JP2005097279A - 外耳炎治療剤及び外耳道洗浄液 - Google Patents
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Abstract
【課題】 動物、特に外耳炎を発症しやすく、さらには慢性化しやすい犬に対して、耐性菌発生の原因となる抗生物質を用いることなく、真菌性外耳炎を治療する薬剤、及び悪化再発防止のために家庭で簡単に利用できる外耳道洗浄液を提供する。
【解決手段】 有効成分としてヒノキチオール又はその金属塩を0.01〜0.1質量%含有し、治療剤の場合には、有機溶剤、オイル等により軟膏ないしクリーム状とし、洗浄液の場合には、0.01〜0.05質量%及びDMSO等の脂質層浸透剤1〜10質量%含有する水溶液である。
【選択図】 図3
【解決手段】 有効成分としてヒノキチオール又はその金属塩を0.01〜0.1質量%含有し、治療剤の場合には、有機溶剤、オイル等により軟膏ないしクリーム状とし、洗浄液の場合には、0.01〜0.05質量%及びDMSO等の脂質層浸透剤1〜10質量%含有する水溶液である。
【選択図】 図3
Description
本発明は、犬や猫等のペット用ほ乳動物の外耳炎、特にゴールデンレトリバー等の垂れ耳タイプの犬に発生しやすいマラセチア(Malassezia)属を原因とする真菌性外耳炎の治療剤及び外耳炎の予防、悪化防止のために家庭で使用する外耳道洗浄液に関する。
レトリバーやマルチーズ等の垂れ耳タイプの犬では、外耳の内側の部分に細かい毛が生えているため、そのままに放置しておくと、耳垢成分が毛にからみつき、マラセチア属の真菌が繁殖して、赤黒い耳垢が多量に出てくる真菌性外耳炎にかかりやすい。
耳をよく洗ったり、内側の毛をトリミングすることで、外耳炎の発症を防ぐことはできるが、このような手入れを怠ると真菌性外耳炎を発症する。そして、治癒しても、手入れを怠っていると、再発し、ついには慢性化してしまう。
動物用外耳炎治療剤としては、特許文献1に、活性成分として硫酸ゲンタマイシン、硫酸フラジオマイシン等の抗菌剤、硝酸ミコナゾール等の抗真菌剤、ステロイド剤を含有し、さらにチューブから細いノズルを通して注入できるように、流動性油状物質、多価アルコール類、非イオン性界面活性剤、カルボキシビニルポリマー水溶液及び水溶液性塩基物質を含有するクリーム基材を含有したクリーム状点耳剤が提案されている。
また特許文献2には、犬のマラセチアに起因する真菌性外耳炎に対する薬剤として、ケトコナゾール(Ketoconazole)又はイトラコナゾール(Itraconazole)を薬効成分とする流動性薬剤、さらには抗炎症剤を含有する薬剤が提案されている。
しかし、いずれも抗生物質を主体とする薬剤であるため、外耳炎が慢性化すると、耐性菌を発生させる原因となり、その結果、治療剤が効かなくなるという新たな問題が発生する。
特に、垂れ耳タイプの犬の場合、手入れを怠ると、一旦治癒しても、外耳炎を再発しやすいため、慢性化することが多く、ひどい場合には、炎症、外耳道の閉鎖に至ってしまう。このような症状にまでいたると、外科的手術によってしか治療できなくなる。
従って、治療中あるいは治癒後、再発防止のために、家庭で手軽に外耳道を洗浄できる犬の外耳道洗浄液が利用されるようになっている。
例えば、ウィッチヘーゼル、グリセリン、ホウ酸、ティーツリーオイル、エキナセアエキス等を水に溶解させた外耳道洗浄液(イアーウォッシュ with ティーツリーオイル)が販売されている(非特許文献1)。また、非特許文献2によれば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルポリプロピレングリコール、イソプロピルアルコール酢酸リナリル及び精製水を含有する該洗浄液(ノルバサン・オティック)が市販されている。さらにアロエジェル、キンセンカ抽出物、シナモンオイル、ローズマリー抽出物、イソプロピルUSP、グリセリンUSPを含有する水溶液(イアーズオールライト)が非特許文献3に紹介されている。これらの洗浄液は、いずれも綿棒や脱脂綿につけて、外耳道を拭いていくというものである。
しかし、綿棒や脱脂綿による手入れは、痒み、痛みを感じるようになった犬では受け付けたがらず、飼い主といえども、日々の手入れが困難な場合は少なくない。また、これらの洗浄液は、マラセチア菌に対する殺菌性がそれほど強くないので、単なる洗浄液すぎず、頻繁に洗浄しないと耳垢がすぐ溜まって、マラセチアの増殖を阻止することができなくなってしまう。しかし、頻繁な綿棒等の使用による洗浄は、耳の中を傷つけるおそれがあったり、汚れを押し込んでしまうことにもなったりして、悪化させてしまうことも少なくない。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ペット用ほ乳動物、特に外耳炎を発症しやすく、さらには慢性化しやすい犬に対して、耐性菌発生の原因となる抗生物質を用いることなく、真菌性外耳炎を治療する薬剤、さらには、外耳炎の再発予防、悪化防止のための家庭内での手当として、手軽に使用することができ、しかも手入れ効果が得られやすい外耳道洗浄液を提供することにある。
