JP2024004576A - 塗装装置及び塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗装対象領域に対して、より正確かつ高速に塗料の塗布が可能で、高品質な塗装が可能な塗装装置を提供する。【解決手段】塗装装置100は、塗料203を液滴で吐出するジェッティングヘッド200と、ジェッティングヘッドを塗装対象物であるワークに対して移動させる移動機構101と、移動機構の動作を制御するとともにジェッティングヘッドの液滴の吐出を制御してワークに塗料を塗布することにより、ワークの塗装対象領域を塗装する塗布制御部110と、を備える。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 塗装技術,Vol.61/No.1,第94~102頁,株式会社理工出版社
本発明は、塗装装置及び塗装方法に関する。
従来から被塗装物(以下、「ワーク」という。)の塗装対象領域がワークの一部分である場合には、塗装を行わない部分にマスキングを行ってから塗装を行うマスク塗装が行われている。マスキングは人手による作業によって行われることが多く、塗布は、マスキング後に、特殊なジグや版を使用して、位置決めをしながら塗布と乾燥を繰り返すことにより行われる。
特許文献1は、インクジェットヘッドと、ロボットと、制御装置とを備える加飾装置について開示している。インクジェットヘッドには複数の液滴供給ノズルが配列され、各液滴供給ノズルから液滴を滴下する。ロボットは、液滴の落下方向とその液滴が塗布される部品表面4~6での法線方向とが一致するよう車両用内装部品2の姿勢を変更する。
特開2014-012240号公報
上述のマスク塗装においては、マスキング自体の品質の差やマスキングを剥離する際の見切りにより不良となることもあり、経験者による作業であっても歩留まりや時間的生産効率を向上させるのは難しかった。
また、特許文献1に記載のような、インクジェットヘッド等を塗装に用いる場合においては、特に立体形状において、塗装対象領域の縁への正確な塗布を行うことや、整った一貫性のある外観に仕上げることは難しかった。
本開示は、上述の事情に鑑みてされたものであり、塗装対象領域に対して、より正確かつ高速に塗料の塗布が可能で、高品質の塗装が可能な塗装装置及び塗装方法を提供することを目的とする。
本開示の塗装装置は、塗料を液滴で吐出するジェッティングヘッドと、前記ジェッティングヘッドを塗装対象物であるワークに対して移動させる移動機構と、前記移動機構の動作を制御するとともに前記ジェッティングヘッドの液滴の吐出を制御して前記ワークに塗料を塗布することにより、前記ワークの塗装対象領域を塗装する塗布制御部と、を備える、塗装装置である。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗装対象領域が、第1領域を有し、更に前記第1領域と比較して面積が小さく、前記第1領域から細長く伸びる第2領域を有する場合に、前記塗布制御部は、前記第2領域を除いて塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記第1領域に塗料を塗布した後、更に前記第1領域と前記第2領域との接続部を前記第1領域から前記第2領域に向かう短い軌道により塗布し、前記短い軌道は、前記第2領域の細長く伸びる幅以下であってもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が傾斜面である場合に、傾斜方向で最も低い領域を除いて塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記最も低い領域の傾斜方向長さは、前記ジェッティングヘッドが一方向に移動しながら水平面を一度に塗装する幅より大きいこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記最も低い領域を除いた塗布の後、前記塗装対象領域の最も低い端部に対して、2回目の塗布を行うこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗装対象領域が、傾斜面の傾斜方向に延びる線状の凹部で画定される場合、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域を前記ジェッティングヘッドを下から上に移動させる軌道で塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、線状の凹部で画定される前記塗装対象領域の塗装において、前記ジェッティングヘッドの異なる軌道による塗布の塗料が、少なくとも一方の軌道の途中で一体となって塗装される交差部分がある場合に、前記塗布制御部は、前記異なる軌道による塗布を行った後、前記交差部分に対して追加の塗布を行うこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗装対象領域が、傾斜面の傾斜方向に対して垂直方向の成分を有して線状に延びる凹部で画定される場合に、前記塗布制御部は、前記ジェッティングヘッドの軌道を、前記凹部の傾斜面上側の壁に沿った軌道で塗料を塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記傾斜面上側の壁に沿った軌道での塗布の後、前記凹部の中心線又は前記中心線よりも下方側にずらした軌道で更に塗料を塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗装対象領域が、線状に延びる凹部で画定される場合、前記塗布制御部は、軌道に沿った前記凹部の形状変化により、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を制御してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、軌道に沿った前記凹部の幅が次第に広がる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加させ、軌道に沿った前記凹部の幅が次第に狭まる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少させることとしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、軌道に沿った前記凹部の曲がりが次第にきつくなる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少させ、軌道に沿った前記凹部の曲がりが次第に緩くなる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加させることとしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加において、前記ジェッティングヘッドの移動速度を遅くし、前記単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少において、前記ジェッティングヘッドの前記移動速度を速くしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加において、前記ジェッティングヘッドの単位時間当たりの液滴の吐出回数を多くし、前記単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少において、前記ジェッティングヘッドの単位時間当たりの液滴の前記吐出回数を少なくしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が、前記ジェッティングヘッドの軌道で塗布される領域に隣り合う領域にも広がった領域である場合において、周期的な軌道で連続的な塗布を行うこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域の中心部を除く、渦状の軌道により塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記渦状の軌道により塗布の後、前記渦状の軌道による塗布で塗装済みの端部の形状に沿った軌道、及び前記塗装対象領域の形状に沿った軌道を含む軌道により更に塗布を行うこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が傾斜面である場合に、前記周期的な軌道を伴う下方から上方に向かう軌道で連続的に塗料を塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗装対象領域は平面であり、前記周期的な軌道は、傾斜面の傾斜方向に垂直方向の成分を有する往復移動であってもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗装対象領域は円錐形状