
また、本発明は、従来使用されているボールホルダ68に対し、追加の切削加工により回転力発生部90を形成することが可能である。この場合、大きな工程変更を行う必要がない。回転力発生部90が切削加工により形成される場合、上述の第1領域90cの部分からアーマチュアボルト78側へ切削加工が行われる。この時、第1領域90cの第1線分90aにおける、アーマチュアボルト78側への切削長さがSとなる。また。第1領域90cから離れるにつれ、換言すれば、第2線分90bと外周円68eとの交点側へ向かうにつれ、アーマチュア75側への切削長さがSよりも徐々に長くなる。
また、上述した回転力発生部90の形状を、プレス加工により形成してもよい。この場合、切削加工により回転力発生部90を形成するよりも安価に製造可能となる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態については、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、第1の実施の形態と同一の部分については説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態については、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、第1の実施の形態と同一の部分については説明を省略する。
図6は、第2の実施の形態に係る、アーマチュア75のアーマチュアボルト78を示す図である。第2の実施の形態においては、アーマチュアボルト78は、ボールホルダ68との当接面(以下、下側端面ともいう)78aに、アーマチュア側凹部78bを有する。第2の実施の形態は、アーマチュアボルト78が、アーマチュア側凹部78bを有すること以外は、第1の実施の形態と同様である。
アーマチュア側凹部78bの表面は略球面形状をなし、径方向の中心へ向かうにつれて凹み量が大きくなる。アーマチュア側凹部78bの凹み量は、特に限定されるものではなく、バルブボール67やボールホルダ68等、周辺部品の大きさにより適宜決定することができる。また、アーマチュアボルト78の下側端面78aにおけるアーマチュア側凹部78bの内径(直径)は、アーマチュアボルト78の下側に配置されるボールホルダ68の外周面68dの直径よりも大きくなる様形成されている。
上記構成により、ボールホルダ68がアーマチュアボルト78に対し回転する際、ボールホルダ68はアーマチュアボルト78の径方向中央部へ向かおうとする。換言すれば、アーマチュア側凹部78bは、ボールホルダ68に対する自動調心機能をもたらす。
これにより、バルブボール67がシート面49aから離座する際に、バルブボール67とボールホルダ68とが径方向に変位しても、バルブボール67がシート面49aに着座する際に、バルブボール67は、より容易にシート面49aの径方向中心へ戻ることが可能となる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態については、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、第1の実施の形態と同一の部分については説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態については、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、第1の実施の形態と同一の部分については説明を省略する。
図7は、第3の実施の形態に係るボールホルダ68を示す図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は図7(a)のボールホルダ68を下側から見た底面図である。第3の実施の形態においては、第1の実施の形態に対し、ボールホルダ68に形成される回転力発生部90の形状が異なる。
本実施の形態に係る回転力発生部90も、第1の実施の形態同様、電磁石80に通電がなされることにより、バルブボール67がシート面49aから離座した際に、ボールホルダ68が、ボールホルダ68の中心軸Zを中心として回転する。本実施の形態においても、ボールホルダ68が回転する際の中心軸Zの方向は、インジェクタ7の長手方向である。
また、本実施形態における回転力発生部90も、複数形成され、ボールホルダ68のバルブボール67側端面(下端面)から見て、中心軸Zに対し、所定の位相角毎に同一の形状となる様形成される。図7においては、回転力発生部90は、90度おきに4個形成されているが、回転力発生部90の数は4個とは限らない。例えば、回転力発生部90は、120度おきに3個、あるいは72度おきに5個等でも構わない。