本発明の外耳炎治療剤は、真菌性外耳炎を治療するための薬剤であって、有効成分として、ヒノキチオール又はその金属塩を、0.01〜0.1質量%含有するものであり、さらに、皮脂腺から分泌される脂質を溶解する有機溶媒を含有することが好ましく、またDMSO及び/又はMSMを含有することが好ましい。さらに基材として植物油及び/又は鉱物油を含有し、軟膏乃至クリーム状としたものであることが好ましい。
本発明の外耳炎治療剤は、特に犬の外耳炎治療用として好適である。
本発明の外耳炎治療剤は、特に犬の外耳炎治療用として好適である。
本発明の愛玩ほ乳動物の外耳道洗浄液は、ヒノキチオール又はその金属塩を0.01〜0.05質量%、及び脂質層浸透剤1〜10質量%含有する水溶液であり、前記脂質層浸透剤は、DMSO(ジメチルスルホキシド)又はMSM(メチルスルホニルメタン)であることが好ましい。本発明の外耳道洗浄液は、特に犬の外耳道の洗浄用として好適である。
本発明の外耳炎治療剤は、耐性菌を発生しにくいヒノキチオール又はその金属塩を有効成分として使用しているので、慢性の外耳炎に対しても、使用し続けることができる。
また、本発明の外耳道洗浄液は、単に洗浄液を外耳道内に点耳するだけで、脂質内に浸透して、外耳炎の原因となる真菌に対して有効に作用することができるので、家庭内で飼い主が日常的に行なう犬等の愛玩動物の外耳炎の予防、悪化防止のための洗浄液として有効である。
本発明の外耳炎治療剤は、マラセチアをはじめとする真菌性外耳炎に対する治療剤である。
真菌性外耳炎であれば、その対象動物は特に限定しないが、犬に対して好ましく適用される。一般に、犬がもっとも真菌性外耳炎を発症しやすいからである。つまり、犬の外耳道には多くのアポクリン腺がよく発達し、脂質を利用する微生物が繁殖しやすい環境にあり、外耳炎の原因となるマラセチアが常在している。そして、炎症によってアポクリン腺が拡大し、過剰な脂質を生成すると、外耳道の脂質層が肥厚になり、さらにマラセチアの増殖環境を助長することになることから、マラセチアをはじめとする真菌性外耳道を発症、悪化しやすい。とりわけ、水浴やシャンプーなどで耳道内に侵入した水が乾燥しにくい垂れ耳タイプの犬(レトリバー種、スパニエル種、プードル、マルチーズなど)に多発しやすい。
本発明の外耳炎治療剤は、有効成分として、ヒノキチオール(β−ツヤプリシンともいう)を、0.01〜0.1質量%(100〜1000μg/ml)、好ましくは0.03〜0.1質量%(300〜1000μg/ml)、より好ましくは0.05〜0.1質量%含有する。当該濃度範囲のヒノキチオールは、真菌性外耳炎の原因となるマラセチア、特にマラセチア・パチデルマチス(Malassezia・pachydermatis)に対して、有効な殺菌性を発揮できる。ここで、マラセチア属真菌とは、単極性出芽を繰り返す酵母の一種である。
本発明の外耳炎治療剤は、さらに、皮脂腺から分泌される脂質を溶解する有機溶媒を含有することが好ましい。
外耳炎の原因となるマラセチアは、犬の皮脂腺から分泌される脂質を栄養因子として増殖すると考えられている。このため、原因となる真菌を殺すだけでなく、栄養因子となる脂質を溶解、除去することにより、しばらくの間の菌の増殖を防止することができる。
外耳炎の原因となるマラセチアは、犬の皮脂腺から分泌される脂質を栄養因子として増殖すると考えられている。このため、原因となる真菌を殺すだけでなく、栄養因子となる脂質を溶解、除去することにより、しばらくの間の菌の増殖を防止することができる。
脂質を溶解する有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、グリセリン等の低級アルコール;ヘキサン等の炭化水素類;アセトン等のケトン類;エチルプロピルエーテル等のエーテル;酢酸エチル等の脂肪酸エステル類;スィートアーモンドオイル、ジョジョバオイルベジタブルオイル等の天然油脂などが挙げられる。これらの有機溶媒に加えて、DMSO(ジメチルスルホキシド)、MSM(メチルスルホニルメタン)などの天然の含硫黄有機化合物が含有することが好ましい。
