JP2024011542A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非常に高度な耐摩耗性(例えば、ガラス並みのもの)を維持しながら、可視光の透明性及び紫外線遮蔽性を発現し、更に長期の屋外暴露に耐え得る耐候性、耐久性を全て満たした積層体を大気圧下、簡易なプロセスで安定的に製造する方法を提供することを目的とする。【解決手段】 有機樹脂基材上に特定のアクリルシリコーン樹脂組成物を活性化エネルギー線で硬化させ中間層を形成し、この中間層の表面を酸素をキャリアガスとした大気圧プラズマにより表面処理を行い、引き続き酸素および有機ケイ素化合物をキャリアガスとして有機ケイ素化合物をプラズマ重合してハードコート層を形成する。【選択図】 なし

Description

本発明は、積層体の製造方法に関するものである。特に、本発明は、耐候性及び耐摩耗性に優れ、厳しい使用環境下でも長期的に使用することのできる積層体の製造方法に関するものである。
有機樹脂材料は耐衝撃性、軽量性、加工性等の特徴を生かして、多方面の用途で使用されている。特に近年、その特性を生かして各種車両の窓材の用途に、表面硬度や耐摩耗性を高めた有機樹脂成形物を適用しようとする動きがある。このような用途ではガラス並みの高度な耐摩耗性や屋外での耐候性が要求される。例えば自動車では、ワイパー作動時の擦り傷防止やウインドウ昇降時の擦り傷防止等において高いレベルの耐摩耗性が要求されるし、非常に高い温度や湿度の環境下での使用も前提にしなくてはならない。
従来、プラスチック等の有機樹脂基材の表面に、高硬度、耐擦傷性の付与を目的とした表面保護塗膜を形成するコーティング剤として、加水分解性オルガノシランを加水分解又は部分加水分解して得られる組成物からなるコーティング剤、あるいはこの組成物にコロイダルシリカを混合したコーティング剤が知られている。
例えば、特許文献1~3には、オルガノアルコキシシラン、このオルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物、並びにコロイダルシリカからなり、過剰の水でアルコキシ基をシラノールに変換してなるコーティング剤が提案されている。しかし、これらの湿式コーティングにより得られる塗膜は、硬度が十分でなく、代替対象のガラスに対比して耐擦傷性が劣るという問題があった。
これら湿式コーティングにより得られる塗膜の耐擦傷性不足の課題を克服するために上記湿式コーティング層に更に有機ケイ素化合物をプラズマ重合することによって得られた硬質被膜の最表層を設ける方法も提案されている。この方法を用いればガラスと同等以上の耐擦傷性を持つ積層体が得られることが知られていた。
しかし、長期に亘り太陽光や風雨に耐え得るコーティング膜とするためには、まだ別の課題を有している。上記の耐擦傷性を有する湿式コーティング層は紫外線をカットする能力に乏しく、樹脂基材、基材接着性を付与するためのプライマー層、あるいはそれらの界面が紫外線で劣化・変色するという現象が見られる。これを防止するため、上記プライマー層に紫外線吸収剤を添加する方法、及びプライマーを構成する有機樹脂中に、紫外線吸収性の有機置換基を、化学結合を介して導入する方法が提案されている。ここでいう紫外線吸収剤及び紫外線吸収性の有機置換基とは、例えばベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン等の置換基、及びそれらを含有する有機化合物のことを指す(特許文献4~7を参照)。
上記方法は、プライマー層に有機系の紫外線吸収剤を含ませ、紫外線カットする方法であるが、本来、プライマー層は、下地有機樹脂基材とシリコーン層との密着性向上を主目的としており、上記紫外線吸収剤の添加量が多くなりすぎると、密着力低下や透明性低下といった問題が生じる。また、長期間に亘る屋外曝露試験、促進耐候性試験において、プライマー層に上記紫外線吸収剤及び/又は紫外線吸収性の有機置換基を導入する方法だけでの紫外線カットでは、有機樹脂基材の劣化、変色防止に対して十分ではないことが明らかとなってきた。
これら欠点を補う方法として、一方では、シリコーン層にも有機系紫外線吸収剤を添加する方法も以前から行われてきた。しかしながら、これらの化合物をコーティング組成物に単純に添加しただけでは、塗膜とした後の耐久性、即ち長期曝露後の紫外線吸収剤の表面からのブリード、流出が発生し、持続性に乏しいものである。そこで、コーティング層の主成分であるシロキサン化合物と化学結合が形成できるような、シリル変性した有機系紫外線吸収剤を用いる方法もこれまで開示されている(特許文献8~11を参照)。これは、紫外線吸収剤がシロキサンマトリックスに強固に結合しているため、持続性は向上したが、その一方、本来のコーティング層の耐擦傷性が大幅に低下、あるいは可撓性低下によるミクロクラックの発生が顕著になる結果となった。このように、有機系の紫外線吸収剤を用いる方法には、耐候性を伸ばすため添加量を増やすほどシリコーン膜の硬度が低下するという本質的な欠点がある。
また、このような湿式コーティングシステムは、高度な耐候性を付与でき得るものの、複数層積層工程を必要としているため、製造時間の短縮、収率の増加、最終的なコスト減の点から、この簡素化が急務となっている。
実際の湿式コーティングシステムの構成は、有機樹脂基材、プライマー層、湿式コーティング層の少なくとも3層からなり、ここでいうプライマー層は主に、アクリル系コーティングにより形成され、湿式コーティング層は主に、シリコーンハードコーティングにより形成されている。つまり、有機樹脂基材に対し、プライマーウェットコーティングを塗布及び硬化させて、その後更にシリコーンハードコーティングを塗布及び硬化して、積層体を形成するものである。
ガラスと同等以上の耐擦傷性を獲得するために最表層に有機ケイ素化合物をプラズマ重合することにより得られる硬質被膜を形成する場合は、上記工程に更にプラズマ重合工程が加わることになる。
また、有機ケイ素化合物をプラズマ重合することによってガラスと同等以上の耐擦傷性をもつ硬質層を形成しようとした場合は、緻密な酸化ケイ素層を形成させる条件のため、酸化ケイ素層がシリコーンハードコート層を引っ張る形になり、これにハードコート層が追随できずに耐候性試験中にハードコート層にクラックが入る不良が発生する。
このような欠点の克服のため、また工程の簡素化のため、プライマーウェットコーティング層又は光硬化型(メタ)アクリルハードコート層上に直接有機ケイ素化合物をプラズマ重合することによって硬質被膜形成することが提案されている(特許文献12を参照)。しかしながら、プライマーウェットコーティングや光硬化型ハードコートに用いられるアクリル樹脂は、プラズマ(重合)環境下で連鎖反応的に分解する事が知られており、緻密な酸化ケイ素層を形成するために強いプラズマ環境下でプラズマ重合を行うと、下地層が分解し耐候性が低下する問題があった。
上記課題に対して本発明者らはアクリルシリコーン樹脂組成、光硬化型ハードコートの前処理方法、プラズマ重合条件を鋭意検討することにより非常に高度な耐擦傷性(例えば、ガラス並みのもの)を維持しながら、可視光の透明性及び紫外線遮蔽性を発現し、更に長期の屋外暴露に耐え得る耐候性、耐久性を全て満たした積層体を製造することに成功した(特許文献13を参照)。
しかしながら上記プラズマ条件は高度な真空環境下でのプラズマ形成を前提としたものであったため、高価な真空(形成)装置が必須であり、真空化、プラズマ重合、脱真空化という非常に煩雑なプロセスが必要だった。
特に、グレージングに用いられるような大型部材ではプラズマ重合のみなら15分程度のプロセスで実現できるところを、真空化に20分、脱真空化に5分程度の時間を要するため1枚の製品を作成するのにプラズマ重合プロセスの約3倍の時間を必要とするのが一般的だった。
大気圧下(大気圧近傍)でプラズマを生成して成膜等の基板の処理を行う、大気圧プラズマによるプラズマ処理が知られている。
この大気圧プラズマによる処理は、大気圧下であるので、真空チャンバ等の高価な真空容器が不要であり、装置コストを低減できるという利点がある。また、真空下での処理が困難な基板でも処理が可能であるという利点も有る。
そのため、大気圧プラズマに関する研究が、盛んに行われている。
大気圧プラズマによって、大きな面積の処理を可能にする方法として、プラズマを生成するための電極対(対向電極)の間に、誘電体(絶縁体)を存在させた状態で放電を行う誘電体バリア放電が知られている。
また、誘電体バリア放電としては、パルス方式の放電と、単一周波数の正弦波を発振する電源を用いて数kHz~数MHzの周波数で処理(運転)する放電(以下、正弦波方式とも言う)とが知られている。
パルス方式の放電では、最終段にトランスを配置して、電極間の負荷を軽減することにより、容易に放電を発生できるという利点が有る。その反面、パルス方式の放電では、スイッチング周波数に限度がある。特に、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)をスイッチング素子として用いた電源では、数10kHz程度の周波数が限界であり、それを大きく上回る周波数になると、素子内のキャリアの応答が悪くなり、十分なスイッチング能力を発揮できない場合が有る。
プラズマ処理速度の向上や成膜速度の向上などの処理速度の向上を図り、また、成膜の際においては、膜の高密度化を図るためには、放電の周波数を高くして、活性種が成膜領域(すなわち、電極対の間)に常に残存しやすい状態を維持すると共に、大きな電流を流して、活性種の密度自体を増加させるのが好ましい。
しかしながら、その反面、13.56MHzのRF波のように、周波数が高すぎると、放電形態が誘電体バリア放電から容量結合性へと変化し、高周波の遮蔽などが必要になるほか、十分な発熱対策が必要になってくるなどの課題が残る。
これに対し、前述の正弦波方式によれば、誘電体バリア放電によって、十分に高い周波数(数kHz~数MHz)で、高速での処理が可能となる。
ところで、一般的な低圧力下でのプラズマ(容量結合型のプラズマ)では、13.56MHzの正弦波を発振する高周波電源(いわゆるRF電源)を用いて、電極対すなわち容量性の負荷に対して電力を供給してプラズマを生成するのが一般的である。
この場合、電源と電極対との間には、電極対から電源に戻る電力の反射を減少させるために、電源と電極対とのインピーダンス整合を取る整合器(マッチングボックス)が配置される。
ここで、この低圧力でのプラズマに用いられる整合器は、電源と組み合わせるだけでは、大気圧にて放電を生成することはできない。
すなわち、大気圧プラズマは、pd積(圧力と、電極間の距離の積)が大きく、放電開始電圧が数kVとなり、低圧力でのプラズマに比べて非常に高い。そのため、一般的な低圧力用の整合器を、大気圧でのプラズマ生成用に利用しても、放電が開始しないなどの問題が発生し、適正な放電を行うことができない。大気圧で絶縁破壊を起こすには、正弦波方式から逸脱して、二つの周波数を重畳するなどの方法がある。この方法だと、二つの電圧の合計が放電開始電圧に到達すればよいので、高い電圧を容易に印加することができ、低圧力で用いられているマッチングボックスをそのまま流用して放電を開始、持続することができる。
二周波重畳ではなく、単一周波数の正弦波を利用した大気圧プラズマでは、低圧プラズマに用いられるような整合器ではなく、逆ガンマ型と通常呼ばれる、電圧増幅作用を持つLC共振回路が、用いられることがある。
逆ガンマ型のLC共振回路とは、一例として、特許文献14に記載されるような、電極対と並列に設けられるコンデンサと、このコンデンサよりも電源側に、電極対と直列に設けられるコイルとを有するものである。このようなLC共振回路を用いることにより、電源(正弦波発振回路)からの入力電圧を増幅し、電極間、すなわち容量性の負荷に大きな電圧を掛けることができ、大気圧で放電を行うことができる。ただし、これだけでは安定した放電を維持できない。すなわち、LC共振回路を用いても、ストリーマと呼ばれる糸状の放電の部分的な不均一性が過渡的に生じ、放電が不安定になる。そのため、均一な処理を要求される場合には、利用に適さない。よって、この特許文献14に示されるように、パルス制御素子を用いるなどして電極間電圧の制御を行い、放電を安定化し、いわゆるグロー放電の様態を維持する技術などが知られている。
