JP2024009489A - ロタキサン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の方法と比べてより簡便な工程により、ポリロタキサンが製造できる方法を見出し、ポリロタキサンの提供を容易とする。さらに、スライドリングマテリアルへの応用等のために、化学修飾が容易なポリロタキサンを提供する。【解決手段】軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサンを用いることによって、従来の製造方法のように複数の工程を経ることなく、より簡便にポリロタキサンの製造ができる方法を提供する。本発明の方法では、この擬ロタキサンを加温したり、ジアミンを添加して室温でワンポット合成したりすること等でポリロタキサンの提供が容易となる。さらに、このポリロタキサンは化学修飾剤と反応させることで化学修飾が容易である。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 2021年7月14日 株式会社シクロケムバイオのホームページ(http://cyclochem.com/cyclochembio/news-archive-bio/2021.html及びhttp://www.cyclochem.com/cyclochembio/research-info/conference_2021.html)において、文書をもって発表。 2021年8月2日大阪大学大学院工学研究科の「第37回シクロデキストリンシンポジウム」に関するホームページ(http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/mol3/cd37/index.html及びhttp://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/mol3/cd37/common/pdf/program.pdf)において、文書をもって発表。 2021年9月27日 化学工業日報、2021年9月27日号、1面において、文書をもって発表。 2021年9月27日 株式会社シクロケムバイオのホームページ(http://cyclochem.com/cyclochembio/news-archive-bio/2021.html)において、文書をもって発表。 2022年3月18日 公益財団法人神戸市産業振興財団神戸市産業振興センターのホームページ(https://bizsearchkobe.kobe-ipc.or.jp/search/detail.html?id=001572及びhttps://bizsearchkobe.kobe-ipc.or.jp/system/powerApps/pdf/d6adedbd-9a84-eb11-b1ab-000d3a415174-%E3%88%B1%E3%82%B7%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%A0.pdf)において、文書をもって発表。
本発明はロタキサン化合物に関する。さらに詳しくは、軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサンやポリロタキサン、これらの製造方法等に関する。
ポリロタキサンはシクロデキストリン等の環状分子の中空部に軸分子が貫通した構造を有する超分子であり、様々な研究開発が進められている。
この環状分子が自由度を有しつつ架橋し、応力や張力を自動的に緩和する環動高分子材料(スライドリングマテリアル、Slide-Ring Materials)等も開発されており(例えば、非特許文献1参照)、この構造を有するゲルはスライドリングゲル(Slide-Ring Gel)等と呼ばれ、高い伸縮性や強靭性を示すことから(例えば、非特許文献2参照)、ポリマーの強化等を目的としてゴルフボールのコーティング剤やスピーカーのコーン等に使用されている。
また、環状分子の側鎖に官能基を付与することで、汎用有機溶媒に可溶で様々な材料形成に使用し得る機能化されたポリロタキサン等も開発されている。
例えば、特許文献1では修飾ポリロタキサンとして二種類以上のラクトン由来の修飾基を有するものが開示されており、溶解性が向上し、凝集が抑制された溶剤系塗料の提供等に有用であることが記載されている。また、特許文献2では、高分子鎖により修飾されており、特定の結合や基を含むシクロデキストリンを環状分子として含むポリロタキサンと界面活性剤を含むサイジング剤が開示されており、これを塗布することにより強化繊維を提供することが記載されている。
このように様々な物質の製造にあたり、非常に有用性の高いポリロタキサンであるが、複数の工程を経て製造する必要があるため時間や手間がかかり、製造されるポリロタキサンも非常に高価である等の問題があった。
そこで本発明者らは、従来の方法と比べてより簡便な工程により、ポリロタキサンが製造できる方法を見出し、ポリロタキサンの提供を容易とすることを試みた。
特開2011-178931号公報 特開2017-48481号公報
Yasushi Okumura and Kohzo Ito, The Polyrotaxane Gel: A Topological Gel by Figure-of-Eight Cross-links. Adv. Mater., 2001, 13:485-487. Kohzo Ito, Slide-ring materials using topological supramolecular architecture. Current Opinion in Solid State and Materials Science, 2010, 14:28-34.
