JP2024008315A - オイルの診断方法およびオイルの診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】光センサによって,オイル(計測対象)の色変化を測定してオイルの性質変化を検出する際に,光源強度変化や光センサの感度低下の影響を低減して,オイルの状態を正確に判定することを目的とする。【解決手段】本願発明の好ましい一側面は,波長400nmから800nmの範囲の光に吸収を示す,添加剤を含むオイルの診断方法であって,光透過率が異なる2つの異なる波長における透過率比により,オイルの状態を判定する,オイルの診断方法である。【選択図】 図16

Description

本発明は,オイルの診断技術に係る。特に,潤滑油,絶縁油,加工油などの産業用油を使用する大型機械の保守に関し,潤滑油などのオイル中の使用に伴う色変化を計測することにより,オイルの余寿命診断を行うことにより,機械の監視を行う技術に関するものである。
大型回転機械の保全・保守を行う上で,軸受,歯車などの回転部品で使用される潤滑油の性状診断は重要な技術である。大型回転機械の例として,例えば,風力発電機の増速機,空気圧縮機,船舶,発電タービンなどがある。
潤滑油以外では,変圧器などでは電気絶縁のための絶縁油が使用されており,絶縁油の性状診断も重要である。また,機械加工の際に加工油等も用いられる。加工油として切削加工油,プレス加工油,熱処理油,防錆油など,様々な用途に合わせた加工油がある。本明細書等では,潤滑油,絶縁油,加工油などの産業用油を総称してオイルということがある。
潤滑油には,使用目的により,エンジン油,タービン油,油圧作動油,軸受油,摺動面油,ギヤ油,圧縮機油,切削油,などの種類がある。各種潤滑油が要求性能を満たすよう,基油(基材となる油)にいろいろな添加剤が配合される。他のオイルでもそれぞれに要求される性質を得るために,添加剤が配合されることがある。
近年の機械の状態監視は,機械のライフサイクルコストが最小になるような戦略を取ることが多い。発電タービンなどの大型機械は潤滑油を大量に使用し,潤滑油交換は,機械を停止して行うために,発電ロス,製造停止などの負の側面がある上に,新油購入・配送費用,オイル交換作業費用,廃油処理費用などが必要となるため,潤滑油をできるだけ長く使用することが望まれる。電気自動車やデータセンタの冷媒液なども,オイル診断を実施し,交換やハードの修理を実施している。変圧器の絶縁油も同様に,色などを監視している。
また,最近では,カーボンニュートラルの観点から,石油由来の燃料を大量に使用する,自動車などが電動化され,今後,燃料需要は減っていくが,産業用油は代替法が無い場合が多く,オイル交換周期を長くするなどにより,使用量を最小にすることが要求される。これは,オイル消費量を減らすことで,二酸化炭素排出量が減るからである。しかし,オイルの劣化と汚染を見逃すと,機械の故障につながる。
潤滑油の性状診断について,「劣化」と「汚染」をそれぞれ定義し,区別する。大別すると,(1)潤滑油の経時的な酸化劣化と,(2)水,塵埃や摩耗粉などの外部混入物による汚染の2種類を診断する必要がある。
(1)の潤滑油の酸化劣化としては,基油の酸化による劣化,添加剤の消耗による劣化などがある。潤滑油の酸化劣化により,耐摩耗性の低下,粘度および粘度指数の変化,防錆性の低下,防食性の低下などが起こる。結果として,増速機の摩耗や材料疲労が促進されることがある。潤滑油をできるだけ長く使用したい一方で,異常な劣化や汚染がある場合には速やかにオイル交換と機器の点検を行う必要がある。
可視光のうち,RGB(赤緑青)の3波長における透過率変化について,特許文献1に記載のように,新油の透過率からの相対変化から,潤滑油の交換時期や機械異常の予兆を診断する方法がある。RGB値のうち,オイルの劣化による透過率変化が最も大きい,B値の変化に基づき,診断を行うことが記載されている。
特開2019-078718号公報
オイルの劣化および汚染が進むと,ΔE値の減少として観測される。一方で,長期間のオイル監視を想定した場合,例えば,高温環境での長期連続計測時などでは,LED(発光ダイオード)等の光源の光強度が減少することがある。また,RGB光を検出する半導体センサの感度が低下することがある。
光源強度の低下が起こった場合,ΔE値の減少が観測され,ΔE値の減少がオイルの状態変化によるものか,光源強度の低下によるものかが,センサ出力値を見ただけでは分からないことがある。
RGBセンサの感度が低下した場合では,同様に,ΔE値の減少が起こり,オイルの劣化と識別することが困難である。
RGB3波長検出による方法において,オイルの劣化による透過率変化が最も大きいB値の変化に基づいて診断を行う方法でも,B値の変化が起こった場合に,オイルの劣化と,光源強度低下,RGBセンサ感度低下のうちのどれが原因となって値の変化が起こったのか,識別するのは困難である。
