JP2023548311A - 疾患の治療のための融合タンパク質 - Google Patents

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    • C07K2319/31Fusion polypeptide fusions, other than Fc, for prolonged plasma life, e.g. albumin

Abstract

インターロイキン-2(IL2)融合タンパク質の1つまたは複数の用量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、用量は約0.1mg~約9mgである方法が、本明細書中に開示される。IL2融合タンパク質の用量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、用量は約9mg超である方法もまた、本明細書中に開示される。本明細書中に開示される方法において用いられるIL2融合タンパク質は、(a)IL2ポリペプチドを含む第1のポリペプチド;および(b)IL2受容体α(IL2R)ポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のポリペプチドを含む。一部の態様では、疾患または障害は、全身性エリテマトーデスなどの免疫媒介疾患である。一部の態様では、方法は、対象にコルチコステロイドを投与することをさらに含む。【選択図】なし

Description

関連出願に対する相互参照
本PCT出願は、それらの両方がその全体で参照により本明細書中に組み入れられる、2020年10月29日出願の米国仮特許出願第63/198,615号および2020年12月10日出願の同第63/123,991号の利益を主張する。
電子的に提出された配列表に対する参照
本出願と共に提出されたASCIIテキストファイルにおいて電子的に提出された配列表(名称:3338.234PC02_SL_ST25.txt;サイズ:49,540バイト;作成日:2021年10月29日)の内容は、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる。
本開示の分野
本開示は、インターロイキン-2(IL2)/IL2受容体α融合タンパク質の1つまたは複数の用量を投与することによる、対象において疾患または障害を治療するための方法を提供する。
インターロイキン-2(IL2またはIL-2)は、免疫系の主要な側面を調節する生物学的サイトカインである。IL-2は、炎症性疾患または自己免疫疾患を有する患者において免疫応答を促進するための試みにおいて用いられてきた。IL-2は、抗原活性化型T細胞のクローン拡大増殖をはじめとする免疫応答を促進し、CD4+Tヘルパー(Th)1およびTh2細胞の発達を駆動し、CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を最終分化させ、かつCD4+Th17およびT濾胞性ヘルパー(Tfh)細胞の発達を妨げる、強力なT細胞増殖因子である。IL-2はまた、T細胞メモリーリコール応答も形成する。
Tregに対するIL-2シグナル伝達経路の重要性は、IL-2シグナル伝達経路の構成要素を欠失するマウスまたはヒトにおける全身性自己免疫の出現により実証されてきた。調節T細胞(Treg)数および/または機能の調節異常は、多数の免疫媒介状態に関連付けられてきた。例えば、Bluestone, J.A., et al., J Clin Invest. 125:2250-60 (2015);およびDominguez-Villar, M and Hafler, D.A., Nat Immunol. 19:665-73 (2018)を参照されたい。IL-2、IL-2Rα、およびIL-2Rβ遺伝子座における自己免疫リスク変異体が、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を通して特定され、炎症性腸疾患(IBD)、1型自己免疫性糖尿病(T1DM)、多発性硬化症(MS)、および関節リウマチ(RA)をはじめとする免疫媒介疾患に関連付けられてきた。例えば、Abbas, A.K., et al., Sci Immunol. 3, eaat1482 (2018)を参照されたい。主要なTreg系統転写因子FoxP3に影響する突然変異は、機能的Tregの喪失から生じる自己免疫性リンパ増殖性疾患である免疫調節異常多腺性内分泌障害腸疾患X連鎖(IPEX)症候群を引き起こす。加えて、IL-2RAにおける突然変異から生じるCD25欠損を有する患者は、IPEX症候群に類似する免疫調節異常に見舞われる。例えば、Verbsky, J.W. and Chatila, T., Curr Opin Pediatr. 25(6):708-14 (2013)を参照されたい。遺伝学的データは、マウスおよびヒトの両方において、Treg機能および自己免疫の抑制におけるIL-2の中心的役割に合致する。
Tregに対するIL-2の作用の重要性に起因して、低用量組み換えIL-2が、免疫媒介疾患でのTregに基づく免疫抑制戦略のために用いられてきた。例えば、Saadoun, D., et al., N Engl J Med. 365:2067-77 (2011);He, J., et al., Arthritis Rheumatol. 67(suppl 10) (2015);Koreth, J., et al., N Engl J Med. 365:2055-66 (2011);およびHumrich, J.Y., et al. Ann Rheum Dis. 74:791-2 (2015)を参照されたい。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)は、Tregが減少した免疫調節能を示す、IL-2欠損状態により特徴付けられる。低用量のIL-2は、SLE患者において楽観視できる臨床的利益を示したが;しかしながら、その臨床的有用性は、毎日の注入の必要性ならびに炎症促進性サイトカインおよび非Treg細胞の増加の観察に起因して、限定される。対照的に、高用量IL-2は、Tエフェクター細胞を介して抗腫瘍免疫応答を刺激するために用いられてきた。例えば、Rosenberg, S.A., J Immunol. 192:5451-8 (2014)を参照されたい。
これらの臨床的研究からの有望な結果にもかかわらず、低用量組み換えIL-2療法は、頻繁な投薬を余儀なくさせる非常に短い半減期(数分間)、および有効性を強力に制限する非Treg作用の活性化に対する小さなウインドウにより限定される。したがって、例えば、感染性疾患およびSLEなどの免疫媒介疾患の治療における使用のための、改善された薬物動態および応答の持続性を有する新規IL2生物製剤に対する必要性が残っている。
本開示の概要
本開示の特定の態様は、インターロイキン-2(IL2)融合タンパク質の1つまたは複数の用量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において疾患または障害を治療する方法を目的とし、ここで、融合タンパク質は、(a)IL2ポリペプチドを含む第1のポリペプチド、および(b)インターロイキン-2受容体α(IL2Rα)ポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のポリペプチドを含み;(i)IL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインは、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有し;かつ/または(ii)IL2ポリペプチドは、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有し;用量のうちの1つまたは複数は、約0.1mg~約9mgである。
一部の態様では、融合タンパク質は、局所、表皮、粘膜、鼻内、経口、膣内、直腸、舌下、局所、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外または胸骨内経路を介して、対象に投与される。
一部の態様では、融合タンパク質は、静脈内経路を介して対象に投与される。一部の態様では、融合タンパク質は、約0.3mg~約9mgの用量で、静脈内経路を介して投与される。
一部の態様では、融合タンパク質は、約1mg~約9mg、約2mg~約9mg、約3mg~約9mg、約4mg~約9mg、約5mg~約9mg、約6mg~約9mg、約7mg~約9mg、約8mg~約9mg、約1mg~約8mg、約2mg~約8mg、約3mg~約8mg、約4mg~約8mg、約5mg~約8mg、約6mg~約8mg、約7mg~約8mg、約1mg~約7mg、約2mg~約7mg、約3mg~約7mg、約4mg~約7mg、約5mg~約7mg、約6mg~約7mgの用量で、静脈内経路を介して対象に投与される。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約3mg~約9mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約6mg~約9mgである。
一部の態様では、融合タンパク質は、約0.1mg~約6mg、約1mg~約6mg、約2mg~約6mg、約3mg~約6mg、約4mg~約6mg、または約5mg~約6mg、約1mg~約5mg、約2mg~約5mg、約3mg~約5mg、約4mg~約5mg、約1mg~約4mg、約2mg~約4mg、約3mg~約4mg、約1mg~約3mg、または約2mg~約3mgの用量で、静脈内経路を介して対象に投与される。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg~約3mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg~約1mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg~約0.3mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.3mg~約6mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約1mg~約3mgである。
一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg、約0.3mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、または約9mgである。
一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約9mg超である。
一部の態様では、融合タンパク質は、皮下経路を介して対象に投与される。一部の態様では、融合タンパク質は、約1mg~約8mg、約2mg~約8mg、約3mg~約8mg、約4mg~約8mg、約5mg~約8mg、約6mg~約8mg、約7mg~約8mg、約1mg~約7mg、約2mg~約7mg、約3mg~約7mg、約4mg~約7mg、約5mg~約7mg、約6mg~約7mg、約1mg~約6mg、約2mg~約6mg、約3mg~約6mg、約4mg~約6mg、または約5mg~約6mg、約1mg~約5mg、約2mg~約5mg、約3mg~約5mg、約4mg~約5mg、約1mg~約4mg、約2mg~約4mg、約3mg~約4mg、約1mg~約3mg、または約2mg~約3mgの用量で、皮下経路を介して対象に投与される。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約3mg~約8mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約6mg~約8mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約1mg~約6mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約1mg~約3mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約3mg~約6mgである。
一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約1mg、約3mg、約6mg、または約8mgである。
一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約8mg超である。
一部の態様では、方法は、融合タンパク質の2つの用量の間に投薬間隔を置いて、融合タンパク質の用量の2つ以上を投与することを含む。一部の態様では、融合タンパク質の投薬間隔は、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、または少なくとも約6日間である。一部の態様では、融合タンパク質の投薬間隔は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヵ月間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約2ヵ月間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、または少なくとも約3ヵ月間である。一部の態様では、投薬間隔は、少なくとも約3週間である。一部の態様では、融合タンパク質の投薬間隔は、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、または約6日間である。一部の態様では、融合タンパク質の投薬間隔(internal)は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヵ月間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約2ヵ月間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、または約3ヵ月間である。一部の態様では、融合タンパク質の投薬間隔は、約3週間である。一部の態様では、融合タンパク質の投薬間隔は、用量全体を通して同じである。一部の態様では、融合タンパク質の投薬間隔は、用量全体を通して異なる。一部の態様では、融合タンパク質の2つ以上の用量のうちの少なくとも1つは静脈内投与され、融合タンパク質の2つ以上の用量のうちの少なくとも1つは皮下投与される。一部の態様では、静脈内投与される用量は、皮下投与される用量の前に与えられる。一部の態様では、融合タンパク質の第1用量は静脈内(intraveneously)投与され、かつ融合タンパク質の第2(いずれかの後続または最後の)用量は皮下投与される。
一部の態様では、疾患または障害は、感染性疾患、免疫媒介疾患である。一部の態様では、免疫媒介疾患は、炎症性疾患または自己免疫疾患である。一部の態様では、免疫媒介疾患は、1型糖尿病;多発性硬化症;関節リウマチ;セリアック病;全身性エリテマトーデス;ループス腎炎;皮膚ループス;若年性特発性関節炎;クローン病;潰瘍性大腸炎;全身性硬化症;移植片対宿主病(GvHD);乾癬;円形脱毛症;HCV誘導型血管炎;シェーグレン症候群;天疱瘡;強直性脊椎炎;ベーチェット病;ウェゲナー肉芽腫症;高安病;自己免疫性肝炎;硬化性胆管炎;グジェロー・シェーグレン;炎症性腸疾患;免疫調節異常多腺性内分泌障害腸疾患X連鎖(IPEX)症候群;およびマクロファージ活性化症候群からなる群より選択される。一部の態様では、免疫媒介疾患は、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、または皮膚ループスである。一部の態様では、免疫媒介疾患は、全身性エリテマトーデスである。
一部の態様では、方法は、コルチコステロイドを対象に投与することをさらに含む。一部の態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、コルチゾン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、およびパラメタゾンからなる群より選択される。一部の態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、またはプレドニゾンである。一部の態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾロンである。
一部の態様では、コルチコステロイドは、局所、表皮、粘膜、鼻内、経口、膣内、直腸、舌下、局所、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内(inaarterial)、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、または胸骨内経路を介して、対象に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドは、局所、経口、静脈内、または筋内経路を介して、対象に投与される。
一部の態様では、コルチコステロイドは、融合タンパク質(the of the fusion protein)の各用量の前、それと同時、または後に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドは、融合タンパク質の各用量の前に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドは、融合タンパク質の各用量と同時に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドの2つ以上の用量が、各用量の間に投薬間隔を置いて、対象に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドの投薬間隔は、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヵ月間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約2ヵ月間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、または少なくとも約3ヵ月間である。一部の態様では、コルチコステロイドはプレドニゾロン(prednisoloine)であり、融合タンパク質は、週2回皮下的に対象に投与され、かつプレドニゾロンは、週3回経口的に対象に投与される。
一部の態様では、IL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインは、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化、少なくとも2箇所少ないグリコシル化、少なくとも3箇所少ないグリコシル化、少なくとも4箇所少ないグリコシル化、少なくとも5箇所少ないグリコシル化、少なくとも6箇所少ないグリコシル化、少なくとも7箇所少ないグリコシル化、少なくとも8箇所少ないグリコシル化、または少なくとも9箇所少ないグリコシル化を有する。
一部の態様では、IL2ポリペプチドは、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有する。
一部の態様では、第1のポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一なアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号3に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有するIL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインは、グリコシル化を除去する突然変異を含む。一部の態様では、突然変異は、O-グリコシル化および/またはN-グリコシル化を除去する。一部の態様では、突然変異は、O-グリコシル化を除去する。一部の態様では、突然変異は、N-グリコシル化を除去する。一部の態様では、突然変異は、配列番号1に対応する、アミノ酸167~219、アミノ酸168~219、アミノ酸169~219、アミノ酸170~219、アミノ酸171~219、アミノ酸172~219、アミノ酸173~219、アミノ酸174~219、アミノ酸175~219、アミノ酸176~219、アミノ酸177~219、アミノ酸178~219、アミノ酸179~219、アミノ酸180~219、アミノ酸181~219、アミノ酸182~219、アミノ酸183~219、アミノ酸184~219、アミノ酸185~219、アミノ酸186~219、アミノ酸187~219、アミノ酸188~219、アミノ酸189~219、アミノ酸190~219、アミノ酸191~219、またはアミノ酸192~219の欠失である。
一部の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号4である。一部の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号3である。
一部の態様では、突然変異は、グリコシル化されないアミノ酸による、グリコシル化されるアミノ酸の1つまたは複数の置換である。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、アミノ酸N49、アミノ酸N68、アミノ酸T74、アミノ酸T85、アミノ酸T197、アミノ酸T203、アミノ酸T208、およびアミノ酸T216、またはそれらのいずれかの組み合わせでのものであり、ここで、アミノ酸位置は、配列番号1に対応する。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、トレオニンから、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸T85である。一部の態様では、T85は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される(seleted)アミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸T197である。一部の態様では、T197は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸T203である。一部の態様では、T203は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸T208である。一部の態様では、T208は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸T216である。一部の態様では、T216は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、突然変異は、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にしないアミノ酸による、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にするアミノ酸の1つまたは複数の置換である。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、アミノ酸S50、アミノ酸S51、アミノ酸T69、アミノ酸T70、アミノ酸C192、またはそれらのいずれかの組み合わせでのものであり、ここで、アミノ酸位置は、配列番号1に対応する。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸S50でのものである。一部の態様では、S50は、プロリンへと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸S51でのものである。一部の態様では、S51は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸T69でのものである。一部の態様では、T69は、プロリンへと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸T70でのものである。一部の態様では、T70は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸C192でのものである。一部の態様では、C192は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有するIL2ポリペプチドは、グリコシル化を除去する突然変異を含む。一部の態様では、突然変異は、グリコシル化されないアミノ酸による、グリコシル化されるアミノ酸の1つまたは複数の置換である。一部の態様では、突然変異は、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にしないアミノ酸による、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にするアミノ酸の1つまたは複数の置換である。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、アラニンから、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、トレオニンから、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、システインから、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、システインからセリンへのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、システインからアラニンへのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、システインからバリンへのものである。一部の態様では、置換のうちの1つは、対応する配列番号2と比較して、アミノ酸T3でのものである。一部の態様では、置換のうちの1つは、アミノ酸C125でのものであり、アミノ酸C125での置換は、C125S、C125A、およびC125Vからなる群より選択される。一部の態様では、突然変異は、欠失である。一部の態様では、欠失は、アミノ酸A1でのものである。
一部の態様では、融合タンパク質は、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間にインフレームで融合されたリンカーをさらに含む。一部の態様では、リンカーは、グリシン/セリンリンカーである。一部の態様では、グリシン/セリンリンカーは、(GS)、(GGS)、(GGGS)、(GGGGS)、または(GGGGS)のアミノ酸配列を含み、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数である。一部の態様では、グリシン/セリンリンカーは、(GGGS)のアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、融合タンパク質(fusion proten)は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、融合タンパク質は、第1のポリペプチドおよび/または第2のポリペプチドに融合された異種部分をさらに含む。一部の態様では、異種部分は、半減期延長部分である。一部の態様では、異種部分は、アルブミン、免疫グロブリン定常領域またはその一部分、免疫グロブリン結合性ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合性ポリペプチド(ABP)、PAS化部分、HES化部分、XTEN、PEG化部分、Fc領域、およびそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、融合タンパク質は、配列番号5に示されるアミノ酸配列からなる。
一部の態様では、融合タンパク質は、酵素的または化学的に脱グリコシル化される。一部の態様では、融合タンパク質は、アルカリ、ヒドラジン分解、PNGアーゼF、エンドH、O-グリコシダーゼ、またはそれらのいずれかの組み合わせにより脱グリコシル化される。
一部の態様では、融合タンパク質は、単量体である。一部の態様では、融合タンパク質は、二量体である。
一部の態様では、融合タンパク質は、融合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物の一部として対象に投与される。
図1Aおよび図1Bは、実施例1に記載される第1相無作為化二重盲検プラセボ対照単回漸増用量(「SAD」)研究設計(図1A)および単回漸増投薬レジメン(図1B)の模式図を示す。すべてのコホートにおいて、センチネル投薬(1:1 BMS-986326またはプラセボ)が用いられる。用量レベルは、先行コホートからの新たに得られたデータに応じて変更される場合がある。最大用量上昇工程は、前の用量レベルの約3倍以下であろう。「IV NOAEL」は、単回用量サル毒性研究に関する、NOAEL(AUC[0~336時間]≦757μ・h/ml)に対する平均曝露(exposue)(時間ゼロから無限までの濃度-時間曲線下面積;「AUC[INF]」)を与えることが予測される最大静脈内(IV)用量を意味する。コホートA6は、先行コホートからの薬力学(PD)結果に応じて、適宜設けられる。「SC」は、12週間(3週間毎に1回)SCサル毒性研究に関して、NOAEL(AUC[0~504時間]≦306μ・h/ml)を超過しないであろう平均曝露(AUC[INF])を与えることが予測される最大皮下(SC)用量を意味する。 図2A~図2Bは、NZB×NZQマウス対BALB/cマウスにおけるTreg CD25発現を示す。NZB×NZW(n=5、26週齢)マウスまたはBALB/c(n=6、9~10週齢)マウス由来の脾細胞を、CD4、Foxp3、およびCD25に対する抗体を用いて染色した。図2Aは、各群の代表的マウス由来のCD4ゲートにおけるFoxp3細胞のパーセンテージおよびCD4Fox3ゲートにおけるCD25細胞のパーセンテージを示す。図2Bは、CD4Foxp3T細胞の平均蛍光強度(MFI)を示す(平均±SEM)。一元配置分散分析により、***p<0.001。 図3A~図3Eは、BALB/cマウスにおけるTregおよび非Treg細胞に対するmIL-2/CD25投与の作用を示す。BALB/cマウス(n=5、8~10週齢)を、0日目、3日目、および6日目にmIL-2/CD25を用いて、0日目、2日目、4日目、および6日目にFc-IL2を用いて、または0日目、3日目、および6日目にPBSを用いて治療した。7日目にマウスを屠殺し、フローサイトメトリーによる分析のために脾臓を回収した。図3Aは、CD4T細胞のうちのFoxp3CD25細胞のパーセンテージを示す。図3Bは、CD4Foxp3+CD25T細胞の総数を示す。図3Cは、CD4Foxp3T細胞の総数を示す。図3Dは、CD8T細胞の総数を示す。図3Eは、CD335CD49dNK細胞の総数を示す。一元配置分散分析により、PBS対照群に対して、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図4A~図4Dは、NZB×NZWマウス(早期疾患)におけるmIL-2/CD25投与によるループスの阻害を示す。30mg/dLのタンパク尿レベルを有する雌性NZB×NZW F1マウス(22~24週齢)を、群当たりn=10として、PBSまたは0.1、0.2、もしくは0.4mg/kgにおいてmIL-2/CD25(s.c.2×/週)を用いて、あるいはプレドニゾロン(10mg/kg p.o.3×/週)を用いて、14週間にわたって治療した。mIL-2/CD25投与は、タンパク尿のレベル(図4A)、高タンパク尿(3以上のスコア)を有するマウスのパーセンテージ(図4B)、抗dsDNA IgG力価(図4C)、および腎臓組織学スコア(図4D)の用量依存的低減を示した。一元配置分散分析により、研究の終了時に、PBS群に対して、**p<0.01、****p<0.0001。 図5A~図5Dは、NZB×NZWマウスにおける、Tregに対するmIL-2/CD25投与の作用を示す。30mg/dLのタンパク尿レベルを有する雌性NZB×NZW F1マウス(22~24週齢)を、群当たりn=4として、PBSまたは0.1、0.2もしくは0.4mg/kgにおいてmIL-2/CD25(s.c.2×/週)を用いて、あるいはプレドニゾロン(p.o.3×/週)を用いて、4週間にわたって治療した。mIL-2/CD25(8回目の用量の48時間後)は、血液(図5A)および脾臓(図5B)において、Treg(CD4+CD25+Foxp3+)のパーセンテージの用量依存的増加を示した。Tregゲート(CD4CD25Foxp3)におけるKi67細胞(図5C)およびCD25 MFI(図5D)のパーセンテージもまた、脾臓において用量依存的形式で増加した。一元配置分散分析により、PBS群に対して、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図6A~図6Eは、NZB×NZWマウス(進行疾患)におけるmIL-2/CD25投与によるループスの阻害を示す。100mg/dLのタンパク尿レベルを有する雌性NZB×NZW F1マウス(約27週齢)を、群当たりn=12~14として、PBSまたは0.1もしくは0.3mg/kgにおいてmIL-2/CD25(s.c.2×/週)を用いて、10週間にわたって治療した。mIL-2/CD25を用いる治療は、研究の完了時での、タンパク尿のレベルの用量依存的低減(図6A)、抗dsDNA IgG力価の低減に向かう傾向(図6B)、血清IL-12のレベルの低減(図6C)、腎臓組織学スコアの低減(図6D)、および脾臓におけるCD4Foxp3CD25細胞のパーセンテージの増加(図6E)をもたらした。一元配置分散分析により、PBS群に対して、p<0.05。両側t検定により、PBS群に対して、#p<0.05。 図7A~図7Eは、NZB×NZWマウスにおけるmIL-2/CD25およびプレドニゾロン併用治療の作用を示す。30mg/dLのタンパク尿レベルを有する雌性NZB×NZW F1マウス(21~23週齢)を、PBS、mIL-2/CD25(0.1mg/kg s.c.2×/週)、プレドニゾロン(1mg/kg p.o.3×/週)のいずれかを用いて、またはmIL-2/CD25(0.1mg/kg s.c.2×/週)およびプレドニゾロン(1mg/kg p.o.3×/週)の組み合わせを用いて、14週間にわたって治療した。高用量のプレドニゾロン(10mg/kg、p.o.3×/週)およびmIL-2/CD25(0.2ug/kg s.c.2×/週)群を、群当たりn=12として、対照として含めた。タンパク尿のレベル(図7A)、抗dsDNA抗体力価(図7B)、および組織学スコア(図7C)に対する作用が示される。mIL-2/CD25治療は、プレドニゾロンの存在下または非存在下での、脾臓におけるTreg(CD4CD25Foxp3)のパーセンテージ(図7D)およびTregゲート(CD4CD25Foxp3)中のCD25 MFI(図7E)の増加を示した。図7Dおよび図7Eに関して、群当たりn=5。一元配置分散分析により、研究の終了時に、PBS群に対して、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 図8A~図8Fは、NZB×NZWマウスにおけるmIL-2/CD25およびプレドニゾロン併用治療の作用を示す。図7に記載される通りのmIL-2/CD25およびプレドニゾロン組み合わせ研究の完了時に、RT-PCR分析のために腎臓を回収した。1型インターフェロン遺伝子発現[IFIT1(図8A)、IFIT3(図8B)、MX1(図8C)、IRF7(図8D)、GBP2(図8E)およびLIGP1(図8F)]のさらなる低減が、いずれかの単剤療法単独と比較して、併用治療を用いて観察された。 図9A~図9Fは、MRL/lprマウスにおけるmIL-2/CD25投与によるループスの阻害を示す。30mg/dLのタンパク尿レベルを有する雄性MRL/lprマウス(12~14週齢)を、群当たりn=10として、PBSまたは0.1、0.2もしくは0.4mg/kgにおいてmIL-2/CD25(s.c.2×/週)を用いて、あるいはプレドニゾロン(PO 3×/週)を用いて、12週間にわたって治療した。mIL-2/CD25を用いる治療は、タンパク尿のレベル(図9A)、抗dsDNA IgG力価(図9B)、および腎臓組織学スコア(図9C)の用量依存的低減、ならびに血液(図9D)および脾臓(図9E)中のTreg(CD4CD25Foxp3)のパーセンテージの用量依存的増加、ならびに脾臓におけるTregゲート(CD4CD25Foxp3)でのCD25 MFIの増加(図9F)をもたらした。一元配置分散分析により、12週目において、PBS群に対して、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
