JP2023542101A - 界面活性剤を含まない発泡性口腔ケア組成物 - Google Patents

Abstract

界面活性剤を含まない発泡性口腔ケア組成物が、提供される。その口腔ケア組成物は、０．１％（ｗ／ｗ／）～１０％（ｗ／ｗ／）のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、０．１％ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液の表面張力は、５６ｍＮ／ｍ未満である。その口腔ケア組成物は界面活性剤を含まないが、歯磨き中に泡を生じ得る。従って、本開示は、発泡性口腔ケア組成物に関し、その発泡性口腔ケア組成物は、その口腔ケア組成物の質量で０．１質量％～１０質量％のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、濃度０．１質量％の水溶液におけるそのヒドロキシプロピルメチルセルロースの表面張力は５６ｍＮ／ｍ以下であり、好ましくは４２ｍＮ／ｍ～５６ｍＮ／ｍである。

Description

（関連出願に対する相互参照）
本出願は、２０２０年９月１１日に中国国家知識産権局に出願された出願番号ＣＮ２０２０１０９５０８２２．１を有する中国特許出願の優先権を主張し、上記中国特許出願の内容全体が、本明細書において参照によって援用される。
（発明の分野）

本開示は、口腔ケア組成物、特に界面活性剤を含まない口腔ケア組成物、特に界面活性剤を含まない発泡性練り歯磨き組成物に関する。

（背景）
練り歯磨きは、人々にとって日用必需品である。毎日口腔と密接する製品として、練り歯磨きの安全性およびヒトの健康に対するその影響は、人々の注目の的になりつつある。練り歯磨きは、複雑な成分を有する混合物であり、研磨剤、湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、風味付けエッセンス、甘味料、着色料および殺菌保存料などを混合することによって、一般的には調製される。

界面活性剤は、練り歯磨き製品において必要な成分である。例えば、ＵＳ４０５８５９５は、練り歯磨きにおいて一般的に使用される界面活性剤、例えば、アルキルアリールスルホナート、高級アルキルスルホアセタート、タウリンの高級脂肪酸アミドおよびソルビタンモノステアラートなどを開示している。しかし、これらの合成界面活性剤およびその分解生成物は、粘膜に対する刺激、皮膚アレルギー、毒性および発がん性を有し得、皮膚および口腔の生態学的環境を破壊（皮膚味細胞および口腔細胞の破壊を含む）し得、その残留化学成分は、口腔の生態学的環境を破壊し得、口腔粘膜を通って浸透して血液に侵入さえし得、それにより深刻な潜在的安全性の危険をもたらし得る。従って、練り歯磨きの安全性は、消費者によって広く懸念されている。

界面活性剤の潜在的安全性の危険を減少させるために、穏和な種類の練り歯磨きもまた開発されており、この種類の穏和な練り歯磨きは、比較的穏和な界面活性剤、例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルグルコシド、コカミドプロピルベタインおよび天然界面活性剤（ソヤサポニン）などを使用する。しかし、本発明者らの研究チームは、実験室において特定濃度の練り歯磨き―水溶液に対する魚急性毒性試験を実施し、水で５００倍希釈した種々の種類の従来の界面活性剤含有練り歯磨きに対する魚急性毒性実験を実施した。結果は、上記の従来の界面活性剤含有練り歯磨きの水溶液が低い表面張力を有したこと、試験したすべての魚が１～３時間以内に死んだこと、および高い毒性が示されたことを、示す。リョクトウ発芽実験は、その界面活性剤含有練り歯磨きを水で２０倍希釈した後でさえ、リョクトウが発芽できなかったことを示す。研究は、界面活性剤の存在が原因で、練り歯磨きの安全性が減少させられ、潜在的安全性の危険が存在することを、示す。

さらに、界面活性剤に対する代替選択肢もまた、練り歯磨き組成物における使用のために開発されてきた。

ＣＮ１０３２１１７１６Ａは、界面活性を有するタンパク質またはタンパク質ベースの界面活性剤を固有の清浄および洗浄成分として使用することによって、練り歯磨きを製造するための方法を開示しており、その界面活性を有するタンパク質またはタンパク質ベースの界面活性剤は、ダイズタンパク質ナトリウム、絹タンパク質カルシウム、天然絹タンパク質乳化剤またはカゼインナトリウムのうちの１つ、２つ、３つ、または４つである。

