JP2024002614A - エンジン制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレイグニッションの発生を抑制する。【解決手段】電子制御ユニット20は、吸気バルブ14の閉弁前の期間である閉弁前期間、及び同吸気バルブの閉弁後の期間である閉弁後期間の双方に燃料噴射を行う場合、閉弁前期間の燃料の噴射圧を、閉弁後期間の燃料の噴射圧よりも高い圧力とする噴射圧調整処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジン制御装置に関する。
車載等のエンジンでは、高負荷運転時等の筒内温度が高くなったときに、点火プラグ等がホットスポットとなってプレイグニッションが発生することがある。特許文献1に記載のエンジン制御装置では、プレイグニッションの発生が検知された場合に燃料噴射量の増量や点火時期の進角により燃焼速度を速めることで、プレイグニッションを抑えている。
特開2016-130473号公報
エンジンの燃料噴射量や点火時期の通常の制御目標値は、燃費性能や排気性能の点で最適な値が設定されている。そのため、燃料噴射量を増量したり、点火時期を進角したり、すると、エンジンの燃費性能や排気性能が悪化してしまう。
上記課題を解決するエンジン制御装置は、気筒内に燃料を噴射するインジェクタを備えるとともに、圧縮行程の開始後に吸気バルブが閉弁するエンジンを制御する装置である。同エンジン制御装置は、吸気バルブの閉弁前の期間である閉弁前期間、及び同吸気バルブの閉弁後の期間である閉弁後期間の双方に燃料噴射を行う場合、閉弁前期間の燃料の噴射圧を、閉弁後期間の燃料の噴射圧よりも高い圧力とする噴射圧調整処理を行う。
エンジンの気筒の上部には、排気バルブや点火プラグ等の、エンジン運転中にホットスポットになり易い部位が存在する。一方、圧縮行程には、ピストンが気筒内を上昇して、気筒内の吸気を押し上げる。このとき、吸気バルブが開弁していると、気筒内の吸気が吸気ポートに抜けるため、上方に向う気流が気筒内に発生する。こうした気流が発生している期間に燃料を噴射すると、燃料噴霧がその気流に乗って気筒上方に向う。このとき、排気バルブや点火プラグ等が高温となっていると、燃料噴霧がそれらに触れて着火してプレイグニッションが発生する虞がある。すなわち、圧縮行程開始後に吸気バルブが閉弁するエンジンでは、圧縮行程の開始から吸気バルブの閉弁までの期間に気筒内に燃料を噴射すると、プレイグニッションが発生し易くなる。
上記噴射圧調整処理では、吸気バルブの閉弁前の期間の燃料の噴射圧を、閉弁後の期間よりも高めている。噴射圧が高まると、噴射した燃料の噴霧の運動量が大きくなるため、気筒内の気流に噴霧が流され難くなる。よって、上記のようなプレイグニッションの要因となる気流が発生する圧縮行程の開始から吸気バルブの閉弁までの期間に燃料を噴射しても、プレイグニッションが発生し難くなる。したがって、上記エンジン制御装置には、プレイグニッションの発生を抑制する効果がある。
上記エンジン制御装置は、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを判定する判定処理を行い、その判定処理においてプレイグニッションが発生し易い状態にあると判定された場合にのみ、噴射圧調整処理を行うように構成してもよい。また、その場合の判定処理を、エンジントルク及びエンジン水温に基づき、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを判定するように構成してもよい。
上記エンジン制御装置は、インジェクタに供給可能な燃料の圧力の最大値が既定値以上の場合にのみ、噴射圧調整処理を行うように構成してもよい。
上記エンジン制御装置は、圧縮行程開始前の既定の時期よりも早い時期に燃料噴射を開始する場合には、噴射圧調整処理を行わないように構成してもよい。
エンジン制御装置の一実施形態の構成を模式的に示す図である。 同エンジン制御装置が実行する燃料噴射制御ルーチンのフローチャートである。 (A)は吸気バルブの開閉状態を、(B)は必要噴射期間が第1噴射期間よりも長い場合の燃料噴射の実施状況を、(C)はその場合の燃圧の推移を、(D)はその場合の噴霧の運動量の推移を、(E)は必要噴射期間が第3噴射期間よりも長い場合の燃料噴射の実施状況を、(F)はその場合の噴霧の運動量の推移を、それぞれ示すタイムチャートである。
以下、エンジン制御装置の一実施形態を、図1~図3を参照して詳細に説明する。