本開示の特定の態様は、インターロイキン-2(IL2)融合タンパク質の用量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において疾患または障害、自己免疫疾患および/または炎症性疾患、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を目的とし、ここで、融合タンパク質は、(a)IL2ポリペプチドを含む第1のポリペプチド;および(b)インターロイキン-2受容体α(IL2Rα)ポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のポリペプチドを含み、(i)IL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインは、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有し;かつ/または(ii)IL2ポリペプチドは、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有する。一部の態様では、用量は、約0.1mg~約9mgである。一部の態様では、用量は、約9mg超である。一部の態様では、融合タンパク質は静脈内経路を介して対象に投与され、かつ用量は約0.1mg~約9mgである。一部の態様では、融合タンパク質は静脈内経路を介して対象に投与され、かつ用量は約9mg超である。一部の態様では、融合タンパク質は皮下経路を介して対象に投与され、かつ用量は約1mg~約8mgである。一部の態様では、融合タンパク質は皮下経路を介して対象に投与され、かつ用量は約8mg超である。
一部の態様では、方法は、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、コルチゾン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、またはパラメタゾンを投与することをさらに含む。
本開示をより容易に理解できるように、特定の用語が最初に定義される。本出願において用いる場合、本明細書中に明白に別途与えられるものを除いて、以下の用語のうちのそれぞれは、以下に示される意味を有するであろう。追加の定義が、本明細書全体を通して示される。
I.定義
本開示をより容易に理解できるように、特定の用語が最初に定義される。本出願において用いる場合、本明細書中に明白に別途与えられるものを除いて、以下の用語のうちのそれぞれは、以下に示される意味を有するであろう。追加の定義が、本出願全体を通して示される。
用語「a」または「an」実体とは、その実体のうちの1つまたは複数を意味することが注記されるべきであり;例えば、「a nucleotide sequence」は、1つまたは複数のヌクレオチド配列を表すものと理解される。そのようにして、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数」、および「少なくとも1つ」は、本明細書中で相互に交換可能に用いることができる。
さらに、本明細書中で用いる場合の「および/または」は、他方を伴うかまたは伴わない、2つの明記される特徴または構成要素のうちのそれぞれの具体的開示として理解されるべきである。つまり、本明細書中で「Aおよび/またはB」などの語句中で用いる場合、用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句中で用いる場合、用語「および/または」は、以下の態様のうちのそれぞれを包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
同様に、単語「または」は、そうでないことを文脈が明らかに示さない限り、「および」を含むことが意図される。核酸またはポリペプチドに関して与えられる、すべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量または分子質量値は近似値であり、かつ説明のために提供されることが、さらに理解されるべきである。
単語「含むこと」を用いて本明細書中で態様が説明されるいずれの箇所においても、「からなること」および/または「本質的に~からなること」に関して説明される他の類似の態様もまた提供されることが理解される。
用語「約」は、概ね、おおよそ、付近、または数値域中を意味するために、本明細書中で用いられる。用語「約」が数値範囲と共に用いられる場合、この用語は、示される数値の上下の境界を延長することによって、範囲を修飾する。つまり、「約10~20」は、「約10~約20」を意味する。一般的に、用語「約」は、上下(より高いかまたはより低い)の、例えば、10パーセントの変動により、明記される値の上下の数値を修飾することができる。
本明細書中で用いる場合、用語「組み換え」は、遺伝子操作により、またはそれ以外の実験操作により作製される遺伝子からの発現を含む。
本明細書中で用いる場合、「インターロイキン-2」、「IL2」、または「IL-2」とは、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、ならびに家畜化哺乳動物または農業用哺乳動物などの哺乳動物をはじめとする、いずれかの脊椎動物供給源由来のいずれかのネイティブまたは組み換えIL2を意味する。この用語は、未プロセシングIL2、ならびに、細胞中でのプロセシングから生じるIL2のいずれかの形態(すなわち、IL2の成熟形態)を包含する。この用語はまた、IL2の天然に存在する変異体および断片、例えば、スプライシング変異体または対立遺伝子変異体、および天然に存在するIL2のIL2活性を有する天然に存在しない変異体も包含する。
IL2の追加の核酸およびアミノ酸配列が公知である。例えば、GenBank登録番号:Q7JFM2[アオトゥス・レムリヌス(Aotus lemurinus)(グレイベリードナイトモンキー(Gray-bellied night monkey))];Q7JFM5[アオトゥス・ナンシマエ(Aotus nancymaae)(マーズナイトモンキー(Ma’s night monkey))];P05016[バス・タウルス(Bas taurus)(ウシ)];Q29416[カニス・ファミリアリス(Canisfamiliaris)(イヌ)(カニス・ルプス・ファミリアリス(Canis lupus familiaris))];P36835[カプラ・ヒルクス(Capra hircus)(ヤギ)];およびP37997[エクウス・カバルス(Equus caballus)(ウマ)]を参照されたい。
IL2の生物学的に活性な断片および変異体は、IL2活性を保持する。語句「IL2の生物学的活性」または「IL2活性」とは、限定するものではないが、IL2受容体を担持するリンパ球を刺激する能力をはじめとする、IL2の生物学的活性のうちの1つまたは複数を意味する。そのような活性は、インビトロ(in vitro)およびインビボ(in vivo)の両方で測定することができる。IL2は、免疫活性の包括的な調節因子であり、ここで見られる作用は、そのような活性の合計である。例えば、IL2は、生存活性を調節し(Bcl-2)、Tエフェクター活性を誘導し(IFN-γ、グランザイムB、およびパーフォリン)、かつ/またはT調節活性を促進する(FoxP3)。
IL2の生物学的に活性な変異体が公知である。例えば、米国特許出願公開第20060269515号および同第20060160187号ならびにWO99/60128を参照されたい。
用語「分泌シグナル配列」は、より大きなポリペプチドの構成要素として、より大きなポリペプチドを、それがその中で合成される細胞の分泌経路を通過するように仕向けるポリペプチド(「分泌ペプチド」)をコードするポリヌクレオチド配列を意味する。より大きなポリペプチドは、一般的に、分泌経路を通過する間に切断されて、分泌ペプチドが除去される。
本明細書中で用いる場合、融合タンパク質またはポリペプチドの「成熟」形態は、分泌ペプチドが除去されているポリペプチドのプロセシングされた形態を含む。
本明細書中で用いる場合、融合タンパク質の「未プロセシング」形態は、分泌ペプチド配列を保持する。
用語「CD25」、「IL2受容体α」、「IL2Rα」、または「IL2Ra」とは、本明細書中で用いる場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、ならびに家畜化哺乳動物または農業用哺乳動物などの哺乳動物をはじめとする、いずれかの脊椎動物供給源由来のいずれかのネイティブまたは組み換えIL2Rαを意味する。この用語はまた、IL2Rαの天然に存在する変異体、例えば、スプライシング変異体もしくは対立遺伝子変異体、またはIL2Rα活性を有する天然に存在しない変異体も包含する。ヒトIL2は、その受容体システムであるIL2Rを通したシグナル伝達を介してその生物学的作用を発揮する。IL2およびその受容体(IL2R)は、T細胞増殖および免疫応答に関して極めて重要である他の基本的な機能に必要とされる。IL2Rは、α(p55)、β(p75)、およびγ(p65)鎖である3つの非共有的に連結されたI型膜貫通タンパク質からなる。ヒトIL2Rα鎖は、219アミノ酸の細胞外ドメイン、19アミノ酸の膜貫通ドメイン、および13アミノ酸の細胞内ドメインを含む。IL2Rα(IL2R-α)の分泌される細胞外ドメインは、本明細書中に記載される融合タンパク質において利用することができる。
IL2Rαに関する核酸およびアミノ酸配列が公知である。例えば、GenBank登録番号:NP_001030597.1[ナミチンパンジー(Pan troglodytes)];NP_001028089.1[アカゲザル(Macaca mulatta)];NM_001003211.1[オオカミ(Canis lupus)];NP_776783.1[家畜ウシ(Bos taurus)];NP_032393.3[ハツカネズミ(Mus musculus)];およびNP_037295.1[ドブネズミ(Rattus norvegicus)]を参照されたい。
IL2Rαの細胞外ドメインの生物学的に活性な断片および変異体もまた提供される。そのようなIL2Rα細胞外ドメイン活性変異体または断片は、IL2Rα細胞外ドメイン活性を保持するであろう。語句「IL2Rα細胞外ドメインの生物学的活性」とは、限定するものではないが、IL2に結合しかつ/またはIL2受容体応答性細胞における細胞内シグナル伝達を促進する能力をはじめとする、IL2Rαの細胞外ドメインの生物学的活性のうちの1つまたは複数を意味する。IL2Rαの生物学的に活性な断片および変異体の非限定的な例は、例えば、Robb et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:5654-8 (1988)に開示される。一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2Rαの生物学的に活性な断片および変異体は、ネイティブIL2Rαの細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を含む。
対象物に適用される場合、用語「天然に存在する」とは、本明細書中で用いる場合、対象物を天然に見出すことができるという事実を意味する。例えば、天然の供給源から単離することができ、かつ実験室において人により意図的に改変させていない生物(ウイルスを含む)中に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
「ポリペプチド」とは、少なくとも2個の連続的に連結されたアミノ酸残基を含む鎖を意味し、鎖の長さに対して上限はない。タンパク質中の1つまたは複数のアミノ酸残基は、限定するものではないが、グリコシル化、リン酸化またはジスルフィド結合形成などの修飾を含むことができる。「タンパク質」または「融合タンパク質」は、1つまたは複数のポリペプチドを含むことができる。
ポリペプチドの断片または変異体、およびそのいずれかの組み合わせもまた、本開示に含められる。本開示のポリペプチド結合性ドメインまたは結合性分子を参照する場合、用語「断片」または「変異体」は、参照ポリペプチドの特性(例えば、IL2Rαに関してIL2結合活性)のうちの少なくとも一部を保持するいずれかのポリペプチドを含む。ポリペプチドの断片は、タンパク質分解断片、ならびに欠失断片を含むが、天然に存在する全長ポリペプチド(または成熟ポリペプチド)は含まない。本開示のポリペプチド結合性ドメインまたは結合性分子の変異体は、上記の通りの断片、およびまたアミノ酸置換、欠失、または挿入に起因して変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドも含む。変異体は、天然に存在するかまたは天然に存在しないことができる。天然に存在しない変異体は、当技術分野で公知の突然変異誘発技術を用いて、作製することができる。変異体ポリペプチドは、保存的もしくは非保存的アミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。
上記の通り、ポリペプチド変異体は、例えば、修飾型ポリペプチドを含む。修飾としては、例えば、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有的架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、PEG化[Mei et al., Blood 116:270-79 (2010)]、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのタンパク質へのアミノ酸のトランスファーRNA媒介付加、およびユビキチン化が挙げられる。
本明細書中で用いる場合、タンパク質またはヌクレオチド配列中の用語「~に対応するアミノ酸」、「~に対応する部位」、または「等価アミノ酸」は、第1のタンパク質配列、例えば、IL2配列と、第2のタンパク質配列、例えば、第2のIL2配列との間の同一性または類似性を最大化するためのアライメントにより特定される。第2のタンパク質配列中の等価アミノ酸を特定するために用いる数字は、第1のタンパク質配列中の対応するアミノ酸を特定するために用いられる数字に基づく。一部の態様では、用語「に対応する」とは、ポリペプチド中の1つもしくは複数のアミノ酸またはポリヌクレオチド中の1つもしくは複数のヌクレオチドにおける突然変異の関係を意味する。非限定的な例のために、本明細書中に開示される通りのポリヌクレオチド(例えば、配列番号1)の具体的なアミノ酸(例えば、S50)とは、配列番号1における50番目のアミノ酸、セリンを意味する。
本明細書中で用いる場合、用語「会合した」とは、第1のアミノ酸鎖と第2のアミノ酸鎖との間に形成される共有結合または非共有結合を意味する。一態様では、用語「会合した」とは、共有的非ペプチド結合または非共有結合を意味する。この会合は、コロン、すなわち、(:)により示すことができる。別の態様では、会合は、ペプチド結合を除く共有結合を意味する。例えば、アミノ酸システインは、第2のシステイン残基上のチオール基とのジスルフィド結合または架橋を形成することができるチオール基を含む。大多数の天然に存在するIgG分子においては、CH1およびCL領域はジスルフィド結合により会合され、2つの重鎖が、Kabatナンバリングシステムを用いて239および242に対応する位置(226位または229位、EUナンバリングシステム)での2箇所にジスルフィド結合により会合される。共有結合の例としては、限定するものではないが、ペプチド結合、金属結合、水素結合、ジスルフィド結合、σ結合、π結合、δ結合、グリコシド結合、アゴスティック結合(agnostic bond)、ベント結合、双極子結合、π骨格、二重結合、三重結合、四重結合、五重結合、六重結合、共役、超共役、芳香性、ハプト数、または反結合性が挙げられる。非共有結合の非限定的な例としては、イオン結合(例えば、カチオン-π結合または塩結合)、金属結合、水素結合(例えば、二水素結合、二水素錯体、低障壁水素結合、または対称性水素結合)、ファンデルワールス力、ロンドン分散力、機械的結合、ハロゲン結合、金原子間結合、インターカレーション、スタッキング、エントロピー力、または化学極性が挙げられる。
用語「同等な」とは、本明細書中で用いる場合、例えば、融合タンパク質を用いて生じる比較された比率またはレベルが、参照比率またはレベルと等しいか、実質的に等しいか、または類似することを意味する。用語「類似する」とは、本明細書中で用いる場合、比較される比率またはレベルが、参照比率またはレベルからの10%以下または15%以下の差異を有することを意味する。用語「実質的に等しい」とは、比較される比率またはレベルが、参照比率またはレベルからの0.01%、0.5%または1%以下の差異を有することを意味する。
用語「発現」とは、本明細書中で用いる場合、それによりポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、RNAまたはポリペプチドを生成するプロセスを意味する。
「融合体」または「融合タンパク質」は、第1のアミノ酸配列とは自然界では天然に連結されない第2のアミノ酸配列にインフレームで連結された第1のアミノ酸配列を含む。別個のタンパク質中に通常存在するアミノ酸配列を、融合ポリペプチド中で一緒にすることができるか、または同じタンパク質中に通常存在するアミノ酸配列を、融合ポリペプチド、例えば、IL2タンパク質とIL2-Rαタンパク質との融合体において新たな配置に置くことができる。融合タンパク質は、例えば、化学合成により、またはペプチド領域同士が所望の関係でコードされるポリヌクレオチドを作製および翻訳することにより、作製される。融合タンパク質は、共有的非ペプチド結合または非共有結合により第1のアミノ酸配列に会合した第2のアミノ酸配列をさらに含むことができる。転写/翻訳時に、単一のタンパク質が作られる。このようにして、複数のタンパク質、またはその断片を、単一ポリペプチドへと組み込むことができる。「作動可能に連結された」とは、2つ以上のエレメントの間の機能的連結を意味することが意図される。例えば、2つのポリペプチド間の作動可能な連結は、両方のポリペプチドをインフレームで一緒に融合し、単一のポリペプチド融合タンパク質を生成する。一態様では、融合タンパク質は、以下でさらに詳細に議論される通り、リンカー配列を含むことができる第3のポリペプチドをさらに含む。
本明細書中で用いる場合、用語「BMS-986326」または「BMS-986326-01」とは、約83キロダルトン(kDa)の質量を有する非共有的自己遮断性ホモ二量体構造を形成する、ヒトインターロイキン-2(IL2)とヒトIL2受容体のαサブユニット(CD25)の細胞外ドメイン部分との組み換え融合タンパク質を意味する。IL2およびCD25部分は、(GGGS)の小さなペプチドリンカー配列により互いに連結される。BMS-986326は、長期的薬物動態(PK)および調節T細胞(Treg)選択性に関して最適化され、かつ低用量IL2受容体(IL2R)アゴニズムを提供する。不活性ホモ二量体として、BMS-986326は、単量体放出までIL2R結合性を立体的に阻害し、標的媒介性薬物生体内挙動(TMDD)および腎クリアランスを回避するためのメカニズムを提供し、かつ活性単量体の緩やかな放出を介してTreg選択的インビボ活性を増大させる。単量体放出は、分子がIL2Rとエンゲージして、Tregなどの高レベルのCD25を発現する細胞に対するより大きな効力および選択性を伴って、シグナル伝達を開始させることを可能にする。ラットおよびサルでの毒性研究は、BMS-986326に関して許容可能な忍容性プロファイルを実証している。一部の態様では、BMS-986326は、米国特許出願公開第2009-0359672号における配列番号16に対応する、配列番号5に示される通りのアミノ酸配列を含む。米国特許出願公開第2009-0359672号は、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる。
「Fc領域」(断片結晶化可能領域)、「Fcドメイン」、または「Fc」とは、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)上に局在するFc受容体への、または古典的補体系の第1成分(C1q)への結合性をはじめとする、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合性を媒介する、抗体の重鎖のC末端領域を意味する。つまり、Fc領域は、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1またはCL)を除いて、抗体の定常領域を含む。IgG、IgAおよびIgD抗体アイソタイプにおいては、Fc領域は、抗体の2本の重鎖の第2(CH2)および第3(CH3)の定常ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片を含み;IgMおよびIgE Fc領域は、各ポリペプチド鎖中に3つの重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を含む。IgGアイソタイプは、特定の生物種においてはサブクラスに分けられる:ヒトにおいてはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、ならびにマウスにおいてはIgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3。IgGに関して、Fc領域は、免疫グロブリンドメインCH2およびCH3ならびにCH1ドメインとCH2ドメインとの間のヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界の定義は変わり得るが、本明細書中で定義される場合、ヒトIgG重鎖Fc領域は、IgG1についてアミノ酸残基D221、IgG2についてV222、IgG3についてL221およびIgG4についてP224から、重鎖のカルボキシ末端まで伸びると定義され、ここで、ナンバリングはKabatにおける通りのEUインデックスに従う。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは、アミノ酸237からアミノ酸340まで伸び、かつCH3ドメインはFc領域中のCH2ドメインのC末端側に位置し、すなわち、IgGのアミノ酸341からアミノ酸447もしくは446(C末端リジン残基が非存在である場合)または445(C末端グリシンおよびリジン残基が非存在である場合)まで伸びる。本明細書中で用いる場合、Fc領域は、いずれかのアロタイプ変異体を含むネイティブ配列Fc、または変異体Fc(例えば、天然に存在しないFc)であり得る。
「Fc受容体」または「FcR」は、免疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRは、これらの受容体の対立遺伝子変異体およびオルタナティブスプライシングされた形態を含む、FcγRファミリーの受容体を含む。FcγRファミリーは、3種類の活性化受容体(マウスにおいてはFcγRI、FcγRIII、およびFcγRIV;ヒトにおいてはFcγRIA、FcγRIIA、およびFcγRIIIA)および1つの阻害性受容体(FcγRIIB)からなる。ヒトFcγRの様々な特性が、当技術分野で公知である。生得的エフェクター細胞タイプの大多数は、1つまたは複数の活性化FcγRおよび阻害性FcγRIIBを共発現する一方で、ナチュラルキラー(NK)細胞は、1種類の活性化Fc受容体(マウスにおいてはFcγRIIIおよびヒトにおいてはFcγRIIIA)を選択的に発現するが、マウスおよびヒトにおいては阻害性FcγRIIBを発現しない。ヒトIgG1は、大多数のヒトFc受容体に結合し、かつそれが結合する活性化Fc受容体のタイプに関して、ネズミIgG2aと等価であると考えられる。
用語「挿入された」、「挿入されている」、「~へと挿入された」、または文法的に関連する用語は、本明細書中で用いる場合、明記されるタンパク質中の類似の位置に対する融合ポリペプチド中の異種部分(例えば、半減期延長部分)の位置を意味する。本明細書中で用いる場合、この用語は、本明細書中に開示される組み換えポリペプチドの特徴を意味し、かつ融合ポリペプチドが作製されるいかなる方法またはプロセスも指示、含意または暗示するものではない。
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに関して「異種」および「異種部分」は、異なるタンパク質またはポリヌクレオチドに由来するポリペプチドまたはポリヌクレオチドである。融合タンパク質の追加の構成要素は、融合タンパク質の他のポリペプチド構成要素と同じ生物に由来することができるか、または追加の構成要素は、融合タンパク質の他のポリペプチド構成要素とは異なる生物に由来することができる。例えば、異種ポリペプチドは、合成されるか、あるいは異なる生物種、個体の異なる細胞タイプ、または異なる個体の細胞の同じかもしくは異なるタイプから誘導することができる。一態様では、異種部分は、融合ポリペプチドまたはタンパク質を生成するために、別のポリペプチドに融合されたポリペプチドである。別の態様では、異種部分は、ポリペプチドまたはタンパク質にコンジュゲート化されたPEGなどの非ポリペプチドである。本明細書中に開示される異種部分の非限定的な例は、グリシン/セリンリンカー[例えば、GGGSGGGSGGGS(配列番号6)((GlySer)とも記載される)]である。
「ネイティブ配列Fc領域」または「ネイティブ配列Fc」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列ヒトFc領域は、ネイティブ配列ヒトIgG1 Fc領域;ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域;ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域;およびネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに天然に存在するそれらの変異体を含む。ネイティブ配列Fcは、Fcの様々なアロタイプを含む[例えば、Jefferis et al. (2009) mAbs 1: 1を参照されたい]。
融合タンパク質を用いるインビトロまたはインビボアッセイの文脈において、用語「EC50」とは、最大応答の50%、すなわち、最大応答とベースラインとの間の中間である応答を誘導する融合タンパク質の濃度を意味する。
「保存的アミノ酸置換」とは、類似の側鎖を有するアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換を意味する。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。一部の態様では、IL2融合タンパク質中に予測される非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基を用いて置き換えられる。抗原結合性を排除しないヌクレオチドおよびアミノ酸保存的置換を特定する方法は、当技術分野で周知である[例えば、Brummell et al., Biochem. 32: 1180-7 (1993);Kobayashi et al. Protein Eng. 12(10):879-84 (1999);およびBurks et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:412-17 (1997)を参照されたい]。
遺伝子産物、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数のコード領域に作動可能に会合したプロモーターおよび/または他の転写もしくは翻訳制御エレメントを含むことができる。プロモーター以外の他の転写制御エレメント、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、および転写終結シグナルもまた、遺伝子産物発現へと向かわせるためにコード領域と作動可能に会合させることができる。
用語「パーセント配列同一性」、「パーセント同一性」、「配列同一性」、または「同一性」は、相互に交換可能に用いられ、かつ2つの配列の最適アライメントのために導入しなければならない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮して、比較ウインドウにわたって2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の間で共有される同一のマッチする位置の個数を意味する。マッチする位置は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が標的および参照配列の両方において存在するいずれかの位置である。ギャップはヌクレオチドまたはアミノ酸でないので、標的配列中に存在するギャップは計数されない。同様に、標的配列ヌクレオチドまたはアミノ酸が計数され、参照配列からのヌクレオチドまたはアミノ酸は計数されないので、参照配列中に存在するギャップは計数されない。
配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、以下の非限定的な例に記載される通り、数学的アルゴリズムを用いて遂行することができる。
配列同一性のパーセンテージは、同一のアミノ酸残基または核酸塩基が両方の配列中に存在する位置の個数を決定し、マッチする位置の個数を得て、マッチする位置の個数を比較ウインドウ中の位置の総数を用いて除算し、かつ結果に100を乗算して配列同一性のパーセンテージを得ることにより、算出される。配列の比較および2つの配列間のパーセント配列同一性の決定は、オンライン使用およびダウンロードの両方のための容易に利用可能なソフトウェアを用いて遂行することができる。好適なソフトウェアプログラムは、様々な供給源から、かつタンパク質およびヌクレオチド配列の両方のアライメントに対して、利用可能である。パーセント配列同一性を決定するための1つの好適なプログラムはbl2seqであり、これは米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なプログラムのBLASTスイートの一部分である。bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを用いて2つの配列間の比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するために用いられ、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために用いられる。他の好適なプログラムは、例えば、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSスイートの一部分であり、かつwww.ebi.ac.uk/Tools/psaにおいて欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)からも入手可能であるNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherである。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列とアライメントされる単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域はそれぞれ、それらの固有のパーセント配列同一性を有し得る。パーセント配列同一性値は、最も近い10分の1へと四捨五入されることが注記される。例えば、80.11、80.12、80.13、および80.14は80.1へと切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18、および80.19は80.2へと切り上げられる。長さ値は常に整数であろうこともまた注記される。
2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70、または80のギャップ重みおよび1、2、3、4、5、または6の長さ重みを使用して、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム(worldwideweb.gcg.comにおいて入手可能)を用いて決定することができる。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のパーセント同一性はまた、PAM120重み残基テーブル、12のギャップ長ペナルティーおよび4のギャップペナルティーを使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)へと組み込まれているE.MeyersおよびW.Millerのアルゴリズム[CABIOS, 4: 11-17 (1989)]を用いて決定することもできる。加えて、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重みおよび1、2、3、4、5、または6の長さ重みを使用して、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comにおいて入手可能)中のGAPプログラムへと組み込まれているNeedlemanおよびWunsch[J. Mol. Biol. (48):444-453 (1970)]アルゴリズムを用いて決定することができる。
本明細書中に記載される核酸およびタンパク質配列は、例えば、関連する配列を特定するために公共データベースに対する検索を行うための「クエリ配列」としてさらに用いることができる。そのような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書中に記載される核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本明細書中に記載されるタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行うことができる。比較目的のためにギャップ付きアライメントを得るために、ギャップ付きBLASTを、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17):3389-402 (1997)に記載される通りに利用することができる。BLASTおよびギャップ付きBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを用いることができる。worldwideweb.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
本明細書中で用いる場合、「投与すること」とは、当業者に公知の様々な方法およびデリバリーシステムのうちのいずれかを用いる、対象への治療剤を含む組成物の物理的導入を意味する。本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質に関する異なる投与経路は、静脈内、腹腔内、筋内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注入または点滴によるものを含む。語句「非経口投与」とは、本明細書中で用いる場合、通常は注入による、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、かつ限定するものではないが、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注入および点滴、ならびにインビボエレクトロポレーションを含む。あるいは、本明細書中に記載される抗体は、局所、表皮または粘膜投与経路などの、非経口でない経路を介して、例えば、鼻内的、経口的、膣内的、直腸的、舌下的または局所的に投与することができる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1つもしくは複数の長期間にわたって、行うこともできる。
「投薬間隔」とは、本明細書中で用いる場合、対象に投与されている複数用量(2以上の用量)の間に経過する時間の量を意味する。投薬間隔の比較は、単一対象においてまたは対象の集団において行うことができ、続いて、集団において得られる平均を算出することができる。投薬間隔は、1つの経路(静脈内)により与えられる用量と、別の経路(皮下)により与えられる用量との間の時間の量であり得る。本明細書中で用いる場合の投薬間隔とは、時間的に互いに隣接する2つの用量を意味する。
「免疫応答」は、当技術分野で理解される通りであり、かつ一般的に、その応答が生物を物質およびそれにより引き起こされる疾患から保護する、外来性物質または異常細胞に対する脊椎動物体内での生物学的応答を意味する。免疫応答は、免疫系の1つまたは複数の細胞[例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞または好中球]およびこれらの細胞のうちのいずれかまたは肝臓により産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカイン、および補体を含む)の作用により媒介され、これらが、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織または異常細胞、あるいは自己免疫または病的炎症の場合には正常ヒト細胞もしくは組織の選択的標的化、それに対する結合性、それに対する損傷、その破壊、および/または脊椎動物身体からの除去をもたらす。免疫反応は、例えば、T細胞、例えば、エフェクターT細胞、Th細胞、CD4細胞、CD8T細胞、もしくはTreg細胞の活性化または阻害、あるいは免疫系のいずれかの他の細胞、例えば、NK細胞の活性化または阻害を含む。
