JP2023546140A - パーキンソン病の治療のためのオピカポン及びレボドパ - Google Patents

パーキンソン病の治療のためのオピカポン及びレボドパ Download PDF

Info

Publication number
JP2023546140A
JP2023546140A JP2023523099A JP2023523099A JP2023546140A JP 2023546140 A JP2023546140 A JP 2023546140A JP 2023523099 A JP2023523099 A JP 2023523099A JP 2023523099 A JP2023523099 A JP 2023523099A JP 2023546140 A JP2023546140 A JP 2023546140A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
levodopa
opicapone
combination
pharmaceutically acceptable
acceptable derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023523099A
Other languages
English (en)
Inventor
パトリシオ、マヌエル、ビエイラ、アラウホ、ソアレス、ダ、シルバ
ホセ、フランシスコ、ダ、コスタ、デ、ピノ、ロチャ
Original Assignee
ビアル-ポルテラ エ コンパニア,ソシエダッド アノニマ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ビアル-ポルテラ エ コンパニア,ソシエダッド アノニマ filed Critical ビアル-ポルテラ エ コンパニア,ソシエダッド アノニマ
Publication of JP2023546140A publication Critical patent/JP2023546140A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • A61K31/195Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group
    • A61K31/197Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group the amino and the carboxyl groups being attached to the same acyclic carbon chain, e.g. gamma-aminobutyric acid [GABA], beta-alanine, epsilon-aminocaproic acid or pantothenic acid
    • A61K31/198Alpha-amino acids, e.g. alanine or edetic acid [EDTA]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/44Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof
    • A61K31/4427Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof containing further heterocyclic ring systems
    • A61K31/4439Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof containing further heterocyclic ring systems containing a five-membered ring with nitrogen as a ring hetero atom, e.g. omeprazole
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/16Amides, e.g. hydroxamic acids
    • A61K31/165Amides, e.g. hydroxamic acids having aromatic rings, e.g. colchicine, atenolol, progabide
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/14Drugs for disorders of the nervous system for treating abnormal movements, e.g. chorea, dyskinesia
    • A61P25/16Anti-Parkinson drugs
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K2300/00Mixtures or combinations of active ingredients, wherein at least one active ingredient is fully defined in groups A61K31/00 - A61K41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Psychology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療における使用のための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体。

Description

本発明は、パーキンソン病における予測不能な運動症状の変動の治療に関する。特に、本発明は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療における、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体の使用に関する。
レボドパ(L-DOPA)は、パーキンソン病を含む様々な状態の対症治療において、数十年にわたって医療で使用されている。レボドパは、血液脳関門を通過することが可能であり、そこではDOPA脱炭酸酵素(DDC)という酵素によってドーパミンに変換され、そして、脳内のドーパミンレベルを増加させる。しかしながら、レボドパからドーパミンへの変換は末梢組織でも起こることがあり、副作用を引き起こす可能性がある。そのため、補助的療法として、末梢性DDC阻害剤(DDCI)(カルビドパ、ベンセラジド等)を併用することが標準的な医療となっている。DDCIは、末梢組織においてレボドパがドーパミンに変換することを阻止する。レボドパ療法は、パーキンソン病を管理するための最も効果的な治療として存続している(Ferreira J, et al., Eur. J. Neurol., 2013; 20, 5-15)。
パーキンソン病の初期段階では、レボドパ療法により、次の用量が投与されるまでパーキンソン病の症状をほぼ完全に抑制し得る。しかしながら、長期レボドパ療法を受けている患者の多くは、パーキンソン病がより進行した段階で、エンドオブドーズ(end-of-dose)の運動症状の変動やジスキネジア等の運動合併症を発症する(Aquino CC, Fox SH, Mov. Disord., 2015, 30, 80-89)。患者は、所謂「オフ」状態におけるエンドオブドーズの運動症状の変動を伴って、1日あたり数時間を消費することをしばしば報告し、これが彼らの生活の質にかなりの影響を及ぼし得る(Chapuis S, Ouchchane L, Metz O, Gerbaud L, Durif et al., Mov. Disord. 2005, 20, 224-30)。運動合併症(エンドオブドーズの運動症状の変動等)の発生は、パーキンソン病の初期段階からより進行した段階への移行を規定するものである。そのため、運動合併症のコントロールは、結局のところ、ほぼすべての患者にとって重要な臨床ニーズとなる(Poewe W, Neurology, 2009, 72, S65-73)。