分光光度計のような高性能な卓上分析装置では,光源強度の変動,および,検出感度の変動の影響を排除するために,ダブルビーム方式と呼ばれる,参照光を用いる方式を採用することで,正しい透過率計測を行うことが可能である。しかし,ダブルビーム型の構造を小型の光学式センサで採用することは難しかった。
本発明は,上記のような課題解決の検討の中で見いだされたものであり,光センサによって,オイル(計測対象)の色変化を測定してオイルの性質変化を検出する際に,光源強度変化や光センサの感度低下の影響を低減して,オイルの状態を正確に判定することを目的とする。
本願発明の好ましい一側面は,波長400nmから800nmの範囲の光に吸収を示す,添加剤を含むオイルの診断方法であって,光透過率が異なる2つの異なる波長における透過率比により,オイルの状態を判定する,オイルの診断方法である。
本願発明の好ましい他の一側面は,光源と,少なくとも2つの異なる波長に感度を持つ受光素子とを備え,前記光源からの可視光をオイル中に透過させ,オイルを透過した可視光を前記受光素子で検出して,2つの異なる波長に対応した色度情報を得,2つの色度情報の比に基づいて,オイルの状態を診断する,オイルの診断システムである。
本発明によれば,光センサによって,オイル(計測対象)の色変化を測定してオイルの性質変化を検出する際に,光源強度変化や光センサの感度低下の影響を低減して,オイルの状態を正確に判定することができる。上記以外の課題,構成,効果などについては,以下の実施形態の説明により明らかになる。
ギヤ油の使用に伴う色変化を示すグラフ図である。 RGBカラーセンサの分光感度特性を示すグラフ図である。 水の混入に伴う色変化を示すグラフ図である。 ギヤ油の劣化について各種の指標の変化を示すグラフ図である。 ギヤ油の使用に伴う色の変化を示す表図である。 B/Rの値と,ギヤ油中の極圧剤の濃度との相関から得られた検量線の例を示すグラフ図である。 R/Bの値と,ギヤ油中の極圧剤の濃度との相関から得られた検量線の例を示すグラフ図である。 ギヤ油の全酸価と,B/Rとの相関から得られた検量線の例を示すグラフ図である。 ギヤ油を1か月ごとに光学式センサで測定した結果を示すグラフ図である。 ギヤ油を光学式センサで測定した結果を示すグラフ図である。 ギヤ油の使用に伴う色の変化について,RGB色座標として計測可能な光学式センサで1か月ごとに測定した結果を示す表図である。 ガスタービン油の劣化について各種の指標の変化を示すグラフ図である。 エンジン油の劣化について各種の指標の変化を示すグラフ図である。 風力発電機の潤滑油の監視システムの概略図である。 潤滑油用センサを備えた回転部品の概念図である。 潤滑油診断処理を示すフロー図である。 時系列的に保存された潤滑油の色度データ(B/R値)取得結果の概念を示すグラフ図である。 TPPT濃度と経過時間の関係を示すグラフ図である。 透過率測定結果と2波長の比率の表図である。 2波長の比率の経時変化を示すグラフ図である。 2波長の比率と質量法によって求めた汚染度の相関を示すグラフ図である。
実施の形態について,図面を用いて詳細に説明する。ただし,本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で,その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
以下に説明する実施例の構成において,同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い,重複する説明は省略することがある。
同一あるいは同様な機能を有する要素が複数ある場合には,同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし,複数の要素を区別する必要がない場合には,添字を省略して説明する場合がある。
本明細書等における「第1」,「第2」,「第3」などの表記は,構成要素を識別するために付するものであり,必ずしも,数,順序,もしくはその内容を限定するものではない。また,構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ,一つの文脈で用いた番号が,他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また,ある番号で識別された構成要素が,他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
図面等において示す各構成の位置,大きさ,形状,範囲などは,発明の理解を容易にするため,実際の位置,大きさ,形状,範囲などを表していない場合がある。このため,本発明は,必ずしも,図面等に開示された位置,大きさ,形状,範囲などに限定されない。
本明細書で引用した刊行物,特許および特許出願は,そのまま本明細書の説明の一部を構成する。
本明細書において単数形で表される構成要素は,特段文脈で明らかに示されない限り,複数形を含むものとする。
