JP2023553491A - 少なくとも1つの炭素導体を有する導電性導体ストランドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1つの炭素導体(3)を含む導電性導体ストランド(1)の製造方法であって、a)特にグラファイト、熱分解グラファイト、グラフェン、グラフィンおよび/またはカーボンナノチューブを含む、少なくとも1つの炭素導体(3)を含む中間生成物として、導体ストランド(1)を製造または提供するステップと、b)前記導体ストランド(1)と、1つもしくは複数のインターカラント(2)、特に1つもしくは複数の金属ハロゲン化物、または1つもしくは複数の有機アルカリ金属のいずれかと、を、反応器体積(5)の気相または液相に導入するステップであって、前記インターカラントは、前記導体ストランド(1)の前記少なくとも1つの炭素導体(3)の材料へのインターカレーションに適しているステップと、c)前記導体ストランド(1)の熱処理を実行するステップであって、前記反応器体積(5)はインターカレーション(4)を開始するためのプロセス温度にされ、前記インターカラント(2)の原子または分子が前記それぞれの炭素導体(3)の材料中に埋め込まれ、特に、多層炭素構造形状の層間領域において、特に前記炭素導体(3)の炭素構造形状へ堆積されるステップと、を有する方法。

Description

本発明は、少なくとも1つの炭素導体を有する導電性導体ストランドの製造方法に関する。
炭素導体は先行技術から知られている。例えば先行技術からは、グラファイト、熱分解グラファイト、カーボンナノチューブまたはグラフェンを含む電気導体が知られている。その導電性を増加させるために、炭素導体をドープすることが知られている。例えば、独国特許出願公開第102019220177号明細書からは、固有にドープされたグラフェンによってグラフェンをドープできることが知られている。国際公開第2021/004692号には、導電性を増加させるように、遷移金属上の酸化物によってグラフェンをドープできる方法が示されている。欧州特許第0081004号明細書には、BF、SiF、HfF、TiF、ZrF、PF、NbF、TaF、AsFまたはSbFをそれぞれドープすることによって、グラファイトの導電性を増加できることが示されている。
中国特許出願公開第106744888号明細書からは、フッ化アルミニウムとアミンを添加することによって、グラフェン分散液のグラフェンを製造することが知られている。また、Nakajima,T.,Kawaguchi,M.,&Watanabe,N.(1981)Ternary intercalation compound of graphite with aluminum fluoride and fluorine(グラファイトとフッ化アルミニウムおよびフッ素の三元層間化合物)、自然研究ジャーナル、36(11)巻、1419-1423からは、気相に等モルのフッ素が存在し、十分に高い温度が存在する場合、フッ化アルミニウムがグラファイトにインターカレートすることも知られている。欠点は、インターカレーションが高温を必要とし、これが、フッ素がすでに300℃でグラファイトをフッ素化し、したがって導電性を悪化させることである。
欧州特許出願公開第0212940号明細書には、金属塩化物の昇華点または沸点が低い場合に、インターカレーションドーピングに特に適していることが示されている。したがって、欧州特許出願公開第0212940号明細書では、昇華点が非常に低い塩化アルミニウムを使用して、昇華点または沸点が高い他の金属塩化物を、より迅速に、より低温でグラファイトにインターカレートする。
同様に、先行技術で不利なのは、Matsumoto,他(Matsumoto,K.,Minori,D.,Takagi,K.,&Hagiwara,R.(2014),Expansion of tetrachloroaluminate-graphite intercalation compound by reaction with anhydrous hydrogen fluoride(無水フッ化水素との反応によるテトラクロロアルミネート-グラファイト層間化合物の膨張)、Carbon,67,434-439)等で示されるように、金属塩化物がインターカレートされたグラファイトを無水フッ化水素酸(HF)でフッ素化すると、グラファイト内にガスが発生し、これによりグラファイトが膨張することである。これは、導体でも同様に膨張を引き起こし、ひいては導体の破壊を引き起こす。
独国特許出願公開第102019220177号明細書 国際公開第2021/004692号 欧州特許第0081004号明細書 中国特許出願公開第106744888号明細書 欧州特許出願公開第0212940号明細書
Nakajima, T., Kawaguchi, M., & Watanabe, N. (1981). Ternary intercalation compound of graphite with aluminum fluoride and fluorine. Zeitschrift fur Naturforschung B, 36(11), 1419-1423. Matsumoto, K., Minori, D., Takagi, K., & Hagiwara, R. (2014). Expansion of tetrachloroaluminate-graphite intercalation compound by reaction with anhydrous hydrogen fluoride. Carbon, 67, 434-439.
