JP2024000138A - 積層体、積層体の製造方法、および積層体の製造装置 - Google Patents

積層体、積層体の製造方法、および積層体の製造装置 Download PDF

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興起 仲
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Abstract

【課題】回転電機の固定子に用いられる、強磁性体の薄板を複数枚積層した積層体を固着する際、生産性を高めるために薄板同士を接着する手段として接着剤を用いると高価になる、また、金型内で板材と金型が接着される、板材を抜いた余りかすが付着し生産性が低下する、といった課題があった。また、糸状の熱可塑性樹脂を用いると、コア材の側面にも配置されることでコア組み立て時に部品同士が干渉する、また、生産速度が遅い、などの課題があった。【解決手段】強磁性体の薄板を複数枚積層した積層体において、前記薄板は、所定の接着剤成分を含んでいない樹脂を介して、隣接する薄板が互いに固着されて積層されているようにした。【選択図】図4

Description

本願は、積層体、積層体の製造方法、および積層体の製造装置に関するものである。
電気機械では、金属の薄板を積層した積層体に対して、絶縁をした後にコイルを配置させている製品が多くある(例えば、モーター、リニアモーター、変圧器、リアクトルなど)。
このような積層体の固着手段として、生産性を高めるために、順送プレス金型内でカシメ結合をする、打ち抜き装置で接着剤を塗布する、あるいは、薄板同士を接着する、などの様々な手段が取られている。
特に、コイルに印加される電源周波数が高いものでは鉄損を抑制するために、カシメではなく接着剤が用いられることが多い。これはカシメでは薄板の表面に施された絶縁コーティングがはがれてしまい、大きな渦電流が発生するためである。また、鉄損を抑制するために板材を薄くする対策が取られるが、このときにカシメだと板が割れてしまうこともある。
このような課題を解決すべく、これまでに、接着剤が用いられることがあった(例えば、特許文献1参照)。また接着剤を使わない例として、糸状の熱可塑性樹脂を使う事例がある(例えば、特許文献2参照)。
国際公開2020/053230号 特許第5172367号公報
竹内 光二 他、「無機充填剤の表面改質」、表面科学、1982年、第3巻、第2号、pp.65-74
特許文献1では、接着剤を用いると高価になることがある。また、金型に入れる前の板材に対して接着剤を塗布すると、金型内で板材と金型が接着される、あるいは、板材を抜いた余り部品(かす)が金型に付着し生産性が低下する、といった課題がある。
特許文献2では、糸状の熱可塑性樹脂が、コア材の側面にも配置されることで、コア組み立て時に部品同士が干渉してしまう、また、積層される板材間に糸を毎回入れる必要があるため生産速度が遅い、などの課題がある。
本願は上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、高価な接着剤を必要としない積層体を提供することを目的とする。また、金型内で板材と金型が接着される、あるいは、かすが付着する、といった課題の発生を抑制できる積層体の提供、並びに積層体の製造方法、および積層体の製造装置を提供することを目的としている。
本願に開示される積層体は、
強磁性体の薄板が複数枚積層された積層体であって、
前記薄板は、所定の接着剤成分を含んでいない樹脂を介して、隣接する薄板が互いに固着されて積層されていることを特徴とするものである。
本願に開示される積層体によれば、高価な接着剤を必要としない積層体を提供することができる。また、金型内で板材と金型が固着する、あるいは、かすが固着する、といった課題の発生を抑制できる積層体の製造方法または積層体の製造装置を提供することができる。
実施の形態1の積層体が用いられる回転電機を示す平面図である。 実施の形態1の積層体が用いられる回転電機の固定子コアを示す平面図である。 実施の形態1の積層体が用いられる回転電機の固定子の分割コアを示す平面図である。 実施の形態1の積層体の積層方向の断面拡大図である。 実施の形態1の積層体を製造する積層装置を説明するための図である。 実施の形態1の積層体を構成する薄板に塗布される樹脂粉の塗布状態を説明するための模式図である。 実施の形態2の積層体を製造する積層装置を説明するための図である。 実施の形態3の積層体に用いられる樹脂粉の塗布工程を説明するための図である。 実施の形態3の積層体を製造する積層装置を説明するための図である。 実施の形態4の積層体を製造する積層装置を説明するための図である。 実施の形態4の積層体を構成する薄板の固着装置を説明するための図である。 実施の形態5の積層体の製造工程を説明するための図である。 実施の形態6の積層体を製造する積層装置を説明するための図である。 実施の形態7の積層体の電着塗装工程を説明するための図である。
本願は、積層体、特に、回転電機、あるいは静止機器など電気機械に使用される電気機械用積層体、このような積層体の製造方法および製造装置に関するものである。
実施の形態1.