実施例に係る,潤滑油などのオイルの色変化を用いた機械の監視方法は,可視域の光学式センサによるオイルの劣化および汚染の診断において,任意の異なる2波長における透過率を示す値の比を指標とすることにより,正しいオイル劣化の観測を実現することを特徴とする。なお原理的に(透過率=1-吸収率)であるとすれば,実施例では透過率と吸収率は同じ意義を持つ。
潤滑油には,エンジン油,タービン油,油圧作動油,軸受油,摺動面油,ギヤ油,圧縮機油,切削油などの種類がある。潤滑油は,基油と添加剤から構成される。添加剤には,酸化防止剤,錆止め剤,消泡剤,粘度指数向上剤,油性向上剤,極圧添加剤,清浄分散剤,流動点降下剤,乳化剤などがある。潤滑以外の目的で使われるオイルとして,変圧器油などがある。多くのオイルは,使用による色変化が,交換時期の判定や機械の異常の指標となる。
潤滑油は,基油と添加剤から構成され,基油には,石油から作られる鉱油,高性能な合成油,植物から作られるバイオ油などがある。合成油は,高純度で,化学的に非常に安定であり,劣化しにくい。したがって,合成油を使用した潤滑油の色変化は,添加剤の消耗によって起こることが多い。一方で,鉱油やバイオ油は,純度が低かったり,化学的にやや不安定なエステル構造を有するため,使用によって基油が着色することがある。添加剤の消耗によっても着色が起こる。
オイルの色変化は,具体的には,新油は無色あるいは淡い黄色であり,使用日数経過により,黄色,オレンジ,赤褐色を経て黒褐色になる。
<劣化による色変化>
図1は,ギヤ油の使用に伴う色変化を示した図である。横軸に示す波長に対するオイルの吸光度を縦軸に示す。Aは新油,Bは2か月使用,Cは6か月使用,Dは1年使用したオイルの可視吸光度である。
新油Aの見た目の色はわずかに黄色味があるがほぼ無色透明,Bは淡い黄色,Cはオレンジ,Dは赤褐色であった。エンジン油,エンジン油,タービン油,油圧作動油,軸受油,摺動面油,圧縮機油,切削油,圧延油,絶縁油でも同様の色変化が起こる。
図2は,Siフォトダイオードアレイから構成されたRGBカラーセンサの分光感度特性である。Blue(波長460nm),Green(波長540nm),Red(波長620nm)にそれぞれ感度をもつ3ch(RGB)フォトダイオードを使用している。このカラーセンサは,視感度に近い分光感度特性を持ち,このカラーセンサを用いてオイルの色を,色座標として表現することができる。
<汚染による色変化>
図3は,図1と同じく波長と吸光度の関係を示し,1年使用したギヤ油Dに,水混入による汚染が起こった例(E)である。Dは赤褐色で透明であったが,Eは,1wt%の水汚染により,濁った褐色であり,可視域の全波長における吸光度上昇,すなわち,透過率低下が起こった。
吸光度と透過率は,以下のように定義される。一定の光路長のサンプルを光が透過する時に,
吸光度=log(Ii/I0)
透過率(%)=(I0/Ii)×100
ここで,Iiは入射光強度,I0は透過光強度である。明らかなように,吸光度と透過率は相互に変換可能である。
図1に示すようなギヤ油の色変化(光透過率)を,図2のRGBカラーセンサで計測すると,R(Red)値は変化量が小さく,B(Blue)値はR,Gよりも変化量が大きく,G(Green)値の変化量はRとBの中間となる。
ここで,ギヤ油の新油の色をRGBカラーセンサで計測し,新油の色座標を(255,255,255)とする。この新油の色座標については,例えば,(100,100,100)とすることでも可能で,あるいは,(100,97,80)のような値としてもよい。使用油,劣化油の色は,新油と同じ計測方法で計測すればよい。
1年使用したギヤ油の色座標を,新油を計測したセンサと同じ性能のセンサで,同じ方法で計測した。ギヤ油の劣化は,劣化による変化量が最大のB値と変化量が最小のR値の比,すなわち,(B/R)値で評価する。評価方法は,逆数である(R/B)値で評価してもよい。また,BとGの比である(B/G)値および(G/B)値,RとGの比である(R/G)値および(G/R)値を用いてもよい。
この時に,光源の強度が新油計測時の90%に低下していた場合,オイルの劣化または汚染がなくても,RGBそれぞれの値は,90%の値となるため,RGB値およびΔE値による診断では,オイルの劣化汚染と,光源強度の変化は識別できない。ここで,RGB値のうち,2値を選び,(B/R)のように,2値の比を用いて評価を行うと,光源強度の変化の影響を低減することができる。
上記ではセンサの性能は変わらないとしたが,センサの感度が新油計測時の90%に低下していた場合,オイルの劣化または汚染がなくても,RGBそれぞれの値は,90%の値となるため,RGB値およびΔE値による診断では,オイルの劣化汚染と,光源強度の変化は識別できない。ここで,RGB値のうち,2値を選び,(B/R)のように,2値の比を用いて評価を行うと,センサの感度の変化の影響を低減することができる。
光源の強度とセンサの感度の両方が変化していた場合でも、2値の比を用いて評価を行うことにより,変化の影響を低減することができる。
<RGBセンサ以外>