「免疫修飾因子」または「免疫調節因子」とは、物質、例えば、免疫応答の修飾、調節、または変更に関与することができるシグナル伝達経路の構成要素を標的化する物質を意味する。免疫応答を「修飾すること」、「調節すること」、または「変更すること」とは、免疫系の細胞またはそのような細胞(例えば、エフェクターT細胞、例えば、Th1細胞)の活性でのいずれかの変化を意味する。より詳細には、本明細書中で用いる場合、用語「修飾すること」は、所与の活性もしくは応答を誘導、阻害、増強、上昇、増加、または減少させることを含む。そのような修飾は、様々な細胞タイプの個数の増加もしくは減少、これらの細胞の活性の増加もしくは減少、または免疫系内で生じ得るいずれかの他の変化により現れ得る、免疫系の刺激または抑制を含む。阻害性および刺激性の両方の免疫修飾因子が特定されている。一部の態様では、免疫修飾因子は、T細胞の表面上の分子を標的とする。「免疫修飾標的」または「免疫調節標的」は、物質、薬剤、部分、化合物または分子による結合に対して標的とされ、かつその活性がそれらの結合により変化する分子、例えば、細胞表面分子である。免疫修飾標的は、例えば、細胞の表面上の受容体(「免疫修飾受容体」)および受容体リガンド(「免疫修飾リガンド」)を含む。
「免疫療法」とは、免疫系もしくは免疫応答を誘導、促進、抑制またはそれ以外に変更することを含む方法による、疾患を患っているか、または罹患するリスクもしくは疾患の再発を患うリスクを有する対象の治療を意味する。
「免疫刺激性療法」または「免疫刺激療法」とは、対象における免疫応答の増加(誘導または促進)をもたらす療法を意味する。
「内因性免疫応答を増強すること」とは、対象における既存の免疫応答の有効性または効力を増加させることを意味する。有効性および効力におけるこの増加は、例えば、内因性の宿主免疫応答を抑制するメカニズムを克服することにより、または内因性の宿主免疫応答を促進するメカニズムを刺激することにより、達成することができる。
「Tエフェクター」(「Teff」)細胞とは、細胞溶解活性を有するT細胞(例えば、CD4およびCD8T細胞)ならびにサイトカインを分泌し、かつ他の免疫細胞を活性化および誘導するTヘルパー(Th)細胞、例えば、Th1細胞を意味するが、調節T細胞(Treg細胞)を含まない。本明細書中に記載される特定のIL2融合タンパク質は、Teff細胞、例えば、CD4およびCD8eff細胞ならびにTh1細胞を活性化する。
免疫応答または免疫系を刺激する能力の増加は、T細胞共刺激受容体の強化されたアゴニスト活性および/または阻害受容体の強化されたアンタゴニスト活性から生じ得る。免疫応答または免疫系を刺激する能力の増加は、免疫応答を測定するアッセイ、例えば、サイトカインまたはケモカイン放出、細胞溶解活性(標的細胞に対して直接的にまたはCD107aもしくはグランザイムを検出することを介して間接的に決定される)および増殖の変化を測定するアッセイにおけるEC50または活性の最大レベルの増加倍率に反映されることができる。免疫応答または免疫系活性を刺激する能力は、少なくとも10%、30%、50%、75%、2倍、3倍、5倍またはそれ以上強化することができる。
用語「連結された」および「融合された」とは、本明細書中で用いる場合、それぞれ、第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に共有的または非共有的に連結された第1のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列は、第2のアミノ酸もしくはヌクレオチド配列に直接的に連結されるかまたは並置されることができるか、あるいは介在配列が第1の配列を第2の配列に共有的に連結することができる。用語「連結された」とは、C末端またはN末端での第2のアミノ酸配列への第1のアミノ酸配列の融合のみを意味するのではなく、第2のアミノ酸配列(または、それぞれ、第1のアミノ酸配列)中のいずれかの2つのアミノ酸への第1のアミノ酸配列(または第2のアミノ酸配列)全体の挿入も含む。一態様では、第1のアミノ酸配列は、ペプチド結合またはリンカーにより第2のアミノ酸配列に連結される。第1のヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーにより第2のヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーは、ペプチドもしくはポリペプチド(ポリペプチド鎖に関して)またはヌクレオチドもしくはヌクレオチド鎖(ヌクレオチド鎖に関して)あるいはいずれかの化学的部分(ポリペプチド鎖およびポリヌクレオチド鎖の両方に関して)であり得る。用語「連結された」はまた、ハイフン(-)によっても示される。
本明細書中で用いる場合、用語「T細胞媒介応答」とは、エフェクターT細胞(例えば、CD8細胞)およびヘルパーT細胞(例えば、CD4細胞)をはじめとするT細胞により媒介される応答を意味する。T細胞媒介応答としては、例えば、T細胞の細胞傷害性および増殖が挙げられる。
本明細書中で用いる場合、用語「細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答」とは、細胞傷害性T細胞により誘導される免疫応答を意味する。CTL応答は、CD8T細胞により主に媒介される。
本明細書中で用いる場合、用語「阻害する」または「遮断する」(例えば、細胞上のIL2Rαに対するIL2の結合の阻害/遮断に関して)は、相互に交換可能に用いられ、かつ部分的および完全阻害/遮断の両方を包含する。一部の態様では、IL2融合タンパク質は、例えば、本明細書中にさらに説明される通りに決定されるIL2Rαに対するIL2の結合を、少なくとも約50%、例えば、約60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%まで阻害する。一部の態様では、IL2融合タンパク質は、例えば、本明細書中にさらに説明される通りに決定されるIL2Rαに対するIL2の結合を、50%以下、例えば、約40%、30%、20%、10%、5%または1%まで阻害する。
用語「治療する」、「治療すること」、および「治療」とは、本明細書中で用いる場合、疾患に関連する症状、合併症、状態もしくは生化学的徴候の進行、発達、重症度または再発を反転させ、軽減させ、改善し、阻害し、または減速させるかもしくは予防するか、あるいは全生存期間を強化する目的で、対象に対して行われるいずれかのタイプの介入もしくはプロセス、または対象への活性薬剤の投与を意味する。治療は、疾患を有する対象または疾患を有しない対象(例えば、予防に関して)のものであり得る。予防的に与えられる場合、本明細書中に開示される融合タンパク質は、いかなる症状にも先立って与えられる。物質の予防的投与は、いずれかの後続の症状を予防または減弱させるために機能する。
融合タンパク質、医薬組成物、またはワクチンに関して、「有効性を強化すること」または「免疫原性を強化すること」とは、例えば、保護免疫に関連する融合タンパク質、医薬組成物、またはワクチンの活性の特定のパラメータにおける増加または減少などの、具体的な値における変化により測定される通りの転帰を改善することが意図される。一態様では、強化とは、特定のパラメータにおける少なくとも5%、10%、25%、50%、100%または100%超の増加を意味する。別の態様では、強化は、特定のパラメータにおける少なくとも5%、10%、25%、50%、100%または100%超の減少を意味する。一例では、ワクチンの有効性/免疫原性の強化とは、その目的に関するワクチンの有効性における少なくとも5%、10%、25%、50%、100%または100%超の増加などの、疾患進行を阻害または治療するワクチンの能力における増加を意味する。
同様に、融合タンパク質、医薬組成物、またはワクチンに関して、「抑制された免疫応答を克服すること」とは、例えば、保護免疫に関連するワクチンの活性の特定のパラメータにおいて以前には陽性であった値への復帰などの、具体的な値における変化により測定される通りの転帰を改善することが意図される。一態様では、克服することとは、特定のパラメータにおける少なくとも5%、10%、25%、50%、100%または100%超の増加を意味する。一例では、融合タンパク質、医薬組成物、またはワクチンに対する抑制された免疫応答を克服することとは、その目的に関するワクチンの有効性における少なくとも5%、10%、25%、50%、100%、または100%超の再生などの、疾患進行を阻害または治療する融合タンパク質、医薬組成物、またはワクチンの再生された能力を意味する。
「治療用量」、「用量」、または「投薬量」とは、本明細書中で(相互に交換可能に)用いる場合、本明細書中に記載される通りの治療上のゴールを達成する用量を意味する。一部の態様では、「治療用量」は、対象において免疫寛容を誘導する用量を意味する。特定の態様では、「治療用量」とは、寛容期間までの明記される時間内、例えば、第1用量の投与の12週間以内に、対象において免疫寛容を誘導する用量を意味する。IL2融合タンパク質の「用量」とは、所望の生物学的応答を生起するために十分なIL2融合タンパク質の量を意味する。当業者により理解されるであろう通り、有効である特定のIL2融合タンパク質の絶対量は、所望の生物学的エンドポイント、送達されるIL2融合タンパク質、標的細胞または組織等などの因子に応じて変わり得る。当業者は、有効量が単回用量で投与できるか、または複数用量(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の用量)の投与により達成することができることをさらに理解するであろう。疾患退行を促進するかまたは疾患の発達もしくは再発を阻害する治療剤の能力は、臨床試験中のヒト対象におけるか、ヒトでの有効性を予測する動物モデル系におけるか、またはインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによるなどの、技能を有する実務者に公知の多様な方法を用いて、評価することができる。
「治療する」、「治療」、または「治療すること」とは、本明細書中で用いる場合、例えば、必ずしも疾患または状態を治癒させることを伴わない、疾患または状態の重症度の低減;状態経過の持続期間の低減;疾患または状態に関連する1つもしくは複数の症状の改善または除去;疾患または状態を有する対象への有益な作用の提供を意味する。
「医薬製剤」または「医薬組成物」とは、本明細書中で用いる場合、有効成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態にあり、かつ医薬製剤(pharamaceutical formulation)または組成物が投与される対象に対して容認できない程度に毒性である追加の成分を含有しない調製物を意味する。医薬製剤または組成物は、無菌であり得る。一部の態様では、医薬製剤または組成物は、ヒト対象における治療的使用に対して好適である。
用語「患者」は、予防的治療または治療処置のいずれかを受けるヒトおよび他の哺乳動物対象を含む。
本明細書中で用いる場合、用語「対象」は、いずれかのヒトまたは非ヒト動物を含む。例えば、本明細書中に記載される方法および組成物は、免疫疾患を有する対象を治療するために用いることができる。用語「非ヒト動物」は、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類等を含む。
用語「体重基準」用量または投薬とは、本明細書中で参照される場合、患者に投与される用量が、患者の体重に基づいて算出されることを意味する。例えば、60kgの体重を有する患者が3mg/kgの抗IL2抗体を必要とする場合、投与のためのIL2融合タンパク質の適切な量(すなわち、180mg)を算出および使用することができる。
本明細書中に記載される方法および投与量に関する用語「平坦用量」の使用は、患者の体重または体表面積(BSA)とは関わりなく、患者に投与される用量を意味する。したがって、平坦用量は、mg/kg用量としてではなく、むしろ薬剤(例えば、IL2融合タンパク質)の絶対量として与えられる。例えば、60kgの人物と100kgの人物が、同じ用量の抗体(例えば、480mgのIL2融合タンパク質)を投与されるであろう。
本明細書中で用いる場合、用語「ug」および「uM」は、それぞれ、「μg」および「μM」と相互に交換可能に用いられる。
本明細書中で用いる場合、用語「治験薬」または「IP」は、BMS-986326ならびにプラセボ(0.9%塩化ナトリウム)を含む。一部の例では、治験薬は、例えば、静脈内的または皮下的など、当技術分野で公知のいずれかの手段により、対象に投与することができる。
本明細書中に提供されるいかなる組成物または方法も、本明細書中に提供される他の組成物および方法のいずれかのうちの1つまたは複数と(wirh)組み合わせることができる。
免疫グロブリンもしくは免疫グロブリン断片、または領域のアミノ酸ナンバリングに対してなされる参照は、すべてKabat et al. 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, U. S. Department of Public Health, Bethesda; MDに基づく。[FcRn受容体は、ヒトをはじめとする数種類の哺乳動物種から単離されてきた。ヒトFcRn、ラットFcRn、およびマウスFcRnの配列は公知である(Story et al., J. Exp. Med. 180: 2377 (1994))。]Fcは、免疫グロブリンのヒンジ領域を伴うかまたは伴わずに、免疫グロブリンのCH2ドメインおよびCH3ドメインを含むことができる。例示的なFc変異体は、WO2004/101740およびWO2006/074199において提供される。
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)により許容される形態で表示される。数値範囲は、範囲を規定する数字に関して包含的である。別途示されない限り、アミノ酸配列は、左から右に向かって、アミノからカルボキシの方向で記載される。本明細書中に提供される見出しは、本開示の様々な態様の限定ではなく、全体として本明細書を参照して設けることができる。したがって、直下に定義される用語は、その全体で本明細書を参照してより完全に定義される。
別途定義されない限り、本明細書中で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本開示が関連する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示で用いられる用語のうちの多数の一般的辞書を当業者に提供する。
本明細書中に記載される様々な態様は、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に説明される。
II.対象において疾患または障害を治療する方法
本開示は、インターロイキン-2(IL2)融合タンパク質の1つまたは複数の用量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において疾患または障害を治療する方法を提供し、ここで、融合タンパク質は、(a)IL2ポリペプチドを含む第1のポリペプチド、および(b)インターロイキン-2受容体α(IL2Rα)ポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のポリペプチドを含み、(i)IL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインは、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有し;かつ/または(ii)IL2ポリペプチドは、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有する。一部の態様では、本方法は、コルチコステロイドを対象(subejct)に投与することをさらに含む。一部の態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、コルチゾン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、またはパラメタゾンである。
Tregに対するIL-2シグナル伝達経路の重要性は、IL-2シグナル伝達経路の構成要素を欠失するマウスまたはヒトにおける全身性自己免疫の出現により実証されてきた。Treg細胞数および/または機能の調節異常は、多数の免疫媒介状態に関連付けられてきた。例えば、Bluestone, J.A., et al., J Clin Invest. 125:2250-60 (2015);およびDominguez-Villar, M and Hafler, D.A., Nat Immunol. 19:665-73 (2018)を参照されたい。IL-2、IL-2Rα、およびIL-2Rβ遺伝子座における自己免疫リスク変異体が、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を通して特定され、炎症性腸疾患(IBD)、1型自己免疫性糖尿病(T1DM)、多発性硬化症(MS)、および関節リウマチ(RA)をはじめとする免疫媒介疾患に関連付けられてきた。例えば、Abbas, A.K., et al., Sci Immunol. 3, eaat1482 (2018)を参照されたい。主要なTreg系統転写因子FoxP3に影響する突然変異は、機能的Tregの喪失から生じる自己免疫性リンパ増殖性疾患である免疫調節異常多腺性内分泌障害腸疾患X連鎖(IPEX)症候群を引き起こす。加えて、IL-2RAにおける突然変異から生じるCD25欠損を有する患者は、IPEX症候群に類似する免疫調節異常に見舞われる。例えば、Verbsky, J.W. and Chatila, T., Curr Opin Pediatr. 25(6):708-14 (2013)を参照されたい。遺伝学的データは、マウスおよびヒトの両方において、Treg機能および自己免疫の抑制におけるIL-2の中心的役割に合致する。
IL-2欠損がSLE患者における寛容の欠如および免疫病理学に寄与する主要なメカニズムは、Treg恒常性を破壊することによると一般的に推測される。例えば、Klatzmann, D., and Abbas, A.K., Nat Rev Immunol. 15:283-94 (2015);およびBallesteros-Tato, A. and Papillion, A., Curr Opin Immunol. 61:39-45 (2019)を参照されたい。一部の研究は活動性SLE疾患を有する患者においてTregの頻度の相対的増加が見られることを示唆してきたが、これらのTregは、機能障害を示唆する比較的低いCD25発現を有することが報告されている。例えば、Von Spee-Mayer, C., et al., Ann Rheum Dis. 75:1407-15 (2016)を参照されたい。SLE患者におけるTregの機能障害ははっきりとは理解されていないが、SLEにおける3つの独立した臨床研究が、低用量IL-2治療後の増加したTregおよび低下した疾患活動性および増加したTregを実証してきた。例えば、He, J., et al., Arthritis Rheumatol. 67(suppl 10) (2015);Humrich, J.Y., et al. Ann Rheum Dis. 74:791-92 (2015);およびVon Spee-Mayer, C., et al., Ann Rheum Dis. 75:1407-15 (2016)を参照されたい。低用量IL-2投与、Treg拡大増殖、および低減した免疫病理学の間の関連が、I型糖尿病[例えば、Dwyer, C.J., et al., Curr Diab Rep. 16:46 (2016)を参照されたい]、HCV誘導型血管炎[例えば、Dupont, G., et al., Cytokine. 69:146-9 (2014)を参照されたい]、円形脱毛症[例えば、Castela, E., et al., JAMA Dermatol. 150:748-51 (2014)を参照されたい]、およびGvHD[例えば、Koreth, J., et al., N Engl J Med. 365:2055-66 (2011)を参照されたい]をはじめとする他の形態の免疫媒介障害において示されてきた。これらの研究は、TregのIL-2依存的拡大増殖と低用量IL-2治療後に観察される臨床的利益との間の因果関係を示す。
全身性エリテマトーデス(SLE)はIL2欠損状態として記載されてきており、かつIL-2欠損は、SLE進行と関連付けられている。例えば、Mizui, M. and Tsokos, G.C., Front Immunol. 9: Article 786 (2018)を参照されたい。SLEを有する患者由来の培養末梢血単核細胞およびCD4+T細胞は、欠損したエクスビボ(ex vivo)IL-2産生を示す。例えば、Comte, D., et al., Arthritis & Rheumatology 69:808-13 (2017)を参照されたい。
したがって、本開示は、疾患または状態、例えば、自己免疫疾患および/または炎症性疾患、例えば、SLEの治療のための、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質に関する安全かつ有効な投与量を提供する。
II.A.用量および投与経路
一部の態様では、IL2融合タンパク質の用量は、約0.1mg~約9mgである。他の態様では、IL2融合タンパク質の用量は、約9mg超である。
IL2融合タンパク質の用量は、局所、表皮、粘膜、鼻内、経口、膣内、直腸、舌下、局所、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外または胸骨内経路を介して、対象に投与することができる。
一部の態様では、融合タンパク質は、静脈内経路を介して対象に投与される。一部の態様では、i.v.投与される用量のAUC[0~336時間(h)]は、平均曝露(AUC[INF])が制限されるように制御される。一部の態様では、用量のAUC[0~336時間(h)]は、約757μg・h/mlよりも低い。
一部の態様では、用量のAUC[0~336時間(h)]は、約750μg・h/ml、約740μg・h/ml、約730μg・h/ml、約720μg・h/ml、約710μg・h/ml、約700μg・h/ml、約690μg・h/ml、約680μg・h/ml、約670μg・h/ml、約660μg・h/ml、約650μg・h/ml、約640μg・h/ml、約630μg・h/ml、約620μg・h/ml、約610μg・h/ml、約600μg・h/ml、約590μg・h/ml、約580μg・h/ml、約570μg・h/ml、約560μg・h/ml、または約550μg・h/mlよりも低い。
一部の態様では、融合タンパク質は、約0.3mg~約9mgの用量で、静脈内経路を介して投与される。一部の態様では、融合タンパク質は、約1mg~約9mg、約2mg~約9mg、約3mg~約9mg、約4mg~約9mg、約5mg~約9mg、約6mg~約9mg、約7mg~約9mg、約8mg~約9mg、約1mg~約8mg、約2mg~約8mg、約3mg~約8mg、約4mg~約8mg、約5mg~約8mg、約6mg~約8mg、約7mg~約8mg、約1mg~約7mg、約2mg~約7mg、約3mg~約7mg、約4mg~約7mg、約5mg~約7mg、約6mg~約7mgの用量で、静脈内経路を介して対象に投与される。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約3mg~約9mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約6mg~約9mgである。
一部の態様では、融合タンパク質は、約0.1mg~約6mg、約1mg~約6mg、約2mg~約6mg、約3mg~約6mg、約4mg~約6mg、または約5mg~約6mg、約1mg~約5mg、約2mg~約5mg、約3mg~約5mg、約4mg~約5mg、約1mg~約4mg、約2mg~約4mg、約3mg~約4mg、約1mg~約3mg、または約2mg~約3mgの用量で、静脈内経路を介して対象に投与される。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg~約3mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg~約1mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg~約0.3mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.3mg~約6mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約1mg~約3mgである。
一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約0.1mg、約0.3mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、または約9mgである。一部の態様では、静脈内経路を介して投与される用量は、約9mg超である。
一部の態様では、融合タンパク質は、皮下経路を介して対象に投与される。一部の態様では、s.c.投与される用量のAUC[0~336時間(h)]は、平均曝露(AUC[INF])が制限されるように制御される。一部の態様では、用量のAUC(0~504h)は、約306μg・h/mlよりも低い。
一部の態様では、用量のAUC(0~504h)は、約300μg・h/ml、約290μg・h/ml、約280μg・h/ml、約270μg・h/ml、約260μg・h/ml、約250μg・h/ml、約240μg・h/ml、約230μg・h/ml、約220μg・h/ml、約210μg・h/ml、約200μg・h/ml、約190μg・h/ml、約180μg・h/ml、約170μg・h/ml、約160μg・h/ml、または約150μg・h/mlよりも低い。
一部の態様では、融合タンパク質は、約1mg~約8mg、約2mg~約8mg、約3mg~約8mg、約4mg~約8mg、約5mg~約8mg、約6mg~約8mg、約7mg~約8mg、約1mg~約7mg、約2mg~約7mg、約3mg~約7mg、約4mg~約7mg、約5mg~約7mg、約6mg~約7mg、約1mg~約6mg、約2mg~約6mg、約3mg~約6mg、約4mg~約6mg、または約5mg~約6mg、約1mg~約5mg、約2mg~約5mg、約3mg~約5mg、約4mg~約5mg、約1mg~約4mg、約2mg~約4mg、約3mg~約4mg、約1mg~約3mg、または約2mg~約3mgの用量で、皮下経路を介して対象に投与される。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約3mg~約8mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約6mg~約8mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約1mg~約6mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約1mg~約3mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約3mg~約6mgである。
一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約1mg、約3mg、約6mg、または約8mgである。一部の態様では、皮下経路を介して投与される用量は、約8mg超である。
一部の態様では、本方法は、2つの用量間に投薬間隔を置いて、それを必要とする対象に複数用量(すなわち、2つ以上の用量)を投与することを含む。一部の態様では、投薬間隔(例えば、皮下または静脈内)は、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、または少なくとも約6日間である。一部の態様では、投薬間隔(例えば、皮下または静脈内)は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヵ月間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約2ヵ月間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、または少なくとも約3ヵ月間である。一部の態様では、投薬間隔は、少なくとも約3週間である。一部の態様では、投薬間隔は、少なくとも約2週間である。一部の態様では、投薬間隔は、少なくとも約4週間である。一部の態様では、投薬間隔は、少なくとも約1ヵ月間である。一部の態様では、投薬は静脈内的に与えられ、かつ投薬間隔は、少なくとも約3週間である。一部の態様では、投薬は静脈内的に与えられ、かつ投薬間隔は、少なくとも約2週間である。一部の態様では、投薬は静脈内的に与えられ、かつ投薬間隔は、少なくとも約4週間または約1ヵ月間である。一部の態様では、投薬は皮下的に与えられ、かつ投薬間隔は、少なくとも約3週間である。一部の態様では、投薬は皮下的に与えられ、かつ投薬間隔は、少なくとも約2週間である。一部の態様では、投薬は皮下的に与えられ、かつ投薬間隔は、少なくとも約4週間または約1ヵ月間である。
一部の態様では、投薬間隔(例えば、皮下または静脈内)は、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、または約6日間である。一部の態様では、投薬間隔(例えば、皮下または静脈内)は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヵ月間、約5週間、約6週間、約7週間、約8(eigtht)週間、約2ヵ月間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、または約3ヵ月間である。一部の態様では、投薬間隔は、約3週間である。一部の態様では、投薬間隔は、約2週間である。一部の態様では、投薬間隔は、約4週間である。一部の態様では、投薬間隔は、約1ヵ月間である。一部の態様では、投薬は静脈内的に与えられ、かつ投薬間隔は、約3週間である。一部の態様では、投薬は静脈内的に与えられ、かつ投薬間隔は、約2週間である。一部の態様では、投薬は静脈内的に与えられ、かつ投薬間隔は、約4週間または1ヵ月間である。一部の態様では、投薬は皮下的に与えられ、かつ投薬間隔は、約3週間である。一部の態様では、投薬は皮下的に与えられ、かつ投薬間隔は、約2週間である。一部の態様では、投薬は皮下的に与えられ、かつ投薬間隔は、約4週間または約1ヵ月間である。
一部の態様では、本方法は、それを必要とする対象に本明細書中に記載される融合タンパク質の複数用量を投与することを含み、ここで、複数用量は、2種類以上の異なる経路を介して投与され、例えば、1つの用量が静脈内投与され、かつ別の用量が皮下投与される。一部の態様では、本方法は、(i)それを必要とする対象に融合タンパク質の第1用量を静脈内投与することおよび(ii)それを必要とする対象に融合タンパク質の第2(または最終)用量を皮下投与することを提供する。一部の態様では、本方法は、(i)それを必要とする対象に融合タンパク質の1つまたは複数の用量を静脈内投与することおよび(ii)対象に融合タンパク質の1つまたは複数の用量を皮下投与することを提供する。一部の態様では、投薬間隔および/または投与量は、静脈内投与と皮下投与との間で調整することができる。
一部の態様では、本方法は、コルチコステロイドを対象に投与することをさらに含む。一部の態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、コルチゾン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、およびパラメタゾンからなる群より選択される。一部の態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、またはプレドニゾンである。一部の態様では、コルチコステロイドは、プレドニゾロンである。
一部の態様では、コルチコステロイドは、局所、表皮、粘膜、鼻内、経口、膣内、直腸、舌下、局所、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、または胸骨内経路を介して、対象に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドは、局所、経口、静脈内、または筋内経路を介して対象に投与される。
一部の態様では、コルチコステロイドは、融合タンパク質の各用量の前、それと同時、または後に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドの2つ以上の用量が、各用量の間に投薬間隔を置いて、対象に投与される。一部の態様では、コルチコステロイドの投薬間隔は、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヵ月間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約2ヵ月間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、または少なくとも約3ヵ月間である。一部の態様では、コルチコステロイドはプレドニゾロンであり、融合タンパク質は、週2回皮下的に対象に投与され、かつプレドニゾロンは、週3回経口的に対象に投与される。
II.B.疾患および障害
本方法に対して好適な対象は、免疫応答の強化が望ましいであろうヒト患者を含む。方法は、免疫応答(例えば、T細胞媒介免疫応答、例えば、抗原特異的T細胞応答)を増強することにより治療することができる疾患または障害を有するヒト患者を治療するために特に好適である。一部の態様では、対象にIL2融合タンパク質の量を投与することは、対象における免疫応答を変更する。一部の態様では、免疫応答は、対象において強化、刺激、またはアップレギュレートされる。
IL2またはIL2Rαの負の作用を阻害することなどにより、T細胞応答、例えば、抗原特異的T細胞応答を刺激または共刺激する本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質の能力を考慮して、抗原特異的T細胞応答を刺激、強化またはアップレギュレートするために、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質を用いるインビトロおよびインビボ方法が、本明細書中に提供される。一部の態様では、CD3刺激もまた提供され(例えば、膜CD3を発現する細胞との共インキュベーションにより)、この刺激は、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質を用いる刺激と同時に、その前、または後に、提供することができる。
抗原特異的T細胞応答のいずれかの好適なインジケーターを、抗原特異的T細胞応答を測定するために用いることができる。そのような好適なインジケーターの非限定的な例としては、抗体の存在下での増加したT細胞増殖および/または抗体の存在下での増加したサイトカイン産生が挙げられる。一部の態様では、抗原特異的T細胞によるインターロイキン-2および/またはインターフェロン-γ産生が刺激される。
本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質を用いて強化または共刺激することができるT細胞としては、CD4T細胞およびCD8T細胞が挙げられる。T細胞は、Teff細胞、例えば、CD4Teff細胞、CD8Teff細胞、Thelper(Th)細胞(例えば、Th1細胞)またはT細胞傷害性(Tc)細胞であり得る。
一部の態様では、疾患または障害は、感染性疾患または免疫媒介疾患である。本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質を用いる疾患または障害を有する対象の治療は、例えば、安定疾患、部分奏効、増加した全生存期間、増加した無病生存期間、または強化された無増悪生存期間をもたらし得る。
一部の態様では、免疫媒介疾患は、炎症性疾患または自己免疫疾患である。望ましくない免疫応答を阻害するためにTregの抑制力を利用することには多大な関心が持たれる。マウスおよびヒトでのデータは、低用量のIL2を用いてIL2Rシグナル伝達を強化することが、Tregを選択的に促進し、かつ免疫寛容原性メカニズムを強化することを示す。本明細書中に提供されるIL2融合タンパク質は、より高い可能性でTregを強化するIL2の新規かつ改善された形態を代表する。つまり、IL2融合タンパク質は、自己免疫疾患、慢性移植片対宿主病、移植拒絶反応、および自己反応性を抑制することがゴールである他の状態を有する患者に投与することができる。
一部の態様では、免疫媒介疾患は、1型糖尿病;多発性硬化症;関節リウマチ;セリアック病;全身性エリテマトーデス;ループス腎炎;皮膚ループス;若年性特発性関節炎;クローン病;潰瘍性大腸炎;全身性硬化症;移植片対宿主病(GvHD);乾癬;円形脱毛症;HCV誘導型血管炎;シェーグレン症候群;天疱瘡;強直性脊椎炎;ベーチェット病;ウェゲナー肉芽腫症;高安病;自己免疫性肝炎;硬化性胆管炎;グジェロー・シェーグレン;炎症性腸疾患;免疫調節異常多腺性内分泌障害腸疾患X連鎖(IPEX)症候群;およびマクロファージ活性化症候群からなる群より選択される。一部の態様では、免疫媒介疾患は、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、または皮膚ループスである。一部の態様では、免疫媒介疾患は、全身性エリテマトーデスである。
一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、先行する治療に対して不適切な応答を示したか、または先行する治療時に進行した、炎症性疾患または自己免疫疾患を有する患者に投与される。一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、炎症性疾患または自己免疫疾患に対する治療を以前に受けて(すなわち、それを用いて治療されて)いない患者に投与される。
