JP2024009734A - 血圧輸液制御補助プログラム、血圧輸液制御補助装置、血圧輸液制御補助システム及び課金方法 - Google Patents

血圧輸液制御補助プログラム、血圧輸液制御補助装置、血圧輸液制御補助システム及び課金方法 Download PDF

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Kenji Shigemi
悠佳 松木
Yuka Matsuki
理 長田
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Abstract

【課題】全身状態が良好な症例において、血圧及び輸液を調整する血圧輸液制御補助プログラム、血圧輸液制御補助装置、血圧輸液制御補助システム及び課金方法を提供する。【解決手段】血圧輸液制御補助装置1は、患者6の平均血圧Pm及び一回拍出量係数SVIから実効動脈エラスタンスEaを推定するEa推定手段102と、左室収縮能が一定であることを前提として、実効動脈エラスタンスEaが予め定めた値より小さい場合であって、平均血圧Pmが予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与手段104を有する。【選択図】図2

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、血圧輸液制御補助プログラム、血圧輸液制御補助装置、血圧輸液制御補助システム及び課金方法に関する。
従来の技術として、実験的に作成された心不全を、強心薬と血管作動薬(血管拡張薬)及び輸液によって、自動的に治療する血圧輸液制御補助方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1に開示された血圧輸液制御補助方法は、左心拍出能の平衡(S)をドブタミンにより、血管内血液量(V)をデキストラン/フロセミドにより、全身血管抵抗(R)をニトロプルシドにより自動的に調整することで、これらの値により定まる動脈圧、心拍出量、左心房圧を調整し、実験的に作成された動物の心不全を治療する。
一方、医学の分野において、術中の持続的な低血圧(平均血圧が65mmHg以下)は、手術の予後を悪くし、危険であることが知られている。そのため、麻酔を必要とする手術症例で、比較的全身状態が良好な症例、すなわち、心機能が正常範囲である症例を対象として、持続的な低血圧が持続することを防止することが重要である。
しかし、上記した非特許文献1の血圧輸液制御補助方法は、血管拡張薬及び輸液を自動的に行うものの、心不全を治療することを目的にしており、心不全以外の状態、つまり心臓の状態が良好な症例を対象にしたものではないし、このような症例における術中の患者の血圧及び輸液そのものを調整するものではない。また、術中の患者の血圧及び輸液は、複雑な条件分岐に基づいて麻酔科医が行っており経験によるところが大きかった。
また、敗血症性ショックに対応して血圧及び輸液を調整して、血圧と心拍出量を目的の値にする血圧輸液制御補助方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
非特許文献2に開示された血圧輸液制御補助方法は、動物実験で犬にエンドトキシンを投与して敗血症性ショックを生じさせた状態で、血圧と心拍出量と中心静脈圧を測定し、血管抵抗値、有効循環血液量、心機能(フランク・スターリングの心機能曲線)を算定し、ノルアドレナリン(血管収縮薬)と酢酸リンゲル液(輸液)を投与して、血圧と心拍出量を目的の値にする。
しかし、上記した非特許文献2の血圧輸液制御補助方法は、血管収縮薬及び輸液を投与制御することにより血圧と心拍出量を目的の値にするものの、投与量を決定するための測定値として中心静脈圧を必要とする。この中心静脈圧を測定する際に侵襲が大きいため、全身麻酔全員に使用することができないという問題がある。また、フランク・スターリングの心機能曲線を利用しているため、血管抵抗値を計算する必要があり、有効循環血液量を考慮する必要がある。フランク・スターリングの心機能曲線は、後負荷に依存し、複雑な性質を含有する。つまり、これらの投与量を決定するために必要な値は、条件の限られた実験の場で得られるものであり、術中に一般的に測定される血圧、一回拍出量等から導出できるものではない、という問題がある。
従って、本発明の目的は、術中の患者の血圧及び輸液の調整を補助する血圧輸液制御補助プログラム、血圧輸液制御補助装置、血圧輸液制御補助システム及び課金方法を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の血圧輸液制御補助プログラム、血圧輸液制御補助装置、血圧輸液制御補助システム及び課金方法を提供する。
[1]コンピュータを、
患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段と、
左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与手段として機能させる血圧輸液制御補助プログラム。
[2]前記投与手段は、当該血管収縮薬の投与にも関わらず前記血圧が前記予め定めた値より低い場合に必要な輸液量を決定する前記[1]に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
[3]前記投与手段は、前記血管収縮薬の必要投与量及び/又は前記輸液量を表示制御する前記[2]に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
[4]前記投与手段は、前記患者に対する血管収縮薬投与及び/又は輸液が可能な外部機器を制御して、必要投与量の前記血管収縮薬及び/又は前記輸液量の輸液を前記患者に投与制御する前記[2]に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
[5]前記投与手段は、前記血圧と前記一回拍出量又は前記一回拍出量係数に基づいて前記患者の循環動態を予め定めた分類に分類し、分類結果に基づいて前記血管収縮薬の必要投与量及び/又は前記輸液量を決定する前記[2]から[4]のいずれかに記載の血圧輸液制御補助プログラム。
[6]患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段と、
左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与手段を有する血圧輸液制御補助装置。
[7]患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段と、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与手段を有する血圧輸液制御補助装置と、
前記血圧輸液制御補助装置の前記投与手段により制御され、必要投与量の前記血管収縮薬を前記患者に投与する血管収縮薬投与・輸液装置とを備えた血圧輸液制御補助システム。
[8]コンピュータを、
