JP2023540064A - 海洋構造物用の設置船舶及び海洋構造物の設置方法 - Google Patents

Abstract

本開示は、海洋構造物用の設置船舶に関し、それぞれ上縁を備える縦方向に延設された２つの船体側壁の間に配置された積載甲板を備えて、縦方向に延設された２つの船体側壁のそれぞれの上縁が少なくとも甲板の高さに配置される船体と、船体に連結された複数の設置脚部と、より小さな第１の喫水とより大きな第２の喫水との間で設置船舶の浮力を制御するように構成可能な浮力制御アレンジメントと、を備え、第１の喫水では、積載甲板及び縦方向に延設された２つの船体側壁のそれぞれの上縁は、喫水線より上に位置するように構成され、第２の喫水では、積載甲板及び縦方向に延設された２つの船体側壁のそれぞれの上縁の少なくとも一部が水没するように構成される。本開示はさらに、海洋構造物の設置方法に関する。【選択図】図４

Description

本開示は、海洋構造物、例えば風力タービン用の設置船舶、及び海洋構造物の設置方法に関する。より具体的には、本開示は、請求項１及び請求項１８の導入部で定義される設置船舶及び方法に関する。

過去数十年にわたり、世界のエネルギー使用は、炭化水素ベースのエネルギー源から再生可能手段によって生成されるエネルギーへと着実に移行してきた。これは、炭化水素ベースのエネルギー源が有限の供給源であるという理解と、温室効果ガスの排出を削減する必要性との両方によって推進されてきた。

今日、再生可能エネルギーは様々な手法で収集することができる。中でも太陽光発電と風力発電が最も普及しているが、地熱発電や潮力発電等の他の形態でも収集可能である。再生可能技術が成熟するにつれて、再生可能エネルギーをより効率的に収集できるようになり、多くの場合、より手頃な価格で生産できるようになる。近年、再生可能電力の発電所の数が急増しており、その中で最も目に見えるのはおそらく陸上の太陽光発電所と風力発電所である。しかしながら、再生可能電力の発電所の開発は陸上にとどまらず、実際には多くの海洋発電所が存在する。

海洋に再生可能電力の発電所を設置することには多くの利点がある。例えば、より多くの利用可能な空間がある可能性があり、及び／又は、再生可能電力の発電所が付近のインフラによって妨害されない可能性もあり、これにより、より多くの再生可能エネルギーを収集できる可能性がある。風力の場合、海洋風力基地では、陸上で可能となるブレード直径よりもかなり大きな風力タービンを備え得る可能性がある。当然のことながら、これによって海洋風力発電所の見通しを魅力的なものにするが、このような風力基地の設置は、陸上の場合に比べて潜在的にかなり複雑となる。

陸上風力基地の場合、風力タービンの構成部品は、陸上交通でその設置場所へ容易に搬送され得る。しかしながら海洋では、この仕事はそれほど単純でない可能性がある。特に、その大きなサイズが、陸上での構築とそれに次ぐ完全に構築された後の風力タービンの搬送とを非現実的なものにするためである。これは多くの場合、風力タービンのある程度の構築は海洋で実施されなければならないことを意味する。風力タービンの海洋での構築は、特に海洋及び天候の条件が悪ければ、構築作業に伴う困難が増すため、さらに複雑となり得る。

その他の海洋設置には同様の課題がある可能性があり、例えば、その他の種別の再生可能エネルギーシステム、石油オペレーションの設置、測定ステーション、監視プラットフォーム、又は他の任意の種別の海洋構造物等である。

本開示の目的は、以上に定義した従来技術における欠陥及び不都合のうちの１つ以上を軽減、緩和、又は除去し、少なくとも上述の問題を解決することである。第１の態様によると、海洋構造物用の設置船舶が提供される。この船舶は、
縦方向に延設されてそれぞれ上縁を備える２つの船体側壁の間に配置された積載甲板を備える船体と、
船体に連結された複数の設置脚部と、
より小さな第１の喫水とより大きな第２の喫水との間で設置船舶の浮力を制御するように構成可能な浮力制御アレンジメントと、を備え、
第１の喫水では、積載甲板及び縦方向に延設された２つの船体側壁のそれぞれの上縁は、喫水線より上に位置するように構成され、第２の喫水では、積載甲板及び縦方向に延設された２つの船体側壁のそれぞれの上縁の少なくとも一部は、水没するように構成される。