エンドオブドーズの運動症状の変動は、経口レボドパの半減期の短さ(約60~90分)に関連している。カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤は、レボドパの血漿中消失半減期を延長し、ピーク・トラフ変動を減少し、エンドオブドーズの運動症状の変動に苦しめられているパーキンソン病患者の臨床的改善を提供する。
2,5-ジクロロ-3-[5-(3,4-ジヒドロキシ-5-ニトロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]-4,6-ジメチルピリジン 1-オキシド(オピカポン)は、レボドパから不活性代謝物の3-O-メチルドパへの分解を抑制する、強力かつ長時間作用するCOMT阻害剤である。オピカポンは、生物活性があり、生物学的に利用可能で、毒性が低い。したがって、オピカポンは、COMTの阻害が治療上有益であるかもしれない幾つかの中枢及び末梢神経系障害(例えば、気分障害;パーキンソン病、パーキンソン障害及びレストレスレッグス症候群等の運動障害;胃腸障害;浮腫形成状態;及び高血圧等)の治療において、潜在的に価値ある医薬特性を有する。
更なる研究は、オピカポンを安定かつ生物学的利用可能な形態に最適化することに重点を置いている。例えば、国際公開第2009/116882号は、オピカポンの様々な多形を記載しており、多形Aが動力学的及び熱力学的の両方で安定である。国際公開第2010/114404号及び国際公開第2010/114405号は、臨床試験で使用される安定なオピカポン処方物を記載している。国際公開第2013/089573号は、簡単な出発材料を用いて、良好な収率でオピカポンを製造するための最適化された方法を記載している。オピカポンの開発は、L. E. Kiss et al, J. Med. Chem., 2010, 53, 3396-3411に記載されており、レボドパ及びDCCIと組み合わせたパーキンソン病の治療薬として、「オンジェンティス」の商品名で、EUでは2016年6月、米国では2020年4月、日本では2020年6月に承認されている。
いずれの場合も、オピカポンは、運動症状の変動を経験している患者において使用するための、レボドパ/DDCI製剤の補助的療法として許可されている。例えば、欧州のラベルは次のように記載している:「オンジェンティスは、レボドパ/DOPA脱炭酸酵素阻害剤(DDCI)製剤の併用療法として、これらの組み合わせで安定化できないパーキンソン病の成人患者で、エンドオブドーズの運動症状の変動がある場合に適応される」(強調を追加)。米国のラベルは、次のように記載している:「オンジェンティスは、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤であり、「オフ」エピソードを経験しているパーキンソン病(PD)患者におけるレボドパ/カルビドパの併用療法に適応される」(強調を追加)。
オピカポンの承認は、パーキンソン病の初期段階を超えた患者(即ち、エンドオブドーズの運動症状の変動を経験している患者)を対象とした、オピカポンの2つの重要な第III相試験の主要な結果に基づいている。この試験は、BIPARK-I(Ferreira et al., Lancet Neurol., 2016, 15, 154-65)及びBIPARK-II(Lees et al., JAMA Neurol., 2017, 74, 197-206)として知られている。
BIPARK-Iは、オピカポンが、レボドパ/DCCIと組み合わせて用いられたプラセボよりも優れていること、及び既承認のCOMT阻害剤であるエンタカポンよりも患者の「オフ」状態において消費された時間を短縮する能力で非劣勢であることを示した。BIPARK-IIは、オピカポンの有効性と安全性を確認した。これらの重要な第III相試験は、より小規模な第II相試験から得られた暫定的な結果を確認した。BIPARK試験を統合した事後的分析は、オピカポンが、患者において「オフ」状態で消費される時間の増加率も遅らせることを示唆している。換言すると、オピカポンは、パーキンソン病がより進行した段階の患者(国際公開第2016/083875号)(即ち、エンドオブドーズの運動症状の変動を経験している患者)において、レボドパの必要性に関してパーキンソン病の進行を遅らせると思われる。
運動合併症は、レボドパ治療後5年以内にパーキンソン病患者の約50%に起こり、著しい生活の質(QoL)の悪化と関連している(Dodel R., Berger K., Oertel W., PharmacoEconomics, 2001, 19, 1013-38)。また、パーキンソン病患者のサブグループは、症状がしばしば数秒にわたって現れる、予測不能な運動症状の変動(即ち、投薬のタイミングとは無関係なパーキンソン症状の悪化)を経験し得る(Aquino C., Fox S., J. Mov Disord., 2015, 30, 80-9)。これらの患者は、「オン」状態から「オフ」状態への非常に急速な移行を呈する、重度のオン/オフ変動を経験し得る(Aquino C., Fox S., J. Mov Disord., 2015, 30, 80-9)。この段階は、パーキンソン病の「複雑な段階」と表現されることがあり(Carrarini C. et al., Biomolecules, 2019, 9, 388)、特に、治療することが困難である。実際、欧州神経学会連合(EFNS)のパーキンソン病治療に関する勧告で強調されているように、予測不能なオン-オフを伴う患者は、含まれていなかったか又は集団全体の5%未満を構成していた。逆に、このような重度の運動変動は、しばしば臨床医にデバイス補助療法(即ち、深部脳刺激、アポモルヒネ皮下注入、レボドパ/カルビドパ腸用ゲル)に頼ることを強い、通常、1日あたりの明確なオフ時間を堅実に減らすのに有効であるが、予測不能な運動症状の変動を伴う患者についての具体的なサブ解析は公表されていない(Katzenschlager R. et al. Lancet. Neurol., 2018, 17, 749-759、Olanow C., Lancet. Neurol.、2014, 13, 141-9、Deuschl G., New Eng. J. Med., 2006, 355, 896-908)。しかしながら、経口薬で運動症状の変動を適切にコントロールできない場合、デバイス補助療法が治療の選択肢として考慮されている。
このような重度の運動合併症を伴うパーキンソン病患者に対して具体的な補助的療法が有効であるという証拠がないため、予測不能な運動症状の変動に対する治療は、今日まで依然として非常にチャレンジングなものである。
したがって、予測不能な運動症状の変動を伴う患者の治療に有効なレボドパ治療レジメンに対する必要性が存続している。特に、パーキンソン病における予測不能な運動症状の変動の急性症状を、好ましくは更なる副作用及び/又は治療上で発現する有害事象を起こすことなく改善し得る、有効なレボドパ治療レジメンに対する必要性が存続している。
本発明者らは、2つの無作為化二重盲検臨床試験(BIPARK-I及びBIPARK-II)の結果をプールし、UPDRSセクションIVの手段により、予測不能な運動症状の変動を伴うか又は伴わない患者を層別化した。後述のセクションDで述べるように、予測不能な運動症状の変動を伴う278名のパーキンソン病患者(87名 50mg、98名 25mg、93名 プラセボ)において、オピカポン(25mg)及びオピカポン(50mg)はいずれも運動合併症の抑制に有効であった。驚くべきことに、予測不能な運動症状の変動を伴う患者では、これら患者を治療することがより困難であると考慮されているにもかかわらず、オピカポンがより有効であった。