さらに本発明の外耳炎治療剤には、アロエ、緑茶、熊笹、ドクダミ、柿の葉、松の葉、しその葉、山椒、ダイオウ、わさび、アカネ、にんにく、ペパーミント、ハッカ、枇杷、ラベンダー、レモングラス、ムラサキ、ヨモギ、甘茶蔓、アザミ、梅、グレープフルーツ等の抽出物を少なくとも1種を含有することが好ましい。
これらの植物抽出成分は、ヒノキチオールの特有の刺激臭を緩和し、適用される小動物の薬剤拒否反応を抑制することができるからである。また、これらの植物抽出成分は、アロマテラピー効果もあるため、点耳される動物のかゆみによる精神不安定の解消を期待することもできるからである。
さらに必要に応じて、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類;レシチンホスホリピッド等の界面活性剤;パラベン等の防腐剤などが含有されていてもよい。
本発明の外耳炎治療剤は、軟膏状乃至クリーム状であることが好ましい。犬の外耳道は、はじめ腹側方向に走る垂直耳道、次いで前内側方向に走る水平耳道との組合わせからなるL字形をしている。このように曲がった外耳道において、ゲル乃至クリーム、軟膏状の薬剤を外側から綿棒等ですりつけると、患部以外の外耳の皮膚表面全体に塗布されて、耳垢が付着しやすくなる。また、皮脂腺から分泌される皮脂を溶解する溶媒を含んだ治療剤の場合、薬剤が塗布された部分では分泌された脂質が溶解され、犬の頭ふり動作により脂質が溶出された耳垢が放出されると、皮膚表面が脱脂状態となる。皮脂は外耳道の皮膚や鼓膜を保護する作用を有しているので、必要以上に脱脂することは好ましくない。従って、患部のみに直接塗布し、皮脂及び菌を含む耳垢が犬の頭振り動作により、自然に外へ放出されるようにしておくことが望まれる。このような理由から、可撓性チューブ等を用いて、L字形の耳道に沿って患部に直接薬剤を注入できる程度の粘度を有する軟膏乃至クリーム状とすることが好ましい。
軟膏乃至クリーム状とするための基材としては、落花生油、ひまわり油、ダイズ油、ひまし油、サフラワー油、とうもろこし油、アボガド油、つばき油、カカオ油、ごま油、綿実油、やし油、オリーブ油、オリーブ油等の植物油;ワセリン、流動パラフィン、シリコーン油、スクワラン等の鉱物油などを用いて、粘度を調整することが好ましい。
また、耳内で薬剤が流れたりすることがないように、増粘剤として、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;アルギン酸ソーダ等の多糖類;カゼイン等のタンパク質;ポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシルポリマーなどを用いてもよい。
クリーム状の外耳炎治療剤の処方例としては、ヒノキチオール0.02〜0.1質量%、DMSO又はMSMを1〜5質量%を含み、水、ベジタブルオイル、グリセリン、エタノール、パラベンでトロトロ感がでるように粘度を調整したもの、あるいはヒノキチオール0.02〜0.1質量%、DMSO及びMSMをそれぞれ1〜5質量%を含み、水、ベジタブルオイル、グリセリン、エタノール、パラベンでトロトロ感がでるように粘度を調整したものなどが挙げられる。
以上のような構成を有する治療剤は、外耳炎症部分に直接処方される。軟膏状、クリーム状の治療剤は、耳垢となじみ、さらに外部からの耳マッサージにより耳垢と混在一体化することが可能となり、そこで、ヒノキチオール成分の抗菌効果が発揮できるようになる。
また、ヒノキチオールは、マラセチア菌に対してだけでなく、緑膿菌に対してもある程度の殺菌性を示す。外耳炎の大部分(80%程度)は、マラセチア起因性の外耳炎であるが、2割程度は緑膿菌、ブドウ球菌が原因となる外耳炎であり、さらにはこれらが混在して悪化している外耳炎もある。例えば、マラセチア起因性外耳炎の治療に際して綿棒等で傷つけたりする緑膿菌が繁殖する場合がある。抗生物質による治療の場合、マラセチアに対して有効な抗生物質と緑膿菌に対して有効な抗生物質とは異なることから、混在複雑化した外耳炎の治療には効果が小さく、ひどい場合には、誤った治療にもなりかねない。この点、双方の原因菌に対して抗菌性を示し、しかも耐性菌を生じさせにくいヒノキチオールによる殺菌であれば、このような複雑な外耳炎の治療に対して対処可能である。
次に、本発明の犬の外耳道洗浄液について、説明する。
本発明の外耳道洗浄液は、ヒノキチオール又はその金属塩を0.01〜0.05質量%(100〜500μg/ml)、及び脂質層浸透剤1〜10質量%含有する水溶液である。
本発明の外耳道洗浄液は、ヒノキチオール又はその金属塩を0.01〜0.05質量%(100〜500μg/ml)、及び脂質層浸透剤1〜10質量%含有する水溶液である。