の側面の一部であり、前記周期的な軌道は、前記円錐形状の側面に沿った螺旋状であってもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が傾斜面である場合に、前記傾斜面の傾斜方向に垂直な方向で互いに平行な経路である複数の第1経路について、前記ジェッティングヘッドが、前記傾斜面の下方の前記第1経路から上方の前記第1経路を順次辿る間に第1の塗布を行い、前記第1の塗布の後、隣り合う2つの前記第1経路の間をそれぞれ経路とする複数の第2経路について、前記ジェッティングヘッドが、前記傾斜面の下方の前記第2経路から上方の前記第2経路に向かって順次辿る間に第2の塗布を行うこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記第1経路及び前記第2経路についてそれぞれ連続的な塗布を行う軌道でジェッティングヘッドを動作させることとしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記第1経路及び前記第2経路についてそれぞれ離散的な位置にドット状に塗布するドット状塗布を行う軌道でジェッティングヘッドを動作させることとしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記第2経路における前記離散的な位置は、前記傾斜面の傾斜方向において、前記第1経路における前記離散的な位置と重ならないこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗装対象領域が面状であり、前記塗布制御部は、前記ジェッティングヘッドを縦位置をずらしながら横方向に往復させ、往路復路のそれぞれの開始から少なくとも前記往路復路の長さの4分の1を除いて塗布してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記往路復路の隣接する塗布の軌道は縦方向で一部重なっていることとしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域の縁部に対して局所的に2回目の塗布を行うこととしてもよい。
また、本開示の塗装装置においては、前記塗布制御部は、3次元形状データと前記3次元形状データに係る塗装対象領域指定データとを入力とし、前記ジェッティングヘッドの前記ワークに対する動作経路と前記動作経路における塗料の吐出制御のデータである軌道データを出力する軌道データ生成部を有してもよい。
また、本開示の塗装装置においては、塗料に吐出圧力を加えるポンプをさらに備え、前記ジェッティングヘッドは、振動することにより塗料を吐出させる圧電素子を有してもよい。
本開示の塗装方法は、塗料を液滴で吐出するジェッティングヘッドを塗装対象物であるワークに対して移動させ、前記ワークに塗料を塗布することにより、前記ワークの塗装対象領域を塗装する塗装方法である。
本発明によれば、塗装対象領域に対してより正確かつ高速に塗料の塗布を行うことができ、高品質な塗装が可能となる。
本開示に係る塗装装置を概略的に示す斜視図である。 ジェッティングヘッドの構成及び動作の例を概略的に示す図である。 塗布制御部の機能ブロックの構成を示す図である。 塗装装置により塗布が行われるワークについて示す図である。 図4のワークのような線状の凹部への塗布について説明するための図である。 図4のワークのような線状の凹部への塗布について説明するための図である。 図4のワークに塗料を塗布する際のジェッティングヘッドの軌道の例を示す図である。 塗装装置により塗布が行われるワークについて示す図である。 塗料の溢れや垂れの例について示す図である。 図6のワークに塗料を塗布する際のジェッティングヘッドの軌道の例を示す図である。 塗料を塗布した時の時間変化を示す模式図である。 交差部分である図10のXI-XI断面が模式的に示されている。 傾斜面で形成される線状の凹部に塗布された塗料の濡れ広がりの様子を、凹部の模式的な断面により説明するための図である。 傾斜面が塗装対象領域であるワークへの塗装について説明するための図である。 円錐台の形状の側面が塗装対象領域であるワークへの塗装について説明するための図である。 平板に掘られた凹部で画定される平面が塗装対象領域であるワークへの塗装について説明するための図である。 塗り残しである四隅の一つへの塗装について説明するための図である。 傾斜面が塗装対象領域であるワークへの塗装について説明するための図である。 傾斜面が塗装対象領域であるワークへの塗装について説明するための図である。 凹部を塗装対象領域とするワークへの塗装について説明するための図である。 ワークの斜視図である。 ワークの平面図と、平面図に記載されたA-A’線、B-B線’、及びC-C’線でのそれぞれの断面図である。 ワークの塗装対象領域を額縁塗布した後に内側を往復塗布する場合の軌道を示す図である。 図23の軌道で塗布を行った場合の溢れや垂れの例について示す断面図である。 図21及び22に示されたワークに塗料を塗布する際の軌道の例を示す図である。 図25の軌道で塗布を行った場合の塗膜の変化の概略について示す図である。 塗布制御部の機能ブロックの他の例の構成を示す図である。 軌道データ生成部の機能について説明するための概略図である。
以下、本開示の塗装装置について、図面を参照して説明する。説明において同様の要素には同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。ここで、「塗装」は、最終的に塗料で覆うことを意味する。また、「塗装」は、均一性、光沢性、気泡や溜りが無いことなど美的外観を有していることが望ましい。「塗布」は、液滴を吐出することを意味する。「塗装対象領域」は、最終的に塗料で覆われるべき領域を意味し、液滴を吐出(塗布)する領域とは異なる意味で用いられる。
塗装における塗膜は、密着力や耐久力など様々で、塗膜の性能は、塗料の組成や乾燥条件に由来する部分もあるが、外観不良の場合により塗膜機能は著しく低下する傾向にある。例えば、膜厚が厚すぎると割れや剥離が起こりやすく、また、内部の乾きが遅く、表面が先に乾燥して皺になりやすい(内部未硬化で膨潤)。また、薄すぎると耐久性保護機能が低下することとなる。割れ、気泡、ゴミ、ブツ、濃淡も耐久性を著しい性能低下を誘発する。また、仕上がりが悪い場合には、製品として認められない等の不利益が生じることもある。そのため、塗装における塗膜において、外観は非常に重要な要素となっている。
図1は、本開示に係る塗装装置100を概略的に示す斜視図でる。この図に示されるように、塗装装置100は、塗料の液滴を下向きに吐出させるジェッティングヘッド200と、ジェッティングヘッド200を塗装対象物であるワークWに対して3次元空間の任意の位置に移動させることができる移動機構101と、移動機構101の動作を制御するとともにジェッティングヘッド200の液滴の吐出を制御する不図示の塗布制御部110とを有している。
移動機構101は、ジェッティングヘッド200を保持しかつZ方向に移動するスライダ102と、スライダ102を保持しかつY方向に移動するスライダ103と、ワークWを固定しかつX方向に移動するステージ104とを有している。スライダ102、スライダ103およびステージ104は、不図示のモータおよび伝達機構等からなる駆動機構によりそれぞれ駆動され、各モータは上記の塗布制御部110によって制御される。なお、移動機構101として上記の構成を採用しているが、これに限定されるわけではなく、例えば、多関節ロボットその他のロボットを採用することも可能である。
移動機構101は、ジェッティングヘッド200を、ワークWに対して、ジェッティングヘッド200の吐出方向に垂直なXY平面で移動させると共に、ジェッティングヘッド200の吐出方向であるZ方向に移動させる。
図2は、ジェッティングヘッド200の構成及び動作の例を概略的に示す図である。この図に示されるように、ジェッティングヘッド200は、圧電素子を有するピエゾアクチュエータ201と、ピエゾアクチュエータ201の一端に接続具を介して接続され、ピエゾアクチュエータ201の伸縮に合わせて移動するタペット202と、塗料203の吐出口205を有し、タペット202と協働して塗料203のバルブとして作用するノズル204とを有している。ここで、吐出口205の口径は、30~600μmとすることができる。
この図に示されるように、塗料203は、所定の空気圧をかけてノズル204に供給されていてもよい。この場合には、塗料203に吐出圧力(空気圧)を加えるポンプ(不図示)を更に備えることができる。また、ピエゾアクチュエータ201は、後述する塗布制御部110の指示に基づいてZ方向に伸縮させられる。
