JP2024000135A - 潅水システムおよび制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物の生育に対する悪影響を抑えた潅水を実施可能な潅水システムおよび制御装置を提供する。【解決手段】処理部は、潅水が供給されている給水経路に存在する給水の水温と圃場の地温とを用いて潅水を実施するか否かを決定する。信号出力部は、処理部によって地温が水温を上回りかつ水温が第1閾値を下回ると判定された場合に潅水を禁止する信号を出力する。信号出力部は、処理部によって地温が水温を上回っていないと判定された場合に潅水を禁止する信号を出力する。信号出力部は、処理部によって地温が水温を上回っていない場合、または地温が水温を上回りかつ水温が第1閾値を上回ると判定された場合に潅水を実施する信号を出力する。【選択図】図8

Description

この明細書における開示は、圃場への潅水の供給を制御する潅水システムおよび制御装置に関するものである。
特許文献1は、土壌中の酸素濃度を測定し、測定された酸素濃度が所定値以下となった時に潅水を抑制する潅水制御方法を開示している。特許文献2は、圃場外の水源から圃場内に給水し、土壌温度を所定の温度に調整する潅水方法を開示している。
特開2019-170201号公報 特開2021-78461号公報
この明細書では、植物に対して悪影響を与える要因を排除するために、上記の先行技術文献に開示されていない潅水指令時の制御を提案する。
この明細書における開示の目的は、植物の生育に対する悪影響を抑えた潅水を実施可能な潅水システムおよび制御装置を提供することである。
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
開示された潅水システムの一つは、植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路と、給水経路の温度を検出する温度センサ(160)と、地温を検出する地温センサ(312)と、地温センサによって検出された地温と温度センサによって検出された温度とを用いて潅水量を制御する制御装置(200)と、を備える。
この潅水システムによれば、給水温度に関係する給水経路の温度と地温とを用いて潅水量を制御する。このため、地温に対して給水経路の温度が高い場合と低い場合とで潅水量を変化させた制御を実施できる。したがって、この潅水システムは、給水温度が植物の生育に対する悪影響を与えることが予測される場合に、これを抑える潅水を実施できる。
開示された潅水システムの一つは、制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合に潅水を禁止し、地温が給水経路の温度を上回っていない場合、または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回る場合に潅水を実施する。
この潅水システムによれば、給水経路の温度が地温まで上昇していない低温であるときの潅水を抑制でき、給水経路の温度が上がってくる時間まで潅水を延期できる。一方、給水経路の温度が地温よりも高い場合、または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回る場合に、潅水を実施することで、植物の生育に対し悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。したがって、この潅水システムは、植物の生育に対する悪影響を抑えた潅水を実施できる。
開示された潅水システムの一つは、制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に給水経路の停留水を植物に放出することなく排水した後に潅水を実施し、給水経路の温度が排水用閾値を下回る場合に停留水を含んだ潅水を実施する。
この潅水システムによれば、給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に高温の停留水を植物に放出することなく排水した後に適温の潅水を実施できる。一方、給水経路の温度が排水用閾値を下回る場合に適温の停留水を含んだ潅水を実施することで、植物の生育に対し悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。したがって、この潅水システムも、植物の生育に対する悪影響を抑えた潅水を実施できる。
開示された制御装置の一つは、植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路の温度と地温とを用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部(334)と、潅水を実施するタイミングにおいて、処理部によって地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回ると判定された場合に潅水を禁止する信号を出力し、処理部によって地温が給水経路の温度を上回っていないと判定された場合に潅水を禁止する信号を出力し、処理部によって地温が給水経路の温度を上回っていない場合、または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回ると判定された場合に潅水を実施する信号を出力する信号出力部(332)と、を備える。
この制御装置によれば、給水経路の温度が地温まで上昇していない低温であるときの潅水を抑制でき、給水経路の温度が上がってくる時間まで潅水を延期できる。一方、給水経路の温度が地温よりも高い場合、または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回る場合に、潅水を実施する制御により、植物への悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。したがって、この制御装置は、植物の生育に対する悪影響を抑えた潅水を実施できる。
開示された制御装置の一つは、植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路の温度を用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部(334)と、潅水を実施するタイミングにおいて、処理部によって給水経路の温度が排水用閾値を上回ると判定された場合に給水経路の停留水を植物に放出することなく排水する信号を出力した後に潅水を実施する信号を出力し、処理部によって給水経路の温度が排水用閾値を下回ると判定された場合に停留水を含んだ潅水を実施する信号を出力する信号出力部(332)と、を備える。
この制御装置によれば、給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に高温の停留水を植物に放出することなく排水した後に適温の潅水を実施できる。一方、給水経路の温度が排水用閾値を下回る場合に適温の停留水を含んだ潅水を実施する制御により、植物の生育に対し悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。したがって、この制御装置も、植物の生育に対する悪影響を抑えた潅水を実施できる。
第1実施形態の潅水システムの構成図である。 監視部を示すブロック図である。 給水弁として適用可能なバルブ装置を示す断面図である。 バルブ装置が備える駆動部の構成を示す図である。 バルブ装置が備えるバルブを示す斜視図である。 バルブ装置における回転角度と流量との関係を示す図である。 給水弁、各種センサの関係を示す給水経路図である。 潅水指令時の作動の一例を示すフローチャートである。 潅水指令時の作動の一例を示すフローチャートである。 潅水指令時の作動の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態における給水弁、各種センサの関係を示す給水経路図である。 第2実施形態の監視部を示すブロック図である。 第3実施形態における潅水指令時の作動を示すフローチャートである。 第4実施形態における潅水指令時の作動を示すフローチャートである。 第5実施形態における潅水指令時の作動を示すフローチャートである。 第6実施形態における潅水指令時の作動を示すフローチャートである。 第7実施形態における給水弁、各種センサの関係を示す給水経路図である。 第7実施形態の監視部を示すブロック図である。 第8実施形態における給水弁、各種センサの関係を示す給水経路図である。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
第1実施形態
潅水システムの一例を開示する第1実施形態について図1~図10を参照しながら説明する。以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、z方向と示す。この明細書ではx方向とy方向とによって規定される平面が水平面に沿っている。z方向が鉛直方向に沿っている。図面においては「方向」の記載を省略して、単に、x、y、zと表記している。
<圃場>
潅水システム10は丘や平野に開墾された野外の圃場20に適用される。図1に示すように、潅水システム10が平野に開墾された圃場20に適用された形態を説明する。この圃場20の広さは数10平方メートル~数1000平方キロメートルになっている。圃場20にはx方向に延びる畝などの生育場所が複数設けられている。これらx方向に延びる複数の生育場所がy方向で離間して並んでいる。これら複数の生育場所それぞれに植物の種や苗が埋められる。この植物としては、例えば、葡萄、トウモロコシ、アーモンド、ラズベリー、葉菜、綿などがある。潅水システム10は、ハウスなどの室内に設けられている圃場20に適用される構成でもよい。したがって、この明細書における圃場20は、屋外、屋内のいずれに設けられている土壌にも適用可能である。
1つの生育場所で複数の植物が生育される。複数の植物はx方向で並んで1つの列を成している。以下においてはこのx方向で列を成して並ぶ複数の植物を植物群と示す。圃場20では複数の植物群がy方向で離間して並んでいる。複数の植物群のy方向の最短離間距離は、1つの植物群に含まれる複数の植物のx方向の最短離間距離よりも長くなっている。複数の植物群のy方向の離間間隔は生育する植物の種類や圃場20の起伏と気候に応じて種々変更される。複数の植物群のy方向の離間間隔は1m~10mほどである。たとえ植物の枝葉がy方向に生い茂ったとしても、少なくとも人が2つの植物群の間をx方向に移動できる程度の幅が確保されている。
<潅水システム>
潅水システム10は給水装置100と制御装置200を備えている。給水装置100は潅水を圃場20の植物に供給する。制御装置200は潅水期間において給水装置100から植物に供給される潅水の供給時刻と量を決定する。制御装置200は給水装置100の潅水スケジュールを決定する。潅水システム10は、潅水時に水漏れ、詰まりなどの異常状態を検出して異常状態が生じた場合の潅水復帰(フェールセーフ)を実施することができる。
<給水装置>
給水装置100は、ポンプ110、給水配管130などを有する。ポンプ110は潅水を給水配管130に流下させる給水源である。
<ポンプ>
ポンプ110は、常時駆動状態になっている。あるいは、ポンプ110は昼間駆動状態になっている。また、ポンプ110の駆動および停止は、制御装置200によって制御される。ポンプ110はタンクやため池に貯水されている潅水を汲み出し、それを給水配管130に供給する。潅水は井戸水、河川水、雨水、市水などである。給水配管130には、圃場20に吐水させる潅水の流量を制御可能な複数の給水弁15が設けられている。これらの給水弁15のそれぞれが閉状態であり、かつ、給水配管130からの潅水の漏れが生じていない場合、給水配管130は潅水で満たされる。この際、給水配管130内の水圧は、ポンプ110の吐出能力に依存した値(ポンプ圧ともいう)になる。給水弁15が閉状態から開状態になると、給水配管130から圃場20に潅水が吐出される。潅水の吐水量が時間平均的に安定すると、給水配管130内の水圧は、ポンプ圧よりも水圧の低い流動圧になる。
<給水配管>
給水配管130は主配管を含む。主配管はポンプ110に連結されている。ポンプ110は、主配管に潅水を供給する。潅水は主配管を介して圃場20に供給される。
<主配管>
主配管は、縦配管133と第1連結管134を含む。縦配管133はy方向に延びている。第1連結管134はx方向に延びている。縦配管133と第1連結管134は互いに連結されている。係る構成のために潅水は主配管内をy方向およびx方向に流れる。図1に示す一例では、1つのポンプ110に1つの縦配管133が連結されている。このy方向に延びる縦配管133から複数の第1連結管134が延びている。
図1、図7に示す給水経路の構成は、潅水に係る通路構成の一例に過ぎない。圃場20に設けられるポンプ110と縦配管133の数、1つのポンプ110に連結される縦配管133の数、1つの第1連結管134に連結される縦配管133の数、および、第1連結管134と縦配管133のz方向の位置は特に限定されない。
複数の第1連結管134はy方向で離間して並んでいる。複数の第1連結管134のy方向の最短離間距離は、複数の植物群のy方向の最短離間距離と同等になっている。複数の第1連結管134の1つが複数の植物群の1つに設けられている。第1連結管134は植物群に含まれる複数の植物の並ぶ方向に沿って延びている。この第1連結管134に供給用配管が連結されている。
潅水システム10は、第1連結管134よりも給水経路の下流に、潅水を放出する複数の分配チューブ136を有している。各分配チューブ136は、圃場20の植物に対して潅水を供給する供給部である。各分配チューブ136は、圃場20に設けられた畝に対して潅水を供給できる位置に設置されている。分配チューブ136は、水圧変化にかかわらず一定の吐水量を実現するような圧力補正機構を有する構成でもよいし、圧力補正機構を有しない構成でもよい。
分配チューブ136には、潅水が流動するチューブの内部と外部とを連通する複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔は、各チューブにおいて、チューブの軸方向に所定間隔をあけて並んで設けられている。また、貫通孔は、各チューブにおいて、チューブの周方向に所定間隔をあけて並んで設けられている構成でもよい。複数の貫通孔の軸方向(例えばx方向)における離間間隔は、複数の植物のx方向における離間間隔と同等になっている。また、複数の貫通孔の離間間隔と複数の植物の離間間隔は異なっていてもよい。
<潅水の流動>
ポンプ110によって縦配管133に供給された潅水は、縦配管133内をy方向に流れる。この潅水は、縦配管133に連結された各第1連結管134に供給される。潅水は複数の第1連結管134内のそれぞれをx方向に流れる。第1連結管134内を流れる潅水は、分岐管134aを介して分配チューブ136に流下する。潅水は、分配チューブ136における各貫通孔から吐出されて、植物に供給される。分配チューブ136の各貫通孔から供給された潅水は主として植物の幹やその根本に供給される。
貫通孔は、例えば、各分配チューブ136において地面と面している部分よりも高い位置に設けられている。この場合には、貫通孔から吐出された潅水は、分配チューブ136の中心軸に対して放射する方向に広がり、チューブから離れた位置に散水することができる。
<給水弁>
給水弁15は、給水経路において、分配チューブ136よりも上流に設けられている。給水弁15が開状態になると、給水配管130と分配チューブ136の各貫通孔とが連通する。これにより貫通孔から潅水が吐出される。逆に、給水弁15が閉状態になると、給水配管130と分配チューブ136の各貫通孔との連通が遮断される。これにより貫通孔からの潅水の吐出が止まる。