したがって、第一の一般的な実施態様において、本発明は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療における使用のための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体を提供する。
第二の一般的な実施態様において、本発明は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状を治療する方法であって、(場合により、上記患者を、予測不能な運動症状の変動をわずらうと診断すること、続いて、)レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせる治療上有効な量のオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体を上記患者に投与することを含んでなる、方法を提供する。
第三の一般的な実施態様において、本発明は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療のための医薬を製造するための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体の使用を提供する。
第四の一般的な実施態様において、本発明は、パーキンソン病に罹患している患者での予測不能な運動症状の変動の治療のための医薬を製造するための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体の使用を提供する。
本発明は、添付の図面及び表を参照しながら、詳細に記載される。
プラセボと比較して、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者と予測不能な運動症状の変動をわずらわない患者における、オピカポン(25mg)及びオピカポン(50mg)で14~15週間治療した後の明確なオフタイムの減少を示す。LSM=最小二乗平均、LCL=下側信頼限界、UCL=上側信頼限界、N=患者数。
A.定義
以下の定義は、特定の場合において特に限定されない限り、本明細書を通じて使用される用語に適用される。
「特発性パーキンソン病」という用語は、パーキンソン病のほとんど(80~85%)を包含している。特発性パーキンソン病は、典型的には、顕著なブラジキネジアと、関連する様々な錐体外路の徴候及び症状を伴う。これは、黒質線条体ドーパミン作動性システムの変性を伴い、黒質における神経細胞の喪失及び反応性グリオーシスが剖検でみられる。特発性パーキンソン病において、α-シヌクレインは、典型的には、神経細胞体(レビー小体)及び神経突起(レビー神経突起)に蓄積される。特発性パーキンソン病は、薬物誘導性パーキンソン病、血管性パーキンソン病、正常圧水頭症、皮質基底膜変性症、進行性核上性麻痺及び多系統萎縮症が除外される。
「早期特発性パーキンソン病」又は「早期パーキンソン病」という用語は、明らかな症状により特発性パーキンソン病の診断(英国パーキンソン病学会ブレインバンク臨床診断基準又は運動障害学会基準のいずれかによる)を可能にするが、それらの症状が軽度かつ片側性であり、可能な治療に対して完全に応答性である場合の、疾患の初期段階を指す。特に、この患者グループのパーキンソン病は、運動合併症(エンドオブドーズの運動症状の変動及び/又はジスキネジア等)がなく、レボドパ及びDDCIの調製物での治療が可能(即ち、それら症状がコントロールされ得る)である。
「パーキンソン病の症状」という用語は、運動症状(例えば、振戦、硬直、ブラジキネジア及び姿勢動揺)及び非運動症状(例えば、認知変化、胃腸症状、視覚、味覚及び/又は嗅覚の喪失、疼痛、疲労、立ち眩み、性的問題、睡眠障害及び体重減少)の両方を含む。そのような症状は、当該技術分野で公知の症状のリードアウトの1つ以上(特に、本明細書中で具体的に言及されているもの)を用いて評価され得る。
「運動合併症」という用語は、慢性的な治療(即ち、レボドパ治療)の結果として生じるパーキンソン病の症状に関し、運動症状の変動(ウェアリングオフ現象を含む)、レボドパ誘発性ジスキネジア、病気の初期には存在しないその他の病気関連の特徴を含む。これらは、レボドパ療法単独では患者の症状の完全なコントロールをもはや提供できなくなった場合に生じる。これらは、運動症状の変動及びジスキネジアを含んでなる。運動合併症は、持続的なものであるが、必ずしも規則的で予測可能ではなく、患者の生活の質(QoL)に定量的かつマイナスの影響を与える。運動合併症は、パーキンソン病の運動症状と重なり得る。しかしながら、当初はレボドパ療法で治療可能であったがレボドパ療法を維持しているにもかかわらず病気のその後の段階に再び出現した運動症状は、運動合併症と考慮される。
「運動症状の変動」には、エンドオブドーズの変動、奇異性の変動、予測不能なオン/オフが含まれる。
「「オフ」期間」(「オフエピソード」とも称される)という用語は、レボドパで治療された患者がもはや対症的な恩恵を経験せず、「オフ」状態にあるといえる際の時間として定義される。一方、レボドパで治療された患者がその対症的な恩恵を経験する場合、患者は、「「オン」期間」中の「オン」状態にある。
「明確なオフ時間」という用語は、「オフ」状態で消費された30分ピリオドの1日の合計をいう。逆に、「明確なオン時間」とは、「オン」状態で消費された30分ピリオドの1日の合計である。患者が眠っている期間は、いずれのグループからも除外される。
「エンドオブドーズの運動状態の変動」(「ウェアリングオフ」現象とも称される)という用語は、レボドパ療法の次の用量の投与前における予測可能な症状の再出現又は悪化に関する。これらは、典型的には、レボドパ投与の3~4時間後に、薬が弱まり症状が再発・悪化することから始まる。その後、典型的には、次のレボドパ投与が行われて15~45分後に症状が改善する。
「予測不能な運動症状の変動」(「予測不能なオン/オフ変動」又は「オン/オフ現象」とも称される)という用語は、任意のタイミングでの症状の再出現又は悪化(重度の厄介なジスキネジア、重度の/予測不能なエンドオブドーズの運動症状の変動、痛みを伴う「オフ」ジストニア及び朝のアキネジア等)に関する(Fabbri M. et al., Mov. Disord: 2018, 33, 1528-1539)。予測不能な運動症状の変動は、次の投与のタイミングとは無関係であり、日中の任意の時間でも発生することがある。しかしながら、レボドパ療法の投与に近接する症状の再出現又は悪化は、定期的に発生しない場合には予測不能であり得る。分析された臨床試験において、臨床医がUPDRSの第36項目(「「オフ」期間は予測可能か?」)で「ノー」、又は以下のUPDRSの第37項目(「「オフ」期間は予測不能か?」)及び第38項目(「「オフ」期間は数秒以内に突然訪れるか?」)のうち少なくとも1つで「イエス」と回答した場合、予測不能なオン/オフ変動が存在すると定義された。
「ジスキネジア」又は「レボドパ誘発性ジスキネジア」という用語には、ピーク用量ジスキネジア、二相性ジスキネジア、「オフ」ジスキネジアが含まれる。一般的な症状としては、コレア及びジストニアが挙げられる。一般的でない症状としては、アカタジア(過度の落ち着きのない運動)、足を高く上げるオーバーシュート歩行、脚の急速交互運動(RAM)、眼瞼痙攣、異常運動の混合パターン等が挙げられる(Fahn S., Ann. Neurol., 2000, 47, S2-S9)。
「応答者」という用語は、試験の二重盲検期の終了時に、明確なオフ時間において少なくとも1時間の減少を達成する患者、及び/又は明確なオン時間において少なくとも1時間の増加を達成する患者の割合と定義される。
