JP2023548498A - ウイルス感染症を治療するための、IFN-ラムダmRNAの使用 - Google Patents

ウイルス感染症を治療するための、IFN-ラムダmRNAの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ウイルス-誘導性障害、好ましくはウイルス-誘導性呼吸器障害、例えばCOVID-19など、を治療する際に使用するための、IFN-λポリペプチドをコードするmRNAを含む医薬組成物、に関する。【選択図】図30A

Description

本発明は、ウイルス-誘導性障害、好ましくはウイルス-誘導性呼吸器障害、例えばインフルエンザ又はCOVID-19など、を治療する際に使用するための、IFN-λポリペプチドをコードするmRNAを含む医薬組成物、に関する。
インターフェロンは、現在、3つの異なったファミリー(タイプIインターフェロン、タイプIIインターフェロン及びタイプIIIインターフェロン)に分類される一群のタンパク質、である。
タイプIインターフェロンは、13種類のIFN-αサブタイプ、並びにIFN-β、IFN-κ、IFN-ε及びIFN-ω、を含む、密接に関連した糖タンパク質のファミリーである。ヒトでは、前記IFNα遺伝子ファミリーは、14個の遺伝子(1個に偽遺伝子、及び同じタンパク質をコードする2個の遺伝子を含む)(Diaz et al., Genomics 22 (1994), 540-552)によってコードされる12種の異なるサブタイプ、即ち、IFN-α1, IFN-α2, IFN-α8, IFN-α14, IFN-α17, IFN-α4, IFN-α5, IFN-α6, IFN-α7, IFN-α10, IFN-α16, IFN-α21 (da Rocha Matos et al., Emerg Microbes Infect. 8, (2019), 1763-1776)、からなる。
IFN-αサブタイプに関して、それらは、抗-ウイルス性の、抗-増殖性の及び免疫調節性の応答のスペクトルを示す、ことが見出されている。タイプIインターフェロンは、呼吸器ウイルス感染に対する自然免疫反応において、重要な役割を果たす。そのメカニズムとしては、インターフェロン-βが最初に放出され、これが次に、タイプIインターフェロン・レセプターを介して媒介されるカスケードにおいて、インターフェロン-βの、及びインターフェロン-α類の更なる放出、を刺激する、ことが挙げられる。
1つのタイプIIインターフェロン、即ち、IFN-ガンマ、が存在し、これはタイプIインターフェロンとは別のレセプターに結合する、及びタイプI IFNとは大きく異なる機能を有する。
タイプIIIインターフェロンは、最も最近発見されたインターフェロン類のファミリーである。それらは、インターフェロン・ラムダ類(IFNλs)とも呼ばれる。前記IFNλsは、2003年に発見された、3つの密接に関連したタンパク質である。インターフェロンλ-1は、IL-29としても知られ、インターフェロンλ-2及びλ-3は、それぞれ、IL-28A及びIL-28Bとしても知られている。これらのインターフェロンは、タイプI及びタイプIIインターフェロンのレセプターとは異なる第3のレセプターに結合する。これらのインターフェロンは、抗-ウイルス活性を有することが示されている。インターフェロンλは、例えば、HCV、HBV、インフルエンザ・ウイルス、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus (RSV))、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(lymphocytic choriomeningitis virus (LCMV))、ロタウイルス、レオウイルス、ノロウイルス、及び西ナイル・ウイルス(WNV)、等を含む,多種多様なウイルス感染において,重要であることが見出されている。IFNλレセプター・ノックアウト・マウスを用いる、実験的なin vivoアプローチによって、肺におけるインフルエンザA型ウイルス(IAV)、SARSコロナウイルス、RSV、及びヒトメタ肺炎ウイルスのレベル、並びに胃腸管におけるノロウイルス、レオウイルス及びロタウイルスのレベル、をコントロールすることにおけるIFNλシグナル伝達の重要性が注目されるようになった。in vivo試験では、IFNλは、IFNα/βと比較して、ISG応答の低下を示し、in vivoではIFNα/βよりもはるかに炎症性が低いことが示されている。興味深いことに、IFNλは、タイプI IFNsと比較して、炎症反応が少ないにもかかわらず、多くの抗ウイルス特性を保持する。このことにより、HCV感染症に対するIFNαの代替治療として、臨床使用に向けたIFNλの開発が、促進された(Muir et al., J. Hepatol. 61 (2014), 1238-1246)。より最近の発展によれば、IFNλによる治療は、呼吸器ウイルス感染症をコントロールするために利用され得ることも、示されている。IFNλ2及び3は、IFNα又はIFNβによる治療と同様に、IAVの肺のタイター(IAV pulmonary titers)をコントロールすることが示された(Davidson et al., EMBO Mol. Med. 8 (2016), 1099-1112; Kim et al, Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 56 (2017), 202-212)。重要なことに、IFNλによる治療は、IFNαによる治療に関連する過剰な肺の炎症を回避した(Kim et al., Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 56 (2017), 202-212)。IFNλを治療応用することは、これまで、組み換えにより産生したタンパク質を投与することに集中している。しかし、組み換えにより産生したタンパク質を使用することは、比較的高用量のタンパク質を反復投与することを必要とする。なぜなら、前記タンパク質は、体から比較的速く除去され、従って、短期間しか作用することができないからである。例えば、Dinnon III et al. (Nature https://doi.org/10.1038/s41586-020-2708-8 (2020))では、2 μgのpeg-IFNλ1をマウスに皮下投与する。同様に、Davidson et al. (EMBO Mol. Med. 8 (2016), 1099-1112)は、インフルエンザ感染症を治療するために、又は予防するために、2.6 μg/50μlのIFNλ3を、B6.A2G-Mxマウスに投与することを記載している。Galani et al. (Immunity 46(2017), 875-890)においては、マウスを5 μg又は10 μgの組み換えマウス・ペグ化IFNλ2で処置したことが、報告された。
従って、in vivoでIFNλをターゲット組織に送達するための効率的な方法(即ち、IFNλが、長期間にわたって活性であること、及びその作用を長期間にわたって発揮することができること、を確実にする様式である)のための手段及び方法が提供されることへのニーズが存在する。これによって、所与の期間内に患者に投与されるIFNλの量を減少させることが可能になる、及び、患者への投与の回数を減少させることも可能になる。
本発明は、特許請求の範囲に列挙される実施形態を提供することによって、この必要性に対処する。
従って、本発明は、ウイルス-誘導性障害を治療する、及び/又は予防する際に使用するための、IFN-λポリペプチドをコードするmRNAを含む医薬組成物に関する。
本発明は、IFNλをコードするmRNAが、肺胞上皮細胞のモデルとなる細胞にトランスフェクションされた場合に、IFN-λの抗ウイルス活性にとって重要な下流ターゲットに対して、極めて効率的に、且つ長時間持続して賦活する効果を可能にする、という知見に基づいている。特に、A-549細胞を使用するin vitroモデル(タイプII様肺細胞/肺胞上皮細胞のモデル)においては、極めて低用量のmRNAであっても、下流ターゲットであるIFIT3、ISG15、IFIT1及びOAS3(これらは、IFNλの抗ウイルス活性に関する指標である)は、高レベルに且つ長期間(120時間超)、活性化される。これらの結果を、マウスにおけるin vivo試験で確認することができた。
更に、驚くべきことに、ACE2レセプターを発現するように予め安定的にトランスフェクションしたA-549細胞では、IFN-λポリペプチドをコードするmRNAを使用した場合、ACE2レセプターを発現しないA-549細胞の場合と同じくらい下流ターゲットの誘導が高いこと、一方で、組み換えIFNλタンパク質を投与した場合、ACE2レセプターを発現しないA-549細胞と比較して、ACE2を発現するA-549細胞において、下流ターゲットの誘導は、はるかに低いこと、が見出された。これは、組み換えIFNλポリペプチドの投与によっては、ACE2レセプターを発現する細胞において、下流ターゲットの効率的な活性化がもたらされず、一方で、IFNλをコードするmRNAの投与によっては、効率的な活性化が可能になること、を示す。従って、IFNλをコードするmRNAの使用は、ウイルス感染が、ACE2発現細胞をターゲットとする場合に、即ち、前記ウイルスがACE2レセプターを介して細胞に入る場合に、特に有利である。
更に、種々の細胞型の気-液界面(Air-Liquid Interface (ALI))培養において、IFNλをコードするmRNAは、対応するレセプターは細胞の基底外側(液体培養培地に面する)に位置すると予想されるが、意外なことに、細胞の頂端側(空気に面する)に添加した場合に、下流ターゲットを活性化することに関して、効果を示すことができること、が示された。これらの結果を、IFNλをコードするmRNAを、肺に直接的に投与したマウスにおけるin vivo試験によって、確認することができた。気道上皮は、外部環境を内部環境から隔離する機械的なバリアを形成し、上皮の構造的な極性は、バリアの健全性にとって重要であり、接着及び密着結合を含む複雑な細胞-細胞接着複合体によって制御されることが知られている(例えば、Humlicek et al., J. Immunol. 178 (2007), 6395-6403を参照されたい)。更に、前記対応するレセプターは、明らかに前記細胞の基底外側にのみ存在するので、気道上皮に関する基底外側の位置のみが効果をもたらすという意味で、ある特定のサイトカインの機能性に関する極性があることが知られている。従って、ある特定のサイトカインに対する気道上皮応答は、上皮のバリア機能が事前に物理的に、又は薬理学的に破壊を受けていた場合に、気道内腔へ投与した後にのみ、観察することができた(Humliceket al、前掲)。従って、ALI培養として培養される上皮細胞の頂端側にIFNλ mRNAを投与することによって、又は、上皮細胞のバリア機能を破壊することなく、IFNλ mRNAをマウスの肺に直接的に投与することによって、IFNλの下流ターゲットが効率的に活性化されること(これは、抗ウイルス効果の指標である)は、驚くべきことである。
原則として、本発明に関連して、IFNλポリペプチドをコードするmRNAを、任意のあり得るウイルス-誘導性障害を治療するために、及び/又は予防するために、使用することができる。IFNλは、多くのウイルスに対して、in vitroで、抗ウイルス活性を示すことが示されている。in vivoにおいては、IFNλの抗ウイルス活性は、特に、気道の、胃腸管の及び泌尿生殖路の上皮細胞、並びに肝臓に感染するウイルスについて、観察されている(例えば、Lazear et al., Immunity 43 (2015), 15-28; Table 1を参照のこと)。本発明により治療することができる、又は予防することができるウイルス-誘導性疾患としては、肺炎ウイルス科、オルトミクソウイルス科、アデノウイルス科、アレナウイルス科、パラミキソウイルス科、フラビウイルス科、レトロウイルス科、カリシウイルス科、ピコルナウイルス科、コロナウイルス科、パルボウイルス科、レオウイルス科、ヘルペスウイルス科、又はヘパドナウイルス科のファミリーに属するウイルスによって引き起こされる疾患、が挙げられる。
肺炎ウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、ヒト・メタ肺炎ウイルスが挙げられる。
オルトミクソウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、インフルエンザ・ウイルスが挙げられる。
アデノウイルス科の群に属するウイルスとしては、アデノウイルスが挙げられる。
アレナウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスが挙げられる。
パラミクソウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、呼吸器合胞体ウイルスが挙げられる。
フラビウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、デング・ウイルス、C型肝炎ウイルス、ジカ・ウイルス、及び西ナイル・ウイルスが挙げられる。
レトロウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、ヒト免疫不全ウイルスが挙げられる。
カリシウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、ノロウイルスが挙げられる。
ピコルナウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、ライノウイルスが挙げられる。
コロナウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、SARS-CoV、SARS-CoV2、MERS及びHCoV-NL63、-OC43、-229E及びHKU1が挙げられる。
パルボウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、ボカウイルスが挙げられる。
レオウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、レオウイルス及びロタウイルスが挙げられる。
ヘルペスウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、サイトメガロウイルス及び単純ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1及び2など)が挙げられる。
ヘパドナウイルス科のファミリーに属するウイルスとしては、B型肝炎ウイルスが挙げられる。
好ましい実施形態では、前記ウイルス-誘導性障害は、ウイルス-誘導性呼吸器障害である。これを念頭に置けば、その呼吸器障害を誘導するウイルスは、ライノウイルス、インフルエンザ・ウイルス、パラインフルエンザ・ウイルス、メタ肺炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス及びコロナ・ウイルス、からなる群より選択されることが好ましい。
特に好ましい実施形態では、前記ウイルスは、ACE2レセプターを介して細胞に入るウイルスである。ACE2(アンジオテンシン-変換-酵素2)は、肺、動脈、心臓、腎臓及び小腸の細胞の細胞膜に結合する酵素である。それは、アンジオテンシンIIをアンジオテンシンに加水分解することを触媒することによって、血圧を低下させる。ACE2は、例えば、SARS-CoV、SARS-CoV-2及びHCoV-NL63等のいくつかのコロナウイルスが、細胞の中に入る場所としても機能する。
従って、特に好ましい実施形態では、前記ウイルスは、コロナウイルスである、及び最も好ましくは、SARS-CoV、SARS-CoV-2及びHCoV-NL63からなる群より選択されるウイルスである。
従って、特に好ましい実施形態では、前記ウイルス-誘導性疾患は、SARS(SARS-CoVによって引き起こされる)、COVID-19(SARS-CoV-2によって引き起こされる)、並びに軽度から中等度の上部気道感染症、重度の下部気道感染症、クループ(croup)及び細気管支炎(HCoV-NL63によって引き起こされる)、である。
前記医薬組成物中に含まれるmRNAがコードするIFNλタンパク質は、任意の有り得るIFNλタンパク質、特にインターフェロンλ-1(IL-29としても知られる)、インターフェロンλ-2(IL-28Aとしても知られる)若しくはインターフェロンλ-3(IL-28B)又はそれらの任意の組み合わせ、であることがある。好ましい実施形態では、前記IFNλタンパク質は、ヒト・タンパク質である。
ある実施形態では、前記医薬組成物中に含まれるmRNAがコードするIFNλタンパク質は、IFNλ-1、好ましくは配列番号(SEQ ID NO):2に示されるアミノ酸配列を含むIFNλ-1、である。より好ましい実施形態では、IFNλ-1をコードするmRNAは、配列番号(SEQ ID NO):1に示されるコーディング領域(coding region)を含む。
ある実施形態では、前記医薬組成物中に含まれるmRNAがコードするIFNλタンパク質は、IFNλ-2、好ましくは配列番号(SEQ ID NO):4に示されるアミノ酸配列を含むIFNλ-2、である。より好ましい実施形態では、IFNλ-2をコードするmRNAは、配列番号(SEQ ID NO):3に示されるコーディング領域(coding region)を含む。
ある実施形態では、前記医薬組成物中に含まれるmRNAがコードするIFNλタンパク質は、IFNλ-3、好ましくは配列番号(SEQ ID NO):6に示されるアミノ酸配列を含むIFNλ-3、である。より好ましい実施形態では、IFNλ-3をコードするmRNAは、配列番号(SEQ ID NO):5に示されるコーディング領域(coding region)を含む。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明に従って使用されるポリリボヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチド及び修飾ヌクレオチドを含むことがある。本出願で使用される用語「非修飾ヌクレオチド」は、A、C、G及びUヌクレオチドを指す。本出願で使用される用語「修飾ヌクレオチド」は、A、C、G及びUヌクレオチドの任意の天然又は非天然の異性体、並びに任意の天然又は天然のアナログ、例えば化学修飾又は置換残基を有するその代替又は修飾ヌクレオチド又は異性体、を指す。修飾ヌクレオチドは、塩基修飾及び/又は糖修飾を有することがある。修飾ヌクレオチドはまた、例えば、mRNA分子の5'-プライムのキャップに関して、リン酸基修飾を有することもある。修飾ヌクレオチドとしてはまた、ヌクレオチドの共有結合的な修飾によって、転写後に合成されるヌクレオチドも挙げられる。更に、非-修飾ヌクレオチド及び修飾ヌクレオチドに関する任意の適切な混合物が可能である。修飾ヌクレオチドに関する非-限定的な数の例を、文献(例えば、Cantara et al., Nucleic Acids Res, 2011, 39(Issue suppl_1):D195-D201; Helm and Alfonzo, Chem Biol, 2014, 21(2):174-185; Carell et al., Angew Chem Int Ed Engl, 2012, 51(29):7110-31)に見出すことができる、及びいくつかの好ましい修飾ヌクレオチドを、それぞれのヌクレオシド残基に基づいて、以下に例示する:
