JP2024011988A - モータの回転子鉄心構造 - Google Patents

Abstract

【課題】 モータの回転子鉄心構造を提供することを課題とする。【解決手段】 本発明により提供されるモータの回転子鉄心構造は、回転モータの回転子鉄心において、モータ回転軸を円の中心とする円周方向に沿って、鉄心上に互いに間隔を置いた複数の貫通穴状の空間が順次設けられ、前記貫通穴状の空間が回転子内の磁路の障壁となると共に非導磁性の材料で作製された複数のストレート棒状の結合要素の挿通のために用いられ、前記鉄心を構成するための複数の珪素鋼板間の積層状態が前記結合要素によって固定されることで、鉄心全体の剛性を向上させ、高速回転の遠心力による珪素鋼板の変形又は損傷の可能性を低減することを主な技術的特徴とする。【選択図】 図３

Description

本発明は、モータ技術に関し、特に、モータの回転子鉄心構造に関する。

高速回転時の遠心力によりスピンドルモータ回転子に生じる応力を抑えるため、特許文献１において、回転子磁石溝側磁気障壁孔の形状設計を通じて、磁気障壁孔の外径側の穴壁の滑らかな円弧状を利用し、遠心力によって当前記部分と回転子外径面との間の最も狭い領域に作用する最大応力を減少し、回転子が高速回転時、応力集中による損傷があっても、上記最も狭い領域に制限されることで、固定子側へ飛散することを防ぐ。

同時に特許文献１では、貫通穴が新しい応力集中点になり、回転子の強度が低下するため、回転子を貫通する貫通穴を用いて貫通ボルトの挿通と結合を提供することを推奨しないことも明確に指摘した。スピンドルモータについて、従来技術のスピンドルの直径を大きくすることで、剛性を向上させて良好な加工精度を得る技術手段も、スピンドル周辺側を囲む回転子要素の半径方向における厚さの相対的な減少につながり、回転子は限られる半径方向の厚さの範囲内で、上記貫通穴を増設して貫通ボルトで鉄心珪素鋼板間の固結の目的を達成することが困難である。

米国特開第ＵＳ２０１４１６７５５１Ａ１号公報

本発明の主な目的は、回転子鉄心の構造的剛性を向上し、モータ回転子がスピンドルモータの高速回転ニーズを特に満たさせることができるモータの回転子鉄心構造を提供することである。

故に、上記目的を達成するため、本発明により提供されるモータの回転子鉄心構造は、回転モータの回転子鉄心において、モータ回転軸を円の中心とする円周方向に沿って、鉄心上に互いに間隔を置いた複数の貫通穴状の空間が順次設けられ、前記貫通穴状の空間が回転子内の磁路の障壁となると共に非導磁性の材料で作製された複数のストレート棒状の結合要素の挿通のために用いられ、前記鉄心を構成するための複数の珪素鋼板間の積層状態が前記結合要素によって固定されることで、鉄心全体の剛性を向上させ、高速回転の遠心力による珪素鋼板の変形又は損傷の可能性を低減することを主な技術的特徴とする。

さらに、上記複数の貫通穴状の空間は、各々貫通穴状の磁気障壁空間と、前記磁気障壁空間と連通する貫通穴とを含み、各前記貫通穴状の空間が各々前記回転子鉄心の磁石溝の上記円周方向における両側に位置され、単一の磁石溝両側にある貫通穴状の空間は上記円周の直径を鏡像軸として互いに鏡像化され、磁気障壁空間を介して磁石溝と連通する。

ここで、磁気障壁空間は、第１側により磁石溝と連通し、第２側を通じて貫通穴と連通し、磁気障壁空間の第１側の内径が第２側の内径よりも大きく、上記の円周の半径方向断面で内径変化が等しい磁気障壁の具体的な形状は、三角形の平面幾何学的形状であり得る。

同時に、磁気障壁空間の第２側の内径も貫通穴の内径より小さいので、貫通穴を挿通する結合要素は、磁気障壁空間と貫通穴との間の連通部位を経由して磁気障壁空間に半径方向に変位することはないことで、結合要素を拘束と位置決めする効果を奏する。