しかしながら、このような制御方法をもってしても、従来の大気圧プラズマ装置では、往々にして、長時間の処理を行なうと、処理中にプラズマが不安定になってしまい、甚だしい場合には、放電が停止してしまう場合も有った。
なぜなら大規模なプラズマプロセスでは、電極や被処理基板等の温度上昇を伴う。そのため、長時間、連続的に処理を行うと、温度の上昇によって、電極に設けられる成膜用の基板、すなわち絶縁体の厚みが変化して、処理中に少なくとも一方の電極に対応するキャパシタンスが、変化してしまう。
また、加熱によって電極の厚さが変化する場合もあり、この際には電極間のギャップが変化することに対応してキャパシタンスが、変化してしまう。
さらに、大気圧プラズマCVDによって成膜を行う場合には、電極の、被成膜基板で覆われていない領域に膜が堆積してしまい、その結果、成膜中に、電極に対応するキャパシタンスが、変化してしまう。
また、連続的に放電を行うと、LC共振回路に用いられるコンデンサやコイルなども発熱し、キャパシタンスやインダクタンスが変動して、LC共振回路の共振条件がズレてしまう。この現象は、大電流を用いた処理では、特に顕著である。
このような成膜中の状態変化によりプラズマが不安定になってしまっていた。
特開昭51-2736号公報 特開昭53-130732号公報 特開昭63-168470号公報 特開平4-106161号公報 特開平4-120181号公報 特開2001-47574号公報 特開2001-214122号公報 特公昭61-54800号公報 特公平3-14862号公報 特公平3-62177号公報 特開平7-278525号公報 特開2013-35274号公報 特許第6524261号公報 特表2009-506496号公報
本発明は、非常に高度な耐摩耗性(例えば、ガラス並みのもの)を維持しながら、可視光の透明性及び紫外線遮蔽性を発現し、更に長期の屋外暴露に耐え得る耐候性、耐久性を全て満たした積層体を大気圧下、簡易なプロセスで安定的に製造する方法を提供する。
本発明者らの鋭意努力により、有機樹脂基材上に特定のアクリルシリコーン樹脂組成物を活性化エネルギー線で硬化させ中間層を形成し、この中間層の表面を酸素をキャリアガスとしてインダクタンスおよびキャパシタンスが可変であるLC共振回路と、前記電極対に直列に接続されるパルス制御素子とを有する電源装置を備えたプラズマ発生装置で形成した大気圧プラズマにより表面処理を行い、引き続き酸素および有機ケイ素化合物をキャリアガスとして有機ケイ素化合物をプラズマ重合してハードコート層を形成する方法により、前記課題を解決できる事が見出され、本発明に至った。
これを以下の手段により実現する。
<1>工程(1)
有機樹脂基板上において、アクリルシリコーン樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させて中間層を形成し、ここで、上記アクリルシリコーン樹脂組成物が、
100質量部の下記成分(i)
100~800質量部の下記成分(ii)、
5~50質量部の下記成分(iii)、
200~500質量部の下記成分(iv)、
20~800質量部の下記成分(v)
を含有し、かつ下記成分(ii)、及び下記成分(v)の合計質量部を下記成分(i)~(v)の合計質量部で割った値(以下「無機成分率X」と表現する)が0.4~0.8である、アクリルシリコーン樹脂組成物であり、
工程(2)
工程(1)で得られた上記中間層の表面を、大気圧プラズマを生成するための電極対にプラズマ励起電力を供給するための電源装置として20k~3MHzで単一周波数の正弦波の電力を出力する電源とインダクタンスおよびキャパシタンスが可変であるLC共振回路と前記電極対に直列に接続されるパルス制御素子とを有する電源装置を用い、酸素をキャリアガスとして生成した大気圧プラズマにて表面処理を行う工程
工程(3)
工程(2)に引き続いてキャリアガスとしてアルコキシシランおよび酸素を供給して前記大気圧プラズマ環境下でプラズマ重合を行うことにより、ハードコート層を形成することを含む、積層体の製造方法:
成分(i):
下記一般式(I)で表されるビニル系重合体:
Poly-[(A)-co-(B)-co-(C)] (I)
(式中、A、B及びCは、それぞれ独立に、ビニル系単量体単位を示し、角括弧及び-co-は、ランダム共重合体であることを表し、a、b及びcは、モル分率を表し、Aは、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体単位であって、aは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Aが1~50質量%となるようなモル分率であり、Bは、紫外線吸収性ビニル系単量体単位であって、bは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Bが5~40質量%となるようなモル分率であり、Cは、前記B及びCのビニル系単量体単位と共重合可能な他の単量体単位であって、cは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Cが[100-(単量体単位Aの含有率)-(単量体単位Bの含有率)]質量%となるようなモル分率である)、
成分(ii):
下記一般式(II)で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られる加水分解縮合物、
Si(OR4-m-n (II)
(式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~20の非置換又はビニル性重合性基を有することができる1価炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していても良く、Rは、炭素数1~3のアルキル基であり、m及びnは、各々独立に、0又は1であり、かつm+nは、0、1又は2である)、
成分(iii):
ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体であって、成分(i)には該当しないビニル系重合体、
成分(iv):
アルコキシシリル基を有さないビニル系重合性単量体であって、活性エネルギー線照射前は重合体及び/又は縮合物を形成しておらず、成分(i)及び成分(ii)には該当しないビニル系重合性単量体、
成分(v):
無機金属酸化物。
<2>前記有機樹脂基材が単層である、上記<1>に記載の方法。
<3>前記有機樹脂基材が、共押し出し又はラミネートしたベース樹脂とキャップ層とを有する複数層からなる、上記<1>に記載の方法。
<4>前記ハードコート層の厚みが3~50nmの範囲である、上記<1>~<3>のいずれかに記載の方法。
<5>前記工程(2)の表面改質により、前記中間層の表面を水接触角40°以下、かつ表面粗さ0.7~20nmとする、上記<1>~<4>のいずれかに記載の方法。
<6>ASTM D3359、B方式の密着テープ試験、及び3日間、65℃に保ったイオン交換水を用いた、ASTM D870に準じた密着テープ試験において、97%以上の合格値を有する上記<1>~<5>のいずれかに記載の方法。
<7>プラズマ重合に用いる上記アルコキシシランの平均組成が、下記式(A)である、上記<1>~<6>のいずれかに記載の方法:
式(A):(SiH
(式中、Rは、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のカルボキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、またはヒドロキシ基であり、xは、0.5~2、yは、0.1~1、zは、0.5~1.5、かつ、nは、1~6である)。
本発明によれば、無機ガラス並みの優れた表面耐摩耗性を有し、かつ、厳しい使用環境下でも長期的に使用する事のできる高度な透明性、耐候性、耐久性を有する積層体を、大気圧下、生産性良く製造することができる。
《工程(1):有機樹脂基板上において、アクリルシリコーン樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させて、中間層を形成する工程》
本発明では、まず、有機樹脂基板上に、アクリルシリコーン樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させて、中間層を形成する。このアクリルシリコーン樹脂組成物は、下記成分(i)~(v)を含んでなる。
〈成分(i)〉
ここで本発明に用いる前記成分(i)は、中間層に柔軟性及び耐候性をもたせ、有機樹脂基材及び前記ハードコート層に対する密着性を付与する成分であり、前記式(I)中のビニル系単量体単位Aは、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体の付加重合によって形成されることが好ましい。
アルコキシシリル基を有するビニル系単量体としては、下記のもの等からなる群から選ばれる1種以上を挙げることができる:
アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、アクリロイルオキシメチルメトキシジメチルシラン、メタアクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタアクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、メタアクリロイルオキシメチルメトキシジメチルシラン、2-アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2-アクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、2-アクリロイルオキシエチルメトキシジメチルシラン、2-メタアクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2-メタアクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、2-メタアクリロイルオキシエチルメトキシジメチルシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-アクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、3-メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタアクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタアクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、8-アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、8-メタアクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、アクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン、アクリロイルオキシメチルエトキシジメチルシラン、メタアクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタアクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン、メタアクリロイルオキシメチルエトキシジメチルシラン、2-アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2-アクリロイルオキシエチルジエトキシメチルシラン、2-アクリロイルオキシエチルエトキシジメチルシラン、2-メタアクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2-メタアクリロイルオキシエチルジエトキシメチルシラン、2-メタアクリロイルオキシエチルエトキシジメチルシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、3-アクリロイルオキシプロピルエトキシジメチルシラン、3-メタアクリロイルオキシプリピルトリエトキシシラン、3-メタアクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、3-メタアクリロイルオキシプロピルエトキシジメチルシラン、8-アクリロイルオキシオクチルトリエトキシシラン、8-メタアクリロイルオキシオクチルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキレンアルコキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルジメトキシメチルシラン、アリルメトキシジメチルシラン、メタリルトリメトキシシラン、メタリルジメトキシメチルシラン、メタリルメトキシジメチルシラン、4-トリメトキシシリル-1-ブテン、5-トリメトキシシリル-1-ペンテン、6-トリメトキシシリル-1-ヘキセン、7-トリメトキシシリル-1-ヘプテン、8-トリメトキシシリル-1-オクテン等の直鎖及び/又は分岐鎖型アルケニルアルコキシシラン類;p-トリメトキシシリルスチレン、1,4-ジビニル-2-トリメトキシシリルベンゼン、p-トリメトキシシリル-α-メチルスチレン等の含芳香族不飽和性アルコキシシラン類。