給水弁15は、制御装置200によってバルブ開度が制御されることにより、分配チューブ136の貫通孔から吐水する潅水の流量を制御する。制御装置200は、給水弁15のバルブ開度を所定の開度から全開の間にわたって任意の値に制御する。給水弁15は、下流または上流の圧力を調整して、通過する流量を精密に可変できる流量調整バルブまたは圧力調整バルブである。所定の開度は、少し開いた開度、または開度0%、つまり全閉を含む値に設定される。
制御装置200は、給水弁15のバルブ開度を制御することにより、各貫通孔から吐出される単位時間当たりの吐出流量、または吐出流速を制御する。この制御により、制御装置200は、分配チューブ136から吐出される潅水が分配チューブ136から離間して着地する距離である飛水距離または吐出量を制御することができる。飛水距離は、貫通孔を通じて分配チューブ136から飛び出した潅水の土壌着地点と分配チューブ136との距離である。この飛水距離を制御する技術によれば、潅水を必要としている場所への効率的な潅水を実施でき、節水にも寄与する。給水弁15は、給水の流下と給水の遮断とを制御する開閉弁であるとともに、給水流量を制御可能な流量調整弁として機能する。
制御装置200は、潅水を供給する植物の種類、圃場20の作土層の範囲などに基づいて潅水の飛水距離を決定する。制御装置200は、決定した飛水距離が得られるように給水弁15のバルブ開度を制御する。例えば、給水弁15のバルブ開度は、植物が根を広く張ったり、作土層が浅く広範囲であったりする場合に、飛水距離を大きくするように制御される。また、給水弁15のバルブ開度は、植物が根を深く張ったり、作土層が分配チューブ136の近くに位置したりする場合に、飛水距離を小さく抑えるように制御される。飛水距離は潅水距離と言い換えることができる。
<水圧センサ>
水圧センサ14は、給水配管130に含まれる配管に設けられている。水圧センサ14は、配管内の水圧を検出する圧力センサである。水圧センサ14で検出された水圧は制御装置200に出力される。水圧センサ14は、給水経路において分配チューブ136よりも上流部位に設置されている。さらに水圧センサ14は、給水経路において分配チューブ136よりも下流部位に設置されている構成でもよい。
給水弁15が閉状態になり、配管内が潅水で満たされると、水圧センサ14でポンプ圧が検出される。給水弁15が閉状態から開状態になると、分配チューブ136から潅水が吐出される。潅水の吐水量が時間平均的に安定すると、水圧センサ14で流動圧が検出される。給水弁15が開状態から閉状態になると、給水配管130からの潅水の吐出が止まる。給水配管130内の水圧は流動圧からポンプ圧へと徐々に回復する。水圧センサ14ではこの流動圧からポンプ圧へと徐々に回復する過渡期の水圧が検出される。
給水配管130や給水弁15に破損が生じ、その破損個所から潅水が漏れている場合、水圧センサ14で検出される水圧が減少する。これによって破損が生じているか否かを検出することができる。この破損の検出処理は制御装置200で実行される。潅水システム10は、水圧センサ14の代わりに、通路を流れる流体の流量を検出する流量センサを備える構成としてもよい。潅水システム10は、水圧センサ14や流量センサの検出値を用いて、給水弁15のバルブ開度をフィードバック制御する。
<制御装置>
図1、図2に示すように制御装置200は、監視部300、統合通信部400、情報格納部500、および統合演算部600を含む。図面では統合通信部400をICDと表記している。制御装置200は監視部300を複数有する。複数の監視部300のそれぞれは、圃場20における所定の分割エリアに対応している。
監視部300には水圧センサ14で検出された水圧が入力される。監視部300は、圃場20の環境に関わる物理量である環境値を検出している。複数の監視部300それぞれは、水圧と環境値とを統合通信部400に無線通信によって出力している。
統合通信部400は各監視部300から入力された水圧と環境値を情報格納部500に無線通信によって出力する。情報格納部500はこれら水圧と環境値とを格納する。情報格納部500の一例は、いわゆるクラウドである。統合演算部600は情報格納部500に格納された水圧と環境値などの諸情報を読み出す。統合演算部600は読み出した諸情報を適宜処理し、諸情報や処理結果をユーザのスマートフォンやパソコンのモニタ700に表示する。
統合演算部600はユーザのスマートフォンやパソコンなどに含まれている。統合演算部600は情報処理演算機器610、メモリ620、および通信装置630を有する。図面では情報処理演算機器610をIPCE、メモリ620をMM、通信装置630をCDと表記している。情報処理演算機器610にはプロセッサが含まれている。情報処理演算機器610は潅水処理に関わる演算処理を行う。係る機能は情報処理演算機器610に潅水アプリケーションプログラムがダウンロードされることで実現される。統合演算部600は、クラウド上に実装される演算装置であってもよい。この場合、統合演算部600と情報格納部500とを合わせてクラウド上に実装する構成としてもよい。
メモリ620はコンピュータやプロセッサによって読み取り可能な各種プログラムと各種情報を非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。メモリ620は揮発性メモリと不揮発性メモリとを有している。メモリ620は通信装置630に入力された諸情報や情報処理演算機器610の処理結果を記憶する。情報処理演算機器610は、メモリ620に記憶された情報を用いて各種演算処理を実行する。
通信装置630は無線通信機能を備えている。通信装置630は受信した無線信号を電気信号に変換して情報処理演算機器610に出力する。通信装置630は情報処理演算機器610の処理結果を無線信号として出力する。以下、情報処理演算機器610、メモリ620、通信装置630を特に区別して表記せずに、総称とする統合演算部600を用いて本実施形態の技術内容を説明する。情報処理演算機器610は処理演算部に相当する。
ユーザは、潅水処理や潅水スケジュールに関わるユーザ指示を、タッチパネルやキーボードなどの入力機器800を用いて統合演算部600に入力する。統合演算部600は、このユーザ指示、情報格納部500から読み出した諸情報に基づいて、潅水処理指令を出力したり潅水スケジュールを決定したりする。ユーザからの指示がない場合、統合演算部600は諸情報に基づいて潅水スケジュールを自動的に決定する。
統合演算部600は、潅水処理指令を検出したり、潅水スケジュールに基づく潅水の供給開始時刻であると判定したりすると、給水弁15を制御する指示信号を情報格納部500に出力する。この指示信号は情報格納部500から統合通信部400を介して監視部300に入力される。監視部300は指示信号に基づいて給水弁15への給水信号の出力と非出力を制御する。これにより給水弁15の開閉状態が制御される。この結果、圃場20への潅水の供給が制御される。指示信号と給水信号のうちの少なくとも一方が制御信号に相当する。
<分割エリア>
監視部300は、1個の分配チューブ136につき1個設けられている。監視部300は、所定数の分配チューブ136につき1個設けられている構成でもよい。監視部300は、1つの畝ごとに対応して設けられている構成でもよい。図1に示すように、複数の監視部300は、給水弁15および水圧センサ14とともに、圃場20においてx方向を行方向、y方向を列方向として、行列状に配置されている。
係る構成により、行方向と列方向とによって区切られる複数の分割エリアのそれぞれに係る環境が、各分割エリアに対応する監視部300によって個別に監視される。さらに、各分割エリアにおける潅水の供給は、対応する監視部300によって個別に制御される。
<監視部>
図2に示すように監視部300は、制御部320などを有している。環境センサ310、給水弁15、水圧センサ14、水温センサ160などは、制御部320に電気的に接続されている。図面では環境センサ310をES、給水弁15をWV、水圧センサ14をWPSと表記している。給水弁15は、給水経路に設けられた具体的な装置として、給水弁150、給水弁151である。水圧センサ14は、給水経路に設けられた具体的な装置として、水圧センサ140、水圧センサ141、水圧センサ142である。
複数の環境センサ310は、複数の分割エリアに対応して、圃場20で行列配置されている。各環境センサ310は、各分割エリアの環境値を検出する。水圧センサ14は、各分割エリアの水圧を検出する。検出された各分割エリアの環境値および水圧は、情報格納部500に格納される。
制御部320は、マイコン330、通信部340、RTC350、および発電部360を含む。マイコンはマイクロコンピュータの略である。RTCはReal Time Clockの略である。図面では通信部340をCDPと表記している。
マイコン330には環境値と水圧が入力される。マイコン330はこれら環境値と水圧を、通信部340を介して統合通信部400に出力する。マイコン330には統合通信部400から指示信号が入力される。マイコン330はこの指示信号に基づいて給水信号を給水弁15に出力する。マイコン330が演算処理部に相当する。マイコン330は、給水弁15の作動を制御する制御装置である。マイコン330は動作モードとしてスリープモードと通常モードを有する。スリープモードはマイコン330が演算処理を停止している状態である。通常モードはマイコン330が演算処理を実行している状態である。通常モードはスリープモードよりも消費電力が多くなっている。
通信部340は統合通信部400と無線通信を行っている。通信部340はマイコン330から出力された電気信号を無線信号として統合通信部400に出力する。それとともに通信部340は統合通信部400から出力された無線信号を受信して電気信号に変換する。通信部340はその電気信号をマイコン330に出力する。電気信号に指示信号が含まれている場合、マイコン330はスリープモードから通常モードに切り換わる。マイコン330は、電気信号を受信する前にウェイクアップしている形態でもよい。
RTC350は、時を刻む時計機能と時間を計測するタイマ機能を有する。RTC350は予め設定された時刻になった場合、または予め設定された時間が経過した場合、マイコン330にウェイクアップ信号を出力する。このウェイクアップ信号がスリープモードのマイコン330に入力されると、マイコン330はスリープモードから通常モードに切り換わる。
発電部360は、太陽電池361によって取得した光エネルギーを電気エネルギーに変換している。発電部360は監視部300の電力供給源として機能している。電力供給は、発電部360からRTC350に絶えず行われている。これによりRTC350の時計機能とタイマ機能が損なわれることが抑制されている。太陽電池361は、一次電池、二次電池に置き換えられる構成でもよい。
<環境センサ>
圃場20の分割エリア毎に異なることが想定される環境値の一つとしては土壌水分量がある。環境センサ310は、対応する分割エリアにおける環境値を検出する。環境センサ310は、土壌水分量等を検出する土壌センサ311を含んでいる。複数の土壌センサ311は、圃場20に配置された複数の分割エリアの土壌水分量を検出する。図面では土壌センサ311をSMSと表記している。
圃場20の起伏や植物の育成状況によっては、分割エリア毎に異なることが想定される環境値の一つとして日射量がある。この明細書では、各環境センサ310は日射量を検出する日射センサを備えている。複数の日射センサは、圃場20における複数の分割エリアの日射量を検出する。
モニタ700には、複数の分割エリアにおいて検出された土壌水分量と日射量を行列配置することによって、圃場20における土壌水分量分布と日射量分布がマップ表示される。同様にモニタ700には、複数の水圧センサ14で検出された水圧を行列配置することで、圃場20における給水配管130の水圧分布がモニタ700にマップ表示される。係るマップ表示処理は統合演算部600で行われる。
圃場20における環境値には、降雨量、温度、湿度、気圧、二酸化炭素濃度および風量が含まれる。これらの環境値を検出するセンサは、レインセンサ、地温センサ312、湿度センサ、気圧センサ、CO2センサおよび風センサなどである。これらは複数の監視部300のうちの少なくとも1つの環境センサ310に含まれている。
監視部300の環境センサ310には、これら圃場20全体の環境値を検出する各種センサが含まれている。図面では、地温センサ312をGTSと表記している。風センサは風量だけではなく風向も検出する構成でもよい。レインセンサ、地温センサ312、湿度センサ、気圧センサ、および風センサのうちの少なくとも1つが、圃場20で行列配置された構成を採用することもできる。
係る構成は、例えば、圃場20が広かったり、圃場20の起伏が激しかったり、圃場20の気候変化が激しかったりするために、分割エリア毎に降雨量、温度、湿度、気圧、および風量が大きく変化しやすい場合に有効である。これらのセンサで検出された降雨量、温度、湿度、気圧、および風量を行列配置することにより、これら環境値をモニタ700にマップ表示することが可能になる。これらのセンサの出力は統合通信部400を介して通信部340に出力される。それとともに、これらのセンサの出力は統合通信部400を介して情報格納部500に格納される。
<土壌水分量>
これまでに説明した各種環境値のうち、潅水システム10が制御する環境値には、土壌水分量が含まれる。潅水システム10は分割エリア毎に潅水の供給時刻と供給量を制御する。これにより分割エリア毎の土壌水分量が個別に制御される。
植物は圃場20の作土層に根を張っている。植物の生育はこの作土層の土壌に含まれる水分量(土壌水分量ともいう)に依存している。土壌水分量が成長阻害水分点を上回ると植物に病害が発生する。土壌水分量が永久しおれ点を下回ると植物のしおれが回復しなくなる。これら成長阻害水分点と永久しおれ点とは植物の種類に応じて異なり、これらの値は情報格納部500に記憶されている。
土壌水分量の現在値は土壌センサ311で検出される。土壌水分量に関わりのある物理量としては、土壌水分量張力(pF値)や土壌誘電率(ε)がある。この明細書の土壌センサ311はpF値を検出している。
作土層の土壌水分量は圃場20の環境変化によって増減する。圃場20に雨が降ると土壌水分量が増大する。作土層から水が蒸発すると土壌水分量が減少する。また、植物が水分を吸収したり、作土層よりも下層へ水が浸透したりすると土壌水分量が減少する。作土層に降り注がれる雨の量(降雨量)はレインセンサによって検出される。作土層から蒸発する水分量である蒸発量は、日射量、温度、湿度、および風量に依存する。これらは、日射センサ、地温センサ312、湿度センサ、および風センサによって検出される。
植物が単位時間あたりに水分を吸収する吸水量は、植物の種類によって予め推定することができる。単位時間あたりに作土層よりも下層に浸透する水分量は、土壌の水分保持能力によって予め推定することができる。この推定値は情報格納部500に記憶されている。
以上に示したように、環境センサ310は、作土層の土壌水分量の現在値、環境変化による作土層の土壌水分量の現在値からの増加、および減少予測に関わる予測値のそれぞれを検出する。これらが環境値として情報格納部500に格納される。情報格納部500には、植物の成長阻害水分点と永久しおれ点、および植物が単位時間あたりに水分を吸収する吸水量と土壌の水分保持能力が格納されている。上記したユーザからの指示であるユーザ指示は情報格納部500に格納される。このように、情報格納部500には潅水スケジュールを決定するための諸情報が格納される。潅水システム10は、リアルタイムに土壌センサの検出値を確認し、検出値が閾値に到達した場合に潅水を中止するという制御を行う構成でもよい。
<マイコン>