[金型内積層]
以下、図1~図6を用いて、本実施の形態の電気機械の一種である回転電機(特に、電動機)に用いられる積層体について説明する。
まず、実施の形態1の積層体が用いられる回転電機100の概要について図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1の回転電機100の断面図である。回転電機100は、固定子10と、その内周側に配置された回転子20を主要な構成部品として備える。
このうち、固定子10は、複数の分割コアで構成された固定子コア1(後ほど詳しく説明する)、コイル、インシュレーター等で構成される。また、回転子20は、回転子コア21と磁石22から構成されている。
なお、図1では、回転電機100の構成部品のうち、コイル、絶縁体(インシュレーター)、渡り線、およびフレーム等は簡略化のため図示していない。
図2は、本実施の形態1の回転電機100の固定子コア1の平面図である。固定子コア1は、複数の分割コア2を周方向に配置することで構成されている。複数の分割コア2の形状は全て同一である。このようにすることで、高価な順送プレス装置、あるいは金型が不要となるため、安価な回転電機を提供することができる。
図3は、上述の複数の分割コア2のうちの1個について示した平面図である。分割コア2は、T字形状(略T字形状)をしており、固定子コア1として用いたときの外径部に相当する部分に位置するバックヨーク部3と、バックヨーク部3から内径側に突出した部分であるティース部4とから構成されている。ここで、分割コア2は、薄板を複数枚積層することにより構成される積層体50として構成されている。本実施の形態1では、同一形状の薄板を所定枚数積層し、薄板同士を樹脂で固着することで積層方向の固定を行っている。
ここで、「固着」とは、接着剤成分を有しない材料を使って、2物体間を固定することを意味しており、「接着-ここでは、接着剤成分を有する材料を使って、2物体間を固定することを意味する-」という用語とは区別して以下用いる。
上記薄板には、電磁鋼板、あるいはSPCC(Steel Plate Cold Commercial。冷間圧延鋼板。以下同様)など、鉄系の強磁性体を用いている。電磁鋼板は一般的にその表面に絶縁コーティングが施されている。この絶縁コーティング剤には、一般に、無機系のものと有機系のものとが存在する。本実施の形態1では有機系のものを使用した場合を一例として説明するが、本願の適用範囲は、これに限られず、無機系のものを用いても良い。
また、分割コア2のティース部4には、絶縁体(インシュレーター)を介して導電性のワイヤが巻きつけられ、コイルを構成する。また、分割コア2の周方向端部、つまり、固定子コア1としたときに分割コア同士が隣接する部分の一方(図3の右側)に凹部5を、他方(図3の左側)に凸部6を有する。さらに、分割コア2の周方向の中央部には、バックヨーク部3に形成された溝7を有する。
通常、回転電機として用いた場合には、回転子が回転することにより、分割コアには磁束が発生するため、強磁性体である分割コアに溝をつけることは敬遠される。しかし、磁束は、図3において点線の矢印(符号MF参照)で示したような形態で発生するため、周方向のティース部の中央部位置であり、かつ、外径部のバックヨーク部3に形成された溝7の位置に強磁性体が無くても、回転電機の効率に特に影響を与えるものではない。
ここで、特許文献2に記載されているように、樹脂糸を用いて積層体の固着をしている場合には、分割コア同士の接触面である周方向端部(板材の側面)に樹脂糸が固着した状態で残ることになり、固定子コアとして用いた場合には干渉を避ける部分を設ける必要がある。つまり、強磁性体がない部分を作る必要があり、磁束がこの部分に発生すると、磁気抵抗が高くなる。すなわち、このような構成にすると、磁気特性が悪化してしまい、回転電機の効率が低下する、あるいは必要な出力が出ない、などの問題が発生する。
そこで、このような問題が発生しないようにするため、軸方向の寸法を長くするなどの対応が必要となり、結果として装置が高価になってしまう。
図4に本実施の形態1の分割コア(積層体)の積層方向に沿った断面の一部拡大図を示す。分割コアは複数の電磁鋼板9から構成されている。この電磁鋼板9は、中央部に強磁性体8が配置され、その積層方向の両方向の表面(1個の電磁鋼板を取り上げて説明すると、その表面および裏面)に絶縁コーティング11が施されている。本実施の形態1における絶縁コーティング11は有機系の絶縁物が含まれている絶縁コーティングである。
また、上記電磁鋼板9は、樹脂層12を介して固着され積層されている。この樹脂層12を構成する成分には、一般的に接着剤として使用される成分が含有されていない。接着剤として機能する成分としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤(例えば、非特許文献1参照)等が該当する。これらの成分があることで、2つの被接着体間に接着力を発生させることが容易となる。しかし、本実施の形態1の回転電機では、これらの成分を含んでいない樹脂を固着剤として使用している。そのため、金型内で板材と金型とがくっつくことを防止できる。
本実施の形態1の積層体は、上述のように、電磁鋼板同士を、樹脂層12を介して固着している。また、上述のように、この電磁鋼板9は、その材料の表面に絶縁コーティング11が施されている。さらに、本実施の形態1の電磁鋼板には有機系の絶縁コーティングを含むため、樹脂層との固着力を容易に得ることができる。
ここで、上記樹脂層を構成する材料としては、平均粒径20μm以下の粉体状の樹脂(樹脂粉とも呼ぶ)が適用可能である。例えば、粒径が5μm、6μm、10μm以下、などの種々の粒径の材料、あるいはパウダー形態の粉が市販されているので、これらを構成材料として使用することができる。
