JP2023552681A - 製剤安定化の向上および凍結乾燥プロセスの改善 - Google Patents

製剤安定化の向上および凍結乾燥プロセスの改善 Download PDF

Info

Publication number
JP2023552681A
JP2023552681A JP2023528683A JP2023528683A JP2023552681A JP 2023552681 A JP2023552681 A JP 2023552681A JP 2023528683 A JP2023528683 A JP 2023528683A JP 2023528683 A JP2023528683 A JP 2023528683A JP 2023552681 A JP2023552681 A JP 2023552681A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formulation
pharmaceutical substance
stabilizer
temperature
substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023528683A
Other languages
English (en)
Inventor
スボド バトナガル,バクル
ダルヴァリ,ラミン
ルトラ,スミト
チェサロフ,セルゲイ
パンツナー,シュテッフェン
ラインシュ,クリスティアン
タンキ,カウシク
ソマニ,スクルート
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Biontech SE
Original Assignee
Biontech SE
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Biontech SE filed Critical Biontech SE
Publication of JP2023552681A publication Critical patent/JP2023552681A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/48Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
    • A61K9/50Microcapsules having a gas, liquid or semi-solid filling; Solid microparticles or pellets surrounded by a distinct coating layer, e.g. coated microspheres, coated drug crystals
    • A61K9/51Nanocapsules; Nanoparticles
    • A61K9/5107Excipients; Inactive ingredients
    • A61K9/5123Organic compounds, e.g. fats, sugars
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7088Compounds having three or more nucleosides or nucleotides
    • A61K31/7105Natural ribonucleic acids, i.e. containing only riboses attached to adenine, guanine, cytosine or uracil and having 3'-5' phosphodiester links
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/06Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
    • A61K47/26Carbohydrates, e.g. sugar alcohols, amino sugars, nucleic acids, mono-, di- or oligo-saccharides; Derivatives thereof, e.g. polysorbates, sorbitan fatty acid esters or glycyrrhizin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/14Particulate form, e.g. powders, Processes for size reducing of pure drugs or the resulting products, Pure drug nanoparticles
    • A61K9/19Particulate form, e.g. powders, Processes for size reducing of pure drugs or the resulting products, Pure drug nanoparticles lyophilised, i.e. freeze-dried, solutions or dispersions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Biophysics (AREA)

