JP2023549437A - ニキビダニ属の感染の治療に使用するペルメトリン - Google Patents

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Abstract

本発明は、ニキビダニ属の感染の外部治療に使用するためのペルメトリンに関し、特にヒトにおいて、眼の領域で、ペルメトリンは、5mg/mlから45mg/mlの範囲の量で、好ましくは7.5mg/mlの量で使用される。【選択図】なし

Description

本発明は、人間でのニキビダニ属の感染の治療に使用するためのペルメトリンに関する。
ニキビダニ属は、哺乳類の皮膚の毛包または腺の周りに生息する外部寄生ダニの一種である。100を超える種があり、人間に最もよく感染するのはDemodex folliculorum(ヒトニキビダニ属)とDemodex brevis(短いニキビダニ属)である。健常な人間の皮膚では、個体数は通常少ない。密度が高いと、ニキビダニは炎症や皮膚病を引き起こし得、通常はかゆみ、灼熱感、発赤などの症状が現れる。ニキビダニは、酒さ、毛包炎、眼瞼辺縁の炎症などの状態を引き起こすこともある。
通常、治療は困難で時間がかかる。既知の治療法の1つは、局所的なイベルメクチン(約1%の濃度)の使用である。メトロニダゾール(濃度0.75%または1%)も頻繁に使用される。当技術分野で示されている他の可能性は、1~2%の水銀軟膏、2%のメトロニダゾールゲル/軟膏、2%のエリスロマイシン軟膏、4%のピロカルピン、硫黄軟膏、10%のm-エチルo-クロトントルイジン溶液、クロタミトン、樟脳油、セージ油、ティートリーオイルである。ペルメトリンを比較的高濃度(5%)で皮膚に使用したいくつかの報告もある(Kocak M, Yagli S, Vahapoglu G, Eksioglu M., Permethrin 5% cream versus metronidazole 0.75% gel for the treatment of papulopustular rosacea.A randomized double-blind placebo-controlled study. Dermatology, 2002, 205, 3, 265-70)。いくつかの出版物は、局所適用の5%のペルメトリンと経口適用のイベルメクチンとを併用する有効性を示している(Damian D., Rogers M., Demodex infestation in a child with leukemia: treatment with ivermectin and permethrin.International Journal of Dermatology, September 2003,42,9,724-726)。ほとんどの場合、示されている治療は、皮膚の問題を予防することを目的としている。しかし、使用の安全性と十分な有効性を兼ね備えた、ニキビダニ症に関連する目及び眼瞼の疾患の治療にも適した治療法はない。
公開番号WO19113475の国際特許出願及び欧州特許EP2791354は、若年性座瘡及び酒さを含む様々な病因の皮膚の疾患において局所的な抗感染剤として使用できる多くの物質を示している。しかし、これらの文書のいずれも、ニキビダニ症またはニキビダニ感染の治療について言及していない。欧州特許EP2310000は、可能な酒さの治療、及び酒さの治療のための潜在的な活性物質の中で、とりわけペルメトリンについて論じている。ただし、この文書では、ニキビダニ属の予防については触れていない。欧州特許EP2279736はまた、酒さなどの動脈内の感染症に関連する皮膚の疾患の治療に関する。カジノイドによる治療が提案されており、ペルメトリンは潜在的な追加の有効成分の1つであり得る。国際出願WO20023943は、ニキビダニに関連する目及び顔の皮膚の状態の治療におけるスピノシンの使用に関する。ペルメトリンもまた申請書に記載されているが、任意選択の追加の治療補助成分としてのみである。
ペルメトリンは、第三世代の殺虫剤に分類される合成有機化合物である。合成ピレスロイドの群に属する。その構造式は次のとおりである。
これは、農作物を害虫から守るために使用される。昆虫、人間、及び他の多くの高等生物に対して強い毒性がある。動脈内で、犬は比較的無害である(しかし、例えば猫には有毒である)。シラミ、ノミに対するシャンプーやダニに対する軟膏の成分として獣医学及びヘルスケアで使用され、熱帯諸国ではマラリアやデング熱を媒介する昆虫に対する予防手段として使用される。上記のように、様々な皮膚の状態の治療に使用することが提案されている(ただし、どちらかといえば補助的な有効成分としてである)。最近では、眼瞼の領域で局所的に皮膚を治療するために、その既知の製剤を使用することも提案されている(Hecht, Idan et al., Permethrin Cream for the Treatment of Demodex Blepharitis.December 2019, vol. 38/12, pp. 1513-1518)が、依然として5%の比較的高い濃度である(50mg/g;50mg/ml)が、提案された治療は長期にわたるもの(少なくとも6ヶ月)であった。提案された治療法はまた、各適用で長時間目を閉じたままにする必要があるため、患者にとって比較的厄介なものであった。
フルララネル(4-[(5RS)-5-(3,5-ジクロロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-1,2-オキサゾ-ル-3-イル]-N-[2-オキソ-2-(2,2,2-トリフルオロエチルアミノ)エチル]-o-トルアミド)は、局所及び経口で投与できる殺虫剤及び殺ダニ剤である。
その構造式を以下に示す。


