JP2024005732A - ジオール化合物、光学用樹脂、ポリカーボネート樹脂、および光学成形体 - Google Patents

ジオール化合物、光学用樹脂、ポリカーボネート樹脂、および光学成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】光学用樹脂の屈折率を向上できるジオール化合物、並びに、屈折率が向上した光学用樹脂、ポリカーボネート樹脂および光学成形体を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表されるジオール化合物。TIFF2024005732000021.tif54153一般式(1)中、Ar1~Ar5は、それぞれ独立して炭化水素基又はヘテロ炭化水素基を表し、a~eはそれぞれ独立して0または1~2の整数を表し、oおよびpはそれぞれ独立して1~6の整数を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、ジオール化合物、光学用樹脂、ポリカーボネート樹脂、および光学成形体に関する。
カメラ、フィルム一体型カメラ、ビデオカメラ等の各種カメラの光学系に使用される光学レンズの材料として、光学ガラスあるいは光学用樹脂が使用されている。光学ガラスは、耐熱性、透明性、寸法安定性、耐薬品性等に優れ、様々な屈折率やアッベ数を有する多種類の材料が存在している。しかし、材料コストが高く、成形加工性が悪く、生産性が低いという問題点を有している。
一方、光学用樹脂からなる光学レンズは、射出成形により大量生産が可能であるという利点を有している。例えば、カメラ用レンズにおいて、ポリカーボネート樹脂等が使用されている。しかしながら、近年、製品の軽薄短小化により、高い屈折率の樹脂の開発が求められている。一般に光学材料の屈折率が高いと、同一の屈折率を有するレンズエレメントを、より曲率の小さい面で実現できるため、この面で発生する収差量を小さくできる。その結果、レンズの枚数を減らしたり、レンズの偏心感度を低減したり、レンズ厚みを薄くして軽量化することが可能になる。
光学用樹脂に関する技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載のものが挙げられる。
特許文献1(特開2005-241962号公報)には、フルオレン構造を有するポリカーボネート樹脂からなる光学レンズが記載されている。
特許文献2(特開2005-187661号公報)には、フルオレン含有ポリエステルに硫黄含有化合物をブレンド(混合、添加)することで簡便に屈折率を向上させる手法が記載されている。
特許文献3(国際公開第2021/220811号)には、フェナントレン構造を含む熱可塑性樹脂からなる光学部材が記載されている。
特開2005-241962号公報 特開2005-187661号公報 国際公開第2021/220811号
しかし、特許文献1に記載されているようなポリカーボネート樹脂は屈折率が低く、十分に満足するものではなかった。
また、特許文献2に記載のように、フルオレン含有ポリエステルに硫黄含有化合物をブレンドすると屈折率が向上するが、低分子量成分を添加するために熱安定性が低下し、ブレンドする二成分の相溶性が悪い場合、透明性が低下してしまう。
さらに、特許文献3に記載されているようなフェナントレン構造を含む熱可塑性樹脂は、特許文献1や特許文献2に記載されているようなフルオレン構造を含む樹脂と比較して屈折率が改善されている。しかし、近年の製品の軽薄短小化により、より高い屈折率を実現できる樹脂が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光学用樹脂の屈折率を向上できるジオール化合物、並びに、屈折率が向上し、かつ、透明性に優れた光学用樹脂、ポリカーボネート樹脂および光学成形体を提供するものである。
本発明者らは、光学用樹脂の屈折率を向上させるために鋭意検討した。その結果、下記式(1)で表されるジオール化合物を光学用樹脂の構成単位として用いることにより屈折率を向上できることを見出し、本発明に到達した。
本発明によれば、以下のジオール化合物、光学用樹脂、ポリカーボネート樹脂、および光学成形体が提供される。
[1]下記一般式(1)で表されるジオール化合物。
Figure 2024005732000001
(一般式(1)中、Ar~Arは、それぞれ独立して炭化水素基又はヘテロ炭化水素基を表し、a~eはそれぞれ独立して0または1~2の整数を表し、oおよびpはそれぞれ独立して1~6の整数を表す。)
[2]前記一般式(1)中のa~eはいずれも0である、前記[1]に記載のジオール化合物。
[3]前記[1]または[2]に記載のジオール化合物由来の構成単位を含む光学用樹脂。
[4]前記[1]または[2]に記載のジオール化合物由来の構成単位を含むポリカーボネート樹脂。
[5]前記[4]に記載のポリカーボネート樹脂において、
前記ポリカーボネート樹脂中の全ての構成単位の合計を100モル%としたとき、前記ポリカーボネート樹脂中の前記一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位の含有量が5モル%以上99モル%以下であるポリカーボネート樹脂。
[6]前記[4]または[5]に記載のポリカーボネート樹脂において、
下記一般式(2)で表されるジオール化合物由来の構成単位をさらに含むポリカーボネート樹脂。
Figure 2024005732000002
(一般式(2)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルキル基または炭素数5~20のシクロアルキル基を表し、Aはそれぞれ独立して炭素数2~8のアルキレン基を表し、pおよびqはそれぞれ独立して1~8の整数を表す。)
[7]前記[4]~[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂において、
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1.5×10以上2.0×10以下であるポリカーボネート樹脂。
[8]前記[4]~[7]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂において、
示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度が80℃以上190℃以下であるポリカーボネート樹脂。
[9]前記[4]~[8]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂において、
23℃、波長589nmにおける屈折率が1.65以上1.85以下であるポリカーボネート樹脂。
[10]前記[4]~[9]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂を含む光学成形体。
[11]光学レンズである前記[10]に記載の光学成形体。
[12]光学フィルムである前記[10]に記載の光学成形体。
本発明によれば、光学用樹脂の屈折率を向上できるジオール化合物、並びに、屈折率が向上し、かつ、透明性に優れた光学用樹脂、ポリカーボネート樹脂および光学成形体を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。なお、文中の数字の間にある「~」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
[ジオール化合物]
本実施形態に係るジオール化合物について説明する。本実施形態に係るジオール化合物は、一般式(1)で表されるジオール化合物である。
Figure 2024005732000003
一般式(1)中、Ar~Arは、それぞれ独立して炭化水素基又はヘテロ炭化水素基を表し、a~eはそれぞれ独立して0または1~2の整数を表し、oおよびpはそれぞれ独立して1~6の整数を表す。
一般式(1)において、Ar~Arはそれぞれ独立して炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、炭素数1~10の脂肪族ヘテロ炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基および炭素数4~12の芳香族ヘテロ炭化水素基からなる群から選ばれることが好ましく、炭素数1~6の脂肪族炭化水素基、炭素数1~6の脂肪族ヘテロ炭化水素基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基および炭素数4~12の芳香族ヘテロ炭化水素基からなる群から選ばれることがより好ましい。
一般式(1)において、Ar~Arの炭化水素基又はヘテロ炭化水素基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、メトキシメチル基、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、o-フェニルフェニル基、m-フェニルフェニル基、p-フェニルフェニル基、2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリニジル基、2-キノリニル基、3-キノリニル基、4-キノリニル基、5-キノリニル基、6-キノリニル基、7-キノリニル基、3-フェニル-2-ピリジニル基、4-フェニル-2-ピリジニル基および5-フェニル-2-ピリジニル基等からなる群から選ばれることが好ましい。
一般式(1)において、a~eはそれぞれ独立して0または1であることが好ましく、a~eはいずれも0であることがより好ましい。