Abstract

本発明は、医薬物質の安定化の向上および凍結乾燥方法の改善に関する。

Description

(配列表の参照)
本願は、明細書の一部である配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(技術分野)
本発明は、医薬物質の安定化および凍結乾燥の改善に関する。
(背景技術)
凍結乾燥またはフリーズドライは、生物学的物質および医薬物質を保存するために製薬産業で広く使用されているプロセスである。凍結乾燥において、医薬物質中に存在する水を、凍結工程中に氷に変換し、その後、一次乾燥工程中に低圧条件下での直接昇華によって医薬物質から除去する。しかしながら、凍結中にすべての水が氷に変わるわけではない。水の一部は、例えば製剤成分および/または活性成分(医薬物質)を含む固体のマトリックス中に捕捉される。したがって、残存水分を除去し、必要な水分レベルを達成するには、高温での追加の乾燥工程(二次乾燥)が必要である。
凍結乾燥プロセスは製剤と密接に関連している(Bhatnagar, B. et al., Freeze-drying of biologics. Encyclopedia of Pharmaceutical Science and Technology, 4th edition, 2013, Swarbrick, J., Ed.; Wiley Interscience: New York, NY, USA: 1673-1722)。製剤は、活性医薬成分の安定性も規定する。例えば、タンパク質の安定化について、室温での安定性を達成するには、安定化剤とタンパク質の特定の比率(モル比360以上)が必要であることが示されている(Cleland, J.L. et al. (2001) J Pharm Sci 90(3):310-321)。この比率はタンパク質の構造に特有であることも示されている。したがって、各タンパク質は、同様の安定性を達成するために、安定化剤と活性成分の異なる比率を潜在的に必要とする(Wang, B., et al., (2009) J Pharm Sci 98(9):3145-3166)。文献に記載されているように(Chang, L., et al. (2009) J Pharm Sci 98(9):2886-2908)、安定化剤と活性成分の間の特異的な相互作用に加えて、安定化剤とタンパク質の比率が増加すると、希釈効果により固体状態の2つのタンパク質間の相互作用も減少する。
以前の研究では、動的光散乱を使用して、スクロースと核酸(DNAなど)の質量比が2倍増加すると、粒子サイズが少なくとも3分の1に減少した(Kasper, J.C., et al. (2013) J Pharm Sci 102(3):929-946)。
(発明の概要)
したがって、本発明の目的は、医薬物質の製造に拡張性、再現性および適用性があり、時間効率と費用効率が高い医薬物質の安定化方法を提供することである。本発明の1つの目的は、医薬物質の完全性および生物学的活性が好ましくは維持される、医薬物質の凍結乾燥方法を提供することである。本発明の更なる目的は、周囲温度または周囲温度以下で、液体、凍結した液体または乾燥固体として長期間保存するのに適しており、好ましくは従来技術の組成物と比較して保存安定性が増加した、医薬物質を含む組成物を提供することである。
図面において、同様の参照符号は、一般に、異なる図を通して同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、一般的に本発明の原理を説明することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の様々な実施態様が、以下の図面を参照して説明される。
図1は、二相系(水相および有機相)の製造フローを説明する代替製造プロセスを示す。 図2は、両相が水性である系の製造フローを説明する代替製造プロセスを示す。 図3A~3Bは、2つのバイアルサイズについての充填量と乾燥時間の間の関係(図3A)と、あらゆるバイアルサイズの乾燥時間に対するケーキ高さの影響(図3B)を示す。乾燥時間は、凍結(アニーリングを含む)、一次および二次乾燥工程を含む。
(配列の特定)
配列番号1は、HCV IRES由来のRNA配列を示す。
配列番号2は、HCV IRES由来のDNA転写物(太字がT7プロモーター;斜体が部位)を示す。
配列番号3は、FgenIモデルRNA合成したRNA配列を示す。
配列番号4は、プライマーアニーリング部位を有する、FgenIモデルRNA合成したRNA配列を示す。
配列番号5は、プライマーアニーリング部位を有する、FgenIモデルRNA合成したRNA配列のDNA鋳型を示す。
配列番号6は、Chi18-4モデルRNA合成したRNA配列を示す。
配列番号7は、太字のプライマーアニーリング部位を有する、Chi18-4モデルRNA合成したRNA配列を示す。
配列番号8は、太字のプライマーアニーリング部位を有する、Chi18-4モデルRNA合成したRNA配列のDNA転写物を示す。
配列番号9は、FP安定化アッセイに用いたRNAを示す。
(発明の詳細な記載)
本発明の目的は、特定の比率の安定化剤と医薬物質とを含む製剤を製造するための方法であって、コロイド安定性および封入などの製剤特性を維持する、1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)をさらに含む製剤を含む、方法を提供することである。本発明の第2の目的は、特にそのような製剤に対して、長期安定性を達成するための凍結乾燥プロセスを提供することである。本発明の第3の目的は、適切な希釈剤を使用して、脂質ナノ粒子製剤を含む凍結乾燥混合物の再構成および再懸濁中ならびに再構成および再懸濁後、コロイド安定性および封入などの製剤特性を維持する安定な製剤を製造するための方法を提供することである。
本発明は、医薬物質と安定化剤との混合物を含む安定な液体製剤を製造するための第1方法であって、該方法が、特定の比率で医薬物質と安定化剤とを混合して、これにより安定な製剤を製造する工程を含む、方法を提供する。
本発明は、液体製剤を凍結乾燥するための第2方法であって、該方法が、下記工程:
a)医薬物質と安定化剤とを含む液体製剤を提供する工程であって、一実施態様において、液体製剤が、特定の比の医薬物質と安定化剤を含む工程;
b)凍結した液体を得るために、下記:
i)工程(a)で提供された液体製剤を凍結乾燥機の凍結乾燥チャンバーに導入する工程;および
ii)液体製剤を凍結温度まで冷却する工程であって、冷却が、凍結した液体を得るために所定の冷却速度で行われる工程
により凍結工程を開始する工程;
c)部分的乾燥品を得るために、下記:
i)凍結乾燥チャンバー内の圧力を氷の蒸気圧未満の圧力に低下させる工程、および
ii)棚温度を上昇させる工程
により工程(b)で得られた凍結した液体の一次乾燥工程を開始する工程;
d)工程(c)で得られた部分的乾燥品を乾燥温度まで加熱する工程を含む、工程(c)で得られた部分的乾燥品の二次乾燥工程を開始する工程であって、加熱が、医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を得るために所定の加熱速度で行われる工程;および
e)凍結乾燥チャンバー内の圧力を大気圧に平衡させ、工程(d)で得られた医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を凍結乾燥チャンバーから取り出す工程
を含む、方法を提供する。本明細書で用いる「凍結した液体」は、氷および凍結濃縮物を含む組成物であって、凍結濃縮物が、氷の大部分を除く凍結した液体中のすべての材料を含む、組成物を意味する。
一実施態様において、液体製剤を凍結乾燥するための第2方法は、下記工程:
a)医薬物質と安定化剤とを含む液体製剤を提供する工程であって、液体製剤が、特定の比の医薬物質と安定化剤を含む工程;
b)凍結した液体を得るために、下記:
i)工程(a)で提供された液体製剤を凍結乾燥機の凍結乾燥チャンバーに導入する工程;および
ii)液体製剤を凍結温度まで冷却する工程であって、冷却が、凍結した液体を得るために所定の冷却速度で行われる工程
により凍結工程を開始する工程;
c)部分的乾燥品を得るために、下記:
i)凍結乾燥チャンバー内の圧力を氷の蒸気圧未満の圧力に低下させる工程、および
ii)棚温度を上昇させる工程
により工程(b)で得られた凍結した液体の一次乾燥工程を開始する工程;
d)工程(c)で得られた部分的乾燥品を乾燥温度まで加熱する工程を含む、工程(c)で得られた部分的乾燥品の二次乾燥工程を開始する工程であって、加熱が、医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を得るために所定の加熱速度で行われる工程;および
e)凍結乾燥チャンバー内の圧力を大気圧に平衡させ、工程(d)で得られた医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を凍結乾燥チャンバーから取り出す工程
を含む。本明細書で用いる「凍結した液体」は、氷および凍結濃縮物を含む組成物であって、凍結濃縮物が、氷の大部分を除く凍結した液体中のすべての材料を含む、組成物を意味する。
上記方法の一実施態様において、液体製剤は、少なくとも1つの封入剤をさらに含む。一実施態様において、封入剤は、脂質、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、ポリマー粒子、ポリプレックス、およびモノリシック送達システム、およびそれらの組合せからなる群より選択される。好ましい実施態様において、封入剤は、脂質ナノ粒子(LNP)である。
上記方法の別の実施態様において、液体製剤は、緩衝剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、適切な液体製剤は、緩衝剤、例えばトリス、ヒスチジン、クエン酸、酢酸、リン酸およびコハク酸を含む。液体製剤のpHは、封入剤(例えば、カチオン性脂質)のpKaに関連する。図1および2に示すように、(i)酸性化緩衝剤のpHは、封入剤(例えば、カチオン性脂質)のpKaよりpHスケールの少なくとも半分は小さいべきあり、(ii)最終緩衝剤のpHは封入剤(例えば、カチオン性脂質)のpKaよりpHスケールの少なくとも半分は大きいべきある。
上記方法の別の実施態様において、液体製剤は、塩をさらに含む。一実施態様において、塩は、ナトリウム塩である。好ましい実施態様において、塩は、NaClである。
上記方法の別の実施態様において、液体製剤は、界面活性剤、防腐剤、他の任意の添加剤、またはそれらの組合せをさらに含む。本明細書で用いる「他の任意の添加剤」は、抗酸化剤、グルタチオン、EDTA、メチオニン、デスフェラール、抗酸化剤、金属スカベンジャー、またはフリーラジカルスカベンジャーを含むがこれらに限定されない。一態様において、界面活性剤、防腐剤、添加剤またはそれらの組合せは、滅菌注射用水(sWFI)、静菌注射用水(BWFI)、生理食塩水、ブドウ糖溶液、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、二価カチオン、乳酸リンゲル液、アミノ酸、糖、ポリオール、ポリマーまたはシクロデキストリンより選択される。
上記方法の別の実施態様において、医薬物質は、タンパク質、ペプチド、多糖、小分子、天然産物、核酸、免疫原、ワクチン、ポリマー、化学化合物、およびそれらの組合せからなる群より選択される。好ましい一実施態様において、医薬物質は、核酸である。好ましい別の実施態様において、核酸は、DNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、およびアプタマーからなる群より選択される。好ましい別の実施態様において、RNAは、mRNAである。好ましい第2の実施態様において、医薬物質は、タンパク質である。好ましい別の実施態様において、タンパク質は、抗体もしくはその断片、増殖因子、凝固因子、サイトカイン、融合タンパク質、酵素、担体タンパク質、多糖含有抗原、およびそれらの組合せからなる群より選択される。好ましい更なる実施態様において、抗体は、モノクローナル抗体または単一ドメイン抗体である。
上記方法の別の実施態様において、液体製剤は、様々な医薬物質の濃度を含有する。一実施態様において、医薬物質は、<1mg/mlの濃度である。別の実施態様において、医薬物質は、少なくとも約0.05mg/mlの濃度である。別の実施態様において、医薬物質は、少なくとも約0.5mg/mlの濃度である。別の実施態様において、医薬物質は、少なくとも約1mg/mlの濃度である。別の実施態様において、医薬物質の濃度は、約0.05mg/ml~約0.5mg/mlである。別の実施態様において、医薬物質は、少なくとも10mg/mlの濃度である。別の実施態様において、医薬物質は、少なくとも50mg/mlの濃度である。いくつかの実施態様において、本発明は、高濃度で医薬物質を含む液体製剤を製造するのに特に有用である。例えば、本発明に適した液体製剤は、75mg/ml、少なくとも約100mg/ml、少なくとも約150mg/ml、少なくとも約200mg/ml、少なくとも約250mg/ml、少なくとも約300mg/ml、または少なくとも約400mg/mlの濃度で、対象とする医薬物質を含み得る。
上記方法の更なる実施態様において、安定化剤は、スクロース、マンノース、ソルビトール、ラフィノース、トレハロース、マンニトール、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニン、ラクトース、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリシン、およびそれらの組合せからなる群より選択される。好ましい実施態様において、安定化剤は、スクロースである。好ましい別の実施態様において、安定化剤は、トレハロースである。好ましい更なる実施態様において、安定化剤は、スクロースとトレハロースの組合せである。一実施態様において、安定化剤の濃度は、約10mg/ml~約400mg/ml、約100mg/ml~約200mg/ml、103mg/ml~約200mg/mlの濃度、または表1に記載の任意の濃度を含むがこれらに限定されない。
いくつかの実施態様において、安定化剤(例えば、スクロース、トレハロース、またはスクロースとトレハロースの組合せ)の濃度は、約1%w/v~約20%w/v、約5%w/v~約15%w/v、約5%w/v~約10%w/v、約5%w/v、約10%w/vの濃度、または表8に記載の任意の濃度を含むがこれらに限定されない。更なる実施態様において、安定化剤は、ほぼ等しい%w/vで存在するスクロースとトレハロースの組合せである。
上記方法の更なる実施態様において、安定化剤の質量と医薬物質の質量は、特定の比率である。一実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、5000以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、2000以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、1000以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、500以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、100以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、50以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、10以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、1以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、0.5以下である。別の実施態様において、安定化剤と医薬物質の質量比は、0.1以下である。
上記方法の別の実施態様において、安定化剤および医薬物質は、約200~2000の安定化剤:1の医薬物質の質量比を含む。更なる実施態様において、医薬物質はmRNAであり、安定化剤はスクロースである。
上記方法の別の実施態様において、液体製剤は、図1および図2に記載の代替製造プロセスを含む方法により製造される。
第2方法の別の実施態様において、工程(b)に記載の凍結工程の冷却速度は、0.02℃/分~37℃/分である。好ましい実施態様において、冷却速度は、0.2℃/分または0.5℃/分である。別の実施態様において、工程(b)に記載の初期凍結中の棚温度は、約-30℃~-60℃である。
第2方法の別の実施態様において、工程(c)に記載の一次乾燥工程の冷却速度は、(i)約4℃/分の予冷棚(PCS)、(ii)1℃/分、または(iii)0.5℃/分より選択される。
第2方法の別の実施態様において、工程(d)に記載の二次乾燥工程の加熱速度は、0.05℃/分~1℃/分である。好ましい実施態様において、加熱速度は、0.2℃/分である。
第2方法の更なる実施態様において、工程(c)に記載の一次乾燥中の棚温度は、約-15℃~約-30℃である。好ましい実施態様において、棚温度は、-25℃である。
第2方法の更なる実施態様において、工程(c)に記載の一次乾燥中のチャンバー圧力は、約25mTorr~約100mTorrである。好ましい実施態様において、チャンバー圧力は、50mTorrである。
第2方法の別の実施態様において、方法は、工程(b)に記載の初期凍結後のアニーリング工程をさらに含む。「アニーリング」は熱処理プロセスであり、最初に凍結したときに結晶化が不完全な準安定ガラスを形成する非晶質物質に有用である。アニーリング中、より完全な結晶化を得るために、製剤温度をサイクルさせる(例えば、-40℃から-20℃まで数時間、その後-40℃に戻る)。アニーリングには、結晶成長が大きくなり、それに対応して乾燥時間が短縮されるという追加の利点もある。第2方法の一実施態様において、アニーリング温度は、約-5℃~約-25℃である。好ましい実施態様において、アニーリング温度は、-10℃である。
第2方法の別の実施態様において、凍結乾燥品は、非晶質材料を含む。更なる実施態様において、液体製剤は、凍結時に凍結濃縮物中で非晶質のままであり、工程(b)に記載の凍結温度は、凍結濃縮物のガラス転移温度(Tg')未満に設定される。用語「凍結濃縮物」は、氷の大部分を除く凍結した液体製剤中のすべての材料を意味する。
第2方法の別の実施態様において、液体製剤は、凍結時に部分的に結晶性であり、工程(b)に記載の凍結温度は、凍結した溶液の共晶融解温度(T共晶)または二次融解温度に設定される。凍結した多成分水溶液において、用語「二次融解」は、凍結および/またはアニーリング中に結晶化した溶質と、補足の相図(状態図)で定義される氷相の同時融解を意味する。この用語は、氷と溶質の両方が結晶化する凍結した二成分水溶液の場合の共晶の融解に似ている。一次融解は、補足の状態図によって定義される氷相のみの融解を指す。この用語は、氷と溶質の両方が結晶化する凍結した二成分水溶液の場合の氷の融解に似ている。(Shalaev EY, Franks F. 2002. Solid-liquid state diagrams in pharmaceutical lyophilisation: Crystallisation of solutes. In: Levine H, editor. Amorphous food and pharmaceutical systems. Cambridge: Royal Society of Chemistry. pp 200-215)。上記方法の一実施態様において、凍結乾燥品は、非晶質材料を含む。別の実施態様において、凍結乾燥品は、部分的に結晶性/部分的に非晶質の材料を含む。
本発明は、凍結乾燥医薬物質の安定性または凍結乾燥サイクルの効率を向上させる方法であって、該方法が、上記方法に従って液体製剤中の医薬物質を凍結乾燥する工程を含む方法を提供する。
本発明はまた、製剤成分の結晶化を抑制することにより、上記方法の医薬物質の安定性を向上させる方法を提供する。
上記方法の更なる実施態様において、製剤は、周囲温度または周囲温度以下で所定の期間保存される。本明細書で用いる用語「周囲温度」は、室温または15℃~30℃の温度を意味する。また、本明細書で用いる用語「周囲温度以下」は、周囲温度未満の温度を意味し、これには、凍結製剤のTg'未満、Tg'、Tg'超の温度を含む。
上記方法の更なる実施態様において、製剤は、凍結マトリックス、冷蔵液体、または冷蔵凍結乾燥品として安定である。別の実施態様において、製剤は、凍結マトリックスのガラス転移温度(Tg')を超える。別の実施態様において、製剤は、Tg'を超える保存中に非晶質のままである。別の実施態様において、保存温度は、≦-20℃である。
本発明はまた、注射に適した形態の凍結乾燥組成物の凍結乾燥前または再構成中に、グルタチオン、EDTA、メチオニン、デスフェラールおよび任意の抗酸化剤または金属スカベンジャーを液体製剤に加える工程を含む第2方法により製造される、凍結乾燥組成物の安定性を向上させる方法を提供する。
本発明はまた、上記方法を用いて製造される凍結乾燥組成物を提供する。凍結乾燥品は、極めて吸湿性であり、凍結乾燥後に気密容器(例えば、ガラスバイアル)に密閉して、大気曝露による再水和を防止しなければならない。一実施態様において、凍結乾燥組成物は、3cmまでのケーキ高さを有する。別の実施態様において、凍結乾燥組成物は、約0.01cm~約3cmのケーキ高さを有する。別の実施態様において、凍結乾燥組成物は、約0.01cm~約2.5cmのケーキ高さを有する。別の実施態様において、凍結乾燥組成物は、約0.01cm~約2.2cmのケーキ高さを有する。更なる実施態様において、凍結乾燥組成物は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3cmのケーキ高さを有する。更なる実施態様において、凍結乾燥組成物は、<0.01cmのケーキ高さを有する。
本発明は、下記工程:
(a)医薬物質と、第2方法に記載の凍結乾燥およびその後の保存時の医薬物質の化学的および物理的不安定性を防止または軽減する安定化量の安定化剤との混合物を凍結乾燥する工程、および
(b)再構成された製剤が安定であるように、希釈剤中の工程(a)の凍結乾燥混合物を再構成する工程
を含む、安定な製剤を製造するための第4方法を提供する。
第4方法の一実施態様において、希釈剤は、滅菌注射用水(sWFI)、生理食塩水、ブドウ糖溶液、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、二価カチオン、乳酸リンゲル液、アミノ酸、糖、ポリオール、ポリマーまたはシクロデキストリン、pH緩衝希釈剤、または静菌注射用水(BWFI)、2-フェノキシエタノール、m-クレゾールもしくはフェノールなどの防腐剤含有希釈剤より選択される。
本発明は、下記工程:(a)第1方法に従った安定な製剤または第2方法の凍結乾燥組成物を製造する工程;および(b)安定な製剤または凍結乾燥組成物を所定の期間保存する工程を含む、医薬物質を保存する第5方法を提供する。
本発明は、下記工程:
(a)崩壊温度、崩壊温度未満または崩壊温度超の製剤温度で実施される一次乾燥工程を含む上記方法のいずれかに従って液体製剤中の医薬物質を凍結乾燥する工程
(b)凍結乾燥医薬物質を所定の期間保存する工程
を含む、医薬物質を保存する第3方法を提供する。
上記方法の一実施態様において、期間は、3か月より長い。別の実施態様において、期間は、8か月より長い。別の実施態様において、期間は、12か月より長い。別の実施態様において、期間は、18か月より長い。更なる実施態様において、期間は、24か月より長い。
本発明は、第1方法を用いて製造される安定な製剤を提供する。
本発明はまた、第2方法を用いて製造される凍結乾燥組成物を提供する。
本発明はまた、下記実施態様を提供する:
実施態様1. 液体製剤を凍結乾燥するための方法であって、該方法が、下記工程:
a)医薬物質と安定化剤とを含む液体製剤を提供する工程であって;
b)凍結した液体を得るために、下記:
i)工程(a)で提供された液体製剤を凍結乾燥機の凍結乾燥チャンバーに導入する工程;および
ii)液体製剤を凍結温度まで冷却する工程であって、冷却が、凍結した液体を得るために所定の冷却速度で行われる工程
により凍結工程を開始する工程;
c)部分的乾燥品を得るために、下記:
i)凍結乾燥チャンバー内の圧力を氷の蒸気圧未満の圧力に低下させる工程、および
ii)棚温度を上昇させる工程
により工程(b)で得られた凍結した液体の一次乾燥工程を開始する工程;
d)工程(c)で得られた部分的乾燥品を乾燥温度まで加熱する工程を含む、工程(c)で得られた部分的乾燥品の二次乾燥工程を開始する工程であって、加熱が、医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を得るために所定の加熱速度で行われる工程;および
e)凍結乾燥チャンバー内の圧力を大気圧に平衡させ、工程(d)で得られた医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を凍結乾燥チャンバーから取り出す工程
を含む、方法。
実施態様2. 液体製剤が、少なくとも1つの封入剤をさらに含む、実施態様1に記載の方法。
実施態様3. 液体製剤が、緩衝剤をさらに含む、実施態様1および2のいずれかに記載の方法。
実施態様4. 液体製剤が、塩をさらに含む、実施態様1~3のいずれかに記載の方法。
実施態様5. 液体製剤が、界面活性剤、防腐剤、他の任意の添加剤、またはそれらの組合せをさらに含む、実施態様1~4のいずれかに記載の方法。
実施態様6. 工程(b)に記載の凍結工程の冷却速度が、0.02℃/分~37℃/分である、実施態様1~5のいずれかに記載の方法。
実施態様7. 冷却速度が、0.2℃/分または0.5℃/分である、実施態様6に記載の方法。
実施態様8. 工程(c)に記載の一次乾燥工程の冷却速度が、
(i)約4℃/分の予冷棚(PCS)、
(ii)1℃/分、または
(iii)0.5℃/分
より選択される、実施態様1~7のいずれかに記載の方法。
実施態様9. 工程(d)に記載の二次乾燥工程の加熱速度が、0.05℃/分~1℃/分である、実施態様1~8のいずれかに記載の方法。
実施態様10. 加熱速度が、0.2℃/分である、実施態様9に記載の方法。
実施態様11. 液体製剤が、タンジェンシャルフローろ過(TFF)を用いて製造される、実施態様1~10のいずれかに記載の方法。
実施態様12. 液体製剤が、図1および図2に記載の代替製造プロセスを含む方法により製造される、実施態様1~11のいずれかに記載の方法。
実施態様13. 工程(b)に記載の初期凍結後のアニーリング工程をさらに含む、実施態様1~12のいずれかに記載の方法。
実施態様14. 液体製剤が、凍結時に凍結濃縮物中で非晶質のままであり、工程(b)に記載の凍結温度が、凍結濃縮物のガラス転移温度(Tg')未満に設定される、実施態様1~13のいずれかに記載の方法。
実施態様15. 液体製剤が、凍結時に部分的に結晶性であり、工程(b)に記載の凍結温度が、凍結した溶液の共晶融解温度(T共晶)または二次融解温度に設定される、実施態様1~13のいずれかに記載の方法。
実施態様16. 安定化剤と医薬物質の質量比が、1000以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様17. 安定化剤と医薬物質の質量比が、500以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様18. 安定化剤と医薬物質の質量比が、100以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様19. 安定化剤と医薬物質の質量比が、50以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様20. 安定化剤と医薬物質の質量比が、10以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様21. 安定化剤と医薬物質の質量比が、1以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様22. 安定化剤と医薬物質の質量比が、0.5以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様23. 安定化剤と医薬物質の質量比が、0.1以下である、実施態様1~15のいずれかに記載の方法。
実施態様24. 医薬物質が、<1mg/mlの濃度である、実施態様1~23のいずれかに記載の方法。
実施態様25. 医薬物質が、少なくとも約1mg/mlの濃度である、実施態様1~23のいずれかに記載の方法。
実施態様26. 医薬物質が、少なくとも10mg/mlの濃度である、実施態様1~23のいずれかに記載の方法。
実施態様27. 医薬物質が、少なくとも50mg/mlの濃度である、実施態様1~23のいずれかに記載の方法。
実施態様28. 安定化剤が、スクロース、マンノース、ソルビトール、ラフィノース、トレハロース、マンニトール、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニン、ラクトース、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリシン、およびそれらの組合せからなる群より選択される、実施態様1~27のいずれかに記載の方法。
実施態様29. 安定化剤が、スクロースである、実施態様27に記載の方法。
実施態様30. 安定化剤が、トレハロースである、実施態様27に記載の方法。
実施態様31. 安定化剤が、スクロースとトレハロースの組合せである、実施態様27に記載の方法。
実施態様32. 凍結乾燥品が、非晶質材料を含む、実施態様1~31のいずれかに記載の方法。
実施態様33. 凍結乾燥品が、部分的に結晶性/部分的に非晶質の材料を含む、実施態様1~31のいずれかに記載の方法。
実施態様34. 医薬物質が、タンパク質、ペプチド、多糖、小分子、天然産物、核酸、免疫原、ワクチン、ポリマー、化学化合物、およびそれらの組合せからなる群より選択される、実施態様1~33のいずれかに記載の方法。
実施態様35. 医薬物質が、核酸である、実施態様34に記載の方法。
実施態様36. 核酸が、DNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、およびアプタマーからなる群より選択される、実施態様35に記載の方法。
実施態様37. RNAが、mRNAである、実施態様36に記載の方法。
実施態様38. 医薬物質が、タンパク質である、実施態様34に記載の方法。
実施態様39. タンパク質が、抗体もしくはその断片、増殖因子、凝固因子、サイトカイン、融合タンパク質、酵素、担体タンパク質、多糖含有抗原、およびそれらの組合せからなる群より選択される、実施態様38に記載の方法。
実施態様40. 抗体が、モノクローナル抗体または単一ドメイン抗体である、実施態様39に記載の方法。
実施態様41. 封入剤が、脂質、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、ポリマー粒子、ポリプレックス、およびモノリシック送達システム、およびそれらの組合せからなる群より選択される、実施態様2~40のいずれかに記載の方法。
実施態様42. 封入剤が、脂質ナノ粒子(LNP)である、実施態様41に記載の方法。
実施態様43. 実施態様1~42のいずれかに記載の方法を用いて製造される凍結乾燥組成物。
実施態様44 下記工程:
(a)崩壊温度、崩壊温度未満または崩壊温度超の製剤温度で実施される一次乾燥工程を含む実施態様1~42のいずれかに記載の方法のいずれかに従って液体製剤中の医薬物質を凍結乾燥する工程;および
(b)凍結乾燥医薬物質を所定の期間保存する工程
を含む、医薬物質を保存する方法。
実施態様45. 期間が、3か月より長い、実施態様44に記載の方法。
実施態様46. 期間が、8か月より長い、実施態様44に記載の方法。
実施態様47. 期間が、12か月より長い、実施態様44に記載の方法。
実施態様48. 期間が、18か月より長い、実施態様44に記載の方法。
実施態様49. 期間が、24か月より長い、実施態様44に記載の方法。
実施態様50. 凍結乾燥医薬物質の安定性または凍結乾燥サイクルの効率を向上させる方法であって、該方法が、実施態様1~42のいずれかに記載の方法に従って液体製剤中の医薬物質を凍結乾燥する工程を含む方法。
実施態様51. 製剤成分の結晶化を抑制することにより、実施態様1の医薬物質の安定性を向上させる方法。
実施態様52. 注射に適した形態の凍結乾燥組成物の凍結乾燥前または再構成中に、グルタチオン、EDTA、メチオニン、デスフェラールおよび任意の抗酸化剤または金属スカベンジャーを液体製剤に加えることにより、実施態様1の凍結乾燥組成物の安定性を向上させる方法。
A. 一般的な凍結乾燥とサイクルの最適化
凍結乾燥は、凍結、一次乾燥、二次乾燥という一連の工程を含む。凍結乾燥プロセスの中で最も長く、したがって最も高価な工程である一次乾燥工程は、棚温度およびチャンバー圧力のプロセスパラメーターを含むプロセスパラメーターの逸脱に極めて敏感である。
生物学的物質および医薬物質のための現在の凍結乾燥方法は、一次乾燥工程全体を通じて一定の棚温度と一定のチャンバー圧力を維持し、これは凍結乾燥プロセスの一次乾燥工程を単純化する。しかしながら、一次乾燥工程の期間にわたる棚温度およびチャンバー圧力の一定のプロセスパラメーターは、一次乾燥工程の効率を低下させ、一次乾燥工程のコストを増加させる。
一次乾燥工程の長さを短縮し、したがって費用を削減することが望ましい。PCT国際公開第WO2008042408号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、本発明において有用であり、本明細書に記載される一般的な凍結乾燥およびサイクル最適化方法を開示する。そこに記載されている様々な実施態様によれば、一次乾燥工程の長さは、棚温度およびチャンバー圧力のプロセスパラメーターを変更して、一次乾燥工程を通して医薬物質の製剤温度を医薬物質の目標温度またはそのすぐ下に維持することによって短縮される。医薬物質の製剤温度は、凍結乾燥中の任意の時点での医薬物質の温度である。パイロットスケールの凍結乾燥機または研究室スケールの凍結乾燥機を使用してインタイムで測定する場合、医薬物質の製剤温度は、多くの場合、バイアルの底部の医薬物質内の位置で測定される。医薬物質の目標温度は、凍結乾燥中の任意の時点での医薬物質の望ましい温度であり、典型的には医薬物質の崩壊温度より約2~3℃低い。医薬物質の崩壊温度は、医薬物質の構造的完全性の崩壊を引き起こす凍結中の温度である。
一次乾燥工程中の熱と物質バランスの関係は、次の式で表される:
Figure 2023552681000001
式中
Figure 2023552681000002
=昇華速度、
Kv=バイアルの熱伝達率、
Tshelf=棚温度(典型的には熱伝達液体の入口温度)、
Tproduct=製剤温度(典型的にはバイアルの底のすぐ上で測定)、
ΔHS=昇華比熱、
Sout=バイアルの外表面積、
Sin=バイアルの内部表面積、
Psubl=昇華表面上の水蒸気の圧力、
Pchamber=チャンバー圧力、および
R(h)i=乾燥層(h)i高さにおける乾燥ケーキ抵抗。
一次乾燥工程中、昇華比熱(ΔHS)、バイアルの外表面(Sout)、バイアルの内部表面(Sin)およびバイアルの熱伝達率(Kv)は、比較的一定のままである。しかしながら、水が医薬物質から除去され、昇華フロントがバイアルの上部からバイアルの底部に徐々に移動すると、材料内に乾燥層が発達するため、ケーキの総抵抗は徐々に増加する。
ケーキ抵抗は、昇華中に発生する水蒸気の流れに対する乾燥多孔質材料の抵抗である。一般的に、ケーキ抵抗は、材料中の固形分濃度と凍結乾燥を受ける材料の性質に依存する。材料中の固形分濃度が増加すると、ケーキ抵抗は増加する。
しかしながら、固形分濃度だけがケーキ抵抗に影響を与える要因ではない。例えば、生物学的物質(例えば、タンパク質、ペプチドおよび核酸)および医薬物質(例えば、小分子)を含む凍結乾燥の対象となる材料は、溶媒に加えて増量剤、安定化剤、緩衝剤および他の製剤成分を含むことが多い。例示的な増量剤は、スクロース、グリシン、塩化ナトリウム、ラクトースおよびマンニトールを含む。例示的な安定化剤は、スクロース、トレハロース、アルギニンおよびソルビトールを含む。例示的な緩衝剤は、トリス、ヒスチジン、クエン酸、酢酸、リン酸およびコハク酸を含む。例示的な更なる製剤成分は、抗酸化剤、金属スカベンジャー、界面活性剤および等張化成分を含む。製剤成分は材料のケーキ抵抗に影響を与え得て、それ故に、選択した材料を効率的に凍結乾燥するために必要なプロセスパラメーターに影響を与え得る。例示的な溶媒は、水、有機溶媒および無機溶媒を含む。例示的な材料である5%スクロース溶液は、同じ固形分濃度を有するマンニトール-スクロース緩衝液より相対的に低いケーキ抵抗を有する。スクロースは、-32℃に近い温度で部分的に崩壊しやすく、その結果、より大きな細孔が形成され、その故に、水蒸気の流れに対する抵抗が小さくなる。これは、マンニトールベースの製剤と比較して、5%スクロース溶液のケーキ抵抗が比較的小さいことを説明している可能性がある。その結果、5%スクロース溶液の製剤温度は、凍結乾燥の一次乾燥工程中に5℃を超えて上昇しない。
製剤温度における例示的な5℃の上昇の場合、凍結乾燥機の棚温度および/またはチャンバー圧力を変更する複雑さの増加が、一次乾燥工程の時間を短縮する利点を上回り得る。したがって、一定の棚温度と一定のチャンバー圧力のプロセスパラメーターは、この材料に合理的である。乾燥時間が重要なとき、棚温度と圧力を調整してサイクル時間を最適化することが可能である。
実際には、凍結乾燥の一次乾燥工程中における製剤温度の5℃上昇は、合理的な温度上昇の例示である。したがって、例えば、5%スクロース溶液の場合、凍結乾燥の一次乾燥工程中に棚温度および/またはチャンバー圧力のプロセスパラメーターを変更する必要はない。同様に、医薬物質の濃度が同様に低く、固形分濃度が比較的小さい、例えば5%未満である同様の材料の一次乾燥段階中に、棚温度および/またはチャンバー圧力のプロセスパラメーターを変更する必要はない。