なお、樹脂層を形成する材料としては、自然環境で分解されるような生分解性樹脂も含まれる。この生分解性樹脂を用いた場合には、仮に樹脂が自然環境に放出されたとしても、自然環境で分解されるため地球環境に優しいというメリットがある。
次に、積層体を製造するための製造装置、および製造方法の一例に関して、図5を用いて説明する。
図5は上記積層体50を製造するための積層装置200の一例を示したものであり、電磁鋼板9がロール状になったフープ材30、仮加熱部31、樹脂塗布部32(ノズル33を有する)、冷却部34、プレス油塗布部35、プレス装置36(打ち抜き部38、本加熱部39を有する金型37を備える)、などを備える。
上記積層装置200には、さらに、電磁鋼板9の送り出し装置(図示せず。なお、この送り出し装置は、以降、アンコイラーとも呼ぶ)があり、このアンコイラーを起動させて、コイル状の電磁鋼板が巻かれたフープ材30を回転させつつ、電磁鋼板を送り出すことにより、図5において右方向へ、電磁鋼板9を移動させる。この際、電磁鋼板9は、まず、仮加熱部31で加熱される。加熱方法としては、電磁誘導、あるいはヒーターによる加熱がある。加熱温度としては、樹脂層に使用する樹脂材料が融点以上になるようにする。このようにすることで、板材である電磁鋼板9に樹脂が固着し、搬送時にこれらが互いに外れないようにできる。
上記樹脂塗布部32はノズル33を有し、このノズル33から樹脂を噴射して電磁鋼板9に塗布する。このとき、樹脂のみを噴射させて塗布してもよいし、樹脂に液体を含有させたものをノズル33から噴射させて塗布してもよい。樹脂に液体を含有させた場合には、ノズル33から塗装スプレーでスプレーするように塗布できるため、むらの少ない塗布が可能となる。
ここで、塗布される樹脂の特徴として、この場合に使用される樹脂は、一般的な形態の樹脂ではなく、樹脂粉(平均粒径20μm以下の粒子状の粉)である点である。樹脂粉が溶融しやすいことから、樹脂粉を使うことにより、仮加熱部31において、この樹脂粉が板材に付着しやすくなる。一方で、さらにその上に堆積する樹脂粉は、溶融していないので、すでに板材に付着している樹脂粉には付着し難い。その結果、単層の粒子が鋼板に付着することとなり、所定の厚みで、凹凸のある樹脂膜を形成することができる。言い換えると、電磁鋼板の積層間の樹脂層の厚みを極めて薄く、かつ均一にすることができる。
また、樹脂塗布部32においては、装置の天井側から床側(図5の上側から下側)に向けて、板材である電磁鋼板9に樹脂粉を塗布する構成とした。このようにすることで、塗布する樹脂粉の重力を活用し、確実に塗布をすることができる。
この樹脂塗布部32を通過した電磁鋼板9は、上記天井側にのみ樹脂が付着した状態で、これ以降の工程が進むことになる。
次に、上述の樹脂粉が付着した電磁鋼板9は、冷却部34を通過する。
この際、本実施の形態1では、例えば、電磁鋼板に対して風を当てることにより冷却を行う。このとき、電磁鋼板に樹脂粉が付着している面とは反対側の面に対して冷却風を当てる。これにより、融点より低い温度になる前に冷却風が当たって必要な樹脂粉が飛び散るということを防止することができる。また本実施の形態1では、冷却部34で実行される冷却方法として、風を使用したが、チラーなどで冷却した部品を電磁鋼板に接触させて冷却する方法を用いてもよい。
次に、プレス油塗布部35では、プレス油を塗布する。このプレス油があることで、以降の工程である打ち抜き部38での打ち抜き速度を高めることができる。この理由は、一般に、プレス油が、金型と被加工材との摩擦を低減し、焼き付き、あるいは傷が生じない様に、各種添加剤を組み合わせて構成されているからである。また、プレス油が板材に塗布されても板材の天井側には樹脂が固着した状態であるため、樹脂が板材から外れることを抑制することができる。
次に、電磁鋼板9は、プレス装置36に導入される。ここで用いられるプレス装置36は、複数の打ち抜き部38を有し、いわゆる順送プレス(順送金型を用いたプレス加工。順送金型では1つの金型に複数工程が配置されている)を行う装置である。上記プレス装置36は、上記打ち抜き部38以外に本加熱部39を有する。電磁鋼板9は、複数の打ち抜き部38で順に打ち抜かれた後、最後の打ち抜き部38aを通過後、本加熱部39に移動される。この際、電磁鋼板9は、分割コアの形状となっている。また、本加熱部39で加熱されることで、樹脂(樹脂粉)が再び溶融し、積層方向に複数枚で構成された分割コアの電磁鋼板が、プレスの加圧力によって加圧され、互いに固着する。なお、上述の打ち抜き部38で打ち抜かれる電磁鋼板9の部分は、上記電磁鋼板9の側面(固着される面と直交する面)である(以下同様)。
なお、樹脂塗布部32においては、電磁鋼板9が送り出されてきても、電磁鋼板が樹脂により塗布されないタイミングを持っており、例えば1個の積層体50aを構成する部分のみ塗布をし、その間の材料には塗布をしないように調整されている(この塗布されない部分を非塗布部40と呼ぶ)。この非塗布部40を利用することなどにより、分割コアとして必要な枚数だけ積層したものを金型から積層体50として取り出すことができる。なお、図5中の矢印Aは、取り出された積層体50の移送方向を示す。また、点線の矢印Bは、1個の積層体50aが打ち抜かれた後の残材の移送を示している。
上記に反して、すべての電磁鋼板を固着させた場合には、固着後に必要枚数分を切り出すような作業が必要となるが、本実施の形態1では、その必要がないため、工数を削減することができる。
また、本加熱部39の設定温度は、使用する樹脂の融点を超える温度であることが望ましい。また、図示していないが、プレス装置36の本加熱部39において、積層体の積層方向に加圧するような積層方向加圧装置を備えてもよい。このようにすることで積層体への積層方向への加圧を確実に得ることができる。