<エンジン制御装置の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態のエンジン制御装置の構成を説明する。本実施形態のエンジン制御装置が制御の対象とするエンジン10は、車両に搭載されている。また、エンジン10は、水素ガスを燃料とする水素ガスエンジンとして構成されている。
エンジン10は、気筒11を有している。気筒11の内部には、図中上下方向に往復動自在にピストン12が配置されている。そして、気筒11の内部には、燃焼を行う燃焼室13がピストン12により区画形成されている。気筒11の上部には、吸気バルブ14を介して吸気ポート15が接続されている。また、気筒11の上部には、排気バルブ16を介して排気ポート17が接続されている。さらに、気筒11の上部には、気筒11内に水素ガスを噴射するインジェクタ18と、インジェクタ18が噴射した水素ガスを点火する点火プラグ19と、が設置されている。なお、このエンジン10における吸気バルブ14のバルブタイミングは、閉弁時期が圧縮行程の開始後となるように設定されている。
インジェクタ18は、水素ガスを貯留する燃料タンク28に燃圧調整装置29を介して接続されている。燃圧調整装置29は、インジェクタ18に供給する水素ガスの圧力である燃圧PFを調整する装置である。燃圧調整装置29は、燃料タンク28内の水素ガスを減圧せずにインジェクタ18に供給する作動状態と、燃料タンク28内の水素ガスを既定の設定圧PLに減圧してインジェクタ18に供給する作動状態と、を有している。以下の説明では、燃料タンク28内の水素ガスの圧力をタンク内圧PTと記載する。このエンジン10では、タンク内圧PTが、インジェクタ18に供給可能な燃圧PFの最大値となっている。なお、燃料タンク28内の水素ガスの貯蔵量が減少すると、タンク内圧PTが低下するため、インジェクタ18に供給可能な燃圧PFの最大値が小さくなる。また、このエンジン10のインジェクタ18は、燃圧調整装置29から供給される燃圧PFとほぼ等しい圧力で水素ガスを噴射するように構成されている。そのため、本実施形態のエンジン制御装置では、燃圧PFをインジェクタ18の水素ガスの噴射圧として扱っている。
こうしたエンジン10の制御を行う電子制御ユニット20は、演算処理装置21と記憶装置22とを備えている。記憶装置22には、制御に用いるプログラムやデータが記憶されている。演算処理装置21は、記憶装置22から読み込んだプログラムを実行することで、エンジン10の制御に係る各種処理を実施する。本実施形態では、こうした電子制御ユニット20がエンジン制御装置に対応する。
電子制御ユニット20には、クランク角センサ23、エアフローメータ24、水温センサ25、アクセルペダルセンサ26、タンク圧センサ27が接続されている。クランク角センサ23は、エンジン10のクランク軸の回転位相を検出するセンサである。エアフローメータ24は、エンジン10の吸入空気量を検出するセンサである。水温センサ25は、エンジン10の冷却水の温度であるエンジン水温THWを検出するセンサである。アクセルペダルセンサ26は、運転者のアクセルペダル操作量ACCを検出するセンサである。タンク圧センサ27は、燃料タンク28内の水素ガスの圧力であるタンク内圧PTを検出するセンサである。電子制御ユニット20は、クランク角センサ23の検出結果からエンジン10の回転速度であるエンジン回転数NEを求めている。また、電子制御ユニット20は、エアフローメータ24が検出した吸入空気量とエンジン回転数NEとに基づき、エンジン負荷率KLを求めている。エンジン負荷率KLは、燃焼室13の吸気の充填率を表わしている。なお、電子制御ユニット20は、上記以外にも、車両の各部に設置された各種のセンサが接続されている。
<燃料噴射制御>
電子制御ユニット20は、エンジン制御の一環として、インジェクタ18の燃料噴射制御を行う。以下、燃料噴射制御の詳細を説明する。電子制御ユニット20は、インジェクタ18及び燃圧調整装置29の制御を通じて、燃料噴射制御を行っている。
図2に、燃料噴射制御のために電子制御ユニット20が実行する燃料噴射制御ルーチンのフローチャートを示す。エンジン10の運転中に電子制御ユニット20は、同ルーチンを既定の制御周期毎に繰り返し実行する。また、電子制御ユニット20は、図2のステップS160の処理の実施後、今回の制御周期における本ルーチンの処理を終了する。なお、図2に示される各時期の値は、圧縮上死点からのクランク角の進角量を表わしている。よって、値の大きい時期は、値の小さい時期よりも早い時期となる。また、図2及び図3に示される各期間の値は、該当期間におけるクランク軸の回転量を表わしている。