いくつかの実施形態によると、第２の喫水において、縦方向に延設された２つの船体側壁のうちの少なくとも１つの上縁の一部が、喫水線より上に位置するように構成される。

いくつかの実施形態によると、水平方向に延設された２つの側壁が、船首部分から船尾に向かって平行に延設される。

いくつかの実施形態によると、縦方向に延設された側壁のそれぞれの上縁は、甲板の高さ以下に配置される。

いくつかの実施形態によると、設置は、船体に連結された４つの設置脚部を備える。

いくつかの実施形態によると、船体は、複数の設置脚部に対して垂直方向に移動可能である。

いくつかの実施形態によると、複数の設置脚部のそれぞれは、歯車機構によって船体に連結される。

いくつかの実施形態によると、複数の設置脚部のそれぞれは、海底の一部と係合するための海底係合面を備える。

いくつかの実施形態によると、複数の設置脚部のそれぞれは、トラス構造によって定義される。

いくつかの実施形態によると、設置船舶は、クレーンの形でタービン設置装置を備える。

いくつかの実施形態によると、設置は、海洋構造物の構築に先立って、その少なくとも一部を搭載する支持プラットフォームを備える。

いくつかの実施形態によると、支持プラットフォームは、浮力を有する。

いくつかの実施形態によると、設置は、支持プラットフォームを繋ぐ少なくとも１つのテザーポイントを備える。

いくつかの実施形態によると、支持プラットフォームは、船舶が第１の喫水及び第２の喫水の両方にある場合において、甲板上に位置決めされることができる。

いくつかの実施形態によると、支持プラットフォームは船体上に位置決めされることができ、支持プラットフォームの重量は、甲板と、任意で縦方向に延設された２つの船体側壁とによって支持される。

いくつかの実施形態によると、船体は、複数の設置脚部上で上昇構成に移動可能であり、支持プラットフォームは、船体が上昇構成にある状態において、甲板上に位置決め可能である。

いくつかの実施形態において、第２の喫水において、甲板全体が水没する。

第２の態様によると、海洋構造物の設置方法が提供される。この方法は、
それぞれ上縁を備える縦方向に延設された２つの船体側壁の間に配置された積載甲板を備える、海洋構造物を設置するための設置船舶を設けることと、
海洋構造物の少なくとも一部を設置現場に搬送することと、
設置船舶を海底に固定することと、
甲板と、縦方向に延設された２つの船体側壁のうちの少なくとも１つの上縁と、を水没させることと、
海洋構造物の少なくとも一部を保持する支援船舶を、水没された甲板のうちの少なくとも１つ及び縦方向に延設された２つの側壁のうちの少なくとも１つより上に位置決めすることと、
甲板と、縦方向に延設された２つの船体側壁のうちの少なくとも１つの上縁と、を再浮上させることで、支援船舶が甲板上に搭載されるようにすることと、
設置装置を使用して、海洋上の場所に海洋構造物のうちの少なくとも一部を設置することと、
を含む。

いくつかの実施形態によると、船体は複数の設置脚部に連結され、設置船舶を海底に固定することは設置脚部を海底に接触させることを含む。

いくつかの実施形態によると、方法は、設置船舶の浮力を減少させて、より小さな第１の喫水からより大きな第２の喫水に構成されるようにすることを含む。

いくつかの実施形態によると、甲板及び縦方向に延設された２つの船体側壁のうちの少なくとも１つの上縁を水没させることは、船舶を第２の喫水に構成することを含む。

いくつかの実施形態によると、甲板を水没させることは、甲板全体を水没させることを含む。

いくつかの実施形態によると、方法は、歯車機構が船体を複数の設置脚部に連結することにより、設置船舶の船体を複数の設置脚部に対して垂直方向に上昇させて上昇構成にすることを含む。

