JP2024000174A - 等速自在継手及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダストカバーを外側継手部材に取り付ける際のバリの発生を抑えて、バリが他の部品に侵入することを確実に防止する。【解決手段】ダストカバー7を外側継手部材2の外周面に隙間嵌めの状態で嵌合させた状態で、ダストカバー7の固定部71を縮径させて、ダストカバー7の一部(凸部71a)を、外側継手部材2の外周面に設けられた環状溝2cに入り込ませると共に、ダストカバー7と外側継手部材2の外周面とを締まり嵌めの状態で嵌合させる。【選択図】図9

Description

本発明は、等速自在継手及びその製造方法に関し、特に、外側継手部材とその外周面に取り付けられるダストカバーとの取付構造に関する。
等速自在継手は、外側継手部材と、内側継手部材と、これらの間でトルクを伝達するトルク伝達部材を備え、二軸間の角度変位を許容しながら等速で回転動力を伝達するものである。等速自在継手は、例えば自動車のドライブシャフトの両端に設けられ、アウトボード側の等速自在継手は車輪に連結され、インボード側の等速自在継手はデファレンシャル装置に連結される。
等速自在継手には、ダストカバーが設けられることがある。ダストカバーは、等速自在継手の外側継手部材の外周面に取り付けられ、外側継手部材と固定側の部材(ハウジング等)との間の隙間を覆うことで、この隙間を介して塵等の異物が車輪用軸受やデファレンシャル装置等に侵入することを防止するものである。
ダストカバーは、外側継手部材の外周面に圧入により固定されることが多い。この場合、圧入によりバリが生じるため、このバリが脱落して車輪用軸受やデファレンシャル装置等に侵入する恐れがある。そのため、ダストカバーを外側継手部材に圧入した後、バリの有無を目視により検査する工程や、バリを除去する工程が必要となる。
例えば、下記の特許文献1では、ダストカバーと外側継手部材とで、バリを収納する空間(収納部)を形成している。この空間に、圧入により発生したバリを収納することで、バリの除去作業を行うことなく、他の部品へのバリの侵入を防止できる。
特開2011-2015号公報
しかし、上記特許文献1に記載された対策は、バリの発生自体を防止するものではないため、上記の空間にバリが収まらない場合、バリが他の部品に侵入する恐れがある。
そこで、本発明は、ダストカバーを外側継手部材に取り付ける際のバリの発生を抑えて、バリが他の部品に侵入することを確実に防止することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、外側継手部材と、前記外側継手部材の内周に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間でトルク伝達を行うトルク伝達部材と、前記外側継手部材の外周面に取り付けられた環状のダストカバーとを備えた等速自在継手の製造方法を提供する。
本発明の製造方法は、前記ダストカバーを前記外側継手部材の外周面に隙間嵌めの状態で嵌合させた状態で、前記ダストカバーを縮径させて、前記ダストカバーの一部を、前記外側継手部材の外周面に設けられた凹部に入り込ませると共に、前記ダストカバーと前記外側継手部材の外周面とを締まり嵌めの状態で嵌合させることを特徴とする。
このように、ダストカバーを外側継手部材の外周面に隙間嵌めの状態で嵌合させることで、圧入によるバリの発生を回避できる。その後、ダストカバーを縮径させて、ダストカバーと外側継手部材とを締まり嵌めとすることで、両者を固定する。このとき、ダストカバーを縮径させることができる量は僅かであるため、ダストカバーと外側継手部材との間の締め代は僅か(例えば10μm以下)となり、これら間の固定力、特に抜け耐力が問題となる。本発明では、ダストカバーを縮径させて、ダストカバーの一部を、外側継手部材の外周面に設けられた凹部に入り込ませることで、これらを軸方向で係合させて、ダストカバーの外側継手部材からの抜けを規制できる。
また、本発明の他の製造方法は、前記ダストカバーを前記外側継手部材の外周面に締め代10μm以下の軽圧入状態で嵌合させた後、前記ダストカバーを縮径させて、前記ダストカバーの一部を、前記外側継手部材の外周面に設けられた凹部に入り込ませることを特徴とする。
このように、ダストカバーを外側継手部材の外周面に嵌合させる際、締め代10μm以下の軽圧入状態とすることで、バリの発生を回避できる。このとき、ダストカバーと外側継手部材の外周面との間の締め代は僅か(10μm以下)であるため、これらの間の固定力、特に抜け耐力が問題となる。本発明では、ダストカバーを縮径させて、ダストカバーの一部を、外側継手部材の外周面に設けられた凹部に入り込ませることで、これらを軸方向で係合させて、ダストカバーの外側継手部材からの抜けを規制できる。
