JP2023551194A - ウシ科動物抗体バリアント - Google Patents

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Abstract

本発明は、概して、ウシ科動物抗体バリアント及びそれらの使用に関する。具体的には、本発明は、様々な特徴を改善するためのウシ科動物抗体の定常領域における変異に関する。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月20日出願の米国仮特許出願第63/116491号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、概して、ウシ科動物抗体バリアント及びそれらの使用に関する。具体的には、本発明は、様々な特徴を改善するためのウシ科動物抗体のFc定常領域における1つ以上の変異に関する。
ウシ科動物IgGモノクローナル抗体(mAb)は、獣医学における有効な治療薬であり得る。数年前、3つのウシ科動物IgGサブクラスが同定された。しかしながら、ウシ科動物IgGの特徴の改善に関してはあまり研究されていない。
新生仔Fc受容体(FcRn)は、リサイクル機序を通じて、その断片結晶化可能(Fc)領域とのpH依存性相互作用において、IgGの半減期を延長する。具体的には、CH2及びCH3ドメインの界面に広がるFc領域は、細胞の表面上のFcRnと相互作用して、IgG恒常性を調節する。この相互作用は、IgGピノサイトーシス後の酸性相互作用に好ましく、したがって、IgGは分解から保護される。次いで、エンドサイトーシスされたIgGは、細胞表面にリサイクルされ、わずかにアルカリpHで血流中に放出され、それによって適切な機能にとって十分な血清IgGが維持される。したがって、IgGの薬物動態プロファイルは、それらのFc領域の構造的及び機能的特性に依存する。
Fc領域は、補体依存性細胞傷害性(CDC)、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、及び抗体依存性細胞食作用(ADCP)などの抗体エフェクター機能にも関与する。これらのエフェクター機能は、Fc領域とFcγRとの相互作用に依存する。したがって、FcγRとの相互作用を調整するようにFc領域を操作することは、治療用抗体の活性を増強するための有望なアプローチとして浮上した。
ヒトの健康において、数十年にわたるFc工学は、薬物動態及びエフェクター機能を改善する多数の変異の同定につながった。これまでのところ、そのようなFc工学研究はウシ科動物において報告されていない。
したがって、ウシ科動物IgGの様々な特徴を改善するために、新規のウシ科動物IgG Fc領域変異の必要性が存在する。
本発明は、野生型ウシ科動物IgGと比較して、所望の特徴を示す変異型ウシ科動物IgGに関する。具体的には、本出願の発明者らは、驚くべきことに、そして予想外にも、216位、234位、235位、237位、270位、329位、330位、331位、432位、434位、437位、又は433位(KabatにおけるEuインデックスに従って付番された)のアミノ酸残基を別のアミノ酸で置換することが、所望効果を示したことを見出した。例示的な実施形態では、予想外の所望の効果は、FcRnに対する親和性の向上、補体依存性細胞傷害性の低減(CDC)、抗体依存性細胞傷害性の低減(ADCC)、抗体依存性細胞食作用の低減(ADCP)、Fcγ受容体(bFcgR)への結合の低減、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
別の態様では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG定常ドメインを含む、修飾されたIgGであって、当該置換が、アミノ酸残基216、234、235、237、270、329、330、331、432、434、437、又は433にある、修飾されたIgGを提供する。
1つの例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG定常ドメインは、P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D216E、D270E、L432A、N434A、及びT437Aの置換のうちの1つ以上を含むIgG1定常ドメインである。
別の例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG定常ドメインは、A330S、L432A、N434A、及びM437Aの置換のうちの1つ以上を含むIgG2定常ドメインである。
更に別の例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG定常ドメインは、P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D270E、L432A、N434A、T437A、及びR433Hの置換のうちの1つ以上を含むIgG3定常ドメインである。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の本発明の1つ以上のアミノ酸置換を含むウシ科動物IgG定常ドメインを含む、ポリペプチドを提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の本発明の1つ以上のアミノ酸置換を含むウシ科動物IgG定常ドメインを含む、抗体又は分子を提供する。
更なる態様では、本発明は、抗体又は分子を産生又は製造するための方法であって、方法が、抗体をコードする核酸配列を有するベクター又は宿主細胞を提供することを含み、当該抗体が、本明細書に記載の本発明の1つ以上のアミノ酸置換を含むウシ科動物IgG定常ドメインを含む、方法を提供する。
本発明の他の特色及び利点は、以下の詳細な説明の例及び図面から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正が、この詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しながらも、例示としてのみ与えられることが理解されるべきである。
図面の簡単な説明
本特許又は出願書類には、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。カラーの図面を含む本特許又は特許出願公開の複写は、要望及び必要な料金の支払いに応じて、庁によって提供されるであろう。
エフェクター細胞の表面上のFcγ受容体へのIgG Fc結合によって誘発される標的細胞殺傷機能を図示する。 配列アラインメント、ウシ科動物IgGサブクラスを示す。3つの代表的なアロタイプを示す。CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインは次のとおりである:CH1:残基1~98、ヒンジ:99から垂直線;CH2:243への垂直線;CH3:244~351。重鎖間ジスルフィド結合に関与するシステインは、太字及び下線で示される。ウシIgG3aにおけるCH1エキソンの3’伸長は、イタリック文字で示される。ヒンジのすぐ下流にある太字のアミノ酸は、「Winter」又は「LALA」部位を表す。bIgG1a及びbIgG3aについて、これらの部位は、それぞれ、LPGG及びPLGGである。この部位は、bIgG2aにはない。ボックスには、bIgG1a及びbIgG3a CH2における「PAP」領域、並びにbIgG2aにおける「SAS」領域が含まれる。bIgG3aにおける二重下線アルギニン(R)は、ヒスチジン(H)への点変異に関与する残基である。 ウシ科動物IgG1サブクラスの3つの独自の対立遺伝子の配列アラインメントを示す。太字:アミノ酸「DP」領域は、プロテアーゼクリッピングを軽減するためにbIgG1a上で変異させた。下線:アミノ酸は、エフェクター機能をノックアウトするためにbIgG1a上で変異させた。bIgG1dは、bIgG1bと同義のアミノ酸配列を有するため、bIgG1アロタイプのアラインメントには含まれない。bIgG1に対して行われた全ての変異は、a及びbアロタイプと同一である。 ウシ科動物IgG2サブクラス、bIgG2a(NCBI X16702.1)及びbIgG2b(NCBI S82407)の2つの報告された対立遺伝子の、ウシから単離されたIgG2抗体の配列との配列アラインメントを示す。太字:アミノ酸は、エフェクター機能をノックアウトするためにbIgG2a上で変異させた。本発明者らは、乳牛からIgG抗体を単離し、配列決定は、図4に「ウシ配列からのbIgG2a」として示されるように、bIgG2aについて報告されたものからの2残基の逸脱を明らかにした。この配列は、bIgG2の新しいアロタイプを表し得るが、本特許出願の目的のために、それは、bIgG2aとほぼ同一のアラインメントのため、「bIgG2a」と称される。bIgG2に対して行われた全ての変異は、a及びbアロタイプと同一である。 ウシ科動物IgG3サブクラスの2つの対立遺伝子の配列アラインメントを示す。太字:アミノ酸は、エフェクター機能をノックアウトするためにbIgG3a上で変異させた。下線:残基は、bFcRnへの親和性を向上させるためにbIgG3a上に変異させた。bIgG3に対して行われた全ての変異は、a及びbアロタイプと同一である。 エフェクター機能をノックアウトするためのウシ科動物IgG1a及びbIgG1a Fc変異体を示す。太字:Winter変異L234A_P235A_G237A*に関与する残基。ボックス:PAPからSASへの変異(P329S_P331S*)、PAPからSAPへの変異(P329S*)、及びWinter変異と組み合わせたPAPからPSSへの変異(SS変異;A330S_P331S*)に関与する残基。垂直線:CTLA4-Fc融合タンパク質におけるFc領域の開始。*変異のアミノ酸残基は、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される。 ウシ科動物IgG1a、IgG1b、及び両方のアロタイプのバリアントの細胞ベースの補体依存性細胞傷害性活性を示す。 ウシ科動物IgG1a、IgG1b、及び両方のアロタイプのバリアントの細胞ベースの補体依存性細胞傷害性活性を示す。 bIgG1a_WINSAS、bIgG1b_WINSAS、bIgG1c_WINSAS、及びbIgG1d_WINSASの抗体相同性モデリングを示す。A)WINSAS残基(矢印)を示す拡大サブパネルを用いたタンパク質モデルのオーバーレイ。B)bIgG1a_WINSAS、bIgG1b_WINSAS、bIgG1c_WINSAS、及びbG1d_WINSASアロタイプのWINSAS変異体の平均二乗偏差(RMSD)比較(オングストローム単位)。 細胞ベースのアッセイにおける抗体依存性細胞食作用の排除のためのウシ科動物IgG1aサブクラス上のFc変異を示す。 野生型ウシ科動物IgG1a分子の分析SECを示す。 ウシ科動物IgG1a野生型(WT)Fcの質量分析を示す。 ウシ科動物IgG1a二重変異DP部位1及び2の質量分析を示す。 切断部位を排除するためのウシ科動物IgG1a及びbIgG1aのDPからEPへのFc変異体を示す。太字:EPへの「DP1」(部位1)の変異;下線:EPへの「DP2」(部位2)の変異。 bIgG1a_DP1_DP2、bIgG1b_DP1_DP2、bIgG1c_DP1_DP2、及びbIgG1d_DP1_DP2の抗体相同性モデリングを示す。A)DP1及びDP2残基(矢印)を示す拡大サブパネルを用いたタンパク質モデルのオーバーレイ。B)ウシ科動物G1a、G1b、G1c、及びG1dアロタイプのDP1_DP2変異体の平均二乗偏差(RMSD)比較。 エフェクター機能をノックアウトするためのウシ科動物IgG2a及びbIgG2a Fc変異体を示す。1行目の太字:独立した変異又は組み合わせとしてアラニンに変異された3つの残基L432*、N434*、及びM437*。垂直線:CTLA4-Fc融合タンパク質におけるFc領域の開始。*変異のアミノ酸残基は、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される。 ウシ科動物IgG2a及びIgG2bサブクラス上のFc変異が、細胞ベースの補体依存性細胞傷害性活性を排除することを示す。 ウシ科動物IgG2a及びIgG2bサブクラス上のFc変異が、細胞ベースの補体依存性細胞傷害性活性を排除することを示す。 bIgG2a_L432A_N434A_M437A及びbIgG2b_L432A_N434A_M437Aの抗体相同性モデリングを示す。A)L432A_N434A_M437A残基(矢印)を示す拡大サブパネルを用いたタンパク質モデルのオーバーレイ。B)ウシ科動物IgG2a及びIgG2bアロタイプのL432A_N434A_M437A変異体の平均二乗偏差(RMSD)比較。 ウシ科動物IgG2aサブクラス上のFc変異が細胞ベースのアッセイにおける抗体依存性細胞食作用を排除することを示す。 エフェクター機能をノックアウトするためのウシ科動物IgG3a及びbIgG3a Fc変異体を示す。太字:Winter変異(P234A_L235A_G237A*)に関与する残基。ボックス:PAPからSASへの変異(P329S_P331S*)及びPAPからSAPへの変異(P329S*)に関与する残基。垂直線:CTLA4-Fc融合タンパク質におけるFc領域の開始。*変異のアミノ酸残基は、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される。 細胞ベースのアッセイにおける補体依存性細胞傷害性の排除のためのウシ科動物IgG3a及びIgG3bサブクラス上のFc変異を示す。 細胞ベースのアッセイにおける補体依存性細胞傷害性の排除のためのウシ科動物IgG3a及びIgG3bサブクラス上のFc変異を示す。 bIgG3a_WINSAS及びbIgG3b_WINSASの抗体相同性モデリングを示す。A)WINSAS残基(矢印)を示す拡大サブパネルを用いたタンパク質モデルのオーバーレイ。B)ウシ科動物IgG3a及びIgG3bアロタイプのWINSAS変異体の平均二乗偏差(RMSD)比較。 ウシ科動物IgG3aサブクラス上のFc変異が細胞ベースのアッセイにおける抗体依存性細胞食作用を排除することを示す。 bFcRn結合の改善のためのウシ科動物IgG3a及びFc変異体を示す。太字アルギニン(R)は、KabatにおけるEuインデックスに従って付番された、ヒスチジン(H)への点変異R433Hに関与する残基である。 ヒトIgG1、ウシ科動物IgG1a、ウシ科動物IgG2a、及びウシ科IgG3aのアミノ酸配列のアラインメントを示す。アミノ酸残基は、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される。図23に示されるIgG1(b、c、d)、IgG2(b)、及びIgG3(b)の他の対立遺伝子のアミノ酸残基も、Euインデックスに従って付番された。 図23続き。 図23続き。 図23続き。 図23続き。
配列表の簡単な説明
配列番号1は、IgG1a野生型(NCBI ID番号1S82409)のアミノ酸配列を指す。
配列番号2は、IgG1b野生型(NCBI ID番号X16701)のアミノ酸配列を指す。
配列番号3は、IgG1c野生型(NCBI ID番号DQ452014.1)のアミノ酸配列を指す。
配列番号4は、IgG1d野生型(NCBI ID番号X62916.1)のアミノ酸配列を指す。
配列番号5は、IgG2a野生型(NCBI ID番号X16702.1)のアミノ酸配列を指す。
配列番号6は、IgG2b野生型(NCBI ID番号S82407)のアミノ酸配列を指す。
配列番号7は、IgG3a野生型のアミノ酸配列を指す。
配列番号8は、IgG3b野生型のアミノ酸配列を指す。
配列番号9は、乳牛由来のIgG2a野生型のアミノ酸配列を指す。
配列番号10は、DP1変異を有するIgG1aのアミノ酸配列を指す。
配列番号11は、DP2変異を有するIgG1aのアミノ酸配列を指す。
配列番号12は、DP1及びDP2変異を有するIgG1aのアミノ酸配列を指す。
配列番号13は、IgG1a野生型断片の物理的位置99~329のアミノ酸配列を指す。
配列番号14は、SAP変異を有するIgG1a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号15は、SAS変異を有するIgG1a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号16は、Winter変異を有するIgG1a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号17は、Winter及びSAS変異を有するIgG1a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号18は、Winter及びSS変異を有するIgG1a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号19は、変異L432Aを有するIgG2aのアミノ酸配列を指す。
配列番号20は、変異N434Aを有するIgG2aのアミノ酸配列を指す。
配列番号21は、変異M437Aを有するIgG2aのアミノ酸配列を指す。
配列番号22は、変異L432A及びM437Aを有するIgG2aのアミノ酸配列を指す。
配列番号23は、変異N434A及びM437Aを有するIgG2aのアミノ酸配列を指す。
配列番号24は、変異L432A、N434A、及びM437Aを有するIgG2aのアミノ酸配列を指す。
配列番号25は、変異L432A及びN434Aを有するIgG2aのアミノ酸配列を指す。
配列番号26は、IgG3a野生型断片の物理的位置99~352のアミノ酸配列を指す。
配列番号27は、SAP変異を有するIgG3a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号28は、SAS変異を有するIgG3a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号29は、Winter変異を有するIgG3a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号30は、Winter及びSAS変異を有するIgG3a断片のアミノ酸配列を指す。
配列番号31は、変異R433Hを有するIgG3aのアミノ酸配列を指す。
配列番号32は、ヒトIgG1のアミノ酸配列を指す。
配列番号33は、IgG1b野生型のアミノ酸配列を指す。
配列番号34は、IgG1b野生型の核酸配列を指す。
配列番号35は、Winter変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号36は、Winter変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号37は、WinSS変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号38は、WinSS変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号39は、WinSAS変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号40は、WinSAS変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号41は、SAS変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号42は、SAS変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号43は、SAP変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号44は、SAP変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号45は、D216E変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号46は、D216E変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号47は、D270E変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号48は、D270E変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号49は、D216E及びD270E変異を有するIgG1bのアミノ酸配列を指す。
配列番号50は、D216E及びD270E変異を有するIgG1bの核酸配列を指す。
配列番号51は、IgG2b野生型のアミノ酸配列を指す。
配列番号52は、IgG2b野生型の核酸配列を指す。
配列番号53は、L432A変異を有するIgG2bのアミノ酸配列を指す。
配列番号54は、L432A変異を有するIgG2bの核酸配列を指す。
配列番号55は、N434A変異を有するIgG2bのアミノ酸配列を指す。
配列番号56は、N434A変異を有するIgG2bの核酸配列を指す。
配列番号57は、M437A変異を有するIgG2bのアミノ酸配列を指す。
配列番号58は、M437A変異を有するIgG2bの核酸配列を指す。
配列番号59は、L432A及びN434A変異を有するIgG2bのアミノ酸配列を指す。
配列番号60は、L432A及びN434A変異を有するIgG2bの核酸配列を指す。
配列番号61は、L432A及びM437A変異を有するIgG2bのアミノ酸配列を指す。
配列番号62は、L432A及びM437A変異を有するIgG2bの核酸配列を指す。
配列番号63は、N434A及びM437A変異を有するIgG2bのアミノ酸配列を指す。
配列番号64は、N434A及びM437A変異を有するIgG2bの核酸配列を指す。
配列番号65は、L432A、N434A、及びM437A変異を有するIgG2bのアミノ酸配列を指す。
配列番号66は、L432A、N434A、及びM437A変異を有するIgG2bの核酸配列を指す。
配列番号67は、IgG3b野生型のアミノ酸配列を指す。
配列番号68は、IgG3b野生型の核酸配列を指す。
配列番号69は、Winter変異を有するIgG3bのアミノ酸配列を指す。
配列番号70は、Winter変異を有するIgG3bの核酸配列を指す。
配列番号71は、WinSAS変異を有するIgG3bのアミノ酸配列を指す。
配列番号72は、WinSAS変異を有するIgG3bの核酸配列を指す。
配列番号73は、SAS変異を有するIgG3bのアミノ酸配列を指す。
配列番号74は、SAS変異を有するIgG3bの核酸配列を指す。
配列番号75は、SAP変異を有するIgG3bのアミノ酸配列を指す。
配列番号76は、SAP変異を有するIgG3bの核酸配列を指す。
配列番号77は、R433H変異を有するIgG3bのアミノ酸配列を指す。
配列番号78は、R433H変異を有するIgG3bの核酸配列を指す。
配列番号79は、bIgG1bWin(L234A_P235A_G237A):LPGGからAAGAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号80は、bIgG1bWin(L234A_P235A_G237A):LPGGからAAGAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号81は、bIgG1bWinSS(A330S_P331S):PAPからPSSの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号82は、bIgG1bWinSS(A330S_P331S):PAPからPSSの隣接核酸配列を指す。