一般式(1)において、oおよびpはそれぞれ独立して1~4の整数であることが好ましく、1~3の整数であることがより好ましく、oおよびpはそれぞれ独立して1または2であることがさらに好ましく、oおよびpはいずれも2であることがさらに好ましい。oおよびpが上記範囲にあることにより、一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位を含む光学用樹脂の耐熱性をより向上させることができる。
一般式(1)で表されるジオール化合物としては、例えば、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2024005732000004
Figure 2024005732000005
一般式(1)で表されるジオール化合物は、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(メタン-1-オール)、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(プロパン-1-オール)、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(ブタン-1-オール)が好ましく、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)がより好ましい。
[ジオール化合物の製造方法]
本実施形態に係るジオール化合物は、例えば、以下の製造方法Aまたは製造方法Bにより合成することができる。
<製造方法A>
本実施形態に係るジオール化合物は、以下の工程(i)~(vii)により製造することができる。
以下、一般式(1)において、a~eはいずれも0であり、oおよびpがいずれも2であるジオール化合物である2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)の製造方法を用いて本実施形態に係るジオール化合物の製造方法を具体的に説明する。2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)以外の本実施形態に係るジオール化合物も、原料化合物の置換基を適宜変更することにより同様に製造できる。
工程(i):2-メトキシ-6-ナフタレンボロン酸に、溶媒(例えば、トルエンおよび水、テトラヒドロフランおよび水、ジメチルスルホキシドおよび水)中、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系触媒の存在下で、2-ブロモベンズアルデヒドを所謂、鈴木-宮浦カップリングの条件により反応させ、2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)ベンズアルデヒドを製造する。
Figure 2024005732000006
工程(ii):工程(i)で得られた、2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)ベンズアルデヒドに、テトラヒドロフラン等の溶媒中、カリウム-tert-ブトキシド、n-ブチルリチウム等の塩基、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド等のウイッティヒ試薬またはホーナー・エモンズ試薬を反応させ、2-メトキシ-6-〔2-(2-メトキシビニル)フェニル〕ナフタレンを製造する。
Figure 2024005732000007
工程(iii):工程(ii)で得られた、2-メトキシ-6-〔2-(2-メトキシビニル)フェニル〕ナフタレンに、1,2-ジクロロエタン等の溶媒中、トリフルオロメタンスルホン酸やビスマストリフラート等を反応させ、2-メトキシクリセンを製造する。
Figure 2024005732000008
工程(iv):工程(iii)で得られた、2-メトキシクリセンに、ジクロロメタン等の溶媒中、三臭化ホウ素や、臭化水素酸等の脱メチル化剤を反応させ、2-クリセノールを製造する。
Figure 2024005732000009
工程(v):工程(iv)で得られた、2-クリセノールに、テトラヒドロフラン等の溶媒中、ジ―μ-ヒドオキソ-ビス[(N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロライド等の銅触媒、二酸化マンガンまたはグラフェンオキシドを反応させ、1,1′-ビクリセノールを製造する。
Figure 2024005732000010
工程(vi):工程(v)で得られた、1,1′-ビクリセノールに、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒中、炭酸カリウム等の塩基およびヨウ化カリウムの存在下で、2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピランを反応させ、2,2′-ビス〔2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ〕―1,1′-ビクリセンを製造する。
工程(vii):工程(vi)で得られた、2,2′-ビス〔2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ〕―1,1′-ビクリセンに、メチルセロソルブ等の溶媒中、濃塩酸等の酸触媒下で加水分解し、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)を製造する。
工程(i)~(iv)に代えて、クリセンのスルホン化および続くアルカリ分解を行うことで、2-クリセノールを製造することもできる。
工程(vi)および工程(vii)に代えて、1,1′-ビクリセノールに、エチレンオキシド、エチレンカーボネート、水酸基が保護されたハロエタノール等のヒドロキシエトキシ化剤を反応させることで、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)を製造することもできる。
工程(i)~工程(vii)の反応温度や反応時間等は任意の条件で実施できる。
<製造方法B>
本実施形態に係るジオール化合物は、以下の工程(a)~工程(e)で製造することができる。
以下、一般式(1)において、a~eはいずれも0であり、oおよびpがいずれも2であるジオール化合物である2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)の製造方法を用いて本実施形態に係るジオール化合物の製造方法を具体的に説明する。2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)以外の本実施形態に係るジオール化合物も、原料化合物の置換基を適宜変更することにより同様に製造できる。
工程(a):6-ブロモ-ナフトールに、水等の溶媒中、塩化鉄(III)六水和物を反応させ、6,6′-ジブロモ-1,1′-ビナフタレン-2,2′-ジオールを製造する。
Figure 2024005732000011
工程(b):工程(a)で得られた6,6′-ジブロモ-1,1′-ビナフタレン-2,2′-ジオールに、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒中、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩基存在下、保護基(例えば、テトラヒドロ-2H-ピラニルオキシ基やベンジル基)を有するブロモエタノールと反応させ、下記式(b)中の保護基を有する中間体B-1を製造する。
Figure 2024005732000012
上記式(b)中のLGは保護基を表す。以下、本明細書において、化学式中のLGは同様に保護基を表す。
工程(c):工程(b)で得られた中間体B-1に、溶媒(例えば、トルエンおよび水、テトラヒドロフランおよび水、ジメチルスルホキシドおよび水)中、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系触媒の存在下で、2-ホルミルフェニルボロン酸を反応させ、下記式(c)中の中間体B-2を製造する。
Figure 2024005732000013
工程(d):工程(c)で得られた中間体B-2に、テトラヒドロフラン等の溶媒中、カリウム-tert-ブトキシド、n-ブチルブチルリウム等の塩基、(メトキシメチル)トリフェニルフホスホニウムクロライド等のウイッティヒ試薬またはホーナー・エモンズ試薬を反応させ、下記式(d)中の中間体B-3を製造する。
Figure 2024005732000014
工程(e):工程(d)で得られた中間体B-3に、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアルコール等の溶媒中、トリフルオロメタンスルホン酸やビスマストリフラート等を反応させ、2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)を製造する。
Figure 2024005732000015
工程(a)~工程(e)の反応温度や反応時間等は任意の条件で実施できる。
[光学用樹脂]
本発明の一つの態様は、一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位を含む光学用樹脂である。
ここで、一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位を含む光学用樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、一般式(1)で表されるジオール化合物と、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸)、または脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸)とを反応させることにより得られる。