1-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリル・カルバモイルアデノシン、2-メチルアデノシン、2'-O-リボシルリン酸アデノシン、N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、N6-アセチルアデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、1,2'-O-ジメチルアデノシン、N6,2'-O-ジメチルアデノシン、2'-O-メチルアデノシン、N6,N6,2'-O-トリメチルアデノシン、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-メチルアデノシン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、2-メチルチオ-N6-トレオニル・カルバモイルアデノシン、N6-2-メチルチオ-N6-トレオニル・カルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、7-メチルアデノシン、2-メチルチオ-アデノシン、2-メトキシ-アデノシン、2'-アミノ-2'-デオキシアデノシン、2'-アジド-2'-デオキシアデノシン、2'-フルオロ-2'-デオキシアデノシン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデノシン、7-デアザ-8-アザ-アデノシン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン;2-チオシチジン、3-メチルシチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジン、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、リシジン、N4-アセチル-2'-O-メチルシチジン、5-ホルミル-2'-O-メチルシチジン、5,2'-O-ジメチルシチジン、2-O-メチルシチジン、N4,2'-O-ジメチルシチジン、N4,N4,2'-O-トリメチルシチジン、イソシチジン、偽シチジン、偽イソシチジン、2-チオ-シチジン、2'-メチル-2'-デオキシシチジン、2'-アミノ-2'-デオキシシチジン、2'-フルオロ-2'-デオキシシチジン、5-ヨードシチジン、5-ブロモシチジン、2'-アジド-2'-デオキシシチジン、2'-アミノ-2'-デオキシシチジン、2'-フルオロ-2'-デオキシシチジン、5-アザ-シチジン、3-メチル-シチジン、1-メチル-偽イソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-偽イソシチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-偽イソシチジン、4-チオ-l-メチル-偽イソシチジン、4-チオ-l-メチル-1-デアザ-偽イソシチジン、1-メチル-l-デアザ-偽イソシチジン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-偽イソシチジン、4-メトキシ-l-メチル-偽イソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン;1-メチルグアノシン、N2,7-ジメチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、2'-O-リボシルリン酸グアノシン、7-メチルグアノシン、ヒドロキシワイブトシン、7-アミノメチル-7-デアザグアノシン、7-シアノ-7-デアザグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、N2,7,2'-O-トリメチルグアノシン、N2,2'-O-ジメチルグアノシン、1,2'-O-ジメチルグアノシン、2'-O-メチルグアノシン、N2,N2,2'-O-トリメチルグアノシン、N2,N2J-トリメチルグアノシン、イソグアノシン、4-デメチルワイオシン、エポキシクエオシン、中間体ヒドロキシワイブトシン(undermodified hydroxywybutosine)、メチル化中間体ヒドロキシワイブトシン(methylated undermodified hydroxywybutosine)、イソワイオシン、ペルオキシワイブトシン(peroxywybutosine)、ガラクトシル-キューオシン、マンノシル-キューオシン、キューオシン、アーケオシン、ワイブトシン、メチルワイオシン、ワイオシン、7-アミノカルボキシプロピルデメチルワイオシン、7-アミノカルボキシプロピルワイオシン、7-アミノカルボキシプロピルワイオシンメチルエステル、7-デアザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチルグアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン、N1-メチルグアノシン、2'-アミノ-3'-デオキシグアノシン、2'-アジド-2'-デオキシグアノシン、2'-フルオロ-2'-デオキシグアノシン、2-チオウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン、3-メチルウリジン、4-チオウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-カルボキシメチルウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-タウリノメチルウリジン、5-カルバモイルメチルウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン・メチル・エステル、ジヒドロウリジン、5-メチルジヒドロウリジン、5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-2'-O-メチルウリジン・メチル・エステル、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオウリジン、3,2'-O-ジメチルウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2'-O-メチルウリジン、5-カルバモイルヒドロキシメチルウリジン、5-カルバモイルメチル-2'-O-メチルウリジン、5-カルバモイルメチル-2-チオウリジン、5-メトキシカルボニルメチル-2'-O-メチルウリジン、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2'-O-メチルウリジン、5,2'-O-ジメチルウリジン、2'-O-メチルウリジン、2'-O-メチル-2-チオルジン(2’-O-methyl-2-thiorudine)、2-チオ-2'-O-メチルウリジン、ウリジン5-オキシ酢酸、5-メトキシカルボニルメチルウリジン、ウリジン5-オキシ酢酸メチル・エステル、5-メトキシウリジン、5-アミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン、5-タウリノメチル-2-チオウリジン、偽ウリジン、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)偽ウリジン、1-メチル偽ウリジン、3-メチル偽ウリジン、2'-O-メチル偽ウリジン、5-ホルミルウリジン、5-アミノメチル-2-ゲラニルウリジン、5-タウリノメチルウリジン、5-ヨードウリジン、5-ブロモウリジン、2'-メチル-2'-デオキシウリジン、2'-アミノ-2'-デオキシウリジン、2'-アジド-2'-デオキシウリジン、2'-フルオロ-2'-デオキシウリジン、イノシン、1-メチルイノシン、1,2'-O-ジメチルイノシン、2'-O-メチルイノシン、5-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、4-チオ-偽ウリジン、2-チオ-偽ウリジン、5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキシメチル-偽ウリジン、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-偽ウリジン、1-タウリノメチル-偽ウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メチル-ウリジン、1-メチル-偽ウリジン、4-チオ-l-メチル-偽ウリジン、2-チオ-l-メチル-偽ウリジン、1-メチル-l-デアザ-偽ウリジン、2-チオ-1-メチル-l-デアザ-偽ウリジン、ジヒドロ偽ウリジン(dihydropseudouridine)、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロ偽ウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-偽ウリジン、4-メトキシ-2-チオ-偽ウリジン、1,2'-O-ジメチルアデノシン、1,2'-O-ジメチルグアノシン、1,2'-O-ジメチルイノシン、2,8-ジメチルアデノシン、2-メチルチオメチレンチオ-N6-イソペンテニル-アデノシン、2-ゲラニルチオウリジン、2-リシジン、2-メチルチオ環状N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、2-セレノウリジン、2-チオ-2'-O-メチルウリジン、2'-O-メチルアデノシン、2'-O-メチルシチジン、2'-O-メチルグアノシン、2'-O-メチルイノシン、2'-O-メチル偽ウリジン、2'-O-メチルウリジン、2'-O-メチルウリジン5-オキシ酢酸メチル・エステル、2'-O-リボシルアデノシンリン酸、2'-O-リボシルグアノシンリン酸、3,2'-O-ジメチルウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)-5,6-ジヒドロウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)偽ウリジン、5,2'-O-ジメチルシチジン、5,2'-O-ジメチルウリジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-2'-O-メチルウリジン・メチル・エステル、55-(イソペンテニルアミノメチル)-2'-O-メチルウリジン、5-アミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、5-アミノメチル-2-セレノウリジン、5-アミノメチルウリジン、5-カルバモイルメチル-2'-O-メチルウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-セレノウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチル-2'-O-メチルウリジン、5-シアノメチルウリジン、5-ホルミル-2'-O-メチルシチジン、5-メトキシカルボニルメチル-2'-O-メチルウリジン、5-メチルアミノメチル-2-ゲラニルチオウリジン、7-アミノカルボキシプロピル-デメチルワイオシン、7-メチルグアノシン、8-メチルアデノシン、N2,2'-O-ジメチルグアノシン、N2,7,2'-O-トリメチルグアノシン、N2,7-ジメチルグアノシン、N2,N2,2'-O-トリメチルグアノシン、N2,N2,7-トリメチルグアノシン、N2,N2,7-トリメチルグアノシン、N4,2'-O-ジメチルシチジン、N4,N4,2'-O-トリメチルシチジン、N4,N4-ジメチルシチジン、N4-アセチル-2'-O-メチルシチジン、N6,2'-O-ジメチルアデノシン、N6,N6,2'-O-トリメチルアデノシン、N6-ホルミルアデノシン、N6-ヒドロキシメチルアデノシン、アグマチジン、2-メチルチオ環状N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、グルタミル-キューオシン、任意のヌクレオチドに付加されたグアノシン、グアニル化5'末端、ヒドロキシ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン;最も好ましくは偽-ウリジン、N1-メチル-偽-ウリジン、2'-フルオロ-2'-デオキシシチジン、5-ヨードシチジン、5-メチルシチジン、2-チオウリジン、5-ヨードウリジン及び/又は5-メチル-ウリジン。
更に、用語「修飾ヌクレオチド」は、重水素などの同位体を含むヌクレオチドを含む。用語「同位体」は、同じ数の陽子を有するが、中性子の数が異なり、結果として質量数が異なる元素を指す。従って、例えば、水素の同位体は、重水素に限定されず、トリチウムも含む。更に、ポリリボヌクレオチドは、例えば、炭素、酸素、窒素及びリン等の他の元素の同位体を含有することもある。修飾ヌクレオチドは、重水素化される、又は水素若しくは酸素、炭素、窒素若しくはリンの別の同位体を含有する、ことも可能である。
前記ポリリボヌクレオチド中の修飾ヌクレオチド型の総数は、0、1、2、3、又は4であることがある。従って、いくつかの実施形態では、1つのヌクレオチド型の少なくとも1つのヌクレオチド、例えば、少なくとも1つのUヌクレオチド、は、修飾ヌクレオチドであることがある。いくつかの実施形態では、全部で2つのヌクレオチド型のうちの少なくとも1つのヌクレオチド、例えば、少なくとも1つのUヌクレオチド及び少なくとも1つのCヌクレオチド、は、修飾ヌクレオチドであることがある。いくつかの実施形態では、全部で3つのヌクレオチド型のうちの少なくとも1つのヌクレオチド、例えば、少なくとも1つのGヌクレオチド、少なくとも1つのUヌクレオチド、及び少なくとも1つのCヌクレオチド、は、修飾ヌクレオチドであることがある。いくつかの実施形態では、4つのヌクレオチド型全てのうちの少なくとも1つのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであることがある。全てのこれらの実施形態では、ヌクレオチド型当たり1つ以上のヌクレオチドは、修飾されることがある、ヌクレオチド型当たりの前記修飾ヌクレオチドの割合は、0%、2.5%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は100%である。
いくつかの実施形態では、精製されるべきmRNA分子に含まれる修飾ヌクレオチドの合計割合は、0%、2.5%、5%、7.5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は100%である。
好ましい実施形態では、前記mRNAは、修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとの組み合わせを含有するmRNAである。好ましくは、それはWO2011/012316に記載されているような修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドとの組み合わせを含有するmRNAである。そこに記載されているmRNAは、安定性が増加すること、及び免疫原生が減少することを示す、と報告されている。好ましい実施形態では、このような修飾mRNAにおいて、シチジン・ヌクレオチドの5%から50%、及びウリジン・ヌクレオチドの5%から50%が、修飾されている。アデノシン及びグアノシン含有ヌクレオチドは、修飾されていなくてもよい。アデノシン及びグアノシン・ヌクレオチドは、修飾されていなくても、部分的に修飾されていてもよく、好ましくは、修飾されていない形体で存在する。好ましくは、シチジン及びウリジン・ヌクレオチドの10%から35%が修飾されている、並びに特に好ましくは、修飾されたシチジン・ヌクレオチドの含有量は、7.5%から25%の範囲にある、及び修飾されたウリジン・ヌクレオチドの含有量は、7.5%から25%の範囲にある。実際、比較的低い含有量の修飾シチジン・ヌクレオチド及び修飾ウリジン・ヌクレオチド、例えば、それぞれ僅か10%、によって、所望の特性を達成することができることが見出された。修飾シチジン・ヌクレオチドは、5-メチルシチジン残基である、及び修飾ウリジン・ヌクレオチドは、2-チオウリジン残基であることが、特に好ましい。最も好ましくは、修飾シチジン・ヌクレオチドの含有量及び修飾ウリジン・ヌクレオチドの含有量は、それぞれ25%である。
前記の何れかのある特定の実施形態では、所与のヌクレオチドのアナログの割合は、インプット割合(例えば、開始in vitro転写反応などの開始反応におけるアナログの割合)を指す。前記の何れかのある特定の実施形態では、所与のヌクレオチドのアナログの割合は、アウトプット(例えば、合成又は転写された化合物における割合)を指す。両方の選択肢が等しく企図される。
前記mRNAを、当業者に既知の方法により、in vivoシステムで組み換え的に作製することができる。
或いは、前記修飾RNAを、好ましくは本発明のmRNA分子を、例えば、当業者に既知のin vitro転写システムを用いるin vitroシステムで、作製することがある。RNA、好ましくはmRNA、を作製することができるin vitro転写システムは、修飾されたmRNAを生成するために、修飾ヌクレオシド三リン酸と非修飾ヌクレオシド三リン酸とのインプット混合物を必要とする。
更に、前記修飾RNAを、好ましくはmRNA分子を、例えば、固相支持体及び標準技術を用いた自動ヌクレオチド配列合成機での従来の化学合成によって、又はそれぞれのDNA配列の化学合成及びそれに続くin vitro若しくはin vivo転写によって、化学的に合成することがある。
前記mRNAに含まれ、IFNλタンパク質をコードするコーディング領域(coding region)は、部分的に又は完全にコドン最適化された配列であることがある。コドン最適化とは、所与のアミノ酸について、ある種が優先的に使用するコドンが存在する場合のように、それぞれのポリリボヌクレオチドの翻訳効率を増加させることによって、タンパク質発現を最大化させるために適用する技術、のことを指す。コドン最適化したコーディング領域(coding region)の例は、配列番号(SEQ ID NO): 1、3及び5に示される、コーディング領域(coding region)である。
更に、前記ポリリボヌクレオチドは、作用持続時間を調節する、及び/又は延長するための、更なる修飾を含むことがある。前記ポリリボヌクレオチドはまた、m7GpppGキャップ、配列内リボソーム進入部位(internal ribosome entry site)(IRES)、及び/若しくは3'末端にポリAテール、並びに/又は翻訳を促進するための更なる配列、を含むことがある。
更に、本発明に従って使用されるポリリボヌクレオチドはまた、更なる機能領域、及び/又は3'若しくは5'ノン-コーディング領域(non-coding region)、を含むこともある。3'及び/又は5'ノン-コーディング領域(non-coding region)は、前記ポリリボヌクレオチドの安定化及び/又は調節に寄与する、コードされたタンパク質に天然に隣接する配列、又は人工配列であることがある。適した配列を、通常の実験によって同定し、検討することがある。更に、前記ポリリボヌクレオチドはまた、更なる機能的領域を有することがある、及び、例えば、タンパク質をコードする配列を含む所望のポリリボヌクレオチドの活性を、空間的に及び時間的にコントロールするために、即ち、例えば、特定の細胞若しくは細胞型、及び/又は発生段階若しくは特定の時間フレームに関して、調節エレメント及びマイクロ-RNAのターゲット配列と組み合わせることがある。
1つの実施形態では、前記mRNAは、5-'及び/又は3'-UTRも含む。特に好ましい実施形態では、前記UTR配列は、WO 2017/167910に記載されている5'-UTR配列である。更により好ましくは、前記mRNAは、そのコーディング領域(coding region)の開始コドンのすぐ上流に5'-UTR配列を含み、以下の配列を示す:
gggagaCGCCACC (配列番号(SEQ ID NO):7)。
更に好ましい実施形態では、前記mRNAはまた、3'-UTR、好ましくは配列5'-TTCG-3'の3'-UTR、も含む。
別の好ましい実施形態では、mRNAは、WO 2017/167910に記載されているようにDNA分子から転写される。より好ましくは、このようなDNA分子は、以下の要素を有する1本の鎖を含む:
(a) IFNλポリペプチドをコードするコーディング領域(coding region)、その5'末端に開始コドンを含む;並びに、