図2に示すようにマイコン330は、取得部331、信号出力部332、記憶部333、および処理部334を備えている。図面では取得部331をAD、信号出力部332をSOU、記憶部333をMU、処理部334をPUと表記している。取得部331には環境センサ310で検出された環境値が入力される。取得部331には水圧センサ14で検出された水圧が入力される。取得部331とこれら環境センサ310および水圧センサ14のそれぞれとは、電気的に接続されている。
信号出力部332は給水弁15と電気的に接続されている。給水弁15のバルブ開度を制御するための制御信号(給水信号)は、信号出力部332から給水弁15に出力される。給水信号の未入力時に給水弁15は閉状態になっている。給水信号の入力時に給水弁15は開状態になっている。また、給水弁15は、給水信号の入力なしの場合、現状を維持し、入力ありの場合、その入力内容に従って、開閉するように構成されてもよい。例えば、制御信号未入力時は、給水弁15のバルブ開度は維持され、入力時に入力された開度指示の制御信号に応じて給水弁15のバルブ開度を調整される。
記憶部333はコンピュータやプロセッサによって読み取り可能なプログラムとデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶部333は揮発性メモリと不揮発性メモリとを有している。記憶部333には処理部334が演算処理を実行するためのプログラムが記憶されている。このプログラムには上記した潅水アプリケーションプログラムの少なくとも一部が含まれている。記憶部333には処理部334が演算処理を実行する際のデータが一時的に記憶される。記憶部333には、取得部331および通信部340のそれぞれに入力される各種データと、その各種データの取得時刻とが記憶される。
処理部334はRTC350からウェイクアップ信号が入力されるとスリープモードから通常モードになる。通常モードにおいて処理部334は、記憶部333に記憶されているプログラムと各種データとを読み込んで演算処理を実行する。この演算処理は、分配チューブ136の貫通孔を通じて飛水した水を所望の潅水位置に到達させるために必要なバルブ開度の演算を含む。処理部334は演算部に相当する。この演算は、統合演算部600の情報処理演算機器610によって実行される構成でもよい。
処理部334は取得部331に入力された各種センサ信号、通信部340に入力された指示信号の取得時刻をRTC350から読み出している。処理部334は指示信号と取得時刻とを記憶部333に記憶させる。取得時刻の読み出しは、統合通信部400が各監視部300から無線でデータを受信した際に統合通信部400にデータ取得時刻を記録させる構成でもよい。また、情報格納部500が統合通信部400から無線でデータを受信した際に情報格納部500にデータ取得時刻を記録させる構成でもよい。
処理部334は、環境センサ310と水圧センサ14から入力された環境値と水圧、およびそれらの取得時刻を通信部340と統合通信部400とを介して情報格納部500に格納する。処理部334は、情報格納部500、統合通信部400、および通信部340を介して統合演算部600から入力された指示信号に基づいて、信号出力部332を介して給水弁15に給水信号を出力する。
<通信部>
通信部340は処理部334から入力された電気信号を無線信号に変換する。通信部340はこの無線信号を統合通信部400に出力する。通信部340は統合通信部400から出力された無線信号を電気信号に変換する。通信部340はこの電気信号を処理部334に出力する。通信部340が出力する無線信号には、アドレスとデータとが含まれている。複数の通信部340と統合通信部400との間では、無線信号の送受信が行われる。無線信号に含まれるアドレスは、複数の通信部340のうちのいずれから出力されたかを示す識別コードである。換言すれば、無線信号に含まれるアドレスは、複数の処理部334のうちのいずれから出力されたかを示す識別コードである。複数の記憶部333それぞれに固有のアドレスが保存されている。
統合通信部400から出力される無線信号にもアドレスが含まれている。そしてこの無線信号のデータには指示信号が含まれている。この無線信号を各通信部340が受信する。この無線信号は各通信部340で電気信号に変換される。そしてこの電気信号は各処理部334に入力される。複数の処理部334のうち、その電気信号に含まれるアドレスと同一のアドレスを保有する処理部334のみが、その電気信号に基づく演算処理を実行する。マイコン330はスリープモードと通常モードとを交互に繰り返す間欠駆動をする。そのために通信部340と統合通信部400との間での無線通信は頻繁には行われない。
<発電部>
発電部360は太陽電池361、蓄電部362、電圧センサ363、および電力センサ364を含む。図面では太陽電池361をSB、蓄電部362をESU、電圧センサ363をCS、電力センサ364をPSと表記している。太陽電池361は光エネルギーを電気エネルギーに変換する。蓄電部362はその電気エネルギー(電力)を蓄電する。蓄電部362に蓄電された電力は、監視部300の駆動電力として活用される。
電圧センサ363は太陽電池361から蓄電部362に出力される電圧値を検出する。電力センサ364は蓄電部362から出力される電力を検出する。処理部334は、検出された電流値と電力値を、通信部340と統合通信部400を介して情報格納部500に格納している。監視部300の駆動電力は発電部360で発電された電力に依存している。このため、発電部360に入射する光量が少ないと、監視部300の駆動電力が不足することがある。これを避けるために監視部300のマイコン330は間欠駆動を行っている。電圧センサ363は、太陽電池361から蓄電部362に出力される電流を検出する電流センサに置き換える構成としてもよい。また、発電部360は電圧センサや電流センサを備えていない構成でもよい。
<RTC>
RTC350は、上記した間欠駆動の時間間隔(駆動周期)が経過するごとにウェイクアップ信号をマイコン330に出力している。これによりマイコン330はスリープモードと通常モードとを交互に繰り返している。上記の駆動周期は、蓄電部362に蓄電された電力量(蓄電量)に応じて統合演算部600によって決定される。間欠駆動間隔は、蓄電量に応じて統合演算部600によって決定される。
統合演算部600は情報格納部500に格納された電力に基づいて蓄電量を算出する。統合演算部600は蓄電量が少ないほどに間欠駆動間隔を長く設定する。統合演算部600は蓄電量が多いほどに間欠駆動間隔を短く設定する。統合演算部600は間欠駆動間隔を指示信号に含ませる。この指示信号をマイコン330の処理部334が取得すると、処理部334は間欠駆動間隔を調整する。処理部334はRTC350の駆動周期を調整する。圃場20の環境が数秒単位で極端に変化することはまれである。そのために間欠駆動間隔は数十秒~数十時間単位になっている。これに応じて、無線通信を行う時間間隔も数十秒~数十時間単位になっている。
<潅水システムの駆動>
潅水システム10では、複数の監視部300と統合演算部600との間での信号の送受信、および情報格納部500への各種データの保存が行われている。複数の監視部300と統合演算部600のそれぞれは、駆動周期毎に処理するサイクルタスクと、突発的に処理するイベントタスクとを実行する。
これらサイクルタスクとイベントタスクとには処理の優先順位がある。これらタスクの処理タイミングが同一になった場合、サイクルタスクよりもイベントタスクの処理が優先される。サイクルタスクとして、各監視部300はセンサ処理を実行する。統合演算部600は更新処理を実行する。イベントタスクとして各監視部300は、監視処理と給水処理を実行する。統合演算部600は、潅水処理、ユーザ更新処理、および強制更新処理を実行する。
<センサ処理>
センサ処理の前において、監視部300のマイコン330はスリープモードになっており、このマイコン330にRTC350からウェイクアップ信号が入力される。これによりマイコン330はスリープモードから通常モードに切り換わる。そして、マイコン330はセンサ処理を実行し始める。センサ処理はマイコン330の間欠駆動間隔で実行される。まず、各種センサから入力されるセンサ信号を取得し、さらにRTC350の出力に基づいてセンサ信号の取得時刻を取得する。さらに、取得したセンサ信号と取得時刻それぞれを記憶する。次に、センサ情報としてのセンサ信号と取得時刻を無線通信によって通信部340から統合通信部400に出力する。このセンサ情報は、統合通信部400によって情報格納部500に格納される。マイコン330はスリープモードに移行し、センサ処理を終了する。
<更新処理>
統合演算部600は、更新処理を更新周期が経過するごとに実行する。この更新周期はマイコン330の間欠駆動間隔と同程度になっている。まず、情報格納部500に格納されている諸情報を読み出す。次に、読み込んだ諸情報に基づいて、複数の監視部300のそれぞれの潅水スケジュールを更新する。また統合演算部600は各監視部300においてセンサ処理を更新する。統合演算部600はセンサ処理を実行するタイミングに相当する、間欠駆動間隔を更新する。統合演算部600は、その更新した潅水スケジュールと間欠駆動間隔を自身が保有するとともに、情報格納部500に格納し、更新処理を終了する。以上に示したように、サイクルタスクによって、センサ情報、潅水スケジュール、および、間欠駆動間隔が更新される。
監視処理、給水処理、および潅水処理のそれぞれは、監視部300の駆動電力の枯渇を避けるために、昼間に実行される。昼間か否かの判定は、現在時刻と日射センサで検出される日射量などによって検出することができる。
<監視処理>
監視処理の前において、各監視部300のマイコン330はスリープモードになっている。マイコン330には、無線通信によって統合演算部600から指示信号が入力される。この結果、マイコン330は、スリープモードから通常モードに切り換わり、監視処理を実行し始める。
まず、入力された指示信号とそれの取得時刻を記憶する。次に、指示信号に給水弁15を閉状態から開状態にする給水指示が含まれているか否かを判定する。給水指示が指示信号に含まれている場合、給水処理を実行する。給水処理においてマイコン330は、給水指示にしたがって、給水弁15に給水信号を出力する。さらにマイコン330は、指示信号に含まれている給水時間が経過したか否かを判定する。給水時間が経過していない場合、給水弁15に対する給水信号の出力を継続する。給水時間が経過した場合、給水信号の出力を停止して給水処理を終了する。
給水指示が指示信号に含まれていない場合、給水処理を実行せず、指示信号に間欠駆動間隔の更新指示が含まれているか否かを判定する。間欠駆動間隔の更新指示は、統合演算部600若しくは情報格納部500から各監視部300に指示信号として定期的若しくは不定期的に出力されている。間欠駆動間隔の更新指示が指示信号に含まれている場合、マイコン330の処理部334は、RTC350のウェイクアップ信号を出力する時間間隔を調整する。
間欠駆動間隔の更新指示が指示信号に含まれていない場合、センサ処理を実行する。給水処理を実行した場合、センサ処理において潅水供給後の環境値が検出される。給水処理を実行しなかった場合、センサ処理において潅水が供給されていないときの環境値が検出される。この環境値は情報格納部500に格納される。センサ処理を実行し終えるとマイコン330はスリープモードに移行し、監視処理を終了する。監視処理の開始条件は、統合演算部600からの指示信号に限定されない。RTC350がマイコン330を起動してから、マイコン330が処理後、センサデータを統合演算部600に送る。そして、統合演算部600からバルブの開度指示とともに次の間欠駆動のタイミングの指示を送る構成でもよい。
<潅水処理>
統合演算部600は、潅水処理を、各監視部300の潅水スケジュールにおいて、潅水を供給するタイミングになるごとに実行する。統合演算部600は、まず複数の監視部300のうち、潅水を供給する予定である分割エリアの監視部300に向けて、給水指示を含む給水信号を出力する。給水指示には、給水信号の出力開始と給水信号の出力時間(給水時間)とが含まれている。この給水指示を受信した監視部300は、前述した監視処理を実行する。
統合演算部600は、監視部300の監視処理が終了するまで待機状態になる。監視処理が終了した場合、更新処理を実行する。監視処理が終了したか否かの判断は、例えば、監視処理が終了することが見込まれる時間だけ経過したか否かに基づいて行う。監視処理が終了したか否かの判断は、監視部300に対して問い合わせることによって行うことができる。監視処理の終了判断方法については特に限定されない。
<ユーザ更新処理>
統合演算部600は、ユーザ更新処理を、潅水スケジュールや間欠駆動間隔の調整に関わるユーザ指示が入力機器800から入力された際に実行する。統合演算部600は、まず、入力されたユーザ指示を情報格納部500に格納する。次に、前述した更新処理を実行する。以上により、ユーザ指示に基づいて、潅水スケジュールや間欠駆動間隔が更新される。
<強制更新処理>
統合演算部600は、強制更新処理を、潅水スケジュールと間欠駆動間隔の更新に関わるユーザ指示が入力された際に実行する。統合演算部600は、まずセンサ処理の実行を要求する要求指示を含む要求信号を出力する。この要求信号は無線通信によって監視部300に出力される。次に、更新処理は、監視部300のセンサ処理が終了するまで待機状態になる。
センサ処理が終了した場合、前述した更新処理を実行する。センサ処理が終了したか否かの判断は、例えば、センサ処理が終了することが見込まれる時間だけ経過したか否かに基づいて行うことができる。また、センサ処理が終了したか否かを監視部300に対して問い合わせることによって行うことができる。センサ処理の終了判断方法については特に限定されない。潅水スケジュールと間欠駆動間隔は、ユーザの更新要求時の各種データに基づいて更新される。
<個別潅水処理>
以上のように、統合演算部600は、複数の分割エリアそれぞれにおいて潅水スケジュールを決定する。統合演算部600は、各潅水スケジュールに基づく潅水の供給を制御する。また、各分割エリアでの潅水スケジュールが統合演算部600によって決定されるものの、各潅水スケジュールに基づく潅水の供給を各監視部300によって個別に制御する構成を採用してもよい。
<独立更新>
さらに例示すると、各分割エリアにおける潅水スケジュールを、対応する監視部300が独立して決定する構成を採用してもよい。係る構成においては、各監視部300は前述した更新処理を実行する。
<天気予報と潅水スケジュール>
情報格納部500には、土壌水分量の現在値と減少変化の予測値、およびユーザ指示が格納される。情報格納部500には植物の成長阻害水分点と永久しおれ点、植物が単位時間あたりに水分を吸収する吸水量と土壌の水分保持能力が格納されている。これらの他に、情報格納部500には外部情報源1000から出力配信される圃場20の天気予報が格納される。図1においては外部情報源1000をESIと表記している。統合演算部600は、更新処理において、この天気予報を含む諸情報を情報格納部500から読み出す。統合演算部600は各監視部300における潅水スケジュールを決定する。
<目標値と推定値>
統合演算部600は、潅水スケジュールを決定するにあたって、土壌水分量の目標値と推定値を算出する。土壌水分量の目標値は、当然ながらにして、成長阻害水分点と永久しおれ点との間の値に設定される。植物の健全な育成を試みるために、土壌水分量の目標値は、理論値である成長阻害水分点と永久しおれ点それぞれからある程度離れた値に設定される。
統合演算部600は、この土壌水分量の目標値として、成長阻害水分点側の上限目標値と、永久しおれ点側の下限目標値とを設定する。統合演算部600は、潅水スケジュールの潅水期間においては、土壌水分量の推定値が上限目標値と下限目標値との間になるように、潅水スケジュールを決定する。降雨によって土壌水分量の推定値が上限目標値を上回ることが予想された場合でも、統合演算部600は土壌水分量の推定値が成長阻害水分点を超えないように潅水スケジュールを決定する。