配列番号83は、bIgG1bSAS(P329S_P331S):PAPからSASの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号84は、bIgG1bSAS(P329S_P331S):PAPからSASの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号85は、bIgG1bSAP(P329S):PAPからSAPの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号86は、bIgG1bSAP(P329S):PAPからSAPの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号87は、bIgG1b_DP1(D216E):DP1からEP1の隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号88は、bIgG1b_DP1(D216E):DP1からEP1の隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号89は、bIgG1b_DP2(D270E):DP2からEP2の隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号90は、bIgG1b_DP2(D270E):DP2からEP2の隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号91は、bIgG2b_L432A:LHNHYMからAHNHYMの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号92は、bIgG2b_L432A:LHNHYMからAHNHYMの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号93は、bIgG2b_N434A:LHNHYMからLHAHYMの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号94は、bIgG2b_N434A:LHNHYMからLHAHYMの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号95は、bIgG2b_M437A:LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号96は、bIgG2b_M437A:LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号97は、bIgG2b_L432A_N434A:LHNHYMからAHNHYM、LHNHYMからLHAHYMの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号98は、bIgG2b_L432A_N434A:LHNHYMからAHNHYM、LHNHYMからLHAHYMの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号99は、bIgG2b_L432A_M437A:LHNHYMからAHNHYM、LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号100は、bIgG2b_L432A_M437A:LHNHYMからAHNHYM、LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号101は、bIgG2b_N434A_M437A:LHNHYMからLHAHYM、LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号102は、bIgG2b_N434A_M437A:LHNHYMからLHAHYM、LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号103は、bIgG2b_L432A_N434A_M437A:LHNHYMからAHNHYM、LHNHYMからLHAHYM、LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号104は、bIgG2b_L432A_N434A_M437A:LHNHYMからAHNHYM、LHNHYMからLHAHYM、LHNHYMからLHNHYAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号105は、bIgG3bWin(P234A_L235A_G237A):PLGGからAAGAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号106は、bIgG3bWin(P234A_L235A_G237A):PLGGからAAGAの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号107は、bIgG3bSAS(P329S_P331S):PAPからSASの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号108は、bIgG3bSAS(P329S_P331S):PAPからSASの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号109は、bIgG3bSAP(P329S):PAPからSAPの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号110は、bIgG3bSAP(P329S):PAPからSAPの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号111は、bIgG3b_R433H:ALRNHからALHNHの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号112は、bIgG3b_R433H:ALRNHからALHNHの隣接アミノ酸配列を指す。
配列番号113は、ビオチンアクセプターペプチド(BAP)のアミノ酸配列を指す。
〔000154〕本発明の主題は、本開示の一部を形成する以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されることができる。本発明は、本明細書で説明及び/又は示される特定の生成物、方法、条件、又はパラメータに限定されず、本明細書で使用される用語は、例としてのみ特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、特許請求される発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
〔000155〕本明細書で別段の定義がない限り、本出願に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。更に、文脈によって別段の必要がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
〔000156〕上及び本開示を通じて用いられる場合、以下の用語及び略語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有するものと理解されるものとする。
定義
〔000157〕本開示において、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、複数の指示物を含み、特定の数値への言及は、文脈が別段明らかに示さない限り、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「分子」又は「化合物」への言及は、当業者に既知のそのような分子又は化合物及びそれらの等価物などのうちの1つ以上への言及である。「複数の」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ超を意味する。値の範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行する「約」を使用することによって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能である。
〔000158〕本明細書及び特許請求の範囲において、免疫グロブリン重鎖におけるアミノ酸残基の付番は、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)におけるEuインデックスのものである。「KabatにおけるEuインデックス」は、IgG抗体の残基付番を指し、本明細書では図23に反映される。
〔000159〕「単離された」という用語は、核酸に関して使用される場合、それが通常、その自然源では会合している少なくとも1つの混入物質である核酸から同定及び分離される核酸である。単離された核酸は、それが自然で見出されるものとは異なる形態又は設定のものである。したがって、単離された核酸分子は、自然の細胞に存在する核酸分子と区別される。単離された核酸分子は、コードされるポリペプチドを通常発現する細胞内に含有された核酸分子を含み、例えば、核酸分子は、自然の細胞のものとは異なるプラスミド又は染色体位置にある。単離された核酸は、一本鎖形態又は二本鎖形態で存在し得る。単離された核酸分子を利用してタンパク質を発現させる場合、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、センス鎖又はコード鎖を最小限度に含有するが、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含有する場合がある(すなわち、二本鎖であり得る)。
〔000160〕核酸分子は、別の核酸分子と機能的関係に配置される場合、「作動可能に連結される」か、又は「作動可能に結合される」。例えば、プロモーター若しくはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、核酸のコード配列に作動可能に連結されるか、又はリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置される場合、核酸のコード配列に作動可能に連結される。発現する融合タンパク質が、バリアントFc領域ポリペプチドの上流又は下流のいずれかに隣接する異種タンパク質又はその機能的断片を含むように配置されている場合、バリアントFc領域をコードする核酸分子は、異種タンパク質(すなわち、自然で存在するようにFc領域を含まないタンパク質又はその機能的断片)をコードする核酸分子に作動可能に連結され、異種タンパク質は、バリアントFc領域ポリペプチドの直近に隣接し得るか、又は任意の長さ及び組成のリンカー配列によってそれから分離され得る。同様に、ポリペプチド(本明細書で「タンパク質」と同義に使用される)分子は、別のポリペプチドと機能的関係に配置される場合、「作動可能に連結される」か、又は「作動可能に結合される」。
〔000161〕本明細書で使用される場合、「機能的断片」という用語は、ポリペプチド又はタンパク質(例えば、バリアントFc領域、又はモノクローナル抗体)に関して言及する場合、完全長ポリペプチドの少なくとも1つの機能を保持するそのタンパク質の断片を指す。断片は、6つのアミノ酸のサイズ~完全長ポリペプチドのアミノ酸配列全体から1つのアミノ酸を引いたものまでのサイズの範囲であり得る。本発明のバリアントFc領域ポリペプチドの機能的断片は、本明細書で定義される少なくとも1つの「アミノ酸置換」を保持する。バリアントFc領域ポリペプチドの機能的断片は、Fc領域と関連することが当該技術分野で既知である少なくとも1つの機能(例えば、ADCC、CDC、Fc受容体結合、Clq結合、細胞表面受容体の下方制御、又は例えば、それが作動可能に結合しているポリペプチドのインビボ若しくはインビトロでの半減期を増加させ得る)を保持する。
〔000162〕「精製された」又は「精製する」という用語は、試料から少なくとも1つの混入物質を実質的に除去することを指す。例えば、抗原特異的抗体は、少なくとも1つの混入物質である非免疫グロブリンタンパク質の完全な又は実質的な(少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、又はより好ましくは少なくとも96%、97%、98%、又は99%)除去によって精製され得、また同じ抗原に結合しない免疫グロブリンタンパク質の除去によっても精製され得る。非免疫グロブリンタンパク質の除去及び/又は特定の抗原に結合しない免疫グロブリンの除去は、試料中の抗原特異的免疫グロブリンのパーセントの増加を生じる。別の例では、細菌宿主細胞で発現するポリペプチド(例えば、免疫グロブリン)は、宿主細胞タンパク質の完全な又は実質的な除去によって精製され、それによって、試料中のポリペプチドのパーセントが増加する。
〔000163〕ポリペプチド(例えば、Fc領域)を指す「天然」という用語は、本明細書では、ポリペプチドが、自然で一般的に存在するポリペプチドのアミノ酸配列又は自然で存在するその多型からなるアミノ酸配列を有することを示すために使用する。天然ポリペプチド(例えば、天然Fc領域)は、組換え手段によって生成され得るか、又は自然源から単離され得る。
〔000164〕本明細書で使用される場合、「発現ベクター」という用語は、特定の宿主生物における作動可能に連結したコード配列の発現に必要な、所望のコード配列及び適切な核酸配列を含有する組換えDNA分子を指す。
〔000165〕本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、インビトロ、又はインサイチュ、又はインビボで配置されているかに関わらず、任意の真核細胞又は原核細胞(例えば、E.coliなどの細菌細胞、CHO細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、鳥類細胞、両生類細胞、植物細胞、魚類細胞、及び昆虫細胞)を指す。
〔000166〕本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。「Fc領域」は、天然配列Fc領域又はバリアントFc領域であり得る。免疫グロブリン重鎖のFc領域の概して許容される境界は変動し得るが、ウシ科動物IgG重鎖Fc領域は、通常、例えば、図2の垂直線からc末端までの範囲と定義される。いくつかの実施形態では、バリアントは、Fc領域の部分のみを含み、カルボキシ末端を含んでも含まなくてもよい。免疫グロブリンのFc領域は、概して、2つの定常ドメイン、CH2及びCH3を含む。いくつかの実施形態では、定常ドメインのうちの1つ以上を有するバリアントが企図される。他の実施形態では、そのような定常ドメインを有しない(又はそのような定常ドメインの部分のみを有する)バリアントが企図される。
〔000167〕ウシ科動物IgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、例えば、図2の垂直線から始まり、残基243まで延在する残基を指す。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対合しないという点で独特である。2つのN連結した分岐状炭水化物鎖が、そのままの天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に介在する。
〔000168〕ウシ科動物IgG Fc領域の「CH3ドメイン」は、概して、Fc領域のC末端からCH2ドメインまでの残基、例えば、図2の244からc末端までの残基の範囲である。
〔000169〕「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。エフェクター機能の例としては、限定されないが、C1q結合;補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方制御などが挙げられる。そのようなエフェクター機能は、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)に作動可能に連結されることを必要とし得、様々なアッセイ(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイ、ADCPアッセイ、全血試料又は分別された血液試料からの標的細胞枯渇など)を使用して評価され得る。
〔000170〕「天然配列Fc領域」又は「野生型Fc領域」は、自然で一般的に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を指す。例示的な天然配列ウシ科動物Fc領域は、図2の垂直線からc末端までである。
〔000171〕「バリアントFc領域」は、本明細書で定義される少なくとも1つの「アミノ酸置換」が理由で、天然配列Fc領域(又はその断片)のものとは異なるアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、好ましくは、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、1、2、3、4、又は5つのアミノ酸置換を有する。代替的な実施形態では、バリアントFc領域は、本明細書に開示の方法に従って生成され得、このバリアントFc領域は、抗体可変ドメイン又は非抗体ポリペプチド、例えば、受容体又はリガンドの結合ドメインなどの選択された異種ポリペプチドに融合され得る。
〔000172〕本明細書で使用される場合、ポリペプチドの文脈における「誘導体」という用語は、アミノ酸残基置換の導入によって改変されているアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。本明細書で使用される場合、「誘導体」という用語はまた、ポリペプチドへの任意の種類の分子の共有結合によって修飾されているポリペプチドを指す。例えば、限定されないが、抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによって修飾され得る。誘導体ポリペプチドは、限定されないが、特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む、当業者に既知の技法を使用する化学的修飾によって生成され得る。更に、誘導体ポリペプチドは、それが由来していたポリペプチドと同様又は同一の機能を有する。本発明のバリアントFc領域を含むポリペプチドは、本明細書で定義される誘導体であり得、好ましくは、誘導体化は、Fc領域内で行われることが理解される。
〔000173〕ポリペプチド(例えば、Fc領域又はモノクローナル抗体)に関して本明細書で使用される場合、「実質的にウシ科動物起源の」は、ポリペプチドが、天然ウシ科動物アミノポリペプチドのものと少なくとも80%、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、又は更により好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、若しくは99%相同であるアミノ酸配列を有することを示す。
〔000174〕「Fc受容体」又は「FcR」という用語は、Fc領域(例えば、抗体のFc領域)に結合する受容体を説明するために使用される。好ましいFcRは、天然配列FcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体Fc領域、Fcγ受容体又は「FcgR(Fc gamma receptor)」に結合し、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び代替的にはスプライシングされた形態を含む、FcγRI(FcgR1)、FcγRII(FcgR2)、FcγRIII(FcgR3)サブクラスの受容体、並びに新規のウシ科動物Fcγ2R(bFcg2R又はbFcg2R)を含むものである。別の好ましいFcRとしては、母体IgGの胎児への移行を担う新生仔受容体であるFcRnが挙げられる(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))。将来同定されるものを含む他のFcRは、本明細書で「FcR」という用語によって包含される。
〔000175〕「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」及び「ADCC」という語句は、FcgRを発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、非特異的)(例えば、ナチュラルキラー(「NK」)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、その後標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性反応を指す。ヒトにおけるADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞は、FcgR3のみを発現する一方で、単球は、FcgR1、FcgR2、及びFcgR3を発現する。文献によれば、ウシ科動物単球及びマクロファージは、IgG1及びIgG2アイソタイプについてFcgRを発現するが、好中球は、IgG2、Fcg2Rについて多数の受容体を発現するが、bIgG1についてはほとんど又は全く発現しない。
〔000176〕「抗体依存性細胞媒介性食作用」及び「ADCP」という語句は、FcgRを発現する食細胞(例えば、マクロファージ、単球、樹状細胞)(例えば、FcgR1、FcgR2a、及びFcgR3)が、標的細胞上に結合したIgG抗体Fc領域を認識し、その後、IgGオプソニン化された粒子(例えば、細菌、死んだ組織細胞)の貪食につながるシグナル伝達カスケードを誘発する、細胞媒介性反応を指す。
〔000177〕本明細書で使用される場合、「エフェクター細胞」という語句は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を実施する(好ましくはウシ科動物の)白血球を指す。好ましくは、細胞は、少なくともFcgR3を発現し、ADCCエフェクター機能を実施する。ADCCを媒介する白血球の例としては、PBMC、NK細胞、単球、マクロファージ、細胞傷害性T細胞、及び好中球が挙げられる。エフェクター細胞は、天然源(例えば、血液又はPBMC)から単離され得る。一例では、白血球は、FcgR1、又は他の関連するFcγ受容体を発現し、ADCP機能を誘発する。
〔000178〕「改変された」Fc受容体結合親和性を有するバリアントポリペプチドは、バリアントの親ポリペプチド又は天然Fcを含むポリペプチドと比較して、向上した(すなわち、増加した、より大きい、又はより高い)か、又は減少した(すなわち、低減された、減少した、又はより低い)かのいずれかのFc受容体結合親和性を有するものである。Fc受容体への増加した結合又は増加した結合親和性を示すバリアントポリペプチドは、親ポリペプチドよりも大きい親和性でFc受容体に結合する。Fc受容体への減少した結合又は減少した結合親和性を示すバリアントポリペプチドは、その親ポリペプチドよりも低い親和性でFc受容体に結合する。Fc受容体への減少した結合を示すそのようなバリアントは、Fc受容体への結合をほとんど又は認識できるほど有しない、例えば、親ポリペプチドと比較して、Fc受容体Fc受容体への0~20%の結合を有し得る。結合アッセイにおけるバリアントポリペプチド及び親ポリペプチドの量が本質的に同じであり、他の全ての条件が同一である場合、その親ポリペプチドと比較して「向上した親和性」でFc受容体に結合するバリアントポリペプチドは、親ポリペプチドよりも高い結合親和性でFc受容体に結合するものである。例えば、ELISAアッセイ又は当業者が利用可能な他の方法において、Fc受容体結合親和性が決定される場合、例えば、向上したFc受容体結合親和性を有するバリアントポリペプチドは、親ポリペプチドと比較して、Fc受容体結合親和性における約1.10倍~約100倍(より典型的には、約1.2倍~約50倍)の増加を示し得る。
〔000179〕本明細書で使用される場合、「アミノ酸置換」は、所与のアミノ酸配列における少なくとも1つの既存のアミノ酸残基を、別の異なる「置き換え」アミノ酸残基で置き換えることを指す。置き換え残基又は複数の置き換え残基は、「自然に存在するアミノ酸残基」(すなわち、遺伝子コードによってコードされる)であり得、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile):ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、及びバリン(Val)から選択される。1つ以上の自然に存在しないアミノ酸残基との置換もまた、本明細書のアミノ酸置換の定義に包含される。「自然に存在しないアミノ酸残基」は、上に列挙される自然に存在するアミノ酸残基以外の残基を指し、ポリペプチド鎖内の隣接アミノ酸残基に共有結合することが可能である。自然に存在しないアミノ酸残基の例としては、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、及びEllman et al.Meth.Enzym.202:301-336(1991)に記載のものなどの他のアミノ酸残基類似体が挙げられる。