患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の第1の投与量を決定する投与手段と、
前記患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段として機能させ、
前記投与手段は、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の第2の投与量を決定する血圧輸液制御補助プログラム。
[9]前記第1の投与量の血管収縮薬の投与による血圧変動分に基づいて前記患者の血圧を補正血圧に補正する血圧補正手段としてさらに機能させ、
前記投与手段は、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記補正血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する前記[8]に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
[10]患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の第1の投与量を決定する投与手段と、
前記患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段とを有し、
前記投与手段は、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の第2の投与量を決定する血圧輸液制御補助装置。
[11]患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の第1の投与量を決定する投与手段と、
前記患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段とを有し、
前記投与手段は、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の第2の投与量を決定する血圧輸液制御補助装置と、
前記血圧輸液制御補助装置の前記投与手段により制御され、必要投与量の前記血管収縮薬を前記患者に投与する血管収縮薬投与・輸液装置とを備えた血圧輸液制御補助システム。
[12]コンピュータを、
患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の投与量を決定する投与手段として機能させる血圧輸液制御補助プログラム。
[13]患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の投与量を決定する投与手段とを有する血圧輸液制御補助装置。
[14]前記[1]~[5]、[8]、[9]、[12]に記載の血圧輸液制御補助プログラムを、予め定めた期間毎又は当該血圧輸液制御補助プログラムの実行回数毎に、予め定めた額、当該血圧輸液制御補助プログラムの実行回数に比例した額又は実行時間に比例した額を課金して、前記コンピュータに実行させる課金方法。
請求項1、6、7、8、10、11に係る発明によれば、術中の患者の血圧及び輸液の調整を補助することができる。
請求項2に係る発明によれば、血管収縮薬の投与にも関わらず血圧が予め定めた値より低い場合に必要な輸液量を決定することができる。
請求項3に係る発明によれば、血管収縮薬の必要投与量及び/又は輸液量を表示制御することができる。
請求項4に係る発明によれば、患者に対する血管収縮薬投与及び/又は輸液が可能な外部機器を制御して、必要投与量の血管収縮薬及び/又は輸液量の輸液を前者に投与制御することができる。
請求項5に係る発明によれば、血圧と一回拍出量に基づいて患者の循環動態を予め定めた分類に分類し、分類結果に基づいて血管収縮薬の必要投与量及び/又は輸液量を決定することができる。
請求項9に係る発明によれば、第1の投与量の血管収縮薬の投与による血圧変動分に基づいて患者の血圧を補正血圧に補正し、実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、補正血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定することができる。
請求項12、13に係る発明によれば、術中の患者の血圧の調整を補助することができる。
請求項14に係る発明によれば、術中の患者の血圧及び輸液の調整を補助するプログラムを定期利用のために課金することができる。
図1は、第1の実施の形態に係る血圧輸液制御補助システムの構成の一例を示す概略図である。 図2は、第2の実施の形態に係る血圧輸液制御補助装置の構成例を示すブロック図である。 図3は、圧容積関係(PVループ)と各数値との関係を示すグラフ図である。 図4(a)及び(b)は、圧容積関係(PVループ)と血管収縮薬投与・輸液との関係を示すグラフ図である。 図5は、循環動態の分類を示すグラフ図である。 図6は、血管収縮薬投与・輸液動作の一例を説明するためのグラフ図である。 図7は、血圧輸液制御補助システムの動作を説明するためのフローチャートである。 図8は、第2の実施の形態に係る血圧輸液制御補助装置の構成例を示すブロック図である。 図9は、患者の平均血圧の時間変化と、血管収縮薬の時間変化との対応の一例を示すグラフ図である。 図10は、患者の平均血圧の時間変化と、血管収縮薬の時間変化との対応の他の例を示すグラフ図である。 図11は、測定値である平均血圧と、血管収縮薬による血圧変動と、補正値との対応の一例を示すグラフ図である。 図12は、血圧維持動作の一例を示すフローチャートである。 図13は、血管収縮薬投与量・輸液量決定(血管収縮薬投与・輸液動作)動作の一例を示すフローチャートである。
[第1の実施の形態]
(血圧輸液制御補助システムの構成)
図1は、第1の実施の形態に係る血圧輸液制御補助システムの構成の一例を示す概略図である。
この血圧輸液制御補助システム7は、例えば、患者6に手術中の血圧制御のために血管収縮薬を投与及び輸液する際に、投与量及び輸液量を決定し、提示するためのものである。また、患者6に適した投与量の血管収縮薬及を投与及び輸液するのを補助するために用いられるものである。
また、血圧輸液制御補助システム7は、表示部12と操作部13とを備えた専用に設計された機器又はPCやタブレット端末等の情報処理装置であって情報を処理する血圧輸液制御補助装置1と、患者6の血管内に血管収縮薬を投与するとともに輸液するための外部機器としての血管収縮薬投与・輸液装置2と、患者6の血圧を測定する血圧モニタ3と、一回拍出量、一回拍出量係数、脈拍数及び動脈血酸素飽和度を測定するパルスオキシメータ4とを有する。なお、血圧輸液制御補助装置1、血管収縮薬投与・輸液装置2、血圧モニタ3、パルスオキシメータ4は、麻酔科の医師5によって操作される。