RGBセンサによる検出以外に,可視域の10~20波長を同時に計測可能なマルチスペクトルカメラや,波長分解能が優れた分光光度計によって計測する場合,任意の2波長を選択し,それぞれの波長の透過率または吸光度の比を用いて診断を行うことができる。この時,選択する2波長は,一方は400~500nmから選択し,もう一方は,600~700nmから選択すると,オイルの劣化による色変化を高精度に診断できる。
<連続計測時の汚染検出>
RGB値の中から選ばれた,2値の比を指標として,オイル劣化の経時変化を計測した場合に,途中で水の混入や,多量の摩耗粒子発生が起こると,例えば,(B/R)は,劣化進行時には比率が減少し続けるが,汚染発生が起こると,波長に依存せず光透過率が下がるため,(B/R)は1に近づく。このようにして,汚染を検出した例が,図4である。このように,比率を用いた診断は,オイルの汚染の診断にも効果がある。
風車増速機のギヤ油の診断例を示す。
図4は,酸化防止剤と極圧剤を含む風車増速機のギヤ油の劣化について,粘度の変化,全酸価の変化,酸化防止剤と極圧剤の濃度変化,光学式センサで計測したΔEの変化および(B/R)の変化の様子を示したものである。
見かけの色としては,潤滑油は劣化の進行とともに,無色から黄色を経て褐色に,色が濃くなる。ギヤ油交換の判断は,極圧剤濃度が初期値の50%となった時に行う。極圧剤濃度が初期値の50%になるタイミングは,B/Rが所定閾値以下になったタイミングで判定することができる。
上記判定は,極圧剤濃度を基準として行ったが,全酸価,粘度,酸化防止剤濃度などを用いて行うこともできた。
(光源強度が変化しない例)
図5は,ギヤ油の使用に伴う色の変化について,RGB色座標として計測可能な光学式センサで1か月ごとに測定した結果を示したものである。このデータを取得した際には,光学式センサの光源強度低下と,感度低下は起こっていないことを計測終了後に確認した。
色座標は,新油の色(R,G,B)を,(255,255,255)とし,8ビットで表示した。ここで,色座標表現方法は,8ビット表示以外の%表示,(100, 100, 100)などでもよく,座標系については,RGB表色系以外の表色系でもよい。
ここで,ΔEは以下のように定義した。
ΔE=(R2 + G2 + B2)^(1/2)
以下の図6~図8の検量線の測定では,光学式センサの光源強度低下と感度低下は無視してよい。
図6は,B/Rの値と,ギヤ油中の極圧剤の濃度との相関から得られた検量線の例である。新油の極圧剤の初期濃度を1と規格化し,この時の光学式センサの新油の測定値を,(255, 255, 255)とした。ギヤ油中の極圧剤の濃度は,高速液体クロマトグラフィで定量した。極圧剤濃度が初期濃度の50%が,オイル交換を行う判断を行うことになっていた。極圧剤濃度が初期値の50%になったとき,B/Rは0.7であった。
図7は,R/Bの値と,ギヤ油中の極圧剤の濃度との相関から得られた検量線の例である。新油の極圧剤の初期濃度を1と規格化し,この時の光学式センサの新油の測定値を,(100, 100, 100)とした。ギヤ油中の極圧剤の濃度は,高速液体クロマトグラフィで定量した。極圧剤濃度が初期濃度の50%が,オイル交換を行う判断を行うことになっていた。極圧剤濃度が初期値の50%になったとき,R/Bは1.43であった。
図8は,ギヤ油の全酸価と,色の指標である,B/Rとの相関から得られた検量線の例である。この検量線は,あらかじめ,新油と劣化油を用いて作成した。全酸価の測定は,指示薬を用いた滴定法によって行った。光学式センサの新油の測定値を,(255, 255, 255)とした。新油の全酸価は0.3であり,このギヤ油は,全酸価が2を超えた時に,交換が推奨されている。検量線によれば,全酸価が2の時のB/Rは,0.3であった。
これらの検量線は,ギヤ油の物性パラメータと,光学式センサの出力との相関により作成することが可能である。
光学式センサの出力値としては,RGBのうちの任意の2つを選び,それらの比を用いて検量線を作成できる。R/B,B/Rの他,R/G,G/R,B/G,G/Bを用いることも可能であった。
(水による汚染の検出例)
図9は,陸上風車の増速機のギヤ油を1か月ごとに光学式センサで測定した結果である。9か月目と10か月目の間に,水が2重量%混入し,ギヤ油が白濁していた。B/Rの値は9か月まで減少し続けた後,10か月目には1となったため,ギヤ油を100ml採取し,分析したところ,水の混入が確認された。
(摩耗粉による汚染の検出例)
図10は,陸上風車の増速機のギヤ油を光学式センサで連続測定した結果である。1.4年経過後に,B/R値が減少から増加に変化した。2年経過時に,ギヤ油を100ml採取し,分析したところ,摩耗粉の混入が確認された。摩耗粉,砂などによる汚染は長期にわたって徐々に進行することがあるが,実施例の方法で検出することができた。
(比較例)
図11は,風車の増速機のギヤ油の使用に伴う色の変化について,RGB色座標として計測可能な光学式センサで1か月ごとに測定した結果を示したものである。測定したサンプルは,図5のサンプルと同じものであった。色座標は,新油の色(R,G,B)を,(255,255,255)と設定した。