米国食品医薬品局(FDA)は、2014年5月に犬のノミの治療薬として商標Bravectoでそれを承認した。この薬は、神経細胞、特に神経間で情報を伝達する2つの物質(神経伝達物質)であるガンマアミノ酪酸(GABA)とグルタミン酸に関連する、神経細胞に出入りする荷電塩化物粒子(イオン)の正常な流れをブロックする。神経細胞のクロライドチャネルをブロックするGABA及びグルタミン酸受容体に対して高度に選択的であるが、それは節足動物のみである。節足動物のこれらの受容体の構造は哺乳動物の構造とは異なり、昆虫またはクモ類の受容体の場合のみ、フルララネルは鍵がロックするように適合するため、哺乳動物にとって比較的安全である。この化合物を犬の皮膚真菌症に使用することも報告されている(https://www.ema.europa.eu/en/documents/overview/bravecto-epar-medicine-overview_en.pdf)。
本発明者は、殺虫特性を有する効果的な製剤を見出すことを目的とした数年間の調査を実施し、インビトロの研究で幅広い化合物群を試験した後、ペルメトリンとフルララネルの両方が、特に、長期的な眼瞼辺縁炎症などの眼疾患及びオオムギ、霰粒腫、翼状片、ドライアイ症候群などの疾患実体の合併症を含む、酒さなどのニキビダニ属の感染に関連している治療困難な状態に対して最も効果的であると思われることを発見した。重要なことに、これらの各化合物は、比較的低い濃度で、寄生虫との短時間の接触で効果的であることが判明した。そのため、患者にとってより快適で安全な洗浄可能な製品で、それらを使用することが可能である.
本発明は、ニキビダニ属の感染の外部治療に使用するためのペルメトリンに関し、特にヒトにおいて、眼の近くで、ペルメトリンは、5mg/mlから45mg/mlの範囲の量で、好ましくは7.5mg/mlの量で使用される。
好ましくは、ペルメトリンは、洗浄可能な組成物、特にシャンプー及び/または洗浄ジェル及び/または液体石鹸及び/またはミセル流体で使用される。
好ましくは、ペルメトリンは週に3回、好ましくは定期的に2日ごとに適用される。
好ましくは、ペルメトリンは、半年未満の期間、好ましくは2ヶ月の期間使用される。
好ましくは、ニキビダニ属の感染の治療は、眼の疾患または状態または症状、特に眼瞼辺縁の炎症、オオムギ、霰粒腫、翼状片、ならびに酒さ及び若年性座瘡の皮膚科学的症状から選択される状態に対して向けられる。
好ましくは、ペルメトリンはフルララネルと同時に使用される。
好ましくは、ペルメトリン及びフルララネルは、同じ組成物で一緒に使用される。
好ましくは、ペルメトリン及びフルララネルは、それぞれ5mg/mlから30mg/ml、好ましくはそれぞれ5mg/mlの量で使用される。
ペルメトリン及び/またはフルララネルは、外用、局所使用のための製剤または医薬組成物に使用することができる。
0.75%のペルメトリン製剤の適用前の皮膚の状態を示している。 0.75%のペルメトリン製剤の適用後の皮膚の状態を示している。 0.75%のフルララネル製剤の適用前の皮膚の状態を示している。 0.75%のフルララネル製剤の適用後の皮膚の状態を示している。
医薬組成物を処方する方法は当技術分野で知られており、ポーランド薬局方またはヨーロッパ薬局方に記載されている。例えば、それらは、溶液または懸濁液、ゲル、エマルジョン、ローション、クリーム、軟膏などの形態であることができる。好ましくは、組成物は、皮膚や目の表面のためのすすぎ/洗浄溶液または懸濁液、またはジェル用などの洗浄可能な製剤の形態である。組成物は、シャンプー、液体石鹸などのクレンジング製剤の形態であり得る。そのような組成物のための薬学的に許容される担体は、当技術分野で知られており、例えば、水、生理食塩水、油などを含むことができる。組成物はまた、クレンジング剤、例えば界面活性剤を含んでいてもよい。増粘剤、分散剤、乳化剤、溶媒、希釈剤、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、及び塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張化剤、抗酸化剤、防腐剤、着色料などのような当技術分野で知られている追加及び補助成分も、組成物に使用することができる。
多数のニキビダニの死滅とその内部からの抗原の放出に反応して強いアレルギー反応が起こる可能性があるため、ペルメトリンとフルララネルの両方をはるかに低い濃度で使用するべきである。これらの化合物の各々は、単独で使用する場合、0.75%ー7.5mg/mlの量で、好ましくは使用される。それらは、例えば合計で5mg/mlのペルメトリン(0.5%)と5mg/mlのフルララネル(0.5%)を含む複合製剤として使用することもできる。
ニキビダニは体表全体に存在するため、局所的な治療、例えば目の周りのみ(局所除菌)は、長期的には効果がなく、完遂後として、続いて、体の他の部分(毛のある頭部、胸、陰部など)からの再定着が生じる。
したがって、最も好ましい治療法は、ペルメトリン0.5%(5mg/ml)~4.5%(45mg/ml)、好ましくは0.75%(7.5mg/ml)、またはフルララネル0.5%(5mg/ml)~4.5%(45mg/ml)、好ましくは0.75%(7.5mg/ml)、または合わせてペルメトリン0.5%(5mg/ml)~3%(30mg/ml)、好ましくは0.5%(5mg/ml)、及びフルララネル0.5%(5mg/ml)~3%(30mg/ml)、好ましくは0.5%(5mg/ml)を含むシャンプーとジェルまたは液体石鹸である。製剤は、0.75%のペルメトリンまたは0.75%のフルララネル、または合わせて0.5%のペルメトリン及び0.5%のフルララネルを含むことが特に好ましい。
例えば、治療は少なくとも1ヶ月または少なくとも2ヶ月の間であり得、シャンプー及びシャワージェルまたは石鹸は、例えば少なくとも週3回使用され得る。
したがって、本発明による治療期間は、好ましくは1ヶ月、さもなければ2ヶ月、または例えば最長3ヶ月、最長4ヶ月、最長5ヶ月、最長6ヶ月であり得る。製剤は、好ましくは週に3回、または例えばより頻繁に(例えば、週に4回、週に5回、週に6回、毎日)使用することができる。
上記の製剤を適用するたびに、使用された化学物質だけでなく、死した個体とその内部から放出された抗原もシャワーで洗い流され、そのことがいずれかのアレルギー反応を防ぐ。洗浄可能な形態で有効成分(複数可)の濃度が比較的低い製剤を使用することは、患者にとってより安全ではるかに便利である。驚くべきことに、ペルメトリンとフルララネルの両方が低濃度で効果的であるように見え、洗浄可能な製剤に適用することができる.
したがって、本発明による組成物は、洗浄可能なスキン及び/またはヘアケア製剤、例えば、シャンプー、クレンジングジェル、液体石鹸、ミセルローション、すすぎ液またはすすぎ溶液または懸濁液などの形態をとることができる。
「洗浄可能な」製剤(言い換えれば「洗い流し」製剤)は、本明細書では、体の表面、皮膚、毛髪または粘膜、または例えば、目の領域または眼瞼に適用されたとき、水で洗い流すなどして取り除かれる製剤を意味する。
本発明による溶液の利点の1つは、低い濃度、ならびに洗浄可能な製剤で有効物質を使用できるということであり、このことは製剤と皮膚、目、粘膜などとの短期の接触に至る。さらに、本発明に従って使用される化合物は、ニキビダニ属の種に対して非常に効果的であることが証明されており、この種は皮膚の問題、特に眼科の疾患または状態または症状、例えば発赤、灼熱感、目のかゆみ、周期的な流涙を伴うドライアイ、眼瞼辺縁の炎症、オオムギ、霰粒腫、翼状片、ドライアイ症候群などを生じさせる。イベルメクチンなどの追加の強力な活性物質を使用する必要はない。追加の経口療法や抗生物質療法の必要はない。治療は短くなり得、患者の痛みが軽くなり得、アレルギー反応や刺激のより低いリスクに関連する。
実施例1.殺ダニの有効性の研究
研究の方法論。
289人が研究に参加した。彼らは、眼瞼辺縁の炎症、霰粒腫または翼状片の患者であった(表1)。
Figure 2023549437000003
両眼の上瞼と下瞼から少なくとも10本のまつげが、後続の群のすべての被験者から無作為に収集された。収集された物質は、5点リボルバーボウルと4倍、10倍、20倍、40倍、100倍の倍率のビジョントラックを備えたUB-203i光学顕微鏡で評価され、デバイスにインストールされたTouptek Photonics由来のデジタルカメラToupcam TP 601300Aのタイプで、結果がアーカイブされた。
ニキビダニが存在する場合、カバースリップを使用せずに、潜在的な殺虫効果を持つ様々な濃度の数十の異なる化学化合物を、ガラスのスライドにおいて使用した。殺ダニ効果の作用が、5点リボルバーボウルと倍率4倍、10倍、20倍、40倍、及び100倍のビジョントラックを備えたUB-203i光学顕微鏡で観察された。投与後10分までにニキビダニ症(インビトロの条件でのニキビダニの生存)を示した化合物の活性は、陽性の結果と見なされた。ペルメトリンとフルララネルのインビトロ試験結果は、デバイスに取り付けられたTouptek PhotonicsのToupcam TP 601300Aのデジタルカメラを使用して、アーカイブされた。ニキビダニの生存時間に関する結果を以下の表3に示す。