これに対し、独立形式請求項の特徴を有する本発明に係る方法は、先行技術よりも高い導電性を有し、少なくとも200℃までの温度耐性を有する、炭素導体を備えた導体ストランドが製造可能であるという利点を有する。
独立形式請求項の方法の特徴は、第1の実施形態によれば、最終生成物を生成し、第2および第3の実施形態によれば、本発明に係るさらなるステップによって最終生成物に加工することができる中間生成物を生成する。
独立形式請求項に記載された方法の有利な改善形態および改良形態は、従属請求項に記載された方法によって可能である。
第1の実施形態によれば、インターカラントは、少なくとも1つの金属フッ化物、特にフッ化アルミニウム(AlF)、フッ化ジルコニウム(ZrF)、フッ化鉄(FeF)、フッ化マグネシウム(MgF)であり、金属フッ化物の金属が、周期表の第2、4、5、6、8、10、11、12または13族のうちの1つから選択されている。インターカラントとして金属フッ化物を用いる第1の実施形態に係る方法は、導体ストランドの導体材料における強いルイス酸として、導電性の増加を直接もたらすインターカラントまたはドーパントのインターカレーションが行われるため、要求される工程ステップが少なく、ひいては非常に容易であるという利点を有する。
第2の実施形態によれば、インターカラントは、少なくとも1つの金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物、特に塩化アルミニウム(AlCl)、臭化アルミニウム(AlBr)、ヨウ化アルミニウム(AlI)、塩化ジルコニウム(ZrCl)、臭化ジルコニウム(ZrBr)、塩化鉄(FeCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)またはヨウ化マグネシウム(MgI)であり、金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物の金属が、周期表の第2、4、5、6、8、10、11、12または13族のうちの1つから選択されている。第2の実施形態に係る方法は、第1の実施形態に係る方法よりも低い温度でインターカラントを導体ストランドにインターカレートすることができるという利点を有する。
第3の実施形態によれば、インターカラントは、有機アルカリ金属、特に有機ナトリウム化合物、具体的には特にナフタリドナトリウム(C10Na)、n-アミルナトリウム(C11Na)またはベンジルナトリウム(CNa)、有機カリウム化合物、具体的には特にベンジルカリウム(CK)またはメチルカリウム(CHK)、有機リチウム化合物、具体的には特にベンジルリチウム(CLi)、n-ヘキシルリチウム(C13Li)、n-ブチルリチウム(CLi)およびフェニルリチウム(CLi)である。第3の実施形態に係る方法は、第1の実施形態に係る方法よりも低い温度でインターカラントを導体ストランドにインターカレートすることができるという利点を有する。また、第3の実施形態に係る方法は、インターカレーションのためのフッ素または塩素のような補助ガスを必要としない。さらに、第3の実施形態は、他の実施形態とは対照的に、n型炭素導体のドーピングを行う。
有利には、第1の実施形態に係る方法は、反応器体積の気相でインターカレーションを行う場合に、補助ガスとして気体状のフッ素を気相に添加するステップ、または反応器体積の液相でインターカレーションを行う場合に、フッ素イオンの液相を提供するステップを含む。インターカラントが導体ストランドの導体材料により迅速に浸透することができるため、この方法によってインターカレーションの促進が達成される。
また、有利には、第2の実施形態に係る方法は、反応器体積の気相でインターカレーションを行う場合に、補助ガスとして気体状の塩素、臭素および/またはヨウ素を反応器体積内に添加するステップを含む。特に、好ましくはインターカラントとして金属塩化物を用いる場合には塩素が、好ましくはインターカラントとして金属臭化物を用いる場合には臭素が、または、好ましくはインターカラントとして金属ヨウ化物を用いる場合にはヨウ素が添加される。インターカラントは、このようにしてのみインターカレートすることができるか、導体ストランドの導体材料により迅速にインターカレートすることができるため、この方法によってインターカレーションが可能になり、および/または促進される。
非常に有利には、第2の実施形態に係る方法は、導体ストランドをフッ素化剤で処理することによって、それぞれの炭素導体の材料中に存在する金属塩化物、金属臭化物および/または金属ヨウ化物を金属フッ化物に変換するステップを追加的に含む。第2の実施形態に係る方法は、第1の実施形態に対して、インターカラントである金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物が、第1の実施形態に係る金属フッ化物よりも低い温度で導体ストランドにインターカレートすることができる、という利点を有する。フッ素化剤を用いた変換によって、インターカラント、すなわち金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物は、その後、金属フッ化物、ひいては強いルイス酸にin-situ変換され、これにより、導体ストランドの炭素導体において高い導電性が達成される。すなわち、インターカレートされたインターカラントは、第1の実施形態に係る方法とは異なり、導体材料における導電性の強い増加を直接的に引き起こすことはない。これは、フッ素化剤を用いたインターカラントのin-situ変換によってその後に達成される。
フッ素化剤は、特にXeF、F、特にヘキサフルオロブテンやヘキサフルオロプロペンなどのパーフルオロオレフィンまたはフッ素化オレフィン、特にトリクロロフルオロメタンなどのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、特にパーフルオロヘキサン、ペンタフルオロブタン、ペンタフルオロプロパンなどのハイドロフルオロカーボン(HFC)を含んでもよく、および/または、特に気相に存在するか、またはフッ素化処理中に気相に移行してもよい。特に、フッ素化剤を用いた処理は、200℃未満の温度で行われ、これにより、炭素導体中に微細に分散された、インターカレートされた金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物から、それぞれの炭素導体の導電性を悪化させるクラスタが、拡散によって形成されることが防止される。