例えば、ダストカバーを、外側継手部材の外周面に締め代10μm以下の軽圧入状態で嵌合させながら軸方向に移動させ、ダストカバーが凹部の外周に達したら、ダストカバーの一部を弾性復元力により縮径させて凹部に入り込ませることができる。このように、ダストカバーを弾性復元力により縮径させることで、ダストカバーを縮径させる別工程が不要となるため、工数が削減されて生産性が向上する。
上記のような方法で製造された等速自在継手は、外側継手部材の外周面に凹部が形成され、ダストカバーと外側継手部材の外周面とが締め代10μm以下の締まり嵌めの状態で嵌合し、ダストカバーの一部が凹部に入り込んでいる。
ダストカバーは、例えば、外側継手部材の外周面に嵌合する固定部を有する。固定部は、内径向きに突出した凸部を有し、この凸部が凹部に入り込んだ構成とすることができる。
あるいは、外側継手部材の外周面に設けられた凹部が、軸方向一方側に行くにつれて縮径したテーパ面を有し、ダストカバーの固定部が、凹部のテーパ面に嵌合したテーパ部を有する構成とすることができる。
以上のように、本発明によれば、ダストカバーを外側継手部材に取り付ける際のバリの発生を抑えて、バリが他の部品に侵入することを確実に防止することができる。
本発明の一実施形態に係るトリポード型等速自在継手の軸方向断面図である。 図1のK-K線における断面図である。 図1のL-L線における断面図である。 図1の等速自在継手が作動角を取った状態を示す。 ダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーを外側継手部材の外周に嵌合させた状態を示す。 ダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーの固定部の外周に治具を配した状態を示す。 ダストカバーの固定部を縮径させる治具の斜視図である。 上記治具を縮径させた状態を示す斜視図である。 ダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーの固定部を治具で縮径させた状態を示す。 他の実施形態に係るダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーの固定部の外周に治具を配した状態を示す。 図10のダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーの固定部を治具で縮径させた状態を示す。 図10のダストカバーが、環状溝のテーパ面で案内されている状態を示す断面図である。 図10のダストカバーが、環状溝のテーパ面で案内されている状態を示す断面図である。 さらに他の実施形態に係るダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーの固定部の外周に治具を配した状態を示す。 図14のダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーの固定部を治具で縮径させた状態を示す。 さらに他の実施形態に係るダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーを外側継手部材の外周面に嵌合させる前の状態を示す。 図16のダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーを外側継手部材の外周面に嵌合させた状態を示す。 図16のダストカバーの取付方法の手順を示す断面図であり、ダストカバーの外側継手部材への取り付けが完了した状態を示す。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~4に、本発明に係る等速自在継手の一実施形態であるダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手1を示す。なお、以下の説明において、軸方向、半径方向、および周方向は、特に断りの無い限り、それぞれ作動角を0°の状態とした時の等速自在継手1の軸方向、半径方向、および周方向を意味する。
図1および図2に示すように、このトリポード型等速自在継手1は、外側継手部材2と、内側継手部材としてのトリポード部材3と、トルク伝達部材としてのローラユニット4とで主要部が構成されている。外側継手部材2は、一端が開口したカップ状をなしたマウス部2aと、マウス部2aから軸方向に延びるステム部2bとを有する。マウス部2aの内周面には、軸方向に延びる3本の直線状トラック溝5が周方向で等間隔に形成される。各トラック溝5には、周方向に対向して配置され、それぞれ軸方向に延びるローラ案内面6が形成されている。外側継手部材2のマウス部2aの内部には、トリポード部材3とローラユニット4が収容されている。