血圧輸液制御補助装置1は、血圧モニタ3及びパルスオキシメータ4から得られる情報に基づいて、術中の患者6の血圧及び/又は拍出量に適した血管収縮薬の投与量及び輸液量を決定して表示部12に提示し、又は患者6に適した投与量の血管収縮薬を投与するよう及び輸液を行うように血管収縮薬投与・輸液装置2を制御するものであって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPU(Central Processing Unit)やHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の電子部品を備える。なお、血圧輸液制御補助装置1は、サーバ装置として構成してもよく、その場合は端末装置の要求に応じて動作する。また、血圧輸液制御補助装置1は、患者6の手術を行う手術室に配置されるものであるが、サーバ装置として構成する場合は遠隔地に配置されるものであってもよい。
血管収縮薬投与・輸液装置2は、患者6に対する血管収縮薬の投与流量を制御可能なシリンジポンプである血管収縮薬ポンプ20と、患者6に対する輸液量を制御可能なシリンジポンプである輸液ポンプ21とを有する。
各機器は、専用線により相互に通信可能に接続されるが、有線又は無線の通信ネットワークにより接続されてもよいし、インターネット、イントラネットやLAN(Local Area Network)等の通信網を用いてもよい。
血圧輸液制御補助装置1は、上記構成において、患者6の血圧及び/又は心拍出量に適した血管収縮薬の必要投与量及び輸液量を決定するものである。医師5は、表示部12に表示された情報を確認し、血管収縮薬の投与量及び輸液量等を調整する。また、血圧輸液制御補助装置1は、必要に応じ、決定した血管収縮薬の投与量及び輸液量に基づいて血管収縮薬ポンプ20及び輸液ポンプ21を制御し、患者6に対する血管収縮薬の投与量及び輸液量を制御するものであってもよい。
なお、血圧輸液制御補助装置1、血管収縮薬投与・輸液装置2、血圧モニタ3及びパルスオキシメータ4の機能の全部又は一部を一体に構成してもよいし、各装置の機能の一部又は全部を他の装置に含めてもよい。また、血圧輸液制御補助装置1、血管収縮薬投与・輸液装置2、血圧モニタ3及びパルスオキシメータ4の機能の全部又は一部を遠隔地に配置された機器で動作させるように構成してもよい。また、血圧輸液制御補助装置1に対して複数の血管収縮薬投与・輸液装置2、血圧モニタ3及びパルスオキシメータ4を対応させ、血圧輸液制御補助装置1に同時に複数の血圧輸液制御補助動作を行わせるものであってもよい。
(血圧輸液制御補助装置の構成)
図2は、第1の実施の形態に係る血圧輸液制御補助装置1の構成例を示すブロック図である。
血圧輸液制御補助装置1は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10と、HDDやフラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と、画像及び文字により情報を表示する表示部12と、操作内容に応じて制御部10に対して操作信号を出力する操作部13と、外部装置と通信する通信部14とを備える。
制御部10は、後述する血圧輸液制御補助プログラム110を実行することで、血圧取得手段100、一回拍出量取得手段101、Ea推定手段102、Ved変化推定手段103、投与手段104及び表示処理手段105等として機能する。
血圧取得手段100は、血圧モニタ3から血圧を定期的に取得し、血圧情報111として記憶部11に格納する。
一回拍出量取得手段101は、通信部14を介してパルスオキシメータ4から少なくとも一回拍出量(SV)及び/又は一回拍出量係数(SVI、一回拍出量/体表面積)を取得し、一回拍出量情報112として記憶部11に格納する。なお、一回拍出量取得手段101は、心拍出量(1分間の量)及び/心係数(心拍出量/体表面積)を取得して、これらの値からSV及び/又はSVIを算出するものであってもよい。
Ea推定手段102は、血圧情報111から得られる平均血圧Pm及び一回拍出量情報112の一回拍出量(SV)から実効動脈エラスタンスEa(≒Pm/SV)を推定する。
Ved変化推定手段103は、一回拍出量情報112の一回拍出量SVの変化量(ΔSV)が左室拡張末期容量Vedの変化量(ΔVed)とほぼ等しいものとして推定する。
投与手段104は、Ea推定手段102が推定する実効動脈エラスタンスEaが予め定めた値より低い場合、平均血圧Pm及び一回拍出量係数SVIに基づき患者6の循環動態を分類し、分類結果に基づいて投与すべき血管収縮薬の量(必要投与量)及び輸液の量を推定する。また、さらに投与手段104は、血管収縮薬投与・輸液装置2の血管収縮薬ポンプ20及び輸液ポンプ21それぞれの投与流量を制御するようにしてもよい。本実施の形態では、血管収縮薬ポンプ20はシリンジポンプであるため、投与手段104は、投与量が指定されると、指定された投与量に調整して患者6に対する血管収縮薬の投与を行う。また、輸液ポンプ21はシリンジポンプであるため、投与手段104は輸液量が指定されると、指定された輸液量にシリンジポンプの流量を調整して患者6に対する輸液を行う。
表示処理手段105は、血圧取得手段100が取得した血圧情報111、一回拍出量取得手段101が取得した一回拍出量情報112、Ea推定手段102が推定したEa、Ved変化推定手段103が推定したVed変化量、投与手段104が計算した血管収縮薬の投与量及び輸液量の全部又は適宜選択した一部を、リアルタイムに又は履歴や予測値を含めて表示部12に表示処理する。表示方法は数値によるもの、グラフによるもの、色によるもの等、その方法は限定されない。
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100-105として動作させる血圧輸液制御補助プログラム110、血圧情報111、一回拍出量情報112及び投与情報113等を記憶する。
(血圧輸液制御補助システムの動作)
次に、本実施の形態の作用を上記に説明した構成を前提とし、図1~図5を参照しつつ、(1)基本動作、(2)血管収縮薬投与・輸液原理、(3)血管収縮薬投与量・輸液量決定(血管収縮薬投与・輸液動作)動作に分けて説明する。
(1)基本動作
図7は、血圧輸液制御補助システムの動作を説明するためのフローチャートである。
まず、患者6が手術室に入室した後、患者6に対し血圧モニタ3として、例えば、日本光電社製の非観血的自動血圧計(直線加圧測定方式iNIBP)を装着し、パルスオキシメータ4として、例えば、日本光電社製の製品(esCCO)を装着する。なお、esCCOは、非観血的に心拍出量を算定するモニタであるが、動脈血圧波形から心拍出量を算定するモニタ、例えば、エドワーズライフサイエンス社製のフロートラックセンサーや、マシモ社製のLiDCOを使用することもできる。
次に、患者6の左手背の皮静脈や、前腕橈側皮静脈に輸液路を確保し、血管収縮薬ポンプ20及び輸液ポンプ21をそれぞれ接続する。なお、輸液路は、右手に確保してもよいし、足の大伏在静脈、小伏在静脈に確保してもよい。また、必要に応じて麻酔器、人工呼吸器等を患者6に取り付ける。
次に、医師5の操作により麻酔器から鎮静薬及び鎮痛薬を投与して全身麻酔を開始する。