ポリウレタン樹脂は、一般式(1)で表されるジオール化合物と、芳香族ジイソシアネート(例えば、トルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート)、または脂肪族ジイソシアネート(例えば、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート)とを反応させることにより得られる。
ポリカーボネート樹脂は、後述するとおり、一般式(1)で表されるジオール化合物と、炭酸ジエステル等のカーボネート前駆物質とを反応させることにより得られる。
ポリエーテル樹脂は、一般式(1)で表されるジオール化合物と、脂肪族ジハロゲン化合物(例えば、ジブロモエタン、ジブロモプロパン)とを、塩基の存在下で反応させることにより得られる。
これらの樹脂において、一般式(1)で表されるジオール化合物以外の反応物は単独で用いてもよく、複数併用してもよい。また、一般式(1)で表されるジオール化合物以外のジオール化合物を併用して樹脂を重合することも可能である。
一般式(1)で表されるジオール化合物以外のジオール化合物を併用する場合、一般式(1)で表されるジオール化合物と一般式(1)で表される化合物以外のジオール化合物以外のジオール化合物の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される化合物の割合は5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。一般式(1)で表されるジオール化合物と一般式(1)で表される化合物以外のジオール化合物以外のジオール化合物の合計に対して、一般式(1)で表される化合物の割合は99モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。
ここで、一般式(1)で表されるジオール化合物以外のジオール化合物としては、例えば、9,9-ビス〔4-(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-エチルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-n-プロピルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-n-ブチルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-sec-ブチルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2―ヒドロキシエトキシ)-2-フェニルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル〕フルオレン、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-(3-メチルフェニル)フェニル〕フルオレン、ビス〔4-(2′-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(2′-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル〕スルフィド、ビス〔4-(2′-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(2′-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル〕スルホン、ビス〔4-(2′-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4-(2′-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、4,4-ジヒドロキシフェニル-1,1-m-ジイソプロピルベンゼン等のビス(4-ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2,2,2-テトラヒドロ-3,3,3,3-テトラメチル-1,1-スピロビス〔1Hインデン〕-6,6-ジオール等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類;9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン;エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ノルボルナンジメタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン-1,3-ジメタノール、スピログリコールなどを挙げることができる。
[ポリカーボネート樹脂]
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、本実施形態の一般式(1)で表されるジオール化合物を用いて製造される。本実施形態のポリカーボネート樹脂は、式(1p)で表される、一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位を有する。このようなポリカーボネート樹脂は、屈折率が向上した光学成形体を提供できる。光学レンズの材料として好適に使用することができる。
Figure 2024005732000016
式(1p)において、Ar~Ar、a~e、ならびにoおよびpは、一般式(1)におけるものと同義である。また、式(1p)の好ましい態様について一般式(1)と同様である。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂中の全ての構成単位の合計を100モル%としたとき、ポリカーボネート樹脂中の一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位(1p)の含有量は5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂中の全ての構成単位の合計を100モル%としたとき、ポリカーボネート樹脂中の一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位(1p)の含有量は99モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。
ポリカーボネート樹脂中の一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位(1p)の含有量が上記下限値以上であると、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂の屈折率が向上するため好ましい。ポリカーボネート樹脂中の一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位(1p)の含有量が上記上限値以下であると、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)や重量平均分子量(Mw)などを適切な範囲に調製できるため好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、本実施形態に係る光学用樹脂で使用される一般式(1)で表されるジオール化合物以外のジオール化合物由来の構成単位をさらに含むことができる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂中の一般式(1)で表されるジオール化合物以外のジオール化合物由来の構成単位は、一般式(2)で表されるジオール化合物由来の式(2p)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2024005732000017
一般式(2)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルキル基または炭素数5~20のシクロアルキル基を表し、Aはそれぞれ独立して炭素数2~8のアルキレン基を表し、pおよびqはそれぞれ独立して1~8の整数を表す。
一般式(2)において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。一般式(2)において、炭素数6~20のアリール基としては、例えば、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のナフチル基等が挙げられる。
一般式(2)において、炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
一般式(2)において、炭素数5~20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基等が挙げられる。
一般式(2)において、R~Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数6~20のアリール基および炭素数1~3のアルキル基から選ばれることが好ましく、R~Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数6~20のアリール基およびメチル基から選ばれることがより好ましく、R~Rは水素原子であることがさらに好ましい。
一般式(2)において、Aは炭素数2~8のアルキレン基を表し、例えば、1,2-エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、1,2-ブチレン基、1,3-ブチレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基、1,6-ヘキシレン基、1,7-ヘプチレン基、1,8-オクチレン基が挙げられる。