従来の方法と比べてより簡便な工程により、ポリロタキサンが製造できる方法を見出し、ポリロタキサンの提供を容易とすることを課題とする。さらに、スライドリングマテリアルへの応用等のために、化学修飾が容易なポリロタキサンの提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン(以下、単にCDと示す場合がある)又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサンを開発し、これを用いることによって、従来の製造方法のように複数の工程を経ることなく、より簡便にポリロタキサンが製造できることを見出した。
本発明の製造方法では、例えば、この擬ロタキサンを加温したり、ジアミンを添加して室温でワンポット合成したりすること等によって、スライドリングマテリアル等のポリロタキサン含有組成物を容易に製造できる。
さらに、このポリロタキサンと化学修飾剤等を反応させることで、機能性が付与されたポリロタキサン等も容易に製造できる。
即ち、本発明は次の(1)~(12)に示される擬ロタキサン、ポリロタキサンやこれらの製造方法等に関する。
(1)軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサン。
(2)軸分子がポリマーを含む上記(1)に記載の擬ロタキサン。
(3)化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む上記(1)又は(2)に記載の擬ロタキサン。
(4)軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含むポリロタキサン。
(5)上記(1)~(3)のいずれかに記載の擬ロタキサンと、軸分子を封鎖する分子を混合する工程を含む上記(4)に記載のポリロタキサンの製造方法。
(6)軸分子を封鎖する分子が2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンである上記(5)に記載のポリロタキサンの製造方法。
(7)化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む上記(4)に記載のポリロタキサン。
(8)上記(4)に記載のポリロタキサンと化学修飾剤を反応させる工程を含む上記(7)に記載の化学修飾されたポリロタキサンの製造方法。
(9)化学修飾剤がジエチルアミン又は3-アミノプロピルトリエトキシシランのいずれか一種以上である上記(8)に記載の化学修飾されたポリロタキサンの製造方法。
(10)上記(4)又は(7)に記載のポリロタキサンを一種以上含むポリロタキサン含有組成物。
(11)上記(1)~(3)のいずれかに記載の擬ロタキサンとジアミンを混合する工程を含む上記(10)に記載のポリロタキサン含有組成物の製造方法。
(12)上記(1)~(3)のいずれかに記載の擬ロタキサンを加温する工程を含む上記(10)に記載のポリロタキサン含有組成物の製造方法。
本発明の軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサンを用いることにより、ポリロタキサンや、修飾されて機能性が付与されたポリロタキサンの製造が容易となる。
さらに、吸水率、伸び率、引張強度等において様々な物性を有するポリロタキサン含有組成物を用いることにより、伸縮性、耐久性等に優れたゲル、樹脂、塗料、ゴム、断熱材、衝撃吸収材等の製品の製造も容易となる。
化学修飾されたポリロタキサンと化学修飾されていないポリロタキサンのUVスペクトルの測定結果を示した図である(実施例3)。 APTES付加MCTCDポリロタキサンの1H-NMRの測定結果を示した図である(実施例4)。 A.ポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)の写真を示した図である(実施例5)。B.ポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)が有するネットワーク構造を模式的に示した図である(実施例5)。 各ポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)の吸水率を示した図である(実施例5)。 各ポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)の伸縮試験の概要を示した図である(実施例5)。 各ポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)の伸び率を示した図である(実施例5)。 各ポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)の伸び率を示した図である(実施例6)。
