JP2023543037A - 血管拡張剤送達のための組成物及び方法 - Google Patents

血管拡張剤送達のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

特定の実施形態において、治療有効量のイロプロストまたはその薬学的に許容される塩及びリオトロピック液晶材料を含む非経口製剤が開示される。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月25日に出願された米国仮特許出願第63/083,150号の優先権を主張し、その全内容は参照によりその全体が組み込まれる。
特定の実施形態において、本発明は、血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)を投与するための医薬組成物の分野に関する。他の実施形態は、治療方法及び本明細書に開示される組成物を製造する方法に関する。
血管の狭窄は、周囲の組織への適切な血流を妨げる深刻な状態である。1つの疾患は、肺及び心臓の右側の動脈に影響を及ぼす血圧上昇である肺高血圧症である。肺動脈高血圧症(PAH)では、肺の血管が狭くなったり、閉塞したり、損傷したりして、肺を通る血流が遅くなり、肺動脈の血圧が上昇する。これは、心臓がより激しく働き、心臓合併症がもたらされる。肺高血圧症は、経時的に悪化する可能性があり、生命を脅かす可能性がある。狭窄した血管に関連する他の疾患には、強皮症及びレイノー症候群が含まれる。
イロプロストは、狭窄した血管に関連する疾患を治療するために使用され得る血管拡張剤である。イロプロストの化学名は(E)-(3aS,4R,5R,6aS)-ヘキサヒドロ-5-ヒドロキシ-4-[(E)(3S,4RS)-3-ヒドロキシ-4-メチル-1-オクテン-6-イニル]-Δ2(1H),Δ-ペンタレン吉草酸である。ラセミイロプロストは、約50:50の比率の4R及び4Sジアステレオ異性体の混合物からなる。
イロプロストは、10mcg/mLまたは20mcg/mLのいずれかを含有する1mLの使い捨てガラスアンプル中の吸入用溶液として市販されており、噴霧送達システムによって投与される。承認されたレジメンは、覚醒時間中6~9時間毎の投与を含む。これはコンプライアンスにとって非常に不便で困難であり、患者による過少投与または過量投与をもたらし得る。
当技術分野では、頻繁な噴霧投与の問題を回避する狭窄された血管(例えば、肺動脈高血圧症)の治療を提供するための医薬組成物が必要とされている。
本発明の特定の実施形態の目的は、動脈高血圧症、肺動脈高血圧症、強皮症及びレイノー病等の疾患状態を治療するための血管拡張薬(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の特定の実施形態の目的は、長期間にわたって血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)を放出することができる、本明細書に開示される医薬組成物を含む埋込型ポンプを提供することである。
本発明の特定の実施形態の目的は、本明細書に開示される医薬組成物(例えば、埋込型ポンプ)をそれを必要とする患者に投与することを含む、血管(動脈高血圧、肺動脈高血圧、強皮症及びレイノー病)の狭窄に関連する疾患を治療する方法を提供することである。
本発明の特定の実施形態の目的は、本明細書に開示される医薬組成物及び埋込型ポンプを製造する方法を提供することである。
上記の目的及び他の目的は、特定の実施形態が、血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)及び薬学的に許容される賦形剤(例えば、リオトロピック液晶材料等の脂質材料)を含む医薬組成物に関する、本発明によって達成され得る。代替的な実施形態において、医薬組成物は埋込み型ポンプに含まれる。
特定の実施形態において、本発明は、高血圧(例えば、肺高血圧)等の血管拡張療法を必要とする疾患の治療のための医薬の調製における血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)の使用に関する。.特定の実施形態において、医薬は埋込み型ポンプに含まれる。
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、およ「the」は、文脈が明確に別途指示しない限り、複数形の言及を含む。したがって、例えば、「血管拡張剤」への言及は、単一の血管拡張剤ならびに2つ以上の異なる血管拡張剤の混合物を含み;「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤ならびに2つ以上の異なる賦形剤の混合物等を含む。
本明細書で使用される場合、測定された量または時間に関連して、「約」という用語は、測定を行い、測定の目的に見合ったレベルの注意を払う際に当業者によって予想されるように、その測定された量または時間の通常の変動を指す。特定の実施形態において、「約」という用語は、「約10」が9~11を含むか、または「約1時間」が54分~66分を含むように、列挙された数±10%を含む。
本明細書で使用する場合、「治療上有効」及び「有効量」という用語は、所望の治療結果をもたらすのに必要な活性剤の量またはそれが投与される速度を指す。
「~の治療」及び「治療すること」という用語は、状態の重症度を低下させることを意図した活性剤の投与を含む。
「~の予防」及び「予防すること」という用語は、活性剤の予防的投与による症状の発症の回避を含む。
「非経口」という用語は、静脈内、吸入、動脈内、心臓内、脊髄内、骨内、関節内、滑液嚢内、皮内、皮下または筋肉内等の経路による注射、埋込みまたは浸潤による投与を意味する。
「注射」という用語は、皮膚を通してまたはヒトもしくは動物の組織内への別個の部位への投与を意味する。
「埋込み」という用語は、装置及び/または医薬組成物を皮膚、組織、筋肉、腱、関節、またはヒトまたは動物の他の身体部分に埋込むことを意味する。特定の実施形態において、この用語は、装置及び/または医薬組成物が体内に入れられ、皮膚がその上で閉じられる外科的処置を指す。
「水性製剤」という用語は、脂質材料を含まない水性製剤または組成物を指す。
製剤及び組成物という用語は互換的に使用される。
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別様が示されない限り、単に、範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す速記方法としての役割を果たすことが意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書中に提示されるありとあらゆる例、または例示の言葉(例えば、「such as(例えば)」等)の使用は、特定の実施形態を理解しやすくすることを意図するに過ぎず、範囲に制限をかけることはない。本明細書のいかなる言葉も、本開示の材料及び方法の実施にとって必須として特許請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
5760ng/kgの薬物動態学的(PK)試験で24時間までの水性製剤または水性脂質ベース製剤の単回持続静脈内注入後のメスイヌにおける注入開始後の時間に対するイロプロストの平均(SD)血漿中濃度(pg/mL)のグラフの図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までのイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までのイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までのイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までのイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までのイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までの脂質ベースイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までの脂質ベースイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までの脂質ベースイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までの脂質ベースイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 5760ng/kgの薬物動態(PK)試験で24時間までの脂質ベースイロプロスト水性製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排除率を推定するための時間及び線形回帰に対する対数変換濃度値の個々のPKプロファイルのグラフ図である。 調製例のブランク水性脂質混合物の光学顕微鏡像である。 製造例の光学顕微鏡像である。 水性脂質製剤及び水性脂質分散液中のイロプロストで処理した際の単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを示す棒グラフである。 イロプロストトロメタモール溶液で処理した際の単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを示す棒グラフである。 イロプロストトロメタモール製剤を用いた水性脂質製剤中のイロプロストで処理した際の単hPASMC中の細胞内cAMPレベルを示す折れ線グラフである。