一部の態様(apects)では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、炎症性疾患または自己免疫疾患に対する標準治療と共に投与される。一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、炎症性疾患または自己免疫疾患に対する維持療法、例えば、炎症の発生または再発を予防することが意図される療法として投与される。
一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、炎症性疾患もしくは自己免疫疾患の治療のための単剤療法として、または炎症性疾患もしくは自己免疫疾患の治療のための唯一の免疫刺激性療法として、投与される。一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、炎症性疾患または自己免疫疾患の治療のためのワクチン接種プロトコールと組み合わせられる。一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、炎症性疾患または自己免疫疾患の治療のために用いられる抗体と組み合わせられる。
一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、炎症性疾患または自己免疫疾患の治療のために用いられるコルチコステロイドと組み合わせられる。
一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、全身性エリテマトーデスの治療のために用いられるコルチコステロイドと組み合わせられる。一部の態様では、全身性エリテマトーデスの治療のために用いられるコルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、コルチゾン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、またはパラメタゾンである。一部の態様では、全身性エリテマトーデスの治療のために用いられるコルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、またはプレドニゾンである。一部の態様では、全身性エリテマトーデスの治療のために用いられるコルチコステロイドは、プレドニゾロンである。
一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、ループス腎炎の治療のために用いられるコルチコステロイドと組み合わせられる。一部の態様では、全身性ループス腎炎の治療のために用いられるコルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、コルチゾン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、またはパラメタゾンである。一部の態様では、ループス腎炎の治療のために用いられるコルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、またはプレドニゾンである。一部の態様では、ループス腎炎の治療のために用いられるコルチコステロイドは、プレドニゾロンである。
一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質は、皮膚ループスの治療のために用いられるコルチコステロイドと組み合わせられる。一部の態様では、皮膚ループスの治療のために用いられるコルチコステロイドは、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、コルチゾン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン、またはパラメタゾンである。
一部の態様では、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質は、顕著に毒性でない。例えば、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質は、例えば、臨床試験において決定される場合、ヒトの臓器、例えば、肝臓、腎臓、脳、肺、および心臓のうちの1つまたは複数に対して顕著に毒性でない。一部の態様では、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質は、望ましくない免疫応答、例えば、自己免疫または炎症を顕著に引き起こさない。
一部の態様では、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質を用いる対象の治療は、それにより対象の免疫系が対象自身を攻撃する(例えば、自己免疫応答)か、または、例えば、アナフィラキシーを生じる程度まで、免疫系の過剰刺激をもたらさない。つまり、一部の態様では、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質は、アナフィラキシーを引き起こさない。
一部の態様では、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質を用いる対象の治療は、顕著な炎症性反応、例えば、免疫媒介肺炎、免疫媒介大腸炎、免疫媒介肝炎、免疫媒介腎炎もしくは腎機能障害、免疫媒介下垂体炎、免疫媒介甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症、または他の免疫媒介有害反応を引き起こさない。一部の態様では、本明細書中に記載されるIL2融合タンパク質を用いる対象の治療は、顕著な心臓障害、例えば、心室性不整脈;目障害、例えば、虹彩毛様体炎;輸液関連反応;アミラーゼ増加、リパーゼ増加;神経系障害、例えば、めまい、末梢感覚性ニューロパチー;皮膚および皮下組織障害、例えば、発疹、掻痒症、剥脱性皮膚炎、多形性紅斑、白斑または乾癬;呼吸器、胸部および縦隔障害、例えば、咳;疲労;吐き気;食欲減退;便秘;関節痛;または下痢を引き起こさない。
本開示は、本明細書中に開示されるいずれかの方法に従う使用のための組成物をさらに提供する。
II.C.IL2融合タンパク質
本方法において投与されるIL2融合タンパク質は、少なくとも2つの構成要素:(a)インターロイキン-2(IL2)ポリペプチドを含む第1のポリペプチド;および(b)インターロイキン-2受容体α(IL2Rα)ポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のポリペプチドを含み;ここで、IL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインは、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有し;かつ/または(ii)IL2ポリペプチドは、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有する。一部の態様では、融合タンパク質は、IL2活性を有する。
本明細書中に記載される融合タンパク質は、ヒトIL2R、より具体的には、ヒトIL2Rαの細胞外ドメイン内の特定のドメイン(例えば、機能的ドメイン)に特異的に結合する。一部の態様では、IL2を含む融合タンパク質は、アンタゴニストである。一部の態様では、IL2を含む融合タンパク質は、高親和性を有してヒトIL2Rαに結合する。
複数の受容体サブユニットが、効果的なIL-2受容体シグナル伝達に寄与する。IL-2Rβおよび共通γ鎖受容体(IL-2Rγ)が受容体のシグナル伝達構成要素を形成し、両方ともIL-2シグナル伝達に対して必須かつ十分である。IL-2Rβγヘテロ二量体受容体の活性化は、JAK1およびJAK3の動員、PI3Kの活性化ならびに最終的にSTAT5のリン酸化をもたらす。例えば、Malek, T.R., Annu Rev Immunol. 26:453-79 (2008)を参照されたい。IL-2RβおよびIL-2Rγは、すべてのIL-2感受性免疫細胞:Treg、Tconv、CD8 T細胞、NK細胞および2型自然リンパ球(ILC2)上で発現されるが、αサブユニットIL-2RαまたはCD25は、より限定された発現を有する。CD25はTreg上で構成的に発現され、ILC2上で報告されており、かつ活性化されたT細胞、B細胞、およびNK細胞上で一時的にのみ発現される。例えば、Simoni, Y., et al., Immunity 46(1):148-61 (2017)を参照されたい。CD25は、IL-2に対して中程度(約25nM)の親和性を有し、かつシグナル伝達に直接的に参加しない。例えば、Rickert, M., et al., Science 308:1477-80 (2005)を参照されたい。
IL-2と全3種類の受容体構成要素の細胞外ドメインとの4成分複合体の結晶構造に基づいて、CD25は、IL-2RβまたはIL-2Rγと直接的に接触しないようである。例えば、Nelson, B.H., et al., Nature 369:333-6 (1994);およびStauber, D.J.., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103:2788-93 (2006)を参照されたい。代わりに、CD25は、CD25がIL-2RβおよびIL-2Rγサブユニットと同じ細胞上に高レベルで発現される細胞に対するIL-2の見かけの効力を増加させる、IL-2に対する細胞表面の受け取り部として機能するように見える。例えば、Pillet, A.H., et al., J Mol Biol. 403:671-92 (2010)を参照されたい。Treg上での構成的な高いCD25発現は、他の非調節T細胞と比較して、Treg上でのIL-2の顕著に高い効力を伴って、IL-2に対する非常に高い感受性を付与する。例えば、Dupont, G., et al., Cytokine 69:146-9 (2014)を参照されたい。TregのIL-2処理は、ロバストな増殖ならびにCD25およびFoxP3、ならびにTreg抑制性活性に関連する他の遺伝子のアップレギュレーションを含む活性化をもたらす。例えば、Sakaguchi, S., et al., J Immunol. 155(3):1151-64 (1995)を参照されたい。Tregとは異なり、エフェクターT細胞および大多数のNK細胞は、高い構成的CD25発現を欠き、かつ活性化時に一時的にのみCD25をアップレギュレートするので、活性化のためにより高いIL-2レベルを必要とする。例えば、Letourneau, S., et al., J Allergy Clin Immunol. 123(4):758-62 (2009)を参照されたい。
II.C.1 IL2融合タンパク質のIL2ポリペプチド
IL2融合体は、インターロイキン-2(IL2)ポリペプチドを含む第1のポリペプチドを含む。
一部の態様では、IL2融合タンパク質のIL2ポリペプチドは、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、ならびに家畜化哺乳動物または農業用哺乳動物などの哺乳動物をはじめとする、いずれかの脊椎動物供給源由来のネイティブまたは組み換えIL2である。
用語IL2は、未プロセシングIL2、ならびに、細胞中でのプロセシングから生じるIL2のいずれかの形態(すなわち、IL2の成熟形態)を包含する。この用語はまた、IL2の天然に存在する変異体および断片、例えば、スプライシング変異体または対立遺伝子変異体、および天然に存在しない変異体も包含する。ヒトIL2の例示的な成熟形態のアミノ酸配列(20アミノ酸シグナル配列を有する)は、配列番号2に示される。未プロセシングヒトIL2は、成熟IL2分子においては非存在であるN末端20アミノ酸シグナルペプチドを追加的に含む(配列番号7)。マウスIL2(20アミノ酸シグナル配列を有する)の例示的な成熟形態のアミノ酸配列は、配列番号8に示される。未プロセシングマウスIL2は、成熟IL2分子においては非存在であるN末端20アミノ酸シグナルペプチドを追加的に含む(配列番号9)。「野生型IL2」とも称される「ネイティブIL2」とは、天然に存在するIL2または組み換えIL2を意味する。
IL2の追加の核酸およびアミノ酸配列が公知である。例えば、GenBank登録番号:Q7JFM2[アオトゥス・レムリヌス(グレイベリードナイトモンキー)];Q7JFM5[アオトゥス・ナンシマエ(マーズナイトモンキー)];P05016[バス・タウルス(ウシ)];Q29416[カニス・ファミリアリス(イヌ)(カニス・ルプス・ファミリアリス)];P36835[カプラ・ヒルクス(ヤギ)];およびP37997[エクウス・カバルス(ウマ)]を参照されたい。
一部の態様では、融合タンパク質の第1のポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。
IL2の生物学的に活性な断片および変異体もまた提供される。そのようなIL2の活性変異体または断片は、IL2活性を保持するであろう。IL2の生物学的活性とは、IL2受容体を担持するリンパ球を刺激する能力を意味することができる。そのような活性は、インビトロおよびインビボの両方で測定することができる。IL2は、免疫活性の包括的な調節因子であり、ここで見られる作用は、そのような活性の合計である。例えば、IL2は、生存活性を調節(it is regulates)し(Bcl-2)、Tエフェクター活性を誘導し(IFN-γ、グランザイムB、およびパーフォリン)、かつT調節活性を促進する(FoxP3)。例えば、Malek et al., Immunity 33(2):153-65 (2010)を参照されたい。
IL2の生物学的に活性な変異体が公知である。例えば、米国特許出願公開第2006/0269515号および同第2006/0160187号ならびにWO/1999/060128を参照されたい。
IL2の生物学的に活性な断片および変異体を、本明細書中に開示される融合タンパク質において利用することができる。そのような機能的断片は、配列番号2の少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個またはそれ以上の連続するアミノ酸を含むことができる。あるいは、機能的変異体は、配列番号2に示される配列に対する少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含むことができる。
IL2タンパク質をコードするポリヌクレオチドの活性な変異体および断片がさらに提供される。そのようなポリヌクレオチドは、配列番号2をコードするポリペプチドの少なくとも100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個の連続するヌクレオチドを含み、かつ引き続き、IL2活性を有するタンパク質をコードすることができる。あるいは、機能的ポリヌクレオチドは、配列番号2に示されるアミノ配列をコードするポリペプチドに対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含み、かつ引き続き、機能的IL2ポリペプチドをコードすることができる。
IL2の例示的なポリペプチド配列が、以下の表1に列挙される。
一部の態様では、IL2ポリペプチドは、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化部位を有する。一部の態様では、少なくとも1箇所少ないグリコシル化部位は、グリコシル化を除去する1つまたは複数の突然変異に起因する。
一部の態様では、融合タンパク質は、グリコシル化部位を有しないアミノ酸によるグリコシル化部位を有するアミノ酸の置換である突然変異を含む。一部の態様では、突然変異は、O-グリコシル化および/またはN-グリコシル化を除去する。一態様では、突然変異は、O-グリコシル化、例えば、配列番号2のアミノ酸3におけるトレオニンを除去する。別の態様では、突然変異は、N-グリコシル化を除去する。
一部の態様では、突然変異は、グリコシル化されないアミノ酸による、グリコシル化されるIL2のアミノ酸の1つまたは複数の置換である。一部の態様では、突然変異は、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にしないアミノ酸による、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にするIL2のアミノ酸の1つまたは複数の置換である。
一部の態様では、IL2のアミノ酸の1つまたは複数の置換は、アラニンから、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。
一部の態様では、IL2のアミノ酸の1つまたは複数の置換は、トレオニンから、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。
一部の態様では、IL2のアミノ酸の1つまたは複数の置換は、反応性アミノ酸、例えば、システインから、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、システインからセリンへのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、システインからアラニンへのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、システインからバリンへのものである。
一部の態様では、1つまたは複数の置換は、対応する配列番号2と比較して、IL2のアミノ酸T3でのものである。
一部の態様では、置換のうちの1つは、配列番号2のアミノ酸C125でのものである。一態様では、アミノ酸C125での置換は、C125S、C125A、およびC125Vからなる群より選択される。
一部の態様では、突然変異は、欠失である。一部の態様では、欠失は、配列番号2のアミノ酸A1でのものである。
本開示はまた、IL2ポリペプチドに対するいずれかの他の突然変異も含む。他の態様では、突然変異はまた、IL2の特性を改善する、例えば、IL2活性を改善する、IL2の半減期を改善する、安定性を改善する等の1つまたは複数の置換も含む。
本セクションにおいて以下に開示される通り、本明細書中に列挙される突然変異は、配列番号2のアミノ酸位置と比較した突然変異である。本発明に従えば、以下の突然変異のうちのいずれかを、単独で、または他の開示される突然変異もしくは当技術分野で公知のいずれかと組み合わせて、本明細書中に記載される通りのIL2融合タンパク質のうちの1つまたは複数において用いることができるであろう。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基Q22、Q126、I129、S130、またはそれらのいずれかの組み合わせ、例えば、Q22V、Q126A、I129D、S130G、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、Carmenate et al., J Immunol, 200(10):3475-84 (2018)および/またはUS8,759,486に開示される1つまたは複数の突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、米国特許第8,759,486号B2に開示される通りのL18N、Q126Y、およびS130Rのうちの1つまたは複数の突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、米国特許第8,759,486号B2に開示される通りのQ13Y、Q126Y、I129D、およびS130Rのうちの1つまたは複数の突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、WO2018/091003A1に開示される通りのK35E、K35D、およびK35Qのうちの1つまたは複数の突然変異を含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基R38における、Epstein et al. Blood, 101(12):4853-61 (2003)および/またはUS7,371,371に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、R38Wを含む。一部の態様では、IL2は、R38Wの突然変異および米国特許第7,371,371号B2に開示される通りのIL2のアミノ酸位置22~58の外側の1つまたは複数の突然変異を含む。
一部の態様では、IL2は、Wittrup et al. J Immunother. 32(9):887-94 (2009)および/またはUS8,906,356に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、アミノ酸残基91、126、またはその両方、例えば、V91R、Q126T、またはその両方を含む。一部の態様では、IL2は、Wittrup et al. J Immunother. 32(9):887-94 (2009)およびまたUS8,906,356に開示される通りのE15Wの突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、Wittrup et al. J Immunother. 32(9):887-94 (2009)およびまたUS8,906,356に開示される通りのN88RおよびV91Rの一方または両方の突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、Wittrup et al. J Immunother. 32(9):887-94 (2009)および/または米国特許第8,906,356号に開示される通りのQ126TまたはQ126Iの突然変異を含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸69、74、91、126、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、米国特許第8,906,356号B2に開示される1つまたは複数の突然変異を含む。一部の態様では、突然変異は、米国特許第8,906,356号B2に開示される通りのV91R、Q126T、Q126L、Q127T、またはそれらのいずれかの組み合わせである。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基E15、N30、E68、V69、N71、S75、N90、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、Wittrup et al., J Immunother 32(9):887-94 (2009)および/またはUS7,569,215B2に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、N30S、E68D、V69A、N71A、S75P、N90H、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。一部の態様では、IL2は、Wittrup et al., Biochemistry 44(31) (2005)に開示される通りのE15Wの突然変異を含む。一部の態様では、突然変異は、米国特許第7,569,215号B2に開示される通りのV69Aである。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基N29、Y31、K35、T37、K48、V69、N71、N88、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、Wittrup et al., J Immunother. 32(9):887-94 (2009)および/または米国特許第7,951,360号B2に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、N29S、Y31H、K35R、T37A、K48E、V69A、N71R、N88D、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。一部の態様では、IL2は、Wittrup et al., Biochemistry 44(31) (2005)に開示される通りのE15Wの突然変異を含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸69、74、128、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、Wittrup et al., J Immunother. 32(9):887-94 (2009)および/または米国特許第8,349,311号B2に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、V69A、I128P、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基S4、T10、Q11、V69、N88、T133、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、Wittrup et al., J Immunother. 32(9):887-94 (2009)に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、S4P、T10A、Q11R、V69A、N88D、T133A、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基N30、V69、I128、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、Wittrup et al., J Immunother. 32(9):887-94 (2009)に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、N30S、V69A、I128T、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基K8、Q13、N26、N30、K35、T37、V69、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、Wittrup et al., J Immunother. 32(9):887-94 (2009)に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、K8R、Q13R、N26D、N30T、K35R、T37R、V69A、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基N88における、Shanafelt et al., Nat Biotechnol. 18(11):1197-202 (2000)に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、N88Rを含む。
一部の態様では、IL2は、米国特許第9,616,105号B2に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、アミノ酸20、88、126、またはそれらのいずれかの組み合わせ、例えば、N88R、N88G、またはN88Iを含む。一部の態様では、IL2は、米国特許第9,616,105号B2に開示される通りのN88R、N88G、またはN88Iの突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、米国特許第9,616,105号B2に開示される通りのD20H、D20I、またはD20Yの突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、米国特許第9,616,105号B2に開示される通りのQ126Lの突然変異を含む。
一部の態様では、IL2は、米国特許出願公開第2018/0125941号A1に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、D20H、N88I、N88G、N88R、Q126L、Q126F、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。一部の態様では、IL2は、米国特許出願公開第2018/0037624号A1に開示される通りのT3A、N88G、N88R、D20H、C125S、Q126L、およびQ126Fの1つまたは複数の突然変異を含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基N88、D20、C125、Q126、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、米国特許出願公開第2017/0327555号A1に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、N88G、N88R、D20H、C125S、Q126L、Q126F、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基D109、C125、またはその両方における、WO2016/025385A1に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、D109C、C125S、またはその両方を含む。一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基D20、N88、Q126、C125、Q126、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、WO2016/025385A1に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、D20H、N88I、N88G、N88R、Q126L、C125S、Q126F、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基L12、Q13、E15、H16、L19、D20、M23、D84、S87、N88、V91、E95、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、WO2016/164937A1に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、L12G、L12K、L12Q、L12S、Q13G、E15A、E15G、E15S、H16A、H16D、H16G、H16K、H16M、H16N、H16R、H16S、H16T、H16V、H16Y、L19A、L19D、L19E、L19G、L19N、L19S、L19T、L19V、D20A、D20E、D20F、D20G、D20T、D20W、M23R、D84A、D84E、D84G、D84I、D84M、D84Q、D84R、D84S、D84T、S87E、N88A、N88D、N88E、N88F、N88G、N88M、N88R、N88S、N88V、N88W、V91D、V91E、V91G、V91S、E95G、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸残基V91における、米国特許第9,932,380号B2または同第9,580,486号に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、V91Kを含む。一部の態様では、IL2は、C125AまたはC125Sの突然変異をさらに含む。一部の態様では、IL2は、T3での突然変異をさらに含む。一部の態様では、T3での突然変異は、T3AまたはT3Nのうちの一方である。一部の態様では、IL2は、S5での突然変異を含む。一部の態様では、突然変異は、S5Tである。
一部の態様では、IL2は、米国特許第9,732,134号B2に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、E15、H16、Q22、D84、N88、E95、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
一部の態様では、IL2は、米国特許出願公開第2015/0218260号A1に開示される1つまたは複数の突然変異、例えば、N88Dを含む。一部の態様では、IL2は、例えば、アミノ酸42、45、72、またはそれらのいずれかの組み合わせにおける、米国特許第9,266,938号B2に開示される突然変異、例えば、L72G、L72A、L72S、L72T、L72Q、L72E、L72N、L72D、L72R、またはL72Kを含む。一部の態様では、IL2は、F42A、F42G、F42S、F42T、F42Q、F42E、F42N、F42D、F42R、およびF42Kの突然変異を含む。一部の態様では、IL2は、Y45A、Y45G、Y45S、Y45T、Y45Q、Y45E、Y45N、Y45D、Y45R、およびY45Kの突然変異を含む。
一部の態様では、IL2は、1~4箇所の突然変異を含む:L72G、L72A、L72S、L72T、L72Q、L72E、L72N、L72D、L72R、またはL72Kの第1の突然変異、F42A、F42G、F42S、F42T、F42Q、F42E、F42N、F42D、F42R、またはF42K、Y45A、Y45G、Y45S、Y45T、Y45Q、Y45E、Y45N、Y45D、Y45R、またはY45Kの第2の突然変異、T3A、T3G、T3Q、T3E、T3N、T3D、T3R、T3K、またはT3Pの第3の突然変異、および/またはC125A、C125S、C125TまたはC125Vの第4の突然変異。本明細書中に列記されるかまたは本明細書中に引用される特許、特許公報もしくはいずれかの他の参考文献中に開示される突然変異は、それらの全体で参照により本明細書中に組み入れられる。
II.C.2.IL2融合タンパク質のILR2αポリペプチド
融合タンパク質は、インターロイキン-2受容体α(IL2Rα)の細胞外ドメインを含む第2のポリペプチドを含む。
一部の態様では、IL2Rαの細胞外ドメインは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。一部の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号3に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。
用語「CD25」または「IL2受容体a」、「IL2Rα」、「IL2Ra」、「IL2-Rα」、および「IL2-Ra」とは、本明細書中で用いる場合、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、ならびに家畜化哺乳動物または農業用哺乳動物などの哺乳動物をはじめとする、いずれかの脊椎動物供給源由来のいずれかのネイティブまたは組み換えIL2Rαを意味する。この用語はまた、IL2Rαの天然に存在する変異体、例えば、スプライシング変異体もしくは対立遺伝子変異体、または天然に存在しない変異体も包含する。ヒトIL2は、その受容体システムであるIL2Rを通したシグナル伝達を介してその生物学的作用を発揮する。IL2およびその受容体(IL2R)は、T細胞増殖および免疫応答に関して極めて重要である他の基本的な機能に必要とされる。IL2Rは、α(p55)、β(p75)、およびγ(p65)鎖である3つの非共有的に連結されたI型膜貫通タンパク質からなる。ヒトIL2Rα鎖は、219アミノ酸の細胞外ドメイン、19アミノ酸の膜貫通ドメイン、および13アミノ酸の細胞内ドメインを含む。IL2Rアルファ(IL2Rα)の分泌される細胞外ドメインは、本明細書中に記載される融合タンパク質において利用することができる。
ヒトIL2Rαの例示的な成熟形態のアミノ酸配列は、配列番号10に示される。未プロセシングヒトIL2Rαは、配列番号11に示される。配列番号11および/または配列番号10の細胞外ドメインは、配列番号1に示される。マウスIL2Rαの例示的な成熟形態のアミノ酸配列は、配列番号12に示される。未プロセシングマウスIL2Rαは、配列番号13に示される。配列番号13および/または配列番号12の細胞外ドメインは、配列番号14に示される。「野生型IL2Rα」とも称される「ネイティブIL2Rα」とは、天然に存在するIL2Rαまたは組み換えIL2Rαを意味する。
IL2Rαに関する核酸およびアミノ酸配列が公知である。例えば、GenBank登録番号:NP_001030597.1[ナミチンパンジー(P.troglodytes)];NP_001028089.1[アカゲザル(M.mulatta)];NM_001003211.1[オオカミ(C.lupus)];NP_776783.1[家畜ウシ(B.taurus)];NP_032393.3[ハツカネズミ(M.musculus)];およびNP_037295.1[ドブネズミ(R.norvegicus)]を参照されたい。