アルコキシシリル基を有するビニル系単量体としては、3-メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(例えば、信越化学工業(株)製、製品名「KBM-503」)が、入手性や反応性の観点から好ましい。
ビニル系単量体単位Aは、式(I)の上記ビニル系重合体全量に対して、1~50質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは5~35質量%となるようなモル分率aで、他の単量体単位B及びCと共重合することができる。ビニル系単量体単位Aがポリマー全量に対して、1質量%より少なくなると、無機微粒子成分とネットワークを形成しにくくなる場合があり、50質量%より多くなると、保存安定性や耐候性が低下する場合がある。
ビニル系単量体単位Bは、紫外線吸収性基を有するビニル系単量体の付加重合によって形成されることが好ましい。紫外線吸収性基を有するビニル系単量体は、紫外線吸収性基とビニル性重合性基を有していれば、いかなるものでも使用することができる。
本発明における紫外線とは波長200~400nm程度の光を指す。紫外線吸収性基には、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、レゾルシノール類、トリアジン類等を有する有機基を例示することができる。ビニル性重合性基には、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリル基、メタクリル基等を有する有機基を例示することができる。
このような有機系紫外線吸収性基を有するビニル系単量体の具体例としては、分子内に紫外線吸収性基を有する(メタ)アクリル系単量体が示され、下記一般式(III)で表されるベンゾトリアゾール系化合物、及び下記一般式(IV)で表されるベンゾフェノン系化合物を挙げることができる:
(式中、
Xは、水素原子又は塩素原子を示し、
11は、水素原子、メチル基、又は炭素数4~8の第3級アルキル基を示し、
12は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~10のアルキレン基を示し、
13は、水素原子又はメチル基を示し、かつ
qは、0又は1を示す)、
(式中、
13は、水素原子又はメチル基を示し、
14は、置換又は非置換の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~10のアルキレン基を示し、
15は、水素原子又は水酸基を示し、
16は、水素原子、水酸基、又は炭素数1~6のアルコキシ基を示す)。
上記一般式(III)において、R11で表される炭素数4~8の第3級アルキル基としては、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-ヘプチル基、tert-オクチル基、ジtert-オクチル基等を挙げることができる。
上記一般式(III)において、R12で示される直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~10のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,1-ジメチルテトラメチレン基、ブチレン基、オクチレン基、デシレン基等を挙げることができる。
また、上記一般式(IV)において、R14で示される直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2~10のアルキレン基としては、上記R12で例示したものと同様のもの、あるいはこれらの水素原子の一部をハロゲン原子で置換した基等を挙げることができる。
上記一般式(III)において、R16で示されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
上記一般式(III)で表されるベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、例えば、下記のものを挙げることができる:
2-(2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタ)アクリロキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-(メタ)アクリロキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(2-(メタ)アクリロキシエチル)フェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-メチル-5’-(8-(メタ)アクリロキシオクチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール。
上記一般式(IV)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例としては、例えば、下記のものを挙げることができる:
2-ヒドロキシ-4-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(4-(メタ)アクリロキシブトキシ)ベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4’-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4-トリヒドロキシ-4’-(2-(メタ)アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(3-(メタ)アクリロキシ-1-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン。
上記紫外線吸収性ビニル系単量体としては、式(III)で表されるベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、中でも2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-(メタ)アクリロキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールが好適に使用される。
更に、上記紫外線吸収性ビニル系単量体は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル系単量体単位Bは、式(I)の上記ビニル系重合体全量に対して、5~40質量%、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~25質量%となるようなモル分率bで、他の単量体単位A及びCと共重合することができる。ビニル系単量体単位Bが上記ビニル系重合体全量に対して、5質量%より少なくなると耐候性が不十分である場合があり、40質量%より多くなると、基材との密着性が低下する場合がある。
次に、ビニル系単量体単位A及びBと共重合可能な他のビニル系単量体単位Cとしては、共重合可能な単量体であれば特に制限されず、環状ヒンダードアミン構造を有する(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル、スチレン、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
環状ヒンダードアミン構造を有する(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルメタクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体の具体例としては、下記のものを挙げることができる:
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4-メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の1価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;
2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシブチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位数は例えば2~20)、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(プロピレングリコール単位数は例えば2~20)等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位数は例えば2~20)、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(プロピレングリコール単位数は例えば2~20)等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコール単位数は例えば2~20)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレングリコール単位数は例えば2~20)等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステル類;
コハク酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、コハク酸ジ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、アジピン酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、アジピン酸ジ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]、フタル酸ジ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]等の非重合性多塩基酸と(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとの(ポリ)エステル類;
(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(N-メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(N-エチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸4-(N,N-ジメチルアミノ)ブチル等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;及び
(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類。
また、(メタ)アクリロニトリルの誘導体の具体例としては、α-クロロアクリロニトリル、α-クロロメチルアクリロニトリル、α-トリフルオロメチルアクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。