〔000180〕「アッセイシグナル」という用語は、限定されないが、比色アッセイ、蛍光強度、又は分当たりの崩壊からの吸光度測定を含む、タンパク質-タンパク質相互作用を検出する任意の方法からの出力を指す。アッセイ形式は、ELISA、FACS、又は他の方法を挙げることができる。「アッセイシグナル」における変化は、細胞生存率における変化、並びに/又は動態オフレート、動態オンレート、若しくは両方における変化を反映し得る。「より高いアッセイシグナル」は、測定された出力数が別の数よりも大きいことを指す(例えば、バリアントは、親ポリペプチドと比較して、ELISAアッセイにおいてより高い(より大きい)測定数を有し得る)。「より低い」アッセイシグナルは、測定された出力数が別の数よりも小さいことを指す(例えば、バリアントは、親ポリペプチドと比較して、ELISAアッセイにおいてより低い(より小さい)測定数を有し得る)。
〔000181〕「結合親和性」という用語は、各Fc受容体-Fc結合相互作用と関連する平衡解離定数(濃度の単位で表される)を指す。結合親和性は、動態オフレート(概して、時間の逆数の単位、例えば、秒-1で報告される)を動態オンレート(概して、単位時間当たりの濃度の単位、例えば、モル/秒で報告される)で除算した比に直接関係する。概して、これらのパラメータの各々が(例えば、BIACORE又はSAPIDYNE測定によって)実験的に決定されない限り、平衡解離定数(K又はKD)における変化が、オンレート、オフレート、又は両方の差に起因するかどうかを明確に述べることは不可能である。
〔000182〕本明細書で使用される場合、「ヒンジ領域」という用語は、Fab抗原結合領域を抗体のFc領域に連結させるアミノ酸の範囲を指す。IgGサブクラスのヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド(S-S)結合を形成する第1及び最後のシステイン残基を同じ位置に配置することによって、整列させることができる。図2に示されるように、例えば、ウシ科動物IgG定常領域におけるヒンジ領域は、残基99から始まり、垂直線まで延在する。
〔000183〕「C1q」は、免疫グロブリンのFc領域の結合部位を含むポリペプチドである。C1qは、2つのセリンプロテアーゼであるC1r及びC1sと一緒になって、CDC経路の第1の構成要素である複合体C1を形成する。
〔000184〕本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、「免疫グロブリン」又は「Ig」と同義に使用され、最も広い意味で使用され、所望の生物学的活性又は機能的活性を呈する限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を具体的に網羅する。異なる種に由来する部分を含む、一本鎖抗体、及びキメラ、ウシ科動物、又はウシ化(bovinized)抗体、並びにキメラ又はCDRを移植された一本鎖抗体などもまた、本発明及び「抗体」という用語に包含される。これらの抗体の様々な部分は、従来の技法によって化学的に一緒に合成的に結合され得るか、又は遺伝子工学技術を使用して連続したタンパク質として調製され得る。例えば、キメラ又はウシ化鎖をコードする核酸は、連続したタンパク質を生成するように発現し得る。例えば、米国特許第4,816,567号、米国特許第4,816,397号、WO86/01533、米国特許第5,225,539号、及び米国特許第5,585,089号、及び同第5,698,762号を参照されたい。また、霊長類化抗体に関してはNewman,R.et al.BioTechnology,10:1455-1460,1993、並びに一本鎖抗体に関してはLadner et al.,米国特許第4,946,778号及びBird,R.E.et al.,Science,242:423-426,1988を参照されたい。本明細書では、Fc領域(又はその一部分)を含む抗体の全ての形態が、「抗体」という用語内に包含されることが理解される。更に、抗体は、当該技術分野で既知の方法に従って、検出可能な標識で標識され、固相上に固定化され、及び/又は異種化合物(例えば、酵素又は毒素)とコンジュゲートされ得る。
〔000185〕本明細書で使用される場合、「抗体断片」という用語は、そのままの抗体の一部分を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、線状抗体;一本鎖抗体分子;Fc又はFc’ペプチド、Fab及びFab断片、並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体断片は、好ましくは、ヒンジの少なくとも一部、及び任意選択的に、IgG重鎖のCH1領域を保持する。他の好ましい実施形態では、抗体断片は、CH2領域の少なくとも一部分又はCH2領域全体を含む。
〔000186〕本明細書で使用される場合、「機能的断片」という用語は、モノクローナル抗体に関して使用される場合、依然として機能的活性を保持するモノクローナル抗体の一部分を指すことが意図される。機能的活性は、例えば、抗原結合活性又は特異性、受容体結合活性又は特異性、エフェクター機能活性などであり得る。モノクローナル抗体機能的断片としては、例えば、VL、VH、及びFdなどの個々の重鎖又は軽鎖、及びそれらの断片;Fv、Fab、及びFab’などの一価断片;F(ab’)2などの二価断片;一本鎖Fv(scFv);並びにFc断片が挙げられる。そのような用語は、例えば、Harlowe and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989)、Molec.Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(Myers,R.A.(ed.),New York:VCH Publisher,Inc.)、Huston et al.,Cell Biophysics,22:189-224(1993)、Pluckthun and Skerra,Meth.Enzymol.,178:497-515(1989)、及びDay,E.D.,Advanced Immunochemistry,Second Ed.,Wiley-Liss,Inc.,New York,N.Y.(1990)に記載されている。機能的断片という用語は、例えば、モノクローナル抗体のプロテアーゼ消化又は還元によって、及び当業者に既知の組換えDNA方法によって生成される断片を含むことが意図される。
〔000187〕本明細書で使用される場合、「断片」という用語は、別のポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも5、15、20、25、40、50、70、90、100個以上の連続したアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。好ましい実施形態では、ポリペプチドの断片は、完全長ポリペプチドの少なくとも1つの機能を保持する。
〔000188〕本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」という用語は、一価、二価、又は多価の免疫グロブリンを含む。一価キメラ抗体は、キメラ軽鎖とのジスルフィド架橋を通じて会合しているキメラ重鎖によって形成された二量体である。二価キメラ抗体は、少なくとも1つのジスルフィド架橋を通じて会合している2つの重鎖-軽鎖二量体によって形成された四量体である。ウシ科動物で使用するための抗体のキメラ重鎖は、CH1又はCH2などのウシ科動物重鎖定常領域の少なくとも一部分に連結される、非ウシ科動物抗体の重鎖に由来する抗原結合領域を含む。ウシ科動物で使用するための抗体のキメラ軽鎖は、ウシ科動物軽鎖定常領域(CL)の少なくとも一部分に連結される、非ウシ科動物抗体の軽鎖に由来する抗原結合領域を含む。同じか又は異なる可変領域結合特異性のキメラ重鎖及び軽鎖を有する抗体、断片、又は誘導体はまた、既知の方法ステップに従って、個々のポリペプチド鎖の適切な会合によって調製され得る。このアプローチを用いて、キメラ軽鎖を発現する宿主と、キメラ重鎖を発現する宿主とを別個に培養し、免疫グロブリン鎖を別個に回収し、次いで会合させる。代替的に、宿主を同時培養し、鎖を培養培地中で自発的に会合させ、続いて組み立てられた免疫グロブリン、若しくは断片を回収してもよく、又は重鎖及び軽鎖の両方を同じ宿主細胞内で発現させてもよい。キメラ抗体を生成するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,284,471号、同第5,807,715号、同第4,816,567号、及び同第4,816,397号を参照されたい)。
〔000189〕本明細書で使用される場合、非ウシ科動物(例えば、マウス)抗体の「ウシ化」形態(すなわち、ウシ化抗体)は、非ウシ科動物免疫グロブリンに由来する配列を最小限に含有するか又は配列を全く含有しない抗体である。ほとんどの場合、ウシ化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、ヒト、又は非ヒト霊長類などの非ウシ科動物種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられたウシ科動物免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの事例では、ウシ科動物免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ウシ科動物残基によって置き換えられる。更に、ウシ化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体中に見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、概して、抗体性能を更に向上するために行われる。概して、ウシ化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループ(CDR)の全て又は実質的に全てが非ウシ科動物免疫グロブリンのものに対応し、FR残基の全て又は実質的に全てがウシ科動物免疫グロブリン配列のものである。ウシ化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の、典型的にはウシ科動物免疫グロブリンのものの少なくとも一部分を含み得る。
〔000190〕本明細書で使用される場合、「イムノアドヘシン」という用語は、異種の「アドヘシン」タンパク質(例えば、受容体、リガンド、又は酵素)の結合ドメインを免疫グロブリン定常ドメインと組み合わせる抗体様分子を示す。構造的に、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位(抗原結合部位)以外である(すなわち、「異種」である)、所望の結合特異性を有するアドヘシンアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。
〔000191〕本明細書で使用される場合、「リガンド結合ドメイン」という用語は、対応する天然受容体の少なくとも定性的なリガンド結合能力を保持する任意の天然受容体、又はその任意の領域若しくは誘導体を指す。ある特定の実施形態では、受容体は、免疫グロブリンスーパー遺伝子ファミリーのメンバーに相同である細胞外ドメインを有する細胞表面ポリペプチドに由来する。免疫グロブリンスーパー遺伝子ファミリーのメンバーではないが、それにも関わらず、この定義によって具体的に網羅される他の受容体は、サイトカインの受容体であり、特に、チロシンキナーゼ活性を有する受容体(受容体チロシンキナーゼ)、ヘマトポエチン及び神経成長因子受容体スーパーファミリーのメンバー、並びに細胞接着分子(例えば、E-、L-、及びP-セレクチン)である。
〔000192〕本明細書で使用される場合、「受容体結合ドメイン」という用語は、例えば、細胞接着分子、又は対応する天然リガンドの少なくとも定性的な受容体結合能力を保持するそのような天然リガンドの任意の領域若しくは誘導体を含む、受容体の任意の天然リガンドを指す。
〔000193〕本明細書で使用される場合、「単離された」ポリペプチドは、その自然環境の構成要素から同定及び分離、並びに/又は回収されているポリペプチドである。その自然環境の混入構成要素は、ポリペプチドの診断的又は治療的使用を妨げるであろう物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を挙げることができる。ある特定の実施形態では、単離されたポリペプチドは、(1)ローリー方法によって決定して、ポリペプチドの95重量%超、好ましくは99重量%超まで、(2)回転カップシークエネータの使用によってN末端若しくは内部アミノ酸配列のうちの少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クマシーブルー若しくは銀染色を使用する、還元又は非還元条件下でのSDS-pageによって均質性まで精製される。単離されたポリペプチドは、ポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの構成要素が存在しないであろうことから、組換え細胞内のインサイチュでのポリペプチドを含む。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップによって調製されるであろう。
〔000194〕本明細書で使用される場合、「障害」及び「疾患」という用語は、慢性及び急性障害又は疾患(例えば、患者の特定の障害の素因となる病理学的状態)を含む、バリアントポリペプチド(本発明のバリアントFc領域を含むポリペプチド)を用いた治療から利益を得るであろう任意の状態を指すために同義的に使用される。
〔000195〕本明細書で使用される場合、「受容体」という用語は、少なくとも1つのリガンドに結合することが可能なポリペプチドを指す。好ましい受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、及び任意選択的に、他のドメイン(例えば、膜貫通ドメイン、細胞内ドメイン、及び/又は膜アンカー)を有する細胞表面又は可溶性受容体である。本明細書に記載のアッセイで評価される受容体は、そのままの受容体、又はその断片若しくは誘導体(例えば、1つ以上の異種ポリペプチドに融合された受容体の結合ドメインを含む融合タンパク質)であり得る。更に、その結合特性について評価される受容体は、細胞内に存在し得るか、又は単離され得、任意選択的に、アッセイプレート又はいくつかの他の固相上にコーティングされ得るか、又は直接標識され、プローブとして使用され得る。
〔000196〕本明細書で使用する場合、親抗体と比較してウシ科動物エフェクター細胞の存在下で、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、及び補体依存性細胞傷害性(CDC)をノックアウト又はノックダウンするバリアントポリペプチドは、アッセイで使用されるバリアントポリペプチド及び親抗体の量が本質的に同じである場合、インビトロ又はインビボでは、ADCC、ADCP、及び/又はCDCの媒介において実質的に活性が低いものである。例えば、そのようなバリアントは、同一のADCCアッセイにおける親ポリペプチドよりも、所与のADCC、ADCP、又はCDCアッセイにおいて、低い、好ましくは無視できる量の標的細胞溶解又は食作用を引き起こす。そのようなバリアントは、例えば、ADCC、ADCP、又はCDCアッセイを使用して同定されてもよいが、ADCC、ADCP、又はCDC活性を決定するための他のアッセイ又は方法もまた用いられてもよい(例えば、動物モデル)。好ましい実施形態では、バリアントポリペプチドは、親ポリペプチドよりもADCC、ADCP、及びCDCの媒介において約100、75、50、又は25パーセント少ない活性である。
ウシ科動物野生型IgG
〔000197〕ウシ科動物IgGは、当該技術分野で周知であり、例えば、Symons et al.,1989,Mol.Immunol.,vol.26(9),pages 841-850、Kacskovics et al.,1996,Mol.Immunol.,vol.33(2),pages 189-195、Saini et al.,2007,Scand.J.Immunol.,vol.65(1),pages 32-38、及びRabbani et al.,1997,Immunogenetics,vol.46(4),pages 326-331に完全に記載されている。
〔000198〕一実施形態では、ウシ科動物IgGは、IgG1である。別の実施形態では、ウシ科動物IgGは、IgG2である。更に別の実施形態では、ウシ科動物IgGは、IgG3である。一例では、IgG1は、IgG1a、IgG1b、IgG1c、又はIgG1dである。別の例では、IgG2は、IgG2a、又はIgG2bである。更に別の例では、IgG3は、IgG3a又はIgG3bである。
〔000199〕IgG1a、IgG1b、IgG1c、IgG1d、IgG2a、IgG2b、IgG3a、及びIgG3bのアミノ酸配列及び核酸配列もまた、当該技術分野で周知である。
〔000200〕一例では、本発明のIgGは、定常ドメイン、例えば、CH1、CH2、若しくはCH3ドメイン、又はそれらの組み合わせを含む。別の例では、本発明の定常ドメインは、例えば、CH2若しくはCH3ドメイン、又はそれらの組み合わせを含む、Fc領域を含む。
〔000201〕特定の例では、野生型定常ドメインは、配列番号1~8に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。特定の実施形態では、IgG1a、IgG1b、IgG1c、IgG1d、IgG2a、IgG2b、IgG3a、及びIgG3bの野生型定常ドメインは、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、6、7、及び8に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、野生型IgG定常ドメインは、配列番号1~8のうちのいずれか1つの相同体、バリアント、異性体、又は機能的断片であるが、本明細書に記載のいかなる変異も有しない。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。例えば、一実施形態では、特定の実施形態では、IgG2aの野生型定常ドメインは、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む。
〔000202〕IgGコンタント(contant)ドメインはまた、重鎖及び/又は軽鎖のアミノ酸配列と実質的に同様のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。実質的に同じアミノ酸配列は、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444-2448(1988)に従ってFASTA検索方法によって決定して、比較したアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%の同一性を有する配列として本明細書で定義される。
〔000203〕本発明はまた、本明細書に記載のIgG又はそれらの一部分をコードする核酸分子を含む。一実施形態では、核酸は、例えば、CH1、CH2、CH3領域、又はそれらの組み合わせを含む抗体重鎖をコードし得る。別の実施形態では、核酸は、例えば、それらの任意のバリアントを含む、VH領域若しくはそれらの一部分のうちのいずれか1つ、又はVH CDRのうちのいずれか1つを含む抗体重鎖をコードし得る。本発明はまた、例えば、それらの任意のバリアントを含む、CL領域若しくはそれらの一部分のうちのいずれか1つ、VL領域若しくはそれらの一部分のうちのいずれか1つ、又はVL CDRのうちのいずれか1つを含む抗体軽鎖をコードする核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、核酸は、重鎖及び軽鎖、又はそれらの部分の両方をコードする。
〔000204〕配列番号1、2、3、4、5、6、7、8及び9に記載の野生型定常ドメインのアミノ酸配列は、その対応する核酸配列によってコードされる。
修飾されたウシ科動物IgG
〔000205〕本出願の発明者らは、驚くべきことに、そして予想外にも、216位、234位、235位、237位、270位、329位、330位、331位、432位、434位、437位、又は433位のアミノ酸残基を別のアミノ酸で置換することが、所望効果を示したことを見出した。本明細書で使用される場合、位置という用語は、Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))におけるEUインデックスに従って付番された位置を指す。一実施形態では、所望の効果は、野生型ウシ科動物IgG定常ドメインを有するIgGと比較して、補体依存性細胞傷害性を排除又は低減することである。別の実施形態では、所望の効果は、野生型ウシ科動物IgG定常ドメインを有するIgGと比較して、抗体依存性細胞食作用を排除又は低減することである。更に別の実施形態では、所望の効果は、IgGのFcγ受容体(bFcgR)への結合を排除又は低減することである。
〔000206〕一実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG定常ドメインを含む、修飾されたIgGであって、置換が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番されたアミノ酸残基216、234、235、237、270、329、330、331、432、434、437、又は433にある、修飾されたIgGを提供する。これらの位置のアミノ酸は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。置換アミノ酸の例としては、例えば、限定されないが、アスパラギン、ヒスチジン、セリン、アラニン、フェニルアラニン、グリシン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、グルタミン、アルギニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びプロリンが挙げられる。いくつかの実施形態では、置換アミノ酸は、非天然アミノ酸である。
〔000207〕本発明の修飾されたウシ科動物IgGは、当業者に既知の任意の好適なウシ科動物IgGであり得る。修飾されたウシ科動物IgGの例としては、IgG1(例えば、IgG1a、IgG1b、IgG1c、又はIgG1d)、IgG2(例えば、IgG2a又はIgG2b)、又はIgG3(IgG3a又はIgG3b)の修飾されたバリアントが挙げられる。
IgG1
〔000208〕例示的な一実施形態では、修飾されたウシ科動物IgGは、例えば、修飾されたIgG1a、修飾されたIgG1b、修飾されたIgG1c、又は修飾されたIgG1dを含む、修飾されたウシ科動物IgG1である。
〔000209〕一実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG1定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG1定常ドメインを含む、修飾されたIgG1であって、置換が、アミノ酸残基329、330、331、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG1を提供する。329位、330位、又は331位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、セリンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)、又は331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換P329S、A330S、及びP331Sのうちの1つ以上を含む。
〔000210〕一態様では、修飾されたウシ科動物IgG1定常ドメインは、PAPからSAPへの変異、PAPからSASへの変異、SS変異、Winter部位変異、又はそれらの組み合わせを含む。PAPからSAPへの変異には、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)が含まれる。SS変異には、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)、及び331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)が含まれる。