「補助的療法」(補助療法、アドオン療法、又はアジュバントケアとも称される)という用語は、その効果を最大化するために一次療法又は初期療法に加えて行われる療法である。本願では、レボドパが一次療法であり、DCCI及びCOMT阻害剤(即ち、オピカポン)が補助的療法である。
「治療下で発現した有害事象」とは、試験薬への曝露前に存在しなかった任意の事象、又は既に存在した任意の事象で、試験薬の最初の摂取後から、試験薬の最後の摂取から2週間後までの間に、強度又は頻度のいずれかが悪化したものと定義される。
B.予測不能な運動症状の変動を有するパーキンソン病におけるオピカポンの有効性
本発明は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療における使用のための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体を提供する。
本発明は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状を治療する方法であって、(場合により、上記患者を、予測不能な運動症状の変動をわずらうと診断すること、続いて、)レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせて治療上有効な量のオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体を上記患者に投与することを含んでなる、方法も提供する。
本発明は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療のための医薬を製造するための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体の使用も提供する。
本発明は、レパーキンソン病に罹患している患者での予測不能な運動症状の変動の治療のための医薬を製造するための、ボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体の使用も提供する。
オピカポンの用量及びレジメン
以下のセクションDに記載されている試験分析は、オピカポン(25mg)とオピカポン(50mg)の両方が、予測不能な運動症状の変動を伴う患者の運動合併症の減少に対して驚くべきことに有効であることを確認している。好ましい実施態様では、オピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体は、1日1回、10~100mgのオピカポンに等価(好ましくは、25~50mgのオピカポンに等価、より好ましくは、50mgのオピカポンに等価)の用量で投与される。
オピカポンの50mgの用量が有効性の観点から最も好ましいが、以下のセクションDの結果は、予測不能な運動症状の変動を有する患者において、オピカポン(25mg)が驚くべきことに依然として有効であり、その使用により薬物摂取が減少し、コスト及び潜在的な副作用に関連した利点があることを確認している。したがって、オピカポンの約25mgの用量は、依然として非常に好ましい。
一般的に好ましい実施形態では、オピカポンは、その非誘導化(例えば、非塩)形態で投与される。
予測不能な運動症状の変動をわずらうパーキンソン病患者は、より多くのレボドパの投与頻度やより多くのレボドパの投与量を必要とする傾向がある。オピカポンの補助的療法を含めることで、レボドパの必要量を減らし得る。好ましい実施態様では、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体は、1日3~10回投与される。より好ましい実施態様では、複数用量のレボドパが錠剤またはカプセル剤の形態で経口投与される。
レボドパの用量は、患者のニーズに合わせて変更され得る。他の好ましい実施態様では、投与頻度を補完するように、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体が、1日の合計が300~2000mgのレボドパに等価(好ましくは、500~1000mgのレボドパに等価)の用量で投与される。特に、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体は、1日3~10回、1日の合計が300~2000mgのレボドパに等価(好ましくは、500~1000mgのレボドパに等価)の用量で投与される。
後期のパーキンソン病を患い、レボドパで治療されている患者は、改変された形態のレボドパから恩恵を得ることが見出されている。ある実施形態において、患者は、重水素化形態のレボドパ(例えば、国際公開第2017/060870号に開示されているもの)、又は放出が改変されたレボドパ(放出が延長されたレボドパ、放出が制御されたレボドパ、放出が継続されたレボドパ、放出が改変されたレボドパ、若しくはレボドパ腸用ゲル等)で治療される。
重水素化形態のレボドパとオピカポンの組み合わせは、6-OH-L-DOPA誘発性パーキンソニズムモデルにおいてジスキネジアを低減することが示されている(国際公開第2017/060870号)。このようなモデルは、特発性パーキンソン病における臨床上の有効性の予測因子として乏しい。更に、重水素化レボドパは高価である。したがって、好ましい実施態様は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療における使用のための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体であって、レボドパが重水素化レボドパではない、オピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体に関する。
腸用ゲルは、後期パーキンソン病の治療に有効であることが示されているが、ポンプを用いて腸に直接投与することが必要となる。オピカポンは、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者の治療に特に有効であることが見出されており、腸用ゲルの必要性を大幅に遅延させ得る。したがって、好ましい実施態様は、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療における使用のための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体であって、レボドパがレボドパ腸用ゲルの形態で投与されない、オピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体に関する。より好ましくは、レボドパは、錠剤またはカプセル剤の形態である。
より好ましくは、レボドパは、重水素化されておらず、レボドパ腸用ゲルの形態でもない。
レボドパは、DDCIと共に投与される場合、生物学的利用率が高くなることが見出されている。好ましい実施態様では、オピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体とレボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体との組み合わせは、更にDDCIを含んでなる。より好ましい実施態様では、DDCIがカルビドパまたはベンセラジドである。他のより好ましい実施態様では、DDCIは、1日3~10回投与される。
DDCIの投与量は、患者のニーズに合わせて変更され得る。他のより好ましい実施態様では、投与頻度を補完するように、DDCIが、1日の合計が25~500mg(好ましくは、75~250mg)の用量で投与される。特に、カルビドパまたはベンセラジドが1日3~10回、1日の合計が25~500mg(好ましくは、75~250mg)の用量で投与される。