本発明の「擬ロタキサン」とは、軸分子の両末端が封鎖されていないロタキサン構造の分子のことをいい、軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含むものを指す。この「擬ロタキサン」には、軸分子と、化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサン(即ち、化学修飾された擬ロタキサン)も含まれる。
また、本発明の「ポリロタキサン」とは、軸分子の両末端が封鎖されている、ロタキサン構造の分子のことをいい、軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含むものを指す。この「ポリロタキサン」には、軸分子と、化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含むポリロタキサン(即ち、化学修飾されたポリロタキサン)も含まれる。
これらの「擬ロタキサン」又は「ポリロタキサン」に含まれる「軸分子」は、環状分子の中空部に軸分子が貫通した構造を形成し得る分子であればいずれのものであってもよく、直鎖状、分岐している形状のもの等、いずれの形状のものであってもよい。また、市販のものであっても、独自に調製されたものであってもよい。
本発明の「軸分子」はポリマーを含むものであることが好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、ポリアセチレン、ポリプロピレングリコール、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリジエン、ポリイン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリチオフェン等のポリマーが挙げられる。また、これらのポリマーのモノマーで構成されるコポリマーや、これらのポリマーを含有するコポリマー等であってもよい。これらのポリマーを1種以上含むものであればよく、2種以上含むものであってもよい。
本発明の「軸分子」に含まれるポリマーには、末端にイソシアネート基、イソチオシアネート基、ラクトン、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、4級アンモニウム塩、エポキシ基、チオール基、アルデヒド基、アクリロイル基、メタクリル基、アルコキシシリル基、又はビニル基等を有するもの等が挙げられる。両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール等であることが特に好ましい。これは市販のものであっても、独自に調製されたものであってもよい。
また、「環状分子」とは環状構造を有する分子のことをいい、「トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体」であればいずれのものであってもよく、「化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体」も含まれる。「化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体」は、トリアジニル基の一部又は全部が化学修飾されているものを指す。
このうち、「トリアジニル基を有するシクロデキストリン」はトリアジニル基を1個以上有するものであればよく、α型、β型、γ型、δ型又はε型のいずれの型でもよい。
また、「トリアジニル基を有するシクロデキストリン誘導体」は、例えば、メチル体、エチル体、プロピル体、ブチル体、ヒドロキシエチル体、ヒドロキシプロピル体、アセチル体、ベンゾイル体、スルホニル体、アミノ体、トシル体、アジド体、グルコシル体、マルトシル体、t-ブチルジメチルシリル体、スクシニル体、カルボキシメチル体、カルボキシエチル体、グルクロニルグルコシル体、クロロ体、ブロモ体、ヨード体、スルホプロピル体等の「シクロデキストリン誘導体」や、これらの化学修飾が2種以上なされた「シクロデキストリン誘導体」等であって、トリアジニル基を1個以上有するものが挙げられる。
これらの環状分子は、これらを1種以上、又は2種以上組み合わせて使用することができる。特に、モノクロロトリアジニル-β-シクロデキストリン(以下、単にMCTCDと示す場合がある)等を用いることが好ましい。また、これらは市販のものであっても、独自に調製されたものであってもよい。
そして、「軸分子を封鎖する分子」とは、軸分子の両末端に結合することで軸分子を封鎖し、環状分子の脱離を抑制し得る分子のことをいう。この「軸分子を封鎖する分子」によって、環状分子の中空部に軸分子が貫通した構造を有するポリロタキサンを製造し得る分子であればいずれの分子であってもよく、市販のものであっても、独自に調製されたものであってもよい。