いくつかの実施形態によると、船体を垂直方向に上昇させることは、船体全体を喫水線より上に持ち上げることを含む。

いくつかの実施形態によると、方法は、支持船舶を設置船舶の縦軸を横切る方向に移動させることによって、水没された甲板の上に支持船舶を位置決めすることを含む。

いくつかの実施形態によると、方法は、海洋構造物の複数の部品を支援船舶の設置現場に搬送することを含む。

いくつかの実施形態によると、方法は、設置船舶に搭載された設置装置を使用して、支援船舶から海洋構造物の少なくとも一部を持ち上げることを含む。

第２の態様の効果及び特徴は、第１の態様に関連して上述したものとかなりの程度類似している。第１の態様に関連して言及された実施形態は、第２の態様にも大部分互換性がある。

本明細書に記載の態様又は実施形態のいずれかにおいて、海洋構造物は、海洋風力タービンであってもよい。

海洋構造物は、底部固定されてもよい。

本開示は、以下に述べる詳細な説明によって明らかとなるであろう。詳細な説明及び具体的な例では、本開示の好適な実施形態を単なる例示として開示する。当業者は、詳細な説明のガイダンスより、本開示の範囲内で変更及び修正がなされてよいことを理解する。

したがって、本明細書中に開示される開示内容は、記載のデバイス又は記載の方法が変動し得るため、そのようなデバイスの特定の構成部品又はそのような方法のステップに限定されるものでないことが理解されるべきである。本明細書中に使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、限定を意図するものでないことも理解されるべきである。本明細書及び添付の請求項において使用されるように、不定冠詞及び定冠詞は、文脈によってそうでない旨の明示がない限り、同要素が１つ以上存在することを意味するものと意図される。したがって、例えば、不定冠詞又は定冠詞を付して「ユニット」と言及した場合、いくつかのデバイス等を包含し得る。さらに、「備える」、「含む」、「含有する」という単語、及び類似の用語選択は、その他の要素又はステップを除外するものでない。

本開示の以上の目的、さらなる目的、特徴、及び効果は、本開示の例としての実施形態の例示的且つ非限定的である詳細な説明を、添付の図面とともに参照することにより、さらに完全に理解されるであろう。

第１の喫水構成における海洋位置での設置船舶を示す。 図１の船舶及び支援船舶を示す。 設置船舶及び貯蔵船舶のさらなる図面を示す。 支持脚部上で上昇構成にある設置船舶の図である。 図４の設置船舶を部分的に構築された風力タービンとともに示す。

以降、添付の図面を参照して本開示について説明するが、図中には本開示の好適な例としての実施形態が示されている。しかしながら、本開示は、他の形で具現化されてもよく、本明細書中に開示の実施形態に限定されるものとして理解されてはならない。本開示の実施形態は、当業者に開示の範囲を完全に伝えるべく提供される。

本開示の第１の態様は、風力タービン等の海洋構造物用の設置船舶であって、それぞれ上縁を備える縦方向に延設された２つの船体側壁の間に配置された積載甲板を備える船体と、船体に連結された複数の設置脚部と、より小さな第１の喫水とより大きな第２の喫水との間で設置船舶の浮力を制御するように構成可能な浮力制御アレンジメントと、を備え、第１の喫水では、積載甲板及び縦方向に延設された２つの船体側壁のそれぞれの上縁が喫水線より上に位置するように構成され、第２の喫水では、積載甲板及び縦方向に延設された２つの船体側壁のそれぞれの上縁の少なくとも一部が水没するように構成される。

図１は、第２の喫水構成にある設置船舶１０を示している。設置船舶は、船体１２を備え、船体は、図１において水没構成で示された積載甲板１４を備える。積載甲板１４は、本例において甲板１４の長さに延設される、縦方向に延設された２つの側壁１６ａ、１６ｂの間に配置される。ここで、縦方向に延設された側壁１６ａ、１６ｂのそれぞれは、甲板１４の周辺縁を定義するが、甲板が甲板１４の１つの縁部において側壁１６ａ、１６ｂのうちの１つ又はそれぞれの全体にわたって延設されない他の例も可能であってもよい。図１に示される通り、側壁１６ａ、１６ｂのそれぞれの上縁２０（そのさらなる詳細については図４を参照のこと）は、完全に水没される。他の例において、側壁１６ａ、１６ｂの１つ又は両方の上縁２０の全部又は一部は、船舶が第２の喫水構成にあるときに水面より上に突出してもよい。本例において（図４を参照するとより明らかに見てとれるように）、側壁のそれぞれの高さは甲板１４の高さにほぼ等しい。