新油値の設定から光学式センサを1か月放置したところ,図11のデータを取得した際には,光学式センサの光源強度が10%低下していた。このため,RGB値がそれぞれ10%低い値となり,ΔE値は,それに対応した小さい値が得られた。一方で,B/R値は,図5の計測結果と同じ値が得られた。すなわち、色情報の比を取ることで,光学式センサの光源強度の変化の影響が無視できていることがわかる。
図12で大型船のガスタービン油の診断例を示す。図12は,ガスタービン油の使用に伴う,粘度,全酸価,酸化防止剤濃度,汚染度,光学式センサで測定したB/R値,の変化を示したものである。色座標は,新油の色(R,G,B)を,(255,255,255)と設定した。
ここで,汚染度は,規格JIS B 9931に定められた,質量法で求めた値である。汚染度の増加は,ガスタービン油の酸化により有機性の不溶物が増加することを意味する。汚染度と,B/R値は相関があり,予め検量線を作成しておくことにより,B/R値の測定により,汚染度の増加を監視することができる。図12の例では,汚染度5のタイミングをB/R値が約1.2以下になるタイミングで検知することができる。
この質量法に基づく汚染度は,潤滑油のスラッジ,バーニッシュの生成と強い相関があり,汚染度の監視より,スラッジ,バーニッシュの生成を予測することができる。
上記では汚染度の監視を例にしたが、同様に粘度,全酸価,酸化防止剤濃度についても,B/R値を用いて監視することができる。
図13でガソリン車エンジン油の診断例を示す。図13は,基油に鉱物油を使用したエンジン油の使用に伴う,粘度,全酸価,酸化防止剤濃度,B/Rの変化を示したものである。色座標は,新油の色(R,G,B)を,(255,255,255)と設定した。
粘度は40℃における動粘度(単位cP),酸化防止剤濃度はFT-IR(フーリエ変換赤外分光分析法)によって求めた相対濃度(新油の酸化防止剤濃度を1とした)である。このエンジン油は,使用に伴い粘度上昇が起こり,粘度とB/R値の相関から作成した検量線を用いて監視することにより,粘度を監視することができた。
全酸価,酸化防止剤濃度についても,B/R値を用いて監視することができる。
本実施例は上記の監視方法を,風力発電機の潤滑油の監視システム及び方法に適用したものである。本実施例は,風力発電機の機械的駆動部に供給される潤滑油の監視システムである。このシステムは,入力装置,処理装置,記憶装置,および出力装置を備える。記憶装置は,潤滑油の添加剤の濃度を時系列的に格納した添加剤濃度データを記憶し,処理装置は,潤滑油中の添加剤濃度を定量可能な,潤滑油の色度を計測する光学式センサデータに基づいて,潤滑油の色度特性より求められる潤滑油中の添加剤濃度が所定閾値となる時間を推測する。
また,本実施例は,処理装置,記憶装置,入力装置,および出力装置を備えたサーバを用いる,光学式潤滑油センサを用いた風力発電機の潤滑油の監視方法である。この方法は,風力発電機の潤滑油の色度データを取得する第1のステップ,サンプルに含まれる添加剤の濃度を測定する第2のステップ,測定した添加剤の濃度を,記憶装置に時系列に格納して添加剤濃度データとする第3のステップ,処理装置が添加剤濃度データを処理することにより,添加剤の濃度が所定閾値となる時間を推測する第4のステップを実行する。
(1.システム全体構成)
図14に潤滑油供給系統を有する風力発電機の潤滑油の監視システムの概略図を示す。風力発電機1のナセル3内部には,主軸31,増速機33,発電機34,図示しないヨー,ピッチなどの軸受があり,これらにはオイルタンク37から潤滑油が供給される。また,ハブ4,ナセル隔壁30,シュリンクディスク32,メインフレーム35,ラジエター36,カップリング38等,風力発電機の一般的な構成も備える。
図14に示すように,風力発電機1は通常複数が同一敷地内に設置され,これらをまとめてファーム200aなどと呼ぶ。それぞれの風力発電機1には,潤滑油の供給系統に各種センサ(図示せず)が設置され,潤滑油の状態を反映したセンサ信号は,ナセル3内のサーバ210に集約される。
また,各風力発電機1のサーバ210から得られるセンサ信号は,ファームごとに配置される集約サーバ220に送られる。集約サーバ220からのデータは,ネットワーク230を介して中央サーバ240へ送られる。中央サーバ240へは,他のファーム200bや200cからのデータも送られる。また,中央サーバ240は,集約サーバ220やサーバ210を介して,各風力発電機1に指示を送ることができる。このように,実施例のシステムはオイルの遠隔監視が可能になっている。
(2.センサ配置)
図15は,潤滑油用センサを備えた回転部品の概念図である。潤滑油は,ポンプなどの潤滑油供給デバイス301から回転部品302に供給される。潤滑油供給デバイス301は,オイルタンク37に接続されて潤滑油の供給を受ける。回転部品302は,例えば増速機33その他の機械的な接触が生じる部位一般であり,特に限定するものではない。