脂質層浸透剤としては、無機化合物、有機化合物をよく溶かす溶解性の高い非プロトン溶媒で、浸透性に優れた安全性が高い溶剤で、さらに、水にも容易に希釈できる化合物が用いられ、具体的にはDMSO(ジメチルスルホキシド:C2H6OS)、MSM(メチルスルホニルメタン:(CH3)2S)などが挙げられるが、これらのうち、特にDMSOが好ましく用いられる。このような脂質層浸透剤、特にDMSO、MSMは、有効成分であるヒノキチオールとの親和性が高く、しかも外耳炎のマラセチアの増殖環境を助長する脂質層と任意の割合で混じることが可能である。これにより、洗浄液が脂質層表面に点耳されたときにDMSOがヒノキチオールを伴って、耳垢内に浸透していくことが可能になる。
本発明の洗浄液は、綿棒等を用いることなく、水溶液状態で直接犬の外耳道に点耳することができる。点耳された洗浄液は、犬の複雑な外耳道内に流入して、耳垢層上に付着し、さらにはヒノキチオールと共に耳垢層内に浸透することができる。その結果、耳垢層内で、ヒノキチオールが抗菌作用を発揮する。
本発明の洗浄液は、水溶液であるから、点耳後まもなく、犬は自らの頭振りによって余分な水分を排出することができる。一方、有効成分たるヒノキチオールは、脂質層浸透剤の作用により耳垢層に浸透して作用できる。このように、本発明の洗浄液によれば、綿棒や脱脂綿を使用することなく、単純に点耳するだけでよい。従って、犬の抵抗、外耳の傷つきなどを気にすることなく、一日数回、点耳するだけの手軽な洗浄液として、家庭で使用することができるので、犬をはじめとする愛玩ほ乳動物の外耳炎の悪化防止、予防に効果的である。また、本発明の洗浄液は、ヒノキチオール又はその金属塩の含有濃度を0.01〜0.05質量%として、上記本発明の治療剤よりも低濃度としているので、処方用量に幅を持たせることが可能となり、家庭での飼い主による点耳を容易にする。また、ヒノキチオールは水に対する溶解度が低いが、併用する脂質層浸透剤の作用により、0.05質量%程度、溶解させることができる。
また、上述のように、家庭では、マラセチア起因性外耳炎であるか、緑膿菌起因性外耳炎であるか、さらにはこれらが混在したものであるかを判断することは困難であるが、本発明の洗浄液であれば、双方に対して抗菌効果を発揮できるので、正確な原因を突き止められていない状態であっても、再発、悪化防止、予防としての洗浄液として有効に利用することができる。
〔ヒノキチオールとマラセチア菌に対する最小発育阻止濃度〕
(1)接種菌液の調製
Briji35(マラセチアの培養に必要な界面活性剤)を0.5%およびオレイン酸を0.01%含む滅菌サブローブロスを調製し、この培地に犬外耳炎症例から分離したマラセチア菌55株(Malassezia pechydermatis )を接種して7日間培養した。この培養液をウレアブロスで10倍に希釈し、接種菌液とした。この接種菌液の酵母数を数えたところ約105個/mlであった。
(1)接種菌液の調製
Briji35(マラセチアの培養に必要な界面活性剤)を0.5%およびオレイン酸を0.01%含む滅菌サブローブロスを調製し、この培地に犬外耳炎症例から分離したマラセチア菌55株(Malassezia pechydermatis )を接種して7日間培養した。この培養液をウレアブロスで10倍に希釈し、接種菌液とした。この接種菌液の酵母数を数えたところ約105個/mlであった。
(2)DMSOを含有しないウレアブロスの調製
Briji35およびオレイン酸を含み、DMSOを含まない滅菌ウレアブロスを調製し、最終的に試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、Briji35を0.5%、オレイン酸を0.01%の割合で含むように調整した。
Briji35およびオレイン酸を含み、DMSOを含まない滅菌ウレアブロスを調製し、最終的に試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、Briji35を0.5%、オレイン酸を0.01%の割合で含むように調整した。
(3)DMSOを含有しない接種薬剤の調製
a)ヒノキチオール含有液
0.13%(1300μg/ml)のヒノキチオールを含む滅菌ウレアブロスを調製し、試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ヒノキチオールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.05%(500μg/ml)になるように調整した。
a)ヒノキチオール含有液
