JP2023551468A - 硫黄-架橋可能なゴム混合物、加硫物、及び車両用タイヤ - Google Patents

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コンチネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
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Abstract

本発明は、硫黄-架橋可能なゴム混合物、加硫物、及び車両用タイヤに関する。その硫黄-架橋可能なゴム混合物には、少なくとも以下の成分が含まれる:50~100phrの少なくとも1種のポリイソプレン(これは、天然及び合成のポリイソプレンからなる群から選択される);及び5~500phrの少なくとも1種のケイ酸;及び少なくとも1種の、一般実験式I)、(R1)oSi-R2-Sn-R2-Si(R1)oを有するシランB[式中、基R2は、それぞれに独立して、同じであっても異なっていてもよく、6~20個の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を有する非分岐状のアルキレン基であり、ここで、nは、2~10の整数である]。

Description

本発明は、硫黄-架橋可能なゴム混合物、それらの加硫物、及び車両用タイヤに関する。
各種の成分のゴム混合物が、車両用タイヤのドライビング性能及び実用寿命に、大きく影響する。それと同時に、内部タイヤ(internal tire)の構成成分又はそれらの混合物(これは、ボディ混合物(body mixture)とも呼ばれる)は、道路と接触状態になるトレッドと同様に、タイヤの耐久性及び実用寿命に影響する。周知のように、内部タイヤの構成成分にはさらに、補強のための強度メンバー、たとえばベルトプライも含まれる。それらの強度メンバーは、1種又は複数のゴム混合物によって、覆い込まれている(ensheathed)、したがって、ゴム被覆される。それに相当するゴム混合物もまた、ゴム被覆混合物と呼ばれる。
そのようなゴム被覆混合物は、たとえば、欧州特許第2746327B1号明細書にも記載されている。
そのゴム被覆混合物においては、内部タイヤの構成成分の場合では一般的であるように、極めて重大なファクターとして、ドライビング操作の際の応力が原因の発熱性及び耐久性が挙げられる。
本発明の目的は、特には内部タイヤの構成成分のため、そして特には強度メンバーを覆い込むためのゴム混合物を提供することであり、それは、より低い、したがって改良された発熱性及び改良された引裂性能を特徴としている。それと同時に、そのゴム混合物は、より良好な加工性を有していなければならない。
その目的は、以下のものを含むゴム混合物により達成される:
- 50~100phrの、天然及び合成のポリイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種のポリイソプレン、及び
- 5~500phrの少なくとも1種のシリカ、及び
- 少なくとも1種の、一般実験式I)を有するシランB、
Figure 2023551468000001
[式中、2個のoは、独立して、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、1、2、又は3の値をあててよく、R基は独立して、同じであっても異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基、4~10個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、6~20個の炭素原子を有するフェノキシ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、2~20個の炭素原子を有するアルケニル基、2~20個の炭素原子を有するアルキニル基、7~20個の炭素原子を有するアラルキル基、ハライド、又はアルキルポリエーテル基の-O-(R-O)-R(ここで、Rは、同じであるか若しくは異なっていて、分岐状若しくは非分岐状で、飽和若しくは不飽和の、脂肪族、芳香族、若しくは混合脂肪族/芳香族の橋架けC~C30炭化水素基、好ましくは-CH-CH-であり、rは、1~30、好ましくは3~10の整数であり、Rは、非置換若しくは置換で、分岐状若しくは非分岐状の、末端アルキル、アルケニル、アリール若しくはアラルキル基、好ましくは-C1327アルキル基である)から選択されるか、
又は、
2個のRが、2~10個の炭素原子を有する環状ジアルコキシ基を形成するか(この場合には、oは3未満である)、
又は、式I)の2個以上のシランが、R基を介して橋架けされていてもよく、式I)において、それぞれの(RSi-基の中で、少なくとも1個のRが上述の選択肢から選択されるという条件下で、このRが、i)酸素原子を介してケイ素原子に結合されているか、或いは、ii)ハライドであり;
基が、独立して、同じであっても異なっていてもよく、6~20個の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を有する、非分岐状のアルキレン基であり、nが、2~10の整数である。]。
驚くべきことには、上述の成分の組み合わせによって、発熱性及び摩擦性における改良が達成できるということが見出された。
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種のゴム混合物の加硫物も提供する。
本発明はさらに、少なくとも一つの構成要素の中に、少なくとも1種の、本発明のゴム混合物の本発明の加硫物を含む、車両用タイヤも提供する。
本発明の車両用タイヤには、好ましくは、本発明の加硫物が、特にはゴム被覆混合物として、特には、スチールコードゴム被覆及び/又はベルトゴム被覆として、並びに/又はサイドウォールの中、及び/又はトレッドの中、及び/又はまた別のタイヤの構成要素、たとえば特にはベルトクッションの中に含まれている。
