JP2023554139A - マイコトキシン症から保護するためのコンジュゲート化アフラトキシンb - Google Patents

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Abstract

本発明は、動物をAFB誘導性マイコトキシン症から保護するため、特に、AFBの摂取の結果としての1日当たりの平均体重増加量の減少、免疫抑制、黄疸、出血性腸炎から保護するための方法におけるコンジュゲート化アフラトキシン(AFB)の使用に関する。

Description

本発明は概して、マイコトキシンによって誘導されるマイコトキシン症に対する動物の保護に関する。特に、本発明は、アフラトキシンB(AFB)によって誘導されるマイコトキシン症に対する保護に関する。
アスペルギルス(Aspergillus)属種によって産生されるアフラトキシンは、非常に毒性があり、発癌性であり、食物源に深刻な汚染を引き起こし、深刻な健康上の結果をもたらす。アフラトキシンによる汚染は、収穫前及び収穫後の状態の間の真菌感染に起因する、ラッカセイ、キビ、ゴマ種子、トウモロコシ、コムギ、イネ、イチジク、スパイス及びココア等の食品及び飼料において報告されている。これらの食品の他に、ピーナッツバター、調理油及び化粧品のような市販品も、アフラトキシンによって汚染されることが報告されている。低濃度のアフラトキシンでさえ、ヒト及び家畜にとって危険である。汚染された食物及び飼料からのアフラトキシン(AF)の摂取は、ヒト及び動物において深刻な健康合併症を引き起こしている。したがって、様々な国が、個人の健康を維持するために食品及び飼料中のAFに対して厳しい規制を実施している。これに加えて、持続可能な農業生産性を高めるために、AFの収穫前及び収穫後の管理に様々な革新的な技術及び制御戦略が適用される。
アフラトキシンは、クマリン核に結合したビフラン基及びペンタノン環(AFBの場合)又はラクトン環(AFGの場合)を有する化学的にジフラノクマリン誘導体である。AFBは、一般にAFGよりも毒性が高い。同定された20個のAFのうちの2つの主要なAFBは、密接に関連するAFB1及びAFB2である。特に、AFB1はヒトに対する強力な発癌物質であり、AFB汚染食品の摂取後の深刻な健康合併症に関連する。これは、肝臓癌及び急性肝炎、並びに死に至る急性アフラトキシン症の定期的な大流行の原因因子であった。これは、AFB誘導性マイコトキシン症のほとんどの予防的処置が、現在、作物でのマイコトキシン産生を減少させるための良好な農業慣行並びにマイコトキシンレベルが一定の限界未満のままであることを確実にするための食品及び飼料商品の制御プログラム、並びに抗AFB抗体を提供することによる、例えば、AFBを潜在的に含有する乳中にこれらを提供することによる受動的保護によって制限されている理由を説明する。
しかしながら、AFBはまた、あらゆる種類の家畜動物において疾患を誘発するが、乳牛及び肉牛は、ブタ及び家禽等の他の種よりもアフラトキシン誘発性マイコトキシン症(アフラトキシン症とも呼ばれる)に幾分感受性であるようである。全ての種の若齢動物は、成熟動物よりもアフラトキシンの作用を受けやすい。妊娠中及び成長中の動物は、若齢動物よりも感受性が低いが、自然動物よりも感受性が高い。自然条件下でのAFBによる毒性は、通常、曝露レベルに応じて亜急性又は慢性である。時折、急性症例も見られる。一般に、罹患動物は、成長速度の低下、体重減少、免疫抑制、黄疸、出血性腸炎、パフォーマンスの低下、及び最終的には死を示す。
真菌は、一般に、器官及び組織の寄生並びにアレルゲン性発現を含む、動物における広範囲の疾患を引き起こす。しかしながら、非食用キノコの摂取による中毒以外に、真菌は、マイコトキシン症と呼ばれる様々な毒性作用を担うマイコトキシン及び有機化学物質を産生し得る。この疾患は、マイコトキシン、食品又は動物飼料を汚染する糸状菌によって産生される薬理学的に活性な化合物への曝露によって引き起こされる。マイコトキシンは、真菌の生理学にとって重要ではない二次代謝産物であり、摂取、吸入又は皮膚接触時に脊椎動物に対して最小濃度で極めて毒性である。約400のマイコトキシンが現在認識されており、類似の生物学的及び構造的特性を有する化学的に関連する分子のファミリーに細分されている。このうち、動物の健康に対する脅威として、10数群が定期的に注目されている。公共の関心及び農業経済的意義が最も高いマイコトキシンの例としては、アフラトキシン(AF)、オクラトキシン(OT)、トリコテセン(T;デオキシニバレノール(DONと略す)を含む)、ゼアラレノン(ZEA)、フモニシン(F)、発振せん性毒素及び麦角アルカロイドが挙げられる。マイコトキシンは、急性及び慢性疾患に関連しており、生物学的作用は、主にそれらの化学構造の多様性に応じて変化するが、生物学的、栄養学的及び環境的要因にも関連する。マイコトキシン症の病態生理学は、マイコトキシンと動物細胞における機能性分子及び細胞小器官との相互作用の結果であり、発癌性、遺伝毒性、タンパク質合成の阻害、免疫抑制、皮膚刺激及び他の代謝的撹乱をもたらし得る。感受性動物種では、マイコトキシンは複雑で重複する毒性作用を誘発し得る。マイコトキシン症は伝染性ではなく、免疫系の有意な刺激もない。薬物又は抗生物質による処置は、疾患の経過にほとんど又は全く影響を及ぼさない。今日まで、マイコトキシン症に対抗するためのヒト又は動物ワクチンは利用できない。