(メタ)アクリルアミドの誘導体の具体例としては、下記のものをあげることができる:
N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N-エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド。
アルキルビニルエーテルの具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。
アルキルビニルエステルの具体例としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等を挙げることができる。
スチレン及びその誘導体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。
これらの単量体のうち、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4-メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルなどが好ましい。
ビニル系単量体単位Cは、前記単量体単位を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
ビニル系単量体単位Cは、式(I)のビニル系重合体全量に対して、[100-(単量体単位Aの含有率)-(単量体単位Bの含有率)]質量%、即ち10~94質量%、好ましくは20~94質量%、更に好ましくは35~90質量%となるようなモル分率cで、他の単量体単位A及びBと共重合することができる。ビニル系単量体単位Cがポリマー全量に対して、10質量%より少なくなると塗工外観不良が起こる場合があり、94質量%より多くなると、無機微粒子との架橋が不足して耐久性が低下する場合がある。
成分(i)は、ビニル系単量体単位A、B、及びCを共重合反応することによって得ることが好ましい。共重合反応は、これら単量体を含有する溶液にジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のパーオキサイド類又はアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物から選択されるラジカル重合用開始剤を加え、加熱下(50~150℃、特に70~120℃で1~10時間、特に3~8時間)に反応させることにより容易に得られる。
成分(i)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、1,000~300,000、特に5,000~250,000であることが好ましい。分子量が大きすぎると粘度が高くなりすぎて合成しにくかったり、取り扱いづらくなる場合があり、小さすぎると塗膜の白化や耐候性クラックなどの外観不良を引き起こしたり、十分な接着性、耐久性、耐候性が得られない場合がある。
〈成分(ii)〉
ここで本発明に用いる成分(ii)は、中間層に対する前記ハードコート層の密着性を付与する成分であり、下記一般式(II)で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られる加水分解縮合物である:
Si(OR4-m-n (II)
(式中、
及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~20の非置換又はビニル性重合性基を有することができる1価炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していてもよく、
は、炭素数1~3のアルキル基であり、
m及びnは、各々独立に、0又は1であり、かつ
m+nは、0、1又は2である)。
一般式(II)で示されるアルコキシシランとしては、m=0、n=0である場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類(ii-Q)を挙げることができる。この場合、入手性、反応性、安全性等の観点からテトラエトキシシランが好ましい。
一般式(II)で示されるアルコキシシランとしては、m=1、n=0である場合、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類(ii-T)を挙げることができる。この場合、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
一般式(II)で示されるアルコキシシランとしては、m=1、n=1である場合、ジメチルジメトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3-グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシメチルシラン、p-スチリルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、3-アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン等のジアルコキシシラン類(ii-D)を挙げることができる。この場合、3-メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシランが好ましい。
成分(ii)の加水分解縮合物に占める、テトラアルコキシシラン類(ii-Q)、トリアルコキシシラン類(ii-T)、及びジアルコキシシラン類(ii-D)の割合について好ましい範囲を述べる。
使用する全シラン量に対して、テトラアルコキシシラン類(ii-Q)は、好ましくは30~80質量%、より好ましくは40~70質量%である。この量が80質量%より多くなるともろくなる場合があり好ましくない。また、この量が30質量%より少なくなると、無機蒸着層からなる硬質皮膜を更に設ける際に密着性が低下する場合があり好ましくない。
使用する全シラン量に対して、トリアルコキシシラン類(ii-T)は、好ましくは20~60質量%、より好ましくは25~45質量%である。この量が60質量%より多くなるともろくなる場合があり好ましくない。また、この量が20質量%より少なくなると、靭性が低下する場合があり好ましくない。
使用する全シラン量に対して、ジアルコキシシラン類(ii-D)は、好ましくは0~20質量%、より好ましくは5~15質量%である。この量は下限値を設けず、必要に応じて用いることができるが、靭性付与のために用いることが好ましい。また、この量が20質量%より多くなると、濡性や被膜外観が低下する場合があり好ましくない。
テトラアルコキシシラン類(ii-Q)、トリアルコキシシラン類(ii-T)、及びジアルコキシシラン類(ii-D)は、いずれか1種にビニル性重合性基を有した成分であることがより好ましい。これらのシラン類は、それぞれ上記具体例等から選ばれる好ましい1種以上を、上記使用量の好ましい範囲で組み合わせることがより好ましい。
本発明の成分(ii)は、アルコキシシランの部分加水分解物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られる加水分解縮合物であってもよい。アルコキシシランの部分加水分解物とは、1分子内に有機置換基とアルコキシ基を含有した比較的低分子のオリゴマーであり、成分(ii)の分子量調整や(共)加水分解・縮合時の反応性調整の目的等で用いることができる。このようなオリゴマーはアルコキシシリル基に対して化学量論量以下の水と反応することで製造することができる。また、このようなオリゴマーは、例えば、KC-89S、KR-500、X-40-9225、KR-217、KR-9218、KR-213、KR-510、KR-513、X-40-9227、X-40-9247、X-41-1053、X-41-1056、X-41-1805、X-41-1810、X-40-2308(いずれも、信越化学工業(株)製)等の市販材料を用いることもできる。
本発明の成分(ii)は、上記アルコキシシラン及び/又はアルコキシシランの部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られる。上記シラン成分を予め混合及び/又は滴下しながら、必要に応じて溶剤及び触媒を添加した水と混合し、加熱することによって製造することができる。(共)加水分解・縮合は、常法に基づいて実施することができる。成分(ii)には、成分(ii)の機能を遜色しない範囲で、粘度調整剤、縮合触媒、レベリング剤等の添加剤を更に含んでいてもよい。
成分(ii)の加水分解縮合物が、下記一般式(V)で表されるシリル変性ベンゾフェノン系化合物及び/又はその部分加水分解物を更に含んで(共)加水分解することにより得られる加水分解縮合物であることがより好ましい。この場合、加水分解縮合物の成分(ii)中における、式(V)の化合物及び/又はその加水分解縮合物の割合は、0.1~20質量%、特に1~10質量%であることが好ましい。
(式中、
~A10は、独立に水素原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は下記式(VI)で示される基で、式(V)は、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの式(VI)で示される基を有する:
(式中、
17、R18は、それぞれ独立に、炭素数1~5のアルキル基を示し、
rは、1以上5以下の整数を示し、かつ
sは、0以上2以下の整数を示す)。)
式(V)において、A~A10の炭素数1~5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖及び/又は分岐鎖型の有機基を挙げることができる。
式(VI)において、R17、R18の炭素数1~5のアルキル基の具体例としては、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖及び/又は分岐鎖型の有機基を挙げることができ、メチル基であることが好ましい。rは、好ましくは1~5、より好ましくは3である。sは、好ましくは0~2、より好ましくは0又は1、更に好ましくは0である。
式(VI)において、s=0である場合は、上記トリアルコキシシラン類(ii-T)として分類されて、上記好ましい使用量の範囲で(共)加水分解することが好ましい。s=1である場合は、上記ジアルコキシシラン類(ii-D)として分類されて、上記好ましい使用量の範囲で(共)加水分解することが好ましい。s=2である場合は、上記テトラアルコキシシラン類(ii-Q)、トリアルコキシシラン類(ii-T)、及びジアルコキシシラン類(ii-D)のいずれにも分類されず、成分(ii)の加水分解縮合物に占める割合が、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の範囲で、(共)加水分解することが好ましい。
式(V)及び式(VI)で表される化合物の具体例としては、下記の化合物等を挙げることができる:
[2-ヒドロキシ-4-(3-(トリメトキシシリル)プロポキシ)]ベンゾフェノン、[2-ヒドロキシ-4-(3-(トリエトキシシリル)プロポキシ)]ベンゾフェノン、[2-ヒドロキシ-4-(3-(ジメトキシメチルシリル)プロポキシ)]ベンゾフェノン、[2-ヒドロキシ-4-(3-(メトキシジメチルシリル)プロポキシ)]ベンゾフェノン。
式(V)及び式(VI)で表される化合物の具体例としては、[2-ヒドロキシ-4-(3-(トリメトキシシリル)プロポキシ)]ベンゾフェノンであることが好ましい。
本発明の成分(ii)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは500~8,000、より好ましくは800~5,000、更に好ましくは1,000~3,000である。この値が500より小さいと、保存安定性が不十分であったり、塗膜の脆性が問題になったりする場合があり好ましくない。また、この値が8,000より大きいと、塗膜の硬度が不十分であったり、組成物を構成する他の成分(i)及び成分(iii)~(v)との相溶性が低下したりする場合があり、好ましくない。
成分(ii)は、成分(i)100重量部に対して、好ましくは200~500重量部、より好ましくは250~480重量部である。
〈成分(iii)〉