一般式(2)において、Aは炭素数2~6のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~4のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数2のアルキレン基であることがさらに好ましい。
一般式(2)において、pおよびqはそれぞれ独立して1~4の整数であることが好ましく、pおよびqはそれぞれ独立して1~2の整数であることがより好ましく、pおよびqがいずれも1であることがさらに好ましい。
Figure 2024005732000018
式(2p)において、R~R、A、ならびにpおよびqは一般式(2)におけるものと同義である。また、式(2p)の好ましい態様について一般式(2)と同様である。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、本実施形態に係るポリカーボネート中の全ての構成単位の合計を100モル%としたとき、一般式(2)で表されるジオール化合物由来の構成単位(2p)の含有量は1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。本実施形態に係るポリカーボネート中の全ての構成単位の合計を100モル%としたとき、一般式(2)で表されるジオール化合物由来の構成単位(2p)の含有量は、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、85モル%以下がさらに好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位(1p)の含有量を1モルとした場合、一般式(2)で表されるジオール化合物由来の構成単位(2p)の含有量は、0.65モル以上9.00モル以下が好ましく、1.00モル以上5.67モル以下がより好ましく、1.50モル以上4.00モル以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1.5×10以上、より好ましくは2.0×10以上、さらに好ましくは5.0×10以上、さらに好ましくは1.0×10以上であり、そして好ましくは2.0×10以下、より好ましくは1.2×10以下、さらに好ましくは1.0×10以下、さらに好ましくは5.0×10以下、さらに好ましくは3.0×10以下である。
Mwが上記下限値以上であると、得られる成形体が脆くなることをより抑制できるため好ましい。Mwが上記上限値以下であると、溶融粘度がより適度となるため製造後の樹脂の取り出しがより容易になり、さらに流動性がより良好になり溶融状態で射出成形しやすくなるため好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂の23℃、波長589nmにおける屈折率(nD)は、1.65以上が好ましく、1.66以上がより好ましく、1.68以上がさらに好ましく、1.70以上がさらに好ましく、1.71以上がさらに好ましく、1.72以上がさらに好ましい。本実施形態に係るポリカーボネート樹脂の23℃、波長589nmにおける屈折率(nD)は、1.85以下が好ましく、1.82以下がより好ましく、1.81以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を射出成形に使用する場合、示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、そして好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは170℃以下である。Tgが上記下限値以上であると、使用温度範囲がより広くなるため好ましい。またTgが上記上限値以下であると、樹脂の溶融温度がより低くなり、樹脂の分解や着色がより発生し難くなるため好ましい。またTgが上記上限値以下であると、汎用の金型温調機でも、金型温度と樹脂のガラス転移温度の差を小さくすることができる。そのため、製品に厳密な面精度が求められる用途において使用し易く好ましい。
さらに本実施形態に係るポリカーボネート樹脂には、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、結晶核剤、強化剤、染料、帯電防止剤、抗菌剤等を添加することができる。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で表される化合物を原料として使用して製造することができる。具体的には、一般式(1)で表される化合物および炭酸ジエステル等のカーボネート前駆物質を、塩基性化合物触媒もしくはエステル交換触媒もしくはその双方からなる混合触媒の存在下、または無触媒下において、溶融重縮合法により反応させて製造することができる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂の製造に用いられる炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジ-p-トリルカーボネート、ジ-m-トリルカーボネート、ジ-o-トリルカーボネート、ビス(p-クロロフェニル)カーボネート、ビス(m-クロロフェニル)カーボネート、ビス(o-クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-ブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ジフェニルカーボネートが好ましい。ジフェニルカーボネートは、ジオール化合物の合計1モルに対して0.97~1.20モルの比率で用いられることが好ましく、より好ましくは0.98~1.10モルの比率である。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂の製造に用いられる塩基性化合物触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、および含窒素化合物等が挙げられる。このような化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物等の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド、または4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、例えば、アルカリ金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物またはアルコキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩もしくは2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩もしくはリチウム塩等が用いられる。
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属化合物の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
含窒素化合物としては、例えば、4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が挙げられる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn-プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラn-ブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル基、アリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類;トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類;ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類;n-プロピルアミン、n-ブチルアミン等の1級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラn-ブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラn-ブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基もしくは塩基性塩等が用いられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛等の塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。エステル交換触媒としては、具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が用いられる。
これらの触媒は、ジオール化合物の合計1モルに対して、10-9~10-3モルの比率で、好ましくは10-7~10-4モルの比率で用いられる。
溶融重縮合法は、上記の原料および触媒を用いて、加熱下に、常圧または減圧下で、エステル交換反応により副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。
本実施形態に係る溶融重縮合法は、ジオール化合物、および炭酸ジエステルを反応容器中で溶融後、副生するモノヒドロキシ化合物を滞留させた状態で、反応を行うことが望ましい。