磁気障壁空間と磁石溝との間の連通部位の内径は、磁気障壁空間の第１側の内径より小さく、また磁石溝の上記円周半径方向における溝空間の高さよりも小さいので、磁石溝に嵌め込まれる磁石が磁石溝と磁気障壁空間との間の連通部位を経由して磁気障壁空間に変位することはないことで、磁石溝にある磁石を拘束と位置決めする効果を奏する。

本発明の好ましい実施例の立体図である。 本発明の好ましい実施例の図1の断面図である。 本発明の好ましい実施例の図２の部分領域Ｋの拡大図である。 本発明の好ましい実施例の図２の部分領域Ｋの拡大図である。

以下、本発明の好ましい実施例を通じて説明するモータの回転子鉄心構造は、高速回転を使用目的としたスピンドルモータの回転子要素を例として取り上げるが、スピンドルモータ全体技術において、本発明の技術的特徴の開示を妨げない部分については、以下の説明で記述しないが、これらの省略した部分は本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の出願前に知っている従来技術に属し、その省略も本発明の主な技術的特徴の開示の完全性に影響を及ぼさない。

図１及び図２に示すように、本発明の好ましい実施例で提供されるモータの回転子鉄心構造１０は、主に鉄心２０と、穴の形を呈する複数の磁石溝３０と、対になった複数の磁気障壁空間４０と、複数の貫通穴５０と、複数の結合要素６０とを含む。

前記鉄心２０は、複数の環状珪素鋼板を順番に同軸に積層してから成る円筒形管状物で、管状内側管壁で画定された内径環面２１と、管状外側管壁で画定された外径環面２２とを有し、前記内径環面２１の半径方向における断面形状は円形を呈し、前記外径環面２２の半径方向における断面形状が円形であり得、本実施例で開示するように２つの弧度が異なる複数の第１円弧２２１と複数の第２円弧２２２が交互に連結されてから成ることもでき、前記外径環面２２の曲率中心を前記内径環面２１の円の中心に同軸又は平行である。

各前記磁石溝３０は、前記内径環面２１の円の中心軸方向に沿って前記鉄心に各々貫設されて、前記内径環面２１と前記外径環面２２との間に介在することで、各前記磁石溝３０の溝空間を介して磁石（図示せず）を収容し、各前記磁石溝３０の溝壁を介して収容された磁石を位置決めし、磁石が前記鉄心２０内部に密に嵌め込まれる。ただし、前記磁石溝３０の具体的な形状は、本出願の技術的特徴ではないため、本明細書において詳細に描写しない。

前記磁気障壁空間４０は、前記内径環面２１の直径を鏡像軸とし、対になって各前記磁石溝３０の両側に隣り合い、前記内径環面２１の円の中心軸方向に沿って延びて前記鉄心２０上の穴状構造に貫設され、かつ各々第１側４１により隣り合う磁石溝３０と連通する。

前記貫通穴５０は、それぞれ前記内径環面２１の円の中心軸方向に沿って延びて前記鉄心２０に貫設され、対になった各前記磁気障壁空間４０の第２側４２と対ごとに連通する。

図４を参照すると、各前記結合要素６０は、非導磁性の材料（ステンレス鋼材又はアルミ材など）で作製されたストレート棒状胴体部６１を各々備え、各前記貫通穴５０にそれぞれ挿通され、軸部両端を前記鉄心２０の管軸両端の端面から突き出て、両端部（図示せず）が前記鉄心２０の管軸両端の外側に位置し、前記胴体部６１の軸部両端と各々固着することで、前記珪素鋼板に力を加えて前記珪素鋼板間の積層状態を維持し、同時に非導磁性の物理的性質により前記貫通穴５０の穴空間が磁路への妨害作用を維持できるようさせる。

各前記磁石溝３０と磁気障壁空間４０と貫通穴５０との間の結合空間形態を説明するため、図３を参照すると、磁石溝３０の一側にある磁気障壁空間４０は、前記第１側４１の一部により前記磁石溝３０と連通し、前記一部の連通領域４１１の内径が前記第１側４１の内径より小さく、同時に前記磁気障壁空間４０は前記第２側４２の一部により前記貫通穴５０の一部と連結して形成された連絡通路４２１の内径も前記貫通穴５０の内径Ｄより小さくすることで、上記の内径差を介して前記磁石溝３０、前記磁気障壁空間４０及び前記貫通穴５０が互いに連通すると同時に、前記磁石溝３０に嵌め込まれた磁石、及び前記貫通穴５０に挿通された胴体部６１が前記連通領域４１１又は連絡通路４２１を経由して前記磁気障壁空間４０に変位することを防ぐことができる。