また、有利には、第3の実施形態に係る方法は、導体ストランドを水素雰囲気中、特に50℃~250℃の温度で熱処理することによって、それぞれの炭素導体の材料中に存在する有機アルカリ金属を、アルカリ金属水素化物、特に水素化リチウム(LiH)、水素化ナトリウム(NaH)または水素化カリウム(KH)に変換するステップを追加的に含む。第3の実施形態に係る方法は、第1の実施形態に対して、インターカラントとしての有機アルカリ金属が、第1の実施形態に係る金属フッ化物よりも低い温度で導体ストランドにインターカレートすることができる、という利点を有する。インターカレーションは、有機アルカリ金属が溶解している溶媒から行われる。
熱処理中に水素と反応することにより、インターカラント、すなわち有機アルカリ金属は、その後、アルカリ金属水素化物、ひいては強いルイス塩基にin-situ変換され、これにより、導体ストランドの炭素導体において高い導電性が達成される。
すなわち、インターカラントとしてのインターカレートされた有機アルカリ金属は、第1の実施形態に係る方法とは異なり、導体材料における導電性の増加を直接的に引き起こすことはない。これは、アルカリ金属水素化物と有機残留物へのin-situ変換として、水素雰囲気中での熱処理によるインターカラントと水素との反応によって、その後に達成される。
同じく有利には、3つの実施形態のうちの1つによる方法が、疎水化剤、特に脂肪族、特にウンデカンなどのアルカン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロパーヒドロフルオレン、パーフルオロパーヒドロフェナンスレン、または特にポリメチルシロキサンなどのポリシロキサンを、それぞれの炭素導体の材料に、特に気相または液相でインターカレートするステップを追加的に含む。この方法によって、導体ストランドへの水の浸透が防止されるため、導体ストランドは、その材料特性、特に導電性および材料耐性に関して、水の影響を受けない。
さらに、有利には、3つの実施形態のうちの1つによる方法が、例えばインターカラントのインターカレーション中に、導体ストランドの体積を増加させる膨張を少なくとも部分的に後退させるために、導体ストランドの体積を減少させるように圧縮するステップを追加的に含む。この方法によって、空隙率、ひいては導体断面積が減少するため、導体ストランドの導電性はさらに増加するが、導体抵抗は変化しないままである。
また、屈曲弛緩した導体ストランドは、高い溝充填率で電気機械の溝に配置することができるため、電気機械の電力を増加させることができる。
インターカレーションが反応器体積5の気相で実行される場合、追加的に方法の第2のステップおいて、反応器体積5内で水蒸気を発生させたり、反応器体積5内に添加したりしてもよい。これは、インターカラントのインターカレーションによる導体ストランドの体積を増加させる膨張が、水蒸気を添加しない方法よりも少なくなるという利点を有する。
以下に、本発明の実施例を、添付の図面を参照して詳述する。
本発明の実施例に係る方法によって製造可能な導体ストランドの概略図である。 反応器体積内に配置された、図1の導体ストランドの概略的な横断面図である。 本発明の実施例に係る方法の範囲における、熱処理中のインターカレーションの概略図である。 金属フッ化物またはアルカリ金属水素化物への本発明に係るin-situ変換の概略図である。
図1は、少なくとも1つの炭素導体3を有する導体ストランド1を概略的に示す。
本発明に係る方法を実行するために、第1のステップにおいて、少なくとも1つの導体ストランド1が中間生成物として提供または製造される。
この導体ストランド1は、例えば複数の炭素導体3から構成される導体複合体、例えば糸であり、炭素導体3は、それぞれ導体フィルム、フィラメントまたは繊維であってもよい。しかし、代替的に、炭素導体3は導体ストランド1よりも小さい直径の糸または導体複合体であってもよい。炭素導体3は、例えば、グラファイト、熱分解グラファイト、グラフェン、グラフィンおよび/またはカーボンナノチューブまたはそれをベースとする化合物、例えば酸化グラフェンなどの炭素材料から製造されている。
方法の第2のステップにおいて、導体ストランド1は、1つまたは複数のインターカラント2と共に反応器体積5の気相または液相に導入される(図2)。インターカラント2は、導体ストランド1の少なくとも1つの炭素導体3の材料へのインターカレーションに適切であるように選択されている。
方法の第3のステップにおいて、導体ストランド1の熱処理が実行され、反応器体積5はインターカレーション4を開始するためのプロセス温度にされ、インターカラント2の原子または分子がそれぞれの炭素導体3の材料中に埋め込まれ、例えば、多層炭素構造形状の層間領域において、例えば炭素導体3の炭素構造形状へ堆積される。
図3は、インターカレーション100の原則的手順を概略的に示し、インターカラント2が、導体ストランド1の少なくとも1つの炭素導体3の、例ではグラフェンから形成された炭素材料の中間層4にインターカレートされる様子を例示している。図3は、インターカレーション100の異なる段階を示し、インターカラント2の異なる量が炭素導体3の炭素材料にインターカレートされている。
インターカラント2には様々な実施形態があり、以下に、3つの異なる実施形態として説明する。
本発明によれば、インターカラント2は、第1または第2の実施形態に係る1つまたは複数の金属ハロゲン化物、または第3の実施形態に係る1つまたは複数の有機アルカリ金属のいずれでもよい。
I.第1の実施形態:金属フッ化物、特にアルミニウム(AlF )の使用
本発明に係る方法の第1の実施形態では、導体ストランド1のインターカレーションドーピングのために金属フッ化物を使用することが企図され、金属フッ化物の金属が、周期表の第2、4、5、6、8、10、11、12または13族のうちの1つから選択されている。好適な金属フッ化物の例は、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化ジルコニウム(ZrF)、フッ化鉄(FeF)またはフッ化マグネシウム(MgF)である。特に非晶質のフッ化アルミニウム(AlF)は非常に強いルイス酸である。