患者のコンプライアンスを高めるため、レボドパは、DDCIと同時に投与されることが多く、これらは、1日あたりの同じ回数で投与される。他の好ましい実施態様では、DDCIがオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体とレボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わされる場合、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体とDDCIとが、単一用量ユニットで投与される。より好ましい実施態様では、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体とDDCIとが、カプセル剤または錠剤の形態における単一用量ユニットで投与される。
レボドパ、DDCI及びその他のCOMT阻害剤(例えば、エンタカポン)とは対照的に、オピカポンは、長時間作用型のCOMT阻害剤である。好ましい実施態様では、オピカポンは、1日1回または1週間に1回(好ましくは、1日1回)投与される。
オピカポンは、レボドパと相互作用し得る。好ましい実施形態において、オピカポンは、レボドパの投与の1時間超前にまたは1時間超後に投与される。より好ましくは、オピカポンは、レボドパの最後の1日用量の1時間超前にまたは1時間超後に投与される。
オピカポンは、食事と相互作用し得る。好ましい実施形態では、オピカポンは、食事の1時間超前にまたは1時間超後に投与される。
より好ましい実施形態では、オピカポンは就寝時またはその近くで投与される。
オピカポンは、良好な忍容性を示し、治療下で発現した有害事象を含む有害事象(AE)の発生率が低いため、毒性を継続的に評価することなく、患者に対して長期にわたって投与され得る。好ましい実施形態では、治療は少なくとも10週間、好ましくは少なくとも15週間存続する。
患者集団
以下のセクションDに記載された試験分析により、定義されたとおり、臨床医がUPDRSの第36項目(「「オフ」期間は予測可能か?」)で「ノー」、又は以下のUPDRSの第37項目(「「オフ」期間は予測不能か?」)及び第38項目(「「オフ」期間は数秒以内に突然訪れるか?」)のうち少なくとも1つで「イエス」とスコア付けした場合、オピカポンは、予測不能な運動症状の変動を伴う患者の運動合併症の減少に驚くべきことに有効であることを確認している。
したがって、好ましい実施形態では、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者は、UPDRSの第36項目で「ノー」、および/またはUPDRSの第37項目若しくは第38項目のうち少なくとも1つで「イエス」とスコア付けされる者である。
好ましい実施態様では、上記予測不能な運動症状の変動をわずらう患者は、レボドパの投与タイミングと明確な相関性のない、10分未満(好ましくは、5分未満、より好ましくは、2分未満、更により好ましくは、1分未満)にわたって「オン」状態から明確な「オフ」状態への突然のおよびランダムな変化をわずらう。
当業者は、予測不能な運動症状の変動がしばしば突然にまたはランダムに発生する一方で、直ちには発生しないかもしれないことを認識している。したがって、より好ましい実施態様では、上記予測不能な運動症状の変動をわずらう患者が、レボドパの投与タイミングと明確な相関性のない、1秒~10分(好ましくは、5秒~5分、より好ましくは、10秒~2分、更により好ましくは、30秒~1分)にわたって「オン」状態から明確な「オフ」状態への突然のおよびランダムな変化をわずらう。
上記で定義したように、レボドパ療法の次回投与間際における症状の再出現や悪化は、定期的に発生しない場合には予測不能であり得る。したがって、ある実施態様では、上記予測不能な運動症状の変動をわずらう患者は、エンドドーズの運動症状の変動が予測されない場合、予測不能な運動症状の変動をわずらう。この実施態様における好ましい例は、上記患者が、前回のレボドパ投与後30分~4時間の間(好ましくは、前回のレボドパ投与後45分~3時間の間、より好ましくは、前回のレボドパ投与後1時間~2時間の間)、予測不能な運動症状の変動をわずらう。
レボドパ及びオピカポンを用いたパーキンソン病の治療は、好ましくは、ヒト、より好ましくは成人のヒト、更に好ましくは50~80歳の成人のヒトに向けられる。
ヒトにおいて治療されるパーキンソン病は、好ましくは、特発性パーキンソン病である。
症状及びそれらの治療
以下のセクションDに記載された試験分析により、オピカポンは、予測不能な運動症状の変動を伴う患者において明確なオフ時間の短縮に驚くべきことに有効であることを確認している。
好ましい実施態様では、上記治療が、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者において明確なオフ時間を減少させ、好ましくは、上記治療が明確なオフ時間を少なくとも30分/日(好ましくは、少なくとも60分/日)減少させる。本発明者らは、明確なオフ時間の上記減少が、明確なオン時間における同等の増加を伴うことを見出した。したがって、他の好ましい実施態様では、上記治療が、予測不能な運動症状の変動をわずらう患者において明確なオン時間を増加させ、好ましくは、上記治療が明確なオン時間を少なくとも30分/日(より好ましくは、少なくとも60分/日)増加させる。より好ましい実施態様では、明確なオフ時間における上記減少が、明確なオン時間における同等の増加を伴う。
オピカポンは、明確なオフ時間(典型的に50%超のエンドオブドーズの運動症状の変動を含む)を減少させるだけでなく、オピカポンは、予測不能な「オフ」期間の回数、および/または予測不能な運動症状の変動をわずらうのに消費される時間を減少し得ることが有力である。
他の好ましい実施態様では、上記治療が、予測不能な運動症状の変動をわずらうのに消費される時間を減少させる。好ましくは、上記治療が、オピカポンで治療されていない患者と比較して、予測不能な運動症状の変動をわずらうのに消費される時間を10分/日(より好ましくは、30分/日、更により好ましくは、60分/日)減少させる。更に又は代替的に、上記治療は、予測不能な「オフ」期間の数を減少させる。好ましくは、オピカポンで治療されていない患者と比較して、予測不能な「オフ」期間の回数を1日1回(より好ましくは、1日2回、更により好ましくは、1日3回)減少させる。
好ましくは、治療される予測不能な運動症状の変動は、重度の厄介なジスキネジア、重度の/予測不能な運動症状の変動、痛みを伴う「オフ」ジストニアおよび朝のアキネジアからなる群から選択される。より好ましくは、治療される予測不能な運動症状の変動は、重度の/予測不能な運動症状の変動からなる群から選択される。
上述の好ましい実施形態は、医薬の製造におけるオピカポンの使用、及びセクションBの冒頭に記載されるパーキンソン病の症状を治療する方法についても同様に適用する。
予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状を治療する方法について、上記方法は、以下のステップを以下の順序で含んでなる:
場合により、上記患者を、予測不能な運動症状の変動をわずらうと診断すること;その後、
レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせて治療上有効な量のオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体を上記患者に投与すること。
C.臨床プロトコール
臨床試験デザイン