図2のステップS11において、ジェッティングヘッド200のピエゾアクチュエータ201は縮んでいる状態であり、タペット202は、ノズル204の吐出口205から離れた位置に配置され、塗料203のバルブは開状態となる。ステップS12において、ジェッティングヘッド200のピエゾアクチュエータ201が伸びた状態になると、タペット202は、ノズル204の吐出口205に接触し、塗料203のバルブは閉状態となる。ステップS12において、ステップS11でタペット202の先端から吐出口205の間に蓄えられた塗料203が、タペット202と空気圧により押し出されることにより吐出される。ピエゾアクチュエータ201を継続して伸縮(振動)させることにより、この動作を繰り返し、塗料203の塗布を行うことができる。ピエゾアクチュエータ201の振動数(周波数)は可変であり、任意に設定することができる。ピエゾアクチュエータ201の周波数に応じた頻度で塗料203の液滴がノズル204から吐出される。なお、ジェッティングヘッド200の構成は、この例に限られず、空気圧を利用しないものであってもよい。
図3は、塗布制御部110の機能ブロックの構成を示す図である。塗布制御部110のハードウェア構成は、主に半導体回路素子を用いた電子回路で構成された、いわゆる情報処理装置とすることができる。例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶部、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性記憶部、通信ネットワークに接続するための通信接続部や表示装置その他を有していてもよい。ここで塗布制御部110は、一つの筐体に収められるものであってもよいし、複数の筐体に収められ、互いに通信ネットワークを介して通信接続されるものであってもよい。
塗布制御部110は、移動機構101の動作を制御すると共に、ジェッティングヘッドの液滴の吐出を制御する。ここで、ワークの表面の一部を塗装対象領域として塗布するように制御することができる。具体的には、この図に示されるように、塗布制御部110は、移動機構101の動作を制御する指示、及びジェッティングヘッド200の液滴の吐出を制御する指示を含む塗布制御プログラムが保存された記憶媒体である塗布制御プログラム保存部113を有すると共に、塗布制御プログラムを実行するものとすることができる。塗布制御プログラムは、ワークの表面の一部を塗装対象領域として塗装を行うプログラムとすることができる。
図4は、塗装装置100により塗布が行われる被塗装物の例であるワーク310について示す図である。この図に示されるように、ワーク310は、樹脂材料の平面に「TAKUBO」の文字が凹部(浅い溝)で形成されており、この凹部を塗装対象領域311としている。ここで、ジェッティングヘッド200は、文字の線幅を一度で塗布できるように液滴の大きさ及びジェッティングヘッド200とワーク310の相対速度及び距離が調整されているものとする。なお、被塗装物は、樹脂に限られず、金属や木材その他の材料とすることができる。
図5及び6は、図4のワーク310に形成されるような線状の凹部401への塗布について説明するための図である。図5は、凹部401の一部を例示的に示す斜視図であり、図6は、凹部401に塗布された塗料203の濡れ広がりの様子を模式的な断面により説明するための図である。図5に示されるように、凹部401が塗装対象領域410である場合の塗料203の塗布では、原則としてジェッティングヘッド200の軌道Z1は、凹部401の中心を通る。図6(a)に示されるように、塗料203が中心に塗布されると(ステップS411)、塗料203は壁側に濡れ広がり、塗装対象領域410を覆う塗装面を形成する。
ここで、凹部401で形成される線幅やジェッティングヘッド200の特性により、線幅を一度で塗布できない場合がある。例えば、図6(b)に示されるように、より幅の広い凹部402である場合には、塗料203が中心に塗布されると(ステップS421)、塗料203は壁側に濡れ広がるが、塗料203の不足により、中央部分の塗料203が薄くなりすぎて、十分な塗装面を形成できない場合がある(ステップS422)。このような場合には、例えば同じ軌道Z1で2回目の塗布を行うことで(ステップS423)、十分な塗装面を形成することができる(ステップS424)。
後述する各例においては、文字の線幅を一度で塗布できるように液滴の大きさ及びジェッティングヘッド200とワーク310の相対速度及び距離が調整されているものとしているが、文字の線幅を一度で塗布できない場合であっても、図6(b)のような複数回の塗布を適用することにより、塗装を行うこととしてもよい。
図7は、図4のワーク310に塗料203を塗布する際のジェッティングヘッド200の軌道A1~A10の例を示す図である。ワーク310は、ステージ104に固定され、移動機構101とピエゾアクチュエータ201は、塗布制御部110からの指示に従って、ワーク310の塗装対象領域311を塗装する。図7において、破線の矢印で示されているのは、ジェッティングヘッド200が液滴を吐出しながら順に辿る、軌道A1~A10である。ここで「軌道」は、ジェッティングヘッド200が、塗料203を吐出しながら移動する経路を意味し、塗料203を吐出せずに移動する経路は含まれない。
図7に示されるように、軌道A1~A10は、原則として文字を描くように文字の線を辿る。しかしながら、例えば、「A」の文字の中央の横線や「B」の文字の中央の横線の領域313に示されるように、ジェッティングヘッド200が液滴を吐出しない領域がある。「A」及び「B」の文字において領域313以外の部分を領域312とする。文字「B」の領域313は、領域312と比較して面積が小さく、領域312から伸びる細長い領域である。このように、塗装対象領域311が、第1領域(領域312)と比較して面積が小さく、第1領域から細長く伸びる第2領域(領域313)がある場合に、塗布制御部110は、第2領域(領域313)を除いて軌道A9のように塗布を行うことができる。この場合、領域313は、塗料203が塗布されていないことから、ワーク310と塗料203の濡れ性や、塗料203の表面張力等に基づいて、塗布された塗料203の一部が移動して(広がって)、領域313に塗料203の塗膜が形成され、領域313も領域312と同様に塗装される。
また、図7の「A」の文字においても、「A」の文字の横線は、第1領域(領域312)と比較して面積が小さく、第1領域から細長く伸びる第2領域(領域313)であることから、第2領域(領域313)を塗布しない領域とすることができる。この場合において、まず、「A」の文字の外側の上に凸の形状を軌道A3により、塗料203を塗布した後、第2領域(領域313)に塗料203が広がりやすいように、第1領域(領域312)と第2領域(領域313)との接続部を第1領域(領域312)から第2領域(領域313)に向かう短い軌道A4により塗布することとしてもよい。軌道A4の長さは、細長く伸びる第2領域(領域313)の幅以下とすることができる。
このように塗布制御部110は、塗装対象領域311の一部(領域313)を除いた軌道A1~A10で塗布の指示を行う。このような軌道A1~A10を辿って塗布を行う塗布制御部110とすることにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。このように、塗装装置100は、塗装対象領域の形状に応じて、一部を除いて塗料の塗布を行うことができ、吐出を行わない領域は、ワーク310の材料並びに表面加工状態、及び塗料203の粘度並びに表面張力からくる塗料203の流動性等に基づいて決定することができる。
また、図7の曲線状の塗装対象領域311である曲線部315では、この曲線に沿ったジェッティングヘッド200の軌道で塗布を行う場合に、軌道の単位長さにおける塗料203の塗布量を減じて塗布することができる。つまり、塗布制御部110は、軌道に沿った凹部の曲がりが次第にきつくなる場合、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少させて塗布を行うことができる。また逆に、軌道に沿った凹部の曲がりが次第に緩くなる場合、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加させて、塗布を行うことができる。このように制御することにより、塗料203が溜まりやすい凹部の曲がりの部分において、塗料203の溜りを抑制することができる。