インターカレーションが反応器体積5の気相で実行される場合、気体状のフッ素は、方法の第2のステップにおいて補助ガスとして気相に追加的に添加されてもよい。インターカレーションが反応器体積5の液相で実行される場合、フッ素イオンを含む液相を選択してもよい。
インターカレーションのために、反応器体積5内に低真空を設けてもよい。反応器体積5は、例えば、好ましくは最大0.1mbar、特に好ましくは最大0.01mbarの真空に排気される。反応器体積5の壁部は、インターカラント2に対して耐性があるように構成され、例えば、ニッケルまたは銅で作成されている。
方法の第3のステップにおいて、反応器体積5は、少なくとも750℃のプロセス温度に加熱される。プロセス温度は、金属フッ化物の昇華温度の範囲内であり、例えば昇華温度を上回る。
気相でのインターカレーションは、例えば、昇華が始まる限界点付近で、特に±20℃~±40℃の変動幅で温度が変動するように実行することができる。これにより、インターカラントの昇華と再昇華との間で温度が変動することが達成される。したがって、インターカレーションは、導体材料中に10体積%を超える金属フッ化物結晶をクラスタ形成することなく行われる。
ここで、反応器体積5内の圧力は、温度によって変化することが考慮されている。したがって、室温での圧力は、目標温度に到達した際に金属フッ化物の昇華が可能になるように選択される。好ましくは、この場合、ルイス酸として強度が高いため、インターカレートされたフッ化アルミニウムが主に非晶質であることが企図されている。
第1の実施形態に係るドーピングは、特に、少なくとも300℃まで安定的であり、水分はドーピングに対して分解作用を及ぼさない。したがって、効果的で持続的なドーピングが達成される。
II.第2の実施形態:金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物の使用と、その後の金属フッ化物へのin-situ変換
金属フッ化物がインターカラント2として使用される上述の第1の実施形態に加えて、少なくとも1つの金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物がインターカラント2として炭素導体3にインターカレートされ、金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物の金属が、周期表の第2、4、5、6、8、10、11、12または13族のうちの1つから選択されている、方法の代替的な第2の実施形態が企図されている。後続的に、金属塩化物、金属臭化物および/または金属ヨウ化物の金属フッ化物へのin-situ変換200がフッ素化によって行われる、追加のステップが行われる。これは、図4に概略的に示されている。
第2の実施形態に係る好適なインターカラントの例は、塩化アルミニウム(AlCl)、臭化アルミニウム(AlBr)またはヨウ化アルミニウム(AlI)、塩化ジルコニウム(ZrCl)、臭化ジルコニウム(ZrBr)、塩化鉄(FeCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)、ヨウ化マグネシウム(MgI)である。
インターカレーションが反応器体積5の気相で実行される場合には、方法の第2のステップにおいて、補助ガスとして気体状の塩素、臭素またはヨウ素を反応器体積5に追加的に添加してもよい。インターカラント2として金属塩化物を用いる場合には、例えば塩素を、インターカラント2として金属臭化物を用いる場合には、例えば臭素を、インターカラント2として金属ヨウ化物を用いる場合には、例えばヨウ素を添加してもよい。
インターカレーションが反応器体積5の気相で実行される場合には、追加的に方法の第2のステップにおいて、反応器体積5内で水蒸気を発生させたり、反応器体積5内に添加したりしてもよい。このようにして、インターカレーションによって引き起こされる導体ストランドまたは炭素導体の体積の増加が、水蒸気を添加しない方法よりも小さくなることが達成できる。
本発明に係る方法の第4のステップにおいて、それぞれの炭素導体3の材料中に存在するインターカレートされた金属塩化物、金属臭化物および/または金属ヨウ化物は、金属フッ化物にin-situ変換される。
これは、導体ストランド1がフッ素化剤で処理されることによって生じる。フッ素化剤は、例えば、XeF、F、特にヘキサフルオロブテンおよびヘキサフルオロプロペンなどのパーフルオロオレフィンまたはフッ素化オレフィン、特にトリクロロフルオロメタンなどのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、特にパーフルオロヘキサン、ペンタフルオロブタン、ペンタフルオロプロパンなどのハイドロフルオロカーボン(HFC)を含む物質の群から選択される。フッ素化剤は、第4のステップにおいて気相中に存在するか、第4のステップにおいて気相へ移行する。フッ素化剤を用いた処理は、例えば、200℃未満の温度で行われる。
これに加えて、例えば以下に記載される実施例が可能である。
塩化アルミニウム(AlCl )、臭化アルミニウム(AlBr )またはヨウ化アルミニウム(AlI )の使用
本実施例では、第4のステップにおいて、導体複合体中に非結晶フッ化アルミニウム(AlF)がin-situ生成される。非結晶フッ化アルミニウム(AlF)のルイス酸としての強度は、フッ化アンチモン(SbF)およびフッ化ヒ素(AsF)と同程度である。
一実施例では、塩化アルミニウム(AlCl)のフッ素化が企図され、第3のステップにおいて、塩化アルミニウム(AlCl)は、インターカラント2として導体ストランド1の少なくとも1つの炭素導体3中にインターカレートされる。
利点は、1barでの昇華温度である約180℃が、AlFの約1260℃と比較して非常に低く、AlClは気相で四面体配位の二量体として存在するため、塩化アルミニウム(AlCl)が炭素導体3に非常に容易にインターカレートすることである。