側壁１６ａ、１６ｂのそれぞれは、船舶１０の船首部分１８から船尾に向かって、船舶に沿って縦方向に延設される。船首部分１８は、船舶１０の前方に配置され、乗組員のための収容及び制御センターを備えてもよい。また船首部分１８は、１つ以上の追加の作業甲板を備えてもよく、本例においては、甲板１４に比較してその高さが上昇される。さらに、船舶１０の監視及び通信機器が少なくとも部分的に船首部分に収容されてもよい。

前述の通り、図１は、第２の喫水構成にある船舶１０を示している。船舶１０は、さらに第１の喫水に構成可能であり、ここで喫水は、喫水線と船体１２の底部との間の距離の測定値である。図に示される通り、第２の喫水において、積載甲板１４は完全に水没される。第１の喫水は第２の喫水よりも小さく、第１の喫水において、積載甲板１４は喫水線より上に位置決めされてもよい。さらに、第１の喫水において、縦方向壁１６ａ、１６ｂの上縁２０（例えば上縁２０の全体）は、喫水線より上に位置してもよい。

また船体１２は、図１に示される通り、複数の設置脚部２２ａ～ｄに連結される。ここで、４つの設置脚部が示されているが、より多くの又はより少ない数の設置脚部を有した例も可能であることが理解されなければならない。本例によると、設置脚部２２ａ～ｄは、トラス様構造から作成され、このトラス様構造は、設置脚部に強力且つ軽量な構造を与え得る。他の例において、設置脚部は異なる形を有してもよく、例えば、設置脚部は中空円筒形を有してもよい。

設置脚部２２ａ～ｄのそれぞれは、船体１２に連結される。設置脚部２２ａ～ｄは、任意の適切な手段によって連結されてもよく、連結する手段は、設置脚部２２ａ～ｄが船体１２に対して垂直方向に移動できるようにしてもよい。例えば、設置脚部２２ａ～ｄは、歯車機構によって船体１２に連結されてもよく、歯車機構は、船体１２に対して設置脚部２２ａ～ｄを移動させるように駆動されてもよい。図示されていないが、設置脚部２２ａ～ｄのそれぞれは、ラック等のプロファイル又は歯付きセクションを備えてもよく、これに歯車機構上のピニオンの歯が嵌合される。歯車機構は、設置脚部２２ａ～ｄのそれぞれを船体１２に対して昇降可能にしてもよい。いくつかの例において、各設置脚部２２ａ～ｄのそれぞれは、他の設置脚部２２ａ～ｄのそれぞれとは独立して昇降可能であってもよい。これらの例において、設置脚部２２ａ～ｄのそれぞれは、別個のモータ又は駆動機構を備えてもよく、それぞれはユーザによって別個に制御されてもよい。

図１には示されていないが、設置脚部２２ａ～ｄのそれぞれは、海底に係合する海底係合面を追加で備えてもよい。海底係合面は、設置脚部２２ａ～ｄの一端に配置されてもよい。例えば、海底係合面は、各設置脚部２２ａ～ｄの最下端に配置されてもよく、設置脚部２２ａ～ｄに設置船舶１０の重量の一部を支持させつつ、海底上に据えられるか、又は海底に係合するように構成可能であってもよい、各設置脚部２２ａ～ｄのフットセクションを形成してもよい。海底係合面は、プレート構造の形であってもよく、及び／又は、海底に係合するように構成された突出構造であるか、又はそのような突出構造を有してもよい。海底係合面は、設置船舶１０と海底との間の安定的な係合を提供するように支援してもよい。