ＵＳ２００６２２２６０２Ａ１は、歯を清浄にするための練り歯磨き組成物を開示している。その練り歯磨き組成物のカルシウム塩成分は、ナノ粒子およびタンパク質成分（例えば、ダイズタンパク質およびカゼインなど）を含む。その練り歯磨き組成物は、陰イオン界面活性剤、双性イオン性および両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤またはこれらの化合物の混合物をさらに含む。その練り歯磨き組成物は、穏やかな処理効果および清浄効果を有する。

ＣＮ１０８２６１３４３Ａは、練り歯磨き組成物総質量に基づいて０．０５％～５．５％のカゼインカルシウムを含む練り歯磨き組成物を開示しているが、この代替的界面活性剤の費用は高い。

界面活性剤により引き起こされる潜在的安全性の危険を減少させるために、界面活性剤を含まない練り歯磨きの種類もまた開発されているが、その界面活性剤を含まない練り歯磨きは、歯磨き中に泡を生じさせることができず、その結果、使用者の体験感覚は悪く、使用者の受容度は低い。

米国特許第４０５８５９５号明細書 中国特許出願公開第１０３２１１７１６号明細書 米国特許出願公開第２００６／２２２６０２号明細書 中国特許出願公開第１０８２６１３４３号明細書

従って、使用体験感覚を減少させない、界面活性剤を含まず保存料を含まない口腔ケア組成物、特に練り歯磨き組成物を開発する必要性が、依然として存在する。
（概要）

セルロース型の天然由来の高分子ポリマーが、練り歯磨きにおける一般的な増粘剤である。本開示の研究者らは、特定のヒドロキシプロピルメチルセルロースを増粘剤として使用する口腔ケア組成物が、界面活性剤を含まない条件下で依然として泡を生じさせ得ることを驚くべきことに見出し、これに基づいて本開示を完成させた。

従って、本開示は、発泡性口腔ケア組成物に関し、その発泡性口腔ケア組成物は、その口腔ケア組成物の質量で０．１質量％～１０質量％のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、濃度０．１質量％の水溶液におけるそのヒドロキシプロピルメチルセルロースの表面張力は５６ｍＮ／ｍ以下であり、好ましくは４２ｍＮ／ｍ～５６ｍＮ／ｍである。本開示の組成物における成分含有量は質量％（ｗ／ｗ）であることが、理解されるべきである。

一部の実施形態に従って、本開示は、口腔ケア組成物に関し、その口腔ケア組成物は、
（ａ）１０％（ｗ／ｗ）～５０％（ｗ／ｗ）、好ましくは１２％～４０％、特に好ましくは１５％～３０％、特に１８％～２５％の研磨剤；
（ｂ）５％（ｗ／ｗ）～５０％（ｗ／ｗ）、好ましくは１０％～４５％、特に好ましくは１５％～４０％、特に１８％～３０％の湿潤剤；
（ｃ）０．０１％（ｗ／ｗ）～２．０％（ｗ／ｗ）、好ましくは０．１％～１．０％、より好ましくは０．５％～１．０％の矯味矯臭剤；
（ｄ）０．０１％（ｗ／ｗ）～１０％（ｗ／ｗ）、好ましくは０．１％～５％、より好ましくは１．０％～２．０％の機能性添加剤；
（ｅ）０．１％（ｗ／ｗ）～１０％（ｗ／ｗ）、好ましくは０．５％（ｗ／ｗ）～１０％（ｗ／ｗ）、さらに好ましくは１％～７％、特に好ましくは２％～５％、特に２．５％～４．０％のヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む。

少なくとも１つまたはそれより多くの実施形態において、本開示の口腔ケア組成物は、
（ａ）１０％～５０％、好ましくは１２％～４０％、特に好ましくは１５％～３０％、特に１８％～２５％の研磨剤；
（ｂ）５％～５０％、好ましくは１０％～４５％、特に好ましくは１５％～４０％、特に１８％～３０％の湿潤剤；
（ｃ）２％～２０％、好ましくは４％～１６％、特に好ましくは６％～１２％、特に８％～１０％のセルロース；
（ｄ）５％～３０％、好ましくは８％～２６％、特に好ましくは１２％～２２％、特に１４％～１８％の乳酸桿菌発酵化合物；
（ｅ）０．１％～１０％、好ましくは０．５％～１０％、さらに好ましくは１％～７％、特に好ましくは２％～５％、特に２．５％～４．０％のヒドロキシプロピルメチルセルロース；および
（ｆ）１％～１２％、好ましくは２％～１０％、特に好ましくは３％～８％、特に４％～６．０％のデンプン
を含む。

（ヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ））
本開示の口腔ケア組成物において、０．１％ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液の表面張力は、５６ｍＮ／ｍ未満、好ましくは４２ｍＮ／ｍ～５６ｍＮ／ｍである。

ヒドロキシプロピルメチルセルロースに基づいて、ヒドロキシプロポキシの含有量は、３質量％～１２質量％であり、メトキシルの含有量は、そのヒドロキシプロピルメチルセルロースの質量で１９質量％～３０質量％である。

許容できる発泡効果を得るために、その口腔ケア組成物に基づいて、本開示のヒドロキシプロピルメチルセルロースの消費量は、０．１％（ｗ／ｗ）～１０％（ｗ／ｗ）、好ましくは０．５％（ｗ／ｗ）～１０％（ｗ／ｗ）、さらに好ましくは１％～７％、特に好ましくは２％～５％、特に２．５％～４．０％である。

一部の実施形態において、市販のヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、Ｎａｎｔｏｎｇ Ｊｉｎｓｈｕｎ （Ｃｏｍｐａｎｙ）のＪＳ－ＨＰＮ２０、ＪＳ－ＨＰＮ２５（食品グレード）、およびＪＳ－ＨＰＮ５（医薬品グレード）；ならびにＳｈａｎｄｏｎｇ Ｅｔｏｎ ＣｏｍｐａｎｙのＹＴ５、ＹＴ１５（食品グレード）、ＹＴ５０（医薬品グレード）などが、選択される。

（研磨剤）
本開示の複数の実施形態において、その口腔ケア組成物の媒体が固体またはペーストである条件下では、その口腔組成物は、歯のエナメル質を磨くためまたはホワイトニング効果を提供するために使用され得る、許容可能な歯科用研磨剤物質または磨き剤を含む。許容可能な任意の口腔用研磨剤が、使用され得る。しかし、その研磨剤の種類、細かさ（fineness）（粒子径）および量は、歯のエナメル質がその組成物の通常の使用において過度に研磨されないように、選択されるべきである。適切な研磨剤としては、二酸化ケイ素（例えば、シリカゲル、二酸化ケイ素水和物または沈殿した二酸化ケイ素の形態）、酸化アルミニウム、不溶性ホスファート、炭酸カルシウムおよび樹脂研磨剤（例えば、尿素ホルムアルデヒド縮合物などが挙げられるが、これらに限定はされない。その研磨剤として使用される不溶性ホスファートとしては、オルトホスファート、ポリメタホスファートおよびピロホスファートが挙げられる。例示的な例は、オルトリン酸カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、β－ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウムおよび不溶性ポリメタリン酸ナトリウムである。１種またはそれより多い研磨剤が、その組成物の代表的には約１０％～約５０％、例えば１２％～４０％、１５％～３０％、または１８％～２５％の総有効研磨量で、必要に応じて存在する。

（湿潤剤）
本開示において使用され得る湿潤剤としては、多価アルコール、例えば、グリセロール、ソルビトール、キシリトールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。種々の実施形態において、その湿潤剤は、ペーストまたはゲル組成物が空気中に曝された場合に硬化するのを防ぐために、使用され得、その湿潤剤はまた、甘味料の効果も達成する。１種またはそれより多い湿潤剤が、５％～５０％、好ましくは１０％～４５％、特に好ましくは１５％～４０％、特に１８％～３０％の総量で必要に応じて存在する。

（増粘剤）
増粘剤が、その口腔ケア組成物のために、その組成物の粘度を制御または変化させるために一般的に使用される。その練り歯磨きの泡に影響を与えないことに基づいて、本開示の少なくとも一実施形態における練り歯磨きは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとは異なり以下から選択される、増粘剤をさらに含む：多糖または多糖誘導体（例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび他のセルロース誘導体ならびにデンプン）、カルボマー（例えば、架橋ポリアクリル酸コポリマーまたはアクリル酸ホモポリマー、およびポリアルケニルポリエーテルと架橋したコポリマー）、天然ゴムおよび合成ゴム（例えば、カラギーナン、キサンタンガム、カラヤガム、グアーガム、ゼラチン、アルギン（algin）、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、キトサンおよびアカシアガム）、アクリルアミドポリマー、アクリル酸ポリマー、ビニルポリマー（例えば、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン）、ポリアミン、ポリ四級化合物、エチレンオキシドポリマー、ならびにそれらの混合物。一部の実施形態において、粘土、有機修飾粘土、一部の無機増粘剤（例えば、二酸化ケイ素）およびそれらの混合物が、本開示のために使用される。