本実施の形態における回転力発生部90は、第1加工部90gと第2加工部90hとにより形成される。第1加工部90gは、ボールホルダ68のバルブボール67側端面68cからアーマチュア75側へ所定の長さにわたり穿設される孔として形成される。第2加工部90hは、ボールホルダ68の外周面68dと第1加工部90gのアーマチュア75側端部とを連通する孔として形成される。尚、第1加工部90gの長さは、特に限定されるものではないが、ボールホルダ68の上側端面68aに達することはない。
また、第2加工部90hは、その中心軸の延長線がボールホルダ68の中心軸Zと交わることがない様形成されている。換言すれば、第2加工部90hの中心軸とボールホルダ68の中心軸Zとは、ねじれの位置となる。
また、本実施の形態においても、回転力発生部90は、ボールホルダ68がバルブボール67を保持するバルブボール保持用凹部68kに対し、間隔を保つ様形成される。換言すれば、ボールホルダ68において、回転力発生部90はバルブボール保持用凹部68kと干渉することがない様形成される。
本実施の形態においては、電磁石80に通電がなされ、バルブボール67がシート面49aから離座した際に、圧力制御室66から流出した燃料が、第1加工部90gを経由し第2加工部90hから流出する。その際、ボールホルダ68は、図7(b)において時計回りの回転力を得る。
よって、電磁石80に通電がなされ、バルブボール67がシート面49aから離座した際、ボールホルダ68がボールホルダ68の中心軸Zを中心として回転する。このため、電磁石80への通電が終了した後、ボールホルダ68がアーマチュアボルト78に対し運動している状態で、バルブボール67がシート面49aに着座する。すなわち、バルブボール67がシート面49aに着座する際、アーマチュアボルト78とボールホルダ68との当接面における摩擦力が、従来よりも小さくなる。
そのため、バルブボール67がシート面49aから離座する際に、バルブボール67とボールホルダ68とが径方向に変位したとしても、バルブボール67がシート面49aに着座する際に、バルブボール67は容易にシート面49aの径方向中心へ戻ることが可能となる。
また、回転力発生部90は、中心軸Z方向視で、中心軸Zに対し所定の位相角毎に同一の形状となる様複数形成されているため、ボールホルダ68は、中心軸Zに対して偏りのない、安定した回転力を得る。
尚、図7(b)においては、第2加工部90hは、第1加工部90gに対し、反時計回りの領域に形成されているが、第2加工部90hは、第1加工部90gに対し、時計回りの領域に形成されていても構わない。この場合、電磁石80に通電がなされ、バルブボール67がシート面49aから離座した際、ボールホルダ68は、図7(b)において反時計回りの回転力を得る。
尚、上述した第1加工部90gは、ボールホルダ68のバルブボール67側端面68cに対し、垂直に形成されていてもよい。
また、第2加工部90hは、第1加工部90gに対し垂直に形成されていてもよい。
また、本実施の形態は、従来使用されているボールホルダ68に対し、ドリルによる穴あけという比較的簡易な加工を追加することにより回転力発生部90を形成することができる。よって、従来に対し大きな工程変更を行う必要がない。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図8は、第4の実施の形態に係る、アーマチュア75のアーマチュアボルト78を示す図である。第4の実施の形態においては、アーマチュアボルト78は、その下側端面78a、すなわち、ボールホルダ68との当接面に、アーマチュア側凹部78bを有する。第4の実施の形態は、アーマチュアボルト78が、アーマチュア側凹部78bを有すること以外は、第3の実施の形態と同様である。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図8は、第4の実施の形態に係る、アーマチュア75のアーマチュアボルト78を示す図である。第4の実施の形態においては、アーマチュアボルト78は、その下側端面78a、すなわち、ボールホルダ68との当接面に、アーマチュア側凹部78bを有する。第4の実施の形態は、アーマチュアボルト78が、アーマチュア側凹部78bを有すること以外は、第3の実施の形態と同様である。
第4の実施の形態の特徴及びその効果は、上述した第2の実施の形態と同様であるので、再度の説明は省略する。
以上、説明した様に、本発明によれば、開閉用オリフィス37の閉弁時に、バルブボール67を確実にシート面49aの径方向中心部へ着座させることが可能となる。
尚、インジェクタ7に対し、電磁石80への通電開始後、バルブボール67はシート面49aから離座するものの、ノズルニードル61の上昇前に電磁石80への通電を終了させ、バルブボール67をシート面49aへ着座させる、いわゆる空打ち制御が行われることがある。空打ち制御により、燃料を噴射することなく、短時間でレール圧を低下させることができる。空打ち制御が実行された場合においても、電磁石80への通電時に、燃料が圧力制御室66から流出するため、本発明が有効に機能する。