2つの多施設二重盲検(DB)無作為化プラセボ対照試験BIPARK-I(Ferreira et al., Lancet Neurol., 2016, 15, 154-65)とBIPARK-II(Lees et al., JAMA Neurol., 2017, 74, 197-206)の結果を一緒にプールした。両臨床試験は、中等度のエンドオブドーズの運動症状の変動を伴うレボドパ治療患者に加えて、オピカポンの有効性と安全性を評価するために実施した。すべての患者は、スクリーニングの少なくとも4週間前からエンドオブドーズの悪化の兆候があり、朝のアキネジアを除く平均総覚醒オフ時間(アキネジア又は運動機能低下の状態)が少なくとも1.5時間であった。適格な患者は、ベースライン時に、コンピュータで作成されたスキーム(Cenduit社が管理)を用いて、経口カプセル化したオピカポンの25mg/日若しくは50mg/日の追加又は適合するプラセボの追加に対して、1:1:1の割合で二重盲検期にランダムに割り付けられた。二重盲検期の評価は4週間隔で行われ、二重盲検期の総期間は14~15週間となり得る。選択基準及び除外基準の完全な詳細及び試験デザインについては、Ferreira et al., Lancet Neurol., 2016, 15, 154-65及びLees et al., JAMA Neurol., 2017, 74, 197-206に記載されており、これらは参照により本明細書中に援用される。レボドパの1日用量の減少(頻回ではない)は、臨床応答に応じてベースライン後から3~4週間後までの間は許容したが、それ以降は許容しなかった。
統一化されたパーキンソン病の評価尺度
パーキンソン病患者の臨床状態を評価するために最も広く使われている臨床尺度は、統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)である(Fahn S, Elton RL, UPDRS Program Members. Unified Parkinson's disease rating scale. In Recent Developments in Parkinson's Disease, Vol.2, eds Fahn S, Marsden CD, Goldstein M. Florham Park, NJ, USA: Macmillan Healthcare Information, 1987:153-63, 293-304)。UPDRSは、以下のように取り組む:
- 第I部:精神状態、行動及び気分の評価;
- 第II部:言語、嚥下、手書き、着替え、衛生、転倒、唾液分泌、寝返り、歩行及び食物の切断を含む日常生活動作(ADL)の自己評価;
- 第III部:臨床医がスコア付けする、モニタリングした運動評価;
- 第IV部:治療の合併症
- 第V部:パーキンソン病の重症度のホーン及びヤール分類;
- 第VI部:Schwab及びEnglandのADLスケール。
合計スコアを算出するための方法、及びサブセクションを分析するための方法は、当業者に知られている。
修正版ホーン及びヤール分類
パーキンソン病の症状の進行度を表現するためにホーン及びヤールのスケールを使用する。原版(Hoehn M., Yahr M., Neurology, 1967, 17, 427-42)では、ステージ1~5を含む。修正版では、パーキンソン病の中間段階を記録することを可能にするために、1.5と2.5のステージが追加されている。
Schwab及びEnglandのADLスケール
Schwab及びEnglandの日常生活活動(ADL)スケールは、0(潜在的な機能が最も悪いことを示す)から100(障害がないことを示す)までのスケールにおける日常機能の指標である(Schwab R., England A., 1969;152-7).
統計分析
解析対象集団は、試験薬を少なくとも1回服用し、ベースライン後のオフ時間の評価を少なくとも1回実施した無作為化患者の全員を含む。本明細書に記載された事後解析では、予測不能なオン/オフ変動がある(「イエス」)パーキンソン病患者と、予測不能なオン/オフ変動がない(「ノー」)パーキンソン病患者を分析した。
主要な有効性変量は、明確なオフ時間におけるベースラインからの変化であった。副次的評価項目として、本発明者らは、明確なオン時間、並びに二重盲検期終了時に明確なオフ時間の少なくとも1時間の減少を達成した患者の割合及び/又は明確なオン時間の少なくとも1時間の増加を達成した患者の割合(「応答者」として定義される)を分析した。
人口統計学的データ、臨床データ及び治療データの記述統計を、連続変数(平均値及び標準偏差(SD))及びカテゴリー変数(カウント、割合)として提供した。
2群間比較は、適宜、フィッシャーの正確検定(カテゴリー変数)及びスチューデントのt検定(連続変数)を用いて実施した。
ベースラインからの変化は、治療群を固定効果因子とし、ベースラインのスケールスコアを共変量とするANCOVAを用いて分析した。CMH検定は、試験を因子として考慮し、OPC投与レベルとプラセボ投与の間の差異を評価するために使用した。
報告したP値は、すべて両側であり、P≦0.05が統計的に有意であると考慮した。使用したソフトウェアは、SAS 9.4であった。
D.結果
オピカポン治療
オピカポンを、国際公開第2013/089573号に記載されているとおりに合成し、国際公開第2010/114405号に記載されているとおりに25又は50mgカプセル剤に処方化した。試験治療(オピカポン又はマッチングプラセボ)を、1日1回、夕方に、レボドパ/DDCIの最後の1日用量(就寝時用量を考慮)から少なくとも1時間後に経口投与した。
被験者の安全性のために調整が必要でない限り、試験の二重盲検期間中、被験者のレボドパ/DDCIレジメンを変更することはなかった。
患者の人口統計学的データ、臨床データ、治療データを表1に詳述する。両試験を考慮すると、480人の患者が予測不能な運動症状の変動を示さなかった一方で、278人が試験中に予測不能な運動症状の変動を呈した。したがって、この分析は、試験参加者の約3分の1を考慮する。
人口統計学上、臨床上及び治療上のベースライン特性(ホーン及びヤール分類(HY)、Schwab及びEnglandのADLスケール、UPDRS 第II部、UPDRS 第III部)は、治療群間(プラセボ対オピカポン(25mg)、プラセボ対オピカポン(50mg)、両方とも個別化されプールされたデータ)と、予測不能な運動症状の変動を伴うか又は伴わない(「イエス」対「ノー」)患者とで同等であったが、以下の例外があった:a)オピカポン(50mg)と比較した場合、プラセボ群の年齢がわずかに若かった;b)予測不能な運動症状の変動を伴う患者及び伴わない患者の比較において、HY、レボドパ用量(mg)、疾患期間及び運動症状の変動期間が、わずかに統計学的に有意な差であった(表1)。ベースラインの運動合併症の存在及び重症度を比較したところ、本発明者らは、以下を除き、治療群及び運動症状の変動群の間で同等のデータを見出した:a)プラセボ群では、オピカポン(25mg)と比較して、オン時間の割合、厄介なジスキネジアを伴わない明確なオン時間がわずかに高く、オフ時間の割合が低かった;b)オピカポン(25)mg群では、予測不能な運動症状の変動を伴うか又は伴わない患者と比較して、ジスキネジアの存在、厄介なジスキネジアを伴うオン時間の割合及び厄介なジスキネジアを伴わないオン時間の割合が低い(表1)。
14~15週間の治療後、予測不能な運動症状の変動を伴う患者間では、オピカポン(25mg)及びオピカポン(50mg)の両方が明確なオフ時間の減少に効果を示した(プラセボに対してそれぞれ、-61分及び-76分の減少(それぞれp<0.01及び<0.001))(表2)。したがって、オピカポンは、予測不能な運動症状の変動を伴う治療困難な患者に対して、驚くべきことに有効である。
予測不能な運動症状の変動を伴わない患者の中で、オピカポン(50mg)のみが明確なオフ時間の有意な減少(-51分 対プラセボ、p<0.005)(表1、図1)をもたらしたが、予測不能な運動症状の変動を伴う患者に見られるレベルより低かった。