（矯味矯臭剤（ｆｌａｖｏｒｉｎｇ ａｇｅｎｔ））
本開示において使用される矯味矯臭剤は、組成物の味を増強するように作用され得る任意の物質またはそれらの物質の混合物を含む。許容可能な任意の口腔用の天然もしくは合成の矯味矯臭剤、例えば、風味付けの油、風味付けのアルデヒド、エステル、アルコール、類似の物質、およびそれらの組合せが、使用され得る。その矯味矯臭剤としては、バニリン、セージ、マジョラム、パセリ油、スペアミント油、ケイヒ油、ウインターグリーン油、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、柑橘油、果実油、ならびにレモン由来のエッセンス、オレンジ由来のエッセンス、ライム由来のエッセンス、グレープフルーツ由来のエッセンス、アンズ由来のエッセンス、バナナ由来のエッセンス、ブドウ由来のエッセンス、リンゴ由来のエッセンス、イチゴ由来のエッセンス、サクランボ由来のエッセンスおよびパイナップル由来のエッセンスなどが、挙げられる。１種またはそれより多い矯味矯臭剤が、０．０１％～５％の総量で必要に応じて存在する。

一部の実施形態において、本開示において使用される矯味矯臭剤は、経口的に許容可能な、天然または人工の、栄養性または非栄養性の甘味料を含む。この型の甘味料としては、デキストロース、ポリデキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、乾燥転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルチトール、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリンおよびその塩、スクラロース、ならびにそれらの混合物が、挙げられる。１種またはそれより多い甘味料が、約０．００５％～約１０％、必要に応じて約０．０１％～約１％の含有量で必要に応じて存在する。

（必要に応じた活性物質）
本開示の組成物は、口腔の硬い（ｓｃｌｅｒｏｕｓ）組織もしくは軟部組織の疾患または障害を予防もしくは処置するため、生理学的障害または疾患を予防もしくは処置するため、あるいは見栄え（ｍａｋｅｕｐ）の利点を提供するために使用され得る、１種もしくはそれより多い追加的な活性物質を必要に応じて含む。種々の実施において、活性作用物質は、口腔において障害を処置もしくは予防するためまたは（例えば、歯、歯肉または他の口腔の硬い組織もしくは軟部組織に）見栄えの利点を提供するために使用され得る「口腔ケア活性作用物質」である。本開示において使用され得る口腔ケア活性作用物質としては、着色料、腐食阻害剤、齲蝕予防薬（ａｎｔｉｃａｒｉｅｓ ａｇｅｎｔ）、抗歯垢剤（ａｎｔｉｐｌａｑｕｅ ａｇｅｎｔ）、抗歯石剤（ａｎｔｉｃａｌｃｕｌｕｓ ａｇｅｎｔ）、抗炎症薬、防臭剤、知覚過敏抑制剤（ｄｅｓｅｎｓｉｔｉｚｅｒ）、またはそれらの組合せなどが、挙げられる。

本開示において使用され得る活性作用物質は、本開示の組成物において安全で有効な量で必要に応じて存在する。その活性作用物質の「安全で有効な」量は、その活性作用物質を使用して、不適切な有害作用（例えば、毒性、刺激またはアレルギー反応）を伴わずにヒト対象または下等動物対象において必要な処置効果もしくは予防効果を生じるのに十分な量である。本開示の様式での適用中に、妥当なベネフィット／リスク比が実現される。その活性作用物質の特定の安全で有効な量は、処置される特定の疾患、対象の身体の健康状態、（存在する場合は）並行処置の特性、使用される特定の活性作用物質、特定の投与形態、使用されるキャリア、および必要な投与レジメンという要因とともに変化する。

（ｐＨ調節剤）
本開示において使用され得るｐＨ調節剤は、ｐＨを必要な範囲において制御するためのｐＨ低下酸性化剤、ｐＨ上昇塩基性化剤、および緩衝化剤を含み、そのｐＨ調節剤としては、例えば、ｐＨ約２～ｐＨ約１０を提供するための酸性化剤、塩基性化剤および緩衝化剤から選択される、１種またはそれより多い化合物が挙げられる。経口的に許容可能な任意のｐＨ調節剤が使用され得、そのｐＨ調節剤としては、カルボン酸、リン酸およびスルホン酸、酸性塩（例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウムおよびリンゴ酸一ナトリウム）、アルカリ金属水酸化物（例えば、水酸化ナトリウム）、炭酸塩（例えば、炭酸ナトリウム）、炭酸水素塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩ならびにリン酸塩（例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウムおよびポリリン酸塩）が挙げられる。１種またはそれより多いｐＨ調節剤が、組成物を経口的に許容可能なｐＨ範囲で有効に維持する総量で必要に応じて存在する。