塗布制御部110は、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加において、ジェッティングヘッド200の移動速度を遅くし、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少においては、ジェッティングヘッド200の移動速度を速くすることとしてもよい。また、塗布制御部110は、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加では、ジェッティングヘッド200の単位時間当たりの液滴の吐出回数を多くし、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少では、ジェッティングヘッド200の単位時間当たりの液滴の吐出回数を少なくすることとしてもよい。ここで、単位時間当たりの液滴の吐出回数は、例えば図2のジェッティングヘッド200においては、ピエゾアクチュエータ201の振動数に対応する。この例のように、塗布制御部110は、軌道に沿った凹部の形状変化により、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を制御することにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。
図7の例においては、塗装対象領域311に塗料203を塗布する際に、塗装対象領域311に塗料203が塗布されない非塗布領域を部分的に形成しながら塗料を塗布する。塗装対象領域311に塗布された塗料203の一部が時間の経過とともに非塗布領域(領域313)を覆うことにより、非塗布領域に塗膜を形成する。その結果、当該非塗布領域を含む塗装対象領域311の全域を覆う高品質な塗膜を形成することができる。また、曲線部315の塗装対象領域311に沿った軌道でジェッティングヘッド200を制御する場合には、軌道の単位長さ当たりの塗布量を減じて塗布することができる。塗布量を減じて塗布することにより、塗装対象領域311を塗料203の溜りなく高品質な塗膜を形成することができる。
図8は、塗装装置100により塗布が行われる被塗装物の別の例であるワーク320について示す図である。この図に示されるように、ワーク320は、図4と同様に、樹脂材料の平面に「TAKUBO」の文字が凹部で形成されており、この凹部を塗装対象領域321としている。図8の例では、文字の上方に向かうにつれ次第に高さが増加する傾斜面に「TAKUBO」の文字が形成されている。ここで、ジェッティングヘッド200は、図4の場合と同様に、文字の線幅を一度で塗布できるように液滴の大きさ及びジェッティングヘッド200とワーク320の相対速度が調整されているものとする。なお、被塗装物であるワーク320は、樹脂に限られず、金属や木材その他の材料とすることができる。図8の例では、傾斜した平面としたが、湾曲面や複数の角度の異なる平面からなるものであってもよい。
ここで、図8のワーク320における、例えば文字「T」の縦線について、図7の軌道A2で塗布を行った場合には、図9(a)に示されるような塗料203の溢れや、図9(b)に示されるような塗料203の垂れが生じてしまうことがある。
図10は、図8のワーク320に塗料203を塗布する際のジェッティングヘッド200の軌道B1~B10の例を示す図である。ワーク320は、図7の場合と同様に、塗装装置100が、塗布制御部110の指示に従って動作することにより、塗装対象領域321が塗装される。図10において、軌道B1~B10は、ジェッティングヘッド200が液滴を吐出しながら辿る順に破線の矢印で示されている。
図7の例と同様に、軌道B1~B10は、原則として文字を描くように文字の線を辿る。しかしながら、この例では、塗布制御部110は、塗装対象領域321のうち傾斜方向で最も低い領域323及び325を除いて塗布の指示を行うことができる。また、最も低い領域323又は325の傾斜方向長さLは、ジェッティングヘッド200が一方向に移動しながら水平面を一度に塗装する幅Wより大きくすることができる。ここで幅Wは、1つの液滴により塗装される直径の意味であってもよい。例えば、この例のように、文字の線幅を一度で塗布できるように調整されたジェッティングヘッド200の場合において、少なくとも文字の線の幅Wを最も低い領域323の傾斜方向長さLとすることができる。最も低い領域323の傾斜方向長さLは、ワーク320の材料、表面加工状態並びに傾斜角度、及び塗料203の粘度並びに表面張力からくる塗料203の流動性等に基づいて決定することができる。
また、塗布制御部110は、塗装対象領域321が傾斜面の傾斜方向に延びる線状の凹部で画定される場合、塗布制御部110は、塗装対象領域をジェッティングヘッド200を下から上に移動させる軌道で塗布することができる。例えば、「T」の文字の縦の線においては、下端部から線幅の長さW以上である最も低い領域323を除いた領域322に塗料203の吐出を行う軌道B1とすることができる。また、他の文字についても同様であり、例えば最も下の位置に横線を有する「K」や「B」についても、それぞれ最も低い領域323を除いた領域322に塗料203を吐出させる軌道B6や軌道B9とすることができる。この場合において、塗布しない領域(最も低い領域323)は、縦方向に線幅の長さ分の領域を有している。
図11は、最も低い領域323を除いた領域322に塗料203を塗布した時の時間変化を示す模式図である。この図に示されるように、ステップS21において、領域322に塗料203が塗布されると、塗布された塗料203の一部は、次第に傾斜方向下側に移動し(ステップS22)、塗装対象領域321全体を所望の膜厚の塗膜で覆うことができる(ステップS23)。ここで、塗装対象領域321の傾斜面の最も低い領域323の端部の膜厚が不足している場合がある。このため、ステップS23に示されるように、塗布制御部110は、最も低い領域323を除いた塗布の後、塗装対象領域321の最も低い端部に対して、2回目の塗布を行わせることができる(ステップS24)。このステップS24の塗布は行われなくてもよいし、膜厚の不足等を確認することなく、行うこととしてもよい。
また、図10の文字「T」の縦の線は、塗装対象領域321が傾斜面の傾斜方向に伸びていることから、軌道B1は、塗装対象領域をジェッティングヘッド200を下から上に移動させる軌道とすることができる。傾斜面において、もし上から下へ塗布した場合には、上の塗料203が下の塗料203と一緒になって液滴が大きくなり垂れやすくなる傾向にあり、結果として上側の塗料203が薄く、下側の塗料203は溜りや垂れとなり、塗装不良となってしまう恐れがある。下から上へ塗布することにより、塗装対象領域321における塗料203の溜りや垂れを抑制することができる。これにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。
また、塗布制御部110は、縦線や横線だけでなく、「U」や「O」の曲線の最も低い領域325についても、この最も低い領域325を除いた塗布を行うことができる。この場合「U」や「O」の最も低い領域325は、最下点において横方向に伸びているため、塗布しない領域は、縦方向に線幅の長さW分の領域を有することとなる。また「U」の文字については、傾斜面の傾斜方向に伸びる塗装対象領域321を有しているため、それぞれジェッティングヘッド200を下から上に移動させる軌道B7及びB8で塗料203を塗布することができる。「O」の文字については、最も低い領域325を除いて一回の軌道B10で塗布することとしてもよい。これにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。
また、図10の文字「K」は、軌道B5と軌道B6により塗料が塗布される。ここで軌道B5の途中と軌道B6の途中には、軌道B5と軌道B6により塗布された塗料203が一体化される領域(交差部分326)がある。ここで「交差部分」は、異なる塗布の軌道で塗料が、少なくとも一方の軌道の途中で一体となって塗装される部分を意味する。図12には、交差部分326である図10のXII-XII断面が模式的に示されている。この図に示されるように、交差部分326においては、特に側壁に流れやすい塗料203の場合において、塗料203が不足する恐れがある。このため、交差部分326がある塗装対象領域においては、ジェッティングヘッド200による軌道B5及び軌道B6の塗布の後、交差部分326に対して追加の塗布を行うこととしてもよい。つまり、このような線状の凹部で画定される塗装対象領域321の塗装において、ジェッティングヘッド200による塗布の異なる軌道B5及びB6の塗料が、少なくとも一方の軌道B5又はB6の途中で一体となって塗装される交差部分326がある場合に、塗布制御部110は、異なる塗布の軌道B5及びB6に対して塗布を行った後、交差部分326に対して追加の塗布を行うことができる。これにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。なお、ここでの交差部分326の塗布は、図7の文字「K」における塗布に用いることとしてもよい。