(b) 前記コーディング配列のすぐ上流に、gggagaCGCCACC(配列番号(SEQ ID NO):7)、及びこの配列の上流に、DNA-依存性RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター、好ましくは、T7 DNA-依存性RNAポリメラーゼによって認識される配列TaaTacgacTcacTaTa (配列番号(SEQ ID NO): 8)を有するプロモーター。
従って、そのような実施形態では、前記コーディング領域(coding region)の開始コドンの上流の配列は、TaaTacgacTcacTaTa gggagaCGCCACC (配列番号(SEQ ID NO):9)である
特に好ましい実施形態では、前記mRNAは、配列番号(SEQ ID NO):10から12の何れか1つに示されるように、DNA分子から転写される。配列番号(SEQ ID NO): 10は、IFNλ-1をコードするmRNA分子の転写のためのDNA分子を示す。配列番号(SEQ ID NO): 11は、IFNλ-2をコードするmRNA分子の転写のためのDNA分子を示す。配列番号(SEQ ID NO): 12は、IFNλ-3をコードするmRNA分子の転写のためのDNA分子を示す。
IFNλをコードするmRNAを、別のタイプのインターフェロン(好ましくは、タイプIインターフェロン又はタイプIIインターフェロン)をコードするmRNA、と組み合わせることがある。好ましい実施形態では、前記タイプIインターフェロンを、IFN-β、IFN-α1、IFN-α2、IFN-α8、IFN-α14、IFN-α17、IFN-α4、IFN-α5、IFN-α6、IFN-α7、IFN-α10、IFN-α16及びIFN-α21又はそれらの任意の組み合わせ、からなる群より選択する。特に好ましい実施形態では、タイプIインターフェロンは、IFN-α16又はIFN-βである。別の好ましい実施形態では、他のタイプのインターフェロンは、タイプIIインターフェロン、特にIFNγである。別のインターフェロンをコードするそのようなmRNAについては、IFNλをコードするmRNAについて上述した好ましい実施形態(例えば、可能な修飾、プロモーター配列、UTRなど)に関連して同じことが当てはまる。
IFN-α16をコードする例示的なRNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 16に示す。そのコードされたタンパク質を、配列番号(SEQ ID NO): 17に示す。
IFN-βをコードする例示的なRNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 18に示す。そのコードされたタンパク質を、配列番号(SEQ ID NO): 19に示す。
IFNγをコードする例示的なRNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 20 に示す。そのコードされたタンパク質を、配列番号(SEQ ID NO): 21に示す。
IFN-α16をコードするmRNAに転写され得る例示的なDNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 22に示す。
IFN-βをコードするmRNAに転写され得る例示的なDNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 23に示す。
IFNγをコードするmRNAに転写され得る例示的なDNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 24に示す。
IFN-α16をコードする例示的なmRNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 25に示す。
IFN-βをコードする例示的なmRNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 26に示す。
IFNγをコードする例示的なmRNA配列を、配列番号(SEQ ID NO): 27に示す。
本発明に従って投与されるmRNAは、医薬組成物の形態である。本発明によれば、用語「医薬組成物」は、対象に投与するための組成物に関する。例示的な対象としては、哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、及びモルモット)、又は霊長類(例えば、ゴリラ、チンパンジー、及びヒト)、が挙げられる。最も好ましい実施形態では、前記対象は、ヒトである。
一般的に、前記RNAは、前記医薬組成物中に有効量で含まれる。用語「有効量」とは、前記医薬組成物が投与される対象において、検出可能な治療反応を誘導するのに十分な量を指す。
前記医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体、即ち、化合物、材料、成分、及び/又は組成物、を含むことがある。これらは、良識的な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わず、合理的な利益/リスク比率に相応して、ヒト及び動物の組織との接触における使用に適している。従って、薬学的に許容可能な担体は、薬学的に活性な物質と一緒に製剤化される、投薬量、吸収、溶解性、又は薬物動態学的考察の観点から、薬学的に活性な物質の取り扱いを容易にするための、不活性な物質である。好ましい薬学的に許容可能な担体の例は、当技術分野で公知である、並びにリン酸緩衝生理食塩水溶液、バッファー、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、及び滅菌溶液、が挙げられる。特に、水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液、例えば、生理食塩水及び緩衝媒体など、が挙げられる。非-水性溶媒の例としては、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール、オリーブ油等の植物油類、及びオレイン酸エチル等の有機エステル類、が挙げられる。薬学的に許容可能な担体の更なる例としては、限定されるものではないが、生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液、クエン酸塩、リン酸塩、及び他の有機酸;塩形成対-イオン、例えば、ナトリウム及びカリウム;低分子量(>10アミノ酸残基)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、又はゼラチン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、ヒスチジン、グルタミン、リジン、アスパラギン、アルギニン、又はグリシン;糖質、例えば、グルコース、マンノース、又はデキストリン;単糖類;二糖類;他の糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール;キレート剤、例えば、EDTA;非-イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(商品名Tweenで市販されている)、プロピレン・グリコール、プルロニック類(Pluronics)又はポリエチレン・グリコール;メチオニン、アスコルビン酸及びトコフェロールなどの抗酸化剤;及び/又は保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;ヘキサメトニウム塩化物;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又は ベンジルアルコール;アルキル・パラベン類(例えばメチル又はプロピル・パラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール、が挙げられる。好ましい薬学的に許容可能な担体及びそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences、17版、1985、Mack Publishing Co.に、より詳細に記載されている。更に、保存剤、安定剤及び他の添加剤、例えば、抗菌剤(antimicrobials)、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス類、ナノシステム又はリポソーム類等、が存在することもある。
ウイルス-誘導性障害を治療する及び/又は予防するためのIFNλタンパク質をコードするmRNAの投与を、特に前記mRNAが意図するターゲット組織/ターゲット細胞に到達することを確実にするために、当業者に既知の手段及び方法によって達成することがある。可能な経路は、例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下及び呼吸器系への送達である。
ウイルス-誘導性障害が呼吸器障害である場合、呼吸器系への投与が好ましい。呼吸器系への送達の可能性としては、点滴及び吸入、が挙げられる。或いは、前記mRNAを肺に送達するために、肺に対する指向性を有する製剤を用いたi.v.投与も考えられる。
好ましい実施形態では、IFN-λポリペプチドをコードするmRNAを含む医薬組成物を、吸入によって、患者に投与する。
前記mRNAを、吸入に適した任意の形態で吸入することがある。好ましい実施形態では、前記mRNAは、エアロゾルの形態での吸入に適した形態で、前記医薬組成物中に存在する。患者の呼吸器系に前記mRNAを投与する特に好ましい方法は、噴霧によるものである。
好ましい実施形態では、前記吸入は、ボーラス吸入である。これは、短時間だけの吸入の間に、活性薬剤を含むエアロゾルが、吸入された空気と混合される、ことを意味する。吸入の開始時に、活性薬剤を含むエアロゾルが空気と混合される場合、前記活性薬剤は、吸入された空気の第1の部分と一緒に、肺のより深い部分に到達する。吸入の終了時に、活性薬剤の添加が停止されると、前記吸入の終了時に、肺の中央部に、即ち、気道に、活性薬剤は蒸着しない。ボーラス吸入を使用することによって、基礎にある疾患状態の必要性に応じて、前記活性薬剤の蒸着に関して、肺の別領域(例えば、肺の外縁又は中央領域)を、より良好にターゲット化することができる。
前記mRNAを、ターゲット細胞又はターゲット組織へのmRNAの送達を容易にする化合物と、及び/又はその安定性を高める化合物と、前記医薬組成物中で、有利に組み合わせることができる。この点に関する1つの可能性は、例えばPCT/EP2020/053774に記載されているような適当な物質と一緒に、前記RNAをナノ粒子へと形成させること、である。
ターゲット細胞又はターゲット組織に、前記RNAを送達するための、及び/又は導入するための、好ましい薬剤又は試薬の例は、ここでは、リポソーム・トランスフェクション試薬(liposomal transfection reagents (LTR’S))である。
ターゲット細胞中に又はターゲット組織中に、前記mRNAを送達するための、及び/又は導入するための、1つの特定の様式は、トランスフェクションである。従って、使用されるmRNAは、((ターゲット)細胞中に、若しくは組織中に)トランスフェクションされること、トランスフェクションを介して送達されること/投与されること、及び/又はトランスフェクションのために調製されること、が想定されることがある。mRNAをトランスフェクションするための手段及び方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Tavernier (前掲), Yamamoto (Eur J Pharm Biopharm. 71(3) (2009), 484-9) 及び Kormann (Nat Biotechnol. 29(2) (2011), 154-7)、に記載されている。トランスフェクションの特定の様式は、リポフェクション、磁気フェクション、磁気リポフェクション又はポリマー類との複合体形成、である。従って、使用されるmRNAは、リポフェクションのために調製されることがある、リポフェクションによってトランスフェクションされるように調製されることがある、リポフェクションを介して送達されることがある/導入されることがある、及び/又はリポフェクションを介して投与されることがある。
このように、前記医薬組成物は、少なくとも1種の脂質又はリポソーム・トランスフェクション試薬又はエンハンサー(LTR;リポソーム・トランスフェクション試薬)を(更に)含むことがある。使用されるmRNAは、前記LTRに含まれる、前記LTRと複合体化される、及び/又は前記LTRによって送達される、ことがある。特に、使用されるmRNAは、前記mRNA及び前記LTRを含む(それぞれの)リポフェクション複合体、に含まれることがある、及び/又は、によって送達されることがある。前記医薬組成物は、前記リポフェクション複合体を(更に)含むことがある。
LTRは当技術分野で公知であり、例えば、OzBiosciences、Marseille、Franceによって販売されている。例えば、そのようなLTRは、脂質類、又はリピドイド類、好ましくは、カチオン性脂質類又はカチオン性リピドイド類、例えば、PCT/EP2014/063756に開示されているようなリピドイド類(例えば、C12-(2-3-2))、EP2285772に開示されているような脂質類(例えば、Dogtor)、及びEP1003711に開示されているようなリポポリアミン類(例えば、DreamFectTM及びDreamFect GoldTM)など、であることがある。ある特定のLTRを、 以下からなる群より選択することがある
(i) C12-(2-3-2);
(ii) DreamFectTM、好ましくはDreamFect GoldTM(DFTM/DF-GoldTM; OzBiosciences、Marseille、France);
(iii) Dogtor (OzBiosciences、Marseille、France);及び、
(iv) リポフェクトアミン、例えば、リポフェクトアミン2000(インビトロジェン、カリフォルニア州、米国)。
原則として、Dogtorが好ましく、DreamFectTMがより好ましく、並びにDF-GoldTM及びC12-(2-3-2)が更により好ましいLTRである。
DogtorのようなLTRは、例えば、EP2285772に記載されている。DFTM又はDF-GoldTMのようなLTRは、例えば、EP1003711に記載されている。原則として、PCT/EP2014/063756に開示されているオリゴマー類、ポリマー類又はリピドイド類、EP2285772に開示されている特定のカチオン性脂質類、及びEP1003711に開示されている特定のリポポリアミン類、は好ましいLTRである。C12-(2-3-2)及びDF-GoldTMのようなLTRは、最も好ましい。
リポフェクション複合体の非-限定的な例は、DF-GoldTM/RNAリポプレックス類及びC12-(2-3-2)/RNAリポプレックス類、である。
C12-(2-3-2)は、式(V)に示される構造を有する特に好ましいLTRである(Jarzebinska et al., Angew Chem Int Ed Engl., 2016; 55(33):9591-5参照):
C12-(2-3-2)を、例えば、WO 2016/075154 A1, EP 3013964, 及び Jarzebinska et al. (Angew Chem Int Ed Engl., 2016;55(33):9591-5)、に記載されるように、好適に調製する。前記カチオン性リピドイドを、N1-(2-アミノエチル)-N3-(2-((3,4-ジメトキシベンジル)アミノ)エチル)プロパン-1,3-ジアミン(8.9g、1当量、28.67mmol)を、1,2-エポキシドデカン(42.27、8当量、229.4mmol)と混合することによって調製することがある、及び80℃で24時間、一定に振盪しながら混合した後、精製し、3,4-ジメトキシベンジル保護基を除去することがある。
C12-(2-3-2)の様々な異性体、例えば、ラセミ体、S-異性体、及び/又はR-異性体を使用することがある。好ましくは、C12-(2-3-2)を、純粋なR-異性体として使用し、これは、式(VI)に示される構造を有する。C12-(2-3-2)の純粋なR-異性体を得るために、1,2-エプキソイドデカンのR-異性体を合成に使用して、C12-(2-3-2)について上述したように調製することができる。
従って、好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、IFNλをコードするmRNAを含む、及び、式(V)に示される、好ましくは式(VI)に示されるような、構造を有するリピドイドを更に含む。
更に特に好ましいLTRは、式(VII)を有するカチオン性リピドイドであり、本出願では「dL_P」とも呼ばれ、これは、触媒としてホウ酸を使用して、N,N'-ビス(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミンとN-ドデシルアクリルアミドとの反応によって、合成することができる。前記反応のために、その混合物を、マイクロ波照射下の100℃で、撹拌することがある。
従って、更なる好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、IFNλをコードするmRNAを含み、式(VII)に示される構造を有するリピドイドを更に含む。
更に、前記医薬組成物は、以下に記載の配合に含まれる、式(V)、(VI)及び/又は(VII)、好ましくはdL_P及び/又はC12-(2-3-2)、より好ましくはdL_P及び/又はC12-(2-3-2)のR-異性体、を有するカチオン性リピドイドを含む。特に、ターゲット細胞又はターゲット組織の中に、前記RNAを送達するための、及び/又は導入するための、本出願に記載の薬剤及び試薬、並びに本出願に記載のLTRを、1種以上(例えば、2種、3種又は4種)の更なる脂質(例えば、コレステロール、DPPC、DOPE及び/又はPEG-脂質類[例えば、DMPE-PEG、DMG-PEG2000]など)、と組み合わせることがある。これらの更なる脂質類は、薬剤/試薬及びLTRの所望の機能をサポートすることがある(それぞれ、細胞又は組織中に、RNAを送達すること及び/又は導入することを、サポートする及び/又は増大させる、並びにトランスフェクション効率を改善する)、並びにそれぞれの「ヘルパー脂質類(helper lipids)」として機能することがある。そのような「ヘルパー脂質類」の特定の例は、コレステロール、DPPC、DOPE及び/又はPEG-脂質類(例えば、DMPE-PEG、DMG-PEG[例えば、DMG-PEG2000])である。更なる脂質類(例えば、「ヘルパー脂質類」)はまた、本出願に開示される複合体/粒子の一部であることがある。当業者は、本発明に従って複合体/粒子を容易に調製する立場に、容易になる。更なる脂質類(例えば、「ヘルパー脂質類」)の例も、当技術分野で公知である。当業者は、好ましい更なる脂質類(例えば、「ヘルパー脂質類」)、並びに薬剤類/試薬類/LTRsと更なる脂質類(例えば、「ヘルパー脂質類」)の比率を選択する立場になる。このような比率は、1-4:1-5、3-4:4-6、約4:約5、約4:約5.3の、薬剤類/試薬類/LTRs:更なる脂質(類)のモル比、であることがある(より狭い範囲が好ましい)。例えば、前記薬剤類/試薬類/LTRsを、DPPC、コレステロール、及びDMG-PEG2000のような3種の更なる脂質類と、それぞれ8 : 5.3 : 4.4 : 0.9、又は、より具体的には、それぞれ8 : 5.29 : 4.41 : 0.88、のモル比率で、組み合わせることがある。
好ましくは、dL_P及び/又はC12-(2-3-2)を、より好ましくはdL_P及び/又はC12-(2-3-2)のR-異性体を、上記のように生成する、及びリポイド粒子を製剤化するために、ヘルパー脂質類DPPC及びコレステロール並びにPEG-脂質DMG-PEG2000と共に、モル比8:5.29:4.41:0.88で、使用する。
