JP2023554354A - アルツハイマー病の処置のためのマシチニブ - Google Patents

アルツハイマー病の処置のためのマシチニブ Download PDF

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Abstract

本発明は、それを必要とする患者の重症度が低いアルツハイマー病および/または早期アルツハイマー病の処置における使用のための、2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。特に本発明は、32以上、好ましくは32を超えるベースラインADCS-ADL(アルツハイマー病共同研究の日常生活動作)スコアを有し、および/または13以上のベースラインMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアを有し、および/または5年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有し、および/または40以下のベースラインADAS-Cog(アルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度)スコアを有する患者のアルツハイマー病の処置における使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、それを必要とする患者におけるアルツハイマー病の処置、特に重症度が低いアルツハイマー病および/または早期アルツハイマー病もしくはアルツハイマー型認知症の処置に関する。
発明の背景
アルツハイマー病(AD)は、高齢者の間で最も一般的な認知症原因であり、とりわけ西欧諸国では、全ての認知症症例の約60%~70%を占めると推定される。認知症は、記憶障害(即ち、記憶の障害)、知的活動の低下、人格変化および行動異常を特徴とする症候群を言う。これらの症状は、最終的には社会的および職業的機能の低下をもたらす。
アルツハイマー病は、不可逆的な神経変性障害であり、記憶および認知技能の障害をもたらす。アルツハイマー病は、記憶喪失などの軽度認知障害から始まり、最終的にはもはや独立した生活が可能でない段階まで進行する。アルツハイマー病を発症する主たる危険因子は、年齢であり、65歳以降は、疾患を発症する確率が約5年ごとに倍増する。85歳以上の全個体の約3分の1が、アルツハイマー病を有し得る。家族歴もまた、疾患の発症リスクを増加させ、遺伝的要因または環境的要因が原因の場合がある。
脳で観察されたアルツハイマー病の2つの組織病理学的特色は、ニューロン間に生じるアミロイド斑(神経突起斑または老人斑とも称される)と、ニューロン内に生じる神経原線維変化である。アミロイド斑は、アミロイド前駆タンパク質の切断により生成されたβ-アミロイドペプチドの凝集から生じる。神経原線維変化は主として、互いに結びついてフィラメントを形成するリン酸化タンパク質タウ(τ)の異常な蓄積から生じる。アミロイド斑の沈着および神経原線維変化の形成は、該疾患の原因、発症および経過に複雑に関係すると考えられる。
疫学研究のメタ分析は、米国および欧州の500万~1000万人の個体がアルツハイマー病に罹患していることを示す。アルツハイマー病は既に、米国の全死亡原因の第6位であり、65歳を超える米国人では第5位である。欧州連合では認知症を有する人が300万人を超えて存在し、これらの約70%がアルツハイマー病に罹患していると推定される。世界全体のアルツハイマー病疾病率は、2050年までに4倍に増加して1億人を超え、その頃は、世界の85人に1人が、この疾患と共に生活することになると予測される。それらの症例の40%より多くが、後期アルツハイマー病になって、長期療養施設と同等の高度の配慮を必要とするであろう。
現在、アルツハイマー病に関して認可された処置は、コリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミンなど)と、NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体アンタゴニスト(メマンチン)と、の2つのタイプの投薬からなる。コリンエステラーゼ阻害剤は、シナプス間隙のアセチルコリンエステラーゼを阻害することによりコリン作動性伝達を増加させる。メマンチンは、電圧依存性で中等度親和性の非競合的NMDA受容体アンタゴニストである。それは、ニューロン機能不全をもたらし得る病的に上昇した持続的レベルのグルタミン酸の影響を調整する。現在認可されている処置は、アルツハイマー病の幾つかの認知および非認知症状に有効性を示している。しかしそれらの有効性は、限定的であり、経時的に低下する場合がある。
それゆえ、アルツハイマー病の有効な処置が、依然として必要とされている。特に、重症度が低いアルツハイマー病および/または早期アルツハイマー病もしくはアルツハイマー型認知症の有効な処置が、依然として必要とされている。
このため本発明は、それを必要とする患者、特に本明細書に定義される重症度が低いアルツハイマー病および/または早期アルツハイマー病もしくはアルツハイマー型認知症に罹患した患者のアルツハイマー病の処置における使用のための、2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
概要
本発明は、それを必要とする患者のアルツハイマー病の処置における使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、アルツハイマー病に罹患した該患者は、32以上、好ましくは32を超えるアルツハイマー病共同研究の日常生活動作(ADCS-ADL)スコアを有し、および/または13以上のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、および/または5年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有し、および/または40以下のアルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)スコアを有する。
一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、32、35、38、39、41、47、50、または55以上、好ましくは32、35、38、39、41、47、50、または55を超えるADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、38または50以上のADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、39または55を超えるADCS-ADLスコアを有する。
一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、13、14、15、16、または17以上、好ましくは14以上のMMSEスコアを有する。一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、21~25の範囲内のMMSEスコアを有する。
一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、5年、4年、3年または2年以下、好ましくは3年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、40、35、32、または25以下のADAS-Cogスコアを有する。一実施形態において、アルツハイマー病に罹患した患者は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、35以下のADAS-Cogスコアを有する。
一実施形態において、マシチニブの薬学的に許容できる塩は、メシル酸マシチニブである。
一実施形態において、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約1~約12mg/kg/日(1日のキログラム体重あたりのmg)の範囲内の用量、好ましくは約3mg/kg/日、4.5mg/kg/日または6mg/kg/日の用量での投与するためである。一実施形態において、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約4.5mg/kg/日の初回用量で少なくとも12週間、それ以降は約6mg/kg/日の用量で投与するためであり、各用量漸増は、毒性管理に供される。一実施形態において、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、経口投与のためである。一実施形態において、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、1日2回摂取により投与するためである。
一実施形態において、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤と共に投与するためである。一実施形態において、該少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンからなる群から選択される。
定義
本発明において、以下の用語は、以下の意味を有する。
数字の前の「約」は、前記数字の値の±10%以内を包含する。用語「約」が指す値そのものもまた、具体的におよび好ましく開示されることが、理解されなければならない。
本明細書で使用される「ベースライン」は、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物によるによる処置開始前の時間を指す。一実施形態において、「ベースライン」は、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前の状態に対応する。例えば一実施形態において、ベースラインスコアは、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前のスコアである。一実施形態において、「ベースライン」は、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始の時間の状態に対応する。例えば一実施形態において、ベースラインスコアは、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始の時間のスコアである。
「薬学的に許容できる賦形剤」または「薬学的に許容できる担体」は、患者に投与された場合に、有害な、アレルギー性の、または他の不都合な反応を生じない賦形剤または担体を指す。それは、例えば分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤などのあらゆる全ての溶媒を包含する。薬学的に許容できる賦形剤または担体は、非毒性の固体、半固体、または液体の充填剤、希釈剤、封入材、または任意の型の配合助剤を指す。ヒトへの投与の場合、調製剤は、FDA(米国食品医薬品局)またはEMA(欧州医薬品庁)などの規制当局により要求される滅菌性、発熱性、一般的安全性および純度規準に適合しなければならない。
「患者」は、アルツハイマー病に罹患したヒト対象を指す。一実施形態において、患者は、医療の受診を待機している、もしくは受診している、または医療処置の対象であった/対象である/対象になる予定である、またはアルツハイマー病の発症についてモニタリングされている。
本明細書で使用される「AD患者」は、アルツハイマー病(AD)に罹患した患者を指す。
「アルツハイマー病進行(AD進行)」における「進行」は、症状の経時的な漸進性増悪、特に疾患経過中の記憶障害および/または認知障害の漸進性増悪を指す。AD進行は、例えばアルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)、アルツハイマー病共同研究の日常生活動作(ADCS-ADL)スケール、および/またはミニメンタルステート検査(MMSE)によって評定され得る。
本明細書で使用されるADAS-Cogスコアの進行、ADCS-ADLスコアの進行、またはMMSEスコアの進行などの「スコアの進行」は、アルツハイマー病に罹患した患者を評定するために使用されるスコア(ADAS-Cogスコア、ADCS-ADLスコア、またはMMSEスコアなど)の経時的変化を指す。疾患進行とともに、スコアが増加しても(即ち、ADAS-Cogスコア)、または減少してもよい(即ち、ADCS-ADLスコア、またはMMSEスコア)。スコアの進行は、処置の有効性を評定するために使用され得る。一実施形態において、スコアの進行は、このためベースライン(即ち、処置開始前)のスコアと、処置が開始された後の(処置開始後の特定の時点で測定された)スコアと、の差に対応する。経時的なスコアの差がないことは、AD患者の疾患進行がないこと、および安定した状態を示す。ADAS-Cogスコアの場合、小さな増加(または所与の時点とベースラインとの正の差)は、わずかな疾患進行を示す。このためADAS-Cogスコアの増加が小さいほど(即ち、正の差が小さいほど)、AD患者がより安定している。したがって処置前の同一期間でのADAS-Cogスコアの進行と比較した、小さなADAS-Cogスコア増加は、疾患進行の緩徐化を示す。反対にADAS-Cogスコアの減少(または所与の時点とベースラインとの負の差)は、AD患者の疾患進行がないこと、および改善を示す。ADCS-ADLスコアおよび/またはMMSEスコアの場合、小さな減少(または所与の時点とベースラインとの負の差)は、疾患のわずかな進行を示す。このためADCS-ADLスコアおよび/またはMMSEスコアの減少が小さいほど(即ち、負の差が小さいほど)、AD患者がより安定している。したがって、処置前の同一期間のADCS-ADLスコアおよび/またはMMSEスコアの進行と比較した、小さなADCS-ADLスコアおよび/またはMMSEスコア減少は、疾患進行の緩徐化を示す。反対にADCS-ADLスコアおよび/またはMMSEスコアの増加(または所与の時点とベースラインとの正の差)は、AD患者の疾患進行がないこと、および改善を示す。
「治療有効量」または「治療有効用量」は、処置を必要とする患者に有意な負のまたは有害な副作用を引き起こすことなく、AD患者の記憶障害および/または認知障害を防止、低減、または緩徐化(低下)することを目標とする、本明細書に定義される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物の量または濃度を指す。一実施形態において、治療有効量または治療有効用量は、処置を必要とする患者に重大な負の、または有害な副作用を引き起こすことなく、以下の少なくとも1つをもたらすことを目標とする:
- 経時的なADAS-Cogスコアの増加、経時的なADAS-Cogスコアの安定性、もしくは経時的なADAS-Cogスコアの減少、の緩徐化に対応するアルツハイマー病の進行の緩徐化;
- 経時的なADCS-ADLスコアの減少、経時的なADCS-ADLスコアの安定性、もしくは経時的なADCS-ADLスコアの増加、の緩徐化に対応するアルツハイマー病の進行の緩徐化;および/または
- 経時的なMMSEスコアの減少、経時的なMMSEスコアの安定性、もしくは経時的なMMSEスコアの増加、の緩徐化に対応するアルツハイマー病の進行の緩徐化。
「処置すること」または「処置」は、目的が、処置を必要とする患者のアルツハイマー病の症状または発現の1つまたは複数を防止、低減、または緩徐化(低下)することである、治療的処置、予防的(または防止的)処置、または治療的処置と予防的(または防止的)処置の両方を指す。一実施形態において、本出願による処置の目的は、処置を必要とするAD患者の記憶障害および/または認知障害を防止、低減、または緩徐化(低下)することである。一実施形態において、本出願による処置の目的は、以下の少なくとも1つをもたらすことである:
- 経時的なADAS-Cogスコアの増加、経時的なADAS-Cogスコアの安定性、もしくは経時的なADAS-Cogスコアの減少、の緩徐化に対応するアルツハイマー病の進行の緩徐化;
- 経時的なADCS-ADLスコアの減少、経時的なADCS-ADLスコアの安定性、もしくは経時的なADCS-ADLスコアの増加、の緩徐化に対応するアルツハイマー病の進行の緩徐化;および/または
- 経時的なMMSEスコアの減少、経時的なMMSEスコアの安定性、もしくは経時的なMMSEスコアの増加、の緩徐化に対応するアルツハイマー病の進行の緩徐化。
本明細書で使用される「診断から処置開始までの時間」は、アルツハイマー病の最初の臨床的確定診断の日付(日/月/年、月/年、または年として表される)から本明細書に定義される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始の日付(日/月/年、月/年、または年として表される)までの間の期間を指す。一実施形態において、アルツハイマー病の診断は、DSM-IV基準(精神障害の診断・統計マニュアル、第4版)および/またはNINCDS-ADRDA基準(米国国立神経疾患・脳卒中研究所-アルツハイマー病・関連障害協会)に基づく。一実施形態において、日付が、月/年として表される場合(即ち、日にちに関する情報がない場合)、日にちは、月の最終日と見なされる。一実施形態において、日付が、年として表される場合(即ち、日および月に関する情報がない場合)、月は、6月と見なされ、日にちは、月の最終日、即ち6月の最終日と見なされる。
詳細な記載
本発明は、後に定義されるそれを必要とする患者のアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者、特に後に定義されるそれを必要とする患者の重症度が低いアルツハイマー病および/または早期アルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者、特に後に定義されるそれを必要とする患者の重症度が低いアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者、特に後に定義されるそれを必要とする患者の早期アルツハイマー病または早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
特に一実施形態において、本発明は、処置開始前に60以下のアルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)スコアを有し、処置開始前に20以上の、好ましくは20を超えるアルツハイマー病共同研究の日常生活動作(ADCS-ADL)スコアを有し、処置開始前に12以上のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、および/または10年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する、患者のアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
本明細書で使用される「処置開始前」は、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前を意味する。言い換えれば、「処置開始前」は、ベースライン時を意味する。このため一実施形態において、処置開始前のスコア(ADAS-Cogスコア、ADCS-ADLスコア、またはMMSEスコアなど)は、ベースラインスコア(ベースラインADAS-Cogスコア、ベースラインADCS-ADLスコア、またはベースラインMMSEスコアなど)である。
一実施形態によれば、本発明は、処置開始前に40以下のADAS-Cogスコアを有し、処置開始前に32以上の、好ましくは32を超えるADCS-ADLスコアを有し、処置開始前に13以上のMMSEスコアを有し、および/または5年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する、患者のアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。言い換えれば、一実施形態によれば、本発明は、40以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、32以上の、好ましくは32を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する、患者でのアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者の本明細書に定義される重症度が低いアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、アルツハイマー病の重症度は、アルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)、アルツハイマー病共同研究の日常生活動作(ADCS-ADL)スケール、および/またはミニメンタルステート検査(MMSE)を使用して決定される。
一実施形態において、アルツハイマー病の重症度は、ADAS-Cogを使用して決定される。ADAS-Cogは、認知症の認知症状の重症度を決定するために広範囲で使用される。ADAS-Cogは、口頭言語、聴覚的理解、喚語、言語再生、呼称、見当識、命令、観念運動、構成行為、言語再認、および教示の再生という11の側面を検査する (Rosen et al., Am J Psychiatry. 1984 Nov;141(11):1356-64)。ADAS-Cogスコアは、各評定項目で行われたエラーの数に基づき、総スコアは0~70の範囲内である。スコア70は、最も重度の認知障害を表し、スコア0は、最小の認知障害を表す。したがって、例えばベースライン時のADAS-Cogスコアと比較した、経時的なADAS-Cogスコアの増加は、認知機能の増悪、つまりアルツハイマー病の進行に対応する。反対に、例えばベースライン時のADAS-Cogスコアと比較した、経時的なADAS-Cogスコアの増加がないこと(即ち、安定したADAS-Cogスコア)または減少は、アルツハイマー病の安定化に対応する。一実施形態において、40以下のADAS-Cogスコアは、重症度が低いアルツハイマー病に対応する。一実施形態において、35以下のADAS-Cogスコアは、重症度が低いアルツハイマー病に対応する。
一実施形態において、アルツハイマー病の重症度は、ADCS-ADLを使用して決定される。ADCS-ADLは、日常生活の基本的および道具を使う動作においてアルツハイマー病などの認知症患者の能力を評定するために広範囲に使用される。ADCS-ADLは、23の問診を含み、総スコアは0~78の範囲内である(Galasko et al., Alzheimer Dis Assoc Disord. 1997;11 Suppl 2:S33-9)。スコア78は、最小の機能障害を表し、スコア0は、最も重度の機能障害を表す。したがって、例えばベースライン時のADCS-ADLスコアと比較した、経時的なADCS-ADLスコアの減少は、機能障害の増悪、つまりアルツハイマー病の進行に対応する。反対に、例えばベースライン時のADCS-ADLスコアと比較した、経時的なADCS-ADLスコアの減少がないこと(即ち、安定したADCS-ADLスコア)または増加は、アルツハイマー病の安定化に対応する。一実施形態において、32以上、好ましくは32を超えるADCS-ADLスコアは、重症度が低いアルツハイマー病に対応する。一実施形態において、38以上、好ましくは38を超えるADCS-ADLスコアは、重症度が低いアルツハイマー病に対応する。
一実施形態において、アルツハイマー病の重症度は、MMSEを使用して決定される。ミニメンタルステート検査(MMSE)は、アルツハイマー病に関連する認知症に照準を絞り、認知症で認められる認知障害をスクリーニングするために広範囲で使用される。MMSEは、見当識、即時再生、注意と計算能力、遅延再生、および言語能力を評定する11項目を含み、総スコアは0~30の範囲内である(Folstein et al., J Psychiatr Res. 1975 Nov;12(3):189-98)。スコア30は、最小の認知障害を表し、スコア0は、最も重度の認知障害を表す。したがって、例えばベースライン時のMMSEスコアと比較した、経時的なMMSEスコアの減少は、認知機能の増悪、つまりアルツハイマー病の進行に対応する。反対に、例えばベースライン時のMMSEスコアと比較した、経時的なMMSEスコアの減少がないこと(即ち、安定したMMSEスコア)または増加は、アルツハイマー病の安定化に対応する。一実施形態において、26以上のMMSEスコアは、正常な認知機能に対応し、21~25の範囲内のMMSEスコアは、軽度認知障害に対応し、12~20の範囲内のMMSEスコアは、中等度の認知障害に対応し、12未満のMMSEスコアは、重度認知障害に対応する。
一実施形態において、13以上、好ましくは14以上のMMSEスコアは、重症度が低いアルツハイマー病に対応する。このため一実施形態において、14以上のMMSEスコアは、中等度に(moderately)重度および重度のアルツハイマー病を除外する。一実施形態において、12~25、好ましくは13~25の範囲内のMMSEスコアは、重症度が低いアルツハイマー病に対応する。一実施形態において、21~25の範囲内のMMSEスコアは、わずかに(mildly)重度のアルツハイマー病または軽度アルツハイマー病に対応する。一実施形態において、12~20、好ましくは13~20の範囲内のMMSEスコアは、中等度に重度のアルツハイマー病または中等度のアルツハイマー病に対応する。一実施形態において、13未満、好ましくは12未満のMMSEは、重度アルツハイマーに対応する。
一実施形態において、重症度が低いアルツハイマー病は、40以下のベースラインADAS-Cogスコア、32以上、好ましくは32を超えるベースラインADCS-ADLスコア、および/または13以上のベースラインMMSEスコアとして定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の重症度が低いアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、40以下のベースラインADAS-Cogスコア、32以上、好ましくは32を超えるベースラインADCS-ADLスコア、および/または13以上のベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態において、重症度が低いアルツハイマー病は、40以下のベースラインADAS-Cogスコア、および/または32以上、好ましくは32を超えるベースラインADCS-ADLスコアとして定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の重症度が低いアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、40以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または32以上、好ましくは32を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。
一実施形態において、重症度が低いアルツハイマー病は、35以下のベースラインADAS-Cogスコア、および/または38以上、好ましくは38を超えるベースラインADCS-ADLスコアとして定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の重症度が低いアルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、35以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または38以上の、好ましくは38を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。
一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者の本明細書に定義される早期アルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、アルツハイマー病のステージは、上記のMMSEを使用して決定される。
一実施形態において、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21以上、好ましくは13以上、より好ましくは14以上のMMSEスコアは、早期アルツハイマー病に対応する。一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー病の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、13以上、好ましくは14以上、より好ましくは21以上のベースラインMMSEを有する。
一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者の本明細書に定義される早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、アルツハイマー型認知症のステージは、上記のADCS-ADLスケール、上記のMMSE、および/または診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を使用して決定される。
一実施形態によれば、アルツハイマー型認知症のステージは、上記のADCS-ADLスケールを使用して決定される。一実施形態において、50以上、好ましくは50を超えるADCS-ADLスコアは、早期アルツハイマー型認知症に対応する。一実施形態において、55以上、好ましくは55を超えるADCS-ADLスコアは、早期アルツハイマー型認知症に対応する。
一実施形態によれば、アルツハイマー型認知症のステージは、上記のMMSEを使用して決定される。一実施形態において、14以上のMMSEスコアは、早期アルツハイマー型認知症に対応する。一実施形態において、21~25の範囲内のMMSEスコアは、早期アルツハイマー型認知症に対応する。
一実施形態によれば、アルツハイマー型認知症のステージは、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間に基づいて決定される。一実施形態において、3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間は、早期アルツハイマー型認知症に対応する。一実施形態において、2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間は、早期アルツハイマー型認知症に対応する。