その後、血圧輸液制御補助装置1の血圧取得手段100は、通信部14を介して血圧モニタ3から血圧を定期的に取得し、血圧情報111として記憶部11に格納する(S1)。
また、一回拍出量取得手段101は、通信部14を介してパルスオキシメータ4から少なくとも一回拍出量(SV)及び/又は一回拍出量係数(SVI)を取得し、一回拍出量情報112として記憶部11に格納する(S2)。
(2)血管収縮薬投与・輸液原理
「(3)血管収縮薬投与量・輸液量決定動作」を説明するために、まず心臓、特に左心室の圧と容積の変化と、血管収縮薬の投与及び輸液が当該左心室の圧と容積の変化に与える影響を説明する。
図3は、圧容積関係(PVループ)と各数値との関係を示すグラフ図である。また、図4(a)及び(b)は、圧容積関係(PVループ)と血管収縮薬投与・輸液との関係を示すグラフ図である。
PVループは、左心室の圧と容積の変化を分析するために用いられるものであり、図3に示すPVループの底辺が左心室の拡張期、右辺が等容収縮期、上辺が収縮期、左辺が等容弛緩期を表し、時計逆回りのサイクルを有する。
実効動脈エラスタンスEaは、収縮末期圧と一回拍出量の関係における傾きであり、後負荷の指標となる値である。つまり、図4(a)に示すように、血管が収縮するとEaの傾きは大きくなり、血管が拡張するとEaの傾きは小さくなる。つまり、血管収縮薬が投与されることでEaの傾きは大きくなる。また、EaとPVループの交点(収縮期末期)がほぼ平均血圧Pmと等しいため、Eaが大きくなれば平均血圧Pmを増加させることができる。しかし、血管収縮には限度があるため、血管収縮薬の効果には上限があり、以降は血管収縮薬が投与されたとしても血管収縮の程度を表すEaの傾きは大きくならず、従って、平均血圧Pmもある値以上は増加させることができない。
また、PVループの横幅が一回拍出量を示し、左室拡張末期容量Vedは左室が最も大きくなった際の容量を示す。ここで、図4(b)に示すように、輸液をすることにより患者6の体内の血液量が増えるため、一回拍出量を大きくすることができ、Vedも増加させることができる。Vedが増加すると、Eaの傾きが変わることなくEaの線がグラフ右側に移動するため、結果としてPmを増加させることができる。これは、Eaの傾きが上限に達している場合であっても平均血圧Pmを上昇させるのに有効である。
また、Eesは左室収縮能であり、強心薬により傾きが大きくなり、心臓が何らかのダメージを受けることで傾きが小さくなるが、本実施の形態では左室収縮能は良好であり、変化しないことを前提とする。つまり、強心薬の投与も考慮しない。
(3)血管収縮薬投与量・輸液量決定動作
上記のPVループの変化を観測するため、血圧輸液制御補助装置1のEa推定手段102は、血圧情報111から得られる平均血圧Pm及び一回拍出量情報112(SV)から実効動脈エラスタンスEaを推定する。ここで、Eaは、Pm/SVに近似するものとして算出する(S3)。
また、血圧輸液制御補助装置1のVed変化推定手段103は、一回拍出量情報112の変化(ΔSV)から左室拡張末期容量Vedの変化量(ΔVed)を推定する(S4)。
次に、投与手段104は、推定量であるEa及びVedの内容を確認する(S5)。具体的には、Eaが予め定めた値、例えば、1.6より小さい場合、血管収縮薬の投与が必要であると判断する。また、Eaを推定することで、血管収縮薬が投与されたとしてもEaが変化しない場合に、Eaが上限に達したことを検知することができる。また、ΔVedを推定することで、輸液によりVedが増加したことを確認でき、平均血圧Pmの上昇がVedの増加によるものであることを確認できる。
なお、投与手段104が血管収縮薬の投与が必要であると判断するEaの閾値は、一例として1.6を挙げたが、1.2<Ea<1.9の範囲に設定してもよく、好ましくは1.3<Ea<1.8、より好ましくは1.4<Ea<1.7の範囲に設定する。
次に、患者6の血圧及び/又は拍出量に適した血管収縮薬の投与量及び輸液量を決定するため、投与手段104は、まず、Pm(平均血圧)とSVI(一回拍出量係数)によって循環動態を次に示す図4のように分類する(S6)。
図5は、循環動態の分類を示すグラフ図である。ここで、横軸はゼロを原点とした一回拍出量係数(SVI)であり、図3、図4(a)及び(b)の横軸(左室容量)とは異なる。
圧容積関係のグラフにおいて、Aの領域(Pm≧65mmHg、SVI≧40ml/m)にある場合、患者6の循環動態は正常である。
Bの領域(Pm≧65mmHg、SVI<40ml/m)にある場合、患者6の循環動態は、末梢血管抵抗が上昇して、心拍出量が少ない状態である。
の領域(Pm<65mmHg、SVI<40ml/m)にある場合、患者6の循環動態は、血圧、一回拍出量ともに低く、末梢血管が最大限に収縮している状態である。一方、Cの領域(Pm<65mmHg、SVI<40ml/m)にある場合、患者6の循環動態は、血圧、一回拍出量ともに低く、末梢血管の収縮が不十分な状態である。
Dの領域(Pm<65mmHg、SVI≧40ml/m)にある場合、患者6の循環動態は、末梢血管抵抗が低下した状態である。
次に、投与手段104は、上記の分類に応じて血管収縮薬の投与量及び輸液量を決定する(S7)。
例えば、投与手段104は、Aの領域にある場合、患者6の循環動態は正常であるため、経過観察を行う。つまり、血管収縮薬の投与、輸液のいずれも行わない、又は維持量の投与を行う、と決定する。
また、投与手段104は、Bの領域にある場合、患者6の循環動態は、末梢血管抵抗が上昇して、心拍出量が少ない状態であるため、緩徐に輸液負荷を行い、前負荷を上昇させると決定する。具体的には、例えば、フィジオ140を定常量5ml・kg-1・h-1で投与する。
投与手段104は、Cの領域にある場合、患者6の循環動態は、血圧、一回拍出量ともに低く、末梢血管が最大限に収縮している状態であるため、血管収縮薬の効果が不十分であるため、急速輸液を行うと決定する。つまり、輸液により不十分となっている血管収縮薬の効果を元に戻すようにする。具体的には、ブドウ糖加酢酸リンゲル液,ブドウ糖加リンゲル液の一例としてのフィジオ140を定常量1,200ml・h-1(輸液ポンプの最大流量)で投与する。なお、不十分となっている血管収縮薬の効果回復を目的としているため、急速輸液と合わせて血管収縮薬の投与を行ってもよい。
投与手段104は、Cの領域にある場合、患者6の循環動態は、血圧、一回拍出量ともに低く、末梢血管の収縮が不十分な状態であるため、血管収縮薬が有効ではあるものの、単体ではPmが65mmHgに届かないため、輸液も行うと決定する。具体的には、代用血漿製剤の一例としてのボルベン、又はフィジオ140を定常量1,200ml・h-1(輸液ポンプの最大流量)で投与する。