本発明の有利な実施形態においては、その車両用タイヤに、少なくとも内部構成要素(internal component)の中の、たとえば、特にはゴム被覆混合物として、たとえば、特にはベルトのゴム被覆として、及び/又はベルトクッションとして、本発明の少なくとも1種の加硫物が含まれる。
しかしながら、本発明のゴム混合物は、原理的には、サイドウォール及び/又はトレッドにも、同様に適している。
本発明の加硫物及び本発明の車両用タイヤは、特に、改良された耐久性及び実用寿命を特徴としている。
車両用タイヤとは、本発明の文脈においては、空気式の車両用タイヤ及び全ゴム(all-rubber)タイヤ、たとえば、工場及び建築現場用の車両のためのタイヤ、トラックのタイヤ、乗用車のタイヤ、及び自転車のタイヤを意味すると理解されたい。
本発明のゴム混合物はさらに、たとえばベローズ、コンベア用ベルト、空気バネ、ベルト、伝動ベルト又はホース、及び靴底などの、その他の工業的ゴム物品にもまた適している。
以下において、本発明の硫黄-架橋可能なゴム混合物の構成成分について詳しく説明する。すべての見解はさらに、本発明の加硫物、及び少なくとも1種の構成要素の中に、少なくとも1種の本発明のゴム混合物の本発明の加硫物を含む本発明の車両用タイヤにも関連する。
本発明には、特許請求項又はその他で反映されている、すべての有利な構成が包含される。より具体的には、本発明にはさらに、たとえば、ゴム混合物の中の成分の各種の特徴、それらの特徴の各種の好適さのレベルの組み合わせから得られる構成も包含されるが、そのようなものとしてはたとえば以下のことが挙げられる:「好ましい」とされた第一の特徴、又は有利な実施形態の文脈において記述された特徴と、たとえば「特に好ましい」と記述された特徴との組み合わせが、技術的な理由又はその内容から、そうではないと明らかである場合を除いて、本発明に包含される。
本明細書で使用される、「phr(parts per hundred parts of rubber by weight)」という単位は、ゴム工業において混合物の配合で慣用されている量の単位である。本明細書における個々の物質の重量部の使用量(dosage)は、GPCにより、20,000g/molよりも大きい分子量Mを有する、混合物の中に存在している全部のゴムの合計質量の100重量部を基準としている。
本明細書で使用される、「phf(parts per hundred parts of filler by weight)」という単位は、ゴム工業において、充填剤のためのカップリング剤について、慣用されている量の単位である。
本出願の文脈においては、phfは、存在しているシリカに関連しているが、それは、存在している各種その他の充填剤たとえばカーボンブラックなどは、シランの量の計算には含まれないということを意味している。
本発明のゴム混合物には、50~100phr、好ましくは70~100phr、より好ましくは75~100phrの、天然ポリイソプレン(NR)及び合成ポリイソプレン(IR)から選択される少なくとも1種のポリイソプレンが含まれる。
そのポリイソプレン(1種又は複数)が、250,000~5,000,000g/molの、GPCによる重量平均分子量Mを有しているのが好ましい。
すべての実施形態における天然及び/又は合成のポリイソプレンは、cis-1,4-ポリイソプレン又は3,4-ポリイソプレンのいずれかであってよい。しかしながら、90重量%より大のcis-1,4含量を有するcis-1,4-ポリイソプレンを使用するのが好ましい。第一には、そのようなポリイソプレンは、Ziegler-Natta触媒を用いて溶液中で立体特異性重合させるか、又は微細に分散させたリチウムアルキルを使用することによって得ることができる。第二には、天然ゴム(NR)がcis-1,4-ポリイソプレンであり、天然ゴム中のcis-1,4含量は、99重量%よりも高い。
それらに加えて、1種又は複数の天然ポリイソプレンと1種又は複数の合成ポリイソプレンとの混合物もまた考えられる。
本発明の文脈においては、「天然ゴム」は、ヘベアゴムの木及び「非ヘベア」出発源から得ることが可能な、天然に産出されるゴムを意味していると理解されたい。非ヘベア出発源は、たとえば、グアユールブッシュ及びタンポポ、たとえばTKS(タラクサクム・コク-サギズ(Taraxacum kok-saghyz);ロシアタンポポ)である。
そのゴム混合物が、100phr未満のNR及び/又はIRを含む場合には、それには、少なくとも1種のさらなるジエンゴムが含まれる。
ジエンゴムとは、ジエン及び/又はシクロアルケンを重合又は共重合させることによって形成され、そのために、主鎖又は側基のいずれかにC=C二重結合を有しているゴムを指している。
この場合、そのさらなるジエンゴムは、好ましくは、以下のものからなる群から選択される:エポキシ化されたポリイソプレン、ブタジエンゴム(BR)、ブタジエン-イソプレンゴム、溶液重合法スチレン-ブタジエンゴム(SSBR)、エマルション重合法スチレン-ブタジエンゴム(ESBR)、スチレン-イソプレンゴム、20,000g/molより大の分子量Mを有する液状ゴム、ハロブチルゴム、ポリノルボルネン、イソプレン-イソブチレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アクリレートゴム、フルオロゴム、シリコーンゴム、ポリスルフィドゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンターポリマー、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム、及び水素化スチレン-ブタジエンゴム。
特に、ニトリルゴム、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、又はエチレン-プロピレン-ジエンゴムは、産業用ゴム物品たとえば、ベルト、伝動ベルト及びホース、及び/又は靴底の製造で使用されている。ここで好適に採用される混合組成物は、これらのゴムに対して当業者に公知のもの、特に、充填剤、可塑剤、加硫系及び添加物である。