モノヒドロキシ化合物を滞留させるために、反応装置を閉塞したり、減圧したり加圧したりする等して圧力を制御することができる。この工程の反応時間は、好ましくは20分以上240分以下であり、より好ましくは40分以上180分以下、さらに好ましくは60分以上150分以下である。この際、副生するモノヒドロキシ化合物を生成後すぐに留去すると、最終的に得られるポリカーボネート樹脂は高分子量体の含有量が少ない。しかし、副生したモノヒドロキシ化合物を反応容器中に一定時間滞留させると、最終的に得られるポリカーボネート樹脂は高分子量体の含有量が多いものが得られる。
一般的には溶融重縮合反応は二段以上の多段工程で実施される。具体的には、第一段目の反応を好ましくは120~270℃、より好ましくは180~240℃の温度で、常圧もしくは加圧下に好ましくは0.1~5時間、より好ましくは0.5~3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジオール化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には133Pa(1mmHg)以下の減圧度、200~350℃の温度で0.05~2時間重縮合反応を行うことが好ましい。
溶融重縮合反応は、連続式で行ってもよいし、バッチ式で行ってもよい。
反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であっても、スクリューを装備した押出機型であってもよい。また、重合物の粘度を勘案してこれらの反応装置を適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、重縮合反応終了後、熱安定性および加水分解安定性を保持するために、触媒を除去もしくは失活させてもよい。一般的には公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法を好適に実施できる。酸性物質としては、具体的には、安息香酸ブチル等のエステル類;p-トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類;p-トルエンスルホン酸ブチル、p-トルエンスルホン酸ヘキシル等の芳香族スルホン酸エステル類;亜リン酸、リン酸、ホスホン酸等のリン酸類;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn-プロピル、亜リン酸ジn-ブチル、亜リン酸ジn-ヘキシル、亜リン酸ジn-オクチル、亜リン酸モノn-オクチル等の亜リン酸エステル類;リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジn-ブチル、リン酸ジn-オクチル、リン酸モノn-オクチル等のリン酸エステル類;ジフェニルホスホン酸、ジn-オクチルホスホン酸、ジn-ブチルホスホン酸等のホスホン酸類;フェニルホスホン酸ジエチル等のホスホン酸エステル類;トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等のホスフィン類;ホウ酸、フェニルホウ酸等のホウ酸類;n-ドデシルベンゼンスルホン酸テトラn-ブチルホスホニウム塩等の芳香族スルホン酸塩類;ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p-トルエンスルホン酸クロライド等の有機ハロゲン化物;ジメチル硫酸等のアルキル硫酸;塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物等が好適に用いられる。これらの失活剤は、触媒量に対して好ましくは0.01~50倍モル、より好ましくは0.3~20倍モル使用される。触媒量に対して0.01倍モルより少ないと、失活効果が不充分となり好ましくない。また、触媒量に対して50倍モルより多いと、樹脂の耐熱性が低下し、成形体が着色しやすくなるため好ましくない。
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を、13~133Pa(0.1~1mmHg)の圧力、200~350℃の温度で脱揮除去する工程を設けてもよい。この工程には、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、異物含有量が極力少ないことが望まれ、溶融原料の濾過、触媒液の濾過等が好適に実施される。フィルターのメッシュは、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。さらに、生成する樹脂のポリマーフィルターによる濾過が好適に実施される。ポリマーフィルターのメッシュは、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。また、樹脂ペレットを採取する工程は、当然低ダスト環境であることが好ましく、クラス1000以下のクリーン度であることがより好ましい。
[光学成形体]
本実施形態に係る光学成形体は本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を含むものであり、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を用いて光学成形体を製造できる。
例えば、射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、溶液キャスティング法等任意の方法により成形される。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、成形性および耐熱性に優れているので、射出成形が必要となる光学レンズにおいて特に有利に使用することができる。成形の際には、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を他のポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂等の他の樹脂と混合して使用することができる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、高屈折率と優れた耐熱性を示し、しかも成形に適した流動性を有する。さらに、低複屈折で光学歪みが起こりづらいため、光学レンズの他に、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、太陽電池等に使用される透明導電性基板、光学ディスク、液晶パネル、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡、ディスプレイ等の光学部品の構造材料または機能材料用途に適した光学用成形体として有利に使用することができる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を用いて得られる光学成形体は、JIS K-7361-1(1997)に準拠して測定される全光線透過率が、好ましくは82%以上、より好ましくは85%以上である。
また、本実施形態の目的を損なわない範囲で各種特性を付与するために、各種添加剤を使用することができる。添加剤としては、酸化防止剤、加工安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、重合金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、熱線遮蔽剤、蛍光染料(蛍光増白剤含む)、顔料、光散乱剤、強化充填剤、界面活性剤、抗菌剤、可塑剤、相溶化剤、他の樹脂やエラストマー等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよび3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂中の酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001~0.3質量部であることが好ましい。
加工安定剤としては、例えば、リン系加工熱安定剤、硫黄系加工熱安定剤等が挙げられる。
リン系加工熱安定剤としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられる。具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリn-デシルホスファイト、トリn-オクチルホスファイト、トリn-オクタデシルホスファイト、ジn-デシルモノフェニルホスファイト、ジn-オクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノn-ブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノn-オクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(n-ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリn-ブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジn-ブチルホスフェート、ジn-オクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4′-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,3′-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-3,3′-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイトおよびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂中のリン系加工熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001~0.2質量部であることが好ましい。