上記樹脂粉は、その使用時に高い流動性を得ることが困難な場合が生じ得る。このような場合、溶剤の中に樹脂粉を均一に広げた状態で塗布することにより、溶剤が揮発すると電磁鋼板の表面に樹脂を残すことができるメリットを得られる。この場合において、溶剤の役割は、常温時に樹脂を固体から液体の状態にして塗布を容易にすることである。この際、使用される溶剤は、有機系溶剤と水とに分かれる。また、有機系溶剤は天然成分のもの、合成成分のものに大別される。有機系溶剤の例としては、トルエン、キシレン、エタノール等が挙げられる。また、水も使用されるが、有機溶剤に比べ水は取り扱いが容易であるというメリットを持つ。
さらに、本工程で示した仮加熱部31と本加熱部39は、共に、使用する樹脂の融点以上に温度を調整して設定できる必要があるが、これらの設定温度は必ずしも一致する必要はない。ここで、仮加熱部の設定温度をT1、本加熱部の設定温度をT2とすると、T1≦T2の関係となる。樹脂粉を電磁鋼板の一方の面に固着させる際には、(電磁鋼板に比べて)質量が小さい樹脂粉は、電磁鋼板が移動する際に吹き飛ばない程度の固着力が必要となるが、そのためには、設定温度は、樹脂粉の融点より10度以下程度の大きい値であればよい。この際、仮加熱部の設定温度T1は本加熱部の設定温度をT2より低い温度であればよく、仮加熱部の設定温度T1が低ければ低いほど、仮加熱部31で必要な熱エネルギーの量を小さくすることができる。
しかし、本加熱部39では、電磁鋼板同士を固着させる必要があり、樹脂粉が解けて、濡れ広がりを大きくし、固着面積を大きくできるので本加熱部の設定温度T2は、仮加熱部の設定温度T1に比較して十分大きくすることが望ましい(この時、当然にT2>T1)。
以上説明したように、低温加熱工程(低温加熱部により樹脂を電磁鋼板に塗布する工程)を有するため、樹脂を電磁鋼板に塗布した際、当該樹脂が電磁鋼板にすぐに固着されるので、固着力の安定化を図りやすい。また、設定温度が低温加熱工程の設定温度より高い本加熱工程(本加熱部により樹脂を電磁鋼板に塗布する工程)を有するため、電磁鋼板同士の固着力をより強固にすることができる。
さらに、仮加熱部31の前に、樹脂粉、あるいは電磁鋼板を加熱する予備加熱工程をさらに備えていてもよい。このようにすることで、樹脂粉が電磁鋼板に接触してすぐに固着を始めさせることができる。これにより、樹脂粉が電磁鋼板の移動によって落下する可能性をより確実に防止できる。
図6に本実施の形態1における電磁鋼板への樹脂粉の塗布状態を模式的に示す。
図6(a)において、樹脂塗布範囲(樹脂が塗布されている部分)は、材料の幅方向(図中に矢印で示した「積層装置送り方向」に対して直交する方向)全体に樹脂が塗布されることにより、矩形状となっており、かつ、それが間欠的に形成されたものとなっている。
ここで、非樹脂塗布範囲(樹脂が塗布されていない部分)は、積層体を切り分けるために予め設けられている部分である。つまり1個の積層体(分割コア)に必要な枚数分の面積に樹脂を塗布し、その間の1枚に相当する箇所を非樹脂塗布範囲(非樹脂塗布部)とする。これにより、連続して積層体を加熱したとしても、この箇所では積層方向に樹脂が介在しないため、固着されず、電磁鋼板を容易に分離することができる。
図6(b)には、本実施の形態1の電磁鋼板への樹脂粉の塗布状態の変形例を模式的に示す。樹脂塗布範囲が図6(a)より狭くなっている。つまり分割コアの一部のみに樹脂を塗布し、この部分だけを固着させている。このようにすることで樹脂の使用量を減らすことができる。
以上説明したように、本実施の形態1では、電気機械に用いられる金属片の積層体であって、その積層体の固定方法として、接着剤成分を含んでいない樹脂を使用している積層体を分割コアとして使用した。これにより、接着剤成分が含まれない樹脂で固着したので、積層体を安価に製造することができる。また、積層体には接着剤成分が含まれていないため、金型と電磁鋼板、あるいは金型同士がくっつくことを防止でき、生産性を高めることができる。
また、本実施の形態1では、積層体の積層面だけに樹脂が塗布されている積層体を分割コアとして使用した。すなわち、積層体の側面には固着用の樹脂が存在せず、積層体を周方向に配置するため、積層体同士を組み立てる際に、互いに干渉することを避けることができる。
また、本実施の形態1では、上記の樹脂が、粉体状の樹脂で構成されている積層体を使って分割コアとした。このような樹脂粉を使うことで、より薄い固着層にすることができるため、回転電機において、鉄心の(体積)占積率を高めることができる。
また、本実施の形態1では、金属の薄板を打ち抜く前に樹脂を仮固着するための仮加熱工程を有し、金属片を打ち抜いた後に再度加熱をして積層方向に固着する本加熱工程を有する製造方法を採用した。このため、仮加熱工程があることで、塗布後の樹脂が板材にすぐに固着され、プレス打ち抜き時まで樹脂が板材から剥がれないで固着させておくことが可能である。このためプレス後に再度加熱したときにも、電磁鋼板同士の固着力の安定化を図りやすい。
さらに、本実施の形態1では、金属片の打ち抜き前、かつ、樹脂粉の仮加熱工程後に、プレス油を塗布する工程を有している。プレス油があることで積層体の打ち抜き速度を上げることができ、生産性を高めることができる。またプレス油があったとしても、樹脂を板材に固着させたあと(仮加熱工程後)なので、樹脂が剥がれず固着力の安定化を図りやすい。
このように、本実施の形態1の積層体を回転電機に使用することで、より安価で、生産性の高い回転電機を提供することが可能となる。つまり、高価な接着剤成分が入っていない積層体としたので、積層体を安価に提供することができ、また、接着剤成分が積層体に入っていないため、金型内で板材と金型がくっつく、あるいは、かすとくっつくといったことを抑制することができるため、生産性の高い回転電機を提供することが可能となる。
実施の形態2.