本発明で用いる成分(iii)は、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体であって、成分(i)には該当しないビニル系重合体である。
成分(iii)は、アルコキシシリル基を有さないので成分(i)には該当しない。ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性基とアルコキシシリル基の双方を有さないビニル系重合体は、成分(i)にも成分(iii)にも該当しない。ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性基とアルコキシシリル基の双方を有するビニル系重合体は、成分(iii)には該当しないが、成分(i)に該当する場合がある。即ち、成分(i)を構成するビニル系単量体単位Cが、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性基を含む特殊な場合であって、前記成分(i)の条件を満たす場合が存在する。本発明は、このような特殊な場合を排除するものではない。この場合は、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性部位を有していても、成分(i)として組成物の配合を行うことができる。
本発明の成分(iii)は、密着向上剤として作用するもので、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体である。成分(iii)は、硬化被膜中で他の成分と層分離し、被膜の厚さ方向で濃度勾配することで、耐擦傷性能を低下することなく、有機樹脂基材への親和性が増し、密着性が発現するものと考えられる。成分(iii)のポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体は、ビニル系重合体にポリカーボネート系又はポリエステル系のポリウレタンをグラフトさせたものであり、具体的には、脂肪族ポリカーボネートジオール又は脂肪族ポリエステルジオールと芳香族ジイソシアネートとの反応から得られるポリカーボネート系又はポリエステル系ポリウレタンを側鎖に有するビニル系重合体が好ましい。より好ましくは、脂肪族ポリカーボネートジオールと芳香族ジイソシアネートとの反応から得られるポリカーボネート系ウレタンを側鎖に有するビニル系重合体である。
具体的な脂肪族ポリカーボネートジオールとしては、1,4-テトラメチレン型、1,5-ペンタメチレン型、1,6-ヘキサメチレン型、1,12-ドデカン型、1,4-シクロヘキサン型、それらの混合型等を挙げることができる。また、脂肪族ポリエステルジオールは種々の脂肪族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸無水物と脂肪族ジオールを脂肪族ジオール過剰環境下で縮重合して得られるオリゴマー、ポリマー、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を縮重合させた後、脂肪族ジオールとエステル化して得られるオリゴマー、ポリマー、脂肪族ラクトンを脂肪族ジオールを末端封止材として開環重合して得られるオリゴマー、ポリマーであり、具体的にはポリアジピン酸エチレングリコールエステルジオール、ポリ乳酸エチレングリコールエステル、ポリカプロラクトンエチレングリコールエステル等、およびそれらの混合物が挙げられる。また芳香族イソシアネートとしては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、それらの混合物等を挙げることができる。これらを常法に従って反応させることで、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のポリウレタンを得ることができる。
前記ウレタン変性のビニル系重合体を構成する単量体としては、ビニル重合性基を含有していれば、いかなるものでも使用することができる。具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等のアクリレートモノマー、スチレン、酢酸ビニル等を挙げることができる。
これら単量体を公知の方法で重合することで、ビニル系重合体が得られる。
成分(iii)のウレタン変性ビニル系重合体は、有機溶剤に溶解しているものが合成のし易さ、ハンドリングのし易さの点で好ましい。有機溶剤としては、成分(iii)をよく溶解し、比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類等を挙げることができる。
成分(iii)のポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体の分子量は、ポリスチレンを基準とするGPC分析による重量平均分子量で、5,000~50,000であることが好ましい。この値は、7,000~40,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000未満であると、有機樹脂基材への十分な密着性が発現しない場合があり、また50,000を超えると、硬化被膜にした際の透明性が損なわれたり、組成物中での溶解度が低下したり、分離したりするおそれがある。
成分(iii)のポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体の水酸基価は、成分(iii)の固形分量で10以上であることが好ましい。より好ましくは成分(iii)の固形分量で20~100の範囲である。成分(iii)の水酸基価が固形分量で10未満では、組成物中での溶解度が低下し、成分(iii)が分離するおそれがある。
なお、上記成分(iii)としては、市販品を使用することができ、例えば大成ファインケミカル(株)製のアクリット8UA-347、同357、同366(ポリカーボネート系)、同140、同146、同301、同318(ポリエステル系)等を使用することができる。
成分(iii)は、成分(i)100重量部に対して、好ましくは10~40重量部、より好ましくは12~30重量部である。
〈成分(iv)〉
本発明で用いる成分(iv)は、アルコキシシリル基を有さないビニル系重合性単量体であって、活性エネルギー線照射前は重合体及び/又は縮合物を形成せず、従って成分(i)及び成分(ii)には該当しないビニル系重合性単量体である。
成分(iv)は、活性エネルギー線照射前は単量体であるので重合体である成分(i)には該当しない。アルコキシシリル基を有するビニル系重合性単量体は、成分(iv)には該当しないが、成分(ii)に該当する場合がある。即ち、成分(ii)の1つのユニットを構成するビニル系重合性基を有するアルコキシシランが加水分解・縮合を経た後も、単量体成分が残存している場合があるからである。本発明は、このような場合を排除するものではない。この場合は、ビニル系重合性基を有する単量体であっても、成分(ii)として組成物の配合を行うことができる。
本発明で用いる成分(iv)は、(メタ)アクリル酸と(多価)アルコールから形成された(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸を好適に用いることができる。
(メタ)アクリル酸と(多価)アルコールから形成された(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、下記のものを挙げることができる:
メタクリル酸メチル(略称MMA)、アクリル酸メチル(略称MA)、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル(略称HEA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(略称HEMA)、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシルブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソステアリル、アクリル酸イソノルボルニル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸(メトキシエチル)、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、アクリル酸(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)、アクリル酸[{シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4イル)}メチル]、アクリル酸{(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル}等のモノエステル類;エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘプタンジオールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、グリセリン-1,2-ジアクリレート、グリセリン-1,3-ジアクリレート、ペンタエリスリトースジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のジエステル類;グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリエート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリスペンタエリスリトールオクタアクリレート等の多価エステル類。
モノエステル類は、成分(iv)の総量に対して、0質量%以上70質量%以下、より好ましくは0質量%以上60質量%以下、更に好ましくは0質量%以上50質量%以下用いることができる。ジエステル類は、エステル類の総量に対して1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上25質量%以下、更に好ましくは5質量%以上20質量%以下用いることができる。多価エステル類は、エステル類の総量に対して50質量%以上100質量%以下、より好ましくは50質量%以上90質量%以下、更に好ましくは50質量%以上80質量%以下用いることができる。
モノエステル類は任意成分ではあるものの、塗料の無溶剤化(低溶剤化)という観点においては重要な成分であり、溶剤の代わりに用いることができる。モノエステル類の割合が70質量%より多い場合は膜が脆弱となることがある。ジエステル類の割合が1質量%未満であると膜の可撓性が不十分なことがあり、30質量%より多い場合は耐擦傷性が十分ではないことがある。多価エステル類は必須成分であるが、50質量%より少ない場合は膜の硬度が十分ではないことがある。
成分(iv)は、成分(i)100重量部に対して、好ましくは200~800重量部、より好ましくは250~600重量部である。
〈成分(v)〉
本発明で用いる成分(v)は、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化チタン及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の無機金属酸化物であり、必要に応じて組成物に配合されることが好ましい。
成分(v)は、動的光散乱法で測定したこの微粒子の体積基準の50%累積分布径が好ましくは1~100nm、より好ましくは5~50nm、更に好ましくは10~30nmである。1nmより小さいと分散安定性に優れない場合がある。100nmより大きいと透明性に優れない場合がある。
成分(v)は成分(i)100重量部に対して好ましくは50~450重量部、より好ましくは100~400重量部である。
〈その他の成分〉
本発明に用いるアクリルシリコーン樹脂組成物中には、さらに必要に応じて、その他の成分として紫外線吸収剤、光安定剤等を配合する事ができる。
ここで紫外線吸収剤としては、例えば下記のものをあげることができる:
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2-(5′-メチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-t-ブチル-5′-メチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ジ-t-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン類、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類、フェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、ジエチル-p-メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2-エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート類が、光安定剤としては、例えば1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ジデカン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジニル)エステル、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4-ビス[N-ブチル-N-(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-2-イル)アミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミン)-1,3,5-トリアジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)サクシネ-ト、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-オクタノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ジフェニルメタン-p,p′-ジカ-バメート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ベンゼン-1,3-ジスルホネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカ-バメート等のニッケル錯体が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤及び光安定剤は単独又は2種以上を併用してもよい。
〈無機成分率X〉
本発明に用いるアクリルシリコーン樹脂組成物における無機成分率Xは、0.4~0.8であり、好ましくは0.43~0.8、より好ましくは0.45~0.75である。無機成分率Xを上記範囲とすることで、有機樹脂基板上において、前記アクリルシリコーン樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させて形成した中間層と有機樹脂基材層の密着性が良好になり、さらに、中間層上に直接ケイ素化合物をプラズマ重合して得られるハードコート層を成膜することが可能になる。つまり有機樹脂基材層に1層の中間層を設けるだけで前記ハードコート層の成膜が可能となる。
〈活性エネルギー線による硬化〉
有機樹脂基板上において、上記のアクリルシリコーン樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させて、中間層を形成する。
活性化エネルギー線とは具体的には、紫外線、エックス線、ガンマ線、ベータ線、α線、電子線、プラズマ流、中性子線、陽子線等が挙げられ、中でも電子線及び紫外線は照射条件・機器の管理が容易なために一般的に利用されている。
電子線と紫外線の比較では電子線の方がエネルギーを伝える最小単位の粒子の持つ(伝える)エネルギーが大きいので活性エネルギー線硬化層を効率よく硬化させることができるため、有機樹脂基板の劣化を抑えてこの層を硬化させることができる。
一方、紫外線を用いた硬化法でも各種用途で問題ないレベルで活性エネルギー線硬化層を硬化させることができ、照射条件・機器の管理が電子線の場合と比べても容易なため広く利用されている。
本願中間層の硬化においても紫外線照射による硬化で、次の工程のプラズマ照射による中間層劣化の悪影響を防ぐのに十分な程度に硬化させることができる。
硬化条件は、紫外線を用いて硬化させる場合は、活性エネルギー線硬化性樹脂の全ての反応基を反応させようとする硬化条件は、通常有機樹脂基板の劣化やタクトタイムの増加によるコート(硬化)コストの上昇が無視できないほど大きくなるため用いられず、反応基の70~95%が反応する条件が好ましく選択される。
通常、300~10000mJ/cmの積算照射量で硬化を行うことが好ましい。この範囲では、アクリルシリコーン樹脂組成物を適切に硬化させることができ、かつ有機樹脂基板の劣化やタクトタイムの増加によるコート(硬化)コストの上昇を最小限に抑制する事ができるので、好ましい。
電子線を照射して硬化させる場合は活性エネルギー線硬化性樹脂中の反応性基の99%以上が反応するような条件が好ましく選択され、通常加速電圧70~300kV程度で照射線量は、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~50kGy(1~15Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
上記中間層の厚みとしては、特に制限はないが、好ましくは3~30μmである。
〈有機樹脂基材〉
本発明に用いる有機樹脂基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリジシクロペンタジエン等のアモルファスポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン-2,6-ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、フェノール樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。中でも優れた透明性を有するポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン-2,6-ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンが好ましい。更に、高い衝撃強度を有するポリカーボネート樹脂がより好ましい。
上記有機樹脂基材の厚みとしては、特に制限はないが、例えば1~20mmである。
また、有機樹脂基材層は、単層又は共押し出し又はラミネートしたベース樹脂とキャップ層とを有する複数層であってよい。単層の場合有機樹脂基材層形成の容易さの点で好ましく、複数層の場合、用いる有機樹脂の長所を併せ持つ基材を一度の工程で形成できる点で好ましい。
《工程(2):中間層の表面処理を行う工程》
このようにして形成した中間層に対し、大気圧プラズマを生成するための電極対にプラズマ励起電力を供給する電源装置として、20kHz~3MHzで単一周波数の正弦波の電力を出力する電源と、インダクタンスおよびキャパシタンスが可変であるLC共振回路と、前記電極対に直列に接続されるパルス制御素子とを有する電源装置を用い、前記大気圧プラズマの状態に応じて、前記インダクタンスおよびキャパシタンスを調整して、酸素ガスを主成分とするキャリアガスを用いて発生させたプラズマで表面処理を行う。ここで主成分とするとは構成ガスの50vol%以上が酸素ガスであることを示す。酸素ガスの比率は高いほど好ましいが、外気から他のガスが混入することを妨げない。酸素ガスの比率は好ましくは70~99vol%である。
このような本発明のプラズマ表面処理方法において、前記パルス制御素子は、前記電極対間 にプラズマ励起電力を供給した際に、その半周期中に少なくとも1つの電圧パルスを生成し、これによって、前記電極対の間に変位電流パルスを生じさせるものであるのが好ましく、また、前記パルス制御素子は、前記電源装置の電源の動作周波数と等しい共振周波数を有する素子を含むのが好ましく、また、前記パルス制御素子が、前記電極対と直列に接続されるチョークコイルを有するのが好ましく、また、前記LC共振回路が、前記電極対と並列に接続される可変コンデンサと、この可変コンデンサと直列に接続される可変コイルとを有するのが好ましい。また、20~110kPaの圧力範囲で、前記基板の処理を行うのが好ましい。また、前記基板の処理が、基板への成膜であるのが好ましく、もしくは、前記基板の処理が、基板の表面処理であるのが好ましく、この際において、前記表面処理が、改質処理、粗面化処理、平滑化処理、活性化処理、エッチング、プラズマ重合、および、脂肪酸が配列された分子膜(細胞膜を含む)の処理から選択されるいずれかの処理であるのが好ましい。
また、前記電極対の少なくとも一方が、長尺な基板を巻き掛けて搬送する円筒状のローラからなる、ローラ電極であるのが好ましく、この際において、前記電極対の両電極が、前記ローラ電極であるのが好ましい。
上記構成を有する本発明のプラズマ処理方法は、誘電体バリア放電を利用する大気圧プラズマを用いる処理において、電極対にプラズマ励起電力を供給する電源装置が、キャパシタンスおよびインダクタンスが可変なLC共振回路、および、電極対に直列に接続されるパルス制御素子を有し、電極対の間に生成するプラズマの状態に応じて、プラズマが所定の状態で安定するように、LC共振回路のキャパシタンスおよびインダクタンスを調整する。
そのため、本発明によれば、大気圧プラズマによる被処理基板表面の改質や、大気圧プラズマCVDによる成膜等を行う際に、加熱による電極や基板の厚さの変化、電源装置内部のインピーダンスの変化など、処理プロセス中におけるプラズマ生成領域周辺の環境変化が生じた場合にも、長時間に渡って、安定した放電を行って、安定したプラズマを生成できる。さらに、LC共振回路の調整を行いながら、パルス制御素子を併用することにより、次のような効果が生まれる。LC共振回路の調整により、反射波を減少させ、一定に保つことによって、電流値も一定に保つことができるようになる。この結果、20kHz~3MHzの周波数の1周期内において、パルス制御素子中のフェライトなどコア中の磁束が飽和する時刻と、誘電体バリア放電による間欠的な電流の立ち上がり時刻の同期が、長時間処理時に、経時的にズレていく現象を防ぐことができる。このことによって、ストリーマ抑制に効果的な急峻な電流の立ち上がり、立ち下がりが、長時間処理時のいずれの時点においても、確実に行える。こうして、ストリーマの発生を十分に抑制して、アーク放電を抑制して、均一なグロー放電を長時間持続させることができる。従って、本発明によれば、長時間に渡って安定した放電を行って、適正な大気圧プラズマによって処理を行うことができ、被処理基板表面の改質や、大気圧プラズマCVDによる高品質な膜の成膜など、高品質な製品を、長時間に渡って効率よく製造できる。
この際のキャリアガスとして酸素を用いることで、比較的低エネルギーの酸素ラジカルを大量に発生させることが可能になり、中間層の表面処理を適切に行うことが可能になる。
過剰に表面処理を行うと、中間層表面の化学変化が過剰になり、中間層表面に低分子量化合物が析出して、中間層とハードコート層の密着性を低下させるので好ましくない。表面処理が不十分だと密着性を向上させる特定の官能基の生成が不十分なため、適切な密着性を実現できないため好ましくない。
中間層の表面状態はASTM測定での表面粗さ測定、水接触角の測定から判断することができる。
適切な表面粗さとしては、好ましくは0.5nm以上50nm以下、0.7nm以上20nm以下であり、適切な水接触角は40°以下、好ましくは60°以下、より好ましくは40°以下である。
《工程(3):ハードコート層形成工程》
工程(2)で得られた中間層の表面にアルコキシシランをプラズマ重合してハードコート層を形成する。
1つの態様では、ハードコート層が、アルコキシシランをプラズマによる重合及び酸化によって形成されるケイ素、酸素、炭素及び水素原子を含む硬質被膜である。更に詳述すると、上記の硬質被膜は、プラズマ励起電力を供給するための電源装置として20k~3MHzで単一周波数の正弦波の電力を出力する電源とインダクタンスおよびキャパシタンスが可変であるLC共振回路と前記電極対に直列に接続されるパルス制御素子とを有する電源装置を用い、アルコキシシランおよび酸素をキャリアガスとして生成した大気圧プラズマにてプラズマ重合を行うことにより形成される。