有利な実施形態においては、そのさらなるジエンゴムが、特に車両用タイヤにおけるゴム混合物の使用の場合においては、以下のものからなる群から選択される:ブタジエンゴム(BR)、溶液重合法スチレン-ブタジエンゴム(SSBR)、エマルション重合法スチレン-ブタジエンゴム(ESBR)、ブチルゴム(IIR)、及びハロブチルゴム。
本発明の有利な実施形態においては、そのゴム混合物には、75~99phrのNRと1~25phrのBR、好ましくは75~85phrのNRと15~25phrのBR、たとえばそして特には、80phrのNRと20phrのBRとが含まれる。
そのようなゴム混合物は、ゴム被覆混合物として、特にはベルトのゴム被覆として特によく適しており、本発明の基本となる目的が特に良好に達成される。
本発明においては、そのゴム混合物には、5~500phrの、少なくとも1種のシリカが含まれる。
そのシリカは、タイヤゴム混合物のための充填剤として適切な、当業者に公知のタイプのシリカであってよい。しかしながら、35~400m/g、好ましくは35~350m/g、より好ましくは85~320m/g、最も好ましくは120~235m/gの窒素法表面積(BET表面積)(DIN ISO 9277及びDIN 66132による)、並びに、30~400m/g、好ましくは30~330m/g、より好ましくは80~300m/g、最も好ましくは110~230m/gのCTAB表面積(ASTM D 3765による)を有する、微細な沈降シリカを使用するのが特に好ましい。タイヤトレッドのためのゴム混合物においては、たとえば、そのようなシリカは、その加硫物に特に良好な物理的性質を与える。さらには、混合物の加工において、同じ製品性能とするにも、混合時間が短縮され、それにより生産性が改良されるという利点も発生する可能性がある。使用されるシリカは、したがって、たとえば、Evonik製のUltrasil(登録商標)VN3タイプ(商品名)、及びHDシリカと呼ばれる微細シリカ(たとえば、Solvay製のZeosil(登録商標)1165MP)であってよい。
本発明の好ましい実施形態においては、本発明のゴム混合物には、20~300phr、好ましくは20~250phr、より好ましくは40~150phr、さらにより好ましくは40~100phr、より好ましくはさらに50~70phrの、少なくとも1種のシリカが含まれる。
本発明のゴム混合物の中に、たとえば、BET表面積の点で異なる少なくとも2種の異なったシリカが存在する場合には、上記の量は、いずれの場合においても、存在している全部のシリカの合計量を基準としたものである。
本発明のゴム混合物にはさらに、少なくとも1種のカーボンブラック、特に産業用カーボンブラックが含まれていてもよい。
有用なカーボンブラックとしては、当業者に公知のすべてのタイプのカーボンブラックが挙げられる。
一つの実施形態においては、そのカーボンブラックが、30~250g/kg、好ましくは30~180g/kg、より好ましくは40~180g/kg、最も好ましくは40~130g/kgの間の、ASTM D 1510によるヨウ素価(iodine number)(ヨウ素吸着価(iodine adsorption number)とも呼ばれる)と、30~200mL/100g、好ましくは70~200mL/100g、より好ましくは90~200mL/100gの、ASTM D 2414によるDBP価(DBP number)とを有している。
ASTM D 2414によるDBP価は、フタル酸ジブチルの手段による、カーボンブラック又は淡色の充填剤の比吸収体積(specific absorption volume)を規定する。
ゴム混合物において、特には車両用タイヤのために、そのようなタイプのカーボンブラックを使用することによって、耐摩耗性と発熱性との間の最良で可能な妥協点が確保され、したがってそれが、環境の面で重要な転がり抵抗にも影響する。この場合、それぞれのゴム混合物の中で、一つだけのタイプのカーボンブラックを使用するのが好ましいが、ゴム混合物の中で異なったタイプのカーボンブラックを混合することもまた可能である。存在させるカーボンブラックの合計量は、好ましくは、0~250phrである。
本発明の有利な実施形態においては、そのゴム混合物に、0~20phr、好ましくは0~10phrの少なくとも1種のカーボンブラック、及び40~500phr、好ましくは40~100phrの少なくとも1種のシリカが含まれる。
本発明のゴム混合物には、好ましくは、最小量の、すなわち、好ましくは0~20phr、より好ましくは0~10phrのさらなる充填剤が含まれていてもよい。そのさらなる(非補強性)充填剤としては、本発明の文脈においては、アルミノシリケート、カオリン、チョーク、デンプン、酸化マグネシウム、二酸化チタン、又はゴムゲル、及び繊維(たとえば、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維)が挙げられる。
さらなる補強性又は非補強性充填剤は、たとえば、カーボンナノチューブ(CNT)(ディスクリートCNT(これは、中空炭素繊維(HCF)とも呼ばれる)、並びに1種又は複数の官能基たとえば、ヒドロキシ、カルボキシ、及びカルボニル基を含む、モディファイドCNTを含む)、グラファイト、及びグラフェン、並びに、「カーボン-シリカ二相充填剤」と呼ばれているものである。
本発明の文脈においては、酸化亜鉛は、充填剤の中には含まれない。
本発明においては、そのゴム混合物には、一般実験式I)を有する、少なくとも1種のシランBが含まれる。
Figure 2023551468000002
(定義は、上述)
本発明において存在させる少なくとも1種のシランBは、S基が存在するため及びnが少なくとも2であるために、硫黄基Sの手段によって、ポリマーに結合することが可能なシランである。ここでのnは、2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6の整数であり、nの値が異なる、異なった分子の混合物であってもよい。
最も好ましくは、nが、2~4の整数である。
本発明の特に有利な実施形態においては、nが2である。
本発明のさらなる特に有利な実施形態においては、nが4である。