オピカポン(25mg)が、予測不能な運動症状の変動を伴う患者で統計学的に有意な改善を示し、予測不能な運動症状の変動を伴わない患者で有意な改善を示さないという事実は、特に驚くべきことである。予測不能な運動症状の変動を伴う群は、少ない(統計学的な有意性を達成させにくくする)だけでなく、これらの患者は、より高い用量が必要になると予想される、ステージがより進行した者である。したがって、オピカポン(25mg)は、予測不能な運動症状の変動を伴う患者において、オピカポン(50mg)と同等の効果があり、しかも投与量が半分であり、これは、コストを削減し、副作用を軽減し得る。
また、オピカポン(25mg)及びオピカポン(50mg)はいずれも、予測不能な運動症状の変動を伴う患者とプラセボを比較した場合、オフ時間の減少及びオン時間の増加のいずれも「応答者」の割合が有意に高かったが、予測不能な運動症状の変動を伴わない患者においては、オピカポン(50mg)のみが有意に高かった(表3)。
重要なことは、オピカポンが予測不能な運動量の変動を伴う患者において安全であったことである(表4)。ジスキネジアは、試験薬に関連する可能性のある、最も頻繁に報告される治療下で発現した有害事象(TEAE)であり、オピカポン群で最も高い発生率であった(表4)。
開示された実施形態に対する他の変形は、請求された発明を実施する当業者によって、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、理解され、達成され得る。特許請求の範囲において、「comprising」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

Claims (18)

  1. 予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療における使用のための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせる、オピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体。
  2. オピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体が、1日1回、10~100mgのオピカポンに等価(好ましくは、25~50mgのオピカポンに等価)の用量で投与される、請求項1に記載の使用のための組み合わせ。
  3. レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体が、1日3~10回、1日の合計が300~2000mgのレボドパに等価(好ましくは、500~1000mgのレボドパに等価)の用量で投与される、請求項1または2に記載の使用のための組み合わせ。
  4. ドパ脱炭酸酵素阻害剤(DDCI)を更に含んでなる、請求項1~3のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
  5. DDCIがカルビドパまたはベンセラジドである、請求項4に記載の使用のための組み合わせ。
  6. DDCIが、1日3~10回、1日の合計が25~500mg(好ましくは、75~250mg)の用量で投与される、請求項4または請求項5に記載の使用のための組み合わせ。
  7. レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体とDDCIとが、単一用量ユニットで投与される、請求項4~6に記載の使用のための組み合わせ。
  8. 前記予測不能な運動症状の変動をわずらう患者が、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体の投与タイミングと明確な相関性のない、10分未満の期間にわたって「オン」状態から「オフ」状態への突然のおよびランダムな変化をわずらう患者である、請求項1~7のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
  9. 前記「オン」状態から「オフ」状態への突然のおよびランダムな変化(オン/オフ現象)が、5秒~5分の期間にわたって生じる、請求項8に記載の使用のための組み合わせ。
  10. 治療される症状が、エンドオブドーズの運動症状の変動である、請求項1~9のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
  11. 前記治療が、明確な「オフ」時間を少なくとも30分/日(好ましくは、少なくとも60分/日)減少させる、請求項10に記載の使用のための組み合わせ。
  12. 明確な「オフ」時間における前記減少が、明確な「オン」時間における同等の増加を伴う、請求項11に記載の使用のための組み合わせ。
  13. 前記治療が、予測不能な運動症状の変動をわずらうのに消費される時間を減少させる、請求項1~9のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
  14. 予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状を治療する方法であって、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせる治療上有効な量のオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体を前記患者に投与することを含んでなる、方法。
  15. 前記患者が、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせる治療上有効な量のオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体を投与される前に、パーキンソン病と診断される、請求項14に記載の治療する方法。
  16. 予測不能な運動症状の変動をわずらう患者でのパーキンソン病の症状の治療のための医薬を製造するための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体の使用。
  17. パーキンソン病に罹患している患者での予測不能な運動症状の変動の治療のための医薬を製造するための、レボドパまたはその薬学的に許容され得る誘導体と組み合わせるオピカポンまたはその薬学的に許容され得る誘導体の使用。
  18. 前記治療が、少なくとも10週間(好ましくは、少なくとも15週間)存続する、請求項1~13に記載の使用のための組み合わせ、請求項14もしくは15に記載の治療する方法、または請求項16もしくは17に記載の使用。
JP2023523099A 2020-10-16 2021-10-14 パーキンソン病の治療のためのオピカポン及びレボドパ Pending JP2023546140A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB2016425.7A GB202016425D0 (en) 2020-10-16 2020-10-16 Treatment regimens for parkinson's disease
GB2016425.7 2020-10-16
PCT/PT2021/050036 WO2022081033A1 (en) 2020-10-16 2021-10-14 Opicapone and levodopa for the treatment of parkinson's disease

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023546140A true JP2023546140A (ja) 2023-11-01

Family