本ルーチンを開始すると、電子制御ユニット20はまずステップS100において、エンジン回転数NE、アクセルペダル操作量ACC等に基づき,要求噴射量QSを演算する。要求噴射量QSは、インジェクタ18の水素ガス噴射量の要求値である。
続いて電子制御ユニット20はステップS110において、要求噴射量QS、エンジン回転数NEに基づき、必要噴射期間TSを演算する。必要噴射期間TSは、要求噴射量QS分の水素ガス噴射に要する時間を、現在のエンジン回転数NEでの同時間におけるクランク軸の回転角で表した値を示している。クランク角は、エンジン10の出力軸であるクランク軸の回転角を表わしている。なお、必要噴射期間TSは、燃圧PFが設定圧PLに等しい値であることを前提に演算されている。
次に、電子制御ユニット20は、ステップS120において、エンジン10の運転がプレイグ運転域で行われているか否かを判定する。プレイグ運転域は、プレイグニッションが発生し易いエンジン10の運転域を表わしている。プレイグニッションは、点火プラグ19や排気バルブ16が高温の場合に発生し易くなる。エンジントルクTEが高いときには、同エンジントルクTEが低いときよりも、気筒11内で多くの燃料が燃焼される。よって、エンジントルクTEが高いときには、同エンジントルクTEが低いときよりもプレイグニッションが発生し易くなる。また、点火プラグ19や排気バルブ16の温度が高くなるときには、エンジン水温THWも高くなる。そのため、エンジン水温THWが高いときには、同エンジン水温THWが低いときよりも、プレイグニッションが発生し易くなる。そのため、本実施形態では、エンジントルクTE、及びエンジン水温THWに基づき、エンジン10の運転がプレイグ運転域で行われているか否かを判定している。本実施形態では、このステップS120の処理が、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを判定する判定処理に対応している。
電子制御ユニット20は、エンジン10の運転がプレイグ運転域で行われていない場合(S130:NO)にはステップS140に処理を進める。そして、電子制御ユニット20はそのステップS140において、噴射終了時期IEよりも必要噴射期間TSの分だけ早い時期を、噴射開始時期ISの値として設定する。本実施形態では、噴射終了時期IEは、圧縮行程終了直前の既定の時期に設定されている。続いて、電子制御ユニット20は、ステップS150において、燃圧PFを設定圧PLに保持することを燃圧調整装置29に指令する。そして、電子制御ユニット20は、ステップS160において、噴射開始時期ISから噴射終了時期IEまでの期間の水素ガス噴射をインジェクタ18に指令する。
これに対して、エンジン10の運転がプレイグ運転域で行われている場合(S130:YES)には、電子制御ユニット20はステップS170に処理を進める。ステップS170において、タンク内圧PTが既定値P0以上であるか否かを判定する。既定値P0には、設定圧PLよりも高い圧力が値として設定されている。そして、電子制御ユニット20は、タンク内圧PTが既定値P0未満の場合(S170:NO)には、上述のステップS140~S160の処理を実施する。
一方、タンク内圧PTが既定値P0以上の場合(S170:YES)には、電子制御ユニット20はステップS180に処理を進める。そして、電子制御ユニット20は、そのステップS180において、必要噴射期間TSが第1噴射期間TTよりも長く、かつ第3噴射期間TLよりも短いか否かを判定している。第1噴射期間TTは、吸気バルブ14の閉弁時期IVCから噴射終了時期IEまでの期間を示している。また、第3噴射期間TLには、圧縮行程の開始時期から噴射終了時期IEまでの期間よりも長い期間が値として設定されている。そして、電子制御ユニット20は、必要噴射期間TSが第1噴射期間TTよりも短い場合、及び必要噴射期間TSが第3噴射期間TLよりも長い場合には(S180:NO)、上述のステップS140~S160の処理を実施する。