なお、ここに示される各例においても、文字の線幅が一度で塗布できない幅である場合には、ジェッティングヘッド200を、図6(b)も用いて説明したような、複数回の軌道で動作させることにより、塗布を行うことができる。また、図7に記載された例と同様に、「A」の文字の中央の横線や「B」の文字の中央の横線では、第1領域(領域322)と比較して面積が小さく、第1領域から細長く伸びる第2領域(領域313)がある場合には、塗布制御部110は、第2領域(領域313)を除いた軌道(例えば軌道B3やB9)で塗布を行うことができる。また、図7に記載された例の曲線部315での塗布と同様に、図10の曲線部においても、軌道の単位長さにおける塗料203の塗布量を減じて塗布することができる。つまり、塗布制御部110は、図7における場合と同様に、軌道に沿った凹部の曲がりが次第にきつくなる場合、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少させて塗布を行うことができる。また逆に、軌道に沿った凹部の曲がりが次第に緩くなる場合、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加させて、塗布を行うことができる。このように制御することにより、塗料203が溜まりやすい凹部の曲がりの部分において、塗料203の溜りを抑制することができる。
図13は、傾斜面で形成される線状の凹部403に塗布された塗料の濡れ広がりの様子を、凹部403の模式的な断面により説明するための図である。図13(a)に示されるように、塗装対象領域420を画定する線状の凹部403の底面は傾斜面であり、凹部403は、傾斜面の傾斜方向に対して垂直方向(横方向)の成分を有して線状に伸びている。この場合に、塗布制御部110は、ジェッティングヘッド200の軌道を、凹部403の傾斜面上側の壁に沿った軌道で塗料203を塗布すると(ステップS431)、塗料203は下方側の壁側に濡れ広がり、塗装対象領域420を覆う塗装面を形成する。ここで「傾斜面上側の壁に沿った軌道」とは塗布時に凹部403に塗布された塗料203の液滴の端が傾斜面上側の壁面に触れる程度以上の近さの軌道であることを意味する。例えば、図10の文字「B」において、軌道B9が領域313の入り口において折り返す位置の軌道等は、領域313の上側の壁面に沿った軌道とすることができる。これにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。
また、凹部403で形成される文字の太さやジェッティングヘッド200の特性により、文字の線幅を一度で塗布できるように液滴の大きさ及びジェッティングヘッド200とワーク310の相対速度が調整できない場合がある。例えば、図13(b)に示されるように、より幅が広い凹部404の場合には、傾斜面上方の壁に沿った軌道で塗料203が塗布されると(ステップS441)、塗料203は下方に向けて濡れ広がるが、塗料203の不足により、下方側の壁側まで十分な塗装面を形成できないこととなる(ステップS442)。このような場合には、ステップ441における塗布の後、例えば凹部404の中心線又は中心線よりも下方側にずらした軌道で2回目の塗布を行うことで(ステップS443)、十分な塗装面を形成することができる(ステップS444)。これにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。
図10の例においては、文字の線幅を一度で塗布できるように液滴の大きさ及びジェッティングヘッド200とワーク320の相対速度及び距離が調整されているものとしているが、図13(b)のような複数回の塗布とすることにより、文字の線幅を一度で塗布できない場合にも適用することができる。
このように図10の例においては、塗布制御部110は、塗装対象領域321の一部を除いた軌道B1~B10で塗布の指示を行う。このような軌道B1~B10を辿って塗布を行う塗布制御部110とすることにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。
このように、塗装装置100は、塗装対象領域の形状に応じて、塗装対象領域の一部について、液滴の吐出を行わないものとすることができる。吐出を行わない領域は、ワーク320の材料、表面加工並びに傾斜角度、及び塗料203の粘度、表面張力からくる塗料203の流動性等に基づいて決定することができる。
図14は、傾斜面511が塗装対象領域であるワーク510への塗装について説明するための図である。この図に示されるように、ワーク510は、傾斜の下方部と側方部を凸状の縁部で囲われた、広がった塗装対象領域の傾斜面511を有しており、傾斜面511を塗装対象領域としている。ここで、「広がった塗装対象領域」とは、例えば、塗装対象領域が、ジェッティングヘッド200の軌道で塗布される領域に隣り合う領域にも広がっていることを意味するものとすることができる。この例においては、傾斜面511は、下方部と側方部を凸状の縁部に囲われたものとしているが、縁部は形成されていなくてもよい。
この図に示されるように、塗布制御部110は、周期的な軌道D1で連続的な塗布を行うものとすることができ、周期的な軌道を伴う下方から上方に向かう軌道D1で連続的に塗料を塗布することができる。具体的には、傾斜面511の傾斜方向に垂直な線(横方向の線)で塗料203の塗布を行いつつ、下方から上方に向かって往復移動する軌道D1により塗布を行うことができる。この例では、軌道D1は、傾斜面511の傾斜方向に垂直な線(横方向の線)を辿る軌道としているが、軌道D1は、横方向の成分を有していれば、傾斜方向の成分を有していてもよい。ここで「周期的」とは、特定の座標系において往復や周回の軌道となっていることを意味し、周期は一定でなくてもよい。
このような軌道D1とすることにより、下方の横方向の塗料203で上方の横方向の塗料203の液垂れを止めることができると共に、下方の横方向の塗料203の乾燥が上方の横方向の塗料203よりも早いため、下方の横方向の塗料203が上方の横方向の塗料203の液垂れにより一体化しても、より大きな液滴となって更に下方に垂れる連鎖を抑制することができる。つまり、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。
図15は、円錐台の形状の側面521が塗装対象領域であるワーク520への塗装について説明するための図である。この図に示されるように、ワーク520の側面521は、傾斜面であり、広がった塗装対象領域となっている。この図に示されるように、塗布制御部110は、図14の例と同様に、周期的な軌道H1で連続的な塗布を行うことができ、また、周期的な軌道を伴う下方から上方に向かう軌道H1で連続的に塗料203を塗布することができる。より具体的には、塗布制御部110は、ジェッティングヘッド200の軌道を、側面521の下方の周囲を回りながら上方に向かう、円錐形状の側面521に沿った螺旋状の周期的な軌道H1とすることができる。
このような軌道H1とすることにより、下方の周回の塗料203で上方の周回の塗料203の液垂れを止めることができると共に、下方の周回の塗料203の乾燥が上方の周回の塗料203よりも早いため、下方の周回の塗料203が上方の周回の塗料203の液垂れにより一体化しても、より大きな液滴となって更に下方に垂れる連鎖を抑制することができる。つまり、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。
図16は、平板に掘られた凹部で画定される平面531が塗装対象領域であるワーク530への塗装について説明するための図である。この図に示されるように、ワーク530に形成された平面531は、広がった塗装対象領域となっている。この図に示されるように、具体的には、ジェッティングヘッド200の軌道を、この平面531の中心を含む中心部530を除いて、中心部530の周囲を渦状に、周回毎に外側に広がる周期的な軌道J1とすることができる。中心部530の一辺の長さ又は直径は、隣り合う渦状の軌道J1の距離の2倍以上とすることができる。ここで平面531の中心は、平面531の重心とすることができる。
つまり、塗布制御部110は、周期的な軌道J1で連続的な塗布を行うことができ、また、塗装対象領域の中心部532を除く、渦状の軌道J1により塗布することができる。中心部532は、軌道J1で塗布された塗料203の濡れ広がりにより均一に塗装されることができる。このような軌道J1とすることにより、効率的に塗料203を塗布することができると共に、濡れ広がりを利用して、中心部530から均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。
ここで、平面531の四隅533が傾斜で高くなっている場合や広がっている場合には、軌道I1だけでは塗り残しが発生する場合がある。図17は、塗り残しである四隅533の一つへの塗装について説明するための図である。この図に示されるように、塗布制御部110は、渦状の軌道J1による塗布で、塗装対象領域を塗り切れない部分がある場合には、渦状の軌道J1により塗布の後、渦状の軌道J1による塗布で塗装済みの端部の形状に沿った軌道J2、及び塗装対象領域の形状に沿った軌道J5を含む軌道J2~J5により塗布を行うことができる。これにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。