しかしながら、材料中の固形分濃度が増加すると、例えば医薬物質の濃度が増加すると、材料のケーキ抵抗も増加する。より高い固形分濃度は、棚温度およびチャンバー圧力が一定のままである一次乾燥工程中の製剤温度のより大きい上昇をもたらす。
タンパク質濃度がより高い材料の例示的な一次乾燥工程によると(結果は示していない)、材料の製剤温度は-40℃から-18℃に上昇した。製剤温度の例示的な22℃の上昇は、かなり大きく、経済的に許容されないと考えられる。さらに、材料の製剤温度は目標温度の-20℃を超えて上昇した。したがって、選択したプロセスパラメーターを一定値に維持することは、この高タンパク質濃度の材料では経済的に許容されないと考えられる。
例示的なより高いタンパク質濃度の材料の製剤温度は、棚温度および/またはチャンバー圧力のプロセスパラメーターを一定であるが比較的低い値に再設定することによって、凍結乾燥の一次乾燥工程中に目標温度の-20℃未満に維持できる。棚温度およびチャンバー圧力の一定のプロセスパラメーターは、製剤温度が一次乾燥工程の終了時に目標温度を決して超えないように、式1を使用して計算できる。より高いタンパク質濃度の材料またはより高いケーキ抵抗の材料の凍結乾燥のために一定の棚温度および一定のチャンバー圧力を選択することは、製造の観点からは安全で簡単な解決策であるが、この方法では極めて長く、したがって極めて高価な一次乾燥工程につながる。
しかしながら、式1の分析は、一定の棚温度と一定のチャンバー圧力を維持することが、より高いタンパク質濃度の材料またはより高いケーキ抵抗の材料の一次乾燥工程を実施する最も経済的な方法ではないことを示唆している。あるいは、一次乾燥工程中で材料の最適な製剤温度を維持するために、棚温度およびチャンバー圧力のプロセスパラメーターの一方および/または両方を一次乾燥工程中に変更することもできる。
数学的モデルは式1に基づいて構築し得る。例示的な数学的モデルは、チャンバー圧力および棚温度、乾燥品のケーキ抵抗、バイアル熱伝達率、および製剤温度のプロセスパラメーター間の関係を説明する。数学的モデルを利用して、選択した材料の製剤温度プロファイルを計算できる。まず、数学的モデルを用いて、一次乾燥工程中のプロセスパラメーターの各時点測定において既知の製剤特性も有する特定の材料の製剤温度を推定できる。製剤温度の推定に続いて、一次乾燥工程の各時点での昇華速度を、数学的モデルを用いて計算し、時間の関数としてプロットできる。プロセスの各時点における水の総昇華質量は、昇華水の計算値が材料の総水分含量に達するまで昇華速度プロファイルを積分することにより推定できる。一次乾燥工程中の棚温度および/またはチャンバー圧力のプロセスパラメーターを操作することにより、特定の材料の一次乾燥工程の全体を通じて最適な製剤温度プロファイルを維持できる。
好ましい実施態様によれば、上記の式1に基づく数学的モデルは、選択した材料の製剤温度プロファイルを計算するために用いられる。一次乾燥工程中の製剤温度プロファイルを十分に説明する数学的モデルを用いて、設計した一次乾燥サイクルを作成できる。好ましい数学的モデルは、一次乾燥工程中、実際の製剤温度の1℃以内、材料の目標温度の2℃未満以内の製剤温度プロファイルを計算する。
実験室、パイロットまたは商業の一次乾燥サイクルで得られた製剤温度プロファイルを用いて、材料の製剤温度が一次乾燥工程中に実質的に一定の温度でかつ選択した材料の目標温度またはそのすぐ下で維持される設計した一次乾燥サイクル(計算されたケーキ抵抗およびバイアル熱伝達率に基づく)を作成する。好ましい実施態様によれば、設計した一次乾燥サイクルは、一次乾燥工程中に材料の製剤温度を目標温度の約1℃以内に維持する。別の実施態様によれば、設計した一次乾燥サイクルは、低い崩壊温度、例えば約-30℃の崩壊温度を有する材料の製剤温度を目標温度の約5℃以内に維持する。崩壊温度が低い例示的な材料は、スクロースである。別の実施態様によれば、設計した一次乾燥サイクルは、比較的高い崩壊温度、例えば約-5℃~-20℃の崩壊温度を有する材料の製剤温度を目標温度の約15℃以内に維持する。
目標製剤温度は、材料の臨界温度とも呼ばれ、通常は材料の崩壊温度より約2~3℃低い温度である。材料の臨界温度は、それを超えると材料が通常の温度(ブロークリティカル)と比較してより早く分解する温度である。材料によっては、材料の臨界温度が材料の崩壊温度と同じであり得る。材料を材料の目標温度またはそのすぐ下に維持すると、一次乾燥工程が最短かつ最も効率的になる。
一実施態様によれば、最初に棚温度を凍結乾燥機の最大許容温度まで上昇させることによって、製剤温度が材料の目標温度またはそのすぐ下に維持される。例示的な一実施態様によれば、凍結乾燥機の最大許容温度は、約-30℃~60℃、より好ましくは約0℃~60℃、最も好ましくは約20℃~60℃の範囲である。
一次乾燥工程の開始時点では、ケーキ抵抗は一次乾燥速度または昇華速度の効率において重要な要素ではなく;製剤温度は比較的低く;製剤温度は、ほとんどの場合、チャンバーの圧力に依存する。水が材料から除去されると、製剤の乾燥層が形成され始める。製剤の乾燥層が形成され始めるとき、製剤温度が材料の目標温度に達するまで、製剤温度は徐々に上昇し始める。材料がその目標温度に達した時点で、棚温度またはチャンバー圧力のいずれか、または両方のプロセスパラメーターを同時に調整して、材料を材料の目標温度またはそのすぐ下の温度に維持する。
一次乾燥工程の残りの部分を継続して、棚温度とチャンバー圧力は、モニターされ、必要に応じて、製剤温度を材料の目標温度またはそのすぐ下に維持するように調整または変更される。調整または変更という用語は、プロセスパラメーターに適用するとき、パラメーターの値を増加させること、および/またはパラメーターの値を減少させることを意図していることが理解される。
商用の生物材料および医薬物質材料の凍結乾燥施設では、無菌要件とロードおよびアンロードプロセスの自動化のため、現代の商業スケールの凍結乾燥機にインタイム製剤温度センサーを導入することはまだ現実的ではない。したがって、現代の製造においては、商業スケールで製剤温度を測定し、それに応じて棚温度および/またはチャンバー圧力を変更して最適な製剤温度プロファイルを維持することは広く受け入れられていない。しかしながら、数学的モデルは、特定の材料に対して設計された一次乾燥サイクルを計算および/または検証するために使用できる。その後、商業スケールまたはパイロットスケールの凍結乾燥機を、設計された一次乾燥サイクルに従ってプログラムし、一次乾燥サイクルの1つ以上の所定の時点での値の所定の変化によって棚温度および/またはチャンバー圧力を変更して、選択した材料の一次乾燥工程を最適化できる。
一次乾燥サイクル中、プログラムした3つのパラメーター(棚温度、チャンバー圧力、時間)によって、その結果としての製剤温度プロファイルが得られる。これらのプログラムしたパラメーターはまた、昇華速度ならびに棚からバイアルへの熱伝達の速度および効率を含む凍結乾燥機の性能に影響を及ぼす。インタイム製剤温度センサーを備えた実験室スケールの凍結乾燥機を用いて、最適なプロセスパラメーターを測定および/または計算して、選択した材料のパイロットスケールまたは商業スケールの凍結乾燥用に設計した一次乾燥サイクルを作成できる。
一実施態様によれば、インタイムプロセスパラメーター測定値を作成する前に、選択した材料の製剤特性を定義できる。例示的な製剤特性は、乾燥製品の高さの関数としての、製剤の水分含量、液体製剤の密度、凍結品の密度、および製剤のケーキ抵抗を含む。バイアル特性もまた定義できる。例示的なバイアル特性は、バイアル充填容積、バイアル形状、および圧力の関数としてのバイアル熱伝達率を含む。凍結乾燥チャンバーの特性もまた定義できる。例示的な凍結乾燥チャンバー特性は、エッジ効果としても知られる、凍結乾燥機の壁またはドアから製剤への熱放射を含む。
上で特定した製剤、バイアルおよび/またはチャンバー特性の一部またはすべてがわかれば、当業者に知られている式を用いて、更なる凍結乾燥プロセス特性を計算できる。計算できる更なる特性の例は、任意の時点での凍結材料の層を通る熱流束、昇華の総熱流束、個々のバイアルの昇華速度、昇華表面に対する一次乾燥時間、圧力の関数としての昇華速度、サイクルの様々な時点での昇華表面の温度、サイクルの様々な時点での昇華した氷の量、一次乾燥の開始時および追加の様々な時点およびサイクル中の様々な追加の時点での凍結層の厚さ(ケーキ高さとも呼ばれる)、および昇華サイクルの合計時間を含む。
好ましい実施態様によれば、設計した一次乾燥サイクルは、少なくとも1回の一次乾燥サイクルにわたって、実験室スケールの凍結乾燥機においてインタイム製剤温度センサーを用いて、選択した材料のプロセスパラメーターおよび製剤特性を測定し、続いて上で詳しく説明した数学的モデルに従ってプロセスパラメーターを最適化することにより作成される。一次乾燥工程中に材料の製剤温度が材料の目標温度またはそのすぐ下、約1℃以内に維持されるとき、一次乾燥サイクルを最適化する。
数学的モデルを用いて、選択した材料の一次乾燥工程全体を通してプロセスパラメーターと製剤特性の関数として、その後のサイクルの製剤温度プロファイルの推定値を作成する。製剤温度プロファイルの推定と、バイアル熱伝達率やエッジ効果を含むパイロットスケールまたは商業スケールの凍結乾燥機の既知の特性を用いて、選択した材料を効率的に凍結乾燥するためにパイロットスケールまたは商業スケールの凍結乾燥機用の一次乾燥サイクルを設計できる。
一実施態様によれば、凍結乾燥機のチャンバー圧力は、少なくとも1回の一次乾燥サイクル程中で既知の圧力値に調整され、製剤温度プロファイルは、数学的モデルを用いて適切で任意に調整可能な棚温度を最適化することにより作成される。別の実施態様によれば、凍結乾燥機の棚温度は、少なくとも1回の一次乾燥サイクル中で既知の温度値に調整され、製剤温度プロファイルは、数学的モデルを用いて適切で任意に調整可能なチャンバー圧力を最適化することにより作成される。更なる実施態様によれば、製剤温度プロファイルは、材料およびバイアルの製剤特性のみが知られている数学的モデルを用いて、適切かつ任意に調整可能なチャンバー圧力および棚温度を最適化することにより作成される。
バイアルの熱伝達率は、短時間の昇華中の重量損失から計算する。バイアルの熱伝達率は、次の式を用いて計算できる:
Figure 2023552681000003
式中
KV=バイアル中での熱伝達液体から製剤への熱伝達率;
ΔHS=氷の昇華熱;
(mice)vial=バイアル中の氷の量;
Sout=バイアルの底の表面積;
ΔTi=i時点での製剤と棚間の実際の温度勾配;および
ti=氷の昇華中の任意(記録)の時点。
1つの例示的な凍結乾燥機によれば、チャンバー圧力の関数としてのバイアル熱伝達率を、パイロットスケール凍結乾燥機の中心にあるバイアルと凍結乾燥機の端にあるバイアルの両方として、一般的に使用される3つのサイズのチューブバイアルについて測定された。例示的な試験のすべての場合において、商業スケールのパイロット凍結乾燥機における熱伝達率は、実験室スケールの凍結乾燥機で測定された熱伝達率より低かった。
例示的な設計された一次乾燥サイクルを、式1に基づいて数学的モデルに測定値を入力することにより作成した(実施例1~3のサイクルを参照)。商業スケールのパイロット凍結乾燥機で設計した一次乾燥サイクルに基づいて予測した製剤温度プロファイルは、同じ選択した材料の実験室スケールの凍結乾燥中に測定した製剤温度値と一致し、設計した一次乾燥サイクルが検証された。
一実施態様によれば、設計した一次乾燥サイクルは、一次乾燥工程中に少なくとも1回棚温度を変更する。別の実施態様によれば、設計した一次乾燥サイクルは一次乾燥工程中に少なくとも1回、チャンバー圧力を変更する。更なる実施態様によれば、設計した一次乾燥サイクルは、一次乾燥工程中に棚温度およびチャンバー圧力のそれぞれを少なくとも1回変更する。
別の態様において、本発明は、選択した材料に対して設計した一次乾燥サイクルを実施するようにプログラムされた商業スケールの凍結乾燥機、パイロットスケールの凍結乾燥機、または実験室スケールの凍結乾燥機である。
プログラムされた凍結乾燥機の一実施態様によれば、凍結乾燥機は、一次乾燥工程中に少なくとも1回棚温度を変更するようにプログラムされる。別の実施態様によれば、凍結乾燥機は、一次乾燥工程中に少なくとも1回チャンバー圧力を変更するようにプログラムされる。更なる実施態様によれば、凍結乾燥機は、一次乾燥工程中に棚温度およびチャンバー圧力のそれぞれを少なくとも1回変更するようにプログラムされる。
B. 崩壊温度を超える凍結乾燥
崩壊温度は、製剤ケーキが元の構造を失い始める凍結乾燥中の製剤温度である。文献には、崩壊温度を超えると、製剤の外観に影響を与え得るゆっくりとした散発的な泡立ち、膨張、発泡、キャビテーション、開窓、全体的な崩壊、収縮およびビーディングが製剤に発生することが報告されている(MacKenzie, "Collapse during freeze-drying-Qualitative and quantitative aspects" In Freeze-Drying and Advanced Food Technology; Goldblith, S.A., Rey. L, Rothmayr, W. W., Eds.; Academic Press, New York, 1974, 277-307)。その結果、崩壊により製剤の安定性が低下し、乾燥時間が長くなり(孔の崩壊による)、乾燥が不均一になり、質感が失われると考えられる(R. Bellows, et al. "Freeze-drying of aqueous solutions: maximum allowable operating temperature," Cryobiology, 9, 559-561 (1972)。
本発明は、極めて効率的で費用効率の高い凍結乾燥方法を提供する。とりわけ、PCT公開第WO2008042408号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、崩壊温度またはそれを越える製剤温度での一次乾燥工程を含む液体製剤を凍結乾燥する方法を開示している。
そこに記載されている実施態様は、高濃度の医薬物質を含む液体製剤を凍結乾燥し、凍結乾燥製品の安定性を向上させるのに特に有用である。
フリーズドライとも呼ばれる凍結乾燥は、医薬品の化学的および物理的分解速度が乾燥状態では著しく低下するため、医薬品(すなわち医薬物質)を保存するためにしばしば用いられ、これにより製剤の保存期間を長くできる。しかしながら、凍結乾燥は、典型的には、医薬品の製造コストを著しく増加させる。このコストは、製剤の品質または安定性を損なうことなく、最小限の時間を要するサイクルを開発することにより最小限に抑えることができる。例えば、凍結乾燥中に製剤温度を1℃上昇させると、一次乾燥時間が13%減少し得る。Pikal et al. "The collapse temperature in freeze-drying: dependence of measurement methodology and rate of water removal from the glassy phase," International Journal of Pharmaceutics, 62 (1990), 165-186参照。
従来、凍結溶液中に存在する固体材料の微細構造を無傷に保つためには、一次乾燥中に製剤温度を崩壊温度未満に維持することが重要であると考えられていた。この構造により、比較的大きな表面積を持つ凍結乾燥ケーキが形成され、残存水分が少なく、凍結乾燥後の迅速な再構成が可能になると考えられていた。
しかしながら、上記のPCT国際公開第WO2008042408号に記載されているように、凍結乾燥、特に一次乾燥は、製剤の安定性および他の望ましい品質特性(例えば、残存水分、再構成時間など)を維持しながら、崩壊温度を超える製剤温度で実施できる。通常は排除される明らかな崩壊(例えば、バイアル内の視覚的に検出可能な崩壊)を有する試料でさえ、崩壊温度未満で凍結乾燥された試料と同様の安定性プロファイルを示した。さらに、いくつかの例において、崩壊温度を超えて凍結乾燥することにより、凍結乾燥品の安定性が向上した。例えば、崩壊温度より十分高いがマンニトールの融点よりわずかに低い温度で凍結乾燥された部分的に結晶性/部分的に非晶質の材料は、崩壊温度未満で凍結乾燥された試料よりも優れた安定性を示した。したがって、この方法は、タンパク質の品質と安定性を損なうことなく、一次乾燥時間がより短い積極的および/または高速の凍結乾燥サイクルを提供することにより、大きな経済的利点を提供する。
この方法の別の利点は、商業製造中の逸脱の評価に適用できることである。既存の商業サイクル(通常、崩壊温度未満で実施される)中のプロセスパラメーターの逸脱により、視覚的に検出可能な製剤の崩壊が生じる場合、本発明者らは、残存水分が規格範囲内であれば、崩壊した製剤の安定性プロファイルは通常のサイクルに匹敵し得ると考えている。したがって、視覚的にケーキの崩壊が検出できる試料を含む特定のバッチがリリースされる可能性がある。したがって、特定の製剤が崩壊に耐えることができれば、不合格率をゼロまたは大幅に低減した商業バッチの製造が可能である。開発頑健性試験を商業製造の前に実施して、崩壊した材料の安定性が各特定の製剤についての対照材料の安定性に匹敵するかを確認できる。
本明細書で用いる用語「崩壊温度(Tc)」は、凍結乾燥中の、その温度以上で崩壊が生じる温度(例えば、製剤温度)を指す。本明細書で用いる用語「崩壊」は、凍結乾燥ケーキの無傷の構造の損失または元の構造の変化を指す。いくつかの実施態様において、崩壊は、微細構造の損失(微小崩壊とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施態様において、微小崩壊は、視覚的に検出できない。いくつかの実施態様において、微小崩壊は、元の無傷の構造(例えば、凍結乾燥ケーキ構造)の約1%未満(例えば、約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.05%または0.01%未満)の損失を指す。いくつかの実施態様において、その温度以上で微小崩壊が生じる温度は、微小崩壊温度と称される。いくつかの実施態様において、崩壊は、全体的な構造の損失(全体的な崩壊またはマクロ崩壊とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施態様において、その温度以上で全体的な崩壊が生じる温度は、全体的な崩壊温度(またはマクロ崩壊温度)と称される。典型的に、全体的な崩壊またはマクロな崩壊は、凍結乾燥品の視覚的に検出可能な崩壊をもたらす。本明細書で用いる用語「全体的な崩壊」、「マクロ崩壊」および「視覚的に検出可能な崩壊」は、相互交換可能に用いられる。いくつかの実施態様において、全体的な崩壊、マクロ崩壊または視覚的に検出可能な崩壊は、元の無傷の構造(例えば、凍結乾燥ケーキ構造)の少なくとも0.1%(例えば、少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%)の損失を指す。
いくつかの実施態様において、崩壊が生じる温度は、明確でなくてもよい。むしろ、崩壊は、一定温度範囲にわたって生じる段階的なプロセスであり、無傷のケーキ構造が前記温度範囲にわたって徐々に消失し得る。典型的に、凍結乾燥プロセス中の無傷の構造の最初の変化または損失は、崩壊の開始と考えられる。この最初の変化が観察された温度は、典型的には、崩壊開始温度と称される。構造の損失または構造変化がケーキ全体で完了したように見える温度は、崩壊完了温度と称される。
凍結乾燥中の製剤の崩壊は、製剤温度測定装置、凍結乾燥顕微鏡または電気抵抗検出器を含むがこれらに限定されない様々な機器によって検出され得る。凍結乾燥品(例えば、ケーキ)の崩壊は、目視検査、残存水分、示差走査熱量測定(DSC)、BET表面積により手動で検出され得る。
崩壊現象は、関係する材料の性質に敏感である。例えば、スクロース主体の製剤は、特に塩および緩衝液などの小分子種も含む場合、崩壊に極めて敏感である(Shalaev et al. "Thermophysical properties of pharmaceutically compatible buffers at sub-zero temperatures: implications for freeze-drying," Pharmaceutical Research (2002), 19(2):195-201)。これらの製剤において、通常、崩壊はガラス転移の中間点に近い温度で発生する。非晶質スクロース-塩-緩衝液系の粘度は極めて低く、一次乾燥中に製剤温度がこの臨界温度を超えると、構造の大規模崩壊をもたらす。したがって、伝統的に、凍結乾燥は可能な限りTg'未満で実施される。
製剤濃度が増加すると、崩壊に対するケーキの構造的抵抗が変化する。
本発明は、様々な生成物濃度を含有する液体製剤を凍結乾燥するのに利用され得る。いくつかの実施態様において、本発明は、高濃度で医薬物質を含む液体製剤を凍結乾燥するのに特に有用である。例えば、本発明に適した液体製剤は、少なくとも約1mg/ml、少なくとも約10mg/ml、少なくとも約20mg/ml、少なくとも約30mg/ml、少なくとも約40mg/ml、少なくとも約50mg/ml、少なくとも約75mg/ml、少なくとも約100mg/ml、少なくとも約150mg/ml、少なくとも約200mg/ml、少なくとも約250mg/ml、少なくとも約300mg/ml、少なくとも約400mg/mlの濃度で、対象とする医薬物質を含み得る。いくつかの実施態様において、本発明に適した液体製剤は、1mg/ml未満、または約1mg/ml~400mg/ml(例えば、約1mg/ml~50mg/ml、1mg/ml~60mg/ml、1mg/ml~70mg/ml、1mg/ml~80mg/ml、1mg/ml~90mg/ml、1mg/ml~100mg/ml、100mg/ml~150mg/ml、100mg/ml~200mg/ml、100mg/ml~250mg/ml、または100mg/ml~300mg/ml、または100mg/ml~400mg/ml)の範囲の濃度で、対象とする医薬物質を含み得る。
いくつかの実施態様において、適切な製剤は、1つ以上の安定化剤(例えば、スクロース、マンノース、ソルビトール、ラフィノース、トレハロース、グリシン、マンニトール、塩化ナトリウム、アルギニン、ラクトース、ヒドロキシエチルデンプン、デキストランまたはポリビニルピロリドン)を含む。いくつかの実施態様において、安定化剤と医薬物質(例えば、核酸)の質量比は、1000以下(例えば、500以下、250以下、100以下、50以下、10以下、1以下、0.5以下、0.1以下)である。いくつかの実施態様において、適切な液体製剤は、1つ以上の増量剤、例えば塩化ナトリウム、ラクトース、マンニトール、グリシン、スクロース、トレハロースおよびヒドロキシエチルデンプンをさらに含む。いくつかの実施態様において、適切な液体製剤は、緩衝剤、例えばトリス、ヒスチジン、クエン酸、酢酸、リン酸およびコハク酸を含む。いくつかの実施態様において、本発明に適した液体製剤は、非晶質材料を含む。いくつかの実施態様において、本発明に適した液体製剤は、相当量の非晶質材料(例えば、スクロースベースの製剤)。いくつかの実施態様において、本発明に適した液体製剤は、部分的に結晶性/部分的に非晶質の材料を含む。
本発明による凍結乾燥品は、製剤品質分析、再構成時間、再構成の質、高分子量、水分、ガラス転移温度、および生物学的または生化学的活性に基づいて評価できる。典型的に、表5に列記する分析に加えて、製剤品質分析は、サイズ排除HPLC(SE-HPLC)、陽イオン交換HPLC(CEX-HPLC)、X線回折(XRD)、変調示差走査熱量測定(mDSC)、逆相HPLC(RP-HPLC)、多角光散乱検出器(MALS)、蛍光、紫外線吸収、比濁分析、キャピラリー電気泳動(CE)、SDS-PAGE、およびその組み合わせなどの方法を用いた製剤分解速度分析を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施態様において、本発明による凍結乾燥品の評価は、ケーキの外観を評価する工程を含まない。また、凍結乾燥品は、典型的には再構成後の、製剤の生物学的または生化学的活性に基づいて評価され得る。
本発明による発明的方法は、あらゆる材料、特に医薬物質を凍結乾燥するために利用できる。本明細書で用いる用語「医薬物質」は、インビボまたはインビトロでの生物学的または化学的事象を変化、阻害、活性化またはその他の方法で影響を与える任意の化合物または実体を指す。例えば、医薬物質は、タンパク質、ペプチド、核酸(例えば、RNA、DNA、またはRNA/DNAハイブリッド、アプタマー)、化学化合物、多糖、小分子、薬物物質、天然産物、免疫原、ワクチン、炭水化物、および/または他の製品を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、本発明は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)もしくはその断片、増殖因子、凝固因子、サイトカイン、融合タンパク質、多糖抗原、医薬品原薬、ワクチン、酵素を含むがこれらに限定されないタンパク質を凍結乾燥するのに用いられる。いくつかの実施態様において、本発明は、インタクトIgG、F(ab')2、F(ab)2、Fab'、Fab、ScFv、単一ドメイン抗体(例えば、サメ単一ドメイン抗体(例えば、IgNARまたはその断片))、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体を含むがこれらに限定されない抗体または抗体断片を凍結乾燥するのに用いられる。
いくつかの実施態様において、本発明は、ワクチンまたはワクチン構成要素を凍結乾燥するのに用いられる。適切なワクチンは、死滅ウイルスワクチン、弱毒化ウイルスワクチン、トキソイドワクチン、サブユニットワクチン、多価ワクチン、コンジュゲートワクチン、生ウイルスワクチンを含むが、これらに限定されない。適切なワクチン構成要素は、多糖および担体タンパク質を含むが、これらに限定されない。本明細書で用いる「多糖」は、50以上の繰り返し単位を有する多糖、および50以下の繰り返し単位を有するオリゴ糖を含むがこれらに限定されない複数の繰り返し単位を含む糖を含むが、これらに限定されない。典型的に、多糖は、約50、55、60、65、70、75、80、85、90または95繰り返し単位から約2,000以上の繰り返し単位まで、好ましくはおよそ100、150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900または1000繰り返し単位からおよそ100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800または1900繰り返し単位までを有する。オリゴ糖は、典型的には、およそ6、7、8、9または10繰り返し単位からおよそ15、20、25、30または35まで、およそ40または45までの繰り返し単位を有する。適切な担体タンパク質は、典型的には、対象体への投与のために化学的または遺伝的手段によって安全にされている免疫学的に有効な担体である細菌毒素を含む。例には、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌LT、大腸菌ST、緑膿菌由来の外毒素Aなどの不活化細菌毒素が含まれる。細菌の外膜タンパク質、例えば外膜複合体c(OMPC)、ポリン、トランスフェリン結合タンパク質、ニューモリシス(pneumolysis)、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌接着タンパク質(PsaA)、または肺炎球菌表面タンパク質BVH-3およびBVH-11もまた用いられ得る。他の担体タンパク質、例えば炭疽菌の防御抗原(PA)、炭疽菌の解毒浮腫因子(EF)および致死因子(LF)、オボアルブミン、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)およびツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)も使用できる。
凍結乾燥したワクチン構成要素の品質は、コンジュゲートワクチンを形成する能力によって評価および決定できる。例えば、凍結乾燥した多糖の品質は、担体タンパク質に結合またはコンジュゲートする能力によって決定できる。同様に、凍結乾燥した担体タンパク質の品質は、多糖に結合またはコンジュゲートする能力によって決定できる。多糖を担体タンパク質にコンジュゲートさせるための様々な方法が当技術分野で知られており、コンジュゲート効率は、遊離タンパク質のパーセンテージ、遊離多糖のパーセンテージ、分子サイズ分布、糖対タンパク質の比(「SPR」)および収率を含むがこれらに限定されない様々な分析方法によって決定できる。コンジュゲート効率を決定するための例示的な方法は実施例に記載されている。
追加の医薬物質は、抗エイズ物質、抗癌物質、抗生物質、免疫抑制薬、抗ウイルス物質、酵素阻害薬、神経毒、オピオイド、睡眠薬、抗ヒスタミン剤、滑沢剤、精神安定薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬および抗パーキンソン物質、鎮痙薬および筋収縮薬(チャネル遮断薬、縮瞳薬および抗コリン薬を含む)、抗緑内障化合物、抗寄生虫および/または抗原虫化合物、細胞-細胞外マトリックス相互作用のモジュレーター(細胞増殖阻害薬および抗接着分子を含む)、血管拡張薬、DNA、RNAまたはタンパク質合成の阻害薬、降圧薬、鎮痛薬、解熱薬、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬、抗血管新生因子、抗分泌因子、抗凝固薬および/または抗血栓剤薬、局所麻酔薬、眼科薬、プロスタグランジン、抗うつ薬、抗精神病薬、制吐薬、造影剤を含み得るが、これらに限定されない。
本発明での使用に適した医薬物質および特定の薬物のより完全なリストは、"Pharmaceutical Substances: Syntheses, Patents, Applications" by Axel Kleemann and Jurgen Engel, Thieme Medical Publishing, 1999;"Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals," Edited by Susan Budavari et al., CRC Press, 1996、およびUnited States Pharmcopeial Convention発行のUnited States Pharmacopeia-25/National Formulary-20, Inc., Rockville Md., 2001で見られ、これはすべて出典明示により本明細書に組み込まれる。
凍結乾燥は、容器、例えばチューブ、バッグ、ボトル、トレイ、バイアル(例えば、ガラスバイアル)、シリンジまたは任意の他の適切な容器中で、または噴霧凍結乾燥の場合はバルクとして実施され得る。溶液を上記の容器に充填し、真空下で凍結乾燥するときのバイアル/容器凍結乾燥とは対照的に、噴霧凍結乾燥では、溶液を冷却(-100℃未満)カラムに噴霧して、凍結ペレットを形成し、バルクとして乾燥させる。噴霧凍結乾燥プロセスでは、その後、乾燥ペレットをあらゆる種類の容器に充填する。容器は使い捨てであり得る。制御された凍結および/または解凍はまた、大スケールまたは小スケールで実施できる。本発明による発明的方法は、商業スケールの凍結乾燥機、パイロットスケールの凍結乾燥機、または実験室スケールの凍結乾燥機などの様々な凍結乾燥機を用いて実施できる。
C. 凍結乾燥脂質ナノ粒子(LNP)
本開示は、他の態様の中でも、ストレスが加えられる際、ストレスが加えられる前またはその時に、脂質ナノ粒子(LNP)、ポリプレックスおよびリポプレックス製剤を安定化する方法を提供する。いくつかの実施態様において、ストレスは、製剤の製造、精製、包装、保存、輸送および使用時に加えられるあらゆるストレス、例えば熱、せん断、過剰撹拌、膜濃度分極(荷電状態の変化)、脱水、凍結工程、乾燥工程、凍結/融解ストレス、噴霧ストレスなどを含む。例えば、ストレスは、製剤の望ましくない1つ以上の特性変化、例えば不純物、可視以下の粒子またはその両方の量の増加、LNPサイズの増加、封入効率、治療有効性またはその両方の低下、忍容性の低下(例えば、免疫原性の増加)を引き起こし得る。
いくつかの実施態様において、加えられるストレスは、LNP製剤を凍結または凍結乾燥することによるものである。したがって、本開示はまた、第1のLNP製剤を凍結保護剤の存在下で凍結または凍結乾燥して、第2のLNP製剤を得る工程を含む脂質ナノ粒子(LNP)製剤を凍結または凍結乾燥する方法を特徴とする。例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較してLNP平均サイズの増加が実質的にない。例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%またはそれ以下)のLNP平均サイズの増加を有する。例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して多分散度の増加が実質的にない。
例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%またはそれ以下)の多分散度の増加を有する。
一態様において、本開示は、LNP製剤の物理的(例えば、LNPの安定性)、化学的(例えば、核酸の安定性)、および/または生物学的(例えば、有効性、細胞内送達、免疫原性)特性に影響を及ぼすおよび/または決定することができるような、脂質ナノ粒子(LNP)製剤を製造する方法に関する。
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、製造した脂質ナノ粒子(LNP)製剤からの望ましくない特性の変化を緩和する。いくつかの実施態様において、本開示の方法は、同等な方法(例えば、本開示の1つ以上の工程を含まない方法)により製造したLNP製剤と比較して製造した脂質ナノ粒子(LNP)製剤からの望ましくない特性の変化を緩和する。
いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、LNP製剤またはその中のLNPに対するストレスにより引き起こされる。いくつかの実施態様において、ストレスは、LNP製剤の製造、精製、包装、保存、輸送、および/または使用中に誘発される。いくつかの実施態様において、ストレスは、熱、せん断、過剰撹拌、膜濃度分極(荷電状態の変化)、脱水、凍結工程、乾燥工程、凍結、乾燥または保存中の添加剤の結晶化によるストレス、凍結/融解ストレス、および/または噴霧ストレスである。いくつかの実施態様において、ストレスは、LNP製剤の凍結または凍結乾燥中に誘発される。
いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、LNP製剤の物理的安定性の低下である。いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、不純物および/または可視以下の粒子の量の増加、またはLNP製剤中のLNPの平均サイズの増加である。
いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、LNP製剤の物理的安定性の低下である。いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、不純物および/または可視以下の粒子の量の増加、またはLNP製剤中のLNPの平均サイズの増加である。
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、本明細書に開示の同等な方法により製造したLNP製剤と比較して、製造したLNP製剤からの物理的安定性の低下(例えば、LNPの平均サイズの増加)を緩和する。
いくつかの実施態様において、本開示の方法により製造されるLNP製剤は、本明細書に開示の同等な方法により製造したLNP製剤の平均LNP直径と比較して、約99%以下、約98%以下、約97%以下、約96%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下である平均LNP直径を有する。
いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、LNP製剤の化学的安定性の低下である。いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、LNP製剤中の核酸(例えば、RNA(例えば、mRNA))の完全性の低下である。
いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、LNP製剤の生物学的特性の低下である。いくつかの実施態様において、望ましくない特性の変化は、LNP製剤の有効性、細胞内送達、および/または免疫原性の低下である。
いくつかの実施態様において、本開示の方法により製造されるLNP製剤は、本明細書に開示の同等な方法により製造したLNP製剤の有効性、細胞内送達、および/または免疫原性より高い有効性、細胞内送達、および/または免疫原性を有する。
いくつかの実施態様において、本開示の方法により製造されるLNP製剤は、本明細書に開示の同等な方法により製造したLNP製剤の有効性、細胞内送達、および/または免疫原性より約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約1倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約30倍以上、約40倍以上、約50倍以上、約100倍以上、約200倍以上、約300倍以上、約400倍以上、約500倍以上、約1000倍以上、約2000倍以上、約3000倍以上、約4000倍以上、約5000倍以上、または約10000倍以上高い有効性、細胞内送達、および/または免疫原性を有する。
いくつかの実施態様において、本開示の方法により製造されるLNP製剤は、同等な方法により製造したLNP製剤の核酸発現(例えば、mRNA発現)より高い核酸発現(例えば、mRNA発現)を有する。
D. 脂質ナノ粒子(LNP)製剤の製造方法