これに対して、電子制御ユニット20は、必要噴射期間TSが第1噴射期間TTよりも長く、かつ第3噴射期間TLよりも短い場合(S180:YES)には、ステップS190に処理を進める。ステップS190において、電子制御ユニット20は、エンジン回転数NEに基づき、IVC後噴射可能量QLを演算する。IVC後噴射可能量QLは、燃圧PFが設定圧PLとなった状態の下で、吸気バルブ14の閉弁時期IVCから噴射終了時期IEまでの期間にインジェクタ18が噴射可能な水素ガスの量を示している。
続いて電子制御ユニット20は、ステップS200において、要求噴射量QSからIVC後噴射可能量QLを引いた値を、IVC前噴射量QHの値として演算する。また、電子制御ユニット20は、続くステップS210において、IVC前噴射量QH、エンジン回転数NE、及びタンク内圧PTに基づき、IVC前噴射期間THを演算する。IVC前噴射期間THは、燃圧PFをタンク内圧PTとした状態の下で、IVC前噴射量QH分の水素ガスの噴射に要する期間を示している。さらに、電子制御ユニット20は、続くステップS220において、吸気バルブ14の閉弁時期IVCよりもIVC前噴射期間THの分だけ早い時期を噴射開始時期ISの値として設定する。次に電子制御ユニット20は、ステップS230において、吸気バルブ14の閉弁時期IVC前の期間の燃圧PFの上昇を燃圧調整装置29に指令する。より詳細には、電子制御ユニット20は、噴射開始前の設定圧PLからタンク内圧PTに燃圧PFの上昇、及び吸気バルブ14の閉弁時期IVCのタンク内圧PTから設定圧PLに燃圧PFの低下を燃圧調整装置29に指令する。本実施形態では、こうしたステップS230の処理が、閉弁前期間及び閉弁後期間の双方に燃料噴射を行う場合、閉弁前期間の燃料の噴射圧を、閉弁後期間の燃料の噴射圧よりも高い圧力とする噴射圧調整処理に対応している。そして、その後に電子制御ユニット20は、上述のステップS160において、噴射開始時期ISから噴射終了時期IEまでの期間の水素ガス噴射をインジェクタ18に指令する。
<実施形態の作用効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
図3(A)に、エンジン10における吸気バルブ14の開閉状態の推移を示す。なお、図3の横軸は、圧縮行程の終了時期T1に対するクランク角の進角量[°BTDC]を表わしている。なお、ここでは、ピストン12が吸気下死点に位置する時期から圧縮上死点に位置する時期までの期間を圧縮行程としている。図3(A)に示すように、エンジン10の吸気バルブ14の閉弁時期IVCは、圧縮行程の開始時期よりも遅い時期に設定されている。すなわち、エンジン10では、圧縮行程開始後に、吸気バルブ14が開弁している期間が存在する。ピストン12が気筒11内を上昇する圧縮行程中に吸気バルブ14が開弁していると、ピストン12により押圧された気筒11内の吸気が吸気ポート15に抜けるため、気筒11内に上方に向う気流が発生する。
一方、エンジン10の高負荷運転時等には、点火プラグ19や排気バルブ16等が高温となって、火種となるホットスポットが気筒11の上部に形成される。このとき、圧縮行程中の吸気バルブ14が開弁している期間にインジェクタ18が水素ガスを噴射すると、気流に乗って噴霧が気筒11の上方に向う。そして、気筒11の上部に形成されたホットスポットに噴霧が触れてプレイグニッションが発生する可能性がある。このように、圧縮行程中に吸気バルブ14が開弁している期間に水素ガスを噴射すると、プレイグニッションが発生し易くなる。以下の説明では、圧縮行程の開始時期から吸気バルブ14の閉弁時期IVCまでの期間を、プレイグ噴射期間と記載する。
図2の燃料噴射制御ルーチンのステップS180において電子制御ユニット20は、必要噴射期間TSが第1噴射期間TTよりも長く、かつ第3噴射期間TLよりも短いか否かを判定している。上記のように第1噴射期間TTは、吸気バルブ14の閉弁時期IVCから噴射終了時期IEまでの期間を表わしている。
図3(B)には、必要噴射期間TSが第1噴射期間TTよりも長く、かつ第3噴射期間TLよりも短い場合の燃料噴射の実施態様を示す。この場合には、プレイグ噴射期間にも水素ガス噴射が行われる。電子制御ユニット20は、こうした場合に、図2のステップS230において、噴射圧調整処理を実施している。
図3(C)には、噴射圧調整処理の実施時の燃圧PFの推移が実線で示されている。噴射圧調整処理の実施時には、吸気行程中の燃料噴射の開始前の時期に設定圧PLからタンク内圧PTへと燃圧PFが上昇される。その後、燃圧PFは、吸気バルブ14の閉弁時期IVCまでタンク内圧PTに保持される。そして、吸気バルブ14の閉弁時期IVCに燃圧PFがタンク内圧PTから設定圧PLに低下されている。なお、図3(C)には、噴射圧調整処理を実施しない場合の燃圧PFの推移が破線で示されている。この場合の燃圧PFは、設定圧PLに保持されている。