特定の実施形態において、本発明は、関連する疾患状態の治療を容易にするために(例えば、埋込型ポンプによって)投与することができる血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物に関する。
特定の実施形態において、医薬組成物は、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩及び脂質材料(例えば、リオトロピック液晶材料)を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は脂質水溶液である。特定の実施形態において、リオトロピック液晶材料は、極性及び非極性ナノドメインの両方を含む。他の実施形態において、材料は、ナノ構造化非ラメラ液晶相を含む。代替的な実施形態において、材料は、逆ナノ構造化液晶相を含む。特定の実施形態において、材料は、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料と、前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料内に埋め込まれた液相とを含み、前記液相は、疎水性に富む相及び極性溶媒に富む相からなる群から選択される。
特定の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも3日間、少なくとも7日間、少なくとも10日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、少なくとも30日間、少なくとも45日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも100日間、少なくとも120日間、少なくとも150日間、少なくとも180日間、少なくとも200日間、少なくとも210日間、少なくとも240日間、少なくとも270日間、少なくとも300日間、または少なくとも1年間、活性剤を送達することができる埋込型ポンプに含まれる。
特定の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、約3日間、約7日間、約10日間、約14日間、約21日間、約28日間、約30日間、約45日間、約60日間、約90日間、約100日間、約120日間、約150日間、約180日間、約200日間、約210日間、約240日間、約270日間、約300日間または約1年間、活性剤を送達することができる埋込型ポンプに含まれる。
特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、約3日間~約400日間、約7日間~約200日間、または約30日間~約180日間、活性剤を送達することができる埋込型ポンプに含まれる。
特定の実施形態では、血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)の製剤(例えば、リオトロピック液晶製剤等の脂質製剤)は薬剤の半減期を延長する。これは、投与の頻度を減少させ、患者のコンプライアンスを改善し得るより長い作用持続時間を提供する。これは、間欠投与またはパルス投与を提供する埋込型ポンプで有益であり得る。そのような実施形態において、パルスを分散させることができ、再充填の間に長時間を設けることができる。
他の実施形態において、本明細書に開示される製剤は、薬剤の効力を増加させる。例えば、これは、プロスタグランジン受容体に対するイロプロストまたはその薬学的に許容される塩の効力を増大させ得る。これは、最小有効用量を低下させ、投与される薬剤を減少させ、及び/または投与頻度を減少させ得る。
いくつかの実施形態において、本明細書で使用される製剤は、約6~約10、約7~約9または約7.5~8.5のpHを有し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、約0.8~約1.2g/mL、約0.9~約1.1g/mLまたは約1g/mLの密度を有し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、約0.1nm~約10nm、約0.5nm~約5nm約1nm~約3nm、約1.25nm~約2.75nm、約1.5nm~約2.5nm、または約1.75nm~約2.25nmの薬剤の粒径分布(D90)を有し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される製剤は、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩を約1000ng/kg~約10,000ng/kg、約2000ng/kg~約8000ng/kg、約5000ng/kg~約6500ng/kg、約5250ng/kg~約6250ng/kg、約5500ng/kg~約6000ng/kgまたは約5700ng/kg~約5800ng/kgの1日量で患者に提供する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、毎日、1日2回、1日3回、1日4回、1日6回、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回または任意の他(oyjer)の適切な投与(disong)レジメンで投与される。他の実施形態において、投与は、約30分~約7日間、約1時間~約3日間、約2時間~約2日間、または約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間または約24時間の期間にわたって連続的(例えば、静脈内注入によって)である。
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される製剤は、同等の水性製剤の投与と比較した場合により高いイロプロストの最大血漿濃度(Cmax)を提供する。いくつかの実施形態において、本製剤によって提供されるCmaxは、同等の水性製剤よりも最大約100%高く、最大約90%高く、最大約80%高く、最大約75%高く、最大約65%高く、最大約50%高く、最大約40%高く、最大約25%高く、最大約15%高く、最大約10%高く、または最大約5%高い。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、同等の水性製剤と比較して減少するイロプロストの半減期を提供する。特定の実施形態において、減少は、水性製剤と比較して、約75%以下、約50%以下、約35%以下、約25%以下、約10%以下または約5%以下である。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、水性製剤と比較した場合に増加するイロプロストの総クリアランスを提供する。特定の実施形態において、本製剤によって提供される総クリアランスは、同等の水性製剤よりも最大約100%高く、最大約90%高く、最大約80%高く、最大約75%高く、最大約65%高く、最大約50%高く、最大約40%高く、最大約25%高く、最大約15%高く、最大約10%高く、または最大約5%高い。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、同等の水性製剤と比較して増加する相対平均血漿曝露(AUC0-48)を有する。特定の実施形態において、本製剤によって提供される(AUC0-48)は、同等の水性製剤よりも最大約100%高く、最大約90%高く、最大約80%高く、最大約75%高く、最大約65%高く、最大約50%高く、最大約40%高く、最大約25%高く、最大約15%高く、最大約10%高く、または最大約5%高い。