いくつかの実施態様において、本開示の方法により製造されるLNP製剤は、同等な方法により製造したLNP製剤の核酸発現(例えば、mRNA発現)より約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約1倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約30倍以上、約40倍以上、約50倍以上、約100倍以上、約200倍以上、約300倍以上、約400倍以上、約500倍以上、約1000倍以上、約2000倍以上、約3000倍以上、約4000倍以上、約5000倍以上、または約10000倍以上高い核酸発現(例えば、mRNA発現)を有する。
いくつかの態様において、本開示は、脂質ナノ粒子(LNP)製剤を製造する方法であって、(i)脂質ナノ粒子(LNP)を含むLNP懸濁液を提供する工程であって、LNPが核酸およびイオン化脂質を含む工程;および(ii)LNP懸濁液を製造し、これによりLNP製剤を形成する工程を含む、方法を提供する。
いくつかの態様において、本開示は、脂質ナノ粒子(LNP)組成物を製造する方法であって、該方法が、(i)水性緩衝液と有機溶液を混合して、これにより核酸を封入した脂質ナノ粒子(LNP)を含む脂質ナノ粒子(LNP)製剤を形成する工程;および(ii)脂質ナノ粒子(LNP)製剤を処理して、これにより脂質ナノ粒子組成物を形成する工程を含み、有機溶液が、有機溶媒中に有機溶媒-可溶性の核酸およびイオン化脂質を含む、方法を提供する。
典型的な脂質ナノ粒子(LNP)の形成手順は、エタノールなどの有機溶媒中に溶解させた疎水性脂質成分と、得られる粒子に負荷されるオリゴヌクレオチドを含む水性緩衝液との制御された混合を含む。混合の複雑さ、およびオリゴヌクレオチドを粒子コアにうまく閉じ込めるために必要な様々なイオン相互作用により、得られる粒子の品質、安定性および機能に影響を与え得る粒子形成プロセス全体にわたって効果を表す多数の変数がある。
いくつかの実施態様において、方法は、LNPを精製、pH調整、緩衝液交換および/または濃縮する工程を含む。例えば、方法は、LNP懸濁液のろ過を含み得る。いくつかの実施態様において、ろ過は、有機溶媒(例えば、アルコールまたはエタノール)をLNP懸濁液から除去する。いくつかの実施態様において、処理は、タンジェンシャルフローろ過(TFF)を含む。いくつかの実施態様において、有機溶媒(例えば、アルコールまたはエタノール)を除去する際に、LNP懸濁液を、中性pH、pH6.5~7.8、pH6.8~pH7.5、好ましくはpH7.0~pH7.2の緩衝溶液(例えば、リン酸またはHEPES緩衝剤)に変換する。いくつかの実施態様において、得られたLNP懸濁液を、好ましくは、保存または使用する前に、例えばろ過(例えば、0.1~0.5μmのフィルターを通す)により滅菌する。
いくつかの実施態様において、凍結保護剤は、凍結乾燥の前にLNP懸濁液に加えられる。いくつかの実施態様において、凍結保護剤(cryoprotectant)は、1つ以上の凍結保護物質(cryoprotective agent)を含み、凍結保護物質の各々は、独立して、ポリオール(例えば、ジオールまたはトリオール、例えばプロピレングリコール(すなわち、1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、グリセロール、(+/-)-2-メチル-2,4-ペンタンジオール、l,6-ヘキサンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール、またはジエチレングリコール)、非洗浄性スルホベタイン(例えば、NDSB-201(3-(l-ピリジノ)-l-プロパンスルホネート)、オスモライト(例えば、L-プロリンまたはトリメチルアミンN-オキシド二水和物)、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール200(PEG200)、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG3350、PEG4000、PEG8000、PEG10000、PEG20000、ポリエチレングリコールmonoメチルエーテル550(mPEG550)、mPEG600、mPEG2000、mPEG3350、mPEG4000、mPEG5000、ポリビニルピロリドン(例えば、ポリビニルピロリドンK15)、ペンタエリスリトールプロポキシレート、またはpolyプロピレングリコールP400)、有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはエタノール)、糖(例えば、D-(+)-スクロース、D-ソルビトール、トレハロース、D-(+)-マルトース一水和物、meso-エリスリトール、キシリトール、myo-イノシトール、D-(+)-ラフィノース五水和物、D-(+)-トレハロース二水和物、またはD-(+)-グルコース一水和物)、または塩(例えば、酢酸リチウム、塩化リチウム、ギ酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸マグネシウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、またはあらゆるそれらの水和物)、またはあらゆるそれらの組合せである。いくつかの実施態様において、凍結保護剤は、スクロースを含む。
脂質ナノ粒子を作るための一般的な方法の例は以下の通りである。サイズの縮小を達成するため、および/または粒子のサイズの均一性を高めるために、当業者は、以下に記載する方法工程を用いて、様々な組合せを実験し得る。また、当業者は、懸濁液を含む液体ベースの製剤に用いられる超音波処理、ろ過または他のサイジング技術を使用できるであろう。
本発明の組成物を製造する方法は、典型的には、生物学的活性物質(例えば、核酸)を含む水溶液、例えばクエン酸緩衝液を第1リザーバーに提供することと、脂質の有機溶液、有機アルコール、例えばエタノールを含む第2リザーバーを提供することと、および水溶液を有機脂質溶液と混合することを含む。第1リザーバーは、所望により、第2リザーバーと流体連通する。混合工程の後に、所望により、インキュベート工程、ろ過または透析工程、および希釈および/または濃縮工程が続く。インキュベート工程は、混合工程からの溶液をベッセル内でほぼ室温で約0~約100時間(好ましくは約0~約24時間)、所望により光から保護して放置することを含む。一実施態様において、希釈工程がインキュベート工程に続く。希釈工程は、例えばポンプ装置(例えば、ペリスタポンプ)を用いて、水性緩衝液(例えば、クエン酸緩衝液または純水)で希釈することを含み得る。ろ過工程は、例えば、限外ろ過または透析を含み得る。限外ろ過は、例えば、適切なポンプシステム(例えば、ポンプ装置、例えばペリスタポンプまたはその同等物)を適切な限外ろ過膜(例えば、GE中空ファイバーカートリッジまたは同等物)と組み合わせて使用する、希釈溶液の濃縮とその後のダイアフィルトレーションを含む。透析は、適切な膜(例えば、10,000 mwcのヘビ皮膜)による溶媒(緩衝液)交換を含む。一実施態様において、混合工程は透明な単一相を提供する。一実施態様において、混合工程の後、有機溶媒を除去して、生物学的活性物質が脂質によって封入されている粒子の懸濁液を提供する。
一実施態様において、方法は、下記工程:(a)第1溶媒中のアニオン性巨大分子(例えば、ポリ核酸)を含む第1の流れをマイクロチャネルへ導入する工程であって;ここで、マイクロチャネルが、マイクロチャネルへ導入される1つ以上の流れを流すのに適合された第1領域と、1つ以上の流れの内容物を混合するための第2領域を有する工程;(b)第2溶媒中のトランスフェクション試薬組成物を含む第2の流れをマイクロチャネルに導入して、デバイス内で流す第1および第2の流れを提供する工程であって、トランスフェクション試薬組成物が、イオン化カチオン性脂質、中性脂質、ステロールおよび界面活性剤を含み、第1溶媒と第2溶媒が同一ではない工程;(c)1つ以上の第1の流れと1つ以上の第2の流れを、マイクロチャネルの第1領域からマイクロチャネルの第2領域へ流す工程;および(d)マイクロチャネルの第2領域を流す1つ以上の第1の流れと1つ以上の第2の流れの内容物を混合して、封入アニオン性巨大分子を有する脂質ナノ粒子を含む第3の流れを提供する工程を含む。
有機溶媒の選択は、典型的には、溶媒の極性と、粒子形成の後の段階での溶媒の除去の容易さを考慮する必要がある。可溶化剤としても使用される有機溶媒は、生物学的活性物質と脂質の透明な単相混合物を提供するのに十分な量であることが好ましい。有機溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、および他の脂肪族アルコール(例えば、C1~C8)、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノールの1つ以上(例えば、2つ)より選択され得る。混合工程は、任意の数の方法、例えば機械的手段、例えば衝突ジェットミキサーによって行うことができる。
有機溶媒を除去するために用いられる方法は、典型的には、ダイアフィルトレーション、透析、減圧蒸発、または混合物全体に不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)の流れを吹き込むことを含む。
他の実施態様において、この方法は、本発明の組成物を用いて細胞の形質転換をもたらすのに有用な非脂質ポリカチオンを添加することをさらに含む。適切な非脂質ポリカチオンの例は、臭化ヘキサジメトリン(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee, Wis., USA)の商品名POLYBRENE(登録商標)で販売されている)またはヘキサジメトリンの他の塩を含むが、これらに限定されない。他の適切なポリカチオンは、例えば、ポリ-L-オルニチン、ポリ-L-アルギニン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ポリアリルアミンおよびポリエチレンイミンの塩を含む。特定の実施態様において、脂質ナノ粒子の形成は、単相系(例えば、ブライアンドダイアー単相、または水性溶媒と有機溶媒の同様の混合物)または適切な混合を伴う二相系のいずれかで行うことができる。
脂質ナノ粒子は、単相系または二相系で形成され得る。単相系において、カチオン性脂質および生物学的活性物質は、それぞれ一定量の単相混合物中に溶解される。2つの溶液を組み合わせると、複合体が形成される単一の混合物が得られる。二相系において、カチオン性脂質は生物学的活性物質(水相に存在)に結合し、それを有機相に「引き寄せる」。一実施態様において、脂質ナノ粒子は、以下の工程を含む方法によって製造される:(a)生物学的活性物質を、非カチオン性脂質および界面活性剤を含む溶液と接触させて、化合物-脂質混合物を形成する工程;(b)カチオン性脂質を化合物-脂質混合物と接触させて、生物学的活性物質の負電荷の一部を中和し、生物学的活性物質と脂質との電荷中和された混合物を形成する工程;(c)電荷が中和された混合物から界面活性剤を除去する工程。
実施態様の一群において、中性脂質と界面活性剤の溶液は、水溶液である。生物学的活性物質と中性脂質および界面活性剤の溶液との接触は、典型的には、生物学的活性物質の第1溶液と脂質および界面活性剤の第2溶液とを混合することにより達成される。好ましくは、生理活性物質溶液はまた、洗剤溶液である。本方法で用いられる中性脂質の量は、典型的には、用いられるカチオン性脂質の量に基づいて決定され、典型的には、カチオン性脂質の量の約0.2~5倍、好ましくは用いられるカチオン性脂質の量の約0.5~約2倍の量である。
これにより形成された生理活性物質と脂質の混合物をカチオン性脂質と接触させて、存在する目的の分子(または他のポリアニオン性物質)に関連する負電荷の一部を中和する。用いられるカチオン性脂質の量は、典型的には、計算した負電荷(リン酸塩)のモル比より3~8倍多くなる。
界面活性剤を除去するために用いられる方法は、典型的には、透析を含む。有機溶媒が存在する場合、除去は典型的には、ダイアフィルトレーションまたは減圧蒸発によって、または混合物全体に不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)の流れを吹き込むことによって達成される。
E. 脂質ナノ粒子
例示的な方法において、LNPは、例えば、密閉容積混合装置を用いて、エタノールに溶解した脂質成分を水溶液と微小混合することを伴う迅速プロセスによって形成できる。脂質溶液は、エタノール中に特定のモル比で、1つ以上の非カチオン性脂質(例えば、DSPC)、PEG-DMG、および所望によりコレステロールを含む。水溶液は、pHが2~6、好ましくは3.5~5.5の範囲のクエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム緩衝塩溶液を含み得る。2つの溶液を25℃~45℃、好ましくは30℃~40℃の範囲の温度に加熱し、その後、密閉容積T-混合器内で混合し、これにより瞬時にLNPを形成する。密閉容積T-混合器を使用する場合、T-混合器の内径(ID)は0.25~1.0mmの範囲であり得る。アルコール溶液および水溶液は、プログラム可能なシリンジポンプを用いて、総流量10~600mL/分でT-混合器の入口に送られる。アルコール溶液と水溶液は、1:1から1:3(体積:体積)の範囲の比で密閉容積混合器内で組み合わされ得る。この混合段階で用いられるエタノールの容積割合、試薬溶液の流速およびT-混合器のチューブIDの組合せは、LNPの粒子径を30~300nmに制御する潜在的な効果を有する。得られたLNP懸濁液は、連続した多段階のインライン混合プロセスにおいて、6~8の範囲のより高いpH緩衝液で2回希釈される。例えば、第1希釈では、LNP懸濁液は、より高いpH(pH6~7.5)の緩衝溶液と混合され得る。得られたLNP懸濁液は、より高いpH、例えば6~8の緩衝溶液とさらに混合される。この後者の緩衝溶液の温度は、15~40℃の範囲であり、16~25℃を目標としている。混合したLNPは、陰イオン交換ろ過工程の前に30分~2時間保持される。インキュベート後、LNP懸濁液は、ろ過され得る。LNPは、アルコールが除去され、緩衝液がリン酸緩衝生理食塩水または凍結保存に適した緩衝系(例えば、スクロース、トレハロースまたはそれらの組合せを含む)などの最終緩衝液に交換される、限外ろ過プロセスによって濃縮およびダイアフィルトレーションされ得る。限外ろ過プロセスは、タンジェンシャルフローろ過形式(TFF)を用いる。このプロセスは、100KDを目標とする30~500KDの膜公称分子量カットオフ範囲を用い得る。膜形式は、中空ファイバーまたはフラットシートカセットにできる。適切な分子量カットオフを用いたTFFプロセスは、保持液にLNPを保持し、ろ液または浸透液は、アルコールと最終緩衝液の廃棄物を含む。一実施態様において、TFFプロセスは、初期濃度から脂質濃度20~30mg/mLまでの多段階プロセスである。濃縮後、LNP懸濁液を、最終緩衝液(例えば、pH7~8のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、10mMトリス、pH7~8の140mM NaCl、または10mMトリス、70mM NaCl、pH7~8の5wt%スクロース)に対して5~20倍量でダイアフィルトレーションして、アルコールを除去し、バッファー交換を行う。その後、材料を限外ろ過によりさらに1~3倍濃縮する。LNP製造プロセスの最終工程は、無菌条件下で適切な容器に濃縮したLNP懸濁液を滅菌ろ過することである。ろ過後、バイアルに入れたLNP製剤を、適切な保存条件(2℃~8℃、または凍結製剤の場合は-20℃)で保存する。
脂質ナノ粒子は、脂質成分と、1つ以上の更なる成分、例えば治療薬および/または予防薬を含み得る。LNPは、1つ以上の特定の用途または標的用に設計し得る。LNPの構成要素は、特定の用途または標的に基づいて、および/または1つ以上の構成要素の有効性、毒性、費用、使いやすさ、入手可能性または他の特徴に基づいて選択され得る。同様に、LNPの特定の製剤は、例えば、構成要素の特定の組合せの有効性および毒性に従って、特定の用途または標的のために選択され得る。LNP製剤の有効性および忍容性は、製剤の安定性によって影響を受け得る。
脂質ナノ粒子は、1つ以上の特定の用途またはターゲット向けに設計できる。例えば、LNPは、哺乳動物の体内の特定の細胞、組織、器官、またはそれらの系または群にRNAなどの治療薬および/または予防薬を送達するように設計され得る。脂質ナノ粒子は、1つ以上の特定の用途または標的用に設計し得る。例えば、LNPは、哺乳動物の体内の特定の細胞、組織、器官、またはそれらの系または群に治療薬および/または予防薬、例えばRNAを送達するように設計され得る。
脂質ナノ粒子の物理化学的特性は、特定の身体標的に対する選択性を高めるために変更され得る。例えば、粒子径は、異なる器官の開窓サイズに基づいて調整され得る。LNPに含まれる治療薬および/または予防薬は、1つまたは複数の所望の送達標的に基づいて選択され得る。例えば、治療薬および/または予防薬は、特定の症状、状態、疾患または障害のために、および/または特定の細胞、組織、器官、またはそれらの系または群への送達(例えば、局所的もしくは特異的な送達)のために選択され得る。特定の実施態様において、LNPは、細胞内で翻訳されて目的のポリペプチドを産生できる目的のポリペプチドをコードするmRNAを含み得る。このような組成物は、特定の器官に特異的に送達されるように設計され得る。いくつかの実施態様において、組成物は、哺乳動物の肝臓に特異的に送達されるように設計され得る。いくつかの実施態様において、組成物は、リンパ節に特異的に送達されるように設計され得る。いくつかの実施態様において、組成物は、哺乳動物の脾臓に特異的に送達されるように設計され得る。
LNPは、1つ以上の本明細書に記載の構成要素を含み得る。いくつかの実施態様において、本開示のLNP製剤は、少なくとも1つの脂質ナノ粒子構成要素を含む。脂質ナノ粒子は、脂質成分と、1つ以上の更なる成分、例えば治療薬および/または予防薬、例えば核酸を含み得る。LNPは、1つ以上の特定の用途または標的用に設計し得る。LNPの構成要素は、特定の用途または標的に基づいて、および/または1つ以上の構成要素の有効性、毒性、費用、使いやすさ、入手可能性または他の特徴に基づいて選択され得る。同様に、LNPの特定の製剤は、例えば、構成要素の特定の組合せの有効性および毒性に従って、特定の用途または標的のために選択され得る。LNP製剤の有効性および忍容性は、製剤の安定性によって影響を受け得る。
いくつかの実施態様において、例えば、ポリマーは、LNPを封入するまたは一部封入する際に含まれ得て、および/またはそれに用いられ得る。ポリマーは、生分解性および/または生体適合性であり得る。ポリマーは、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリウレア、ポリカルボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、およびポリアリーレートより選択され得るが、これらに限定されない。例えば、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレンビニル酢酸ポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-コ-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン-コ-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-PEO-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-PPO-コ-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ-L-リシン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカルボネート、ポリアルキレン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアルキレングリコール、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、例えばポリ(ビニル酢酸)、ポリビニルハロゲン化物、例えばポリ(ビニルクロリド)(PVC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリウレタン、セルロース誘導体、例えばアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メタクリル酸のポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)およびそれらのコポリマーおよび混合物、ポリジオキサノンおよびそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、トリメチレンカルボネート、ポリ(N-アクリロリルモルホリン)(PAcM)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)(PMOX)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOZ)、およびポリグリセロールを含み得る。
表面改変剤は、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、例えばジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物)、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコールおよびポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、アセチルシステイン、ヨモギ、ブロメライン、パパイン、クレロデンドラム、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルソリン、チモシンβ4、ドルナーゼアルファ、ネルテネキシンおよびエルドステイン)、およびDNase(例えば、rhDNase)を含み得るが、これらに限定されない。表面改変剤は、ナノ粒子内および/またはLNPの表面上に(例えば、コーティング、吸着、共有結合または他の方法によって)配置され得る。
LNPはまた、1つ以上の官能化脂質を含み得る。例えば、脂質は、適切な反応条件下でアジドに曝露されると付加環化反応を起こし得るアルキン基で官能化され得る。特に、脂質二重層は、膜透過、細胞認識またはイメージングを促進するのに有用な1つ以上の基を用いて、このようにして官能化され得る。LNPの表面はまた、1つ以上の有用な抗体とコンジュゲートし得る。標的細胞送達、イメージングおよび膜透過に有用な官能基およびコンジュゲートは、当技術分野でよく知られている。
これらの成分に加えて、脂質ナノ粒子は、医薬組成物において有用なあらゆる物質を含み得る。例えば、脂質ナノ粒子は、1つ以上の医薬的に許容される添加剤または補助成分、例えば、1つ以上の溶媒、分散媒、希釈剤、分散助剤、懸濁助剤、界面活性剤、緩衝剤、防腐剤、および他の種を含み得るが、これらに限定されない。
界面活性剤および/または乳化剤は、天然乳化剤(例えば、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、コレステロール、およびレシチン)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[TWEEN(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[TWEEN(登録商標)60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[TWEEN(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミネテート[SPAN(登録商標)40]、ソルビタンモノステアレート[SPAN(登録商標)60]、ソルビタントリステアレート[SPAN(登録商標)65]、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート[SPAN(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[MYRJ(登録商標)45]、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、およびSOLUTOL(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、CREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、ナトリウムオレエート、カリウムオレエート、エチルオレエート、オレイン酸、エチルラウレート、ナトリウムラウリルスルフェート、PLURONIC(登録商標)F68、POLOXAMER(登録商標)188、セトリモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、ベンザルコニウム塩化物、ドクサートナトリウム、および/またはそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
防腐剤の例は、抗酸化剤、キレート剤、フリーラジカルスカベンジャー、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤、および/または他の防腐剤を含み得るが、これらに限定されない。抗酸化剤の例は、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、ピロ亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、および/または亜硫酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。キレート剤の例は、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、および/またはエデト酸三ナトリウムを含む。抗菌防腐剤の例は、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、セチルピリジニウムクロリド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキシジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、フェニル硝酸水銀、プロピレングリコール、および/またはチメロサールを含むが、これらに限定されない。抗真菌防腐剤の例は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、および/またはソルビン酸を含むが、これらに限定されない。アルコール防腐剤の例は、エタノール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノール、フェノール性化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸、および/またはフェニルエチルアルコールを含むが、これらに限定されない。酸性防腐剤の例は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、および/またはフィチン酸を含むが、これらに限定されない。他の防腐剤は、トコフェロール、トコフェロール酢酸、デテロキシムメシレート、セトリミド、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ナトリウムラウリルスルフェート(SLS)、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、GLYDANTPLUS(登録商標)、PHENONIP(登録商標)、メチルパラベン、GERMALL(登録商標)115、GERMABEN(登録商標)II、NEOLONETM、KATHONTM、および/またはEUXYL(登録商標)を含むが、これらに限定されない。例示的なフリーラジカルスカベンジャーは、ブチルヒドロキシトルエン(BHTまたはブチルヒドロキシトルエン)またはデフェロキサミンを含む。
緩衝剤の例は、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、d-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、アミノスルホン酸緩衝液(例えば、HEPES)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、および/またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、LNPを含む製剤は、塩化物塩などの塩をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、LNPを含む製剤は、二糖類などの糖をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、製剤は、糖をさらに含むが、塩化物塩などの塩は含まない。いくつかの実施態様において、LNPは、ビタミン(例えば、ビタミンAまたはビタミンE)またはステロールなどの1つ以上の小さな疎水性分子をさらに含み得る。炭水化物は、単糖(例えば、グルコース)および多糖(例えば、グリコーゲンおよびその誘導体および類似体)を含み得る。
LNPの特性は、その構成要素に依存し得る。例えば、構造脂質としてコレステロールを含むLNPは、異なる構造脂質を含むLNPとは異なる特性を有し得る。本明細書で用いる用語「構造脂質」は、ステロール、およびステロール部分を含む脂質を指す。本明細書で定義される「ステロール」は、ステロイドアルコールからなるステロイドのサブグループである。いくつかの実施態様において、構造脂質は、ステロイドである。いくつかの実施態様において、構造脂質は、コレステロールである。いくつかの実施態様において、構造脂質は、コレステロールの類似体である。いくつかの実施態様において、構造脂質は、αトコフェロールである。
いくつかの実施態様において、LNPの特性は、その構成要素の絶対量または相対量に依存し得る。例えば、より高いモル分率のリン脂質を含むLNPは、より低いモル分率のリン脂質を含むLNPとは異なる特性を有し得る。特性は、脂質ナノ粒子の製造方法および条件に依存して変化し得る。一般的に、リン脂質は、リン脂質部分および1つ以上の脂肪酸部分を含む。
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リゾホスファチジルコリン、およびスフィンゴミエリンからなる非限定的群より選択され得る。脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸からなる非限定的群より選択され得る。特定のリン脂質は、膜への融合を促進できる。いくつかの実施態様において、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負に荷電したリン脂質と相互作用できる。膜へのリン脂質の融合により、脂質含有組成物(例えば、LNP)の1つ以上の構成要素(例えば、治療薬)が膜を通過することが可能になり、例えば、1つ以上の構成要素の標的組織への送達が可能になる。分岐、酸化、環化およびアルキンを含む修飾および置換を有する天然種を含む非天然リン脂質種もまた企図される。いくつかの実施態様において、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合で置換されたアルケニル基)で官能化または架橋され得る。適切な反応条件下では、アルキン基は、アジドに曝露されると銅触媒による付加環化を受け得る。このような反応は、ナノ粒子組成物の脂質二重層を官能化して膜透過または細胞認識を促進するのに、またはナノ粒子組成物をターゲティング部分またはイメージング部分(例えば、色素)などの有用な成分に結合させるのに有用であり得る。リン脂質は、グリセロリン脂質、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジル-エタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジン酸を含むが、これらに限定されない。リン脂質はまた、リンスフィンゴ脂質、例えばスフィンゴミエリンを含む。いくつかの実施態様において、本発明で有用なまたは潜在的に有用なリン脂質は、DSPCの類似体または変異体である。
脂質ナノ粒子は、様々な方法により特性評価され得る。例えば、顕微鏡(例えば、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡)を用いて、LNPの形態およびサイズ分布を試験し得る。動的光散乱または電位差測定(例えば、電位差滴定)を用いて、ゼータ電位を測定し得る。動的光散乱を利用して、粒子径を決定し得る。Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd、Malvern、Worcestershire、UK)などの機器を用いて、粒子径、多分散指数、ゼータ電位などのLNPの複数の特性を測定し得る。
LNPの平均サイズは、例えば動的光散乱(DLS)により測定される、数十nm~数百nmであり得る。例えば、平均サイズは、約40nm~約150nm、例えば約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmであり得る。いくつかの実施態様において、LNPの平均サイズは、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、または約90nm~約100nmであり得る。特定の実施態様において、LNPの平均サイズは、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施態様において、平均サイズは、約80nmであり得る。他の実施態様において、平均サイズは、約100nmであり得る。
LNPは、比較的均一であり得る。多分散度は、LNPの均一性、例えば脂質ナノ粒子の粒子径分布を示すのに用いられ得る。小さい(例えば、0.3未満)多分散度は、一般的に、狭い粒子径分布を示す。多分散度のLNPは、約0~約0.25、例えば0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25であり得る。いくつかの実施態様において、多分散度のLNPは、約0.10~約0.20であり得る。
LNPのゼータ電位は、組成物の界面動電電位を示すために使用され得る。例えば、ゼータ電位は、LNPの表面電荷を表し得る。より高電荷の種は、体内の細胞、組織および他の要素と望ましくない相互作用を生じ得るため、一般的に、正または負の比較的低い電荷を有する脂質ナノ粒子が望ましい。いくつかの実施態様において、LNPのゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、または約+5mV~約+10mVであり得る。
治療薬および/または予防薬の封入の効率は、提供された初期量と比較した、製造後にLNPに封入されたかまたは別の方法でLNPと結合した治療薬および/または予防薬の量を表す。封入効率は、高い(例えば、100%に近い)ことが望ましい。封入効率は、例えば、脂質ナノ粒子を1つ以上の有機溶媒または界面活性剤で破壊する前後の、脂質ナノ粒子を含む溶液中の治療薬および/または予防薬の量を比較することにより測定され得る。蛍光を用いて、溶液中の遊離の治療薬および/または予防薬(例えば、RNA)の量を測定し得る。本明細書に記載の脂質ナノ粒子では、治療薬および/または予防薬の封入効率は、少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であり得る。いくつかの実施態様において、封入効率は、少なくとも80%であり得る。特定の実施態様において、封入効率は、少なくとも90%であり得る。
LNPは、所望により、1つ以上のコーティングを含み得る。例えば、LNPは、コーティングを有するカプセル剤、フィルム剤または錠剤に製剤化され得る。本明細書に記載の組成物を含むカプセル剤、フィルム剤または錠剤は、任意の有用なサイズ、引張強度、硬度または密度を有し得る。
両親媒性ポリマーおよび脂質ナノ粒子を含む製剤は、全体または一部を医薬組成物として製剤化し得る。医薬組成物は、1つ以上の両親媒性ポリマーおよび1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。例えば、医薬組成物は、1つ以上の異なる治療薬および/または予防薬を含む1つ以上の両親媒性ポリマーと1つ以上の脂質ナノ粒子とを含み得る。医薬組成物は、本明細書に記載のものなどの1つ以上の医薬的に許容される添加剤または補助成分をさらに含み得る。医薬組成物および薬剤の処方および製造についての一般的なガイドラインは、例えばRemington's The Science and Practice of Pharmacy, 21 st Edition, A. R. Gennaro; Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006で入手可能である。従来の添加剤および補助成分は、いずれかの従来の添加剤または補助成分が、本開示の製剤中のLNPの1つ以上の成分または1つ以上の両親媒性ポリマーと不適合である可能性がある場合を除いて、あらゆる医薬組成物に用いられ得る。添加剤または補助成分は、製剤のLNPの成分または両親媒性ポリマーとの組合せが望ましくない生物学的効果またはその他の有害な効果を引き起こす可能性がある場合、その成分または両親媒性ポリマーと適合しない可能性がある。