図18は、図14と同様に、傾斜面511が塗装対象領域であるワーク510への塗装の他の例について説明するための図である。図18の例においては、塗布制御部110は、横方向の軌道で下方から上方に向かう軌道E11~E1m(破線、第1経路、mは2以上の整数)による塗布を順に行った後、横方向の軌道で下方から上方に向かう軌道E21~E2n(一点鎖線、第2経路、nは2以上の整数)による塗布を順に行う。ここで、軌道E11~E1m及び軌道E21~E2nはそれぞれ平行な軌道であり、軌道E21~E2nは、隣合う2つの軌道E11~E1mの間に配置される。ここで、nの値がmと同じ場合には、軌道E2nは軌道E1mの上方に配置される。
すべての軌道E11~E1m及びE21~E2nの間隔は、等間隔でもよいし、等間隔でなくてもよい。また、軌道E11~E1mにおける軌道の単位長さにおける塗料203の塗布量を、軌道E21~E2nにおける軌道の単位長さにおける塗料203の塗布量より多くしてもよい。また、軌道E11~E1mにおける軌道の単位長さにおける塗料203の塗布量を、軌道E21~E2nにおける軌道の単位長さにおける塗料203の塗布量より少なくしてもよい。ここで、軌道E11~E1m及びE21~E2nの単位長さあたりの塗料203の量を変更する場合には、例えば塗布量を少なくする場合には、ジェッティングヘッド200をより速い速度で移動させてもよいし、ピエゾアクチュエータ201の振動数を小さくしてもよいし、ジェッティングヘッド200の、一度に吐出される液滴の量を減少させてもよい。また、図18では、軌道E11~E1mは傾斜面に向かって左から右方向、軌道E21~E2nは傾斜面に向かって右から左方向としたが、逆の軌道であってもよいし、すべて同じ方向の軌道であってもよく、方向についてはいずれの方向で軌道を辿ることとしてもよい。
つまり、塗布制御部110は、傾斜面511を塗装対象領域とする場合に、傾斜面511の傾斜方向に垂直な方向で互いに平行な複数の第1経路(軌道E11~E1m)について、ジェッティングヘッド200は、傾斜面511の下方の第1経路(軌道E11)から上方の第1経路(軌道E1m)を順次辿る間に第1の塗布を行う。第1の塗布の後、第1の塗布における隣り合う2つの第1経路(例えば軌道E11及びE12)の間をそれぞれ経路(例えば軌道E21)とする複数の第2経路(軌道E21~E2n)について、ジェッティングヘッド200は、傾斜面511の下方の第2の経路E21から上方の第2の経路E2nに向かって順次辿る間に第2の塗布を行う。ここで、塗布制御部110は、第1経路(軌道E11~E1m)及び第2経路(軌道E21~E2n)についてそれぞれ連続的な塗布を行う軌道でジェッティングヘッド200を動作させることができる。
このような横方向の軌道で下方から上方に向かう軌道E11~E1m及び軌道E21~E2nとすることにより、図14の例と同様に、下方の横方向の塗料203で上方の横方向の塗料203の液垂れを止めることができると共に、下方の横方向の塗料203の乾燥が上方の横方向の塗料203よりも早いため、下方の横方向の塗料203が上方の横方向の塗料203の液垂れにより一体化しても、より大きな液滴となって更に下方に垂れる連鎖を抑制することができる。
また、軌道E11~E1mによる塗布を行った後、軌道E11~E1mの間に塗布するような、軌道E21~E2nで塗布することにより、軌道E11~E1mで塗布された塗料203の乾燥を軌道E21~E2nで塗布された塗料203よりも早く進めることができる。これにより、下方の横方向の塗料203が上方の横方向の塗料203の液垂れにより一体化しても大きな液滴となる連鎖を抑制することができると共に、下方で先に乾燥が進んだ横方向の塗料203が上方の液垂れを抑えることができる。つまり、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。
図19は、傾斜面551が塗装対象領域であるワーク550への塗装について説明するための図である。ワーク550は、広い面積の傾斜面551を有しており、傾斜面551を塗装対象領域としている。この例における塗布では、塗料203をドット状に塗布することを繰り返すことにより、傾斜面551全体の塗装を行う。ドット状の塗布とは、ジェッティングヘッド200を同じ位置で所定時間塗料203の吐出を行う塗布のことをいう。ここで、各ドットの直径は約0.2mm~1.0mmとすることができる。また、各ドット状の塗料の質量は、1/100~1/1000gとすることができる。図19の破線で示される矢印は、塗料203を吐出しないジェッティングヘッド200の移動を示し、塗料203の吐出は、複数の塗布位置F及びGでドット状の塗布として行われる。
この図に示されるように、塗布制御部110は、まず傾斜面の最も下方で傾斜方向に垂直な方向(横方向)の経路F1において複数の離散的な位置にドット状に塗布するドット状塗布Fを行い、順次上方の経路F2、F3、F4・・・Fmの各径路(第1経路)に対してそれぞれ複数の離散的な位置にドット状塗布Fを行う(ステップS51)。次に、ステップS41においてドット状塗布を行った第1経路F1、F2、F3・・・Fmの間をそれぞれ経路とする第2経路G1、G2、G3・・・Gnに対してそれぞれ複数の離散的な位置にドット状塗布Gを行う(ステップS52)。ここで、第2経路の最も上方にある経路Gnは、ステップS51における第1経路の最も上方にある経路Fmよりも上方であってもよいし、下方であってもよい。なお、図において、ドット状塗布F及びドット状塗布Gのハッチングが異なるが、ステップS51での塗布とステップS52での塗布を分かりやすく表示するためであり、塗料203は同じものである。最後に、ドット状の塗料203が隣接するドット状の塗料203と干渉して一体化し、均一化された塗装となる(ステップS53)。
つまり、塗布制御部110は、傾斜面551を塗装対象領域とする場合に、傾斜面551の傾斜方向に垂直な方向で互いに平行な経路である複数の第1経路F1、F2・・・Fnについて、傾斜面551の下方の第1経路F1から上方の第1経路Fnを順次辿る間に第1の塗布を行う。第1の塗布の後、第1の塗布における隣り合う2つの第1経路(例えば第1経路F1及びF2)の間をそれぞれ経路(例えば経路G1)とする複数の第2の経路G1~Gmについて、傾斜面551の下方の第2の経路G1から上方の第2の経路Gmに向かって順次辿る間に第2の塗布を行う。ここで、塗布制御部110は、第1経路F1~Fn及び第2経路G1~Gmについてそれぞれ離散的な位置にドット状に塗布するドット状塗布を行う軌道でジェッティングヘッド200を動作させることができる。また、第2経路G1~Gmにおける離散的な位置は、傾斜面551の傾斜方向において、第1経路F1~Fnにおける離散的な位置と重ならないものとすることができる。
このように塗布される塗料203を小さなドット状とすることにより、乾燥が早く進めることができ、乾燥がある程度進んだ段階で隣接するドット状の塗料203と干渉させることができる。またドット状の塗料203の小ささから、隣接するドット状の塗料203と干渉して一体化した場合においても垂れが生じるほどの大きな液滴になることを抑制することができる。図19の例では、このように小さなドット状の塗料203がすぐに干渉しあわない塗布位置で塗布を行うことができる。
図19の例では、図14や18の例と同様に、横方向の経路に関して、下方から上方に向かう順番よる塗布であり、また、先に行った横方向の第1経路F1~Fnの間に、別の横方向の第2経路G1~Gmの塗布を下方から上方に向かって順に行っている。このため、下方で行った塗布の乾燥を上方で行った塗布より早く進めることができるため、下方の横方向の塗料203が上方の横方向の塗料203の液垂れにより一体化しても大きな液滴となる連鎖を抑制することができると共に、下方で先に乾燥が進んだ塗料203が上方の液垂れを抑えることができる。つまり、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。なお、塗布位置の数や各ドットにおける塗料203の吐出量は、傾斜面の面積や傾き、並びに塗料203の性質(粘度等)によって任意に定めることができる。
図20は、凹部561を塗装対象領域とするワーク560への塗装について説明するための図である。この図に示されるように凹部561は、細い線状の溝(線幅W1)から太い線状の溝(線幅W2(W2>W1))に連続的に変化する溝である。このような溝への塗装において、線幅を一回の軌道Jで塗布を行う場合には、塗布制御部110は、軌道Jにおいて軌道単位長さにおける塗料203の塗布量を変化させながら塗布を行うことができる。例えば、塗布制御部110は、軌道Jのうち線幅が比較的広い部分の軌道J2では、線幅が比較的狭い部分の軌道J1よりも、移動速度を遅くすることにより、軌道J2においてより多くの塗料を塗布することができる。また、塗布制御部110は、軌道J2において、軌道J1よりも、ピエゾアクチュエータ201の振動数(周波数)を大きくする(液滴のショット数を多くする)ことによっても、軌道J2においてより多くの塗料を塗布することができる。また、移動速度と振動数の両方を制御することにより、塗布量を制御することとしてもよい。
