JP2024009632A - スクロール圧縮機、及び、冷媒サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
Description
実施形態のスクロール圧縮機101は、冷媒サイクル装置に備えられる。冷媒サイクル装置は、冷媒が循環する冷媒回路を有する。冷媒サイクル装置では、冷媒回路内の冷媒が、圧縮され、凝縮(放熱)し、減圧され、蒸発(吸熱)した後に再び圧縮される冷凍サイクルが繰り返される。スクロール圧縮機101は、冷媒回路を流れるガス冷媒を圧縮する。
(2-1)ケーシング10
ケーシング10は、略円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13と、から構成される。ケーシング10は、ケーシング10の内部及び外部において圧力及び温度が変化した場合に、変形及び破損が起こりにくい剛性部材で成型されている。ケーシング10は、胴部ケーシング部11の略円筒状の軸方向が鉛直方向に沿うように設置される。鉛直方向は、図1の矢印Uが示す方向である。
圧縮機構15は、低温低圧の冷媒ガスを吸引し、圧縮し、高温高圧の冷媒ガス(以下、「圧縮冷媒」という。)を吐出する。圧縮機構15は、固定スクロール24と、可動スクロール26と、を有する。
ハウジング23は、圧縮機構15の下方に配置されている。ハウジング23の外周面は、ケーシング10の内面に気密状に接合されている。これにより、ケーシング10の内部空間は、ハウジング23の下方の高圧空間S1と、ハウジング23の上方の空間である低圧空間S2と、に区画されている。ハウジング23は、固定スクロール24を載置し、オルダム継手39を介して固定スクロール24と共に可動スクロール26を挟持している。オルダム継手39は、可動スクロール26の自転運動を防止するための環状部材である。ハウジング23の外周部には、第2圧縮冷媒流路48が鉛直方向に貫通して形成されている。第2圧縮冷媒流路48は、ハウジング23の上面において第1圧縮冷媒流路46と連通し、ハウジング23の下面において高圧空間S1と連通する。
モータ16は、ハウジング23の下方に配置されるブラシレスDCモータである。モータ16は、ケーシング10の内面に固定されるステータ51と、ステータ51の内側にエアギャップ54を設けて配置されるロータ52と、を有する。モータ16は、12個の集中巻コイルを有する集中巻モータであり、インバータ制御によって駆動される可変速モータである。モータ16は、U相、V相及びW相を有する3相モータである。モータ16は、圧縮機構15を駆動する。
ステータ51の外周面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り、かつ、周方向に所定間隔をおいて切欠形成されている複数のコアカットが設けられている。コアカットは、胴部ケーシング部11とステータ51との間を鉛直方向に延びるモータ冷却通路55を形成する。図2及び図3に示されるように、ステータ51は、ステータコア71と、一対のインシュレータ72と、巻線73と、を有する。巻線73は、銅線等の電気伝導体である。
ロータ52は、円柱形状を有する。ロータ52は、クランクシャフト17と連結されている。ロータ52は、クランクシャフト17の軸回転によって、鉛直方向に平行な回転軸52aを中心に回転する。ロータ52は、クランクシャフト17を介して、圧縮機構15に接続されている。
下部軸受60は、モータ16の下方に配置される。下部軸受60の外周面は、ケーシング10の内面に接合されている。下部軸受60は、クランクシャフト17を支持する。
クランクシャフト17は、クランクシャフト17の長手方向が鉛直方向に沿うように配置されている。クランクシャフト17は、クランクシャフト17の上端部の軸心が、上端部を除く部分の軸心に対してわずかに偏心している形状を有している。
ガスガイド81は、高圧空間S1において、ケーシング10の胴部ケーシング部11の内面にスポット溶接等により固定される部材である。ガスガイド81は、金属板で成形されている。ガスガイド81は、ケーシング10の内面と共に、圧縮機構15によって圧縮された圧縮冷媒が流れる冷媒案内流路82を形成する。冷媒案内流路82の上端は、ハウジング23の第2圧縮冷媒流路48と連通している。図9および図10に示される点線の矢印は、冷媒案内流路82を通過する圧縮冷媒の流れを表す。
吸入管19は、ケーシング10の外部から圧縮機構15へ、冷媒回路の冷媒を導入するための管である。吸入管19は、ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、低圧空間S2を鉛直方向に貫通する。ケーシング10内にある吸入管19の端部は、固定スクロール24に嵌め込まれている。
吐出管20は、高圧空間S1からケーシング10の外部へ、圧縮冷媒を吐出するための管である。吐出管20は、ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。吐出管20は、高圧空間S1を水平方向に貫通する。ケーシング10内にある吐出管20の開口部20aは、鉛直方向においてハウジング23の近傍に位置している。