製剤は、任意の状態を治療して肺動脈高血圧または高血圧等の血管拡張療法またはイロプロスト療法を提供するために使用され得る。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約1950nMのイロプロスト濃度で、約10nM~約40nM、または約20nM~約30nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約650nMのイロプロスト濃度で、約2nM~約15nM、または約4nM~約12nMの単離されたhPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約195nMのイロプロスト濃度で、約2nM~約15nM、または約4nM~約12nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約65nMのイロプロスト濃度で約2nM~約15nM、または約4nM~約12nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される製剤は、水性製剤イロプロストと比較して、ヒトPASMC中のcAMPの増加を提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約2310nMのイロプロスト濃度で、約5nM~約30nM、または約10nM~約20nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約770nMのイロプロスト濃度で、約2nM~約20nM、または約5nM~約15nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約231nMのイロプロスト濃度で、約2nM~約12nM、または約5nM~約10nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約77nMのイロプロスト濃度で、約2nM~約12nM、または約5nM~約10nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
特定の実施形態において、本発明のイロプロスト脂質製剤は、約1000nM~約3000nM、約1500nM~約2500nM、約1900nM~約2400nM、または約1950nMまたは約2310nMのイロプロスト濃度で、少なくとも約15nM、少なくとも約20nM、約15nM~約50nM、約20nM~約30nM、または約22nM~約28nMの単離hPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する。
埋込型ポンプ
特定の実施形態において、本明細書に開示される組成物は、埋込型ポンプに含まれ得る。ポンプは、薬剤の持続放出またはパルス放出を提供し得る。パルスは、例えば、約2時間毎、約4時間毎、約6時間毎、約8時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約48時間毎、約72時間毎、または約168時間毎であってもよい。
埋め込み型ポンプは、腹部、頸部領域(例えば、鎖骨の下)、臀部、大腿部または上腕等の任意の適切な身体空間に埋め込み得る。一実施形態において、組成物はポンプから周囲組織に放出され、薬剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)はその後循環系に吸収される。他の実施形態において、カテーテルは、組成物を装置(例えば、腹部または鎖骨の下に埋め込まれる)から循環系(例えば、鎖骨下静脈または頸静脈などの静脈系)に直接送達する。
一実施形態において、ポンプは、患者に投与するための本明細書に開示される医薬組成物を含む軽量で不活性なハウジングと、推進剤または機械的ばね等の圧力源を含む密閉されたガス不透過性の可変容積チャンバとを含む埋込型注入装置の形態である。可変容積チャンバは、剛性壁の拡張可能なベローズ構造であっても、または非伸縮性の可撓性バッグの形態であってもよく、入口ポートを妨げないようにハウジングに取り付けられる。可変容積チャンバがハウジングに取り付けられる場所に隣接して、再充填流体流路が設けられてもよい。組成物は、ハウジング内の注入液の体積に対する可変容積チャンバの拡張に応答して、カテーテルを介して装置から送達される。注入液がカテーテル内に直接安全に導入され、制御された圧力駆動送達に優先することを可能にする別個のボーラス注入ポートが設けられる。軽量ハウジングは、一体的に形成された針止め部及び縫合糸締結ループを含むことができる。
他の実施形態において、装置は、内壁を含み、内壁によって少なくとも部分的に画定された内部領域を有し、内部領域の少なくとも一部が、患者に送達するための本明細書に開示される医薬組成物を保存するように適合された医薬組成物リザーバを画定するハウジング;外壁を有する閉鎖可変容積チャンバであって、可変容積チャンバがハウジングの内部領域内に配置され、可変容積チャンバの外壁がハウジングの内壁から離間され、可変容積チャンバがハウジングの内壁の内部から内部領域内で支持される閉鎖可変容積チャンバ;前記可変容積チャンバ内に含まれる圧力源;可変容積チャンバが内部領域内で支持されるハウジングの内部を通って注入液を注入液リザーバに運ぶことによって注入液リザーバを再充填するように適合された医薬組成物再充填流体流路;及び注入液リザーバからの注入液をハウジング外、例えば循環系に直接送達するように適合された出口流体流路を含む埋込型注入装置の形態である。
一実施形態において、埋込型ポンプは、微生物剤用のフィルタを含む。フィルタは、例えばプラスチック、セラミック、ガラスまたは繊維等の材料を含むことができる。特定の実施形態において、フィルタはプラスチックを含み、ポリフッ化ビニリデンを含まない。他の実施形態において、フィルタはプラスチックを含まない。
本明細書に開示される装置、システム(装置/医薬組成物の組合せ)及び方法における使用に適合させることができる例示的な注入ポンプは、米国特許出願公開第2003/0208184号;米国特許出願公開第2014/0228765号;米国特許出願公開第2014/0194851号;米国特許出願公開第2013/0023857号;米国特許第3,840,009号;米国特許第5,167,633号;米国特許第5,514103号;米国特許第3,951,147号;米国特許第5,045,064号;米国特許第5,395,324号;米国特許第5,769,823号;米国特許第5,575,770号;米国特許第10,173,004号;米国特許第10,010670号;米国特許第9,968,734号;米国特許第9,700,669号、米国特許第9,180,282号;米国特許第9,125,982号;米国特許第8,551,044号;米国特許第8,545,477号及び米国特許第8,273,058号に開示されており、これらの開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
代替的な実施形態
特定の実施形態において、医薬製剤は、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩;キャリア;別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料を含む粒子または材料;及び前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料内に埋め込まれた液相の1つ以上のポケットまたは液滴を含み、前記液相は、油を豊富に含む液相及び極性溶媒を豊富に含む液相からなる群から選択される。
特定の実施形態において、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料は、逆相非ラメラ液晶材料である。
特定の実施形態において、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料は、逆六方相材料、逆双連続キュービック相材料、逆離散キュービック相材料、または逆中間相材料を含む。
特定の実施形態において、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料は重合される。
特定の実施形態において、医薬製剤は、前記粒子または材料の外側に安定化層をさらに含む。特定の実施形態において、安定化層は、荷電部分、ポリマー、及び界面活性剤からなる群から選択される。
特定の実施形態において、粒子または材料は、血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)を含むコーティングをさらに含む。