一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、上記で定義されたベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または上記で定義されたベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコア、および/または14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアとして定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコア、および/または14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアとして定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、上記で定義されたベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または上記で定義された、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコア、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコア、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、上記で定義されたベースラインMMSEスコアを有し、および/または上記で定義された、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、14以上のベースラインMMSEスコア、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、14以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコア、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有することとして定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、上記で定義されたベースラインADCS-ADLスコアを有し、上記で定義されたベースラインMMSEを有し、および/または上記で定義された、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコア、14以上のベースラインMMSEスコア、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコア、14以上のベースラインMMSEスコア、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコア、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコア、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコア、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコア、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコア、14以上のベースラインMMSEスコア、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコア、14以上のベースラインMMSEスコア、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコア、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコア、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、早期アルツハイマー型認知症は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコア、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコア、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間として定義される。このため一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者の早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関し、前記患者は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、または10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、または25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、または70以上、好ましくは20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、または70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70以上、好ましくは25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、32、35、38、39、41、47、または55以上、好ましくは32、35、38、39、41、47、または55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、38、39、50、または55以上、好ましくは38、39、50、または55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、38もしくは50以上、または39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、13以上、好ましくは14以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、12~20の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2年、1.5または1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、5、4、3、または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、3年以下、好ましくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、もしくは10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55以上、好ましくは30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または38、39、50、もしくは55以上、好ましくは38、39、50、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する。
一実施形態において、本発明は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または38もしくは50以上、または39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有する患者のADの処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、もしくは10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または13、14、15、16、17、18、19、もしくは20以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または14以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、もしくは10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、もしくは1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または5、4.5、4、3.5、3、2.5、もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または5、4、3、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70以上、好ましくは20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55以上、好ましくは30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または13、14、15、16、もしくは17以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、38、39、50、もしくは55以上、好ましくは38、39、50、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態において、本発明は、38もしくは50以上、もしくは39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する患者のADの処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、もしくは1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55以上、好ましくは30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または5、4.5、4、3.5、3、2.5、もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、38、39、50、もしくは55以上、好ましくは38、39、50、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または5、4、3、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明は、38もしくは50以上、または39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または5、4、3、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、もしくは1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、13、14、15、16、もしくは17以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4.5、4、3.5、3、2.5、もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4、3、もしくは2年以下、好ましくは3年以下、より好ましくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、もしくは10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70以上、好ましくは20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55以上、好ましくは30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または13、14、15、16、もしくは17以上のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、38、39、50、もしくは55以上、好ましくは38、39、50、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または14以上、好ましくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または14以上、好ましくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する。
一実施形態において、本発明は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、38もしくは50以上、または39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有する患者のADの処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、もしくは10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、20、25、30、35、39、45、50、55、60、65もしくは70以上、好ましくは20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、もしくは1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55以上、好ましくは30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または5、4.5、4、3.5、3、2.5、もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、38、39、50、もしくは55以上、好ましくは38、39、50、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または5、4、3、2.5、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または3年以下、好ましくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または3年以下、好ましくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、38もしくは50以上、または39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、および/または5、4、3、2.5、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する患者のADの処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、もしくは10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、もしくは1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、13、14、15、16、もしくは17以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4、3、2.5、もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4、3、2.5、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、14以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下、好ましくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下、好ましくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