最高の効率は、ペルメトリンの25%溶液とフルララネルの28%溶液を使用することで達成された(ニキビダニのインビトロ生存率は最長3分)。興味深いことに、これらの化合物はいずれも適切な有効性を示し、ニキビダニに対して使用するため当技術分野で使用及び推奨されている化合物よりもはるかに良好で、すでに低濃度(0.75%)であった。両方の化合物について、このような低い濃度であるにもかかわらず、ニキビダニの移動性の喪失と変形が観察され、10分以内に死亡したことが示された。
実施例2.ペルメトリンの局所使用
ペルメトリン0.75%を含むシャンプーまたはシャワージェルを週3回、2ヶ月間使用する。炎症と発赤を示す人物(図1)で、この期間の後に炎症症状の軽減、特に発赤の軽減を伴う目に見える改善が認められる(図2)。
製剤を使用する結果として、眼瞼辺縁の炎症の軽減も、灼熱感、目のかゆみ、ドライアイの感覚の低減、及び眼瞼辺縁の鱗屑と堆積の出現の減少と同様に、観察される。
実施例3. 局所使用におけるフルララネルの使用
フルララネル0.75%を含むシャンプーまたはシャワージェルを週3回、2ヶ月間使用する。炎症と発赤を示す人物(図3)で、この期間の後に炎症症状の軽減、特に発赤の軽減を伴う目に見える改善が認められる(図4)。
製剤を使用する結果として、眼瞼辺縁の炎症の軽減も、灼熱感、目のかゆみ、ドライアイの感覚の低減、及び眼瞼辺縁の鱗屑と堆積の出現の減少と同様に、観察される。
実施例4. ペルメトリンとフルララネルの局所使用
フルララネル0.5%とペルメトリン0.5%を含むシャンプーまたはシャワージェルを週3回、2ヶ月間使用する。この期間の後、患者は眼瞼の炎症の症状の軽減、特に発赤と灼熱感、目のかゆみ、ドライアイの感覚の軽減、及び眼瞼辺縁の鱗屑と堆積の出現の低減の目に見える改善を示す。