設置脚部２２ａ～ｄの一部は図１には示されていないが、設置脚部は、図１の構成において海底に接触していてもよい。動作中、設置船舶１０は、設置脚部２２ａ～ｄが上昇構成にある状態で、所望に応じて操作又は位置決めされることで、設置脚部２２ａ～ｄが海底と接触しないようにしてもよい。設置船舶１０が所望の位置にある状態で、設置船舶１０の構成は、図１に示される通り、第１の喫水構成から第２の喫水構成に変更されてもよい。設置脚部２２ａ～ｄは、例えば、船体に対する脚部２２ａ～ｄの垂直移動を許容する歯車機構の使用を通じて、下降されることで、設置脚部２２ａ～ｄが海底と接触するようにしてもよい。設置脚部２２ａ～ｄの下降は、船舶１０が第１の喫水構成から第２の喫水構成に再構成された後に行われてもよく、又はいくつかの例では両方を同時に実施可能であってもよい。

設置脚部が海底に接触している状態で、設置船舶１０は、所望の位置に固定されてもよく、これは海洋風力タービンの設置プロセスに有用であり得る。

図１において、設置装置２４とともに設置船舶１０も示されている。設置装置２４は、クレーン又はその他の吊り上げ装置の形であってもよく、設置船舶１０から設置場所に風力タービン又はその部品を持ち上げるのに使用されてもよく、ここで設置場所とは、海洋上の場所であってもよい。したがって、設置装置２４は、風力タービン又はその部品等の設置対象物と設置装置２４の係合を可能にする接続又は係合構成要素（例えば、フック、クランプ、把持部材）を備えてもよい。

図２において、設置船舶１０は、再び第２の喫水構成で示されている。さらに、設置船舶１０に隣接して配置され、設置船舶１０の縦軸にほぼ直交して配置された縦軸を有する支持プラットフォーム３０が示されている。ここで、設置脚部２２ａ～ｄは、海底と係合されており、設置船舶１０が設置現場の近く、例えばその近傍にあってもよい安定位置に保持されるようにする。

船舶１０が定位置に固定された状態で、支持プラットフォーム３０はその後、設置現場にて、図２に示される通りに隣接位置に運ばれてもよい。支持プラットフォーム３０は、設置船舶１０に牽引される（例えば、設置現場に導かれる際に設置船舶後方で牽引される）ことにより、設置現場に運ばれてもよい。あるいは、支持プラットフォーム３０は、設置船舶１０から独立して設置現場に運ばれてもよい。本例において、支持プラットフォーム３０は、その上に位置決められた多数の海洋風力タービン構成要素２８ａ～ｃを有する。構成要素には、タービンブレード２８ａ、ナセル２８ｂ、及び支柱２８ｃが含まれる。

図２に示される通り、支持プラットフォーム３０は、それを設置船舶１０上に搭載される位置にある。ここで支持プラットフォーム３０は、設置船舶１０の縦軸と直交する方向において、設置船舶１０に搭載される。支持プラットフォーム３０の設置船舶１０への搭載を容易にするために、支持プラットフォーム３０は、図２に示される通り、設置船舶１０に繋がれてもよい。ここで２つのテザー３２が接続ポイント（図２には図示せず）にて設置船舶１０に接続され、それぞれが接続ポイント３４にて支持プラットフォーム３０に接続され、支持プラットフォーム３０の両側に配置される。支持プラットフォーム３６の縦方向に延設される各側方に沿って複数のガイドループ３６が存在し、支持プラットフォーム３０の各側方に１つずつ、テザーはガイドループを通じて延設される。

各テザーは、設置船舶１０上の別個の接続ポイントに接続してもよく、各接続ポイントは、テザーが巻き取られる手段を有してもよく、例えば各接続ポイントは、テザーを引っ張り得るウィンチであるか、又はこのようなウィンチを備えてもよい。このようにして、支持プラットフォーム３０は、図３に示される位置に引っ張られ、この位置で、支持プラットフォーム３０は、設置船舶１０の水没した甲板１４の上方に位置決めされてもよい。支持プラットフォーム３０は、水没した甲板１４の上方に位置決めされるので、第１の喫水のとき、図３に示されるような位置にある場合、この喫水が確実に甲板１４と支持プラットフォーム３０の下側との間に十分な隙間を与え得るのに十分な大きさとなるようにしてもよい。