いくつかの実施態様において、1つ以上の添加剤または補助成分が、LNPを含む医薬組成物の総質量または総体積の50%を超えて構成され得る。例えば、1つ以上の添加剤または補助成分は、薬学的慣例の50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上を構成し得る。いくつかの実施態様において、医薬的に許容される添加剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の純度である。いくつかの実施態様において、添加剤は、ヒトでの使用および獣医学での使用が承認されている。いくつかの実施態様において、添加剤は、米国食品医薬物質局によって承認されている。いくつかの実施態様において、添加剤は、医薬品グレードである。いくつかの実施態様において、添加剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および/または国際薬局方の基準を満たす。本開示による医薬組成物中の1つ以上の両親媒性ポリマー、1つ以上の脂質ナノ粒子、1つ以上の医薬的に許容される添加剤、および/またはあらゆる更なる成分の相対量は、処置される対象体の同一性、サイズおよび/または状態に応じて、さらに組成物が投与される経路に応じて変化する。一例として、医薬組成物は、0.1%~100%(wt/wt)の1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。別の例として、医薬組成物は、0.1%から15%(wt/vol)の間(例えば、0.5%、1%、2.5%、5%、10%、または12.5%w/v)の1つ以上の両親媒性ポリマーを含み得る。
特定の実施態様において、本開示の脂質ナノ粒子および/または医薬組成物は、保存および/または輸送のために冷蔵または冷凍される(例えば、4℃以下の温度、例えば約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃の温度(例えば、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃または-150℃)で保存される)。例えば、1つ以上の両親媒性ポリマーおよび1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、例えば約-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃または-80℃での保存および/または輸送のために冷凍された溶液または固体(例えば、凍結乾燥による)である。特定の実施態様において、本開示はまた、有効量の両親媒性ポリマーを加えること、および4℃以下の温度、例えば約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃の温度(例えば、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃または-150℃)で脂質ナノ粒子および/またはその医薬組成物を保存することにより、脂質ナノ粒子の安定性を増加させる方法に関する。
本開示のLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤の化学特性は、様々な方法により特性評価され得る。いくつかの実施態様において、電気泳動(例えば、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、逆相液体クロマトグラフィー)は、mRNAの完全性を試験するのに用いられ得る。
いくつかの実施態様において、本開示のLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のLNPの完全性は、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、または約99%以上である。
いくつかの実施態様において、本開示のLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のLNPの完全性は、同等な方法により製造されるLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のLNPの完全性より約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約1倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約30倍以上、約40倍以上、約50倍以上、約100倍以上、約200倍以上、約300倍以上、約400倍以上、約500倍以上、約1000倍以上、約2000倍以上、約3000倍以上、約4000倍以上、約5000倍以上、または約10000倍以上高い。
いくつかの実施態様において、本開示のLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のTxo%は、約12か月以上、約15か月以上、約18か月以上、約21か月以上、約24か月以上、約27か月以上、約30か月以上、約33か月以上、約36か月以上、約48か月以上、約60か月以上、約72か月以上、約84か月以上、約96か月以上、約108か月以上、約120か月以上である。
いくつかの実施態様において、本開示のLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のTxo%は、同等な方法により製造されるLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のTxo%より約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約1倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上長い。
いくつかの実施態様において、本開示のLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のT1/2は、約12か月以上、約15か月以上、約18か月以上、約21か月以上、約24か月以上、約27か月以上、約30か月以上、約33か月以上、約36か月以上、約48か月以上、約60か月以上、約72か月以上、約84か月以上、約96か月以上、約108か月以上、約120か月以上である。
いくつかの実施態様において、本開示のLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のT1/2は、同等な方法により製造されるLNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤のT1/2より約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約1倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上長い。
本明細書で用いる「Tx」は、LNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤の核酸の完全性(例えば、mRNAの完全性)が、LNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤の製造に用いられる核酸(例えば、mRNA)の初期完全性の約Xまで分解するまでの時間量を指す。例えば、「T80%」は、LNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤の核酸の完全性(例えば、mRNAの完全性)が、LNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤の製造に用いられる核酸(例えば、mRNA)の初期完全性の約80%まで分解するまでの時間量を指す。別の例として、「T1/2」は、LNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤の核酸の完全性(例えば、mRNAの完全性)が、LNP、LNP懸濁液、凍結乾燥LNP組成物またはLNP製剤の製造に用いられる核酸(例えば、mRNAの完全性)の初期完全性の約1/2に分解するまでの時間を指す。
脂質ナノ粒子は、脂質成分と、1つ以上の更なる成分、例えば治療薬および/または予防薬、例えば核酸を含み得る。LNPは、1つ以上の特定の用途または標的用に設計し得る。LNPの構成要素は、特定の用途または標的に基づいて、および/または1つ以上の構成要素の有効性、毒性、費用、使いやすさ、入手可能性または他の特徴に基づいて選択され得る。同様に、LNPの特定の製剤は、例えば、構成要素の特定の組合せの有効性および毒性に従って、特定の用途または標的のために選択され得る。LNP製剤の有効性および忍容性は、製剤の安定性によって影響を受け得る。
F. 脂質
本開示の方法に適したイオン化脂質は、本明細書にさらに開示される。LNPの脂質成分は、例えば、カチオン性脂質、リン脂質(例えば、不飽和脂質、例えばDOPEまたはDSPC)、PEG脂質、および構造脂質を含み得る。脂質成分の要素は、特定の画分で提供され得る。
いくつかの実施態様において、LNPは、リン脂質、PEG脂質、構造脂質、または任意のそれらの組合せをさらに含む。本開示の方法に適したリン脂質、PEG脂質および構造脂質を本明細書にさらに記載する。
いくつかの実施態様において、LNPの脂質成分は、カチオン性脂質、リン脂質、PEG脂質、および構造脂質を含む。特定の実施態様において、脂質ナノ粒子の脂質成分は、約30モル%~約60モル%のカチオン性脂質、約0モル%~約30モル%のリン脂質、約18.5モル%~約48.5モル%の構造脂質、および約0モル%~約10モル%のPEG脂質含み、ただし総モル%は100%を超えない。いくつかの実施態様において、脂質ナノ粒子の脂質成分は、約35モル%~約55モル%のカチオン性脂質の化合物、約5モル%~約25モル%のリン脂質、約30モル%~約40モル%の構造脂質、および約0モル%~約10モル%のPEG脂質を含む。特定の実施態様において、脂質成分は、約50モル%の該カチオン性脂質、約10モル%のリン脂質、約38.5モル%の構造脂質、および約1.5モル%のPEG脂質を含む。特定の別の実施態様において、脂質成分は、約40モル%の該カチオン性脂質、約20モル%のリン脂質、約38.5モル%の構造脂質、および約1.5モル%のPEG脂質を含む。いくつかの実施態様において、リン脂質は、DOPEまたはDSPCであり得る。他の実施態様において、PEG脂質は、PEG-DMGであり得て、および/または構造脂質は、コレステロールであり得る。
LNP中の治療薬および/または予防薬の量は、脂質ナノ粒子のサイズ、組成、所望の標的および/または用途または他の特性、ならびに治療薬および/または予防薬の特性に依存し得る。例えば、LNPで有用なRNAの量は、RNAのサイズ、配列およびその他の特性に依存し得る。LNP中の治療薬および/または予防薬(すなわち医薬物質)と他の構成要素(例えば、脂質)の相対量もまた変化し得る。いくつかの実施態様において、LNP中の脂質成分対治療薬および/または予防薬のwt/wt比は、約5:1~約60:1、例えば5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、および60:1であり得る。例えば、脂質成分対治療薬および/または予防薬のwt/wt比は、約10:1~約40:1であり得る。特定の実施態様において、wt/wt比は、約20:1である。LNP中の治療薬および/または予防薬の量は、例えば、吸収分光法(例えば、紫外可視分光法)を用いて測定され得る。
いくつかの実施態様において、イオン化脂質は、式(IL-l):
Figure 2023552681000004
で示される化合物、またはそのN-オキシド、またはそれらの塩または異性体であり、式中、
R1は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-R*YR''、-YR''、および-R''M'R'からなる群より選択され;R2およびR3は独立して、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-R*YR''、-YR''、および-R*OR''からなる群より選択されるか、あるいはR2およびR3は、それらが結合する原子と一緒にヘテロ環または炭素環を形成し;R4は、水素、C3-6炭素環、-(CH2)nQ、-(CH2)nCHQR、-CHQR、-CQ(R)2、および非置換C1-6アルキルからなる群より選択され、ここでQは、炭素環、ヘテロ環、-OR、-0(CH2)nN(R)2、-C(0)0R、-0C(0)R、-CX3、-CX2H、-CXH2、-CN、-N(R)2、-C(0)N(R)2、-N(R)C(0)R、-N(R)S(0)2R、-N(R)C(0)N(R)2、-N(R)C(S)N(R)2、-N(R)Re、N(R)S(0)2R8、-0(CH2)nOR、-N(R)C(=NR9)N(R)2、-N(R)C(=CHR9)N(R)2、-0C(0)N(R)2、-N(R)C(0)0R、-N(0R)C(0)R、-N(0R)S(0)2R、-N(0R)C(0)0R、-N(0R)C(0)N(R)2、-N(OR)C(S)N(R)2、-N(OR)C(=NR9)N(R)2、-N(OR)C(=CHR9)N(R)2、-C(=NR9)N(R)2、-C(=NR9)R、-C(0)N(R)0R、および-C(R)N(R)2C(0)0Rより選択され、そして各nは、1、2、3、4、および5より選択され;各R5は独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、およびHからなる群より選択され;各Reは独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、およびHからなる群より選択され;MおよびM'は独立して、-C(0)0-、-OC(O)-、-0C(0)-M''-C(0)0-、-C(0)N(R')-、-N(R')C(0)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(0)(0R')0-、-S(0)2-、-S-S-、アリール基、およびヘテロアリール基より選択され、ここでM''は、結合、C1-13アルキルまたはC2-13アルケニルであり;R7は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、およびHからなる群より選択され;Reは、C3-6炭素環およびヘテロ環からなる群より選択され;R9は、H、CN、NO2、C1-6アルキル、-OR、-S(0)2R、-S(0)2N(R)2、C2-6アルケニル、C3-6炭素環およびヘテロ環からなる群より選択され;各Rは独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、およびHからなる群より選択され;各R'は独立して、Ci-isアルキル、C2-isアルケニル、-R*YR''、-YR''、およびHからなる群より選択され;各R''は独立して、C3-15アルキルおよびC3-15アルケニルからなる群より選択され;各R*は独立して、C1-12アルキルおよびC2-12アルケニルからなる群より選択され;各Yは独立して、C3-6炭素環であえり;各Xは独立して、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択され;そしてmは、6、7、8、9、10、11、12、および13より選択され;ここで、R4が、-(CH2)nQ、-(CH2)nCHQR、-CHQR、または-CQ(R)2であるとき、(i)nが1、2、3、4または5である場合、Qは-N(R)2ではなく、または(ii)nが1または2である場合、Qは5、6または7-員ヘテロシクロアルキルではない。
脂質ナノ粒子組成物の脂質成分は、ポリエチレングリコール、例えばPEGまたはPEG修飾脂質を含む1つ以上の分子を含み得る。このような種は、PEG化脂質と称されることもある。PEG脂質は、ポリエチレングリコールで修飾された脂質である。PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、およびそれらの混合物を含む非限定的な群より選択され得る。いくつかの実施態様において、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であり得る。本明細書で用いる用語「PEG脂質」は、ポリエチレングリコール(PEG)-修飾脂質を指す。PEG脂質の非限定的な例は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジン酸、PEG-セラミドコンジュゲート(例えば、PEG-CerCl4またはPEG-CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミンおよびPEG修飾l,2-ジアシルオキシプロパン-3-アミンを含む。このような脂質は、PEG化脂質と称されることもある。いくつかの実施態様において、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であり得る。いくつかの実施態様において、PEG修飾脂質は、PEG DMGの修飾形態である。いくつかの実施態様において、PEG修飾脂質は、式(IV):
Figure 2023552681000005
を有するPEG脂質であり、
式中、R8およびR9はそれぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のアルキル鎖であり、ここでアルキル鎖は所望により1つ以上のエステル結合によって中断され;wの平均値は、30~60範囲である。
G. ポリヌクレオチドおよび核酸
いくつかの実施態様において、LNPは、1つ以上のポリヌクレオチドまたは核酸(例えば、リボ核酸またはデオキシリボ核酸)を含む。用語「ポリヌクレオチド」は、その最も広い意味で、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、または組み込まれ得るあらゆる任意の化合物および/または物質を含む。本開示による使用するための例示的なポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、メッセンジャーmRNA(mRNA)を含むリボ核酸(RNA)、それらのハイブリッド、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクターなどの1つ以上を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、治療薬および/または予防薬は、RNAである。本明細書に記載の組成物および方法において有用なRNAは、ショートマー、アンタゴミル、アンチセンス、リボザイム、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、自己増幅RNA(saRNA)、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。特定の実施態様において、RNAは、mRNAである。
特定の実施態様において、治療薬および/または予防薬は、mRNAである。mRNAは、あらゆる天然ポリペプチド、非天然ポリペプチド、またはその他の修飾ポリペプチドを含む、あらゆる目的のポリペプチドをコードし得る。mRNAによってコードされるポリペプチドは、あらゆるサイズであり得て、あらゆる二次構造または活性を有し得る。いくつかの実施態様において、mRNAによってコードされるポリペプチドは、細胞内で発現されると治療効果を有し得る。
他の実施態様において、治療薬および/または予防薬は、siRNAである。siRNAは、目的の遺伝子の発現を選択的にノックダウンまたはダウンレギュレートできる場合がある。例えば、siRNAは、siRNAを含むLNPを必要とする対象に投与すると、特定の疾患、障害または状態に関連する遺伝子をサイレンシングするように選択され得る。siRNAは、目的の遺伝子またはタンパク質をコードするmRNA配列に相補的な配列を含み得る。いくつかの実施態様において、siRNAは、免疫調節性siRNAであり得る。
いくつかの実施態様において、治療薬および/または予防薬は、shRNAまたはそれをコードするベクターまたはプラスミドである。shRNAは、適切な構築物が核に送達されると、標的細胞内で生成され得る。shRNAに関連する構築物および機構は、関連技術分野においてよく知られている。
本開示において有用な核酸およびポリヌクレオチドは、典型的には、目的のポリペプチドをコードする連結ヌクレオシドの第1の領域(例えば、コード領域)、第1領域の5'末端に位置する第1隣接領域(例えば、5UTR)、第1領域の3'末端に位置する第2隣接領域(例えば、3UTR)、少なくとも1つの5'キャップ領域、および3'安定化領域を含む。いくつかの実施態様において、核酸またはポリヌクレオチドは、ポリA領域またはコザック配列(例えば、5'UTR内)をさらに含む。いくつかの例において、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドから切除可能な1つ以上のイントロンヌクレオチド配列を含み得る。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドまたは核酸(例えば、mRNA)は、5'キャップ構造、鎖停止ヌクレオチド、ステムループ、ポリA配列、および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。核酸の領域のいずれか1つは、1つ以上の代替成分(例えば、代替ヌクレオシド)を含み得る。例えば、3'安定化領域は、代替ヌクレオシド、例えばL-ヌクレオシド、反転チミジン、または2'-0-メチルヌクレオシドを含み得て、および/またはコード領域、5'UTR、3'UTR、またはキャップ領域は、代替ヌクレオシド、例えば5-置換ウリジン(例えば、5-メトキシウリジン)、1-置換シュードウリジン(例えば、1-メチル-シュードウリジン)、および/または5-置換シチジン(例えば、5-メチル-シチジン)を含み得る。
一般的に、ポリヌクレオチドの最短の長さは、ジペプチドコードするのに十分であるポリヌクレオチド配列の長さである。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、トリペプチドをコードするのに十分である。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、テトラペプチドをコードするのに十分である。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ペンタペプチドをコードするのに十分である。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ヘキサペプチドをコードするのに十分である。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ヘプタペプチドをコードするのに十分である。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、オクタペプチドをコードするのに十分である。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ノナペプチドをコードするのに十分である。別の実施態様において、ポリヌクレオチド配列の長さは、デカペプチドをコードするのに十分である。
いくつかの例において、ポリヌクレオチドの長さは、30ヌクレオチドを超える。別の実施態様において、ポリヌクレオチド分子の長さは、35ヌクレオチドを超える。別の実施態様において、長さは、少なくとも40ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも45ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも55ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも50ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも60ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも80ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも90ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも100ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも120ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも140ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも160ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも180ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも200ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも250ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも300ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも350ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも400ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも450ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも500ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも600ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも700ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも800ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも900ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1000ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1100ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1200ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1300ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1400ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1500ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1600ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1800ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも2000ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも2500ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも3000ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも4000ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも5000クレオチドであるか、または5000ヌクレオチドを超える。
いくつかの実施態様において、LNPは、1つ以上のRNAおよび1つ以上のRNA、脂質を含み、それらの量は、特定のN:P比を提供するように提供され得る。組成物のN:P比は、1つ以上の脂質中の窒素原子対RNA中のリン酸基の数のモル比を指す。一般的に、より低いN:P比が好ましい。1つ以上のRNA、脂質、およびそれらの量は、約2:1~約30:1、例えば2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、20:1、22:1、24:1、26:1、28:1、または30:1のN:P比を提供するように提供され得る。特定の実施態様において、N:P比は、約2:1~約8:1であり得る。他の実施態様において、N:P比は、約5:1~約8:1である。例えば、N:P比は、約5.0:1、約5.5:1、約5.67:1、約6.0:1、約6.5:1、または約7.0:1であり得る。例えば、N:P比は、約5.67:1であり得る。
核酸およびポリヌクレオチドは、標準的なヌクレオチドのA(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シトシン)、U(ウリジン)またはT(チミジン)のいずれかを含む、1つ以上の天然に存在する構成要素を含み得る。一実施態様において、(a)5'UTR、(b)オープンリーディングフレーム(ORF)、(c)3'UTR、(d)ポリAテール、およびこれらのあらゆる組合せ(上記a、b、cまたはd)を含むヌクレオチドのすべてまたは実質的にすべては、天然に存在する標準的なヌクレオチドのA(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シトシン)、U(ウリジン)、またはT(チミジン)を含む。
核酸およびポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、ポリヌクレオチドが導入される細胞の安定性の増加および/または自然免疫応答の実質的な誘導の欠如を含む有用な特性を付与する1つ以上の代替成分を含み得る。例えば、代替のポリヌクレオチドまたは核酸は、対応する未改変のポリヌクレオチドまたは核酸と比較して、ポリヌクレオチドまたは核酸が導入された細胞内での分解の低下を示す。これらの代替種は、タンパク質産生の効率、ポリヌクレオチドの細胞内保持、および/または接触した細胞の生存率を向上させ得て、そして、免疫原性の低下を引き起こし得る。
ポリヌクレオチドおよび核酸は、天然に存在するものであっても、天然に存在しないものであってもよい。
ポリヌクレオチドおよび核酸は、1つ以上の修飾された(例えば、改変または代替の)核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはそれらの組合せを含み得る。LNPにおいて有用な核酸およびポリヌクレオチドは、あらゆる有用な修飾または改変、例えば核酸塩基、糖またはヌクレオシド間結合(例えば、リン酸結合/ホスホジエステル結合/ホスホジエステル主鎖)を含み得る。特定の実施態様において、改変(例えば、1つ以上の改変)は、核酸塩基、糖およびヌクレオシド間結合のそれぞれに存在する。本開示による改変は、リボ核酸(RNA)のデオキシリボ核酸(DNA)への改変、例えば、リボフラノシル環の2'-OHの2'-Hへの置換、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNA)、またはそれらのハイブリッドであり得る。更なる改変は本明細書に記載されている。
ポリヌクレオチドおよび核酸は、分子の全長にわたって均一に改変されていてもよく、または改変されていなくてもよい。例えば、1つ以上またはすべてのタイプのヌクレオチド(例えば、プリンまたはピリミジン、またはA、G、U、Cのいずれか1つ以上またはすべて)は、ポリヌクレオチドもしくは核酸において、またはその所定の配列領域において均一に改変されていてもよく、または改変されていなくてもよい。いくつかの例において、ポリヌクレオチド(またはその所定の配列領域)中のすべてのヌクレオチドXは変更され、ここで、Xは、ヌクレオチドA、G、U、Cのいずれか1つ、または組合せA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CまたはA+G+Cのいずれか1つである。
異なる糖の改変および/またはヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造)は、ポリヌクレオチド内の様々な位置に存在し得る。当業者であれば、ヌクレオチド類似体または他の改変は、ポリヌクレオチドの機能が実質的に低下しないように、ポリヌクレオチドの任意の位置に位置し得ることを理解するであろう。改変はまた、5'または3'末端の改変であり得る。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、3'末端の改変を含む。ポリヌクレオチドは、約1%~約100%の代替ヌクレオチド(全体のヌクレオチド含量に対して、または1つ以上のタイプのヌクレオチド、すなわち、A、G、UまたはCのいずれか1つ以上に対して)またはその間のあらゆる割合(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、および95%~100%)を含み得る。残りの割合はいずれも、標準ヌクレオチド(例えば、A、G、UまたはC)の存在によって占められることが理解される。
ポリヌクレオチドは、最小でゼロ、最大で100%の代替ヌクレオチド、またはその間のあらゆる割合、例えば少なくとも5%の代替ヌクレオチド、少なくとも10%の代替ヌクレオチド、少なくとも25%の代替ヌクレオチド、少なくとも50%の代替ヌクレオチド、少なくとも80%の代替ヌクレオチド、または少なくとも90%の代替ヌクレオチドを含み得る。例えば、ポリヌクレオチドは、代替ピリミジン、例えば代替ウラシルまたはシトシンを含み得る。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド中の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%のウラシルは、代替ウラシル(例えば、5-置換ウラシル)で置き換えられる。代替ウラシルは、単一の固有の構造を有する化合物によって置換され得て、または異なる構造(例えば、2、3、4つまたはそれ以上の固有の構造)を有する複数の化合物によって置換され得る。いくつかの例において、ポリヌクレオチド中の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%のシトシンは、代替シトシン(例えば、5-置換シトシン)で置き換えられる。代替シトシンは、単一の固有の構造を有する化合物によって置換され得て、または異なる構造(例えば、2、3、4つまたはそれ以上の固有の構造)を有する複数の化合物によって置換され得る。
いくつかの例において、核酸は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)が導入される細胞の自然免疫応答を実質的に誘導しない。誘導される自然免疫応答の特徴は、1)炎症誘発性サイトカインの発現増加、2)細胞内PRR(RIG-I、MDA5など)の活性化、および/または3)タンパク質翻訳の停止または減少を含む。
核酸は、所望により、他の物質(例えば、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、tRNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクター)を含み得る。いくつかの実施態様において、核酸は、1つ以上の代替ヌクレオシドまたはヌクレオチドを有する1つ以上のメッセンジャーRNA(mRNA)(すなわち、代替mRNA分子)を含み得る。
代替ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、代替核酸塩基を含み得る。核酸の核酸塩基は、有機塩基、例えばプリンまたはピリミジン、またはそれらの誘導体である。核酸塩基は、標準的な塩基(例えば、アデニン、グアニン、ウラシル、チミンおよびシトシン)であり得る。これらの核酸塩基は、改変または完全に置換されて、特性の向上、例えば安定性の増加、例えばヌクレアーゼへの耐性を有するポリヌクレオチド分子を提供し得る。非標準塩基または修飾塩基は、例えば、アルキル、アリール、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルキルオキシおよび/またはチオ置換;1つ以上の縮合環または開環;酸化;および/または還元を含むがこれらに限定されない、1つ以上の置換または修飾を含み得る。
代替ヌクレオチド塩基対は、標準的なアデニン-チミン、アデニン-ウラシル、またはグアニン-シトシン塩基対だけでなく、ヌクレオチド間および/または非標準塩基または代替塩基を含む代替ヌクレオチド間で形成される塩基対も含み、ここで、水素結合ドナーおよび水素結合アクセプターの配置は、非標準塩基と標準塩基の間、または2つの相補的な非標準塩基構造間の水素結合を可能にする。このような非標準塩基対の1つの例は、代替ヌクレオチドのイノシンとアデニン、シトシンまたはウラシルとの間の塩基対である。