(3-1)冷媒の流れ
モータ16が起動してロータ52が回転軸52aを中心に回転すると、ロータ52に連結されているクランクシャフト17が軸回転する。クランクシャフト17の軸回転運動は、上端軸受26cを介して可動スクロール26に伝達される。クランクシャフト17の上端部の軸心は、クランクシャフト17の軸回転運動の軸心に対して偏心している。可動スクロール26は、オルダム継手39によって自転が防止される。そのため、可動スクロール26は、自転することなく、固定スクロール24に対して公転運動を行う。
圧縮機構15の圧縮室40で冷媒が圧縮されている間、油貯留部10aの潤滑油は、高圧空間S1と圧縮室40との間の差圧によって主給油路61に供給される。主給油路61に供給された潤滑油は、主給油路61内を油室83に向かって上昇する。
ケーシング10内部の高圧空間S1は、モータ16のエアギャップ54及びスロットSL1~SL12を含む。図11に示されるように、エアギャップ54及びスロットSL1~SL12は、ロータ52の回転軸52aに沿ってモータ16を見た場合に、ステータ51のバックヨーク71dの内周面とロータ52の外周面との間に位置する空間に相当する。ロータ52は、回転軸52aに沿って見た場合に、周方向において等間隔に配置される8個の風孔52bを有する。回転軸52aに沿ってモータ16を見た場合に、スロットSL1~SL12は、実質的に同一の形状及び寸法を有する。
・第1寸法L1:第1流路P1の寸法である。第1寸法L1の範囲は、スロットSL6の両側のコイルC6及びコイルC7の径方向R1の範囲と同じである。
・第2寸法L2:第1流路P1の一部であって、引出線75によって覆われていない部分の寸法である。第2寸法L2が占める範囲は、第1寸法L1が占める範囲の一部である。
・第3寸法L3:第2流路P2の寸法である。第3寸法L3の範囲は、スロットSL7の両側のコイルC7及びコイルC8の径方向R1の範囲と同じである。
・第4寸法L4:第2流路P2の一部であって、引出線75によって覆われていない部分の寸法である。第4寸法L4が占める範囲は、第3寸法L3が占める範囲の一部である。
・式(I) :0≦L2/L1≦0.4
・式(II):0≦L4/L3≦0.4
式(I)は、「第1流路P1は、径方向R1において少なくとも60%が引出線75によって覆われている部分を有する」ことを意味する。
・第1寸法L1:第1流路P1の寸法の最大値である。
・第2寸法L2:第1流路P1の一部であって、引出線75によって覆われていない部分の寸法の最大値である。
・第3寸法L3:第2流路P2の寸法の最大値である。
・第4寸法L4:第2流路P2の一部であって、引出線75によって覆われていない部分の寸法の最大値である。
(5-1)
スクロール圧縮機101では、モータ16のコイルC1~C12から延びている引出線75は、コイルC1~C12間の隙間であるスロットSL1~SL12を覆うように配置される。具体的には、12個のスロットSL1~SL1うち、圧縮冷媒が上方に向かって流れやすいスロットSL6(第1流路P1)及びスロットSL7(第2流路P2)の上側端部が、引出線75によって覆われている。これにより、スロットSL6及びスロットSL7を上向きに流れる圧縮冷媒の一部は引出線75に衝突するので、スロットSL6及びスロットSL7を上向きに通過する圧縮冷媒の量が引出線75によって低減される。そのため、モータ16の下方の高圧空間S1の圧縮冷媒に含まれる潤滑油が、スロットSL6及びスロットSL7を通過することが抑制される。
スクロール圧縮機101では、引出線75は、上記の2つの式(I)及び式(II)を満たすように配置される。これにより、回転軸52aに沿ってモータ16を見た場合に、スロットSL6及びスロットSL7が占める領域のうち、引出線75によって覆われていない領域の面積を所定値以下に制限することができる。従って、スクロール圧縮機101では、スロットSL6及びスロットSL7を通過する潤滑油の量が引出線75によって制限されるので、油上がりの発生が抑制される。
スクロール圧縮機101では、引出線75は、インシュレータ72の円筒部72aに紐94で縛り付けられて固定されている。そのため、スロットSL1~SL12を通過する圧縮冷媒が引出線75と衝突することで、引出線75の位置が変化することが抑制される。これにより、スクロール圧縮機101の運転中に引出線75が移動して、スロットSL6及びスロットSL7が占める領域のうち、引出線75によって覆われていない領域の面積が増加することが抑制される。この場合、スロットSL6及びスロットSL7を通過する潤滑油の量が増加するおそれがある。従って、スクロール圧縮機101では、引出線75をインシュレータ72に固定することで、油上がりの発生が抑制される。
(6-1)変形例A
スクロール圧縮機101では、引出線75は、次の式(III)をさらに満たすように配置されてもよい。
・式(III):0.6≦L2/L4≦1.3