[金型内積層]
本実施の形態2の積層装置200aの概要図を図7に示す。実施の形態1との違いは、プレス装置36aが、単発プレス方式(単発金型37aを用いて行う加工方式)を採用していることと、仮加熱部での加熱工程の前に、プレス油塗布部によるプレス油の塗布工程があることである。
まずプレス装置36aが単発プレス方式を採用していることから、実施の形態1に比べ金型の数が全体として少なく、金型の費用を抑制することが可能となる。
次に、仮加熱部の前にプレス油塗布部を設けることで、金属薄板(電磁鋼板)に塗布されたプレス油が仮加熱部で加熱されることになる。次に、樹脂塗布部32aは、スプレー41、あるいはディスペンサ42を有しており、この樹脂塗布部32aにより、微粒子状の樹脂粉を塗布する。このとき、樹脂粉がプレス油を介して、金属薄板に固着される。上記以外は実施の形態1と同じ工程である。
このように実施の形態1とは異なる工程順であっても、実施の形態1と同様の積層体を積層装置200aにより製造することができる。
また、本実施の形態2では、使用する樹脂によっては融点が低く設定できるため、冷却部がなくても打ち抜き部に行くまでの間に、プレス油によって冷却できることから、このような場合においては、冷却部を省くことも可能である。ただし、打ち抜き部に到達するまでに金属薄板が冷却されていなければ、打ち抜き部の金型に樹脂が固着する可能性があり、これが製品の精度に影響を与える可能性があり望ましくないので、このような場合には冷却部は必要である。
実施の形態3.
[金型内積層]
本実施の形態3の積層体の製造方法に関して、図8、図9を用いて以下説明する。
本実施の形態3では、実施の形態1、および実施の形態2においては、積層体の製造に関わる全ての工程を一連の工程としているのに対して、2つの工程に分けて積層体の製造を行う点が異なっている。
具体的には、樹脂粉(本実施の形態3では、ポリマー微粒子を用いる)を金属薄板に塗布し仮固着させる工程(図8参照)と、プレス装置で金属薄板を打ち抜く工程(図9参照)とに分けている。なお、本実施の形態3においては、塗布する樹脂粉をポリマー微粒子(樹脂粉の一種)に限定している点が上記実施の形態1、および2とは異なる。
つまり、図8では、フープ材30を送り出し装置(図示せず)で送り、仮加熱部31で金属薄板を加熱し、ポリマー微粒子塗布部32bでポリマー微粒子を塗布する。このときポリマー微粒子とは実施の形態1で説明した平均粒径20μm以下のものである。塗布されたポリマー微粒子は加熱されている金属薄板に当たると溶け、固着する。この状態で冷却し、再び金属薄板をフープ材30aとして巻き取る(図8において、点線の円形状で示した部分を参照)。
次に、図9に示すように、積層装置200bにおいて、ポリマー微粒子で構成された樹脂粉がプリコートされたフープ材30aを導入し、プレス油塗布部35でプレス油を塗布した後、順送プレス方式を採用したプレス装置36(打ち抜き部38、本加熱部39を有する金型37(ここでの金型は順送金型)を備える)で打ち抜く。その後、プレス装置内の本加熱部39で加熱し樹脂粉を融点まで加熱し、固着する。このようにして積層体50が製造される。
以上説明したように、積層体の製造において、プリコート工程(図8参照)と積層工程(図9参照)を分けることができる。このため、敷地(面積)の制約、あるいは既存設備の制約でどちらか1つの工程しか実施できない場合であっても、工程を分割することで、結果的に所望の積層体を製造することが可能となる。
実施の形態4.