成長阻害水分点と上限目標値との間には乖離がある。この上限乖離幅は、上記した植物の健全な育成を加味するとともに、圃場20の気候に基づいて決定される。圃場20の気候には、潅水スケジュールの潅水期間での圃場20の平均的な降雨量の期待値や、潅水期間での天気予報によって予測される総降雨量が含まれている。潅水期間での圃場20の平均的な降雨量の期待値は情報格納部500に格納されている。
永久しおれ点と下限目標値との間には乖離がある。この下限乖離幅は、植物の健全な育成を加味するとともに、給水装置100で故障が起きた時に復旧の見込まれる復旧時間や土壌水分量の単位時間あたりの減少量などに基づいて決定される。例えば、下限乖離幅は復旧時間と土壌水分量の単位時間あたりの減少量とを乗算した値に基づいて決定される。復旧時間は情報格納部500に格納されている。
例えば外部情報源1000から1週間分の天気予報が情報格納部500に格納される場合、統合演算部600は1週間分の潅水スケジュールを決定する。この1週間の間において、天気予報によって何ら降雨予報がない場合、土壌水分量の推定値は時間経過とともに漸次低下することが予想される。この土壌水分量の推定値の単位時間あたりの減少量は、作土層の土壌水分量の減少変化の予測値に基づいて決定される。以下、表記を簡便とするため、必要に応じて、土壌水分量の推定値を、単に推定値と表記する。
上記のように、潅水スケジュールは、環境値などに基づく土壌水分量の推定値と天気予報とに基づいて決定される。これによれば、降雨や乾燥などの天候変化によって野外の分割エリアの土壌水分量が植物にとって不適になることを抑制できる。
統合演算部600は、潅水スケジュールにおける土壌水分量の推定値が下限目標値に達する時刻に給水を行う。これにより土壌水分量が下限目標値を下回ることを抑制できる。統合演算部600は、降雨予報時刻と潅漑水の供給時刻とを異ならせる。これによれば、降雨予報よりも降雨量が多かったとしても、土壌水分量が過剰に増大することを抑制できる。また、潅水システム10は、リアルタイムに土壌センサ311の検出値を確認し、検出値が閾値に到達した場合に潅水を中止するという制御を行ってもよい。この場合、土壌水分量の推定値の算出は不要である。
図3~図5を参照して、給水弁15に適用可能なバルブ装置の一例について以下に説明する。このバルブ装置は、いわゆるロータリ式のバルブ装置である。このバルブ装置は、1個の流体流入部と3個の流体流出部を備えている。流体流入部に上流の配管を接続し、いずれか1個の流体流出部に分配チューブ136を接続することにより、このバルブ装置は潅水システム10に搭載される。さらに分配チューブ136を接続しない流体流出部には閉塞部材を装着することにより、通路を塞ぐように構成すればよい。
バルブ装置は、図3に示すように、ハウジング9、バルブ90、駆動部70、駆動部カバー80等を備えている。バルブ装置は、バルブ90がシャフト92の軸心を中心に回転することにより、バルブ装置の開閉動作を行うボールバルブとして構成されている。この明細書では、シャフト92の軸心に沿う方向を軸心方向DRa、軸心方向DRaに直交するとともに軸心方向DRaから放射状に延びる方向を径方向DRrとして説明する。
ハウジング9はバルブ90を収容する収容部である。ハウジング9は、例えば樹脂部材によって形成されている。ハウジング9は、バルブ90が収容される中空形状のハウジング本体部21と、ハウジング本体部21から冷却水を流出させるパイプ部材50と、ハウジング本体部21に取り付けられる隔壁部60とを含んでいる。ハウジング本体部21は、外観が略直方体形状であって、軸心方向DRaの他方側に開口部を有する有底形状に形成されている。ハウジング本体部21は、ハウジング本体部21の外周部分を構成するハウジング外壁部22を有している。ハウジング外壁部22は、ハウジング本体部21の内部に、軸心方向DRaの軸心を有する円柱形状のバルブ収容空間23を形成している。
ハウジング外壁部22には、バルブ収容空間23に給水を流入させるための入口ポート251が形成されている。入口ポート251は、円形状に開口して形成され、連結配管135に接続されている。入口ポート251は、流体流入部に相当する。
ハウジング外壁部22は、パイプ部材50が取り付けられている。ハウジング外壁部22は、入口ポート251を介してバルブ収容空間23に流入した冷却水をパイプ部材50に流出させるための第1出口ポート261と、第2出口ポート262と、第3出口ポート263とを有する。第1出口ポート261、第2出口ポート262、第3出口ポート263は、流体流出部に相当する。
ハウジング外壁部22におけるハウジング開口面24は、隔壁部60が取り付けられている。ハウジング開口面24は、ハウジング本体部21において、軸心方向DRaの他方側に配置されている。ハウジング開口面24は、バルブ収容空間23とハウジング本体部21の外部とを連通させるハウジング開口部241が形成されている。ハウジング開口部241は、ハウジング開口面24に隔壁部60が取り付けられることによって閉塞される。
パイプ部材50は、それぞれが円筒状に形成された第1パイプ部51と、第2パイプ部52と、第3パイプ部53とを含んでいる。第1パイプ部51と第2パイプ部52と第3パイプ部53とは、パイプ連結部54によって連結されている。パイプ連結部54は、第1パイプ部51と第2パイプ部52と第3パイプ部53とを連結させ、パイプ部材50をハウジング外壁部22に取り付ける部分である。第1パイプ部51は、上流側が第1出口ポート261の内側に配置されている。第2パイプ部52は、上流側が第2出口ポート262の内側に配置されている。第3パイプ部53は、上流側が第3出口ポート263の内側に配置されている。
隔壁部60は、ハウジング開口部241を閉塞するとともに、バルブ収容空間23に収容されたバルブ90を保持する。隔壁部60は、軸心方向DRaが板厚方向である円盤状であって、ハウジング開口部241に対して軸心方向DRaの他方側から一方側に向かって嵌め込まれるように配置されている。隔壁部60は、ハウジング開口部241に嵌め込まれた際に、隔壁部60の外周部がハウジング内周面に当接することによって、ハウジング開口部241を閉塞する。
駆動部カバー80は駆動部70を収容する。駆動部カバー80は、樹脂製の中空形状であって、内部に駆動部70を収容する駆動部空間が形成されている。駆動部カバー80は、マイコン330に接続するためのコネクタ部81を有している。コネクタ部81は、バルブ装置をマイコン330に接続させるものであって、駆動部70および回転角センサ73が接続される端子が内蔵している。
駆動部70は、バルブ90を回転させるための回転力を出力するモータ71と、モータ71の出力をバルブ90に伝動するギア部72と、ギア部72の回転角度を検出する回転角センサ73を含んでいる。モータ71は、図4に示すように、モータ本体とモータシャフト711とウォームギア712とモータ側端子とを備えている。モータ71は、モータ側端子に電力が供給されることでモータ本体が動力を出力可能に構成されている。モータ本体は、略円筒状に形成され、モータ本体の他方側の端部からモータシャフト711が突出している。モータ本体から出力した動力は、モータシャフト711およびウォームギア712を介してギア部72に出力される。
ギア部72は、複数の樹脂製の歯車を有する減速機構で構成されており、ウォームギア712から出力された動力をシャフト92に伝動可能に構成されている。ギア部72は、第1ギア721と、第1ギア721と噛み合う第2ギア722と、第2ギア722と噛み合う第3ギア723とを含んでいる。第3ギア723にシャフト92が接続されている。ギア部72は、第1ギア721の外径に比較して第2ギア722の外径が大きく形成され、第2ギア722の外径に比較して第3ギア723の外径が大きく形成されている。
第1ギア721、第2ギア722、第3ギア723は、それぞれの軸心がウォームギア712の軸心に対して直交するように配置されている。第3ギア723は、第3ギア723の軸心がシャフト92の軸心と同一軸心上になるように配置されている。第3ギア723はシャフト92が接続されている。駆動部70は、ウォームギア712と第1ギア721、第2ギア722および第3ギア723とバルブ90とが一体に回転するように構成されており、それぞれの回転が互いに相関関係を有する。これらのギアとシャフト92とは、それぞれの回転角度が相関関係を有しており、相関関係を有するいずれか1つの構成品の回転角度を他の構成品の回転角度から算出可能に構成されている。
駆動部カバー80の内周部において、第3ギア723に対向する部位には、第3ギア723の回転角度を検出する回転角センサ73が取り付けられている。回転角センサ73は、ホール素子を内蔵したホール式センサであって、第3ギア723の回転角度を非接触で検出可能に構成されている。回転角センサ73は、コネクタ部81を介してマイコン330に接続されている。検出された第3ギア723の回転角度は、マイコン330に送信される。マイコン330の処理部334は、回転角センサ73から送信された第3ギア723の回転角度に基づいて、バルブ90の回転角度を算出可能に構成されている。
シャフト92およびバルブ90について図3および図5を参照して説明する。シャフト92は、駆動部70が出力する回転力によって、軸心を中心に回転可能に構成されている。シャフト92は、バルブ90が接続されており、シャフト92が回転する際にバルブ90をシャフト92と一体に回転させることが可能に構成されている。シャフト92は、軸心に沿って円柱状に延びて形成されており、バルブ90の一方側から他方側まで貫通している。シャフト92は、軸心方向DRaの一方側がハウジング本体部21のシャフト支持部に接続され、他方側がギア部72に接続されている。シャフト外周部には、バルブ90が固定されている。
バルブ90は、軸心を中心に回転することにより、出力する流体の流量を調整可能に構成されている。バルブ90は、内部にシャフト92が挿入されており、バルブ収容空間23においてシャフト92と一体に回転可能に収容されている。バルブ90は、軸心方向DRaに沿って延びる軸心を有する筒状である。バルブ90は、それぞれが筒状の第1バルブ93と第2バルブ94と第3バルブ95と、筒状接続部914と、筒状バルブ接続部915とが連なって形成されている。バルブ90は、第1バルブ93と、筒状接続部914と、第2バルブ94と、筒状バルブ接続部915と、第3バルブ95とが軸心方向DRaの一方側から他方側に向かって、この順に並んで配置されている。第1バルブ93および第2バルブ94は、筒状接続部914を介して接続されている。第2バルブ94および第3バルブ95は、筒状バルブ接続部915を介して接続されている。
バルブ90は、バルブ収容空間23において、第2バルブ94および筒状接続部914が径方向DRrにおいて、入口ポート251に対向している。バルブ90は、中央にシャフト92が挿入される円筒状のシャフト接続部916を有する。バルブ90は、シャフト接続部916にシャフト92が挿入されることによって、シャフト92に接続される。バルブ90は、例えば、第1バルブ93と第2バルブ94と第3バルブ95と筒状接続部914と筒状バルブ接続部915とシャフト接続部916とが射出成形によって一体成形されている。
バルブ90は、バルブ90に流入された冷却水を第1出口ポート261、第2出口ポート262、第3出口ポート263に流出させるための弁体である。バルブ90は、回転することで、第1バルブ93が第1出口ポート261を開閉し、第2バルブ94が第2出口ポート262を開閉し、第3バルブ95が第3出口ポート263を開閉する。
第1バルブ93、第2バルブ94および第3バルブ95は、それぞれの軸心がシャフト92の軸心と同一軸心上に配置されている。第1バルブ93、第2バルブ94、第3バルブ95のそれぞれは、軸心方向DRaにおける中央部分が両端側に比較して径方向DRrの外側に膨らんでいる。第1バルブ93、第2バルブ94、第3バルブ95のそれぞれは、内側を流体が流通可能に構成されている。
第1バルブ93は、図5に示すように、外周部を形成する第1バルブ外周部931を有し、第1バルブ外周部931の内側に第1流路部961が形成されている。第1バルブ93には、流体を第1流路部961に流入させる第1内側開口部936が形成されている。第1バルブ93は、バルブ収容空間23に流入された流体が、第1内側開口部936を介して第1流路部961に流入する。第1流路部961は、バルブ装置における流路部に相当する。
第1バルブ外周部931には、図5に示すように、シャフト92が回転した際に第1シール開口部581を介して第1流路部961を第1出口ポート261に連通させる第1外周開口部934が形成されている。第1バルブ93は、第1外周開口部934が第1出口ポート261に連通することによって、第1流路部961に流入した流体を第1出口ポート261から流出させる。第1バルブ外周部931に形成される第1外周開口部934は、バルブ外周部に形成される外周開口部に相当する。第1外周開口部934は、第1バルブ外周部931において、シャフト92の軸心の周方向に沿って延びて形成されている。第1バルブ93から装置の流出する流体の流量は、シャフト92が回転した際における第1外周開口部934と第1シール開口部581とが重なる面積に応じて調整される。第1内側開口部936は、第1バルブ93の外部と第1流路部961とを連通させる連通路として機能する。
第2バルブ94は、図5に示すように、外周部を形成する第2バルブ外周部941を有し、第2バルブ外周部941の内側に第2流路部962が形成されている。第2バルブ94には、軸心方向DRaの一方側に、流体を第2流路部962に流入させる第2内側開口部946が形成されている。第2バルブ94は、入口ポート251を介してバルブ収容空間23に流入された流体が第2内側開口部946を介して第2流路部962を流通可能に構成されている。第2流路部962は、バルブ装置における流路部に相当する。
第2バルブ外周部941には、図5に示すように、シャフト92が回転した際に第2シール開口部582を介して第2流路部962を第2出口ポート262に連通させる第2外周開口部944が形成されている。第2バルブ94は、第2外周開口部944が第2出口ポート262と連通することによって、第2流路部962に流入した流体を第2出口ポート262から流出させる。第2バルブ外周部941に形成される第2外周開口部944は、バルブ外周部に形成される外周開口部に相当する。
第2外周開口部944は、シャフト92の軸心の周方向に延びるように形成されている。第2バルブ94から装置の外部へ流出する流体の流量は、シャフト92が回転した際における第2外周開口部944と第2シール開口部582とが重なる面積に応じて調整される。第2内側開口部946は、第2バルブ94の外部と第2流路部962とを連通させる連通路として機能する。第2内側開口部946は、第1内側開口部936に対向している。筒状接続部914は、第1バルブ93および第2バルブ94を接続するためのものである。筒状接続部914は、筒状接続部914の外周部とハウジング内周面との間に第1バルブ間空間97を形成している。第1流路部961および第2流路部962は、第1バルブ間空間97を介して連通している。
第2バルブ94は、内部の略中央にシャフト92の外周部を覆うシャフト接続部916が配置されている。第2バルブ94は、第2バルブ外周部941の軸心方向DRaの他方側に筒状バルブ接続部915が接続されている。第2バルブ94は、第2流路部962に流入された流体を筒状バルブ接続部915を介して第3バルブ95に流入可能に構成されている。