70以上、好ましくは20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、もしくは1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以上、好ましくは45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13、14、15、16、もしくは17以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4.5、4、3.5、3、2.5、もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、38、39、50、もしくは55以上、好ましくは38、39、50、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のMMSEスコアを有し、および/または5、4、3、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明は、38もしくは50以上、または39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13以上、好ましくは14、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4、3、または2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する患者のADの処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、もしくは10以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70以上、好ましくは20、25、30、35、39、45、50、55、60、65、もしくは70を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2年、1.5、もしくは1年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55以上、好ましくは30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13、14、15、16、もしくは17以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4.5、4、3.5、3、2.5、もしくは2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、38、39、50、もしくは55以上、好ましくは38、39、50、もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13以上、好ましくは14以上、もしくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4、3、2.5、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上、好ましくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上、好ましくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、50以上、好ましくは50を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上、好ましくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。一実施形態において、本発明により処置されるAD患者は、25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、55以上、好ましくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、14以上、好ましくは21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または2年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する。
一実施形態において、本発明は、40、35、32、もしくは25以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、38もしくは50以上、または39もしくは55を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13以上、好ましくは14、または21~25の範囲内のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5、4、3、もしくは2年以下、好ましくは3年以下の、診断から本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する患者のADの処置における使用のための、本明細書に記載される2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態において、患者は、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、または80歳より高齢である。一実施形態において、患者は、50歳、またはより50歳より高齢である。一実施形態において、患者は、少なくとも40歳、41歳、42歳、43歳、44歳、45歳、46歳、47歳、48歳、49歳、50歳、51歳、52歳、53歳、54歳、55歳、56歳、57歳、58歳、59歳、60歳、61歳、62歳、63歳、64歳、65歳、66歳、67歳、68歳、69歳、または70歳である。
一実施形態において、患者は、95歳より若い、90歳より若い、85歳より若い、80歳より若い、75歳より若い、または70歳より若い。
一実施形態において、患者は、男性である。一実施形態において、患者は、女性である。
一実施形態において、患者は、アルツハイマー病の家族歴、ダウン症候群、過去の重度頭部外傷、心臓血管疾患、能動喫煙、肥満、糖尿病、高血圧、および高コレステロールを含む群、またはそれらからなる群から選択される少なくとも1つの危険因子を呈する。
本明細書で使用される「危険因子」は、アルツハイマー病に罹患するリスクの上昇をもたらし得る既往症、状態、習慣または行動を指す。
本発明において、2-アミノアリールチアゾール誘導体は、アミンの窒素原子が少なくとも1つのアリール基により置換されている、第2位(即ち、複素環窒素と硫黄原子の間)が第2級または第3級アミンにより置換されたチアゾリル基の存在を特徴とする化合物を指す。
一実施形態によれば、アリール基は、アリールアミド基(即ち、-NH-CO-アリール)により置換されている。
一実施形態において、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体は、以下の式(I):
Figure 2023554354000001

(式中、
- RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル基、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、可溶化基(solubilizing group)、および可溶化基により置換された(C~C10)アルキルから選択され;
- mは、0~5であり;
- nは、0~4であり;
- Rは、以下のものの1つである:
(i)アリール基(フェニルなど)であって、ハロゲン、(C~C10)アルキル、トリフルオロメチル、シアノおよびアルコキシなどの置換基1つまたは複数により場合により置換されたアリール基;
(ii)ヘテロアリール基(2、3、または4-ピリジル基など)であって、ハロゲン、(C~C10)アルキル基、トリフルオロメチルおよびアルコキシなどの置換基1つまたは複数により場合により置換されたヘテロアリール基;
(iii)5員環芳香族複素環基(例えば、2-チエニル、3-チエニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリルなど)であって、ハロゲン、(C~C10)アルキル基、トリフルオロメチル、およびアルコキシなどの置換基1つまたは複数により場合により置換された5員環芳香族複素環基)を有する。
このため一実施形態において、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその医薬もしくは溶媒和物は、式(I)で示される2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
一実施形態において、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体は、以下の式(II):
Figure 2023554354000002

(式中、
- Rは、独立して、水素、ハロゲン、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル基、トリフルオロメチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、可溶化基、および可溶化基により置換された(C~C10)アルキルから選択され;
- mは、0~5である)を有する。
一実施形態において、式(II)のRは、可溶化基である。一実施形態において、式(II)のRは、可溶化基により置換された(C~C10)アルキルである。
一実施形態において、式(II)のRは、(C~C10)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-である。一実施形態において、式(II)のRは、(C~C)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-、好ましくは(C~C)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-である。一実施形態において、式(II)のRは、(C~C10)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C)アルキル-、好ましくは(C~C10)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C)アルキル-である。一実施形態において、式(II)のRは、(C~C10)アルキル-(C~C)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-、好ましくは(C~C10)アルキル-(C)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-である。一実施形態において、式(II)のRは、(C~C)アルキル-(C~C)ヘテロシクロアルキル-(C~C)アルキル-、好ましくは(C~C)アルキル-(C)ヘテロシクロアルキル-(C~C)アルキル-である。一実施形態において、式(II)のRは、(C~C)アルキル-ピペラジニル-(C~C)アルキル-、好ましくは(C~C)アルキル-ピペラジニル-(C~C)アルキル-である。一実施形態において、式(II)のRは、メチルピペラジニル-(C~C)アルキル-、好ましくはメチルピペラジニル-メチル-、より好ましくは4-メチルピペラジニル-メチルである。
このため一実施形態において、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、上記の式(II)で示される2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
本明細書で使用される用語「アリール基」は、典型的には5~12個、好ましくは6~10個の原子を含有し、少なくとも1つの環が芳香族である、単一の芳香族環(即ち、フェニル)または互いに縮合された(例えば、ナフチル)もしくは共有結合で連結された複数の芳香族環を有する、多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指す。芳香族環は、場合により縮合された1つまたは複数の追加の環(シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールのいずれか)を含んでもよい。アリールはまた、本明細書に列挙された炭素環系の部分水素化誘導体を包含するものとする。適切なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびに5,6,7,8-テトラヒドロナフチルなどのベンゾ縮合炭素環部分が挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、非置換であるか、または1つもしくは複数の置換基で置換され得る。一実施形態において、アリール基は、環が6個の炭素原子を含む単環であり、本明細書では「(C)アリール」と称される。
本明細書で使用される用語「アルキル基」は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝鎖非環式炭化水素を指す。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニルおよびn-デシルが挙げられるが、これらに限定されない。飽和分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル,3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、1つまたは複数の置換基で場合により置換されてもよい。
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、酸素原子により別の部分に結合したアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、イソプロポキシ、エトキシ、tert-ブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基は、1つまたは複数の置換基で場合により置換されてもよい。
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、3~10個の炭素原子を有する飽和環状アルキルラジカルを指す。代表的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、1-メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル,およびシクロデシルが挙げられる。シクロアルキル基は、1つまたは複数の置換基で場合により置換され得る。
本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを指す。