さらには、R基が、独立して、同じであっても異なっていてもよく、6~20個の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を有する非分岐状のアルキレン基であるということが本発明にとっては絶対に必要である。
驚くべきことには、特には、シランの中に3個の炭素原子を有するプロピルを有する、たとえば、TESPD(3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)又はTESPT(3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)から、6~20個の炭素原子にまで、R基を拡張することによって、本発明の基本となる目的が達成されるということが見出された。
が、両側で同じであり、したがって、好ましくは-(CH-基であるのが、より好ましい。
基、及びすでに述べたような、R基を介しての1個又は複数のシランの橋架けがすべて、シリル基の内部で相互に結合されていてもよい。
2個のRが、2~10個の炭素原子を有するジアルコキシ基に相当し、o<3(oが3未満である)であるならば、そのケイ素原子は、環構造の一部である。
2個の式I)のシランが、相互に橋架けされているならば、それらが、R基を共有するか、又は2個のSi-R-基が組み合わさることによって、酸素原子を介して相互に結合されている。このようにして、3個以上のシランが、相互に結合されているということもまた可能である。したがって、式I)のシランを合成した後では、酸素原子又はR基を介して、相互に橋架けされていると考えることもできる。このようにして、3個以上のシランが、たとえばジアルコキシ基を介して、相互に結合されているということもまた可能である。
したがって、本発明のゴム混合物にはさらに、加水分解及び縮合によるか、又はシランBのRとしてのジアルコキシ基の手段によって形成されるオリゴマーを含んでいてもよい。
式I)のシランは、それぞれの(RSi-基において、少なくとも1個のRが、その中でこのRが、i)酸素原子を介してケイ素原子に結合されているか、又はii)ハライドであるかの上述の選択肢から選択されるという条件のために、それぞれの(RSi-基の中に、脱離基として機能することが可能な、少なくとも1個のR基を含む。
より具体的には、それらは、したがって、アルコキシ基、フェノキシ基、又は酸素原子又はハライドによってケイ素原子に結合されている、先に述べたその他各種の基である。
基が、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、又は1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基、又はハライドを含んでいるのが好ましく、1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基が、特に好ましい。
好ましくは、それぞれの(RSi-基において、少なくとも1個のRが、1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基であれば、好ましく、1~6個の炭素原子を有していれば、より好ましい。
その分子の両側にあるoが3であるのが、好ましい。
本発明の特に有利な実施形態においては、シリル基(RSi-の中のR基が同じであり、1~3個の炭素原子を有する、好ましくはさらには1個又は2個の炭素原子を有するアルコキシ基、すなわち、メトキシ基又はエトキシ基、最も好ましくはエトキシ基であり、ここで、oは、3である。
それはさらに、オリゴマーの場合、又は2個のRがジアルコキシ基の場合にも当てはまり、他のR基が、好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基若しくはハライド、又は1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくは1個若しくは2個の炭素原子、すなわち、メトキシ基若しくはエトキシ基、最も好ましくはエトキシ基である。
本発明の文脈においては、シランの式の中で、エトキシ基は「EtO」又は「OEt」という、簡略化された形式で示される。これら二つの表記法(notation)は、アルコキシ基たとえばエトキシ基が、酸素原子Oを介してケイ素原子Siに結合されていることを表している。
しかしながら、原理的には、その略号「OEt」又は「EtO」は、本発明の文脈においては、同義語とし使用することもできる。
本発明の好ましい実施形態においては、そのシランBが、次の式II):
Figure 2023551468000003
[ここで、EtOはエトキシ基を表す]
の構造を有している。
本発明のさらなる好ましい実施形態においては、そのシランBが、次の式III):
Figure 2023551468000004
[ここで、EtOはエトキシ基を表す]
の構造を有している。
特に式II)及び/又はIII)のシランを用いると、本発明の基本となる目的が、特に効率的な方法で達成される。
式III)のシランは、たとえば、欧州特許出願公開第3567078A1号明細書又は欧州特許出願公開第3312232A1号明細書に開示されている。それは、特には、欧州特許出願公開第3567078A1号明細書のパラグラフ[0097]をパラグラフ[0095]と組み合わせた方法に従って、1モルの硫黄を使用して、調製される。
式II)のシランも、同様にして、特には欧州特許出願公開第3567078A1号明細書の[0095]に従い、硫黄を1.2モルではなく、3モルの量で使用することにより、調製される。
本発明のゴム混合物が、式I)の2種のシランの混合物、たとえば式II)のシランと式III)のシランとの混合物を含むということもまた、考えられる。
式I)で表されるシランBの存在させる合計量は、好ましくは0.1~30phf、好ましくは0.5~20phf、より好ましくは0.5~15phfである。
特に、好ましい及び特に好ましい量、及び開発又は実施形態の結果として、改良された加工性、並びに発熱性及び引裂性能に関連した改良された性質が得られる。