光学式センサ304は潤滑油の状態を検知するために潤滑油の流路等に配置される。本実施例では,回転部品302の潤滑油の排油口に接続する潤滑油の流路から分岐した流路(潤滑油経路の末端付近)に測定部303を設け,この測定部303に潤滑油の一部を導入する。そして,測定部303に光学式センサ304を設置している。測定部303を潤滑油のメインの流路に設けていないのは測定部303における潤滑油の流速を潤滑油の状態を検知するのに適した流速に調整するためである。回転部品302から排出した潤滑油はフィルタ305を経由してオイルタンク37に戻る。なお,フィルタ305は必須ではない。光学式センサ304は,潤滑油の色座標を測定する。潤滑油の色座標の時間的な変化に基づいて潤滑油の状態を評価することができる。
そして,本実施例では,光学式センサ304には,可視光源と受光素子を備えた,光学式センサが含まれる。光学式センサにより,潤滑油の色度情報(R,G,Bの値)を取得する。光学式センサ304は,可視光源からの可視光をオイル中に透過させ,オイルを透過した可視光をR,G,Bそれぞれに感度を持つ受光素子で検出することで色度データを取得する。取得した色度データは,各波長の光に対するオイルの吸収率あるいは透過率を反映している。取得した色度データより2波長の比を求め,あらかじめ2波長の比と残存添加剤量の相関から求めた検量線を用いて,潤滑油中の残存添加剤量を求め,劣化度診断と余寿命診断を行う。
潤滑油は,使用により品質が劣化し,初期の機能を果たさなくなる。このため,品質の劣化状況に応じて,交換等のメンテナンスを行う必要がある。このようなメンテナンスのタイミングを知るために,現地に設置した光学式センサ304で収集し得るデータを,遠隔地でモニタできるようにすることは,保守管理の効率上有用である。光学式センサ304で収集したデータは,例えばナセル3内のサーバ210に集められ,その後ファーム200内でデータを集約する集約サーバ220を経て,複数ファームのデータを集約する中央サーバ240に送られる。
ただし,LC(液体クロマトグラフ)測定やFT-IR測定,NMR(核磁気共鳴)測定のように,測定のための設備が必要な分析については,適宜潤滑油のサンプルを収集し,別途設けられた設備により分析を行う必要がある。これらのLC測定,FT-IR測定,NMR測定で測定された結果も,別途中央サーバ240にデータとして格納し,データの集約を行い,これらのデータも考慮して潤滑油の性状を把握することが望ましい。
また,集約されるデータとしては,潤滑油に関するデータだけでなく,風力発電機の稼動状況を示すデータを含めてもよい。例えば,風車出力値(大きいほど潤滑油の劣化速度大),実稼働時間(長いほど潤滑油の劣化速度大),機械温度(高いほど潤滑油の劣化速度大),軸の回転速度(速いほど潤滑油の劣化速度大)等である。これらは,風力発電機の各所に設置された公知の構成のセンサや,装置の制御信号から収集することができる。
(3.潤滑油診断のフロー)
図16は,本実施例による潤滑油診断処理を示すフロー図である。図16で示す処理は,図14のサーバ210,集約サーバ220,中央サーバ240のいずれかのコントロール下で行われる。以下の例では中央サーバ240が行うものとする。計算や制御等の機能は,サーバの記憶装置に格納されたソフトウェアがプロセッサによって実行されることで,定められた処理を他のハードウェアと協働して実現される。なお,ソフトウェアで構成した機能と同等の機能は,FPGA(Field Programmable Gate Array),ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアでも実現できる。
中央サーバ240が制御を行う場合,配下に複数の風力発電機1を持つため,以下の処理は風力発電機ごとに行うものとする。この処理は基本的に繰り返し処理であり,開始タイミングはタイマーなどで設定され,例えば,毎日0時に処理を開始する(S601)。また,中央サーバ240が,オペレータの指示により任意のタイミングで行うこともできる。
処理S602では,中央サーバ240は,潤滑油の交換時期をチェックする。交換時期の初期値は,例えば潤滑油が設計温度で動作しているという前提で,アレニウス反応速度を用いることにより物性的に計算し,余寿命を初期設定しておくことができる。この交換時期は,実測データに基づいて,後に処理S610で更新され得る。
潤滑油の交換時期であった場合には,処理S603で潤滑油交換を行う。潤滑油交換は通常は,作業員による作業となるため,中央サーバ240は交換を行うべき時期と対象を作業員に指示するための表示や通知を行う。
潤滑油の交換時期でない場合には,処理S604で,中央サーバ240はセンサデータによる診断を行う。センサデータとしては光学式センサで得られる潤滑油の色度情報に加えて,温度,油圧,潤滑油に含まれる粒子の濃度等を用いることができる。光学式センサ304で収集されたデータは,中央サーバ240に送られ,例えば中央サーバが,センサから得られたパラメータを事前に定めた閾値と比較することにより,潤滑油の特性を評価する。