ここで、本実施例における前記貫通穴５０の具体的な形状は、半径方向断面上に円形を呈し、前記胴体部６１の半径方向における断面形状がそれを補完する円形を呈することで、前記胴体部６１の周辺側の胴体壁部が前記貫通穴５０の穴壁に対応してフィットされ、前記胴体部６１と前記貫通穴５０と間の挿嵌を安定させることができる。その他の実施例において、前記貫通穴の形状は、楕円形又は多角形などの本実施例の平面幾何学的形状とは異なることができる。

また、前記磁気障壁空間４０の半径方向における断面形状は、三角形を呈し、それぞれ前記第１側４１で三角形の第１辺を画定し、磁気障壁空間４０の前記内径環面２１に近い内側穴壁４３で三角形の第２辺を画定し、磁気障壁空間４０の前記外径環面２１に近い外側穴壁４４で三角形の第３辺を画定し、前記連絡通路４２１を前記第３辺の範囲内に位置させる。

上記の構成要素の構成により、前記モータの回転子鉄心構造１０は、前記貫通穴５０を介して結合要素６０を挿通させることから積層された珪素鋼板を密に結合して良好な固定効果を奏し、鉄心の剛性を向上させ、また前記結合要素６０の非導磁特性を限定するため、前記貫通穴５０と前記磁気障壁空間４０から形成される磁気障壁効果を維持させることができ、前記モータの回転子鉄心構造１０は鉄心強度及び電磁特性を兼ね備えることができ、従来技術と比較して明らかな進歩を遂げる。

さらに、図３を参照すると、前記モータの回転子鉄心構造１０により良い機械的性質を得させるため、本出願は前記磁気障壁空間４０及び前記貫通穴５０の寸法をさらに研究し、下表１に示すデータは本出願が従来技術と比較して安全率の点で良好な性能を有することを証明している。

上表において、
Ｂは、第１夾角で、前記鉄心２０の半径方向上の前記磁気障壁空間の内側穴壁４３と隣接する前記磁石溝３０の前記内径環面２１に近い内側溝面３１との間にある夾角として定義され、
Ｃは、第２夾角で、前記鉄心２０の半径方向上の前記磁気障壁空間の内側穴壁４３と外側穴壁４４との間にある内角として定義される。

前記磁気障壁空間４０と連通する磁石溝３０との間は、１５０°≦Ｂ≦１９０°及び１６°≦Ｃ≦３５°を満たし、
前記貫通穴５０は、次の式（Ｉ）を満たす。

式中、Ｄは、前記貫通穴５０の直径、Ｒｏは前記第２円弧２２２の半径である。前記磁気障壁空間４０及び連通する前記貫通穴５０は、次の式（ＩＩ）を満たす。

式中、Ｆは、磁気障壁の幅で、互いに連通する各前記磁気障壁空間４０と各前記貫通穴５０の前記第１側４１と前記貫通穴５０の曲率中心位置との間の直線距離として定義され；Ｒｏは、前記第２円弧２２２の半径である。

上記表１に示すように、前記モータの回転子鉄心構造１０は、安全率を１．０１以上に上げることができ、高速回転時の前記鉄心２０の剛性を向上させることで、遠心力の作用下で発生する可能性のある変形又は損傷を低減できる。

１０ モータの回転子鉄心構造
２０ 鉄心
２１ 内径環面
２２ 外径環面
２２１ 第１円弧
２２２ 第２円弧
３０ 磁石溝
４０ 磁気障壁空間
４１ 第１側
４１１ 連通領域
４２ 第２側
４２１ 連絡通路
４３ 内側穴壁
４４ 外側穴壁
５０ 貫通穴
６０ 結合要素
６１ 胴体部
Ｂ 第１夾角
Ｃ 第２夾角
Ｄ 貫通穴の内径
Ｆ 磁気障壁の幅
Ｒｏ 第２円弧の半径

Claims (9)