IL2Rαの細胞外ドメインとは、本明細書中で用いる場合、別途明記されない限り、IL2に対する結合性における正常な役割において機能的なIL2Rα細胞外(EC)ドメインを意味する。用語「IL2RαECドメイン」は、IL2結合性における全長野生型IL2RαECの機能を保持するその機能的断片、変異体、アナログ、または誘導体を含む。IL2RαECドメインは、ヒト、ブタ、イヌ、ラット、またはネズミIL2RαECドメインであり得る。語句「IL2RαECドメインの生物学的活性」とは、IL2RαのECドメインの生物学的活性のうちの1つまたは複数を意味し、限定するものではないが、IL2受容体応答性細胞における細胞内シグナル伝達を強化する能力を含む。IL2RαECドメインの生物学的に活性な断片および変異体の非限定的な例は、例えば、Robb et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:5654-8 (1988)に開示される。一部の態様では、本明細書中に開示されるIL2RαECドメインの生物学的に活性な断片および変異体は、ネイティブIL2Rαの細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を含む。
IL2Rαの細胞外ドメインの生物学的に活性な断片および変異体を、本明細書中に開示される融合タンパク質において利用することができる。そのような機能的断片は、配列番号1のうちのいずれか1つの細胞外ドメインの少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、125個、150個、175個、200個、215個またはそれ以上の連続するアミノ酸を含むことができる。あるいは、機能的変異体は、配列番号1に示される配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含むことができる。
IL2Rαの細胞外ドメインをコードするポリヌクレオチドの活性な変異体および断片が、さらに提供される。そのようなポリヌクレオチドは、配列番号1をコードするポリペプチドの少なくとも100個、200個、300個、400個、500個、600個またはそれ以上の連続するヌクレオチドを含み、かつ引き続き、IL2Rαの細胞外ドメイン活性を有するタンパク質をコードすることができる。あるいは、機能的ポリヌクレオチドは、配列番号1に示されるアミノ配列をコードするポリペプチドに対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含み、かつ引き続き、IL2Rαの細胞外ドメイン活性を有するタンパク質をコードすることができる。
IL2Rαの例示的なポリペプチド配列が、表2に列挙される。
一部の態様では、本明細書中に提供される融合タンパク質は、IL2RαのECドメイン内に少なくとも1箇所の突然変異を含むことができる。
一部の態様では、IL2RαポリペプチドのECドメインは、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化、少なくとも2箇所少ないグリコシル化、少なくとも3箇所少ないグリコシル化、少なくとも4箇所少ないグリコシル化、少なくとも5箇所少ないグリコシル化、少なくとも6箇所少ないグリコシル化、少なくとも7箇所少ないグリコシル化、少なくとも8箇所少ないグリコシル化、または少なくとも9箇所少ないグリコシル化を有する。
一部の態様では、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有するIL2RαポリペプチドのECドメインは、グリコシル化を除去する突然変異を含む。他の態様では、融合タンパク質は、グリコシル化部位を有しないアミノ酸によるグリコシル化部位を有するアミノ酸の置換である突然変異を含む。一部の態様では、突然変異は、O-グリコシル化および/またはN-グリコシル化を除去する。一態様では、突然変異は、O-グリコシル化を除去する。別の態様では、突然変異は、N-グリコシル化を除去する。
一部の態様では、融合タンパク質中の突然変異は、IL2RαのC末端端部の欠失を含む。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸167~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸168~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸169~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸170~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸171~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸172~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸173~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸174~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸175~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸176~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸177~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸178~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸179~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸180~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸181~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸182~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸183~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸184~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸185~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸186~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸187~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸188~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸189~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸190~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸191~219の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1のアミノ酸192~219の欠失である。
一部の態様では、突然変異は、配列番号1に対応する、167、168、169または171から192~219までのアミノ酸の欠失である。一部の態様では、突然変異は、配列番号1に対応する、170~219の欠失を含まない。
一部の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含むか、本質的にからなるか、またはからなる。他の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号4および+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、+21、+22、+23、+24、または+25個のアミノ酸を含むか、本質的にからなるか、またはからなる。一部の態様では、第2のポリペプチドは、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下のアミノ酸を含む配列番号4を含むか、本質的にからなるか、またはからなる。一部の態様では、第2のポリペプチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含むか、本質的にからなるか、またはからなる。
一部の態様では、融合タンパク質は、1つまたは複数の突然変異を含む。一部の態様では、1つまたは複数の突然変異は、グリコシル化されないアミノ酸によるグリコシル化されるIL2Rαのアミノ酸の1つまたは複数の置換である。
一部の態様では、IL2Rαのアミノ酸の1つまたは複数の置換は、アミノ酸N49、アミノ酸N68、アミノ酸T74、アミノ酸T85、アミノ酸T197、アミノ酸T203、アミノ酸T208、およびアミノ酸T216、またはそれらのいずれかの組み合わせでのものであり、ここで、アミノ酸位置は、配列番号1に対応する。
一部の態様では、1つまたは複数の置換は、アスパラギンから別のアミノ酸へのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、アスパラギンから、アラニン、トレオニン、セリン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。
一部の態様では、1つまたは複数の置換は、トレオニンから別のアミノ酸へのものである。一部の態様では、1つまたは複数の置換は、トレオニンから、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へのものである。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸N49である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸N49は、アラニン、トレオニン、セリン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸N68である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸N68は、アラニン、トレオニン、セリン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸T74である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸T74は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸T85である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸T85は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸T197である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸T197は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸T203である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸T203は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸T208である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸T208は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1のアミノ酸T216である。一部の態様では、配列番号1のアミノ酸T216は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、融合タンパク質は、1つまたは複数の突然変異を含む。一部の態様では、1つまたは複数の突然変異は、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にしないアミノ酸による、近傍のアミノ酸でのグリコシル化を可能にするIL2Rαのアミノ酸の1つまたは複数の置換である。
一部の態様では、置換は、アミノ酸S50、アミノ酸S51、アミノ酸T69、アミノ酸T70、アミノ酸C192、またはそれらのいずれかの組み合わせでのものであり、ここで、アミノ酸位置は、配列番号1に対応する。
一部の態様では、置換は、配列番号1に対応するアミノ酸S50である。一部の態様では、配列番号1に対応するアミノ酸S50は、プロリンへと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1に対応するアミノ酸S51である。一部の態様では、配列番号1に対応するアミノ酸S51は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1に対応するアミノ酸T69である。一部の態様では、配列番号1に対応するアミノ酸T69は、プロリンへと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1に対応するアミノ酸T70である。一部の態様では、配列番号1に対応するアミノ酸T70は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
一部の態様では、置換は、配列番号1に対応するアミノ酸C192である。一部の態様では、配列番号1に対応するアミノ酸C192は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸へと突然変異される。
II.C.3.IL2融合タンパク質のリンカー
本開示の融合タンパク質は、リンカーをさらに含むことができる。一部の態様では、リンカーは、N末端からC末端へと、第1のポリペプチドを第2のポリペプチドに連結することができ、例えば、N-IL2-リンカー-IL2RαEC-Cである。他の態様では、リンカーは、N末端からC末端へと、第2のポリペプチドを第1のポリペプチドに連結することができ、例えば、N-IL2RαEC-リンカー-IL2-Cである。
一態様では、IL2融合タンパク質は、IL2ポリペプチドとIL2Rαポリペプチドとの間に位置するリンカー配列を含む。リンカーは、いずれかの長さであり得、かつ少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、50個、もしくは60個またはそれ以上のアミノ酸を含むことができる。他の態様では、本開示のために有用なリンカーは、少なくとも1個のアミノ酸かつ100個未満のアミノ酸、90個未満のアミノ酸、80個未満のアミノ酸、70個未満のアミノ酸、60個未満のアミノ酸、50個未満のアミノ酸、40個未満のアミノ酸、30個未満のアミノ酸、20個未満のアミノ酸、19個未満のアミノ酸、18個未満のアミノ酸、17個未満のアミノ酸、16個未満のアミノ酸、15個未満のアミノ酸、14個未満のアミノ酸、13個未満のアミノ酸、または12個未満のアミノ酸を有する。一態様では、リンカー配列は、グリシンアミノ酸残基を含む。他の例では、リンカー配列は、グリシンおよびセリンアミノ酸残基の組み合わせを含む。
一部の態様では、融合タンパク質は、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間にインフレームで融合されたリンカーを含む。一部の態様では、融合タンパク質は、グリシン/セリンリンカーであるリンカーを含む(comprises a linker is a glycine/serine linker)。そのようなグリシン/セリンリンカーは、限定するものではないが、ペプチドGGGS(配列番号15)もしくはGGGGS(配列番号16)またはこれらの所与のペプチドの1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回もしくはそれ以上の反復を含むその反復をはじめとする、アミノ酸残基のいずれかの組み合わせを含むことができる。本明細書中に開示されるグリシン/セリンリンカーは、(GS)、(GGS)、(GGGS)、(GGGGS)、または(GGGGS)のアミノ酸配列を含み、ここで、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数である。一態様では、リンカー配列は、GGGSGGGSGGGS(配列番号6)[(GlySer)とも記載される]を含む。別の態様では、リンカー配列は、GGGSGGGSGGGSGGGS(配列番号17)[(GlySer)とも記載される]を含む。他の態様では、リンカー配列は、(GlySer)(GGGSGGGSGGGSGGGSGGGS)(配列番号18)、(GlySer)(GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS)(配列番号19)、または(GlySer)(GGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGSGGGS)(配列番号20)のうちの1つを含む。他の態様では、リンカー配列は、配列番号21に示される通りの(GlySer)(GGGGSGGGGSGGGGS)を含む。追加の態様では、リンカー配列は、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号22)[(GlySer)とも記載される];GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号23)[(GlySer)とも記載される];(GlySer)(GGGGSGGGGS)(配列番号24)、(GlySer)(GGGGS)(配列番号25)、(GlySer)(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS)(配列番号26);(GlySer)(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS)(配列番号27);または(GlySer)(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS)(配列番号28)を含む。
II.C.4.IL2融合タンパク質の異種部分
本開示の融合タンパク質は、追加のエレメント、例えば、異種部分をさらに含むことができる。そのようなエレメントは、融合タンパク質の発現を助け、融合タンパク質の分泌を助け、融合タンパク質の安定性を改善し、タンパク質のより効率的な精製を可能にし、かつ/または融合タンパク質の活性を修飾することができる。一部の態様では、異種部分は、ポリペプチド部分である。他の態様では、異種部分は、非ポリペプチド部分である。
一部の態様では、融合タンパク質は、第1のポリペプチドに融合された異種部分を含む。一部の態様では、融合タンパク質は、第2のポリペプチドに融合された異種部分を含む。一部の態様では、融合タンパク質は、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドに融合された異種部分を含む。
一部の態様では、本明細書中に開示される融合タンパク質は、1つまたは複数の追加の異種部分を含む。一部の態様では、異種部分は、半減期延長部分である。一部の態様では、異種部分は、アルブミン、免疫グロブリン定常領域またはその一部分、免疫グロブリン結合性ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合性ポリペプチド(ABP)、PAS化部分、HES化部分、XTEN、PEG化部分、Fc領域、およびそれらのいずれかの組み合わせを含む。
本開示に従って用いることができる異種部分の例は、それらのそれぞれが参照により本明細書中に組み入れられる、米国特許出願公開第2019/0359672号A1および同第2019/0300592号A1に開示される。
II.C.5.例示的なIL2融合タンパク質
一部の態様では、融合タンパク質は、配列番号29;配列番号5;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;および配列番号34のうちのいずれか1つ、または米国特許出願公開第2019/0359672号A1および同第2019/0300592号A1の表3に列挙される通りの配列のうちのいずれか1つを含む。
一部の態様では、融合タンパク質は、以下の表3に列挙される通りの配列番号29;配列番号5;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;配列番号34のうちのいずれか1つを含み、かつ/または融合タンパク質は、米国特許出願公開第2019/0359672号A1および同第2019/0300592号A1の表3に列挙される通りの配列のうちのいずれか1つを含む。
Figure 2023548311000004
IL2/IL-Ra ECドメイン融合タンパク質の成熟形態および未プロセシング形態の生物学的に活性な断片および変異体、ならびにそれをコードするポリヌクレオチドもまた提供される。そのような機能的ポリペプチド断片は、配列番号:配列番号29;配列番号5;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;および配列番号34のうちのいずれか1つの少なくとも5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、75個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個またはそれ以上の連続するアミノ酸を含むことができる。あるいは、機能的ポリペプチド変異体は、配列番号:配列番号29;配列番号5;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;および配列番号34に示される配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含むことができる。
IL2/IL-Ra細胞外ドメイン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの活性な変異体および断片が、さらに提供される。そのようなポリヌクレオチドは、配列番号:配列番号29;配列番号5;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;および配列番号34に示されるポリペプチドをコードする少なくとも100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、1000個、1100個、1200個、1300個、1500個、1800個、2000個の連続するヌクレオチドを含み、かつ引き続き、機能的IL2/IL-Ra細胞外ドメイン融合タンパク質をコードすることができる。
一部の態様では、本開示の融合タンパク質は、配列番号29;配列番号5;配列番号30;配列番号31;配列番号32;配列番号33;および配列番号34のうちのいずれか1つに対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。
本開示のIL2融合タンパク質は、1つまたは複数の以下の特性/活性を有することができる:(1)調節T細胞(Treg)の活性を増加させることおよび/または低用量IL2に基づく療法において免疫寛容を増加させること;(2)比較的高用量の療法において免疫応答およびメモリーを増加させること;(3)組み換えIL2と比較した場合にIL2利用可能性を増加させること;ならびに/または(4)インビボにおいてIL2R担持リンパ球の持続性IL2刺激を増加させること。
一態様では、本明細書中に開示される融合タンパク質は、IL2(配列番号2)または配列番号29(切断を伴わずに12merリンカーを含むwtIL2-CD25配列)からなるポリペプチドの薬物動態特性と比較して、増加した半減期、増加したCmax、増加した濃度-時間曲線下面積(AUC)、増加したCmin、減少したクリアランス、改善したバイオアベイラビリティ、およびそれらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の薬物動態特性を含む。
一態様では、本明細書中に開示される融合タンパク質は、IL2(配列番号2)または配列番号29(切断を伴わずに12merリンカーを含むwtIL2-CD25配列)と比較して延長した半減期を有する。一部の態様では、延長した半減期は、IL2(配列番号2)または配列番号29(いかなる切断も伴わずに12merリンカーを含むwtIL2-CD25配列)からなるポリペプチドの半減期と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約21倍、または少なくとも約22倍である。
一部の態様では、IL2融合タンパク質からもたらされるTregの増加した活性は、例えば、(1)CD4+T細胞区画におけるTregの増加した提示および個数;(2)IL2依存性CD25のアップレギュレーション;(3)増殖マーカーKi67の発現により評価される場合の増加した増殖;および(4)IL2依存性最終分化型Klrg1+Tregサブセットの増加した画分をはじめとする、様々な方法においてアッセイすることができる。Tregに対するそのような作用は、例えば、脾臓および/または炎症膵臓において、見ることができる。
一部の態様では、本開示のIL2融合タンパク質は、Tエフェクター/メモリー応答を増加させることを通して寛容原性および免疫抑制性Tregおよび免疫を増加させ、かつ、さらなる態様では、(1)ネイティブもしくは組み換えIL2と比較してIL2活性の低い有効レベル;および/または(2)ネイティブもしくは組み換えIL2よりも多くの持続性生物学的応答を提示することにおいて、そのような応答を送達することにより、改善された薬物動態を示す。
一部の態様では、融合タンパク質は、ネイティブまたは組み換えIL2よりも改善された活性を有する。例えば、IL2融合タンパク質の作用は、ネイティブまたは組み換えIL2と比較して、約2分の1、5分の1、10分の1、20分の1、30分の1、40分の1、50分の1、60分の1、70分の1、80分の1、90分の1、100分の1、150分の1、200分の1またはそれより低いレベルのIL2活性において寛容原性Tregを増加させることができる。他の態様では、IL2融合タンパク質は、Tregの持続的増強および関連する特性の誘導において、ネイティブまたは組み換えIL2よりも効果的である。
本明細書中に開示されるIL2融合タンパク質の構成要素はいかなる順序でも見出すことができることがさらに認識される。一態様では、IL2ポリペプチドはN末端にあり、かつIL2Rαの細胞外ドメインは融合タンパク質のC末端にある。
一部の態様では、融合タンパク質は、二量体を形成する。他の態様では、融合タンパク質は、単量体である。さらに、一部の態様では、二量体は2つの単量体を含み、かつ単量体は、共有結合を介して互いに会合される。一部の態様では、二量体は2つの単量体を含み、かつ単量体は、非共有結合を介して会合される。
本開示の一部の態様では、融合タンパク質は、IL2(配列番号2)または配列番号29(切断を伴わずに12merリンカーを含むwtIL2-CD25配列)からなるポリペプチドよりも安定である。一部の態様では、融合タンパク質は、(i)参照タンパク質と比較して増加した熱力学安定性;(ii)参照タンパク質と比較して増加したTM;(iii)参照タンパク質と比較して増加した分解に対する耐性:(iv)参照タンパク質と比較して増加した修飾に対する耐性;(v)参照タンパク質と比較して増加したインビボでの安定性;および(vi)それらのいずれかの組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数の特性を有し、ここで、参照タンパク質は、(i)インターロイキン-2(IL2)ポリペプチドを含む第1のポリペプチド;および(b)インターロイキン-2受容体α(IL2Rα)ポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のポリペプチドを含み;かつ融合タンパク質と比較して少なくとも1箇所多くのグリコシル化を有する。
本明細書中に開示される融合タンパク質のグリコシル化部位のうちのいずれかを、他のメカニズムにより除去することができる。一部の態様では、融合タンパク質は、酵素的または化学的に脱グリコシル化される。一部の態様では、融合タンパク質は、アルカリ、ヒドラジン分解、ペプチド-N-グリコシダーゼF(PNGアーゼF)、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼH(エンドH)、O-グリコシダーゼ、またはそれらのいずれかの組み合わせにより脱グリコシル化される。
一部の態様では、融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、アルカリを用いる融合タンパク質の処理により達成される。一部の態様では、グリカンが、アルカリ水素化ホウ素処理により、グリコシル化されたポリペプチドから除去される。他の態様では、本明細書中に開示される融合タンパク質のグリコシル化部位は、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩を用いて除去することができる。一部の態様では、アルカリは、β脱離処理のために用いられる。
一部の態様では、融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、ヒドラジン分解を用いる融合タンパク質の化学的処理により達成される。一態様では、グリコシル化は、融合タンパク質をヒドラジン分解に供することにより、本明細書中に開示される融合タンパク質から放出され、かつ放出された糖鎖は、2-アミノピリジンを用いる蛍光標識に供される。Hase et al. J. Biochem. 95:197 (1984)を参照されたい。一部の態様では、ヒドラジン分解は、Oxford GlycoSystemsにより供給される機器(GlycoPrep1000)を用いて行われる。
別の態様では、融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、融合タンパク質をトリフルオロメタンスルホン酸(TFMS)へと供することにより達成される。
一部の態様では、融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、酵素を用いる融合タンパク質の処理により達成される。一部の態様では、酵素はグリコシダーゼである。一部の態様では、融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、ペプチド-N-グリコシダーゼF(PNGアーゼF)を用いて達成される。PNGアーゼFの濃度は変えることができ、実験的に決定されるべきである。一部の態様では、グリコシダーゼは、PNGアーゼFである。PNGアーゼFは、市販の酵素である(例えば、New England Biolabs、Ipswich MA、カタログ番号P0704またはP0710)。一部の態様では、PNGアーゼFは、融合タンパク質である。例えば、PNGアーゼFは、キチン結合性ドメイン(CBD)によってタグ付けされたPNGアーゼFまたはPNGアーゼF-SNAP融合タンパク質であり得る。一部の態様では、グリコシダーゼは、凍結乾燥される。一部の態様では、グリコシダーゼは、凍結乾燥されたPNGアーゼFである。一部の態様では、グリコシダーゼは、動物由来試薬を実質的に含まない。
一部の態様では、融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼH(エンドH)を用いる融合タンパク質の処理により達成される。エンドHは、ストレプトマイセス・プリカツス(Streptomyces plicatus)および少数の他のストレプトマイセス属菌種(Streptomycesspecies)により分泌されるグリコヒドロラーゼである(Tarentino et al., 1976)。エンドHは、オリゴ糖のN-アセチルグルコサミンコアのβ-1,4-グリコシド結合を切断し、1個のN-アセチルキトビオースが糖タンパク質のアスパラギン残基に連結されたままにする(Trimble et al., 1978;Muramatsu 1971)。S.プリカツスのエンドH遺伝子は939bp(GenBank登録番号AAA26738.1)であり、28.9kDaタンパク質をコードする。S.プリカツス由来のエンドHが、近年ピキア・パストリス(Pichiapastoris)において発現され、P.パストリス産生エンドHの脱グリコシル化活性が、共発酵および発酵後処理の両方を介して、インビトロで実証された(Wang et al., 2015)。
一部の態様では、融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、O-グリコシダーゼ(New England Biolabs、Ipswich MA)を用いる融合タンパク質の処理により達成される。エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼとも称されるO-グリコシダーゼ(O-glycosides)は、糖タンパク質からのコア1およびコア3 O連結二糖の除去を触媒する。一部の態様では、O-グリコシダーゼは、糖タンパク質から未置換Ser-およびThr-連結を放出する。
融合タンパク質の1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、IL2タンパク質が細胞培養(例えば、バイオリアクター)において産生された後、IL2融合タンパク質が細胞培養において産生される間、融合タンパク質が回収された後、および/または融合タンパク質が精製されている間に、達成することができる。一部の態様では、1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、融合タンパク質が発現されている間、細胞培養中に1つまたは複数の除去剤を添加することにより、達成することができる。他の態様では、1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、グリコシル化を除去するかまたは低減されたグリコシル化を有する宿主細胞としての特定の細胞タイプ[例えば、大腸菌(E.coli)またはストレプトマイセス属菌種]を選択することにより、達成することができる。特定の態様では、1つまたは複数のグリコシル化部位の除去は、融合タンパク質をコードする遺伝子を、1つまたは複数のグリコシル化を除去する酵素をコードする遺伝子と共に共発現させることにより、達成される。
II.D.IL2融合タンパク質を含む医薬組成物
一部の態様では、IL2融合タンパク質は、IL2融合タンパク質ならびに1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または安定化剤を含む医薬組成物の一部分として対象に投与される。
本明細書中で用いる場合、単語「薬学的に許容される担体」は、薬剤投与に適合する、いずれかおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬学的に活性な物質に対するそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。いずれかの慣用の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物中のその使用が考慮される。補助的な活性化合物もまた、組成物に組み込むことができる。
本開示の医薬組成物は、その意図される投与経路に適合性であるように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、および経粘膜が挙げられる。加えて、治療を必要とする領域へと局所的に医薬組成物の治療用量を投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、外科手術中の限局性もしくは局所注入もしくは灌流、局所適用、注入、カテーテル、坐剤、またはインプラント[例えば、シラスティック(sialastic)メンブレンまたはファイバーなどのメンブレンをはじめとする、多孔性、非多孔性、またはゲル状材料から形成されるインプラント]などにより、達成することができる。別の態様では、医薬組成物の治療用量は、リポソームなどの媒体中で送達される[例えば、Langer, Science 249:1527-33 (1990)およびTreat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez Berestein and Fidler (eds.), Liss, N.Y., pp. 353-65, 1989を参照されたい]。
また別の態様では、医薬組成物の治療用量は、制御放出システムにおいて送達することができる。一例では、ポンプを用いることができる[例えば、Langer, Science 249:1527-33 (1990);Sefton, Crit. Rev. Biomed. Eng. 14:201-40 (1987);Buchwald et al., Surgery 88:507-16 (1980);Saudek et al., N Engl. J Med. 321:574-79 (1989)を参照されたい]。別の例では、ポリマー材料を用いることができる[例えば、Levy et al., Science 228:190-92 (1985);During et al., Ann. Neural. 25:351-56 (1989);Howard et al., J Neurosurg. 71:105-12 (1989)を参照されたい]。Langer[Science 249:1527-33 (1990)]により議論されるものなどの他の制御放出システムもまた、用いることができる。