処理S605,S606で診断の結果が異常であれば,処理S603で潤滑油交換を行う。異常がなければ,処理S609を行う。処理S605では,例えば,光学式センサのR,G,B値に基づく,B/R値が減少から増加に変化した場合には汚染異常有りと判断する。
S606では,図6のような添加剤濃度とB/Rの相関を用いて,光学式センサで測定したB/R値により求められる添加剤濃度が所定の閾値よりも低下した場合に添加剤劣化度異常有りと判断する。なお,B/R値により添加剤濃度を求めることなく,B/Rが所定の閾値よりも小さくなった場合に添加剤劣化度異常有りと判断することも可能である。
処理S609では,中央サーバ240に色度測定データなどを入力し,当該データは時系列的に保存される。
風力発電機の予防的保全,計画的な保守という観点からすれば,異常有りと判断される前に,潤滑油に含まれる添加剤の濃度の推移に基づき潤滑油の劣化について予兆診断を行うことが望ましい。
図17は,時系列的に保存された潤滑油の色度データ(B/R値)取得結果の概念を示すグラフ図である。横軸が時間(月)であり,縦軸はB/Rを示している。例えば,B/Rを定点観測しているものとし,60ヶ月経過時までの色度データがプロットされている。経過時間とB/Rの間には有意な関係が認められ,例えば時間に伴い線形にB/Rが減少する。なお,データとしては,(R,G,B)の値をデータとして保存しておきB/R値を計算してもよいし,計算したB/R値をデータ化しておいてもよい。
色度データ((R,G,B)の値)より,図6に示すような,B/Rと添加剤濃度の相関関係を用いて,潤滑油中の極圧剤などの添加剤濃度を求めることができる。従って,時系列的に保存された色度測定結果からは,添加剤の消耗速度を計算することができる。ここで,添加剤濃度が新品の約半分になると,潤滑油の性能が許容範囲を下回るとする。このような閾値は実験的に求めることができる。
本例では処理S610で,添加剤濃度の閾値を0.5に設定しておき,時系列的に保存された添加剤濃度測定結果から推定される濃度が0.5になる時点を交換時期として推定する。推定方法としては,公知の種々の方法を採用してよい。実測値を得ている場合であれば,濃度が単調に減少することを前提に,データを外挿する公知の手法を用いることができる。また,さらに濃度が複雑に推移する場合には,関数フィッティング(曲線当てはめ)のような公知の手法を用いることができる。
なお,本実施例では,光学式センサで計測した時系列的な色度データすなわちB/Rを保存してそれに基づき潤滑油の劣化度を推定している。
処理S610による交換時期推定結果は潤滑油診断結果として表示することができる(処理S611)。図18は,処理S610による結果の表示例を示す。
図18の例では,添加剤が極圧剤TPPT(トリフェニルホスホロチオナート)である場合を示す。約50ヶ月後にB/Rが閾値である0.5に到達すると見積もられた。50か月後に,TPPT濃度が50になるので,その前(例えば半月前)を新たな交換時期に設定すればよい。処理S613で1サイクルの処理が終了し,次のサイクルの処理S602では,新たな交換時期に従って判定処理を行う。
なお,例えば,S611の後に,光学式センサで測定された色度データを,潤滑油の診断結果の表示画面に色に変換して表示することができる。このように表示画面に潤滑油の劣化状態を色で表示することにより,作業員は潤滑油の劣化状態を視覚的に認識すること
ができる。これにより,例えば,作業員が現地で潤滑油の状態を目視した際に潤滑油の劣
化状態を大まかに把握することの一助となる。
以上のように,本実施例によると,光学式センサによるRGB測定値のうちの,2つの値の比と,予め組成分析の結果に基づいて作成した添加剤濃度との相関を用いることにより,光学式センサの性能変動の影響を受けることなく,潤滑油の寿命を早期検出できる。このため,適切な潤滑油交換等のメンテナンスにより,風力発電機の異常を未然に防止することができる。また,潤滑油の交換周期を最適化することも可能である。また,添加剤濃度を簡易な方法により測定することができ,光学式センサをナセル内に設置すれば潤滑油中の添加剤の劣化をオンライン遠隔監視することも可能となる。
本実施例では,回転部品の潤滑油中に光学式センサを設置して監視する方法およびシス
テムについて述べたが,回転部品内の潤滑油を点検時などの採取し,回転部品外で光学式
センサによる測定を行い,同様の診断を行なうこともできる。
光学センサとして,可視域(400nmから800nm)の連続スペクトルを測定可能な装置を用いて,ガスタービン油の酸化劣化診断を行った。この時の波長分解能は,10nmであり,400nmから10nm毎に,ガスタービン油の透過率(%)を測定した。光源は白色LEDを使用し,測定光路長は10mmであった。
ガスタービンを連続運転し,1か月ごとに50mlのオイルを採取し,光透過率を測定した。ここで,Tλは,波長λにおける光透過率(%)である。測定結果より,T430/T450,T430/T550,T430/T700の2波長の比率の値を求めた。