支持プラットフォーム３０が図示のような位置にある状態で、設置船舶１０は、第１の喫水に上昇されることで、甲板１４が喫水線より上に上昇され、支持プラットフォーム３０の下面に接触し、支持プラットフォーム３０が設置船舶１０上に支持されるようにしてもよい。図４及び図５の例に見てとれる通り、支持プラットフォーム３０は、支持プラットフォーム３０のいずれかのセクションが支援船舶１０の縁の上方に張り出す状態で、設置船舶１０上に支持され得る。この構成において、側壁１６ａ、ｂは、甲板の高さ以下にあることで、船舶が第１の喫水に上昇されたとき、側壁１６ａ、ｂの間に弛みを生じることなく、支持プラットフォーム３０が甲板に係合し、これに支持されるようにしてもよい。いくつかの他の例において、例えば、支持プラットフォーム３０が甲板の幅より短い場合、又は支持プラットフォームがその縦軸が船舶１０の縦軸と平行になるように位置決めされる場合、側壁の上縁１６ａ、ｂは、甲板の高さより高く配置されてもよく、支持プラットフォーム３０が依然として甲板１４に支持されるようにしてもよい。この構成において、側壁１６ａ、ｂは、甲板１４上における支持プラットフォーム３０の場所のガイドとして使用されてもよい。

この例において、支持プラットフォーム３０は、その縦軸が設置船舶１０の縦軸と直交するような向きにあるものとして示されているが、他の例において、支持プラットフォーム３０は、その縦軸が船舶の縦軸に対して斜めになるように、又は支持プラットフォーム３０及び設置船舶１０の両方の縦軸が平行になるように、設置船舶１０上に搭載されてもよい。この場合、支持プラットフォーム３０は、船舶１０の船尾から設置船舶１０の上方で操作されてもよい。前述の通り、船体の縦方向に延設された壁の上縁２０は、第２の喫水において水没される。説明から理解される通り、この特徴により、支持プラットフォーム３０が様々なアプローチから設置船舶１０上に搭載できるようにし、これによって風力タービンの設置時、ユーザの利用可能な柔軟性が大幅に増加するようにしてもよい。

図４に示される通り、支持プラットフォーム３０が搭載された状態の設置船舶１０は、船体１２を設置脚部２２ａ～ｄ（例えば、船体が設置脚部に連結される歯車機構）に係合することにより、上昇位置に構成されてもよい。設置船舶１０は、上記段落の説明に沿って、第１の喫水から上昇構成に移されてもよい。あるいは、設置船舶１０は、第２の喫水から上昇構成に移されてもよく、船舶１０が第２の喫水から第１の喫水に上昇されて支持プラットフォーム３０がその上に搭載されるステップが省略されてもよい。

図４に示される通り、船舶の船体１２全体は、船舶が上昇構成にあるときには喫水線より上に保持され、支持プラットフォーム３０がその上に搭載される。そのため、船舶の船体はもはや波に接触していないため、続く風力タービンの設置では、波や海のうねりの影響を減じ得る。したがって、このステップにより、他の手法では可能でなかった気象条件下で風力タービンの設置を完成させることが可能となり得る。風力タービンの所望の場所への設置を完成するために必要である限り、支援船舶３０をこの位置に保持することが可能であってもよい。

図５は、海洋上の所望の場所への風力タービンの設置を示している。設置装置２４は、風力タービンの部品２８ａ～ｃを支持プラットフォーム３０から所望の海洋上の場所に持ち上げるのに使用されてもよい。いくつかの例において、ベースが海洋上に既に設置されていてもよく、タービンの部品がその後、ベースに固定されてもよい。図５の図示から明らかとなるように、船舶１０は、海洋風力タービンの設置全体にわたって喫水線より上の位置に保持される。