0.13%(1300μg/ml)のヒノキチオールを含む滅菌ウレアブロスを調製し、試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ヒノキチオールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.05%(500μg/ml)になるように調整した。
b)ナイスタチン含有液
ナイスタチンは難水溶性なので、まず、ナイスタチンを少量のDMSOに溶かしてから(2)で調製したウレアブロスで希釈してろ過滅菌し、最終的に0.13%(1300μg/ml)のナイスタチンを含む滅菌ウレアブロスを調製した。このナイスタチン含有ウレアブロスを、試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ナイスタチンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。最初にナイスタチンを溶解させるように使用したDMSOは、その後の操作で十分に希釈され、試験用マイクロプレートに分注された時点では、DMSO濃度が0.01質量%以下となってる。DMSO7質量%以下では、マラセチア増殖抑制効果がないことを確認している。
ナイスタチンは難水溶性なので、まず、ナイスタチンを少量のDMSOに溶かしてから(2)で調製したウレアブロスで希釈してろ過滅菌し、最終的に0.13%(1300μg/ml)のナイスタチンを含む滅菌ウレアブロスを調製した。このナイスタチン含有ウレアブロスを、試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ナイスタチンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。最初にナイスタチンを溶解させるように使用したDMSOは、その後の操作で十分に希釈され、試験用マイクロプレートに分注された時点では、DMSO濃度が0.01質量%以下となってる。DMSO7質量%以下では、マラセチア増殖抑制効果がないことを確認している。
c)ケトコナゾール含有液
ケトコナゾールも難水溶性なので、まず、ケトコナゾールを少量のDMSOに溶かしてから(2)のウレアブロスで希釈してろ過滅菌し、最終的に0.00013%(0.13μg/ml)のケトコナゾールを含む滅菌ウレアブロスを調製した。このケトコナゾール含有ウレアブロスを、試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ケトコナゾールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.0001%(1μg/ml)になるように調整した。最初にケトコナゾールを溶解させるように使用したDMSOは、その後の操作で十分に希釈され、試験用マイクロプレートに分注された時点では、DMSO濃度が0.01質量%以下となっている。DMSO7質量%以下では、マラセチア増殖抑制効果がないことを確認している。
ケトコナゾールも難水溶性なので、まず、ケトコナゾールを少量のDMSOに溶かしてから(2)のウレアブロスで希釈してろ過滅菌し、最終的に0.00013%(0.13μg/ml)のケトコナゾールを含む滅菌ウレアブロスを調製した。このケトコナゾール含有ウレアブロスを、試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ケトコナゾールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.0001%(1μg/ml)になるように調整した。最初にケトコナゾールを溶解させるように使用したDMSOは、その後の操作で十分に希釈され、試験用マイクロプレートに分注された時点では、DMSO濃度が0.01質量%以下となっている。DMSO7質量%以下では、マラセチア増殖抑制効果がないことを確認している。
d)塩酸テルビナフィン含有液
塩酸テルビナフィンも難水溶性なので、まず、塩酸テルビナフィンを少量のDMSOに溶かしてから(2)のウレアブロスで希釈してろ過滅菌し、最終的に0.13%(1300μg/ml)の塩酸テルビナフィンを含む滅菌ウレアブロスを調製した。この塩酸テルビナフィンウレアブロスを、試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、塩酸テルビナフィンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。最初に塩酸テルビナフィンを溶解させるように使用したDMSOは、その後の操作で十分に希釈され、試験用マイクロプレートに分注された時点では、DMSO濃度が0.01質量%以下となってる。DMSO7質量%以下では、マラセチア増殖抑制効果がないことを確認している。