硫黄系加工熱安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ステアリルチオプロピオネート)、ジラウリル-3,3′-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3′-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3′-チオジプロピオネート等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂中の硫黄系加工熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.001~0.2質量部であることが好ましい。
離型剤としては、その90質量%以上がアルコールと脂肪酸とのエステルからなるものが好ましい。アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、具体的には一価アルコールと脂肪酸とのエステルや、多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルが挙げられる。上記一価アルコールと脂肪酸とのエステルとしては、炭素原子数1~20の一価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸とのエステルが好ましい。また、上記多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルとしては、炭素原子数1~25の多価アルコールと炭素原子数10~30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。
一価アルコールと飽和脂肪酸とのエステルとしては、例えば、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、n-ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの全エステルまたは部分エステル等が挙げられる。
これら離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.005~2.0質量部の範囲が好ましく、0.01~0.6質量部の範囲がより好ましく、0.02~0.5質量部の範囲がさらに好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤およびシアノアクリレート系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤が好ましい。以下に挙げる紫外線吸収剤は、いずれかを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2′-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2′-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2′-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾ-ル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジメトキシベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジメトキシ-5-ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2′-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(n-ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(n-オクチル)オキシ]-フェノール等が挙げられる。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2′-ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2′-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2′-m-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2′-(4,4′-ジフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2′-(2,6-ナフタレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2′-(1,5-ナフタレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2′-(2-メチル-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2′-(2-ニトロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)および2,2′-(2-クロロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3-ビス-[(2′-シアノ-3′,3′-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3-ビス-[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~3.0質量部であり、より好ましくは0.02~1.0質量部であり、さらに好ましくは0.05~0.8質量部である。かかる配合量の範囲であれば、用途に応じ、ポリカーボネート樹脂に十分な耐候性を付与することが可能である。
ブルーイング剤としては、例えば、バイエル社のマクロレックスバイオレットBおよびマクロレックスブルーRR並びにクラリアント社のポリシンスレンブルーRLS等が挙げられる。
ブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂の黄色味を消すために有効である。特に耐候性を付与したポリカーボネート樹脂の場合は一定量の紫外線吸収剤が配合されるため、「紫外線吸収剤の作用や色」によってポリカーボネート樹脂成型品が黄色味を帯びやすい傾向があり、特にシートやレンズに自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は有効である。
ブルーイング剤の配合量は、例えば、ポリカーボネート樹脂に対して、好ましくは0.05~1.5ppmであり、より好ましくは0.1~1.2ppmである。
光学成形体の表面には、必要に応じ、反射防止層あるいはハードコート層といったコート層が設けられていてもよい。反射防止層は、単層であっても多層であっても良く、有機物であっても無機物であっても構わないが、無機物であることが好ましい。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム等の酸化物あるいはフッ化物が例示される。
(光学レンズ)
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を用いて製造される光学レンズは、高屈折率であり、耐熱性に優れるため、望遠鏡、双眼鏡、テレビプロジェクター等、従来、高価な高屈折率ガラスレンズが用いられていた分野に用いることができ、極めて有用である。必要に応じて、非球面レンズの形で用いることが好ましい。非球面レンズは、1枚のレンズで球面収差を実質的にゼロとすることが可能であるため、複数の球面レンズの組み合わせによって球面収差を取り除く必要がなく、軽量化および生産コストの低減化が可能になる。したがって、非球面レンズは、光学レンズの中でも特にカメラレンズとして有用である。
本実施形態に係る光学レンズは、例えば、射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法等任意の方法により成形される。本実施形態により、ガラスレンズでは技術的に加工の困難な高屈折率低複屈折非球面レンズをより簡便に得ることができる。
(光学フィルム)
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を用いて製造される光学フィルムは、透明性および耐熱性に優れるため、液晶基板用フィルム、光メモリーカード等に好適に使用される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.測定・評価方法
以下の実施例・比較例において、各物性の測定および評価は、以下の方法により行った。
1)ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw):ゲル浸透クロマトグラフ(GPC:Waters社製 1515、2414および2489)を用い、クロロホルムを溶出液として、既知の分子量(分子量分布=1)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。この検量線に基づいて、GPCのリテンションタイムからMwを算出した。
GPC装置:Waters社製 1515、2414および2489