本開示の第２の態様は、風力タービン等の海洋構造物の設置方法を示す。この方法は、海洋構造を設置するための、それぞれ上縁を備える縦方向に延設された２つの船体側壁の間に配置された積載甲板を備える設置船舶を設けることと、海洋構造物の少なくとも一部を設置現場に搬送することと、設置船舶を海底に固定することと、甲板と、縦方向に延設された２つの船体側壁のうちの少なくとも１つの上縁と、を水没させることと、海洋構造物の少なくとも一部を保持する支援船舶を、水没された甲板及び縦方向に延設された２つの側壁のうちの少なくとも１つのうちの少なくとも１つより上に位置決めすることと、甲板と、縦方向に延設された２つの船体側壁のうちの少なくとも１つの上縁と、を再浮上させることで、支援船舶が甲板上に搭載されるようにすることと、設置装置を使用して、海洋上の場所に海洋構造物のうちの少なくとも一部を設置することと、を備える。

当業者は、本開示が上述の好適な実施形態に限定されないことを認識する。当業者はさらに、添付の特許請求の範囲内で修正及び変更が可能であることを認識する。例えば、支援船舶３０は、船舶１０の長さとの関連で縦方向において船舶１０に搭載されるものとして示されているが、支援船舶は、いずれかの側方でなく、船舶の船尾から甲板１４に搭載可能であってもよい。本明細書中に使用される設置する又は設置との言及は、海洋構造物の１つ以上の部品（海洋風力タービンの構成要素等）の設置、又は該当する場合には、海洋構造物全体の設置を意味するものと捉えられなければならない。さらに、請求の開示を実施する当業者にとって、本開示の実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の請求項を検討することで理解及び実行可能である。

Claims (27)