〔000211〕Winter部位は、アミノ酸残基234、235、237、又はそれらの組み合わせでの置換を含んでもよい。したがって、別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG1定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG1定常ドメインを含む、修飾されたIgG1であって、置換が、アミノ酸残基234、235、若しくは237、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG1を提供する。234位、235位、又は237位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、アラニンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、234位でのプロリンのアラニンとの置換(P234A)、235位でのロイシンのアラニンとの置換(L235A)、又は235位でのグリシンのアラニンとの置換(G237A)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む。
〔000212〕例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む。
〔000213〕一態様では、修飾されたウシ科動物IgG1定常ドメインは、DP部位のアミノ酸残基において置換を含む。したがって、別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG1定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG1定常ドメインを含む、修飾されたIgG1であって、置換が、アミノ酸残基216、270、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG1を提供する。216位又は270位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、グルタミン酸との置換である。具体的には、一例では、置換は、216位でのアスパラギン酸のグルタミン酸(D216E)との置換又は270位でのアスパラギン酸のグルタミン酸との置換(D270E)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換D216E及びD270Eのうちの1つ以上を含む。
〔000214〕例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D216E、及びD270Eのうちの1つ以上を含む。
〔000215〕別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG1定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG1定常ドメインを含む、修飾されたIgG1であって、当該置換が、アミノ酸残基432、434、437、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG1を提供する。432位、434位、又は437位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、アラニンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、432位でのロイシンのアラニンとの置換(L432A)、434位でのアスパラギンのアラニンとの置換(N434A)、437位でのスレオニンのアラニンとの置換(T437A)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換L432A、N434A、及びT437Aのうちの1つ以上を含む。
〔000216〕別の例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D216E、D270E、L432A、N434A、及びT437Aのうちの1つ以上を含む。
IgG2
〔000217〕別の例示的な実施形態では、修飾されたウシ科動物IgGは、例えば、修飾されたIgG2a又は修飾されたIgG2bを含む、修飾されたウシ科動物IgG2である。修飾されたウシ科動物IgG2は、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)、及び331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)を含む、SS変異を含み得る。一実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG2定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG2定常ドメインを含む、修飾されたIgG2であって、置換が、アミノ酸残基330、331、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG2を提供する。330位又は331位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、セリンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)、又は331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG2定常ドメインは、置換A330S及びP331Sのうちの1つ以上を含む。
〔000218〕別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG2定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG2定常ドメインを含む、修飾されたIgG2であって、置換が、アミノ酸残基432、434、437、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG2を提供する。432位、434位、又は437位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、アラニンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、432位でのロイシンのアラニンとの置換(L432A)、434位でのアスパラギンのアラニンとの置換(N434A)、又は437位でのメチオニンのアラニンとの置換(M437A)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG2定常ドメインは、置換L432A、N434A、及びM437Aのうちの1つ以上を含む。
〔000219〕別の例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG2定常ドメインは、置換A330S、L432A、N434A、及びM437Aのうちの1つ以上を含む。
IgG3
〔000220〕別の例示的な実施形態では、修飾されたウシ科動物IgGは、例えば、修飾されたIgG3a又は修飾されたIgG3bを含む、修飾されたウシ科動物IgG3である。
〔000221〕一実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG3定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG3定常ドメインを含む、修飾されたIgG3であって、置換が、アミノ酸残基329、330、331、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG3を提供する。329位、330位、又は331位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、セリンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)、又は331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG3定常ドメインは、置換P329S、A330S、及びP331Sのうちの1つ以上を含む。
〔000222〕一態様では、修飾されたウシ科動物IgG3定常ドメインは、PAPからSAPへの変異、PAPからSASへの変異、SS変異、Winter部位変異、又はそれらの組み合わせを含む。上述のように、PAPからSAPへの変異は、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)を含み、PAPからSASへの変異は、331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)を含み、SS変異は、331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)との組み合わせで、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)を含む。
〔000223〕上記のように、Winter部位は、アミノ酸残基234、235、237、又はそれらの組み合わせでの置換を含み得る。したがって、別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG3定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG3定常ドメインを含む、修飾されたIgG3であって、当該置換が、アミノ酸残基234、235、若しくは237、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG3を提供する。234位、235位、又は237位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、アラニンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、234位でのプロリンのアラニンとの置換(P234A)、235位でのロイシンのアラニンとの置換(L235A)、又は235位でのグリシンのアラニンとの置換(G237A)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG3定常ドメインは、置換P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む。
〔000224〕例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG3定常ドメインは、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む。
〔000225〕一態様では、修飾されたウシ科動物IgG3定常ドメインは、DP部位のアミノ酸残基において置換を含む。したがって、別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG3定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG3定常ドメインを含む、修飾されたIgG3であって、置換が、アミノ酸残基270にあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG3を提供する。270位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、グルタミン酸との置換である。具体的には、一例では、置換は、270位でのアスパラギン酸位のアスパラギン酸のグルタミン酸との置換(D270E)である。
〔000226〕例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG3定常ドメインは、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、及びD270Eのうちの1つ以上を含む。
〔000227〕別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG3定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG3定常ドメインを含む、修飾されたIgG3であって、置換が、アミノ酸残基432、434、437、又はそれらの組み合わせにあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG3を提供する。432位、434位、又は437位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、アラニンとの置換である。具体的には、一例では、置換は、432位でのロイシンのアラニンとの置換(L432A)、434位でのアスパラギンのアラニンとの置換(N434A)、又は437位でのリジンのアラニンとの置換(K437A)である。いくつかの実施形態では、修飾されたウシ科動物IgG1定常ドメインは、置換L432A、N434A、及びK437Aのうちの1つ以上を含む。
〔000228〕別の例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG3定常ドメインは、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D270E、L432A、N434A、及びK437Aのうちの1つ以上を含む。
〔000229〕したがって、更に別の実施形態では、本発明は、野生型ウシ科動物IgG3定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG3定常ドメインを含む、修飾されたIgG3であって、当該置換が、アミノ酸残基433にあり、アミノ酸残基位置が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される、修飾されたIgG3を提供する。433位のアミノ酸残基は、任意の他のアミノ酸で置換され得る。特定の実施形態では、置換は、ヒスチジンとの置換である。具体的には、一実施形態では、置換は、433位でのアスパラギンのヒスチジンとの置換(R433H)である。
〔000230〕更に別の例示的な実施形態では、ウシ科動物IgG3定常ドメインは、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D270E、L432A、N434A、K437A、及びR433Hのうちの1つ以上を含む。
〔000231〕特定の例では、本発明の変異型IgG1定常ドメインは、配列番号10~12及び14~18に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、変異型IgG1定常ドメインは、配列番号10~12及び14~18のうちのいずれか1つの相同体、バリアント、異性体、又は機能的断片であるが、本明細書に記載の本発明の変異を有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
〔000232〕別の例では、本発明の変異型IgG2定常ドメインは、配列番号19~25に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、変異型IgG2定常ドメインは、配列番号19~25のうちのいずれか1つの相同体、バリアント、異性体、又は機能的断片であるが、本明細書に記載の本発明の変異を有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
〔000233〕特定の例では、本発明の変異型IgG3定常ドメインは、配列番号27~31に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、変異型IgG3定常ドメインは、配列番号27~31のうちのいずれか1つの相同体、バリアント、異性体、又は機能的断片であるが、本明細書に記載の本発明の変異を有する。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
〔000234〕配列番号10~12、14~25、及び27~31に記載の変異型定常ドメインのアミノ酸配列は、その対応する変異型核酸配列によってコードされる。
本発明の抗体分子を作製するための方法
〔000235〕抗体分子を作製するための方法は、当該技術分野で周知であり、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,394,925号、同第8,088,376号、同第8,546,543号、同第10,336,818号、及び同第9,803,023号、並びに米国特許出願公開第2006/0067930号に完全に記載されている。当業者に既知の任意の好適な方法、プロセス、又は技法を使用することができる。本発明のバリアントFc領域を有する抗体分子は、当該技術分野で周知の方法に従って生成され得る。いくつかの実施形態では、バリアントFc領域は、受容体又はリガンドの抗体可変ドメイン又は結合ドメインなどの選択された異種ポリペプチドに融合され得る。
〔000236〕分子生物学の方法及び組換え技術の出現によって、当業者は、組換え手段によって抗体及び抗体様分子を生成し、それによって抗体のポリペプチド構造に見出される特定のアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を生成することができる。そのような抗体は、当該抗体のポリペプチド鎖をコードする遺伝子配列をクローニングするか、又は当該ポリペプチド鎖を直接合成し、合成された鎖を組み立てて、特定のエピトープ及び抗原決定基に対する親和性を有する活性四量体(H2L2)構造を形成することのいずれかによって生成され得る。これによって、異なる種及び供給源からの抗体を中和することを特徴とする配列を有する抗体の即時生成が可能になった。
〔000237〕抗体の供給源、又はインビトロ若しくはインビボで、研究室サイズ若しくは市販のサイズの大細胞培養物であるトランスジェニック動物を使用して、トランスジェニック植物を使用して、又はプロセスのいずれの段階でも生体を用いない直接化学的合成によって、それらがどのように組換え構築されたか、又はどのように合成されたかに関わらず、全ての抗体は、全体的に同様の三次元構造を有する。この構造は、多くの場合、H2L2として提供され、抗体が、一般的に、2つの軽鎖(L)アミノ酸及び2つの重鎖(H)アミノ酸を含むという事実を指す。両方の鎖は、構造的に相補的な抗原標的と相互作用することが可能な領域を有する。標的と相互作用する領域は、「可変」又は「V」領域と称され、アミノ酸配列における、異なる抗原特異性の抗体との違いを特徴とする。H又はL鎖のいずれかの可変領域は、抗原標的に特異的に結合することが可能なアミノ酸配列を含有する。
〔000238〕本明細書で使用される場合、「抗原結合領域」という用語は、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗体に付与するアミノ酸残基を含有する、抗体分子の一部分を指す。抗体結合領域は、抗原結合残基の適切な立体構造を維持するために必要な「フレームワーク」アミノ酸残基を含む。抗原結合領域を提供するH又はL鎖の可変領域内には、異なる特異性の抗体間の極端な可変性の理由である、「超可変」と称されるより小さい配列が存在する。そのような超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR領域」とも称される。これらのCDR領域は、特定の抗原決定基構造に対する抗体の基本的な特異性を担う。
〔000239〕CDRは、可変領域内のアミノ酸の非連続的な範囲を表すが、種に関わらず、可変重鎖及び軽鎖領域内のこれらの重要なアミノ酸配列が配置される位置は、可変鎖のアミノ酸配列内の同様の位置を有することが見出されている。全ての抗体の可変重鎖及び軽鎖は、各々3つのCDR領域を有し、各々が他と非連続である。全ての哺乳類種において、抗体ペプチドは、定常(すなわち、高度に保存された)領域及び可変領域を含有し、後者の中には、CDRと、重鎖又は軽鎖の可変領域内であるが、CDRの外側にある、アミノ酸配列で構成されるいわゆる「フレームワーク領域」とが存在する。
〔000240〕本発明は、上述の核酸のうちの少なくとも1つを含むベクターを更に提供する。遺伝子コードは劣化するので、特定のアミノ酸をコードするために2つ以上のコドンが使用され得る。遺伝コードを使用して、1つ以上の異なるヌクレオチド配列が同定され得、これらの各々が、アミノ酸をコードすることが可能であろう。特定のオリゴヌクレオチドが実際に実際のコード配列を構成するであろう確率は、抗体又は部分を発現する真核細胞又は原核細胞における、異常な塩基対合関係、及び特定のコドンが(特定のアミノ酸をコードするために)実際に使用される頻度を考慮することによって推定することができる。そのような「コドン使用規則」は、Lathe,et al.,183 J.Molec.Biol.1-12(1985)によって開示されている。Latheの「コドン使用規則」を使用して、ウシ科動物IgG配列をコードすることが可能な理論的な「最も可能性の高い」ヌクレオチド配列を含有する、単一ヌクレオチド配列又はヌクレオチド配列のセットを同定することができる。また、本発明で使用するための抗体コード領域は、本明細書に記載の抗体及びペプチドのバリアントを生じる標準的な分子生物学的技法を使用して、既存の抗体遺伝子を改変することによっても提供され得ることが意図される。そのようなバリアントとしては、限定されないが、抗体又はペプチドのアミノ酸配列における欠失、付加、及び置換が挙げられる。
〔000241〕例えば、置換の1つの部類は、保存的アミノ酸置換である。そのような置換は、ウシ科動物抗体ペプチド中の所与のアミノ酸を、同様の特徴を有する別のアミノ酸によって置換するものである。保存的置換として典型的に見られるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、及びlieの間の互いの置き換え;ヒドロキシル残基Ser及びThrの交換、酸性残基Asp及びGluの交換、アミド残基Asn及びGinの間の置換、塩基性残基Lys及びArgの交換、芳香族残基Phe、Tyrの間の置き換えなどである。どのアミノ酸変化が表現型的にサイレントである可能性が高いかに関するガイダンスは、Bowie et al.,247Science 1306-10(1990)に見出される。
〔000242〕バリアントウシ科動物抗体又はペプチドは、完全に機能し得るか、又は1つ以上の活性において機能を欠き得る。完全に機能的なバリアントは、典型的には、保存的変異、又は重要ではない残基若しくは重要ではない領域における変異のみを含有する。機能的バリアントはまた、機能を変化させないか、又はわずかに変化させる同様のアミノ酸の置換も含有し得る。代替的に、そのような置換は、ある程度まで正又は負の影響を及ぼし得る。非機能的バリアントは、典型的には、1つ以上の非保存的アミノ酸置換、欠失、挿入、逆位、若しくは切断、又は重要な残基又は重要な領域における置換、挿入、逆位、若しくは欠失を含有する。
〔000243〕機能に不可欠なアミノ酸は、部位指向性変異誘発又はアラニンスキャニング変異誘発などの当該技術分野で既知の方法によって同定することができる。Cunningham et al.,244 Science 1081-85(1989)。後者の手順は、分子中の全ての残基に単一のアラニン変異を導入する。次いで、生じた変異型分子を、エピトープ結合又はインビトロADCC活性などの生物学的活性について試験する。リガンド-受容体結合に重要な部位はまた、エピトープマッピング(例えば、HDX)、結晶学、核磁気共鳴、又は光親和性標識などの構造分析によって決定することができる。Smith et al.,224 J.Mol.Biol.899-904(1992)、de Vos et al.,255 Science 306-12(1992)。