許容される担体、賦形剤、または安定化剤は、利用される投与量および濃度においてレシピエントに対して無毒であり、かつ緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンをはじめとする抗酸化剤;保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;グルコース、マンノース、またはデキストリンをはじめとする単糖、二糖、および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
非経口調製物において用いられる薬学的に許容される担体は、水性媒体、非水性媒体、抗微生物剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散化剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤および他の薬学的に許容される物質を含む。水性媒体の例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロースおよび乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。非水性非経口媒体としては、植物起源の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油およびラッカセイ油が挙げられる。静菌性または静真菌性濃度における抗微生物剤を、複数用量容器中に包装される非経口調製物に添加することができ、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、ベンザルコニウム塩化物およびベンゼトニウム塩化物を含む。等張化剤としては、塩化ナトリウムおよびデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられる。抗酸化剤としては、硫酸水素ナトリウムが挙げられる。局所麻酔薬としては、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁化剤および分散化剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80[TWEEN(登録商標)80]が挙げられる。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤としては、EDTAが挙げられる。医薬担体としては、水混和性媒体に関してエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;ならびにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸もまた挙げられる。
非経口、皮内、または皮下適用のために用いられる溶液または懸濁物は、以下の成分を含むことができる:無菌希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン(glycerine)、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗細菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩および等張性の調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムを用いて調整することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジ、または複数用量バイアル中に封入することができる。
注入可能な用途のために好適な医薬組成物としては、無菌水溶液(水溶性である場合)または分散液および無菌注入可能溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が挙げられる。静脈内投与に関して、好適な担体としては、生理食塩水、静菌性水、クレモホールELS(BASF;Parsippany、NJ)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合で、組成物は無菌でなければならず、かつ容易な注射針通過性(syringability)が存在する程度まで流動性であるべきである。組成物は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、かつ細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール[例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレン(polyetheylene)グリコールなど]、およびそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティング剤を使用することにより、分散液の場合には必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適正な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより、達成することができる。多くの場合に、等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましいであろう。注入可能組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることにより、もたらすことができる。
無菌注入可能溶液は、上記に列挙された成分のうちの1つまたは組み合わせと共に、適切な溶媒中に、必要とされる量で活性化合物を組み込み、必要な場合、続いて、ろ過滅菌することにより、調製することができる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒および上記に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含有する無菌媒体へと活性化合物を組み込むことにより、調製される。無菌注入可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、以前に滅菌ろ過されたその溶液から有効成分およびいずれかの追加的な望ましい成分の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥である。
吸入による投与に関して、化合物は、好適な噴射剤、例えば、二酸化炭素などの気体が入った加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達される。全身性投与はまた、経粘膜または経皮手段によるものでもあり得る。
経粘膜または経皮投与に関して、浸透させようとしている障壁に対して適切な浸透剤が、製剤中に用いられる。そのような浸透剤は、当技術分野で一般的に公知であり、かつ、例えば、経粘膜投与に関して、デタージェント、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻内スプレーまたは坐剤の使用を通して達成することができる。経皮投与に関して、活性化合物は、当技術分野で一般的に公知である通り、軟膏剤、膏薬、ゲル剤、またはクリーム剤へと製剤化される。化合物はまた、坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの慣用の坐剤基剤を用いて)または直腸デリバリーのための停留浣腸の形態でも調製することができる。
一態様では、活性化合物は、身体からの迅速な排出に対して化合物を保護するであろう担体を用いて調製され、例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化デリバリーシステムをはじめとする制御放出製剤である。生分解性生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などを用いることができる。そのような製剤の調製のための方法は、当業者に明らかであろう。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals、Incから商業的に入手することができる。リポソーム懸濁物もまた、薬学的に許容される担体として用いることができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載される通り、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、単位投与剤型において経口または非経口組成物を製剤化することが、特に有利である。単位投与剤型とは、本明細書中で用いる場合、必要な薬学的担体と共同して所望の治療効果を生じるために算出される活性化合物の予め決定された量を各単位が含有する、治療しようとしている対象への単位的投与量として適した物理的に分離した単位を意味する。本開示の単位投与剤型に関する仕様は、活性化合物の固有の特性および達成しようとしている特定の治療効果、ならびに個体の治療のためにそのような機能的化合物を配合する技術に内在する制限により決定付けられ、かつそれらに直接的に依存する。医薬組成物は、投与のための説明書と共に、容器、包装、またはディスペンサー中に含められることができる。
本開示の実施は、別途示されない限り、当技術分野の技能の範囲内である、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組み換えDNA、および免疫学の慣用の技術を利用するであろう。そのような技術は、文献中に完全に説明されている。例えば、Sambrook et al., ed. (1989) Molecular Cloning A Laboratory Manual (2nd ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrook et al., ed. (1992) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, (Cold Springs Harbor Laboratory, NY);D. N. Glover ed., (1985) DNA Cloning, Volumes I and II;Gait, ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis;Mullisら、米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins, eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins, eds. (1984) Transcription And Translation;Freshney (1987) Culture Of Animal Cells (Alan R. Liss, Inc.);Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press) (1986);Perbal (1984) A Practical Guide To Molecular Cloning; the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.);Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells, (Cold Spring Harbor Laboratory);Wu et al., eds., Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155;Mayer and Walker, eds. (1987) Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Academic Press, London);Weir and Blackwell, eds., (1986) Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV;Manipulating the Mouse Embryo, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., (1986); );Crooks, Antisense drug Technology: Principles, strategies and applications, 2nd Ed. CRC Press (2007)およびAusubel et al. (1989) Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Baltimore, Md.)を参照されたい。
上記で引用された参考文献のうちのすべて、ならびに本明細書中で引用されるすべての参考文献およびアミノ酸またはヌクレオチド配列(例えば、GenBank番号および/またはUniprot番号)は、それらの全体で参照により本明細書中に組み入れられる。
以下の実施例は、例示のために提供され、限定のために提供されるのではない。
III.実施例
III.A.BMS-986326の非臨床研究
非臨床的薬理学
BMS-986326の生化学的および生物物理学的特性決定は、BMS-986326が、主に自己遮断性ホモ二量体として存在し、37℃においてインビトロで約3日間の解離半減期および1pMの推定上の解離定数(Kd)を有することを示した。ヒト、カニクイザル、マウス、およびラットCD25(IL-2Rα)に対するBMS-986326の結合親和性は、それぞれ、2,410nM、2,000nM、4,200nMおよび7,500nMであり、IL-2Rβγ(組み立て済みのヘテロ二量体として)に関しては、それぞれ、111nM、105nM、4,000nM超および4,000nM超であった。これらの親和性値に基づいて、BMS-986326薬理学を評価するために、サルが好適な生物種であるが、げっ歯類は、ヒトと比較して変化した薬理学を示す可能性がある。活性単量体の低いレベルに起因して、BMS-986326のインビトロ効力は、組み換えIL-2と比較して、100分の1未満まで減少した。BMS-986326は、組み換えIL-2での0.027nM±0.014と比較して、Kit225インターフェロン調節因子1(IRF1)駆動レポーター細胞株において、3.4nM±1.8の平均最大半値有効濃度(EC50)を示した。IL-2シグナル伝達の近接マーカーであるTregにおけるSTAT5のリン酸化(pSTAT5)を測定するための全血アッセイにおいて、BMS-986326は、ヒト血液において0.23nM±0.14およびサル血液において0.078nM±0.040のEC50を示した。BMS-986326は、全血アッセイにおいてTregに対する選択性を示し、Tregにおいて略最大シグナルが検出され(薬物の最高濃度において90%超のTreg pSTAT5+)、通常CD4FoxP3T細胞(Tconv)、CD8細胞、およびNK細胞において部分的シグナルのみが検出された(71nMの薬物の最高濃度において50%未満のpSTAT5細胞)。
マウスIL-2Rβγ二量体に結合するヒトIL-2の親和性における顕著な差異に起因して、ならびに慢性有効性研究において潜在的な抗薬物抗体(ADA)を回避するために、マウス代理分子(mIL2-CD25)を用いて、マウス疾患モデルにおける同種二量体融合タンパク質の活性を調査した。BALB/c野生型マウスにおいて、mIL2-CD25は、断片結晶化可能(Fc)およびmIL-2の融合タンパク質(Fc-mIL2)、またはネズミIL2(mIL2)の毎日用量と比較して、長期的な薬物動態(PK)、ならびにロバストなTreg拡大増殖およびCD8細胞およびNK細胞と比較して強化されたTreg選択性を示した。mIL2-CD25分子を、2種類のループスマウスモデル:NZB/WおよびMRL/lprにおいて試験し、これらは、ヒトにおいて観察されるループス様症状の古典的徴候を示す。両方のマウスモデルにおいて、早期疾患でのmIL2-CD25治療は、ロバストかつ用量依存的な薬力学(「PD」;Treg増殖および拡大増殖ならびにTreg上のIL-2シグナル伝達に関するバイオマーカー)、ならびに高用量ステロイド治療と類似する疾患エンドポイントにおけるロバストな改善:自己抗体および腎臓損傷における低減、ならびに腎機能の改善を実証した。0.2mg/kgの用量は、これらの研究において最大有効性を提供する最小用量であった。加えて、mIL2-CD25の最適未満の用量(0.1mg/kg)は、低用量ステロイド治療(0.1mg/kgプレドニゾロン)と組み合わせた場合、相加的な有効性を示した。Tregパーセンテージ(CD4T細胞ゲート内)を、マウス研究における主要PD読み出し値として測定した。CD4T細胞ゲートにおける%Tregでの変化を、媒体群におけるCD4T細胞ゲート中の%Tregを治療群におけるCD4T細胞ゲート中の%Tregから差し引くことにより算出し、ΔTreg%と表した。週2回(BIW)投薬を用いる数回の研究を通して、Tregパーセンテージは、最大有効性をもたらした用量(0.2mg/kg)において、研究およびTregに対するゲート定義に依存して、CD4集団においてΔ12%~Δ18%まで、媒体対照レベルを超えて増加した。NZB/Wモデルにおいて、TregレベルがQ5D研究に関してPK底値で穏やかに低下したという事実にもかかわらず、BIWおよび5日間に1回(Q5D)投薬頻度を用いて同様の有効性が達成された。NZB/W疾患モデルからのデータを用いて、ヒト用量予測を助けるために、有効性に対する標的PD応答を決定した。
広範囲の用量(0.075mg/kg、0.25mg/kg、0.75mg/kgおよび2.5mg/kg、それぞれ、約48、157、407、および1046μg・h/mLのAUCに対応する)にわたるBMS-986326のPK、PD、および忍容性を、サルにおける単回皮下(SC)注入後に評価した。本研究では、すべての用量を通して、頻度、絶対数、およびパーセント増殖Tregでの明らかな用量依存的増加が見られた。すべての用量でのTreg上の、フローサイトメトリー分析により測定される、STAT5のリン酸化ならびにCD25の発現をはじめとするIL-2Rシグナル伝達を示すマーカーにおける増加もまた見られた。任意の用量におけるTconvまたはCD8T細胞でのpSTAT5レベルまたは細胞表面CD25発現での変化に関する最小限の証拠にもかかわらず、試験された2種類の最も高い用量において、TconvおよびCD8T細胞の用量依存的拡大増殖および増殖に関する証拠が見られた。加えて、2.5mg/kgの最高用量レベルで、サルにおいて乏しい忍容性が観察された。十分な忍容性が認められたTreg選択的用量である0.25mg/kgでは、CD4 T細胞中のTregのピークパーセンテージにおけるベースラインからの変化は、マウスモデルにおける最大有効性のために必要とされる%Tregレベル(媒体対照を超えるΔ12%~18%)を十分に超えるレベル(ピークにおいて用量前を超えるΔ23%、ピークにおいて用量前を超える4.8倍増加)に達した。加えて、CD4T細胞ゲート中の%Tregにおけるベースラインを超えるΔ10%までの増加は、21日目投与を通してこの用量で維持された。まとめると、これらのデータは、BMS-986326が、予期される有効用量においてTreg選択的である、ロバストかつ長期的なPD応答を生じることを実証する。
非臨床的薬物動態
非臨床的設定においてBMS-986326のPKを特性決定するために、様々なインビトロおよびインビボ研究を行った。BMS-986326またはmIL2-CD25の血清曝露を測定するためのリガンド結合性アッセイは、活性な単量体形態および不活性な二量体形態を含む合計濃度を測定した。静脈内(IV)投与後、BMS-986326の定常状態分布容量(Vss)は、マウスおよびサルにおいて、それぞれ、0.0954および0.0734L/kgであった。BMS-986326の合計血清クリアランス(CTL)は、マウスおよびサルにおいて、それぞれ、3.25および0.769mL/h/kgであり、かつ皮下(SC)投薬後の見かけの排出半減期(T-HALF)は、1.18日間および3.30日間であった。SC投薬後の最大濃度到達時間(Tmax)は、マウスおよびサルにおいて、それぞれ、7時間および24時間であった。SC投薬後の絶対的バイオアベイラビリティは、マウスにおいて58%およびサルにおいて46%であった。ヒト血清におけるインビトロ研究(最大72時間)およびBMS-986326のSC投与後のサル血清サンプルにおけるエクスビボ研究(最大168時間)は、IL-2を介する免疫捕捉後のIL-2およびCD25の液体クロマトグラフタンデム質量分析(LC-MS/MS)に基づく面積比の測定により評価される場合、リンカー切断の徴候を示さなかった。
ヒトPKは、サルPKパラメータの相対成長スケーリングを用いて予想され、サルにおけるものと同様のSCバイオアベイラビリティを有することが推定された。6日間の半減期が、ヒトにおいて予想された。BMS-986326はサルおよびヒトIL-2RαおよびIL-2Rβγに対する同等の結合親和性、ならびにサルおよびヒト全血アッセイにおいてインビトロで同等の効力を有することが示されているので、ヒトPD応答(CD4Treg、CD8T細胞、および%pSTAT5Tregの細胞カウントにおける変化を含む)が、サルPK/PDモデルパラメータを用いて予想された。
ヒトにおけるBMS-986326の有効用量は、2種類のアプローチを用いて予想された。第1のアプローチは、mIL2-CD25を投与されたマウスモデルにおける最大前臨床的有効性に基づいた。mIL2-CD25(0.2mg/kg BIW)を用いるNZB/Wマウスモデルにおける最大有効性は、底値でのベースラインに対してCD4T細胞中のΔ14%Tregを伴ったので、底値における同様のPD応答を、BMS-986326のヒト有効用量を予想するための目標とした。底値でのCD4T細胞中のΔ14%Tregを目標とするヒトにおけるBMS-986326の有効用量は、2週間毎に1回(Q2W)投与される6mgSCである。この用量では、BMS-986326の予想される定常状態最大血清濃度(Cmax,ss)は1.5μg/mLであり、予想されるAUC(TAU)は217μg・h/mLであり、かつ予想される定常状態最小濃度(Ctrough,ss)は0.3μg/mLである。
後続の研究では、NZB/WマウスモデルにおけるmIL2-CD25(0.2mg/kg Q5D)の低減した投薬頻度もまた、10分の1の底値曝露を伴って、最大有効性を示した。したがって、6mgSC Q2W用量と比較して10分の1のCtrough,ss(0.03μg/mL)を達成するであろう月1回(Q1M)投与される6mgSCの予想されるヒト用量が、同様の有効性を有することが予想される。6mg Q1M投薬レジメンは、ピークにおいてCD4T細胞中のΔ12%Tregおよび底値においてCD4T細胞中のΔ4%Tregを実現することが予測される。
BMS-986326のヒト有効用量を予想するための第2のアプローチは、SLE患者における組み換えヒトIL-2(rhIL-2)を用いる有効性の臨床的実証に基づくものであった。SLEを有する患者における臨床研究では、2週間にわたる隔日の1MIU(百万国際単位)SCで投与されるrhIL-2、およびそれに続く2週間の無治療期間は、CD4T細胞中のΔ5%TregのピークおよびCD4T細胞中のΔ1%Tregの底値を伴うTregプロファイルを生じた。この治療がプラセボと比較してSLEレスポンダー指数-4(SRI-4)を改善することが示されたので、同様のTregプロファイルを、BMS-986326の有効用量を推定するための目標とした。臨床データに基づいて、同様のTregプロファイルを達成するためのヒトにおけるBMS-986326の予想される有効用量は、2mgSC Q1Mである。この用量では、BMS-986326の予想されるCmax,ssは0.4μg/mLであり、予想されるAUC(TAU)は71μg・h/mLであり、かつ予想されるCtrough,ssは0.01μg/mLである。考え合わせると、ヒトにおけるBMS-986326に対する有効用量範囲は、2~6mgSC Q1Mであると予想される。
非臨床的毒物学
ラットおよびサルは、インビトロ受容体サブユニット結合性データに基づいて関連のある毒物学的生物種であることが実証され、インビボで薬理学(選択的Treg拡大増殖)を示し、ならびにIL-2Rアゴニスト分子に関して歴史的に用いられてきた。BMS-986326の単回および反復用量毒性を、選択された投薬頻度を用いて、ラットにおいて最大2週間にわたって、およびサルにおいて最大12週間にわたって、一連の研究で特性決定した。両方の生物種におけるピボタル優良試験所基準(GLP)反復用量研究は、BMS-986326のSC投与を利用し、かつ異なる用量頻度(週1回[QW]対週2回[2QW])を用いるラットにおける2種類の2週間研究、サルにおける2週間の週1回投薬研究、およびサルにおける12週間(3週間毎に1回、Q3W)投薬研究からなった。加えて、単回用量予備的研究が、BMS-986326の忍容性を調査するためにラットおよびサルの両方で最初に完了され、かつ単回用量GLP IV毒性および心血管安全性研究もまた、ヒト初回(FIH)単回漸増用量(SAD)研究(IM034001)におけるIV投与を支持するために、IV投薬を用いて遠隔計測装置を装着したサルにおいて完了された。
ラットでは、BMS-986326は、高度に免疫原性であることが報告され、ADA形成がBMS-986326治療ラットのうちの84%で生じた。一般的に、ADAの存在は、低減された曝露およびPD活性の喪失に関連付けられたが、毒性には関連付けられなかった。サルでは、ADAは、一般的に、ピボタル毒性研究においてBMS-986326に対する曝露後に形成されず、かつ予備的研究における発生率が低かった。
意図されたPD作用および意図されないPD作用が、各毒性研究のすべての用量を通して用量依存的様式で生じ、かつ一般的に、ラットにおけるよりもサルにおいてより顕著であった。IL-2Rアゴニストとして、BMS-986326は、ラットおよびサルにおいてすべての用量を通してTreg細胞中のSTAT5の最大リン酸化(72%~95%)を誘導し、Treg細胞(サルでは最大63倍)および/またはCD4 Treg上でのCD25発現(ラットにおいて最大4.5倍)を増加させ、かつIL-10の血清レベルを上昇させた(ラットにおいて最大2倍およびサルにおいて最大87倍)。Tregに対する所望の薬理学的作用に加えて、BMS-986326はまた、血清IL-5、MCP-1、およびパーフォリンの同時上昇を伴う通常CD4およびCD8 T細胞集団ならびにNK細胞の用量依存的活性化を含む意図されない作用ももたらした。サルにおいて週1回投与される場合、BMS-986326の比較的高い用量では、B細胞(1.6倍)ならびにIFN-γ(7.9倍)、IL-1Ra(49倍)、およびIL-6(5.1倍)などの他の炎症性サイトカインの増加もまた記録された。これらの炎症性サイトカインは、BMS-986326の比較的低い用量が12週間サル毒性研究において比較的低頻度(Q3W)で投与された場合には上昇しなかった。
すべてのPD作用(意図されるものおよび意図されないもの)は、一般的に、用量後回復期間の後に元に戻ることができた。薬理学的応答のピークは、一般的に、投薬後の4~12日間で観察され、より高頻度(すなわち、ラットにおいて週2回またはサルにおいて週1回であって、PD応答のピークで後続の用量が投与された)であった投薬レジメンの場合、これは、より大きな発生率および毒性の重症度と相関した(下記を参照されたい)。用量が比較的低頻度(3週間毎)で投与された12週間サル研究では、各後続の用量の直前(投薬3週間後)のTregおよび非Tregの両方におけるPD応答は、用量の4~12日間でそのピーク応答から減少しており、したがって、すべての用量において、ターゲットエンゲージメントの証拠および好ましい免疫修飾に関する傾向が見られ、大部分の動物における意図されない免疫応答の最小刺激を伴った。考え合わせると、意図されるものおよび一部の意図されないものの両方の用量関連薬理学的作用がQ3W投薬を用いる12週間サル研究において観察されたが、Tregでの増加の大きさは、用量範囲全体にわたって、通常T細胞における増加よりも最大で約2倍高かった。
5、25、75、または200mg/kgのSC用量が投与されたラットにおける単回用量予備的研究では、BMS-986326は、25mg/kg/日以上(平均AUC[0~96h]≧2,080μg・h/mL)において雄性ラットによる忍容性が認められず、5日目での有病または死亡を生じ、出血、肝胆道傷害、および機能的胆汁鬱滞を示す臨床病理学変化を伴い、これらはすべて、IL-2の高用量作用と合致した。5mg/kg(平均AUC[0~96h]=501μg・h/mL)では、有害作用は観察されなかった。
0.075、0.25、0.75、または2.5mg/kgのSC用量でのサルにおける単回用量予備的忍容性PK/PD研究では、最大0.75mg/kg(AUC[INF]407μg・h/mL)の用量は、十分な忍容性が認められ、所望の(Treg拡大増殖を伴うTregにおけるSTAT5のリン酸化ならびにTreg上での増加したCD25発現およびIL-10)および意図されない(TconvおよびCD8T細胞のわずかな拡大増殖、IL-5、MCP-1、パーフォリン、およびGM-CSFをはじめとする増加した炎症促進性サイトカイン)、PDエンドポイントにおける変化ならびに好酸球増加および減少した赤血球量を伴った。BMS-986326は、2.5mg/kg(AUC[INF]1040μg・h/mL)において忍容性が認められず、数頭のサルが、液状便、減少した活動性、異常な/鱗状/赤色皮膚、および重症脱水、およびサイトカイン放出を示す臨床病理学プロファイル、肝臓毒性、ならびに下痢および脱水に関連する可能性がある腎障害を示した。
サルにおけるピボタル単回用量IV毒性および心血管安全性研究では、BMS-986326は、すべての用量(0.05、0.15、または0.5mg/kg;平均AUC[0~336h]≦757μg・h/mL)において臨床的に十分な忍容性が認められた。高用量において低血圧作用および毛細血管漏出症候群(CLS)を引き起こす組み換えhIL-2とは異なり、血圧の減少、CLS様作用、または血液動態もしくは心電図パラメータに対する他の作用は、投与されたBMS-986326用量では観察されなかった。すべての用量での特筆すべき毒物学的知見は、骨髄中の好酸球の最小から中等度の骨髄過形成、および脾臓における好酸球細胞性の最小から軽度の増加(脾臓肥大および増加した重量に相関する)に関連付けられる好酸球の最小から顕著な増加(最大91.6倍)を含んだ。0.5mg/kgの高用量では、追加の特筆すべき知見は、炎症促進性サイトカインの増加に関連する可能性がある平均体温の一時的上昇(最大1.1℃)、補正QT間隔の一時的減少および最小限に増加した心拍数(ベースラインと比較して4%)、および一時的な軽度炎症応答を広く反映する臨床病理学プロファイルを含んだ。顕微鏡的には、一部の組織において、用量依存的な好酸球および単核細胞の多臓器浸潤物が見られた。すべての知見は、変化の低い大きさおよび性質、検査したすべての組織/臓器における組織損傷および炎症性変化の欠如、および関連する機能的結果の非存在に基づいて有害でないと考えられ、かつサルでの単回IV用量後の無毒性量(NOAEL)は、0.5mg/kg IV(平均AUC[0~336h]=757μg・h/mL)の高用量であると考えられた。
異なる投薬頻度を用いるラットにおける2つの分離した2週間毒性研究では、BMS-986326を、0.5、1、もしくは2.5mg/kg SCの週2回用量または0.25、0.5、もしくは1mg/kg SCの週1回用量で投与し、すべての用量(2.5mg/kg以下、平均AUC[0~336h]≦600μg・h/mL)において臨床的に忍容性が認められた。最大曝露は、各研究の第1週の間に記録され、ADAの影響に起因して、第2週の間に大幅に減少した。有害知見は、週2回研究の間にのみ生じ、すべての用量(≧0.5mg/kg 2QW、1日目に平均AUC≧189μg・h/mL)における脾膜線維増殖および脾臓の炎症ならびに2.5mg/kgにおける血小板数の減少(0.8倍~0.4倍)からなった。炎症を伴う脾膜線維増殖は、中等度から顕著な重症度に起因して、すべての週2回用量において有害であると考えられ、腸間膜(胃および膵臓に隣接する)における最小から軽度の炎症も伴い、これは、さらに知見の有害性の原因となった。結果として、NOAELは週2回投薬研究では特定されなかった。すべての用量(週2回0.5mg/kg以上)における他の顕著な非有害知見は、IL-2アゴニストの薬理学的活性の反映であり、IL-5増加と関連付けられる好酸球の増加(対照の3倍~22倍);ならびに数種類の臓器への好酸球浸潤の増加した発生率および/または重症度を含んだ。全体として、第2の2週間ラット研究に対して選択された低減された用量レベルおよび頻度(週1回)は、ターゲットエンゲージメントの維持および週2回投薬を用いて実証されたものと比較した場合の意図されない薬理学の低減において上首尾であった。主要なBMS-986326関連作用は、すべての週1回用量(0.25、0.5、または1mg/kg)で、大部分が重症度において最小限であり、増加した好酸球(1.9倍~6.7倍);隣接する腸間膜の炎症または障害を伴わない最小限の脾膜線維増殖/脾臓の線維症;および少数の組織への好酸球の薬理学的に媒介される浸潤を含み、これらのいずれも、変化の低い大きさおよび含められる臓器の機能的完全性でのいずれかの障害の証拠の欠如に起因して、有害であると考えられなかった。2週間にわたる週1回投薬後のラットにおけるNOAELは、1mg/kg(平均AUC 162μg・h/mL)であった。
0.125、0.25、または0.75mg/kg SCの週1回用量でのサルにおける2週間毒性研究では、BMS-986326は、0.25mg/kg以下では臨床的に忍容性が認められたが、減少した活動性、脱水、紅斑、点状出血、および上昇した体温を含む、0.75mg/kgでのIL-2Rアゴニズムおよび免疫刺激と合致する毒性の有害な臨床的徴候をもたらした。すべての用量において、特筆すべきBMS-986326関連毒物学的知見は、一般的に用量に関連し、主に、白血球に対する作用(すなわち、好酸球増加[4倍~40倍]、関連する組織炎症/浸潤を伴う);減少した赤血球量(試験前の0.9倍~0.6倍)および血小板(0.9倍~0.6倍);脾臓の赤髄の充満;増加した細胞性、類洞白血球増加およびクッパー細胞肥大に相関する、増加した肝臓重量(16%~75%);ならびに好酸球増加に対する再生応答であり得る骨髄の最小から中等度の骨髄過形成を含んだ。最小から軽度の一般的に多発性の混合細胞型炎症が、脳の脈絡叢および目の脈絡膜をはじめとする複数の組織および臓器(約16~28種類の罹患組織の用量関連数)において起こった。0.25mg/kg/週以上の目の脈絡膜および脳の脈絡叢における混合細胞型炎症ならびに0.75mg/kg/週での減少したRBC量が、知見の重症度および性質に起因して有害であると考えられたが、最小限の重症度および低い発生率に起因して、0.125mg/kg/週では有害でないと考えられた。0.75mg/kg/週の高用量において、追加の特筆すべき知見は、サイトカイン放出に対して二次的であると思われ、かつ有害でないと考えられた、関連するR-R間隔の減少を伴う増加した心拍数(25%~28%);最小から中等度の肝臓の肝細胞空胞化;最小から軽度の腎臓における皮質管再生、および回収屠殺時のみでの、2頭の雄性動物における最小から軽度の座骨神経の軸索変性を含んだ。0.25mg/kg/週以上(平均AUC[0~168h]≧234μg・h/mL)での目の脈絡膜および脳の脈絡叢における有害炎症に基づき、かつ0.75mg/kg/週(平均AUC[0~168h]≧601μg・h/mL)での臨床的徴候および赤血球量における有害減少を伴って、NOAELは、0.125mg/kg/週(平均AUC[0~168h]132μg・h/mL)であると考えられた。
12週間サル研究では、用量範囲および頻度は、0.0625、0.125、または0.25mg/kg SC Q3W(1日目、22日目、43日目、および64日目)においてBMS-986326が投与される2週間研究と比較して低減された。すべての用量において、BMS-986326関連知見は有害でなく、かつ最小から軽度の好酸球数の有害でない増加(対照の3倍~8倍)、増加した脾臓サイズおよび重量(26~65%)、ならびに最小限の骨髄における好酸球性骨髄過形成を含んだ。重要なことに、他の組織への好酸球または単核細胞浸潤は報告されなかった。臨床的作用の非存在ならびに臨床病理学および病理学知見の有害でない性質に基づいて、NOAELは、0.25mg/kg/用量(平均AUC 306μg・h/mL)の試験された最高用量であると考えられた。