C12-(2-3-2)のR-異性体(式VI)が、脂質類DPPC及びコレステロール並びにPEG-脂質DMG-PEG2000と、モル比8:5.29:4.41:0.88で製剤化している組成物は、本出願では「LF92」とも呼ばれる。前記dL_P (式VII)が、脂質類DPPC及びコレステロール並びにPEG-脂質DMG-PEG2000と、モル比8:5.29:4.41:0.88で製剤化している組成物は、本出願では「LF111」とも呼ばれる。
また、例えば、WO 2016/075154 A1、EP 3013964、及びZhang et al. (TERMIS, 2019, Tissue Engineering: Part A, Vol. 25, Numbers 1 及び 2)、にも記載されるように、dL_P及び/又はC12-(2-3-2)を非ウイルスベクターとして使用し、リピドイドの正のアミノ基とmRNA分子の負のリン酸基との間の静電的な相互作用に基づいて、mRNA分子を有する安定なリポプレックスを形成させることができる(Anderson, Human Gene Therapy 14, 2003, 191-202)。リポプレックス構造を安定化し、漏れを低減するために、dL_P及び/又はC12-(2-3-2)、より好ましくはdL_P及び/又はC12-(2-3-2)のR-異性体、を、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)及びコレステロールという2種のヘルパー脂質と一緒に供給することがある(Anderson, Drug Delivery 11, 2004, 33-39; Liang, Journal of Colliod and Interface Science 278, 2004, 53-62)。最後に、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレン・グリコール(DMG-PEG)2kD(DMG-PEG2000)を、脂質混合物に添加して、PEG化リポソームを得る。PEG化は、水溶性を増加させ、酵素分解から保護し、並びに免疫原性反応及び抗原性反応を制限することによって、リポソーム製剤の物理-化学的な特性を改善する、ことは既によく知られている(Milla、Current Drug Metabolism 13、2012、105-119)。エタン脂質混合物全体の最終的なN/P比は、mRNA分子の1つのリン酸基に対して、dL_P及び/又はC12-(2-3-2) のアミノ基/ DPPC /コレステロール/ DMG-PEG2000のモル比として、それぞれ8 : 5.29 : 4.41 : 0.88である。
従って、好ましい実施形態では、本医薬組成物は、IFNλをコードするmRNAを含む、並びにDPPC、コレステロール、及びDMG-PEG2000と共に製剤化した、dL_P及び/又はC12-(2-3-2)、好ましくはdL_P及び/又はC12-(2-3-2)のR-異性体、を更に含む。
更に、特に好ましい実施形態では、本医薬組成物は、IFNλをコードするmRNAを含む、並びに、エタン脂質混合物全体の最終的なN/P比が、mRNA分子の1つのリン酸基に対して、dL_P及び/又はC12-(2-3-2) のアミノ基/ DPPC /コレステロール/ DMG-PEG2000のモル比として、それぞれ8 : 5.29 : 4.41 : 0.88であるように、DPPC、コレステロール、及びDMG-PEG2000と共に製剤化した、dL_P及び/又はC12-(2-3-2)、好ましくはdL_P及び/又はC12-(2-3-2)のR-異性体、を更に含む。
上記のようにDPPC、コレステロール、及びDMG-PEG2000と共に製剤化したC12-(2-3-2)のR-異性体は、LF92製剤とも称される。
従って、IFNλをコードするmRNAを含む本医薬組成物の特に好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、LF92製剤を更に含む。
上記のように、DPPC、コレステロール、及びDMG-PEG2000と共に製剤化したdL_Pは、LF111製剤とも称される。
従って、IFNλをコードするmRNAを含む本医薬組成物の別の好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、LF111製剤を更に含む。
前記医薬組成物をヒト患者に吸入により投与する場合、前記患者が吸入すべき1用量は、好ましくは200 μgと15 mgとの間の、IFN-λポリペプチドをコードするmRNA、を含有する。また、添付の実施例に示すように、肺内への吸入を介して投与した場合、IFNλの下流ターゲットの誘導(これは、抗ウイルス活性の指標である)が、極めて低いレベルのIFNλ mRNAによって、すでに達成できることが、マウスの実験で示されている。肺の重量に基づいてヒト患者に外挿する場合、IFNλ mRNAの有効量は、用量あたり200 μgから15 mgの範囲内、好ましくは用量あたり250 μgと5 mgとの間、更に好ましくは用量あたり250 μgと1 mgとの間、更により好ましくは用量あたり250 μgと750 μgとの間、であることが期待される。
対象に投与する用量の回数は、実際の目的に依存する。急性ウイルス感染症の場合、前記投与を、好ましくは下記で行う:
- 1用量1回(例えば、軽度の感染症の場合);又は、
- 2、4、6、8、10若しくは14日間、2日ごとに1回の用量;又は、
- 2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10日間、1日1回の用量;又は、
- 2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10日間、1日2回の用量。
ウイルス感染を予防する、又は喘息又はCOPDなどの肺疾患がウイルス-誘導性に増悪することを予防する、場合には、前記投与を、好ましくは下記で行う:
- 好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間、好ましくは1、2、3、4、5、6又は7ヶ月間、1週あたり1回の用量。
本発明はまた、配列番号(SEQ ID Nos):13から15、25、26又は27の何れか一つに示される配列を含む、mRNA分子にも関する。
配列番号(SEQ ID Nos):13から15、25、26及び27は、それぞれ、IFNλ-1、-2及び-3、IFN α16、IFNβ並びにIFNγに対して、コドンを最適化したコーディング領域(coding region)を含む。更に、これらのmRNAのそれぞれは、開始コドンの直接的な上流配列gggagaCGCCACC (配列番号(SEQ ID NO):7)、及び3'-UTRとして配列5'-TTCG-3'、を含む。
好ましくは、そのようなmRNAは、例えば、約200ヌクレオチドのポリ-Aテールを更に含む。
本発明はまた、配列番号(SEQ ID NO):10から12又は22から24の何れか1つに示した配列を含む、DNA分子にも関する。配列番号(SEQ ID NO): 10は、IFNλ-1をコードするmRNA分子を転写するためのDNA分子を示す。配列番号(SEQ ID NO): 11は、IFNλ-2をコードするmRNA分子を転写するためのDNA分子を示す。配列番号(SEQ ID NO): 12は、IFNλ-3をコードするmRNA分子を転写するためのDNA分子を示す。配列番号(SEQ ID NO): 22は、IFN α16をコードするmRNA分子を転写するためのDNA分子を示す。配列番号(SEQ ID NO): 23は、IFNβをコードするmRNA分子を転写するためのDNA分子を示す。配列番号(SEQ ID NO): 24は、IFNγをコードするmRNA分子を転写するためのDNA分子を示す。
図1は、rec. hIL-29で処置した細胞の上清におけるIFNλ1濃度を示す。x軸に示すように、rec. hIL-29の種々の用量で処置したA-549細胞の上清を収集し、-80℃で保存した。解析当日、hIL-29 ELISAを、キットのプロトコルに従って、実施した。TMBを15分間インキュベートした。GraphPad Prism V.8を用いた解析には、650nm及び450nmのΔO.Dを用いた。 図2は、IFNλ mRNAでトランスフェクションした細胞の上清におけるIFNλ1の濃度を示す。x軸に示すように、hIL-29をコードするmRNAの種々の用量でトランスフェクションしたA-549細胞の上清を収集し、-80℃で保存した。解析当日、hIL-29 ELISAを、キット・プロトコルに従って、実施した。TMBを15分間インキュベートした。GraphPad Prism V.8を用いた解析には、450nm及び650nmのΔO.Dを用いた。 図3は、高用量で、処置した後の、又はトランスフェクションした後の、ターゲット活性化を示す。A549細胞を、15 ng/ウェルのIFN-ラムダ mRNAでトランスフェクションした、及び2.9 ng/ウェルのヒトrec. hIL-29で刺激した。コントロールとして、A549を、15 ng/ウェルのBMP2-StopをコードするmRNAでトランスフェクションした。様々な時点(6、10、24、48、72及び120時間)で、リアル-タイムPCR解析のための細胞を収集し、溶解する。 図4は、中用量で、処置した後の、又はトランスフェクションした後の、ターゲット活性化を示す。A549細胞を、4 ng/ウェルのIFN-ラムダ mRNAでトランスフェクションした、及び0.6 ng/ウェルのヒトrec. hIL-29で刺激した。コントロールとして、A549を、4 ng/ウェルのBMP2-StopをコードするmRNAでトランスフェクションした。様々な時点(6、10、24、48、72及び120時間)で、リアル-タイムPCR解析のための細胞を収集し、溶解する。 図5は、低用量で、処置した後の、又はトランスフェクションした後の、ターゲット活性化を示す。A549細胞を、2 ng/ウェルのIFN-ラムダ mRNAでトランスフェクションした、及び0.3 ng/ウェルのヒトrec. hIL-29で刺激した。コントロールとして、A549を、2 ng/ウェルのBMP2-StopをコードするmRNAでトランスフェクションした。様々な時点(6、10、24、48、72及び120時間)で、リアル-タイムPCR解析のための細胞を収集し、溶解した。 図6は、極めて低用量で、処置した後の、又はトランスフェクションした後の、ターゲット活性化を示す。A549細胞を、1 ng/ウェルのIFN-ラムダ mRNAでトランスフェクションした、及び0.1 ng/ウェルのヒトrec. hIL-29で刺激した。コントロールとして、A549を、1 ng/ウェルのBMP2-StopをコードするmRNAでトランスフェクションした。様々な時点(6、10、24、48、72及び120時間)で、リアル-タイムPCR解析のための細胞を収集し、溶解した。 図7は、IFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15について、qPCRによって評価した場合での、組み換えIFNλ1で、又はIFNλ1をコードするmRNAで処置した6時間後の下流ターゲットの活性化を示す。下流ターゲットの活性化を、測定したIFNλ1レベルに対してプロットする。 図8は、以下を示す: (a) 様々な用量でmRNAをトランスフェクションした48時間後の、A-549及びA-549-ACE2細胞における、IFNλ1の下流シグナル伝達。同様の誘導パターンが、両方の細胞株について観察される。 (b) 組み換えタンパク質を用いたA-549及びA-549-ACE2細胞における、48時間後のIFNλ1の下流シグナル伝達。この場合では、A-549細胞で、より高い誘導レベルが観察される。 (c) A-549-ACE2細胞におけるIFNλ1発現:IFNλ1をコードするmRNAで、A-549-ACE2細胞をトランスフェクションすると、48時間後に、IFNλ1が用量依存的に生成された。 図9は、浸漬した細胞にトランスフェクションした後の、トランスフェクションした細胞の上清における、IFNλ1発現を示す。HEK293、A-549及びFreeStyle 293-F細胞の間で、同等の発現レベルが観察される。16HBE14o-細胞では、より低いレベルが観察された;未処置のウェルは、ELISAでバックグラウンドを示した。ピークの発現はトランスフェクション後の24時間で観察された、及びレベルはトランスフェクション後少なくとも48時間まで一定のままであった。16HBE14o-細胞を除く全ての細胞株において、4 ng/ウェル未満のトランスフェクション用量は、トランスフェクション後6時間で、0.3 ng/mLという有効な抗ウイルスIFNλ濃度に達するのに充分であった。 図10は、以下を示す: (a) IFN-ラムダmRNAでのトランスフェクション後の、浸漬したA-549細胞における、IFNλ1の下流シグナル伝達。示した値は、UT(トランスフェクションされていない)に対して正規化されている。全てのターゲット遺伝子の上昇が観察された、及びピークの発現は、トランスフェクション後24時間であった。低いmRNAの用量であっても、非常に強いターゲット誘導が観察された。 (b) IFN-ラムダmRNAでのトランスフェクション後の、浸漬した16HBE14o-細胞における、IFNλ1の下流シグナル伝達。示した値は、UT(トランスフェクションされていない)に対して正規化されている。全てのターゲット遺伝子の上昇が観察された(OAS3についてはより低い)、及びピークの発現は、トランスフェクション後24時間であった。全体として、A-549細胞と比較して、弱いターゲット誘導が、観察された。 図11は、以下を示す: (a) IFNλ1 mRNAでのトランスフェクション後の、ALI培養物におけるIFNλ1を検出するためのELISAの結果。トランスフェクション24時間後に、値を測定した。IFNλ1の総量を、頂端側区画及び基底外側区画で測定した。IFNλ1を以下の通りに検出した: A-549>16HBE14o-> Epithelixヒト初代wt ALI。Epithelix ALIにおける最大の基礎収量は、A-549 ALIのそれに比べて、500倍低い。 (b) IFNλ1 mRNAでのトランスフェクション24時間後の、ALI培養物における下流ターゲット活性化の測定。最も高い下流ターゲット活性化は、A-549 ALI培養物において観察された。示した値は、UT(トランスフェクションされていない)に対して正規化されている。全ての細胞株で同じ活性化パターンが観察された:ISG15> IFIT1≧IFIT3> OAS3。 (c) A-549のALIと比較した、未処置の16HBE及びEpithelix初代ヒトのALIにおける、下流ターゲットの内因性レベル。16HBE14o-及びEpithelixヒト初代のALIは、A-549ALIよりも、下流ターゲットのベースの内因性レベルが、最大40倍高い。 図12は、以下を示す: (a) 処置5時間後及び24時間後の処置済みマウスの肺ホモジネートにおける、IFNλ1 mRNAの定量化。IFNλ1 mRNAは、投与後5時間で、用量依存的に検出され、投与後24時間では、非常に低レベルである。 (b) 投与後5時間及び24時間での、肺ホモジネートにおける、及びBALFにおける、IFNλ1を検出するELISAアッセイの結果。IFNλ1を、投与後5時間で、肺ホモジネート及びBALFにおいて、測定することが可能であった。投与後24時間では、低レベルのIFNλ1のみを、測定することが可能であった。 (c) 肺ホモジネートにおけるIFNλ1下流の活性化。マウスにおけるヒトIFNλ1 mRNAの機能性を、実証する。示した値は、UT(未処置)マウスに対して、正規化されている。ターゲット遺伝子は、投与後5時間で、高く誘導され、投与後24時間で、強さはより減弱するものの、依然としてアップレギュレーションしている。OAS3は、他のターゲット遺伝子と比較してあまり強く誘導されないが、誘導は5時間よりも24時間でより高い。 図13は、hIFNλ1 mRNAトランスフェクションと組み換えタンパク質との対比を示す(実施例8も参照されたい)。 図14は、トランスフェクションされたA-549細胞の上清からの、hIFNλ ELISA、を示す:LF92 vs. 市販のトランスフェクション試薬 (実施例9も参照されたい)。 図15は、LF92製剤化したmRNAによるターゲット遺伝子の誘導を示す(実施例10も参照されたい)。 図16は、LF92製剤化したhIFNλ1をコードするmRNAのin vitro忍容性を示す(実施例11も参照されたい)。 図17は、mRNA翻訳と(a)IFIT1(b)OAS3(c)ISG15及び(d)MX1のターゲット遺伝子誘導の相関を示す(実施例12も参照されたい)。 図18は、qPCRによって評価した(a)SARS-CoV-2及び(b) IAVの、in vitroでの抑制を示す(実施例13も参照されたい)。 図19は、肺ホモジネートにおける、hIFNλ1 mRNAの検出を示す(実施例14も参照されたい)。 図20は、肺ホモジネートにおける、hIFNλ1タンパク質の検出を示す(実施例15も参照されたい)。 図21は、hIFNλ1 mRNA投与後の肺組織における、(a)IFIT1(b)IFIT3(c)ISG15及び(d)OAS3というターゲット遺伝子の活性化を示す(実施例16も参照されたい)。 図22は、hIFNλ1 mRNAの単回経鼻投与後の、血漿中のケモカインの検出を示す(実施例17も参照されたい)。 図23は、hIFNλ1 mRNAで処置した際の、肺組織における(a)IFIT1(b)IFIT3(c)ISG15及び(d)OAS3というターゲット遺伝子の活性化を示す(実施例18も参照されたい)。 図24は、マウスにおける鼻内投与後の肺内に蒸着した、hIFNλ1 mRNAの検出を示す(実施例19も参照されたい)。 図25は、hIFNλ1 mRNAの反復投与中の、体重を示す(実施例20も参照されたい)。 図26は、フェレットの肺ホモジネートにおける、hIFNλ1 mRNAの定量化を示す(実施例21も参照されたい)。 図27は、フェレットの肺ホモジネートにおける、ターゲット遺伝子の活性化を示す(実施例22も参照されたい)。 図28は、フェレットの肺ホモジネートにおける、IFN mRNA、ターゲット遺伝子の活性化、及びサイトカイン誘導、の定量化を示す(実施例23も参照されたい)。 図29は、IFNをコードするmRNAにより、IAVの複製が低下することを示す(実施例24も参照されたい)。 図30は、hIFNλ1をコードするmRNAにより、SARS-CoV2の複製が低下することを示す(実施例25も参照されたい)。
本発明の他の態様及び利点を、以下の実施例(これは、限定のためではなく、説明のために行われる)において記載する。本出願において引用される各々の刊行物、特許、特許出願又は他の書類は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
実施例
以下に記載する実施例1及び2は、A-549細胞における、組み換えタンパク質を、又はIFNλ1をコードするmRNAを使って、IFNλ1処置による下流ターゲット活性化を評価することを目的とした。この目的のために、A549細胞を、組み換えIFNλ1と共に6時間インキュベートするか、又はIFNλ1をコードするmRNAでトランスフェクションし、処置後6、10、24、48、72、120及び168時間に、qPCRを介して、IFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15について、下流の活性化を解析した。更に、IFNλ1レベルを、全てのサンプル採取時点での細胞上清において、hIL-29 ELISAによって測定した。
A-549細胞を組み換えIFNλ1で処置すると、下流ターゲットの活性化が、処置後6時間で観察されたが、培地交換後のより後の時点では、急速に低下した。IFNλ1-ELISAによれば、約30%の添加タンパク質が、処置後6時間の上清中に回収されることが明らかになった。IFNλ1をコードするmRNAを用いてA-549細胞をトランスフェクションし、トランスフェクション6時間後に、培地を交換すると、IFNλ1を、これらの細胞の上清において、48時間をピークとして、最大168時間まで、検出することが可能であった。下流ターゲットは、トランスフェクションしたmRNAが低用量でも、高度に誘導され、mRNAトランスフェクション後120時間まで、アップレギュレーションしたままであった。