（水）
本開示の種々の実施において、水もまた経口組成物中に存在し、少なくとも一実施形態において、有機不純物を含まない脱イオン水が、使用される。添加される水は、他の物質（例えば、ソルビトール）と一緒に導入される水以外は、自由水である。その水は、本開示の練り歯磨き組成物のうちの１０％～５０％、好ましくは１５％～３５％を一般的には占める。

（界面活性剤）
さらなる実施形態において、本開示の口腔ケア組成物は、界面活性剤を含まない組成物である。本開示の用語「界面活性剤」はまた、界面剤（ｉｎｔｅｒｆａｃｉａｌ ａｇｅｎｔ）とも呼ばれ、液体表面張力または２つの相の間の界面張力を低下させることが可能な物質である。その界面活性剤は、両親媒性を有し、親水基と親油基とを含む。その親水基の例としては、アミノ基、カルボキシル、スルホン酸基、ヒドロキシルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。疎水基の例としては、Ｃ８およびそれより高い脂肪族アルカン、アルケン、アルキン、芳香族炭化水素などが挙げられるが、これらに限定はされない。一般的な用途の界面活性剤の例としては、天然界面活性剤またはそれらの誘導体、および合成界面活性剤が挙げられるが、これらに限定はされない。その天然界面活性剤またはそれらの誘導体の例としては、タンパク質ベースの界面活性剤が挙げられる。

例示的な陰イオン界面活性剤、例えば、高級脂肪酸モノグリセリドモノスルファートの水溶性塩（例えば、硬化ヤシ油脂肪酸の一硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩（例えば、Ｎ－ココイル－Ｎ－メチルタウリンナトリウム、およびココグリセリド硫酸ナトリウム））；高級アルキルスルファート（例えば、ラウリル硫酸ナトリウム）；高級アルキルエーテルスルファート（例えば、ラウレス－２硫酸ナトリウム）；高級アルキルアリールスルホナート（例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム（ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム））；および高級アルキルスルホアセタート（例えば、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム（ドデシルスルホ酢酸ナトリウム））、１，２－ジヒドロキシプロパンスルホン酸の高級脂肪酸エステル、スルホラウラートおよびラウリルサルコシンナトリウム。

本開示の陽イオン界面活性剤に従って、その陽イオン界面活性剤は、Ｃ８～Ｃ１８の長鎖アルキルを有する脂肪族四級アンモニウム化合物の誘導体（例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジイソブチルフェノキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ココアルキルトリメチルアンモニウムニトリット（ｃｏｃｏ ａｌｋｙｌ ｔｒｉｍｅｔｈｙｌ ａｍｍｏｎｉｕｍ ｎｉｔｒｉｔｅ）、セチルピリジニウムフルオリドおよびそれらの混合物）として、広く定義され得る。

例示的な非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基と、天然で脂肪族化合物またはアルキル芳香族化合物であることが可能な有機疎水性化合物とを縮合することによって生成される化合物として、広く定義され得る。適切な非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物に由来する縮合生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシドならびにこれらの種類の物質の混合物（例えば、ポロキサマー、ポリソルベートおよびポリエチレングリコール硬化ヒマシ油）が挙げられるが、これらに限定はされない。

例示的な両性界面活性剤としては、ベタイン（例えば、コカミドプロピルベタイン）；脂肪族二級アミンおよび脂肪族三級アミンの誘導体（脂肪族基は直鎖または分岐鎖であり得、脂肪族置換基のうちの１つは約８個～約１８個の炭素原子を含み、１つは水溶性陰イオン基（例えば、カルボキシラート基、スルホナート基、硫酸基、リン酸基、またはホスホナート基）を含む）；ならびにこの種類の物質の混合物が挙げられる。

さらなる実施形態において、本出願は、保存料および静菌剤を含まない。その保存料および静菌剤は、アルコール、ホルムアルデヒド供与体およびアルデヒド誘導体、安息香酸およびその誘導体、ならびに他の有機化合物（例えば、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコール）、イミダゾリジニル尿素、パラベン、ブロノポール、カルバゾン、ならびに四級アンモニウム塩から選択される。