特定の実施形態において、液相は油であり、前記油は、安息香酸ベンジル、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール、リナロール、ならびにバジル、ベイ、ボアドローズ(ローズウッド)、ニンジン種子、クローブバッド、ユーカリ、ショウガ、グレープフルーツ、ヒソップ、レモン、ペルーバルサム、オオヨモギ、ミルラガム、ビターオレンジ、オレガノ、パルマローザ、パチョリ、ペパーミント、プチグレン、ローズマリー、サンタルウッド油、スペアミント、ツジャ(シダーリーフ)、タイム、バニラ、及びイランイラン(カナンガ)の精油からなる群から選択される。
特定の実施形態において、液相は極性溶媒であり、前記極性溶媒は、水、グリセロール、及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選択される。
特定の実施形態において、血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)は、液相または別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料に溶解または分散される。
特定の実施形態において、1つ以上のポケットまたは液滴は、50nm以上の直径を有する。
特定の実施形態において、液相は、油及び極性溶媒の少なくとも1つを含む。
特定の実施形態において、液相は、疎水性物質に富む相または極性溶媒に富む相である。
特定の実施形態において、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料は、逆双連続キュービック相材料から本質的になる。
特定の実施形態において、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料は、逆離散キュービック相材料を含むか、これから本質的になる。
特定の実施形態において、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料は、水不溶性脂質または界面活性剤を含む。
さらなる代替実施形態
特定の実施形態において、医薬製剤は、血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)、及び
a)i)少なくとも1つのナノ構造化液相またはその脱水変異体、ii)少なくとも1つのナノ構造化液晶相またはその脱水変異体、またはiii)(1)少なくとも1つのナノ構造化液相またはその脱水変異体と(2)少なくとも1つのナノ構造化液晶相またはその脱水変異体との組合せ、及びb)非ラメラドメインを含む外部コーティングを含む被覆粒子を含み、前記イロプロストまたはその薬学的に許容される塩は、a)、b)またはその組合せにある。
特定の実施形態において、ナノ構造化液相材料は、ナノ構造化L1相材料、ナノ構造化L2相材料、ナノ構造化マイクロエマルジョン、またはナノ構造化L3相材料を含む。
特定の実施形態において、ナノ構造化液相材料は、ナノ構造化正または逆キュービック材料、ナノ構造化正または逆六方相材料、ナノ構造化正または逆中間相材料、またはナノ構造化ラメラ相材料を含む。
特定の実施形態では、ナノ構造化液相材料は、極性溶媒及び界面活性剤または脂質を含む。
特定の実施形態では、ナノ構造化液相材料は、極性溶媒、界面活性剤または脂質、及び両親媒性物質または疎水性物質を含む。
特定の実施形態において、ナノ構造化液相材料はブロックコポリマーを含む。
特定の実施形態において、ナノ構造化液相材料はブロックコポリマー及び溶媒を含む。
特定の実施形態において、ナノ構造化液相材料は、極性溶媒及び界面活性剤を含む。
特定の実施形態において、ナノ構造化液相材料は、極性溶媒、界面活性剤、及び両親媒性物質または疎水性物質を含む。
特定の実施形態において、内部コアは、前記マトリクス内に配置された血管拡張剤(例えば、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)を含む。
特定の実施形態において、内部コアは逆キュービック相材料を含む。
特定の実施形態において、非ラメラドメインは非晶質である。
特定の実施形態において、非ラメラドメインは、ポリ乳酸グリコール酸等のポリマーである。
特定の実施形態において、非ラメラドメインは、トレハロース等の糖を含む。
特定の実施形態において、外部コーティングは、半結晶性非ラメラ材料を含む。
特定の実施形態において、外部コーティングは、少なくとも2%の非ラメラドメイン、少なくとも10%の非ラメラドメイン、または少なくとも50%の非ラメラドメインを含む。
特定の実施形態において、外部コーティングは血管拡張剤(イロプロストまたはその薬学的に許容される塩)を含む。
活性剤
本明細書中に開示される医薬組成物及びインプラントは、イロプロストまたはその薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩としては、無機酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等;有機酸塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩等;スルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等;アミノ酸塩、例えばアルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等;金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等;アルカリ土類金属、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等;有機アミン塩、例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トロメタミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩等が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、イロプロストはイロプロスト塩基である。
本発明で利用することができる(単独でまたはイロプロストと組み合わせて)他の血管拡張剤としては、α-アドレナリン作動性受容体拮抗薬(α-遮断薬)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、β2-アドレナリン作動性受容体アゴニスト(β2-アゴニスト)、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、中枢作用性交感神経遮断薬、直接作用性血管拡張剤、エンドセリン受容体拮抗薬、神経節遮断薬、ニトロ拡張薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、カリウムチャネル開口薬、レニン阻害剤またはその組合せが挙げられる。
特定の剤としては、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、トリマゾシン、フェントラミン、フェノキシベンザミン、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ノルエピネフリン、ドーパミン、ドブタミン、イソプロテレノール、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシン、α-メチルドーパ、ヒドララジン、ボセンタン、二ケイ酸トリメトファン、一硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、四硝酸エリスリトール、四硝酸ペンタエリスリトール、ニトロプルシドナトリウム、ミルリノン、イナムリノン、シロスタゾール、シルデナフィル、タダラフィル、ミノキシジル、アリスキレン、その薬学的に許容される塩及びその混合物が挙げられる。
薬学的に許容される賦形剤
本発明による医薬組成物は、非経口投与に適切な1つ以上の薬学的に許容される担体及び賦形剤を含み得る。可能な薬学的に許容される担体及び賦形剤の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(第6版2009刊行)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。非経口組成物に適した担体及び賦形剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、希釈剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、親水性ポリマー、追加の吸収または透過性増強剤、保存剤、浸透圧剤、等張剤、pH調整剤、溶媒、共溶媒、粘性剤、ゲル化剤、懸濁化剤またはその組み合わせが挙げられる。