BMS-986326およびrhIL-2非臨床研究間での用量比較は、BMS-986326の異なる構造、不活性な二量体として循環する大部分のBMS-986326の傾向、BMS-986326対rhIL-2の大幅に異なるPK、ならびに生物種および研究間での大きく異なる用量レジメンを考慮すると、困難である。定量的には、BMS-986326の毒性プロファイルは、rhIL-2に対する幾分かの類似性を示唆するが、著しい差異も有する。類似性としては、好酸球増加および主に好酸球でありときには単核細胞を含む組織への白血球浸潤が挙げられる。これらの知見は、すべてのBMS-986326毒物学研究において見られ、かつ様々な投薬パラダイム下で可変的な重症度を伴って、多様な生物種においてrhIL-2を用いて報告される。低用量および高用量rhIL-2[Proleukin(登録商標)(アルデスロイキン)、Novartis Pharmaceuticals Canada Inc.]の両方を用いて臨床的にも観察される好酸球増加は、IL-2により刺激されるILC2によるIL-5産生に対して二次的であり得[Van Gool et al., Blood 124:3572-6 (2014);Anderson et al., Int Rev Exp Pathol. 34 Pt A:57-77 (1993)]、BMS-986326研究においては有害でなかった。組織中での白血球浸潤に関して、肝臓は、rhIL-2に関する主要な標的臓器であったが、ピボタル毒性研究において試験された用量ではBMS-986326に関する顕著な標的ではなかった[Anderson et al., Int Rev Exp Pathol. 34 Pt A:57-77 (1993);Harada et al., Int Rev Exp Pathol. 34 Pt A:37-55 (1993)]。肝機能障害は、腫瘍学適応における高用量rhIL-2の高頻度な副作用であるが、肝機能障害は、GvHD、1型糖尿病、円形脱毛症、およびSLEを含む複数の適応において低用量rhIL-2の臨床試験では特徴となっていない[Castela et al., JAMA Dermatol. 150:748-51 (2014);He et al., Nat Med. 22:991-93 (2016);Klatmann et al., Nat Rev Immunol. 15:283-94 (2015);Koreth et al., Blood 128:130-37 (2016)]。肝機能障害に加えて、CLSは、高用量IL-2腫瘍学レジメン下ではヒトにおいて療法を限定する。CLSは、GLPピボタル非臨床研究においてBMS-986326を用いて観察されていない。
全体としては、ピボタルBMS-986326研究におけるNOAEL用量は、正常健康参加者における単回用量ヒト初回(FIH)研究に関して提案される用量開始および用量増加に対する好適な曝露マージンを提供する。
III.B.BMS-986326の第1相臨床評価
一般的概要
BMS-986326は、健康成人参加者においてBMS-986326の単回用量の安全性、忍容性、薬物動態(PK)、および薬力学(PD)を評価するために、第1相無作為化二重盲検プラセボ対照単回漸増用量(SAD)研究において評価される。
研究の主要目的は、健康参加者におけるBMS-986326の単回漸増静脈内(IV)および皮下(SC)用量の安全性および忍容性を評価することである。
研究の二次目的は、以下のものを含む:
・健康参加者におけるIVおよびSC BMS-986326の単回用量PKを決定すること;
・IV投与と比較した場合にSC投与後のBMS-986326の絶対的バイオアベイラビリティを決定すること;
・BMS-986326のSCおよびIV投与後のPDを見積もること;ならびに
・BMS-986326のSCおよびIV投与後の免疫原性に関する潜在能力を評価すること。
標的対象集団
健康成人参加者は、研究に対して適格である。研究に対する適格性基準は、研究参加者の安全性および研究の結果を用いることができることを確実にするために注意深く考慮される。患者ではなく健康参加者の登録は、疾患状態の変化、併発臓器機能障害、および/または併用薬物療法から生じる交絡因子がないので、安全性結果の明白な解釈を可能にする。加えて、健康参加者における新規分子実体の評価は、患者において行われる場合の潜在的な疾患増悪のリスクを回避する。
研究の各コホート中のプラセボ治療参加者の包含は、すべての研究手順に対する研究中に評価されるベースラインパラメータからのいずれかの変化の評価を促進し、かつこれらの変化がBMS-986326の投与または研究手順に関連するか否かを決定することを助ける。
研究の一般的設計
研究の参加者は、8コホート(IVコホートA1~A5;SCコホートB1~B3)および1つの適宜のIV(A6)コホートを含む約9つの合計用量レベルコホートへと無作為化される。
各参加者に関する研究の合計持続期間は、最大28日間のスクリーニング期間、臨床現場における21日間の組織内観察期間および約34日間の外来/追跡期間を含む、最大12週間である。
最大約6コホート(コホートA1~A6)が、以下に提供される治験薬投与手順に従って、BMS-986326の単回IV点滴を投与される。約3コホート(コホートB1~B3)が、以下に提供される治験薬投与手順に従って、BMS-986326のSC注入を介して与えられる単回用量を投与される。これはヒト初回(FIH)研究であるので、研究設計は、安全性、忍容性、PK、およびPDデータが段階的様式で積み重ねられることを可能にする。BMS-986326のSC投与は、許容可能な安全性を求めて行われ、忍容性は、IVで投与される同様の用量を投与されている参加者のコホートにおいて実証される。
2名の健康参加者のセンチネル群が、すべてのコホートで評価される。このセンチネル群は、プラセボまたはBMS-986326へと1:1に無作為化される。各用量レベル内の残りの6名の参加者は、プラセボまたはBMS-986326へとそれぞれ1:5に無作為化される。センチネル群の投薬の少なくとも120時間後、安全性プロファイルが許容可能な安全性プロファイルである場合[最低でも、有害事象(AE)、併用薬物療法および手順、ならびにいずれかの他の重要な安全性に関連する臨床的観察に基づいて]、コホートの残りは、無作為化スケジュールに従って投与を受ける。IVコホートに関して、残りの6名の参加者は、1日当たり最大2名の参加者を伴って逐次的に投与を受ける。一部の態様では、参加者は、参加者間で少なくとも2時間の間隔を置いて、投与を受ける。
SC用量レベルコホートは、IV投与される同様の用量を投与された参加者のコホートにおいて許容可能な安全性および忍容性が実証されるまで開始されず、かつPD(TregカウントおよびTreg:通常CD4細胞[Tconv]比率)データが評価される。
研究の経過中、各参加者は、図1Aに示される通り、スクリーニング期間および治療期間(ベースラインおよび外来通院を含む)を完了する。参加者は、適格性に関してスクリーニングされる。適格参加者は、-2日目または-1日目から21日目まで、臨床現場に居住する。治験薬(プラセボまたはBMS-986326のいずれか)が、無作為化スケジュールに従って1日目に投与される。参加者は、満足な安全性審査および必要な研究手順の完了に際して、21日目に臨床現場から退院する。参加者は、10~18日目の間の予測されるピークPD応答および潜在的なADAの発生後、Treg拡大増殖の持続性を評価するために、28日目、36日目、45日目、および55日目に外来通院のために戻る。参加者が早期に研究を中断する場合、早期終了通院が行われる。
各コホートが投薬を完了した後、限定するものではないが、AE、身体検査(PE)、バイタルサイン、12誘導安全性ECG、注入部位評価、臨床検査安全性試験結果(好酸球カウントを含む)、併用薬物療法/手順、およびPDデータ(TregカウントおよびTreg:Tconv比率を含む)を含む安全性データが、用量上昇に先立って審査される。完了したコホートからのPKデータが、継続的な曝露を予測するために用いられる。
予定される用量レベルが、図1Bに示される。最高用量を含む予定される用量レベルは、以下に提供される用量上昇手順に記載される通り、先行コホートからの新たに得られたPDおよびPKデータ(SCコホートからのバイオアベイラビリティデータを含む)に応じて調整することができる。予定される用量上昇工程に対する変更が必要である場合、最大用量上昇工程は、前の用量レベルの約3倍以下である。約757μg・h/mlのAUC[0~336時間(h)]を超過しない、無限時間(AUC[INF])へと外挿された平均曝露血清濃度-時間曲線下面積を有すると予測されるIV用量のみが投与される。AUC(0~504h)≦306μg・h/mlを超過しない平均曝露(AUC[INF])を有すると予測されるSC用量のみが投与される。
次の用量レベルへの上昇は、以下に提供される用量改変/停止基準に記載される通り、対象が重篤有害事象を経験した場合に、中断することができる。重篤有害事象は、研究治療を投与された臨床調査参加者における、かつこの治療との因果関係を必ずしも有しない、いずれかの新規の有害な医療事件または既存の医学的状態の悪化を含む。
主要および副次評価項目
健康参加者におけるBMS-986326の単回漸増IVおよびSC用量の安全性および忍容性を評価する一次目的を評価するために用いられる本研究の主要評価項目は、有害事象、臨床検査値、バイタルサイン、心電図、および身体検査の評価を含む。これらの評価は、以下でさらに議論される。
健康参加者においてIVおよびSC BMS-986326の単回用量薬物動態(「PK」)を決定する二次目的に関連する研究のエンドポイントは、以下のものなどの血清PKパラメータを含む:
・Cmax:最大観測血清濃度;
・Tmax:最大観測血清濃度到達時間;
・AUC(0~T):ゼロ時点から最後の定量化可能な濃度の時点までの血清濃度-時間曲線下面積;
・AUC(INF):無限時間へと外挿されたゼロ時点からの血清濃度-時間曲線下面積;
・CLT/FまたはCLT:IVに関する見かけの総身体クリアランスまたは総身体クリアランス;
・Vz/FまたはVz:IVに関する終末相での見かけの分布容量または終末相での分布容量;
・T-HALF:終末相半減期;および
・F:絶対的バイオアベイラビリティ。
IV投与と比較した場合のSC投与後のBMS-986326の絶対的バイオアベイラビリティを決定する二次目的に関連する研究のエンドポイントは、用量により補正された、SC(試験)のIV(参照)に対する以下の幾何平均比率を含む:Cmax、AUC(0~T)、およびAUC(INF)。
BMS-986326のSCおよびIV投与後の薬力学を評価する二次目的に関連する研究のエンドポイントは、TregカウントおよびTreg:Tconv比率におけるベースラインからの変化を測定することを含む。
BMS-986326のSCおよびIV投与後の免疫原性に関する潜在能力を評価する二次目的に関連する研究のエンドポイントは、中和性であるかまたはないことができる抗薬物抗体の出現率を測定することである。
センチネル投薬に関する原理
センチネル投薬戦略は、予期せぬ急性安全性事象が生じるリスクを最小化するために、研究において利用される。2名の健康参加者(1名は活性および1名はプラセボ)が、研究のすべての用量コホートにおいて評価される。各センチネル群は、同じコホートの残りの参加者が投与を受ける前に、最小でも120時間観察される。ピーク薬理学応答が一般的に投薬の4日間後から観察され始めたことを示したサルでの毒性研究に基づいて、少なくとも5日間にわたる臨床的安全性のモニタリングは、毛細血管漏出症候群(CLS)または免疫活性化(例えば、サイトカイン放出症候群)などの急性発症の潜在的な安全性の懸念をカバーする。センチネル参加者と同じコホート中の残りの参加者の投薬に進む決定は、利用可能な安全性データ[例えば、有害事象(AE)、バイタルサイン、身体検査(PE)、心電図(ECG)、および臨床検査]に基づいてなされる。
用量範囲に関する原理
研究のために選択される用量範囲は、適切な段階に適した安全性データを提供し、かつPK/PD関係の特性決定を可能にする、曝露および薬理学的活性の範囲を提供することが予期される。
0.1mgIVの開始用量の選択は、利用可能な前臨床PK、毒物学、および薬理学データに基づく。PK/PDモデリングおよびシミュレーションが、非臨床データからの予測されるヒトPKおよびPDプロファイルを生成するために行われた。実際の用量上昇(約3倍以下の用量上昇増分)および試験される実際の用量は、研究から新たに得られたPK、PD、および安全性データにより決定される。これは、安全性、忍容性、PK、およびPDデータを可能にするために設計されるFIH研究である。
表4は、提案される用量から生じる予想されるPD変化および曝露を列記する:
治験薬[注入用BMS-986326-01、30mg/バイアル(25mg/mL)]の医薬特性および製剤化
注入用BMS-986326-01(30mg/バイアル;25mg/mL)は、第1相臨床試験に対してIV点滴またはSC注入として用いるために開発された。薬物製品は、13mm栓を用いて封鎖され、かつ13mmアルミニウムシールを用いて密封された3cc I型ガラスバイアル中に入れられた、白色からオフホワイトのパイロジェン不含凍結乾燥全体または分割ケーキである。薬物製品の各バイアルは、ラベルされた量のBMS-986326原薬、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、スクロース、ペンテト酸、およびポリソルベート80、ならびに塩酸および水酸化ナトリウム(pH調整用)を7.0のpHで含む。VNS(バイアル、針、シリンジ)ホールドアップを考慮するために、0.31mLの過充填が各バイアル中に含められる。薬物製品は、投与前に復元される。
投与に先立って、注入用BMS-986326-01(30mg/バイアル;25mg/mL)の各バイアルが、25mg/mLのタンパク質濃度まで、0.9%塩化ナトリウム注射液(生理食塩水)を用いて復元される。SC使用に関して、薬物製品は、25mg/mLのタンパク質濃度で未希釈であるか、または0.2mg/mLのタンパク質濃度まで0.9%塩化ナトリウム注射液を用いて希釈されるかのいずれかで、ボーラスSC注入としてインラインフィルターを通して投与することができる。IV使用に関して、薬物製品は、インラインフィルターを通して点滴され;薬物製品は、点滴前に0.2mg/mL~5mg/mLのタンパク質濃度範囲内まで0.9%塩化ナトリウム注射液を用いて希釈される。
BMS-986326注入とジ(2-エチルヘキシル)フタレート(DEHP)不含ポリオレフィンまたはPVC(DEHP可塑化)バッグ、DEHP不含またはPVC(DEHP可塑化)IVセット、および0.2μmポリエーテルスルホンまたはナイロンフィルターとの間には、不適合性は観察されていない。
注入用のBMS-986326-01に対するプラセボは、市販の0.9%塩化ナトリウム注射液である。
注入用のBMS-986326-01のバイアル(30mg/バイアル;25mg/mL)は、2℃~8℃(36°~46°F)で冷蔵保存され、かつ光および凍結から保護される。
注入用のBMS-986326-01の復元および希釈溶液は、最大24時間にわたって2℃~8℃(36°~46°F)で冷蔵下において保存することができ、合計24時間のうちの最大4時間は、室内光の曝露を伴い15℃~25℃(59°~77°F)の室温にあることができる。室温および室内光条件下での最大4時間の時間は、生成物の投与時間を含む。
治験薬を投与するための手順
IVコホート(A1~A6)中の参加者は、1日目にIV点滴を介して投与される単回用量を投与される。SCコホート(B1~B3)中の参加者は、1日目にSC注入を介して投与される単回用量を投与される。各コホートに対する予定される用量レベルは、以下の表5に含められる。以下に提供される用量上昇手順に記載される通り、最大用量を含む予定される用量レベルは、SCコホートからのバイオアベイラビリティデータをはじめとする、先行コホートからの新たに得られたPDおよびPKデータに応じて変更することができる。予定される用量上昇工程に対する変更が必要とされる場合、最大用量上昇工程は、前の用量レベルの約3倍以下であろう。
各参加者は、BMS-986326の用量コホートに応じて、SCまたはIV用量を投与される。SC注入は、折り畳まれた腹部皮膚(臍孔周囲5cmを除く)へとゆっくりと途切れずに投与される。各注入は、最大で2mLの容量である。注入部位反応を、以下に記載される通りの反応に関してモニタリングする。BMS-986326は、約30~60分間にわたって点滴される。当初用量コホートに対しては比較的短い点滴時間を用いることができ、かつより高用量のコホートに対しては比較的長い点滴時間を用いることができる。輸液関連反応(IRR)がモニタリングされる。
用量上昇手順:IVコホートA1~A6
用量上昇決定は、安全性、忍容性、およびPD(TregカウントおよびTreg:Tconv比率)により情報を得る。各用量上昇に先立って審査される安全性データの評価は、AE、PE、バイタルサイン、12誘導安全性ECG、臨床検査、および併用薬物療法/手順を含む。先行する用量レベルコホートからの最低21日間の安全性データが、次の用量レベルコホートへの上昇に先立って審査される。次の用量レベルでの投与は、先行する(IVまたはSC)用量レベルコホートの安全性および忍容性が評価され、かつ許容可能であると見なされるまで、開始されない。
安全性および忍容性に加えて、PDデータ(TregカウントおよびTreg:Tconv比率)が、各IV用量レベルコホートが投薬を完了した後に審査され、かつ用量上昇決定を通知するために用いられる。新たに得られるPDデータが、3つ以内の連続するIV用量レベルコホートにおいてPD応答(すなわち、ピークTreg増加倍率)がプラトーに達するだけでなく、選択性の欠如を示唆するTregおよびTconv細胞における概ね等しいピーク増加倍率(少なくとも2倍)が見られることを示す場合、より高いIV用量レベルは調査されない。いかなる中断もBMS-986326に関連すると疑われないことを条件として、コホート内の8名の評価可能な参加者のうち、少なくとも6名からの安全性およびPDデータが、用量上昇前の安全性審査に必要とされる。用量上昇の目的のために、評価可能な参加者は、治験薬(BMS-986326またはプラセボ)の1つの用量を投与された参加者であると定義される。
比較的早期のコホートからのPKデータは、利用可能になる場合、継続的に平均曝露を予測するために用いられる。コホートA5を含む先行コホートからのPKデータは、安全性およびPDデータに加えて、コホートA5から適宜のコホートA6へと移るための用量上昇決定のために用いられる。
予定される用量レベルは、先行コホートから取得されるデータに基づいて、改変または除外することができる。調査される最大IV用量は、いかなる個別の参加者においてもNOAEL曝露(AUC[0~336h]≦757μg・h/mL)を超えない平均曝露AUC(INF)を提供することが予測される用量である。予定される用量上昇工程に対する変更が必要とされる場合、最大用量上昇工程は、前の用量レベルの約3倍以下である。
SCコホートB1~B3に関する用量上昇手順
第1のSC用量レベルコホート(1mg)中の参加者に対するBMS-986326のSC投与は、1mgIV用量レベルコホートからの21日間の安全性データが審査された後に開始される。次のSC用量レベルコホートに対する用量上昇は、先行するSC用量レベルコホート(より低い用量)および先行するIV用量レベルコホート(同様の用量)の両方における安全性、忍容性、およびPD(TregカウントおよびTreg:Tconv比率)データの審査後に行われる。各用量上昇に先立って審査される安全性データの評価は、AE、PE、バイタルサイン、12誘導安全性ECG、臨床検査、および併用薬物療法/手順を含む。両方の先行する用量レベルコホートからの最低21日間の安全性データが、用量上昇に先立って審査される。
いかなる中断もBMS-986326に関連すると疑われないことを条件として、各SCコホート内の8名の評価可能な参加者のうちの少なくとも6名からの安全性データが、用量上昇前に審査される。用量上昇の目的のために、評価可能な参加者は、治験薬(BMS-986326またはプラセボ)の1つの用量を投与された参加者であると定義される。
比較的早期のコホートからのPKデータは、利用可能になる場合、継続的に平均曝露を予測するために用いられる。いかなる個別の参加者においても定常状態曝露(約306μg・hr/mLのAUC[0~INF])を超えないと予測されるSC用量のみが投与される。
予定される用量レベルは、先行コホートから取得されるデータに基づいて、改変または除外することができる。予定される用量上昇工程に対する変更が必要とされる場合、最大用量上昇工程は、前の用量レベルの約3倍以下である。
用量改変/停止基準
先行するコホートからの以下の(flowing)条件のうちのいずれかが満たされる場合、予定される通り、次の用量レベルへの上昇は継続することができない:
a.重篤AE(SAE)が1名または複数のBMS-986326治療参加者において起こり、かつBMS-986326に関連すると考えられる;
b.2名以上のBMS-986326治療参加者が、BMS-986326に関連すると考えられる重篤AEを経験する;
c.同じコホート中の2名の参加者における研究薬投与に関連すると考えられる重症好酸球増加の発生。重症好酸球増加は、以下の通りに定義される:
i.好酸球増加:5日間超にわたって継続する5000細胞/μL超;
ii.症候性好酸球増加(好酸球増加≧1500細胞/μL):皮膚炎、粘膜炎、またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)における2倍超の上昇を伴う好酸球増加;
d.新たに得られたPDデータが、3つ以内の連続するIV用量レベルコホートにおいてPD応答(すなわち、ピークTreg増加倍率)のプラトー到達を示し、かつ新たに得られたPDデータが、TregおよびTconv細胞において概ね等しいピーク増加倍率(少なくとも2倍)を示す;
e.治験担当医または治験依頼者の医学的監視により、用量上昇の結果として参加者に許容できないリスクをもたらすと見なされるいずれかの他の事象。
上記のうちのいずれかが満たされる場合、利用可能な安全性、PD(TregカウントおよびTreg:Tconv比率)、および曝露データの審査が行われる(perfomed)。データの評価が行われると、以下のことが行われる:
a.元来予定される通りに、用量上昇を継続することができる。これは、審査後、停止基準を満たすAEがBMS-986326に関連すると考えられないと判断される場合にのみ容認される;
b.安全性および忍容性審査の結果に基づいて、または安全性シグナルのさらなる特性決定が適切である場合、停止基準を満たすAEが起こった用量レベルの反復を含めるように、予定される用量上昇を改変することができる。これは、審査後、停止基準を満たすAEがBMS-986326に関連すると考えられないと判断される場合にのみ容認される;
i.中間用量(停止基準を満たす用量よりも低い)コホートを追加することができる;
c.用量上昇を停止することができる。
安全性および忍容性を評価するためのプロトコール
スクリーニング時、安全性評価は、全身外観およびバイタルサインの評価、ならびに目、耳、鼻、口、喉、首、呼吸器、心血管、呼吸器、胃腸/腹部、リンパ系、筋骨格、皮膚、および神経系検査を含む完全な身体検査を含む。スクリーニング評価は、連続的ホルターモニタリング、12誘導ECG、ならびに先行するものおよび併用薬物療法使用の審査をさらに含む。バイタルサインモニタリングは、体温、呼吸数、血圧および心拍数を含む。
研究の経過中、追加の身体検査が、安全性評価の一部分として様々な異なる時点で行われる。これらの後続の身体検査は、頭部、耳、目、首、および喉;心血管系、神経系、および呼吸器系;腹部;皮膚(注入部位評価を含む);および四肢の検査を目的とし、かつこれらを含む。
研究の経過中、様々な異なる時点で行われるさらなる安全性および忍容性評価はまた、バイタルサインモニタリング;心電図;連続的ホルターモニタリング;結核検査;注入部位モニタリング;COVID-19スクリーニング;ならびに臨床化学、凝固、および尿検査を含む安全性臨床検査評価も含む。
加えて、研究の経過中、有害事象および重篤有害事象評価が、安全性を評価するために用いられる。有害事象は、一般的に、研究治療を投与された臨床調査参加者における、かつこの治療との因果関係を必ずしも有しない、いずれかの新規の有害な医療事件または既存の医学的状態の悪化を含む。この評価は、部分的には、研究の経過中に得られる検査結果ならびに他の上述の安全性評価の結果に基づき、この評価は、研究の経過全体を通して行われる。重篤有害事象は、一般的に、いずれかの用量において、死亡をもたらすかまたは生命を脅かすかのいずれかであるいずれかの有害な医療事件として定義される。すべての有害事象および重篤有害事象の強度および因果関係は、起こった場合に評価される。
BMS-986326の薬物動態(PK)および免疫原性を評価するためのプロトコール
別個の血清サンプルが、PKおよび抗薬物抗体(ADA)評価のために回収され、1日目にBMS-986326の最大1時間前に採取される投与前血清サンプル、1日目に採取される点滴終了時(EOI)血清サンプル、および研究の全体を通して(例えば、2~21日目の居住中ならびに28日目、36日目、45日目、および55日目の外来通院中)採取される追加の血清サンプルを含む。
適格参加者は、-2日目または-1日目から21日目まで、臨床現場に居住する。治験薬(プラセボまたはBMS-986326のいずれか)が、無作為化スケジュールに従って1日目に投与される。参加者は、満足な安全性審査および必要な研究手順の完了に際して、21日目に臨床現場から退院する。参加者は、28日目、36日目、45日目、および55日目に外来通院のために戻る。
BMS-986326の薬物動態は、時間に対する血清濃度から誘導される。評価されるPKパラメータは、Cmax;Tmax;AUC(0~T);AUC(INF);CLT/FまたはCLT;Vz/FまたはVz;T-HALF;およびFを含む。
個別の参加者PKパラメータ値は、検証されたPK解析プログラムによる非コンパートメント法により誘導される。実際の時間が、解析のために用いられる。
血清サンプルは、二量体および単量体の両方のレベルを含む合計薬物を測定する、検証されたリガンド結合性アッセイにより、BMS-986326に関して分析される。プラセボを投与された参加者から回収されたPKサンプルは分析されない。加えて、血清サンプルは、潜在的な単量体分析のために保管される。単量体レベルは、検証されていない予備的リガンド結合性アッセイを用いて測定することができる。
免疫原性サンプルは、検証された免疫原性アッセイにより、抗BMS-986326抗体に関して分析される。投与前サンプルが、投薬に先立って1日目に回収され;後続のサンプル採取は、15日目、28日目、および55日目に行うことができる。陽性であると確認されるサンプルを力価決定し、検証されたアッセイを用いる内因性IL-2に対する中和抗体の考えられる偶発的な(contigent)将来の分析のためにバンクされる。
BMS-986326の薬力学(PD)を評価するためのプロトコール
血液サンプルが回収され、限定するものではないが、細胞系統および活性化マーカーCD3、CD4、CD8、CD14、CD25、CD39、CD45、CD45RA、CD56、CD127、Foxp3、Helios、CXCR5、CCR7、およびKi67を含むことができる表面マーカーにより、Treg、Tconv、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)、B細胞、およびNK細胞などの免疫細胞を定量化するために、フローサイトメトリーにより測定される。血液サンプルがまた回収され、pSTAT5により特定されるTreg、Tconv、CD8 T細胞、およびNK細胞へのBMS-986326エンゲージメントを決定するために、フローサイトメトリーにより測定される。
エクスビボTreg抑制アッセイが、選択されたSC投薬コホートにおいて行われる。血液サンプルが回収され、限定するものではないが、T細胞増殖およびサイトカイン分泌の測定を含むことができるアッセイにおいて、活性化Tconv細胞に対するエクスビボ抑制活性に関してTreg細胞が試験される。
BMS-986326コホートA4(3mg単回静脈内点滴)からの予備的結果
プラセボを投与された対象と比較して、BMS-986326を投与された対象において、Tregはベースラインレベルから増加した。
III.C.mIL-2/CD25融合タンパク質は全身性エリテマトーデスの前臨床モデルにおいてTreg拡大増殖および免疫抑制を誘導する
一般的概要
Tregは、免疫応答の抑制および自己免疫の制御において、十分に確立された役割を有する[Bluestone et al., J Clin Invest. 125: 2250-60 (2015);Dominguez-Villar et al., Nat Immunol. 19: 665-73 (2018)]。その通りに、Tregは、自己寛容の誘導および維持を決定的に担う。Treg機能の調節異常は、多数の自己免疫状態に関連付けられてきた[Castela et al., JAMA Dermatol. 150: 748-51 (2014);Koreth et al., N Engl J Med. 365: 2055-66 (2011);Saadoun et al., N Engl J Med. 365: 2067-77 (2011)]。寛容誘導状態の促進は、薬物を用いない寛解を目的とする次世代免疫学療法の主要なゴールであり、Tregの誘導および活性化は、このゴールに向けた魅力的な標的を代表する。
IL-2は、当初、強力なT細胞増殖因子として発見され[Gillis et al., J Exp Med. 146: 468-82 (1977)]、多数の研究が、炎症促進性免疫応答の促進におけるその役割に焦点を当ててきた。例えば、高用量IL-2(典型的には、反復される500,000U/kg)は、T細胞およびNK細胞機能を促進するための癌患者の治療に対する承認された療法であるが;しかしながら、奏効率は典型的には低く、かつ療法はまた、重度の毒性も伴う[Fraenkel et al., J Immunother. 25: 373-8 (2002)]。IL-2の追加の役割が、IL-2またはIL-2Rを欠損するマウスにおける、障害された免疫応答ではなく、迅速な自己免疫の観察に起因して発見された[Sadlack et al., Cell 75: 253-61 (1993);Suzuki et al., Science 268: 1472-76 (1995);Willerford et al., Immunity 3: 521-30 (1995)]。この表現型は、IL-2がTreg発達および恒常性において果たす必須の役割の欠如から生じる[Cheng et al., J Immunol. 109: 1567-75 (2013);Fontenot et al., Nat Immunol. 6: 1142-51 (2005);Yao et al., Blood 109: 4368-75 (2007)]。マウスデータに合致して、ヒトIL-2シグナル伝達経路における突然変異は、自己免疫疾患に関連付けられることが見出されており;IL-2、IL-2RA、およびIL-2RB遺伝子座における自己免疫リスク変異体が、ゲノムワイド関連解析を通して特定されてきた[Abbas et al., Sci Immunol. 3 (2018)]。具体的には、全身性エリテマトーデス(SLE)が、Treg機能障害に関連する自己免疫疾患として特定され、IL-2欠損状態が原因であるとされている[von Spee-Mayer et al., Ann Rheum Dis. 75: 1407-15 (2016)]。
前臨床的に、低いIL-2Rシグナル伝達は、Tregの主要な活性を選択的に強化するが、Tエフェクター(Teff)細胞の活性は強化しないことが示されてきた。低レベルのIL-2を用いるマウスの治療は、非肥満性糖尿病(NOD)マウスにおいて糖尿病の発達を予防した[Grinberg-Bleyer et al., J Exp Med. 207: 1871-8 (2010);Tang et al., Immunity 28: 687-97 (2008);Yu et al., Immunity 30: 204-17 (2009)]。低用量IL-2を用いる数回の小規模な臨床試験が、SLEにおける有望な結果を伴って報告された[He et al., Nat Med. 22: 991-3 (2016);Klatzmann et al., Nat Rev Immunol 15: 283-94 (2015)]。しかしながら、組み換えIL-2治療は、毎日の注入を必要とする。さらに、炎症促進性サイトカインおよび非Treg細胞における望ましくない増加もまた観察された。
切断不可能リンカーにより連結されたマウスIL-2(mIL-2)とマウスIL-2Rα(CD25)との融合タンパク質(FP)は、Treg拡大増殖およびNODマウスでの糖尿病の制御において、組み換えIL-2よりも大きなインビボ有効性を示してきた[Ward et al., J Immunol. 201: 2579-92 (2018)]。インビボでは、mIL-2/CD25は長寿命であり、持続的かつ選択的にTregを刺激する(Ward et al.)。mIL-2/CD25融合タンパク質は、Treg拡大増殖の誘導ならびにタンパク尿のレベル、血清自己抗体力価、および炎症および損傷の腎臓組織学スコアに基づくNZB×NZW F1マウスおよびMRL/lprマウスでのループス腎炎の阻害において有効であることが、本明細書中で実証される。その有効用量では、mIL-2/CD25は、BALB/cマウスにおいて炎症促進性サイトカインまたは非Treg細胞のいかなる増加ももたらさない。考え合わせると、これらのデータは、SLE患者の治療におけるIL-2/CD25融合タンパク質(protien)の使用を支持する。
NZB×NZWマウスにおけるTreg CD25発現
Tregは、SLE患者において異常調節される。高いパーセンテージのTreg(CD4Foxp3)が、IL-2欠損状態を反映する比較的低いCD25発現レベルを示すことが報告された[Humrich et al., Expert Rev Clin Immunol. 12: 1153-60 (2016)]。NZB×NZW F1は特発性ループスの古典的なモデルであり、ループス患者のものと同等の重度のループス様表現型を発症する[Xie et al., J Immunol. 192: 4083-92 (2014)]。NZB×NZWループスモデルがSLE患者において観察される通りの比較的低いCD25発現のTreg異常性もまた獲得するか否かを評価するために、NZB×NZWマウス(n=5、26週齢)および対照BALB/cマウス(n=6、9~10週齢)由来の脾細胞を、CD4、FoxP3およびCD25について染色した。代表的なドットプロットを、図2Aに示す。CD4Foxp3細胞が、Tregを表す。代表的なBALB/cマウスにおいて、Tregのうちの73%がCD25hiであり;一方で、代表的NZB×NZWマウスにおいて、Tregのうちの35%のみがCD25hiであった。CD25発現のレベルは、Tregゲート(CD4Foxp3)中のCD25蛍光強度中央値(MFI)により決定した。図2Bに示される通り、BALB/c群に関して、CD25 MFIは1744.8±98.9(平均±SEM)であり、NZB×NZWマウスに関して、たった364.2±34.5であった。したがって、SLE患者において観察される低いCD25発現のTreg異常性は、NZB×NZWマウスにおいて同様に観察される。
BALB/cマウスにおけるmIL2-CD25の短期的治療
NZB×NZWループスマウスにおいてmIL-2/CD25の慢性的作用を試験する前に、3回用量にわたって週2回投与されるBALB/cマウスにおいて、短期的研究(7日間)を行った。比較基準として、Fc-mIL2を、4回用量にわたって隔日で投与した。脾臓を回収し、フローサイトメトリーにより分析し、血漿を、サイトカイン産生について評価した。0.25mg/kgおよび0.5mg/kgでのmIL-2/CD25投与は、Fc-mIL2と比較して、CD4ゲート中のTregのパーセンテージにおける大きな増加をもたらした(図3A)。単一細胞ゲート中のCD8細胞のパーセンテージは、Tregの増加に起因して低減し、いずれの分子もNK細胞のパーセンテージを統計学的に変化させなかった(データは示していない)。潜在的な非Tregエンゲージメントの高感度な尺度を与えるために、脾臓中の様々な細胞タイプの絶対数を、総脾臓カウントに基づいて算出した。同様に、0.25mg/kgおよび0.5mg/kgでのmIL-2/CD25投与は、Fc-mIL2と比較して、Tregの個数での大きな増加を示した(図3B)。CD8、CD4Foxp3、およびNK細胞における最小限の変化がmIL2-CD25に関して観察され、一方で、Fc-mIL2は、これらの集団を顕著に増加させた(図3C~図E)。循環サイトカインの測定は、Treg選択性を支持する。これらの用量でのmIL-2/CD25投与に関して、サイトカインは上昇せず、IL-5のみが、0.5mg/kg用量において若干上昇した(データは示していない)。これらの結果により、mIL2-CD25が、より大きなTreg増加を伴い、かつ非Tregエンゲージメントの証拠を伴わずに、Fc-mIL2と比較して、改善されたTregエンゲージメントおよび選択性プロファイルを与えることが確認された。これらの結果に基づいて、週2回の0.1~0.4mg/kgの用量範囲が、ループスの動物モデルにおけるmIL-2/CD25有効性のさらなる試験のために選択された。
NZB×NZWマウスでの早期ループスにおけるmIL-2/CD25