筒状バルブ接続部915は、内側に第2バルブ間空間98が形成されている。第2バルブ間空間98は、第2流路部962および第3流路部963に連通している。筒状バルブ接続部915は、軸心方向DRaの一方側の外径が第2バルブ94の軸心方向DRaの他方側の部位の外径と同じ大きさである。筒状バルブ接続部915は、軸心方向DRaの他方側の外径が第3バルブ95の軸心方向DRaの一方側の部位の外径と同じ大きさである。筒状バルブ接続部915は、第2バルブ外周部941および第3バルブ外周部951に連なって形成されている。
第3バルブ95は、図5に示すように、第3バルブ95の外周部を形成する第3バルブ外周部951を有し、第3バルブ外周部951の内側に第3流路部963が形成されている。第3バルブ95は、第3バルブ外周部951における軸心方向DRaの一方側が筒状バルブ接続部915に接続されている。第3バルブ95は、第2流路部962に流入された流体が第2バルブ間空間98を介して第3流路部963に流入する。第3流路部963は、バルブ装置における流路部に相当する。
第3バルブ外周部951には、図5に示すように、シャフト92が回転した際に第3シール開口部583を介して第3流路部963を第3出口ポート263に連通させる第3外周開口部954が形成されている。第3バルブ95は、第3外周開口部954が第3出口ポート263に連通することによって、第3流路部963に流入した流体を第3出口ポート263から装置の外部に流出させる。第3バルブ外周部951に形成される第3外周開口部954は、バルブ外周部に形成される外周開口部に相当する。
第3外周開口部954は、第3バルブ外周部951において、軸心の周方向に沿って延びて形成されている。第3バルブ95から装置の外部へ流出する流体の流量は、シャフト92が回転した際における第3外周開口部954と第3シール開口部583とが重なる面積に応じて、調整される。シャフト接続部916は、筒状であって、挿入されたシャフト92が固定されることによりバルブ90とシャフト92とを接続している。シャフト接続部916は、シャフト92が回転した際に、シャフト92の回転力をシャフト接続部916を介してバルブ90に伝動する。シャフト接続部916は、第2バルブ94から第3バルブ95まで軸心方向DRaの他方側に向かって延びて形成されている。
給水弁15の作動について説明する。マイコン330は、分配チューブ136に対して必要な流量を給水するためのバルブ90の回転角度、すなわちモータ71の回転角度を算出する。マイコン330は、算出したモータ71の回転角度の情報を給水弁15に送信する。このとき、分配チューブ136に接続しない2個の流体流出部には閉塞部材を装着している。モータ71の回転角度の演算は、統合演算部600の情報処理演算機器610によって実行される構成でもよい。
給水弁15は、マイコン330から受信した回転角度の情報に基づいて、モータ71を回転させる。給水弁15は、モータ71を回転させることで、ギア部72およびシャフト92を介してバルブ90を回転させ、第1外周開口部934、第2外周開口部944、第3外周開口部954から必要な流量の流体を流出させる。
例えば、分配チューブ136に連通させる流体流出部として第1出口ポート261を採用した場合について説明する。給水弁15は、バルブ90を回転させることで、第1バルブ93の第1外周開口部934を第1出口ポート261に連通させる。給水弁15は、バルブ90の回転位置を調整することによって、第1外周開口部934と第1シール開口部581との重なる面積を調整する。給水弁15は、入口ポート251からバルブ収容空間23に流入した流体を第1内側開口部936を介して第1流路部961に流入させ、第1外周開口部934から第1出口ポート261へ流出させる。マイコン330は、第1外周開口部934と第1シール開口部581との重なり面積であるバルブ開度を制御することにより潅水の飛水距離を制御して、必要な位置に潅水を供給する。
例えば、分配チューブ136に連通させる流体流出部として第2出口ポート262を採用した場合について説明する。給水弁15は、バルブ90を回転させることで、第2バルブ94の第2外周開口部944を第2出口ポート262に連通させる。給水弁15は、バルブ90の回転位置を調整することによって、第2外周開口部944と第2シール開口部582との重なる面積を調整する。給水弁15は、入口ポート251からバルブ収容空間23に流入した流体を第2内側開口部946を介して第2流路部962に流入させ、第2外周開口部944から第2出口ポート262へ流出させる。マイコン330は、第2外周開口部944と第2シール開口部582との重なり面積であるバルブ開度を制御することにより潅水の飛水距離を制御して、必要な位置に潅水を供給する。
例えば、分配チューブ136に連通させる流体流出部として第3出口ポート263を採用した場合について説明する。給水弁15は、バルブ90を回転させることで、第3バルブ95の第3外周開口部954を第3出口ポート263に連通させる。給水弁15は、バルブ90の回転位置を調整することによって、第3外周開口部954と第3シール開口部583との重なる面積を調整する。給水弁15は、入口ポート251からバルブ収容空間23に流入した流体を第2バルブ94の第2流路部962を介して第3流路部963に流入させ、第3外周開口部954から第3出口ポート263へ流出させる。マイコン330は、第3外周開口部954と第3シール開口部583との重なり面積であるバルブ開度を制御することにより潅水の飛水距離を制御して、必要な位置に潅水を供給する。これらのバルブ開度の制御は、統合演算部600の情報処理演算機器610によって実行される構成でもよい。
給水弁15は、回転角センサ73が第3ギア723の回転角度を検出し、検出した回転角度の情報をマイコン330にフィードバックすることによって、モータ71の回転角度を調整する。
図6のグラフを参照して、シャフト92の回転角度とバルブ装置の流量との関係を説明する。図6は、モータ71の回転角度RAを横軸とし、バルブ装置から流出する流体の流量FRを縦軸としている。図6において、FO1は第1バルブ93であり、FO2は第2バルブ94であり、FO3は第3バルブ95である。図6において、FSはバルブ開度が全開状態であることを示し、FCはバルブ開度が全閉状態であることを示し、MOはバルブ開度が中間開度であることを示している。中間開度は、全閉状態と全開状態の間の開度である。図6における実線のグラフは、第3バルブ95から流出する流体の流量と回転角度との関係を示している。図6における破線のグラフは、第2バルブ94から流出する流体の流量と回転角度との関係を示している。図6における一点鎖線のグラフは、第1バルブ93から流出する流体の流量と回転角度との関係を示している。
図6に示すように、回転角度0度付近では第3バルブ95が全開状態で、他のバルブは全閉状態であり、第3バルブ95のみを通じて流体が装置外部へ流出する。この状態から回転角度を大きくしていくと第3バルブ95が中間開度に移行し、さらに回転角度を大きくすると3個のバルブすべてが全閉状態になる。
3個のバルブすべてが全閉状態から回転角度を大きくしていくと、第2バルブ94のみが中間開度を介して全開状態に移行する。さらに回転角度を大きくすると、第1バルブ93が中間開度を介して全開状態に移行して、第1バルブ93と第2バルブ94が全開状態になる。この状態から回転角度を大きくすると、第2バルブ94が中間開度を介して全閉状態に移行して、第2バルブ94と第3バルブ95が全閉状態になる。さらに回転角度を大きくしていくと、第1バルブ93が中間開度を介して全閉状態に移行して、すべてのバルブが全閉状態になる。
以上のように、回転角度に応じて、各バルブの開度が変移して各バルブから流出する流体流量が変化するようになる。潅水システム10における各給水弁15は、3個のバルブのうちの一つのみから流体を供給する構成により、回転角度に応じて圃場20への飛水距離および給水量を制御する。
次に、植物の生育に対する悪影響を抑えた潅水を実施するための潅水システム10の作動について図7~図10を用いて説明する。図7は、給水弁、水圧センサおよび水温センサが設けられた給水経路、地温センサ、土壌センサの一例を示している。図7に示す潅水システム10は、複数並んでいる分配チューブ136の一方端部側の通路に設けられている給水弁15、水圧センサ14、水温センサ160等を備える。各分配チューブ136は、複数の貫通孔を介して、対応する畝に対して潅水を吐水できる位置に設けられている。一方端部側の通路は、給水源からの給水が流下する縦配管133と分配チューブ136の一方端部とを連通している通路である。第1給水弁は、分配チューブ136の一方端部から他方端部へ向けて流下する一方端部側からの給水の圧力を制御する。第1給水弁は、給水弁150、複数の給水弁151を含んでいる。
縦配管133は、各給水弁の入口ポート251に至る通路に連結されている。各分配チューブ136は、各給水弁における流体流出部の一つである第1パイプ部51に至る通路に連結されている。この場合、他の流体流出部である第2パイプ部52と第3パイプ部53は、閉塞部材によって閉塞されている。信号出力部332は、下流末端において検出された給水情報を用いたフィードバック制御によってバルブ開度を制御する制御信号を給水弁に出力する。信号出力部332は、上流通路において検出された給水情報を用いたフィードバック制御によってバルブ開度を制御する制御信号を給水弁に出力する。
縦配管133は、複数の分配チューブ136の一方端部に至る複数の通路に連通している。縦配管133には、第1連結管134との接続部よりも上流の通路を開閉する給水弁150が設けられている。複数の通路には、隣合う2つの分配チューブ136の一方端部へそれぞれ分岐する複数の分岐管134aを含んでいる。複数の分岐管134aは、第1連結管134から分岐する複数の通路を構成する。第1連結管134は、上流部位において縦配管133に接続され、下流部位において分岐管134aに接続されている。
複数の分岐管134aは、複数の分配チューブ136と第1連結管134とを連結する通路である。各分岐管134aは、隣合う2つの分配チューブ136の一方端部と第1連結管134とを連結する。分岐管134aの下流部位には、給水弁151が設けられている。1個の分岐管134aは、1つのグループをなす所定数の分配チューブ136への給水を流下するように設けられている。なお、1個の分岐管134aに連結される分配チューブ136は、1個または3個以上でもよい。つまり、所定数は、1個または3個以上でもよい。第1連結管134には、分岐管134aとの接続部よりも下流において通路を開閉する1個または複数の排水バルブ152が設けられている。排水バルブ152が開状態であるとき、第1連結管134内などの水を排水バルブ152を通じて、外部に排出することができる。
給水弁151は、1個の流体流入部と2個の流体流出部とを有し、2個に分岐する通路のそれぞれの開度を制御できる。給水弁151は、第1連結管134の下流部位の通路を開閉するとともに、1つのグループをなす所定数の分配チューブ136への流下する流量を制御する。潅水システム10は、給水弁150および各給水弁151のバルブ開度を制御することにより、複数のグループに対して同時に潅水を実施することができる。
縦配管133には、第1連結管134との接続部よりも上流の通路において給水圧力を検出する水圧センサ140が設けられている。縦配管133には、第1連結管134との接続部よりも上流の通路において給水温度を検出する水温センサ160が設けられている。水圧センサ141は、分岐管134aよりも上流に位置する第1連結管134の部位において給水圧力を検出する。水圧センサ142は、各分配チューブ136における貫通孔よりも上流部位において給水圧力を検出する。制御装置200は、水圧センサ140、水圧センサ141、水圧センサ142のそれぞれが検出する給水圧力を用いて、各部における流量を求めることができる。
1つのグループをなす所定数の分配チューブ136に対応する畝には、土壌センサ311と地温センサ312とが設置されている。図7に示す潅水システム10では、1つのグループをなす分配チューブ136が潅水する土壌に対して、土壌センサ311と地温センサ312とが設置されている。また、土壌センサ311や地温センサ312は、分配チューブ136毎に設置されている構成でもよい。この構成の場合、より精度の高い、土壌水分量や土壌温度を検出することができる。
図2に示すように、監視部300のマイコン330には、水圧センサ140、水圧センサ141、水圧センサ142によって検出された給水圧力が出力される。マイコン330には、地温センサ312によって検出された土壌の温度が出力される。マイコン330には、水温センサ160によって検出された水温が出力される。処理部334は、地温センサ312によって検出された土壌の温度と水温センサ160によって検出された給水経路の水温とを比較して、潅水を実施するか否かを判定する。処理部334は、水温センサ160によって検出された給水経路の水温の高さに応じて、潅水を実施するか否かを判定する。信号出力部332は、潅水を実施するか否かを判定結果に応じて、バルブ開度を制御する制御信号を給水弁150、151、排水バルブ152のそれぞれに出力する。ここで記載するバルブ開度の制御は、統合演算部600の情報処理演算機器610によって実行される構成でもよい。
図8~図10にしたがった潅水処理、および第2実施形態以下で説明する潅水処理において、土壌の温度、給水経路の水温は以下のように置き換えることができる。土壌の温度は、地温センサ312によって検出された地温に置き換える構成としてもよい。この地温には、土壌の温度だけでなく、土壌ではない、例えば天然芝グランドの温度、人工芝等の人工グランドの温度が含まれる。また土壌には、果樹園などの土質が含まれる。水温センサ160によって検出された給水経路の水温は、温度センサによって検出された給水経路の温度に置き換える構成としてもよい。給水経路の温度には、水温だけでなく、給水経路を形成している配管等の温度が含まれる。したがって、処理部334は、地温センサ312によって検出された地温と給水経路の温度とを比較して、潅水を実施するか否かを判定する。処理部334は、給水経路の温度の高さに応じて、潅水を実施するか否かを判定する。
潅水システム10は、潅水処理を行う際に、図8~図10に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。図8~図10のそれぞれは、潅水指令時の作動の一例を示すフローチャートである。以下に説明する、図8に示す処理、図9に示す処理、図10に示す処理は、潅水処理の実施タイミングにおいて、並行して実行される。あるいは、潅水システム10は、制御装置200がこれらの処理のうち少なくとも一つの処理を実行するように構成してもよい。制御装置200は、例えば監視部300や統合演算部600によって、図8に示す処理、図9に示す処理、図10に示す処理を実行する。以下、代表して監視部300が各処理を実行する例について説明する。
統合演算部600は、潅水を実施する分割エリアに対応する監視部300に対して潅水実施命令を出力する。この状態では排水バルブ152と給水弁150は、閉状態に制御されている。統合演算部600から出力された潅水処理に係る信号を受信した監視部300のマイコン330は、図8に示す処理を実行する。図8に示す処理は、潅水時刻が到来するタイミングで、または潅水実施命令が出力されたタイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。図8に示す処理は、例えば、春先、晩秋などの時期に実行される。取得部331は、地温センサ312によって検出された土壌の温度、水温センサ160によって検出された給水経路の水の温度を取得する。処理部334は、ステップS100において、土壌の温度の検出値が水温の検出値以下であるか否かを判定する。この明細書では、地温センサ312によって検出された土壌の温度は「地温」と称することがある。