塩酸テルビナフィンも難水溶性なので、まず、塩酸テルビナフィンを少量のDMSOに溶かしてから(2)のウレアブロスで希釈してろ過滅菌し、最終的に0.13%(1300μg/ml)の塩酸テルビナフィンを含む滅菌ウレアブロスを調製した。この塩酸テルビナフィンウレアブロスを、試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、塩酸テルビナフィンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。最初に塩酸テルビナフィンを溶解させるように使用したDMSOは、その後の操作で十分に希釈され、試験用マイクロプレートに分注された時点では、DMSO濃度が0.01質量%以下となってる。DMSO7質量%以下では、マラセチア増殖抑制効果がないことを確認している。
(4)DMSO含有ウレアブロスの調製
Briji35、オレイン酸、およびDMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。最終的に試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、Briji35を0.5%、オレイン酸を0.01%、さらにDMSOを2%の割合で含むように調整した。
Briji35、オレイン酸、およびDMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。最終的に試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、Briji35を0.5%、オレイン酸を0.01%、さらにDMSOを2%の割合で含むように調整した。
(5)DMSO含有接種薬剤の調製
a)ヒノキチオール含有液
0.13%(1300μg/ml)のヒノキチオールと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ヒノキチオールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレート上で2%になるように調整した。
a)ヒノキチオール含有液
0.13%(1300μg/ml)のヒノキチオールと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ヒノキチオールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレート上で2%になるように調整した。
b)ナイスタチン含有液
0.13%(1300μg/ml)のナイスタチンと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ナイスタチンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレート上で2%になるように調整した。
0.13%(1300μg/ml)のナイスタチンと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ナイスタチンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレート上で2%になるように調整した。
c)ケトコナゾール含有液
ケトコナゾールは水難溶性なので、まず、ケトコナゾールをDMSOに溶かし、0.00013%(0.13μg/ml)のケトコナゾールと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ケトコナゾールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.00001%(0.1μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレート上で2%になるように調整した。
ケトコナゾールは水難溶性なので、まず、ケトコナゾールをDMSOに溶かし、0.00013%(0.13μg/ml)のケトコナゾールと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロプレートに接種菌液を分注した時点で、ケトコナゾールの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.00001%(0.1μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレート上で2%になるように調整した。