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、炭素原子環員と、1つまたは複数のヘテロ原子環員(例えば、酸素、硫黄または窒素など)と、を含む単環式または多環式複素芳香族環を指す。典型的にはヘテロアリール基は、1~約5個のヘテロ原子環員と、1~約14個の炭素原子環員と、を有する。代表的なヘテロアリール基としては、ピリジル、1-オキソ-ピリジル、フラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[1,4]ジオキシニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、インドリジニル、イミダゾピリジル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4]ピリミジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、およびベンゾ(b)チエニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換されてもよく、例えば窒素上の水素が、tert-ブトキシカルボニル基で置換されてもよい。ヘテロアリール基は、1つまたは複数の置換基で場合により置換されてもよい。加えて、窒素または硫黄ヘテロ原子環員は、酸素化されてもよい。一実施形態において、複素芳香族環は、5~8員単環式ヘテロアリール環から選択される。複素芳香族環またはヘテロアリール環の、別の基への付着点は、複素芳香族環またはヘテロアリール環の炭素原子またはヘテロ原子のどちらにあってもよい。
本明細書で使用される用語「複素環」は、集合的にヘテロシクロアルキル基およびヘテロアリール基を指す。
本明細書で使用される用語「ヘテロアルクロアルキル」は、O、NまたはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、2~11個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であってもよいが芳香族でない、単環基または多環基を指す。ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、4-ピペリドニル(4-piperidonyl)、ピロリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリンジニル(tetrahydropyrindinyl)、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、テトラヒドロチオピラニルスルホキシド、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル-2-オン、テトラヒドロチエニル、およびテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、単環式ヘテロシクロアルキル基は、3~7員を有する。好ましい3~7員単環式ヘテロシクロアルキル基は、5または6個の環原子を有する基である。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換されてもよく、例えば窒素上の水素が、tert-ブトキシカルボニル基で置換されてもよい。さらにヘテロシクロアルキル基が、1つまたは複数の置換基で場合により置換されてもよい。加えて、複素環の、別の基との結合点は、複素環の炭素原子またはヘテロ原子のどちらにあってもよい。そのような置換された芳香族基の安定した異性体のみが、本定義の中で企図される。
本明細書で使用される用語「置換基」または「置換された」は、化合物または基の水素ラジカルが非保護形態で、または保護基で保護された場合に、反応条件に実質的に安定している任意の所望の基で置き換えられることを意味する。好ましい置換基の例としては、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ、またはフルオロ);アルキル;アルケニル;アルキニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミン;シアノ;アミド;ホスホナト;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;酸素(-O);ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル);単環式、または縮合もしくは非縮合多環式であり得るシクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル)、または単環式、または縮合もしくは非縮合多環式であり得るヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル)、単環式、または縮合もしくは非縮合多環式アリールまたはヘテロアリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、またはベンゾフラニル);アミノ(第1級、第2級、または第3級);COCH;CONH;OCHCONH;NH;SONH;OCHF;CF;OCFが挙げられるが、これらに限定されず、そのような部分はまた、縮合環構造または架橋、例えば-CHO-により場合により置換されてもよい。これらの置換基は、さらにそのような基から選択される置換基で場合により置換されてもよい。特定の実施形態において、用語「置換基」または形容詞「置換された」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロアルキル、-C(O)NR1112、-NR13C(O)R14、ハロ、-OR13、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、-C(O)R13、-NR1112、-SR13、-C(O)OR13、-OC(O)R13、-NR13C(O)NR1112、-OC(O)NR1112、-NR13C(O)OR14、-S(O)rR13、-NR13S(O)rR14、-OS(O)rR14、S(O)rNR1112、-O、-S、および-N-R13からなる群から選択される置換基を指し、ここでrは、1または2であり;R11およびR12は、各存在に関して独立して、H、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたアルキニル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたシクロアルケニル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアリールアルキル、もしくは場合により置換されたヘテロアリールアルキルであるか;またはR11およびR12が、付着された窒素と一緒になって、場合により置換されたヘテロシクロアルキルもしくは場合により置換されたヘテロアリールであり;R13およびR14は、各存在に関してに独立して、H、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたアルキニル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたシクロアルケニル、場合により置換されたヘテロシクロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアリールアルキル、または場合により置換されたヘテロアリールアルキルである。特定の実施形態において、用語「置換基」または形容詞「置換された」は、可溶化基を指す。
本明細書で使用される用語「可溶化基」は、実質的にイオン化され得て、化合物が、例えば水または水含有溶媒などの所望の溶媒に溶解することを可能にする任意の基(「水可溶化基」)を指す。さらに可溶化基は、化合物または複合体の親油性を上昇させるものであり得る。一実施形態において、可溶化基は、N、O、Sなどの1つまたは複数のヘテロ原子のそれぞれが独立してアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、シアノで置換されたアルキル基で、またはシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールで、場合により置換されている、該ヘテロ原子で置換されたアルキル基、またはリン酸塩、または硫酸塩、またはカルボン酸から選択される。一実施形態において、可溶化基は、以下のうちの1つである:
- 少なくとも1つの窒素もしくは酸素ヘテロ原子のどちらかを含み、および/または少なくとも1つのアミノ基もしくはオキソ基により置換された、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール基(非限定的に、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、4-ピペリドニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラニルおよびジヒドロフラニル-2-オンを含む);
- アルキル、アルコキシカルボニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルおよびジアルキルカルバモイル(非限定的に、メチル-ピペリジニル、メチル-ピペラジニルおよびメチル-ピロリジニルを含むからなる基により置換され得る飽和環状アミノ基であり得るアミノ基(非限定的に、ピペリジニル、ピペラジニルおよびピロリジニルを含む);
- 以下に示される構造a)~i)の1つ(ここで波線および矢印線は、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、例えば式(I)または(II)のコア構造との結合点に対応する)。
Figure 2023554354000003
一実施形態において、可溶化基は、以下のうちの1つである:
- 少なくとも1つの窒素または酸素ヘテロ原子のどちらかを含み、少なくとも1つのアミノ基またはオキソ基により置換された、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール基;
- アルキル、アルコキシカルボニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルおよびジアルキルカルバモイルからなる基により置換され得る飽和環状アミノ基であり得るアミノ基;
- 上記で示された構造a)~i)の1つ(ここで波線および矢印線は、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、例えば式(I)または(II)のコア構造との結合点に対応する)。
一実施形態において、可溶化基は、アルキル、アルコキシカルボニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルおよびジアルキルカルバモイルからなる基(非限定的に、メチル-ピペリジニル、メチル-ピペラジニルおよびメチル-ピロリジニルを含む)により置換され得る飽和環状アミノ基(非限定的に、ピペリジニル、ピペラジニルおよびピロリジニルを含む)である。
一実施形態において、可溶化基は、上記で示された構造c)であり、ここで波線は、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、例えば式(I)または(II)のコア構造との結合点に対応する。
本明細書で使用される「薬学的に許容できる塩」は、生物学的に望ましくないものでなく、一般に遊離塩基を適切な有機もしくは無機酸と反応させることにより、または有機酸を適切な有機もしくは無機塩基と反応させることにより、調製される、遊離酸または遊離塩基の塩を指す。適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシラート、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸水素塩、リン酸塩二水素塩、リン酸塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩が挙げられる。適切な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、塩素、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、モルホリン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、および亜鉛の塩が挙げられる。酸および塩基のヘミ塩、例えばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩もまた、形成されてもよい。
一実施形態において、薬学的に許容できる塩は、例えば塩酸、硫酸もしくはリン酸などの無機酸との、または適切な有機カルボン酸もしくはスルホン酸、例えばトリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸もしくはシュウ酸などの脂肪族モノもしくはジカルボン酸、またはアルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸、安息香酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸などの芳香族カルボン酸、マンデル酸もしくは桂皮酸などの芳香族-脂肪族カルボン酸、ニコチン酸もしくはイセチオン酸などの複素芳香族カルボン酸、メタン-、エタン-、もしくは2-ヒドロキシエタン-スルホン酸、特にメタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、または芳香族スルホン酸、例えばベンゼン-、p-トルエン-もしくはナフタレン-2-スルホン酸との薬学的に許容できる酸付加塩である。
一実施形態において、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体の薬学的に許容できる塩は、メシル酸塩である。
他に示されない限り、用語「メシル酸塩」は、メタンスルホン酸と、名前を挙げた薬学的物質(式(I)または(II)で示される2-アミノアリールチアゾール誘導体など)との塩を指すために本明細書で使用される。メシラート(mesylate)ではないメシル酸塩(mesilate)の使用は、WHO(例えば、世界保健機関(2006年2月)。International Nonproprietary Names Modified. INN Working Document 05.167/3. WHO)により議論されたINNM(International nonproprietary names modified)を遵守している。
本明細書で使用される「薬学的に許容できる溶媒和物」は、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体と、化学量論量または化学量論量以下のエタノールなどの薬学的に許容できる溶媒分子の1つまたは複数と、を含む分子複合体を指す。用語「水和物」は、前記溶媒が水素である場合を指す。
1つの特別な実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物である。
マシチニブの化学名は、4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチル)-N-[4-メチル-3-(4-ピリジン-3イルチアゾール-2-イルアミノ)フェニル]ベンズアミド - CAS番号790299-79-5:
Figure 2023554354000004
である。
マシチニブは最初、米国特許第7,423,055号および欧州特許第1525200 号に記載された。
一実施形態において、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、メシル酸マシチニブである。このため一実施形態において、上記のマシチニブの薬学的に許容できる塩は、メシル酸マシチニブである。上述のとおり、言い換えればマシチニブの薬学的に許容できる塩は、マシチニブのメタンスルホン酸塩である。