下の略語及び定義を、添付の実施例において使用する:
Figure 2023548498000005
添付の実施例では、以下の材料及び方法を使用した。
1.材料
Figure 2023548498000006
Figure 2023548498000007
Figure 2023548498000008
2.方法
2.1 細胞培養
A-549細胞を、10%の加熱非働化したFBSと1% P/Sを添加したMEM中、37°C、5% CO2加湿雰囲気下で、培養した。トランスフェクションの24時間前に、20.000個の細胞/ウェルを、96-ウェル・プレートに、全量100μLとして、播種した。
2.2 In vitro転写
in vitro転写のための鋳型を作製するために、環状プラスミドを制限酵素Bsp119Iで消化して線状化し、更に、クロロホルム・エタノール沈殿によって精製した。
mRNAを、T7 RNAポリメラーゼ、無機ピロホスファターゼ、及びRNase阻害剤を含有する標準的なin vitro転写混合物(示した、修飾済み三リン酸ヌクレオチドを含む)を用いて、産生した。共-転写キャッピングを、ARCAキャップ・アナログを添加することによって、行った。化学修飾したRNAをin vitro転写するために、それぞれ、25%のシチジン-5'-三リン酸を5-メチルシチジン-5'-三リン酸で置き換えた、及び25%のウリジン-5'-三リン酸を2-チオウリジン-5'-三リン酸(Jena Biosciences)で置き換えた(例えば、配列番号(SEQ ID NO): 1参照)。残留する鋳型DNAを、DNaseIを用いて消化した。続いて、mRNAを、独自の接線流ろ過工程(proprietary tangential flow filtration process)によって精製した(Verweis auf unser Patent)。
残存するキャップされていないmRNAの脱リン酸化を、ホスファターゼ(Quick cip)を用いて行い、その後、独自の接線流ろ過工程(proprietary tangential flow filtration process)によって精製した(Verweis auf unser Patent)。
mRNAを、ポリ(A)ポリメラーゼを使用することによって更にポリアデニル化した、及び独自の接線流ろ過工程(proprietary tangential flow filtration process)によって、再び精製した(Verweis auf unser Patent)。最後に、0.22 μm膜を用いて、mRNAを濾過した。ポリ(A)テールの長さ、分解していないこと、キャップの比率、修飾ヌクレオチドの取り込み、等の重要な品質特性を、mRNAに関するその後の品質管理において、測定した。
2.3 トランスフェクション
IFNλ1をコードするmRNA(配列番号(SEQ ID NO):13) (これを、上記2.2の項に記載されているようにして、生成した)を、リポフェクトアミン登録商標MessengerMAXTMを用いて、RNA対リポフェクトアミンの比率1:1.5(w/v)で、トランスフェクションした。リポプレックス形成のために、mRNAをdH2Oで希釈した。リポフェクトアミン登録商標MessengerMAXTMを無血清培地中で希釈し、ピペッティングによって混合した。室温で10分間インキュベートした後、そのRNA溶液に、リポフェクトアミン登録商標MessengerMAXTM溶液を添加した、混合した、及び室温で更に5分間インキュベートした。500から0.98ng のmRNA/ウェルの範囲に渡って、用量のタイトレーションを行った。その後、15.6、3.9、1.95及び0.98 ng のmRNA/ウェルについて、25 μLのリポプレックス溶液を、それぞれのウェルに、添加した。
2.4 回収
トランスフェクション後6、10、24、48、72、120及び168時間に、上清を採取し、新しい96-ウェル保存プレートにて、ELISAまでの間、-80℃で保存した。ELISAの前に、前記上清を、500 × gで、2分間、遠心分離して、細胞の破片を沈殿させた。
qPCRのために、前記上清を採取した後、細胞をウェル当たり150 μLのD-PBSで洗浄し、-80℃で凍結した。
2.5 IFNλ1 ELISA
IFNλ ELISAのプロトコルを、TMBインキュベーションを15分に短縮することを除いて、キットのプロトコルに従って確立されたように、行った。
実施例1:上清におけるIFNλ1の発現
mRNAでトランスフェクションした、又はrec. hIL-29で処置した細胞の上清におけるIFNλ1の存在を、hIL-29 ELISAによって、測定した。組み換えhIL-29による処置を、2.9、0.6、0.3及び0.1 ng/ウェルの用量で行った。前記用量は、前記上清において、23、5、2.5及び1 ng/mLに相当した。処置6時間後、0.3と8 ng/mLとの間の濃度を、ELISAによって、上清中で定量化した。添加したタンパク質の70%は、細胞によって消費されたか、又は分解された(図1を参照)。
IFNλ1をコードするmRNAをトランスフェクションした細胞の上清では、それぞれの用量について、48時間まで、IFNλ1の濃度が増加することを測定することが可能であった。48時間から168時間まで、IFNλ1は、僅かな低下のみで、依然として検出可能であった(図2を参照)。
実施例2:下流ターゲットの活性化
組み換えIFNλ1又はIFNλ1をコードするmRNAでの処置後の下流ターゲットの活性化を、IFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15についてのqPCRによって、評価した。
全ての用量のmRNAトランスフェクションについて、IFIT1、IFIT3、及びISG15の高い誘導が観察された。ターゲット及び用量に応じて、24と48時間の間に、誘導はピークに達した。mRNAトランスフェクションを行うと、ターゲット遺伝子は、120時間までアップレギュレートしたままであった。(図3から6までを参照)。OAS3については、全てのトランスフェクション用量で、120時間で、誘導はピークに達した。
組み換えタンパク質による処置は、処置後6時間で、mRNAトランスフェクションに匹敵するターゲットの誘導を示した。培地交換をして、前記タンパク質を、もはや細胞が利用できなくなった後の全ての後の時点で、下流の活性化は急速に低下した(図3から6までを参照)。
組み換えIFNλ1での、又はIFNλ1をコードするmRNAでの処置後6時間の下流ターゲットの活性化を、IFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15についてのqPCRによって、評価した。下流ターゲットの活性化を、測定されたIFNλ1レベルに対してプロットする。IFIT1、IFIT3及びISG15の活性化は、組み換えIFNλ1タンパク質とのインキュベーションと比較して、IFNλ1 mRNAのトランスフェクションによって提供された場合、低いIFNλ1レベルで、より高かった(図7を参照されたい)。
実施例1及び2のまとめ
IFNλ1をコードするmRNAを用いてA-549細胞をトランスフェクションし、トランスフェクション後6時間で培地を交換すると、IFNλ1は、これらの細胞の上清において、48時間でピークを示し、168時間まで検出可能であった。下流ターゲットは、低用量のmRNAトランスフェクションでも高度に誘導され、mRNAトランスフェクション後120時間までアップレギュレーションをしたままであった。
組み換えhIL-29での処置に関しては、下流ターゲットの活性化が処置後6時間で観察され、培地交換後に急速に低下した。
実施例に記載の例については、以下の材料及び方法を用いた:
1 方法
1.1 In Vitro
1.1.1 細胞培養
1.1.1.1 浸漬細胞
HEK293、A-549及び16HBE14o-細胞を、10%の加熱非働化したFBSと1% P/Sを添加したMEM中、37°C、5% CO2加湿雰囲気下で、培養した。16HBE14o-細胞については、コーティングしたフラスコを使用した。FreeStyle 293-F細胞を、FreeStyle F17発現培地を用いて、125mL通気三角フラスコ(Erlenmeyer flask)中で、懸濁液として、培養した。トランスフェクションの24時間前に、細胞を、96-ウェル・プレートに、100 μLの総体積で、以下の密度で播種した:
HEK293: 25.000 c/ウェル
FreeStyle 293-F: 25.000 c/ウェル
16HBE14o-: 25.000 c/ウェル
A-549: 20.000 c/ウェル。
1.1.1.2 ALI (気-液-界面(Air-Liquid-Interface))培養
16HBE14o-及びA-549の ALI培養について、6×104個の浸漬した細胞(80-90%のコンフルエンシ―(confluency))を、コーティングした24-ウェル・インサートに播種した。16HBE14o- ALIについては、インサートを、20 mM酢酸中に希釈した50 μg/mLのタイプIコラーゲンでコーティングした。細胞を、250μLの16HBE14o-又はA-549培地頂端に播種した。16HBE14o-については500 μL培地、及びA-549については700 μL培地を、基底外側に添加した。細胞を、72時間インキュベートして、頂端側及び基底外側に培地がある膜に、付着させた。トランスフェクションの24時間前に、基底培地を新しい培地で置き換え、頂端側の播種培地を注意深く吸引した(エア-リフト(air-lift))。前記細胞を、頂端側に液が無いALI培養として維持した。
MucilAirTMインサートをEpithelixで購入し、ALI(Air-Liquid-Interface)培養として、700 μLのMucilAirTM培養培地中、37℃、5% CO2加湿雰囲気下で、培養した。トランスフェクション前に、前記細胞を、到着時に2-3日間静置した。培養を維持するために、培地を2-3日毎に交換した。
1.1.2 トランスフェクション
1.1.2.1 浸漬培養
リポフェクトアミン(登録商標)MessengerMAXTMを用いて、1:1.5(w/v)というRNA対リポフェクトアミンの比率で、mRNAをトランスフェクションした。500から0.98 ng のmRNA/ウェルの範囲で、用量のタイトレーションを行った。リポプレックス形成のために、mRNAをdH2O中で希釈し、リポフェクトアミン(登録商標)MessengerMAXTMを無血清培地中で希釈し、ピペッティングによって混合した。室温で10分間のリポフェクトアミン/MMaxインキュベーション後、そのRNA溶液を、前記リポフェクトアミン(登録商標)MessengerMAXTM溶液に添加し、混合し、室温で更に5分間インキュベートした。その後、所望の濃度の25 μLのリポプレックス溶液を、それぞれのウェルに添加する。
1.1.2.2 ALI培養
Epithelix初代ヒトALIにトランスフェクションする前に、粘液洗浄を実施した。200 μLのPBS(w/o Mg/Ca)を頂端側に加え、27℃で20分間インキュベートした。頂端洗浄の総時間は30分を超えてはならない。前記頂端の表面から粘液を分離するために、P200ピペットを用いて、頂端の液体からの100 μLを用いて、3回の出し入れ運動を行った。ALI培養物の頂端表面からのPBSを、上皮を損傷することなく、穏やかな吸引によって除去した。微量のPBSを除去するために、200 μLのWFIを用いたWFI洗浄を行った。16HBE14o-及びA-549 ALIを、WFIのみを用いて洗浄した。
その後、前記細胞を、インサート当たり、0.1、0.3、1、3及び6 μgの、LNP中のmRNAで、トランスフェクションした。製剤を室温で解凍し、更に使用するまで氷上に置いた。詳細な計算を表1に示す。
Figure 2023548498000009
トランスフェクション6時間後、LNPを吸引した。
1.1.3 回収
1.1.3.1 浸漬培養
トランスフェクション後の各時点で、細胞の上清を採取し、新しい96-ウェル保存プレートに、ELISAを実施するまでの間、-80℃で保存した。ELISAの前に、前記上清を500 × gで、2分間、遠心分離して、細胞の破片を沈殿させた。
qPCRのために、前記上清を採取した後、浸漬した細胞をウェル当たり150 μLのD-PBSで洗浄し、細胞ペレットを-80℃で凍結した。
1.1.3.2 ALI培養
トランスフェクション後24時間に、前記インサートの頂端側を、200 μLのPBSを用いて洗浄し、これをピペットで3回上下させた。洗浄溶液を、96-ウェル保存プレートに集めた。また、200μLの基底培地を保存プレートに集めた。サンプルを、ELISAを実施するまでの間、-80℃で保存した。
qPCRのために、PBS洗浄を行うこと無く、培地を前記インサートから完全に除去した。RNease Mini Kit (キアゲン、74104)の175 μL RLTバッファーを、DTT(40 μL/mL)を補足添加して、前記インサートに添加した。ミニ細胞スクレーパを用いて、前記細胞を、前記インサートから剥がした。そのRLTバッファーをQIAshredderカラムに移した。全ての細胞を確実に移すために、前記インサートを、別の175μLのRLTバッファーで洗浄した。その細胞溶解を完了するために、前記カラムを、最高速度で2.5分間遠心分離した。細胞溶解物を、-80℃で凍結するか、又は直ちにRNAを単離するために使用することがある。
1.1.4 IFNλ1のELISA
IFNλのELISAを、TMBを30分間ではなく10分間インキュベートしたことを除いて、キットの指示書(IL-29 ヒトELISAキット、Abcam、ab100568)に従って、行った。
1.1.5 RNAの単離
1.1.5.1 浸漬細胞
浸漬細胞については、SingleShotTM細胞溶解キット(BioRad、Art.Nr.: 1725080)を用いて、RNA単離を行った。
SingleShotTM細胞溶解バッファーの調製を、表2に従って行った。調製を、常に新しく、氷上で行った。前記溶解バッファーを十分に混合し、遠心分離し、2時間内に使用した。
Figure 2023548498000010
RNA単離のための50 μLの溶解バッファーを、凍結サンプルにウェルごとに加え、室温で10分間、撹拌せずにインキュベートした。サンプルを、20分内に処理した。続いて、その細胞溶解物を、PCRプレートに移した。タンパク質及びDNAを、以下の条件であるプログラム「BioDNA」を用いて消化した(表3参照):細胞溶解のためのサーマル・サイクラー・プロトコル
Figure 2023548498000011
前記細胞溶解物は、氷上で4時間まで、-20℃で2ヶ月まで、又は-80℃で12ヶ月まで、保存することができる。
1.1.5.2 ALI培養
RNeasyミニ・キット(Qiagen、74104)を、製造業者のプロトコルに従って用いて、RNAを単離した。30 μLのRNAse不含水を用いて、溶出を行った。
1.1.6 cDNA合成
1.1.6.1 浸漬細胞用
iScriptTMSelect cDNA Synthesis Kit(BioRad、Art.Nr.: 1708897)を使用した。細胞溶解物を含むプレートを氷上で解凍した。iScriptTM逆転写酵素を除く全てのキット構成要素を氷上で解凍し、十分に混合し、短時間遠心分離した。OligodTプライマーを用いて、cDNA合成を行った。構成要素を2 mLのチューブに加えた後、そこに、iScript逆転写酵素を、他の構成要素の後に、加えた(表4を参照)。
Figure 2023548498000012
4 μLの細胞溶解物を、マルチ-チャネル・ピペットを用いて、新しいPCRプレートにピペットで移し、その後、16 μLのマスター・ミックスを、上に加えた。カバー・ホイル(cover foil)を用いてプレートを密封し、400 rpmで穏やかに混合した後、前記プレートを短時間スピン・ダウンした。サーマル・サイクラーを用いて、以下のプロトコル(「ISCRIPT2」)で、cDNA合成を行った。
Figure 2023548498000013
cDNAは、qPCRを実施するまでの間、-20℃で保存することができる。
1.1.6.2 ALI培養
ALI培養物のcDNA合成のために、Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit(Roche、4896866001)を使用した。製造業者のプロトコールに従って、RNAをcDNAに変換した。2-ステップのcDNA合成について、1 μgの全RNA及び1 μLのオリゴ(dT)プライマーが、13 μLの合計体積で、第1のステップを調製するために必要であった。鋳型-プライマー混合物を調製するための一例を、表6に示す:
Figure 2023548498000014
65℃で10分間の任意選択的な変性ステップを、サーマル・ブロック・サイクラーで行った。その後、酵素、逆転写酵素及びRNAse阻害剤を除く残りの全ての試薬を、氷上で解凍し、短時間遠心分離した。マスター-ミックスを調製するために、表7に列記した以下の構成要素を、新しいチューブに添加した:
Figure 2023548498000015
最後に、酵素類を、表7に列記した試薬に添加した。マスター-ミックスの体積は、サンプル数に応じて調整した。7 μLのマスター-ミックスを、鋳型-プライマー混合物を含む各チューブに添加し、チューブあたりの最終体積を20 μLとした(表6参照)。前記チューブを注意深く混合し、短時間、遠心分離した。チューブをサーマル・ブロック・サイクラーに戻し、逆転写のための以下のプログラム(ここでは、cDNA合成のステップ2)を使用した:
Figure 2023548498000016
cDNAは、qPCRを実施するまでの間、-20℃で保存することができる。
1.1.7 TaqManプローブを用いるqPCR
表9に示す以下の構成要素を合わせ、短時間ボルテックスした。その反応ミックスをチューブの底に集め、気泡を取り除くために、前記ミックスを短時間遠心分離した。18 μLのTaqManマスター・ミックスを、光学式96-ウェルqPCR反応プレートに移した。2 μL の cDNA鋳型(cDNA とヌクレアーゼ不含水)を、表10に示すように、光学式96-ウェルqPCR反応プレートに添加し、最終体積が20 μLとなるようにした。光学式96-ウェルqPCR反応プレートを、光学用粘着フィルムで密封し、短時間、遠心分離した。
Figure 2023548498000017
Figure 2023548498000018
TawManアッセイを、以下のパラメータを用いて行った:
Figure 2023548498000019
Figure 2023548498000020
1.2 in vivo
1.2.1 動物飼育
マウスを、概日性の光サイクル(午前7時から午後7時までを明)下で、個別に換気したケージに収容し、特定の病原体が無い条件(specific pathogen free conditions)(annual health and hygiene survey 2017に従って、FELASAに列挙された任意の病原体について、施設の試験で陰性)下で、飼育した。餌及び飲料水を、自由に摂ることができた。動物を、到着後、試験に入るまでの間、少なくとも7日間、馴化した。
1.2.2 気管内投与
4%イソフルラン(Isothesia、Henry Shine、ドイツ)を含有する純粋な酸素の吸入により、動物を麻酔した。無意識下の動物に対して、37 mmに短くした20ゲージのカテーテルを用いて挿管した。最終体積50 μLの試験物質を、管の近位先端に、1滴として適用し、それによって、その動物の生理学的な吸気運動中に吸引させた。最後に、150 μLの空気を加えて、前記カテーテル内に、液体が残らないように確実にした。
1.2.3 臨床検査
前記試験物質を与える前及び24時間後に、臨床マウス・スコアリング・システム(clinical mouse scoring system)を用いて、動物を臨床的に検査した。臨床検査は4つの異なるカテゴリーからなり、これらを別々にスコア化した。4つのカテゴリーの各スコアを総臨床スコアにまとめた。まとめたスコアが4点を超える場合、又は単一のカテゴリーにおけるスコアが1点を超える場合は、中程度の苦痛とみなし、それによってヒトのエンドポイントとみなす。