本発明において存在するシランB(1種又は複数)を、支持体、たとえばワックス、ポリマー、又はカーボンブラックに適用し、その形態でゴム混合物に適用してもよい。本発明において存在するシランB(1種又は複数)をシリカに適用していてもよいが、その場合、その結合は、物理的又は化学的手段によるものであってよい。
本発明において存在するシランBをシリカに適用することによって、たとえば、揮発性の副生物、たとえばエトキシ置換されたシラン(R=エトキシ)の使用の場合におけるエタノール、の放出が低減される。
本発明のゴム混合物が、シランBではない、少なくとも1種のさらなるシランカップリング剤を含むということもさらに考えられる。
それに加えて、そのゴム混合物には、充填剤、特にカーボンブラックを結合させるための、さらなる活性化剤及び/又は反応剤が含まれていてもよい。それらは、たとえば、欧州特許出願公開第2589619A1号明細書に開示されている化合物の、S-(3-アミノプロピル)チオ硫酸、及び/又はそれらの金属塩であってよく、それによって、特に、充填剤としての少なくとも1種のカーボンブラックと組み合わせた場合において、ゴム混合物の極めて良好な物理的性質が得られる。
本発明のゴム混合物は、好ましい実施形態においては、強度メンバーを覆い込む(ゴム被覆する)ように設計されている。この目的のためには、それが、そのゴム混合物を織物又は金属系の強度メンバーに結合させるための、結合系を含んでいるのが好ましい。
その混合物が、織物の強度メンバーのために使用されるか、又は金属系の強度メンバーのために使用されるかに従って、ゴム-織物を接着させるための結合系か、又はゴム-金属を接着させるための結合系かのいずれかが採用される。
その結合系が、特には有機コバルト塩から選択される、コバルト化合物をベースとするスチールコード結合系、並びに補強性樹脂及び2.5phrを越える硫黄であるのが好ましい。そのような混合物が、金属系の強度メンバーと接触状態にあると、接着性及びクラッキング特性における改良に、特にプラスの効果をもたらすが、その理由は、その金属系の強度メンバーが、接着性を失い、そしてクラッキングを受けるようなことになると、それにより、そのエラストマー製品、特には空気式車両用タイヤの寿命が大幅に損なわれるからである。
その有機コバルト塩は、典型的には、0.1~3phrの量で使用される。使用されるコバルト塩は、たとえば、ステアリン酸コバルト、ホウ酸コバルト、ホウ酸アルカン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ロジン酸コバルト、オクタン酸コバルト、アジピン酸コバルトなどであってよい。
使用される補強性樹脂は、レソルシノール・ホルムアルデヒド樹脂、たとえばレソルシノール-ヘキサメトキシメチルメラミン樹脂(HMMM)、又はレソルシノール-ヘキサメチレンテトラミン樹脂(HEXA)、又は変性フェノール樹脂、たとえばAlnovol(登録商標)のグレードであってよい。レソルシノール樹脂の初期縮合物を使用することもまた可能である。
本発明のゴム混合物は、好ましくは2.5~8phrの硫黄、より好ましくは3~8phrの硫黄を含んでいる。
本発明の有利な実施形態においては、そのゴム混合物は、3.5~5phrの硫黄を含んでいる。
本発明の有利な実施形態においては、そのゴム混合物に、有機コバルト塩、及び補強性樹脂、及び2.5phrを越える、特には3~6phrの硫黄をベースとする、スチールコード結合系が含まれる。上記の見解は、コバルト塩及び補強性樹脂に対しても適用可能である。
それに加えて、そのゴム混合物には、慣用される添加物が、慣用される重量比で含まれていてよく、それらは、好ましくは、それらの製造過程における、少なくとも一つの基本的混合ステージで添加される。それらの添加剤としては、以下のものが挙げられる:
a)老化安定剤たとえば、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’-ジトリル-p-フェニレンジアミン(DTPD)、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(IPPD)、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(TMQ)、
b)活性剤、たとえば酸化亜鉛及び脂肪酸(たとえば、ステアリン酸)及び/又はその他の活性剤たとえば、亜鉛錯体たとえば、亜鉛エチルヘキサノエート、
c)ワックス、
d)炭化水素樹脂たとえば、適切であるならば、特には粘着性付与樹脂、
e)素練り助剤たとえば、2,2’-ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(DBD)、及び
f)加工助剤たとえば、特に脂肪酸エステル及び金属石鹸たとえば、亜鉛石鹸及び/又はカルシウム石鹸、
g)可塑剤。
本発明の文脈において使用される可塑剤としては、当業者に公知のすべての可塑剤、たとえば以下のようなものが挙げられる:芳香族、ナフテン系若しくはパラフィン系鉱油可塑剤、たとえばMES(mild extraction solvate=マイルド抽出溶媒和化合物)、若しくはRAE(residual aromatic extract=残存芳香族抽出物)、若しくはTDAE(treated distillate aromatic extract=処理留出物芳香族抽出物)、若しくはRTL(rubber-to-liquid oil=ゴム-to-液状オイル)、若しくはBTL(biomass-to-liquid oil=バイオマス-to-液状オイル)、好ましくは、IP346法で測定して、3重量%未満の多環芳香族化合物含量を有するもの、又はトリグリセリド、たとえばナタネ油、若しくは加硫油、又は500~20,000g/molの間の平均分子量(BS ISO 11344:2004に従い、GPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定)を有する、炭化水素樹脂若しくは液状ポリマー。本発明のゴム混合物において、可塑剤として追加の液状ポリマーを使用するのなら、それらは、ポリマーマトリックスの組成の計算におけるゴムには含まれない。
可塑剤は、上述の可塑剤からなる群から選択するのが、好ましい。