さらなる利点は、フッ素化剤を用いたAlClからAlFへのin-situ変換が、導体複合体において室温で行うことができることである。これにより、ルイス酸としての強度が高い非結晶AlFが生成される。したがって、カーボン導体3の導電性を向上させることができる。使用されるAlClは、大部分がAlFに変換されるため、先に記載したのと同じ利点が生じる。
塩化アルミニウム(AlCl)および導体ストランド1は、第2のステップにおいて、密閉された反応器体積5に導入され、反応器体積5の壁部6は、例えばニッケルまたは銅から作成されている。反応器体積5内の雰囲気は、好ましくは、特にアルゴンまたはヘリウムのような不活性ガスに交換される。これは特に、0.1mbar未満の圧力まで数回排気し、真空を不活性ガスで充填することによって行われる。代替的に、反応器体積5は、好ましくは0.1mbar未満、特に好ましくは0.01mbar未満の真空によって不活性化されてもよい。真空は、AlClの分圧を増加させ、これによってドーピングを容易にする。
続いて、第3のステップにおいて、好ましくは80℃~250℃で熱処理が行われる。ここで、図3に概略的に示すように、AlClは導体ストランド1、すなわち導体複合体にインターカレートする。熱処理の時間は、特に導体複合体の厚さ、およびこれにより決定されるAlClの拡散長に依存する。
第4のステップにおいて、フッ素化剤を用いた処理が行われる。第4のステップにおいて、導体ストランド1にインターカレートされたAlClをフッ素化剤でフッ素化することにより(図4)、導体ストランド1の非晶質AlFがin-situ生成され、以下に、塩化アルミニウムとフッ素をフッ化アルミニウムと塩素に変換するためのフッ素化剤として、フッ素を例示する。
2AlCl+3F→2AlF+3Cl
AlClのフッ素化は強発熱性であるため、室温で行うことができる。フッ素化の際のこれらの条件が非常に穏やかであるため、形成されたAlFは結晶化できず、したがって、本発明によれば非晶質のままであり、特に有利には、導体複合体中に単分子として微細に分布してインターカレートされる。単分子として微細に分布したAlFは、強い電子受容体であり、炭素導体のp型ドーピングを引き起こす。これにより、炭素導体3の高い導電性を達成することができる。
ここで、塩化アルミニウムとトリクロロフルオロメタンがフッ化アルミニウムとテトラクロロメタンになる反応にしたがって、強発熱性のフッ素化が行われる。
AlCl+3CFCl→AlF+3CCl
CFClでの堆積中に、導体複合体に発生したCClがCFClに拡散する。
インターカラント2として塩化アルミニウム(AlCl)の代わりに、第3のステップにおいて、臭化アルミニウムまたはヨウ化アルミニウムを炭素導体または導体複合体にインターカレートしてもよい。このために、導体ストランド1は、第3のステップにおいて、例えば220℃~360℃の温度で熱処理される。この時、臭化アルミニウムおよび/またはヨウ化アルミニウムは導体複合材料にインターカレートされる。熱処理の時間は、特に導体複合体の厚さ、およびこれにより決定されるハロゲン化アルミニウムの拡散長に依存する。臭化アルミニウムまたはヨウ化アルミニウムのフッ素化は強発熱性であるため、室温で行うことができ、例えば臭化アルミニウムの場合、以下の反応にしたがって行うことができる。
AlBr+3CFCl→AlF+3CBrCl
この反応では、臭化アルミニウムとトリクロロフルオロメタンが反応し、フッ化アルミニウムとトリクロロブロモメタンとなる。
フッ素をフッ素化剤、臭化アルミニウムをインターカラントとすると、次のような反応が行われる。
2AlBr+3F→2AlF+3Br
この反応では、臭化アルミニウムはフッ素の作用でフッ化アルミニウムと臭素に変換される。
臭化アルミニウムまたはヨウ化アルミニウムは、沸点温度が263℃(AlBr)または360℃(AlI)と、AlFの昇華温度約1260℃に比べて非常に低いため、炭素導体に非常に容易にインターカレートする。
本実施例の利点は、AlFによるドーピングが特に少なくとも300℃まで安定的であり、水分の影響を受けづらいことである。これは、先行技術によれば、非常に効果的なインターカレートドーパントは、高温で揮発し、周囲の雰囲気に蒸発するか、空気と接触すると大気中の水分によって分解され、これによってドーピングが効果的でなくなるという欠点を解消する。
フッ素化の際のこれらの条件が非常に穏やかであるため、形成されたAlFは結晶化できず、したがって、本発明によれば非晶質のままであり、導体複合体中に微細に分布してインターカレートされる。
その後、インターカレートしたトリクロロブロモメタン(沸点105℃)またはCCl(沸点76.7℃)を導体複合体から除去するために、導体複合体を、例えば120℃でエージングさせてもよい。
塩化ジルコニウム(ZrCl )の使用
さらなる実施例は、フッ化ジルコニウム(ZrF)を用いたドーピングである。フッ化ジルコニウム(ZrF)は、非晶質で存在する場合、最も強いルイス酸の1つであるという利点を有する。
ZrClおよび導体ストランド1は、第2のステップにおいて反応器体積5に導入され、反応器体積5の壁部6は、例えばニッケルまたは銅で作成されている。反応器体積5内の雰囲気は、特にアルゴンまたはヘリウムのような不活性ガスに交換される。これは、好ましくは、0.1mbarの圧力までの複数回の排気と、不活性ガスによる対応する真空破壊とによって行われる。代替的に、反応器体積5は、好ましくは0.1mbar未満、特に好ましくは0.01mbar未満の真空によって不活性化されてもよい。真空になることによって、昇華温度が低下し、ZrClの分圧が増加し、これによってドーピングが容易になる。また、塩素を添加することによってインターカレーションを促進してもよい。これは、例えば、塩化金(III)(AuCl)または塩化金(III)水和物(AuCl・HO)を添加することによって行ってもよい。塩化金(III)水和物は100℃を超えると結晶水を失う。両方の種類の塩化金は、254℃を超えると1barの圧力で分解し、塩素を放出する。
第3のステップにおいて、好ましくは290℃~450℃で熱処理される。ここで、ZrClが導体複合体にインターカレートする。熱処理の時間は、特に導体複合体の厚みと、これによって決まるZrClの拡散長に依存する。