ID=73598546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023523099A Pending JP2023546140A (ja) 2020-10-16 2021-10-14 パーキンソン病の治療のためのオピカポン及びレボドパ

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20230398105A1 (ja)
EP (1) EP4228618A1 (ja)
JP (1) JP2023546140A (ja)
KR (1) KR20230088753A (ja)
CN (1) CN116490171A (ja)
AU (1) AU2021360114A1 (ja)
GB (1) GB202016425D0 (ja)
WO (1) WO2022081033A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB202212082D0 (en) * 2022-08-18 2022-10-05 Bial Portela & Ca Sa Treatment regimens for parkinson's disease

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MX2010009610A (es) 2008-03-17 2010-09-30 Bial Portela & Ca Sa Formas de cristal de 5-[3-(2,5-dicloro-4,6-dimetil-1-oxi-piridin-3 -il)-[1,2,4]oxadiazol-5-il]-3-nitrobenceno-1,2-diol.
WO2010114404A1 (en) 2009-04-01 2010-10-07 Bial - Portela & Ca., S.A. Pharmaceutical formulations comprising nitrocatechol derivatives and methods of making thereof
ES2915698T3 (es) 2009-04-01 2022-06-24 Bial Portela & Ca Sa Formulaciones farmacéuticas que comprenden derivados de nitrocatecol y métodos para preparar las mismas
JP6456143B2 (ja) 2011-12-13 2019-01-23 ノヴィファーマ,エス.アー. カテコール−o−メチル転移酵素阻害剤を調製するための中間体として有用な化学的化合物
RU2017120184A (ru) 2014-11-28 2018-12-28 БИАЛ - ПОРТЕЛА ЭНД Ка, С.А. Лекарства для замедления течения болезни паркинсона
MX2018004339A (es) 2015-10-09 2019-04-15 Teva Pharmaceuticals Int Gmbh Combinación de levodopa deuterado con carbidopa y opicapona para el tratamiento del mal de parkinson.
JP2020023540A (ja) * 2019-10-11 2020-02-13 ノヴィファーマ,エス.アー. パーキンソン病を遅延させるための医薬

Also Published As

Publication number Publication date
AU2021360114A1 (en) 2023-06-08
WO2022081033A1 (en) 2022-04-21
KR20230088753A (ko) 2023-06-20
GB202016425D0 (en) 2020-12-02
EP4228618A1 (en) 2023-08-23
US20230398105A1 (en) 2023-12-14
CN116490171A (zh) 2023-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sprenger et al. Management of motor and non-motor symptoms in Parkinson’s disease
Dupont et al. Sustained‐release Madopar HBS® compared with standard Madopar® in the long‐term treatment of de novo parkinsonian patients
US20230355560A1 (en) Medicaments for slowing parkinson's disease
JP2009500420A (ja) エスゾピクロン及びo−デスメチルベンラファキシンの組み合わせ、並びに閉経期並びに気分、不安、及び認知障害の治療方法
JP2009511618A (ja) 中度から重度のむずむず脚症候群(rls)を治療するためのプラミペキソールの使用
JP2021080286A (ja) 神経筋疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、発達疾患および/または代謝疾患の処置のための、脳由来神経栄養因子(bdnf)の誘導された発現
Ahlskog Cheaper, simpler, and better: Tips for treating seniors with Parkinson disease
CA2816595C (en) Combination therapy for the treatment of depression and other non-infectious diseases
KR20240038037A (ko) 우울증의 치료
JP2023546140A (ja) パーキンソン病の治療のためのオピカポン及びレボドパ
KR20180034442A (ko) 아캄프로세이트와 d-사이클로세린을 사용한 병용 치료
Tayarani-Binazir et al. The timing of administration, dose dependence and efficacy of dopa decarboxylase inhibitors on the reversal of motor disability produced by L-DOPA in the MPTP-treated common marmoset
US20230233496A1 (en) Levodopa fractionated dose composition and use
JP2024500754A (ja) 早期特発性パーキンソン病のための治療レジメン
Isaacson et al. Improving symptom control in early Parkinson’s disease
AU2018371628B2 (en) Benzoic acid or a salt and derivative thereof for use in preventing or treating depression
Musey et al. Medical therapies for motor symptoms in Parkinson’s Disease
WO2020189781A1 (ja) パーキンソン病治療剤
Fahn Treatment of Parkinson’s disease
WO2024039256A1 (en) Treatment regimens for parkinson's disease
Valadas et al. Medical Treatment of Parkinson’s Disease