可塑剤は、炭化水素樹脂、液状ポリマー、及び鉱油からなる群から選択するのが、より好ましい。
鉱油を使用する場合には、以下のものからなる群から選択するのが好ましい:DAE(distillate aromatic extracts)及び/又はRAE及び/又はTDAE及び/又はMES及び/又はナフテン系オイル。
本発明の好ましい実施形態においては、そのゴム混合物には、可塑剤として、少なくとも1種の鉱油可塑剤、好ましくは少なくともTDAE及び/又はRAEが含まれる。このことにより、ゴム混合物の、特に良好な加工性、特には、良好な混和性が得られる。
本発明の好ましい実施形態においては、そのゴム混合物に、可塑剤として、少なくとも1種の液状ポリマーが含まれる。
本発明の好ましい実施形態においては、そのゴム混合物に、可塑剤として、少なくとも1種の炭化水素樹脂が含まれる。
当業者には自明のことであろうが、炭化水素樹脂は、モノマーから形成されたポリマーであり、ここでその炭化水素樹脂は、形式上は、モノマーを相互に結合させることによる、モノマーの誘導体から構成されている。しかしながら、それらの炭化水素樹脂は、本発明の文脈においては、ゴムとしてはカウントされない。「炭化水素樹脂」という用語には、本出願の文脈においては、炭素原子及び水素原子を有する樹脂を意味しており、任意選択により、ヘテロ原子たとえば、特には、酸素原子を含んでいてもよい。その炭化水素樹脂は、ホモポリマーであっても、或いはコポリマーであってもよい。
合計した量の中の、さらなる添加剤の比率は、3~150phr、好ましくは3~100phr、より好ましくは5~80phrである。
そのさらなる添加物の合計の比率には、酸化亜鉛(ZnO)が含まれていてもよい。
それは、当業者に公知の酸化亜鉛のタイプのいずれか、たとえばZnOの粒状物又は粉体であってよい。慣用されている酸化亜鉛は、一般的には、10m/g未満のBET表面積を有している。別法として、10~100m/gのBET表面積を有する酸化亜鉛、たとえば「ナノ酸化亜鉛」と呼ばれているものを使用することもまた可能である。
本発明の有利な実施形態においては、そのゴム混合物には、1~10phr、好ましくは3~10phr、より好ましくは7~9phrの酸化亜鉛が含まれる。
加硫は、好ましくは、硫黄及び/又は硫黄供与体の存在下、加硫促進剤も併用して実施されるが、いくつかの加硫促進剤は、硫黄供与体として同時に作用することも可能である。
硫黄及び/又はさらなる硫黄供与体、並びに1種又は複数の加硫促進剤が、最後の混合工程において、ゴム混合物へ添加される。この場合、加硫促進剤は、以下のものからなる群から選択される:チアゾール系加硫促進剤及び/又はメルカプト系加硫促進剤及び/又はスルフェンアミド系加硫促進剤及び/又はチオカルバメート系加硫促進剤及び/又はチウラム系加硫促進剤及び/又はチオホスフェート系加硫促進剤及び/又はチオ尿素系加硫促進剤及び/又はキサントゲネート系加硫促進剤及び/又はグアニジン系加硫促進剤。
以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のスルフェンアミド加硫促進剤を使用するのが好ましい:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)及び/又はN,N-ジシクロヘキシルベンソチアゾール-2-スルフェンアミド(DCBS)及び/又はベンゾチアジル-2-スルフェンモルホリド(MBS)及び/又はN-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)。
本発明の好ましい実施形態においては、そのゴム混合物に、DCBSが加硫促進剤として含まれる。反応速度論的に、比較的に遅いために、このものは、ゴム混合物へのスチールコードの接着に、特に有利であることが見出された。
ここで使用される硫黄供与性物質は、当業者に公知の各種の硫黄供与性物質であってよい。ゴム混合物に硫黄供与性物質を含ませる場合には、たとえば、以下のものを含む群から選択するのが好ましい:チウラムジスルフィド、たとえばテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)及び/又はテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)及び/又はテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、及び/又はチウラムテトラスルフィド、たとえばジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、及び/又はジチオホスフェート、たとえば、DipDis(ビス(ジイソプロピル)チオホスホリルジスルフィド)及び/又はビス(O,O-2-エチルヘキシル-チオホスホリル)ポリスルフィド(たとえば、Rhenocure SDT 50(登録商標)、Rheinchemie GmbH製)及び/又は亜鉛ジクロリルジチオホスフェート(たとえば、Rhenocure ZDT/S(登録商標)、Rheinchemie GmbH製)及び/又は亜鉛アルキルジチオホスフェート、及び/又は1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン及び/又はジアリールポリスルフィド、及び/又はジアルキルポリスルフィド。
ゴム混合物の中で、たとえば商品名Vulkuren(登録商標)、Duralink(登録商標)又はPerkalink(登録商標)として入手可能なさらなるネットワーク形成系、又は国際公開第2010/049216A2号パンフレットに記載されているような、さらなるネットワーク形成系もまた使用することが可能である。この系には、5個以上の官能基を用いて架橋する加硫剤と、少なくとも1種の加硫促進剤とが含まれる。
本発明のゴム混合物は、車両用タイヤを製造するため、並びに伝動ベルト、ベルト、及びホースを製造するために使用される。
より具体的には、そのゴム混合物が、車両用タイヤの少なくとも1種の内部構成要素を製造するのに役立つ。その車両用タイヤは、その中で強度メンバーが使用される、考えられるあらゆるタイプのタイヤであってよい。