1.2.4 剖検
フェンタニル/ミダゾラム/メデトミジン(0.05/5.0/0.5 mg/kg体重)を腹腔内注射投与することにより、動物を完全麻酔下に置いた。その後、マウスを頚椎脱臼により安楽死させた。
1.2.5 BALF及び肺の摘出
胸腔及び腹腔を開き、18Gのカテーテルを気管内に留置した。0.5mLのPBSを注射投与し、肺から回収し、300 × gで、10分間、4℃で遠心分離した。上清を採取し、更に処理するまでの間、-80℃で保存した。その細胞ペレットを、-80℃でバイオバンク処理した。次に、その肺を外植し、更に処理するまでの間、-80℃で保存した。
1.2.6 肺のホモジナイゼーション
サンプルを、液体窒素を用いてホモジナイズした。そのため、その臓器を、氷箱に入れた乳鉢に入れた。液体窒素を、その肺を完全に覆う体積で、加えた。乳鉢で乳棒を用いて、前記肺を粉砕した。stapulaを窒素中に浸漬し、その臓器粉末を2つの半分に分けるために使用した。両方の半分を、それぞれ空の風袋引きしたチューブ中で秤量した。乳鉢、乳棒、及びstapulaを、毎サンプル後にエタノールを用いて洗浄した。
ELISAのために、250 μLのTriton X-100溶解バッファー(0.25 Mトリエタノールアミン、0.1 % Triton X-100、pH7.7)中で溶解を行い、プロテアーゼ阻害剤を補足添加した。qPCRのために、臓器30mg当たり350μLの溶解バッファー中で溶解を行った。溶解バッファーRLTは、そのキットに付属していた、及びこれに、40 μL/mLのDTTを補足添加した。qPCRのために、溶解チューブ中で、更にホモジナイズを行った。従って、体積を上記のようにして、処置を組織ホモジナイザー(MP FastPrep-24 Tissue and Cell Homogenizer)中で、3 × 20秒間、行った。
サンプルを、氷上で10分間インキュベートし、Mikro 22R遠心分離機(Hettich Zentrifugen)中で、4℃で、10分間、最高速度で遠心分離した。上清を、新しいチューブに移し、更に解析するまでの間、-80℃で保存した。
1.2.7 qPCRのための、細胞溶解及びcDNA合成
NucleoSpin(登録商標)RNAキット(Macherey & Nagel、740984.50)を、製造業者のプロトコルに従って、使用して、RNA単離を行った。
Transcriptor First Strand cDNA Synthesis Kit(Roche、4896866001)を用いて、cDNA合成を行った。製造業者のプロトコルに従い、RNAをcDNAに変換した。2-ステップのcDNA合成について、1 μgの全RNA及び1 μLのオリゴ(dT)プライマーが、13 μLの合計体積で、第1のステップを調製するために必要であった。鋳型-プライマー混合物を調製するための一例を、表11に示す:
Figure 2023548498000021
65℃で10分間の変性ステップを、サーモ・ブロック・サイクラーで行った。その後、酵素、逆転写酵素及びRNAse阻害剤を除く残りの全ての試薬を、氷上で解凍し、短時間遠心分離した。マスター-ミックスを調製するために、表12に列記した以下の構成要素を、新しいチューブに添加した:
Figure 2023548498000022
最後に、酵素類を、表12に列記した試薬に添加した。マスター-ミックスの体積は、サンプル数に応じて調整した。7 μLのマスター-ミックスを、鋳型-プライマー混合物を含む各チューブに添加し、チューブあたりの最終体積を20 μLとした。前記チューブを注意深く混合し、短時間、遠心分離した。チューブをサーモ・ブロック・サイクラーに戻し、逆転写のための以下のプログラムを開始した:
Figure 2023548498000023
cDNAは、qPCRを実施するまでの間、-20℃で保存することができる。
1.2.8 下流ターゲットのための、TaqManプローブを使用するリアル-タイムPCR、1.1.7を参照
Figure 2023548498000024
1.2.9 SNIM(登録商標)RNAを定量化するための、UPLを使用するqPCR
マウス肺におけるETH061T02 SNIM RNAを定量化するために、qPCRを行った。従って、1 μgのIFNλ1 SNIM RNAを、cDNA合成のために使用し、合成を、セクション1.1.6に記載されているように行った。IFNλ1 mRNAのcDNAを、RNAse-不含水中で希釈し、以下の希釈液とし:1:101、1:102、1:103、1:104、1:105、1:106、検量線を得た。ピペッティング中の不正確さを避けるために、cDNAの希釈系列をより大きな体積(例えば20 μL)で調製することが重要である。0.25 μLのマウス肺サンプルのcDNA又はそれぞれの検量線サンプルを、3.75 μLのRNAse不含水と混合し、LightCycler(登録商標)480 Multiwell Plate 96にピペットで移した。qPCRマスター・ミックスの調製を、表13に従って行う。
Figure 2023548498000025
前記マスター・ミックスを、マルチ-ピペットを使用して、LightCycler(登録商標)480 Multiwell Plate 96に、各ウェル中の4μLの希釈cDNAサンプル又はスタンダードに添加した。前記プレートを、LightCycler(登録商標)480シーリング・フォイル(Sealing Foil)で覆い、短時間、スピン・ダウンした。LightCyler(登録商標)96システム上のUniversalProbesのためのプログラムを用いて、qPCRを行った。
実施例3: ACE2を発現するA-549細胞における、組み換えIFNλ1と比較した、IFNλ1をコードするmRNAの有効性
A549又はA549-ACE2細胞を、組み換えIFNλ1(図8a)で、又はIFNλ1をコードするmRNA(図8b)で、処置した48時間後の下流ターゲットの活性化を、IFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15についてのqPCRによって、評価した。IFNλ1をコードするmRNAでトランスフェクションを行うと、IFIT1、IFIT3、OAS3、及びISG15が同様に誘導されたが、組み換えIFNλ1で処置した後、A459細胞と比較して、A549-ACE2細胞では、同じ下流ターゲットの誘導が減少した。A549-ACE2細胞をIFNλ1をコードするmRNAでトランスフェクションすると、IFNλ1の用量-依存的な産生がもたらされた(図8c)。
実施例4:IFNλ1をコードするmRNAは、様々な細胞型において、翻訳される
IFNλ1をコードするmRNAをトランスフェクションすると、IFNλ1 ELISAによって測定されるように、HEK293、A549、16HBE14o-及びFreeStyle 293-F細胞において、IFNλ1の時間-依存的な及び用量-依存的な産生がもたらされる(図9)。
実施例5:IFNλ1をコードするmRNAでトランスフェクションした後の、浸漬培養しているA549及び16HBE14o-細胞における、下流ターゲットの時間-依存的な及び用量-依存的な誘導
IFNλ1をコードするmRNAでトランスフェクションすると、qPCRによって評価した場合、IFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15の時間-依存的な及び用量-依存的な誘導がもたらされる(図10a及びb)。
実施例6:A549、16HBE14o-又は初代ヒト肺細胞(Epithelix)由来の、気液界面(airway liquid interface (ALI))培養物における、IFNλ1の用量-依存的な産生、及び下流ターゲットの誘導
LF92中に製剤化したIFNλ1をコードするmRNAでトランスフェクションすると、処置後24時間にqPCRによって評価する場合、IFNλ1の用量-依存的な産生 (図11a)、及びIFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15の誘導(図11b)、がもたらされる。IFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15の内因性レベルは、A459-由来のALI培養物と比較して、16HBE14o-又は初代ヒト肺細胞に由来するALI培養物において、上昇する(図11c)。
実施例7:IFNλ1をコードするmRNAを吹き付けたマウスの肺における、IFNλ1の用量-依存的な産生、及び下流ターゲットの誘導
LF92中に製剤化したIFNλ1をコードするmRNAでトランスフェクションすると、処置後5時間、及び24時間にqPCRによって評価する場合、用量-依存的な、及び時間-依存的なIFNλ1 mRNAの肺蒸着(図12a)、肺組織及び気管支肺胞洗浄液(broncheoalveolar lavage fluid (BALF))におけるIFNλ1の産生(図12b)、並びにIFIT1、IFIT3、OAS3及びISG15の誘導(図12c)、がもたらされる。
実施例8:hIFNλ1 mRNAトランスフェクションと組み換えタンパク質との比較
hIFNλ1をコードするmRNAを用いて、初代気管支上皮気液界面(ALI)培養物を単一頂端トランスフェクションした後のターゲット遺伝子の活性化の増強を、組み換えタンパク質を用いた頂端処置と比較した。基底外側にレセプターが発現するために、hIFNλ1をコードするmRNAを吸入(頂端)投与し、その後、タイプIII IFNの基底分泌が頂端分泌よりも大きくなることは、組み換えタンパク質を吸入投与するよりも、ヒトにおいて、より有効性があると予想される。
hIFNλ1 mRNAを用いたトランスフェクションにより、トランスフェクション混合物をトランスフェクション後6時間に吸引すると、トランスフェクション後24時間の頂端区画で、30-40 pgの総タンパク質が得られた(図13a)。これは、気道表面ライニング液(airway surface lining fluid (ASL))では、90 ng/mLという濃度であることに相当する(ALI培養物中のASLの体積が0.33 μL(インサートの表面積0.33 cm2 × 繊毛層の高さ0.001 cm)であると仮定する)。この理由から、トランスフェクション後のターゲット遺伝子の活性化を、100 ng/mLの組み換えタンパク質での処理と比較した。
頂端mRNAトランスフェクションをした後、ターゲット遺伝子の発現は、Stop mRNAのコントロール(Stop mRNA control)と比較して、4倍高かった(図13b)。対照的に、100 ng/mLという濃度で組み換えhIFNλ1タンパク質を頂端側に投与した後、ターゲット遺伝子の誘導は、mRNAトランスフェクションと比較して低く、Stop mRNAのコントロールと比較して、2倍の誘導を超えなかった(図13b)。この効果はmRNAトランスフェクション後に、hIFNλに対してより長く暴露されること (mRNA翻訳は、6時間での培地の交換後に継続する)に起因する可能性があり、それ故に、組み換えタンパク質での処置と比較して、蓄積する可能性があり、従って、頂端区画及び基底区画で、より高いタンパク質レベルになる可能性がある。これらの観察は、組み換えタンパク質での処置よりも、mRNA処置に関する、付加的なPK/PDの利点の可能性を強調する(図13)。
実施例9:トランスフェクションしたA-549細胞の上清からのhIFNλ ELISA:LF92 vs. 市販のトランスフェクション試薬
トランスフェクション後6時間及び24時間で、これらの時点で回収をしていない各プレートで、培地を交換した。従って、24時間の時点は、6時間と24時間との間の翻訳を反映する、並びに48時間及び72時間の時点は、24時間後の翻訳を反映する。mRNAトランスフェクション後の翻訳は、用量-依存的及び時間-依存的に起こった、並びに、市販のトランスフェクション試薬を使用する場合と同様の程度で、LF92製剤化したmRNAを用いて、起こった(図14)。
実施例10:LF92製剤化したmRNAによる、ターゲット遺伝子の誘導
トランスフェクション後6時間及び24時間で、これらの時点で回収をしていない各プレートで、培地を交換した。従って、24時間の時点は、6時間と24時間との間の翻訳を反映する、並びに48時間及び72時間の時点は、24時間後の翻訳を反映する。LF92製剤化したhIFNλ1をコードするmRNAを用いて、A549肺細胞を単一トランスフェクションした後の、用量-依存的な且つ持続的なhIFNλ1ターゲット遺伝子の活性化、が観察された(図15)。
実施例11: LF92製剤化したhIFNλ1をコードするmRNAのin vitro忍容性
トランスフェクション後6時間及び24時間で、これらの時点で回収をしていない各プレートで、培地を交換した。従って、24時間の時点は、6時間と24時間との間の翻訳を反映する、並びに48時間及び72時間の時点は、24時間後の翻訳を反映する。LF92製剤化したhIFNλ1をコードするmRNAを用いて、A549肺細胞を単一トランスフェクションした後の、サイトカインmRNA発現の誘導は、ターゲット遺伝子の誘導がプラトーになる高用量でのみ、観察された(図16)。
実施例12:mRNA翻訳とターゲット遺伝子誘導との相関
トランスフェクション後6時間及び24時間で、これらの時点で回収をしていない各プレートで、培地を交換した。従って、24時間の時点は、6時間と24時間との間の翻訳を反映する、並びに48時間及び72時間の時点は、24時間後の翻訳を反映する。上清中で測定されたhIFNλ1の量は、ターゲット遺伝子の誘導の程度と相関する(図17)。
実施例13: qPCRにより評価した、in vitroでのウイルス抑制
hIFNλ1 mRNAにより予防的処置を行うと、SARS-CoV-2及びIAVウイルスの量が減少したが、Stop mRNAでは、減少しなかった(図18)。組み換えhIFNλ1によるウイルス量の用量依存的な減少が観察されたが、その減少は、組み換えタンパク質では、mRNA処置と比較して、より低かった(図18)。感染の24時間前に、処置を行った。感染の48時間後に、サンプルを採取した。
実施例14:肺ホモジネート中での、hIFNλ1 mRNAの検出
ヒトIFNλ1をコードするmRNAの用量-依存的な蒸着が、マウスにおける単回経鼻投与の5時間後に観察された(図19)。各群につき3匹の動物を評価した。
実施例15:肺ホモジネート中での、hIFNλ1タンパク質の検出
肺ホモジネート中のヒトIFNλ1の定量化により、ヒトIFNλ1タンパク質をコードするmRNAを用いた単回鼻腔内処置を行うと、用量に依存して、及び時間に依存して、タンパク質が翻訳されることが明らかになった(図20)。各群につき3匹の動物を評価した。
実施例16:hIFNλ1 mRNA投与後の、肺組織における、ターゲット遺伝子の活性化
hIFNλ1 mRNA投与は、マウスにおいて、単回経鼻投与後、低用量で、忍容性が良好であり、肺のターゲット遺伝子の発現を強力に誘導した(図21)。
解析したターゲット遺伝子OAS3、ISG15、IFIT1及びIFIT3は、5時間の時点で、全ての用量レベルについて、用量依存的な活性化を示した(図21)。OAS3のみが、投与後24時間まで、用量依存的な活性化を示した(図21d)。各群につき3匹の動物を評価した。
実施例17:hIFNλ1 mRNAの単回経鼻投与後の、血漿中での、ケモカインの検出
hIFNλ1をコードするmRNA又はSTOP mRNAを単回経鼻投与した後に、測定されたケモカインの血漿中の濃度は、マウスの全ての用量レベルで、媒体と比較して、変化しなかった(図22)。各群につき3匹の動物を評価した。
実施例18:hIFNλ1 mRNAでの処置時の、肺組織における、ターゲット遺伝子の活性化
LF92製剤化したhIFNλ mRNAは、マウスにおいて、複数回経鼻投与後、低用量で、忍容性が良好であり、肺のターゲット遺伝子の発現を強力に誘導した(図23)。
48時間間隔で3回の用量を、投与し、最後の投与後24時間に、サンプルを採取した。肺ホモジネート中における、hIFNλターゲット遺伝子の発現は、用量依存的に増加した(図23)。解析した全てのターゲット遺伝子に関して、最大15倍の活性化が、1 μgのhIFNλ mRNAの用量レベルで、見られた(図23)。STOP及び媒体群において、ターゲット遺伝子の活性化が欠如していることは、観察された効果がターゲット-誘導性であることを示唆する(図23)。各群につき6匹の動物を評価した。
実施例19:マウスにおける経鼻投与後の、肺内に蒸着した、hIFNλ1 mRNAの検出
48時間間隔で3回の用量を、投与し、最後の投与後24時間に、サンプルを採取した。ヒトIFNλ1をコードするmRNAの用量-依存的な蒸着が観察された(図24)。各群につき6匹の動物を評価した。
実施例20:hIFNλ1 mRNAの反復投与中の体重
48時間間隔で3回の用量を、マウスにおいて、経鼻投与によって、投与し、体重を毎日測定した。体重の変化は記録されなかった(図25)。各群につき6匹の動物を評価した。
実施例21:フェレットの肺ホモジネートにおける、hIFNλ1 mRNAの定量化
hIFNλ1 mRNAは、フェレットでの単回経鼻投与後、全ての肺葉に、蒸着した(図26)。各群につき3匹の動物を評価した。
実施例22:フェレットの肺ホモジネートにおける、ターゲット遺伝子の活性化
hIFNλ1処置を行うと、フェレットにおける単回経鼻投与後に、ISG15、MX1及びOAS3の誘導がもたらされる(図27)。各群につき3匹の動物を評価した。
実施例23:フェレットの肺ホモジネートにおける、IFN mRNA、ターゲット遺伝子の活性化、及びサイトカインの誘導、の定量化
hIFNλ1、hIFNβをコードするmRNA、又はその両方を、単回経鼻投与すると、全ての肺葉において、mRNAの蒸着がもたらされた(図28)。Mx-1は、3種の全ての処置によって誘導されたが、解析したサイトカインは、いずれも誘導されなかった(図28)。各群につき3匹の動物を評価した。
実施例24:IFNsをコードするmRNAによる、IAVの複製の減少
フェレットのインフルエンザ・モデルにおいて、hIFNλ1(図29a)、hIFNβ(図29b)、をコードするmRNA、又はその両方(図29c)、の鼻腔内投与は、忍容性が良好であり、初期のウイルス複製及び臨床的な症状(symptom)を減少させた(図29)。試験 -1、1、3日目に処置を実施し、0日目に感染を実施した。1群あたり10匹の動物を評価した。
実施例25:hIFNλ1をコードするmRNAによる、SARS-CoV2の複製の減少
hIFNλ1をコードするmRNAの鼻腔内投与は、SARS-CoV-2アルファで感染負荷(challenge)したhACE2-TGマウスにおいて、忍容性が良好であった、並びに、媒体で処置したマウスと比較して、ウイルスの複製及び体重減少、を低減させた(図30)。RT-qPCRにより、ゲノム・ウイルスRNAを測定することによって(媒体と比較して60%の低下)(図30a)、及びTCID50法を用いた感染性ウイルス微粒子を測定することによって(媒体と比較して97%の低下)(図30b)、ウイルス複製を評価した。体重を、ウイルス接種後3日目のパーセント重量変化として、示す(図30c)。各群につき2から5匹の動物を評価した。以下のコントロールを用いた:モック処置をしたマウス(Mock treated)、ウイルスではなくhIFNλ1 mRNAで処置したマウス、及びウイルスではなく媒体で処置したマウス。
実施例8から25まででは、以下の材料を使用した。
2.1 材料
Figure 2023548498000026
Figure 2023548498000027
Figure 2023548498000028
2.2 方法
2.2.1 細胞培養
2.2.1.1 ALI培養
MucilAirTMインサートをEpithelixで購入し、気-液-界面 (Air-Liquid-Interface (ALI))培養として、700 μLのMucilAirTM培養培地中、37℃、5% CO2加湿雰囲気下で、培養した。トランスフェクション前に、細胞を、到着時に2-3日間静置した。培養を維持するために、培地を2-3日毎に交換した。