いくつかの実施態様において、核酸塩基は、代替ウラシルである。代替ウラシルを有する例示的な核酸塩基およびヌクレオシドは、シュードウリジン(ψ)、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウラシル、6-アザ-ウラシル、2-チオ-5-アザ-ウラシル、2-チオ-ウラシル(s2U)、4-チオ-ウラシル(s4U)、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシ-ウラシル(ho5U)、5-アミノアリル-ウラシル、5-ハロ-ウラシル(例えば、5-ヨード-ウラシルまたは5-ブロモ-ウラシル)、3-メチル-ウラシル(mU)、5-メトキシ-ウラシル(mo5U)、ウラシル5-オキシ酢酸(cmo5U)、ウラシル5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5-カルボキシメチル-ウラシル(cm5U)、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウラシル(chm5U)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウラシルメチルエステル(mchm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-ウラシル(mcm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウラシル(mcm5s2U)、5-アミノメチル-2-チオ-ウラシル(nmVu)、5-メチルアミノメチル-ウラシル(mnm5U)、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル(mnmVu)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウラシル(mnm5se2U)、5-カルバモイルメチル-ウラシル(ncm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル(cmnm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル(cmnmVu)、5-プロピニル-ウラシル、1-プロピニル-シュードウラシル、5-タウリノメチル-ウラシル(xm5U)、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウラシル(xm5s2U)、1-タウリノメチル-4-チオ-シュードウリジン、5-メチル-ウラシル(m5U、すなわち、核酸塩基デオキシチミンを有する)、1-メチル-シュードウリジン(mV)、5-メチル-2-チオ-ウラシル(m5s2U)、l-メチル-4-チオ-シュードウリジン(mxj/)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、3-メチル-シュードウリジン(m\|/)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-l-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウラシル(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチル-ジヒドロウラシル(m5D)、2-チオ-ジヒドロウラシル、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシ-ウラシル、2-メトキシ-4-チオ-ウラシル、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、Nl-メチル-シュードウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル(acpU)、l-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン(acpψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウラシル(inm5U)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウラシル(inm5s2U)、5,2'-0-ジメチル-ウリジン(m5Um)、2-チオ-2'-0_メチル-ウリジン(s2Um)、5-メトキシカルボニルメチル-2'-0-メチル-ウリジン(memUm)、5-カルバモイルメチル-2'-0-メチル-ウリジン(ncm5Um)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2'-0-メチル-ウリジン(cmnm5Um)、3,2'-0-ジメチル-ウリジン(mUm)、および5-(イソペンテニルアミノメチル)-2'-0-メチル-ウリジン(inm5Um)、1-チオ-ウラシル、デオキシチミジン、5-(2-カルボメトキシビニル)-ウラシル、5-(カルバモイルヒドロキシメチル)-ウラシル、5-カルバモイルメチル-2-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチル-2-チオ-ウラシル、5-シアノメチル-ウラシル、5-メトキシ-2-チオ-ウラシル、および5-[3-(l-E-プロペニルアミノ)]ウラシルを含む。
いくつかの実施態様において、核酸塩基は、代替シトシンである。代替シトシンを有する例示的な核酸塩基およびヌクレオシドは、5-アザ-シトシン、6-アザ-シトシン、シュードイソシチジン、3-メチル-シトシン(m3C)、N4-アセチル-シトシン(ac4C)、5-ホルミル-シトシン(f5C)、N4-メチル-シトシン(m4C)、5-メチル-シトシン(m5C)、5-ハロ-シトシン(例えば、5-ヨード-シトシン)、5-ヒドロキシメチル-シトシン(hm5C)、1-メチル-シュードイソシチジン、ピロロ-シトシン、ピロロ-シュードイソシチジン、2-チオ-シトシン(s2C)、2-チオ-5-メチル-シトシン、4-チオ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シトシン、2-メトキシ-5-メチル-シトシン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、リシジン(k2C)、5,2'-0-ジメチル-シチジン(m5Cm)、N4-アセチル-2'-0-メチル-シチジン(ac4Cm)、N4,2'-0-ジメチル-シチジン(m4Cm)、5-ホルミル-2'-0-メチル-シチジン(f5Cm)、N4,N4,2'-0-トリメチル-シチジン(m42Cm)、1-チオ-シトシン、5-ヒドロキシ-シトシン、5-(3-アジドプロピル)-シトシン、および5-(2-アジドエチル)-シトシンを含む。
いくつかの実施態様において、核酸塩基は、代替アデニンである。代替アデニンを有する例示的な核酸塩基およびヌクレオシドは、2-アミノ-プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノ-6-ハロ-プリン(例えば、2-アミノ-6-クロロ-プリン)、6-ハロ-プリン(例えば、6-クロロ-プリン)、2-アミノ-6-メチル-プリン、8-アジド-アデニン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチル-アデニン(mlA)、2-メチル-アデニン(m2A)、N6-メチル-アデニン(m6A)、2-メチルチオ-N6-メチル-アデニン(ms2m6A)、N6-イソペンテニル-アデニン(i6A)、2-メチルチオ-N6-イソペンテニル-アデニン(ms2i6A)、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデニン(io6A)、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデニン(ms2io6A)、N6-グリシニルカルバモイル-アデニン(g6A)、N6-スレオニルカルバモイル-アデニン(t6A)、N6-メチル-N6-スレオニルカルバモイル-アデニン(m6t6A)、2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイル-アデニン(ms2g6A)、N6,N6-ジメチル-アデニン(m62A)、N6-ヒドロキシノルバニルカルバモイル-アデニン(hn6A)、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバニルカルバモイル-アデニン(ms2hn6A)、N6-アセチル-アデニン(ac6A)、7-メチル-アデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-メトキシ-アデニン、N6,2'-0-ジメチル-アデノシン(m6Am)、N6,N6,2'-0-トリメチル-アデノシン(m62Am)、l,2'-0-ジメチル-アデノシン(mlAm)、2-アミノ-N6-メチル-プリン、1-チオ-アデニン、8-アジド-アデニン、N6-(19-アミノ-ペンタオキサノナデシル)-アデニン、2,8-ジメチル-アデニン、N6-ホルミル-アデニン、およびN6-ヒドロキシメチル-アデニンを含む。
いくつかの実施態様において、核酸塩基は、代替グアニンである。代替グアニンを有する例示的な核酸塩基およびヌクレオシドは、イノシン(I)、1-メチル-イノシン(mil)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4-デメチル-ワイオシン(imG-14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(o2yW)、ヒドロキシワイブトシン(OHyW)、中間体ヒドロキシワイブトシン(OHyW*)、7-デアザ-グアニン、キューオシン(Q)、エポキシキューオシン(oQ)、ガラクトシル-キューオシン(galQ)、マンノシル-キューオシン(manQ)、7-シアノ-7-デアザ-グアニン(preQO)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアニン(preQl)、アルカエオシン(G+)、7-デアザ-8-アザ-グアニン、6-チオ-グアニン、6-チオ-7-デアザ-グアニン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアニン、7-メチル-グアニン(m7G)、6-チオ-7-メチル-グアニン、7-メチル-イノシン、6-メトキシ-グアニン、1-メチル-グアニン(mlG)、N2-メチル-グアニン(m2G)、N2,N2-ジメチル-グアニン(m22G)、N2,7-ジメチル-グアニン(m2,7G)、N2、N2,7-ジメチル-グアニン(m2,2,7G)、8-オキソ-グアニン、7-メチル-8-オキソ-グアニン、1-メチル-6-チオ-グアニン、N2-メチル-6-チオ-グアニン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアニン、N2-メチル-2'-0-メチル-グアノシン(m2Gm)、N2,N2-ジメチル-2'-0-メチル-グアノシン(m22Gm)、1-メチル-2'-0-メチル-グアノシン(mlGm)、N2,7-ジメチル-2'-0-メチル-グアノシン(m2,7Gm)、2'-0-メチル-イノシン(Im)、l,2'-0-ジメチル-イノシン(mllm)、1-チオ-グアニン、およびO-6-メチル-グアニンを含む。
ヌクレオチドの代替核酸塩基は、独立して、プリン、ピリミジン、プリンまたはピリミジン類似体であり得る。例えば、核酸塩基は、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、またはヒポキサンチンの代替となり得る。別の実施態様において、核酸塩基は、例えば、塩基の天然および合成誘導体も含み得て、これには、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ(例えば、8-ブロモ)、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、デアザグアニン、7-デアザグアニン、3-デアザグアニン、デアザアデニン、7-デアザアデニン、3-デアザアデニン、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、イミダゾ[l,5-a]l,3,5トリアジノン、9-デアザプリン、イミダゾ[4,5-d]ピラジン、チアゾロ[4,5-d]ピリミジン、ピラジン-2-オン、1,2,4-トリアジン、ピリダジン;または1,3,5トリアジンが含まれ得る。ヌクレオチドを短縮形のA、G、C、TまたはUを用いて示すとき、各文字は、代表的な塩基および/またはその誘導体を指し、例えば、Aは、アデニンまたはアデニン類似体、例えば、7-デアザアデニンを含む。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5'キャップ構造を含み得る。ポリヌクレオチドの5'キャップ構造は、核輸送およびポリヌクレオチドの安定性の向上に関与しており、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)に結合し、これは、CBPとポリA結合タンパク質が結合して成熟環状mRNA種を形成することにより、細胞内でのポリヌクレオチドの安定性および翻訳能力に関与する。キャップはさらに、mRNAスプライシング中の5'近位イントロンの除去を補助し得る。
内因性ポリヌクレオチド分子は、ポリヌクレオチドの末端グアノシンキャップ残基と5'末端転写センスヌクレオチドとの間に5'-ppp-5'-三リン酸結合を生成する5'末端キャップを形成し得る。その後、この5'-グアニル酸キャップがメチル化されて、N7-メチル-グアニル酸残基が生成され得る。ポリヌクレオチドの5'末端の末端および/または末端前転写ヌクレオチドのリボース糖はまた、所望により2'-O-メチル化され得る。グアニル酸キャップ構造の加水分解および切断による5'脱キャップは、mRNA分子などのポリヌクレオチド分子を分解の標的にし得る。
ポリヌクレオチドの改変は、非加水分解性のキャップ構造を生成し、脱キャップを防止し、これによりポリヌクレオチドの半減期を増加させ得る。キャップ構造の加水分解は、5'-ppp-5'ホスホロジエステル結合の切断を必要とするため、代替ヌクレオチドがキャッピング反応中に用いられ得る。例えば、New England Biolabs(Ipswich、MA)のワクシニアキャッピング酵素を製造業者の指示に従ってα-チオ-グアノシンヌクレオチドとともに用いて、5'-ppp-5'キャップにホスホロチオエート結合を形成し得る。
α-メチル-ホスホネートおよびセレノ-ホスフェートヌクレオチドなどの更なる代替グアノシンヌクレオチドを用い得る。更なる改変は、糖の2'-ヒドロキシル基上の(上記の)ポリヌクレオチドの5'末端および/または5'末端前ヌクレオチドのリボース糖の2'-O-メチル化を含むが、これらに限定されない。複数の異なる5'キャップ構造を用いて、mRNA分子などのポリヌクレオチドの5'キャップを生成し得る。
本明細書では、合成キャップ類似体、化学的キャップ、化学的キャップ類似体、または構造的または機能的キャップ類似体とも呼ばれるキャップ類似体は、キャップ構造を保持しながら、その化学的性質において天然(すなわち、内因性、野生型または生理学的)5'キャップと異なる。キャップ類似体は、化学的に(すなわち、非酵素的に)または酵素的に合成され、および/またはポリヌクレオチドに結合され得る。例えば、Anti-Reverse Cap Analog(ARCA)キャップは、5'-5'-トリホスフェート基で結合された2つのグアノシンを含み、ここで、1つのグアノシンは、N7-メチル基および3'-0-メチル基を含む(すなわち、N7,3'-0-ジメチル-グアノシン-5'-トリホスフェート-5'-グアノシン、m7G-3'mppp-G、同様に3'0-Me-m7G(5')ppp(5')Gと呼び得る)。もう1つの未変化のグアノシン3'-0原子は、キャップされたポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5'末端ヌクレオチドに結合する。N7-および3'-0-メチル化グアノシンは、キャップされたポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の末端部分を提供する。別の例示的なキャップは、mCAPであり、これはARCAと類似であるが、グアノシン上に2'-0-メチル基を有する(すなわち、N7,2'-0-ジメチル-グアノシン-5'-トリホスフェート-5'-グアノシン、m7Gm-ppp-G)。
キャップは、ジヌクレオチドキャップ類似体であり得る。非限定的な例として、ジヌクレオチドキャップ類似体は、米国特許第8,519,110号に記載されているジヌクレオチドキャップ類似体などのボラノホスフェート基またはホスホロセレノエート基を用いて、異なるリン酸位置で修飾され得て、そのキャップ構造は参照により本明細書に組み込まれる。
あるいは、キャップ類似体は、当技術分野で知られているおよび/または本明細書に記載されているN7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチドキャップ類似体であり得る。N7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチドキャップ類似体の非限定的な例としては、N7-(4-クロロフェノキシエチル)-G(5)ppp(5')GおよびN7-(4-クロロフェノキシエチル)-m3'-OG(5)ppp(5')Gキャップ類似体が挙げられる(例えば、Kore et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry 2013 21 :4570-4574に記載の様々なキャップ類似体およびキャップ類似体の合成方法参照;そのキャップ構造は参照により本明細書に組み込まれる)。他の例において、本開示のポリヌクレオチドにおいて有用なキャップ類似体は、4-クロロ/ブロモフェノキシエチル類似体である。
キャップ類似体は、インビトロ転写反応においてポリヌクレオチドの同時キャッピングを可能にするが、最大20%の転写物はキャップされていないままである。これは、内因性の細胞転写機構によって生成されるポリヌクレオチドの内因性5'キャップ構造とキャップ類似体の構造的差異と同様に、翻訳能力の低下および細胞の安定性の低下につながり得る。
より本物の5'キャップ構造を生成するために、酵素を用いて、代替ポリヌクレオチドを転写後にキャップすることもできる。本明細書で用いる語句「より本物の」は、内因性または野生型の特徴を構造的または機能的に、厳密に反映または模倣する特徴を指す。すなわち、「より本物の」特徴は、従来技術の合成特徴または類似体と比較して、内因性、野生型、天然または生理学的細胞機能および/または構造をより良く表すか、または1つ上の点で対応する内因性、野生型、天然または生理学的特徴を上回る。本開示のポリヌクレオチドにおいて有用なより本物の5'キャップ構造の非限定的な例は、とりわけ、当技術分野で公知の合成5'キャップ構造(または野生型、天然もしくは生理学的5'キャップ構造)と比較して、キャップ結合タンパク質の結合の向上、半減期の増加、5'-エンドヌクレアーゼに対する感受性の低下、および/または5'脱キャップの減少を有する。例えば、組み換えワクシニアウイルスキャッピング酵素および組み換え2'-0-メチルトランスフェラーゼ酵素は、ポリヌクレオチドの5'末端ヌクレオチドとグアノシンキャップヌクレオチド間の標準的な5'-5'-トリホスフェート結合を生成し得て、ここで、キャップグアノシンは、N7-メチル化を含み、ポリヌクレオチドの5'末端ヌクレオチドは、2'-0-メチルを含む。このような構造は、Capl構造と呼ばれる。このキャップは、例えば当技術分野で公知の他の5'キャップ類似体構造と比較して、より高い翻訳能力、細胞安定性、および細胞炎症誘発性サイトカインの活性化の低下をもたらす。他の例示的なキャップ構造は、7mG(5')ppp(5')N、pN2p(Cap 0)、7mG(5')ppp(5')NlmpNp(Cap 1)、7mG(5')-ppp(5')NlmpN2mp(Cap 2)、およびm(7)Gpppm(3)(6,6,2')Apm(2')Apm(2')Cpm(2)(3,2')Up(Cap 4)を含む。
代替ポリヌクレオチドが転写後にキャップされ得るため、およびこのプロセスがより効率的であるため、ほぼ100%の代替ポリヌクレオチドはキャップされ得る。これは、キャップ類似体がインビトロ転写反応の過程でポリヌクレオチドに結合するときの-80%とは対照的である。5'末端キャップは、内因性キャップまたはキャップ類似体を含み得る。5'末端キャップは、グアノシン類似体を含み得る。有用なグアノシン類似体は、イノシン、Nl-メチル-グアノシン、2'-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、および2-アジド-グアノシンを含む。いくつかの例において、ポリヌクレオチドは、修飾5'キャップを含む。5'キャップの修飾は、ポリヌクレオチドの安定性を増加させ、ポリヌクレオチドの半減期を増加させ得て、そして、ポリヌクレオチドの翻訳効率を増加させ得る。修飾5'キャップは、以下の修飾のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない:キャップされたグアノシン三リン酸(GTP)の2'位および/または3'位での修飾、糖の置換メチレン部分(CH2)を有する糖環酸素(炭素環を生成)の置換、キャップ構造の三リン酸橋部分の修飾、または核酸塩基(G)部分の修飾。
5'UTRは、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の隣接領域として提供され得る。5UTRは、ポリヌクレオチドで見られるコード領域と同種であっても、異種であってもよい。複数の5'UTRが隣接領域に含まれ得て、同じ配列または異なる配列であり得る。隣接領域のあらゆる部分(ない場合も含む)は、コドン最適化されてもよく、コドン最適化の前および/または後に、いずれも独立して1つ以上の異なる構造的または化学的変化を含み得る。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の1つ以上の特性を改変するために、代替ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のコード領域に対して異種である5'UTRを操作し得る。その後、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を細胞、組織または生物に投与し、タンパク質レベル、局在化および/または半減期などの結果を測定して、異種5'UTRが代替ポリヌクレオチド(mRNA)に対して有し得る有益な効果を評価し得る。1つ以上のヌクレオチドがA、T、CまたはGを含む末端に付加または除去された5'UTRの変異体を利用し得る。5'UTRは、コドン最適化されてもよく、または本明細書に記載の任意の方法で改変されてもよい。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、限定されないが、ヒストンステムループなどのステムループを含み得る。ステムループは、長さが約25または約26ヌクレオチドのヌクレオチド配列であり得る。ヒストンステムループは、コード領域に対して3'側(例えば、コード領域の3'末端)に位置し得る。非限定的な例として、ステムループは、本明細書に記載のポリヌクレオチドの3'末端に位置し得る。いくつかの例において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、2つ以上のステムループ(例えば、2つのステムループ)を含む。ステムループは、ポリヌクレオチドの第2末端領域に位置し得る。非限定的な例として、ステムループは、第2末端領域の非翻訳領域(例えば、3'UTR)内に位置し得る。いくつかの例において、ヒストンステムループを含むがこれに限定されないmRNAなどのポリヌクレオチドは、3'安定化領域(例えば、少なくとも1つの鎖停止ヌクレオシドを含む3'安定化領域)の付加によって安定化され得る。理論に束縛されることを望むわけではないが、少なくとも1つの鎖停止ヌクレオシドの付加は、ポリヌクレオチドの分解を遅らせ得て、したがってポリヌクレオチドの半減期を増加させ得る。他の場合において、ヒストンステムループを含むがこれに限定されないmRNAなどのポリヌクレオチドは、オリジオ(U)の付加を防止および/または阻害できるポリヌクレオチドの3'領域への改変によって安定化され得る。さらに他の場合には、ヒストンステムループを含むがこれに限定されないmRNAなどのポリヌクレオチドは、3'-デオキシヌクレオシド、2',3'-ジデオキシヌクレオシド 3'-0-メチルヌクレオシド、3-0-エチルヌクレオシド、3'-アラビノシド、および当技術分野で知られているおよび/または本明細書に記載されている他の代替ヌクレオシドで終端するオリゴヌクレオチドの付加によって安定化され得る。いくつかの例において、本開示のポリヌクレオチドは、ヒストンステムループ、ポリA領域、および/または5'キャップ構造を含み得る。ヒストンステムループは、ポリA領域の前および/または後であり得る。ヒストンステムループおよびポリA領域配列を含むポリヌクレオチドは、本明細書に記載の鎖停止ヌクレオシドを含み得る。他の例において、本開示のポリヌクレオチドは、ヒストンステムループおよび5'キャップ構造を含み得る。5'キャップ構造は、本明細書に記載されているおよび/または当技術分野で知られているものを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの例において、保存されたステムループ領域は、本明細書に記載のmiR配列を含み得る。非限定的な例として、ステムループ領域は、本明細書に記載のmiR配列のシード配列を含み得る。別の非限定的な例において、ステムループ領域は、miR-122シード配列を含み得る。
ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのヒストンステムループおよびポリA領域またはポリアデニル化シグナルを含み得る。特定の場合において、ヒストンステムループおよびポリA領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、病原体抗原またはその断片をコードし得る。他の場合において、ヒストンステムループおよびポリA領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、治療用タンパク質をコードし得る。いくつかの例において、ヒストンステムループおよびポリA領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、腫瘍抗原またはその断片をコードし得る。他の場合において、ヒストンステムループおよびポリA領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、アレルギー性抗原または自己免疫性自己抗原をコードし得る。
ポリヌクレオチドまたは核酸(例えば、mRNA)は、ポリA配列および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリA配列は、その全部また大部分がアデニンヌクレオチドまたはその類似体もしくは誘導体から構成され得る。ポリA配列は、核酸の3'非翻訳領域に隣接して位置する尾部であり得る。RNAのプロセシング中、アデノシンヌクレオチドの長鎖(ポリA領域)は、通常メッセンジャーRNA(mRNA)分子に付加されて、分子の安定性を増加させる。転写直後、転写物の3'末端が切断されて3'-ヒドロキシが遊離する。その後、ポリAポリメラーゼは、アデノシンヌクレオチドの鎖をRNAに付加する。ポリアデニル化と呼ばれるこのプロセスは、100~250残基の長さのポリA領域を付加する。固有のポリA領域の長さは、本開示の代替ポリヌクレオチドに特定の利点を提供し得る。一般的に、本開示のポリA領域の長さは、少なくとも30ヌクレオチドの長さである。別の実施態様において、ポリA領域の長さは、少なくとも35ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも40ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも45ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも55ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも60ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも70ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも80ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも90ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも100ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも120ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも140ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも160ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも180ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも200ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも250ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも300ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも350ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも400ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも450ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも500ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも600ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも700ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも800ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも900ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1000ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1100ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1200ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1300ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1400ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1500ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1600ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1700ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1800ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも1900ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも2000ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも2500ヌクレオチドである。別の実施態様において、長さは、少なくとも3000ヌクレオチドである。いくつかの例において、ポリA領域は、本明細書に記載の代替ポリヌクレオチド分子上で80ヌクレオチド、120ヌクレオチド、160ヌクレオチドの長さであり得る。他の例において、ポリA領域は、本明細書に記載の代替ポリヌクレオチド分子上で20、40、80、100、120、140または160ヌクレオチドの長であり得る。いくつかの例において、ポリA領域は、代替ポリヌクレオチド全体の長さに関連して設計される。この設計は、代替ポリヌクレオチドのコード領域の長さ、代替ポリヌクレオチド(例えばmRNA)の特定の特徴もしくは領域の長さ、または代替ポリヌクレオチドから発現される最終産物の長さに基づき得る。代替ポリヌクレオチドの任意の特徴(例えば、ポリA領域を含むmRNA部分以外)と比較して、ポリA領域の長さは、追加の特徴より10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%大きくなり得る。ポリA領域はまた、それが属する代替ポリヌクレオチドの一部として設計され得る。これに関連して、ポリA領域は、構築物の全長、または構築物の全長からポリA領域を差し引いたものの10、20、30、40、50、60、70、80または90%以上であり得る。
特定の場合において、ポリA結合タンパク質に対するポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の操作された結合部位および/または接合を用いて、発現を向上させ得る。操作された結合部位は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の局所微小環境のリガンドに対する結合部位として機能できるセンサー配列であり得る。非限定的な例として、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリA結合タンパク質(PABP)およびその類似体の結合親和性を変化させるために少なくとも1つの操作された結合部位を含み得る。少なくとも1つの操作された結合部位の組み込みは、PABPおよびその類似体の結合親和性が増加させ得る。
また、複数の異なるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を、ポリA領域の3'末端の代替ヌクレオチドを用いて、3'末端を介してPABP(ポリA結合タンパク質)に一緒に結合し得る。トランスフェクション実験を関連する細胞株で実施し得て、タンパク質生成をトランスフェクション後12時間、24時間、48時間、72時間および7日目にELISAによりでアッセイし得る。非限定的な例として、トランスフェクション実験を用いて、少なくとも1つの操作された結合部位の付加の結果としてのPABPまたはその類似体の結合親和性に対する効果を評価し得る。特定の場合において、ポリA領域を用いて翻訳開始を調節し得る。理論に束縛されることを望むわけではないが、ポリA領域はPABPを動員し、PABPは翻訳開始複合体と相互作用できるため、タンパク質合成に必須であり得る。いくつかの例において、ポリA領域はまた、3'-5'-エキソヌクレアーゼ消化から保護するために本開示において使用され得る。いくつかの例において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリA-Gカルテットを含み得る。Gカルテットは、DNAとRNAの両方のGに富んだ配列によって形成され得る4つのグアノシンヌクレオチドの環状水素結合アレイである。この実施態様において、Gカルテットは、ポリA領域の端に組み込まれる。得られたポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、安定性、タンパク質産生、および様々な時点での半減期を含む他のパラメーターについてアッセイされ得る。ポリA-Gカルテットは、120ヌクレオチドのポリA領域のみを使用した場合の少なくとも75%に相当するタンパク質産生をもたらすことが発見された。いくつかの例において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリA領域を含み得て、3'安定化領域の付加によって安定化し得る。ポリA領域を有するポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5'キャップ構造をさらに含み得る。他の場合において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリA-Gカルテットを含み得る。ポリA-Gカルテットを有するポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5'キャップ構造をさらに含み得る。いくつかの例において、3'安定化領域を用いて、ポリA領域またはポリA-Gカルテットを含むポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を安定化し得る。他の場合において、本開示で用いられ得る3'-安定化領域は、鎖停止ヌクレオシド、例えば3'-デオキシアデノシン(コルジセピン)、3'-デオキシウリジン、3'-デオキシシトシン、3'-デオキシグアノシン、3'-デオキシチミン、2',3'-ジデオキシヌクレオシド、例えば2',3'-ジデオキシアデノシン、2',3'-ジデオキシウリジン、2',3'-ジデオキシシトシン、2',3'-ジデオキシグアノシン、2',3'-ジデオキシチミン、2'-デオキシヌクレオシド、またはO-メチルヌクレオシドを含む。他の場合において、ポリA領域またはポリA-Gカルテットを含むがこれに限定されないmRNAなどのポリヌクレオチドは、オリジオ(U)の付加を防止および/または阻害できるポリヌクレオチドの3'領域への改変によって安定化され得る。さらに他の例において、ポリA領域またはポリA-Gカルテットを含むがこれに限定されないmRNAなどのポリヌクレオチドは、3'-デオキシヌクレオシド、2',3'-ジデオキシヌクレオシド 3-0-メチルヌクレオシド、3'-0-エチルヌクレオシド、3'-アラビノシド、および当技術分野で知られているおよび/または本明細書に記載されている他の代替ヌクレオシドで終端するオリゴヌクレオチドの付加によって安定化され得る。
H. 例示的なRNA配列
FgenIおよびChi18-4モデルRNAは、Leija-Martinexらに基づいて選択および設計され、両端に5'および3'プライマーアニーリング部位がある(N. Leija-Martinez et al., The separation between the 5'-3' ends in long RNA molecules is short and nearly constant. Nucleic Acids Res 42, 13963-13968 (2014))。
FgenI RNA配列は、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)という真菌生物に由来しており、タンパク質ID258498で真菌ゲノミクスリソースデータベースから入手可能である。