トリポード部材3は、中心孔30を有する胴部31と、胴部31の外周面の周方向の三等分位置から半径方向の外側(外径側)に突出する3本の脚軸32とを一体に有する。トリポード部材3の中心孔30にはシャフト10の端部が挿入され、これらがスプライン嵌合によりトルク伝達可能に結合される。
ローラユニット4は、脚軸32の軸線を中心とした円環状のローラであるアウタリング11と、このアウタリング11の内径側に配置されて脚軸32に外嵌された円環状のインナリング12と、アウタリング11とインナリング12との間に介在された多数の針状ころ13とで主要部が構成されている。ローラユニット4は、外側継手部材2のトラック溝5に収容されている。アウタリング11、インナリング12、および針状ころ13からなるローラユニット4は、アウタリング11の内周面に取り付けたスナップリング14、15により、自然には分解しない構造となっている。
トリポード部材3の各脚軸32の外周面32aは、脚軸32の軸線を含む任意の方向の断面において脚軸32の軸方向でストレート形状をなす。また、図3に示すように、脚軸32の外周面32aは、脚軸32の軸線と直交する断面において略楕円形状をなす。脚軸32の外周面32aは、軸方向と直交する方向、すなわち長軸aの方向でインナリング12の内周面12aと接触する。軸方向、すなわち短軸bの方向では、脚軸32の外周面32aとインナリング12の内周面12aとの間に隙間mが形成されている。
インナリング12の内周面12aは、インナリング12の軸線を含む任意の断面において凸円弧状をなす。このことと、脚軸32の横断面形状が上述のように略楕円形状であり、脚軸32とインナリング12の間に所定の隙間mを設けてあることから、インナリング12は、脚軸32に対して揺動可能となる。上述のとおりインナリング12とアウタリング11が針状ころ13を介して相対回転自在にアセンブリとされているため、アウタリング11はインナリング12と一体となって脚軸32に対して揺動可能である。つまり、脚軸32の軸線を含む平面内で、脚軸32の軸線に対してアウタリング11およびインナリング12の軸線は傾くことができる(図4参照)。
尚、本発明を適用可能な等速自在継手は、上記のようなトリポード型等速自在継手に限られない。例えば、トルク伝達部材としてボールを用いた摺動式等速自在継手(ダブルオフセット型、クロスグルーブ型など)や、各種固定式等速自在継手(ツェッパ型、アンダーカットフリー型、クロスグルーブ型など)に本発明を適用することもできる。
以下、本発明の特徴的構成であるダストカバー7と外側継手部材2との取付構造について説明する。尚、以下の説明では、外側継手部材2の軸心方向で、マウス部2a側(図1の左側)を「マウス部側」と言い、マウス部2aから離反する側(図1の右側)を「軸端側」と言う。
図1に示すように、ダストカバー7は、全周で連続した環状を成し、外側継手部材2の外周面に固定される。図示例では、ダストカバー7が、外側継手部材2のステム部2bの外周面に固定され、詳しくは、ステム部2bのうち、マウス部側の端部(図中左端)に固定される。図示例では、ダストカバー7が、外側継手部材2のマウス部2aの底面に軸端側から当接している。尚、ダストカバー7を、ステム部2bの軸方向中間部(端部を除く領域)に設け、マウス部2aと軸方向に離してもよい。
ダストカバー7は、ステム部2bの外周面に嵌合する固定部71と、固定部71の外径側に設けられたカバー部72とを有する。本実施形態では、固定部71が略円筒状を成し、固定部71のマウス部側の端部にカバー部72が接続される。カバー部72は、固定部71のマウス部側の端部から外径側に延びる円盤部72aと、円盤部72aの外径端から軸端側に延びる円筒部72bとを有する。その結果、ダストカバー7全体が断面コの字形状を成している。ダストカバー7は金属、例えば鉄系金属、特に鋼で形成される。ダストカバー7を形成する金属としては、外側継手部材2のうち、ダストカバー7が嵌合する面よりも硬度の低いものが使用される。ダストカバー7は、例えば金属板のプレス加工により形成され、全体が略均一な肉厚を有している。ダストカバー7の肉厚は、例えば2mm以下、特に1.2mm以下とされる。
ステム部2bの外周面のうち、ダストカバー7が取り付けられる領域には凹部が設けられる。本実施形態では、凹部として、全周で連続した環状溝2cが設けられる。環状溝2cの軸方向幅は、ダストカバー7の固定部71の軸方向幅よりも小さい。