2.2.1.2 A-549細胞培養
A-549細胞を、上記2.1に記載されているように培養した。
2.2.1.3 A549-ACE2細胞培養
A549-ACE2細胞を、10 % FBS並びに100 μg/mLストレプトマイシン及び100 IU/mLペニシリンを添加したDMEM中で培養した。10,000個の 細胞を、96-ウェル・プレートに、総体積100 μLとして、24時間、播種した後、処置した。
2.2.2 トランスフェクション/処置
トランスフェクション前に、粘液洗浄を行った。従って、200 μLのPBS(w/o Mg/Ca)を頂端側に添加し、37℃で20分間インキュベートした。頂端洗浄の総時間は30分を超えてはならない。前記頂端の表面から粘液を分離するために、P200ピペットを用いて、頂端の液体からの100 μLを用いて、3回の出し入れ運動を行った。ALI培養物の頂端表面からのPBSを、上皮を損傷することなく、穏やかに吸引して除去した。微量のPBSを除去するために、200 μLのWFIを用いたWFI洗浄を行った。
その後、細胞を、所望の用量で、トランスフェクション/処置した。製剤を室温で解凍し、更に使用するまでの間、氷上で維持した。組み換えタンパク質を培地で希釈した。
トランスフェクション後6時間に、mRNA及び組み換えタンパク質を、頂端側から除去した。組み換えタンパク質では、基底培地も新しくした。トランスフェクション後24時間で、前記インサートの頂端側を200 μLのPBSを用いて洗浄し、これを上下に3回ピペッティングした。洗浄液を、ELISA解析のために、96-ウェル保存プレートに集めた。また、200 μLの基底培地を保存プレートに集めた。サンプルを、ELISAまでの間、-80℃で保存した。
qPCRのために、RNeasy Mini Kitの175 μL RLTバッファーを、DTT(40 μL/mL)を補足添加して、前記インサートに添加した。ミニ細胞スクレーパを用いて、前記細胞を、前記インサートから剥がした。前記RLTバッファーをQIAshredderカラムに移した。全ての細胞を確実に移すために、前記インサートを、別の175μLのRLTバッファーで洗浄した。その細胞溶解を完了するために、前記カラムを、最高速度で2.5分間遠心分離した。カラムを除去し、チューブ中の細胞溶解物を、-80℃で凍結するか、又は直ちにRNAを単離するために使用することがある。
2.2.2.1 実施例9から12における、リポフェクトアミンMMaxを用いるトランスフェクション
リポフェクトアミンMMaxを用いるトランスフェクションを、0.005から100 ng mRNA/ウェルの範囲の用量タイトレーションを行ったことを除いて、上記2.3に記載されているように実施し、その後、25 μLのLipoplex溶液をそれぞれのウェルに添加し、培地を100 μLの新しい完全培地と交換した。
2.2.2.2 実施例13における、リポフェクトアミンMMaxを用いるトランスフェクション
リポフェクトアミンMMaxを用いるトランスフェクションを、15 ng/25 μLから所望の濃度までの範囲の用量タイトレーションを行ったことを除いて、上記2.3に記載されているように行った。細胞の培地を100 μLの新しい培地と交換した。
その後、25 μLのLipoplex溶液をそれぞれのウェルに添加した。
組み換えタンパク質での処置のために、タンパク質を培地中で予め希釈し、所望の濃度の25 μLにして、前記細胞に添加した。
2.2.2.3 LF92製剤化したmRNAを用いるトランスフェクション
LF92製剤化したmRNAを、媒体(10 %(w/v)ショ糖、50 mM塩化ナトリウム及び独自の賦形剤)中で所望の濃度に希釈した。25 μLの各希釈液をそれぞれのウェルに添加し、培地を100 μLの新しい完全培地と交換した。
2.2.3 RNAの単離
RNAの単離を、上記1.1.5.2に記載されているように、行った。
2.2.4 cDNAの合成
cDNAの合成を、上記1.1.6に記載されているように、行った。
2.2.5 TaqManプローブを用いたqPCR
TaqManプローブを用いたqPCRを、上記の1.1.7に記載されているように、行った。qPCR結果の解析を、ΔΔCt法を用いて、行った。それを行うために、まず、それぞれのサンプルのΔCtを計算した。これを、ターゲットのCt値から、ハウスキーパー(housekeeper)(RPLP0)の平均Ct値を、差し引くことによって、行った。次に、ターゲットのΔCtから、基準サンプル(媒体コントロール)のΔCtを、差し引くことによって、ΔΔCtを計算した。最後に、倍数変化を、式:2-ΔΔCtを使って、計算した。
2.2.6 hIFNλ1 ELISA (IL-29 ELISA)
hIFNλ1 ELISAを、上記の1.1.4に記載されているように、実施した。補間を、4PL標準曲線を用いて、行った。解析は、GraphPad Prismソフトウェア及びエクセルを用いて、行った。
2.2.7 回収
トランスフェクション後3、6、24、48及び72時間で、回収を行った。各プレートについて、トランスフェクション後6時間及び24時間に、培地交換を行った。
ELISAのために、前記細胞の上清を、96-ウェル保存プレートに集め、-80℃で凍結した。2種の異なったELISAを行う場合、前記上清を2枚プレートに分割し、別々に解凍できるようにした。qPCRのために、細胞を、150 μLのPBS-/-を用いて洗浄し、細胞を、-80℃で、液無しで、凍結する。
2.2.8 SingleShotTM Cell Lysis Kitを使用するRNAの単離
SingleShotTM Cell Lysis Kitを使用するRNAの単離を、2.2.5に記載されているように、行った。
2.2.9 ウイルス・ストックの調製
SARS-CoV-2-MUC-IMB-1、SARS-CoV-2-GFP株、野生型インフルエンザAウイルス(IAV-WT)(SC35M)及びIAV(SC35M)NS1-GFPを、DMEM培地(10% FCS、100 μg/mlストレプトマイシン、100 IU/mlペニシリン)中で、2日間培養したVero E6細胞に感染させることによって(MOI 0.01)、産生した。ウイルス・ストックを回収し、-80℃で保存する前に、2回、遠心分離した(1000 g/10分)。
ウイルス・ストックのタイターを、プラーク・アッセイによって決定した。このために、Vero E6細胞のコンフルエントな単層を、ウイルス上清の5倍系列の希釈液で、37℃、1時間、感染させた。その接種物を取り除き、0.5%カルボキシメチルセルロースを含有する無血清MEMと交換した。感染後2日目、ホルムアルデヒドを培地に直接的に加えて最終濃度を5%にして、細胞を、室温で20分間、固定した。
固定した細胞を、PBSでよく洗浄した後、1%クリスタル・バイオレット及び10%エタノールを含むH2Oで、20分間、染色した。PBSですすいだ後、プラークの数をカウントし、ウイルスのタイターを計算した。
2.2.10 ウイルス感染
細胞を、トランスフェクションした後、SARS-CoV-2(MOI 3)又はIAV(MOI 0.5)で24時間感染させた。ウイルスを、25 μLの培地として、細胞培養物に直接的に添加した。ライブ・イメージング・システム(live imaging system)下で感染動態を解析するために、前記SARS-CoV-2-GFP及びIAVGFPを使用した。
2.2.11 IncuCyteでの細胞モニタリング
感染後、プレートを、IncuCyte S3 Live-Cell解析システムに置き、モック(mock)(位相チャネル)及び感染(GFP及び位相チャネル)細胞の全-ウェル・リアル-タイム画像を、4時間毎に、48時間、取得した。細胞生存率(モック)及びウイルス増殖(モック及び感染)を、それぞれ、ウェルあたりの細胞コンフルエンシー(confluency)(位相領域)、及びウェルあたりの細胞コンフルエンシーで正規化した統合したGFP強度(統合したGFP強度/位相領域)として、IncuCyte S3 Software(Essen Bioscience; version 2019B Rev2)を用いて、評価した。
2.2.12 SARS-CoV-2の及びIAV のmRNAに対する、qPCR
転写物を相対的に定量化するために、PowerUp SYBR Greenを使用した。全てのステップを、製造業者の指示書に従って、実施した。RPLP0を、ハウスキーパー(housekeeper)として、使用した。
2.2.13 動物飼育(animal housing)
全ての動物を、上記1.2.1に記載されているように、飼育した。全ての手順は、ファイル番号Az.2532.Vet_03-17-114として、地元の動物福祉当局(Regierung von Oberbayern)によって承認され、ドイツ動物保護法(Tierschutzgesetz)に従って、実施された。
2.2.14 実施例14から17における、経鼻投与
吸入チャンバー内で、純酸素に麻酔ガスであるイソフルランを約4%として補充し、2 L/分の流速で、吸入させることによって、動物を麻酔した。hIFNλ1 mRNAを、両鼻孔に、実験用ピペットを用いて、2つの25 μLボーラスで、投与し、生理学的吸気運動中に、その液体を、その動物が、鼻から、能動的に吸入するようにした。この処置の間、動物を垂直位置に保持し、続いて麻酔から回復するまで、仰臥位に置いた。
2.2.15 実施例14から17における、臨床検査
上記1.2.3に記載されているように臨床検査を行ったが、ただし、処置の前、及び処置5時間後、並びに剖検の日まで毎日、動物に臨床検査を行った。更に、体重を、投与前に測定し、この実験が終了する日まで毎日、測定した。
2.2.16 剖検
投与後5、24、又は48時間をそれぞれ選択して、剖検の時点を予定した。A01では、剖検のための72時間の時点を、更に追加した。A02では、群2において、hIFNλ1 mRNAの投与後72時間及び96時間に、剖検を更に行った。フェンタニル/ミダゾラム/メデトミジン(0.05/5.0/0.5 mg/kg体重)を腹腔内に注射投与することにより、動物を完全麻酔下に置いた。ヘパリン処理をしていない0.8 mmの毛管を用いて、眼球後方の静脈叢(retrobulbar venous plexus)から、毛細血管血を採取し、EDTAチューブに集めた。血液サンプルを、2.000×gで、5分間、4℃で、遠心分離した。その後、マウスを、頚椎脱臼により、安楽死させた。
胸腔と腹腔を開いて、肺を、全体として、洗い流さずに外植し、ドライアイス上で急速凍結し、更なる処理をするまでの間、-80℃で保存した。
2.2.17 肺ホモジナイゼーション
2.2.17.1
サンプルを、液体窒素を用いてホモジナイズした。そのため、その臓器を、氷箱に入れた乳鉢に入れた。液体窒素を、その肺を完全に覆う体積で、加えた。乳鉢で乳棒を用いて、前記肺を粉砕した。前記臓器は、液体窒素によって、常に確実に覆われているようにした。stapulaを窒素中に浸漬し、その臓器粉末を3つに分けるために使用した。その臓器粉末を、それぞれ空の風袋引きしたエッペンドルフ・チューブ中で秤量した。約5 mgの前記粉末を、bDNAアッセイのために採取し、残りの粉末を2つの半分(ELISAのために1つ、qPCRのために1つ)に分けた。それぞれの臓器重量を記録した。
乳鉢、乳棒、及びstapulaを、毎サンプル後にエタノールを用いて洗浄した。
2.2.17.2
ELISAのために、溶解をTriton X-100溶解バッファー(0.25 Mトリエタノールアミン、0.1% Triton X-100、pH7.7)中で行った。少なくとも10分間、氷上で、溶解を行った。6番目のサンプルごとに、溶解物を14000 rpmで、10分間、遠心分離した。上清を新しいチューブに集め、更に処理するまでの間、-80℃で保存した。
2.2.17.3
qPCRのために、600 μLの溶解バッファーを、前記臓器粉末を含むチューブに添加した。溶解バッファーRLTは、そのキットに付属していた、及びこれに、40 μL/mLのDTTを補足添加した。次いで、その溶液をLysing Matrix Dチューブに移し、組織ホモジナイザー中で、3 × 20秒間、ホモジナイゼーションを行った。その溶解物を新しいエッペンドルフ・チューブに移した。10 mgの肺を指すホモジネートの体積を計算し、新しいエッペンドルフ・チューブに移し、溶解バッファーを用いて混合し、最終体積を350 μLとした。これらのサンプルを、凍結することなく、RNAを単離するために、直接的に使用した。残った肺ホモジネートを、-80℃で保存した。
2.2.18 実施例14から17及び18から20における、qPCRのための、RNA単離及びcDNA合成
肺の溶解物からのRNA単離を、10 mgの溶解した肺ホモジネート、及びキアゲンのRNeasyミニ・キットを用いて、製造業者のプロトコルに従って、行った。
cDNA合成を、上記1.1.6.1に記載されているように、行った。2-ステップcDNA合成のために、1 μgの全RNA及び1 μLのOligoDTプライマーを、13 μLの合計体積で使用して、第1のステップ(ここでは、鋳型プライマー混合物と称する)を調製した。
2.2.19 hIFNλ1 mRNAを定量化するための検量線の作成
サンプル中のヒトIFNλ1をコードするmRNAの量を正確に算出するためには、検量線が必要である。従って、1 μgのhIFNλ1 mRNAを逆転写した。次いで、ヌクレアーゼ不含水中で、cDNAの連続希釈を以下の希釈で行った:1:101、1:102、1:103、1:104、1:105、1:106、1:107。その希釈物を、独立して調製した。これは、例えば、1:102の希釈物を、アッセイで使用した1:101の希釈物からではなく、別個の1:101の希釈物から作製した。各希釈物から、2 μLを、8 μLのマスター・ミックスに添加して、qPCRを実施した。
2.2.20 UPLプローブを使用するqPCR
検量線などを含む、ヒトIFNλ1をコードするmRNAを定量化するために、ユニバーサル・プローブ・ライブラリ(universal probe library (UPL))のプローブを使用した。
表14に示す以下の構成要素を組み合わせ、短時間、ボルテックスした。その反応混合物をチューブの底部に集め、気泡を除去するために、その混合物を、3200gで、2分間、短時間、遠心分離した。
8 μLのTaqManマスター・ミックスを、光学96-ウェルqPCR反応プレートに移した。2 μLのcDNA鋳型を、前記光学96-ウェルqPCR反応プレートに加えて、10 μLの最終体積とした。前記光学96-ウェルqPCR反応プレートを、光学接着フィルムで密封し、3200gで、2分間、短時間、遠心分離した。
実行モード「ロシュの鋳型に基づく新しい実験」(“new experiment based on Roche Template”)を選択し、LightCycler96で「”HydrolysisProbes“」を選択した。
Figure 2023548498000029
2.2.21 hIFNλ1 mRNA量の計算
サンプル中のヒトIFNλ1をコードするmRNAの量を、前記検量線を用いて決定することができる。前記検量線は、前記検量線の、x軸上にlog(hIFNλ1 mRNAの量)を置き、y軸上にct値を置くことによって、作成した。
前記検量線からの例示的な方程式
Y= -3,2449X + 9,1445
これから、サンプル中のIFNλ1 mRNA量(X:濃度のlog)を測定した(Y:サンプルのct値)。
Figure 2023548498000030
2.2.22 血漿中での、CXCL9の、及びCXCL10のELISA
この試験の血漿サンプルを、製造業者の指示書に従って測定した。そのプロトコルに対する変更を、表16に示す。
Figure 2023548498000031
2.2.23 肺ホモジネートでの、CXCL9の、及びCXCL11のELISA
この試験の肺ホモジネートを、製造業者の指示書に従って測定した。そのプロトコルに対する変更を、表17に示す。
Figure 2023548498000032
2.2.24 実施例18から20における、鼻腔内投与
吸入チャンバー内で、純酸素に麻酔ガスであるイソフルランを約3%として補充し、2 L/分の流速で、吸入させることによって、動物を麻酔した。hIFNλ1 mRNAを、鼻先に50 μLの体積で、1滴として滴下し、その後、生理学的吸気運動の間に、両方の鼻孔を通して、能動的に吸入させた。この処置の間、前記動物を垂直位置に保持し、続いて麻酔から回復するまで、仰臥位に置いた。処置を、1日おきに、合計3回の薬物投与のために、行った。最後の投与後24時間に、剖検を行った。
2.2.25 実施例18から20における、臨床検査
1.2.3(上記)に記載されているように臨床検査を行ったが、ただし、最初の処置の前、及び最初の処置の3時間後、並びにその後剖検の日まで毎日、動物に臨床検査を行った。更に、体重を、投与前に測定し、この実験が終了する日まで毎日、測定した。
2.2.26 実施例18から20における、剖検
フェンタニル/ミダゾラム/メデトミジン(0.05/5.0/0.5 mg/kg体重)を腹腔内に注射投与することにより、動物を完全麻酔下に置いた。ヘパリン処理をしていない0.8 mmの毛管を用いて、眼球後方の静脈叢(retrobulbar venous plexus)から、毛細血管血を採取し、EDTAチューブに集めた。その後、マウスを、頚椎脱臼により、安楽死させた。胸腔と腹腔を開いて、肺を、全体として、洗い流さずに外植した。
右側の主気管支を結紮し、右肺を外植し、ドライアイス上で急速凍結し、更なる処理をするまでの間、-80℃で保存した。左肺に、気管を介して、0.4 mLの固定剤(4%パラホルムアルデヒド溶液)を吹き込ませた。その後、左側の気管支を結紮し、その吹き込ませた、気管を含む左肺を、約24時間、拡散固定のために、4%パラホルムアルデヒド溶液に移した。固定時間の終了後、その肺サンプルを、70%エタノールに移した。
2.2.27 血漿の調製
EDTA-血液サンプルを、2.000 × gで、5分間、4℃で、遠心分離した。上清をドライアイスで凍結し、その後、更に処理をするまでの間、-80℃で保存した。
2.2.28 実施例18から20における、肺ホモジナイゼーション
肺ホモジナイゼーションを、上記2.2.17.3に記載されているように行った。
2.2.29 実施例21から24における、試験システム
種:Mustela putorius(フェレット)
株:Sable
供給源:Triple F Farms (Gillett, PA)
フェレットは、LF92製剤化したhIFN mRNAの投薬の時点で、20週齢と24週齢との間であった。実施例24では、フェレットは、LF92製剤化したhIFN mRNAの投薬の時点で、5ヶ月齢であった。投与前日(-1日目)の動物の体重は、0.7 kgから1.1 kgまでの範囲であった。各動物は、動物を受領した後、NLSで、固有の耳タグによって、永久的に個体識別をした。
2.2.30 実施例21から24における、試験システムの飼育(test system housing)
動物を、試験開始前の10から12日間、馴化させた。馴化期間中、動物の健康状態を、健常又は疾患を示す、臨床的な表現及び行動的な特徴について、技術スタッフが、毎日、評価した。動物は、馴化の間、及び本試験の生存期間中を通して、ワイヤの底部を有するステンレス鋼ケージ中で、3匹から成る群として、飼育した。
2.2.31 実施例21から23における、試験投薬
動物に、ピペットを用いた鼻への滴下によって、1 mLのLF92製剤化したhIFN mRNAを投与した(0.5 mL/鼻孔)。LF92製剤化したヒトIFNλ1又はStop mRNAを、0.07 mg/mLのmRNA濃度で、投与した。実施例23では、1.25 mg/mLのmRNA濃度を投与し、ヒトIFNλ1とヒトIFNβとの組み合わせの場合、2.5 mg/mLの総mRNA濃度になった。
2.2.32 実施例24における、試験投薬
試験-1、1及び3日目に、ピペットを用いて鼻に滴下することによって、LF92製剤化したhIFN mRNAを動物に投与した(0.125又は0.25 mg/mLの溶液に関して、0.5 mL/鼻孔)。LF92製剤化した、ヒトIFNλ1をコードするmRNA、ヒトIFNβをコードするmRNA、又は両方の組み合わせを、1.25 mg/mLのmRNA濃度で投与した(組み合わせの場合、2.5 mg/mLの総mRNA濃度になった)。媒体を、コントロールとして、投与した。