本明細書に開示される製剤に適した界面活性剤としては、ポリソルベート80NF、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等、及びその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
埋込型製剤
特定の実施形態では、医薬組成物は、長期間にわたって活性剤の投与を提供することができる植込型ポンプ、植込型デポーまたは同様の植込型装置で使用される。そのような実施形態では、適切な量の活性薬剤をインプラントに実用的なサイズにするために、濃縮製剤を有することが必要な場合がある。
特定のイロプロスト製剤において、イロプロストは、約5mg/mL~約50mg/mL、約6mg/mL~約40mg/mL、約7mg/mL~約40mg/mL、約8mg/mL~約30mg/mL、約10mg/mL~約20mg/mL、約5mg/mL~約15mg/mLまたは約15mg/mL~約25mg/mLの濃度である。他の実施形態において、濃度は、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mLである。
特定の実施形態において、埋込みのための装置は、約5mL~約30mL、約10mL~約20mLまたは約15mL~約25mLを含むことができる。他の実施形態において、埋込みのための装置は、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約40mLまたは約50mLを含むことができる。
特定の実施形態において、アルコール(例えば、ベンジルアルコールまたはエチルアルコール)、ポリエチレングリコールまたはジメチルスルホキシド(DMSO)等の可溶化剤を含むことが必要な場合がある。
米国特許出願公開第2003/0022242号及び第2003/0108743号の開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
脂質混合物の前処理
いくつかの実施形態において、本開示の脂質混合物は、以下の方法にしたがって調製し得る。脂質混合物を調製するために、最初にキュービック相を調製する。いくつかの実施形態において、キュービック相は、以下の成分:ビタミンE、リン脂質及び/またはレシチンの1つ以上を混合することによって調製される。ビタミンEは、D,L-α-トコフェロール等のトコフェロールであり得る。リン脂質は、ダイズ、ナタネ(キャノーラ)、卵またはヒマワリに由来し得る。レシチンは、天然に存在するレシチン画分及び/または水素化レシチン画分であり得る。特定の実施形態において、リン脂質及び/またはレシチンは、Phospolipon(登録商標)、例えば、Phospholipon 90G、またはPhospholipon 85G、LIPOID S100またはLIPOID E80であり得る。いくつかの実施形態において、リン脂質は、LIPOID(登録商標)、例えばLIPOID S100またはLIPOID E80由来であり得る。いくつかの実施形態において、リン脂質及び/またはレシチンは、以下の成分:ホスファチジルコリン(PC)、リゾホスファチジルコリン(LPC)及びホスファチジルエタノールアミン(PE)の1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、リン脂質及び/またはレシチンは、約80~85%のホスファチジルコリン(PC)+リゾホスファチジルコリン(LPC)、約7~約9.5%のホスファチジルエタノールアミン(PE)、及び約2~約3wt%のスフィンゴミエリン(SPM)を含み得る。いくつかの実施形態において、リン脂質及び/またはレシチンは、95%超のホスファチジルコリン(PC)を含み得る。いくつかの実施形態において、ビタミンE90(例えば、D,L-α-トコフェロール)の、リン脂質及びレシチンの一方または両方に対する比率は、約1:5~約5:1、約1:4~約4:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1または約1:1であり得る。
混合物を加熱して、リン脂質及びレシチンの一方または両方を約60℃~約250℃、または約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、もしくは約120℃から約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、もしくは約200℃のいずれかまでの温度で完全に溶解させてもよい。特定の実施形態において、温度は、燃焼することなく脂質溶解を促進するように設定されるべきである。
特定の実施形態において、デオキシコール酸は、調製前、調製後または調製中に上記混合物に添加され得る。一実施形態において、デオキシコール酸を水に溶解し、上記混合物に添加する。デオキシコール酸は、デオキシコール酸ナトリウムであってもよい。得られた組成物を混合して、組成物を例えば約1分~約30分均質化することができる。均質化後、混合物を、例えば、約15分~約24時間、または約1時間、2時間、4時間、6時間、8時間もしくは10時間のいずれかから、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間もしくは約24時間のいずれかまで水和させて、キュービック相を形成してもよい。
キュービック相の形成後、デオキシコール酸の別個の混合物を組み込むことができる。いくつかの実施形態において、デオキシコール酸を水に溶解し、キュービック相と組み込み、ラメラ相が観察されなくなるまで(例えば、約30分~約8時間)混合する。ラメラ相が観察されなくなったら、グリシン及び/または水を添加してもよい。最終混合物をマイクロ流動化してナノ分散液を形成することができる。
ここで、以下の実施例を参照して、本開示の特定の実施形態を実証する。これらの実施例は、本開示を例示するためにのみ開示されており、本開示の範囲を限定するために決して解釈されるべきではないことを理解されたい。
薬物動態(PK)プロファイル試験
ビーグル犬における単回静脈内(IV)投与後の2つの異なる製剤、(1)水性イロプロスト及び(2)水性脂質イロプロストにおけるイロプロストの薬物動態(PK)プロファイルを評価及び比較するための試験を行った。
試験設計
10匹のメスビーグル犬を、標準的な、重量によるランダム化手順を用いて、2つの処置群のうちの一方に割り当てた。水性製剤または水性脂質ベース製剤として製剤化されたイロプロストを、メスビーグル犬の2つの群(1群あたり5匹の動物)、水性製剤を投与した群1、及び水性脂質ベース製剤を投与した群2に単回IV注入によって投与した。各製剤を、5760ng/kgの用量レベル及び3.6mL/kgの用量体積で24時間までの単回持続静脈内注入によって、外科的に埋込まれたカテーテルを介して大腿静脈内に動物に投与した、表1参照。
1日目に、投与前(0時間)ならびに注入開始後23.5及び23.83時間(24時間注入終了直前のちょうど30及び10分)に、第1群及び第2群について5匹の動物/群から頸静脈または他の適切な静脈を介して血液試料(2.5mL)を採取し、さらに、注入後2、5、10、15、25、45分及び1、1.25、1.5、2、2.5、3時間で血漿試料を採取し、これを表2に示す。KEDTAを抗凝固剤として使用した。全血を冷蔵(2~8℃)条件下で遠心分離して血漿を調製した。血漿を2つのアリコートに入れた(一次アリコートは600μLの標的体積を含有し;二次アリコートは、残留した残留血漿を含んでいた)。試料をドライアイス上で急速凍結し、-60~-90℃を維持するように設定した冷凍庫に移した。一次アリコートをドライアイス上で分析のためにMBLに輸送し、残りの試料(二次アリコート)を試験施設で保持した。
生物分析
血漿試料を、液液抽出に基づく有効な分析方法を使用して色プロストについて分析し、続いてLC-MS/MS分析を行った。生物分析アッセイは、200μLの試料体積に基づいて、血漿について20.0~20,000pg/mL(LLOQ:20.0pg/mL)の線形範囲を提供した。血漿濃度を3つの有効数字で報告し、Watson(登録商標)LIMSからエクスポートした。
薬物動態分析
Phoenix(商標)WinNonlinソフトウェア(バージョン8.1、Pharsight Corp.、Mountain View、CA)を使用して、非コンパートメント法を使用してイロプロストの血漿PKパラメータを計算した。
群1及び2の個々の動物のPK分析を、名目上の時点でのイロプロスト血漿濃度データを使用して行った。各時点の平均血漿濃度を、Watson(登録商標)LIMS(バージョン7.4.2)を使用して計算した。時間0で投与する前の定量限界(BLQ)未満のデータについては、平均計算のために0の値を割り当てた。注目すべきことに、一試料(27時間の時点で動物2501)はMBLによって受け取られず、一試料(25.5時間の時点で動物2504)は、試験に十分な量ではないため、分析のために処理されなかった。したがって、これら2つの時点はPK計算から省いた。