1. 縦方向に延設されてそれぞれ上縁（２０）を備える２つの船体側壁（１６ａ、１６ｂ）の間に配置された積載甲板（１４）を備える船体（１２）と、
   前記船体（１２）に連結された複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）と、
   より小さな第１の喫水とより大きな第２の喫水との間で前記設置船舶（１０）の浮力を制御するように構成可能な浮力制御アレンジメントと、を備え、
   前記第１の喫水では、前記積載甲板（１４）及び前記縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、１６ｂ）のそれぞれの上縁（２０）が喫水線より上に位置するように構成され、
   前記第２の喫水では、前記積載甲板（１４）及び前記縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、ｂ）のそれぞれの上縁（２０）の少なくとも一部が水没するように構成される、
   海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
2. 前記第２の喫水において、前記縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、ｂ）のうちの少なくとも１つの前記上縁（２０）の一部が、前記喫水線より上に位置するように構成される、請求項１に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
3. 前記水平方向に延設された２つの側壁（１６ａ、ｂ）は、船首部分（１８）から船尾に向かって平行に延設される、請求項２に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
4. 前記縦方向に延設された側壁（１６ａ、１６ｂ）のそれぞれの前記上縁（２０）は、前記甲板（１４）の高さ以下に配置される、請求項１から３の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
5. 前記船体（１２）に連結された４つの設置脚部（２２ａ～ｄ）を備える、請求項１から４の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
6. 前記船体（１２）は、前記複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）に対して垂直方向に移動可能である、請求項１から５の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
7. 前記複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）のそれぞれは、歯車機構によって前記船体（１２）に連結される、請求項１から６の何れか一項かに記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
8. 前記複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）のそれぞれは、海底の一部と係合するための海底係合面を備える、請求項１から７の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
9. 前記複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）のそれぞれは、トラス構造を備えるか、又はトラス構造によって定義される、請求項１から８の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
10. クレーンの形でタービン設置装置（２４）を備える、請求項１から９の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
11. 海洋構造物（２８）の構築に先立って、少なくともその一部を搭載する支持プラットフォーム（３０）を備える、請求項１から１０の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
12. 前記支持プラットフォーム（３０）は、浮力を有する、請求項１１に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
13. 前記支持プラットフォーム（３０）を繋ぐ少なくとも１つのテザーポイント（３４）を備える、請求項１１又は１２に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
14. 前記支持プラットフォーム（３０）は、前記船舶（１０）が前記第１の喫水及び前記第２の喫水の両方にある場合において、前記甲板（１２）上に位置決めすることができる、請求項１１から１３の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
15. 前記支持プラットフォーム（３０）は前記船体（１２）上に位置決めされることができ、
    前記支持プラットフォーム（３０）の重量は、前記甲板（１４）と、任意で前記縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、１６ｂ）と、によって支持される、請求項１１から１４の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
16. 前記船体（１２）は、前記複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）上で上昇構成に移動可能であり、
    前記支持プラットフォーム（３０）は、前記船体（１４）が前記上昇構成にある状態において、前記甲板（１４）上に位置決め可能である、請求項１１から１４の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
17. 前記第２の喫水において、前記甲板（１４）全体が水没する、請求項１から１６の何れか一項に記載の海洋構造物（２８）用の設置船舶（１０）。
18. それぞれ上縁（２０）を備える縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、ｂ）の間に配置された積載甲板（１４）を備える船体（１２）を備えた、海洋構造物（２８）を設置するための設置船舶（１０）を設けることと、
    前記海洋構造物（２８）の少なくとも一部を設置現場に搬送することと、
    前記設置船舶（１０）を海底に固定することと、
    前記甲板（１４）と、前記縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、ｂ）のうちの少なくとも１つの上縁と、を水没させることと、
    海洋構造物の少なくとも一部（２８ａ～ｃ）を保持する支援船舶（３０）を、水没された前記甲板（１４）のうちの少なくとも１つ及び前記縦方向に延設された２つの側壁（１６ａ、ｂ）のうちの少なくとも１つより上に位置決めすることと、
    前記甲板（１４）と、前記縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、ｂ）のうちの前記少なくとも１つの上縁と、を再浮上させることで、前記支援船舶（３０）が前記甲板（１４）上に搭載されるようにすることと、
    前記設置装置（２４）を使用して、海洋上の場所に前記海洋構造物のうちの前記少なくとも一部（２８ａ～ｃ）を設置することと、
    を含む、海洋構造物（２８）の設置方法。
19. 前記船体（１２）は、複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）に連結され、
    前記設置船舶（１０）を海底に固定することは、前記設置脚部（２２ａ～ｄ）を海底に接触させることを含む、請求項１８に記載の方法。
20. 前記設置船舶（１０）の前記浮力を減少させて、より小さな第１の喫水からより大きな第２の喫水に構成されるようにすることを含む、請求項１８又は１９に記載の方法。
21. 前記甲板（１４）及び前記縦方向に延設された２つの船体側壁（１６ａ、ｂ）のうちの少なくとも１つの前記上縁（２０）を水没させることは、前記船舶（１０）を前記第２の喫水に構成することを含む、請求項２０に記載の方法。
22. 前記甲板（１４）を水没させることは、前記甲板（１４）全体を水没させることを含む、請求項１８から２１の何れか一項に記載の方法。
23. 歯車機構が前記船体（１２）を前記複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）に連結することにより、前記設置船舶（１０）の前記船体（１２）を前記複数の設置脚部（２２ａ～ｄ）に対して垂直方向に上昇させて上昇構成にすることを含む、請求項１８から２２の何れか一項に記載の方法。
24. 前記船体（１２）を垂直方向に上昇させることは、前記船体（１２）全体を前記喫水線より上に持ち上げることを含む、請求項２３に記載の方法。
25. 前記支援船舶（１０）を前記設置船舶（１０）の縦軸を横切る方向に移動させることによって、前記支援船舶（１０）を水没された前記甲板（１４）の上に位置決めすることを含む、請求項１８から２４の何れか一項に記載の方法。
26. 海洋構造物（２８ａ～ｃ）の複数の部品を前記支援船舶（３０）の設置現場に搬送することを含む、請求項１８から２５の何れか一項に記載の方法。
27. 前記設置船舶（１０）に搭載された設置装置（２４）を使用して、前記支援船舶（３０）から海洋構造物（２８ａ～ｃ）の少なくとも一部を持ち上げることを含む、請求項１８から２６の何れか一項に記載の方法。

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