投与手段104は、Dの領域にある場合、患者6の循環動態は、末梢血管抵抗が低下した状態であるため、血管収縮薬を投与すると決定する。具体的には、生理食塩水50mlに対してネオシネジンを5mg、つまり、100μg・ml-1とし、ネオシネジンの1回投与量を0.02ml・kg-1(1ml(100μg)、体重50kgの場合)とする(生理食塩水20mLに対してネオシネジンを1mg、つまり、50μg・mL-1としてもよい。)。また、持続投与量を1ml・min-1・kg-1(5ml/min、体重50kgの場合)とする。これらの1回投与量、持続投与量により、Pmが下限閾値を上回るよう投与する。
上記のように投与手段104は、Pm(平均血圧)とSVI(一回拍出量係数)によって循環動態を分類し、分類に応じて投与すべき血管収縮薬の量及び輸液の量を決定する。
なお、投与手段104は、投与の後、改めてステップS5を実行する際に、Eaが上限に達していないか確認し、上限に達している場合は血管収縮薬の投与はせずに輸液により血圧を上昇させる決定する。
次に、表示処理手段105は、投与手段104が計算した血管収縮薬の投与量及び輸液量を主として、血圧取得手段100が取得した血圧情報111、一回拍出量取得手段101が取得した一回拍出量情報112、Ea推定手段102が推定したEa、Ved変化推定手段103が推定したVed変化量の全部又は適宜選択した一部を、リアルタイムに又は履歴や予測値を含めて表示部12に表示処理する(S8)。
次に、医師5は、表示部12に表示された情報を確認し、示された量の血管収縮薬の投与及び/又は輸液を行う(S9)。当該投与動作は、血圧輸液制御補助装置1の制御によって、血管収縮薬ポンプ20及び輸液ポンプ21を制御し、患者6に対する血管収縮薬の投与量及び輸液量を制御するものであってもよい。
上記一連の動作(S1~S9)は、予め定めた間隔(例えば、2.5分毎)に実行され、術中の患者6の血圧及びEaを目標値(例えば、血圧が65mmHg、Eaが1.6)より小さくならないように血管収縮薬の投与及び/又は輸液が行われる。以下に、血管収縮薬の投与及び/又は輸液の一連の動作例を説明する。
(実施例)
図6は、血管収縮薬投与・輸液動作の実施例を説明するためのグラフ図である。
まず、投与手段104は、血圧及び一回拍出量を取得し、分類を行う。圧容積関係のグラフにおいて平均血圧Pm=Pm<65mmHg、一回拍出量係数SVI=SVI<40ml・m-2であって、EaI=Pm/SVI<1.6である場合(ここで、EaIは、平均血圧PmをSVIで除することで体表面積で規格化したEaである。)、領域Cにあると判断し、EaIを1.6mmHg・ml-1・m-2に調節すべく、血管収縮薬を以下のように投与すると決定し、Ea=1.6とすることで、平均血圧Pm=Pmに上昇させる。なお、輸液は行っていないため、一回拍出量係数SVI=SVI(=SVI)は変化しない。
具体的には、一例として、生理食塩水50mlに対してネオシネジンを5mg、つまり100μg・ml-1とし、ネオシネジンの1回投与量を0.02ml・kg-1(1ml(100μg)、体重50kgの場合)とする。また、持続投与量を1ml・min-1・kg-1(5ml/min、体重50kgの場合)とする。なお、上記した投与量、濃度等は、あくまでも説明のための一例であり、目的とする効果が期待される範囲で変更してもよく、限定されるものではない。また、投与動作は医師5によるものでもよいし、医師5の確認の下、血管収縮薬投与・輸液装置2によって行うものであってもよい。
次に、投与手段104は、SVIを40ml・m-2に調節すべく、輸液を行うことで平均血圧Pm=Pmに、一回拍出量係数SVI=SVIに上昇させる。具体的には、フィジオ140を定常量2ml・kg-1・h-1で投与する。また、ボルベンを0.5ml・kg-1・min-1で急速投与する(総量125ml、所要時間5min、体重50kgの場合)。
上記の投与の結果として、平均血圧(Pm)がPm=65mmHgに維持される。なお、Eaの最大値Eamaxが図6中に示すものである場合、平均血圧がPmとなった時点ではEaが最大値Eamaxに達していないため、引き続き血管収縮薬を投与して血圧を上昇させることもできる。また、仮にEamaxが1.6より小さい場合は、Eaが1.6に達する前に急速輸液を開始してもよい。
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によれば、血圧モニタ3及びパルスオキシメータ4から得られる情報から患者の実効動脈エラスタンスEaを推定し、Ea及び平均血圧Pmに基づいて血管収縮薬の投与量及び輸液量を決定するようにしたため、当該決定した血管収縮薬の投与量及び輸液量に基づいて術中の患者の血圧及び輸液の調整を補助することができる。また、血圧モニタ3及びパルスオキシメータ4から得られる情報以外の情報が必要ないため、当該システム及び方法の導入が容易である。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、PVループに基づく血管収縮薬の投与及び輸液に合わせて、個体間変動及び個体内変動を考慮した血圧維持のために血管収縮薬を並行して投与する点で第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と共通の構成に対しては共通の符号を付すものとし、その説明を省略する場合がある。
(血圧輸液制御補助装置の構成)
図8は、第2の実施の形態に係る血圧輸液制御補助装置の構成例を示すブロック図である。
血圧輸液制御補助装置1Aは、第1の実施の形態と同様に制御部10と、記憶部11と、表示部12と、操作部13と、通信部14とを備える。
制御部10は、後述する血圧輸液制御補助プログラム110Aを実行することで、血圧取得手段100、一回拍出量取得手段101、Ea推定手段102、Ved変化推定手段103、投与手段104、表示処理手段105、反応性評価手段106及び血圧補正手段107等として機能する。
表示処理手段105は、血圧取得手段100が取得した血圧情報111、一回拍出量取得手段101が取得した一回拍出量情報112、Ea推定手段102が推定したEa、Ved変化推定手段103が推定したVed変化量、投与手段104が計算した血管収縮薬の投与量及び輸液量、反応性評価手段106が評価した血管収縮薬に対する評価結果、血圧補正手段107が補正した血圧の全部又は適宜選択した一部を、リアルタイムに又は履歴や予測値を含めて表示部12に表示処理する。表示方法は数値によるもの、グラフによるもの、色によるもの等、その方法は限定されない。
反応性評価手段106は、患者6の平均血圧が下限閾値に達した後に血管収縮薬を投与して平均血圧を上昇させ(初回投与)、再び血圧が下限閾値に達するまでの時間間隔及び/又は血圧減少の時間軸に対する傾きに基づいて、患者6の血管収縮薬に対する反応性を評価する。なお、下限閾値は、一例として、平均血圧で65mmHgであるが患者6の個体間変動及び個体内変動を考慮して変えるようにしてもよい。また、評価方法の詳細は、日本麻酔科学会第69回学術集会にて発表した「汎用シミュレーションソフトを利用した異常低血圧回避アルゴリズムの評価方法の開発」(森主 絵美 他、2022年6月17日発表)に記載されており、当該評価方法に基づいて行う。また、傾きに基づく評価は血管収縮薬に応じて変更するものとする。