以下のパラメータを導出した:最大濃度(Cmax)、最大濃度時間(Tmax)、最終半減期(t1/2)、総クリアランス(CL)、見かけの分布容積(Vd)、ならびに線形台形則を使用して、時間0~48時間(AUC0-48)、最後の定量可能な濃度(AUClast)及び無限大(AUC0-∞)に対する血漿濃度対時間曲線下面積。少数の場合(動物1502、2501及び2503)では、t1/2、AUC0-∞、CL及びVdは、測定可能なデータ点の欠如のために推定されなかったか、または最後の定量可能な濃度はCmaxである。AUC0-∞の信頼性を、個々の動物についてのAUC0-∞に関連するAUC0-48のカバレッジ、及びPhoenix(商標)WinNonlinソフトウェアによる個々の濃度-時間プロファイルの末端対数線形相の良好な回帰直線に適合するために使用される試料数によって評価した。水性製剤と水性脂質ベース製剤との間のイロプロストの相対的バイオアベイラビリティは、平均AUC0-48及び平均Cmaxの比率を比較することによって評価された。
平均値、標準偏差、%CV、最小値、中央値、最大値、及び幾何平均値を、適宜Phoenix(商標)WinNonlinソフトウェア及び/またはExcel(Microsoft Office 365バージョン1908)によって得た。データ及び記述統計(例えば、平均、SD及び%CV)は、適宜表及び図に表される。t1/2、Cmax、CL、Vd及びAUCは小数点なしまたは有効数字3桁で表示し、Tmaxは指定された有効数字で表示した。
このレポートに示されている数値データは、コンピュータ生成されたものである。端数処理により、このレポートに提示されている個々のデータからの導出値の再計算は、場合によっては、小さな変動をもたらすことがある。
結果
分析結果は、いずれの投与前の血漿試料においても検出可能なレベルのイロプロストが存在しないことを示した(表3及び表4)。
1日目に5760ng/kgの水性製剤または水性脂質ベース製剤の単回持続静脈内注入後の提案されたサンプリング時間でのイロプロストの個々及び平均の血漿中濃度を表3及び表4に示す。平均血漿イロプロスト濃度対提案されたサンプリング時間プロットを(Error!Reference source not found)に示す。
非コンパートメント法を使用して導出した平均イロプロスト血漿PKパラメータの要約を表5に示す。血漿中の個々の動物のPKパラメータを(Error!Reference source not found~(Error!Reference source not found)に示す。血漿中のイロプロストのAUC0-∞の信頼性を、表8のAUC0-∞に対するAUC0-48の適用範囲によって評価し、水性製剤または水性脂質ベース製剤のIV注入後のイヌ血漿中の排出速度を推定するための対数変換濃度値対見かけ上の試料採取時間及び線形回帰の個々のPKプロファイルを、それぞれError!Reference source not found~6及び図7~11に示す。
(薬物動態)イヌ血漿中のイロプロストの薬物動態
水性製剤及び水性脂質ベース製剤として製剤化されたイロプロストを、最大24時間にわたってIV注入によってイヌに投与した。最初の注入後、血漿中Cmaxは、群1(水性製剤)については24.03時間(中央値Tmax)で、群2(水性脂質ベース製剤)については24.08時間で観察された。平均血漿曝露(AUC0-48)は、群1では4286時間*pg/mL、群2では5359時間*pg/mLであった。平均Cmaxは、群1では2602pg/mL、群2では3969pg/mLであった。血漿中推定排出半減期(t1/2)は、群1では0.0303~0.797時間、群2では0.0289~0.437時間の範囲であった。総クリアランス(CL)は、群1では292~184111mL/時間/kg、群2では7708~292462mL/時間/kgの範囲であった。見かけ上の分布容積(Vd)は、群1では335~8038mL/kg、群2では322~89971mL/kgの範囲であった。第2群の第1群に対する相対平均血漿曝露(AUC0-48)及び平均Cmaxは、それぞれ125%及び153%であり(表5)、これは水性製剤と比較して水性脂質ベース製剤中で約25%高い曝露(AUC0-48)及び53%高いCmaxによって特徴付けられる薬物動態の改善を示す。動物の数が少ないこと、または一部の動物について定量化可能なデータポイントが不十分であることが、大きな変動(AUC0-48の%CV及び2群で191.4%から218.8%の範囲のCmax)を引き起こし、結果に影響を与えたことに留意するべきである。
動物に対するイロプロストのAUC0-48対AUC0-∞の個々の比率は、動物2502(0.741)を除いて、0.960から1.00の範囲であった(表1)。測定可能なデータポイントがないこと、または最後の定量可能な濃度がCmaxであることにより、いくつかの場合(動物1502、2501及び2503)を除いて、2~3の時点を使用して、群1及び群2の動物の終末排出相の線形回帰に適合させた(Error!Reference source not found~6及び図7~11)。
概要
メスイヌにおいてイロプロストを24時間までIV注入した後、群1(水性製剤)については24.03時間(Tmaxの中央値)及び群2(水性脂質ベース製剤)については24.08時間でイロプロストのピークまたはピーク付近の濃度が達成された。平均血漿曝露(AUC0-48)は、群1では4286時間*pg/mL、群2では5359時間*pg/mLであった。平均Cmaxは、群1では2602pg/mL、群2では3969pg/mLであった。血漿中の推定排出半減期(t1/2)は、群1では0.0303~0.797時間、群2では0.0289~0.437時間の範囲であった。総クリアランス(CL)は、群1では292~184111mL/時間/kg、群2では7708~292462mL/時間/kgの範囲であり、見かけの分布容積(Vd)は、群1では335~8038mL/kg、群2では322~89971mL/kgの範囲であった。群2の群1に対する相対平均血漿曝露(AUC0~48)及び平均Cmaxは、それぞれ125%及び153%であった。結果は、水性製剤と比較して、水性脂質ベース製剤における約25%高い曝露(AUC0-48)及び53%高いCmaxによって特徴付けられる改善された薬物動態を示した。
ブランク水性脂質混合物の調製
ブランクの水性脂質混合物を調製するために、最初にキュービック相を調製した。キュービック相を調製するために、D,L-α-トコフェロール47.24g及びホスホリポン90G34.25gを混合して脂質混合物を形成した。90℃に設定したホットプレート上で脂質混合物を加熱して、Phospholipon 90Gを完全に溶解させた。デオキシコール酸ナトリウム2.68gを注射用滅菌水27.42gに溶解し、脂質混合物とした。Phospholin 90Gが脂質混合物に完全に溶解したら、デオキシコール酸ナトリウム注射液を脂質混合物に添加し、激しく混合して立方ゲルを形成した。次いで、立方ゲルを顕微鏡下で偏光下で観察し、画像を記録した。ラメラ相が観察される場合、ラメラ相の大部分が消失するまですり鉢-乳棒を使用して均質化または混練を継続する。最終的な立方ゲルの画像を、水和開始時間前及び必要に応じて水和完了後に記録した。調整は記録されるべきである。次いで、ビーカーをパラフィルムで覆い、約18時間一晩水和した。
キュービック相を調製した後、ブランクの水性脂質分散液を調製した。4Lのガラスビーカーに、WFI水1432.0g及びデオキシコール酸ナトリウム4.0gを添加した。ビーカーをSilversonホモジナイザー(L5M-A)下に正方形スロット高せん断スクリーンを使用して移し、攪拌速度を5,000rpmに設定した。デオキシコール酸ナトリウムが溶解するまで、溶液を約4~5分混合した。
溶解したら、85.4gのキュービック相を5,000rpmで混合しながら4Lガラスビーカーにゆっくりと添加した。この添加には約14分を要した。キュービック相を添加した後、混合速度を6,700rpmに上げ、溶液を最小5時間混合した。2時間混合した後、デオキシコール酸ナトリウム2.0gを溶液に添加した。偏光下でラメラ相が観察されなくなるまで溶液を混合した。混合が完了したら、グリシン32.2gをビーカーに添加し、溶液を30分間混合した。この混合工程後、分散液の正味重量を測定したところ、1,439gであった。
ビーカーに添加するWFI水の量は、以下の式にしたがって計算した:
水の量=ビーカーに添加された製剤成分の合計(立方ゲルの量+DI水の量+デオキシコール酸ナトリウムの量+グリシンの量)-分散液の量
水の量=(85.4g+1432.0g+6.0g+32.2g)-1,439g=116.6g
かくして、WFI水116.6gをビーカーに添加し、分散液を6,700rpmで5分間撹拌した。5分後、泡が観察されたので、溶液をさらに30分間混合した。次いで、pHを測定したところ、7.54であった。分散液をマイクロ流動化(M-110 EH-30)して、25000psiで9パスのブランクナノ分散液を形成した。
ブランクの水性脂質混合物を、Meissner 0.2μポリプロピレンバンガードフィルターを通して濾過した。粘度 pH、粒径、光学顕微鏡、密度、及び粘度を測定しました。結果は、以下に提示される。
製造例
水性脂質混合物は、水性脂質混合物が約2mg/mLの濃度を有する以下のプロセスにしたがって調製される。400mLビーカーに、イロプロスト1.103g及び水性脂質混合物125gを添加した。ビーカーをSilversonホモジナイザー(L5M-A)下で固定した。固定した後、小規模正方形孔スクリーン均質化ヘッドをビーカー中の溶液中に下げ、溶液を5,000rpmで混合した。これを、全てのイロプロストが溶解するまで、すなわち、イロプロストがもはや見えなくなるまで行った。イロプロストが溶解していない場合、ホモジナイザーの代わりにマグネチックスターラーバーを使用すべきであり、溶液をより長い間隔、少なくとも2日間混合すべきであるが、より低速でホモジナイザーと共に使用した。
イロプロストを溶解した後、溶液をMeissner 0.2μmポリプロピレンバンガードフィルターを用いて100mLビーカーに濾過した。次いで、溶液の濃度を試験するためのアッセイのために2mLの試料を調製した。試料の濃度は6.4mg/mLであることがわかった。この6.4mg/mLの溶液60.31gに、脂質混合水溶液132.69gを添加して193.0gに希釈し、2mg/mLの溶液を調製した。次いで、これを約30分間混合した。
溶液のpHを三連で測定し、pHは7.12、7.11及び7.11であった。pH、アッセイ(濃度)、関連物質、粒径、密度、粘度及び光学顕微鏡を測定し、結果を以下の表10及び11に示す。
ヒトPASMCにおける環状アデノシン一リン酸(cAMP)生成に対する効果
イロプロストトロメタモール溶液と比較した場合、水性脂質製剤中のイロプロストの濃度を増加させた場合の初代ヒト肺動脈平滑筋細胞(hPASMC)におけるcAMP用量反応関係を調べる試験を行った。
本試験では、hPASMCを、移植していないヒトコーカサス人ドナーの肺から得られた低抵抗動脈から単離した。これらの細胞を実験前日に96ウェルプレートに播種し、細胞を一晩血清飢餓状態にした。hPASMCを3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX 100μM;細胞外ホスホジエステラーゼ及び細胞内ホスホジエステラーゼの両方の阻害剤)で処理した後、異なるイロプロスト製剤及びそれぞれのビヒクル対象に曝露した。水性脂質製剤中のイロプロストを1.9nM~1950nMの濃度範囲で使用し、一方、イロプロストトロメタモール溶液を2.3nM~2310nMの濃度範囲で使用した。永久cAMP活性化剤であるフォルスコリン(5μL)を陽性対照として使用した。細胞を処理し、15分後、hPASMCを氷冷PBS(200μl)で2回リンスし、次いで、1×溶解緩衝液を添加した(100μl/ウェル)。次いで、Cyclic AMP XP(登録商標)Assay Kitを使用してcAMPレベルを測定するまで、試料を-80℃で保存した。
水性脂質製剤中のイロプロストの存在下では、この急性状況において基礎値を超えるcAMPの有意な上昇があった。処置は、初代ヒトPASMCに用量依存的なcAMP蓄積を示した。この試験の結果は、図14及び図15の棒グラフに見ることができる。この試験の折れ線グラフも図16に作成され、処理時の単離ヒトPASMCの細胞内cAMPレベルを示し、これはcAMPの増加を示した。この試験から、水性脂質製剤中のイロプロストは、急性状況において天然のヒト肺動脈平滑筋細胞におけるcAMP産生を有意に増加させることが示された。したがって、水性脂質製剤中のイロプロストの用量応答は、より高濃度のイロプロストトロメタモール製剤よりも強力であると思われる。
予想実施例1
ある量の水酸化ナトリウムを、溶解を助けるために加熱及び撹拌を使用してグリセロールに溶解する。次いで、等モル量のメチルパラベンを加熱しながら溶解する。この溶液からアリコートを取り出し、試験管中でレシチン及びオレイルアルコールと混合する。イロプロストを組み込み、溶液を完全に混合して、内部にイロプロストが配置されたナノ構造化液晶相材料を形成する。「上部溶液」は、Pluronic F-68(BASFから市販されているポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシドブロックコポリマー界面活性剤)及び酢酸を共に溶解し、イロプロストを含む前の溶液の上の溶液層として試験管に添加することによって得られる。直ちに、液晶混合物及び上部溶液を含む試験管を振盪し、小型の卓上超音波処理装置(Fisher Scientific社製、モデルFS6)で超音波処理して分散液を形成する。

Claims (53)

  1. 治療有効量のイロプロストまたはその薬学的に許容される塩及びリオトロピック液晶材料を含む非経口製剤。
  2. 前記リオトロピック液晶材料が、極性及び非極性ナノドメインの両方を含む、請求項1に記載の非経口製剤。
  3. 前記材料がナノ構造化非ラメラ液晶相を含む、請求項1に記載の非経口製剤。
  4. 前記材料が、逆ナノ構造化液晶相を含む、請求項1に記載の非経口製剤。
  5. 前記材料が、別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料と、前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料内に埋め込まれた液相とを含み、前記液相が、疎水性に富む相及び極性溶媒に富む相からなる群から選択される、請求項1に記載の非経口製剤。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤を含む埋込型ポンプ。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、肺動脈高血圧を治療する方法。
  8. 医薬製剤であって:
    イロプロストまたはその薬学的に許容される塩;
    担体;及び
    別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料を含む粒子または材料;及び前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料内に埋め込まれた液相の1つ以上のポケットまたは液滴を含み、前記液相が、油に富む液相及び極性溶媒に富む液相からなる群から選択される、前記医薬製剤。
  9. 前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料が逆相非ラメラ液晶材料である、請求項8に記載の医薬製剤。
  10. 前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料が、
    逆六方相材料、
    逆双連続キュービック相材料、
    逆離散キュービック相材料、または
    逆中間相材料を含む、請求項8に記載の医薬製剤。
  11. 前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料が重合されている、請求項8に記載の医薬製剤。
  12. 前記粒子または前記材料の外側に安定化層をさらに含む、請求項8に記載の医薬製剤。
  13. 前記安定化層が、荷電部分、ポリマー、及び界面活性剤からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬製剤。
  14. 前記粒子または前記材料が、前記イロプロストまたはその薬学的に許容される塩を含むコーティングをさらに含む、請求項8に記載の医薬製剤。
  15. 前記液相が油であり、前記油が、安息香酸ベンジル、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール、リナロール、ならびにバジル、ベイ、ボアドローズ(ローズウッド)、ニンジン種子、クローブバッド、ユーカリ、ショウガ、グレープフルーツ、ヒソップ、レモン、ペルーバルサム、オオヨモギ、ミルラガム、ビターオレンジ、オレガノ、パルマローザ、パチョリ、ペパーミント、プチグレン、ローズマリー、サンタルウッド油、スペアミント、ツジャ(シダーリーフ)、タイム、バニラ、及びイランイラン(カナンガ)の精油からなる群から選択される、請求項8に記載の医薬製剤。