ダストカバー7の固定部71には、内径側に突出した凸部71aが設けられる。ダストカバー7の固定部71のうち、凸部71aの軸方向両側に設けられた円筒部分と、ステム部2bの外周面のうち、環状溝2cの軸方向両側に設けられた円筒領域とが、締まり嵌めの状態で嵌合している。これらの締め代は、例えば10μm以下、特に5μm以下とされる。
ダストカバー7の凸部71aは、ステム部2bの外周面の環状溝2cに入り込んでいる。凸部71aと環状溝2cとは、軸方向両方向で係合している。図示例では、凸部71aの軸方向端部(凸部71aと円筒部分との境界)と、環状溝2cの開口部の縁(環状溝2cと円筒領域との境界)とが締まり嵌めの状態で密着している。これにより、凸部71aと環状溝2cとが軸方向のガタ無く嵌合している。この他、凸部71aと環状溝2cとを、僅かな軸方向隙間を介して嵌合させてもよい。ダストカバー7の凸部71aと、ステム部2bの環状溝2cの底部との間には、半径方向の隙間が設けられる。
ダストカバー7は、以下の手順で外側継手部材2に取り付けることができる。尚、図5、6、9~18では、外側継手部材2のマウス部2aの図示を省略している。
まず、図5に示すように、ダストカバー7をステム部2bの外周面に軸端側(図中右側)から嵌合させ、環状溝2cの外周に配する。このとき、ダストカバー7のカバー部72を、外側継手部材2のマウス部2aに軸端側から当接させてもよい。ステム部2bに固定する前のダストカバー7の固定部71は、凸部71aを有しないストレートな円筒形状を成している。また、ステム部2bに固定する前の固定部71の内径D1は、ステム部2bのうち、ダストカバー7が嵌合する円筒領域の外径D2よりも僅かに大きい。従って、図5に示す状態では、ダストカバー7の固定部71とステム部2bの外周面とが隙間嵌めの状態で嵌合している。このように、ダストカバー7とステム部2bとを圧入しないことで、圧入によるバリの発生を回避できる。
次に、ダストカバー7の固定部71を縮径させる。本実施形態では、図6に示すように、ダストカバー7の固定部71を外周から治具8で内径向きに押圧することにより、固定部71を縮径させる。本実施形態の治具8は、図7に示すように、コレットチャック81と、コレットチャック81の外周に設けられた円筒部材82とを有する。コレットチャック81の先端には、周方向で分割された複数の押圧部81aが設けられる。各押圧部81aの内周面には、周方向に延びる凸部81bが設けられる(図6参照。図7では省略。)。各押圧部81aの外周面には、先端に向けて拡径したテーパ面81cが設けられる(図7参照)。
図6に示すように、治具8の押圧部81aの先端をダストカバー7の固定部71の外周に配した状態で、円筒部材82を先端側に移動させてテーパ面81cを押し込むことにより、各押圧部81aを内径側に移動させる(図8参照)。これにより、図9に示すように、ダストカバー7の固定部71が治具8の押圧部81aで外周から圧迫されて縮径し、ステム部2bの外周面に押し付けられる。このときの治具8の圧迫力により、ダストカバー7の固定部71を介して、ステム部2bの外周面も弾性的に若干縮径する。これと同時に、固定部71の軸方向中間部が治具8の押圧部81aの凸部81bで内径向きに押圧されて塑性変形し、固定部71に凸部71aが形成されると共に、この凸部71aが環状溝2cに入り込む。
その後、治具8の円筒部材82を後退させて押圧部81aを外径側に移動させることにより、ダストカバー7の固定部71を内径向きに圧迫する力が解放される。このとき、ダストカバー7の固定部71はスプリングバックにより若干拡径するが、この拡径量が、ステム部2bの外周面のスプリングバックによる拡径量よりも小さいため、固定部71とステム部2bとの間に締め代が残る。以上により、ダストカバー7とステム部2bの外周面とが締まり嵌め状態で嵌合し、且つ、ダストカバー7の凸部71aがステム部2bの環状溝2cに入り込んだ状態となる。
ところで、ダストカバー7の固定部71の縮径量が大きすぎると、カバー部72が大きく変形してしまうため、固定部71は僅かしか縮径させることができない。また、ダストカバー7の固定部71とステム部2bとの間の締め代は、治具8による圧迫力を解放したときの両者のスプリングバック量の差の分しか確保できない。以上より、ダストカバー7の固定部71とステム部2bとの間の締め代は非常に小さく、例えば10μm以下、特に5μm以下となっている。この場合、ダストカバー7とステム部2bとの間の固定力が問題となる。本実施形態では、上記のように、ダストカバー7の固定部71に設けた凸部71aを、ステム部2bの環状溝2cに入り込ませてこれらを軸方向で係合させているため、ダストカバー7のステム部2bに対する抜けが規制される。これにより、ダストカバー7の固定部71とステム部2bとの間の締め代は、これらの相対回転を規制できる程度であればよいため、上記のような僅かな締め代で足りる。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の点については説明を省略する。