1. 内径環面（２１）と、外径環面（２２）とを有し、前記外径環面（２２）は、弧度が異なる複数の第１円弧（２２１）と複数の第２円弧（２２２）が交互に連結されてから成る複数の環状珪素鋼板を順番に同軸に積層してから成り、環状を呈する鉄心（２０）と、
   互いに間隔を置いて、それぞれ前記鉄心（２０）の内径環面（２１）と外径環面（２２）との間に介在し、前記鉄心の内径環面（２１）の曲率中心の軸方向に平行に延びて前記鉄心（２０）を貫通する複数の磁石溝（３０）と、
   各々前記鉄心（２０）の内径環面（２１）の曲率中心の軸方向に平行に延びて前記鉄心（２０）を貫通し、かつ各前記磁石溝（３０）の半径方向における両側と間隔をそれぞれ置く複数の対になった貫通穴（５０）と、
   前記鉄心（２０）の内径環面（２１）の曲率中心の軸方向に平行に延びて前記鉄心（２０）をそれぞれ貫通し、各前記磁石溝（３０）の両側と各前記対になった貫通穴（５０）との間にそれぞれ介在され、第１側（４１）により前記磁石溝（３０）と連通し、第２側（４２）により前記貫通穴（５０）と連通する穴の形を呈し、対になった複数の磁気障壁空間（４０）と、
   それぞれ各前記貫通穴（５０）を挿通して固定され、前記鉄心（２０）の軸方向の両端に互いに向き合う力を加え、かつ前記積層する珪素鋼板に作用する非導磁性の材料で作製され、ストレート棒状を呈する結合要素（６０）と、を含むモータの回転子鉄心構造（１０）であって、
   各前記貫通穴（５０）の穴壁は、穴空間内を挿通する各前記結合要素（６０）の外周面に密着し、
   各前記第１側（４１）の内径は、各前記第２側（４２）の内径よりも大きく、
   各前記第１側（４１）の内径は、各前記第１側（４１）と各前記磁石溝（３０）との間の連通領域の内径より大きく、
   各前記第２側（４２）と前記貫通穴（５０）とが連絡する通路の内径は、各前記貫通穴（５０）の内径より小さい、
   モータの回転子鉄心構造。
2. 前記貫通穴（５０）は、次の式（Ｉ）を満たし、各前記磁気障壁空間（４０）と連通する各前記貫通穴（５０）が次の式（ＩＩ）を満たす請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。
   （Ｉ）
   ［式中、
   Ｄは、前記貫通穴（５０）の穴径であり、
   Ｒｏは、前記第２円弧（２２２）の半径であり、
   Ｆは、互いに連通する各前記磁気障壁空間（４０）と各前記貫通穴（５０）の前記第１側（４１）と前記貫通穴（５０）の曲率中心位置との間の直線距離である。
3. 各前記磁気障壁空間（４０）は、それぞれ三角形を呈し、前記第１側（４１）で三角形の第１辺を画定し、内側穴壁（４３）で三角形の第２辺を画定し、外側穴壁（４４）で三角形の第３辺を画定し、各前記磁気障壁空間（４０）と連通する各前記貫通穴（５０）の位置を各々各前記第３辺の範囲内に位置させる請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。
4. 前記鉄心（２０）の半径方向において、前記磁気障壁空間（４０）の前記鉄心の内径環面に近い内側穴壁（４３）と前記磁気障壁空間（４０）の前記外径環面に近い外側穴壁（４４）との間の内角（Ｃ）の角度は、１６゜～３５゜の範囲である請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。
5. 前記鉄心（２０）の半径方向において、前記磁気障壁空間（４０）の前記鉄心の内径環面に近い内側穴壁（４３）と隣接する前記磁石溝（３０）の前記内径環面（２１）に近い内側槽面との間の内角（Ｂ）の角度は、１５０゜～１９０゜の範囲である請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。
6. 各前記結合要素（６０）は、それぞれ前記貫通穴を貫通するストレート棒状胴体部（６１）と、鉄心の軸方向の両端外に位置する２つの端部とを含み、各前記端部は前記胴体部（６１）の胴体端部と固結する請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。
7. 各前記貫通穴（５０）の半径方向断面は、円形の平面幾何学的形状を呈する請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。
8. 各前記貫通穴（５０）の半径方向断面は、楕円形の平面幾何学的形状を呈する請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。
9. 各前記貫通穴（５０）の半径方向断面は、多角形の平面幾何学的形状を呈する請求項１に記載のモータの回転子鉄心構造。