図3(D)には、噴射圧調整処理の実施時におけるインジェクタ18からの噴射直後の噴霧の運動量の推移が実線で示されている。また、図3(D)には、噴射圧調整処理の実施しなかった場合の同運動量の推移が破線で示されている。噴霧の運動量は、噴射開始時には「0」であり、その後の時間の経過とともに大きくなる。噴射開始後の噴霧の運動量の増加率は、燃圧PFが高いほど、大きくなる。よって、噴射圧調整処理を実施する場合には、実施しない場合よりも、噴射開始後の噴霧の運動量が速やかに増加する。よって、噴射圧調整処理を実施した場合には、実施しなかった場合よりも、プレイグ噴射期間中の噴霧の運動量が大きくなる。運動量が小さいほど、気筒11内の気流に噴霧が流され易くなる。よって、噴射圧調整処理を実施しない場合には、プレイグ噴射期間に発生する気筒11内の気流に噴霧が流されてしまうため、プレイグニッションが発生し易くなる。これに対して、噴射圧調整処理を実施した場合には、プレイグ噴射期間には、噴霧の運動量が気筒11内の気流に流されない程度に大きくなっているため、プレイグニッションが発生し難くなる。
図3(E)は、必要噴射期間TSが第3噴射期間TLよりも長い場合の燃料噴射の実施状況の一例を示す。電子制御ユニット20は、必要噴射期間TSが第3噴射期間TLよりも長い場合には、噴射圧調整処理を実施しないようにしている。この場合には、燃料噴射の開始からプレイグ噴射期間に至るまでに十分な時間が存在する。そのため、図3(F)に示すように、プレイグ噴射期間の開始時には、噴霧の運動量が十分に増加している。よって、この場合には、噴射圧調整処理を実施しなくても、プレイグニッションの発生を抑えられる。
以上の本実施形態のエンジン制御装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)電子制御ユニット20は、吸気バルブ14の閉弁前から閉弁後にかけて水素ガス噴射を行う場合、吸気バルブ14の閉弁前の水素ガスの噴射圧を閉弁後の水素ガスの噴射圧よりも高い圧力とする噴射圧調整処理を実施する。圧縮行程の開始から吸気バルブ14の閉弁までのプレイグ噴射期間には、上方に向う気流が気筒11内に発生する。そして、インジェクタ18が噴射した水素ガスの噴霧がその気流に流されて気筒11の上部に向うと、点火プラグ19や排気バルブ16等のホットスポットに噴霧が触れてプレイグニッションが発生する虞がある。上記噴射圧調整処理を実施すると、吸気バルブ14の閉弁前に噴射した水素ガスの噴霧の運動量が大きくなるため、気筒11内の気流に噴霧が流され難くなる。したがって、本実施形態のエンジン制御装置には、プレイグニッションの発生を抑えるという効果がある。
(2)インジェクタ18の噴射停止時には、ノズルがノズルシートに着座する。噴射圧を高めると、着座時の衝撃が大きくなってノズルシートの摩耗が進行し易くなる。本実施形態では、噴射圧調整処理の実施時にも、吸気バルブ14の閉弁後にはインジェクタ18の噴射圧が低下される。そのため、ノズルシートの摩耗の進行が抑えられる。
(3)噴射圧調整処理では、吸気バルブ14の閉弁前の期間の水素ガスの噴射圧を高めているが、噴射圧の高圧化には、エンジン10の燃費性能や水素ガスの噴射量精度が悪化するという背反がある。これに対して電子制御ユニット20は、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを判定する判定処理を行うとともに、判定処理においてプレイグニッションが発生し易い状態にあると判定された場合にのみ、噴射圧調整処理を行っている。そのため、噴射圧調整処理の実施に伴う背反を抑制できる。
(4)電子制御ユニット20は、エンジントルクTE及びエンジン水温THWに基づいて、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを判定している。プレイグニッションの原因となる気筒11内のホットスポットは、エンジントルクTEが高い場合やエンジン水温THWが高い場合に形成され易い。そのため、エンジントルクTE及びエンジン水温THWに基づくことで、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを的確に判定できる。