第4のステップにおいて、フッ素化剤を用いた処理が行われる。これは、特にヘキサフルオロブテンやヘキサフルオロプロペンなどのパーフルオロオレフィンまたはフッ素化オレフィン、特にトリクロロフルオロメタンCFCl(沸点開始23.7℃)やジクロロジフルオロメタンCFCl(沸点23.7℃)などのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、特にパーフルオロヘキサン、ペンタフルオロブタンまたはペンタフルオロプロパンなどのハイドロフルオロカーボン(HFC)、または、例えばXeFやFなどの他の適切なフッ素化合物である。
第4のステップにおいて、導体ストランド1にインターカレートされた塩化ジルコニウム(ZrCl)をフッ素化剤によってフッ素化することによって、導体ストランド1の非晶質フッ化ジルコニウム(ZrF)がin-situ生成され、これは、塩化ジルコニウムとフッ素がフッ化ジルコニウムと塩素へ変換される以下の反応において、フッ素化剤としてフッ素を用いて例示されている。
ZrCl+2F→ZrF+2Cl
ZrClのフッ素化は強発熱性であるため、室温で行うことができる。フッ素化の際のこれら条件が非常に穏やかであるため、形成されたZrFは結晶化できず、したがって、本発明によれば非晶質のままであり、特に有利には、導体複合体中に単分子として微細に分布してインターカレートされる。これにより、炭素導体3の高い導電性を達成することができる。
さらなるステップにおいて、導体複合体が30体積%を超える高濃度の気体状のCFClによって囲まれるように、導体複合体は液体状のCFClの上に堆積される。ここで、塩化ジルコニウムとトリクロロフルオロメタンがフッ化ジルコニウムとテトラクロロメタンになる反応にしたがって、強発熱性のフッ素化が行われる。
ZrCl+4CFCl→ZrF+4CCl
その後、トリクロロフルオロメタンに拡散しなかったインターカレートテトラクロロメタン(沸点76.7℃)の痕跡が残っている場合には、導体複合体から除去するために、導体複合体を、例えば120℃でエージングさせてもよい。
塩化鉄(FeCl )の使用
フッ化鉄(FeF)は、非晶質または単分子で存在する場合、強いルイス酸であるため、フッ化鉄(FeF)によるドーピングも可能である。このため、インターカラント2として塩化鉄(FeCl)が使用される。
塩化鉄(FeCl)および導体ストランドは、第2のステップにおいて反応器体積5に導入され、反応器体積5の壁部6は、好ましくはニッケルまたは銅で作成されている。反応器体積5内の雰囲気は、特にアルゴンやヘリウムのような不活性ガスに交換される。これは、好ましくは、0.1mbar未満の圧力まで数回排気し、それに応じて不活性ガスで真空を充填することによって行われる。代替的に、反応器体積5は、好ましくは0.1mbar未満、特に好ましくは0.01mbar未満の真空によって不活性化されてもよい。真空は、FeClの揮発性を高め、これによってドーピングを容易にする。また、塩素を添加することによってインターカレーションを促進してもよい。これは、例えば、塩化金(III)(AuCl)または塩化金(III)水和物(AuCl・HO)を添加することによって行ってもよい。塩化金(III)水和物は100℃を超えると結晶水を失う。両方の種類の塩化金は、254℃を超えると1barで、すでに65℃を超えると0.1mbarで、脱塩素化しながら分解する。
第3のステップにおいて、好ましくは120℃~300℃で熱処理される。ここで、FeClが導体ストランド1にインターカレートする。熱処理の時間は、特に導体ストランド1の厚さ、およびこれによって決まるFeClの拡散長に依存する。
第4のステップにおいて、フッ素化剤を用いた処理が行われる。これは、特にヘキサフルオロブテンやヘキサフルオロプロペンなどのパーフルオロオレフィンまたはフッ素化オレフィン、特にトリクロロフルオロメタンCFCl(沸点開始23.7℃)やジクロロジフルオロメタンCFClなどのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、特にパーフルオロヘキサン、ペンタフルオロブタンまたはペンタフルオロプロパンなどのハイドロフルオロカーボン(HFC)、または、例えばXeFやFなどの他の適切なフッ素化合物である。
第4のステップにおいて、導体ストランド1にインターカレートされたFeClをフッ素化剤によってフッ素化することにより、導体複合体中に非結晶FeFがin-situ生成される。特に、これは、塩化鉄とフッ化水素酸がフッ化鉄と塩酸へ変換される以下の反応に例示されているように、フッ化水素酸によって行われる。
FeCl3(s)+3HF(g)→FeF3(s)+3HCl(g)
代替的に、フッ素化剤としてフッ素を使用してもよく(塩化鉄とフッ素のフッ化鉄と塩素への変換)、これにより、FeClに対して半分のガスしか発生しない。
2FeCl3(s)+3F2(g)→2FeF3(s)+3Cl2(g)
さらに有利には、トリクロロフルオロメタン(CFCl)やジクロロジフルオロメタン(CFCl)によるフッ素化は、ガスが発生せず、テトラクロロメタン(CCl)によるフッ素化は液体が発生し、これは、膨張せずに拡散によって導体から除去することができる。これは、塩化鉄とジクロロジフルオロメタンがフッ化鉄とテトラクロロメタンへ変換される以下の反応において、CFClによるフッ素化が例示されている。
2FeCl3(s)+3CFCl2(g)→2FeF3(s)+3CCl4(l)
トリクロロフルオロメタン(CFCl)によるフッ素化は、例えば、導体複合体がCFClに浸漬することで行ってもよい。強発熱性のフッ素化は、特に水分排除下で、塩化鉄とトリクロロフルオロメタンがフッ化鉄とテトラクロロメタンになる以下の反応にしたがって行われる。
FeCl3(s)+3CFCl3(l)→FeF3(s)+3CCl4(l)
その後、導体複合体をトリクロロメタンに浸漬した時に導体複合体から拡散しなかったインターカレートテトラクロロメタン(沸点76.7℃)の痕跡がある場合に、導体複合体から除去するために、導体複合体を、例えば65℃でエージングさせてもよい。
FeClのフッ素化は強発熱性であるため、室温で行うことができる。フッ素化の際のこれら条件が非常に穏やかであるため、形成されたFeFは結晶化できず、したがって、本発明によれば非晶質のままであり、特に有利には、導体ストランド1において単分子として微細に分布してインターカレートされる。これにより、炭素導体3の高い導電性を達成することができる。