したがって、成長中の研究体は、特定の真菌疾患の予防において、真菌症、すなわち毒素の代わりに真菌自体による感染症に対抗する際の強力なツールとしての、広範な真菌クラスに対する有効性を有するワクチン及び/又は免疫療法の開発に焦点を当てている。真菌症とは対照的に、マイコトキシン症は、毒素産生真菌の関与を必要とせず、生物起源ではあるが、非生物的危険と見なされる。この意味で、マイコトキシン症は自然手段による中毒の例と考えられており、防御戦略は本質的に曝露防止に焦点を当ててきた。ヒト及び動物への曝露は、主に植物ベースの食品におけるマイコトキシンの摂取から起こる。摂取されたマイコトキシンの代謝は、異なる器官又は組織における蓄積をもたらし得、したがって、マイコトキシンは、動物の肉、乳又は卵を介してヒトの食物連鎖に入ることができる(キャリーオーバ)。有毒性真菌は、ヒト及び動物の消費のためにいくつかの種類の作物を汚染するので、マイコトキシンは、あらゆる種類の原材料、商品及び飲料に存在し得る。国際連合食糧農業機関(FAO)は、世界の食品作物の25%がマイコトキシンによって著しく汚染されていると推定した。現時点において、マイコトキシン症予防のための最良の戦略には、作物でのマイコトキシン産生を減少させるための良好な農業慣行、並びに、マイコトキシンのレベルが所定の閾値を下回ることを確実にするための食品及び飼料商品の制御プログラムが含まれる。これらの戦略は、高いコスト及び可変の有効性を有するマイコトキシンのいくつかの群による商品の汚染の問題を制限し得る。支持療法(例えば、食事、水分補給)を除いて、マイコトキシン曝露に対する治療法はほとんどなく、マイコトキシンに対する解毒剤は一般に利用できないが、AFに曝露された個体では、クロロフィリン、緑茶ポリフェノール及びジチオールチオン(oltipraz)等の一部の保護剤でいくつかの有望な結果が得られている。
当技術分野では、主にヒトにおけるマイコトキシン症の予防を対象とした、マイコトキシンの初期吸収又は生物活性化、免疫遮断による動物製品(乳等)におけるそれらの毒性及び/又は分泌を特異的に遮断し得る抗体の産生に基づく戦略を用いて、動物起源の重要な食品の汚染によるマイコトキシン症を予防するための、いくつかのマイコトキシンに対する特定のワクチン接種戦略が提案されている。
しかしながら、マイコトキシン症に対する防御のためのワクチンの製造は非常に困難であり、主にマイコトキシン自体が小さな非免疫原性分子であるという事実、及び健康な対象における抗原としての使用を無リスクにしないマイコトキシンに関連する毒性に関する。マイコトキシンは、低分子量であり、通常は非タンパク質性の分子であり、通常は免疫原性ではないが(ハプテン)、タンパク質等の大きな担体分子に結合すると潜在的に免疫応答を誘発し得る。マイコトキシンをタンパク質又はポリペプチド担体にコンジュゲート化し、動物免疫化のための条件を最適化するための方法は、動物及びヒトの消費に向けた産物中のマイコトキシンをスクリーニングするためのイムノアッセイにおいて使用される異なる特異性を有するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を作製する目的で、広く研究されてきた。これらの研究で使用されたカップリングタンパク質には、とりわけ、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロブリン(TG)及びポリリジンが含まれた。過去数十年の間に、産生された抗体が天然毒素を認識するように元の構造を十分に保持しながらタンパク質に結合することができるマイコトキシン誘導体を開発するための多くの努力がなされてきた。これらの方法により、多くのマイコトキシンに対する抗体が利用可能になり、タンパク質へのコンジュゲーションが抗体産生のための効果的なツールであり得ることが実証されている。したがって、レシピエントにとって安全でありながら保護に到達するためのヒト及び動物ワクチン接種のためのこの戦略の適用は、インビボで放出され得る分子の毒性特性のためにこれまで成功していない。例えば、T-2等の毒素のタンパク質担体へのコンジュゲーションは、その活性形態の遊離毒素の潜在的な放出を伴う不安定な複合体をもたらすことが示されている(Chanh et al,Monoclonal anti-idiotype induces protection against the cytotoxicity of the trichothecene mycotoxin T-2,in J Immunol.1990,144:4721-4728)。細菌毒素の病理学的影響に対する保護状態を与え得るトキソイドワクチンと同様に、マイコトキシンに対するワクチンの開発に対する合理的なアプローチは、抗原性を維持しながら毒性を欠くマイコトキシンの改変形態として定義されるコンジュゲート化された「マイコトキシン」に基づき得る(Giovati L et al,Anaflatoxin B1 as the paradigm of a new class of vaccines based on “Mycotoxoids”,in Ann Vaccines Immunization 2(1):1010,2015)。