また、投与手段104は、第1の実施の形態の動作内容に加え、上記した反応性評価手段106の評価動作に伴う血管収縮薬の投与量を決定するとともに(初回投与)、必要に応じて投与動作を実行する。また、投与手段104は、反応性評価手段106による患者6の反応性の評価結果に基づいて、患者6の平均血圧が下限閾値と上限閾値の間に収まるように血管収縮薬の持続投与における投与量、投与速度を決定するとともに、必要に応じて投与動作を行う。
血圧補正手段107は、上記した投与手段104による初回投与又は持続投与における血管収縮薬の投与量及び患者6の反応性の評価結果に基づき、血圧取得手段100が取得した血圧を補正し、循環動態を分類する際の平均血圧として補正後の血圧を投与手段104に出力する。
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100-107として動作させる血圧輸液制御補助プログラム110A、血圧情報111、一回拍出量情報112及び投与情報113等を記憶する。
(血圧輸液制御補助システムの動作)
次に、第2の実施の形態の作用を上記に説明した構成を前提とし、(4)血圧維持動作、(5)血管収縮薬投与量・輸液量決定(血管収縮薬投与・輸液動作)動作に分けて説明する。
まず、第1の実施の形態の「(1)基本動作」と同様に、まず、患者6が手術室に入室した後、患者6に対し血圧モニタ3を装着し、パルスオキシメータ4を装着する。
次に、患者6の左手背の皮静脈や、前腕橈側皮静脈に輸液路を確保し、血管収縮薬ポンプ20及び輸液ポンプ21をそれぞれ接続する。なお、輸液路は、右手に確保してもよいし、足の大伏在静脈、小伏在静脈に確保してもよい。また、必要に応じて麻酔器、人工呼吸器等を患者6に取り付ける。
次に、医師5の操作により麻酔器から鎮静薬及び鎮痛薬を投与して全身麻酔を開始する。
(4)血圧維持動作
図12は、血圧維持動作の一例を示すフローチャートである。
まず、血圧輸液制御補助装置1の血圧取得手段100は、通信部14を介して血圧モニタ3から、一例として、平均血圧を定期的に取得し、血圧情報111として記憶部11に格納する(S10)。
図9は、患者6の平均血圧の時間変化と、血管収縮薬の時間変化との対応の一例を示すグラフ図である。
まず、投与手段104は、血圧情報111の平均血圧Pmの時間変化を監視し、当該平均血圧Pmが予め定めた下限閾値Pslを下回った場合(S11;Yes、t=t)、当該タイミングで血管収縮薬をボーラス投与するよう表示処理する(S12、初回投与)。ボーラス投与は、例えば、0.1mgのネオシネジンを投与する(状況に応じて投与量を変更してもよい)。なお、ボーラス投与は、医師により行ってもよいし、医師の監視の下、投与手段104により血管収縮薬投与・輸液装置2を制御して自動で行ってもよい。
その後、反応性評価手段106は、患者6の平均血圧Pmを継続してモニタし、初回投与の後、平均血圧Pmが再び血圧が下限閾値Pslを下回ると(S13;Yes)、初回投与(t=t)から下限閾値Pslに達する時刻(t=t)までの時間間隔T及び/又は血圧減少の時間軸に対する傾きに基づいて、患者6の血管収縮薬に対する反応性を評価する(S14)。
次に、投与手段104は、反応性評価手段106による患者6の反応性の評価結果に基づいて、血管収縮薬の投与量(第1の投与量)及び/又は投与速度を決定し、投与量及び/又は投与速度の表示処理をし、患者6の平均血圧が下限閾値Pslを下回らないよう血管収縮薬の持続投与を行う(S15)。持続投与は、医師により行ってもよいし、医師の監視の下、投与手段104により血管収縮薬投与・輸液装置2を制御して自動で行ってもよい。
また、投与手段104は、平均血圧Pmの時間変化を監視し、平均血圧がPm予め定めた平均血圧Pmの上限閾値Psuを上回った場合(S16;Yes)、投与速度を減少し(S17)、患者6の平均血圧が上限閾値Psuを上回らないよう血管収縮薬の持続投与(の表示処理又は投与制御)を行う。当該投与制御は、血圧制御の終了指示があるまで継続して行う(S18)。なお、上限閾値は、一例として、収縮期血圧で140mmHgであるが、患者6の個体間変動及び個体内変動を考慮して変えるようにしてもよい。
なお、上記ステップS12の初回投与の変形例として、ボーラス投与ではなく、以下に示す例のように、予め定めた投与量及び投与速度による持続投与であってもよい。
図10は、患者6の平均血圧の時間変化と、血管収縮薬の時間変化との対応の他の例を示すグラフ図である。
投与手段104は、血圧情報111の平均血圧Pmの時間変化を監視し、当該平均血圧Pmが予め定めた下限閾値Pslを下回った場合(S11;Yes、t=t’)、予め定めた投与量及び投与速度において血管収縮薬を持続投与する(S12、初回投与)。
その後、反応性評価手段106は、患者6の平均血圧Pmを継続してモニタし、初回投与の後、平均血圧Pmが再び血圧が下限閾値Pslを下回ると(S13;Yes)、初回投与(t=t’)から下限閾値Pslに達する時刻(t=t’)までの時間間隔T’及び/又は血圧減少の時間軸に対する傾きに基づいて、患者6の血管収縮薬に対する反応性を評価する(S14)。
初回投与を持続投与とすることで、血圧の上昇及び下降を穏やかにすることができ、患者6の負担を減少することができる。なお、持続投与の全投与量はボーラス投与と同量であるが、適宜増減してもよい。
次に、又は同時に、第1の実施の形態と同様に血管収縮薬投与量・輸液量決定(血管収縮薬投与・輸液動作)動作を行う。以下、第1の実施の形態と異なる点について説明する。
(5)血管収縮薬投与量・輸液量決定(血管収縮薬投与・輸液動作)動作
上記した「(4)血圧維持動作」において、下限閾値Pslを下回らないように患者6の血圧を維持するように既に血管収縮薬を投与しているため、第1の実施の形態の「(3)血管収縮薬投与量・輸液量決定動作」をそのまま実行すると、ステップS6(循環動態の分類)において、図5の領域のうちC、C、Dの領域にはなりえず、正しい循環動態の分類が行えない。そのため、循環動態の分類を正しく行うために分類評価用の血圧の補正値を計算する。
図13は、血管収縮薬投与量・輸液量決定(血管収縮薬投与・輸液動作)動作の一例を示すフローチャートである。また、図11は、測定値である平均血圧と、血管収縮薬による血圧変動と、補正値との対応の一例を示すグラフ図である。
まず、血圧補正手段107は、患者6の血圧と、上記した「(4)血圧維持動作」において投与手段104が初回投与又は持続投与において投与した血管収縮薬の投与量(及び患者6の反応性の評価結果)とを取得する(S20)。
次に、血圧補正手段107は、血管収縮薬の投与量から当該血管収縮薬による血圧変動量ΔPを算出し、血圧取得手段100が取得した血圧の実測値Pを補正し(S21)、循環動態を分類する際の平均血圧として補正血圧P’を投与手段104に出力する(S22)。なお、実測値P、血圧変動量ΔP、補正血圧P’は、P’=P-ΔPの関係にある。
また、ステップS7において投与すべき血管収縮薬の量(第2の投与量)は、既に投与された血管収縮薬の投与量を考慮して決定される。具体的には、既に投与された血管収縮薬の投与量を差し引いて投与する。