つまり、軌道Jに沿って凹部561の幅が次第に広がる場合に、ジェッティングヘッド200の移動速度を遅くし、軌道Jに沿って凹部561の幅が次第に狭まる場合に、ジェッティングヘッド200の移動速度を速くすることができる。また、軌道Jに沿って凹部561の幅が次第に広がる場合に、ジェッティングヘッド200の単位時間当たりの液滴の吐出回数を多くし、軌道Jに沿って凹部561の幅が次第に狭まる場合に、ジェッティングヘッド200の単位時間当たりの液滴の吐出回数を少なくすることとしてもよい。このように、塗布制御部110が、凹部561の幅が次第に広がる軌道で軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加させ、凹部561の幅が次第に狭まる軌道で軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少させるな制御を行うことができる。ここで、単位時間当たりの液滴の吐出回数は、例えば図2のジェッティングヘッド200においては、ピエゾアクチュエータ201の振動数に対応する。この例のように、塗布制御部110は、軌道に沿った凹部の形状変化により、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を制御することにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。
図21は、ワーク330の斜視図であり、図22は、ワーク330の平面図と、平面図に記載されたA-A’線、B-B’線、及びC-C’線でのそれぞれの断面図である。これらの図に示されるように、ワーク330は、少し凸状に湾曲した面上に、楕円を4分の1切り取ったような形状の凸部332が形成されている。この凸部332の内側を塗装対象領域331としている。平面図における塗装対象領域331の高さ及び幅は、ジェッティングヘッド200が一度に移動しながら塗装する幅よりも大きいものとなっている。なお、被塗装物であるワーク330は、樹脂に限られず、金属や木材その他の材料とすることができる。
このようなジェッティングヘッド200が液滴を吐出しながら移動して一度に塗装する幅より広い面を塗布する方法としては、外縁を塗布した後、その内側を塗布したり、逆に内側を塗布したのち、外縁を塗布することにより、外縁を精度よく塗布する額縁塗布がある。また、塗布するラインをずらしながらジェッティングヘッド200をワーク330に対して往復させて塗布する往復塗布、更にこの往復方向とは垂直方向にも塗布を行う交差塗布がある。
図23には、ワーク330の塗装対象領域331の外縁を額縁塗布(軌道341)した後に、その内側に往復塗布(軌道342)を行う場合の軌道340が示されている。また、図24(a)及び(b)は、それぞれ図23の軌道340で塗布を行った場合の結果の例について示すワーク330のC-C’断面図である。これらの図に示されるように、額縁塗布や往復塗布の場合には、塗布量の過剰と塗料同士の衝突による液溜り(図24(a))や溢れ(図24(b))を発生される恐れがあると共に、過剰な膜厚を生み、理想的な塗膜を形成することは難しい。交差塗布を用いた場合であっても同様である。
図25は、図21及び22に示されたワーク330に塗料203を塗布する際のジェッティングヘッド200の軌道360の例を示す図である。この図に示されるように、塗装対象領域331は、ジェッティングヘッド200による、塗装対象領域331の外縁の一部について外縁内側を外縁に沿って塗料203を吐出する軌道361と、ジェッティングヘッド200が縦位置をずらしながら横方向に往復しながら、塗料203を吐出する軌道362と、ジェッティングヘッド200を縦位置をずらしながら横方向に往復させ、往路復路のそれぞれの開始から少なくとも往路復路の長さの4分の1を除いて塗料203を吐出する軌道363と、により塗装される。また、塗料203を吐出する軌道363は、往路復路の隣接する塗布の軌道363は縦方向で一部重なっていることが望ましい。
図26は、それぞれ図25の軌道360で塗布を行った場合の塗膜の変化の概略について示す図である。塗装対象領域331に吐出された液滴は、互いに結合して大きな液滴となり(ステップS31)、一様な塗膜となる(ステップS32)。ここで、図11のステップS24と同様に、塗装対象領域331の縁部に対しても、局所的に2回目の塗布を行う塗布制御部110としてもよい。
このように塗布制御部110は、塗装対象領域331の一部を除いた軌道360で塗布の指示を行う。このような軌道360を辿って塗布を行う塗布制御部110とすることにより、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。このように、塗装装置100は、塗装対象領域の形状に応じて、塗装対象領域の一部について、液滴の吐出を行わないものとすることができる。吐出を行わない領域は、ワーク330の材料、表面加工、傾斜角度、塗料203の粘度、表面張力からくる塗料203の流動性等に基づいて決定することができる。
図27は、塗布制御部110の機能ブロックの他の例の構成を示す図である。図3の機能ブロックとは、軌道データ生成部114が加わっている点で異なっている。塗布制御プログラム保存部113は、図3の機能ブロックと同様の機能であるため、重複する説明は省略する。
図28は、軌道データ生成部114の機能について説明するための概略図である。この図に示されるように、軌道データ生成部114は、まず、ワークの3次元計測データ又は3次元CADデータ等の3次元形状データを入力とすると共に、3次元形状データにおける塗装対象領域を指定する塗装対象領域指定データを入力とする。次に、これらのデータに基づいて、ジェッティングヘッド200のワークに対する動作経路と、動作経路における塗料の吐出制御のデータである軌道データを算出して出力し、塗布制御プログラムが利用するプログラムデータの一部として塗布制御プログラム保存部113に保存する。
塗布の軌道を算出においては、塗装対象領域が、第1領域を有し、更に第1領域と比較して面積が小さく、第1領域から細長く伸びる第2領域を有する場合には、第2領域を除いて塗布を行う軌道とすることができる。また、塗装対象領域が傾斜面の傾斜方向に伸びている場合に、塗装対象領域のうち傾斜方向で最も低い領域を除いて塗布を行う軌道とすることができる。また、ジェッティングヘッド200を縦位置をずらしながら横方向に往復させ、往路復路のそれぞれの開始から少なくとも4分の1を除いて塗布を行う軌道とすることができる。また、局所的に2回目の塗布を行う軌道としてもよい。また、算出される軌道は、図7の軌道A1~A10、図10の軌道B1~B10、図14の軌道D1、図15の軌道H1、図16及び17の軌道J1~J5、図18の軌道E11~E1m及び軌道E21~E2n、図19の軌道F及びG並びに図20の軌道Jのうちの少なくとも一つの特徴を有する軌道とすることができる。軌道は、ワークの材料、表面加工並びに傾斜角度、及び塗料203の粘度、並びに表面張力からくる塗料203の流動性等を考慮して決定されることができる。
以上説明したように、上述の実施形態の塗装装置100によれば、塗料203の溜り、溢れ、及びかすれを抑制し、均一な品質の塗膜面を形成することができる。また、マスキングの必要がなく、短いサイクルタイムを実現すると共に、高い塗着効率により、余分な塗料203の消費を抑えることができる。また、上述の実施形態の塗装装置100によれば、塗料203の溢れ、著しい液だまり、液量不足、ひけ、透け、気泡、皺(しわ)、割れ、ゴミ、ブツがなく、壁側への溜りを調整することができるため、塗膜を所定の膜厚として、外観を均一で平滑化することができる。
なお上述の実施形態の記載は一例であり、本発明の思想の範疇において、当業者が想到し得る変更及び修正が含まれる場合についても本発明の範囲に属する。例えば実施形態の構成要素に対して代替可能な構成への変更、構成要素の削除を行ったものについても、本発明の思想の範疇である限り、本発明の範囲に属するものである。
100 塗装装置
101 移動機構
110 塗布制御部
113 塗布制御プログラム保存部
114 軌道データ生成部
200 ジェッティングヘッド
201 ピエゾアクチュエータ
202 タペット
203 塗料
204 ノズル
205 吐出口
315 曲線部
326 交差部分
332 凸部
401、402、403、404、561 凹部
511、551 傾斜面
521 側面
530 中心部
531 平面
533 四隅

Claims (31)

  1. 塗料を液滴で吐出するジェッティングヘッドと、
    前記ジェッティングヘッドを塗装対象物であるワークに対して移動させる移動機構と、