I. 凍結または凍結乾燥品の製剤特性
本発明の凍結または凍結乾燥組成物は、LNPサイズ、多分散度、粒子形態、ペイロードの封入、およびペイロードの完全性を含むが、これらに限定されない品質特性を含むがこれらに限定されない品質特性を含む。
「LNPサイズ」は、粒子集団の平均流体力学的直径を意味する(例えば、Z平均を測定する動的光散乱)。
「多分散度」は、サイズに基づく粒子集団の不均一性の測定を意味する。
「ペイロードの封入」は、適切な分析方法(例えば、遊離または合計ペイロード含有量を測定する分光測光)を用いて決定されたナノ粒子に関連するペイロードの割合(すなわち、1つ以上の安定化剤を含むまたは含まない医薬物質)を意味する。
「ペイロードの完全性」は、適切な分析方法(例えば、RNAの完全性を決定するキャピラリー電気泳動)を用いて決定された無傷のペイロードの割合を意味する。
本発明は、凍結または凍結乾燥製剤の特性が対照製剤に匹敵する、凍結または凍結乾燥製剤を製造する方法を提供する。
一実施態様において、凍結または凍結乾燥品の特性は、約3か月~約24か月の期間にわたって維持される。上記の実施態様および以下の実施例は、限定ではなく例示として提供されることを理解されたい。本発明による凍結乾燥方法は、一般にあらゆる分子(例えば、タンパク質、脂質、核酸など)に適用できる。例えば、以下の実施例で用いられる分子は、あらゆるタンパク質、抗体、核酸、化学化合物、ワクチン、酵素、多糖、天然産物、小分子、または任意の他の種類の分子であり得る。本発明の範囲内の様々な変更および修正は、本説明から当業者には明らかであろう。
本発明をよりよく理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示のみを目的としており、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明のいくつかの実施態様を例示する。
実施例1
本実施例において、活性成分(mRNA)の濃度を0.1~0.5mg/mLの範囲で変化させ、一方、安定化剤(スクロース)濃度を10~400mg/mLの範囲であった。
Figure 2023552681000011
2つの凍結乾燥サイクルを用いて、3つの製剤をスクリーニングした:保守的(表2)および改善(表3)。両方の例示的なサイクルで2mLバイアルを使用した。
Figure 2023552681000012
Figure 2023552681000013
Figure 2023552681000014
Figure 2023552681000015
実施例2
本実施例において、活性成分(mRNA)の濃度は、一定であり、0.3mLの充填量で0.18mg/mLに等しく、凍結乾燥中に棚温度および圧力を変化させた。
3つの凍結乾燥サイクルを用いて、プロセスの頑健性を確認し、本実施例に記載のプロセスパラメーターのデザインスペースを定義した。これらの3つの例示的なサイクルで2mLバイアルを使用した。
Figure 2023552681000016
破壊の端(すなわち、製剤温度が崩壊温度を超えるとき)を調べるために、2つの高温サイクルを、製剤F9~F16(表1に示す)を用いて実施した。これらの3つの例示的なサイクル(表7)で0.3mLの溶液を含む2mLバイアルを使用した。
Figure 2023552681000017
実施例3
本実施例において、出願人は、異なる容器サイズ(例えば、2mLバイアル対5mLバイアル)における充填量と乾燥時間との関係を実証する(図3A)。出願人はまた、あらゆるサイズのバイアルの乾燥時間に対するケーキ高さの影響を実証する(図3B)。図3Aと図3Bに示す関係は例示であり、製剤のガラス転移温度(Tg')に応じて変化し得ることに留意すべきである。約-33℃のTg'を用いて、図3A~3Bに示す製剤F9~F16のこれらの関係を確立した。
実施例4:凍結乾燥医薬品のための処方
3つの製剤を調べた:
i)スクロース-PBS製剤、
ii)トレハロース-トリス-NaCl製剤、および
iii)マンニトール-スクロース-トリス-NaCl製剤。
更なる製剤スクリーニング試験は、製剤からのNaClの除去が、製剤の品質特性に悪影響をもたらさず、より短い凍結乾燥サイクルの開発を裏付けることを示した(データは示さず)。
1. 製剤スクリーニング
スクロースおよびトレハロースを、製剤スクリーニング試験のための凍結および凍結保護剤ならびに増量剤として用いた。二糖類を、ほぼ等張の溶液が得られるため、10%w/vの濃度で用いた。対応する適切なpH値(6.5または7.5)のトリス、ヒスチジンおよびHEPES緩衝液を、リン酸緩衝液の代替として含ませた。約10mMの緩衝液が、候補製剤のpHを維持するのに十分であると考えられる。製剤品質に対する塩化ナトリウムの影響もまた調べた。製剤組成を表8にまとめる。
Figure 2023552681000018
2. 凍結乾燥のサイクル
凍結乾燥プロセスの設計は、凍結乾燥におけるモデリングアプローチとベストプラクティスに基づいている。凍結工程中の冷却および昇温傾斜を0.5℃/分で実施した(すべての市販凍結乾燥機で達成可能)。製剤を、製剤のTg'未満の温度まで凍結させた。-10℃のアニーリング温度は、等温保持中のオストワルド熟成を最大化し(それによって氷結晶のサイズを大きくし)、生成物を製剤の融点未満に保ちながらケーキ抵抗を減少させることが確認された。二次乾燥までの昇温速度は、文献で推奨されているように0.2℃/分であった。一次乾燥サイクルパラメーターを計算するために必要なモデルへの入力を表9にまとめる。一次乾燥モデルは当該技術分野で説明されている(B. Bhatnagar, S. Tchessalov, L. Lewis, and R. Johnson, Freeze-drying of biologics. Encyclopedia of Pharmaceutical Science and Technology, 4th edition, publisher Taylor & Francis, 1673-1722)。
Figure 2023552681000019
3. 凍結乾燥サイクルパラメーター
サイクルパラメーターを下記のように計算した:
i. 2種類の製剤(スクロースと共に塩(NaCl)を含む製剤対塩を含まずスクロースを含む製剤)、および
ii. 2つのサイクル条件(アニーリングあり対アニーリングなし)。
トレハロースベースの製剤は、スクロースと比較して崩壊に対してより頑健であると考えられ、より崩壊に対して敏感なスクロース製剤と同時凍結乾燥される。計算中に用いた臨界(目標温度)は、塩化ナトリウムを含まないおよび含むスクロース製剤で、それぞれ-36℃および-40℃であった。表10にまとめるとおり、サイクルパラメーターを、一次乾燥のモデルを用い、文献に記載されているベストプラクティスを適用して計算した。
Figure 2023552681000020
4. 安定性プログラム
安定性試験を実施して、表8に示す製剤をスクリーニングした。
5. 製剤品質の分析評価
製剤スクリーニングで用いた分析アッセイを表11に示す。
Figure 2023552681000021
実施例5:改善した凍結乾燥プロセス
1. 製剤の凍結中の冷却/凍結速度は、0.02℃/分~37℃/分である。製剤品質に対する冷却速度の悪影響はなかった。
2. 凍結乾燥中の冷却/凍結速度:PCS(予冷棚)対1℃/分対0.5℃分。
3. バッチの均一性、スケールアップ、技術移転を可能にするため、初期冷却後の凍結中に製剤をアニーリングする。医薬品品質に対するアニーリング中の移動性の増加の悪影響はなかった。
4. 崩壊温度未満で乾燥する(スクロースベースの製剤)。
5. 棚温度とチャンバー圧力を変更することにより崩壊温度近くで乾燥する(トレハロースベースの製剤)。
6. 製剤成分の結晶化を防止するための凍結保護剤の組合せ(スクロース-トレハロース、トレハロース-塩化ナトリウム)を含む。
7. 凍結および凍結乾燥保護さらに強化するための成分の組合せ(スクロース-ソルビトール)を含む。「凍結保護剤(Cryoprotectant)」は、冷却/凍結中に安定化をもたらす成分を指す。「凍結乾燥保護剤(Lyoprotectant)」は、乾燥中および乾燥状態での安定化をもたらす成分を指す。
8. 塩を含む製剤対塩を含まない製剤を凍結乾燥する。
9. 低濃度から高濃度の医薬品を含む製剤を凍結乾燥し、単回および複数回用量のバイアルでの提供を可能にする。
10. コロイドの安定性に対する影響を調べるための界面活性剤(例えばポリソルベートまたはポロキサマー)を含む。
11. 複数回用量の医薬品製剤の提供を可能にするための防腐剤(有機溶媒、例えば2-フェノキシエタノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール)を含む。
12. 安定性を向上させるための添加剤(グルタチオン、EDTA、DTPA、メチオニン、デスフェラール)を含む。
13. 医薬品製剤を噴霧凍結乾燥する。
14. 医薬品製剤の現在の製造対代替製造。
実施例6:封入医薬物質のための凍結乾燥サイクル(商業サイクル)
Figure 2023552681000022