SLEの動物モデルにおけるmIL-2/CD25の作用を評価するために、30mg/dLでのタンパク尿レベル(1のスコア)を有する22~24週齢のNZB×NZW F1マウスを、研究に対して登録した。マウスに、0.1、0.2、および0.4mg/kgにおいて週2回、PBSもしくはmIL-2/CD25のs.c.注入または陽性対照として機能するための週3回10mg/kgにおけるプレドニゾロンのp.o.投薬のいずれかを投与した(群当たりn=10)。第1用量後に決定されるmIL2-CD25の血清曝露(AUCおよびCmax)は、0.1mg/kg用量と0.4mg/kg用量との間において、用量依存的様式で増加し、20.6時間の平均終末半減期を伴った。PKパラメータが、表6に提示される。14週間の実験の経過にわたって、mIL-2/CD25投与は十分な忍容性を示し、体重減少は観察されなかった(データは示していない)。タンパク尿スコアにより判断される通りの疾患進行は、用量依存的様式でmIL-2/CD25投与により顕著に低減された(図4A)。3以上のスコアを有する重症タンパク尿を発症する動物のパーセンテージもまた低減された(図4B)。マウスを採血もして、2~3週間毎に血清自己抗体の存在について調べた。抗dsDNA IgG力価は、用量依存的様式でPBS治療マウスと比較してmIL-2/CD25治療により顕著に低減され、プレドニゾロン対照において観察されるものと同等の最大作用(0.2mg/kg用量および0.4mg/kg用量の両方により達成された)を伴った(図4C)。顕微鏡的評価により、PBS治療対照マウスの腎臓において顕著な糸球体腎炎が明らかになった。これは、様々な程度の糸球体における細胞過多およびマトリックス沈着、尿細管内腔におけるタンパク質円柱、ならびに間質および血管周囲組織における炎症性細胞浸潤により特徴付けられる。mIL-2/CD25を用いる治療は、糸球体、尿細管および間質性腎炎に対する組織学スコアを顕著に低減させた(図4D)。結論として、mIL-2/CD25は、NZB×NZWループスモデルにおいて、用量依存的様式で、タンパク尿のレベル、dsDNA IgG力価、および腎臓組織学スコアの低減における有効性を示し;最大有効性は、0.2mg/kgおよび0.4mg/kg用量(2×/週)において観察され、高用量プレドニゾロンを用いて観察されるものと同等であった。
有効性をTreg拡大増殖の程度と関連付けるために、血液および脾臓(群当たりn=4)を、投薬の4週間後(8回目の用量の48時間後)にフローサイトメトリーのために回収した。mIL-2/CD25治療は、血液および脾臓の両方において、CD4ゲート中のTreg(CD25Foxp3)のパーセンテージを用量依存的に増加させた。血液中では、Tregのパーセンテージは、PBS群での2.3±0.1%(平均±SEM)から、それぞれ0.1、0.2、および0.4mg/kg用量群での11.7±2.3%、21.9±1.9%、24.2±0.5%へと顕著に増加した(図5A)。同様に、すべての用量において、脾臓Tregのパーセンテージの増加が見られた(図5B)。脾細胞をまた、Tregの増殖状態を実証するために、Ki67についても染色した。図5Cに示される通り、Tregゲート(CD4CD25Foxp3)中のKi67細胞のパーセンテージは、PBS群での27.0±6.4%から、それぞれ0.1、0.2、および0.4mg/kg mIL-2/CD25治療群での49.5±5.9%、56.6±2.4%、および69.8±8.0%へと、用量依存的様式で増加した。Balb/cマウスと比較してNZB×NZWでは低かったTreg上のCD25発現(CD25 MFI)(図2B)もまた、媒体群での1745±96 MFIから、それぞれ0.1、0.2、および0.4mg/kg mIL-2/CD25治療群での4361±408、5340±390、および5057±335(±SEM)MFIへと、用量依存的様式で増加した(図5D)。血液および脾臓Tregはまた、投薬の14週間後にも分析され、結果は、4週目で得られたものと同等であった(データは示していない)。結論として、mIL-2/CD25治療は、Tregの個数およびTreg上のCD25発現の両方を増加させ、これが結果として、NZB×NZWループスマウスにおける疾患進行を阻害した。
mIL-2/CD25の0.1、0.2または0.4mg/kg s.c.用量後のmIL-2/CD25の血清レベルは、用量依存的様式で増加した。0.1、0.2または0.4mg/kg s.c.用量後の薬物動態パラメータは、それぞれ368.9、877.2または2045.9nM・h(AUC0~80h)およびそれぞれ9.5、26.5または56.9nM(Cmax)であった。Tmaxは24時間であった。平均終末半減期は20.6時間であった。
NZB×NZWマウスでの進行ループスにおけるmIL-2/CD25
mIL-2/CD25を、有効性に対するより高い障壁である後期疾患の徴候を改善するその能力について、さらに試験した。進行タンパク尿を有するマウス(100mg/dL以上;約27週齢)を、10週間治療研究に対して登録した。0.3mg/kg 2×/週におけるmIL-2/CD25は、タンパク尿のレベル(図6A)、抗dsDNA IgG力価(図6B)、血漿IL-12p40のレベル(図6C)、ならびに炎症および損傷に関する腎臓組織学スコア(図6D)の顕著な低減を示した。研究の完了時、脾細胞を用いてフローサイトメトリーを行った。CD4ゲート中のCD4CD25Foxp3Tregのパーセンテージは、PBS群での5.5±0.6%(平均±SEM)から、それぞれ0.1mg/kgおよび0.3mg/kg mIL-2/CD25治療群での18.9±4.8%および22.4±6.3%へと増加した(図6E)。このデータは、より進行したループス患者の治療におけるIL-2/CD25に関する治療潜在能力を支持する。
NZB×NZWマウスにおけるmIL-2/CD25およびプレドニゾンの組み合わせの作用
ループスにおける現行の標準治療であるコルチコステロイドに対する依存を低減するmIL-2/CD25療法の潜在的な有用性を評価するために、mIL-2/CD25(0.1mg/kg s.c.2×/週)およびプレドニゾロン(1mg/kg p.o.3×/週)の部分的有効用量を用いる組み合わせ研究を、30mg/dLのタンパク尿を有するNZB×NZW早期ループスマウス(21~23週齢)において試験した。高用量のプレドニゾロン(10mg/kg、p.o.3×/週)群およびmIL-2/CD25(0.2mg/kg s.c.2×/週)群は、最大有効性単剤療法対照として含められた。図7に示される通り、1mg/kgプレドニゾロンまたは0.1mg/kg mIL-2/CD25のいずれかの単剤療法がタンパク尿レベルおよび抗dsDNA力価の低減における部分的保護を示した一方で、両者の組み合わせは、高用量プレドニゾロンまたはmIL-2/CD25対照と同等の有効性を示し、いずれかの療法単独よりも優れていた(図7Aおよび図7B)。併用治療に伴う優れた作用はまた、RT-PCRに基づく、IFIT1、IFIT3、MX1、IRF7、GBP2およびLIGP1などの腎臓での1型インターフェロン遺伝子発現のさらなる低減によっても実証された(それぞれ、図8A~図8F)。組織学スコアの高レベルの低減が、半定量的組織学スコアに基づいて0.1mg/kg mIL-2/CD25単剤療法を用いて既に達成されたので、併用治療の利点は、組織学スコアに基づいては比較的明らかでなかった(図7C)。
Tregに対するmIL-2/CD25の作用もまた、本研究の完了時(治療の14週間後)に脾臓において評価した。予期される通り、プレドニゾロン単剤療法(1mg/kg群および10mg/kg群の両方)が、Treg(CD4CD25Foxp3)のパーセンテージおよびTreg上のCD25 MFIを変化させなかった。以前の研究と合致して、mIL-2/CD25単剤療法は、TregのパーセンテージおよびTreg上のCD25 MFIを増加させた(図7Dおよび図7E)。重要なことに、プレドニゾロンの同時治療は、TregのパーセンテージまたはTreg上のCD25 MFIの増加におけるmIL-2/CD25の作用に干渉しなかった(図6Dおよび図6E)。これらのデータは、IL-2/CD25療法は、Tregの個数の増加、およびSLE患者における疾患進行の潜在的な阻害におけるその有効性を失うことなく、標準治療ステロイド療法と効果的に組み合わせることができることを示唆する。
MRL/lprループスモデルにおけるmIL-2/CD25
mIL-2/CD25を、ループスの別のネズミモデルであるMRL/lprにおいても評価した。このモデルでは、抑制が効かない免疫細胞の異常増殖が、特発性自己免疫ループス様症候群を引き起こす。0.1、0.2、または0.4mg/kg 2×/週で12週間にわたってs.c.投与されたmIL-2/CD25(群当たりn=10)は、タンパク尿(図9A)、自己抗体産生(図9B)、および腎臓炎症および損傷(図9C)の悪化を防止した。NZB×NZW研究におけるデータと同様に、0.2mg/kg~0.4mg/kgの用量範囲が、上記の3つのエンドポイントのすべてにおいて最大有効性を達成した。ここでもまた、血液および脾臓(各群からn=4)を、研究の完了時(最初の投薬の12週間後、最後の用量の48時間後)にフローサイトメトリーのために回収した。mIL-2/CD25治療は、血液および脾臓の両方において、CD4ゲート中のTreg(CD4CD25Foxp3)のパーセンテージを用量依存的に増加させた。血液では、パーセントTregは、PBS群での4.0±0.8%(平均±SEM)から、それぞれ0.1、0.2、および0.4mg/kg用量群での14.3±2.3%、21.9±6.2%、および28.1±5.5%へと顕著に増加した(図9D)。同様に、すべての用量で、脾臓Tregにおける増加が見られた(図9E)。図9Fに示される通り、CD4CD25Foxp3ゲート中のCD25 MFIは、PBS群での1842±118(平均±SEM)から、それぞれ0.1、0.2、および0.4mg/kg mIL-2/CD25治療群での3301±470、6185±713、および6863±680へと顕著に増加した。結論として、mIL-2/CD25は、Tregの個数およびTreg上のCD25発現を増加させることにより、MRL/lprマウスにおいて疾患進行を阻害する。
考察
活動性SLEの管理は、疾患の不均一な性質に起因して、困難である[Franklyn, et al., Nat Rev Rheumatol. 10: 567-71 (2014);Tsokos, N Engl J Med. 365: 2110-21 (2011)]。活動性SLEの現行の療法は、主に、疾患活動性を低減させるためのコルチコステロイドおよび免疫抑制剤に依存する。しかしながら、これらの薬物は完全に効果的ではなく、したがって、転帰は、顕著な副作用、特に、治療関連感染によりさらに相殺される[Goldblatt, et al., Lupus 18: 682-89 (2009);Kang et al., Curr Opin Rheumatol. 15: 528-34 (2003);Bruce, et al., Lupus 25: 699-709 (2016)]。Tregは、SLE発症機序において多数の重要な細胞タイプおよび経路の広範な上流制御を提供し、このことが、Treg修飾を他のSLE臨床パイプライン資産から区別する。Tregの主要標的はエフェクターT細胞活性であるが、免疫応答のTreg制御は、NKおよびNK T細胞、B細胞およびマクロファージ/抗原提示細胞に影響を及ぼし、かつ組織修復をさらに促進する潜在能力をはじめとして、Tエフェクター細胞を越えて働く[Abbas, et al., Sci Immunol. 3 (2018);Dutcher et al., J Immunother Cancer. 2:26 (2014);Li et al., Front Immunol. 9: 585 (2018);Tiemessen et al., Proc Natl Acad Sci USA 104: 19446-51 (2007);Williams et al., Nature 441: 890-3 (2007)]。炎症および自己免疫を抑制するT調節機能を強化するための低用量IL-2療法の使用が、SLE研究を含む複数の臨床試験における有望な予備的結果に基づいて、注目を集めてきている[Castela et al., JAMA Dermatol. 150: 748-51 (2014);Saadoun et al., N Engl J Med. 365: 2067-77 (2011)、Abbas et al., Sci Immunol. 3 (2018);von Spee-Mayer et al., Ann Rheum Dis. 75: 1407-15 (2016);He et al., Nat Med. 22: 991-3 (2016);Churlaud et al., J Allergy Clin Immunol 142: 1344-6 (2018);Rosenzwajg et al., J Autoimmun. 58: 48-58 (2015);Rosenzwajg et al., Ann Rheum Dis. 78: 209-17 (2019)]。11種類の自己免疫疾患を通した低用量IL-2の予備的結果は、このアプローチによる広範な有用性に対する潜在能力を実証している[Rosenzwajg et al., Ann Rheum Dis. 78: 209-17 (2019)]。
切断不可能リンカーを用いてCD25に融合されたIL-2からなる長期作用性IL-2受容体アゴニストは、マウスにおいてインビボで血清半減期およびTreg選択性に関して組み換えIL-2を超える改善を示している[Ward et al., J Immunol. 201: 2579-92 (2018)]。mIL-2/CD25融合タンパク質は、固有の作用機序(MOA)を有し、溶液中では自己遮断性不活性ホモ二量体分子として優勢に存在する。解離を介する活性単量体の緩慢な放出およびCD25発現Tregによる捕捉が、細胞活性化および増殖につながる[Ward et al., J Immunol. 201: 2579-92 (2018)]。このMOAは、不活性な二量体形態で循環するので標的媒介クリアランス(TMDD)を回避するこの分子の能力に部分的に起因して、この分子が、IL-2受容体アゴニズムを送達する他のメカニズムによって達成されていない薬物動態(PK)および薬力学(PD)延長を達成することを可能にする。本明細書中で示される通り、mIL-2/CD25は、延長したPK(T1/2:20.6時間)ならびにループスおよびループス腎炎の2種類の一般的なモデルであるNZB×NZWおよびMRL/lprマウスの両方におけるTregに対する望ましいTreg拡大増殖/CD25アップレギュレーションを有する。さらに、NZB×NZWモデル由来のTregの分析は、SLE患者からの観察に類似する、IL-2欠損のマーカーである低減したTreg CD25レベルを実証した。結果は、NZB×NZWモデルが、ヒト疾患において観察されるTreg機能障害の要素を反復することを示唆する。mIL-2/CD25は、このモデルにおける見かけの(th apparent)IL-2欠損を反転させ、それにより、Treg数およびCD25発現の両方における増加を引き起こした。
mIL-2/CD25を用いて観察されるTreg誘導および活性化は、NZB×NZWマウスが進行疾患の徴候を示した時点で治療が開始された場合でさえも、低減されたタンパク尿レベル、自己抗体力価および腎臓組織学スコアにより判断される通り、疾患進行の顕著な低減をもたらした。本明細書中で試験された用量は、非Treg細胞または炎症促進性サイトカイン産生を活性化しない。重要なことに、用量応答関係は、顕著かつ持続的なTreg増加がこのモデルにおける最大有効性のために必要とされることを示唆し、ロバストかつ持続性であるが選択的なTreg増加は、ヒト疾患における最大有効性のために必要とされるであろうことを示唆する。
コルチコステロイドは未だ、特に再燃を治療するための、ループス治療の主力である。コルチコステロイドは、T細胞応答を阻害することが公知であるが;しかしながら、Tregは、Tエフェクター細胞よりもステロイド治療に対して感受性が低い場合がある[Prenek, et al., Apoptosis 25: 715-29 (2020)]。本明細書中で実証される通り、mIL-2/CD25治療は、低用量ステロイドと組み合わせる場合でさえ、Tregを増加させ、かつ疾患を改善することができる。併用治療は、いずれかの単剤療法と比較して、有効性読み出し値の大部分における改善をもたらす。これらの結果は、mIL2/CD25治療により提供されるものなどの、長期的かつ選択的なIL-2R TregアゴニズムをSLE標準治療と組み合わせる潜在的な臨床的有用性が、改善された有効性を達成することを示唆する。
現在まで、開発されてきたヒトIL-2/CD25融合タンパク質は、規定された用量でカニクイザルにおいて長期的かつ選択的なTreg活性化を示す(未公開結果)。ヒトIL-2/CD25は、PK、PD(Treg)、安全性および忍容性の評価のために臨床試験において試験されるであろう。Treg集団におけるIL-2欠損を有するSLE患者を選択的に標的化するという仮説が、臨床において調査されるであろう。臨床的有効性ならびにステロイド回避および長期的寛解を提供するこのメカニズムに関する潜在能力を明らかにすることは、将来の研究における課題である。
材料および方法
試薬:
mIL-2/CD25は、IL-2のC末端とCD25の細胞外領域のN末端との間の12アミノ酸からなるリンカーを用いてネズミIL-2をネズミIL-2受容体αサブユニット(CD25)へと組み合わせる融合タンパク質である。mIL-2/CD25融合タンパク質は、非共有的自己遮断性二量体を形成する。生化学的評価は、二量体が受容体に結合せず、したがって、標的媒介薬物生体内挙動から保護されることを支持する。緩慢な解離は、IL-2Rの活性化を生じる低用量の活性単量体をもたらす[Ward et al., J Immunol. 201: 2579-92 (2018)]。プレドニゾロン(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)は、対照化合物として用いられる抗炎症性ステロイド薬物療法である。
マウス研究におけるフローサイトメトリーのための抗体パネルは、以下の抗体を含む:BD BiosciencesからのCD4-V500(クローンRM4-5)、pSTAT5-AF488(クローン47/Stat5 pY694)、ThermoFisher ScientificからのCD8-PerCP-Cy5.5(クローン53-6.7)、CD25-PE(クローンPC61.5)、Foxp3-ef450(クローンFJK-16s)、およびBiolegendからのCD335-BV605(クローン29A1.4)、Ki67-APC(クローン16A8)。
マウス:
雌性NZB×NZW F1、雌性BALB/c、および雄性MRL/lprマウスは、Jackson Laboratories(Bar Harbor、ME)からのものであった。すべての手順は、BMS動物ケアおよび使用委員会により承認されたプロトコールに従って行った。
タンパク尿モニタリング:
治療群への無作為化に先立って、Albustix試験紙上にマウスの排尿を誘導することにより、Albustix(Siemens、Munich、Germany)を用いてタンパク尿についてマウスを評価した。微量~30mg/dLに対応するタンパク尿レベル読み出し値を有するマウスを、早期疾患における有効性の評価のための研究に含めた。早期疾患研究に登録されたマウスの典型的な週齢は、NZB×NZWマウスに関して21~23週齢およびMLR/lprマウスに関して12~14週齢である。100mg/dL超のタンパク尿レベルを有するNZB×NZWマウス(27週齢付近)を、進行疾患における有効性の評価のための研究に含めた。研究の持続期間にわたって2~3週間毎に、タンパク尿の存在についてマウスをモニタリングし続けた。タンパク尿は、以下の通りに製造業者の説明書に従ってスコア付けした:微量:0.5;30mg/dL以上:1;100mg/dL以上:2;300mg/dL以上:3;2000mg/dL以上:4。
マウス投薬
マウスに、PBS媒体中の注入当たり200μLの投薬容量を用いて、週2回、皮下的(s.c.)にmIL-2/CD25を注入した。プレドニゾロンを投与されるマウスは、水中に溶解された10mL/kgの投薬容量を用いて、週3回、経口的(p.o.)に10mg/kgを投与された。
血清抗体力価
研究中、2~3週間毎に、イソフルランを用いてマウスを麻酔し、採血した。研究の完了時、血清を、ELISAにより抗dsDNA自己抗体の存在に関して試験した。進行ループスを有するMRL/lprマウス由来のプール血清を、各アッセイにおける陽性比較基準として用いた。自己抗体レベルを、陽性対照血清を用いて作成された標準曲線(stand curve)に基づいて、任意単位において定量化した。IL-12p40血清タンパク質レベルは、製造業者の説明書に従って、BD BiosciencesからのIL-12p40 ELISAキットを用いて、10週間のmIL-2/CD25投薬の終了時に採取した血清から測定した。
組織学
研究の終了時、各動物由来の一方の腎臓を剖出し、10%NBF中で72時間浸漬固定し、完全に固定されたら、横方向に切り出し、慣用の通りに加工およびパラフィン包埋(RPPE)し、H&E染色に関して4μmおよびPASH染色に関して3μmで薄切した。スライドは、腎炎の顕微鏡分析のために、単盲検様式で訓練された組織学者により評価した。糸球体腎炎(GN)および尿細管間質性腎炎(TIN)を、関連する病理学を個別に評価する半定量的0~4スケールを用いてスコア付けした。GNは、メサンギウムに対する変化、細胞性円柱形成、糸球体係蹄における単核細胞浸潤、およびボーマン嚢の線維硬化に関してスコア付けした。TINは、尿細管内腔浸潤物に対する変化、尿細管上皮細胞再生、タンパク質円柱、間質線維化、および単核細胞浸潤に関してスコア付けした。理論的最大合計腎炎スコアは36であった。
血液および脾臓調製および染色
血液サンプルをヘパリン管に回収し、続いて、37℃において10分間、1×BD FACS溶解溶液を用いて直ちに溶解および固定した。細胞を、PBSを用いて1回洗浄し、続いて、2%FBSを含有するPBSを用いて二度目に洗浄し、その後、4℃で30分間、氷冷メタノールを用いて透過化した。続いて、サンプルを、染色に対して過剰のメタノールを除去するために、2回洗浄した。
PBS中に回収された脾臓サンプルを、gentleMACS(商標)を用いて粉砕して単一細胞懸濁物を調製し、続いて、70μMストレイナーを用いてろ過した。ACK溶解バッファーを用いて、赤血球を溶解させ、かつ細胞懸濁物を、40μMストレイナーを用いてもう一度ろ過した。細胞を、2%FBSを含有するPBS中に再懸濁し、かつ1×10個の細胞を、37℃で10分間、1.5%パラホルムアルデヒドを用いて直接的に固定した。細胞を、2%FBSを含有するPBSを用いて洗浄し、その後、4℃で30分間、氷冷メタノールを用いて透過化した。続いて、サンプルを、染色前に過剰のメタノールを除去するために2回洗浄した。
調製された血液または脾臓サンプルを、CD16/CD32モノクローナル抗体(BD Biosciences)を用いてブロッキングし、続いて、4℃で45分間、細胞表面(CD4/CD8/CD25/CD335)および細胞内(Foxp3/Ki67/pSTAT5)マーカーによって同時染色した。サンプルを、BD CantoXフローサイトメーターを用いて取得し、FlowJoソフトウェア(TreeStar)を用いてデータを解析した。
腎臓RT-PCR
研究の完了時、各マウス由来の一方の腎臓を、RNA Later中に回収し、続いて、Tissue Lyserを含むmRNA Catcher溶解バッファー中でホモジナイズした。mRNAを、製造業者のプロトコールに従って、mRNA Catcher PLUS(Invitrogen)を用いて精製した。cDNAを、ランダムヘキサマープライマーと共にSuperScript IIを用いて合成した。PCRを、SYBR Greenマスターミックス(Invitrogen)を用いて行った。相対的定量化分析を、ハウスキーピング遺伝子としてシクロフィリン(PPIA)を用いる2-ΔΔCT法を用いて決定した。炎症性サイトカインおよび白血球表面受容体の発現を分析した。プライマーペア:
Ifit1:5'-AGAGCAGAGAGTCAAGGCAGGT-3'(配列番号35);5'-TGGTCACCATCAGCATTCTCTCCCA-3'(配列番号36)
Ifit3:5'-GCTCAGCCCACACCCAGCTTT-3'(配列番号37);5'-AGATTCCCGGTTGACCTCACTCAT-3'(配列番号38)
Mx1:5'-ACTACCAGGAGTGCAGACGGAA-3'(配列番号39);5'-TCCTCCAGGAACCAGCTGCACTTA-3'(配列番号40)
Irf7:5'-GAGTCTGGGGCAGACCCCGT-3'(配列番号41);5'-CTGCGCTCGGTGAGAGCTGG-3'(配列番号42)
Gbp2:5'-AGCTGCTAAACTTCGGGAACAGGA-3'(配列番号43);5'-AGAGGTTTGGGCCTTGGGCCT-3'(配列番号44)
Ligp1:5'-GGACACAGGAGTTTCTGTGCCTTT-3'(配列番号45);5'-AGGTGAAGAGAACAGCTGACCCA-3'(配列番号46)
薬物動態
mIL-2/CD25の血清レベルを、第1用量(0.1、0.2または0.4mg/kg s.c.)後のNZB×NZW F1マウスにおいて決定した。血液サンプル(0.1mL)を、複合サンプル採取(時点当たり4マウス)を用いて、用量の24時間、48時間、および80時間後に、顎下採血により取得した。血液サンプルを凝固させ、4℃で遠心分離(1500~2000×g)して、血清を得た。血清サンプルを、化学発光プラットフォーム上でのリガンド結合性アッセイによる分析まで、-80℃で保存した。mIL-2/CD25の薬物動態パラメータ(AUC、Cmax、Tmaxおよび半減期)は、血清濃度対時間データの非コンパートメント解析により取得した(Phoenix WinNonlin、バージョン6.4、Certara USA、Inc.、Princeton、NJ)。
血清中のmIL-2/CD25の定量化のためのリガンド結合性アッセイ
サンプル、標準、および品質対照は、1%BSAを含むPBS中の33%マウス血清の最終マトリックス濃度とした。簡潔には、96ウェル黒色プレートを、4℃で一晩、PBS中1.0μg/mLにおいてラット抗マウスCD25(eBioscience-クローン:PC61.5)を用いてコーティングした。プレートを、PBS/Tween/20%カゼインを用いて1時間ブロッキングし、続いて、室温で2時間、血清と共にインキュベーションした。mIL-2/CD25を、ビオチン化ラット抗マウスIL-2(eBioscience-クローン:JES6-SH4)、NeutrAvidin-西洋ワサビペルオキシダーゼ(Thermo Scientific)およびPico化学発光基質溶液(Thermo Scientific)と共に逐次的にインキュベーションすることにより検出した。プレートを、発光モードにおいてSpectraMaxプレートリーダー中で読み取った。マウス血清中のmIL-2/CD25の濃度は、mIL-2/CD25キャリブレーターから作成した対数-対数線形較正曲線(Softmax解析プログラム、Molecular Devices)を用いて、発光強度から算出した。アッセイLLOQは25pg/mLであった。
概要および要約セクションでなく、詳細な説明セクションは、特許請求の範囲を解釈するために用いることが意図されることが理解されるべきである。概要および要約セクションは、本発明者(ら)により考慮される通りの1つまたは複数であるがすべてではない本発明の例示的な態様または実施形態を説明することができ、したがって、いかようにも本発明の範囲および添付の特許請求の範囲を限定することは意図されない。
本発明が、明記される機能およびその関係の遂行を例示する機能的構成要素を用いて上記で説明されてきた。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜のために本明細書中で任意的に定義されている。明記される機能およびその関係が適切に果たされる限り、代替的な境界を定義することができる。
具体的態様および実施形態の上記の説明は、過度の実験を伴わずに、本発明の一般的概念から逸脱することなく、そのような具体的な態様または実施形態を、当技術分野の技能の範囲内の知識を適用することにより、他者が容易に改変および/または様々な応用に適合させることができるように、本発明の一般的性質を完全に明らかにするであろう。したがって、そのような適合化および改変が、本明細書中に提示される教示および案内に基づいて、開示される態様または実施形態の意味および均等物の範囲内に入ることが意図される。本明細書中の言い回しおよび用語は、説明の目的のためのものであり、限定の目的のためのものではなく、したがって、本明細書の用語および言い回しは、教示および案内に照らして当業者により解釈されるはずであることが理解されるべきである。
本発明の広がりおよび範囲は、上記の例示的な態様または実施形態のうちのいずれによっても限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲およびその均等物に従ってのみ定義されるべきである。
本出願の特許請求の範囲は、親出願または他の関連出願のものとは異なる。したがって、本出願人は、本出願との関連における親出願またはいずれかの先行出願においてなされる特許請求の範囲のいかなる放棄も撤回する。したがって、審査官は、いずれかのそのような以前の放棄および無効にするために引用された参考文献を再検討する必要があることを助言される。さらに、審査官はまた、本出願においてなされるいかなる放棄も、親出願へと、または親出願に対すると理解されるべきではないことも想起させられる。

Claims (46)

  1. インターロイキン-2(IL2)融合タンパク質の用量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において疾患または障害を治療する方法であって、融合タンパク質は、
    (a)IL2ポリペプチドを含む第1のポリペプチド;および
    (b)インターロイキン-2受容体α(IL2Rα)ポリペプチドの細胞外ドメインを含む第2のポリペプチド
    を含み;
    (i)IL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインは、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有し;かつ/または(ii)IL2ポリペプチドは、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有し;
    用量は、約0.1mg~約9mgである、
    方法。
  2. 融合タンパク質が、局所、表皮、粘膜、鼻内、経口、膣内、直腸、舌下、静脈内、腹腔内、筋内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外または胸骨内経路を介して対象に投与される、請求項1に記載の方法。
  3. 融合タンパク質が、静脈内経路を介して対象に投与される、請求項1に記載の方法。
  4. 用量が、約0.3mg~約9mgである、請求項3に記載の方法。
  5. 用量が、約3mg~約9mgである、請求項3に記載の方法。
  6. 用量が、約6mg~約9mgである、請求項5に記載の方法。
  7. 用量が、約0.1mg~約3mgである、請求項3に記載の方法。
  8. 用量が、約0.1mg~約1mgである、請求項7に記載の方法。
  9. 用量が、約0.1mg~約0.3mgである、請求項8に記載の方法。
  10. 用量が、約0.3mg~約6mgである、請求項3に記載の方法。
  11. 用量が、約1mg~約3mgである、請求項10に記載の方法。
  12. 用量が、約9mg超である、請求項3に記載の方法。
  13. 融合タンパク質が、皮下経路を介して対象に投与される、請求項1に記載の方法。
  14. 用量が、約1mg~約8mgである、請求項13に記載の方法。
  15. 用量が、約3mg~約8mgである、請求項14に記載の方法。
  16. 用量が、約6mg~約8mgである、請求項15に記載の方法。
  17. 用量が、約1mg~約6mgである、請求項14に記載の方法。
  18. 用量が、約1mg~約3mgである、請求項17に記載の方法。
  19. 用量が、約3mg~約6mgである、請求項14に記載の方法。
  20. 用量が、約1mg、約3mg、約6mg、または約8mgである、請求項13に記載の方法。
  21. 用量が、約8mg超である、請求項13に記載の方法。
  22. 用量のうちの2つ以上が、2つの用量間に投薬間隔を置いて投与される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 投薬間隔が、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヵ月間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約2ヵ月間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、または少なくとも約3ヵ月間である、請求項22に記載の方法。
  24. 投薬間隔が少なくとも約3週間である、請求項23に記載の方法。
  25. 投薬間隔が約3週間である、請求項22に記載の方法。
  26. 投薬間隔が、用量全体を通して同じである、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 投薬間隔が、用量全体を通して異なる、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
  28. 2つ以上の用量のうちの少なくとも1つが静脈内投与され、かつ2つ以上の用量のうちの少なくとも1つが皮下投与される、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
  29. 静脈内投与される用量が、皮下投与される用量の前に与えられる、請求項28に記載の方法。
  30. 最初の用量が静脈内投与され、かつ最後の用量が皮下投与される、請求項22から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 疾患または障害が、感染性疾患または免疫媒介疾患である、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 免疫媒介疾患が、炎症性疾患または自己免疫疾患である、請求項31に記載の方法。
  33. 免疫媒介疾患が、1型糖尿病;多発性硬化症;関節リウマチ;セリアック病;全身性エリテマトーデス;ループス腎炎;皮膚ループス;若年性特発性関節炎;クローン病;潰瘍性大腸炎;全身性硬化症;移植片対宿主病(GvHD);乾癬;円形脱毛症;HCV誘導型血管炎;シェーグレン症候群;天疱瘡;強直性脊椎炎;ベーチェット病;ウェゲナー肉芽腫症;高安病;自己免疫性肝炎;硬化性胆管炎;グジェロー・シェーグレン;炎症性腸疾患;免疫調節異常多腺性内分泌障害腸疾患X連鎖(IPEX)症候群;およびマクロファージ活性化症候群からなる群より選択される、請求項31に記載の方法。
  34. 免疫媒介疾患が、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、または皮膚ループスである、請求項33に記載の方法。
  35. 免疫媒介疾患が全身性エリテマトーデスである、請求項34に記載の方法。
  36. コルチコステロイドを対象に投与する工程をさらに含む、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
  37. コルチコステロイドがプレドニゾロンである、請求項36に記載の方法。
  38. コルチコステロイドが、局所、経口、静脈内、または筋内経路を介して対象に投与される、請求項36または37に記載の方法。
  39. コルチコステロイドが、融合タンパク質の各用量の前、それと同時、または後に投与される、請求項36から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. コルチコステロイドの2つ以上の用量が、各用量の間に投薬間隔を置いて、対象に投与される、請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
  41. IL2Rαポリペプチドの細胞外ドメインが、ネイティブIL2Rα(配列番号1)の細胞外ドメインと比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化、少なくとも2箇所少ないグリコシル化、少なくとも3箇所少ないグリコシル化、少なくとも4箇所少ないグリコシル化、少なくとも5箇所少ないグリコシル化、少なくとも6箇所少ないグリコシル化、少なくとも7箇所少ないグリコシル化、少なくとも8箇所少ないグリコシル化、または少なくとも9箇所少ないグリコシル化を有する、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
  42. IL2ポリペプチドが、ネイティブIL2(配列番号2)と比較して、少なくとも1箇所少ないグリコシル化を有する、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 第1のポリペプチドが、配列番号2に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 第2のポリペプチドが、配列番号3に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 第2のポリペプチドが配列番号4である、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 第2のポリペプチドが配列番号3である、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
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