メシル酸マシチニブの合成の詳細な手順は、WO2008/098949号に与えられる。
一実施形態において、「メシル酸マシチニブ」は、マシチニブの経口的に生物学的利用性のあるメシル酸塩 - CAS 1048007-93-7(MsOH);C2830OS.CHSOH;MW594.76:
Figure 2023554354000005
を指す。
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、治療有効用量で投与するためである。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約1~約12mg/kg/日(1日のキログラム体重あたりのmg)の範囲内の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約1.5~約7.5mg/kg/日の範囲内の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約3~約12mg/kg/日、好ましくは約3~約6mg/kg/日の範囲内の用量で投与するためである。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12mg/kg/日の範囲内の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約1.5、3、4.5、6、7.5、9、10.5、または12mg/kg/日の範囲内の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約3、4.5、または6mg/kg/日の範囲内の用量で投与するためである。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約7.5mg/kg/日、より好ましくは約4.5mg/kg/日または約6mg/kg/日の最大量に達するまでの約1.5mg/kg/日の増分で漸増された用量であり得る。各用量漸増は、用量漸増を行うことを可能にする任意の毒性事象の非存在下で毒性管理に供される。
一実施形態において、2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物の用量漸増は、初回用量の投与後少なくとも4週後の任意の時点、および初回投与後26週まで、例えば初回用量の投与後4週目、8週目、12週目、16週目、20週目、または24週目、好ましくは初回用量の投与後12週目に行われる。各用量漸増は、例えば一定用量での過去の処置期間、疑われる重度の有害事象が報告されなかったこと、疑われる有害事象により、処置の中断をもたらさなかったこと、および疑われる有害事象が、その重症度によらず、用量増加時に進行していないことを含む毒性管理に供される。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約3mg/kg/日の初回用量で6週間、それ以降は約4.5mg/kg/日の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約4.5mg/kg/日の初回用量で6週間、それ以降は約6mg/kg/日の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約3mg/kg/日の初回用量で12週間、それ以降は約4.5mg/kg/日の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約4.5mg/kg/日の初回用量で12週間、それ以降は約6mg/kg/日の用量で投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、約3mg/kg/日の初回用量で少なくとも4週間、その後、約4.5mg/kg/日の用量で少なくとも4週間、それ以降は約6mg/kg/日の用量で投与するためであり、各用量漸増は、毒性管理に供される。
一実施形態によれば、本明細書で示された任意の用量は、活性成分の量を指し、そのため薬学的に許容できる塩または溶媒形態の量を指すのではない。このため、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブの薬学的に許容できる塩または溶媒和物の組成変動は、投与される用量に影響を及ぼさないであろう。
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、上記の用量で投与するために適合される。
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、経口的に、静脈内に、非経口的に、局所に、吸入により、特に吸入スプレーにより、直腸に、鼻腔に、または口腔に投与されてもよい。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、経口投与のためである。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1日1回、好ましくは1日2回投与するためである。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、例えば少なくとも1か月間、2か月間、3か月間、6か月間、9か月間、または12か月間などの長期投与のためである。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、経口投与のために適合されているか、または経口投与のために適合された形態である。経口投与のために適合された形態の例としては、液体、ペーストまたは固体組成物、より詳細には錠剤、丸薬、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリーおよび懸濁液が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、錠剤、好ましくは100mgまたは200mg錠として投与するためである。
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤と共に投与するためである。
本発明によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、前記少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤と同時に、別個に、または連続で投与されてもよい。一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、前記少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤と併用して、好ましくは配合調製物、医薬組成物、または薬剤として投与するためである。
本明細書に記載されるアルツハイマー病の患者に投与され得るさらなる薬学的活性剤の例としては、ドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミンなどのクロンエステラーゼ阻害剤(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤またはAche阻害剤としても知られる)、ならびにメマンチンが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンを含む群、またはそれらからなる群から選択される。
一実施形態において、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤は、コリンエステラーゼ阻害剤である。一実施形態において、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤は、ドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミンを含む群、またはそれらからなる群から選択される。
一実施形態において、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤は、メマンチンである。
一実施形態において、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物は、コリンエステラーゼ阻害剤(特に、ドネペジル、リバスチグミン、またはガランタミン)および/またはメマンチンと併用して投与するためである。
本発明の別の目的は、上記で定義されたそれを必要とする患者におけるアルツハイマー病を処置するための方法であって、該方法は、上記のとおり、2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含む。
一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者、特に上記で定義されたそれを必要とする患者において、上記で定義された重症度が低いアルツハイマー病および/または早期のアルツハイマー病を処置するための方法に関し、該方法は、上記のとおり、2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含む。
一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者、特に上記で定義されたそれを必要とする患者において、上記で定義された早期のアルツハイマー型認知症を処置するための方法に関し、該方法は、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含む。
一実施形態において、本発明は、それを必要とする患者におけるアルツハイマー病を処置するための方法に関し、前記患者は、40以下のベースラインADAS-Cogスコアを有し、32以上の、好ましくは32を超えるベースラインADCS-ADLスコアを有し、13以上のベースラインMMSEスコアを有し、および/または5年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有し、該方法は、上記のとおり、2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含む。
一実施形態において、上記の方法は、上記のとおり、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤を投与することを含む。
本発明の別の目的は、上記で定義されたそれを必要とする患者でのアルツハイマー病の処置における使用のための医薬組成物であり、前記医薬組成物は、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、場合により少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤と、を含む。
本発明の別の目的は、上記で定義されたそれを必要とする患者におけるアルツハイマー病の処置のための医薬組成物であり、前記医薬組成物は、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物と、場合により少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤と、を含む。
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、上記で定義された重症度が低いアルツハイマー病および/または早期アルツハイマー病の処置における使用のためである。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、先に定義された早期アルツハイマー型認知症の処置における使用のためである。
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、上記の少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤との併用のためである。
本発明の別の目的は、上記で定義されたそれを必要とする患者におけるアルツハイマー病の処置のための薬剤の製造のための、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物の使用である。
一実施形態において、該薬剤は、上記で定義された重症度が低いアルツハイマー病および/または早期アルツハイマー病の処置のためである。一実施形態において、該薬剤は、上記で定義された早期アルツハイマー型認知症の処置のためである。
一実施形態において、上記の少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤との併用のためである。
実施例
本発明は、以下の実施例によりさらに示される。
実施例1:試験AB09004の計画
国際共同多施設無作為化二重盲検プアセボ対照第3相試験を、4.5mg/kg/日の用量の経口マシチニブをアルツハイマー病の処置として評価する目的で実施した。
少なくとも50歳の適格患者が、精神障害の診断・統計マニュアル(DSM-IV)基準によりアルツハイマー型の認知症を有する、およびNINCDS-ADRDA(米国国立神経疾患・脳卒中研究所-アルツハイマー病・関連障害協会)基準によりアルツハイマーの可能性を有すると診断された。患者は、12~25の範囲内のミニメンタルステート検査(MMSE)のベースラインスコアを有した。アルツハイマー病によらない任意の他の認知症原因を有する患者は、この試験に不適格とした。
適格患者を、4.5mg/kg/日(1日のキログラム体重あたりのmg)の用量のマシチニブで、またはプラセボで24週間処置した。処置は、コリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル、リバスチグミンまたはグランタミン)および/またはメマンチンの安定用量で最低6か月間処置されていて、試験全体を通して治療中に変化が予見されない患者において、アドオン療法として投与された。
一次分析は、
- アルツハイマー病共同研究の日常生活動作(ADCS-ADL)スコアのベースラインからの変化。ADCS-ADLは、基本的および手段的な日常生活動作(ADL)におけるアルツハイマー病患者の能力を評定する。
- アルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)におけるベースラインからの変化。ADAS-Cogは、認知および記憶を評定する。
のコプライマリーエンドポイントに基づいた。
処置効果は、これらのエンドポイントの少なくとも一方で確定される必要があり、両方のエンドポイントが、フォールバック法で同時に2.5%の有意水準(p<0.025)で検定される。
処置効果(マシチニブ 対 プラセボ)を、以下の因子による共分散モデル(ANCOVA線形モデル)の解析を使用してベースラインから24週目までの絶対変化に基づいて評定した:処置、ベースライン値、ならびにベースラインMMSEスコア、年齢、ADCS-ADL総スコア、およびADAS-Cog総スコアの層別化基準。