GPCカラム:Shodex社製 GPC K-806L
測定温度:40℃
試料濃度:0.3wt%
2)屈折率(nD):シリコンウエハー上に4.0wt%濃度の樹脂のクロロホルム溶液をスピンコーターを用いて800rpm40秒、1500rpm10秒でコートし、120℃で5分ベークしてサンプルを調整し、分光エリプソメーターGES5E(セミラボ[SEMILAB]社製)を用いて、23℃、波長200-1000nmにおける光学測定データに、次に示す光学モデルをフィッティングすることで、フィルムの23℃、589nmにおける屈折率および膜厚の算出を行った。
(光学モデル)
積層構造:フィルム/SiO(2nm厚)/Si基板(500μm厚)
フィルムの分散式:コーシー + ローレンツ振動子モデル
3)ガラス転移温度(Tg):示差熱走査熱量分析計(DSC:島津製作所社製DSC-60)により、昇温速度:10℃/分の条件で測定した。
4)融点:示差熱走査熱量分析計(DSC:島津製作所製DSC-60)もしくは、偏光顕微鏡(オリンパス社製BX50)とホットステージ(メトラートレド社製HS-1)の組み合わせで目視測定。
5)共重合比率:H-NMR(JEOL社製 製品名:JNM-ECZ400S)よりクロロホルム-dに溶解させた樹脂のNMRを測定し、芳香族炭素に結合した水素の積分比から共重合比率を求めた。
6)全光線透過率:実施例で製造したポリカーボネート樹脂からなる厚さ500μmシートについて、日本電色工業(株)社製濁度計NDH2000を用い、JIS K-7361-1の方法で測定した。
1.式(1)で表されるジオール化合物の調製
(実施例1)
2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)の合成
工程(i):2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)ベンズアルデヒドの合成
2-メトキシ-6-ナフタレンボロン酸20.51g((101.15mmol)、2-ブロモベンズアルデヒド17.91g(97.36mmol)、炭酸カリウム34.59g(250.65mmol)、トルエン350gおよび水250gよりなる混合物にジクロロビス〔ジ-tert-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ〕パラジウム(II)を71.8mg(0.1103mmol)添加し、3時間70℃で加熱攪拌した。その後、冷却したのちに水層を分離し、トルエン層を蒸留水で2回水洗した。トルエン層を分離後、硫酸マグネシウムにより乾燥し、トルエン層からロータリーエバポレーターによりトルエンを留去し、残渣にメタノールを添加することで、目的とする2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)ベンズアルデヒド22.15gを得た。収率87%、HPLC純度96.8Area%。融点85.18℃。
工程(ii):2-メトキシ-6-〔2-(2-メトキシビニル)フェニル〕ナフタレンの合成
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド32.15g(93.79mmol)およびテトラヒドロフラン100mlよりなる懸濁液を氷浴により2℃まで冷却し、ここに、1.0mol/Lのカリウム-tert-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液100mlを14分かけて添加した。反応液を15分間4℃で攪拌したのちに、2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)ベンズアルデヒド15.30g(58.37mmol)およびテトラヒドロフラン30gよりなる溶液を15分かけて滴下した。反応液の温度は10℃まで昇温し、その後、緩やかに4℃まで低下した。室温まで昇温し、同温度で2時間攪拌したのちに、ロータリーエバポレーターにて、テトラヒドロフランを留去した。残渣にトルエン200mlおよび蒸留水200mlを添加し、混合したのちに、水層を分液し、蒸留水で水洗を2回行った。得られたトルエン層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:クロロホルム/ヘキサン=3:2)で精製し、目的とする2-メトキシ-6-〔2-(2-メトキシビニル)フェニル〕ナフタレン16.94gを得た。収率100%、HPLC純度98.5Area%、融点81.90℃。
工程(iii):2-メトキシクリセンの合成
2-メトキシ-6-〔2-(2-メトキシビニル)フェニル〕ナフタレン13.10g(45.15mmol)および1,2-ジクロロエタン150gよりなる溶液に、ビスマストリフラート1.03g(1.57mmol)を添加し、室温で一晩攪拌した。その後析出物をろ別し、水洗した。ろ液を濃縮したのちトルエン200mlおよび水200mlを添加し、水洗したのちにトルエン層を蒸留水で2回水洗し、トルエン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去した。残渣にメタノールを添加して、結晶1.10gを得た。最初にろ別した固体と合わせメチルセロソルブから再結晶し合計11.14gの2-メトキシクリセンを白色固体として得た。収率96%、HPLC純度99.2Area%、融点254.86℃。
工程(iv):2-クリセノールの合成
2-メトキシクリセン11.00g(42.62mmol)をジクロロメタン300gに溶解し、氷浴で0℃まで冷却した。1.0mol/lの三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液67.86gを20分かけて滴下した。その後、一晩、室温になるまで攪拌した。再度氷浴により冷却したのち、追加の三臭化ホウ素のジクロロメタン溶液20gを10分間で滴下した。氷水に排出し、生じた固体をろ別して、水洗いして2-クリセノールを白色結晶4.94gを得た。ろ液に酢酸エチルを添加し、水洗したのちに、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥したのち、ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去した。残渣にトルエンとヘキサン(1:1)を添加し、生じた固体をろ別して、2-クリセノールを褐色固体として4.87g得た。収率96%、HPLC純度98.0Area%。融点239-241℃。
工程(v):1,1′-ビクリセノールの合成
2-クリセノール11.92g(48.83mmol)とテトラヒドロフラン261gよりなる溶液にジ―μ-ヒドオキソ-ビス[(N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロライド4.45gを添加し、50℃で5日間加熱攪拌を行った。その後ロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランを留去したのち、酢酸エチルを添加して、不溶物をろ別した。生じた固体を2Nアンモニア水溶液で2回洗浄し、その後、水洗した。60℃減圧乾燥後にトルエンで2回懸濁洗浄し、淡褐色固体として4.19gの1,1′-ビクリセノールを得た。また、固体をろ別したろ液を2Nアンモニア水溶液、2N塩酸水溶液で洗浄したのち、蒸留水で2回水洗し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥したのちにロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去した。残渣にトルエンを添加し、2回トルエンでの懸濁洗浄を行い5.92gの1,1′-ビクリセノールを得た。収率85%、HPLC純度95.7Area%。融点350℃以上。
工程(vi):2,2′-ビス〔2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ〕―1,1′-ビクリセンの合成
1,1′-ビクリセノール10.00g(20.57mmol)、炭酸カリウム8.28g(60mmol)、2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン9.41g(45.23mmol)、ヨウ化カリウム1.26gおよびN,N-ジメチルホルムアミド80gよりなる混合物を80℃に加熱して、16時間加熱攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターでN,N-ジメチルホルムアミドを留去し、残渣にトルエン300mlおよび水300mlを添加し、水層を分液後、蒸留水で、2回水洗を行った。トルエン層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:溶出液:クロロホルム/酢酸エチル=4:1)で精製し、目的とする2,2′-ビス〔2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ〕―1,1′-ビクリセン13.21gを無色の結晶として得た。収率89%、HPLC純度94.4Area%。融点106℃。
工程(vii):2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)の合成