「軸分子を封鎖する分子」としては、例えば、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン、アダマンタン類、MCTCD等に含まれるシクロデキストリン、ジニトロフェニル基を有する化合物類、トリチル基を有する化合物類、フルオレセイン類、ピレン類、ステロイド類、シルセスキオキサン類、トリアジン類、トリアゾール類、又はこれらの誘導体等が挙げられる。特に2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンであることが好ましい。
本発明の「ポリロタキサンの製造方法」は、「擬ロタキサンと、軸分子を封鎖する分子を混合する工程」を含む製造方法であることが好ましい。「擬ロタキサン」が環状分子として「化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体」を含む擬ロタキサン(即ち、化学修飾された擬ロタキサン)である場合には、この工程を経ることによって「化学修飾されたポリロタキサン」を製造することができる。
また、これらの工程に加えてさらに、「ポリロタキサンと化学修飾剤を反応させる工程」を含む製造方法によって「化学修飾されたポリロタキサン」を製造することもできる。
これらの製造方法にはさらに、本発明の「ポリロタキサン」や「化学修飾されたポリロタキサン」の製造に有用なその他の工程を含んでいてもよい。
「化学修飾された擬ロタキサン」や「化学修飾されたポリロタキサン」の製造にあたり使用し得る「化学修飾剤」は、従来知られているいずれのものであってもよく、付与したい機能等の目的に応じて選択することができる。
このような「化学修飾剤」として、例えば、ジエチルアミン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ジアミン、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ラクトン、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、アルデヒド基、アクリロイル基、メタクリル基、アルコキシシリル基、又はビニル基を有する剤等が挙げられる。これらの「化学修飾剤」は1種以上であればよく、2種以上組み合わせ使用しても良い。
本発明の「ポリロタキサン含有組成物」とは、「軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含むポリロタキサン」又は「軸分子と、化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含むポリロタキサン」を1種以上含む組成物のことを指す。これらのポリロタキサンを2種以上組み合わせて含むものであってもよく、ポリロタキサンのみからなる組成物であっても、その他の成分をさらに含む組成物であっても良い。このような「ポリロタキサン含有組成物」として、例えば、複数のポリロタキサンがつながった組成物や、ポリロタキサンと他のポリマーがつながった組成物等が挙げられる。
このような「ポリロタキサン含有組成物」には、伸縮性や強靭性が高く、また、吸水性を有するスライドリングマテリアルが含まれ、これらの性質を有するゲル状のスライドリングゲルも含まれる。
ここで「伸縮性」とは、応力を加えることによって変形したポリロタキサン含有組成物が、応力を除いた後、元の形状に戻る性質のことを示す。例えば、一定の長さのポリロタキサン含有組成物が、応力を加えて引き延ばした後に元の長さに戻ること等が挙げられる。
この「伸縮性」は、例えば、ポリロタキサン含有組成物を切れるまで伸ばした場合の“伸ばす前の長さ”に対する、“切れる直前の長さ”(即ち、最大に伸びた時の長さ)から“伸ばす前の長さ”を差し引いたものの割合(伸び率(%))を算出することで評価できる。この場合、伸び率の値が大きい程、伸縮性が高いことになる。
また、「強靭性」とは、強度としなやかさを兼ね備えた性質のことを示し、例えば、一定の大きさ・長さのポリロタキサン含有組成物に0.5kg、1.0kg又は1.5kg等の重りをぶら下げた際に、切れずに耐えられる時間や重さを調べることで評価できる。この場合、耐えられる時間が長く、また、重りが重い程、強靭性が高いことになる。
また、「吸水性」とは、ポリロタキサン含有組成物が水等の水分を吸収する性質のことを示し、例えば、ポリロタキサン含有組成物を水に浸して一定時間攪拌・振盪し、“振盪前のポリロタキサン含有組成物の重さ”に対する“振盪後のポリロタキサン含有組成物の重さ”の割合(吸水率(%))を算出することで評価できる。この場合、吸水率の値が大きい程、吸水性が高いことになる。
本発明の「ポリロタキサン含有組成物」は、「軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサン」を用いて製造されることが好ましい。
このような製造方法として例えば、「擬ロタキサンとジアミンを混合する工程」を含む製造方法が挙げられる。