図10~13に示す実施形態は、ダストカバー7の固定部71に凸部71aを形成しない点で上記の実施形態と異なる。環状溝2cの軸方向幅は、ダストカバー7の円筒状の固定部71の軸方向幅よりも大きい。環状溝2cは、軸方向中央に設けられた円筒面2dと、円筒面2dの軸方向両端に設けられたテーパ面2eとを有する。
このダストカバー7をステム部2bに取り付ける際には、まず、図10に示すように、ダストカバー7をステム部2bの環状溝2cの外周に隙間嵌めの状態で配置し、このダストカバー7の固定部71の外周に治具8を配置する。そして、治具8でダストカバー7の固定部71を外周から圧迫して縮径させることで、固定部71を環状溝2cの円筒面2dに押し付ける(図11参照)。このとき、縮径前のダストカバー7の軸方向位置が環状溝2cに対して若干ずれていても、ダストカバー7の固定部71が縮径しながら環状溝2cのテーパ面2eに押し付けられることで(図12及び13参照)、ダストカバー7が正規の軸方向位置に案内され、ダストカバー7を環状溝2cの円筒面2dに確実に押し付けることができる。
その後、治具8の押圧部81aを外径側に後退させると、ダストカバー7の固定部71がスプリングバックにより若干拡径するが、この拡径量が、ステム部2bの外周面(環状溝2cの円筒面2d)のスプリングバックによる拡径量よりも小さいため、固定部71と円筒面2dとの間に締め代が残る。以上により、ダストカバー7とステム部2bの環状溝2cの円筒面2dとが締まり嵌め状態で嵌合し、且つ、ダストカバー7の固定部71の軸方向全域がステム部2bの環状溝2cに入り込んだ状態となる(図11参照)。
図14、15に示す実施形態は、ダストカバー7の固定部71及び環状溝2cの底面が、何れもテーパ状を成している点で上記の実施形態と異なる。ステム部2bに固定する前のダストカバー7の固定部71は円筒形状を成している(図14参照)。固定部71を縮径させる際、固定部71のうち、カバー部72が接続されたマウス部側の端部(図中左端)付近は剛性が高く、自由端である軸端側の端部(図中右端)付近は剛性が低い。そのため、ダストカバー7の固定部71を縮径させると、軸端側(自由端側)に行くにつれて縮径したテーパ状となりやすい。この場合、環状溝2cの底面が円筒面状であると、固定部71の軸端側の端部のみが環状溝2cの底面に接触し、シール性が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態では、環状溝2cの底面に、軸端側に行くにつれて縮径したテーパ面2fを設けた。これにより、固定部71がテーパ状に縮径した場合でも、このテーパ状の固定部71の略全域を環状溝2cのテーパ面2fに接触させることができるため、シール性の低下を防止できる。
図16~18に示す実施形態は、ダストカバー7の弾性復元力を利用して固定部71を縮径させている点で上記の実施形態と異なる。ステム部2bに取り付ける前のダストカバー7の固定部71には、予め、軸端側(図中右側)に行くにつれて縮径したテーパ部を設けている(図16参照)。図示例では、固定部71全体がテーパ状に形成される(すなわち、固定部71全体がテーパ部となる)。この他、固定部71の軸方向一部領域(例えば、軸端側端部を含む領域)に、軸端側へ行くにつれて縮径したテーパ部を設けてもよい。
固定部71の軸端側端部の内径D11は、ステム部2bの環状溝2cの軸端側に隣接する円筒領域2g(すなわち、ダストカバー7が摺動する領域)の外径D21よりも小さく、その差は10μm以下とされる。固定部71の軸端側端部の内径D11は、環状溝2cの最小内径D22よりも小さい。図示例では、環状溝2cの底面に、軸端側に行くにつれて縮径したテーパ面2fを設けており、固定部71の軸方向に対する角度θ1が、環状溝2cのテーパ面2fの軸方向に対する角度θ2よりも大きい。固定部71のマウス部側端部の内径D12は、ステム部2bの円筒領域2gの外径D21と同じか僅かに大きい。
そして、図17に示すように、ダストカバー7の固定部71を弾性的に拡径させながら、ステム部2bの外周面に軸端側(図中右側)から嵌合させる。このとき、固定部71の軸端側端部を含む領域は、ステム部2bの外周面と、締め代10μm以下の軽圧入状態で嵌合している。
その後、ダストカバー7を、ステム部2bの円筒領域2gと摺動させながらマウス部側(図中左側)に移動させる。そして、ダストカバー7が環状溝2cの外周に配されたら、図18に示すように、ダストカバー7の固定部71が弾性復元力により縮径し、環状溝2cに入り込んで、固定部71の略全域が環状溝2cの底面(テーパ面2f)に接触する。