式(III)は、「第1流路P1及び第2流路P2は、引出線75に覆われていない部分の径方向R1の寸法が同程度である」ことを意味する。また、引出線75に覆われていない部分の径方向R1の寸法が周方向R2において実質的に均一である場合、式(III)は、「第1流路P1及び第2流路P2は、引出線75に覆われていない部分の面積が同程度である」ことを意味する。
スクロール圧縮機101では、回転軸52aに沿ってモータ16を見た場合に、スロットSL1~SL12は、引出線75以外の部材でさらに覆われてもよい。
スクロール圧縮機101では、回転軸52aに沿ってモータ16を見た場合に、スロットSL1~SL12は、引出線75以外の部材でさらに覆われてもよい。
スクロール圧縮機101では、スロットSL6(第1流路P1)及びスロットSL7(第2流路P2)の一方のみが、引出線75によって覆われていてもよい。例えば、回転軸52aに沿ってモータ16を見た場合に、ケーシング10内部の吐出管20の開口部20aにより近いスロットSL6のみが、引出線75によって覆われていてもよい。この場合、スロットSL6は、例えば、引出線75によって実質的に完全に覆われていてもよい。
スクロール圧縮機101では、引出線75は、インシュレータ72の円筒部72aに紐94で縛り付けられて固定されている。しかし、引出線75は、紐94以外の部材を用いて円筒部72aに固定されてもよい。例えば、引出線75は、円筒部72aの内周面から突出する部分、又は、円筒部72aに取り付けられる部材に引っ掛けられることによって、円筒部72aに固定されてもよい。
15 :圧縮機構
16 :モータ
51 :ステータ
52 :ロータ
52a :回転軸
54 :エアギャップ(第2空間)
71d :バックヨーク
71e :ティース
72 :インシュレータ
75 :引出線
81 :ガスガイド(ガイド)
92 :絶縁キャップ(第2部材)
93 :絶縁スペーサ(第3部材)
94 :紐(第4部材)
101 :スクロール圧縮機
C1~C12:コイル
S1 :高圧空間(第1空間)
SL1~SL12:スロット(第2空間)
P1 :第1流路
P2 :第2流路
R1 :径方向
Claims (6)
- 冷媒を圧縮する圧縮機構(15)と、
ステータ(51)と、前記ステータの内側に配置される円柱形状のロータ(52)とを有し、前記圧縮機構を駆動するモータ(16)と、
前記圧縮機構及び前記モータを収容するケーシング(10)と、
前記圧縮機構から吐出される冷媒を、前記ケーシングの内部の前記モータが配置される第1空間(S1)に導くガイド(81)と、
を備え、
前記ステータは、
円筒形状のバックヨーク(71d)と、
前記バックヨークの内周面から径方向に突出する複数のティース(71e)と、
を有し、
前記モータは、
インシュレータ(72)と、
前記インシュレータを介して前記複数のティースに巻き回されるコイル(C1~C12)と、
前記コイルの端部から引き出される引出線(75)と、
をさらに有し、
前記第1空間は、前記ロータの回転軸(52a)に沿って前記モータを見た場合に、前記バックヨークの内周面と前記ロータの外周面との間に位置する第2空間(54,SL1~SL12)を有し、
前記第2空間は、前記回転軸に沿って前記モータを見た場合に、前記回転軸に対して前記ガイドが位置する側の反対側に位置する第1流路(P1)及び第2流路(P2)を含み、
前記第1流路及び前記第2流路の少なくとも一方は、前記回転軸に沿って前記モータを見た場合に、前記引出線を含む第1部材によって覆われ、
前記ロータの径方向(R1)における、前記第1流路の寸法を第1寸法L1とし、
前記径方向における、前記第1流路の、前記第1部材によって覆われていない部分の寸法を第2寸法L2とし、
前記径方向における、前記第2流路の寸法を第3寸法L3とし、
前記径方向における、前記第2流路の、前記第1部材によって覆われていない部分の寸法を第4寸法L4とした場合に、
前記第1部材は、
0≦L2/L1≦0.4、及び、
0≦L4/L3≦0.4、
の関係を満たすように配置される、
スクロール圧縮機(101)。 - 前記第1部材は、
0.6≦L2/L4≦1.3、
の関係をさらに満たすように配置される、
請求項1に記載のスクロール圧縮機。 - 前記第1部材は、前記引出線を覆う絶縁部材である第2部材(92)をさらに含む、
請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機。 - 前記第1部材は、前記引出線を覆わない絶縁部材である第3部材(93)をさらに含む、
請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機。 - 前記第1部材は、前記インシュレータに第4部材(94)で固定されている、
請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機。 - 請求項1又は2に記載のスクロール圧縮機を備える、
冷媒サイクル装置。
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