理論によって制約されないが、微生物増殖が、口腔ケア組成物の水分活性をその高含有量の湿潤剤（例えば、水溶性低分子（例えば、グリセロール、ソルビトール、キシリトールおよびイソマルチトール）ならびに天然の高分子ポリマー）で制御することによって、阻害される。（練り歯磨きとしての）本開示の口腔ケア組成物の水分活性は、０．７５未満、好ましくは０．６５未満、特に０．６未満である。

図１は、練り歯磨きの発泡能力比較を示す。

図２は、練り歯磨きの安全性比較を示す。

図３は、練り歯磨きの安全性比較を示す。

（実施形態の説明）
本開示は、以下の実施形態を読むことによって、より明確に理解される。これらの実施形態は、本開示を限定することは意図されないが、単に本開示の例示的実施に過ぎない。具体的に特定されていない場合は、以下の実施形態における成分の含有量は、質量パーセントである。

口腔ケア組成物を、以下の比率に従って調製した：
実施形態番号１の配合物：ソルビトール（７０％ソルビトール水溶液）を５５、リン酸一水素カルシウムを２２、グリセロールを５．５、キシリトールを５．５、セルロースを２．２、デンプンを２．２、乳酸桿菌発酵化合物を４．６、およびＨＰＭＣ（Ｘ１）を３．０。
実施形態番号２の配合物：ソルビトール（７０％ソルビトール水溶液）を５２．５、リン酸一水素カルシウムを２２、グリセロールを８．０、キシリトールを５．５、セルロースを２．２、デンプンを２．２、乳酸桿菌発酵化合物を４．６、およびＨＰＭＣ（Ｘ２）を３．０。
実施形態番号３の配合物：ソルビトール（７０％ソルビトール水溶液）を５０、リン酸一水素カルシウムを２２、グリセロールを１０．５、キシリトールを５．５、セルロースを２．２、デンプンを２．２、乳酸桿菌発酵化合物を４．６、およびＨＰＭＣ（Ｘ３）を３．０。

口腔ケア組成物を、以下の比率に従って調製した：
ソルビトール（７０％ソルビトール水溶液）を５０、リン酸一水素カルシウムを２２、グリセロールを１０．５、キシリトールを５．５、セルロースを２．２、デンプンを２．２、乳酸桿菌発酵化合物を４．６、およびＨＰＭＣ（Ｘｎ^＊）を３．０；
注記：Ｘｎは種々のモデルのＨＰＭＣを表し、ｎは４、５、６などである。

（表面張力試験方法）：
ＨＰＭＣを０．１％の水溶液になるように調製し、その溶液の表面張力を、ＪＹＷ－２００Ｃ全自動界面張力計によって決定した。

（泡試験方法）：
練り歯磨きの発泡性能を、以下の様式で決定した：長さ４ｃｍの練り歯磨きの部分を粗い石の表面に絞り出した。その粗い石は事前に湿らせてあり、実際の歯磨きの振動数をシミュレートすることによって１分間の反復ブラッシングのために歯ブラシを湿らせた。その練り歯磨きの発泡性能を観察し、数値０～３によって評価した。本組成物を練り歯磨きとして使用した場合、その発泡性能は好ましくは２～３であり、発泡性能０は発泡不能を表した。
表１．ＨＰＭＣの表面張力および組成物の発泡能力

結果は、図１および表１において示すとおりであった。０．１％の選択したＨＰＭＣの水溶液の表面張力が５６ｍＮ／ｍ未満であった場合、本開示の練り歯磨きは、市場で販売されていた界面活性剤含有練り歯磨きとほぼ同一の発泡効果を有した。
（安定性実験）：
表２．３種の練り歯磨き組成物の水分活性Ａｗ

（保存効果チャレンジ実験の細菌培養培地）：レシチンツイーン８０栄養寒天（Ｈｏｐｅｂｉｏ製）：２４．０ｇのこの培養培地（レシチンツイーン８０栄養寒天である）を１０００ｍｌ三角フラスコ中に添加し、加熱し煮沸させて沸騰状態にし、５００ｍｌの脱イオン水中に溶解させた。使用するために、高圧滅菌を１２１℃にて２０分間実施した。

（真菌培養培地）：ジャガイモデキストロース培養培地（ＰＤＡ）、およびベンガルレッド寒天培養培地（Ｂｅｉｊｉｎｇ Ｌｕｑｉａｏ製）：１８．３ｇのこの培養培地（上記の２種の培養培地のうちの一方、この実施形態においては、ベンガルレッド寒天培養培地を使用する）を１０００ｍｌ三角フラスコ中に添加し、５００ｍｌの脱イオン水中に溶解させ、完全に溶解するまで加熱し煮沸させて沸騰状態にし、使用するために高圧滅菌を１２１℃にて１５分間実施した。