この方法において使用されるジアミンは「ポリロタキサン含有組成物」を製造し得るものであればいずれのものであってもよく、市販のものであっても、独自に調製されたものであってもよい。例えば、エチレンジアミン(以下、単にEDAと示す場合がある)、ブタンジアミン(以下、単にBDAと示す場合がある)、ヘキサンジアミン(以下、単にHDAと示す場合がある)、オクタンジアミン(以下、単にODAと示す場合がある)等が挙げられ、これらを1種以上、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。
また、「擬ロタキサンを加温する工程」を含む製造方法も、本発明の「ポリロタキサン含有組成物」を製造する方法として挙げられる。
「加温」とは、擬ロタキサンを一定温度に保つために熱を加えることを指し、このときの温度は本発明の「ポリロタキサン含有組成物」が製造できる温度であればいずれの温度であってもよい。例えば、50℃を超える温度、55℃、60℃、70℃、80℃、90℃又は100℃等の温度となるように「加温」しても良い。
これらの製造方法はさらに、本発明の「ポリロタキサン含有組成物」の製造に有用なその他の工程を含んでいてもよい。
また、「擬ロタキサン含有組成物」とは、「軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサン」又は「軸分子と、化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサン」を1種以上含む組成物のことを指し、かつ、「軸分子を封鎖する分子」によって封鎖されていない組成物のことを指す。これらの擬ロタキサンを2種以上組み合わせて含むものであってもよく、擬ロタキサンのみからなる組成物であっても、その他の成分をさらに含む組成物であっても良い。このような「擬ロタキサン含有組成物」として、例えば、複数の擬ロタキサンがつながった組成物や、擬ロタキサンと他のポリマーがつながった組成物等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に示すものに限られない。
本発明の実施例で使用する試料、試験器具を次に示した。
特に記載がない限り、本発明の実施例では同じ試料を使用した。
<試料>
1.ポリエチレングリコール(PEG、Ave. MW 20,000、富士フイルム和光純薬株式会社)
2.dry テトラヒドロフラン(dry THF)
高速液体クロマトグラフ用THF(富士フイルム和光純薬株式会社)をモレキュラーシーブス3Å(富士フイルム和光純薬株式会社)で一晩乾燥させてdry THFを調製した。
3.1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI、東京化成工業株式会社)
4.ジアミン
1)エチレンジアミン(EDA、富士フイルム和光純薬株式会社)
2)ブタンジアミン(BDA、東京化成工業株式会社)
3)ヘキサンジアミン(HDA、富士フイルム和光純薬株式会社)
4)オクタンジアミン(ODA、東京化成工業株式会社)
5.シクロデキストリン
1)モノクロロトリアジニル-β-シクロデキストリン(MCTCD、DS値 0.6、株式会社シクロケムバイオ)
2)ジヒドロキシトリアジニル-β-CD(DHT-CD)
MCTCDを80℃に加熱して調製した。
6.2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(DMT-Cl、東京化成工業株式会社)
7.アミン
(1)ジエチルアミン(DEA、富士フイルム和光純薬株式会社)
(2)トリエチルアミン(TEA、富士フイルム和光純薬株式会社)
8.3-aminopropyltriethoxysilane(APTES、旭化成ワッカーシリコーン株式会社)
9.無水エタノール(富士フイルム和光純薬株式会社)
10.トリフルオロ酢酸(TFA、富士フイルム和光純薬株式会社)
<試験器具>
1.遠心式限外ろ過フィルター:アミコン(登録商標)ウルトラ(MWCO. 10kDa)(メルク株式会社)
2.透析膜:スペクトラ/ポア 7透析膜(MWCO. 1 kDa)(フナコシ株式会社)
3.熱重量測定装置:TGA-1(株式会社島津製作所)
〔実施例1〕
擬ロタキサンの製造方法
次の1及び2の工程により、擬ロタキサンを製造した。
工程1.ポリエチレングリコール末端の-NH2
デシケータ内で減圧乾燥させたPEGを12.5mMとなるように、dry THFに溶解させ、PEGの4.4倍量の1,1'-カルボニルジイミダゾールを添加し、50℃で二日間攪拌した。続いて、PEGの33倍量のエチレンジアミンを添加し、50℃で一日攪拌した。反応の経時変化は、薄層クロマトグラフィー(TLC)(展開溶媒:CHCl3:MeOH=3:1, トリエチルアミン数滴)で確認した。得られた反応液の溶媒を除去した後、水に溶かし透析膜(MWCO.1kDa)を用いて三日間透析を行い、凍結乾燥し、両末端が-NH2化されたPEG(PEG-BA)を得た。この工程を下記の化学式1に示した。