  16. 前記液相が極性溶媒であり、前記極性溶媒が水、グリセロール、及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬製剤。
  17. 前記イロプロストまたはその薬学的に許容される塩が、前記液相または前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶性材料に溶解または分散される、請求項8に記載の医薬製剤。
  18. 前記粒子または前記材料が、注射のために薬学的に許容される、請求項8に記載の医薬製剤。
  19. 前記粒子または前記材料が、経口送達のために薬学的に許容される、請求項18に記載の医薬製剤。
  20. 前記1つ以上のポケットまたは液滴が、50nm以上の直径を有する、請求項8に記載の医薬製剤。
  21. 前記液相が、油及び極性溶媒の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の医薬製剤。
  22. 前記液相が、疎水性に富む相または極性溶媒に富む相である、請求項8に記載の医薬製剤。
  23. 前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料が、逆双連続キュービック相材料から本質的になる、請求項8に記載の医薬製剤。
  24. 前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料が、逆離散キュービック相材料から本質的になる、請求項8に記載の医薬製剤。
  25. 前記別個のナノ構造化非ラメラ液晶材料が、水不溶性脂質または界面活性剤を含む、請求項8に記載の医薬製剤。
  26. 請求項8~25のいずれか一項に記載の製剤を含む埋込型ポンプ。
  27. 請求項8~26のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、肺動脈高血圧を治療する方法。
  28. イロプロストまたはその薬学的に許容される塩、ならびに
    a.マトリクスを含む内部コアであって、
    i.少なくとも1つのナノ構造化液相もしくはその脱水変異体、
    ii.少なくとも1つのナノ構造化液晶相もしくはその脱水変異体、または
    iii.以下
    (1)少なくとも1つのナノ構造化液相もしくはその脱水変異体、及び
    (2)少なくとも1つのナノ構造化液晶相もしくはその脱水変異体の組合せを含む、前記マトリクスを含む内部コアならびに
    b.非ラメラドメインを含む外部コーティングを含む、被覆粒子を含み;
    ここで、前記イロプロストまたはその薬学的に許容される塩は、a.)、b.)またはそれらの組合せにある、医薬製剤。
  29. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.ナノ構造化L1相材料、
    b.ナノ構造化L2相材料、
    c.ナノ構造化しているマイクロエマルジョン、または
    d.ナノ構造化L3相材料を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  30. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.ナノ構造化正もしくは逆キュービック相材料、
    b.ナノ構造化正もしくは逆六方相材料、
    c.ナノ構造化正もしくは逆中間相材料、または
    d.ナノ構造化ラメラ相材料を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  31. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.極性溶媒及び、
    b.界面活性剤または脂質を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  32. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.極性溶媒、
    b.界面活性剤または脂質、及び
    c.両親媒性物質または疎水性物質を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  33. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.ブロックコポリマーを含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  34. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.ブロックコポリマー、及び
    b.溶媒を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  35. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.極性溶媒及び、
    b.界面活性剤を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  36. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.極性溶媒、
    b.界面活性剤及び
    c.両親媒性物質または疎水性物質を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  37. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.ブロックコポリマーを含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  38. 前記ナノ構造化液相材料が、
    a.ブロックコポリマー、及び
    b.溶媒を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  39. 前記内部コアが、前記マトリクス内に配置された前記イロプロストまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  40. 前記内部コアが逆キュービック相材料を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  41. 前記非ラメラドメインが非晶質である、請求項28に記載の被覆粒子。
  42. 前記非ラメラドメインがポリマーである、請求項28に記載の被覆粒子。
  43. 前記ポリマーがポリ乳酸グリコール酸である、請求項42に記載の被覆粒子。
  44. 前記非ラメラドメインが糖を含む、請求項41に記載の被覆粒子。
  45. 前記糖がトレハロースである、請求項44に記載の被覆粒子。
  46. 前記外部コーティングが半結晶性非ラメラ材料を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  47. 前記外部コーティングが少なくとも2%の非ラメラドメインを含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  48. 前記外部コーティングが少なくとも10%の非ラメラドメインを含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  49. 前記外部コーティングが少なくとも50%の非ラメラドメインを含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  50. 前記外部コーティングが、前記イロプロストまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項28に記載の被覆粒子。
  51. 請求項28~50のいずれか一項に記載の製剤を含む埋込型ポンプ。
  52. 請求項28~51のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、肺動脈高血圧を治療する方法。
  53. 治療有効量のイロプロストまたはその薬学的に許容される塩及び水性脂質材料を含む非経口製剤であって、約1950nMのイロプロスト濃度で約20nm~約30nMの単離されたhPASMC中の細胞内cAMPレベルを提供する、前記非経口製剤。
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