マイコトキシンの非タンパク質性を考えると、マイコトキシンへの変換のためのアプローチは、化学的誘導体化に依拠すべきである。関連する親マイコトキシンの戦略的位置に特定の基を導入することにより、異なる物理化学的特徴を有する分子が形成され得るが、それでもなお、天然毒素に対して十分に交差反応する抗体を誘導することができる。したがって、マイコトキシンのワクチン接種の一般的な理論的根拠は、細胞標的と比較して天然のマイコトキシンに結合する能力が増強されたマイコトキシンに対する抗体を生成し、毒素を中和し、曝露の場合に疾患発症を予防することに基づくであろう。この戦略の適用可能性は、AF群に属するマイコトキシン(Giovati et al,2015)の場合に実証されているが、他のマイコトキシンのいずれについても実証されていない。更に、予防効果は、ワクチン接種動物自体のマイコトキシン症に対しては実証されておらず、牛乳又はそれから作られる製品を消費する人々をマイコトキシン症から保護するために、乳牛におけるそれらの牛乳へのキャリーオーバに対してのみ実証されている。
Chanh et al,Monoclonal anti-idiotype induces protection against the cytotoxicity of the trichothecene mycotoxin T-2,in J Immunol.1990,144:4721-4728 Giovati L et al,Anaflatoxin B1 as the paradigm of a new class of vaccines based on"Mycotoxoids",in Ann Vaccines Immunization 2(1):1010,2015
本発明の目的は、動物飼料中の重要なマイコトキシンであるアフラトキシンによって誘導されるマイコトキシン症から動物を能動的に保護する方法を提供することである。
本発明の目的を満たすために、コンジュゲート化アフラトキシン(AFB)は、AFB誘導性マイコトキシン症から動物を能動的に保護する方法における使用に適していることが見出された。AFBをトキソイドに変換する必要はないことが見出され、コンジュゲート化毒素は、処置された宿主動物にとって安全であるように思われた。また、マイコトキシン等の小分子に対して誘導される免疫応答が、処置後のマイコトキシンの摂取後にマイコトキシン症から動物自体を保護するのに十分に強いことが分かることは驚くべきことであった。動物においてマイコトキシン自体に対する能動的免疫応答を誘導することによる動物のそのような実際の保護は、いかなるマイコトキシンについても当該技術分野において示されていない。
定義
マイコトキシン症は、マイコトキシンへの曝露に起因する疾患である。臨床徴候、標的器官及び結果は、マイコトキシンの固有の毒性特徴並びに曝露の量及び長さ、並びに曝露された動物の健康状態に依存する。
マイコトキシン症から保護することは、動物におけるマイコトキシンの1つ又は複数の負の生理学的影響、例えば、平均1日体重増加の減少を予防又は減少させることを意味する。
アフラトキシンBという用語は、クマリン核及びペンタノン環に結合したビフラン基を有する化学的にジフラノクマリン誘導体であるアフラトキシンを表す。特に、この用語はAFB1及びAFB2を包含する。AFB1の化学式はC1712(cas no1162-65-8)であり、AFB2の化学式はC1714(cas no7220-81-7)であり、二フラン基に二重結合を有さない。ここで、AFB1の構造式を以下に示す。
Figure 2023554139000001
コンジュゲート化分子は、共有結合を介して免疫原性化合物が結合している分子である。典型的には、免疫原性化合物は、KLH、BSA又はOVA等の大きなタンパク質である。
アジュバントは、非特異的免疫刺激剤である。原則として、免疫学的事象のカスケードにおける特定のプロセスを支持又は増幅することができ、最終的により良好な免疫学的応答(すなわち、抗原、特にリンパ球によって媒介され、典型的には特異的抗体又は以前に感作されたリンパ球による抗原の認識を含むものに対する統合された身体的応答)をもたらすことができる各物質は、アジュバントとして定義することができる。アジュバントは、一般に、当該特定のプロセスが起こるために必要とされず、単に当該プロセスを支持又は増幅する。アジュバントは、一般に、それらが誘導する免疫学的事象に従って分類することができる。とりわけ、ISCOM(免疫刺激複合体)、サポニン(又はその画分及び誘導体、例えばQuilA)、水酸化アルミニウム、リポソーム、コクリエート、ポリ乳酸/グリコール酸を含む第1のクラスは、APC(抗原提示細胞)による抗原の取込み、輸送及び提示を促進する。とりわけ、油エマルジョン(W/O、O/W、W/O/W又はO/W/Oのいずれか)、ゲル、ポリマーマイクロスフェア(Carbopol)、非イオン性ブロックコポリマー、及びおそらく水酸化アルミニウムも含む第2のクラスは、デポー効果を提供する。とりわけ、CpGリッチモチーフ、モノホスホリルリピドA、マイコバクテリア(ムラミルジペプチド)、酵母抽出物、コレラ毒素を含む第3のクラスは、シグナル0として定義される、保存された微生物構造、いわゆる病原体関連微生物パターン(PAMP)の認識に基づく。とりわけ、油エマルジョン界面活性剤、水酸化アルミニウム、低酸素を含む第4のクラスは、免疫系の危険と無害(自己及び非自己と同じである必要はない)との識別能力を刺激することに基づく。とりわけ、サイトカインを含む第5のクラスは、APC上の共刺激分子、シグナル2の上方制御に基づく。