工程2.擬ロタキサンの製造
工程1で製造したPEG-BAが10mMとなるようにNaOH水に溶解させ、PEG-BAの10、20、30、40又は50倍量のモノクロロトリアジニル-β-シクロデキストリン(MCTCD)を添加し、室温(25±5℃)で超音波照射により溶解させた後、水溶液のpHが9以上になるようにNaOH水を再度添加し、4℃で一晩静置し、擬ロタキサン水溶液を製造した。この工程を下記の化学式2に示した。
〔実施例2〕
ポリロタキサンの製造
次の工程によりポリロタキサンを製造した。
工程1.実施例1と同様の方法で製造したPEG-BAを用い、PEG-BAに対して30又は50倍量のMCTCDを添加して擬ロタキサンを製造した。得られたそれぞれの擬ロタキサン水溶液をPEG-BA濃度が5mMとなるようにNaOH水で希釈し、PEG-BAの40倍量の2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(DMT-Cl)粉末を添加し、室温(25±5℃)で一晩攪拌させた。この工程を下記の化学式3に示した。
工程2.工程1で調製した各反応液に酢酸エチルを添加し、過剰量のDMT-Clを除去した。水層を回収し、その一部をアミコン(登録商標)ウルトラ(MWCO. 10kDa)にアプライし、このフィルターの下層にMCTCDが存在しなくなるまで遠心(RT, 5,500rpm)及び脱イオン水の添加を繰り返し精製した。その後、フィルター上層の水溶液を回収し、凍結乾燥してポリロタキサンを製造した。
工程3.工程2において製造されたポリロタキサンを熱重量測定装置に供し、TG曲線からポリロタキサン中のPEG鎖とMCTCDの減少量を算出し、PEG鎖1分子に対してMCTCDの包接量を求めた。
その結果、PEG-BAの30倍のMCTCDを添加した場合にはPEG鎖1分子に対して3.5倍のMCTCDが包接されており、PEG-BAの50倍のMCTCDを添加した場合にはPEG鎖1分子に対して10.6倍のMCTCDが包接されていた。
この結果を基準として、フィルター下層の水溶液も全て回収して重量を測定し、MCTCDの全包接量を見積もった結果、PEG-BAに対して30倍のMCTCDを添加して製造した擬ロタキサンを用いた場合はPEG鎖1分子に対して1.6倍のMCTCDが包接されており、50倍のMCTCDを添加して製造した擬ロタキサンを用いた場合は11.4倍のMCTCDが包接されていることが算出された。
〔実施例3〕
化学修飾されたポリロタキサンの製造(1)
次の工程によりポリロタキサン及び化学修飾されたポリロタキサンを製造した。
工程1.実施例1と同様の方法で製造したPEG-BAを用い、PEG-BAに対して50倍量のMCTCDを添加して擬ロタキサンを製造した。得られた擬ロタキサン水溶液をPEG-BA濃度が5mMとなるようにNaOH水で希釈し、PEG-BAの40倍量のDMT-Cl粉末を添加し、室温(25±5℃)で一晩攪拌させた。
工程2.工程1で得られたポリロタキサン反応液20mLに脱イオン水100mLを加えて希釈した後、ジエチルアミン(DEA)63mLを添加し、室温(25±5℃)で3日間攪拌した。この工程を下記の化学式4に示した。また、反応の経時変化は、UVスペクトル測定で確認した。
工程3.工程2により得られた反応液に酢酸エチルを添加し、過剰量のDMT-Clを除去した。水層を回収し、その一部をアミコン(登録商標)ウルトラ(MWCO. 10kDa)にアプライし、このフィルターの下層にMCTCD-DEA及びDEAが存在しなくなるまで遠心(RT, 5,500rpm)及び脱イオン水の添加を繰り返し精製した。その後、フィルター上層の水溶液を回収し、凍結乾燥して化学修飾されたポリロタキサンを製造した。
工程4.工程3において製造された化学修飾されたポリロタキサンをTGAに供し、実施例2と同様の方法により、PEG鎖1分子に対するMCTCDの包接量を求めた結果、5.3倍であった。
なお、工程1を経た後、工程2を経ず、工程3を行うことで化学修飾されていないポリロタキサンも製造した。
化学修飾されたポリロタキサンと化学修飾されていないポリロタキサンのCD濃度を合わせてそれぞれUVスペクトルを測定した。
その結果、図1に示すように機能化されていないポリロタキサン(図1、polyrotaxane)はジヒドロキシトリアジニル-β-CD(DHT-CD)とほぼ同様のスペクトルとなった。一方、DEAで機能化したポリロタキサン(図1、polyrotaxane+DEA)は、工程2における3日間の攪拌後(精製前)の修飾反応時(図1、polyrotaxane+DEA_反応時)と同様のスペクトルとなった。また1H-NMR測定したところ、DEAで化学修飾されたポリロタキサンでは1.1-1.2ppmにDEA由来のピークが示された。従って、PEG鎖を包接しているMCTCDにDEAが修飾されていることが示唆された。