d)塩酸テルビナフィン含有液
塩酸テルビナフィンも水溶性ではないので、まず、塩酸テルビナフィンをDMSOに溶かし、0.13%(1300μg/ml)の塩酸テルビナフィンと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、ナイスタチンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレートで2%となるように調整した。
塩酸テルビナフィンも水溶性ではないので、まず、塩酸テルビナフィンをDMSOに溶かし、0.13%(1300μg/ml)の塩酸テルビナフィンと2.7%DMSOを含む滅菌ウレアブロスを調製した。試験用マイクロタイタープレートに接種菌液を分注した時点で、ナイスタチンの試験開始濃度(最高試験濃度)が0.01%(100μg/ml)になるように調整した。また、結果的にDMSO濃度も試験用マイクロタイタープレートで2%となるように調整した。
(6)MIC(最小発育阻止濃度)の測定
96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、DMSOなしのウレアブロス、あるいは2%DMSO含有ウレアブロスを150μlづついれた入れたプレートを準備した。
96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに、DMSOなしのウレアブロス、あるいは2%DMSO含有ウレアブロスを150μlづついれた入れたプレートを準備した。
DMSOを含まないプレートでは、1列目に、上記で調製したDMSOを含まない接種用ヒノキチオール液(最終ヒノキチオール濃度500μg/ml)、DMSO含有接種用ナイスタチン液(最終ナイスタチン濃度100μg/ml)、DMSO含有ケトコナゾール液(最終ケトコナゾール濃度1μg/ml)、又はDMSO含有テルビナフィン液(最終塩酸テルビナフィン濃度100μg/ml)を300μl加えた。各接種液を2倍段階希釈した。
DMSO含有プレートでは、1列目に、上記で調製したDMSO含有接種用ヒノキチオール液(最終ヒノキチオール濃度100μg/ml)、DMSO含有接種用ナイスタチン液(最終ナイスタチン濃度100μg/ml)、DMSO含有ケトコナゾール液(最終ケトコナゾール濃度1μg/ml)、又はDMSO含有テルビナフィン液(最終塩酸テルビナフィン濃度100μg/ml)を300μl加えた。各接種液を2倍段階希釈した。いずれのウェルもDMSOの最終濃度は2質量%である。
以上のようにして準備した各種濃度の薬剤液をいれたウェルそれぞれに、上記で調製した接種菌液を50μlづつ加えた。
その後、ウェル開口部に、滅菌流動パラフィン80μlを重層し、アンモニアの気化及び拡散を防止して、37℃で培養した。培養開始後、3日目及び5日目に培地の色の変化を観察した。すなわち、赤色に変化したウェルはマラセチアが増殖してウレアが分解されたことを意味するので、これによって真菌の増殖を確認した。DMSOなしの結果を図1、DMSOありの結果を図2に示す。図1及び図2中、横軸は薬剤濃度、縦軸は各薬剤濃度における菌の発育阻止状況をチェックし、MIC(最小発育阻止濃度)を示した菌数を示している。
その後、ウェル開口部に、滅菌流動パラフィン80μlを重層し、アンモニアの気化及び拡散を防止して、37℃で培養した。培養開始後、3日目及び5日目に培地の色の変化を観察した。すなわち、赤色に変化したウェルはマラセチアが増殖してウレアが分解されたことを意味するので、これによって真菌の増殖を確認した。DMSOなしの結果を図1、DMSOありの結果を図2に示す。図1及び図2中、横軸は薬剤濃度、縦軸は各薬剤濃度における菌の発育阻止状況をチェックし、MIC(最小発育阻止濃度)を示した菌数を示している。
図2からわかるように、ヒノキチオールのマラセチアに対する最小発育阻止濃度(MIC)は、ナイスタチンと同程度(3.13μg/ml)であった。また、図1と図2の比較から、DMSO2%程度では、DMSO含有の有無によるMICに有意な差違は認められなかった。
〔外耳道洗浄液の効果〕
実施例1:
外耳道洗浄液として、ヒノキチオール濃度0.01%及びDMSO2%を含有する水溶液を調製した。
表1に示す症例及び表2に示す年齢分布を有する犬について、洗浄液の処方効果を調べた。
実施例1:
外耳道洗浄液として、ヒノキチオール濃度0.01%及びDMSO2%を含有する水溶液を調製した。
表1に示す症例及び表2に示す年齢分布を有する犬について、洗浄液の処方効果を調べた。
各犬の外耳道を生理食塩水で洗浄し、綿棒で清拭後、上記洗浄液を2〜3滴(0.3〜0.5ml)点耳し、30秒から1分間外耳道の付け根をマッサージした。