試験0日目に、全ての群の動物を、1 mlの新たに希釈したH1N1 A/カリフォルニア/04/09ウイルスを用いて、2×102 TCID50/mlのタイターまで、鼻への滴下により、感染負荷(challenge)した。そのウイルス・タイターを、同日に、更に、確認した(バック・タイトレーション(back titration))。
2.2.33 実施例21から23における、剖検
全ての動物を、投薬後6時間に、大量の鎮静剤によって、人道的に安楽死させた。肺の組織標本を、肺の左上葉(左頭)、右上葉(右頭)、左下葉(左尾)、及び右下葉(右尾)の上部、中部、及び下部領域、から採取した。組織標本を秤量し、3つの断片に切断し、1 mLのRNAlaterを含むクライオバイアル・チューブに入れ、4℃で一晩保存して、RNAlaterを組織に浸透させた。前記チューブからRNAlater溶液を除去し、前記組織を急速凍結し、ethrisに送るまでの間、-80℃で保存した。
2.2.34 実施例21から23における、肺ホモジナイゼーション
600 μLの溶解バッファーを、Lysing Dチューブに加え、氷上で保存した。溶解バッファーRLTは、そのキットに付属していた、及びこれに、40 μL/mLのDTTを補足添加した。その凍結臓器を秤量し、重量に応じて、1つの溶解チューブに移した、又は断片に切断して、いくつかの溶解チューブに移した。600 μLの溶解バッファー中の300-350 mgを、1つの溶解チューブについて、組織の最大量及び溶解バッファーの最大体積であると決定した。更なるサンプルを処理している間、溶解バッファー中の臓器を氷上に保存した。ホモジナイゼーションを、組織ホモジナイザーで、3×20秒間、行った。次いで、溶解物を、最高速度(14000rpm)で、3分間、遠心分離した。その上清を、新しいエッペンドルフ・チューブに移した。10 mgの肺に当たるホモジネートの体積を、追加の新しいエッペンドルフ・チューブに移した。このチューブに、溶解バッファーを、600 μLの最終体積まで添加した。これらのサンプル及び残留溶解物を、-80℃で凍結した後、RNAを単離した。
2.2.35 実施例24における、臨床所見
フェレットを1日2回観察し、例えば、くしゃみ、鼻汁、及び活動などを含む、疾患の臨床的徴候について、スコア化した。0又は1のスコアを、くしゃみ又は鼻汁の有無に対して割り当てた。活動は、0=正常な活動、1=減少した活動、及び2=活動無し、としてスコア化した。所与の日に、特定の臨床的な徴候を示す個々のフェレット毎に、毎日のスコアを記録した。スコアを、所与の日に、感染の1つ以上の徴候を示す群内のフェレットの数としても、記録した。
2.2.36 実施例24における、体重及び体温
体重を、受け取り時に、LF92製剤化したhIFN mRNAを最初に投与する前に、及び本試験の各翌日に、測定した。
体温を、-1日目に、フェレットに皮下移植したトランスポンダー(transponder)を用いて、毎日測定した。
2.2.37 鼻洗浄液中のウイルス・タイター
ウイルスの感染負荷後(post-viral challenge)1、2、3、4、5、及び6日目に、0.5 %ウシ血清アルブミン(BSA)、ペニシリン、ストレプトマイシン、及びアムホテリシンBを含有する2 mLの滅菌PBSで、鼻腔を洗浄することによって、鼻洗浄液を回収した。1日目及び3日目の洗浄液を、LF92製剤化したhIFN mRNAを投与する前に、回収した。鼻洗浄液を回収し、滅菌した1.5-mlのエッペンドルフ・チューブに分注し、直ちにドライアイス上で凍結し、次いでTCID50によってウイルス・タイターを決定するために使用するまでの間、-80℃で保存した。
TPCK-トリプシンを含まないウイルス増殖培地(0.3% BSAを補充したDMEM)で、10-1から10-10までの、鼻洗浄液の連続1/2-log10希釈を調製した。25マイクロリットル(25 μl)の1/2-log10希釈の各鼻洗浄液を、96-ウェル・マイクロプレート中のMDCK細胞に添加し(各希釈について4個のレプリケート(four replicates))、37℃、5% CO2で、60分間、インキュベートした。60分間のインキュベーション後、175マイクロリットル(175 μl)のウイルス増殖培地(1 μg/mlのTPCK-トリプシンを含む0.3% BSAを補充したDMEM)を各ウェルに添加した。次いで、その細胞を、37℃、5% CO2で、48時間、インキュベートした。50 μlの組織培養上清を、50 μlの0.5% シチメンチョウ赤血球細胞と共に1xPBS中で、30分間、室温で、インキュベートすることにより、各ウェルの含有量を、赤血球凝集について試験した。そのTCID50を、ReedとMuench方法で計算した。簡潔に述べると、インフルエンザ・ウイルスが存在すると、赤血球細胞は凝集する。各希釈における陽性ウェル(赤血球凝集があるウェル)及び陰性ウェルの数を決定した。「累積陽性」、「累積陰性」、陽性の比率及び%を、計算した。次に、>50%の陽性を示す希釈と<50%の陽性を示す希釈に対する希釈との間の「比例距離(proportional distance)」を、次の式を用いて、計算した:
比例距離(proportional distance)=((50%超の%陽性の値)50)/( 50%超の%陽性の値-50%未満の%陽性の値)×0.5(1/2log希釈の補正係数)。それぞれの標本についてのウイルスTCID50を、>50%陽性を示す希釈に対する比例距離を加えることによって、計算した。
2.2.38 実施例24における、剖検
動物を、6日目に、人道的に安楽死させ、4つの肺葉全てから肺組織を回収した。肺の写真を撮影し、個々に秤量した。各葉の3つの部分を収集した。そのうちの2つの部分を、RNAlater(又は同等物)を含む予め秤量したチューブに入れ、秤量し、第3の肺部分を、10%緩衝ホルマリンに入れた。
2.2.39 肺におけるウイルスRNAの定量化
フェレットの肺組織におけるインフルエンザ・ウイルスの定量化を、Applied Biosystems QuantStudio 6-flexサーマル・サイクラー(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)で、1-ステップRT-qPCRによって行った。Zymo Research Quick-RNA Miniprep Plus Kit (Santa Ana、CA)を用いて、左上葉から採取した肺の組織標本からウイルスRNAを抽出し、60 μLの溶出ウイルスRNAを得、これを等分し、定量化に使用するまでの間、-80℃で保存した。ウイルスのマトリックス・タンパク質をコードするウイルス遺伝子セグメント7にある配列を増幅させるために、5 μL(5 μL)の抽出したRNAを用いて、qScript XLT One-Step RT-qPCR ToughMix plus Rox(QuantBio)、並びに0.2 μMのプライマーM+24 F(5'-AGA TGA GTC TTC TAA CCG AGG TCG-3')及びRev-mod(5'-TGC AAA GAC ACT TTC CAG TCT CTG-3')、並びにTaqManプローブM+64 (5’6-FAM/TC AGG CCC C/ZEN/C TCA AAG CCG A-3’BkFQ)、を含む、20 μLの1-ステップRT-qPCR反応液を、予め調製した。逆転写のために、10分間、50℃の単一サイクルで、続いて、DNAを増幅させるために、95℃で3分間、及び95℃で10秒間、60℃で30秒間という45サイクルで、増幅を、96-ウェル・プレート中で、行った。インフルエンザA/カリフォルニア/04/2009 pdmH1N1の細胞培養ストック(8×106 pfu/mL)から抽出したウイルスRNAの連続希釈物を増幅することによって生成した検量線によって、各々のサンプル中のウイルスRNAの量を、補間した。各々のサンプル中の全ウイルスRNAを、1ミリグラムの全RNAにおける、フェレットGAPDH RNAの相対量に対して、正規化した。GAPDH配列を増幅させるために、3 μLの抽出したRNAを用いて、qScript XLT One-Step RT-qPCR ToughMix plus Rox(QuantBio)、並びに0.2 μMのプライマーFer_GAPDH FWD(5'-CAA CGG ATT TGG CCG TAT TG-3')及びFer_GAPDH REV(5'-CTG GAA CAT GTA GAC CAT GTA GT -3')、並びにTaqManプローブFer_GAPDH PRB(5Cy5/AGGGTCATT/TAO/GATGGCGACAATATCCAC/3IAbRQSp/)、を含む20 μLの1-ステップRT-qPCR反応液を、予め調製した。逆転写のために、10分間、50℃の単一サイクルで、続いて、DNAを増幅させるために、95℃で3分間、及び95℃で10秒間、60℃で30秒間という45サイクルで、増幅を、行った。プールした抽出済みフェレット肺RNA(250 ng/μL)の連続希釈物を増幅することによって生成した、検量線から、前記サンプル中のGAPDHの量を、補間した。結果を、21 CFR Part 11 Software Module for QuantStudioTM 6及び7システムによって処理した、並びにRT-qPCR解析からのデータを、GraphPad Prismにインポートして解析した。
2.2.40 実施例25における、ウイルス再生産の定量化
2.2.40.1 試験の承認
動物を含む全ての実験は、デンマークの獣医食品庁(Danish Veterinary and Food Administration (Stationsparken 31-33, 2600 Glostrup, Denmark))の動物倫理委員会によって事前に承認された、及び科学的な目的のための、動物の飼育及び使用に関するデンマークの動物福祉法(Danish Animal Welfare Act for the Care and Use of Animals for Scientific Purposes)に従って実施した。
2.2.40.2 バイオ安全性
本試験に関する全ての態様は、本試験を開始する前に、デンマーク作業環境局Landskronagade 33、2100 Copenhagen O(Danish Working Environment Authority, Landskronagade 33, 2100 Copenhagen O)による承認を受けた。SARS-CoV-2を扱う作業は、動力式空気浄化呼吸器(owered air-purifying respirators)を装着した人員によって、バイオセーフティ・レベル2+の実験室で、実施された。
2.2.40.3 SARS-CoV-2の増殖
B.1.1.7 SARS-CoV2(Kent、UK、分離株)は、Glasgow大学のArvind Patel教授によって、MTAを締結して、提供された。使用したウイルスは、臨床分離株である。B.1.1.7バリアントは、MZ314997 として、データベース内にある。そのウイルスを、ヒトTMPRSS2を発現するVeroE6細胞(VeroE6-hTMPRSS2)(Stefan Pohlmann教授、ゲッティングン大学、からの厚意で提供を受けた)(Hoffmann et al., 2020)中で、増殖させた。簡潔に述べると、VeroE6-hTMPRSS2細胞に、DMEM(Gibco)+2% FCS(Sigma-aldrich)+1% Pen/Strep(Gibco)+ L-グルタミン(Sigma-Aldrich)(以下、完全培地と呼ぶ)中で、0.05という感染多重度(multiplicity of infection (MOI))で、感染させた。感染後72時間の上清(新しいウイルス後代を含む)を回収し、30分間、4000xgでの遠心分離により、100 kDaのアミコン限外濾過カラム(メルク)で、濃縮した。ウイルスのタイターを、TCID50%アッセイによって決定し、Reed-Muench法によって計算した。プラーク形成単位の平均数(pfu)/mLに変換するために、そのTCID50/mLに係数0.7を乗じた(ATCC-TCID[50]をプラーク形成単位(PFU)に変換)。
2.2.40.4 動物飼育(animal housing)
K18-hACE c57BL/6Jマウス(株: 2B6.Cg-Tg(K18-ACE2)2Prlmn/J)は、ジャクソン研究所(The Jackson Laboratory)から入手した。ヘミ接合体の子孫を実験に使用した。年齢を揃えた雄及び雌のマウスとし、並びに標準的な固形飼料群を与え、及び標準的な固形飼料を与え、病原体を含まない施設で飼育した。感染後3日目まで毎日同じ時刻に、マウスの体重を測定した(感染後、20%の体重喪失で、又はヒトのエンドポイントに達した時点で、その動物を安楽死させた)。
2.2.40.5 マウスの処置
マウスを、感染の1日前及び感染の1日後に、イソフルラン麻酔下で、製剤化したヒトIFNλ1 mRNA(7.5 μg のmRNA、肺に蒸着した3 μgに対応する)の15 μLの接種物で、鼻腔内処置をした。
2.2.40.6 マウスの感染
mRNAの投与と同じ方法(イソフルラン吸入麻酔下での、15 μLアリコートの鼻腔内投与)で、SARS-CoV-2を接種した。
2.2.40.7 RNAの単離、リアル-タイムqPCR
PBS中のTissuelyser(II)(Qiagen)中のスチール・ビーズ(Steel beads)(Qiagen)を使って、肺をホモジナイズし、直ちにRNAの単離に使用した。High Pure RNA Isolationキット(ロシュ)を用いて、RNAを単離し、等量のRNAを、標準的な1-ステップRT-PCR(Applied Biosystems TaqMan RNA to CT One Step Kit)に使用した。SARS-CoV-2 N遺伝子について、qPCRプライマーAAATTTTGGGGACCAGGAAC 及び TGGCACCTGTGTAGGTCAAC 並びにプローブFAM-ATGTCGCGCATTGGCATGGA-BHQ、を使用した。IFN-β、Mx1及びβ-アクチンについては、Taqman遺伝子発現アッセイを使用した(アプライド・バイオシステムズ)。SARS-CoV-2 N遺伝子、IFNβ、又はMx1のRNAレベルを、公式2^(Ct(18S-rRNA)-Ct(Sars-CoV-2 RNA))を用いて、マウスのハウスキーピング遺伝子であるβアクチンに対して、正規化した。
2.2.40.8 TCID50アッセイ
細胞培養上清中の、又は生成したウイルス・ストック中の感染性ウイルスの含量を測定するために、限界希釈アッセイを行った。2×104個のVeroE6-TMPRRS2細胞を、90 μLのDMEM5として、96ウェル・プレート中に播種した。翌日、サンプルを解凍し、10倍希釈し、続いてDMEMを用いて10倍段階希釈し、各々の希釈液10μLを、前記細胞に、8個のレプリケート(eight replicates)で添加した。前記細胞を、加湿CO 2インキュベーター中、37℃、5% CO2で、72時間、インキュベートした。5%ホルマリン(Sigma-Aldrich)及びクリスタル・バイオレット染色液(Sigma-Aldrich)で固定した後、光学顕微鏡(Leica DMi1)を用いて、細胞障害作用(cytopathic effect (CPE))をスコア化し、組織培養感染量50(tissue culture infectious dose 50 (TCID50/mL))を、Reed及びMuench法を用いて、計算した。

Claims (15)

  1. ウイルス-誘導性障害を治療する、又は予防する際に使用するための、IFN-λポリペプチドをコードするmRNAを含む医薬組成物。
  2. 請求項1に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記ウイルス-誘導性障害は、ウイルス-誘導性呼吸器障害である。
  3. 請求項2に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記ウイルス-誘導性呼吸器障害を引き起こすウイルスは、ライノウイルス、インフルエンザ・ウイルス、パラインフルエンザ・ウイルス、メタ肺炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス及びコロナ・ウイルス、からなる群より選択される。
  4. 請求項2又は3に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記ウイルス-誘導性呼吸器障害を引き起こすウイルスは、ACE2レセプターを介して細胞に進入するウイルスである。
  5. 請求項4に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2又はHCoV-NL63、である。
  6. 請求項2から5の何れか一項に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記mRNAを、呼吸器系への送達により投与する。
  7. 請求項6に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記呼吸器系中への前記送達は、吸入である。
  8. 請求項7に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記吸入は、前記mRNAを含むエアロゾルの吸入である。
  9. 請求項1から8の何れか一項に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記mRNAは、非修飾ヌクレオチドと修飾ヌクレオチドとの組み合わせを含む、ここで、ウリジン・ヌクレオチドの5%から50%、及びシチジン・ヌクレオチドの5%から50%は、それぞれ、修飾ウリジン・ヌクレオチド、及び修飾シチジン・ヌクレオチドである、並びに、好ましくは、前記修飾ウリジン・ヌクレオチドは、2-チオウリジンである、及び前記修飾シチジン・ヌクレオチドは、5-メチルシチジン、である。
  10. 請求項1から9の何れか一項に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記IFN-λポリペプチドは、IFNλ1、IFNλ2及びIFNλ3、又はそれらの組み合わせ、からなる群より選択される。
  11. 請求項10に記載の使用するための医薬組成物、ここで、IFNλ1をコードするmRNAのコーディング領域(coding region)は、配列番号(SEQ ID NO): 1に示す通りである、ここで、IFNλ2をコードするmRNAのコーディング領域(coding region)は、配列番号(SEQ ID NO): 3に示す通りである、又はここで、IFNλ3をコードするmRNAのコーディング領域(coding region)は、配列番号(SEQ ID NO): 5に示す通りである。
  12. 請求項10又は11に記載の使用するための医薬組成物、ここで、IFNλ1をコードするmRNAは、配列番号(SEQ ID NO): 13に示す配列を有する、ここで。IFNλ2をコードするmRNAは、配列番号(SEQ ID NO): 14に示す配列を有する、又はここで、IFNλ3をコードするmRNAは、配列番号(SEQ ID NO): 15に示す配列を有する。
  13. タイプIインターフェロンをコードするmRNA、及び/又はタイプIIインターフェロンをコードするmRNA、を更に含む、請求項1から12の何れか一項に記載の使用するための医薬組成物。
  14. 請求項13に記載の使用するための医薬組成物、ここで、前記タイプIインターフェロンは、IFN-α、好ましくはIFN-α16、及びIFN-β、からなる群より選択される、並びに前記タイプIIインターフェロンは、IFNγである。
  15. 配列番号(SEQ ID NO):10から12までの何れか一つに記載の配列を有する、DNA分子。
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