さらに化学修飾されていないポリロタキサンは重DMSOに溶解しなかったのに対し、DEAで化学修飾されたポリロタキサンは重DMSOに溶解することも確認できた。
これらの結果より、環状分子としてMCTCDを使用することによって簡便に化学修飾が可能なポリロタキサンが製造でき、様々な物性を有するポリロタキサンが製造できることが確認できた。
〔実施例4〕
化学修飾されたポリロタキサンの製造(2)
次の工程によりポリロタキサン及び化学修飾されたポリロタキサンを製造した。
工程1.実施例3の工程1により調製されたポリロタキサン反応液を酢酸エチルで洗浄し、過剰のDMT-Clを除去した。水層にポリロタキサン及びポリロタキサンに組み込まれていないMCTCDが存在していることをTLC(展開溶媒:CHCl3:MeOH=1:1)で確認した後、水層を凍結乾燥した。得られた粉末についてMeOH:EtOH=20:80で懸濁及びろ過を繰り返し行い、ポリロタキサンのみを抽出した。
得られたポリロタキサン粉末1.295gを無水エタノール60mLで懸濁させ、3-アミノプロピルトリエトキシシラン0.325mL及びトリエチルアミン0.195mLを添加し、室温(25±5℃)で一晩攪拌した。この工程を下記の化学式5に示した。また、反応の経時変化は、TLC(展開溶媒:CHCl3:MeOH=1:1)及びUVスペクトル測定で確認した。
工程2.工程1の反応液を濃縮した後、無水エタノールで洗浄した。得られた沈殿物を乾燥し、白色固体を得た。この固体82mgを重水素化DMSO 2mLに溶解させ、トリフルオロ酢酸50μLを添加し、NMR用の試料を調製した。
この試料を用いて1H-NMR測定したところ、図2に示されるように、アミノプロピル基のメチレン基(C:0.85ppm,D:1.6ppm(m))、図2のエトキシ基のメチル基(A:1.0ppm(t))及びメチル基(B:3.4ppm(q))のピークが示された。
従って、この結果より、APTES付加MCTCDポリロタキサンが合成できたことが確認できた。
従来からシランカップリング剤は自動車塗料面等に適用されるコーティング組成物やシリカエアロゲル等として接着剤、塗料、断熱材等、様々な分野において利用されているが、シロキサン結合により脆いという問題があった。一方、本発明の環状分子にシランカップリング剤が結合され、化学修飾されたポリロタキサン(APTES付加MCTCDポリロタキサン)は耐久性が高く、より有用な有機-無機ハイブリッド体の提供等に利用できる。
〔実施例5〕
ポリロタキサン含有組成物の製造(1)
次の工程によりポリロタキサン含有組成物を製造した。
工程1.実施例1と同様の方法で製造したPEG-BAを用い、PEG-BA濃度が10mMとなるようにNaOH水に溶解させ、PEG-BAの30倍又は50倍量のMCTCDを添加し、RTで超音波照射により溶解させ、4℃で一晩静置して擬ロタキサンを製造した。
工程2.工程1で製造した擬ロタキサン中のPEG-BA濃度が5mM又は7mMになるようにNaOH水で希釈し、4mLずつ薬盃に採取し、表1の割合で4種のジアミンを添加し、ストロー(直径6mm、長さ約15cm)の両端をビニルテープと輪ゴムでとめて作成した容器に流しこみ、室温(25±5℃)で3日静置し、ポリロタキサン含有組成物を製造した。
その結果、図3Aに示すように、いずれの配合においてもゲル化が起こり、水中かつ室温(25±5℃)でワンポット合成にてポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)が製造できることが確認できた。
なお、PEG-BAとMCTCDを混合した段階、即ち、擬ロタキサンが生成していない状態のものにジアミンを添加してもゲル化は起こらず、両末端が未修飾のPEGやPEG-COOHを用いた場合もゲル化は起こらなかった。
従って、この結果より、ジアミンを添加することで擬ロタキサンどうしの距離が短くなり、PEG末端の-NH2とPEG鎖に貫通しているMCTCDのMTC基が反応して擬ロタキサンの両末端がキャッピングされ、図3Bのようなネットワーク構造が形成されていることが示唆された。
[物性評価]
上記にて製造されたポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)について、物性(吸水率、伸び率、引張強度)を評価した。
1.吸水試験
容器から取り出した各ポリロタキサン含有組成物の重さを測定した後、水15mLに浸して25℃で3日間、55rpmで攪拌・振盪した各ポリロタキサン含有組成物の重さを測定した。
次の式より吸水率を算出し、結果を図4に示した。
2.伸縮試験
容器から取り出した各ポリロタキサン含有組成物の長さを5cmに揃え、切れない程度に引き延ばした後、元の長さに戻ることを確認した。その後、図5に示すように各ポリロタキサン含有組成物が切れるまで伸ばした。
次の式より伸び率を算出し、結果を図6に示した。
3.引張試験