ワクチンは、本発明の意味において、動物への適用に適した構成であり、免疫学的有効量の1つ又は複数の抗原を含み(すなわち、典型的には薬学的に許容される担体(すなわち、生体適合性培地、すなわち、投与後に対象動物において有意な有害反応を誘発せず、ワクチンの投与後に宿主動物の免疫系に抗原を提示することができる培地)、例えば水及び/又は任意の他の生体適合性溶媒を含有する液体、又は凍結乾燥ワクチンを得るために一般的に使用される固体担体と組み合わせられ(糖及び/又はタンパク質に基づく)、疾患誘導薬剤によるチャレンジの負の効果を少なくとも低減するのに十分な標的動物の免疫系を刺激することができる)、免疫刺激剤(アジュバント)が含まれていてもよく、動物への投与時に疾患又は障害を治療するための免疫応答を誘導する、すなわち疾患又は障害の予防、改善又は治癒を助ける。
ワクチンによって誘導される能動的保護は、対象におけるワクチンによる抗体の誘導によるワクチン接種対象自体の保護であり、この抗体は、対応する疾患を引き起こす病原体又は化合物による後の攻撃から対象を保護する。能動的保護は、対応する疾患を引き起こす病原体又は化合物から保護するために、対象動物がその体外で産生された既製の抗体(例えば、実験動物において、又は母動物によって、又は組換え的に)を受け取る受動的保護とは反対である。
本発明の更なる実施形態では、コンジュゲート化AFBは動物に全身投与される。例えば、胃腸管(口腔又は肛門腔)又は眼の粘膜組織を介した局所投与(例えばニワトリを免疫する場合)は、様々な動物において免疫応答を誘導する有効な経路であることが知られているが、全身投与が、AFB誘導性マイコトキシン症から動物を保護するのに十分な免疫応答をもたらすことが見出された。特に、筋肉内、経口及び/又は皮内投与時に効果的な免疫化が得られ得ることが見出された。
投与年齢は重要ではないが、動物が相当量のAFBで汚染された飼料を摂取し得る前に投与を行うことが好ましい。したがって、投与時の好ましい年齢は6週以下である。更に好ましいのは、4週齢以下、例えば1~3週齢である。
本発明の更に別の実施形態では、コンジュゲート化AFBは動物に少なくとも2回投与される。多くの動物(特に、ブタ、ニワトリ、反芻動物)は一般に、免疫原性組成物の1回の注射のみによる免疫化に対して感受性であるが、AFBに対する経済的に実行可能な保護のためには2回の注射が好ましいと考えられる。これは、実際には、天然に存在するAFBが免疫原性ではないという単純な理由で、動物の免疫系がAFBへの天然の曝露によって抗AFB抗体を産生するように誘発されないからである。したがって、動物の免疫系は、コンジュゲート化AFBの投与に完全に依存する。コンジュゲート化AFBの2回のショット間の時間は、1週間~1~2年の間の任意の時間であり得る。若齢動物の場合、例えば1~3週齢でのプライム免疫化とそれに続く1~4週間後、典型的には1~3週間後、例えば2週間後のブースター投与の計画で十分であると考えられる。より高齢の動物は、動物のための他の商業的に適用される免疫化レジメンから知られているように、数ヶ月毎(例えば、最後の投与の4、5、6ヶ月後)、又は毎年若しくは半年毎のブースター投与を必要とする場合がある。
更に別の実施形態では、コンジュゲート化AFBは、コンジュゲート化AFBに加えてアジュバントを含む組成物中で使用される。コンジュゲート自体が免疫応答を誘導して所定のレベルの保護を得ることができない場合、アジュバントを使用することができる。KLH又はBSA等の追加のアジュバントなしで免疫系を十分に刺激することができるコンジュゲート分子が知られているが、追加のアジュバントを使用することが有利であり得る。これにより、ブースター投与の必要性がなくなり得るか、又はその投与間隔が長くなり得る。全ては、特定の状況で必要とされる保護のレベルに依存する。コンジュゲート化AFBを免疫原として使用した場合に、AFBに対する良好な免疫応答を誘導することが可能であることが示されたアジュバントの種類は、水及び油のエマルジョン、例えば油中水型エマルジョン又は水中油型エマルジョンである。前者は一般に家禽に使用され、後者は一般にブタ及び反芻動物等のアジュバント誘発部位反応をより起こしやすい動物に使用される。
また別の実施形態では、コンジュゲート化AFBは、10,000Daを超える分子質量を有するタンパク質にコンジュゲートされたAFBを含む。そのようなタンパク質、特にキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)及びオボアルブミン(OVA)は、動物、特にブタ及びニワトリにおいて適切な免疫応答を誘導することができることが分かっている。タンパク質の実用的な上限は、100MDaであり得る。