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、血圧モニタ3から得られる情報から患者6の血管収縮薬の反応性を評価し、血管収縮薬の投与量を決定するようにしたため、当該決定した血管収縮薬の投与量に基づいて患者6の血圧を下限閾値と上限閾値の範囲に維持するように術中の患者の血圧の調整を補助することができる。
また、血管収縮薬投与量・輸液量決定動作のうち循環動態の分類を実行する際に、血管収縮薬の投与量による血圧上昇を考慮して血圧を補正し、当該補正値に基づいて分類を行うようにしたため、第1の実施の形態と同様に血管収縮薬投与量・輸液量決定動作を実行することができる。
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
例えば、血管収縮薬としてネオシネジンを用いたが、エフェドリン、エホチール、ノルアドレナリンを用いてもよい。なお、エフェドリンやエホチールを用いた場合、心機能が上昇するためEesも増加する。また、血管収縮薬以外に、ピトレッシンを用いることができる。また、輸液製剤としてフィジオ140、ボルベンを用いたが、ビカーボンや酢酸加リンゲル液を用いてもよい。また、輸液製剤以外にアルブミン製剤や濃厚赤血球、凍結血漿を用いてもよい。また、上記においてボルベン、ビカーボン、フィジオ140等の具体名を記載したが、ボルベンは一般名を代用血漿製剤とする他の製品でもよく、ビカーボンであれば一般名をリンゲル液,重炭酸リンゲル液とする他の製品でもよく、フィジオ140であれば一般名をブドウ糖加酢酸リンゲル液,ブドウ糖加リンゲル液とする他の製品を用いてもよい。
また、平均血圧Pmを用いたが、動脈圧波形のノッチの圧Pesが測定可能であればより正確に実効動脈エラスタンスを推定することができる。PesとPmは差が少ないため、本実施の形態ではより容易に測定可能なPmを用いている。
また、本発明に係る血圧輸液制御補助装置1を他の装置と同時に又は協働して動作させるようにしてもよい。例えば、特許6944183号に記載されている麻酔補助装置と同時に又は協働して動作させることができる。麻酔補助装置によって鎮痛剤及び/又は鎮静剤が患者に投与されることにより患者の血圧が低下するため、これを補うように本発明に係る血圧輸液制御補助装置1を動作させて患者の低血圧に対処する。患者の血圧が安定することで、麻酔補助装置の動作が安定するとともに、鎮痛剤及び/又は鎮静剤投与の安全性が向上することとなる。具体的な協働方法としては、例えば、血圧輸液制御補助装置1及び麻酔補助装置が交互に動作する場合であれば、それぞれの制御間隔や、それぞれの目標値間隔を設定し、血圧変化並びに鎮痛効果及び/又は鎮静効果を緩やかに又は急速に制御することができるようになる。なお、特許6944183号に記載されている麻酔補助装置は、具体的に、鎮痛薬の効果部位濃度Ceと、esTECに相互関係があることを利用し、esMIC算出手段により、経時的にプロットした鎮痛薬の効果部位濃度Ceと、esTECに対する回帰曲線f(x)を求めて、f(x)の漸近線y=aに予め定められた幅δを加算したy=a+δと、f(x)との交点の鎮痛薬の効果部位濃度Ceを鎮静薬の必要濃度を低下させるのに十分な鎮痛薬濃度(esMIC)として定めるようにし、患者に合わせたesMICをリアルタイムに推定でき、個体間変動及び個体内変動を考慮して、患者に投与する鎮静薬及び鎮痛薬の量的指標を推定するものである。
また、血圧輸液制御補助プログラム110、110Aは、プログラム単位で提供され、血圧輸液制御補助装置1にインストールされるものでもよいし、血圧輸液制御補助装置1にプリインストールされて血圧輸液制御補助装置1とともに提供されてもよい。また、血圧輸液制御補助プログラム110、110Aとして販売されることなく、血圧輸液制御補助装置1において実行された状況に応じて課金されるものであってよい。課金される場合は、血圧輸液制御補助プログラム110、110Aを、予め定めた期間毎又は当該血圧輸液制御補助プログラム110、110Aの実行回数毎に、予め定めた額、当該血圧輸液制御補助プログラム110、110Aの実行回数に比例した額又は実行時間に比例した額を課金して、血圧輸液制御補助装置1に実行させる。このように実行させることで、血圧輸液制御補助プログラム110、110Aが血圧輸液制御補助装置1上で適切に稼働していること、また稼働状況を把握することができる。
また、血圧輸液制御補助プログラム110、110Aに含まれる各手段に対応する機能を追加実行する毎に予め定めた額を課金するようにしてもよい。このように追加実行することで、血圧輸液制御補助プログラム110、110Aの各手段が血圧輸液制御補助装置1上で適切に稼働していること、また稼働状況をより詳細に把握することができる。
上記実施の形態では制御部10の各手段100~107の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD-ROM等の記録媒体に記憶して提供してもよいし、インターネットを介して配信することで提供することもできる。また、クラウド上で動作するプログラムであってもよい。また、上記実施の形態で説明した上記動作の順序の入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
本発明の他の態様は、さらに以下の血圧輸液制御補助プログラム、血圧輸液制御補助方法を提供する。
[15]患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定ステップと、
左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与ステップとを有する血圧輸液制御補助方法。
[16]初回の前記血管収縮薬の投与は、ボーラス投与である前記[8]に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
[17]前記初回の血管収縮薬の投与は、持続投与である前記[8]に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
[18]患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価ステップと、
前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の第1の投与量を決定する投与ステップと、
前記患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定ステップと、
左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の第2の投与量を決定する決定ステップとを有する血圧輸液制御補助方法。
1、1A :血圧輸液制御補助装置
2 :血管収縮薬投与・輸液装置
3 :血圧モニタ
4 :パルスオキシメータ