    前記移動機構の動作を制御するとともに前記ジェッティングヘッドの液滴の吐出を制御して前記ワークに塗料を塗布することにより、前記ワークの塗装対象領域を塗装する塗布制御部と、を備える、塗装装置。
  2. 前記塗装対象領域が、第1領域を有し、更に前記第1領域と比較して面積が小さく、前記第1領域から細長く伸びる第2領域を有する場合に、前記塗布制御部は、前記第2領域を除いて塗布する、請求項1に記載の塗装装置。
  3. 前記第1領域に塗料を塗布した後、更に前記第1領域と前記第2領域との接続部を前記第1領域から前記第2領域に向かう短い軌道により塗布し、
    前記短い軌道は、前記第2領域の細長く伸びる幅以下である、請求項2に記載の塗装装置。
  4. 前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が傾斜面である場合に、傾斜方向で最も低い領域を除いて塗布する、請求項1に記載の塗装装置。
  5. 前記最も低い領域の傾斜方向長さは、前記ジェッティングヘッドが一方向に移動しながら水平面を一度に塗装する幅より大きい、請求項4に記載の塗装装置。
  6. 前記塗布制御部は、前記最も低い領域を除いた塗布の後、前記塗装対象領域の最も低い端部に対して、2回目の塗布を行う、請求項4又は5に記載の塗装装置。
  7. 前記塗装対象領域が、傾斜面の傾斜方向に延びる線状の凹部で画定される場合、前記塗布制御部は、前記塗装対象領域を前記ジェッティングヘッドを下から上に移動させる軌道で塗布する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗装装置。
  8. 線状の凹部で画定される前記塗装対象領域の塗装において、前記ジェッティングヘッドの異なる軌道による塗布の塗料が、少なくとも一方の軌道の途中で一体となって塗装される交差部分がある場合に、前記塗布制御部は、前記異なる軌道による塗布を行った後、前記交差部分に対して追加の塗布を行う、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗装装置。
  9. 前記塗装対象領域が、傾斜面の傾斜方向に対して垂直方向の成分を有して線状に延びる凹部で画定される場合に、前記塗布制御部は、前記ジェッティングヘッドの軌道を、前記凹部の傾斜面上側の壁に沿った軌道で塗料を塗布する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗装装置。
  10. 前記塗布制御部は、前記傾斜面上側の壁に沿った軌道での塗布の後、前記凹部の中心線又は前記中心線よりも下方側にずらした軌道で更に塗料を塗布する、請求項9に記載の塗装装置。
  11. 前記塗装対象領域が、線状に延びる凹部で画定される場合、前記塗布制御部は、軌道に沿った前記凹部の形状変化により、軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を制御する、請求項1に記載の塗装装置。
  12. 前記塗布制御部は、軌道に沿った前記凹部の幅が次第に広がる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加させ、軌道に沿った前記凹部の幅が次第に狭まる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少させる、請求項11に記載の塗装装置。
  13. 前記塗布制御部は、軌道に沿った前記凹部の曲がりが次第にきつくなる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少させ、軌道に沿った前記凹部の曲がりが次第に緩くなる場合、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加させる、請求項11に記載の塗装装置。
  14. 前記塗布制御部は、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加において、前記ジェッティングヘッドの移動速度を遅くし、前記単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少において、前記ジェッティングヘッドの前記移動速度を速くする、請求項12又は13に記載の塗装装置。
  15. 前記塗布制御部は、前記軌道単位長さ当たりの液滴の吐出量を増加において、前記ジェッティングヘッドの単位時間当たりの液滴の吐出回数を多くし、前記単位長さ当たりの液滴の吐出量を減少において、前記ジェッティングヘッドの単位時間当たりの液滴の前記吐出回数を少なくする、請求項12又は13に記載の塗装装置。
  16. 前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が、前記ジェッティングヘッドの軌道で塗布される領域に隣り合う領域にも広がった領域である場合において、周期的な軌道で連続的な塗布を行う、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗装装置。
  17. 前記塗布制御部は、前記塗装対象領域の中心部を除く、渦状の軌道により塗布する、請求項16に記載の塗装装置。
  18. 前記塗布制御部は、前記渦状の軌道により塗布の後、前記渦状の軌道による塗布で塗装済みの端部の形状に沿った軌道、及び前記塗装対象領域の形状に沿った軌道を含む軌道により更に塗布を行う、請求項17に記載の塗装装置。
  19. 前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が傾斜面である場合に、前記周期的な軌道を伴う下方から上方に向かう軌道で連続的に塗料を塗布する、請求項16に記載の塗装装置。
  20. 前記塗装対象領域は平面であり、前記周期的な軌道は、傾斜面の傾斜方向に垂直方向の成分を有する往復移動である、請求項19に記載の塗装装置。
  21. 前記塗装対象領域は円錐形状の側面の一部であり、前記周期的な軌道は、前記円錐形状の側面に沿った螺旋状である、請求項19に記載の塗装装置。
  22. 前記塗布制御部は、前記塗装対象領域が傾斜面である場合に、前記傾斜面の傾斜方向に垂直な方向で互いに平行な経路である複数の第1経路について、前記ジェッティングヘッドが、前記傾斜面の下方の前記第1経路から上方の前記第1経路を順次辿る間に第1の塗布を行い、
    前記第1の塗布の後、隣り合う2つの前記第1経路の間をそれぞれ経路とする複数の第2経路について、前記ジェッティングヘッドが、前記傾斜面の下方の前記第2経路から上方の前記第2経路に向かって順次辿る間に第2の塗布を行う、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗装装置。
  23. 前記塗布制御部は、前記第1経路及び前記第2経路についてそれぞれ連続的な塗布を行う軌道で前記ジェッティングヘッドを動作させる、請求項22に記載の塗装装置。
  24. 前記塗布制御部は、前記第1経路及び前記第2経路についてそれぞれ離散的な位置にドット状に塗布するドット状塗布を行う軌道で前記ジェッティングヘッドを動作させる、請求項22に記載の塗装装置。
  25. 前記塗布制御部は、前記第2経路における前記離散的な位置は、前記傾斜面の傾斜方向において、前記第1経路における前記離散的な位置と重ならない、請求項24に記載の塗装装置。
  26. 前記塗装対象領域が面状であり、前記塗布制御部は、前記ジェッティングヘッドを縦位置をずらしながら横方向に往復させ、往路復路のそれぞれの開始から少なくとも前記往路復路の長さの4分の1を除いて塗布する、請求項1に記載の塗装装置。
  27. 前記往路復路の隣接する塗布の軌道は縦方向で一部重なっている、請求項26に記載の塗装装置。
  28. 前記塗布制御部は、前記塗装対象領域の縁部に対して局所的に2回目の塗布を行う、請求項1乃至5、26及び27のいずれか一項に記載の塗装装置。
  29. 前記塗布制御部は、3次元形状データと前記3次元形状データに係る塗装対象領域指定データとを入力とし、前記ジェッティングヘッドの前記ワークに対する動作経路と前記動作経路における塗料の吐出制御のデータである軌道データを出力する軌道データ生成部を有する、請求項1乃至5、26及び27のいずれか一項に記載の塗装装置。
  30. 塗料に吐出圧力を加えるポンプをさらに備え、
    前記ジェッティングヘッドは、振動することにより塗料を吐出させる圧電素子を有する、請求項1乃至5、26及び27のいずれか一項に記載の塗装装置。
  31. 塗料を液滴で吐出するジェッティングヘッドを塗装対象物であるワークに対して移動させ、
    前記ワークに塗料を塗布することにより、前記ワークの塗装対象領域を塗装する、塗装方法。

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