本発明のさらなる態様は、本発明のゴム混合物を用いて覆い込まれた強度メンバーである。
上述の見解はすべて、本発明のゴム混合物の構成要素に適用することが可能である。
本発明の強度メンバーは、好ましくは、少なくとも1種のスチールで構成されている。
本発明のゴム混合物は、特にスチールコードゴム用の被覆混合物であり、ゴム混合物のスチールに対する良好な接着性の点で、本発明に伴う利点を与えている。
スチール製の強度メンバーは、原理的には、当業者に公知である、各種のスチール製の強度メンバーであってよい。この文脈においては、当業者が、その強度メンバーの構成、特にはそれらの強度クラスを選択することが可能である。
そのゴム混合物は、ゴム工業において慣用されている方法によって製造されるが、そこでは、最初に、加硫系(硫黄及び加硫に影響する物質)以外のすべての成分を含むベース混合物が、一段又は複数の混合ステージで製造される。最後の混合ステージで加硫系を添加することによって、すぐに使用することが可能な混合物で得られる。
ゴム被覆混合物の場合においては、その強度メンバーが、本発明のゴム混合物を用いて、部分的又は全面的に覆い込まれる。これは、ゴム混合物をカレンダリングすることによって達成されるが、その場合、ゴム混合物から薄いシートを製造し、それを、強度メンバーの上下に配する。そのゴム混合物が、その強度メンバーの外部及び内部に浸透する。定寸に切断した後では、当業者には公知のように、それらの強度メンバーがそのゴム混合物を備えていて、必要とされる最終製品を製造するために、さらに使用される。
車両用タイヤの中の、トレッド、サイドウォール、又はその他のボディ混合物として使用するための本発明のゴム混合物は、先に述べたようにして製造される。混合物の、押出し操作又はカレンダリングの成形には、違いがある。このようにして得られた、一つ又は複数の異なったボディ混合物、サイドウォール、又はトレッドのための、まだ未加硫のゴム混合物の成形は、次いで、タイヤブランク(tire blank)の構成に役立つ。
ここで、表1にまとめた、比較例及び作業実施例により、本発明を詳しく説明する。
本発明のゴム混合物(E1)及び比較例の混合物(V1)は、それぞれ、スチールコードのためのゴム被覆混合物である。
phfの単位で表したシランの量は、60phrのシリカに対するものである。
E1対V1の場合においては、等モル量のシランの置き換えが存在し、その結果が、phfにおける量の違いになっていた。
それらの混合物は、別の方法として、ゴム工業において慣用される方法により、容量300ミリリットル~3リットルの実験室ミキサーの中で、標準条件下3ステージで作製したが、この場合、その第一混合ステージ(ベース混合ステージ)において、最初に、加硫系(硫黄、及び加硫に影響を与える物質)以外の構成成分を全部、145~165℃(目標温度152~157℃)で、200~600秒かけて混合した。その第二ステージにおいて、ステージ1からの混合物をもう一度混合して、「再粉砕(remill)」とよばれることを実施した。第三ステージ(レディミックス(ready-mix)ステージ)において加硫系を添加し、90~120℃で180~300秒間混合することにより、仕上がり混合物を作製した。
すべての混合物を使用して、t95~t100(ASTM D 5289-12/ISO 6502に従い、ムービングダイレオメーターを使用して測定)の後に、加圧下、160℃~170℃で、加硫により試験片を作製し、それらの試験片を使用して、下記で規定される試験方法によって、ゴム工業では典型的な物性を確認した。
- ムーニー粘度(Visc.)(ML1+4)、100℃、ASTM D 1646(2004)に準拠
- レジリエンス、室温(RT)、DIN 53 512及びISO 4662に準拠
- 引張強度及び破断時伸び。100℃、DIN 53 504に準拠
- 55℃及び100℃での最大損失係数tan d(=tan δ max.)及び動的貯蔵モジュラスE’(DIN 53 513に従った動的機械的測定(0.15%の歪みスイープ、及び伸び8%)による)
- 接着性(ゴム被覆、室温RT、平均値)及び引抜き力(平均値)(ASTM D2229-10準拠)、使用したコード:1+50.4HT(高張力)
100℃での引張強度、100℃での破断時伸び、引抜き力、及び被覆率における数字はそれぞれ、それぞれの場合において、V1の性能を正規化して100%としたときの性能パーセントで与えられている。
使用した物質は、以下のとおりである:
a)シリカ:Hi-Sil EZ160G(PPG製)
b)加工助剤及び可塑剤:オイル及び炭化水素樹脂(可塑剤樹脂)
c)
Figure 2023551468000005
(欧州特許出願公開第3567078A1号明細書の[0095]に従って調製したもの、硫黄の量は、1.2モルではなく、3モルとした)
d)コバルト塩:ホウ酸アルカン酸Co、22.5重量%のコバルト
表1から明らかなように、シランB)を含む本発明のゴム混合物E1を用いると、TESPTを含むV1に比較して、55℃でのヒステリシスロス、tan d max.での値が、より低く、そしてレジリエンスが増大していることから認識されるように、より低い発熱性が達成される。それと同時に、100℃での引裂性能、特に引張強度及び破断時伸びが改良されている。
このことの一つの理由は、E1において改良された、充填剤の分散であろうと考えられるが、これは、ペイン効果の低下によって確認できる(参照:E’(0.15%)-(E’(8%)DKF55℃))。
高温での上述の性質は、ドライビング操作における応力に対する耐久性の点に特に関連し、意義があるが、その理由は、内部タイヤの構成要素が、特には、ドライビング操作において、周囲温度から進行して、昇温する(可能性がある)からである。
さらには、E1は、低下したムーニー粘度、したがってより良好な加工性を有している。それと同時に、スチールコードの接着性には、引抜き力及び被覆率から明らかなように、悪影響は出ない。