マイコトキシン症に対する保護に関して、特に、本発明を使用すると、動物は、AFBの摂取の結果としての1日当たりの平均体重増加の減少、免疫抑制、黄疸、出血性腸炎、したがってAFBによって誘発されるマイコトキシン症のこれらの徴候の1つ又は複数から保護されると考えられることが見出された。
ここで、以下の実施例を用いて本発明を更に説明する。
[実施例]
第1の一連の実験(実施例1~4を参照のこと)において、マイコトキシンに対する活性な免疫応答が、コンジュゲート化マイコトキシンを使用して誘発され得るかどうか、及び、誘発され得るならば、ワクチン接種動物を、その摂取後にこのマイコトキシンによって誘発される障害から保護することができるかどうかを評価した。後者については、DONによるチャレンジのためのブタモデルを使用した。その後(実施例5及び6)、ワクチンにおけるコンジュゲート化AFBの使用が、ワクチン接種動物においてアフラトキシンに対する抗体を誘導し得るかどうかを評価した。
[実施例1]
コンジュゲート化DONを用いた免疫チャレンジ実験
目的
この研究の目的は、DON摂取によるマイコトキシン症から動物を保護するためのコンジュゲート化デオキシニバレノールの有効性を評価することであった。これを調べるために、ブタを毒性DONでチャレンジする前にDON-KLHで2回免疫した。異なる免疫化経路を使用して、投与経路の影響を研究した。
研究デザイン
8匹の雌ブタに由来する40匹の1週齢ブタを5つの群に分けて試験に使用した。群1~3の24匹の子ブタを1週齢及び3週齢で2回免疫した。群1は、両年齢で筋肉内(IM)免疫化された。群2は、1週齢でIM注射を受け、3週齢で経口ブーストを受けた。群3は皮内(ID)で2回免疫した。5 1/2週齢の群1~3を、DONを液体中で経口投与して4週間チャレンジした。群4は免疫化しなかったが、群1~群3について記載したようにDONでのみチャレンジした。群5は対照とし、5.5週齢から4週間で対照液のみを投与した。
液体製剤中のDON濃度は、5.4mg/kg飼料の量に相当した。これは、1日当たり2.5mgのDONの平均量に相当する。4週間のチャレンジ後、全ての動物を、肝臓、腎臓及び胃に特別な注意を払いつつ死後調査した。更に、血液試料採取は、群5を除いて、研究の0、34、41、49、55、64日目(安楽死後)に行われ、群5の血液試料は、0、34、49日目、及び安楽死直後にのみ採取された。
試験項目
3つの異なる免疫原性組成物、すなわちIM免疫化に使用した注射用水中油型エマルジョン(X-solve50、MSD AH、Boxmeer)中に50μg/mlのDON-KLHを含む試験項目1;経口免疫化のために使用された油中水型エマルジョン(GNE、MSDAH、Boxmeer)中に50μg/mlのDON-KLHを含む試験項目2及びID免疫化のための注射用水中油型エマルジョン(X-solve50)中に500μg/mlのDON-KLHを含む試験項目3を製剤化した。
チャレンジデオキシニバレノール(Fermentek,Israelから入手)を、100mg/mlの最終濃度で100%メタノールに希釈し、<-15℃で保存した。使用前に、DONを更に希釈し、投与のための処置において供給した。
組み入れ基準
健康な動物のみを使用した。不健康な動物を除外するために、研究開始前に、全ての動物を、それらの一般的な身体的外観及び臨床的異常又は疾患の非存在について調べた。群ごとに、異なる雌ブタの子ブタを使用した。毎日の実施において、全ての動物は、DON汚染飼料の摂取によってDONに事前に曝露された場合であっても免疫化される。DON自体は免疫応答を引き起こさないので、DONに事前に曝露された動物とDONに関してナイーブな動物との間に原理的な違いはないと考えられる。
結果
いずれの動物も、DON-KLHによる免疫化に関連する悪影響を有していなかった。したがって、組成物は安全であるように見えた。
全てのブタは、実験開始時にDONに対する力価について血清学的に陰性であったが、チャレンジ中に、筋肉内免疫群(群1)及び皮内免疫群(群3)は、天然のDON-BSAを被覆抗原として用いたELISAによって測定されるように、DONに対する抗体応答を発現した。表1は、試験中の4つの時点での平均IgG値をそれらのSD値と共に示す。筋肉内免疫化及び皮内免疫化の両方が、DONに対して有意な力価を誘導した。
表1 IgG力価
Figure 2023554139000002
表2に示すように、有意な抗DON IgG力価の増加を示さなかった群2の動物を含む全ての免疫化動物は、チャレンジ動物と比較して最初の15日間で有意に高い体重増加を示した。チャレンジ動物に関しては、全ての動物が試験の過程でより多くの体重を増加させた。
表2 体重分析
Figure 2023554139000003
小腸の状態(空腸内の絨毛/陰窩比によって決定される)もモニタリングした。表3には、絨毛/陰窩比が示されている。図から分かるように、群3の動物は、健康な対照(群5)に匹敵する平均絨毛陰窩/陰窩比を有し、免疫なしのチャレンジ群(群4)は、はるかに低い(統計学的に有意な)絨毛陰窩比を有した。更に、群1及び群2は、非免疫化チャレンジ対照群と比較して有意に良好な(すなわちより高い)絨毛/陰窩比を有していた。これは、免疫化がDONによって開始される腸の損傷から保護することを示している。