図19は,透過率測定結果と2波長の比率の表である。
図20は,2波長の比率の経時変化を示すグラフである。
図21は,2波長の比率と質量法によって求めた汚染度の相関を示すグラフである。
以上のように,可視域の任意の2波長の透過率比と,汚染度との関係から検量線を作成し,光学式センサの測定結果から潤滑油の汚染度を見積もることができた。
この結果から,430nmと450nmのように近接した2波長を選択するよりも,430nmと480nmのように50nm以上離れた2波長を選択する方が,高感度で汚染度を監視することが可能であった。また,430nmと550nmあるいは430nmと700nmのように,120nm以上,好ましくは270nm以上離れた2波長を選択すると,さらに高感度で汚染度を監視することが可能であった。
既述の実施例で説明したように,入手が容易なSiフォトダイオードアレイから構成されたRGBカラーセンサのRとBは約160nm離れているので,ハードウェアの追加をすることなく,信号の比をとるだけで光源やセンサの出力変動の影響を低減して,オイルの特性を監視することが可能となる。
また,粘度,全酸価なども同様に,任意の2波長における透過率の比率との相関から検量線を作成し,光学式センサで監視を行うことができる。
比率については,透過率,吸光度,光学式センサの検出器のアナログ出力値(電圧値,電流値)などを用いても同様に診断を行うことができる。
オイルの種類については,ギヤ油,ガスタービン油の例を示したが,他の潤滑油,加工油,絶縁油などについても同様に診断を行うことができる。
上記実施例によれば,RGBの3波長出力タイプの光学式センサについて,オイル(計測対象である液体)の色変化への,光源強度変化やRGB検出センサの感度低下のような,センサ側の変化の影響を低減できる。よって,光学式センサにより潤滑油の余寿命を正確に把握することが可能である。
上記実施例によれば,効率の良いオイルの保守管理が実現可能となるため,消費エネルギーが少なく,炭素排出量を減らし,地球温暖化を防止,持続可能な社会の実現に寄与することができる。
1:風力発電機、3:ナセル、4:ハブ

Claims (15)

  1. 波長400nmから800nmの範囲の光に吸収を示す,添加剤を含むオイルの診断方法であって,光透過率が異なる2つの異なる波長における透過率比により,オイルの状態を判定する,オイルの診断方法。
  2. 前記2つの異なる波長は,50nm以上離れた2波長である,
    請求項1に記載のオイルの診断方法。
  3. 前記2つの異なる波長は,120nm以上離れた2波長である,
    請求項2に記載のオイルの診断方法。
  4. 前記2つの異なる波長は,270nm以上離れた2波長である,
    請求項3に記載のオイルの診断方法。
  5. RGB3波長の透過率を求め,
    RGBの中から選ばれた2波長における透過率比により,オイルの状態を判定する,
    請求項1に記載のオイルの診断方法。
  6. 前記2波長として,波長Rと波長Bを選択する,
    請求項5に記載のオイルの診断方法。
  7. 前記透過率比と,前記オイルの粘度,全酸化,添加剤濃度,汚染度の少なくとも一つの相関から得られた検量線を用いてオイルの状態を判定する,
    請求項1に記載のオイルの診断方法。
  8. 前記透過率比を時系列データとして監視することにより,オイルの状態を判定する,
    請求項1に記載のオイルの診断方法。
  9. 前記時系列データにおいて,前記透過率比の増加と減少の傾向に反転が見られた場合,オイルに異物の混入があると判定する,
    請求項8に記載のオイルの診断方法。
  10. 光源と,少なくとも2つの異なる波長に感度を持つ受光素子とを備え,
    前記光源からの可視光をオイル中に透過させ,オイルを透過した可視光を前記受光素子で検出して,2つの異なる波長に対応した色度情報を得,
    2つの色度情報の比に基づいて,オイルの状態を診断する,
    オイルの診断システム。
  11. 前記2つの異なる波長は,50nm以上離れた2波長である,
    請求項10に記載のオイルの診断システム。
  12. 前記2つの異なる波長は,120nm以上離れた2波長である,
    請求項11に記載のオイルの診断システム。
  13. 前記2つの異なる波長は,270nm以上離れた2波長である,
    請求項12に記載のオイルの診断システム。
  14. 時系列的に取得した前記2つの色度情報の比に基づいて,オイルの状態を診断する,
    請求項10に記載のオイルの診断システム。
  15. 前記光源が可視光源であり,前記受光素子がR,G,Bの色度情報を得るR,G,Bカラーセンサであり,RとBの色度情報の比に基づいて,オイルの状態を診断する,
    請求項10に記載のオイルの診断システム。
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