Figure 2023552681000023
本明細書で引用されるすべての特許、特許出願および出版物の開示は、その全体として出典明示により本明細書の一部とする。
本発明を特定の実施態様を参照して開示したが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって本発明の他の実施態様および変形が考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての実施態様および同等の変形を含む。

Claims (96)

  1. 液体製剤を凍結乾燥するための方法であって、該方法が、下記工程:
    a)医薬物質と安定化剤とを含む液体製剤を提供する工程であって、液体製剤が、特定の比の医薬物質と安定化剤を含む工程;
    b)凍結した液体を得るために、下記:
    i)工程(a)で提供された液体製剤を凍結乾燥機の凍結乾燥チャンバーに導入する工程;および
    ii)液体製剤を凍結温度まで冷却する工程であって、冷却が、凍結した液体を得るために所定の冷却速度で行われる工程
    により凍結工程を開始する工程;
    c)部分的乾燥品を得るために、下記:
    i)凍結乾燥チャンバー内の圧力を氷の蒸気圧未満の圧力に低下させる工程、および
    ii)棚温度を上昇させる工程
    により工程(b)で得られた凍結した液体の一次乾燥工程を開始する工程;
    d)工程(c)で得られた部分的乾燥品を乾燥温度まで加熱する工程を含む、工程(c)で得られた部分的乾燥品の二次乾燥工程を開始する工程であって、加熱が、医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を得るために所定の加熱速度で行われる工程;および
    e)凍結乾燥チャンバー内の圧力を大気圧に平衡させ、工程(d)で得られた医薬物質と安定化剤とを含む凍結乾燥組成物を凍結乾燥チャンバーから取り出す工程
    を含む、方法。
  2. 工程(b)に記載の初期凍結後のアニーリング工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 凍結乾燥品が、非晶質の製剤成分を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 凍結乾燥品が、部分的に結晶性または非晶質の製剤成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程(c)に記載の一次乾燥中の棚温度が、約-15℃~約-30℃である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 棚温度が、-25℃である、請求項5に記載の方法。
  7. 工程(c)に記載の一次乾燥中のチャンバー圧力が、約25mTorr~約100mTorrである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. チャンバー圧力が、50mTorrである、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(b)に記載の初期凍結中の棚温度が、約-30℃~-60℃である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. アニーリング温度が、約-5℃~約-25℃である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. アニーリング温度が、-10℃である、請求項10に記載の方法。
  12. 医薬物質と安定化剤との混合物を含む安定な液体製剤を製造するための方法であって、該方法が、特定の比率で医薬物質と安定化剤とを混合して、これにより安定な製剤を製造する工程を含む、方法。
  13. 安定な製剤が、少なくとも1つの封入剤をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 安定な製剤が、緩衝剤をさらに含む、請求項12~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 安定な製剤が、塩をさらに含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 安定な製剤が、界面活性剤、防腐剤、他の任意の添加剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 界面活性剤、防腐剤、添加剤またはそれらの組合せが、滅菌注射用水(sWFI)、静菌注射用水(BWFI)、生理食塩水、ブドウ糖溶液、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、二価カチオン、乳酸リンゲル液、アミノ酸、糖、ポリオール、ポリマーまたはシクロデキストリンより選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 医薬物質が、タンパク質、ペプチド、多糖、小分子、天然産物、核酸、免疫原、ワクチン、ポリマー、化学化合物、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 医薬物質が、核酸である、請求項18に記載の方法。
  20. 核酸が、DNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、およびアプタマーからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
  21. RNAが、mRNAである、請求項20に記載の方法。
  22. 医薬物質の濃度が、約0.05mg/ml未満である、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 医薬物質の濃度が、少なくとも約0.05mg/mlである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 医薬物質の濃度が、少なくとも約0.5mg/mlである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
  25. 医薬物質の濃度が、少なくとも約1mg/mlである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
  26. 医薬物質の濃度が、少なくとも約10mg/mlである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
  27. 医薬物質の濃度が、少なくとも約50mg/mlである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
  28. 医薬物質の濃度が、約0.05mg/ml~約0.5mg/mlである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
  29. 安定化剤が、スクロース、マンノース、ソルビトール、ラフィノース、トレハロース、マンニトール、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニン、ラクトース、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリシン、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項12~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 安定化剤が、スクロースである、請求項29に記載の方法。
  31. 安定化剤の濃度が、約100mg/mL~約200mg/mLである、請求項12~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 医薬物質がmRNAであり、安定化剤がスクロースである、請求項12~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 安定化剤と医薬物質の質量比が、5000以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 安定化剤と医薬物質の質量比が、2000以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  35. 安定化剤と医薬物質の質量比が、1000以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  36. 安定化剤と医薬物質の質量比が、500以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  37. 安定化剤と医薬物質の質量比が、100以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  38. 安定化剤と医薬物質の質量比が、50以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  39. 安定化剤と医薬物質の質量比が、10以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  40. 安定化剤と医薬物質の質量比が、1以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  41. 安定化剤と医薬物質の質量比が、0.5以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  42. 安定化剤と医薬物質の質量比が、0.1以下である、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  43. 安定化剤および医薬物質が、約200~2000の安定化剤:1の医薬物質の質量比を含む、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  44. 封入剤が、脂質、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、ポリマー粒子、ポリプレックス、およびモノリシック送達システム、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項13~43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 封入剤が、脂質ナノ粒子(LNP)である、請求項44に記載の方法。
  46. 安定な製剤を、周囲温度または周囲温度以下で所定の期間保存する、請求項12~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 請求項1または12に記載の方法に従って安定な製剤を製造する方法であって、製剤が、凍結マトリックス、冷蔵液体または冷蔵凍結乾燥品として安定である、方法。
  48. 製剤が、凍結マトリックスのガラス転移温度(Tg')を超える、請求項47に記載の方法。
  49. 製剤が、等温保持またはTg'を超える保存中に非晶質のままである、請求項48に記載の方法。
  50. 保存温度が、周囲温度または周囲温度未満である、請求項47に記載の方法。
  51. 注射に適した形態の凍結乾燥組成物の凍結乾燥前または再構成中に、グルタチオン、EDTA、メチオニン、デスフェラールおよび任意の抗酸化剤または金属スカベンジャーを液体製剤に加えることにより、請求項1~11および47~50のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物の安定性を向上させる方法。
  52. 製剤が、少なくとも1つの封入剤をさらに含む、請求項1~11および47~51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 製剤が、緩衝剤をさらに含む、請求項1~11および47~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 製剤が、塩をさらに含む、請求項1~11および47~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 製剤が、界面活性剤、防腐剤、他の任意の添加剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項1~11および47~54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 界面活性剤、防腐剤、添加剤またはそれらの組合せが、滅菌注射用水(sWFI)、静菌注射用水(BWFI)、生理食塩水、ブドウ糖溶液、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、二価カチオン、乳酸リンゲル液、アミノ酸、糖、ポリオール、ポリマーまたはシクロデキストリンより選択される、請求項55に記載の方法。
  57. 医薬物質が、タンパク質、ペプチド、多糖、小分子、天然産物、核酸、免疫原、ワクチン、ポリマー、化学化合物、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1~11および47~56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 医薬物質が、核酸である、請求項57に記載の方法。
  59. 核酸が、DNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、およびアプタマーからなる群より選択される、請求項58に記載の方法。
  60. RNAが、mRNAである、請求項59に記載の方法。
  61. 医薬物質の濃度が、約0.05mg/ml未満である、請求項1~11および47~60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 医薬物質の濃度が、少なくとも約0.05mg/mlである、請求項1~11および47~60のいずれか一項に記載の方法。
  63. 医薬物質の濃度が、少なくとも約0.5mg/mlである、請求項1~11および47~60のいずれか一項に記載の方法。
  64. 医薬物質の濃度が、少なくとも約1mg/mlである、請求項1~11および47~60のいずれか一項に記載の方法。
  65. 医薬物質の濃度が、少なくとも約10mg/mlである、請求項1~11および47~60のいずれか一項に記載の方法。
  66. 医薬物質の濃度が、少なくとも約50mg/mlである、請求項1~11および47~60のいずれか一項に記載の方法。
  67. 医薬物質の濃度が、約0.05mg/ml~約0.5mg/mlである、請求項1~11および47~60のいずれか一項に記載の方法。
  68. 安定化剤が、スクロース、マンノース、ソルビトール、ラフィノース、トレハロース、マンニトール、イノシトール、塩化ナトリウム、アルギニン、ラクトース、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリシン、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1~11および47~67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 安定化剤が、スクロースである、請求項68に記載の方法。
  70. 安定化剤の濃度が、約100mg/mL~約200mg/mLである、請求項1~11および47~69のいずれか一項に記載の方法。
  71. 医薬物質がmRNAであり、安定化剤がスクロースである、請求項1~11および47~70のいずれか一項に記載の方法。
  72. 安定化剤と医薬物質の質量比が、5000以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  73. 安定化剤と医薬物質の質量比が、2000以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  74. 安定化剤と医薬物質の質量比が、1000以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  75. 安定化剤と医薬物質の質量比が、500以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  76. 安定化剤と医薬物質の質量比が、100以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  77. 安定化剤と医薬物質の質量比が、50以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  78. 安定化剤と医薬物質の質量比が、10以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  79. 安定化剤と医薬物質の質量比が、1以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  80. 安定化剤と医薬物質の質量比が、0.5以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  81. 安定化剤と医薬物質の質量比が、0.1以下である、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  82. 安定化剤および医薬物質が、約200~2000の安定化剤:1の医薬物質の質量比を含む、請求項1~11および47~71のいずれか一項に記載の方法。
  83. 封入剤が、脂質、脂質ナノ粒子(LNP)、リポプレックス、ポリマー粒子、ポリプレックス、およびモノリシック送達システム、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項52~82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 封入剤が、脂質ナノ粒子(LNP)である、請求項83に記載の方法。
  85. 安定な製剤を、周囲温度または周囲温度以下で所定の期間保存する、請求項1~11および47~84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 下記工程:
    (a)医薬物質と、請求項1~11および47~85のいずれか一項に記載の凍結乾燥およびその後の保存時の医薬物質の化学的および物理的不安定性を防止または軽減する安定化量の安定化剤との混合物を凍結乾燥する工程、および
    (b)再構成された製剤が安定であるように、希釈剤中の工程(a)の凍結乾燥混合物を再構成する工程
    を含む、安定な製剤を製造するための方法。
  87. 希釈剤が、滅菌注射用水(sWFI)、生理食塩水、ブドウ糖溶液、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、二価カチオン、乳酸リンゲル液、アミノ酸、糖、ポリオール、ポリマーまたはシクロデキストリン、pH緩衝希釈剤、または静菌注射用水(BWFI)、2-フェノキシエタノール、m-クレゾールもしくはフェノールなどの防腐剤含有希釈剤より選択される、請求項86に記載の方法。
  88. 下記工程:
    (a)請求項12~46のいずれか一項に記載の方法に従った安定な製剤または請求項1~11および47~85のいずれか一項に記載の凍結乾燥組成物を製造する工程;および
    (b)安定な製剤または凍結乾燥組成物を所定の期間保存する工程
    を含む、医薬物質を保存する方法。
  89. 期間が、3か月より長い、請求項54に記載の方法。
  90. 期間が、8か月より長い、請求項54に記載の方法。
  91. 期間が、12か月より長い、請求項54に記載の方法。
  92. 期間が、18か月より長い、請求項54に記載の方法。
  93. 期間が、24か月より長い、請求項54に記載の方法。
  94. 請求項12~46のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される安定な製剤。
  95. 請求項1~11および47~85のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される凍結乾燥組成物。
  96. 凍結乾燥組成物が、3cmまでのケーキ高さを有する、請求項95に記載の凍結乾燥組成物。
JP2023528683A 2020-11-16 2021-11-15 製剤安定化の向上および凍結乾燥プロセスの改善 Pending JP2023552681A (ja)

Applications Claiming Priority (11)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063114478P 2020-11-16 2020-11-16
US63/114,478 2020-11-16
US202063115128P 2020-11-18 2020-11-18
US202063115588P 2020-11-18 2020-11-18
US63/115,128 2020-11-18
US63/115,588 2020-11-18
US202163135723P 2021-01-10 2021-01-10
US63/135,723 2021-01-10
US202163149372P 2021-02-15 2021-02-15
US63/149,372 2021-02-15
PCT/EP2021/081625 WO2022101461A1 (en) 2020-11-16 2021-11-15 Enhanced formulation stabilization and improved lyophilization processes

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023552681A true JP2023552681A (ja) 2023-12-19

Family

ID=78789992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023528683A Pending JP2023552681A (ja) 2020-11-16 2021-11-15 製剤安定化の向上および凍結乾燥プロセスの改善

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20230414516A1 (ja)
EP (1) EP4243790A1 (ja)
JP (1) JP2023552681A (ja)
AU (1) AU2021376893A1 (ja)
CA (1) CA3198538A1 (ja)
WO (1) WO2022101461A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022232585A1 (en) * 2021-04-29 2022-11-03 Modernatx, Inc. Lyophilization methods for preparing lipid formulated therapeutics

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2009111140A (ru) 2006-10-03 2010-11-10 Вайет (Us) Устройства и способы лиофилизации
PL215513B1 (pl) 2008-06-06 2013-12-31 Univ Warszawski Nowe boranofosforanowe analogi dinukleotydów, ich zastosowanie, czasteczka RNA, sposób otrzymywania RNA oraz sposób otrzymywania peptydów lub bialka
US11433029B2 (en) * 2013-03-15 2022-09-06 Takeda Pharmaceutical Company Limited Formulation of an antibody and use thereof
GB201513010D0 (en) * 2015-07-23 2015-09-09 Glaxosmithkline Biolog Sa Novel formulation
PL3368507T3 (pl) * 2015-10-28 2023-03-27 Acuitas Therapeutics Inc. Nowe preparaty lipidów i nanocząstek lipidowych do dostarczania kwasów nukleinowych
GB201701239D0 (en) * 2017-01-25 2017-03-08 Glaxosmithkline Biologicals Sa Novel formulation
WO2020069718A1 (en) * 2018-10-01 2020-04-09 Johannes Gutenberg-Universität Mainz Rna particles comprising polysarcosine

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022101461A1 (en) 2022-05-19
EP4243790A1 (en) 2023-09-20
US20230414516A1 (en) 2023-12-28
AU2021376893A9 (en) 2024-02-08
AU2021376893A1 (en) 2023-06-15
CA3198538A1 (en) 2022-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2022095702A (ja) 脂質ナノ粒子の安定化製剤
AU2009200127B2 (en) Preservation of bioactive materials by freeze dried foam
JP5307801B2 (ja) 凍結乾燥フォームによる生物活性材料の防腐
JP2020532528A (ja) 脂質ナノ粒子の生成方法
WO2020061457A1 (en) Preparation of lipid nanoparticles and methods of administration thereof
JP2023552681A (ja) 製剤安定化の向上および凍結乾燥プロセスの改善
AU2022361755A1 (en) Immunogenic lnp compositions and methods thereof
CN116782889A (zh) 增强的制剂稳定性和改善的冻干工艺
EP4333880A1 (en) Immunogenic composition against influenza
CA3229958A1 (en) Lyophilised formulations of mrna adsorbed onto lipid nano-emulsion particles
Liu et al. Design Strategies for and Stability of mRNA-Lipid Nanoparticle COVID-19 Vaccines.
TW202346584A (zh) 含核酸組合物之連續旋轉冷凍乾燥
EP4271389A1 (en) Compositions and methods for delivery of rna
WO2023002223A1 (en) Nucleic acid vector compositions
WO2024084089A1 (en) Methods and uses associated with liquid compositions
CN116549626A (zh) 一种载核酸脂质纳米颗粒冻干制剂及其制备方法与应用