表3 絨毛/陰窩比
Figure 2023554139000004
他の器官、より具体的には肝臓、腎臓及び胃の全身状態もモニタリングした。3つの試験群(群1~3)は全て、非免疫チャレンジ対照群(群4)よりも健康状態が良好であることが観察された。表4には、一般的な健康データの概要が示されている。胃潰瘍の程度は、-(潰瘍形成の証拠なし)から++(多発性潰瘍)まで報告されている。胃の炎症の程度は、-(炎症の証拠なし)から++/-(胃の炎症の開始)まで報告される。
表4 一般健康データ
Figure 2023554139000005
[実施例2]
DONレベルに対する免疫化の効果
目的
この研究の目的は、DON摂取の毒物動態学に対するDONコンジュゲートによる免疫化の効果を評価することであった。これを調べるために、ブタに毒性DONを与える前にDON-KLHで2回免疫した。
研究デザイン
10匹の3週齢ブタを試験に使用し、それぞれ5匹のブタからなる2つの群に分けた。群1のブタをDON-KLH(試験項目1;実施例1)で3週齢及び6週齢で2回IM免疫化した。群2は対照としての役割を果たし、対照流体のみを受けた。11週齢で、動物にそれぞれ、(毎日の飼料摂取量に基づいて)1mg/kg飼料の汚染レベルに類似する0.05mg/kgの用量でボーラスによってDON(Fermentek,Israel)を投与した。DON投与前並びにDON投与の0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8及び12時間後にブタの血液試料をジャッキに採取した。
組み入れ基準
健康な動物のみを使用した。
血漿中のDONの分析
未結合DONの血漿分析は、Xevo(登録商標)TQ-SMS装置(Waters,Zellik,Belgium)に連結されたAcquity(登録商標)UPLCシステムで、検証済みLC-MS/MS法を使用して行った。この方法を用いたブタ血漿中のDONの定量下限は0.1ng/mlである。
毒物動態学的分析
DONの血漿濃度-時間プロファイルの毒物動態学的モデリングを非コンパートメント分析(Phoenix,Pharsight Corporation,USA)によって行った。以下のパラメータを計算した:時間0から無限までの曲線下面積(AUC0→∞)、最大血漿濃度(Cmax)、及び最大血漿濃度の時間(tmax)。
結果
毒物動態学の結果を下の表5に示す。分かるように、DON-KLHによる免疫化は、全ての毒物動態学パラメータを減少させる。毒性作用の活動を担うのが未結合DONであるため、DON-KLHによる免疫化は、動物の血液中の未結合DONの量を減少させることによってDONによって引き起こされる毒性作用を減少させると結論付けることができる。
表5 未結合DONの毒物動態学パラメータ
Figure 2023554139000006
[実施例3]
様々なDONコンジュゲートに対する血清学的応答
目的
この研究の目的は、異なるコンジュゲート化デオキシニバレノール生成物の有効性を評価することであった。
研究デザイン
18匹の3週齢のブタを試験に使用し、それぞれ6匹のブタからなる3つの群に分けた。群1のブタを、(実施例1の試験項目1を使用して)DON-KLHで3週齢及び5週齢で2回筋肉内免疫化した。群2は、DON-OVAに対応して免疫した。群3を陰性対照とした。全ての動物を、3週齢、5週齢及び8週齢で抗DON IgG応答についてチェックした。
結果
血清学的結果を、log2抗体価の表において以下に示す。
表6 抗DON IgG応答
Figure 2023554139000007
両方のコンジュゲートが抗DON IgG応答を上昇させるのに適していると思われる。また、1回のショットのみで応答が誘導されるように思われる。
[実施例4]
ニワトリにおけるDONコンジュゲートに対する血清学的応答
目的
この研究の目的は、ニワトリにおけるDON-KLHの血清学的応答を評価することであった。
研究デザイン
この研究のために、30羽の4週齢のニワトリを使用し、それぞれ10羽のニワトリの3つの群に分けた。ニワトリをDON-KLHで筋肉内免疫した。群1を対照として使用し、PBSのみを投与した。群2はアジュバントなしでDON-KLHを受け、群3はGNEアジュバントに製剤化されたDON-KLHを受けた(MSD Animal Health,Boxmeerから入手可能)。0日目に、0.5mlワクチンを用いて右脚にプライム免疫処置を行った。14日目に、ニワトリを左脚に同等のブースター免疫化した。
採血は、0日目及び14日目、並びに35、56、70及び84日目に行った。DONに対するIgYの測定のために血清を単離した。0日目及び14日目に、免疫化の直前に血液試料を単離した。
結果
血清学的結果をlog2抗体力価で表7に示す。PBSバックグラウンドはデータから差し引かれている。
表7 抗DON IgY応答
Figure 2023554139000008