5 :医師
6 :患者
7 :血圧輸液制御補助システム
10 :制御部
11 :記憶部
12 :表示部
13 :操作部
14 :通信部
20 :血管収縮薬ポンプ
21 :輸液ポンプ
100 :血圧取得手段
101 :一回拍出量取得手段
102 :Ea推定手段
103 :Ved変化推定手段
104 :投与手段
105 :表示処理手段
106 :反応性評価手段
107 :血圧補正手段
110、110A:血圧輸液制御補助プログラム
111 :血圧情報
112 :一回拍出量情報
113 :投与情報

Claims (14)

  1. コンピュータを、
    患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段と、
    左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与手段として機能させる血圧輸液制御補助プログラム。
  2. 前記投与手段は、当該血管収縮薬の投与にも関わらず前記血圧が前記予め定めた値より低い場合に必要な輸液量を決定する請求項1に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
  3. 前記投与手段は、前記血管収縮薬の必要投与量及び/又は前記輸液量を表示制御する請求項2に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
  4. 前記投与手段は、前記患者に対する血管収縮薬投与及び/又は輸液が可能な外部機器を制御して、必要投与量の前記血管収縮薬及び/又は前記輸液量の輸液を前記患者に投与制御する請求項2に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
  5. 前記投与手段は、前記血圧と前記一回拍出量又は前記一回拍出量係数に基づいて前記患者の循環動態を予め定めた分類に分類し、分類結果に基づいて前記血管収縮薬の必要投与量及び/又は前記輸液量を決定する請求項2から4のいずれか1項に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
  6. 患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段と、
    左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与手段を有する血圧輸液制御補助装置。
  7. 患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段と、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する投与手段を有する血圧輸液制御補助装置と、
    前記血圧輸液制御補助装置の前記投与手段により制御され、必要投与量の前記血管収縮薬を前記患者に投与する血管収縮薬投与・輸液装置とを備えた血圧輸液制御補助システム。
  8. コンピュータを、
    患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
    前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の第1の投与量を決定する投与手段と、
    前記患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段として機能させ、
    前記投与手段は、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の第2の投与量を決定する血圧輸液制御補助プログラム。
  9. 前記第1の投与量の血管収縮薬の投与による血圧変動分に基づいて前記患者の血圧を補正血圧に補正する血圧補正手段としてさらに機能させ、
    前記投与手段は、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記補正血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の必要投与量を決定する請求項8に記載の血圧輸液制御補助プログラム。
  10. 患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
    前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の第1の投与量を決定する投与手段と、
    前記患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段とを有し、
    前記投与手段は、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の第2の投与量を決定する血圧輸液制御補助装置。
  11. 患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
    前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の第1の投与量を決定する投与手段と、
    前記患者の血圧及び一回拍出量又は一回拍出量係数から実効動脈エラスタンスを推定する推定手段とを有し、
    前記投与手段は、左室収縮能が一定であることを前提として、前記実効動脈エラスタンスが予め定めた値より小さい場合であって、前記血圧が予め定めた値より低い場合に血管収縮薬の第2の投与量を決定する血圧輸液制御補助装置と、
    前記血圧輸液制御補助装置の前記投与手段により制御され、必要投与量の前記血管収縮薬を前記患者に投与する血管収縮薬投与・輸液装置とを備えた血圧輸液制御補助システム。
  12. コンピュータを、
    患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
    前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の投与量を決定する投与手段として機能させる血圧輸液制御補助プログラム。
  13. 患者の血圧が予め定めた下限閾値まで低下した場合に血管収縮薬を投与した後、当該患者の血圧が上昇して再度前記下限閾値まで血圧が低下するまでの少なくとも間隔に基づき当該患者の反応性を評価する評価手段と、
    前記閾値まで血圧が低下したタイミング以降について、前記評価手段の評価結果に基づいて前記血管収縮薬の投与量を決定する投与手段とを有する血圧輸液制御補助装置。
  14. 請求項1~5、8、9、12に記載の血圧輸液制御補助プログラムを、予め定めた期間毎又は当該血圧輸液制御補助プログラムの実行回数毎に、予め定めた額、当該血圧輸液制御補助プログラムの実行回数に比例した額又は実行時間に比例した額を課金して、前記コンピュータに実行させる課金方法。

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