本実施形態では、以上のように、ダストカバー7をステム部2bの外周面に軸端側から軽圧入状態で嵌合させ、環状溝2cの外周まで軸方向移動させるだけで、ダストカバー7の固定部71を弾性復元力により縮径させてステム部2bの環状溝2cに入り込ませることができる。この場合、ダストカバー7を治具等で縮径させる工程が不要となるため、上記の実施形態と比べて生産性が向上する。
以上の実施形態では、外側継手部材2の外周面に、全周で連続した環状溝2cを設けた場合を示したが、これに限らず、例えば、周方向に離間した複数の凹部を設けてもよい。この場合、ダストカバー7をステム部2bの環状溝2cの外周に配した後、ダストカバー7の固定部71の複数箇所を加締めることにより、ダストカバー7を外側継手部材2の外周面に固定する。具体的には、ダストカバー7の固定部71の周方向に離間した複数箇所を外周から圧迫して、内径向きに突出した凸部を形成し、この凸部を外側継手部材2の凹部に入り込ませると共に、固定部71とステム部2bとを締まり嵌め状態で嵌合させる。
また、以上の実施形態では、ダストカバー7が断面コの字形状を成しているが、これに限らず、例えば、カバー部72の円筒部72bを省略してダストカバー7を断面L字形状としてもよい。
また、以上の実施形態では、ダストカバー7を外側継手部材2のステム部2bの外周面に取り付けた場合を示したが、これに限らず、外側継手部材2のマウス部2aの外周面にダストカバー7を取り付けてもよい。
1 等速自在継手
2 外側継手部材
2a マウス部
2b ステム部
2c 環状溝
2d 円筒面
2e テーパ面
2f テーパ面
2g 円筒領域
7 ダストカバー
71 固定部
71a 凸部
72 カバー部
72a 円盤部
72b 円筒部
8 治具
81 コレットチャック
82 円筒部材

Claims (6)

  1. 外側継手部材と、前記外側継手部材の内周に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間でトルク伝達を行うトルク伝達部材と、前記外側継手部材の外周面に取り付けられた環状のダストカバーとを備えた等速自在継手において、
    前記外側継手部材の外周面に凹部が形成され、
    前記ダストカバーと前記外側継手部材の外周面とが、締め代10μm以下の締まり嵌めの状態で嵌合し、
    前記ダストカバーの一部が前記凹部に入り込んだ等速自在継手。
  2. 前記ダストカバーが、前記外側継手部材の外周面に嵌合した固定部を有し、前記固定部が、内径向きに突出し、前記凹部に入り込んだ凸部を有する請求項1に記載の等速自在継手。
  3. 前記凹部が、軸方向一方側に行くにつれて縮径したテーパ面を有し、
    前記ダストカバーの固定部が、前記凹部のテーパ面に嵌合したテーパ部を有する請求項1に記載の等速自在継手。
  4. 外側継手部材と、前記外側継手部材の内周に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間でトルク伝達を行うトルク伝達部材と、前記外側継手部材の外周面に取り付けられた環状のダストカバーとを備えた等速自在継手の製造方法において、
    前記ダストカバーを前記外側継手部材の外周面に隙間嵌めの状態で嵌合させた状態で、前記ダストカバーを縮径させて、前記ダストカバーの一部を、前記外側継手部材の外周面に設けられた凹部に入り込ませると共に、前記ダストカバーと前記外側継手部材の外周面とを締まり嵌めの状態で嵌合させる等速自在継手の製造方法。
  5. 外側継手部材と、前記外側継手部材の内周に配された内側継手部材と、前記外側継手部材と前記内側継手部材との間でトルク伝達を行うトルク伝達部材と、前記外側継手部材の外周面に取り付けられた環状のダストカバーとを備えた等速自在継手の製造方法において、
    前記ダストカバーを前記外側継手部材の外周面に締め代10μm以下の軽圧入状態で嵌合させた状態で、前記ダストカバーを縮径させて、前記ダストカバーの一部を、前記外側継手部材の外周面に設けられた凹部に入り込ませる等速自在継手の製造方法。
  6. 前記ダストカバーを、前記外側継手部材の外周面に締め代10μm以下の軽圧入状態で嵌合させながら軸方向に移動させ、
    前記ダストカバーが前記凹部の外周に達したら、前記ダストカバーの一部を弾性復元力により縮径させて前記凹部に入り込ませる請求項5に記載の等速自在継手の製造方法。
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