飼い主に1日2回(0.3〜0.5ml/日)、清拭せずに点耳してもらった。
初診(1回目)より3〜5日毎の来院を指示し、診察を行なった。症状は、表3示す基準に基づいて判断したスコアリングの合計で示す。スコアリングの合計点が高いほど、症状が悪いことを示す。図3に、診断回数と症状との関係を示す。
飼い主に1日2回(0.3〜0.5ml/日)、清拭せずに点耳してもらった。
初診(1回目)より3〜5日毎の来院を指示し、診察を行なった。症状は、表3示す基準に基づいて判断したスコアリングの合計で示す。スコアリングの合計点が高いほど、症状が悪いことを示す。図3に、診断回数と症状との関係を示す。
図3からわかるように、1つの例外を除いて、いずれの犬についても、スコアは低下し、本発明の洗浄液による洗浄治療効果が認められた。
比較例1:
ヒノキチオール濃度0.025質量%を含有し、DMSOを含有しないヒノキチオール含有水溶液を、外耳炎を患った3匹のビーグル犬に、1回あたり2〜3滴(0.3〜0.5ml)の用量で、1日2回外耳道に滴下し、これを1週間続けた。投与開始前、開始3日後、7日後に耳垢10mg採取し、顕微鏡観察にて、酵母数を算出した。
結果を表4に示す。
ヒノキチオール濃度0.025質量%を含有し、DMSOを含有しないヒノキチオール含有水溶液を、外耳炎を患った3匹のビーグル犬に、1回あたり2〜3滴(0.3〜0.5ml)の用量で、1日2回外耳道に滴下し、これを1週間続けた。投与開始前、開始3日後、7日後に耳垢10mg採取し、顕微鏡観察にて、酵母数を算出した。
結果を表4に示す。
表4からわかるように、いずれのビーグル犬についても、酵母数の顕著な減少は認められず、洗浄液による治療効果は認められなかった。従って、洗浄液による治療効果を期待するためには、DMSOが含まれていることが必要であることがわかる。
本発明の外耳炎治療剤は、マラセチアを原因とする真菌性外耳炎の治療に有効であり、特に手入れの怠慢により真菌性外耳炎が慢性化しやすい犬、特に垂れ耳タイプの犬の外耳炎の治療剤として有用である。
また、本発明の洗浄液は、家庭内において簡易に使用できる再発予防、悪化防止用の外耳道洗浄液として有用である。
また、本発明の洗浄液は、家庭内において簡易に使用できる再発予防、悪化防止用の外耳道洗浄液として有用である。
Claims (8)
- 真菌性外耳炎を治療するための薬剤であって、
有効成分として、ヒノキチオール又はその金属塩を、0.01〜0.1質量%含有する外耳炎治療剤。 - さらに、皮脂腺から分泌される脂質を溶解する有機溶媒を含有する請求項1に記載の外耳炎治療剤。
- さらにDMSO(ジメチルスルホキシド)及び/又はMSM(メチルスルホニルメタン)を含有する請求項1又は2に記載の外耳炎治療剤。
- さらに基材として植物油及び/又は鉱物油を含有し、軟膏乃至クリーム状とした請求項1〜3のいずれかに記載の外耳炎治療剤。
- 犬の外耳炎治療用である請求項1〜4のいずれかに記載の外耳炎治療剤。
- ヒノキチオール又はその金属塩を0.01〜0.05質量%、及び脂質層浸透剤1〜10質量%含有する水溶液である愛玩ほ乳動物の外耳道洗浄液。
- 前記脂質層浸透剤は、DMSO(ジメチルスルホキシド)又はMSM(メチルスルホニルメタン)である請求項6に記載の外耳道洗浄液。
- 犬の外耳道の洗浄用である請求項6又は7に記載の外耳道洗浄液。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2017222698A (ja) * | 2011-05-11 | 2017-12-21 | ヴェローチェ・バイオファーマ・エルエルシー | 皮膚および爪の治療のための抗真菌組成物 |
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JPH10109928A (ja) * | 1996-10-04 | 1998-04-28 | Toko Yakuhin Kogyo Kk | 動物用点耳クリーム剤 |
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JP2002047145A (ja) * | 2000-08-01 | 2002-02-12 | Asahi Kasei Corp | 育毛剤組成物 |
-
2004
- 2004-08-24 JP JP2004243136A patent/JP2005097279A/ja active Pending
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