〔000244〕更に、ポリペプチドは、多くの場合、20の「天然に存在する」アミノ酸以外のアミノ酸を含有する。更に、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、プロセシング及び他の翻訳後修飾などの天然プロセスによって、又は当該技術分野で周知の化学修飾技術によって修飾され得る。既知の修飾としては、限定されないが、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのタンパク質に対するアミノ酸のトランスファー-RNA媒介性付加、及びユビキチン化が挙げられる。かかる修飾は、当業者に周知であり、科学文献に詳細に記載されている。いくつかの特に一般的な修飾、グリコシル化、脂質付着、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ-カルボキシル化、ヒドロキシル化、及びADPリボシル化は、例えば、Proteins-Structure and Molecular Properties(2nd ed.,T.E.Creighton,W.H.Freeman&Co.,N.Y.,1993)などの最も基本的な教本に記載されている。この主題について、Wold,Posttranslational Covalent Modification of proteins,1-12(Johnson,ed.,Academic Press,N.Y.,1983)、Seifter et al.182 Meth.Enzymol.626-46(1990)、及びRattan et al.663 Ann.NY Acad.Sci.48-62(1992)などによる多くの詳細なレビューが入手可能である。
〔000245〕別の態様では、本発明は、抗体誘導体を提供する。抗体の「誘導体」は、通常、タンパク質の一部ではない追加の化学的部分を含有する。タンパク質の共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれる。そのような修飾は、抗体の標的アミノ酸残基を、選択された側鎖又は末端残基と反応可能である有機誘導体化剤と反応させることによって、分子に導入され得る。例えば、当該技術分野で周知の二官能性薬剤を用いる誘導体化は、抗体又は断片を水不溶性支持体マトリックス又は他の巨大分子担体に架橋するのに有用である。
〔000246〕誘導体はまた、標識される放射標識されたモノクローナル抗体を含む。例えば、放射性ヨウ素(251,1311)、炭素(4C)、硫黄(35S)、インジウム、トリチウム(H)など;ビオチン又はアビジンを含むモノクローナル抗体と、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-D-ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、カルボン酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、又はグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼなどの酵素とのコンジュゲート;及びまたモノクローナル抗体と、生物発光剤(ルシフェラーゼなど)、化学発光剤(アクリジンエステルなど)、又は蛍光剤(フィコビルタンパク質など)とのコンジュゲートが用いられる。
〔000247〕本発明の別の誘導体二官能性抗体は、2つの異なる抗原基を認識する2つの別個の抗体の部分を組み合わせることによって生成される、二重特異性抗体である。これは、架橋又は組換え技法によって達成され得る。加えて、部分を、抗体又はその一部分に添加して、(例えば、血流からのクリアランスまでの時間を延長することによってインビボでの半減期を増加させることができる。そのような技法としては、例えば、PEG部分を付加すること(ペグ化とも称される)が挙げられ、当該技術分野で周知である。米国特許出願公開第2003/0031671号を参照されたい。
〔000248〕いくつかの実施形態では、主題の抗体をコードする核酸は、宿主細胞に直接導入され、細胞は、コードされた抗体の発現を誘導するのに十分な条件下でインキュベートされる。主題の核酸が細胞に導入された後、細胞は、典型的には、抗体の発現を可能にするために、通常、37℃で、時には選択下で、約1~24時間の期間の間インキュベートされる。一実施形態では、抗体は、細胞が成長している培地の上清に分泌される。従来的には、モノクローナル抗体は、マウスハイブリドーマ株において天然分子として生成されている。その技術に加えて、本発明は、抗体の組換えDNA発現を提供する。これによって、選択された宿主種における抗体の生成、並びに抗体誘導体及び融合タンパク質のスペクトルの生成が可能になる。
〔000249〕本発明の少なくとも1つの抗体、部分、又はポリペプチドをコードする核酸配列は、ライゲーションのための平滑末端又は突出末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、粘着末端の適切な充填、望ましくない結合を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、及び適切なライガーゼによるライゲーションを含む従来の技法に従って、ベクターDNAと組換えられ得る。そのような操作のための技法は、例えば、Maniatis et al.,MOLECULAR CLONING,LAB.MANUAL,(Cold Spring Harbor Lab.Press,NY,1982 and 1989)、及びAusubel et al.1993(上記)によって開示されており、これらを使用して、抗体分子又はその抗原結合領域をコードする核酸配列を構築することができる。
〔000250〕DNAなどの核酸分子は、転写及び翻訳調節情報を含有するヌクレオチド配列を含有し、そのような配列が、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に「作動可能に連結されている」場合、ポリペプチドを「発現することが可能である」と言われる。操作可能な連結は、調節DNA配列と、発現させようとするDNA配列とが、回収可能な量でペプチド又は抗体部分としての遺伝子発現を可能にするような方式で接続される連結である。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は、類似の技術において周知であるように、生物によって変動し得る。例えば、Sambrook et al.,2001(上記)、Ausubel et al.,1993(上記)を参照されたい。
〔000251〕したがって、本発明は、原核細胞又は真核細胞のいずれかにおける抗体又はペプチドの発現を包含する。好適な宿主としては、インビボ若しくはインサイチュでの、又は哺乳類、昆虫、鳥類、若しくは酵母起源の宿主細胞のいずれかにおける細菌、酵母、昆虫、真菌、鳥類、及び哺乳類細胞を含む、細菌又は真核生物宿主が挙げられる。哺乳類細胞又は組織は、ヒト、霊長類、ハムスター、ウサギ、げっ歯類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、イヌ、又はネコ起源のものであり得る。また、当該技術分野で既知の任意の他の好適な哺乳類細胞を使用してもよい。
〔000252〕一実施形態では、本発明のヌクレオチド配列は、レシピエント宿主における自律複製が可能なプラスミド又はウイルスベクターに組み込まれるであろう。多種多様なベクターのうちのいずれかが、この目的のために用いられ得る。例えば、Ausubel et al.,1993(上記)を参照されたい。特定のプラスミド又はウイルスベクターの選択に重要な要因としては、ベクターを含有するレシピエント細胞が認識され、ベクターを含有しないレシピエント細胞から選択されることができる容易さ;特定の宿主において望ましいベクターのコピーの数;及び異なる種の宿主細胞間でベクターを「シャトル」することが可能であることが望ましいかどうか、が挙げられる。
〔000253〕当該技術分野で既知の原核生物ベクターの例としては、E.coli内で複製可能なもの(例えば、pBR322、CoIE1、pSC101、pACYC184、.pi.vXなど)などのプラスミドが挙げられる。そのようなプラスミドは、例えば、Maniatis et aI.,1989(上記)、Ausubel et al,1993(上記)によって開示されている。Bacillusプラスミドとしては、pC194、pC221、pT127などが挙げられる。そのようなプラスミドは、Gryczanによる、THE MOLEC.BIO.OF THE BACILLI 307-329(Academic Press,NY,1982)に開示されている。好適なStreptomycesプラスミドとしては、p1J101(Kendall et al.,169 J.Bacteriol.4177-83(1987)、及びphLC31(Chater et al.,SIXTH INT’L SYMPOSIUM ON ACTINOMYCETALES BIO.45-54(Akademiai Kaido,Budapest,Hungary1986)などのStreptomycesバクテリオファージが挙げられる。Pseudomonasプラスミドは、John et aI.,8 Rev.Infect.Dis.693-704(1986)、lzaki,33 Jpn.J.Bacteriol.729-42(1978)、及びAusubel et aI.,1993(上記)でレビューされている。
〔000254〕代替的に、cDNAをコードする抗体又はペプチドの発現に有用な遺伝子発現要素としては、限定されないが、(a)SV40初期プロモーター(Okayama et aI.,3 Mol.Cell.Biol.280(1983)、Rous肉腫ウイルスLTR(Gorman et aI.,79 Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 6777(1982)、及びMoloneyマウス白血病ウイルスLTR(Grosschedl et aI.,41 Cell 885(1985)などのウイルス転写プロモーター及びそのエンハンサー要素、(b)SV40後期領域に由来するもの(Okayarea et aI.,1983)などのスプライス領域及びポリアデニル化部位、並びに(c)SV40(Okayama et aI.,1983)などのポリアデニル化部位が挙げられる。
〔000255〕免疫グロブリンcDNA遺伝子は、SV40初期プロモーター及びそのエンハンサー、マウス免疫グロブリンH鎖プロモーターエンハンサー、SV40後期領域mRNAスプライシング、ウサギS-グロビン介入配列、免疫グロブリン、及びウサギS-グロビンポリアデニル化部位、及びSV40ポリアデニル化要素を発現要素として使用して、Weidle et al.,51Gene21(1987)によって記載されるように発現され得る。cDNA部分、ゲノムDNA部分(Whittle et aI.,1 Protein Engin.499(1987))で構成されている免疫グロブリン遺伝子では、転写プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルスであり得、プロモーターエンハンサーは、サイトメガロウイルス及びマウス/ヒト免疫グロブリンであり得、mRNAスプライシング及びポリアデニル化領域は、天然染色体免疫グロブリン配列であり得る。
〔000256〕一実施形態では、げっ歯類細胞におけるcDNA遺伝子の発現では、転写プロモーターは、ウイルスLTR配列であり、転写プロモーターエンハンサーは、マウス免疫グロブリン重鎖エンハンサー及びウイルスLTRエンハンサーのいずれか又は両方であり、スプライス領域は、31bp超のイントロンを含有し、ポリアデニル化及び転写終結領域は、合成される免疫グロブリン鎖に対応する天然染色体配列に由来する。他の実施形態では、他のタンパク質をコードするcDNA配列を、上に列挙された発現要素と組み合わせて、哺乳類細胞におけるタンパク質の発現を達成する。
〔000257〕各融合遺伝子は、発現ベクターに組み立てられるか、又は発現ベクター内に挿入され得る。次いで、免疫グロブリン鎖遺伝子生成物を発現することが可能なレシピエント細胞は、ペプチド若しくはH若しくはL鎖コード遺伝子で単一でトランスフェクトされるか、又はH及びL鎖遺伝子と同時トランスフェクトされる。トランスフェクトされたレシピエント細胞は、組み込まれた遺伝子の発現を可能にする条件下で培養され、発現した免疫グロブリン鎖又はそのままの抗体又は断片が培養物から回収される。
〔000258〕一実施形態では、ペプチド若しくはH及びL鎖、又はそれらの部分をコードする融合遺伝子は、次いで、レシピエント細胞を同時トランスフェクションするために使用される別個の発現ベクターに組み立てられる。代替的に、H鎖及びL鎖をコードする融合遺伝子は、同じ発現ベクター上に組み立てられ得る。発現ベクターのトランスフェクション及び抗体の生成のためのレシピエント細胞株は、骨髄腫細胞であり得る。骨髄腫細胞は、トランスフェクトされた免疫グロブリン遺伝子によってコードされる免疫グロブリンを合成、組み立て、分泌することができ、免疫グロブリンのグリコシル化の機序を有する。骨髄腫細胞は、培養物中又は分泌された免疫グロブリンが、腹水から得られ得るマウスの腹腔内で増殖され得る。他の好適なレシピエント細胞としては、ウシ科動物若しくは非ウシ科動物起源のBリンパ球などのリンパ球細胞、ウシ科動物若しくは非ウシ科動物起源のハイブリドーマ細胞、又は種間ヘテロハイブリドーマ細胞が挙げられる。
〔000259〕本発明の抗体構築物又はポリペプチドを担持する発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、及びジエチルアミノエチル(DEAE)デキストランなどのポリカチオンとの適用としてのそのような生化学的手段、並びに電気穿孔、直接マイクロ注入、及びマイクロプロジェクターボンバードメント(microprojectile bombardment)としてのそのような機械的手段を含む、多様な好適な手段のうちのいずれかによって、適切な宿主細胞に導入され得る。Johnston et al.,240 Science 1538(1988)。
〔000260〕酵母は、免疫グロブリンH及びL鎖の生成では、細菌を上回る実質的な利点を提供し得る。酵母は、グリコシル化を含む翻訳後ペプチド修飾を実行する。酵母における所望のタンパク質の生成に使用することができる強力なプロモーター配列及び高コピー数プラスミドを利用する、いくつかの組換えDNA戦略が現在存在する。酵母は、クローニングされた哺乳類遺伝子生成物のリーダー配列を認識し、リーダー配列を担持するペプチド(すなわち、前ペプチド)を分泌する。Hitzman et al.,11th Int’l Conference on Yeast,Genetics&Molec.Biol.(Montpelier,France,1982)。
〔000261〕酵母遺伝子発現系は、ペプチド、抗体、断片、及びそれらの領域の生成、分泌、及び安定性のレベルについて、定例通り評価することができる。グルコースを豊富に含む培地で酵母を増殖させる場合に大量に生成される解糖酵素をコードする能動発現遺伝子からのプロモーター及び終結要素を組み込んだ一連の酵母遺伝子発現系のうちのいずれかが、利用され得る。既知の解糖遺伝子はまた、非常に効率的な転写制御シグナルを提供し得る。例えば、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)遺伝子のプロモーター及びターミネーターシグナルが、利用され得る。酵母におけるクローニングされた免疫グロブリンcDNAの発現に最適な発現プラスミドを評価するための、いくつかのアプローチが選択され得る。Vol.II DNA Cloning,45-66,(Glover,ed.,)IRL Press,Oxford,UK 1985)を参照されたい。
〔000262〕細菌株はまた、本発明によって記載される抗体分子又はペプチドの生成のための宿主として利用され得る。宿主細胞と適合する種に由来するレプリコン及び対照配列を含有するプラスミドベクターが、これらの細菌宿主と関連して使用される。ベクターは、複製部位、並びに形質転換細胞において表現型選択を提供することが可能である特定の遺伝子を担持する。細菌におけるクローニングされた免疫グロブリンcDNAによってコードされる抗体、断片、及び領域、又は抗体鎖の生成のための発現プラスミドを評価するための、いくつかのアプローチが選択され得る(Glover,1985(上記)、Ausubel,1993(上記)、Sambrook,2001(上記)、Colligan et al.,eds.Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,NY,N.Y.(1994-2001)、Colligan et al.,eds.Current Protocols in Protein Science,John Wiley&Sons,NY,N.Y.(1997-2001)を参照されたい。
〔000263〕宿主哺乳類細胞は、インビトロ又はインビボで増殖され得る。哺乳類細胞は、リーダーペプチド除去、ハンドL鎖の折り畳み及び組み立て、抗体分子のグリコシル化、並びに機能的抗体タンパク質の分泌を含む、免疫グロブリンタンパク質分子への翻訳後修飾を提供する。抗体タンパク質の生成の宿主として有用であり得る哺乳類細胞としては、上記のリンパ系起源の細胞に加えて、Vero(ATCC CRL81)又はCHO-K1(ATCC CRL61)細胞などの線維芽細胞起源の細胞が挙げられる。多くのベクター系は、哺乳類細胞におけるクローニングされたペプチドハンドL鎖遺伝子の発現に利用可能である(Glover,1985(上記)を参照されたい)。完全なH2L2抗体を得るために、異なるアプローチに従ってもよい。同じ細胞内でハンドL鎖を同時発現させて、完全な四量体H2L2抗体及び/又はペプチドへのハンドL鎖の細胞内会合及び連結を達成することが可能である。同時発現は、同じ宿主内で同じか又は異なるプラスミドのいずれかを使用することによって行うことができる。ハンドL鎖及び/又はペプチドの両方の遺伝子を同じプラスミドに配置し、次いで、これを細胞にトランスフェクトし、それによって、両方の鎖を発現する細胞を直接選択することができる。代替的に、まず、1つの鎖、例えば、L鎖をコードするプラスミドで細胞をトランスフェクトし、続いて、生じた細胞株を第2の選択可能なマーカーを含有するH鎖プラスミドでトランスフェクトすることができる。組み立てられたH2L2抗体分子のより高い生成又はトランスフェクトされた細胞株の安定性の向上などの特性を向上させた細胞株を生成するために、いずれかの経路を介してペプチド及び/又はH2L2分子を生成する細胞株を、追加の選択可能なマーカーと併せて、ペプチド、H、L、又はHプラスL鎖の追加のコピーをコードするプラスミドでトランスフェクトすることができる。
〔000264〕組換え抗体の長期的な高収率の生成のために、安定した発現が、使用され得る。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株が、操作され得る。ウイルス起源の複製物を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞が、免疫グロブリン発現カセット及び選択可能なマーカーで形質転換されてもよい。外来DNAの導入に続いて、操作された細胞を濃縮培地で1~2日間増殖させてもよく、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドを染色体に安定的に組み込み増殖して、ひいては細胞株にクローニング及び拡大することができるフォーカスを形成することを可能にする。そのような操作された細胞株は、抗体分子と直接又は間接的に相互作用する化合物/構成要素のスクリーニング及び評価において特に有用であり得る。
〔000265〕本発明の抗体が生成されると、それは、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインA後の特定の抗原に対する親和性、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、吸収率較差溶解度によって、又はタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技法によって精製され得る。多くの実施形態では、抗体は、細胞から培養培地に分泌され、培養培地から採取される。
薬学的及び獣医学的用途
〔000266〕本発明はまた、本発明の分子及び1つ以上の薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。より具体的には、本発明は、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、有効成分として本発明による抗体又はペプチドと、を含む、薬学的組成物を提供する。
〔000267〕「薬学的に許容される担体」は、用いられる投薬量及び濃度で曝露される細胞又は動物に対して無毒である、任意の賦形剤を含む。薬学的組成物は、1つ又は追加の治療剤を含み得る。
〔000268〕「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題の合併症を伴わずに、動物の組織との接触に好適な化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
〔000269〕薬学的に許容される担体としては、溶媒、分散媒、緩衝液、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、湿潤剤、保存剤、バガー(bugger)、キレート剤、抗酸化剤、等張剤、並びに吸収遅延剤が挙げられる。
〔000270〕薬学的に許容される担体としては、水;生理食塩水;リン酸緩衝生理食塩水;デキストロース;グリセロール;エタノール及びイソプロパノールなどのアルコール;リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;アスコルビン酸;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;並びに単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA;ナトリウムなどの塩形成対イオン;並びに/又はTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(登録商標)などの非イオン性界面活性剤;糖類などの等張剤、マンニトール及びソルビトールなどの多価アルコール、及び塩化ナトリウム;並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
〔000271〕本発明の薬学的組成物は、例えば、液体溶液(例えば、注射可能かつ注入可能な溶液)、分散液、又は懸濁液、リポソーム、坐剤、錠剤、丸剤、又は粉末などの液体、半固体、又は固体剤形を含む、多様な方式で製剤化され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な又は注入可能な溶液の形態である。組成物は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、非経口、経粘膜、経口、局所、又は経皮投与に好適な形態であり得る。組成物は、即時放出、制御放出、徐放、又は遅延放出組成物として製剤化され得る。
〔000272〕本発明の組成物は、個々の治療剤として、又は他の治療剤と組み合わせてのいずれかで投与され得る。それらは単独で投与することができるが、概して、選択された投与経路及び標準的な薬学的慣行に基づいて選択された薬学的担体とともに投与される。本明細書に開示の抗体の投与は、非経口注射(腹腔内、皮下、又は筋肉内注射など)を含む任意の好適な手段によって、経口的に、又は抗体の局所投与(典型的には薬学的製剤中で実行される)によって、気道表面に実行され得る。気道表面への局所投与は、鼻腔内投与(例えば、ドロッパー、綿棒、又は吸入器の使用による)によって実行され得る。気道表面への抗体の局所投与はまた、抗体をエアロゾル懸濁液として含有する薬学的製剤(固体及び液体粒子の両方を含む)の呼吸可能な粒子を作製し、次いで呼吸可能な粒子を対象に吸入させることなどによる、吸入投与によって実行され得る。薬学的製剤の呼吸可能な粒子を投与するための方法及び装置は、周知であり、任意の従来技法が用いられ得る。