7:インジェクタ、44b:燃料噴射孔、49:バルブボディ、61:ノズルニードル、66:圧力制御室、67:バルブボール、68:ボールホルダ、68c:端面、68d:外周面、68e:外周円、68k:バルブボール保持用凹部、75:アーマチュア、78a:当接面(下側端面)、78b:アーマチュア側凹部、80:電磁石、86:バルブスプリング、90:回転力発生部、90a:第1線分、90b:第2線分、90c:第1領域、90g:第1加工部、90h:第2加工部、Z:中心軸
Claims (9)
- 通電時にアーマチュア(75)を引き付ける電磁石(80)と、
前記アーマチュア(75)を前記電磁石(80)から遠ざかる方向へ押圧するバルブスプリング(86)と、
燃料噴射孔(44b)を閉鎖する方向へノズルニードル(61)を押圧する圧力制御室(66)を有するバルブボディ(49)と、
前記バルブスプリング(86)の押圧力により前記圧力制御室(66)を閉塞可能なバルブボール(67)と、
前記アーマチュア(75)と前記バルブボール(67)との間に配置されるボールホルダ(68)と、
を備えたインジェクタ(7)であって、
前記ボールホルダ(68)は、前記電磁石(80)への通電時に前記圧力制御室(66)から流出する燃料の流れにより、前記ボールホルダ(68)を前記ボールホルダ(68)の中心軸(Z)周りに回転させるための回転力発生部(90)を備える、インジェクタ(7)。 - 前記回転力発生部(90)は、前記ボールホルダ(68)に形成された凹部であり、
前記凹部は、前記ボールホルダ(68)のバルブボール(67)側端面(68c)における、前記ボールホルダ(68)の外周をなす外周円(68e)と、前記外周円(68e)から内側へ伸びる第1線分(90a)と、前記第1線分(90a)と所定の角度をなし、前記第1線分(90a)の前記外周円(68e)側とは反対側の端点と前記外周円(68e)とを結ぶ第2線分(90b)と、に囲まれた領域を第1領域(90c)としたとき、前記第1領域(90c)から前記アーマチュア(75)側への所定長さにわたる領域であり、
前記アーマチュア(75)側への所定長さは、前記第1線分(90a)側における長さを基準として、前記第1線分(90a)側から離れるにつれて長くなり、
前記回転力発生部(90)は、前記ボールホルダ(68)が前記バルブボール(67)を保持するバルブボール保持用凹部(68k)に対し間隔を保つ様複数形成され、かつ、中心軸(Z)に対し所定の位相角毎に同一の形状となる様形成される、
請求項1に記載のインジェクタ(7)。 - 前記第1線分(90a)は、前記外周円(68e)から前記ボールホルダ(68)の中心軸(Z)へ向かう線上にあり、
前記第2線分(90b)は、前記第1線分(90a)と直交する、
請求項2に記載のインジェクタ(7)。 - 前記回転力発生部(90)は、第1加工部(90g)と第2加工部(90h)とにより形成され、
前記第1加工部(90g)は、前記ボールホルダ(68)のバルブボール(67)側端面(68c)から前記アーマチュア(75)側へ穿設される孔として形成され、
前記第2加工部(90h)は、前記ボールホルダ(68)の外周面(68d)と前記第1加工部(90g)の前記アーマチュア(75)側端部とを連通する孔として形成され、
前記回転力発生部(90)は、前記ボールホルダ(68)が前記バルブボール(67)を保持するバルブボール保持用凹部(68k)に対し間隔を保つ様複数形成され、かつ、中心軸(Z)に対し所定の位相角毎に同一の形状となる様形成される、
請求項1に記載のインジェクタ(7)。 - 前記第2加工部(90h)の長手方向の中心軸は、前記ボールホルダ(68)の中心軸(Z)に対し、所定の間隔を保つ様形成される、
請求項4に記載のインジェクタ(7)。 - 前記第1加工部(90g)は、前記ボールホルダ(68)のバルブボール(67)側端面(68c)に対し垂直に形成される、
請求項5に記載のインジェクタ(7)。 - 前記第2加工部(90h)は、前記第1加工部(90g)に対し垂直に形成される、
請求項6に記載のインジェクタ(7)。 - 前記アーマチュア(75)は、前記ボールホルダ(68)との当接面(78a)に、径方向の中心へ向かうにつれて凹み量が大きくなるアーマチュア側凹部(78b)を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のインジェクタ(7)。
- 前記ボールホルダ(68)との当接面(78a)における、前記アーマチュア側凹部(78b)の内径は、前記ボールホルダ(68)の外径よりも大きい、請求項8に記載のインジェクタ(7)。
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