ADCS-ADLでは、全般的スコア(即ち、看護者により評価された23項目の合計)が、0~78の範囲で使用され、78は、完全に機能していて障害がないことを意味する。このためスコアが高いほど機能的能力が大きいことを意味し、スコアが低いほど障害が大きいこと(増悪していること)を意味する。結果を、ベースラインからのADCS-ADLスコアの絶対変化の最小二乗平均の差、即ち、ADCS-ADLスコアの経時的変化、または言い換えればベースライン時(処置開始前)のADCS-ADLスコアとマシチニブまたはプラセボによる処置後のADCS-ADLスコアとの差(δLSM)として表す。ベースラインに関するADCS-ADLスコアの増加(即ち、正のδLSM)は、患者における改善、つまり疾患の安定性を示し、ベースラインに関するADCS-ADLスコアの減少(即ち、負のδLSM)は、患者における増悪、つまり疾患進行を示す。処置効果は、処置アーム間の差(ΔLSM)(δLSM[マシチニブ]-δLSM[プラセボ]として計算)として報告され、正の値はプラセボによる処置と比較したマシチニブによる処置の有益な効果を示す。両方の処置アームが日常生活動作の増悪(即ち、負のδLSM)を示すシナリオでは、その場合の正のΔLSMは、マシチニブに関する有益な処置効果、即ち、マシチニブ処置患者の悪化速度が、プラセボアームの患者の悪化速度より緩やかであることを示している。
試験AB09004で使用したADAS-Cogバージョンには、以下のとおり再分類された11項目が含まれた:言語(項目1、2、3)、行動および認識(項目5、7、8、9)、記憶(項目4、10、11)、見当識(項目6)。項目は、0~5(項目1、2、3、5、7、8、9、11)または0~8(項目6)、または0~10(項目4)、または0~12(項目10)のいずれかの範囲である。11項目の合計である全般的スコアは、0~70の範囲であり、最高スコアは、より大きな認知障害を示す。結果を、ベースラインからのADAS-Cogスコアの絶対変化の最小二乗平均の差、即ちADAS-Cogスコアの経時的変化、または言い換えればベースライン時のADAS-Cogスコアとマシチニブもしくはプラセボによる処置後のADAS-Cogスコアとの差(δLSM)として表される。ベースラインに関するADAS-Cogスコアの減少(即ち、負のδLSM)は、患者における改善、つまり疾患安定性を示し、ベースラインに関するADAS-Cogスコアの増加(即ち、正のδLSM)は、患者における増悪、つまり疾患進行を示す。処置効果は、処置アーム間の差(ΔLSM)(δLSM[マシチニブ]-δLSM[プラセボ]として計算)として報告され、負の値はプラセボと比較したマシチニブによる処置の有益効果を示す。両方の処置アームが認知機能の増悪(即ち、正のδLSM)を示すシナリオでは、その場合の負のΔLSMは、マシチニブに関する有益な処置効果、即ち、マシチニブ処置患者の悪化速度が、プラセボアームの患者の悪化速度より緩やかであることを示している。
実施例2:
「診断から処置開始までの時間」、「ベースラインADAS-Cogスコア」、「ベースラインADCS-ADLスコア」、および「ベースラインMMSEスコア」の臨床マーカーによる部分集団の分析
方法
アルツハイマー病は、アミロイドベータ代謝不全、アミロイド沈着物の形成および神経原線維変化という特徴的な病理学的プロセスと、神経変性と、を含む生物学的な連続する病勢進行(continuum)として記載することができる。いずれかの理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、マシチニブ処置効果が薬物の標的化機構、例えば疾患の進路に沿って差次的効果を有する中枢神経系(CNS)内の自然免疫関連炎症などの動的プロセスの病理生理学的影響と相関することを示唆している。つまり、例えばマクロファージ/マクログリアおよび肥満細胞のモジュレーションまたはプライミングを介して、アルツハイマー病の処置に感受性がある相を標的とすることにより、神経損傷を阻害してCNS修復経路を促進することが可能になり得る。厳密には、そのような差次的なCNS自然免疫関連プロセスがアルツハイマー病発病の時系列進行にどのように寄与するかは、依然として未知である。
どのアルツハイマー病患者がマシチニブ処置から利益を得る可能性が最も高いかを特定する確立された予後的または予測的生物マーカーがないため、利用し易い臨床マーカーを使用する必要がある。「診断からの時間」(ベースライン時または処置開始時);所与の閾値のアルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)スコア(ベースライン時または処置開始時);所与の閾値のアルツハイマー病共同研究の日常生活動作(ADCS-ADL)スコア(ベースライン時または処置開始時);および/または所与の範囲のミニメンタルステート検査(MMSE)スコア(ベースライン時または処置開始時)は、マシチニブ処置から利益を得る可能性が最も高い患者を特定すること、および神経変性疾患プロセスのより早期(即ち、進行した神経損傷以前の患者)で処置することが有益になり得るか、または神経変性疾患の後期(即ち、既存の進行した神経損傷を有する患者)で処置することが有益になり得るかを示すこと、において潜在的予測的価値を有する。
アルツハイマー病の「診断からの時間」は、理想的にはアルツハイマー病専門の神経医により決定されたアルツハイマー病の臨床的確定診断に基づく。実際には、処置開始日から計算された期間と共に、アルツハイマー病の最初の臨床的確定診断、即ち、DSM-IVおよびNINCDS-ADRDA基準に従う日付(年/月/日、年/月、または年)に由来する。
試験AB09004からのコプライマリーエンドポイントデータの部分集団解析は、上記で列挙した臨床マーカーの影響を評定した。
結果は、驚くべきことに、神経変性疾患プロセスの早期で、および/または機能障害の特定の閾値の発生前に処置を受けたそれらの患者のみが、マシチニブ処置からの利益を得やすいことを示した。アルツハイマー病発達のより進行した相の患者は、プラセボと比較してマシチニブに対して識別可能な応答を示さない。このため前述の臨床マーカーを、マシチニブに対して可能性のある応答の予測的指標として使用することができ、そのためマシチニブ処置から利益を得る可能性の最も高い患者、例えば40以下のADAS-Cogスコア、32以上のADCS-ADLスコア、13以上、好ましくは14以上のMMSEスコア、および/または5年以下、好ましくは3年以下の、診断からマシチニブによる処置開始までの時間を有するアルツハイマー病の患者の選択のための道具として使用することができる。
結果
より具体的には、前述の臨床データは、経口投与したマシチニブ(4.5mg/kg/日)がアルツハイマー病集団の別個の部分集団により大きな治療利益を提供することを示している(以下の表1~6参照)。ADAS-CogスコアまたはADCS-ADLスコアのどちらかの変化により測定される、この強化された処置効果は、診断からの時間、認知障害のレベル、または日常生活における機能障害のレベルに関して定義される部分集団において同定される。
どのアルツハイマー病患者がマシチニブ処置から利益を得る可能性が最も高いかを特定する確立された予後的または予測的な生物マーカーがないため、利用し易い臨床マーカーを使用する必要がある。マーカー「診断からの時間」(ベースライン時または処置開始時)は、アルツハイマー病の連続する病勢進行の特定の時点で(即ち、疾患プロセスの早期または後期で)処置することが有益であるかどうかを示すことにおいて潜在的予測価値を有する。結果は、5年、4年、3年または2年以下のカットオフの、診断から処置開始までの時間を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団が、プラセボと比較して、マシチニブ処置後のベースラインからのADAS-Cogの変化に統計学的有意差(p<0.025)があることを実証した。この処置効果は、関連する補完的部分集団(即ち、5年、4年、3年または2年より長い、診断から処置開始までの時間)では明白でなかった。
例えば、「3年以下の診断から処置開始までの時間」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団は、プラセボと比較して、マシチニブ処置後にベースラインからADAS-Cogの変化に統計学的有意差(p<0.025)があることを実証した。処置アーム間の差(ΔLSM)は、マシチニブに好適な-2.8700ポイントであった(p=0.00004)(以下の表1参照)。対照的に、「3年を超える診断から処置開始までの時間」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった(-0.3770ポイントのΔLSM、p=-0.74309)。
例えば「2年以下の診断から処置開始までの時間」を有することとして定義されるアルツハイマー病の部分集団は、プラセボと比較してマシチニブ処置後のADAS-Cogの変化に統計学的有意差(p<0.025)があることを実証した。処置アーム間の差(ΔLSM)は、マシチニブに好適な-2.7754ポイントであった(p=0.00009)(以下の表1参照)。対照的に、「2年を超える診断から処置開始までの時間」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった(-1.3581ポイントのΔLSM、p=0.112)。
Figure 2023554354000006
ベースラインMMSE(または処置開始前もしくは処置開始時のMMSE)の変数は、アルツハイマー病の連続する病勢進行の特定ポイントで処置することが有益かどうかを示すことにおいて潜在的予測的価値を有する。結果は、13、14、15、16または17以上のカットオフのベースラインMMSEを有することとして定義されるアルツハイマー病の部分集団が、プラセボと比較してマシチニブ処置後にベースラインからのADAS-Cogの変化、またはベースラインからのADCS-ADLの変化に統計学的有意差(p<0.025)があることを実証した。この処置効果は、関連の補完的部分集団(即ち、13、14、15、16、または17未満のベースラインMMSE)では明白でなかった。
例えば、「処置開始前に14ポイント以上であるベースラインMMSEスコア」により定義されるアルツハイマー病の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化(ΔLSM=+2.4046、p=0.00875)に関して、およびベースラインからのADAS-Cogの変化(ΔLSM=-2.4192、p=0.00012)に関しても、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示した(以下の表2参照)。対照的に、「処置開始前に14ポイント未満であるベースラインMMSE」を有することとして定義される補完的部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化(ΔLSM=-3.5751、p=0.26527)に関して、またはベースラインからのADAS-Cogの変化(ΔLSM=1.0497、p=0.56013)に関して、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった。
Figure 2023554354000007
「処置開始前に25~21ポイントの範囲内であるベースラインMMSEスコア」により定義されるアルツハイマー病の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化(ΔLSM=+2.7435、p=0.024)に関して、およびベースラインからのADAS-Cogの変化(ΔLSM=-2.8929、p=0.0008)に関しても、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示した(以下の表3参照)。対照的に、「処置開始前に20~12ポイントの範囲内であるベースラインMMSE」を有することとして定義される補完的部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化(+1.3770ポイントのΔLSM、p=0.245)に関して、またはベースラインからのADAS-Cogの変化(ΔLSM=-1.7387、p=0.0284)に関して、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった。これは、「処置開始前に20~12ポイントの範囲内であるベースラインMMSE」の部分集団と比較して、「処置開始前に25~21ポイントの範囲内であるベースラインMMSE」の部分集団での99%~66%の間の改善された利益に対応する。
Figure 2023554354000008
ベースラインADAS-Cogスコア(または処置開始前もしくは処置開始時のADAS-Cogスコア)という変数は、アルツハイマー病の連続する病勢進行の特定の時点で処置することが有益かどうかを示すことにおいて潜在的予測的価値を有する。結果は、25、32、35または40以下のカットオフのベースラインADAS-Cogを有することとして定義されるアルツハイマー病の部分集団が、プラセボと比較してマシチニブ処置後にベースラインからのADAS-Cogの変化、またはベースラインからのADCS-ADLの変化の統計学的有意差(p<0.025)を有することを実証した。この処置効果は、関連する補完的部分集団(即ち、25、32、35または40を超えるベースラインADAS-Cog)では明白でなかった。
例えば、「処置開始前に25ポイント以下のADAS-Cogスコア」により定義されるアルツハイマー病患者の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化に関して、プラセボに関してマシチニブ処置効果の傾向を示した(ΔLSM=+2.3646、p=0.0262)(以下の表4参照)。対照的に、「処置開始前に25ポイントを超えるADAS-Cogスコア」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった(+1.2592ポイントのΔLSM、p=0.367)。これは、「処置開始前に25ポイントを超えるADAS-Cogスコア」の部分集団に対する、「処置開始前に25ポイント以下であるADAS-Cogスコア」の部分集団での84%の改善された利益に対応する。
例えば、「処置開始前に35ポイント以下であるADAS-Cogスコア」により定義されるアルツハイマー病の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化に関して、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示した(ΔLSM=+2.2189、p=0.0216)(以下の表4参照)。対照的に、「処置開始前に35ポイントを超えるADAS-Cogスコア」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して識別可能な処置効果を示さなかった(-0.788ポイントのΔLSM、p=0.7203)。
Figure 2023554354000009
例えば、「処置開始前に40ポイント以下のADAS-Cogスコア」により定義されるアルツハイマー病患者の部分集団は、ベースラインからのADAS-Cogの変化に関して、プラセボに関してマシチニブ処置効果の傾向を示した(ΔLSM=-2.3299、p=0.00020)(以下の表5参照)。対照的に、「処置開始前に40ポイントを超えるADAS-Cogスコア」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意な処置効果を示さなかった(-0.2351ポイントのΔLSM、p=0.91116)。
Figure 2023554354000010