第2のステップにおいて、塩化鉄(III)FeClの代わりに、塩化鉄(II)(FeCl)および塩素を、例えば塩化金の形態で反応器体積5内に導入してもよい。ここで、以下の反応にしたがって、塩化鉄(II)および塩化金を塩化鉄(III)および金に変換することにより、FeClが生成される。
3FeCl2(s)+AuCl3(s)→3FeCl3(s)+Au(s)
この塩化鉄(III)は、その後第3のステップで炭素導体にインターカレートされる。
塩化マグネシウム、臭化マグネシウムまたはヨウ化マグネシウムの使用
本実施例では、第4のステップにおいて、導体複合体中に非晶質のフッ化マグネシウムMgFがin-situ生成される。
これに対し、第3のステップにおいて、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)またはヨウ化マグネシウム(MgI)が導体複合体にインターカレートされる。続いて、第4のステップにおいて、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)またはヨウ化マグネシウム(MgI)が、塩化マグネシウムについて例示し、フッ素をフッ素化剤とした以下の反応に示すように、フッ素化剤によってフッ素化される。
MgCl+F→MgF+Cl
塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)、ヨウ化マグネシウム(MgI)は、融点が712℃(MgCl2)、711℃(MgBr2)、637℃(MgI2)とMgFの昇華温度約1256℃に比べ非常に低いため、炭素導体を有する導体複合体において非常に容易にインターカレートする。さらに、特に塩素によって、金属ハロゲン化物の融点温度を下回る温度での導体複合体へのインターカレーションが可能になる。さらなる利点は、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)またはヨウ化マグネシウム(MgI)のMgFへの導体複合体におけるin-situ変換が、室温でフッ素化剤によって行われることである。この時、強いルイス酸である非結晶MgFが生成される。さらなる利点は、MgFによるドーピングが、特に少なくとも350℃まで安定的であり、水分の影響を受けないことである。
MgFを式MFのフッ化物でドーピングすることにより、MgFの酸性度をフッ化アンチモン(SbF)およびフッ化ヒ素(AsF)の強度まで高めることができる。これは、本発明によれば、ハロゲン化マグネシウムに加えて、式MX(ここで、Mは、例えば鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、インジウム(In)およびガリウム(Ga)などの酸化状態+3の金属を表し、Xは塩素、臭素および/またはヨウ素を表す)の少なくとも一つのさらなるハロゲン化物を導体複合体にインターカレートし、かつ、フッ化ステップにおいて、例えば以下の反応に係る塩化マグネシウムについて、同様にフッ化物に転換することで実現される。
15MgCl+VCl+2AlCl+FeCl+21F→15MgF+VF3+2AlF+FeF+21Cl
III.第3の実施形態:有機アルカリ金属の使用と、その後のアルカリ金属水素化物へのin-situ変換
第3の実施形態において、インターカラントは、有機アルカリ金属、例えば有機ナトリウム化合物、特にナフタリドナトリウム(C10Na)、n-アミルナトリウム(C11Na)またはベンジルナトリウム(CNa)である。代替的に、有機カリウム化合物、特にベンジルカリウム(CH7K)もしくはメチルカリウム(CHK)、または有機リチウム化合物、特にベンジルリチウム(CLi)、n-ヘキシルリチウム(C13Li)、n-ブチルリチウム(CLi)およびフェニルリチウム(CLi)が提供されてもよい。
第2のステップにおいて、導体ストランド1と、溶媒に溶解した有機アルカリ金属とが、反応体積5に導入される。ここで、導体ストランド1は溶媒に浸漬される。
第3のステップにおいて、導体ストランド1と、溶媒に溶解した有機アルカリ金属とが、室温から200℃までのマイルドな温度で熱処理され、これにより、有機アルカリ金属が導体ストランドの炭素導体中にインターカレートする。
第4のステップにおいて、第2の実施形態に類似して、それぞれの炭素導体の材料に存在する有機アルカリ金属が、アルカリ金属水素化物、例えば水素化リチウム(LiH)、水素化ナトリウム(NaH)または水素化カリウム(KH)にin-situ変換されることが企図されている。第2の実施形態とは異なり、これは、導体ストランド1が水素雰囲気中で、例えば50℃~250℃の温度で熱処理されることによって行われる。
3つの実施形態のうちの1つに係る導体ストランドの製造後、第5のステップとして、例えば気相または液相で、炭素導体または導体ストランド1の材料に疎水化剤をインターカレートすることが企図されていてもよい。疎水化剤は、例えば脂肪族、特にウンデカンなどのアルカン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロパーヒドロフルオレン、パーフルオロパーヒドロフェナンスレン、または特にポリメチルシロキサンなどのポリシロキサンであってもよい。
さらに、3つの実施形態のうちの1つに係る炭素導体または導体ストランドの製造後、導体ストランド1を圧縮することが企図されていてもよい。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの炭素導体(3)を含む導電性導体ストランド(1)の製造方法であって、
    a)特にグラファイト、熱分解グラファイト、グラフェン、グラフィンおよび/またはカーボンナノチューブを含む、少なくとも1つの炭素導体(3)を含む中間生成物として、導体ストランド(1)を製造または提供するステップと、
    b)前記導体ストランド(1)と、1つもしくは複数のインターカラント(2)、特に1つもしくは複数の金属ハロゲン化物、または1つもしくは複数の有機アルカリ金属のいずれかと、を、反応器体積(5)の気相または液相に導入するステップであって、前記インターカラントは、前記導体ストランド(1)の前記少なくとも1つの炭素導体(3)の材料へのインターカレーションに適しているステップと、