〔000273〕いくつかの望ましい実施形態では、抗体は、非経口注射によって投与される。非経口投与では、抗体又は分子は、薬学的に許容される非経口ビヒクルと関連する、溶液、懸濁液、エマルション、又は凍結乾燥粉末として製剤化され得る。例えば、ビヒクルは、水性担体などの許容される担体に溶解された抗体又はそのカクテルの溶液であり得、そのようなビヒクルは、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、トレハロース若しくはスクロース溶液、又は5%血清アルブミン、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどである。不揮発性油などのリポソーム及び非水性ビヒクルも使用され得る。これらの溶液は、無菌であり、概して、粒子状物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技法によって滅菌され得る。組成物は、pH調整剤、及び緩衝液、毒性調整剤などの生理学的条件に近づけるために必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含有し得る。これらの製剤中の抗体の濃度は、例えば、約0.5重量%未満、通常、約1重量%以上~最大で15重量%又は20重量%と広範に変動し得、選択される特定の投与モードに従って、主に流体体積、粘度などに基づいて選択されるであろう。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)及び化学的安定性(例えば、緩衝液及び防腐剤)を維持する添加剤を含有し得る。製剤は、一般的に使用される技法によって滅菌される。非経口投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に既知であるか、又は明らかであり、例えば、REMINGTON’S PHARMA.SCI.(15th ed.,Mack Pub.Co.,Easton,Pa.,1980)により詳細に記載されている。
〔000274〕本発明の抗体又は分子は、保存のために凍結乾燥され、使用前に好適な担体中で再構築され得る。この技法は、従来の免疫グロブリンに対して有効であることが示されている。任意の好適な凍結乾燥及び再構築技法が用いられ得る。凍結乾燥及び再構築が、多様な程度の抗体活性損失をもたらし得、使用レベルを調整して相殺する必要があることを、当業者は理解するであろう。本抗体又はそれらのカクテルを含有する組成物は、既存の疾患の再発の防止及び/又は治療的処置のために投与され得る。好適な薬学的担体は、当該技術分野で標準的な参照教本であるREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCESの最新版に記載されている。治療用途において、組成物は、疾患及びその合併症を治癒するか、又は少なくとも部分的に停止若しくは緩和するのに十分な量で、疾患に既に罹患している対象に投与される。
〔000275〕本明細書に記載の状態又は疾患の治療のための本発明の組成物の有効用量は、例えば、限定されないが、特定の薬剤の薬力学的特徴及びその投与モード及び経路;標的部位;動物の生理学的状態;投与される他の医薬品;治療が予防的であるか又は治療的であるか;レシピエントの年齢、健康、及び体重;症状の種類の性質及び程度並行して行われる治療の種類、治療の頻度、並びに所望の効果を含む、多くの異なる要因に応じて変動する。
〔000276〕組成物の単回又は複数回の投与は、治療する獣医師によって選択される用量レベル及びパターンで実行され得る。いずれにせよ、薬学的製剤は、対象を効果的に治療するのに十分な量の本発明の抗体を提供すべきである。
〔000277〕治療投薬量は、安全性及び有効性を最適化するために当業者に既知の定例的な方法を使用して滴定され得る。
〔000278〕本発明の薬学的組成物は、「治療有効量」を含み得る。「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するのに必要な投薬量及び期間での有効な量を指す。治療有効量の分子は、個体における疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに個体における所望の応答を分子が誘発する能力などの要因に応じて変動し得る。治療有効量はまた、治療的に有益な効果が分子の任意の毒性又は有害効果を上回る量である。
〔000279〕別の態様では、本発明の組成物は、例えば、ウシ科動物における様々な疾患及び障害の治療に使用され得る。本明細書で使用される場合、「治療する」及び「治療」という用語は、予防又は防止措置を含む治療処置を指し、対象が、疾患又は状態と関連する望ましくない生理学的変化を防止又は減速(軽減)される対象である。有益な又は所望の臨床結果としては、限定されないが、検出可能であるか検出不可能であるかに関わらず、症状の緩和、疾患又は状態の程度の減少、疾患又は状態の安定化(すなわち、疾患又は状態が悪化しない)、疾患又は状態の進行の遅延又は減速、疾患又は状態の改善又は緩和、及び疾患又は状態の寛解(部分的又は完全な)が挙げられる。治療を必要とする対象としては、既に疾患若しくは状態を有する対象、並びに疾患若しくは状態を有する傾向がある対象、又は疾患若しくは状態が防止される対象が挙げられる。
〔000280〕本明細書で引用される全ての特許及び参照文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
〔000281〕以下の実施例は、先行開示を補足し、本明細書に記載の主題のより良い理解を提供するために提供される。これらの実施例は、記載の主題を限定するものとみなされるべきではない。本明細書に記載の実施例及び実施形態は、例示のみを目的とし、それらの観点からの様々な修正又は変更が、当業者には明らかであり、本発明の真の範囲内に含まれ、本発明の真の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。
実施例
ウシ科動物IgG変異体
方法
インビトロFc受容体結合アッセイ
〔000282〕組換えウシ科動物FcRn(bFcRn)、FcgR1、FcgR2、FcgR3、及びFcg2R DNAを、哺乳動物発現のためにコドン最適化し、表1のようにNCBIデータベースからの配列に基づいて合成した。DNAは、C末端6×His+BAPタグ(AGLNDIFEAQKIEWHE;配列番号113)を用いて操作された、pcDNA3.1(+)ベクターにクローニングされた。全てのFcgRを、HEK293又はExpi-CHO細胞にトランスフェクトし(FcRn-αサブユニット及びβ-マイクログロブリンを同時トランスフェクトした)、FcgR又はFcRn複合体を、c末端Hisタグを介するIMAC親和性精製によって精製した。
〔000283〕精製したFcRを以下のようにビオチン化した。精製したFc受容体タンパク質を、10mMのTris-HCl、pH8.0に透析し、Amicon Ultra、10KMWCO(EMD Millipore、Billerica,MA)を使用して濃縮した。受容体のc末端で発現されたビオチンアクセプターペプチド(BAP)AGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号113)は、ビオチンリガーゼBirAを使用して、ビオチンをこの範囲のアミノ酸に移行させることを可能にした。ビオチン化反応を、製造業者のプロトコル(Avidity,LLC、Aurora,CO)に記載されるように実施した。次いで、受容体をPBS中に透析して、残留ビオチンを除去した。
〔000284〕bFcRn、bFcgR1、bFcgR2、bFcgR3、bFcg2Rに対するウシ科動物IgGサブクラス及び変異体の親和性を試験するために、Biacore SPR結合アッセイを設計した。
bFcRnのBiacore方法:
〔000285〕ウシ科動物FcRnに対するウシ科動物Fcベースの抗体又は融合タンパク質結合親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。SAセンサーを使用して、全ての報告されたKDをBiacore T200(Cytiva、Marlborough,MA,USA)で測定した。所望の表面密度のために、ウシ科動物FcRnをセンサーの表面上に捕捉した。20mMのMES、150mMのNaCl、0.005%のTween(登録商標) 20、0.5mg/mLのBSA、pH6及び/又はPBS、0.0005%のTween(登録商標) 20、pH7.4の泳動用緩衝液を使用した。様々な濃度のウシ科動物CTLA4-Fc融合物又はmAbを、適切な泳動用緩衝液において滴定し、受容体表面上に流した。再生は、50mMのTris-HCl、pH8、0.005%のp20、及び0.5%のBSAで実施した。二重参照の方法を用いて、Biacore T200 Evaluationソフトウェア(Cytiva、Marlborough,MA,USA)を使用して、動的結合親和性を分析した。参照フローセルを、固定化されたウシ科動物FcRnを含有するフローセルから減算し、緩衝液のみを含有するブランク実験を、全ての実験から減算した。生じた曲線を、1:1結合モデルに適合させた。実験は、25℃で実施した。
ビオチン化bFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3のための方法:
〔000286〕bFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3に対するウシ科動物IgGサブクラスの親和性を試験するために、Biacore SPR結合アッセイを設計した。シリーズS SAセンサーを使用して、全ての報告されたKDをBiacore(Cytiva、Marlborough,MA,USA)で測定した。所望の表面密度に達するために、修飾されたSA捕捉方法を使用して、ビオチン化ウシ科動物FcgR1、R2、及びR3をセンサー表面上に捕捉した。10mMのHEPES、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20、pH7.4緩衝液を泳動用及び滴定の緩衝液として使用した。様々な濃度のウシ科動物CTLA4-Fc融合物又はmAbを滴定し、受容体表面上に流し、1:1の結合モデルを有するBiacore T200 Evaluationソフトウェア(Cytiva、Marlborough,MA,USA)を使用して、親和性を決定した。参照フローセルを固定化した受容体を含有するフローセルから減算し、緩衝液のみを含有するブランク実験を全ての実験から減算した、二重参照の方法を適用した。フローセルを、10mMのグリシン、pH1.5を使用して再生した。実験は、15℃で実施した。
bFcg2Rのための方法:
〔000287〕シリーズS CM5センサーを使用して、全ての報告されたKDをBiacore T200(Cytiva、Marlborough,MA,USA)で測定した。所望の表面密度のために、アミンカップリング(EDC-NGF混合物によるカルボキシル基活性化及びエタノールアミンによる過剰反応性基の非活性化)によって固定化緩衝液を使用してセンサー表面にウシ科動物Fcg2Rを固定した。10mMのHEPESの泳動用緩衝液、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20、pH7.4緩衝液を使用した。様々な濃度のウシ科動物CTLA4-Fc融合物又はmAbを滴定し、受容体表面上に流し、1:1の結合モデルを有するBiacore T200 Evaluationソフトウェア(Cytiva、Marlborough,MA,USA)を使用して、親和性を決定した。参照フローセルを固定化した受容体を含有するフローセルから減算し、緩衝液のみを含有するブランク実験を全ての実験から減算した、二重参照の方法を適用した。フローセルを、10mMのグリシン、pH1.5を使用して再生した。実験は、15℃で実施した。
Fc融合タンパク質及びmAbの再生
〔000288〕組換えCTLA4-Fc融合物を、それぞれ、図6、図14、及び図18に示されるように、重鎖ヒンジ領域のすぐ上流から始まるbIgG1a(NCBI1S82409)、bIgG2a(Zoetisで配列決定)、bIgG3a(NCBI BTU63638)Fcを含有するpcDNA3.1(+)哺乳類発現ベクターへのイヌ科動物CTLA4遺伝子(NCBI NM_001003106.1)の挿入を介して構築した。組換えCTLA4-Fc融合物も、図6、図14、及び図18に示されるのと同じFc位置で、bIgG1b(X16701)、bIgG2b(S82407)、及び又はbIgG3b(BTU63639)について構築した。追加のリンカーは必要なかった。
〔000289〕bIgG1a、bIgG1b、bIgG2a、bIgG2b、bIgG3a、及びbIgG3b Fc領域を有する組換えmAbを、pcDNA3.1(+)哺乳類発現ベクター内の定常ドメインをコードするヌクレオチドの上流かつそれとインフレームでVH配列を挿入することによって構築した。定常領域は、bIgG1a(NCBI 1S82409)、bIgG1b(X16701)、bIgG2a(Zoetisで配列決定)、bIgG2b(S82407)、bIgG3a(NCBI BTU63638)、又はbIgG3b(BTU63639)のいずれかであった。同様に、軽鎖を、ウシ科動物カッパ対立遺伝子1定常領域(NCBI HQ213994.1)の上流かつそれとインフレームでVL配列を挿入することによって構築した。
〔000290〕変異を、CTLA4 Fc融合及び完全mAbフォーマットの両方において、3つの野生型サブクラスに導入して、FcgRへの結合をノックアウトするか、CDC及び/若しくはADCPをノックアウトするか、安定性を改善するか、又はbFcRnに対する親和性を増加させた。単一部位指向性変異誘発のために、AgilentのQuikChange II Mutagenesis及び関連するAgilentプライマー設計ツール(https://www.agilent.com/store/primerDesignProgram.jsp)を使用して、各野生型プラスミド上の様々な位置に変異を組み込んだ。
〔000291〕全てのCTLA4融合物及びmAb遺伝子のDNAを、哺乳類発現のためにコドン最適化し、構築物を、FectoPRO(登録商標)トランスフェクション試薬及びプロトコル(Polyplus Transfection、New York,NY,USA)を使用してHEK293細胞において、又はExpiCHO一過性系(ThermoFisher Scientific)キットプロトコルを使用してCHO細胞内のいずれかで一過性に発現させた。ExpiCHO発現は、mAb又はCTLA4 Fc融合トランスフェクションのいずれかで、ThermoFisherによって概説されたプロトコルに従った。mAbでは、IgGカッパ軽鎖をコードする遺伝子配列を含有するプラスミドを、IgG重鎖をコードするプラスミドで同時トランスフェクトした。HEK293発現では、等重量の重鎖プラスミド及びカッパ鎖プラスミドを同時トランスフェクトした。Fc融合物について、単一のプラスミドをトランスフェクトした。細胞を7日間(HEK293)又は12日間(CHO)成長させ、その後、タンパク質精製のために上清を収集した。Octet QKe定量化(Pall ForteBio Corp、Menlo Park,CA,USA)を介して、プロテインA又はプロテインGセンサーへの結合について、CTLA4 Fc融合物及びmAbをスクリーニングした。標準曲線を使用して、プロテインA又はプロテインGセンサーを用いて、Octetで発現を定量化し、mAb/融合タンパク質をプロテインG又はプロテインA/G親和性クロマトグラフィーで精製した。全てのタンパク質構築物について、酢酸ナトリウムpH5.5を結合及び洗浄緩衝液として使用し、pH3.4で溶出を実施した。精製したタンパク質を中和し、更なる分析のために、20mMの酢酸Na、pH5.5、140mMのNaClに透析した。mAb及び融合タンパク質の濃度を、280nmのNanoDropを介して測定した。タンパク質の質は、分析用SEC及び標準クマシータンパク質ゲルを介して評価した。
〔000292〕表2は、3つのウシ科動物IgG野生型サブクラス及び変異に対して生成されたCTLA4 Fc融合物を列挙する。表2に記載されるように、同一の位置でmAbに対しても変異を行った。
〔000293〕ウシ科動物IgGに導入されたがFc融合物に対して行われなかった追加の変異は、bIgG1aの「DP」安定化変異体、bFcRnに対する親和性を増加させる変異、bIgG3a上のR433Hである。
以下の表3は、ヌクレオチド変異に起因するアミノ酸への変化を含む、bIgG1b、IgG2b、及びIgG3bに対して行われた変異を説明する。表3はまた、変異に対する隣接配列を示す。表3の同じFcの変異を、bIgG1a、bIgG2a、及びIgG3aに対して行い、変異は、a及びbのアロタイプについて同一のアミノ酸配列をもたらした。
bIgG変異はエフェクター機能をノックアウトする
〔000294〕いくつかの変異を、bIgG1aアロタイプのFc領域に導入して、エフェクター機能をノックアウトした:1)bIgG1aのbFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3への結合、2)細胞ベースのアッセイにおける補体殺傷活性(CDC)、及び3)ADCP細胞ベースのアッセイにおける食作用を排除するか、又は無視できるまで低減する。
〔000295〕「Winter」(又は「Win」)部位は、ヒトIgG1について以前に報告されたように、ヒンジのすぐ下流にある。ヒトIgG1のこのLLGG「Winter」部位は、種によって異なる。ウシ科動物IgG1については、それは、LPGG(図2)である。ヒトIgG1について、一般的に「LALA」と称される変異は、Leu234Ala及びLeu235Alaにある。ウシ科動物IgG1について、対応するWinter変異は、Leu234Ala、Pro235Alaであるが、追加の残基も変異される。この追加の変異は、Gly237Ala(KabatにおけるEuインデックスに従って付番される)である。
〔000296〕bIgG1a上の「PAPからSAS」(Pro329Ser_Pro331Ser)及び「PAPからSAP」(Pro329Ser)変異は、bIgG2が細胞ベースのアッセイにおいて補体活性を誘発しないため、bIgG2に基づいて考案された。ウシ科動物IgG2aは、CH2に天然に存在するSAS部位を有し、一方、図2に示すように、bIgG1aは、この領域においてPAPである。したがって、bIgG1aにおけるPAPをSAS又はSAPのいずれかに変異させることは、CDCを排除するであろうと仮定された。
〔000297〕bIgG1a上の「SS」変異(Ala330Ser、Pro331Ser)は、hIgG4サブクラスがFcgRに対して弱い親和性を有し、したがって無視できるエフェクター機能を有するため、この同じ領域におけるヒトIgG4に類似するヒトIgG1に対する変異、PAPからPSSに基づいている。実際、hIgG1上の「SS」変異は、エフェクター機能をノックアウトする。ウシ科動物IgG1は、この領域においてhIgG1と同じPAP配列を有するため、bIgG1上のPAPからPSSへの変異がADCC、ADCP、CDC、及びFcgR結合をノックアウトするであろうと仮定された。SS変異を、bIgG1上のWinter変異に追加した。
〔000298〕上述の変異を、bIgG1a Fc上に導入した:Winter変異のみ、L234A_P235A_G237A「Win」(配列番号16)、Winter変異+SS変異、L234A_P235A_G237A_A330S_P331S「WinSS」(配列番号18)、Winter変異+SAS変異、L234A_P235A_G237A_P329S_P331S「WinSAS」(配列番号17)、SAS変異のみ、P329S_P331S「SAS」(配列番号15)、及びSAP変異のみ、P329S「SAP」(配列番号14)。これらの変異を、図6に整列させる。
〔000299〕Fcγ受容体についての上記変異の結合親和性を、bIgG1a野生型と比較した。変異体はまた、機能的細胞ベースのアッセイにおいて試験され、データは、SAS及びSAP変異の両方が、CDC活性を劇的に低減することを示す。SAS及びSAPの変異もADCPを完全にノックアウトする。予想外に、「Winter」変異は、細胞ベースのCDCアッセイにおいて、補体活性を低減するのではなく増強したようであり、細胞ベースのアッセイにおいて、ADCPに対して無視できる効果を有する。また、予想外に、bIgG1a上の「SS」変異は、bFcgR1及びbFcgR2への結合を完全にノックアウトしない。bIgG1上のSS変異は、CDC上でわずかな低減のみを有し、細胞ベースのアッセイにおけるADCPを部分的にノックダウンするのみである。
ウシ科動物Fc受容体結合親和性に対するbIgG Fc変異の効果
〔000300〕bIgG1a及びbIgG1b野生型FcのSPR Biacore bFcgR親和性を、上述のbIgG1a及びbIgG1b変異と比較することにより、ウシ科動物Fcγ受容体への結合をノックアウトする能力を評価した。bIgG1a野生型組換えmAbの5つのFc変異体との定常領域のアラインメントを図6に示す。bIgG1aアロタイプのbIgG1bアロタイプとのアラインメントを図3に示す。bIgG1に対して行われた全ての変異は、a及びbアロタイプと同一である。実施例1に記載されるように、bFcgR1、R2、及びR3のためのBiacore方法を実施した。
〔000301〕表4は、Fcγ受容体へのbIgG1a及びbIgG1b結合に対するエフェクター機能Fc変異の結果を示す。bIgG1野生型について、2つのアロタイプは、bFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3に類似した結合親和性を有する。Winter変異(bIgG1aWin)は、bFcgR3への結合をノックアウトしたが、bFcgR1又はbFcgR2親和性に顕著に影響しなかった。SS変異をWinter(bIgG1aWinSS)に加えると、bFcgR1及びbFcgR2への結合がいくらか低減し、bFcgR3への無視できる結合が維持された。Winter変異(bIgG1aWinSAS)、SAS変異単独(bIgG1aSAS)、又はSAP変異単独(bIgG1aSAP)にSASを加えた場合のみ、3つ全てのFcγ受容体への結合がノックアウトされる。ウシ科動物bFcgR1は、IgG1aSAPへの非常に弱い結合を有し、したがって、効果的にノックアウトされる。2つを除いて、表4は、bIgG1b野生型及びbIgG1b変異が、それぞれ、bIgG1a野生型及びbIgG1a変異に類似した結合親和性を有したことを示す。したがって、2つのアロタイプは、1)bFcgR2上のWinSS、及び2)bFcgR1上のSAPを除いて、かなり比肩するが、これらの変異体の両方のKDは、野生型のKDよりも顕著に低い。
CDCアッセイ
〔000302〕CDC細胞ベースのアッセイは、CDCの媒介において5つのCTLA4ウシ科動物IgG1a Fc融合タンパク質(図6)の有効性を特徴付け、ウシ科動物IgGサブタイプのCDC活性を決定するFc領域における重要な残基を定義するために開発され、用いられた。このアッセイは、Fc融合タンパク質上のCTLA4に結合するイヌ科動物CD80を発現するように操作されたCHO標的細胞を利用する。これらの標的細胞は、過去のイヌ科動物ADCCアッセイで使用されており、それらの信頼性に起因してCDCアッセイにおいて利用されている。
〔000303〕補体保存された血清との融合タンパク質結合標的細胞のインキュベーションは、融合タンパク質上のFc結合をもたらして、構成要素C1qが補体カスケードを開始し、最終的に膜攻撃複合体を形成するのを補足することができる。細孔形成複合体は、細胞生存能の喪失によって測定される標的細胞の細胞溶解を媒介する。C1qへのFc結合がない場合、結果として生じる細胞溶解/死はない。
〔000304〕簡潔に述べると、CD80発現CHO細胞(標的細胞)を、丸底96ウェルプレート中のCD CHO培地において40,000細胞/ウェルでプレーティングした。CD CHO培地中の滴定した融合タンパク質を、標的細胞に添加し、37℃で60分間結合させた。ウシ科動物補体保存された血清(CD CHO培地中30%)を、37℃で45分間プレートに添加した。次いで、CellTiter-Gloを使用して細胞生存率を測定し、データを、融合タンパク質なし+補体保存された血清対照を使用して計算された「対照の細胞生存率%」として表した。
〔000305〕図7及び表5に示されるように、Win変異単独では、bIgG1a又はbIgG1b FcのCDC活性をノックアウトしない。それは、CDCの活動を強化するようである。WinSS変異は、非常に弱いが、CDCを引き起こす。WinSAS、SAS単独、及びSAP変異は、bIgG1a Fc及びbIgG1b Fcの両方についてのCDC活性を大幅に低減するか、又は完全にノックアウトする。
インシリコモデリング