ベースラインADCS-ADLスコア(または処置開始前もしくは処置開始時のADCS-ADLスコア)という変数は、アルツハイマー病コンティニュアムの特定ポイントで処置することが有益かどうかを示すことにおいて潜在的予測的価値を有する。結果は、32、35、38、41、47もしくは50のカットオフ以上のベースラインADCS-ADLを有すること、または39および55のカットオフを超えるベースラインADCS-ADLを有すること、として定義されるアルツハイマー病患者の部分集団が、プラセボと比較してマシチニブ処置後にベースラインからのADCS-ADLの変化の統計学的有意差S(p<0.0225)または差の傾向を実証した。この処置効果は、関連の補完的部分集団では明白でなかった。
例えば、「処置開始前に39ポイントを超えるADCS-ADLスコア」により定義されるアルツハイマー病患者の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化に関して、プラセボに関してマシチニブ処置効果の傾向を示した(ΔLSM=+2.0733、p=0.0433)(以下の表6参照)。対照的に、「処置開始前に39ポイント以下のADCS-ADLスコア」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった(+0.7132ポイントのΔLSM、p=0.686)。これは、「処置開始前に39ポイント以下のADCS-ADLスコア」の部分集団に対する、「処置開始前に39ポイントを超えるADCS-ADLスコア」の部分集団での191%の改善された利益に対応する。
例えば、「処置開始前に55ポイントを超えるADCS-ADLスコア」により定義されるアルツハイマー病の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化に関して、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示した(ΔLSM=+3.1871、p=0.0077)(以下の表6参照)。対照的に、「処置開始前に55ポイント以下のADCS-ADLスコア」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった(+0.4577ポイントのΔLSM、p=0.727)。これは、「処置開始前に55ポイント以下のADCS-ADLスコア」の部分集団に対する、「処置開始前に55ポイントを超えるADCS-ADLスコア」の部分集団での約600%の改善された利益に対応する。
例えば、「処置開始前に50ポイント以上ADCS-ADLスコア」により定義されるアルツハイマー病の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化に関してプラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示した(ΔLSM=+3.2315、p=0.00704)(以下の表6参照)。対照的に、「処置開始前に50ポイント未満のADCS-ADLスコア」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった(+0.3062ポイントのΔLSM、p=0.81375)。
例えば、「処置開始前に38ポイント以上ADCS-ADLスコア」により定義されるアルツハイマー病の部分集団は、ベースラインからのADCS-ADLの変化に関してプラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示した(ΔLSM=+2.3285、p=0.01996)(以下の表6参照)。対照的に、「処置開始前に38ポイント未満のADCS-ADLスコア」を有することとして定義される補完的部分集団は、プラセボに関して有意なマシチニブ処置効果を示さなかった(-0.2109ポイントのΔLSM、p=0.91442)。
Figure 2023554354000011
実施例3:「診断から処置開始までの時間」、「ベースラインMMSEスコア」、および「ベースラインADCS-ADLスコア」の臨床マーカーによる、部分集団に対比した全試験集団で観察された処置効果の比較
上記で詳述されたとおり、マシチニブ(4.5mg/kg/日)は、「診断から処置開始までの時間」、「ベースラインMMSEスコア」、「ベースラインADAS-Cogスコア」および「ベースラインADCS-ADLスコア」により定義されるアルツハイマー病患者の部分集団において臨床利益の増加を提供する。前記臨床利益の増加は、関連の補完的部分集団と比較して、本明細書で定義されるアルツハイマー病患者の部分集団において、実質的な処置効果として顕著に観察された(処置アーム間の統計学的有意差に関して表される)(先の表1~6参照)。
本明細書で定義されるアルツハイマー病患者の部分集団で観察された処置効果(処置アーム間の統計学的有意差に関して表される)はまた、全試験集団で観察された処置効果にも比較された(処置アーム間の統計学的有意差に関して表される)。
比較は、以下の情報を使用して実行された:
- δLSM:ADAS-Cog評定またはADCS-ADL評定のどちらかによる、ベースラインから24週目のエンドポイントスコアにおける絶対変化の最小二乗平均の差。
- ΔLSM:δLSM[マシチニブ]-δLSM[プラセボ]として計算された処置アーム間の差(処置効果)。
- Δsub/Δoverall:全試験集団のプラセボ対照処置効果(マシチニブ4.5mg/kg/日 並行アームでの24週目のΔLSM)と、部分集団のプラセボ対照処置効果(マシチニブ4.5mg/kg/日 並行アームでの24週目のΔLSM)の比率。1.0より大きな比率は、全試験集団と比較して部分集団で改善されたプラセボ対照処置効果を示す(改善率%で表される)。
- 負のΔLSM(ADAS-Cog)は、プラセボと比較したマシチニブに関するより大きなベースラインとの差を示す。
- 正のΔLSM(ADCS-ADL)は、プラセボと比較したマシチニブに関するより大きなベースラインとの差を示す。
以下の表7~11に示されたとおり、マシチニブの臨床利益は、全試験集団で観察されたマシチニブの臨床利益と比較して、本明細書で定義されるアルツハイマー病患者の部分集団で改善された。
例えば、全試験集団でのベースラインからのADAS-Cogの変化に関して観察されたマシチニブ処置効果(プラセボに関して)と比較した、「診断から処置開始までの時間」の臨床マーカーに関係して、「3年以下の診断から処置開始までの時間」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団におけるマシチニブ処置効果は、34%の改善を示した(以下の表7参照)。同様に、全試験集団でのベースラインからのADAS-Cogの変化に関して観察されたマシチニブ処置効果(プラセボに関して)と比較して、「2年以下の診断から処置開始までの時間」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団におけるマシチニブ処置効果は、29%の改善を示した(以下の表7参照)。
Figure 2023554354000012
例えば、全試験集団でのベースラインからのADCS-ADLの変化に関して観察されたマシチニブ処置効果(プラセボに関して)と比較した、「ベースラインMMSEスコア」の臨床マーカーに関係して、「処置開始前に14ポイント以上のベースラインMMSEスコア」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団におけるマシチニブ処置効果は、32%の改善を示した(以下の表8参照)。
Figure 2023554354000013
その上、全試験集団でのベースラインからのADCS-ADLの変化に関して観察されたマシチニブ処置効果(プラセボに対する)と比較すると、「処置開始前に25~21ポイントの範囲内のベースラインMMSEスコア」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団におけるマシチニブ処置効果は、51%の改善を示した(以下の表9参照)。
Figure 2023554354000014
同様に、全試験集団でのベースラインからのADAS-Cogの変化に関して観察されたマシチニブ処置効果(プラセボに関して)と比較すると、「処置開始前に25~21ポイントの範囲内であるベースラインMMSEスコア」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団におけるマシチニブ処置効果は、35%の改善を示した(以下の表10参照)。
Figure 2023554354000015
例えば、「ベースラインADCS-ADLスコア」の臨床マーカーに関して、全試験集団でのベースラインからのADCS-ADLの変化に関して観察されたマシチニブ処置効果(プラセボに関して)と比較すると、「処置開始前に50ポイント以上のADCS-ADLスコア」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団におけるマシチニブ処置効果は、78%の改善を示した(以下の表11参照)。同様に、全試験集団でのベースラインからのADCS-ADLの変化に関して観察されたマシチニブ処置効果(プラセボに関する)と比較すると、「処置開始前に55ポイントを超えるADCS-ADLスコア」を有することとして定義されるアルツハイマー病患者の部分集団におけるマシチニブ処置効果は、75%の改善を示した(以下の表11参照)。
Figure 2023554354000016

Claims (15)

  1. それを必要とする患者のアルツハイマー病の処置における使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物であって、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、前記アルツハイマー病に罹患した患者が、32以上、好ましくは32を超えるアルツハイマー病共同研究の日常生活動作(ADCS-ADL)スコアを有し、および/または13以上のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有し、および/または5年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有し、および/または40以下のアルツハイマー病評価尺度-認知下位尺度(ADAS-Cog)スコアを有する、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  2. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、32、35、38、39、41、47、50、または55以上、好ましくは32、35、38、39、41、47、50、または55を超えるADCS-ADLスコアを有する、請求項1に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  3. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、38または50以上のADCS-ADLスコアを有する、請求項1または2に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  4. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、39または55を超えるADCS-ADLスコアを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  5. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、13、14、15、16、または17以上、好ましくは14以上のMMSEスコアを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  6. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、21~25の範囲内のMMSEスコアを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  7. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、5年、4年、3年または2年以下、好ましくは3年以下の、診断からマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始までの時間を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  8. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、40、35、32、または25以下のADAS-Cogスコアを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  9. 前記アルツハイマー病に罹患した患者が、マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物による処置開始前に、35以下のADAS-Cogスコアを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  10. 前記マシチニブの薬学的に許容できる塩が、メシル酸マシチニブである、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  11. マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、約1~約12mg/kg/日(1日のキログラム体重あたりのmg)の範囲内の用量、好ましくは約3mg/kg/日、4.5mg/kg/日、または6mg/kg/日の用量で投与するためである、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  12. マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、約4.5mg/kg/日の初回用量で少なくとも12週間、それ以降は約6mg/kg/日の用量で投与するためであり、各用量漸増が、毒性管理に供される、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  13. マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、経口投与のためである、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  14. マシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物が、少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤と共に投与するためである、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
  15. 前記少なくとも1種のさらなる薬学的活性剤が、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンからなる群から選択される、請求項14に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
JP2023536086A 2020-12-16 2021-12-16 アルツハイマー病の処置のためのマシチニブ Pending JP2023554354A (ja)

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