分かるように、コンジュゲート化DONはニワトリにおいて抗DON力価も誘導する。GNEアジュバントは、応答を実質的に増加させるが、正味の応答自体を得るためには本質的ではないようである。
[実施例5]
ブタにおけるAFBコンジュゲートに対する血清学的応答
目的
この実験の目的は、ワクチンにおけるコンジュゲート化AFBの使用が、ワクチン接種ブタにおいてアフラトキシンに対する抗体を誘導し得るか否かを評価することであった。
研究デザイン
ワクチンは、ウシ血清アルブミン(BSA)にコンジュゲートしたアフラトキシンB1(AFB1)を含有した。コンジュゲートを鉱油含有アジュバント(XSolve50)と終濃度50μg/mlで混合し、筋肉内(IM)投与により適用した。実験では、6匹の動物の2つの群を3週齢で使用した。群1はPCVワクチン、Porcilis(登録商標)PCV(陰性対照として)を受け、群2はAFB1-BSAワクチンを受けた。全てのプライムは3週齢であり、ブースターは7週齢であった。動物を試験開始後12週間モニタリングした。
結果
全てのブタは、実験開始時にAFB1に対する力価について血清学的に陰性であった(すなわち、3.5以下の力価)。力価は、以下の表8に示すように発現した。
表8 AFB1に対するIgG力価
Figure 2023554139000009
おそらく飼料中のAFB1によって誘発された、陰性対照群におけるわずかな力価増加があるようであった。しかし、コンジュゲート化AFB群の力価は有意に強く上昇し、これらのブタにおいてAFBに対する免疫応答の良好な誘導を示した。
[実施例6]
ニワトリにおけるAFB1に対する血清学的応答
目的
この研究の目的は、ニワトリにおけるAFB1-KLHに対する血清学的応答を評価することであった。
研究デザイン
この研究のために、30羽の4週齢のニワトリを使用し、それぞれ10羽のニワトリの3つの群に分けた。ニワトリをAFB1-KLHで筋肉内免疫した。群1を対照として使用し、PBSのみを投与した。群2はアジュバントなしでAFB1-KLHを受け、群3はGNEアジュバントに製剤化されたAFB1-KLHを受けた(MSD Animal Health,Boxmeerから入手可能)。0日目に、0.5mlワクチンを用いて右脚にプライム免疫処置を行った。14日目に、ニワトリを左脚に同等のブースター免疫化した。
採血は、0日目及び14日目、並びに35、56、70及び84日目に行った。AFB1に対するIgYの測定のために血清を単離した。0日目及び14日目に、免疫化の直前に血液試料を単離した。
結果
血清学的結果をlog2抗体力価で表9に示す。PBSバックグラウンドはデータから差し引かれている。
表9 抗AFB1 IgY応答
Figure 2023554139000010
分かるように、コンジュゲート化AFB1はニワトリにおいて抗AFB1力価も誘導する。GNEアジュバントは、応答を実質的に増加させるが、正味の応答自体を得るためには本質的ではないようである。
[実施例7]
AFB1ワクチン接種の保護効果
ワクチン接種動物の血清の保護効果を確立するためにインビトロ効力試験を行った。この試験では、C6細胞(ラットの神経膠腫細胞株)を使用し、CCK8(細胞計数キット8;Dojindo Laboratories)を使用してアフラトキシンに対する応答として細胞の生存率を測定した。この試験では、用量反応曲線を介して、アフラトキシンB1が20μg/mlの濃度から開始してこれらの細胞に対して毒性であることが確立された。本明細書で以下に記載されるアッセイでは、80μg/mlの濃度を選択して、ワクチン接種動物の血清の使用によって毒性効果の低減が達成され得るかどうかを評価した。
このアッセイのために、C6細胞を96プレートに播種し、ウェル(全て同じ密度で同じストックからなる)を、単独で、アフラトキシンB1-KLHコンジュゲートを接種したブタの血清と組み合わせて、又はAFB1について血清陰性動物由来の血清と組み合わせて、80μg/mlのアフラトキシンと共にインキュベートした。全ての血清を56℃で1時間熱不活性化した。陽性血清インキュベーションは、陰性血清と比較してより高いOD450値(生細胞の存在に対応する)をもたらすことが観察された。これは、陽性血清が細胞の生存率を増加させ、したがってワクチン接種によってブタにおいて産生されたAFB1抗体が細胞に対するAFB1の毒性を中和することができることを示す。
[実施例8]
魚におけるAFB1に対する血清学的応答
目的
この研究の目的は、魚(ティラピア(Tilapia);オレオクロミス(Oreochromis)属)におけるAFB1-KLHに対する血清学的応答を評価することであった。
研究デザイン
実験のために、合計100匹のティラピア魚を使用し(平均体重20g)、50匹の魚の2つの群に分けた。群1には、GNEアジュバント中のAFB1-KLHマイコトキシンワクチン0.05mlを腹腔内(IP)注射した。AFB1-KLHは、12.5μg/用量の最終濃度で存在した。第2の群には、標準ワクチン希釈緩衝液(SVDB)を注射して陰性対照とした。魚を3週間観察し、次いで、一次ワクチン接種に使用したのと同じワクチンを使用して追加免疫を与えた。全てのワクチン接種魚を採血前に更に2週間観察した。
結果
血清学的結果をlog2抗体力価で表9に示す。