Claims (8)

  1. 特にヒトの目の領域におけるニキビダニ属感染の外的治療のために使用するペルメトリンであって、ペルメトリンが、5mg/mlから45mg/mlの範囲の量で、好ましくは7.5mg/mlの量で使用されることを特徴とする、前記ペルメトリン。
  2. ペルメトリンが、洗浄可能な組成物、特にシャンプー及び/または洗浄ジェル及び/または液体石鹸及び/またはミセルローションまたはこの液体を含浸させた既製の使い捨てワイプで使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用のためのペルメトリン。
  3. ペルメトリンが週3回、好ましくは定期的に2日毎に使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用のためのペルメトリン。
  4. ペルメトリンが半年に満たない期間、好ましくは2ヶ月の期間使用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのペルメトリン。
  5. 前記ニキビダニ属の感染の前記治療が、目の疾患または状態または症状に対して、特に眼瞼辺縁の炎症、オオムギ、霰粒腫、翼状片から選択される状態に対して向けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのペルメトリン。
  6. ペルメトリンがフルララネルと同時に使用されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのペルメトリン。
  7. ペルメトリン及びフルララネルが同じ組成物おいて一緒に使用されることを特徴とする、請求項6に記載の使用のためのペルメトリン。
  8. ペルメトリン及びフルララネルがそれぞれ5mg/mlから30mg/mlの範囲の量で、好ましくはそれぞれ5mg/mlの量で使用されることを特徴とする、請求項6または7に記載の使用のためのペルメトリン。

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