（生理食塩水）：使用するために、高圧滅菌を１２１℃にて１５分間実施した。
（試験した株）：
Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ Ｃｏｌｉ、ＡＴＣＣ ８７３９
Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ Ａｅｒｕｇｉｎｏｓａ、ＡＴＣＣ ９０２７
Ｓｔａｐｈｙ Ｌｏ Ｃｏｃｃｕｓ Ａｕｒｅｕｓ、ＡＴＣＣ ６５３８
Ｃａｎｄｉｄａ Ａｌｂｉｃａｎｓ、ＡＴＣＣ １０２３１
Ａｓｐｅｒｇｉｂｌｕｓ Ｎｉｇｅｒ、ＡＴＣＣ １６４０４。

（実験方法）：
この実験は、米国薬局方ＵＳＰ３９＜５１＞の微生物防腐効力試験法を参照した。すなわち、試験される３０ｇのサンプルの各々を秤量し、滅菌したサンプル瓶に添加した。定量的に混合した細菌懸濁物（上記の５株）を添加した。そのサンプルにおける細菌の初期細菌（Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ Ｃｏｌｉ、Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ ＡｅｒｕｇｉｎｏｓａおよびＳｔａｐｈｙ Ｌｏ Ｃｏｃｃｕｓ Ａｕｒｅｕｓ）添加濃度は、１０^６ｃｆｕ／ｇであった。Ｃａｎｄｉｄａ ＡｌｂｉｃａｎｓおよびＡｓｐｅｒｇｉｂｌｕｓ Ｎｉｇｅｒの初期細菌添加濃度は、１０^５ｃｆｕ／ｇであった。その後、十分で均一な混合を実施した。そのサンプル瓶の開口部を、開口部密封接着剤によって密封し、そのサンプル瓶を約２８℃のインキュベーター中に配置した。分析のために播種の７日目、１４日目、２１日目および２８日目に、それぞれサンプリングを実施した。

（評価基準）：
総細菌数は、初期値から、７日目の１．０以上の細菌数対数減少値までであった；総細菌数は、初期値から、１４日目の３．０以上の細菌数対数減少値までであった；さらに、細菌数は、１４日目から２８日目まで増加しなかった。最初から７日目、１４日目および２８日目までのＣａｎｄｉｄａ ＡｌｂｉｃａｎｓおよびＡｓｐｅｒｇｉｂｌｕｓ Ｎｉｇｅｒの総数は、増加しなかった。
表３．時間によるコロニー数変化

上記の３種の実施形態の保存料を含まない系の練り歯磨き組成物のサンプルを、微生物学的チャレンジ実験に供した。結果は、それらの組成物がこのチャレンジ実験に合格できたことを示した。従って、本開示に従って、水分活性Ａｗを０．７未満であるように制御することによって、保存効果が達成できたことが分かり得た。
（安全性実験）
（魚急性毒性試験）
表４．試験した練り歯磨きサンプル

注記：Ｍ１～Ｍ１０は市場で販売されている練り歯磨きであり、「－」は界面活性剤を含まないことを表した。

（試験方法）：
（１）約５ｃｍ長の小魚を選択し、実験条件と類似する生存条件下で１週間飼い慣らし、この実験の前に２４時間絶食させた。
（２）練り歯磨きを、ガラスの水槽において純水で５００倍希釈した。７匹の健常な小魚を、このガラスの水槽中に配置した。試験溶液におけるこの魚の生存状態を観察し、この魚の生存時間を記録した。タイムカウントは、この小魚をこの練り歯磨き溶液中に配置した時点で開始し、これらの７匹の小魚が完全に死ぬまで終了した。この実験結果は、分（ｍｉｎ．）、時間（ｈ．）、および日（ｄ．）で計った。
結果は、図2～図3において示すとおりであった。本開示の界面活性剤を含まない練り歯磨きはより高い安全性を有したことが、理解され得る。

Claims (10)

1. ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む発泡性口腔ケア組成物であって、濃度０．１質量％の水溶液における該ヒドロキシプロピルメチルセルロースの表面張力は５６ｍＮ／ｍ以下、好ましくは４２ｍＮ／ｍ～５６ｍＮ／ｍであり、該組成物中の該ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、該組成物の質量に基づいて、０．１質量％～１０質量％、好ましくは０．５質量％～１０質量％、さらに好ましくは１質量％～７質量％、特に好ましくは２質量％～５質量％、特に２．５質量％～４．０質量％である、口腔ケア組成物。
2. （ａ）１０％（ｗ／ｗ／）～５０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは１２％（ｗ／ｗ／）～４０％（ｗ／ｗ／）、特に好ましくは１５％（ｗ／ｗ／）～３０％（ｗ／ｗ／）、特に１８％（ｗ／ｗ／）～２５％（ｗ／ｗ／）の研磨剤；
   （ｂ）５％（ｗ／ｗ／）～５０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは１０％（ｗ／ｗ／）～４５％（ｗ／ｗ／）、特に好ましくは１５％（ｗ／ｗ／）～４０％（ｗ／ｗ／）、特に１８％（ｗ／ｗ／）～３０％（ｗ／ｗ／）の湿潤剤；
   （ｃ）０．００５％（ｗ／ｗ／）～１０．０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは０．１％（ｗ／ｗ／）～５．０％（ｗ／ｗ／）、より好ましくは０．５％（ｗ／ｗ／）～１．０％（ｗ／ｗ／）の矯味矯臭剤；および
   （ｄ）０．０１％（ｗ／ｗ／）～１０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは０．１％（ｗ／ｗ／）～５％（ｗ／ｗ／）、より好ましくは１．０％（ｗ／ｗ／）～２．０％（ｗ／ｗ／）の機能性添加剤
   を含む、請求項１に記載の口腔ケア組成物。
3. 前記研磨剤が、シリカゲル、二酸化ケイ素水和物もしくは沈殿した二酸化ケイ素などの、二酸化ケイ素；酸化アルミニウム；不溶性ホスファート、炭酸カルシウムまたはそれらの組合せから選択される、請求項２に記載の口腔ケア組成物。
4. 前記湿潤剤が、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールまたはそれらの組合せから選択される、請求項２または請求項３に記載の口腔ケア組成物。
5. 前記矯味矯臭剤が、香料および／または甘味料から選択される、請求項２～４のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
6. 前記機能性添加剤が、着色料、腐食阻害剤、齲蝕予防薬、抗歯垢剤、抗歯石剤、抗炎症薬、防臭剤、知覚過敏抑制剤またはそれらの組合せから選択される、請求項２～５のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物
7. （ａ）１０％（ｗ／ｗ／）～５０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは１２％（ｗ／ｗ／）～４０％（ｗ／ｗ／）、特に好ましくは１５％（ｗ／ｗ／）～３０％（ｗ／ｗ／）、特に１８％（ｗ／ｗ／）～２５％（ｗ／ｗ／）の研磨剤；
   （ｂ）５％（ｗ／ｗ／）～５０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは１０％（ｗ／ｗ／）～４５％（ｗ／ｗ／）、特に好ましくは１５％（ｗ／ｗ／）～４０％（ｗ／ｗ／）、特に１８％（ｗ／ｗ／）～３０％（ｗ／ｗ／）の湿潤剤；
   （ｃ）２％（ｗ／ｗ／）～２０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは４％（ｗ／ｗ／）～１６％（ｗ／ｗ／）、特に好ましくは６％（ｗ／ｗ／）～１２％（ｗ／ｗ／）、特に８％（ｗ／ｗ／）～１０％（ｗ／ｗ／）のセルロース；
   （ｄ）５％（ｗ／ｗ／）～３０％（ｗ／ｗ／）、好ましくは８％（ｗ／ｗ／）～２６％（ｗ／ｗ／）、特に好ましくは１２％（ｗ／ｗ／）～２２％（ｗ／ｗ／）、特に１４％（ｗ／ｗ／）～１８％（ｗ／ｗ／）の乳酸桿菌発酵化合物；および
   （ｅ）１％（ｗ／ｗ／）～１２％（ｗ／ｗ／）、好ましくは２％（ｗ／ｗ／）～１０％（ｗ／ｗ／）、特に好ましくは３％（ｗ／ｗ／）～８％（ｗ／ｗ／）、特に４％（ｗ／ｗ／）～６．０％（ｗ／ｗ／）のデンプン
   を含む、請求項１に記載の口腔ケア組成物。
8. 界面活性剤を含まない請求項１～７のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物であって、該界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含む、口腔ケア組成物。
9. 静菌剤および保存料を含まない、請求項１～８のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
10. ０．７５未満、好ましくは０．６５未満、特に０．６未満の水分活性を有する、請求項１～９のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。