2,2′-ビス〔2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ〕―1,1′-ビクリセン12.61g(17.00mmol)、メチルセロソルブ80gよりなる混合物を100℃に加熱し、均一溶液とし、そこに濃塩酸2.72gを添加し、4時間加熱攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターでメチルセロソルブを留去して、残渣に蒸留水200gを添加して、析出物をろ別した。得られた固体を蒸留水で2回懸濁洗浄したのちに60℃で減圧乾燥した。乾燥した固体をトルエンで2回懸濁洗浄し、その後、メチルセロソルブで加熱抽出してメチルセロソルブを冷却し、目的とする2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)を無色の結晶として8.88g得た。2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)は、一般式(1)において、a~eはいずれも0であり、oおよびpがいずれも2であるジオール化合物である。収率91%、HPLC純度99.2Area%。融点334~337℃、
H-NMR(DMSO-d)δ=3.24-3.49(m、4H)、4.14(t、4H)、4.61(t、2H)、7.22(d、2H)、7.56-7.68(m、4H)、7.82(d、2H)、8.09(d、2H)、8.15(d、2H)、8.57(d、2H)、8.71(d、2H)、8.93(d、2H)、9.11(d、2H)
2.ポリカーボネート樹脂の製造
(実施例2)
実施例1で得られた2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)4.00g(6.96mmol)、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-9H-フルオレン4.58g(10.45mmol)、ジフェニルカーボネート3.80g(17.75mmol)および0.02M-炭酸水素ナトリウム水溶液6μL(1.2×10-4mmol)を留出装置付きの反応器に装入して、270℃100kPaで1時間反応させた。その後、減圧度を22kPaに調整し、20分間反応させ、さらに減圧度を13kPaに調整し30分間反応させた後、40分間かけて減圧度を130Paとし、同圧力で30分間反応させて所定のトルクになったところで窒素ガスにより真空を放圧して、ポリカーボネート樹脂を抜き出した。
得られたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は15300であり、Tgは182℃であった。H-NMRの結果からこのポリカーボネート樹脂は一般式(1)において、a~eはいずれも0であり、oおよびpがいずれも2である本実施形態に係るジオール化合物を40mol%有することがわかった。ポリカーボネート樹脂の屈折率nDは1.6863であった。
(実施例3)
実施例1で得られた2,2′-[1,1′-ビクリセン-2,2′-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-1-オール)2.00g(3.48mmol)、9,9-ビス〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-9H-フルオレン6.10g(13.92mmol)、ジフェニルカーボネート3.80g(17.75mmol)および0.02M-炭酸水素ナトリウム水溶液6μL(1.2×10-4mmol)を留出装置付きの反応器に装入して、270℃100kPaで1時間反応させた。その後、減圧度を22kPaに調整し、20分間反応させ、さらに減圧度を13kPaに調整し30分間反応させた後、40分間かけて減圧度を130Paとし、同圧力で30分間反応させて所定のトルクになったところで窒素ガスにより真空を放圧して、ポリカーボネート樹脂を抜き出した。
得られたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は19400であり、Tgは161℃であった。H-NMRの結果からこのポリカーボネート樹脂は一般式(1)において、a~eはいずれも0であり、oおよびpがいずれも2である本実施形態に係るジオール化合物を20mol%有することがわかった。ポリカーボネート樹脂の屈折率nDは1.66
50であった。また、250℃で熱プレスしたポリカーボネート樹脂の500μm厚のシートの全光線透過率は88%であった。
実施例2と実施例3で得られた、ポリカーボネート樹脂中の一般式(1)において、a~eはいずれも0であり、oおよびpがいずれも2であるジオール化合物のモル%の値と、ポリカーボネート樹脂の屈折率nDの値から、線形近似式を算出した。
本実施形態に係るジオール化合物のホモポリカーボネート樹脂の屈折率nDは線形外挿値で1.76となる。
(比較例1)
10,10′-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)―9,9′-ビフェナントレン8.25g(17.4mmol)、ジフェニルカーボネート3.80g(17.75mmol)および0.02M-炭酸水素ナトリウム水溶液6μL(1.2×10-4mmol)を留出装置付きの反応器に装入して、270℃100kPaで1時間反応させた。その後、減圧度を22kPaに調整し、20分間反応させ、さらに減圧度を13kPaに調整し30分間反応させた後、40分間かけて減圧度を130Paとし、同圧力で30分間反応させて所定のトルクになったところで窒素ガスにより真空を放圧して、ポリカーボネート樹脂を抜き出した。
得られたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は15100であり、Tgは160℃であった。このポリカーボネート樹脂の屈折率nDは1.7110であった。
比較例1のホモポリカーボネート樹脂の屈折率nDと、実施例2および実施例3で得られたポリカーボネート樹脂から算出した本実施形態に係るジオール化合物のホモポリカーボネート樹脂の屈折率nDの外挿値との比較より、本実施形態に係るジオール化合物を用いることでポリカーボネート樹脂の屈折率を向上できることがわかった。
本実施形態に係るジオール化合物は、共重合比率が小さい場合であっても得られるポリカーボネート樹脂の屈折率を向上することができる。他のジオール化合物と共重合させることにより、ガラス転移温度(Tg)や重量平均分子量(Mw)などを適切な範囲に調製することができ、成形性がより優れたポリカーボネート樹脂を提供できる。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表されるジオール化合物。
    Figure 2024005732000019
    (一般式(1)中、Ar~Arは、それぞれ独立して炭化水素基又はヘテロ炭化水素基を表し、a~eはそれぞれ独立して0または1~2の整数を表し、oおよびpはそれぞれ独立して1~6の整数を表す。)
  2. 前記一般式(1)中のa~eはいずれも0である、請求項1に記載のジオール化合物。
  3. 請求項1または2に記載のジオール化合物由来の構成単位を含む光学用樹脂。
  4. 請求項1または2に記載のジオール化合物由来の構成単位を含むポリカーボネート樹脂。
  5. 請求項4に記載のポリカーボネート樹脂において、
    前記ポリカーボネート樹脂中の全ての構成単位の合計を100モル%としたとき、前記ポリカーボネート樹脂中の前記一般式(1)で表されるジオール化合物由来の構成単位の含有量が5モル%以上99モル%以下であるポリカーボネート樹脂。
  6. 請求項4または5に記載のポリカーボネート樹脂において、
    下記一般式(2)で表されるジオール化合物由来の構成単位をさらに含むポリカーボネート樹脂。
    Figure 2024005732000020
    (一般式(2)中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20のアルキル基または炭素数5~20のシクロアルキル基を表し、Aはそれぞれ独立して炭素数2~8のアルキレン基を表し、pおよびqはそれぞれ独立して1~8の整数を表す。)
  7. 請求項4~6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂において、
    ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1.5×10以上2.0×10以下であるポリカーボネート樹脂。
  8. 請求項4~7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂において、
    示差走査熱量計により測定されるガラス転移温度が80℃以上190℃以下であるポリカーボネート樹脂。
  9. 請求項4~8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂において、
    23℃、波長589nmにおける屈折率が1.65以上1.85以下であるポリカーボネート樹脂。
  10. 請求項4~9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂を含む光学成形体。
  11. 光学レンズである請求項10に記載の光学成形体。
  12. 光学フィルムである請求項10に記載の光学成形体。
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JP7465956B2 (ja) 2020-04-28 2024-04-11 帝人株式会社 熱可塑性樹脂および光学部材

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JP7465956B2 (ja) 2020-04-28 2024-04-11 帝人株式会社 熱可塑性樹脂および光学部材

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