[金型外積層・金型前樹脂塗布]
図10は、本実施の形態4の積層体の製造方法を説明するための図である。実施の形態1~3では、予めフープ材である電磁鋼板に樹脂粉を塗布した後に、金型内で積層体の形状を打ち抜き、それを本加熱部で固着して積層していたが、本実施の形態4では、本加熱部をプレス装置には設置せず、プレス装置の外部に設置した固着装置44に設けた本加熱部39において、固着前の積層体(積層体の形状に打ち抜かれた状態のもの)を固着装置に設けた本加熱部で加熱することにより、固着させている。
つまり、図10に示す積層装置200cで、電磁鋼板への樹脂粉塗布および仮固着と、樹脂粉塗布して仮固着した電磁鋼板の打ち抜き、および固定までの工程を、積層固定治具43なども利用した一連の工程で行い、図11に示す固着装置に設けられた本加熱部により、電磁鋼板を固着して積層体を製造している。すなわち、電磁鋼板同士の固着は、図11に示した別の工程で実施している。すなわち、図10に示す積層装置200cで、未固着状態の積層体(以下、ワークとも呼ぶ)を製造し、このワークを図11に示す固着装置44に設けられた本加熱部39である加熱炉45の内部に配置する。このときワークを構成する複数の電磁鋼板は、積層された状態でピン47に支持された圧縮ばね46により加圧されている。
この状態にすることで、樹脂粉の積層方向の厚みが減少しても、樹脂粉が加熱され、ばねで圧縮されることにより、一定の力でワークを加圧することが可能となる。これにより、樹脂粉が潰された状態で、ワークを構成する複数の電磁鋼板同士を固着させることができる。
この場合において、上記加熱炉45の温度は使用する樹脂粉の融点よりも高く、さらに、仮加熱工程の温度よりも高いことが望ましい。また、固着装置44をプレス装置とは別に配置したことで、プレス装置36に熱を奪われるようなことがなく、十分な加熱と加圧を得ることができる。このため、より確実で信頼性のある固着が実現できる。また、加圧により樹脂粉の厚みをより薄くすることができるため、積層体のうち、金属薄板が占める体積割合(一般的には鉄心の体積占積率)を高めることが可能である。
このように、プレス装置による打ち抜き工程と、固着装置による本加熱工程を別々にすることで、固着強度の向上、あるいは占積率の向上を図ることが可能となる。
実施の形態5.
[金型外積層・樹脂あと塗り]
図12は、本実施の形態5の積層体の製造工程を説明するための図である。本実施の形態5では、積層体の製造のための全工程を、プレス打ち抜き工程、塗布工程、固着工程の3つに分けている点が他の実施の形態とは異なる。さらに、樹脂を塗布する工程順も異なる。
最初の工程(第1工程)として、電磁鋼板、あるいはSPCCなどの強磁性体の金属薄板をロール状にまとめたフープ材が、プレス装置36a(ここでは単発プレス方式を採用)に導入され、図2のような分割コアの形状に打ち抜かれる。このとき、プレス装置は順送金型を使用する順送プレス方式ではなく、単発金型37aを使用する単発プレス方式を用いているため、金型に要する費用を抑制することができる。
また、この第1工程においては、プレス油塗布装置を備えているため、プレス油を共有しながら金型で任意の形状に打ち抜くことができるので、金型寿命を長くすることができる。
また、樹脂粉を含まない状態で打ち抜きをするため、プレス金型内に樹脂粉が介在するということがなく、樹脂粉が金型の上型と下型の隙間に入り込んで止まるといった不具合を無くすことができる。
次に、第2工程の塗布工程では、図12に示した仮加熱部31と樹脂塗布部32と冷却部34と積層部48が使用される。
最初に、第1工程(単発プレス方式によるプレス打ち抜き工程)で得られた金属薄板(1枚)が第2工程である塗布工程に送られる。この第2工程では、まず仮加熱部31で金属薄板が加熱される。次に、樹脂塗布部32で、この金属薄板に樹脂粉が塗布される。塗布方法は前述したように、樹脂粉のみであってもよいし、溶剤に混ぜた樹脂粉を塗布してもよい。この際、仮加熱部31の設定温度は、樹脂粉の融点を超える温度であるため、樹脂粉が金属薄板に固着する。次に、冷却部34に送られ、樹脂粉の融点より低い温度に冷却される。この冷却を実施することで、金属薄板から樹脂粉が飛散することを防止できる。次に、金属薄板は、積層部48に送られる。積層部48には、所定の枚数分の金属薄板を積層し、位置を固定するための積層固定治具43が設けられている。この積層固定治具43により複数の金属薄板が固定された状態で、次の第3工程(固着工程)に送られる。
第3工程の固着工程では、積層固定治具43aと積層体を圧縮するための圧縮ばね46と、この圧縮ばね46を支持するピン47と積層体を加熱して固着するための加熱炉45(本加熱部が設けられている)が使用される。この時、複数の金属薄板は、積層方向に上記圧縮ばね46による加圧を受けている。この状態で、複数の金属薄板を加熱炉45で加熱(本加熱)することにより、積層体を得ることができる。このような状態にすることで、樹脂粉が加熱により、積層方向の厚みが減少しても、ばねで圧縮しているため一定の力で加圧することが可能となる。つまり、樹脂粉を潰した状態で固着させることができる。加熱炉の温度は使用する樹脂粉の融点よりも高く、さらに、仮加熱工程の設定温度よりも高いことが望ましい。
以上説明したように、固着装置44をプレス装置36aとは別に配置したことで、プレス装置36aに熱を奪われるようなことがなく、十分な加熱と加圧を得ることができる。このため、より強度の高い固着ができる。また、加圧により樹脂粉をより薄くすることができるため、積層体のうち、金属薄板が占める体積割合(一般的には鉄心の占積率)を高めることが可能である。
このように、プレス装置36aによる打ち抜き工程と、固着装置44による本加熱工程を別々にすることで、固着強度の向上、あるいは体積占積率の向上を図ることが可能となる。
更に、プレス油塗布部35によるプレス油を塗布する工程は、樹脂粉を塗布する工程の直前の工程ではない。このため、プレス油がほぼ無い状態(付着が少ない状態)で樹脂粉を塗布することが可能となる。このため、上述の他の実施の形態に比べ、樹脂粉にプレス油が介在しにくくなり、固着強度を高めることができる。
実施の形態6.