土壌の温度の検出値が水温の検出値以下である場合、マイコン330は、ステップS120で潅水を実施する処理を実行する。マイコン330は、複数の給水弁151のうち、潅水を実施する分割エリアに対応する給水弁151を開状態にする制御信号を出力する。また、マイコン330は、潅水を実施しない分割エリアに対応する給水弁151を閉状態にする制御信号を出力する。開状態に制御された給水弁151の下流に位置する分配チューブ136からの潅水は、目標の潅水量や目標の飛水距離を満たすようにバルブ開度が制御されて、開始される。なお、この状態でポンプ110は駆動しており、給水源からの給水は給水配管130を流下している。ステップS120により、給水が分配チューブ136の一方端部から他方端部へ一斉に流下し、畝に向けて各貫通孔から吐水する潅水が行われる。
この潅水は、ステップS125で処理部334が潅水の終了条件が成立すると判定するまで継続される。潅水の終了条件は、例えば潅水開始からの潅水流量が目標潅水量に到達すると成立する。また、潅水の終了条件は、例えば潅水開始からの潅水時間が目標潅水時間に到達すると成立する。ステップS125で潅水の終了条件が成立したと判定すると、マイコン330は第1給水弁を全閉状態に制御して一方端部から他方端部への給水による潅水を終了する。これにより、図8に示すフローチャートを終了する。
土壌の温度の検出値が水温の検出値を上回る場合、処理部334は、ステップS110において水温の検出値が第1閾値以上であるか否かを判定する。水温の検出値が第1閾値以上である場合、前述の終了条件が成立するまで前述のステップS120を実行して潅水を実施する。この場合は、水温が植物の生育を阻害するほどの低温ではなく、潅水を実施する。第1閾値は、潅水を禁止するか否かを判定するための潅水抑制用閾値である。ステップS120では、ステップS115における潅水量よりも、潅水量を増加するように制御してもよい。
水温の検出値が第1閾値を下回る場合、マイコン330は、ステップS115で潅水を実施しない処理を実行してフローチャートを終了する。マイコン330は、すべての給水弁151を閉状態に制御する制御信号を出力する。あるいは、マイコン330は、給水弁150を閉状態にする制御信号を出力する。これにより、給水弁151よりも上流に位置する給水経路が分配チューブ136から遮断されて、配管内の低温の水が植物に吐水されることを防ぐことができる。ステップS115では、潅水を実施しないのではなく、ステップS120における潅水量よりも、潅水量を絞るように制御してもよい。これにより、配管内の低温の水が植物に吐水される水量を抑えることに寄与する。
土壌の温度の検出値が水温の検出値を上回る場合は、給水経路に存在する水の温度が地温よりもさらに低い状態である。このように低温の水が植物に対して吐水されると、活着不良を引き起こし、植物出荷の歩留まり低下をもたらすことになる。
第1閾値は、記憶部333に記憶されている。第1閾値は、例えば、過去の実績値に基づいて、地温よりも低くかつ植物の生育を阻害する可能性が高い低温に設定される。例えば、第1閾値は、過去の地温の実績値と、植物の種類に基づいて生育阻害を予測できる水温データとに基づいて設定された値である。この第1閾値は、地温を下回る温度であってかつ、植物の種類に基づいて生育阻害が予測できる生育阻害温度に設定される。生育阻害温度は、例えば、地温よりも低温であってかつ、植物の活着不良を引き起こす温度である。
潅水システム10は、潅水の実施タイミングで、給水経路の配管内の水温がこのような第1閾値を下回る場合に自動で強制的に潅水を停止できる。潅水システム10は、給水経路の配管内の水温が第1閾値を上回るか、地温を上回るかのいずれかの状態に移行すれば、自動で潅水停止を解除して潅水を実施できる。また潅水システム10は、次回以降の潅水の実施タイミングで配管内の水温が第1閾値を上回るか、地温を上回るかの状態に変われば自動で潅水停止から潅水実施に復帰できる。潅水システム10は、図8に示す処理を1日のうち、潅水実施タイミングのたびに何度も実行することで、気温や水温が上がるまで不適切な潅水実施を延期できる。潅水システム10は、気温が上がるまで潅水実施を延期する制御により春先の朝、夕方などの水温が低い場合に植物の生育に対して不適切な潅水実施を抑えることに寄与する。
また、第1閾値は、記憶部333に記憶されている値でなく、ユーザが入力機器800を操作して統合演算部600に入力する構成でもよい。この場合、ユーザの経験などに基づいた第1閾値を随時設定可能であり、土地の気候や環境に適した条件によって潅水の停止と実施を制御できる潅水システム10を提供できる。
次に図9に示す処理について説明する。統合演算部600から出力された潅水処理に係る信号を受信したマイコン330は、図9に示す処理を実行する。図9に示す処理は、潅水時刻が到来するタイミングで、または潅水実施命令が出力されたタイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。取得部331は、水温センサ160によって検出された給水経路の水の温度を取得する。処理部334は、ステップS200において、給水経路の水温の検出値が第2閾値以上であるか否かを判定する。第2閾値は、第1閾値よりも高い値に設定されており、記憶部333に記憶されている。図9に示す処理は、例えば、夏季などの時期に実行される。第2閾値は、植物の根痛み引き起こす可能性のある水温であり、排水を実施するか否かを判定するための排水用閾値である。
水温の検出値が第2閾値を下回る場合、マイコン330は、ステップS250へ進み、潅水を実施する処理を実行する。水温の検出値が第2閾値以上である場合、ステップS210で、マイコン330は第1連結管134に設置された排水バルブ152を開状態にする制御信号を出力する。さらにステップS220でマイコン330は、第1連結管134よりも上流に設置された給水弁150(水源バルブともいう)を開状態にする制御信号を出力する。これらのステップの処理により、ステップS230で給水経路の配管内の停留水は、開放された排水バルブ152から外部に排出されて、植物に対しては吐水されない。また、分配チューブ136内に停留している水も、開放された排水バルブ152へ圧力が逃げるので、排水バルブ152を通じて外部に排出可能である。
給水経路の配管内の停留水は、所定時間が経過すると排出され、マイコン330はステップS240で排水バルブ152を閉状態にする制御信号を出力する。これにより、排水処理は終了する。次にステップS250を実行して潅水を実施し、ステップS260の判定処理が成立すれば潅水を完了して本フローチャートを終了する。ステップS250、ステップS260は、それぞれ図8のステップS120、ステップS125と同様の処理である。
配管内に停留した水の温度が第2閾値以上である場合は気温や地温が高く、この水が植物に対して吐水されると、根痛みを引き起こし植物出荷の歩留まり低下をもたらす。第2閾値は、例えば、過去の実績値に基づいて、第1閾値よりも高くかつ植物の生育を阻害する可能性が高い温度に設定される。例えば、第2閾値は、過去の地温の実績値と、植物の種類に基づいて根痛み等の生育阻害を予測できる水温データとに基づいて設定された値である。例えば第2閾値は、地温を下回る所定温度以上または地温以上であってかつ、植物の種類に基づいて生育阻害が予測できる生育阻害温度に設定される。この生育阻害温度は、例えば、地温よりも低温であってかつ、植物の根痛みを引き起こす温度である。
潅水システム10は、潅水の実施タイミングで、給水経路の配管内の水温がこのような第2閾値以上である場合に自動で強制的に排水できる。潅水システム10は、給水経路の配管内の水温が第2閾値を上回る場合、停留水を自動で排水後、潅水を実施できる。
また潅水システム10は、配管内の停留水が第2閾値を上回る場合、停留水を自動で排水後、配管内の停留水が第2閾値を下回る時間になるまで潅水実施を延期してもよい。潅水システム10は、図9に示す処理を1日のうちの潅水実施タイミングのたびに何度も実行することで、気温や水温が下がるまで不適切な潅水実施を排除できる。潅水システム10は、夏季や日中などの水温が高い場合に植物の生育に対して不適切な潅水実施を抑えることに寄与する。
また、第2閾値は、記憶部333に記憶されている値でなく、ユーザが入力機器800を操作して統合演算部600に入力する構成でもよい。この場合、ユーザの経験などに基づいた第2閾値を随時設定可能であり、土地の気候などに適した条件によって排水、潅水の停止、実施を制御できる潅水システムを提供できる。
次に図10に示す処理について説明する。統合演算部600から出力された潅水処理に係る信号を受信したマイコン330は、図10に示す処理を実行する。図10に示す処理は、潅水時刻が到来するタイミングで、または潅水実施命令の出力タイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。また図10に示す処理は、1日のうち所定のタイミングで実行される構成でもよい。図10に示す処理は、潅水の実施タイミングから所定時間前に実行される構成でもよい。
まず取得部331は、水温センサ160によって検出された給水経路の水の温度を取得する。処理部334は、ステップS300において、給水経路の水温の検出値が第3閾値以下であるか否かを判定する。第3閾値は、第1閾値よりも低い値に設定されており、記憶部333に記憶されている。図10に示す処理は、例えば、水が凍結し得る冬期などに実行される。第3閾値は、水の凍結温度よりも高い温度に設定された閾値であり、凍結前に排水を実施するか否かを判定するための凍結前閾値である。
水温の検出値が第3閾値を上回る場合、マイコン330は、本フローチャートを終了する。水温の検出値が第3閾値以下である場合、ステップS310で、マイコン330は第1連結管134に設置された排水バルブ152を開状態にする制御信号を出力する。さらにステップS320でマイコン330は、第1連結管134よりも下流に設置された給水弁151などの潅水用バルブを開状態にする制御信号を出力する。これらの処理により、給水経路に溜まっている停留水は、開放された排水バルブ152から外部に排出されて、植物に対しては吐水されないことなる。所定時間が経過すると、配管内の停留水の排出は完了する。これにより、本フローチャートは終了する。
配管内に停留した水の温度が第3閾値以下である場合は、今後、停留水が凍結する可能性がある。第3閾値は、例えば、過去の水温や気温の実績値に基づいて、次の潅水の実施タイミングまでに配管内の停留水が凍結する可能性が高い温度に設定される。第3閾値は、これから気温が下がっていくことを想定して、停留水が凍結する前に配管から排水して排水処理が完了できる値に設定されている。第3閾値は、気温や水温に係る過去の実績値に基づいて設定された値である。第3閾値は、例えば、水の凍結が始まる0℃よりも所定温度高い温度に設定される。
潅水システム10は、潅水の実施タイミングで、配管内の停留水の水温がこのような第3閾値以下である場合に自動で強制的に排水できる。潅水システム10は、配管内の停留水の水温が、これからの気温低下の変化と水の凍結温度とに基づいて今後凍結する可能性がある第3閾値を下回る場合に、地温と水温との高低関係に関わらず、自動で排水を行う。これにより、次回の潅水の実施タイミングにおいて凍結状態を排除するので円滑な潅水が実施可能であり、凍結による配管破損を未然に防止できる。
潅水システム10は、冬期の夕刻や夜間などで今後、停留水が凍結する前に配管内から水を除去することで、次の潅水の実施時に円滑に潅水を実施できる状態を整える。制御装置は、潅水実施のタイミングで、水温が、凍結前閾値を下回る場合には、地温と水温との高低関係に関わらず、給水経路の停留水を植物に放出することなく排水する。制御装置は、潅水実施のタイミングで、水温が、凍結前閾値を下回るか、水温が排水用閾値を上回るかのいずれの場合に、給水経路の停留水を植物に放出することなく排水する。
また、第3閾値は、記憶部333に記憶されている値でなく、ユーザが入力機器800を操作して統合演算部600に入力する構成でもよい。このシステムはユーザの経験や気象情報に基づいた第3閾値を随時設定可能であり、土地の気候などに適した条件に応じて、次回の円滑な潅水実施や配管の保護を可能にする。
第1実施形態の潅水システム10は、植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路と、給水経路の温度を検出する温度センサと、地温を検出する地温センサ312とを備える。潅水システム10は、地温センサによって検出された地温と温度センサによって検出された温度とを用いて潅水量を制御する制御装置200を備える。
このシステムによれば、地温に対して給水経路の温度が高い場合と低い場合とで潅水量を変化させた制御を実施できる。このシステムは、給水温度が植物の生育に対する悪影響を与えることが予測される場合には悪影響を抑える潅水を実施できる。
制御装置200は、潅水を実施するタイミングにおいて地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合に潅水量を絞るように制御する。さらに地温が給水経路の温度を上回っていない場合または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回る場合に、地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合よりも潅水量を増加するように制御する。
このシステムによれば、給水経路の温度が地温まで上昇していない低温であるときの潅水量を抑制でき、水温が上がってくる時間まで潅水を抑制できる。一方、地温が給水経路の温度を上回っていない場合などでは、植物の生育に対し悪影響を抑えつつ成長を促す潅水量を供給できる。
潅水システム10は、地温センサ312で検出された地温と給水経路の温度とを用いて潅水を実施するか否かを決定する制御装置を備える。制御装置200は、潅水を実施するタイミングにおいて、地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合に潅水を禁止する。制御装置200は、地温が給水経路の温度を上回っていない場合、または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回る場合に潅水を実施する。
このシステムによれば、給水経路の温度が地温まで上昇していない低温であるときの潅水を抑制でき、給水経路の温度が上がってくる時間まで潅水を延期できる。一方、前述のように潅水を実施する条件が成立した場合は、植物の生育に対し悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。
制御装置200は、潅水を実施するタイミングにおいて、給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に給水経路の停留水を植物に放出することなく排水した後に潅水を実施し、給水経路の温度が排水用閾値を下回る場合に停留水を含んだ潅水を実施する。制御装置200は、この制御を、潅水を実施するタイミングが到来していない場合でも実施することができる。
このシステムによれば、給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に高温の停留水を植物に放出することなく排水した後に適温の潅水を実施できる。一方、給水経路の温度が排水用閾値を下回る場合に適温の停留水を含んだ潅水を実施して、植物の生育に対し悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。