〔000306〕ウシ科動物抗体のFAb配列を、それぞれのヒンジ領域を使用して、様々なウシ科動物骨格サブクラスのFcドメインの配列に連結した。Chemical Computing Groupが開発したMolecular Operating Environment 2019.0102プログラム(MOE2019.0102)の抗体相同性モデリング機能を実装して、各ウシ科動物骨格アロタイプの野生型(WT)及び変異型構築物の各々の3D構造をモデル化した。MOE2019.0102は、抗体相同性モデリングのための柔軟で自動化されたグラフィカルユーザーインターフェイスを提供し、モデリング実験のためにデフォルトパラメータが選択された。
〔000307〕mAb構造をモデル化するために、MOE2019.0102の組み込みPDBデータベースを使用して、知識ベースのアプローチを用いた。シーケンスツープロファイルアラインメントアルゴリズムは、スコアリングアルゴリズムを使用して重鎖及び軽鎖配列鋳型をランク付けし、85%を超えるスコアは、物理的に現実的な構造を有する抗体鋳型の選択を確実にする。CDR及びループの鋳型が結合されたら、次いで、モデルは同じパイプラインを使用して最適化された。モデルの構造安定性は、タンパク質構造の立体化学的品質をチェックするラマチャンドランプロットを使用して検証された。
〔000308〕変異した構築物全体にわたる構造活性関係を理解するために、上述の方法を、bIgG1a_WINSAS、bIgG1b_WINSAS、bIgG1c_WINSAS、及びbIgG1d_WINSASに対して実施した。構造を重ね合わせ、変異した残基を矢印で示す(図8A)。互いに対する4つの構造の平均二乗偏差を計算するために、RMSDプロットを生成した(図8B)。2.0Å以下のRMSD値は、2つの構造が同じであることを考慮するための標準と考えられる。結果は、_bIgG1a_WINSAS構築物が、そのRMSDが1.24であったため、その他のアロタイプ対応物であるbIgG1b WINSASと同一であったことを示した。これは、bIgG1a_WINSASが、bIgG1b_WINSASと同じCDC活性の喪失を示したCDCアッセイ(図7)においても支持された。これは、上述の方法によって生成された抗体モデルが、ウシ科動物骨格構造の正確な表現を提供することを示すためのより多くの支持を提供する。更に、bIgG1a_WINSAS及びbIgG1b_WINSASの抗体モデルをbIgG1c_WINSAS及びbIgG1d_WINSASと比較すると、RMSD値は0.94~1.24Åの範囲であり、したがって、bIgG1c_WINSAS及びbIgG1d_WINSASが、bIgG1a_WINSASと同様の機能的活性の欠如(CDC、ADCP、及びADCC)を示すことを高度に確実に予測することができる。
ADCPアッセイ
〔000309〕ADCP細胞ベースのアッセイは、ADCPの媒介において5つのCTLA4ウシ科動物IgG1a Fc融合タンパク質(図6)の有効性を特徴付け、ウシ科動物IgGサブタイプのADCP活性を決定するFc領域における重要な残基を定義するために開発され、用いられた。このアッセイは、Fc融合タンパク質上のイヌ科動物CTLA4に結合するイヌ科動物CD80を発現するように操作されたCHO標的細胞を利用する。これらの標的細胞は、過去のイヌ科動物ADCCアッセイで使用されており、それらの信頼性に起因してCDCアッセイにおいて利用されている。
〔000310〕このアッセイのために、ウシ科動物肺胞マクロファージとのFc融合タンパク質/標的細胞複合体のインキュベーションは、マクロファージ上のFcγ受容体へのFc結合、CHO標的細胞とマクロファージエフェクターとの架橋、及びそれによって標的細胞の食作用の開始をもたらすことができる。ADCPは、共培養におけるエフェクターマクロファージの集団内のpH感受性蛍光色素のシグナル強度及び周波数によって測定され、蛍光細胞は、標的細胞を酸性リソソームに良好に内在化したエフェクターを示す。
〔000311〕簡潔に述べると、イヌ科動物CD80発現CHO細胞(CD80標的細胞)又はCD80を発現しない親CHO細胞(親標的細胞)を、37℃で30分間pHrodo赤色染料で事前染色した。次いで、細胞をCTLA4-Fc融合タンパク質とともに20分間インキュベートして、CTLA4:CD80結合を媒介し、その後、細胞マーカー(CellTrace Violet、CTV)で染色した事前にプレーティングされた接着性ウシ科動物肺胞マクロファージと共培養して、後の同定を補助した。60,000の標的細胞を、96ウェルプレートにおいて、30,000のエフェクターマクロファージとともにプレーティングした。次いで、細胞を6時間共培養し、その後プレートから除去し、フローサイトメトリーによって分析して、ADCP(pHrodo+)を良好に実施したエフェクター細胞(CTV+)を同定した。図9及び表5に示されるように、野生型bIgG1aは、ウシ科動物肺胞マクロファージにおけるADCPの強力な活性化剤である。bIgG1aWin変異単独は、bIgG1a FcのADCP活性に顕著に影響を及ぼさず、CDC活性について見られるように、ADCPをわずかに強化し得る。WinSS変異は部分的にADCPをノックダウンし、一方、WinSAS、SAS単独、及びbIgG1a上のSAP変異は、ADCP機能を完全に抑止する。
〔000312〕イヌ科動物CD80(IgG1親)を発現しない標的細胞との野生型bIgG1aのインキュベーションもまた、ADCPを誘発せず、観察された標的細胞内在化が融合タンパク質の特異的活性を必要とし、代替機序によって媒介されないことを示す。
〔000313〕食作用(ADCP)は、FcgR1を含む複数のヒトFcγ受容体によって媒介され、DNA配列分析は、ウシ科動物FcgR1のIgG結合ドメインのモチーフが、そのヒト及びマウスの対応物と比較して高度に保存されていることを示す。図9及び表5の細胞ベースのADCPデータは、表4のbFcgR1に対するbIgG1a及び変異体の結合親和性に比肩する。Winter変異(bIgG1aWin)は、bFcgR1親和性に顕著に影響しなかった。SS変異をWinterに加えること(bIgG1aWinSS)は、bFcgR1への結合をいくらかノックダウンしたが、結合を完全にノックアウトしなかった。Winter変異(bIgG1aWinSAS)、SAS変異単独(bIgG1aSAS)、又はSAP変異単独(bIgG1aSAP)にSASを加えた場合のみ、bFcgR1への結合がノックアウトされる。ウシ科動物bFcgR1は、IgG1aSAPへの無視できる結合しか有さず、したがって、効果的にノックアウトされる。
安定化のためのbIgG DP変異
〔000314〕ウシ科動物IgG1a天然野生型サブクラスの分析調査では、図10に示されるように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による分析で低分子量種(LMWS)が観察された。考えられる原因を調査するために、試料を質量スペクトル分析に供し、これは、D216とP217との間、及びD270とP271との間のウシ科動物IgG1a定常重鎖に位置する2つのクリップ部位を同定した。これら2つの化学的切断部位は、ウシ科動物IgG1a Fc(NCBI参照1S82409)の天然アミノ酸配列に含まれる。bIgG1aの定常ドメインにおける切断/クリッピング部位の排除は、ウシ科動物IgG1サブクラスの立体構造安定性、そのままの単量体の割合、及び全体的な開発可能性を増加させるのに望ましい。これらの切断/クリッピング部位を排除するために、ウシ科動物IgG1aの定常ドメインに変異を行った(表6)。これらの同定された切断部位は、IgGタンパク質におけるAsp(D)とPro(P)アミノ酸との間の結合の非酵素的破壊を誘発し得るアミノ酸配列に依存する。DP結合の意図的な切断は、酸及び熱を使用して文献に十分に記述されているが、全てのDP部位が立体構造的にアクセス可能ではなく、高温であっても、酸への短時間の曝露下で切断されない。したがって、これらの配列部位の傾向が自動的にbIgG1a Fcのクリッピングにつながるかどうかは明らかではない。
〔000315〕上述のDPからEPへの変異は、bIgG1aを含有する哺乳類発現ベクターの迅速な変化の変異誘発を介して構築した。モノクローナル抗体(mAb)変異体を、Thermo Fisherから得た哺乳類懸濁細胞系EXPICHO-S(チャイニーズハムスター卵巣)細胞において発現させた。懸濁EXPICHO-S細胞を、EXPICHO発現培地(Gibco)中で0.14~8.0×10e6細胞/mlで維持した。細胞を、-1日目及びトランスフェクション日にExpiCHOプロトコルユーザーマニュアルに従って希釈する。希釈した細胞を、Max Titer条件に従って、ExpiFectamine CHOトランスフェクションキット(Gibco)から供給される試薬を使用して、プロトコルに記載されるようにトランスフェクトする。12~14日間のインキュベーションの後、培養物を採取し、清澄化する。PBSで事前に平衡化されているMabSelect Sure LX(GE Healthcare)に、条件培地をロードした。試料をロードした後、樹脂をPBS、次いで、20mMの酢酸ナトリウム、pH5.5で洗浄した。試料を20mMの酢酸、pH3.5でカラムから溶出した。溶出後、プールを作製し、1Mの酢酸ナトリウムを添加して4%に中和した。利用可能な量及び使用目的に応じて、時には試料を最終緩衝液(例えば、PBS、他)に交換した。濃度は、280nmでの吸光度で測定した。
〔000316〕TOSOH BioScienceのTSKゲルSuper SW3000、4.6mm、10x30cm、4μmカラムを使用して、0.25ml/分で、200mMのNaPhosphate pH7.2泳動用緩衝液において分析SECを実施した。
〔000317〕質量分析(mass spec)を、野生型天然ウシ科動物IgG1a及び変異体に対して実施した。試料をPNGase F(New England Biolabs)を使用して脱グリコシル化し、DTT(Thermo)で還元した。試料を、maXis+ESI器具(Bruker)を使用して分析した。図10は、同定されたDPクリップ部位の質量が、天然bIgG1a重鎖において明らかであることを確認する。bIgG1a二重変異D216E(部位1)及びD270E(部位2)もまた、天然のFcと同じ方法で質量分析により分析した。このデータから、DPクリップはもはや存在しないことが明らかである。
〔000318〕導入されたD-PからE-Pへの変異(図12)は、質量スペクトル分析によって証明されるように、bIgG1a Fcから切断/クリップ部位を除去した(図11)。これらの切断部位の除去は、治療用途のためのこのサブクラスの均質性、そのままのIgG純度、及び全体的な開発可能性を改善することができる。
インシリコモデリング
〔000319〕bIgG1a_WINSAS、bIgG1b_WINSAS、bIgG1c_WINSAS、及びbIgG1d_WINSASについて前述した方法を、bIgG1DP1_DP2アロタイプに対して実施した。図13に示される結果は、bov_G1a_DP1_DP2構築物が、その他のアロタイプ対応物であるbIgG1b_DP1_DP2、bIgG1c_DP1_DP2、及びbIgG1d_DP1_DP2と同一であり、RMSD値は0.76~1.14Åの範囲であったことを示した。したがって、実験結果及びモデル結果の両方に基づいて、アロタイプbIgG1b、bIgG1c、及びbIgG1dにおけるDP1_DP2変異体が、bIgG1a_DP1_DP2と同様の様式で機能することを高度に確実に予測する。
bIgG変異はエフェクター機能をノックアウトする
〔000320〕いくつかの変異を、bIgG2aアロタイプのFc領域に導入して、エフェクター機能をノックアウトした:1)bIgG2aの、それが係合する唯一のFcγ受容体bFcg2Rへの結合、及び2)ADCP細胞ベースのアッセイにおける食作用を排除するか、又は無視できるまで低減する。
〔000321〕ウシ科動物IgG2aのbFcg2RへのHDXエピトープマッピングは、bIgG2a上の不連続エピトープを示した。bFcg2Rへの結合を排除するか、又は無視できるまで低減するためのキャンペーンでは、bIgG2aのこの領域にアラニン変異パネルが作製された。新生仔Fc受容体親和性を保持しながら、Fcγ受容体結合を劇的にノックダウンするのに有効であった変異を、図14に図示する。これらの変異は、L432A、N434A、及びM437Aである。加えて、L432A、N434A、及びM437Aの以下の組み合わせは、bFcg2Rへの結合を良好にノックアウトした:L432A_N434A、L432A_M437A、N434A_M437A、及びL432A_N434A_M437A。
bFcg2R及びbFcRn結合親和性に対するbIgGアラニン変異の効果
〔000322〕bFcRnに対する親和性を保持しながらbFcg2Rへの結合をノックアウトする能力は、上述のbIgG2a野生型FcとbIgG2aアラニン変異との間のSPR Biacore親和性差を比較することによって評価した。bIgG2a野生型(wt)組換えmAbの7つのFc変異体との定常領域のアラインメントを図14に示す。bIgG2aアロタイプのbIgG2bアロタイプとのアラインメントを図4に示す。bIgG2に対して行われた全ての変異は、a及びbアロタイプと同一である。bIgG2a wt及び変異体をmAbとして産生し、ウシ科動物Fcγ受容体及びウシ科動物新生仔Fc受容体に対する結合親和性についてBiacoreで実験した。bFcg2R、bFcRn、bFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3のBiacore方法を、上記の実施例のセクションに記載されるように実施した。
〔000323〕表7に示されるように、bIgG2a、L432A、N434A、及びM437A上の3つの単一点変異は、bFcg2Rへの結合を劇的にノックダウンし、結合のほぼ完全なノックアウトをもたらす。二重変異L432A_N434Aは、野生型結合と比較して、bFcg2Rへの結合を4倍低減する。二重変異L432A_M437A、N434A_M437A、及び三重変異L432A_N434A_M437Aは、野生型Fcと比較した場合、Fcg2Rへの結合を完全にノックアウトする。
〔000324〕ウシ科動物Fcg2Rノックアウト変異は、ウシ科動物FcRnへの結合に対して様々な効果を有した。pH依存性FcRnによるIgGのリサイクルは、エンドソーム分解を避けるためにpH6での強い親和性、及び救出されたIgGを循環に戻すためにpH7.4での弱い親和性を必要とする。3つの単一点変異は、pH6でのbFcRn結合に対する影響が最も小さく、野生型と同様の強い親和性を保持し、一方、二重変異及び三重変異は、pH7.4でのbFcRn親和性に対する影響が最も大きく、親和性を検出限界より下に低減した。
〔000325〕bIgG2a野生型及び全てのbIgG2a Fcg2Rノックアウト変異は、表8に示されるように、bFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3に結合しなかったか、又は無視できる結合であった。
〔000326〕表7及び表8に示されるbIgG2a野生型及び変異体のmAb試薬に加えて、bIgG2a及びbアロタイプの両方についてのCTLA4-Fc融合バージョンを、上述のように調製した。野生型bIgG2bアロタイプCTLA4-Fc融合物と比較した、野生型bIgG2aアロタイプCTLA4-Fc融合物とのbFcg2R親和性の調査は、ほぼ同一のKD、4.17E-08対3.14E-08を示す(表9)。全てのFc変異について2つのアロタイプの比較は、非常に類似したbFcg2R結合親和性も示す。
CDCアッセイ
〔000327〕CDC細胞ベースのアッセイは、CDCの媒介において7つのCTLA4ウシ科動物IgG2a Fc融合タンパク質(図14)の有効性を特徴付け、ウシ科動物IgGサブタイプのCDC活性を決定するFc領域における重要な残基を定義するために開発され、用いられた。このアッセイは、Fc融合タンパク質上のCTLA4に結合するイヌ科動物CD80を発現するように操作されたCHO標的細胞を利用する。これらの標的細胞は、過去のイヌ科動物ADCCアッセイで使用されており、それらの信頼性に起因してCDCアッセイにおいて利用されている。アッセイ方法は、上記のbIgG2a CTLA4 Fc融合物について記載されるように実施した。
〔000328〕図15及び表10に示されるように、2つのウシ科動物IgG2野生型アロタイプ、bIgG2a及びbIgG2bのいずれも、細胞ベースのアッセイにおいてCDCを誘発せず、一方、陽性対照bIgG1aは、前回の実験と同様のCDC活性を有する。加えて、7つのアラニン変異のいずれも、bIgG1a CDC機能を変化させない。
インシリコモデリング:
〔000329〕bIgG1a_WINSAS、bIgG1b_WINSAS、bIgG1c_WINSAS、及びbIgG1d_WINSASについて前述した方法を、bIgG2a変異体に対して実施した。このサブクラスでは、2Åを超えるRMSDの変化は観察されず、2つのアロタイプが同様に折り畳まれることを示した(図16B)。前のサブクラスと同様に、単一構築物(L432、N434A、及びM437A)における全ての可能な変異を有することがタンパク質の折り畳みに顕著な変化をもたらさない場合、個々の変異もタンパク質モデルに影響を及ぼさないはずであることを合理的に説明した。これらのモデルは、CDCアッセイを使用して観察されるエフェクター機能データによっても支持される。表7のSPR結合データ(すなわち、実験データ)と一緒にこれらの抗体モデルは、bIgG2a_L432A_N434A_M437A、bIgG2b_L432A_N434A_M437A、及びこれらの変異の様々な組み合わせ(表2及び表7に列挙される)が、同一の方法で折り畳まれて結合し、したがって、同様のADCP及びADCCエフェクター機能の欠如を有するであろうことを示す。
ADCPアッセイ
〔000330〕ADCP細胞ベースのアッセイは、ADCPの媒介において7つのCTLA4ウシ科動物IgG2a Fc融合タンパク質(図14)の有効性を特徴付け、ウシ科動物IgGサブタイプのADCP活性を決定するFc領域における重要な残基を定義するために開発され、用いられた。このアッセイは、Fc融合タンパク質上のCTLA4に結合するイヌ科動物CD80を発現するように操作されたCHO標的細胞を利用する。これらの標的細胞は、過去のイヌ科動物ADCCアッセイで使用されており、それらの信頼性に起因してCDCアッセイにおいて利用された。
〔000331〕このアッセイのために、ウシ科動物肺胞マクロファージとのFc融合タンパク質/標的細胞複合体のインキュベーションは、マクロファージ上のFcγ受容体へのFc結合、CHO標的細胞とマクロファージエフェクターとの架橋、及びそれによって標的細胞の食作用の開始をもたらすことができる。ADCPは、共培養におけるエフェクターマクロファージの集団内のpH感受性蛍光色素のシグナル強度及び周波数によって測定され、蛍光細胞は、標的細胞を酸性リソソームに良好に内在化したエフェクターを示す。
〔000332〕簡潔に述べると、イヌ科動物CD80発現CHO細胞(CD80標的細胞)又はCD80を発現しない親CHO細胞(親標的細胞)を、37℃で30分間pHrodo赤色染料で事前染色する。次いで、細胞をCTLA4-Fc融合タンパク質とともに20分間インキュベートして、CTLA4:CD80結合を媒介し、その後、細胞マーカー(CellTrace Violet、CTV)で染色した事前にプレーティングされた接着性ウシ科動物肺胞マクロファージと共培養して、後の同定を補助する。60,000の標的細胞を、96ウェルプレートにおいて、30,000のエフェクターマクロファージとともにプレーティングする。細胞を6時間共培養し、その後プレートから除去し、フローサイトメトリーによって分析して、ADCP(pHrodo+)を良好に実施したエフェクター細胞(CTV+)を同定する。
〔000333〕図17及び表10に示されるように、ウシ科動物IgG2サブクラスは、ウシ肺胞マクロファージにおけるADCPの活性化にウシ科動物IgG1サブクラスほど強力ではないが(図9及び表5を参照)、bIgG2は、より高い濃度でADCPを誘発することができる。全てのbIgG2aアラニン変異は、野生型bIgG2aのADCP活性を排除する。
bIgG変異はエフェクター機能をノックアウトする
〔000334〕いくつかの変異を、bIgG3aアロタイプのFc領域に導入して、エフェクター機能をノックアウトした:1)bIgG3aのbFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3への結合、2)細胞ベースのアッセイにおける補体殺傷活性(CDC)、及び3)ADCP細胞ベースのアッセイにおける食作用を排除するか、又は無視できるまで低減する。
〔000335〕「Winter」(又は「Win」)部位は、ヒトIgG1について上述したように、ヒンジのすぐ下流にある。ヒトIgG1のこのLLGG「Winter」部位は、種によって異なる。ウシ科動物IgG3については、それは、PLGG(図2)である。上記で論じたように、ヒトIgG1について、一般的に「LALA」と称される変異は、Leu234Ala及びLeu235Alaにある。
〔000336〕bIgG3について、対応するWinter変異は、Pro234Ala、Leu235Alaであるが、追加の残基も変異される。この追加の変異は、Gly237Ala(KabatにおけるEuインデックスに従って付番される)である。
〔000337〕bIgG3a上の「PAPからSAS」(Pro329Ser、Pro331Ser)及び「PAPからSAP」(Pro329Ser)変異を、bIgG2に基づいて考案した。ウシ科動物IgG2は、細胞ベースのアッセイにおいて補体活性を誘発しない。ウシ科動物IgG2aは、CH2に天然に存在するSAS部位を有し、一方、図2に示すように、bIgG3aは、この領域においてPAPである。したがって、bIgG3aにおけるPAPをSAS又はSAPのいずれかに変異させることは、CDCを排除するであろうと仮定された。
〔000338〕上述の変異を、bIgG3a Fc上に導入した:Winter変異のみ、P234A_L235A_G237A「Win」(配列番号29)、Winter変異+SAS変異、P234A_L235A_G237A_P329S_P331S「WinSAS」(配列番号30)、SAS変異のみ、P329S_P331S「SAS」(配列番号28)、及びSAP変異のみ、P329S「SAP」(配列番号27)。これらの変異は、図18で整列され、KabatにおけるEuインデックスに従って付番される。
〔000339〕Fcγ受容体についての上記変異の結合親和性を、bIgG3a野生型と比較した。変異体はまた、機能的細胞ベースのアッセイで試験され、データは、Win変異のみがCDCをわずかに弱めたたが、WinSAS、SASのみ、及びSAPのみの変異がCDC活性を完了したノックアウトしたことを示す。Win、WinSAS、SAS、及びSAPの4つ全ての変異は、ADCP機能を完全にノックアウトする。
ウシ科動物Fc受容体結合親和性に対するbIgG Fc変異の効果
〔000340〕bIgG3a及びbIgG3b野生型FcのSPR Biacore bFcgR親和性を、上述のbIgG3a及びbIgG3b変異と比較することにより、ウシ科動物Fcγ受容体への結合をノックアウトする能力を評価した。bIgG3a野生型組換えmAbの4つのFc変異体との定常領域のアラインメントを図18に示す。bIgG3aアロタイプのbIgG3bアロタイプとのアラインメントを図5に示す。bIgG3に対して行われた全ての変異は、a及びbアロタイプと同一である
〔000341〕上記の実施例に記載されるように、bFcgR1、R2、及びR3のためのBiacore方法を実施した。表11は、Fcγ受容体への結合に対するエフェクター機能bIgG3a及びbIgG3b Fc変異の結果を示す。bIgG3野生型について、2つのアロタイプは、1.25E-08と比較して、bFcgR1、9.36E-09に類似した結合親和性を有する。2つのアロタイプは、bFcgR2及びbFcgR3について異なるKDを有するが、両方の野生型アロタイプは結合する。a及びbアロタイプの両方についてのbIgG3Win、bIgG3WinSAS、bIgG3SAS、及びbIgG3SAPの全ての変異は、bFcgR1、bFcgR2、及びbFcgR3への結合を無視できる親和性にノックダウンした。したがって、受容体結合をノックアウトすることについて、2つのアロタイプは比肩する。
CDCアッセイ