[電着塗装・金型内固着]
図13は、実施の形態6の積層体の製造工程を説明するための図である。図13に示す積層装置200dでは、フープ材30を送るためのアンコイラー(図示せず)、塗装部35a、仮加熱部(焼き付け部)31、冷却部34、プレス油塗布部35、プレス装置(順送プレス方式、あるいは単発プレス方式)36が使用される。本実施の形態6では、積層体の製造のための全工程が分離せず一連となっている。またプレス装置36の内部に、打ち抜き部38と本加熱部39を有する金型37を備える。この金型37は順送金型、あるいは単発金型の何れでも良い。
まず、電磁鋼板、あるいはSPCCなどの強磁性体の金属薄板をロール状にまとめたフープ材30が、塗装液49が貯留された塗装部35aに導入される。この塗装部35aでは、前記塗装液49の中に金属薄板を連続的に浸漬する。図示していないが、塗装液49の中には、電極があり、この塗装部35aで電圧を加えることで塗装液49に混合している絶縁体(例えば樹脂)を金属薄板に付着させる。次に、絶縁体が付着した金属薄板を仮加熱部31で加熱し絶縁体の金属薄板への焼き付けを行う。これにより、金属薄板への絶縁電着塗装が完成する。
このように金属薄板への浸漬塗装によって金属薄板に電着塗装することにより、金属薄板に対して、均一に塗装をすることができる。また電磁鋼板を使わない場合でも、絶縁被膜が構築できるため、より安価な強磁性体(例えばSPCC、S45C(機械構造用炭素鋼)など)を使うことができる。また、金属薄板の表面と裏面だけでなく、側面にまで絶縁電着塗装が可能である。これにより、回転電機として使用する場合、コアに巻き付けるコイルとの絶縁を容易にとることができる。
その後、金属薄板は、プレス油塗布部35によるプレス油塗布工程を経て、プレス装置36に導入され、図2のような分割コアの形状に打ち抜かれる。本実施の形態6の積層体の製造工程においては、プレス油塗布工程を含んでいるため、プレス油を共有しながら金型で金属薄板を任意の形状に打ち抜くことができるため、金型寿命を長くすることができる。また電着塗装であるため、絶縁体が金属薄板に密着した状態のまま打ち抜きをするため、プレス金型内に樹脂などの絶縁体が残存することを抑制でき、絶縁体が金型の上型と下型の隙間に入り込んで、積層体の製造が止まるといった不具合を抑制することができる。
次に、積層体は本加熱部39に移動し、この本加熱部39で加熱されることで、電着塗装された絶縁体が再び溶融し、プレスの加圧力によって金属薄板は積層方向に加圧され固着され、積層体50の製造が完了する。
本実施の形態では、前述したように樹脂粉を使うわけではなく、電着塗装された絶縁体を使用する。このため、樹脂粉を使用した場合のような飛散がなく、プレス工程が止まるようなことが無いため、生産性が低下することを防止できる。
また絶縁電着塗装を使うため、金属薄板の表面、あるいは裏面に対して均一に絶縁体を塗布することが容易であり、この絶縁体により塗布膜の厚みをより薄くすることが可能である。なお、絶縁電着塗装の材料としては、数種類の市販されている材料の使用が可能である。
実施の形態7.
[電着塗装・金型外固着]
実施の形態7の積層体の製造方法に関して、図14と図9を用いて以下説明する。
本実施の形態7では、絶縁体を金属薄板に電着塗装する工程(図14参照)と、プレス装置での金属薄板の打ち抜き工程(図9)を分けている。
つまり、塗装部35a、仮加熱部31、冷却部34などを備えた図14に示す電着塗装装置201を用いた電着塗装工程では、フープ材30を送り出し装置(別名:アンコイラー、図示せず)で送り出し、塗装部35aに導入する。ここでは実施の形態6と同様に、金属薄板を、絶縁体を含む塗装液49に浸漬させることで電着塗装をする。次に仮加熱部31で絶縁体の焼き付けを行う。これにより、絶縁体の電着塗装が完成する。このように、浸漬塗装による電着塗装をすることで、より均一に、金属薄板に電着塗装をすることができる。
次に、図9に示すように、積層装置に、絶縁体が電着塗装されたフープ材30aを導入し、プレス油塗布部35の内部でプレス油をさらに塗布した後、プレス装置36で金属薄板を打ち抜く。その後、プレス装置36の内部の金型の本加熱部39で、打ち抜かれた金属薄板を加熱することにより、絶縁体を融点まで加熱し、固着する。これにより積層体50の製造が完了する。
以上説明したように、積層体の製造工程において、電着塗装する工程(図14参照)と積層装置200bでのプレス装置による打ち抜き工程(図9)を分けることができる。このため、敷地(面積)の制約、あるいは既存設備の制約により、どちらか1つの工程しか実施できない場合であっても、工程を分割することで所望の積層体を製造することが可能となる。
また、一般的に電着塗装にかかる時間は、プレス打ち抜きにかかる時間よりも長い。そのため、これらを分けた工程にすることで、それぞれに必要な時間でフープ材を送ることができる。例えば、プレス打ち抜き速度に合わせた場合、十分な電着塗装が行えないなどの不具合が生じるが、本実施の形態ではこの2つの工程を分けているので、これを抑制することが可能となる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
以下、本願の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
強磁性体の薄板が複数枚積層された積層体であって、
前記薄板は、所定の接着剤成分を含んでいない樹脂を介して、隣接する薄板が互いに固着されて積層されていることを特徴とする積層体。
(付記2)
前記所定の接着剤成分は、シランカップリング剤、あるいはチタネートカップリング剤であることを特徴とする付記1に記載の積層体。
(付記3)