各ポリロタキサン含有組成物のサイズを直径6mm、長さ3.8cmに統一し、ペットボトルに水を入れて500gに調整したものを1~3個ぶら下げて(0.5kg、1.0kg又は1.5kg加重)、耐えられる時間を検証した。各ポリロタキサン組成物が耐えられる重りの重さや耐久時間を引張強度として表1に示した。
表1に示されるように、擬ロタキサンを製造する際のPEG-BA濃度とMCTCDの添加量、架橋剤として用いるジアミンの炭素鎖長とその濃度を変化させることで、様々な性質を有するポリロタキサン含有組成物(スライドリングゲル)が製造できることが確認できた。また、PEG-BA濃度とMCTCDの添加量を調製することで、いずれのジアミンを用いた場合においても1.0kgの重りをぶら下げた際に60秒以上切れずに耐えられる、強靭性のあるスライドリングゲルが製造できることも確認できた。
なお、上記試験で用いたものと長さが異なるポリロタキサン含有組成物を用いた場合でも、耐えられる時間や重さはほぼ同じであったことから、ポリロタキサン含有組成物の耐久性はゲルの長さには依存しないものと示唆された。
〔実施例6〕
ポリロタキサン含有組成物の製造(2)
次の工程によりポリロタキサン含有組成物を製造した。
工程1.実施例1と同様の方法で製造したPEG-BAを用い、PEG-BA濃度が10mMとなるようにNaOH水に溶解させ、PEG-BAの50モル当量のMCTCDを添加し、RTで超音波照射により溶解させ、4℃で一晩静置して擬ロタキサンを製造した。
工程2.工程1で製造した擬ロタキサンを約6時間加温した後、室温で18時間静置し、ポリロタキサン含有組成物としてスライドリングゲルを製造した。
60℃で加温した場合、極めて粘性の高いスライドリングゲルが得られた。また、70℃で加温した場合は、粘性は低く60℃で生成したゲルと比較して強靭性の優れたスライドリングゲルが得られた。
また、上記と同様の工程において、PEG-BAの40モル当量のMCTCDを添加して得られた擬ロタキサンを、60℃で約6時間加温した後、室温で64時間静置した場合もスライドリングゲルが得られることが確認できた。
各スライドリングゲルの伸び率を実施例5の伸縮試験と同様の方法によって調べ、結果を図7に示した。その結果、加温温度や室温での静置時間等を調整することによって、ポリロタキサン含有化合物として様々な物性を示すスライドリングゲルが得られることが確認できた。
本発明の軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサンを用いることにより、ポリロタキサンや、修飾されて機能性が付与されたポリロタキサンの製造が容易となる。
さらに、吸水率、伸び率、引張強度等において様々な物性を有するポリロタキサン含有組成物を用いることにより、伸縮性、耐久性等に優れたゲル、塗料、樹脂、ゴム、断熱材、衝撃吸収材等の製品の製造も容易となる。

Claims (12)

  1. 軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む擬ロタキサン。
  2. 軸分子がポリマーを含む請求項1に記載の擬ロタキサン。
  3. 化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む請求項1に記載の擬ロタキサン。
  4. 軸分子と、トリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含むポリロタキサン。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の擬ロタキサンと、軸分子を封鎖する分子を混合する工程を含む請求項4に記載のポリロタキサンの製造方法。
  6. 軸分子を封鎖する分子が2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンである請求項5に記載のポリロタキサンの製造方法。
  7. 化学修飾されたトリアジニル基を有するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を環状分子として含む請求項4に記載のポリロタキサン。
  8. 請求項4に記載のポリロタキサンと化学修飾剤を反応させる工程を含む請求項7に記載の化学修飾されたポリロタキサンの製造方法。
  9. 化学修飾剤がジエチルアミン又は3-アミノプロピルトリエトキシシランのいずれか一種以上である請求項8に記載の化学修飾されたポリロタキサンの製造方法。
  10. 請求項4又は7に記載のポリロタキサンを一種以上含むポリロタキサン含有組成物。
  11. 請求項1~3のいずれかに記載の擬ロタキサンとジアミンを混合する工程を含む請求項10に記載のポリロタキサン含有組成物の製造方法。
  12. 請求項1~3のいずれかに記載の擬ロタキサンを加温する工程を含む請求項10に記載のポリロタキサン含有組成物の製造方法。
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