少なくとも一つの構成要素、特に内部構成要素の中に、たとえばそして特にはベルトのゴム被覆として、本発明の少なくとも1種のゴム混合物を含む車両用タイヤは、向上された実用寿命及び耐久性、並びにさらには、より低く、したがって改良された転がり抵抗を特徴としている。
Figure 2023551468000006

Claims (15)

  1. 硫黄-架橋可能なゴム混合物であって、少なくとも以下の構成成分:
    - 50~100phrの、天然及び合成のポリイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種のポリイソプレン、及び
    - 5~500phrの少なくとも1種のシリカ、及び
    - 少なくとも1種の、一般実験式I)を有するシランB、
    Figure 2023551468000007
    [式中、2個のoは、独立して、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、1、2、又は3の値をあててよく、R基は独立して、同じであっても異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基、4~10個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、6~20個の炭素原子を有するフェノキシ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、2~20個の炭素原子を有するアルケニル基、2~20個の炭素原子を有するアルキニル基、7~20個の炭素原子を有するアラルキル基、ハライド、又はアルキルポリエーテル基の-O-(R-O)-R(ここで、Rは、同じであるか若しくは異なっていて、分岐状若しくは非分岐状で、飽和若しくは不飽和の、脂肪族、芳香族、若しくは混合脂肪族/芳香族の橋架けC~C30炭化水素基、好ましくは-CH-CH-であり、rは、1~30、好ましくは3~10の整数であり、Rは、非置換若しくは置換で、分岐状若しくは非分岐状の、末端アルキル、アルケニル、アリール若しくはアラルキル基、好ましくは-C1327アルキル基である)から選択されるか、
    又は、
    2個のRが、2~10個の炭素原子を有する環状ジアルコキシ基を形成するか(この場合には、oは3未満である)、
    又は、式I)の2個以上のシランが、R基を介して橋架けされていてもよく、
    式I)において、それぞれの(RSi-基の中で、少なくとも1個のRが、上述の選択肢から選択されるという条件下で、このRが、i)酸素原子を介してケイ素原子に結合されているか、或いは、ii)ハライドであり;
    基が、独立して、同じであっても異なっていてもよく、6~20個の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を有する非分岐状のアルキレン基であり、
    nが、2~10の整数である]、
    を含む、混合物。
  2. が、両方の側で同じであり、-(CH-基である、請求項1に記載のゴム混合物。
  3. それぞれの(RSi-基において、少なくとも1個のRが、1~10個の炭素原子を有するアルコキシ基である、請求項1又は2のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  4. 前記分子の両側にあるoが3である、請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  5. 前記分子の両側及び(RSi-基の内部で、全部のRが同じであり、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基である、請求項4に記載のゴム混合物。
  6. 前記分子の両側及び(RSi-基の内部で、全部のRが同じであり、エトキシ基である、請求項5に記載のゴム混合物。
  7. nが、2~8、好ましくは2~6の整数である、請求項1~6のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  8. 前記シランBが、次の式II):
    Figure 2023551468000008
    [ここで、EtOはエトキシ基を表す]
    の構造を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  9. 前記シランBが、次の式III):
    Figure 2023551468000009
    [ここで、EtOはエトキシ基を表す]
    の構造を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  10. 0.1~30phfのシランBを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  11. 強度メンバーを覆い込むように設計され、その目的のために、前記ゴム混合物を織物又は金属系の強度メンバーに結合させるための結合系を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1種のゴム混合物を硫黄加硫させることによって得られる、加硫物。
  13. 車両用タイヤであって、少なくとも一つの構成要素の中に、少なくとも1種の、請求項12に記載の加硫物を含む、車両用タイヤ。
  14. 少なくともゴム被覆混合物として、特にはスチールコードゴム被覆及び/又はベルトのゴム被覆として、並びに/又は、サイドウォールの中、及び/又はトレッドの中、及び/又はまた別のタイヤの構成要素、たとえば、特にはベルトクッションの中に、請求項12に記載の少なくとも1種の加硫物を含む、請求項13に記載の車両用タイヤ。
  15. 請求項1~11のいずれか一項に記載のゴム混合物の使用であって、ゴム物品、特には、空気バネ、ベローズのセット、コンベヤベルト、ベルト、伝動ベルト、ホース、ゴムバンド、異形材、シール、膜、医療用途若しくはロボット用途のための触覚センサー、又は靴底若しくはその一部を製造するための使用。
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