表9 抗AFB1 IgM応答
Figure 2023554139000011
分かるように、コンジュゲート化AFB1は魚において抗AFB1力価も誘導する。実施例7の結果を考慮すると、魚はAFB1チャレンジから保護されると考えられる。
[実施例9]
AFB1ワクチン接種の保護効果
実施例7に沿って、実施例8に記載されるように生じた血清を用いてインビトロ効力試験/中和アッセイを行った。このために、C6細胞を2.0x10細胞/ml、100μl/ウェルで播種し、37℃、5%COで3日間増殖させた。細胞を、20μg/mlのAFB1と、GNE中のAFB1-KLHでワクチン接種したか又はプラセボでワクチン接種した魚由来の32倍希釈血清との組合わせと共に48時間インキュベートした。生細胞の割合を顕微鏡評価によって決定した。
GNEにおいてAFB1-KLHをワクチン接種した魚由来の血清は、AFB1に対する抗体を含有し(実施例8を参照のこと)、C6細胞におけるAFB1損傷から保護されるようであった。プラセボをワクチン接種した魚由来の血清は、AFB1に対する抗体を含有せず(実施例8参照)、AFB1損傷から保護しなかった。
表10 AFB1及び希釈した魚血清とのインキュベーション後の生細胞の割合
Figure 2023554139000012

Claims (13)

  1. AFB誘導性マイコトキシン症から動物を能動的に保護する方法で使用するためのコンジュゲート化アフラトキシンB(AFB)。
  2. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、前記動物に全身投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  3. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、筋肉内、経口及び/又は皮内に投与されることを特徴とする、請求項2に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  4. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、6週齢以下で前記動物に投与されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  5. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、4週齢以下で前記動物に投与されることを特徴とする、請求項4に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  6. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、1~3週齢で前記動物に投与されることを特徴とする、請求項5に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  7. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、前記動物に少なくとも2回投与されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  8. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、前記コンジュゲート化AFBに加えてアジュバントを含む組成物中で使用されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  9. 前記方法において、前記アジュバントが水及び油のエマルジョンであることを特徴とする、請求項8に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  10. 前記方法において、前記アジュバントが油中水型エマルジョン又は水中油型エマルジョンであることを特徴とする、請求項9に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  11. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、10,000Daを超える分子質量を有するタンパク質にコンジュゲート化されたAFBを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  12. 前記方法において、前記コンジュゲート化AFBが、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)又はオボアルブミン(OVA)にコンジュゲートしたAFBを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
  13. 前記動物がブタ又はニワトリであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法で使用するためのコンジュゲート化AFB。
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