    c)前記導体ストランド(1)の熱処理を実行するステップであって、前記反応器体積(5)はインターカレーション(4)を開始するためのプロセス温度にされ、前記インターカラント(2)の原子または分子が前記それぞれの炭素導体(3)の材料中に埋め込まれ、特に、多層炭素構造形状の層間領域において、特に前記炭素導体(3)の炭素構造形状へ堆積されるステップと、
    を有する方法。
  2. 前記インターカラント(2)が金属フッ化物であり、特にフッ化アルミニウム(AlF)、フッ化ジルコニウム(ZrF)、フッ化鉄(FeF)、フッ化マグネシウム(MgF)であり、前記金属フッ化物の金属が、周期表の第2、4、5、6、8、10、11、12または13族のうちの1つから選択されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記インターカラント(2)が、金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物であり、特に塩化アルミニウム(AlCl)、塩化ジルコニウム(ZrCl)、臭化ジルコニウム(ZrBr)、塩化鉄(FeCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、臭化マグネシウム(MgBr)、ヨウ化マグネシウム(MgI)、臭化アルミニウム(AlBr)、またはヨウ化アルミニウム(AlI)であり、前記金属塩化物、前記金属臭化物または前記金属ヨウ化物の金属が、周期表の第2、4、5、6、8、10、11、12または13族のうちの1つから選択されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記インターカラント(2)が有機アルカリ金属であり、特に、
    - 有機ナトリウム化合物、具体的には特にナフタリドナトリウム(C10Na)、n-アミルナトリウム(C11Na)もしくはベンジルナトリウム(CNa)、
    - 有機カリウム化合物、具体的には特にベンジルカリウム(CK)もしくはメチルカリウム(CHK)、または
    - 有機リチウム化合物、具体的には特にベンジルリチウム(CLi)、n-ヘキシルリチウム(C13Li)、n-ブチルリチウム(CLi)およびフェニルリチウム(CLi)である、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記方法が、前記ステップ1b)において、
    - 前記反応器体積の気相でインターカレーションを行う場合に、気体状のフッ素を気相に添加するステップ、または、
    - 前記反応器体積の液相でインターカレーションを行う場合に、フッ素イオンの液相を提供するステップ、を含むことを特徴とする、
    請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記方法が、前記ステップ1b)において、前記反応器体積の気相でインターカレーションを行う場合に、
    - 気体状の塩素、臭素および/またはヨウ素を前記反応器体積内に添加するステップであって、特に、
    - インターカラント(2)として金属塩化物を用いる場合には塩素を添加するステップと、
    - インターカラント(2)として金属臭化物を用いる場合には臭素を添加するステップと、
    - インターカラント(2)として金属ヨウ化物を用いる場合にはヨウ素を添加するステップと、を含む、
    ことを特徴とする、請求項1または3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記方法が、
    - 前記導体ストランド(1)をフッ素化剤で処理することによって、前記それぞれの炭素導体の材料中に存在する金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物を金属フッ化物に変換するステップであって、前記フッ素化剤は、特にヘキサフルオロブテンやヘキサフルオロプロペンなどのパーフルオロオレフィンまたはフッ素化オレフィン、特にトリクロロフルオロメタン(CFCl3)やジクロロジフルオロメタン(CF2Cl2)などのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、特にパーフルオロヘキサン、ペンタフルオロブタンまたはペンタフルオロプロパンなどのハイドロフルオロカーボン(HFC)、または、例えばXeF2やF2などの他のフッ素化合物を含み、および/または、特に気相に存在するか、または前記処理中に気相に移行し、前記フッ素化剤を用いた前記処理は、特に200℃未満の温度で行われるステップを追加的に含む、
    ことを特徴とする、請求項1、3または6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記方法が、
    - 前記導体ストランド(1)を水素雰囲気中、特に50℃~250℃の温度で熱処理することによって、前記それぞれの炭素導体の材料中に存在する有機アルカリ金属をアルカリ金属水素化物、特に水素化リチウム(LiH)、水素化ナトリウム(NaH)または水素化カリウム(KH)に変換するステップを追加的に含む、
    ことを特徴とする、請求項1または4のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記方法が、
    - 疎水化剤、特に脂肪族、特にウンデカンなどの特にアルカン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロパーヒドロフルオレン、パーフルオロパーヒドロフェナンスレン、または特にポリメチルシロキサンなどのポリシロキサンを、前記それぞれの炭素導体の材料に、特に気相または液相でインターカレートするステップを追加的に含む、
    ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記方法が、
    - 前記導体ストランドを圧縮するステップを追加的に含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
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