(5)エンジン10では、インジェクタ18に供給可能な燃圧PFの圧力の最大値がタンク内圧PTにより決まる。そのため、タンク内圧PTが低い場合には、噴射圧調整処理において、吸気バルブ14の閉弁前の水素ガスの噴射圧を十分に高められなくなる。これに対して電子制御ユニット20は、タンク内圧PTが既定値P0以上の場合にのみ、噴射圧調整処理を実施している。そのため、プレイグニッションの抑制効果が得られ難い状況での不要な噴射圧調整処理の実施が抑えられる。
(6)水素ガス噴射の開始時期が圧縮行程の開始時期よりも十分に早い場合には、噴射圧調整処理を実施しなくても、プレイグ噴射期間中の噴霧の運動量が十分に大きくなる。電子制御ユニット20は、圧縮行程開始前の既定の時期よりも早い時期に水素ガス噴射を開始する場合には噴射圧調整処理を行わないようにしている。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・噴射圧調整処理での吸気バルブ14の閉弁前後の噴射圧の切り替えを、上記とは異なる態様で行うようにしてもよい。例えばインジェクタ18がノズルリフト量を調整可能に構成されている場合には、噴射圧調整処理での噴射圧の切り替えをノズルリフト量の調整を通じて行える。
・図2のステップS120における判定を、エンジントルクTE、及びエンジン水温THW以外のパラメータに基づき行うようにしてもよい。
・プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かの判定を行わずに、燃料噴射制御ルーチンを実施するようにしてもよい。この場合には、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かに拘わらず、噴射圧調整処理が実施されることになる。すなわち、プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かに拘わらず、プレイグ噴射期間の水素ガス噴射が実施されなくなる。
・タンク内圧PTに拘わらず、噴射圧調整処理を実施するようにしてもよい。例えば図2の燃料噴射制御ルーチンを、ステップS170を割愛したかたちで実施するようにしてもよい。
・圧縮行程開始前の既定の時期よりも早い時期に燃料噴射を開始する場合にも、噴射圧調整処理を行うようにしてもよい。例えば図2のステップS180において、必要噴射期間TSが第1噴射期間TTよりも長いかどうかだけを判定するようにしてもよい。
・上記実施形態での燃料噴射制御は、水素ガス以外の燃料を使用するエンジンにも適用してもよい。
10…エンジン
11…気筒
12…ピストン
13…燃焼室
14…吸気バルブ
15…吸気ポート
16…排気バルブ
17…排気ポート
18…インジェクタ
19…点火プラグ
20…電子制御ユニット
21…演算処理装置
22…記憶装置
23…クランク角センサ
24…エアフローメータ
25…水温センサ
26…アクセルペダルセンサ
27…タンク圧センサ
28…水素ガスタンク
29…燃圧調整装置

Claims (5)

  1. 気筒内に燃料を噴射するインジェクタを備えるとともに、圧縮行程の開始後に吸気バルブが閉弁するエンジンを制御する装置であって、
    前記吸気バルブの閉弁前の期間である閉弁前期間、及び同吸気バルブの閉弁後の期間である閉弁後期間の双方に燃料噴射を行う場合、前記閉弁前期間の燃料の噴射圧を、前記閉弁後期間の燃料の噴射圧よりも高い圧力とする噴射圧調整処理を行う
    エンジン制御装置。
  2. プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを判定する判定処理を行い、
    前記判定処理において前記プレイグニッションが発生し易い状態にあると判定された場合にのみ、前記噴射圧調整処理を行う請求項1に記載のエンジン制御装置。
  3. 前記判定処理は、エンジントルク及びエンジン水温に基づき、前記プレイグニッションが発生し易い状態にあるか否かを判定する請求項2に記載のエンジン制御装置。
  4. 前記インジェクタに供給可能な燃料の圧力の最大値が既定値以上の場合にのみ、前記噴射圧調整処理を行う請求項1に記載のエンジン制御装置。
  5. 圧縮行程開始前の既定の時期よりも早い時期に燃料噴射を開始する場合には、前記噴射圧調整処理を行わない請求項1に記載のエンジン制御装置。
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