プラズマ重合に用いるアルコキシシランの平均組成は、下記式(A)であることが好ましい:
式(A):(SiH
(式中、
Rは、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のカルボキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基及びヒドロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、
xは0~2、
yは0.1~1、
zは0.5~1.5、かつ
nは1~6である)。
ハードコート層の厚みは、好ましくは1~500nm、より好ましくは、2~100nm、更に好ましくは、3~50nm、最も好ましくは5~30nmである。この厚みの範囲では、耐摩耗性、耐熱性、密着性を全て満足することができ好ましい。ハードコート層が1nmよりも薄いと、必要な耐摩耗性が得られなくなり、ハードコート層の厚みが500nmよりも厚いと、耐熱試験でコート層にクラックが入ったり、密着性が低下して耐候性試験でコート層が剥離して好ましくないことがある。
ハードコート層及び中間層の性状が、下記の数値を有する積層体の製造方法とすることが好ましい:
a.1000サイクルのASTM D1044のテーバー摩耗試験において2%未満のデルタヘーズ値、
b.ASTM D3359、B方式の密着テープ試験において97%以上の合格値、
c.ASTM D3359、B方式の密着テープ試験において97%以上の合格値、
d.3日間、65℃に保ったイオン交換水を用いた、ASTM D870による水浸漬後の密着テープ試験において97%以上の合格値、及び/又は
e.2時間、100℃に保ったイオン交換水を用いた、ASTM D870による水浸漬後の密着テープ試験において97%以上の合格値。
上記積層体は、上記試験において、被膜が剥離せず残存した面積が97%以上であれば、良好な密着性を意味している。言い換えれば、クロスカット面積から取り除かれた面積が3%未満であれば、良好な密着性を意味している。更には、ハードコート層及び中間層の性状が、ANSI Z26.1.の項目2の自動車用ガラス要求特性における合格値を有する積層体となることが好ましい。
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、下記の例において%は質量%、部は質量部を示す。また、粘度はJIS Z 8803に基づいて測定した25℃での値であり、重量平均分子量は、標準ポリスチレンを基準としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
尚、以下の実施例及び比較例では、PE-CVD法による酸化ケイ素系ハードコート層が表層の片面のみに積層された例を例示するが、このような酸化ケイ素系ハードコート層が両面に積層した構成を取る事も問題なく、好ましく実施される。
[評価方法]
実施例及び比較例における各種評価は以下の方法により行った。
〈走査型プローブ顕微鏡のダイナミックフォースモード(DFM)による表面粗さ(Ra)の測定〉
エスアイアイナノテクノロジー製(現株式会社日立ハイテクサイエンス取り扱い)走査型プローブ顕微鏡SPI3800Nを用い、カンチレバーにはNT-μDT社製シリコンカンチレバーNSG10(チップ先端曲率半径10nm前後)を用い、測定範囲縦横5μm×5μm、測定ポイント縦横256×256、走査周波数1KHzの条件で測定を行い、装置内蔵ソフトによる自動計算にて、表面粗さ(Ra)と表面積率を求めた。尚、測定は測定場所を変えて10点で行い、平均値を取るものとする。
ここで表面粗さ(平均面粗さ、Ra)は、基準面から指定面までの高さ(Z座標)の偏差の絶対値を平均した値である。ここで基準面は全測定ポイントのZ座標の平均値を有する面、指定面は全測定ポイントのZ座標を繋いでなる面(最近接3点を繋いでできる三角形を単位面とする)である。
〈水接触角〉
基材表面に水滴(約0.03mL)を滴下し、できた水滴の端部と頂点の成す角を2倍する事によりこの基材表面の水接触角とした(円弧近似法)。
〈外観評価〉
PE-CVD法による酸化ケイ素層を有する積層体の表面を、目視にて観察し、クラックの有無、を確認した。
〈密着性〉
PE-CVD法による酸化ケイ素層を有する積層体の表面にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作り、ニチバン製粘着テープ(商品名「セロテープ(登録商標)」)を圧着し、垂直に強く引き剥がす操作を3回繰り返した後、基材上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5400準拠)。
〈全光線透過率及び曇値(ヘイズ値)の測定〉
日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH2000を用いて測定した。尚、曇値(H)は、H=Td/Tt×100(Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)で示される。
〈耐摩耗性〉
PE-CVD法による酸化ケイ素層を有する積層体の表面をTaber社製CS-10Fの摩耗輪を用い、試験前にTaber社製ST-11研磨石で25回転摩耗輪表面を研磨した後に、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験前後の曇値(ヘイズ値)の変化(△H)を測定して評価した(ASTM D1044準拠)。
測定は同一仕様の3つの試験片について行い、その平均値を持ってサンプルの性能値とした。尚、試験に用いる摩耗輪は市販のフロートガラス(板ガラス)を前記同様の方法で1000回転のテーバー摩耗試験を行った場合の曇値の変化(△H)が0.6~1.0%の範囲にある事を確認の後、実施するものとし、この範囲を外れる摩耗輪は試験には用いないものとする。
〈耐沸水性〉
60mm×120mmのサイズに切断した積層体の試験片を100℃の沸騰水中に浸せきし、2時間保持の後に沸騰水中より取り出し、付着した水分を取り除いて、2時間室温環境にて放置の後、PE-CVD法による酸化ケイ素層を有する積層体の表面の外観変化の確認と密着性のテストを行う。
外観については、層の剥離やクラックの発生、色相、曇度(ヘイズ)の変化等の有無を確認する。
密着性については、JIS K5400に準拠した碁盤目テープ法により試験を行い、カッターナイフで1mm間隔で10×10の切れ目の入ったマスを碁盤目状に形成した後、所定の粘着力を有するテープ(例えばニチバン製セロテープ(登録商標))を貼り付け固着した後に引き剥がす形で行う。
〈耐熱性〉
60mm×120mmのサイズに切断した積層体の試験片を恒温槽にて110℃又は130℃に保持し、1000時間後のPE-CVD法による酸化ケイ素層を有する積層体の表面の外観変化及び密着性を評価した。
〈促進耐候性〉
スガ試験機製キセノン促進耐候性試験機(SX-75)を用いて、UV照射強度180W/m、ブラックパネル温度63℃、120分中18分シャワー噴霧条件で500時間ごとに試験片を取出して、PE-CVD法による酸化ケイ素層を有する積層体の表面を中性洗剤を染み込ませたスポンジで軽く擦り洗浄した後、外観を顕微鏡観察及び密着性を評価した。外観でクラックが発生したり、密着性評価で剥離が発生した時間を表5に示した。
(成分(i)の合成)
〔合成例1〕
攪拌機、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた2リットルフラスコに、ジアセトンアルコール33.7gを仕込み、窒素気流下にて80℃に加熱した。ここに、予め調製しておいた単量体混合溶液と開始剤溶液の双方の一部を順次投入して80℃で30分反応させた後、更に双方の溶液を80~90℃で20分かけて滴下した。その後、得られた溶液を80~90℃で5時間攪拌して、溶液EX-iを得た。
ここで、この合成例1の単量体混合溶液は、下記の成分を混合して調製したものである:
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM-503」)20g(単量体単位Aに相当、重合体中に占める単量体単位Aの割合が20質量%)、
2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリロキシエチル)フェニル])-2H-ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名「RUVA-93」)15g(単量体単位Bに相当、重合体中に占める単量体単位Bの割合が15質量%)、
メチルメタクリレート(MMA)60g、グリシジルメタクリレート(GMA)5g(単量体単位Cに相当、重合体中に占める単量体単位Cの割合が65質量%、及び
ジアセトンアルコール140g。
また、この合成例1の開始剤溶液は下記の成分を混合して調製したものである:
2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.5g、及び
ジアセトンアルコール40g。
溶液EX-iは、重合体成分(i)を40質量%含むジアセトンアルコール溶液である。この高分子溶液の粘度は5Pa・s、重合体成分(i)のポリスチレン換算によるGPC分析の重量平均分子量は6×10であった。
(合成例2)
成分(i)の合成(i-EX2)
攪拌機、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた2リットルフラスコに、ジアセトンアルコール33.7gを仕込み、窒素気流下にて80℃に加熱した。ここに予め調製しておいた単量体混合溶液と開始剤溶液の双方の一部を順次投入して80℃で30分反応させた後、更に双方の溶液を80~90℃で20分かけて滴下した。その後、得られた溶液を80~90℃で5時間攪拌して、溶液EX-iiを得た。
ここで、この合成例2の単量体混合溶液は、下記の成分を混合して調製したものである:
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM-503」)15g(単量体単位Aに相当、重合体中に占める単量体単位Aの割合が15質量%)、
2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリロキシエチル)フェニル])-2H-ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名「RUVA-93」)20g(単量体単位Bに相当、重合体中に占める単量体単位Bの割合が20質量%)、
メチルメタクリレート(MMA)55g、グリシジルメタクリレート(GMA)10g(単量体単位Cに相当、重合体中に占める単量体単位Cの割合が65質量%)、
ジアセトンアルコール140g。
また、この合成例2の開始剤溶液は下記の成分を混合して調製したものである:
2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.5g、及び
ジアセトンアルコール40g。
溶液EX-iiは、重合体成分(i)を40質量%含むジアセトンアルコール溶液である。この高分子溶液の粘度は5Pa・s、重合体成分(i)のポリスチレン換算によるGPC分析の重量平均分子量は6×10であった。
(合成例3)(成分(ii)、成分(v)の複合体の合成)
攪拌機、冷却管、温度計、及び滴下ロートを備えた1リットル4つ口フラスコに、成分(ii)前駆体の混合物と、加水分解触媒としてのイオン交換樹脂(オルガノ(株)製、製品名「アンバーライト200CT(H)-AG」)10gを仕込み、フラスコ内温を10℃に冷却した。ここに、前記滴下ロートから、純水70g、IPA-ST(日産化学工業株式会社製コロイダルシリカ、固形分濃度30%)60g、エタノール120gの混合液を1時間かけて滴下した。
更に、得られた溶液を25℃で1時間攪拌熟成し、シクロペンタノール100gを加えて、オイルバス(浴温100℃)で加熱した。加熱に伴い、低沸点成分が100g留去された。この時のフラスコ内温は87℃であった。フラスコ内容物をろ過して、前記イオン交換樹脂を除き、得られたろ液に、ジアセトンアルコール300g、シクロペンタノール350g、レベリング剤としてのポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、製品名「KP-341」)0.2g、及びトリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)0.7gを加えて、更に25℃で1時間攪拌し、溶液EX-iiiを得た。