〔000342〕CDC細胞ベースのアッセイは、CDCの媒介において4つのCTLA4ウシ科動物IgG3a Fc融合タンパク質(図18)の有効性を特徴付け、ウシ科動物IgGサブタイプのCDC活性を決定するFc領域における重要な残基を定義するために開発され、用いられた。このアッセイは、Fc融合タンパク質上のCTLA4に結合するイヌ科動物CD80を発現するように操作されたCHO標的細胞を利用する。これらの標的細胞は、過去のイヌ科動物ADCCアッセイで使用されており、それらの信頼性に起因してCDCアッセイにおいて利用された。
〔000343〕bIgG3a CTLA4 Fc融合物については、上記の実施例に記載されるように、アッセイ方法を実施した。
〔000344〕図19及び表12に示されるように、bIgG3a野生型Fc及びbIgG3b野生型Fcは、bIgG1a野生型Fcよりもわずかに弱いCDC活性を示した。Win変異自体は、bIgG3a Fc又はbIgG3b FcのCDC活性をノックアウトしない。Win-SAS、SASのみ、又はSAPのみの変異は全てCDC活性を完全にノックアウトする。
インシリコモデリング
〔000345〕サブクラスIgG1と同様に、ウシ科動物サブクラス3におけるWINSAS変異の効果を、上記と同じ方法論を使用して研究し、同じプロトコルを使用して重ね合わせた(図20A)。図19に示されるように、bIgG3a及びbIgG3bにおけるWINSAS変異は、両方ともに、CDC機能を完全に抑止した。インシリコモデリングデータは、2つのアロタイプ、bIgG3a_WINSAS及びbIgG3b_WINSASが1.16ÅのRMSDを有することを示し、したがって、同様のタンパク質折り畳みを有することが予想される(図20B)。表11に列挙される結合データ及び図20のインシリコモデリングデータは、bIgG3a_WINSAS及びbIgG_3bが同一の方法で折り畳まれて結合することを示しており、したがって、実験結果及びモデル結果の両方に基づいて、CDC機能に加えて、bIgG3b_WINSAS構築物が、bIgG3a_WINSASと同様のADCP及びADCC機能も排除することを高度に確実に予測する。
ADCPアッセイ
〔000346〕ADCP細胞ベースのアッセイは、ADCPの媒介において4つのCTLA4ウシ科動物IgG3a Fc融合タンパク質(図18)の有効性を特徴付け、ウシ科動物IgGサブタイプのADCP活性を決定するFc領域における重要な残基を定義するために開発され、用いられた。このアッセイは、Fc融合タンパク質上のCTLA4に結合するイヌ科動物CD80を発現するように操作されたCHO標的細胞を利用する。
〔000347〕このアッセイのために、ウシ科動物肺胞マクロファージとのFc融合タンパク質/標的細胞複合体のインキュベーションは、マクロファージ上のFcγ受容体へのFc結合、CHO標的細胞とマクロファージエフェクターとの架橋、及びそれによって標的細胞の食作用の開始をもたらすことができる。ADCPは、共培養におけるエフェクターマクロファージの集団内のpH感受性蛍光色素のシグナル強度及び周波数によって測定され、蛍光細胞は、標的細胞を酸性リソソームに良好に内在化したエフェクターを示す。
〔000348〕簡潔に述べると、イヌ科動物CD80発現CHO細胞(CD80標的細胞)又はCD80を発現しない親CHO細胞(親標的細胞)を、37℃で30分間pHrodo赤色染料で事前染色する。次いで、細胞をCTLA4-Fc融合タンパク質とともに20分間インキュベートして、CTLA4:CD80結合を媒介し、その後、細胞マーカー(CellTrace Violet、CTV)で染色した事前にプレーティングされた接着性ウシ科動物肺胞マクロファージと共培養して、後の同定を補助する。60,000の標的細胞を、96ウェルプレートにおいて、30,000のエフェクターマクロファージとともにプレーティングする。細胞を6時間共培養し、その後プレートから除去し、フローサイトメトリーによって分析して、ADCP(pHrodo+)を良好に実施したエフェクター細胞(CTV+)を同定する。
〔000349〕図21及び表12に示されるように、野生型bIgG3aは、ウシ科動物肺胞マクロファージにおけるADCPの強力な活性化剤である。bIgG3aWin単独、WinSAS、SAS単独、及びSAP単独の変異は全て、ADCP機能を排除する。
〔000350〕注目すべきことに、bIgG3aのWin変異は、最高濃度でいくつかの微量活性を示すが、この変異は、bIgG1a ADCP及びbIgG3a CDCの両方における活性とは対照的に、ADCPを駆動する際にほとんど効果がない。これは、bIgG3a ADCP活性は、Winter部位変異が結合することを必要とする肺胞マクロファージにおけるbFcgRのサブセットを介してのみ媒介されるが、bIgG1aは、Winter部位がこれらの細胞において結合することを必要としない別個のbFcgRを介してADCPを媒介することを示し得る。FcgRの可変利用はまた、bIgG3aと比較して野生型bIgG1aの異なる観察されたEC50を説明することができる。逆に、bIgG1aとbIgG3aとの間の異なる二次構造は、ADCPを駆動する適切な受容体に結合する際のWinter部位の差異的な利用をもたらし得る。
bIgG変異は、FcRn親和性を改善する
〔000351〕表13に示すように、ウシ科動物IgG3aは、bIgG2aと比較して、pH6でbFcRnに対する弱い結合親和性を有する。予想外に、bIgG2aは、bIgG1a及びbIgG3aよりも10倍高い親和性を有するが、ウシ科動物FcRnへのpH7.4でのbIgG2a結合は、他の2つのサブクラスと比較した場合、より強い。しかしながら、bIgG2aベースのmAbの実証された長い血清半減期のため、抗体を循環(pH7.4)に戻すために必要なpHでのbIgG2aのより堅固な結合は、懸念されない。
〔000352〕bIgG2ベースのmAbは、仔ウシにおいて、ほとんどのヒト治療用mAbよりも非常に長く、最大21日間の血清半減期を有する。ウシ科動物IgG2aは、bIgG1aよりもpH6でbFcRnに強い親和性を有する。したがって、bIgG3aサブクラスは、bIgG2aよりも短い血清半減期を有し得る。したがって、bIgG3aのbFcRnに対する親和性を増加させて、bIgG2aに匹敵するインビボ半減期を延長することが望ましい。
〔000353〕bFcRnに対する親和性を改善するために、bIgG3a(Arg433His)に点変異を導入した。この変異は、図2に示すように、bIgG1a及びbIgG2aとのアラインメントに基づいた。加えて、His435を有するヒトIgG3アロタイプは、Arg435を有するアロタイプよりも劇的に長い血清半減期を有し、この残基位置は、bIgG3におけるアルギニンと同じ領域にあり、ヒトアルギニンからたった2残基上流である:hIgG3についてはHEALHNRY及びbIgG3についてはHEALRNHY(図2)。
〔000354〕bFcRnに対する親和性を改善するために、上述のように、R433H変異型bIgG3a mAbを生成した。bIgG3a野生型組換えmAbのR433H変異との定常領域のアラインメントを図22に示す。
〔000355〕上記の実施例に記載されるように、ウシ科動物IgGサブクラスのウシ科動物FcRnに対する親和性を試験するために、Biacore SPR結合アッセイを設計した。
〔000356〕bIgG3a_R433H変異体は、pH6でbFcRnに、bIgG3a野生型よりも5倍高い親和性で結合し、変異体は、pH7.4でbFcRnへの無視できる結合を保持する(表13)。したがって、R433H変異体は、血清半減期を改善し得る。
〔000357〕本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、本発明は正確な実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、当業者によって様々な変更及び修正が行われ得ることを理解されたい。

Claims (85)

  1. 野生型ウシ科動物IgG定常ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、ウシ科動物IgG定常ドメインを含む、修飾されたIgGであって、前記置換が、KabatにおけるEuインデックスに従って付番されたアミノ酸残基216、234、235、237、270、329、330、331、432、434、437、又は433にある、修飾されたIgG。
  2. 前記修飾されたIgGが、ウシ科動物又はウシ化IgGである、請求項1に記載の修飾されたIgG。
  3. 前記IgGが、IgG1である、請求項1に記載の修飾されたIgG。
  4. 前記IgG1が、IgG1a、IgG1b、IgG1c、又はIgG1dである、請求項1に記載の修飾されたIgG。
  5. 前記置換が、アミノ酸残基329、330、331、又はそれらの組み合わせにある、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  6. 前記置換が、前記アミノ酸残基のセリンとの置換である、請求項5に記載の修飾されたIgG。
  7. 前記置換が、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)、又は331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である、請求項5に記載の修飾されたIgG。
  8. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、及びP331Sのうちの1つ以上を含む、請求項5に記載の修飾されたIgG。
  9. 前記定常ドメインが、PAPからSAPへの変異を含み、前記変異が、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)である、請求項5に記載の修飾されたIgG。
  10. 前記定常ドメインが、PAPからSASへの変異を含み、前記変異が、331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である、請求項5に記載の修飾されたIgG。
  11. 前記定常ドメインがSS変異を含み、前記変異が、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)及び331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である、請求項5に記載の修飾されたIgG。
  12. 前記置換が、Winter部位の1つ以上のアミノ酸残基にある、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  13. 前記置換が、アミノ酸残基234、235、237、又はそれらの組み合わせにある、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  14. 前記置換が、前記アミノ酸残基のアラニンとの置換である、請求項13に記載の修飾されたIgG。
  15. 前記置換が、234位でのプロリンのアラニンとの置換(P234A)、235位でのロイシンのアラニンとの置換(L235A)、又は235位でのグリシンのアラニンとの置換(G237A)である、請求項13に記載の修飾されたIgG。
  16. 前記定常ドメインが、置換P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の修飾されたIgG。
  17. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  18. 前記置換が、DP部位の1つ以上のアミノ酸残基にある、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  19. 前記置換が、アミノ酸残基216、270、又はそれらの組み合わせにある、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  20. 前記置換が、前記アミノ酸残基のグルタミン酸との置換である、請求項19に記載の修飾されたIgG。
  21. 前記置換が、216位でのアスパラギン酸のグルタミン酸との置換(D216E)又は270位でのアスパラギン酸のグルタミン酸との置換(D270E)である、請求項19に記載の修飾されたIgG。
  22. 前記定常ドメインが、置換D216E及びD270Eのうちの1つ以上を含む、請求項19に記載の修飾されたIgG。
  23. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D216E、及びD270Eのうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  24. 前記置換が、アミノ酸残基432、434、437、又はそれらの組み合わせにある、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  25. 前記置換が、前記アミノ酸残基のアラニンとの置換である、請求項24に記載の修飾されたIgG。
  26. 前記置換が、432位でのロイシンのアラニンとの置換(L432A)、434位でのアスパラギンのアラニンとの置換(N434A)、437位でのスレオニンのアラニンとの置換(T437A)である、請求項24に記載の修飾されたIgG。
  27. 前記定常ドメインが、置換L432A、N434A、及びT437Aのうちの1つ以上を含む、請求項24に記載の修飾されたIgG。
  28. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D216E、D270E、L432A、N434A、及びT437Aのうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の修飾されたIgG。
  29. 前記IgGが、IgG2である、請求項1に記載の修飾されたIgG。
  30. 前記IgG2が、IgG2a又はIgG2bである、請求項1に記載の修飾されたIgG。
  31. 前記置換が、アミノ酸残基330にある、請求項30に記載の修飾されたIgG。
  32. 前記置換が、前記アミノ酸残基のセリンとの置換である、請求項31に記載の修飾されたIgG。
  33. 前記定常ドメインが、SS変異を含み、前記変異が、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)である、請求項31に記載の修飾されたIgG。
  34. 前記置換が、アミノ酸残基432、434、437、又はそれらの組み合わせにある、請求項30に記載の修飾されたIgG。
  35. 前記置換が、前記アミノ酸残基のアラニンとの置換である、請求項34に記載の修飾されたIgG。
  36. 前記置換が、432位でのロイシンのアラニンとの置換(L432A)、434位でのアスパラギンのアラニンとの置換(N434A)、437位でのメチオニンのアラニンとの置換(M437A)である、請求項34に記載の修飾されたIgG。
  37. 前記定常ドメインが、置換L432A、N434A、及びM437Aのうちの1つ以上を含む、請求項34に記載の修飾されたIgG。
  38. 前記定常ドメインが、置換A330S、L432A、N434A、及びM437Aのうちの1つ以上を含む、請求項30に記載の修飾されたIgG。
  39. 前記IgGが、IgG3である、請求項1に記載の修飾されたIgG。
  40. 前記IgG3が、IgG3a又はIgG3bである、請求項1に記載の修飾されたIgG。
  41. 前記置換が、アミノ酸残基329、330、331、又はそれらの組み合わせにある、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  42. 前記置換が、前記アミノ酸残基のセリンとの置換である、請求項41に記載の修飾されたIgG。
  43. 前記置換が、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)、又は331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である、請求項41に記載の修飾されたIgG。
  44. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、及びP331Sのうちの1つ以上を含む、請求項41に記載の修飾されたIgG。
  45. 前記定常ドメインが、PAPからSAPへの変異を含み、前記変異が、329位でのプロリンのセリンとの置換(P329S)である、請求項41に記載の修飾されたIgG。
  46. 前記定常ドメインが、PAPからSASへの変異を含み、前記変異が、331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である、請求項41に記載の修飾されたIgG。
  47. 前記定常ドメインがSS変異を含み、前記変異が、330位でのアラニンのセリンとの置換(A330S)及び331位でのプロリンのセリンとの置換(P331S)である、請求項41に記載の修飾されたIgG。
  48. 前記置換が、Winter部位の1つ以上のアミノ酸残基にある、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  49. 前記置換が、アミノ酸残基234、235、237、又はそれらの組み合わせにある、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  50. 前記置換が、前記アミノ酸残基のアラニンとの置換である、請求項49に記載の修飾されたIgG。
  51. 前記置換が、234位でのプロリンのアラニンとの置換(P234A)、235位でのロイシンのアラニンとの置換(L235A)、又は235位でのグリシンのアラニンとの置換(G237A)である、請求項49に記載の修飾されたIgG。
  52. 前記定常ドメインが、置換P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む、請求項49に記載の修飾されたIgG。
  53. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、及びG237Aのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  54. 前記置換が、DP部位の1つ以上のアミノ酸残基にある、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  55. 前記置換が、アミノ酸残基270にある、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  56. 前記置換が、前記アミノ酸残基のグルタミン酸との置換である、請求項55に記載の修飾されたIgG。
  57. 前記置換が、270位でのアスパラギン酸のグルタミン酸との置換(D270E)である、請求項55に記載の修飾されたIgG。
  58. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、及びD270Eのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  59. 前記置換が、アミノ酸残基432、434、437、又はそれらの組み合わせにある、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  60. 前記置換が、前記アミノ酸残基のアラニンとの置換である、請求項59に記載の修飾されたIgG。
  61. 前記置換が、432位でのロイシンのアラニンとの置換(L432A)、434位でのアスパラギンのアラニンとの置換(N434A)、437位でのリジンのアラニンとの置換(K437A)である、請求項60に記載の修飾されたIgG。
  62. 前記定常ドメインが、置換L432A、N434A、及びK437Aのうちの1つ以上を含む、請求項60に記載の修飾されたIgG。
  63. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D270E、L432A、N434A、及びK437Aのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  64. 前記置換が、アミノ酸残基433にある、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  65. 前記置換が、前記アミノ酸残基のヒスチジンとの置換である、請求項64に記載の修飾されたIgG。
  66. 前記置換が、433位でのアルギニンのヒスチジンとの置換(R433H)である、請求項64に記載の修飾されたIgG。
  67. 前記定常ドメインが、置換P329S、A330S、P331S、P234A、L235A、G237A、D270E、L432A、N434A、T437A、及びR433Hのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の修飾されたIgG。
  68. 前記修飾されたIgGが、前記野生型ウシ科動物IgG定常ドメインを有する前記IgGよりも高い、FcRnに対する親和性を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  69. 前記修飾されたIgGが、前記野生型ウシ科動物IgG定常ドメインを有するIgGと比較して、補体依存性細胞傷害性を排除又は低減する、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  70. 前記修飾されたIgGが、前記野生型ウシ科動物IgG定常ドメインを有するIgGと比較して、抗体依存性細胞食作用を排除又は低減する、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  71. 前記修飾されたIgGが、前記IgGの唯一のFcγ受容体(bFcgR)への結合を排除又は低減する、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  72. 前記修飾されたIgGが、前記野生型ウシ科動物IgG定常ドメインを有するIgGの半減期と比較して、増加した半減期を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  73. 前記IgG定常ドメインが、CH1ドメイン又はヒンジ領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  74. 前記IgG定常ドメインが、CH2及びCH3ドメインを有するFc定常領域を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  75. 前記野生型ウシ科動物IgG定常ドメインが、配列番号1~9に記載のアミノ酸配列のうちの1つを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgG。
  76. 先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgGと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
  77. 容器内に、先行請求項のいずれか一項に記載の修飾されたIgGと、使用指示書と、を含む、キット。
  78. 請求項1~75のいずれか一項に記載の修飾されたIgGを含む、ポリペプチド。
  79. 請求項1~75のいずれか一項に記載の修飾されたIgGを含む、抗体。
  80. 配列番号10~12、14~25、及び27~31に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つをコードする核酸配列を含む、ベクター。
  81. 請求項80に記載のベクターを含む、単離された細胞。
  82. 抗体又は分子を製造する方法であって、前記方法が、請求項81に記載の細胞を提供することと、前記細胞を培養することと、を含む、方法。
  83. 抗体を製造する方法であって、前記方法が、請求項79に記載の抗体を提供することを含む、方法。
  84. 家畜における抗体血清半減期を増加させるための方法であって、前記方法が、治療有効量の請求項79に記載の抗体を前記家畜に投与することを含む、方法。
  85. 薬剤に融合したウシ科動物IgG定常ドメインを含む融合分子であって、前記ウシ科動物IgG定常ドメインが、請求項1~75のいずれか一項に記載の修飾されたIgGを含む、融合分子。
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