前記薄板は、T字形状に形成され、前記薄板の表面あるいは裏面である積層面だけに前記樹脂が塗布されて互いに固着されていることを特徴とする付記1に記載の積層体。
(付記4)
前記樹脂は、粉体状の樹脂であることを特徴とする付記1から3のいずれか1に記載の積層体。
(付記5)
付記4に記載の積層体を製造する積層体の製造方法であって、
前記薄板をコイル状の平板からプレス装置で打ち抜く前に、前記樹脂により前記薄板同士を仮固着するために前記薄板を加熱する仮加熱工程と、
前記薄板を前記プレス装置で打ち抜いた後に、再度当該打ち抜いた薄板を加熱して、前記樹脂により、積層方向に複数枚の前記打ち抜いた薄板同士を互いに固着する本加熱工程と、
を有することを特徴とする積層体の製造方法。
(付記6)
前記仮加熱工程の後、かつ前記薄板を打ち抜く前に、プレス油を塗布するプレス油塗布工程を有することを特徴とする付記5に記載の積層体の製造方法。
(付記7)
前記樹脂は、溶剤に溶かして塗布されることを特徴とする付記5または6に記載の積層体の製造方法。
(付記8)
前記仮加熱工程で設定される設定温度T1と前記本加熱工程で設定される設定温度T2に差を設け、T2>T1とすることを特徴とする付記5から7のいずれか1に記載の積層体の製造方法。
(付記9)
前記仮加熱工程の前に、前記薄板または前記樹脂を予備的に加熱する予備加熱工程をさらに有することを特徴とする付記5から8のいずれか1に記載の積層体の製造方法。
(付記10)
付記1から4のいずれか1に記載の積層体を製造する積層体の製造装置であって、
前記樹脂を前記薄板に仮固着するために前記薄板を加熱する仮加熱部と、
前記薄板をプレス装置で打ち抜く打ち抜き部と、
前記薄板を前記プレス装置で打ち抜いた後に、再度当該打ち抜いた薄板を加熱して、前記樹脂により、積層方向に複数枚の前記打ち抜いた薄板同士を互いに固着する本加熱部と、
を有することを特徴とする積層体の積層装置。
1 固定子コア、2 分割コア、3 バックヨーク部、4 ティース部、5 凹部、6 凸部、7 溝、8 強磁性体、9 電磁鋼板、10 固定子、11 絶縁コーティング、12 樹脂層、20 回転子、21 回転子コア、22 磁石、30 フープ材、31 仮加熱部、32、32a 樹脂塗布部、32b ポリマー微粒子塗布部、33 ノズル、34 冷却部、35 プレス油塗布部、36 プレス装置、37 金型(順送金型)、37a 単発金型、38、38a 打ち抜き部、39 本加熱部、40 非塗布部、41 スプレー、42 ディスペンサ、43 積層固定治具、44 固着装置、45 加熱炉、46 圧縮ばね、47 ピン、48 積層部、49 塗装液、50、50a 積層体、100 回転電機、200、200a、200b、200c、200d 積層装置、201 電着塗装装置

Claims (10)

  1. 強磁性体の薄板が複数枚積層された積層体であって、
    前記薄板は、所定の接着剤成分を含んでいない樹脂を介して、隣接する薄板が互いに固着されて積層されていることを特徴とする積層体。
  2. 前記所定の接着剤成分は、シランカップリング剤、あるいはチタネートカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記薄板は、T字形状に形成され、前記薄板の表面あるいは裏面である積層面だけに前記樹脂が塗布されて互いに固着されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  4. 前記樹脂は、粉体状の樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 請求項4に記載の積層体を製造する積層体の製造方法であって、
    前記薄板をコイル状の平板からプレス装置で打ち抜く前に、前記樹脂により前記薄板同士を仮固着するために前記薄板を加熱する仮加熱工程と、
    前記薄板を前記プレス装置で打ち抜いた後に、再度当該打ち抜いた薄板を加熱して、前記樹脂により、積層方向に複数枚の前記打ち抜いた薄板同士を互いに固着する本加熱工程と、
    を有することを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 前記仮加熱工程の後、かつ前記薄板を打ち抜く前に、プレス油を塗布するプレス油塗布工程を有することを特徴とする請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記樹脂は、溶剤に溶かして塗布されることを特徴とする請求項5または6に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記仮加熱工程で設定される設定温度T1と前記本加熱工程で設定される設定温度T2に差を設け、T2>T1とすることを特徴とする請求項5または6に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記仮加熱工程の前に、前記薄板または前記樹脂を予備的に加熱する予備加熱工程をさらに有することを特徴とする請求項5または6に記載の積層体の製造方法。
  10. 請求項1から3のいずれか1項に記載の積層体を製造する積層体の製造装置であって、
    前記樹脂を前記薄板に仮固着するために前記薄板を加熱する仮加熱部と、
    前記薄板をプレス装置で打ち抜く打ち抜き部と、
    前記薄板を前記プレス装置で打ち抜いた後に、再度当該打ち抜いた薄板を加熱して、前記樹脂により、積層方向に複数枚の前記打ち抜いた薄板同士を互いに固着する本加熱部と、
    を有することを特徴とする積層体の積層装置。
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