ここで、合成例3の成分(ii)前駆体の混合物は、下記の成分を含有していた:
γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM-5103」)120g、
γ-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM-5102」)30g、及び
テトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBE-04」)150g。
溶液EX-iiiは、成分(ii)と成分(v)の共加水分解複合体15質量%を含むアルコール類溶液であり、アルコール類成分は、主としてのシクロペンタノール、ジアセトンアルコール、エタノール、メタノールを含んでいた。この溶液の粘度は4mm/s、成分(ii)のポリスチレン換算によるGPC分析の重量平均分子量は2×10であった。
(合成例4、5)(成分(ii)、成分(v)の複合体の合成)
アルコキシシラン各成分、二酸化ケイ素分散液(日産化学工業(株)製IPA-ST)中の固形分が表1に示す割合になるように配合し、固形分濃度が20重量%になるように、ジアセトンアルコール、シクロペンタノールでの希釈量を調節した以外は合成例3と同様にして、成分(ii)、成分(v)の共加水分解複合体20重量%アルコール溶液EX-iv、EX-vを得た。
(活性エネルギー線硬化型アクリルシリコーン樹脂組成物とその製造法)
〈調合例1〉
溶液EX-i250重量部、溶液EX-iii1950重量部、アクリット8UA-347(大成ファインケミカル(株)製 固形分濃度30重量%、成分(iii)に該当)50重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(以下「TMPT-A」と略す、成分(iv)に該当)400重量部を褐色ポリ瓶に計量し、組成物の固形分濃度が35重量%になるようにシクロペンタノールで希釈して混合攪拌し、活性エネルギー線硬化型アクリルシリコーン樹脂組成物ASC-1を得た。
アクリルシリコーン樹脂組成物ASC-1には成分(i)~(v)が以下の質量比率で配合されている:
成分(i) 100重量部
成分(ii) 400重量部
成分(iii) 15重量部
成分(iv) 400重量部
成分(v) 20重量部
〈調合例2~4〉
表2に記載の配合比になるように、調合例1に準じて配合を行い、アクリルシリコーン樹脂組成物ASC-2~ASC-4を得た。
[実施例1]
ポリカーボネート樹脂(帝人株式会社パンライトL1250Z)を射出プレス成形装置投入し、2mm厚み、550mm四方の透明なポリカーボネート樹脂板を得た。
本ポリカーボネート樹脂板を基板として、その両面に、前記活性エネルギー線硬化型アクリルシリコーン樹脂組成物ASC-1をディップコーティングし、風乾の後、両面から高圧水銀ランプで1000mJ/cmの紫外線を照射し、膜厚約15μmの活性エネルギー線硬化型アクリルシリコーン樹脂硬化物層をポリカーボネート基板の両面に形成した。
標準キャパシタンス800pF、可変変動幅100pFの可変コンデンサ、標準インダクタンス1mH、可変変動幅0.2mHの可変コイル、パルス制御素子としてインダクタンス0.5mHのチョークコイルを備える大気圧プラズマ照射装置にアクリルシリコーン樹脂硬化物層が両面に形成された2mm厚のサイズのポリカーボネート樹脂基板をセットした。基板をセットした段階での電極間キャパシタンスは140pFだった。
キャリアガスとして酸素ガス9000sccmを供給し、電源から供給するプラズマ励起電力は4kV、1000W、30kHzの単一正弦波のものとしてプラズマを発生させ樹脂基板表面を30秒間プラズマで表面処理した。
プラズマで表面処理した段階で基板を取り出した場合の基板表面の水接触角、表面粗さを表5に示す。
引き続き、原料ガスとして酸素ガス9000sccmおよびトリメトキシシラン気化ガス3.6sccmを供給した。この際における供給ガスの温度は60℃だった。
電源から供給するプラズマ励起電力は4kV、1000W、30kHzの単一正弦波のものとした。
以上の条件の下、初期と同条件を保つように可変コンデンサ、可変コイルを制御して25秒間、ハードコート層を形成し、片面2nmのハードコート層がポリカーボネート樹脂積層体を作成した。
積層体の性能評価結果を、表5に示す。
以下の実施例及び比較例についても、実施例1と同様に、それぞれの例で得られた積層体の性能評価結果及びその各層の物性を、表5に示す。尚、表中の中間層の物性値は、同層にプラズマ処理を施した後、ハードコート層が積層形成される直前の段階の物性値である。
[実施例2~8、比較例1~6]
表4に示すコート剤組成物を用いて中間層が両面に形成されたポリカーボネート樹脂基板を作成し、表4に示す内容でハードコート層を形成した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を作成した。
[実施例9]
透明樹脂基材としてポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤としてフェノール―2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)2重量%含有するポリメチルメタクリレート樹脂をポリカーボネート樹脂層が1.9mm、ポリメチルメタクリレート樹脂層が0.1mmとなるように共押出した基板を用い、ポリメチルメタクリレート樹脂層側に中間層を形成し、その中間層表面にプラズマ表面処理をしたうえでハードコート層を形成するた以外は実施例1と同様にして透明樹脂積層体を作成した。
[比較例7]
実施例1と同様にして膜厚約15μmの活性エネルギー線硬化型アクリルシリコーン樹脂硬化物層を形成するのみでハードコート層は形成せずにポリカーボネート樹脂積層体を作成した。
積層体の性能評価結果を、表5に示す。
表4中のモノマーはそれぞれ以下の化合物を示す。
M13:トリメトキシシラン
M04:テトラメトキシシラン
E04:テトラエトキシシラン
E22:ジエトキシシラン
D4H:1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン
本発明の製造方法を用いてなる積層体は、無機ガラス並みの優れた表面耐摩耗性を有し、厳しい使用環境下でも長期的に使用する事のできる高度な耐環境性を併せ持っており、例えば、自動車窓材、建築部材、太陽電池の表面保護板等に利用する事ができ、極めて有用である。

Claims (7)

  1. 工程(1)
    有機樹脂基板上において、アクリルシリコーン樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させて中間層を形成し、ここで、上記アクリルシリコーン樹脂組成物が、
    100質量部の下記成分(i)
    100~800質量部の下記成分(ii)、
    5~50質量部の下記成分(iii)、
    200~500質量部の下記成分(iv)、
    20~800質量部の下記成分(v)
    を含有し、かつ下記成分(ii)、及び下記成分(v)の合計質量部を下記成分(i)~(v)の合計質量部で割った値(以下「無機成分率X」と表現する)が0.4~0.8である、アクリルシリコーン樹脂組成物であり、
    工程(2)
    工程(1)で得られた上記中間層の表面を、大気圧プラズマを生成するための電極対にプラズマ励起電力を供給するための電源装置として20k~3MHzで単一周波数の正弦波の電力を出力する電源とインダクタンスおよびキャパシタンスが可変であるLC共振回路と前記電極対に直列に接続されるパルス制御素子とを有する電源装置を用い、酸素をキャリアガスとして生成した大気圧プラズマにて表面処理を行う工程
    工程(3)
    工程(2)に引き続いてキャリアガスとしてアルコキシシランおよび酸素を供給して前記大気圧プラズマ環境下でプラズマ重合を行うことにより、ハードコート層を形成することを含む、積層体の製造方法:
    成分(i):
    下記一般式(I)で表されるビニル系重合体:
    Poly-[(A)-co-(B)-co-(C)] (I)
    (式中、A、B及びCは、それぞれ独立に、ビニル系単量体単位を示し、角括弧及び-co-は、ランダム共重合体であることを表し、a、b及びcは、モル分率を表し、Aは、アルコキシシリル基を有するビニル系単量体単位であって、aは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Aが1~50質量%となるようなモル分率であり、Bは、紫外線吸収性ビニル系単量体単位であって、bは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Bが5~40質量%となるようなモル分率であり、Cは、前記B及びCのビニル系単量体単位と共重合可能な他の単量体単位であって、cは、前記ビニル系重合体全量に対して単量体単位Cが[100-(単量体単位Aの含有率)-(単量体単位Bの含有率)]質量%となるようなモル分率である)、
    成分(ii):
    下記一般式(II)で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られる加水分解縮合物、
    Si(OR4-m-n (II)
    (式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~20の非置換又はビニル性重合性基を有することができる1価炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していても良く、Rは、炭素数1~3のアルキル基であり、m及びnは、各々独立に、0又は1であり、かつm+nは、0、1又は2である)
    成分(iii):
    ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体であって、成分(i)には該当しないビニル系重合体、
    成分(iv):
    アルコキシシリル基を有さないビニル系重合性単量体であって、活性エネルギー線照射前は重合体及び/又は縮合物を形成しておらず、成分(i)及び成分(ii)には該当しないビニル系重合性単量体、
    成分(v):
    無機金属酸化物。
  2. 前記有機樹脂基材が単層である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有機樹脂基材が、共押し出し又はラミネートしたベース樹脂とキャップ層とを有する複数層からなる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ハードコート層の厚みが3~50nmの範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記工程(2)の表面改質により、前記中間層の表面を水接触角40°以下、かつ表面粗さ0.7~20nmとする、請求項1又は2に記載の方法。
  6. ASTM D3359、B方式の密着テープ試験、及び3日間、65℃に保ったイオン交換水を用いた、ASTM D870に準じた密着テープ試験において、97%以上の合格値を有する請求項1又は2に記載の方法。
  7. プラズマ重合に用いる上記アルコキシシランの平均組成が、下記式(A)である、請求項1又は2に記載の方法:
    式(A):(SiH
    (式中、Rは、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のカルボキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、またはヒドロキシ基であり、xは、0.5~2、yは、0.1~1、zは、0.5~1.5、かつ、nは、1~6である)。
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