制御装置は、潅水が供給されている給水経路に存在する給水の給水経路の温度と圃場の地温とを用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部334と、信号出力部332とを備える。信号出力部332は、潅水の実施タイミングで処理部334によって地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回ると判定された場合に潅水禁止の信号を出力する。信号出力部332は、処理部334によって地温が給水経路の温度を上回っていないと判定された場合に潅水禁止の信号を出力する。信号出力部332は、処理部で、地温が給水経路の温度を上回っていない場合または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回ると判定された場合に潅水実施の信号を出力する。
この制御装置は、給水経路の温度が地温まで上昇していない低温であるときの潅水を抑制でき、給水経路の温度が上がってくる時間まで潅水を延期できる。一方、この制御装置は、給水経路の温度が地温よりも高い場合、または地温が給水経路の温度を上回りかつ給水経路の温度が潅水抑制用閾値を上回る場合に、潅水を実施する。この潅水禁止と潅水実施とを組み合わせた制御により、植物への悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。
制御装置は、潅水が供給されている給水経路に存在する給水の給水経路の温度を用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部334と、信号出力部332とを備える。信号出力部332は、潅水の実施タイミングで処理部334によって給水経路の温度が排水用閾値を上回ると判定された場合に給水経路の停留水を排水する信号を出力する。その後、信号出力部332は、潅水を実施する信号を出力する。信号出力部332は、潅水の実施タイミングで処理部334によって給水経路の温度が排水用閾値を下回ると判定された場合に停留水を含んだ潅水を実施する信号を出力する。
この制御装置は、給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に高温の停留水を植物に放出することなく排水した後に適温の潅水を実施できる。一方、この制御装置は、給水経路の温度が排水用閾値を下回る場合に適温の停留水を含んだ潅水を実施する。この排水と潅水実施とを組み合わせたこの制御により、植物の生育に対し悪影響を抑えつつ成長を促す適切な水分供給を実現できる。
第2実施形態
第2実施形態について図11、図12を参照して説明する。第2実施形態の潅水システム10は、第1実施形態に対して図7に示す水温センサ160の代わりに気象センサ313を備えている点が相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
図11、図12に示す気象センサ313は、具体的には、気温や日射に関する情報を検出するセンサである。制御装置200は、気象センサ313の検出値を取得し、この検出値を用いて、給水経路の配管内の水温を推定する。制御装置200は、この水温の推定値を、図8~図10のそれぞれの処理における水温の検出値の代わりに用いる。制御装置200は、記憶部333に記憶している特性データと気象センサ313の検出値とから、配管内の水温推定値を求める。特性データは、水温情報と気温や日射に関する情報との相関関係を示したデータである。また、制御装置200は、統合通信部400を介して外部から特性データを取得する構成としてもよい。
また、制御装置200は、図7に示す水温センサ160の検出値の代わりに、外部から天気予報を取得して、天気予報のデータから水温を推定する構成でもよい。
第3実施形態
第3実施形態について図13を参照して説明する。第3実施形態の潅水システム10は、潅水処理を行う際に、図13に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。第3実施形態の潅水システム10は、第1実施形態の図8に示す処理に代わりに、図13に示す処理を実行する点が相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
制御装置200は、例えば監視部300や統合演算部600によって、図13に示す処理、図9に示す処理、図10に示す処理を実行する。図13に示す処理は、ステップS400のみが図8に示す処理と相違する。したがって、ステップS410、S420、S425、S430、S435は、それぞれステップS100、S110、S115、S120、S125と同様である。つまり、図13に示す処理では、図8に相当する処理を行う前にステップS400の判定処理を実行する。
統合演算部600から出力された潅水処理に係る信号を受信した監視部300のマイコン330は、図13に示す処理を実行する。図13に示す処理は、潅水時刻が到来するタイミングで、または潅水実施命令が出力されたタイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。図13に示す処理は、例えば、春先、晩秋などの時期に実行される。取得部331は土壌センサ311によって検出された土壌水分量を取得する。処理部334は、ステップS400において、土壌水分量の検出値が第4閾値以下であるか否かを判定する。
土壌水分量の検出値が第4閾値を上回る場合、潅水を実施することなく、このフローチャートを終了する。土壌水分量の検出値が第4閾値以下である場合、ステップS410の判定処理を実行する。以下、図8と同様の処理であるステップS100、S110、S115、S120、S125を実行する。
土壌水分量が第4閾値を上回る場合は、今から潅水を行う必要がない程度に植物が吸収できる土壌の水分量が十分にある状態である。この状態において、植物に対して潅水が行われると、土壌が過剰水分量状態になり、生育に悪影響を及ぼして植物出荷の歩留まり低下をもたらすことになる。
第4閾値は、記憶部333に記憶されている。第4閾値は、例えば、過去の実績値に基づいて、仮に潅水が実施された場合に土壌水分量が植物の生育を阻害する可能性が高くなる生育阻害閾値である。例えば、第4閾値は、過去の土壌水分量と潅水量の実績値と、植物の種類に基づいて生育阻害を予測できる土壌水分量データとに基づいて設定された値である。
潅水システム10は、潅水の実施タイミングで、土壌水分量がこのような第4閾値を上回る場合に自動で強制的に潅水を禁止できる。潅水システム10は、土壌水分量が第4閾値を下回る状態に移行すれば、自動で潅水禁止を解除して潅水実施の要否判定へ移行できる。また潅水システム10は、次回以降の潅水の実施タイミングで土壌水分量が第4閾値を下回る状態に変われば自動で潅水禁止状態から潅水実施の要否判定へ移行できる。潅水システム10は、この処理を1日のうち潅水実施タイミングのたびに何度も実行することで過剰な潅水を禁止できかつ気温や水温が上がるまで不適切な潅水実施を延期できる。制御装置200は、地温が水温を上回るか否かの判断をする前に、土壌水分量が、生育阻害閾値を上回る場合には、強制的に潅水を禁止する。
また、第4閾値は、記憶部333に記憶されている値でなく、ユーザが入力機器800を操作して統合演算部600に入力する構成でもよい。潅水システム10は、ユーザの経験などに基づいた第4閾値を随時設定可能である。この潅水システム10は、土地の気候や環境に適した条件によって、過剰な潅水量の禁止と、潅水の停止および実施との両方を実現することができる。
第4実施形態
第4実施形態について図14を参照して説明する。第4実施形態の潅水システム10は、潅水処理を行う際に、図14に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。第4実施形態の潅水システム10は、第1実施形態に対して図9に示す処理に代わりに、図14に示す処理を実行する点が相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態、第3実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
制御装置200は、例えば監視部300や統合演算部600によって、図14に示す処理、図8に示す処理、図10に示す処理を実行する。つまり、図14に示す処理は、第1実施形態で説明した図9に示す処理に置き換えることができる。
統合演算部600から出力された潅水処理に係る信号を受信したマイコン330は、図14に示す処理を実行する。図14に示す処理は、潅水時刻が到来するタイミングで、または潅水実施命令が出力されたタイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。取得部331は、土壌センサ311によって検出された土壌水分量を取得する。処理部334は、ステップS500において、前述のステップS400と同様の判定処理を実行する。この判定処理により、第4実施形態の潅水システム10は、第3実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果を奏する。この作用効果の内容については、第3実施形態を参照するものとする。
土壌水分量が第4閾値を下回る場合、処理部334はステップS510において、給水経路の温度の検出値が前述の第2閾値以上であるか否かを判定する。図14に示す処理は、例えば、夏季などの時期に実行される。
給水経路の温度の検出値が第2閾値を下回る場合、マイコン330は、ステップS530へ進み、潅水を実施する処理を実行する。給水経路の温度の検出値が第2閾値以上である場合、ステップS510でマイコン330は第1連結管134に設置された排水バルブ152を開状態にする制御信号を出力する。この処理により、給水経路の配管内の停留水は、開放された排水バルブ152から外部に排出されて、植物に対しては吐水されない。さらに分配チューブ136内に停留している水も、開放された排水バルブ152へ圧力が逃げるので、排水バルブ152を通じて外部に排水される。
次にステップS530を実行して潅水を実施し、この潅水は、ステップS540のステップで処理部334が潅水の終了条件が成立すると判定するまで継続される。この終了条件は、第1実施形態の終了条件と同様である。ステップS540で潅水の終了条件が成立したと判定すると、マイコン330は第1給水弁を全閉状態に制御して一方端部から他方端部への給水による潅水を終了する。これにより、図14に示すフローチャートを終了する。潅水システム10は、この処理を1日のうち潅水実施タイミングのたびに何度も実行することで過剰な潅水を禁止でき、かつ気温や水温が下がるまで不適切な潅水実施を延期できる。制御装置200は、給水経路の温度が排水用閾値を上回るか否かの判断をする前に、土壌水分量が、生育阻害閾値を上回る場合には、強制的に潅水を禁止する。
第5実施形態
第5実施形態について図15を参照して説明する。第5実施形態の潅水システム10は、潅水処理を行う際に、図15に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。第5実施形態の潅水システム10は、第3実施形態のステップS400の処理に代わりに、図15に示すステップS600の処理を実行する点が相違する。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
制御装置200は、例えば監視部300や統合演算部600によって、図15に示す処理、図9に示す処理、図10に示す処理を実行する。図15に示す処理は、ステップS600のみが図13に示す処理と相違する。したがって、ステップS610、S620、S625、S630、S635は、それぞれ図8のステップS100、S110、S115、S120、S125と同様である。つまり、図15に示す処理では、図8に相当する処理を行う前にステップS600の判定処理を実行する。
統合演算部600から出力された潅水処理に係る信号を受信した監視部300のマイコン330は、図15に示す処理を実行する。図15に示す処理は、潅水時刻が到来するタイミングで、または潅水実施命令が出力されたタイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。図15に示す処理は、例えば、春先、晩秋などの時期に実行される。処理部334は、ステップS600で、タイマ設定時刻が到来したか否かを判定する。
処理部334は、タイマ設定時刻が到来していないと判定すると、このフローチャートを終了する。タイマ設定時刻が到来したと判定すると、ステップS610の判定処理を実行する。以下、図8と同様の処理である、ステップS100、S110、S115、S120、S125を実行する。
タイマ設定時刻が到来したことを示す信号は、RTC350から処理部334に出力される。処理部334は、この信号を取得した場合にタイマ設定時刻が到来したと判定する。タイマ設定時刻は、地温を検出する時刻であり、あらかじめ設定されている。タイマ設定時刻は、ユーザが入力機器800を操作して統合演算部600に入力する構成でもよい。潅水システム10は、ユーザの経験などに基づいたタイマ設定時刻を随時設定可能である。
第6実施形態
第6実施形態について図16を参照して説明する。第6実施形態の潅水システム10は、潅水処理を行う際に、図16に示すフローチャートにしたがった処理を実行する。第6実施形態の潅水システム10は、第1実施形態の図8に示す処理に代わりに、図16に示す処理を実行する点が相違する。第6実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
制御装置200は、例えば監視部300や統合演算部600によって、図16に示す処理、図8に示す処理、図10に示す処理を実行する。図16に示す処理は、ステップS700のみが図8に示す処理と相違する。したがって、ステップS710、S720、S730、S740、S750、S760、S770は、それぞれステップS200、S210、S220、S230、S240、S250、S260と同様である。つまり、図16に示す処理では、図9に相当する処理を行う前にステップS700の判定処理を実行する。
図16に示す処理は、潅水時刻が到来するタイミングで、または潅水実施命令が出力されたタイミングで実行されて、例えば1日のうち数回繰り返される。処理部334は、ステップS700において、前述のステップS600と同様の判定処理を実行する。この判定処理により、第6実施形態の潅水システム10は、第5実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果を奏する。この作用効果の内容については、第5実施形態を参照するものとする。
第7実施形態
第7実施形態について図17、図18を参照して説明する。第7実施形態の潅水システム10は、第1実施形態に対して、分配チューブ136の他方端部側の通路構成が相違する。第7実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
図17に示す第7実施形態の潅水システム10は、複数の分配チューブ136よりも下流に排水用通路を備えている。複数の分配チューブ136の他方端部は、第2連結管137に連通している。分配チューブ136の他方端部は、分配チューブ136の下流端部でもある。第2連結管137は、下流部位において一つの排水用配管に接続され、上流部位において複数の分岐管137aに接続されている。複数の分岐管137aは、第2連結管137に合流する複数の通路を構成する。各分岐管137aは、1つのグループをなす所定数の分配チューブ136の下流端部と第2連結管137とを連結する。複数の分岐管137aは、複数の分配チューブ136と第2連結管137とを連結する通路である。
分岐管137aの上流部位には、通路を開閉する給水弁153が設けられている。1個の分岐管137aは、1つのグループをなす所定数の分配チューブ136からの排水が流下するように設けられている。第2連結管137よりも下流の排水用配管には、通路を開閉する排水バルブ154が設けられている。排水バルブ152が開状態であるとき、給水経路の水を、分配チューブ136、第2連結管137、分岐管137aおよび排水バルブ154を通じて、外部に排出できる。給水弁153、排水バルブ154は、分配チューブ136の他方端部側の通路を開閉する第2給水弁である。
潅水システム10は、各給水弁151のバルブ開度を制御することにより、給水弁151を流量調整バルブとして機能させて低流量の給水を実施する。各分配チューブ136は、所定圧力範囲において各貫通孔から吐水する特性を有している。
図18は、第7実施形態の潅水システム10における制御構成を示している。前述したように配管内の停留水や停留水を排水する際に、マイコン330は、複数の給水弁151のうち排水経路につながる給水弁151を開状態にする制御信号を出力する。このときマイコン330は、分配チューブ136から吐水がされない所定圧力範囲外の内圧になるように、給水弁151のバルブ開度を制御する。さらにマイコン330は、排水経路につながる給水弁153と排水バルブ154とを開状態にする制御信号を出力する。これにより潅水システム10は、畝への吐水を抑えつつ、給水経路の停留水等を分配チューブ136の他方端部側から外部には排水することができる。
第8実施形態
第8実施形態について図19を参照して説明する。第8実施形態の潅水システム10は、前述の各実施形態に対して、排水バルブ152の個数が相違する。第8実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
図19に示す第8実施形態の潅水システム10は、図7に示す構成よりも排水バルブ152を多く備えている。第8実施形態の潅水システム10は、分岐管134aから分岐する通路を開閉する1個または複数の排水バルブ152を備えている。この排水バルブ152が開状態であるとき、分岐管134a内などの水を排水バルブ152を通じて、外部に排出することができる。
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
制御装置200は、潅水の実施タイミングで、図8に示す処理、図9に示す処理および図10に示す処理のすべてを並行して実行する構成でもよい。この場合、いずれかの処理において、排水実施または潅水禁止の条件が成立したときはこれにしたがい、排水実施または潅水禁止の処理を実行する。
前述の実施形態は、水圧センサと水温センサとを統合したセンサ装置を備え、このセンサ装置によって、配管内の水圧と水温を検出するように構成してもよい。前述の実施形態は、各種のセンサとバルブとを統合した装置を備え、この装置によって、各種の給水情報の検出と通路の開閉機能とを行うように構成してもよい。
本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
技術的思想の開示
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
技術的思想1
植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路と、
前記給水経路の温度を検出する温度センサ(160)と、
地温を検出する地温センサ(312)と、
前記地温センサによって検出された地温と前記温度センサによって検出された温度とを用いて潅水量を制御する制御装置(200)と、
を備える潅水システム。
技術的思想2
前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合に潅水量を絞るように制御し、
前記地温が前記給水経路の温度を上回っていない場合、または前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が前記潅水抑制用閾値を上回る場合に、前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合よりも潅水量を増加するように制御する技術的思想1に記載の潅水システム。
技術的思想3
前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合に潅水を禁止し、
前記地温が前記給水経路の温度を上回っていない場合、または前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が前記潅水抑制用閾値を上回る場合に潅水を実施する技術的思想1に記載の潅水システム。
技術的思想4
前記制御装置は、
前記給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水した後に潅水を実施し、
前記給水経路の温度が前記排水用閾値を下回る場合に前記停留水を含んだ潅水を実施する技術的思想1に記載の潅水システム。
技術的思想5
前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
前記給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水した後に潅水を実施し、
前記給水経路の温度が前記排水用閾値を下回る場合に前記停留水を含んだ潅水を実施する技術的思想1に記載の潅水システム。
技術的思想6
前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
前記給水経路の温度が、水の凍結温度よりも高い温度に設定された凍結前閾値を下回る場合には、前記地温と前記給水経路の温度との高低関係に関わらず、前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水する技術的思想1に記載の潅水システム。
技術的思想7
前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
前記給水経路の温度が、水の凍結温度よりも高い温度に設定された凍結前閾値を下回るか、前記給水経路の温度が前記排水用閾値を上回るかのいずれかの場合に、前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水する技術的思想5に記載の潅水システム。
技術的思想8
前記制御装置は、地温が前記給水経路の温度を上回るか否かの判断、または前記給水経路の温度が排水用閾値を上回るか否かの判断、をする前に、
土壌水分量が、前記植物の生育を阻害する可能性が高くなる値である生育阻害閾値を上回る場合には、強制的に潅水を禁止する技術的思想1から技術的思想7のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想9
前記給水経路の温度は、前記給水経路に存在する給水の水温である技術的思想1から技術的思想8のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想10
前記給水経路の温度は、前記給水経路を形成する配管の温度である技術的思想1から技術的思想8のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想11
前記地温センサによって検出される地温は、圃場における土壌の温度である技術的思想1から技術的思想10のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想12
前記地温センサによって検出される地温は、天然芝グランドの温度である技術的思想1から技術的思想10のいずれか一項に記載の潅水システム。
技術的思想13
植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路の温度と地温とを用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部(334)と、
潅水を実施するタイミングにおいて、
前記処理部によって前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回ると判定された場合に潅水を禁止する信号を出力し、
前記処理部によって前記地温が前記給水経路の温度を上回っていないと判定された場合に潅水を禁止する信号を出力し、前記処理部によって前記地温が前記給水経路の温度を上回っていない場合、または前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が前記潅水抑制用閾値を上回ると判定された場合に潅水を実施する信号を出力する信号出力部(332)と、
を備える制御装置。
技術的思想14
植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路の温度を用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部(334)と、
潅水を実施するタイミングにおいて、
前記処理部によって前記給水経路の温度が排水用閾値を上回ると判定された場合に前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水する信号を出力した後に潅水を実施する信号を出力し、
前記処理部によって前記給水経路の温度が前記排水用閾値を下回ると判定された場合に前記停留水を含んだ潅水を実施する信号を出力する信号出力部(332)と、
を備える制御装置。
20…圃場、 160…水温センサ(温度センサ)、 200…制御装置
312…地温センサ、 332…信号出力部、 334…処理部

Claims (14)

  1. 植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路と、
    前記給水経路の温度を検出する温度センサ(160)と、
    地温を検出する地温センサ(312)と、
    前記地温センサによって検出された地温と前記温度センサによって検出された温度とを用いて潅水量を制御する制御装置(200)と、
    を備える潅水システム。
  2. 前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
    前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合に潅水量を絞るように制御し、
    前記地温が前記給水経路の温度を上回っていない場合、または前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が前記潅水抑制用閾値を上回る場合に、前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合よりも潅水量を増加するように制御する請求項1に記載の潅水システム。
  3. 前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
    前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回る場合に潅水を禁止し、
    前記地温が前記給水経路の温度を上回っていない場合、または前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が前記潅水抑制用閾値を上回る場合に潅水を実施する請求項1に記載の潅水システム。
  4. 前記制御装置は、
    前記給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水した後に潅水を実施し、
    前記給水経路の温度が前記排水用閾値を下回る場合に前記停留水を含んだ潅水を実施する請求項1に記載の潅水システム。
  5. 前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
    前記給水経路の温度が排水用閾値を上回る場合に前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水した後に潅水を実施し、
    前記給水経路の温度が前記排水用閾値を下回る場合に前記停留水を含んだ潅水を実施する請求項1に記載の潅水システム。
  6. 前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
    前記給水経路の温度が、水の凍結温度よりも高い温度に設定された凍結前閾値を下回る場合には、前記地温と前記給水経路の温度との高低関係に関わらず、前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水する請求項1に記載の潅水システム。
  7. 前記制御装置は、潅水を実施するタイミングにおいて、
    前記給水経路の温度が、水の凍結温度よりも高い温度に設定された凍結前閾値を下回るか、前記給水経路の温度が前記排水用閾値を上回るかのいずれかの場合に、前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水する請求項5に記載の潅水システム。
  8. 前記制御装置は、地温が前記給水経路の温度を上回るか否かの判断、または前記給水経路の温度が排水用閾値を上回るか否かの判断、をする前に、
    土壌水分量が、前記植物の生育を阻害する可能性が高くなる値である生育阻害閾値を上回る場合には、強制的に潅水を禁止する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の潅水システム。
  9. 前記給水経路の温度は、前記給水経路に存在する給水の水温である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の潅水システム。
  10. 前記給水経路の温度は、前記給水経路を形成する配管の温度である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の潅水システム。
  11. 前記地温センサによって検出される地温は、圃場における土壌の温度である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の潅水システム。
  12. 前記地温センサによって検出される地温は、天然芝グランドの温度である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の潅水システム。
  13. 植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路の温度と地温とを用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部(334)と、
    潅水を実施するタイミングにおいて、
    前記処理部によって前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が潅水抑制用閾値を下回ると判定された場合に潅水を禁止する信号を出力し、
    前記処理部によって前記地温が前記給水経路の温度を上回っていないと判定された場合に潅水を禁止する信号を出力し、前記処理部によって前記地温が前記給水経路の温度を上回っていない場合、または前記地温が前記給水経路の温度を上回りかつ前記給水経路の温度が前記潅水抑制用閾値を上回ると判定された場合に潅水を実施する信号を出力する信号出力部(332)と、
    を備える制御装置。
  14. 植物に対して放出するための潅水が供給されている給水経路の温度を用いて潅水を実施するか否かを決定する処理部(334)と、
    潅水を実施するタイミングにおいて、
    前記処理部によって前記給水経路の温度が排水用閾値を上回ると判定された場合に前記給水経路の停留水を前記植物に放出することなく排水する信号を出力した後に潅水を実施する信号を出力し、
    前記処理部によって前記給水経路の温度が前記排水用閾値を下回ると判定された場合に前記停留水を含んだ潅水を実施する信号を出力する信号出力部(332)と、
    を備える制御装置。
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